TOP > 国内特許検索 > 微細光学像生成素子及び微細光学像生成装置 > 明細書

明細書 :微細光学像生成素子及び微細光学像生成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-097284 (P2018-097284A)
公開日 平成30年6月21日(2018.6.21)
発明の名称または考案の名称 微細光学像生成素子及び微細光学像生成装置
国際特許分類 G03F   7/20        (2006.01)
G03F   1/50        (2012.01)
G03F   1/22        (2012.01)
FI G03F 7/20 521
G03F 7/20 501
G03F 1/50
G03F 1/22
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 30
出願番号 特願2016-244003 (P2016-244003)
出願日 平成28年12月16日(2016.12.16)
発明者または考案者 【氏名】杉坂 純一郎
【氏名】安井 崇
【氏名】平山 浩一
出願人 【識別番号】504238806
【氏名又は名称】国立大学法人北見工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100165515、【弁理士】、【氏名又は名称】太田 清子
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
審査請求 未請求
テーマコード 2H195
2H197
Fターム 2H195BA12
2H195BB08
2H195BB09
2H195BB10
2H195BB16
2H195BB25
2H195BB35
2H195BC05
2H197AA50
2H197BA11
2H197CA01
2H197CA03
2H197CA07
2H197CA10
2H197HA03
2H197JA05
要約 【課題】所望の微細光学像を容易に生成できる微細光学像生成素子及び微細光学像生成装置を提供する。
【解決手段】微細光学像生成素子100は、準結晶パターンを同一平面上で少なくとも二つ以上組み合わせた配置パターンに基づいて複数の開口部140が配置された微細構造部120を備える。微細構造部120は、レーザ光を遮断する遮光膜130と、遮光膜130に設けられ、レーザ光が通過可能な複数の開口部140と、を備える。準結晶パターンは、例えば、準結晶の格子構造の一つであるペンローズタイルの格子点からなるパターンである。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
準結晶パターンを同一平面上で少なくとも二つ以上組み合わせた配置パターンに基づいて複数の凹部、凸部、又は開口部が配置された微細構造部を備える微細光学像生成素子。
【請求項2】
前記微細構造部は、電磁波を遮断する膜と、当該膜に設けられ、電磁波が通過可能な複数の開口部と、を備える、
請求項1に記載の微細光学像生成素子。
【請求項3】
前記膜を支持しており、電磁波を透過可能な基板を備える、
請求項2に記載の微細光学像生成素子。
【請求項4】
前記微細構造部は、基板の表面に当該基板と一体に形成された複数の凹部又は凸部である、
請求項1に記載の微細光学像生成素子。
【請求項5】
前記微細構造部を支持しており、電磁波を透過可能な基板を備え、
前記微細構造部は、前記基板の表面に設けられ、電磁波を遮断する複数の凸部である、
請求項1に記載の微細光学像生成素子。
【請求項6】
前記準結晶パターンは、ペンローズタイルの格子点からなるパターンである、
請求項1から5のいずれか1項に記載の微細光学像生成素子。
【請求項7】
それぞれの前記準結晶パターンは、前記準結晶パターンの中心点の位置、前記準結晶パターンの中心点を通って前記準結晶パターンに垂直な軸周りの回転角、又は前記準結晶パターンの格子定数の少なくとも1つが異なっている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の微細光学像生成素子。
【請求項8】
前記準結晶パターンは、前記準結晶パターンの元となる準結晶の格子構造の格子点に部分的に設けられている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の微細光学像生成素子。
【請求項9】
前記準結晶パターンは、互いの中心点が一致するようにフレネルゾーンプレートが重ねられたとき、前記フレネルゾーンプレートの暗輪帯に重なる格子点を除去したパターンである、
請求項8に記載の微細光学像生成素子。
【請求項10】
電磁波を照射する電磁波照射手段と、
前記電磁波照射手段からの電磁波を透過又は反射することにより微細光学像を生成する請求項1から9のいずれか1項に記載の微細光学像生成素子と、
を備える微細光学像生成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微細光学像生成素子及び微細光学像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細回路を製造するための加工技術としてフォトリソグラフィが知られている。フォトリソグラフィは、フォトマスクに形成した回路パターンを、感光材料(フォトレジスト)を塗布した基板上に投影することにより、基板上に回路パターンを転写する技術である。例えば、特許文献1には、マスクに形成された回路パターンの像を基板上に投影する投影光学系を備える投影露光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2001-51193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の投影露光装置は、収差による像の歪みを低減するために、複数のレンズを組み合わせた投影光学系を用いている。このため、投影光学系の設計が煩雑であると共に、製造コストが大きいという問題があった。
【0005】
また、特許文献1の投影露光装置においては、光の回折限界付近まで回路パターンを縮小投影した場合、フォトマスクの回路パターンと基板上に投影された回路パターン像との間にずれが生じる。このため、当該ずれを補正するようにフォトマスクを設計する必要がある。その結果、フォトマスクの設計が煩雑であるという問題がある。そして、これらの問題は、フォトリソグラフィを用いて半導体の微細回路を製造する場合のみならず、微細光学像の生成が要求される様々な技術分野に存在している。
【0006】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、所望の微細光学像を容易に生成できる微細光学像生成素子及び微細光学像生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る微細光学像生成素子は、
準結晶パターンを同一平面上で少なくとも二つ以上組み合わせた配置パターンに基づいて複数の凹部、凸部、又は開口部が配置された微細構造部を備える。
【0008】
前記微細構造部は、電磁波を遮断する膜と、当該膜に設けられ、電磁波が通過可能な複数の開口部と、を備えていてもよい。
【0009】
前記膜を支持しており、電磁波を透過可能な基板を備えていてもよい。
【0010】
前記微細構造部は、基板の表面に当該基板と一体に形成された複数の凹部又は凸部であってもよい。
【0011】
前記微細構造部を支持しており、電磁波を透過可能な基板を備え、
前記微細構造部は、前記基板の表面に設けられ、電磁波を遮断する複数の凸部であってもよい。
【0012】
前記準結晶パターンは、ペンローズタイルの格子点からなるパターンであってもよい。
【0013】
それぞれの前記準結晶パターンは、前記準結晶パターンの中心点の位置、前記準結晶パターンの中心点を通って前記準結晶パターンに垂直な軸周りの回転角、又は前記準結晶パターンの格子定数の少なくとも1つが異なっていてもよい。
【0014】
前記準結晶パターンは、前記準結晶パターンの元となる準結晶の格子構造の格子点に部分的に設けられていてもよい。
【0015】
前記準結晶パターンは、互いの中心点が一致するようにフレネルゾーンプレートが重ねられたとき、前記フレネルゾーンプレートの暗輪帯に重なる格子点を除去したパターンであってもよい。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る微細光学像生成装置は、
電磁波を照射する電磁波照射手段と、
前記電磁波照射手段からの電磁波を透過又は反射することにより微細光学像を生成する前記微細光学像生成素子と、
を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、準結晶パターンを同一平面上で少なくとも二つ以上組み合わせた配置パターンに基づいて複数の凹部、凸部、又は開口部が配置された微細構造部を備えている。このため、所望の微細光学像を容易に生成できる微細光学像生成素子及び微細光学像生成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る微細光学像生成素子を示す平面図である。
【図2】図1の微細光学像生成素子を線A-Aで矢視した断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る微細光学像生成素子が光学像を生成する様子を示す図である。
【図4】(a)はペンローズタイルの一部、(b)は2種類の菱形で構成される準結晶格子構造の一部、(c)は六角形、八角形、及び十角形で構成される準結晶格子構造の一部を示す図である。
【図5】(a)はペンローズタイルに基づく準結晶パターン、(b)は(a)の準結晶パターンを2つ重ね合わせた配置パターンを示す図である。
【図6】(a)は点Aにスポット像を生成する準結晶レンズ、(b)は点Bにスポット像を生成する準結晶レンズ、(c)は(a)の準結晶レンズと(b)の準結晶レンズとを組み合わせた微細光学像生成素子を示す図である。
【図7】(a)は直線の光学像、(b)は(a)の光学像を生成するスポット像の配列、(c)は曲線の光学像、(d)は(c)の光学像を生成するスポット像の配列を示す図である。
【図8】隣接する開口部の重なり合いを説明する図である。
【図9】(a)は焦点位置のレーザ光の位相を0にするフレネルゾーンプレート、(b)は焦点位置のレーザ光の位相をπにするフレネルゾーンプレートを示す図である。
【図10】格子定数とスポット距離との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態1に係る微細光学像生成素子が異なるスポット距離で規定される位置にスポット像を生成する様子を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る配置パターン生成処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態1に係る準結晶パターン配置処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態1に係るコントラスト向上処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態1に係る微細光学像生成素子の製造方法を示す図であって、(a)は遮光膜を形成した様子、(b)はレジストを塗布した様子、(c)は開口部を形成した様子、(d)はエッチングを施した様子、(e)はレジストを除去した様子を示す図である。
【図16】(a)は実施例1におけるスポット像、(b)は実施例2におけるスポット像、(c)は実施例3におけるスポット像、(d)は実施例4におけるスポット像、(e)は実施例5における微細光学像生成素子からZ軸方向に192.36μmの位置のスポット像、(f)は実施例5における微細光学像生成素子からZ軸方向に192.73μmの位置のスポット像を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係る微細光学像生成素子を図2と同様に線A-Aで矢視した断面図である。
【図18】本発明の実施の形態3に係る微細光学像生成素子を図2と同様に線A-Aで矢視した断面図である。
【図19】本発明の実施の形態4に係る微細光学像生成素子を図2と同様に線A-Aで矢視した断面図である。
【図20】本発明の実施の形態5に係る微細光学像生成素子を図2と同様に線A-Aで矢視した断面図である。
【図21】本発明の実施の形態6に係る微細光学像生成素子を図2と同様に線A-Aで矢視した断面図である。
【図22】本発明の実施の形態6に係る微細光学像生成素子が光学像を生成する様子を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態7に係る微細光学像生成素子を図2と同様に線A-Aで矢視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る微細光学像生成素子及び微細光学像生成装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付す。また、各実施の形態においては、微細光学像生成素子の平面上に延びる方向をX軸、微細光学像生成素子の平面上にあってX軸に垂直な方向をY軸、微細光学像生成素子の平面に垂直な方向、すなわちX軸及びY軸に垂直な方向をZ軸とする直交座標系を使用する。

【0020】
微細光学像生成素子は、外部から照射された電磁波を透過又は反射することにより電磁波を集光して外部に微細光学像を生成する素子である。微細光学像生成素子に照射される電磁波は、マイクロ波、テラヘルツ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線等である。以下、理解を容易にするために、微細光学像生成素子に可視光領域のレーザ光を照射する場合を例にして説明する。

【0021】
(実施の形態1)
図1~16を参照して、本発明の実施の形態1に係る微細光学像生成素子100及び微細光学像生成装置1について説明する。

【0022】
図1は、微細光学像生成素子100の一例を示す図である。微細光学像生成素子100は、全体として円盤形状であり、表面の遮光膜130には、図1の黒い点で示す複数の開口部140が形成されている。

【0023】
図2は、図1に示す微細光学像生成素子100の断面を示した概略図である。図2においては、理解を容易にするために、開口部140の数とスケールを簡略化して図示している。図2に示すように、微細光学像生成素子100は、平板状の基板110と、基板110の表面に設けられた微細構造部120と、を備える。

【0024】
基板110は、薄膜状の微細構造部120の形状を保持する部材である。基板110は、ガラス等のレーザ光を透過可能な材料から形成されている。基板110の厚さは、基板110の剛性、基板110を透過する際のレーザ光の損失等を考慮して、約0.5mm~約1.0mmであることが好ましい。

【0025】
微細構造部120は、照射されたレーザ光を集光して微細光学像を生成するための微細な構造を有する部材である。微細構造部120は、レーザ光を遮る遮光膜130と、遮光膜130に設けられ、レーザ光が通過可能な複数の開口部140と、を備える。遮光膜130は、タングステンシリサイド等のレーザ光を透過しない金属材料から形成されている。遮光膜130の厚さは、遮光膜130の製造コスト、開口部140の加工容易性等を考慮して、約80nm~約200nmであることが好ましい。

【0026】
複数の開口部140は、微細構造部120がXY平面上に配置されているとき、Z軸方向に貫通するように形成されている。複数の開口部140は、いずれも同一の半径Rを有する円形孔である。

【0027】
図3は、微細光学像生成装置1の全体的な構成を示す図である。微細光学像生成装置1は、微細光学像生成素子100と、微細光学像生成素子100にレーザ光を照射する電磁波照射手段であるレーザ光源10と、を備えている。図3に示すように、微細構造部120は、所定のパターンで形成された複数の開口部140におけるレーザ光の回折・干渉作用を利用して、レーザ光源10から照射されてZ軸方向に入射したレーザ光を集光し、外部に微細光学像を生成する。

【0028】
次に、微細構造部120に複数の開口部140を配置するための配置パターンについて説明する。

【0029】
配置パターンは、微細構造部120において複数の開口部140を配置する位置を示すパターンであって、準結晶パターンを少なくとも二つ以上組み合わせて構成されている。配置パターンは、複数の点(ドット)から構成されており、配置パターンを構成する点の位置は、遮光膜130における開口部140の位置に対応する。図1の微細光学像生成素子100は、複数の開口部140を配置パターンに基づいて配置した一つの例である。

【0030】
準結晶パターンは、準結晶の格子構造をその結晶構造の対称軸に平行でない二次元空間に射影したとき、当該格子構造の格子点すなわち当該格子構造を構成する菱形の頂点から構成されるパターンである。準結晶は、結晶のような並進対称性は持たないが、アモルファスとは異なり原子配列に高い秩序性を有しており、結晶及びアモルファスとは異なる特有の格子構造を備えている。例えば、準結晶の格子構造としては、図4(a)に示すペンローズタイル、図4(b)に示す2種類の菱形で構成される格子構造、図4(c)に示す六角形、八角形、及び十角形で構成される格子構造等が知られている。

【0031】
以下、図4(a)~(c)に示す準結晶パターンを生成する具体的な方法について説明する。まず、5次元の超空間を2次元空間(物理空間)と3次元空間(直交補空間)に分解する。5次元空間内で、互いに直交する長さ1の基底ベクトルe~eは以下の式で表される。ただし、tは転置を表す。

【0032】
【数1】
JP2018097284A_000003t.gif

【0033】
次に、5次元空間で周期的な単純格子を考え、その格子点を2次元と3次元の空間に射影する。すなわち、5次元の基底ベクトルe~eを2次元の物理空間と3次元の直交補空間に射影する。このとき、2次元の物理空間に射影した基底ベクトルL~Lは以下の式で表される。

【0034】
【数2】
JP2018097284A_000004t.gif

【0035】
また、2次元の物理空間に射影した基底ベクトルL~L及び3次元の直交補空間に射影した基底ベクトルP~Pは以下の式で表される。

【0036】
【数3】
JP2018097284A_000005t.gif

【0037】
5次元超格子の格子点pは以下の式で表される。
p=n+n+n+n+n
ただし、n~nは、例えば、-23~23の範囲の整数とする。このとき、格子点pの数は全部で(2×23+1)=229,345,007個である。n~nの最大値が大きいほど準結晶の格子点の数も増え、パターン全体のサイズも大きくなる。

【0038】
物理空間に射影された格子点rは、2次元の物理空間に射影した基底ベクトルL~Lを用いて以下の式で表される。
r=n+n+n+n+n
また、直交補空間に射影された格子点pは、3次元の直交補空間に射影した基底ベクトルP~Pを用いて以下の式で表される。
=n+n+n+n+n

【0039】
ここまで各準結晶パターンを生成する手順は共通しているが、以下に示す手順は準結晶パターンごとに異なる。例えば、図4(a)に示すペンローズタイルを生成するには、pのz座標に応じてpのx、y座標が以下の条件を満たすものを選択する。

【0040】
のz座標が-2/√5のとき、pのx、y座標がx=0、y=0のものを選択する。
のz座標が-1/√5のとき、pのx、y座標がP、P、P、P、Pの作る正五角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が0のとき、pのx、y座標がP+P、P+P、P+P、P+P、P+Pの作る正五角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が1/√5のとき、pのx、y座標がP+P+P、P+P+P、P+P+P、P+P+P、P+P+Pの作る正五角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が2/√5のとき、pのx、y座標がP+P+P+P、P+P+P+P、P+P+P+P、P+P+P+P、P+P+P+Pの作る正五角形の範囲に入っているものを選択する。

【0041】
図4(b)に示す2種類の菱形で構成される格子構造を生成するには、pのz座標に応じてpのx、y座標を以下のように設定する。

【0042】
のz座標が-2/√5のとき、pのx、y座標がP/2、P/2、P/2、P/2、P/2の作る正五角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が-1/√5のとき、pのx、y座標がP+P/2、P+P/2、P+P/2、P+P/2、P+P/2、P+P/2、P+P/2、P+P/2、P+P/2、P+P/2の作る正十角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が0のとき、pのx、y座標がP+P+P/2、P+P+P/2、P+P+P/2、P+P+P/2、P+P+P/2、P+P+P/2、P+P+P/2、P+P+P/2、P+P+P/2、P+P+P/2の作る正十角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が1/√5のとき、pのx、y座標がP+P+P+P/2、P+P+P+P/2、P+P+P+P/2、P+P+P+P/2、P+P+P+P/2、P+P+P+P/2、P+P+P+P/2、P+P+P+P/2、P+P+P+P/2、P+P+P+P/2の作る正十角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が2/√5のとき、pのx、y座標がP+P+P+P+P/2、P+P+P+P+P/2、P+P+P+P+P/2、P+P+P+P+P/2、P+P+P+P+P/2の作る正五角形の範囲に入っているものを選択する。

【0043】
図4(c)に示す六角形、八角形、及び十角形で構成される格子構造を生成するには、pのz座標に応じてpのx、y座標を以下のように設定する。

【0044】
のz座標が-2/√5のとき、選択しない。
のz座標が-1/√5のとき、選択しない。
のz座標が0のとき、pのx、y座標がP+P、P+P、P+P、P+P、P+Pが作る正五角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が1/√5のとき、pのx、y座標がP+P+P、P+P+P、P+P+P、P+P+P、P+P+Pが作る正五角形の範囲に入っているものを選択する。
のz座標が2/√5のとき、選択しない。

【0045】
3次元直交補空間上で選択された格子点pに対応するrの集合体が2次元物理空間における準結晶パターンを構成する。準結晶パターンは回転対称性を有しており、回転対称性の回転中心が準結晶パターンの中心点である。

【0046】
準結晶の結晶構造に基づいて生成された準結晶パターンと、少なくとも2つ以上の準結晶パターンを組み合わせて生成された配置パターンの具体的な例を示す。図5(a)は、図4(a)のペンローズタイルに基づいて生成された準結晶パターンを示す。準結晶パターンは、規則的に配置された複数の格子点から構成される。準結晶パターン全体の半径Rは、中心点から最も遠いところにある格子点までの距離である。図5(a)の準結晶パターンを同一平面上に少しずらして2つ重ね合わせると、図5(b)に示す2つの準結晶パターンからなる配置パターンを得ることができる。さらに、図5(a)の準結晶パターンを同一平面上で少しずつずらして重ね合わせていくことにより、図1に示すようなパターンで開口部140を配置する配置パターンが得られる。

【0047】
次に、図6を参照して、微細光学像生成素子100が所望の微細光学像を生成する原理について説明する。理解を容易にするために、2つの同一の準結晶パターンを図5(b)に示すように同一平面上で重ね合わせることにより配置パターンを生成する場合を例にして説明する。

【0048】
図6(a)は、1つの準結晶パターンで複数の開口部140Aが配置されている準結晶レンズ100Aを示す。準結晶レンズ100Aは、1つの準結晶パターンで複数の開口部140Aが配置されていることを除いて微細光学像生成素子100と同一の構成を備える。準結晶レンズ100Aは、複数の開口部140Aを通過したレーザ光が回折・干渉して1つの点A(x,y)に集光することにより、点Aに1つのスポット像を生成する。

【0049】
準結晶レンズ100Aの生成するスポット像は、準結晶レンズ100Aの準結晶パターンの中心点から、準結晶レンズ100Aの平面に対して垂直方向に延びている延長線L上に現れる。準結晶レンズ100Aは、従来のフォトリソグラフィとは異なり、フォトマスクの回路パターンを縮小するレンズ系が不要であるため、光の回折限界を超えたサイズへの集光を実現できる。また、表面に異物が存在していたとしても、スポット像の生成に影響をほとんど及ぼさない。

【0050】
図6(b)は、準結晶レンズ100Aと同一の1つの準結晶パターンで複数の開口部140Bが配置されている準結晶レンズ100Bを示す。準結晶レンズ100Bは、点Aと同一のXY平面上であって点Aと異なる位置にある点B(x,y)に1つのスポット像を生成する。準結晶レンズ100Bの生成するスポット像は、準結晶レンズ100Bの準結晶パターンの中心点から、準結晶レンズ100Bの平面に対して垂直方向に延びた延長線L上に現れる。

【0051】
図6(c)は、準結晶レンズ100Aと準結晶レンズ100Bを一体に構成した微細光学像生成素子100を示す。微細光学像生成素子100は、図6(a)の準結晶パターンで配置された複数の開口部140Aと、図6(b)の準結晶パターンで配置された複数の開口部140Bとを同一の遮光膜130に配置して構成されている。それぞれの開口部140A、140Bが互いに重なり合わない限り、複数の開口部140Aと複数の開口部140Bとは、互いに影響を及ぼすことなく同一のXY平面上にある点A、Bに2つのスポット像を生成する。

【0052】
微細光学像生成素子100は、この性質を利用して、複数の準結晶パターンを組み合わせた配置パターンに基づいて同一の遮光膜130に複数の開口部140を配置することにより、複数のスポット像を重ね合わせて所望の微細光学像を生成する。例えば、図7(a)に示す直線の光学像を生成する場合、図7(b)に示すように複数のスポット像が直線上に並ぶように、複数の準結晶パターンを組み合わせて配置パターンを生成する。また、図7(c)に示す曲線の光学像を生成する場合、図7(d)に示すようにスポット像が曲線上に並ぶように、複数の準結晶パターンを組み合わせて配置パターンを生成する。

【0053】
微細光学像を構成するスポット像の明るさは、準結晶パターンの大きさ、すなわち準結晶パターンの中心点からの半径Rに依存している。準結晶パターンの中心点からの半径Rを大きくすると生成されるスポット像が明るくなる。準結晶パターンの中心点からの半径Rは任意であるが、スポット像の明るさ、他の準結晶パターンと重複する可能性等を考慮して、約500μm~約1.0mm程度であることが好ましい。

【0054】
スポット像の大きさは、開口部140の円形孔の径、照射する電磁波の波長に依存している。開口部140の円形孔の半径Rを大きくすると生成されるスポット像の径も大きくなる。また、照射する電磁波の波長を長くすると生成されるスポット像の径も大きくなる。開口部140の円形孔の半径Rは任意であるが、円形孔の半径Rは、円形孔の加工容易性、電磁波の回折・干渉特性等を考慮して、約0.1μm~約1.0μmであることが好ましい。

【0055】
次に、準結晶パターン同士ができるだけ重複しないように配置する手法について説明する。

【0056】
図8は、隣り合う2つの開口部140が遮光膜130上で重なり合った様子を示す図である。2つの開口部140が重なり合ってひとまとまりの開口部となった場合、準結晶パターンで配置された複数の開口部140はスポット像を正しく生成することができない。このため、複数の準結晶パターンを同一平面上に組み合わせるとき、隣り合う開口部140ができるだけ重なり合うことがないように、開口部140の配置パターンを決定する必要がある。

【0057】
準結晶パターンがその中心点を通るZ軸の周りに回転されたとしても、準結晶パターンで配置された複数の開口部140により生成されるスポット像には影響を及ぼさない。このため、複数の準結晶パターンを同一平面上で組み合わせて開口部140の配置パターンを生成するとき、隣接する開口部140ができるだけ重なり合わないように、追加する準結晶パターンを配置済みの準結晶パターンに対して中心点を通るZ軸の周りに適宜の回転角で回転してから配置する。

【0058】
次に、隣接するスポット像のコントラストを向上させる手法について説明する。

【0059】
スポット像同士を隣接させて光学像を生成する場合、スポット像の間に明るい領域が生成され、スポット像のコントラストが低下することがある。スポット像のコントラストは、隣接するスポット像を生成するレーザ光が互いに干渉するため低下する。このため、スポット像のコントラストを向上させるには、隣接するスポット像を生成するレーザ光を互いに異なる位相とすればよい。

【0060】
スポット像を生成するレーザ光の位相を変化させるには、フレネルゾーンプレートと準結晶パターンとを互いの中心点が一致するように重ね合わせ、フレネルゾーンプレートの暗輪帯に位置する準結晶パターンの格子点を削除すればよい。なお、フレネルゾーンプレートは、準結晶パターンの格子点の一部を削除するために使用されるものであって、実際に微細光学像を生成する際には使用されない。

【0061】
図9(a)は、レーザ光の位相を0にするフレネルゾーンプレート、図9(b)は、レーザ光の位相をπにするフレネルゾーンプレートである。フレネルゾーンプレートは、規則的に間隔の変化する同心円の輪帯を備えており、各輪帯からの光が同じ位相で一つの点に集まるように構成した光学素子である。図9(a)、(b)のフレネルゾーンプレートにおいて白い部分はレーザ光を透過する透過部分であり、黒い部分はレーザ光を遮る遮光部分すなわち暗輪帯である。

【0062】
以下、フレネルゾーンプレートを生成する具体的な手法を説明する。フレネルゾーンプレートは原点を中心とする複数の同心円の輪帯から構成されている。フレネルゾーンプレートを構成する1つの輪帯の内径及び外径をr(1)、r(2)とすると、r(1)<r(2)であり、r(1)<rm+1(1)かつr(2)<rm+1(2)である。ただし、mは1からMまでの整数であり、同心円が外側に配置されるにつれて大きくなる整数である。また、フィルタを重ね合わせる準結晶パターンにおける中心点から最も外側の格子点までの距離をrmaxとしたとき、r(2)>rmaxとなるようにMを定める。

【0063】
フレネルゾーンプレートは、スポット像の位相がθ(単位はラジアン)になるように設計する。より具体的には、以下の式を満たす最小のN(正の整数)を探す。

【0064】
【数4】
JP2018097284A_000006t.gif
ただし、p=θ-π/2であり、fは準結晶素子からスポット像までの距離である。

【0065】
Nが偶数の場合、以下の式を満たすように輪帯の同心円の半径を決定することによりフレネルゾーンプレートを生成する。

【0066】
【数5】
JP2018097284A_000007t.gif

【0067】
また、Nが奇数の場合、以下の式を満たすように輪帯の同心円の半径を決定することによりフレネルゾーンプレートを生成する。

【0068】
【数6】
JP2018097284A_000008t.gif

【0069】
次に、互いの中心点が一致するようにフレネルゾーンプレートと準結晶パターンとを重ね合わせる。そして、準結晶パターンの中心点から格子点までの距離をrとしたとき、いずれかのmに対してr(1)<r<r(2)の条件を満たす格子点を削除すればよい。

【0070】
フレネルゾーンプレートを用いて準結晶パターンの格子点を部分的に削除した具体的な例について説明する。例えば、2つのスポット像を隣接して生成する場合、一方の準結晶パターンには図9(a)に示すスポット像の位相が0となるフレネルゾーンプレートを重ね合わせる。また、他方の準結晶パターンには、図9(b)に示すスポット像の位相がπとなるフレネルゾーンプレートを重ね合わせる。次いで、フレネルゾーンプレートの暗輪帯と重なる領域、すなわちr(1)<r<r(2)の条件を満たしている格子点をすべて削除する。上記のとおり準結晶パターンの格子点を部分的に削除した場合、隣接するスポット像を生成するレーザ光が互いに逆位相となるため、スポット像のコントラストの向上を実現できる。

【0071】
図10は、格子定数αとスポット距離zとの関係を示すグラフである。格子定数αは、準結晶パターンの元となる準結晶の格子構造を構成している菱形の1辺の長さである。また、スポット距離zは、微細光学像生成素子100に形成された準結晶パターンの中心点からスポット像が形成される位置までのZ軸方向の距離である。図10に示すように、スポット距離zは格子定数αを調整することにより調整できる。

【0072】
図10に示すグラフは、照射するレーザ光の波長が0.532μmの場合に対応しているが、準結晶パターンの種類が同一であれば、レーザ光の波長が異なる場合でも利用することができる。レーザ光の波長を変更する場合は、変更した波長に合わせてグラフの縦軸及び横軸を適切にスケーリングすればよい。例えば、レーザ光の波長を2倍にする場合、グラフの縦軸及び横軸の数字をそれぞれ2倍にすればよい。

【0073】
図10のグラフに示す性質を利用して、スポット像を適宜組み合わせて所望の3次元光学像を生成する微細光学像生成素子100を構成できる。図11は、スポット距離zの異なる位置にそれぞれスポット像を生成する2つの準結晶レンズを組み合わせた微細光学像生成素子100を示す。それぞれの準結晶パターンで配置された複数の開口部140は互いに独立してスポット像を生成するため、図11に示す微細光学像生成素子100は、スポット距離zの異なる位置にそれぞれスポット像を生成できる。より複雑な3次元光学像を生成する場合には、スポット距離zで規定されるXY平面ごとに複数のスポット像を配置するように、格子定数αの異なる複数の準結晶パターンを組み合わせて配置パターンを生成すればよい。

【0074】
次に、図12を参照して、微細光学像生成素子100における開口部140の配置パターンを生成する配置パターン生成処理について説明する。配置パターン生成処理はユーザがコンピュータを用いて実行する。

【0075】
まず、格子定数αとスポット距離zとの関係を導出する(ステップS101)。より詳細に説明すると、ペンローズタイルの準結晶パターンにおいて格子定数αを少しずつ変更させ、格子定数αに対応するスポット距離zを算出することにより、図10のグラフに示すように格子定数αとスポット距離zとの関係を導出する。

【0076】
次に、光学像を生成する位置のスポット距離zを決定する(ステップS102)。例えば、微細光学像生成素子100をフォトリソグラフィに適用する場合、スポット距離zは微細光学像生成素子100からレジストを塗布した基板までの距離に相当する。

【0077】
ステップS101で導出した関係に基づいて、スポット距離zに対応する格子定数αを決定する(ステップS103)。具体的には、図10のグラフを参照して、縦軸のスポット距離zに対応する値を横軸から読み取ることにより格子定数αを決定する。

【0078】
次に、生成するスポット像の大きさ、明るさを考慮して、開口部140の半径R、準結晶パターンの半径Rを決定する(ステップS104)。

【0079】
ステップS103で決定された格子定数α、ステップS104で決定された開口部140の半径R、準結晶パターンの半径Rに基づいて準結晶パターンを生成する(ステップS105)。

【0080】
次に、スポット距離zの位置に所望の光学像を生成するようにn個のスポット像の配列を決定する(ステップS106)。例えば、直線の像を生成する場合は、図7(b)に示すように、距離dずつ間隔を空けて直線上に並ぶようにn個のスポット像を配列する。また、曲線の像も生成する場合は、図7(d)に示すように、曲線状に並ぶようにn個のスポット像を配列する。

【0081】
ステップS106で決定されたn個のスポット像の配列に基づいてn個の準結晶パターンの配置を決定するために準結晶パターン配置処理を実行する(ステップS107)。

【0082】
ここで、図13のフローチャートを参照して、ユーザがコンピュータを用いて実行する準結晶パターン配置処理について説明する。準結晶パターン配置処理は、複数の準結晶パターンを重ね合わせたとき、開口部140が互いに重複しないように配置するための処理である。

【0083】
まず、平面上に1つの準結晶パターンを配置する(ステップS201)。例えば、準結晶パターンの中心点が平面上に設定した直交座標系の原点に位置するように準結晶パターンを配置する。

【0084】
次に、ステップS201で配置した準結晶パターンと同一平面上に新たな準結晶パターンを追加する(ステップS202)。例えば、直線の光学像を生成する場合、ステップS201で配置した準結晶パターンの中心点を配置した原点から、図7(b)に示すように距離dだけ離れた任意の位置に追加の準結晶パターンの中心点が位置するように、同一平面上に準結晶パターンを追加する。

【0085】
次に、複数の準結晶パターンが組み合わされた配置パターンにおいて、隣接する格子点間の距離が閾値よりも小さいかどうかを判定する(ステップS203)。閾値は開口部の半径Rに依存しており、例えば、開口部の半径Rの2倍の長さに設定する。隣接する格子点間の距離が閾値よりも小さい場合(ステップS203:YES)、遮光膜130で隣接する開口部140が重なるおそれがあると判断して、既に配置済みの準結晶パターンとできるだけ重複しないようにステップS202で追加した準結晶パターンを回転する(ステップS204)。

【0086】
より詳細に説明すると、回転角を少しずつ(例えば1°ずつ)変えながら、既に配置されている準結晶パターンの格子点と追加する準結晶パターンの格子点との重複数をカウントする。そして、格子点同士の重複数が最も少ない回転角を最適な回転角であるとして、当該最適な回転角で追加した準結晶パターンを回転させる。

【0087】
隣接する格子点間の距離が閾値よりも小さい場合(ステップS203:NO)、又はステップS204の処理を実行した後、ステップS202で追加した準結晶パターンが最後の準結晶パターンかどうかを判定する(ステップS205)。ステップS202で配置された準結晶パターンが最後の準結晶パターンである場合(ステップS205:YES)、処理をリターンする。

【0088】
ステップS202で配置された準結晶パターンが最後の準結晶パターンでない場合(ステップS205:NO)、ステップS202に処理を戻す。そして、最後の準結晶パターンを配置するまでステップS202~S205の処理を繰り返す。以上の処理により複数の準結晶パターンができるだけ重なり合うことなく同一平面上に配置される。

【0089】
再び図12のフローチャートを参照して、配置パターン生成処理の説明に戻る。ステップS107の準結晶パターン配置処理を実行した後、像のコントラストが目標とするコントラストよりも低いかどうかを判定する(ステップS108)。像のコントラストが目標とするコントラストよりも低い場合(ステップS108:YES)、コントラスト向上処理を実行する(ステップS109)。像のコントラストが目標とするコントラストよりも低くない場合(ステップS108:NO)、次のステップS110へ進む。

【0090】
ここで、図14のフローチャートを参照して、ユーザがコンピュータを用いて実行するコントラスト向上処理(ステップS109)について説明する。コントラスト向上処理は、準結晶パターンで配置された複数の開口部140を通過するレーザ光の位相を変化させ、隣接する2つのスポット像A、Bのコントラストを向上させる処理である。以下では、スポット像Aを構成する準結晶パターンをα、スポット像Bを構成する準結晶パターンをβとする。

【0091】
まず、準結晶パターンαにスポット像の位相を0にする第1のフレネルゾーンプレートを重ねる(ステップS301)。第1のフレネルゾーンプレートは、図9(a)に示すフレネルゾーンプレートであり、その中心点が準結晶パターンαの中心点と一致するように重ねる。

【0092】
第1のフレネルゾーンプレートの暗輪帯と重複する準結晶パターンαの格子点を削除する(ステップS302)。準結晶パターンβを含むその他の準結晶パターンについては処理を行わない。第1のフレネルゾーンプレートの暗輪帯にある準結晶パターンの格子点を削除することにより、スポット像を生成するレーザ光の位相を0に変化させることができる。

【0093】
準結晶パターンβにスポット像の位相をπにする第2のフレネルゾーンプレートを重ねる(ステップS303)。第2のフレネルゾーンプレートは、図9(b)に示すフレネルゾーンプレートであり、その中心点が準結晶パターンβの中心点と一致するように重ねる。

【0094】
第2のフレネルゾーンプレートの暗輪帯と重複する準結晶パターンβの格子点を削除する(ステップS304)。準結晶パターンαを含むその他の準結晶パターンについては処理を行わない。第2のフレネルゾーンプレートの暗輪帯にある準結晶パターンの格子点を削除することにより、スポット像を生成するレーザ光の位相をπに変化させることができる。ステップS304の処理を実行した後、処理をリターンする。コントラスト向上処理を実行することにより、隣接するスポット像を生成するレーザ光が互いに逆位相となるため、スポット像の高いコントラストを実現できる。

【0095】
再び図12のフローチャートを参照して、配置パターン生成処理の説明に戻る。ステップS109のコントラスト向上処理を実行した後、ステップS102で決定したスポット距離zとは異なる距離に像を追加するかどうかを判定する(ステップS110)。ステップS102で決定したスポット距離zとは異なる距離に像を追加する場合(ステップS110:YES)、ステップS102に処理を戻す。ステップS102~S110の処理を繰り返すことにより、所望の3次元光学像を生成するための開口部140の配置パターンを生成できる。

【0096】
ステップS102で決定したスポット距離zとは異なる距離に像を追加しない場合(ステップS110:NO)、配置パターン生成処理を終了する。

【0097】
次に、図15を参照して、微細光学像生成素子100の製造方法について説明する。

【0098】
まず、図15(a)に示すように、基板110の上にタングステンシリサイドの遮光膜130をスパッタ成膜法により形成する。遮光膜130は、光を遮光する材料であればタングステンシリサイド以外のいかなる材料を用いてもよい。

【0099】
次に、図15(b)に示すように、基板110上に形成された遮光膜130の表面に電子線レジストZEP520Aを成膜する。レジストの成膜にはスピンコートを用いる。例えば、レジストの厚さは約370nmである。

【0100】
次に、図15(c)に示すように、電子線描画装置を用いて図12に示す配置パターン生成処理にて決定された配置パターンで複数の開口部140を遮光膜130に現像する。現像工程においては電子線描画装置以外にも、レーザ加工機、集束イオンビーム加工装置等を用いてもよい。

【0101】
次に、図15(d)に示すように、開口部140を現像された遮光膜130にプラズマ化したSFガスを用いてドライエッチングを施す。

【0102】
最後に、図15(e)に示すように、電子ビームによって露光されたレジストを除去する。以上の工程により微細光学像生成素子100の製造が終了する。

【0103】
次に、本発明の実施の形態1に係る微細光学像生成素子100の特性を検証するために、以下の実施例1~5に示すようにコンピュータを用いてシミュレーションを実施した。

【0104】
(実施例1)
実施例1においては、2つの異なる点A、Bに同一の大きさ、明るさのスポット像を生成する微細光学像生成素子100について検討した。微細光学像生成素子100から各スポット像までのスポット距離zは192μm、点Aの座標は(x,y)=(0,0)、点Bの座標は(x,y)=(1.17μm,1.17μm)である。また、レーザ光の波長は532nmである。

【0105】
まず、スポット距離zが192μmとなるようにペンローズタイルの準結晶パターンを生成した。このとき、準結晶パターンの格子定数αは13.45μm、準結晶パターン全体の半径Rは800μmである。

【0106】
次に、生成された準結晶パターンを用いて開口部140の配置パターンを生成した。まず、中心点が平面上の座標(x,y)=(0,0)に位置するように点Aのスポット像に対応する準結晶パターンを配置した。そして、中心点が平面上の座標(x,y)=(1.17μm,1.17μm)に位置するように点Bのスポット像に対応する準結晶パターンを配置した。このとき、点Bのスポット像に対応する準結晶パターンの格子点が点Aのスポット像に対応する準結晶パターンの格子点とできるだけ重なり合わないように配置した。

【0107】
次に、生成された配置パターンで同一の遮光膜130に複数の開口部140を形成することにより微細光学像生成素子100を製造した。基板110の厚さは約0.7mm、遮光膜130の厚さは80nm、開口部140の半径Rは0.532μmである。

【0108】
図16(a)は、実施例1の微細光学像生成素子100にレーザ光を照射して生成されたスポット像を示す。スポット距離zが192μmにある平面上に2つのスポット像が別々に出現することを確認できた。また、それぞれスポット像は、準結晶パターンの中心点からZ軸方向に延びる延長線上に生成されることを確認できた。

【0109】
(実施例2)
実施例2においては、点Bのスポット像のサイズを点Aのスポット像のサイズよりも大きくなるように生成する微細光学像生成素子100について検討した。点Bのスポット像を生成する準結晶パターンで配置される開口部140の半径Rを0.745μmに設定した以外は、実施例1と同一の条件である。

【0110】
図16(b)に示すように、実施例2の微細光学像生成素子100にレーザ光を照射すると、右上にある点Bのスポット像が左下にある点Aのスポット像よりも大きく生成された。開口部の半径Rを大きくすることによりスポット像の径を拡大できることを確認できた。

【0111】
(実施例3)
実施例3においては、点Bのスポット像を点Aのスポット像よりも暗くなるように生成する微細光学像生成素子100について検討した。点Bのスポット像を生成する準結晶パターン全体の半径Rを266μmに設定した以外は、実施例1と同一の条件である。

【0112】
図16(c)に示すように、実施例3の微細光学像生成素子100にレーザ光を照射すると、点Bのスポット像は点Aのスポット像よりも暗く生成された。準結晶パターン全体の半径Rを小さくすることによりスポット像の径を暗くできることを確認できた。

【0113】
(実施例4)
実施例4においては、直線の光学像を生成する微細光学像生成素子100について検討した。理解を容易にするために、4つのスポット像を一定間隔で並べて直線の像を生成する例を説明する。4つのスポット像を作るためには同一平面上に4つの準結晶パターンを重ね合わせる必要がある。それ以外は実施例1と同一の条件である。

【0114】
まず、目標とする直線の光学像を4つのスポット像の重ね合わせで表現する。点A~Dのスポット像を以下のとおり配置した。
点Aのスポット像は(x,y)=(0.0μm,0.0000μm)
点Bのスポット像は(x,y)=(0.0μm,0.2926μm)
点Cのスポット像は(x,y)=(0.0μm,0.5320μm)
点Dのスポット像は(x,y)=(0.0μm,0.8246μm)

【0115】
次に、4つの準結晶パターンを点A~Dの位置に合わせて同一平面上に配置した。このとき、4つの準結晶パターンを組み合わせた配置パターンで遮光膜130に複数の開口部140を配置した場合に、隣接する開口部140ができるだけ重複しないように4つの準結晶パターンを組み合わせた。具体的には、以下に示すとおりである。

【0116】
点Aのスポット像に対応する準結晶パターンは、中心点が(x,y)=(0.0μm,0.0000μm)となるように配置された。
点Bのスポット像に対応する準結晶パターンは、中心点が(x,y)=(0.0μm,0.2926μm)に配置された。また、点Aのスポット像に対応する準結晶パターンに比べて中心点の軸周りに68°回転された。
点Cのスポット像に対応する準結晶パターンは、中心点が(x,y)=(0.0μm,0.5320μm)となるように配置された。
点Dのスポット像に対応するパターンは、中心点が(x,y)=(0.0μm,0.8246μm)に配置された。また、点Aのスポット像に対応する準結晶パターンに比べて中心点の軸周りに29°回転された。

【0117】
図16(d)に示すように、実施例4の微細光学像生成素子100にレーザ光を照射すると、4つのスポット像が重なり合って1つの直線の像を生成することが確認できた。準結晶パターンを重ね合わせたときに開口部140ができるだけ重なり合わないように配置しているため、それぞれのスポット像が歪むことなく重なり合い、全体として1つの直線の光学像を生成できた。

【0118】
(実施例5)
実施例5においては、2つのスポット像からなる3次元光学像を生成する微細光学像生成素子100について検討した。点Aのスポット像のスポット距離zは192.36μm、点Bのスポット像のスポット距離zは192,73μmに設定した。それぞれのスポット距離zに対応する格子定数αはそれぞれ21.263μm、21.267μmである。それ以外は実施例1と同一の条件である。

【0119】
図16(e)に示すように、実施例5の微細光学像生成素子100にレーザ光を照射すると、スポット距離zが192.36μmのXY平面においては点Aのスポット像がくっきりと現れたのに対し、点Bのスポット像はピンボケしている。また、図16(f)に示すように、スポット距離zが192,73μmのXY平面においては、点Bのスポット像がくっきり現れたのに対し、点Aのスポット像はピンボケしている。このことから、準結晶パターンの格子定数αを調整することにより所望の3次元光学像を生成できることを確認できた。

【0120】
レーザ光の集光手段としてレンズを用いる場合、2枚のレンズを光軸方向にずらして配置したとしても、焦点距離が変化するだけで、2つのスポット像を生成できない。また、レーザ光の集光手段として図9に示すフレネルゾーンプレートを用いる場合、2枚のフレネルゾーンプレートを重ねて配置したとしても、フレネルゾーンプレートの透過部分が互いに重なり合うため、透過部分の重複数に応じて、レーザ光の透過率を倍増させる機構を素子表面に作製しなければならず、実現が困難である。一方、微細光学像生成素子100においては、同一の遮光膜130に複数の準結晶パターンを組み合わせた配置パターンで複数の開口部140を形成することにより任意の光学像を生成できるため、光学系の省スペース化、製造コストの削減、設計の容易化を実現できる。

【0121】
以上説明したように、実施の形態1に係る微細光学像生成素子100においては、複数の準結晶パターンを同一平面上に組み合わせた配置パターンで複数の開口部140が形成された微細構造部120を備えている。多数のレンズからなる光学系を用いることなく微細光学像を生成できるため、光学系の設計及び製造に伴うコストを抑制できる。

【0122】
実施の形態1に係る微細光学像生成素子100においては、遮光膜130に複数の開口部140をできるだけ重複しないようなパターンで配置するだけで、所望の微細光学像を生成できる。このため、遮光膜130に複数の開口部140を設けるだけで所望の微細光学像を容易に生成できる。

【0123】
実施の形態1に係る微細光学像生成素子100においては、遮光膜130に同一深さ、同一直径の開口部140を形成しているため、複雑なパターンの微細加工を施す必要がない。このため、微細光学像生成素子100の製造が容易であり、歩留まり率も高い。

【0124】
実施の形態1に係る微細光学像生成素子100においては、表面に異物や欠陥が存在したとしても、微細光学像への影響が小さい。このため、微細光学像生成素子100の管理や取扱いが容易である。

【0125】
(実施の形態2)
図17を参照して、本発明の実施の形態2に係る微細光学像生成素子200について説明する。実施の形態1においては、基板110上に設けられ、複数の開口部140を備える遮光膜130を微細構造部120としていたが、微細構造部を基板に直接形成してもよい。実施の形態2に係る微細光学像生成素子200の基本的な構成は、実施の形態1に係る微細光学像生成素子100と同一であるため、以下、両者の異なる部分を中心に説明する。

【0126】
微細光学像生成素子200は、レーザ光の位相差を利用して集光する位相型の微細光学像生成素子である。微細光学像生成素子200は、レーザ光を透過可能な材料からなる基板210と、基板210に直接形成された微細構造部220と、を備えている。微細構造部220は、複数の準結晶パターンからなる配置パターンで配置された複数の凹部230を含んでいる。

【0127】
レーザ光は物質を透過する際に伝播速度が遅れるため位相が変化する。このため、基板210に形成された凹部230を通過するレーザ光の位相と、基板210のその他の部分を通過するレーザ光の位相との間にはずれが生じる。微細光学像生成素子200は、互いに位相差があるレーザ光同士の干渉・回折現象を利用して、レーザ光を一つの点に収束させ、スポット像を生成する。

【0128】
以上説明したように、実施の形態2に係る微細光学像生成素子200においては、基板210及び微細構造部220が一体に形成されている。このため、微細光学像生成素子200を容易に製造でき、製造コストを抑制できる。また、外部からの衝撃等に強いため、取扱いや管理が容易である。

【0129】
(実施の形態3)
図18を参照して、本発明の実施の形態3に係る微細光学像生成素子300について説明する。実施の形態3に係る微細光学像生成素子300のように、基板上に形成された複数の凸部を微細構造部としてもよい。実施の形態3に係る微細光学像生成素子300の基本的な構成は、実施の形態1に係る微細光学像生成素子100と同一であるため、以下、両者の異なる部分を中心に説明する。

【0130】
微細光学像生成素子300は、レーザ光を透過可能な材料からなる基板310と、基板310の表面に形成された微細構造部320と、を備える。微細構造部320は、複数の準結晶パターンからなる配置パターンで配置された複数の凸部330から構成されている。凸部330は、円柱形に形成されており、タングステンシリサイド等の遮光性の金属材料から形成されている。

【0131】
微細光学像生成素子300にレーザ光が入射すると、凸部330はレーザ光を反射するのに対し、凸部330が設けられていない部分はレーザ光を透過する。基板310を透過したレーザ光は互いに回折・干渉して、一つの点に集光し、スポット像を生成する。

【0132】
以上説明したように、実施の形態3に係る微細光学像生成素子300においては、基板310に複数の凸部330を備えている。このため、凸部330を形成するための金属材料の使用量を抑制できるため、製造コストを抑制できる。

【0133】
(実施の形態4)
図19を参照して、本発明の実施の形態4に係る微細光学像生成素子400について説明する。実施の形態4に係る微細光学像生成素子400のように、基板に直接形成された複数の凸部を微細構造部としてもよい。実施の形態4に係る微細光学像生成素子400の基本的な構成は、実施の形態1に係る微細光学像生成素子100と同一であるため、以下、両者の異なる部分を中心に説明する。

【0134】
微細光学像生成素子400は、実施の形態2に係る微細光学像生成素子200と同様に位相型の微細光学像生成素子である。微細光学像生成素子400は、レーザ光を透過可能な材料からなる基板410と、基板410の表面に直接形成された微細構造部420と、を備える。微細構造部420は、複数の準結晶パターンからなる配置パターンで配置された複数の凸部430から構成されている。

【0135】
微細光学像生成素子400にレーザ光を入射すると、凸部430を透過するレーザ光と、凸部430が設けられていない部分を透過するレーザ光とは、互いに位相が相違する。微細光学像生成素子400に照射されたレーザ光は、レーザ光同士の位相差により回折・干渉して一つの点に集光され、スポット像を生成する。

【0136】
以上説明したように、実施の形態4に係る微細光学像生成素子400においては、基板410及び微細構造部420が一体に形成されている。このため、微細光学像生成素子400を容易に製造でき、製造コストを抑制できる。また、外部からの衝撃等に強いため、取扱いや管理が容易である。

【0137】
(実施の形態5)
図20を参照して、本発明の実施の形態5に係る微細光学像生成素子500について説明する。実施の形態5に係る微細光学像生成素子500のように、微細構造部を一対の基板で挟み込むように構成してもよい。実施の形態5に係る微細光学像生成素子500の基本的な構成は、実施の形態1に係る微細光学像生成素子100と同一であるため、以下、両者の異なる部分を中心に説明する。

【0138】
微細光学像生成素子500は、一対の基板510A、510Bと、一対の基板510A、510Bの間に挟み込まれている微細構造部520と、を備える。一対の基板510A、510Bは、いずれもレーザ光を透過可能な材料から形成されている。微細構造部520は、光を遮る膜である遮光膜530と、遮光膜530に複数の準結晶パターンからなる配置パターンで配置された複数の開口部540と、を備える。

【0139】
外部から基板510Aに入射されたレーザ光は、基板510Aの内部を通過して微細構造部520に到達する。微細構造部520は、開口部540に入射したレーザ光を透過し、その他の部分に入射したレーザ光を反射する。複数の開口部540を通過したレーザ光は回折・干渉作用により集束しつつ基板510Bを通過して外部にスポット像を生成する。

【0140】
以上説明したように、実施の形態5に係る微細光学像生成素子500においては、微細構造部520が一対の基板510A、510Bにより挟み込まれている。このため、外部からの衝撃等に強く、取扱いや管理が容易である。

【0141】
(実施の形態6)
図21、22を参照して、本発明の実施の形態6に係る微細光学像生成素子600について説明する。実施の形態1に係る微細光学像生成素子100は、レーザ光を内部に透過させてレーザ光の入射側と反対側に光学像を生成する透過型の微細光学像生成素子であったが、レーザ光を表面で反射させてレーザ光の入射側に光学像を生成する反射型の微細光学像生成素子として構成してもよい。実施の形態6に係る微細光学像生成素子600の基本的な構成は、実施の形態1に係る微細光学像生成素子100と同一であるため、以下、両者の異なる部分を中心に説明する。

【0142】
図21に示すように微細光学像生成素子600は、遮光性の金属材料からなる基板610と、基板610に直接形成された微細構造部620と、を備える。微細構造部620は、複数の準結晶パターンからなる配置パターンで配置された複数の凹部630から構成される。基板610及び微細構造部620は、タングステンシリサイド等の金属材料により一体に形成されている。

【0143】
図22に示すように、微細光学像生成素子600は、入射したレーザ光が微細構造部620の表面で反射し、反射光が干渉し合うことで光学像を生成する。複数の凹部630が準結晶パターンで配置されている場合、凹部630に入射したレーザ光は凹部630の側面及び底面で反射し、反射光が互いに干渉することにより集光し、レーザ光の入射側にスポット像を生成する。

【0144】
以上説明したように、実施の形態6に係る微細光学像生成素子600においては、基板610及び凹部630が一体に形成されている。このため、微細光学像生成素子600を容易に製造でき、製造コストを抑制できる。また、外部からの衝撃等に強いため、取扱いや管理が容易である。

【0145】
(実施の形態7)
図23を参照して、本発明の実施の形態7に係る微細光学像生成素子700について説明する。実施の形態6においては、金属製の基板610に直接凹部630を形成していたが、金属製の基板に直接凸部を形成してもよい。実施の形態7に係る微細光学像生成素子700の基本的な構成は、実施の形態1に係る微細光学像生成素子100と同一であるため、以下、両者の異なる部分を中心に説明する。

【0146】
微細光学像生成素子700は、金属製の基板710と、基板710に直接形成された微細構造部720と、を備える。微細構造部720は、複数の準結晶パターンからなる配置パターンで配置された複数の凸部730から構成される。基板710及び微細構造部720は、タングステンシリサイド等の金属材料により一体に形成されている。

【0147】
微細光学像生成素子700にレーザ光を照射すると、照射したレーザ光が微細構造部720の表面で反射・干渉することにより光学像を生成する。より詳細に説明すると、凸部730に入射したレーザ光は凸部730の側面及び上面で反射し、場合によっては凸部730の側面で反射したレーザ光が凸部730以外の部分で反射したり、凸部730以外の部分で反射したレーザ光が凸部730の側面で反射したりする。複数の凸部730が準結晶パターンで配置されている場合、この反射光が互いに干渉することにより集光し、レーザ光の入射側にスポット像を生成する。

【0148】
以上説明したように、実施の形態7に係る微細光学像生成素子700においては、基板710及び凸部730が一体に形成されている。このため、微細光学像生成素子700を容易に製造できるため、製造コストを抑制できる。また、外部からの衝撃等に強いため、取扱いや管理が容易である。

【0149】
そして、本発明はこれに限られず、以下に述べる変形も可能である。

【0150】
(変形例)
上記実施の形態においては、微細光学像生成素子100は円盤形状であったが、本発明はこれに限定されない。微細光学像生成素子100は、微細構造部120が平面上に形成されていれば、いかなる形状であってもよく、例えば、正方形又は長方形の板状の基板110に微細構造部120を配置してもよい。

【0151】
上記実施の形態においては、開口部140は円形孔であったが、本発明はこれに限定されない。開口部140はいかなる形状であってもよく、例えば、正方形、三角形、楕円形等であってもよい。

【0152】
上記実施の形態においては、遮光膜130は光を透過しない金属材料から形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、遮光膜130は、光を透過しない半導体から形成されていてもよい。また、遮光膜130は必ずしも完全に光を遮断する必要はなく、例えば半透明な材料から形成されていてもよい。

【0153】
上記実施の形態においては、微細構造部120を基板110上に配置していたが、本発明はこれに限られない。基板110は本質的な要素ではなく、微細構造部120の形状を保持することができれば他のいかなる手段を採用してもよい。例えば、微細構造部120を光学装置に直接貼り付けてもよい。

【0154】
上記実施の形態においては、準結晶パターンを準結晶の格子構造の格子点から構成していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、準結晶パターンとして、準結晶の格子構造を構成する菱形の各辺の中点、又は菱形の中央に設けられた点等から構成してもよい。

【0155】
上記実施の形態においては、既に配置されている準結晶パターンの格子点と追加する準結晶パターンの格子点とが重複する数を最小とするように準結晶パターンの回転角を決定していたが、本発明はこれに限られない。例えば、すべての準結晶パターンに対して、回転角のすべての組み合わせに対する格子点の重複する数を計算し、その中から最小とする回転角の組み合わせを決定してもよい。この場合、パッキング問題のような図形を最適な条件で充填させる最適化手法を用いて、最適な回転角の組み合わせを決定できる。

【0156】
上記実施の形態においては、準結晶パターンの中心点にある格子点はそのままにしていたが、本発明はこれに限られない。スポット像を隣接して配置した場合、準結晶パターンの中心点に位置する格子点は、互いに重複する可能性が高い。重複した格子点はスポット像を歪ませるだけであるため、このような格子点は準結晶パターンの生成時に予め除去してもよい。

【0157】
上記実施の形態においては、ユーザがコンピュータを用いて配置パターン生成処理、準結晶パターン配置処理、コントラスト向上処理を実行していたが、本発明はこれに限られない。例えば、これらの処理は、専用のシステム又は小型汎用コンピュータの記憶手段に記憶されたプログラムを実行することにより実現してもよい。また、本発明は、プログラムとして実現されてもよく、そのプログラムが記録された記憶媒体として実現されてもよい。

【0158】
上記実施の形態においては、エッチング等を用いて微細光学像生成素子100を製造していたが、本発明はこれに限られない。例えば、マイクロ波等の長波長の電磁波を使用する微細光学像生成素子100を製造する場合は、開口部140の半径Rがmm~cmオーダーになるため微細加工は不要である。この場合、ドリル等を用いて生成した配置パターンで金属板に開口部140を形成すればよい。

【0159】
上記実施の形態においては、微細光学像生成素子100にレーザ光を照射した例を説明したが、本発明はこれに限られない。いかなる波長の電磁波を照射してもよく、例えば、X線を照射してもよい。X線を照射する場合、X線はガラスを透過しない性質を有しているため、実施の形態1~4、6に係る微細光学像生成素子100は、レーザ光を照射する場合とは異なり反射型の微細光学像生成素子として機能する。

【0160】
上記実施の形態においては、微細光学像生成素子100をフォトリソグラフィでのマスクパターンに適用する場合について述べたが、本発明はこれに限られない。例えば、レーザ加工、光ディスク、インターコネクト、光マニピュレーション(光ピンセット)、蛍光分析でのパターン照射等に適用してもよい。

【0161】
例えば微細光学像生成素子100をレーザ加工に適用した場合、生成する光学像に合わせて対象物を直接造形できるため、従来のレーザ加工とは異なりレーザをスキャンする必要がない。

【0162】
例えば微細光学像生成素子100を光学ディスクドライブに適用した場合、従来の物よりも小型化できると共に、多値記録による大容量化、並列読み出しによる高速化を実現できる。

【0163】
例えば微細光学像生成素子100を自由空間光インターコネクションに適用して、入力部と出力部の間に素子を設けた場合、コンピュータ内の複雑な配線を実現できる。また、光学レンズが不要であるため容易に光インターコネクションの集積化を実現できる。

【0164】
例えば微細光学像生成素子100を光ピンセットに適用した場合、複数の微粒子の同時捕捉が実現できる。また、蛍光分析に適用した場合、生体試料の指定した領域に光を照射できる。電磁波としてX線、γ線等を用いることにより、微細光学像生成素子100を放射線治療装置、画像診断装置等の医療機器にも適用できる。

【0165】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0166】
1…微細光学像生成装置、10…レーザ光源、100,200,300,400,500,600,700…微細光学像生成素子、100A,100B…準結晶レンズ、110,210,310,410,510A,510B,610,710…基板、120,220,320,420,520,620,720…微細構造部、130,530…遮光膜、140,140A,140B,540…開口部、230,630…凹部、330,430,730…凸部、d…距離、e、e、e、e、e、L、L、L、L、L、P、P、P、P、P…基底ベクトル、L,L…延長線、r,p…格子点、R,R…半径、z…スポット距離、α…格子定数
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22