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明細書 :力覚記録再生システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-185190 (P2019-185190A)
公開日 令和元年10月24日(2019.10.24)
発明の名称または考案の名称 力覚記録再生システム
国際特許分類 G06F   3/01        (2006.01)
FI G06F 3/01 560
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2018-071857 (P2018-071857)
出願日 平成30年4月3日(2018.4.3)
発明者または考案者 【氏名】▲高▼橋 宣裕
【氏名】小池 英樹
出願人 【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100124257、【弁理士】、【氏名又は名称】生井 和平
審査請求 未請求
テーマコード 5E555
Fターム 5E555AA08
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC01
5E555CB59
5E555DA24
5E555FA00
要約 【課題】他人に触られた際の力覚を記録及び再生するための力覚記録再生システムを提供する。
【解決手段】力覚記録再生システムは、力覚記録装置10と、力覚再生装置20と、制御部30とからなる。力覚記録装置10は、身体又はマネキンの複数のエリアに対してそれぞれ独立して圧力変化を検出可能な複数の圧力センサ11を有し身体又はマネキンに着用可能に構成される。力覚再生装置20は、身体の複数のエリアに対してそれぞれ独立して力覚を付与可能な複数の力覚出力部21を有し身体に着用可能に構成される。力覚再生装置20は、各力覚出力部21が伸縮制御可能に構成される複数の細径人工筋肉22の束により構成される。制御部30は、力覚記録装置10により検出される複数のエリアに対する圧力変化に基づき、力覚再生装置20の所定のエリアの力覚出力部21を伸縮制御する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
身体に対する力覚を記録及び再生するためのシステムであって、該力覚記録再生システムは、
身体又はマネキンの複数のエリアに対してそれぞれ独立して圧力変化を検出可能な複数の圧力センサを有し身体又はマネキンに着用可能に構成される力覚記録装置と、
身体の複数のエリアに対してそれぞれ独立して力覚を付与可能な複数の力覚出力部を有し身体に着用可能に構成される力覚再生装置であって、各力覚出力部が伸縮制御可能に構成される複数の細径人工筋肉の束により構成される、力覚再生装置と、
前記力覚記録装置により検出される複数のエリアに対する圧力変化に基づき、前記力覚再生装置の所定のエリアの力覚出力部を伸縮制御する制御部と、
を具備することを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項2】
請求項1に記載の力覚記録再生システムにおいて、前記力覚記録装置の複数の圧力センサは、それぞれエアバッグからなり、各エアバッグに対する押圧力の変化を検出することを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の力覚記録再生システムにおいて、前記力覚記録装置の複数の圧力センサは、それぞれ複数の細径人工筋肉の束により構成され、各細径人工筋肉に対する押圧力の変化を検出することを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の力覚記録再生システムにおいて、前記力覚再生装置の複数の力覚出力部は、複数の細径人工筋肉の束が身体の腕の太さに対応する太さになるように編み込まれて構成されることを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の力覚記録再生システムにおいて、前記力覚再生装置の複数の力覚出力部は、身体に対して横方向に複数の細径人工筋肉の束が配置されてなり、身体の複数のエリアを少なくとも身体の左右に分けて独立してそれぞれ制御可能に構成されることを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の力覚記録再生システムにおいて、前記力覚再生装置の複数の力覚出力部は、身体に対して斜め方向に複数の細径人工筋肉の束が配置されてなることを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の力覚記録再生システムにおいて、前記力覚再生装置の複数の力覚出力部は、複数の力覚出力部が交差するところが固定され、複数の力覚出力部の配置位置が制御可能に構成されることを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の力覚記録再生システムにおいて、前記力覚記録装置及び/又は力覚再生装置は、さらに、身体に着用する際に身体にフィットさせるように締め付けるために織り込まれる、細径人工筋肉からなる締付部を具備することを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の力覚記録再生システムであって、さらに、前記力覚記録装置により検出される複数のエリアに対する圧力変化の情報を記憶する記憶部を具備し、
前記制御部は、記憶部により記憶される複数のエリアに対する圧力変化の情報に基づき、前記力覚再生装置の所定のエリアの力覚出力部を伸縮制御する、
ことを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れかに記載の力覚記録再生システムにおいて、
前記力覚記録装置と力覚再生装置は、遠隔地にそれぞれ配置され、
前記力覚記録装置は、検出される複数のエリアに対する圧力変化の情報を、通信ネットワークを介して送信し、
前記力覚再生装置は、力覚出力部を伸縮制御するための情報を、通信ネットワークを介して受信する、
ことを特徴とする力覚記録再生システム。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載の力覚記録再生システムであって、さらに、映像を再生する映像再生手段を具備し、
前記制御部は、映像再生手段により再生される映像に連動して前記力覚再生装置の所定のエリアの力覚出力部を伸縮制御する、
ことを特徴とする力覚記録再生システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に対する力覚を記録及び再生するための力覚記録再生システムに関し、特に、他人に触れられた際の力覚を記録及び再生するための力覚記録再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バーチャルリアリティの分野等において、身体に力覚を提示するハプティックデバイスが知られている。例えば、特許文献1には、仮想物体に対して指で実物体を触察しているような触感覚が得られる装置が開示されている。これは、2本以上の指による力覚提示を対象としたものであり、手掌と接触する刺激部と、刺激部を駆動するアクチュエータ等を用いるものである。そして、このような力覚提示装置は、実物体の空間情報で作成される仮想物体の情報に応じて、指先や手掌への力覚的負荷による力覚フィードバックを与えるものである。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2011-022929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の装置は、指や手掌部により刺激部を掴む際に、刺激部を用いて指や手掌部を押し返したりする圧刺激等を与えることにより、力覚フィードバックを与えるものであった。即ち、反力ではなく、例えば他人により手を握られた際の刺激といったような、応力による力覚を再現できるものではなかった。
【0005】
しかしながら、バーチャルリアリティの分野等においては、例えばハグされる映像に応じてハグされる力覚を再現し臨場感を得たいという要望もあった。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、他人に触られた際の力覚を記録及び再生するための力覚記録再生システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による力覚記録再生システムは、身体又はマネキンの複数のエリアに対してそれぞれ独立して圧力変化を検出可能な複数の圧力センサを有し身体又はマネキンに着用可能に構成される力覚記録装置と、身体の複数のエリアに対してそれぞれ独立して力覚を付与可能な複数の力覚出力部を有し身体に着用可能に構成される力覚再生装置であって、各力覚出力部が伸縮制御可能に構成される複数の細径人工筋肉の束により構成される、力覚再生装置と、力覚記録装置により検出される複数のエリアに対する圧力変化に基づき、力覚再生装置の所定のエリアの力覚出力部を伸縮制御する制御部と、を具備するものである。
【0008】
ここで、力覚記録装置の複数の圧力センサは、それぞれエアバッグからなり、各エアバッグに対する押圧力の変化を検出するものであれば良い。
【0009】
また、力覚記録装置の複数の圧力センサは、それぞれ複数の細径人工筋肉の束により構成され、各細径人工筋肉に対する押圧力の変化を検出するものであっても良い。
【0010】
また、力覚再生装置の複数の力覚出力部は、複数の細径人工筋肉の束が身体の腕の太さに対応する太さになるように編み込まれて構成されるものであれば良い。
【0011】
また、力覚再生装置の複数の力覚出力部は、身体に対して横方向に複数の細径人工筋肉の束が配置されてなり、身体の複数のエリアを少なくとも身体の左右に分けて独立してそれぞれ制御可能に構成されるものであれば良い。
【0012】
また、力覚再生装置の複数の力覚出力部は、身体に対して斜め方向に複数の細径人工筋肉の束が配置されてなるものであっても良い。
【0013】
また、力覚再生装置の複数の力覚出力部は、複数の力覚出力部が交差するところが固定され、複数の力覚出力部の配置位置が制御可能に構成されるものであっても良い。
【0014】
また、力覚記録装置及び/又は力覚再生装置は、さらに、身体に着用する際に身体にフィットさせるように締め付けるために織り込まれる、細径人工筋肉からなる締付部を具備するものであっても良い。
【0015】
さらに、力覚記録装置により検出される複数のエリアに対する圧力変化の情報を記憶する記憶部を具備し、制御部は、記憶部により記憶される複数のエリアに対する圧力変化の情報に基づき、力覚再生装置の所定のエリアの力覚出力部を伸縮制御するものであっても良い。
【0016】
ここで、力覚記録装置と力覚再生装置は、遠隔地にそれぞれ配置され、力覚記録装置は、検出される複数のエリアに対する圧力変化の情報を、通信ネットワークを介して送信し、力覚再生装置は、力覚出力部を伸縮制御するための情報を、通信ネットワークを介して受信するものであっても良い。
【0017】
さらに、映像を再生する映像再生手段を具備し、制御部は、映像再生手段により再生される映像に連動して力覚再生装置の所定のエリアの力覚出力部を伸縮制御するものであっても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明の力覚記録再生システムには、実際に他人に触られた際の力覚を記録し、より自然に力覚を再生できるという利点がある。また、力覚再生装置を軽量なウェアラブル装置として製造できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の力覚記録再生システムの全体像を説明するための概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の力覚記録再生システムの力覚記録装置の圧力センサとしてエアバッグを用いた場合の具体的構造を説明するための概略構成図である。
【図3】図3は、本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置を説明するための概略図である。
【図4】図4は、本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置の力覚出力部の交差するところの拡大図である。
【図5】図5は、図3に示される本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置を、斜め方向の力覚が出力されるように制御した状態を説明するための概略図である。
【図6】図6は、図3に示される本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置を、横方向の力覚出力部の位置を制御した状態を説明するための概略図である。
【図7】図7は、本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置の力覚出力部が斜め方向に配置される例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の力覚記録再生システムの全体像を説明するための概略構成図である。図示例では、力覚記録再生システムを身体に着用可能なベストとして構成される例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、力覚を記録及び再生する対象エリアに応じて、例えばヘッドキャップ、パンツ、アームカバー、レッグカバー、靴下等、身体に着用可能なものであれば、種々適用可能である。

【0021】
図示の通り、本発明の力覚記録再生システムは、大きく分けて、力覚記録装置10と、力覚再生装置20とからなる。そして、力覚再生装置20を制御する制御部30を有する。

【0022】
力覚記録装置10は、身体又はマネキンに着用可能に構成されるものである。力覚記録装置10は、身体又はマネキンが受ける力覚を記録するための装置である。力覚記録装置10は、身体又はマネキンの表面が受ける力覚を記録するために、複数の圧力センサ11を有する。複数の圧力センサ11は、身体又はマネキンの複数のエリアに対してそれぞれ独立して圧力変化を検出可能なものである。ここで、複数の圧力センサ11は、複数のエリアのどの位置にそれぞれ配置されているか対応関係が把握できるように構成されている。図示例の複数の圧力センサ11は、それぞれエアバッグからなるものである。各エアバッグは所定の圧力で膨らませられ、エアバッグに対する押圧力の変化を検出する構造である。

【0023】
図2を用いて、本発明の力覚記録再生システムの力覚記録装置の圧力センサとしてエアバッグを用いた場合の具体的構造について説明する。圧力センサ11であるエアバッグは、逆止弁12を介して例えば空電レギュレータ13で制御されるコンプレッサ14に接続される。また、空電レギュレータ13には、フィードバック制御のための圧力センサが内蔵されており、エアバッグの内圧を所定の圧力に保つように制御が行われる。そして、エアバッグに対する押圧力の変化を検出するための空気圧センサ15も圧力センサ11に接続されている。圧力センサ11であるエアバッグに押圧力が与えられると、逆止弁12により空電レギュレータ13に内蔵される圧力センサには影響を与えず、空気圧センサ15によりエアバッグに対する押圧力の変化が検出可能となっている。ここで、逆止弁12を用いない場合には、空電レギュレータ13に内蔵される圧力センサを用いてエアバッグに対する押圧力の変化を検出すれば良い。さらに、圧力センサ11には、開放弁16も接続されている。開放弁16を開放することで、力覚記録装置10を収納するとき等に、エアバッグ内の空気を抜いて小さく畳むことが可能となる。

【0024】
なお、本発明の力覚記録再生システムにおける力覚記録装置10の圧力センサ11は、エアバッグからなるものには限定されず、複数のエリアに対してそれぞれ独立して圧力変化を検出可能なものであれば良い。例えば、圧力センサ11は、フィルム状圧力センサを複数のエリアに貼付したものであっても良い。このように構成された力覚記録装置10を身体又はマネキンに着用させ、ハグ等によって複数のエリアの圧力センサ11が受ける圧力変化をそれぞれ検出し記録すれば良い。なお、力覚記録装置10は、時間的変動をリアルタイムに記録可能に構成されれば良く、これにより例えば撫でるような繊細な力覚も記録可能である。

【0025】
力覚再生装置20は、身体に着用可能に構成されるものである。力覚再生装置20は、身体に対して所定の力覚を付与するための装置である。即ち、力覚再生装置20は、実際に力覚を受ける者が着用するものである。力覚再生装置20は、力覚を付与するために、複数の力覚出力部21を有する。複数の力覚出力部21は、身体の複数のエリアに対してそれぞれ独立して力覚を付与可能なものである。ここで、複数の力覚出力部21は、複数のエリアのどの位置にそれぞれ配置されているか対応関係が把握できるように構成されている。力覚出力部21は、伸縮制御可能に構成される複数の細径人工筋肉22の束により構成されている。細径人工筋肉22は、例えば流体圧アクチュエータであれば良い。より具体的には、マッキベン人工筋肉からなるものであれば良い。マッキベン人工筋肉は、コンプレッサ等からの空気圧等の流体圧により動作する人工筋肉である。マッキベン人工筋肉は、中空の弾性管状体と、弾性管状体を覆う補強層である編組被覆体とを有する構造からなる。マッキベン人工筋肉は、軽量であり且つしなやかであるため、力覚再生装置20を軽量なウェアラブル装置として身体に着用可能に構成するのに有利である。細径人工筋肉22に用いられるマッキベン人工筋肉は、身体に着用可能なベスト等に縫製可能なように、その外径は10mm以下、より具体的には、例えば2mmから5mm程度の細径のものであれば良い。力覚出力部21は、このようなマッキベン人工筋肉を束にすることで構成されるため、伸縮による大きな力を得ることが可能となる。なお、本発明の力覚記録再生システムにおける力覚再生装置20の力覚出力部21は、マッキベン人工筋肉からなるものには限定されず、伸縮制御可能であり、身体に着用可能に縫製可能なものであれば、ゴムや導電性ポリマ、形状記憶合金、カーボンナノチューブ等によるものであっても良い。このように構成された力覚出力部21が、身体の複数のエリアに対してそれぞれ独立して力覚を付与可能なように提供される。そして、このように構成された力覚再生装置20を身体に着用させ、力覚出力部21を伸縮させて身体の所定のエリアに対して力覚を付与すれば良い。図示例では、胴体部分に左右それぞれ4本ずつ、肩部分に左右2本ずつの力覚出力部21が配置されている。なお、本発明の力覚記録再生システムにおいて、力覚再生装置20の力覚出力部21の配置位置は、力覚記録装置10の圧力センサ11の配置位置と一致するように構成される必要は必ずしもなく、記録した力覚の位置に基づき身体に自然な力覚を付与できるように力覚出力部21が配置されていれば良い。

【0026】
そして、制御部30は、力覚再生装置20の所定のエリアの力覚出力部21を伸縮制御するものである。制御部30は、力覚記録装置10により検出される複数のエリアに対する圧力変化に基づき、力覚再生装置20の力覚出力部21を制御すれば良い。即ち、制御部30は、力覚記録装置10により記録された圧力変化の情報を用いて、力覚再生装置20により身体に所定の力覚を付与するように制御するものである。制御部30は、例えば力覚再生装置20の力覚出力部21を伸縮させるコンプレッサの空気圧を制御可能なものである。例えば、制御部30は、コンプレッサと各力覚出力部21の間にそれぞれ接続される電磁弁と、これを制御するコンピュータとからなるものであれば良い。

【0027】
本発明の力覚記録再生システムは、このように構成される力覚記録装置10と力覚再生装置20とを用いて、他人に触られた際の力覚を記録し、より自然に力覚を再生できるようになる。具体的には、例えば力覚記録装置10を着用したマネキンにハグをすると、腕の当たる位置に配置されている圧力センサ11の圧力が変化する。この圧力変化に基づき、制御部30は、圧力センサ11の配置位置に対応する位置に力覚を付与可能な位置に配置された力覚再生装置20の力覚出力部21が収縮するように制御する。腕が当たった位置に対応した位置に配置された力覚出力部21が収縮することにより、力覚再生装置20を着用した者は、ハグされたような力覚を受けることになる。

【0028】
ここで、図1では、力覚記録装置10と力覚再生装置20とは、異なる構造の例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、力覚再生装置20と同じように、複数の細径人工筋肉の束により力覚記録装置10の圧力センサ11を提供しても良い。具体的には、力覚記録装置10の複数の圧力センサ11は、それぞれ複数の細径人工筋肉の束により構成されても良い。そして、細径人工筋肉の束が所定の圧力で膨らませられる。そして、各細径人工筋肉の内圧の変化により圧力変化を検出可能なように構成されれば良い。これにより、力覚記録装置10と力覚再生装置20とを、例えば共通のウェアとして提供することも可能である。

【0029】
図3を用いて力覚再生装置20の複数の力覚出力部21についてより詳細に説明する。図3は、本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置を説明するための概略図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。より具体的には、図3は、力覚再生装置20をベストとして構成したものであり、ベストの前開きを開いて平らに広げた状態を表している。図示の通り、力覚再生装置20の力覚出力部21は、複数の細径人工筋肉22を例えば5つ編みして構成されている。複数の細径人工筋肉22は、その細さ故1本では鋭い力覚を与え得る。したがって、複数の細径人工筋肉22を編み込むことで、例えば複数の細径人工筋肉22の束が、身体の腕の太さに対応する太さになるように構成されれば良い。これにより、例えばハグの際の腕の力覚が正確に再現可能となる。複数の細径人工筋肉を編み束とすることで、力覚提示強度及び力覚提示面積が大きくなる。さらに、複数の細径人工筋肉22を個々に制御することで、より繊細な力覚制御が可能となる。なお、これらの複数の細径人工筋肉22の束の末端には、空気供給ジョイント23が接続され、コンプレッサ等からの空気圧等の流体圧が供給されれば良い。また、流体圧が供給される側と反対側には、端末キャップ24が設けられれば良い。

【0030】
そして、図3に示されるように、力覚出力部21は、例えば身体に対して横方向に複数の細径人工筋肉の束が配置されてなるように構成される。このような配置を、着用可能なように縫製されるベスト上で実現すれば良い。具体的には、図示例では、縦方向に3本(21A,21B,21C)、横方向に8本(21a,21b,21c,21d,21e,21f,21g,21h)の力覚出力部を用いたものを示した。しかしながら本発明はこれに限定されず、その本数や配置位置は適宜選択可能である。また、力覚出力部21以外の部分については、力覚出力部21の配置位置を保つため、そしてベストとしての形状を保つために、一般的な糸やゴム糸等を用いて布状に織られれば良い。また、市販の一般的なベストに複数本の力覚出力部21を縫い付けて固定しても良い。

【0031】
図3に示される力覚出力部21のうち、横方向に配置される力覚出力部21は、縦方向の力覚出力部21Bの位置、即ち、背骨の位置を中心に、左右に分けて独立して伸縮可能に構成されている。具体的には、空気止めチューブキャップ25を用いて左右の力覚出力部21(力覚出力部21aと21b間、21cと21d間、21eと21f間、21gと21h間)を接続することで、左右間で空気が流れないように構成している。即ち、力覚出力部21は、身体の複数のエリアを少なくとも身体の左右に分けて独立してそれぞれ制御可能に構成されることになる。例えばハグの力覚を記録再生する場合、両腕により左右からハグされ、左右で異なる位置、異なる力で力覚が記録されることになる場合が多い。したがって、力覚再生装置20でも、左右に分けて独立して制御可能な力覚出力部21を用いると、よりリアリティのある力覚を再生することが可能となる。

【0032】
ここで、力覚出力部21は、複数の力覚出力部21が交差するところが固定されることにより、複数の力覚出力部の配置位置が制御可能に構成されても良い。即ち、例えば縦方向の力覚出力部と横方向の力覚出力部の交差するところを固定することで、一方を収縮動作させると他方がそれにつられて配置位置が変化することになる。したがって、縦方向の力覚出力部21A-21Cの収縮動作により、横方向の力覚出力部21a-21hの高さ方向の配置を制御することが可能となる。即ち、力覚出力部21の配置位置を制御することが可能となる。例えば、縦方向の力覚出力部21Bは、空気止めチューブキャップ25のところで横方向の力覚出力部とそれぞれ交差するので、空気止めチューブキャップ25に縦方向の力覚出力部が固定されるように構成されれば良い。また、縦方向の力覚出力部21Aや21Cは、それぞれ横方向の力覚出力部の細径人工筋肉と互いに編み込まれるように構成されれば良い。図4は、力覚出力部の交差するところの拡大図である。図中、図1や図3と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、例えば縦方向の力覚出力部21Aと横方向の力覚出力部21aは、その細径人工筋肉22の束同士が互いに編み込まれるように構成されている。これにより、縦方向の力覚出力部21A-21Cの収縮動作により、横方向の力覚出力部21a-21hの高さ方向の配置を制御することが可能となる。

【0033】
図5は、図3に示される本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置を、斜め方向の力覚が出力されるように制御した状態を説明するための概略図である。図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示例は、縦方向の力覚出力部21Bを収縮させている状態である。さらに、横方向の力覚出力部21のうち、左上の力覚出力部21aと、右下の力覚出力部21hとを収縮させている状態である。制御部30により図示例の状態となるように制御すると、斜め方向に力覚を付与可能となる(図のグレー線で示される方向)。

【0034】
また、図3において、縦方向の力覚出力部21A-21Cをすべて収縮させると、横方向の力覚出力部21a-21hの高さ方向の位置を制御することも可能である。図6は、図3に示される本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置を、横方向の力覚出力部の位置を制御した状態を説明するための概略図である。図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図示の通り、縦方向の力覚出力部21A-21Cをすべて収縮させると、横方向の力覚出力部21a-21hの高さ方向の位置が上下方向に縮まるように制御される(図のグレー線で示される方向)。このように、縦方向の力覚出力部21A-21Cを用いることで、力覚出力部21による力覚提示範囲を上下に拡げることが可能となる。

【0035】
上述の通り、本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置20においては、縦方向の力覚出力部は、直接的に力覚を出力するものではなく、横方向の力覚出力部の配置位置を制御するために用いられるものである。したがって、簡易的には縦方向の力覚出力部は必ずしも必要はなく、横方向の力覚出力部のみで構成しても良い。また、力覚出力部が交差するところで固定せず、力覚出力部を縦横それぞれ独立して直接的に力覚を出力するように構成しても良い。

【0036】
さらに、力覚出力部21は、縦横方向だけでなく、斜め方向に配置されるものであっても良い。即ち、力覚再生装置20の複数の力覚出力部21が、身体に対して斜め方向に複数の細径人工筋肉22の束が配置されてなるものであっても良い。図7は、本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置の力覚出力部が斜め方向に配置される例を説明するための概略図である。図中、図1や図3と同一の符号を付した部分は同一物を表している。この例は、例えばベストとして力覚再生装置20を構成した際の、肩部分における力覚出力部21の構成の一例である。まず、右側胸付近から背中までループ状に斜め方向に配置される力覚出力部21Dと、背中から左側胸付近までループ状に斜め方向に配置される力覚出力部21Eが設けられている。そして、これらの力覚出力部21Dと力覚出力部21Eの間は、空気止めチューブキャップ25を用いて接続されている。また、これらにクロスするように、左胸付近から背中までループ状に斜め方向に配置される力覚出力部21Fと、背中から右側胸付近までループ状に斜め方向に配置される力覚出力部21Gが設けられている。そして、これらの力覚出力部21Fと力覚出力部21Gの間も、空気止めチューブキャップ25を用いて接続されている。このような構成により、図3の例と同様に、身体の左右に分けて独立してそれぞれ制御可能となる。本発明の力覚記録再生システムの力覚再生装置では、このように斜め方向に力覚出力部を配置することで、例えば肩を組んだ際の力覚等も正確に再生することが可能となる。

【0037】
また、本発明の力覚記録再生システムにおいて、力覚再生装置20は、身体に着用可能に構成されるものであるが、身体に着用する際に身体にフィットさせるように締め付けるための締付部を用いることも可能である。例えば図1のベストとして構成された力覚再生装置20の前開き部分には、締付部50が設けられている。締付部50は、例えば細径人工筋肉からなるものであれば良い。そして、細径人工筋肉が、身体に着用する際に身体にフィットさせるように締め付けるために例えばベストの前開き部分や脇部分に織り込まれれば良い。締付部50の細径人工筋肉を収縮させることで、ベストの前開き部分が締まり、力覚再生装置20が身体にフィットする。締付部50を細径人工筋肉で構成することで、力覚出力部21と同様に、コンプレッサ等からの空気圧等の流体圧により統一した制御が可能となる。なお、本発明の力覚記録再生システムでは、力覚再生装置20だけでなく、力覚記録装置10側にも同様に締付部50を設けても良い。締付部50は、細径人工筋肉を用いれば、空気を供給して収縮させた後にキャップやバルブ等で閉じておけば、締め付けられた状態を保持可能である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、モータ等を用いて締め付けても勿論良い。

【0038】
ここで、本発明の力覚記録再生システムは、記録した力覚をリアルタイムに再生するものであっても良いし、力覚を記憶しておき後で力覚を再生するものであっても良い。即ち、本発明の力覚記録再生システムは、図1に示されるように、さらに記憶部40を具備するものであっても良い。記憶部40は、力覚記録装置10により検出される複数のエリアに対する圧力変化の情報を記憶するものである。そして、制御部30は、記憶部40により記憶される複数のエリアに対する圧力変化の情報に基づき、力覚再生装置20の所定のエリアの力覚出力部21を伸縮制御すれば良い。このように構成されることで、例えば任意の人物の身体接触の力覚を力覚記録装置10で記録し、これを記憶部40に記憶しておき、これを適宜配信することで、各人が力覚再生装置20を用いて再生して楽しむサービス等を提供することも可能となる。

【0039】
また、本発明の力覚記録再生システムは、力覚記録装置10と力覚再生装置20とを、隣り合わせで用いても良いし、遠隔地にそれぞれ配置しても良い。遠隔地に配置する場合には、力覚記録装置10は、検出される複数のエリアに対する圧力変化の情報を、通信ネットワークを介して送信すれば良い。この際、上述のように記憶部40を用いて一旦記憶したものを送信しても良い。そして、力覚再生装置20は、力覚出力部21を伸縮制御するための情報を、通信ネットワークを介して受信すれば良い。このとき、制御部30は、力覚記録装置10から送信された圧力変化の情報を、通信ネットワークを介して受信すれば良い。また、制御部30は、力覚再生装置20を直接制御しても良いし、通信ネットワークを介して制御しても良い。

【0040】
さらにまた、本発明の力覚記録再生システムは、映像を再生する映像再生手段を具備するものであっても良い。映像再生手段は、例えばハグされる際の受け手側の目線で撮影された映像であれば良い。映像を撮影する際に力覚記録装置10により力覚を記録しておく。そして、制御部30は、映像再生手段により再生される映像に連動して力覚再生装置20の所定のエリアの力覚出力部21を伸縮制御すれば良い。これにより、例えばバーチャルリアリティ用ヘッドマウントディスプレイを用いて映像内の人物やキャラクタとの接触による力覚を映像に連動させて再現させるバーチャルリアリティシステムとすることが可能となる。

【0041】
なお、本発明の力覚記録再生システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
10 力覚記録装置
11 圧力センサ
12 逆止弁
13 空電レギュレータ
14コンプレッサ
15 空気圧センサ
16 開放弁
20 力覚再生装置
21 力覚出力部
22 細径人工筋肉
23 吸気供給ジョイント
24 端末キャップ
25 空気止めチューブキャップ
30 制御部
40 記憶部
50 締付部
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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