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明細書 :マウント装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5585959号 (P5585959)
公開番号 特開2012-083141 (P2012-083141A)
登録日 平成26年8月1日(2014.8.1)
発行日 平成26年9月10日(2014.9.10)
公開日 平成24年4月26日(2012.4.26)
発明の名称または考案の名称 マウント装置
国際特許分類 G01N  23/20        (2006.01)
H01J  37/244       (2006.01)
H01J  37/20        (2006.01)
FI G01N 23/20
H01J 37/244
H01J 37/20 A
H01J 37/20 E
請求項の数または発明の数 8
全頁数 18
出願番号 特願2010-227866 (P2010-227866)
出願日 平成22年10月7日(2010.10.7)
審査請求日 平成25年8月20日(2013.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503359821
【氏名又は名称】独立行政法人理化学研究所
発明者または考案者 【氏名】▲徳▼島 高
個別代理人の代理人 【識別番号】100075557、【弁理士】、【氏名又は名称】西教 圭一郎
審査官 【審査官】田中 洋介
参考文献・文献 特開2007-213956(JP,A)
特開2006-078187(JP,A)
特開2002-090282(JP,A)
特開平10-260008(JP,A)
調査した分野 G01N 23/00-23/227
G12B 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
上面に被搭載物を搭載するための搭載板、
搭載板を載置する基台、
搭載板と基台との間に配設されて搭載板を支持する第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材であって、搭載板の上面に平行で互いに垂直な2方向をX方向およびY方向と定義するとき、基台に対する搭載板のX方向の動きを規制し、Y方向の動きを許容する第1支持部材、基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを許容する第2支持部材、および基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを許容する第3支持部材、ならびに
搭載板と基台との間に配設されて、基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを規制する規制部材を有し、
規制部材の上端面が搭載板には当接しないことを特徴とするマウント装置。
【請求項2】
第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材は球体であり、
搭載板は、円錐状の3つの凹部であって、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材をそれぞれ受ける3つの凹部を有し、
基台は、Y方向に延びるV字状の溝であって第1支持部材を受ける溝、第2支持部材に当接する平面、および第3支持部材に当接する平面を有することを特徴とする請求項1に記載のマウント装置。
【請求項3】
第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材は、Y方向に平行な軸を有する円柱体であり、
搭載板は、Y方向に延びるV字状の3つの溝であって、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材をそれぞれ受ける3つの溝を有し、
基台は、Y方向に延びるV字状の溝であって第1支持部材を受ける溝、第2支持部材に当接する平面、および第3支持部材に当接する平面を有することを特徴とする請求項1に記載のマウント装置。
【請求項4】
規制部材は、X方向およびY方向に垂直な軸を有する円柱体であり、
搭載板および基台は、それぞれ規制部材を受ける円柱状の凹部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のマウント装置。
【請求項5】
規制部材は、X方向およびY方向に垂直な軸を有する円柱体であり、
搭載板は、規制部材を受ける円柱状の凹部を有し、
基台は、規制部材を受ける柱状の凹部であって、隣り合う2平面を側面に含む凹部を有し、
マウント装置はさらに、規制部材を受ける基台の凹部の側面の隣り合う2平面に対して規制部材を押圧して、規制部材を基台に固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のマウント装置。
【請求項6】
規制部材は、X方向およびY方向に垂直な方向から見て、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材の配設位置を頂点とする三角形の内部に配設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のマウント装置。
【請求項7】
規制部材は、第1支持部材を通ってY方向に延びる直線の上に配設されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のマウント装置。
【請求項8】
上面に被搭載物を搭載するための搭載板、
搭載板を載置する基台、
搭載板と基台との間に配設されて搭載板を支持する第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材であって、搭載板の上面に平行で互いに垂直な2方向をX方向およびY方向と定義するとき、基台に対する搭載板のX方向の動きを規制し、Y方向の動きを許容する第1支持部材、基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを許容する第2支持部材、および基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを許容する第3支持部材、ならびに
搭載板と基台との間に配設されて、基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを規制する規制部材を有し、
規制部材は、X方向およびY方向に垂直な軸を有する円柱体であり、
搭載板は、規制部材を受ける円柱状の凹部を有し、
基台は、規制部材を受ける柱状の凹部であって、隣り合う2平面を側面に含む凹部を有し、
規制部材を受ける基台の凹部の側面の隣り合う2平面に対して規制部材を押圧して、規制部材を基台に固定する固定手段をさらに備えることを特徴とするマウント装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はマウント装置に関し、特に、加熱または冷却して膨張または収縮が生じるときでも、被搭載物の位置ずれを抑え得るマウント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物理学、天文学などに関連する技術分野においては、検出器を冷却することによって、検出器のノイズを低減し感度を高めることが必要になることが多々ある。また、測定試料の物性の温度による変化を調べるために、試料を加熱したり冷却したりしながら測定を行うことがある。このような場合、検出器あるいは試料を搭載するマウント装置も、検出器または試料と共に加熱または冷却されることになり、マウント装置に熱膨張または熱収縮が生じて、検出器または試料の搭載位置がずれてしまい、検出精度が低下する。
【0003】
たとえば、軟X線分光装置では、位置分解能が10μm×10μm程度のCCDイメージセンサを検出器として使用し、これを-90℃程度にまで冷却する。冷却時の温度調節は厳密に行われるが、多少の温度変化は避けられない。CCDイメージセンサの分解能を活かすためには、温度変化に起因する熱膨張または熱収縮による搭載位置のずれを、10μm以下に抑える必要があり、さらに望ましくは1μm程度とするのがよい。
【0004】
熱膨張率が極めて小さい材料でマウント装置を作製すれば、温度変化による搭載位置のずれを防止することができると期待される。しかし、現在開発されている熱膨張率の小さい材料(たとえば、鉄-ニッケルの合金であるインバー、鉄-ニッケル-コバルトの合金であるスーパーインバーなど)は、熱膨張率の小さい温度範囲が常温付近(30~40℃)に限られており、上記のような氷点下への冷却または百度を超える高温への加熱を伴う用途には適していない。また、材料自体が高価であるため、大型のマウント装置に用いるにはコストの点で問題がある。
【0005】
一方、キネマティックマウントと呼ばれ、構造的に位置ずれを抑制する機構が知られている(たとえば特許文献1)。キネマティックマウントでは、被搭載物を搭載する搭載板を3点で支持するとともに、3つの支持点によって規定される平面内でのそれぞれの支持点の位置の並進自由度を、0,1および2とするものである。キネマティックマウントを採用したマウント装置の例を、図12の平面図および図13の断面図に示す。図13において、(a),(b)および(c)はそれぞれ、図12に示す部位95a,95b,95cの断面を表す。
【0006】
図12,図13に示したマウント装置9は、被搭載物を搭載する搭載板91と、搭載板91を載置する基台92と、搭載板91と基台92との間に配設されて搭載板91を支持する3つの支持部材93a,93b,93cを有する。なお、図12,図13に示すように、被搭載物を搭載する搭載板91の上面に平行で互いに垂直な2方向をX方向およびY方向と定義し、X方向およびY方向に垂直な方向をZ方向と定義する。
【0007】
搭載板91および基台92は鋼製である。支持部材93a,93b,93cは、ルビー製または鋼製の球体である。図13に示すように、搭載板91には、円錐状の3つの凹部91a,91b,91cが形成されており、凹部91aは支持部材93aを、凹部91bは支持部材93bを、凹部91cは支持部材93cを受ける。
【0008】
基台92には、搭載板91の凹部91aに対応する部位に、円錐状の凹部92aが形成されており、また、搭載板91の凹部91bに対応する部位に、断面V字状のY方向に延びる溝92bが形成されている。凹部92aは支持部材93aを受け、溝92bは支持部材93bを受ける。基台92のうち、搭載板91の凹部91cに対応する部位92cは、搭載板91の上面に平行な平面とされており、支持部材93cはこの平面の部位92cに当接する。
【0009】
搭載板91の3つの凹部91a,91b,91c、ならびに基台92の凹部92a、溝92bおよび平面の部位92cによって、マウント装置9における3つの支持部位95a,95b,95cが規定される。支持部材93a,93b,93cは球体であるが、支持部材93aは凹部91aおよび凹部92aによってX方向とY方向の動きが規制されるので、支持部位95aはX-Y平面内での並進自由度をもたない。
【0010】
凹部91bおよび溝92bによって規定される支持部位95bは、支持部材93bが溝92b内をY方向に転がり得るので、Y方向に並進自由度を有する。また、凹部91cおよび平面の部位92cによって規定される支持部位95cは、支持部材93cが部位92c上をX方向にもY方向にも転がり得るので、X方向およびY方向に並進自由度を有する。
【0011】
この構成によれば、搭載板91に熱膨張または熱収縮が生じた場合でも、支持部位95aの移動を防止することができる。したがって、被搭載物を支持部位95aの上に搭載することによって、X-Y平面内での被搭載物の位置のずれは防止される。なお、図12において、符号96は、支持部位95aを含む、被搭載物の搭載領域を表す。
【先行技術文献】
【0012】

【特許文献1】特開2006-078187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図12,図13に示したマウント装置9では、並進自由度をもたない支持部位95aのX方向への移動とY方向への移動は防止されるが、支持部位95bがY方向に移動可能であり、支持部位95cがY方向に加えてX方向に移動可能であるため、熱膨張または熱収縮が生じると、搭載板91は支持部位95aを中心としてX-Y平面内で回転する。このような状態を図14に示す。図14においては、熱膨張が生じた状態の搭載板91を符号91eで表し、熱収縮が生じた状態の搭載板91を符号91sで表している。この場合、被搭載物を搭載する搭載領域96も回転することになり、被搭載物である検出器または試料の向きが変化して、精密な検出または測定ができなくなる。
【0014】
また、マウント装置9では、被搭載物を並進自由度のない支持部位95aの上に配置する必要があり、被搭載物の配設位置に制約が加わる。さらに、荷重が、他の支持部位95b,95cにほとんど分散せず、支持部位95aに集中するため、搭載板91または基台92の材質によっては、凹部91a,92aにおける支持部材93aとの接触面が窪んでしまい、被搭載物である検出器または試料の位置がZ方向にずれる可能性がある。このZ方向の位置ずれも、検出または測定の精度低下を招く。
【0015】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、熱膨張または熱収縮が生じたときでも、被搭載物の位置ずれが生じ難く、回転も確実に防止することが可能なマウント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上面に被搭載物を搭載するための搭載板、搭載板を載置する基台、搭載板と基台との間に配設されて搭載板を支持する第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材であって、搭載板の上面に平行で互いに垂直な2方向をX方向およびY方向と定義するとき、基台に対する搭載板のX方向の動きを規制し、Y方向の動きを許容する第1支持部材、基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを許容する第2支持部材、および基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを許容する第3支持部材、ならびに、搭載板と基台との間に配設されて、基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを規制する規制部材を有し、規制部材の上端面が搭載板には当接しないことを特徴とするマウント装置である。
【0017】
本発明はまた、前記マウント装置において、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材は球体であり、搭載板は、円錐状の3つの凹部であって、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材をそれぞれ受ける3つの凹部を有し、基台は、Y方向に延びるV字状の溝であって第1支持部材を受ける溝、第2支持部材に当接する平面、および第3支持部材に当接する平面を有することを特徴とする。
【0018】
本発明はまた、前記マウント装置において、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材は、Y方向に平行な軸を有する円柱体であり、搭載板は、Y方向に延びるV字状の3つの溝であって、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材をそれぞれ受ける3つの溝を有し、基台は、Y方向に延びるV字状の溝であって第1支持部材を受ける溝、第2支持部材に当接する平面、および第3支持部材に当接する平面を有することを特徴とする。
【0019】
本発明はまた、前記マウント装置において、規制部材が、X方向およびY方向に垂直な軸を有する円柱体であり、搭載板および基台が、それぞれ規制部材を受ける円柱状の凹部を有することを特徴とする。
【0020】
本発明はまた、前記マウント装置において、規制部材が、X方向およびY方向に垂直な軸を有する円柱体であり、搭載板が、規制部材を受ける円柱状の凹部を有し、基台が、規制部材を受ける柱状の凹部であって、隣り合う2平面を側面に含む凹部を有し、マウント装置はさらに、規制部材を受ける基台の凹部の側面の隣り合う2平面に対して規制部材を押圧して、規制部材を基台に固定する固定手段を備えることを特徴とする。
本発明はまた、前記マウント装置において、X方向およびY方向に垂直な方向から見て、規制部材が、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材の配設位置を頂点とする三角形の内部に配設されていることを特徴とする。また、規制部材が、第1支持部材を通ってY方向に延びる直線の上に配設されていてもよい。
【0021】
本発明はさらに、
上面に被搭載物を搭載するための搭載板、
搭載板を載置する基台、
搭載板と基台との間に配設されて搭載板を支持する第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材であって、搭載板の上面に平行で互いに垂直な2方向をX方向およびY方向と定義するとき、基台に対する搭載板のX方向の動きを規制し、Y方向の動きを許容する第1支持部材、基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを許容する第2支持部材、および基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを許容する第3支持部材、ならびに
搭載板と基台との間に配設されて、基台に対する搭載板のX方向の動きとY方向の動きとを規制する規制部材を有し、
規制部材は、X方向およびY方向に垂直な軸を有する円柱体であり、
搭載板は、規制部材を受ける円柱状の凹部を有し、
基台は、規制部材を受ける柱状の凹部であって、隣り合う2平面を側面に含む凹部を有し、
規制部材を受ける基台の凹部の側面の隣り合う2平面に対して規制部材を押圧して、規制部材を基台に固定する固定手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、搭載板に熱膨張または熱収縮が生じた場合でも、第1支持部材がY方向の並進を許容し、第2支持部材および第3支持部材がX方向とY方向の並進を許容するので、搭載板に歪は生じない。また、規制部材によってX方向とY方向の並進が規制されるので、規制部材の周辺においては、搭載板の位置にX-Y平面内でのずれは生じない。さらに、第2支持部材および第3支持部材が共にX方向とY方向の並進を許容する一方で、第1支持部材がX方向の並進を規制するので、X-Y平面内での搭載板の回転も生じない。よって、搭載板のうち、規制部材に近い領域に被搭載物を搭載することで、被搭載物の位置のずれと向きの変化とを防止することができる。また、規制部材の位置をある程度自由に設定することができるので、被搭載物の配設位置に対する制約も少なくなる。
【0023】
第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材が球体である構成では、搭載板および基台と各支持部材とが点接触することになり、搭載板から基台への熱伝導が抑えられて、基台の熱膨張または熱収縮に起因する位置ずれが防止される。
【0024】
第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材がY方向に平行な軸を有する円柱体である構成では、搭載板および基台と各支持部材とが線接触することになり、点接触する構成に比べて、各支持部材から搭載板および基台に加わる力が分散され、搭載板および基台における各支持部材との接触面が損傷し難くなる。
【0025】
規制部材が、X方向およびY方向に垂直な軸を有する円柱体であり、搭載板が、規制部材を受ける円柱状の凹部を有し、基台が、規制部材を受ける柱状の凹部であって、隣り合う2平面を側面に含む凹部を有し、マウント装置がさらに、規制部材を受ける基台の凹部の側面の隣り合う2平面に対して規制部材を押圧して、規制部材を基台に固定する固定手段を備える構成では、基台のうち規制部材を受ける部分に多少の加工誤差があっても、基台に対する規制部材の位置を不変とすることができる。したがって、加工精度を過度に高める必要がなくなり、マウント装置の製造が容易になる。
【0026】
また、X方向およびY方向に垂直な方向から見て、規制部材が、第1支持部材、第2支持部材および第3支持部材の配設位置を頂点とする三角形の内部に配設されている構成では、荷重を各支持部材に均等に分散させることができて、搭載板および基台が損傷し難くなる。
【0027】
さらに、規制部材が、第1支持部材を通ってY方向に延びる直線の上に配設されている構成では、X-Y平面内での搭載板の回転を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態のマウント装置の平面図である。
【図2】第1の実施形態のマウント装置の断面図であり、(a),(b),(c),(d)はそれぞれ、図1の部位15a,15b,15c,15dの断面を表す。
【図3】第2の実施形態のマウント装置の平面図である。
【図4】第2の実施形態のマウント装置の断面図であり、(a),(b),(c),(d)はそれぞれ、図3の部位25a,25b,25c,25dの断面を表す。
【図5】第3の実施形態のマウント装置の規制部材およびその近傍の基台の部位を示す、X-Y平面に平行な断面図(a)およびY-Z平面に平行な断面図(b)である。
【図6】第1の実施形態に従う実施例1のマウント装置を示す(a)平面図および(b)側面図である。
【図7】実施例1のマウント装置に搭載した検出器の位置の変動を測定した結果を示す図である。
【図8】実施例1,2のマウント装置に搭載した検出器の位置の変動を測定するために使用した、X線のピークを示す図である。
【図9】第2の実施形態に従う実施例2のマウント装置を示す(a)平面図および(b)側面図である。
【図10】実施例2のマウント装置に搭載した検出器の位置の変動を測定した結果を示す図である。
【図11】実施例3のマウント装置に搭載した検出器の位置の変動を測定した結果を示す図である。
【図12】キネマティックマウントを採用する従来のマウント装置の平面図である。
【図13】従来のマウント装置の断面図であり、(a),(b),(c)はそれぞれ、図12の部位95a,95b,95cの断面を表す。
【図14】従来のマウント装置の搭載板に熱膨張および熱収縮が生じた状態を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。第1の実施形態のマウント装置1を、図1の平面図および図2の断面図に模式的に示す。図2において、(a),(b),(c)および(d)はそれぞれ、図1の部位15a,15b,15c,15dの断面を表す。

【0030】
マウント装置1は、搭載板11、基台12、3つの支持部材13a,13b,13c、および規制部材14を有する。搭載板11はその上面に被搭載物を搭載し、基台12は搭載板11を載置する。支持部材13a,13b,13cは、搭載板11と基台12との間に配設されて、搭載板11を支持する。規制部材14は、搭載板11と基台12との間に配設されて、基台12に対する搭載板11のX-Y平面内の動きを規制する。なお、被搭載物を搭載する搭載板11の上面に平行で互いに垂直な2方向をX方向およびY方向と定義し、X方向およびY方向に垂直な方向をZ方向と定義する。

【0031】
搭載板11および基台12はステンレス鋼製である。支持部材13a,13b,13cは、ルビー製またはステンレス鋼製の球体である。図2に示すように、搭載板11には、円錐状の3つの凹部11a,11b,11cが形成されており、凹部11aは支持部材13aを、凹部11bは支持部材13bを、凹部11cは支持部材13cを受ける。

【0032】
基台12には、搭載板11の凹部11aに対応する部位に、断面V字状のY方向に延びる溝12aが形成されている。溝12aは支持部材13aを受ける。基台12のうち、搭載板11の凹部11bおよび凹部11cに対応する部位12b,12cは、それぞれ搭載板11の上面に平行な平面とされており、支持部材13b,13cはそれぞれ平面の部位12b,12cに当接する。

【0033】
搭載板11の3つの凹部11a,11b,11c、ならびに基台12の溝12aおよび2つの平面の部位12b,12cによって、マウント装置1における3つの支持部位15a,15b,15cが規定される。凹部11aおよび溝12aによって規定される支持部位15aは、支持部材13aが溝12a内をY方向に転がり得るので、Y方向に並進自由度を有する。

【0034】
また、凹部11bおよび平面の部位12bによって規定される支持部位15bは、支持部材13bが部位12b上をX方向にもY方向にも転がり得るので、X方向とY方向に並進自由度を有する。同様に、凹部11cおよび平面の部位12cによって規定される支持部位15cも、支持部材13cが部位12c上をX方向にもY方向にも転がり得るので、X方向とY方向に並進自由度を有する。

【0035】
規制部材14は、ステンレス鋼製の円柱体であり、円柱軸をZ方向に向けて配置されている。搭載板11には、下面から上面に達する円柱状の貫通孔11dが形成されており、規制部材14の上部は、この貫通孔11dに挿入されている。基台12には、上面から下方に延びる円柱状の凹部12dが形成されており、規制部材14の下部は、この凹部12dに挿入されている。貫通孔11dおよび凹部12dによって、規制部位15dが規定される。

【0036】
規制部材14は、基台12に対する搭載板11のX-Y平面内での動きを規制するためのものであり、被搭載物の位置の精度に直接関係する。したがって、規制部材14と搭載板11の貫通孔11dとの隙間、および規制部材14と基台12の凹部12dとの隙間は、可能な限り小さいことが好ましい。そこで、本実施形態では、貫通孔11dおよび凹部12dの内径と規制部材14の外径との差を、数μm程度としている。

【0037】
規制部材14の下端面は凹部12dの底面に当接するが、規制部材14の上端面は搭載板11には当接しないので、規制部材14は搭載板11を支持する機能を有していない。なお、規制部材14の上端面が搭載板11に当接しない限り、貫通孔11dを円柱状の凹部としてもよい。

【0038】
搭載板11の動きは、規制部材14によってX方向にもY方向にも規制される。しかし、支持部位15aがY方向の動きを許容されており、支持部位15bおよび支持部位15cが、X方向とY方向の動きを許容されているので、搭載板11に熱膨張または熱収縮が生じたときでも、搭載板11に歪は生じない。さらに、支持部位15aがX方向の動きを規制されているので、搭載板11が、X-Y平面内で、規制部材14を中心に回転することもない。よって、搭載板11の上面のうち規制部材14の上方に位置する領域に被搭載物を搭載することで、被搭載物の位置のずれおよび向きの変動を防止することが可能である。図1において、符号16は、規制部位15dを含む、被搭載物の搭載領域を表す。

【0039】
マウント装置1においては、規制部材14と1つの支持部材13aとによって、被搭載物のX-Y平面における位置および方向を規定しており、他の支持部材13bおよび支持部材13cは、被搭載物のX-Y平面における位置および方向の規定には関与しない。支持部材13a,13b,13cは、被搭載物の支持、つまりZ方向の位置の規定に関与する。

【0040】
規制部材14は、Z方向から見て、3つの支持部材13a,13b,13cの配設位置、つまり搭載板11の3つの凹部11a,11b,11cを頂点とする三角形の内部に配置する。したがって、被搭載物の搭載領域16もこの三角形の内部に位置することになり、これによって、荷重を3つの支持部位15a,15b,15cに分散させることができる。

【0041】
また、規制部材14は、支持部材13aを通ってY方向に延びる直線の上に配置するのが好ましい。規制部材14が、支持部材13aを通ってY方向に延びる直線の上に存在しない場合は、支持部位15aのY方向への動きは、搭載板11に規制部材14を中心とする回転力をもたらす。支持部材13aを通ってY方向に延びる直線の上に規制部材14を配置することで、熱膨張または熱収縮により支持部位15aがY方向に移動したときでも、そのような回転力が発生することがなくなって、規制部材14を中心とする回転が確実に防止される。

【0042】
第2の実施形態のマウント装置2を、図3の平面図および図4の断面図に模式的に示す。図4において、(a),(b),(c)および(d)はそれぞれ、図3の部位25a,25b,25c,25dの断面を表す。本実施形態においても、マウント装置2は、上面に被搭載物を搭載するための搭載板21を有しており、搭載板21の上面に平行で互いに垂直な2方向をX方向およびY方向と定義し、X方向およびY方向に垂直な方向をZ方向と定義する。

【0043】
マウント装置2は、第1の実施形態のマウント装置1に類似しており、搭載板21のほかに、搭載板21を載置する基台22、搭載板21と基台22との間に配設されて、搭載板21を支持する3つの支持部材23a,23b,23c、および、搭載板21と基台22との間に配設されて、基台22に対する搭載板21のX-Y平面内の動きを規制する規制部材24を有する。

【0044】
本実施形態においては、3つの支持部材23a,23b,23cの形状が第1の実施形態の支持部材13a,13b,13cの形状と異なっており、これに関連して、支持部材23a,23b,23cに接触する搭載板21および基台22の部位の形状も異なっている。その他の点においては、第1の実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。

【0045】
支持部材23a,23b,23cは、ステンレス鋼製の円柱体であり、円柱軸をY方向に向けて配置されている。図4に示すように、搭載板21には、断面V字状のY方向に延びる3つの溝21a,21b,21cが形成されており、溝21aは支持部材23aを、溝21bは支持部材23bを、溝21cは支持部材23cを受ける。

【0046】
基台22には、搭載板21の溝21aに対応する部位に、断面V字状のY方向に延びる溝22aが形成されている。溝22aは支持部材23aを受ける。溝22aの長さ(Y方向の寸法)は、支持部材23aの長さよりも長く設定されている。基台22のうち、搭載板21の溝21bおよび溝21cに対応する部位22b,22cは、それぞれ、搭載板21の上面に平行な平面とされており、支持部材23b,23cはそれぞれ平面の部位22b,22cに当接する。

【0047】
搭載板21の3つの溝21a,21b,21c、ならびに基台22の溝22aおよび2つの平面の部位22b,22cによって、マウント装置2における3つの支持部位25a,25b,25cが規定される。溝21aおよび溝22aによって規定される支持部位25aは、支持部材23aが溝22a内をY方向に滑り得るので、Y方向に並進自由度を有する。

【0048】
また、溝21bおよび平面の部位22bによって規定される支持部位25bは、支持部材23bが部位22b上をX方向に転がりY方向に滑り得るので、X方向とY方向に並進自由度を有する。同様に、溝21cおよび平面の部位22cによって規定される支持部位25cも、支持部材23cが部位22c上をX方向に転がりY方向に滑り得るので、X方向とY方向に並進自由度を有する。

【0049】
規制部材24、ならびに、規制部材24が挿入される搭載板21の貫通孔21dおよび基台22の凹部22dは、マウント装置1の規制部材14、貫通孔11dおよび凹部12dと同様に構成されている。貫通孔21dおよび凹部22dによって、規制部位25dが規定される。

【0050】
搭載板21の動きは、規制部材24によってX方向にもY方向にも規制される。しかし、支持部位25aがY方向の動きを許容されており、支持部位25bおよび支持部位25cが、X方向とY方向の動きを許容されているので、搭載板21に熱膨張または熱収縮が生じたときでも、搭載板21に歪は生じない。さらに、支持部位25aがX方向の動きを規制されているので、搭載板21が、X-Y平面内で、規制部材24を中心に回転することもない。よって、搭載板21の上面のうち規制部材24の上方に位置する領域に被搭載物を搭載することで、被搭載物の位置のずれおよび向きの変動を防止することが可能である。図3において、符号26は、規制部位25dを含む、被搭載物の搭載領域を表す。

【0051】
第3の実施形態のマウント装置3の規制部材およびその近傍の基台の部位を、図5に模式的に示す。図5において、(a)はX-Y平面に平行な断面図であり、(b)はY-Z平面に平行な断面図である。マウント装置3は、第2の実施形態のマウント装置2を修飾して、基台における規制部材24を受ける構成を変更したものである。マウント装置3の基台32は、規制部材24を受ける柱状の凹部32dを有する。この凹部32dは、概ね五角柱状であり、規制部材24が自由に動き得る大きさを有する。凹部32dの側面のうち隣接する2つの面32d1、32d2は、Y方向に対して約45°傾斜しており、互いに約90°の角度を成す。

【0052】
基台32には、Y方向の一端から凹部32dに達する孔32eが形成されており、孔32e内に、円柱状の押圧部材34と円柱状のねじ部材35が配置されている。押圧部材34はたとえば樹脂で作製され、ねじ部材35は基台32と同じ金属(ステンレス鋼)で作製される。押圧部材34の外径は孔32eの内径よりも少し小さく、押圧部材34は孔32e内を自由に動き得る。ねじ部材35の外周および孔32eの内周には、互いに螺合するねじ溝が形成されている。

【0053】
ねじ部材35をその軸の周りに回転させることによって、ねじ部材35は押圧部材34と共に凹部32dに向って移動する。これにより、押圧部材34は規制部材24を凹部32dの2つの側面32d1,32d2に押圧する状態となる。この状態でねじ部材35を停止することによって、規制部材24は側面32d1,32d2に押圧にされた状態で固定される。

【0054】
押圧部材34およびねじ部材35は、固定手段を成す。なお、本実施形態では、押圧部材34とねじ部材35とで固定手段を構成しているが、固定手段として単一の部材を用いることも可能である。マウント装置3の他の構成は、第2の実施形態のマウント装置2の構成と同様であり、重複する説明は省略する。

【0055】
第1および第2の実施形態におけるように、規制部材14,24を受けるための基台12,22の凹部12d,22dの内径を、規制部材14,24の外形よりも僅かに大きくすることで、規制部材14,24の位置の変動をある程度防止することは可能である。ただし、その構成での位置の変動を抑える効果は、加工精度に依存する。

【0056】
一般的な機械工作によると、直径の目標値を基準として、凹部12d,22dの内径の公差は0~+10μmであり、規制部材14,24の外径の公差は-2μm~-8μmである。これらの値から推測すると、凹部12d,22dの内径と規制部材14,24の外径との差は、最も良好な場合(誤差最小)で2μm、最も悪い場合で18μmとなり、平均的には10μm程度である。したがって、熱により膨張または収縮が生じた場合、基台に対する規制部材の位置に数μm程度の変動が生じる。

【0057】
これに対し、本実施形態のように規制部材24を凹部32dの側面に押圧する構成では、熱により膨張または収縮が生じた場合でも、規制部材24は凹部32dの側面に当接したままであるので、基台に対する規制部材の位置に変動は生じない。なお、第1の実施形態の基台12の規制部材14を受ける構成を修飾して、本実施形態の基台32と同様にしてもよい。

【0058】
[実施例1]
軟X線分光装置の検出器(CCDイメージセンサ)を搭載するために、第1の実施形態に従って作製したマウント装置1の実施例の構成を、図6に示す。マウント装置1はX方向において線対称である。搭載板11は、Z方向から見て略矩形であり、X方向から見て、Y方向両端部が、搭載領域16を含むY方向中央部よりも高くなっている。

【0059】
基台12は、Z方向から見て略矩形であり、Y方向両端部に、搭載板11を載置するための載置部17,18が備えられている。載置部17,18は、ねじ19によって基台12に取り付けられており、Z方向の位置の調節が可能である。

【0060】
支持部材13aは、搭載板11のY方向の一方の端部であって、基台12の載置部17に対応する部位に配置されている。支持部材13bおよび支持部材13cは、搭載板11のY方向の他方の端部であって、基台12の載置部18に対応する部位に配置されている。搭載板11には、3つの支持部材13a,13b,13cを受ける前述の円錐状の3つの凹部11a,11b,11cが形成されており、基台12の載置部17には、支持部材13aを受ける前述のV字状の溝12aが形成されている。なお、載置部18の上端面は、支持部材13bおよび支持部材13cに当接する部位12b,12cとなるように、平面とされている。

【0061】
規制部材14は、搭載板11の搭載領域16のうち、Y方向の一方の端部寄りに配置されている。搭載板11および基台12には、規制部材14が挿入される前述の貫通孔11dおよび凹部12dが形成されている。

【0062】
支持部材13aから支持部材13bまでの距離と、支持部材13aから支持部材13cまでの距離は等しく、支持部位15a,15b,15c(不図示)は二等辺三角形の頂点に位置する。また、規制部材14は、支持部材13aを通るY方向の直線の上に位置する。換言すれば、規制部材14は、上記二等辺三角形の底辺の垂直二等分線上に位置している。したがって、支持部位15bに加わる荷重と支持部位15cに加わる荷重とを等しくすることが可能であり、被搭載物のY方向の位置を調整することによって、支持部位15aに加わる荷重も等しくすることが可能である。

【0063】
搭載板11のX方向の寸法は約55mmであり、Y方向の寸法は約88mmであり、Z方向の寸法は約10mmである(Y方向の各位置の厚さは約3mm)。基台12のX方向の寸法は、搭載板11と同じく、約55mmであり、Y方向の寸法は、搭載板11よりも小さく、約68mmであり、Z方向の寸法は約12mmである(載置部17,18を除いた部位の厚さは約3mm)。

【0064】
球体である支持部材13a,13b,13cの直径は、すべて等しく、約3.7mmである。基台12の載置部17の支持部位15aには溝12aが形成されているのに対し、載置部18の支持部位15bおよび支持部位15cには溝は形成されていないが、載置部17のZ方向の寸法を載置部18よりも大きくすることによって、搭載板11と基台12との間隔をY方向全体にわたって一定としている。

【0065】
円柱状の規制部材14の直径は約3.0mmであり、長さは約7mmである。規制部材14が挿入される搭載板11の貫通孔11dおよび基台12の凹部12dの直径も約3.0mmである。ただし、貫通孔11dおよび凹部12dの内径は、前述のように、規制部材14の外径よりもごく僅か大きい。

【0066】
搭載板11には、検出器を冷却するための、銅板4が取り付けられる。銅板4は、霧状にした液体窒素を通すことで冷却される冷却器に接続されており、搭載板11および検出器は、約-90℃に冷却される。ただし、冷却時に±1℃程度の温度の変動があることが判明している。

【0067】
本実施例のマウント装置1に搭載した検出器の、冷却時の位置変化を示した結果を図7に示す。前述のように、検出器であるCCDは、約10μmの位置分解能を有するが、図7のスペクトルでは2次元画像を超解像解析することによって位置分解能の数分の1の精度で位置を決定している。測定は、図8に示す軟X線の弾性散乱ピークPの位置変化を、検出器により10~30分間隔で検出することにより行った。弾性散乱ピークの位置は理論上温度変化の影響を受けないから、検出器上でのピーク位置の変動は、検出器の位置の変動を表すことになる。なお、図8の6000μm付近に現れているピークは、水の酸素原子の1s軌道のX線発光である。

【0068】
検出器上での弾性散乱ピークPの精密な位置は、ピーク形状をガウス関数で表してフィッティングする解析を、検出データに適用することによって求めた。約10時間の測定の間のピーク位置の変動の最大値は、約8μmであり、CCDイメージセンサの位置分解能と同等以下である。したがって、マウント装置1は、軟X線分光装置の検出器を搭載するマウントとして、適しているといえる。

【0069】
[実施例2]
軟X線分光装置の検出器を搭載するために、第2の実施形態に従って作製したマウント装置2の実施例の構成を、図9に示す。本実施例2は、実施例1の球体である支持部材13a,13b,13cに代えて、円柱体である支持部材23a,23b,23cを使用し、これに関連して、搭載板11の凹部11a,11b,11cに代えて、搭載板21にV字状の溝21a,21b,21cを設けている。

【0070】
円柱体である支持部材23a,23b,23cの直径は約3.7mmであり、長さは約5mmである。基台22の載置部27に設けた溝22aの長さは約6mmであり、支持部材23aは溝22a内をY方向に動き得る。規制部材24、載置部28などの他の設定は実施例1と同様であるので、重複する説明は省略する。

【0071】
本実施例のマウント装置2に搭載した検出器の、冷却時の位置変化を測定した結果を図10に示す。測定は実施例1のマウント装置1についての測定と同様にして行った。ただし、測定時間は約5時間である。マウント装置2に搭載された検出器の位置の変動は約1.2μmであり、マウント装置2は、実施例1のマウント装置1に比べて、精度が大幅に向上している。

【0072】
実施例1のマウント装置1の精度が、実施例2のマウント装置2の精度よりも劣っているのは、支持部材13a,13b,13cを受ける基台12のV字状の溝12aおよび平面の部位12b,12cが、損傷することに起因する。支持部材13a,13b,13cは球体であり、溝12aおよび部位12b,12cと点接触する。このため、溝12aおよび部位12b,12cのうち支持部材13a,13b,13cとの接触部位に大きな力が加わって、接触部位の表面が窪む。冷却によって搭載板11が収縮すると、球体である支持部材13a,13b,13cがX方向またはY方向に動いて窪みの傾斜部に移動するため、Z方向の位置にずれが生じる。このZ方向の位置ずれが、精度低下の主たる原因であると推察される。

【0073】
一方、マウント装置2では、支持部材23a,23b,23cは円柱体であり、基台22のV字状の溝22aおよび平面の部位22b,22cと線接触する。このため、溝22aおよび部位22b,22cのうち支持部材23a,23b,23cとの接触部位に大きな力は加わらず、接触部位の表面は損傷しない。実際に、マウント装置1の溝12aおよび部位12b,12cの表面と、マウント装置2の溝22aおよび部位22b,22cの表面を観察したところ、マウント装置1の溝12aおよび部位12b,12cの表面のみに窪みが生じていた。

【0074】
なお、この現象は、マウント装置1の有用性を必ずしも減ずるものではない。基台12に用いる材料によっては、点接触による損傷を防止することが可能である。また、点接触では、搭載板から基台への熱の伝導がごく僅かになるから、基台が熱膨張または熱収縮することがなく、基台の位置の変動による被搭載物の位置ずれが防止される。

【0075】
[実施例3]
実施例2の基台22に代えて図5の基台32を採用する第3の実施形態のマウント装置3を作製した。前述のように、規制部材14の直径は約3.0mmである。本実施例では、押圧部材34をポリテトラフルオロチレン(PTFE)樹脂で作製した。

【0076】
本実施例のマウント装置3に搭載した検出器の、冷却時の位置変化を測定した結果を図11に示す。測定は実施例2のマウント装置2についての測定と同様にして行った。測定時間は約12時間である。マウント装置3に搭載された検出器の位置の変動は最大で約3.0μmである。

【0077】
この値は、実施例2での値1.2μmよりも劣っているが、この原因については、以下のように推測される。本実施例では、押圧部材34として樹脂(PTFE)で作製したものを使用したため、これが冷却によって収縮し、押圧部材34による規制部材24の凹部34dの側面34d1,34d2への押圧力が弱まったとためであろう。熱収縮がより小さい他の材料で押圧部材34を作製することにより、検出器の位置の変動をより良好に抑えることが可能になると期待される。

【0078】
以上、被搭載物を冷却する場合の例を掲げて、本発明について説明したが、本発明は、被搭載物を加熱する場合にも適用可能である。当然、常温での使用にも適している。また、本発明のマウント装置に搭載するのが好ましい被搭載物には、例示した検出器のほか、測定試料、光学装置の光源など、位置ずれが生じては都合の悪いあらゆるものが含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1,2,3 マウント装置
3 分光装置本体
4 銅板
11,21 搭載板
11a,11b,11c 円錐状凹部
21a,21b、21c V字状溝
11d,21d 貫通孔
12,22,32 基台
12a,22a V字状溝
12b,12c,22b、22c 平面部位
12d,22d,32d 凹部
13a,13b,13c,23a,23b,23c 支持部材
14,24 規制部材
15a,15b,15c,25a,25b,25c 支持部位
15d,25d 規制部位
16、26 搭載領域
17,18,27,28 載置部
19,29 ねじ
32d1,32d2 凹部側面
32e 孔
34 押圧部材
35 ねじ部材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13