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明細書 :粒子の製造方法および製造装置ならびに粒子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5614678号 (P5614678)
公開番号 特開2011-179045 (P2011-179045A)
登録日 平成26年9月19日(2014.9.19)
発行日 平成26年10月29日(2014.10.29)
公開日 平成23年9月15日(2011.9.15)
発明の名称または考案の名称 粒子の製造方法および製造装置ならびに粒子
国際特許分類 B22F   1/02        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
C08F   2/34        (2006.01)
C08F   2/48        (2006.01)
FI B22F 1/02 B
B82B 1/00
C08F 2/34
C08F 2/48
請求項の数または発明の数 5
全頁数 18
出願番号 特願2010-042423 (P2010-042423)
出願日 平成22年2月26日(2010.2.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 「2009年光化学討論会 講演要旨集」 発行日 2009年9月16日 発行人 平塚 浩士
審査請求日 平成25年1月30日(2013.1.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503359821
【氏名又は名称】独立行政法人理化学研究所
発明者または考案者 【氏名】工藤 聡
【氏名】折井 孝彰
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査官 【審査官】森井 隆信
参考文献・文献 特開平03-267301(JP,A)
特開平02-097501(JP,A)
特開2001-026606(JP,A)
特開平03-262104(JP,A)
調査した分野 B22F 1/00-8/00
C22C 1/04、1/05
C22C 33/02
C08F 2/34
C08F 2/48
特許請求の範囲 【請求項1】
光重合する気体状の単量体を含む気体中に核粒子を分散させる分散工程と、
上記核粒子の表面に上記気体状の単量体を接触させた状態で光を照射することによって、当該核粒子の表面において当該単量体を分子間において光重合させる光重合工程とを有し、
上記核粒子は、粒径が1nm~100nmの固体のナノ粒子であり、
上記単量体は、下記式(2)
【化1】
JP0005614678B2_000006t.gif
(上記式(2)中、Rは置換基があってもよいアリール基を表し、Rはアルキル基またはアルケニル基を表す)
で表されることを特徴とする粒子の製造方法。
【請求項2】
上記式(2)において、Rは置換基があってもよいフェニル基を表し、Rは炭素数1~8のアルキル基、または炭素数1~6のアルケニル基を表すことを特徴とする請求項に記載の粒子の製造方法。
【請求項3】
光重合する気体状の単量体を含む気体中に核粒子が分散されている混合気体が導入される反応容器と、
上記反応容器内に、上記単量体を光重合させるための光を照射する光源とを備えており、
上記核粒子は、粒径が1nm~100nmの固体のナノ粒子であり、
上記単量体は、下記式(2)
【化2】
JP0005614678B2_000007t.gif
(上記式(2)中、Rは置換基があってもよいアリール基を表し、Rはアルキル基またはアルケニル基を表す)
で表されることを特徴とする粒子の製造装置。
【請求項4】
上記反応容器内の混合気体に含まれる粒子を分級するための分級手段をさらに備えていることを特徴とする請求項に記載の粒子の製造装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の粒子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする粒子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の製造方法および製造装置ならびに粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子の特性を維持するためには、その凝集を防ぐ技術が必要とされている。
【0003】
粒子の凝集を防ぐ方法として、粒子を溶液中に分散させるために、核となる粒子に結合可能な基(アミノ基、チオール基等)と、粒子の溶液への分散を促進する基(アルキル基、水酸基等)とを持つ分子(界面活性剤等)を、核となる粒子に結合させる方法が知られている(特許文献1および2、非特許文献1)。
【0004】
また、特許文献3には、超微粒子を核として気相でSiOを成長させてガラスカプセルを形成する方法が記載されている。この方法は、水素化シリコンあるいはシリコンアルコキシドと酸素との混合気体を、熱、プラズマ、光などで励起するものである。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特表2006-502949号公報(2006年1月26日公表)
【特許文献2】特開2007-69270号公報(2007年3月22日公開)
【特許文献3】特開平6-64930号公報(1994年3月8日公開)
【0006】

【非特許文献1】Y. C. Liao, J. T. Roberts, “Self-Assembly of Organic Monolayers on Aerosolized Silicon Nanoparticles”, J. Am. Chem. Soc., 128, 9061-9065, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1および2、ならびに非特許文献1に記載された方法では、分子を核となる粒子(以下、「核粒子」ともいう。)に化学結合させるため、当該粒子の本来の性質が損なわれる可能性がある。
【0008】
また、特許文献3の方法では、有機ケイ素化合物と酸素との混合気体を用いてSiOを核となる粒子表面に析出させるため、核となる粒子が酸素と反応しやすい物質(例えば金属)である場合には、当該混合気体中の酸素によって核となる粒子が酸化されてしまい、当該粒子の本来の性質が損なわれる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、粒子の核となる核粒子の本来の性質を損なわせることなく、核粒子の凝集を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る粒子の製造方法は、光重合する気体状の単量体を含む気体中に核粒子を分散させる分散工程と、上記核粒子の表面に上記気体状の単量体を接触させた状態で光を照射することによって、当該核粒子の表面において当該単量体を分子間において光重合させる光重合工程とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る粒子の製造方法では、上記単量体は、下記式(1)
【0012】
【化1】
JP0005614678B2_000002t.gif

【0013】
(上記式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン元素、置換基があってもよいアルキル基、置換基があってもよいアリール基、置換基があってもよいカルボキシル基、または置換基があってもよいメトキシル基を表し、Rは置換基があってもよいアリール基を表す)
で表されることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る粒子の製造方法では、上記式(1)で表される単量体が、下記式(2)
【0015】
【化2】
JP0005614678B2_000003t.gif

【0016】
(上記式(2)中、Rは置換基があってもよいアリール基を表し、Rはアルキル基またはアルケニル基を表す)
で表されることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る粒子の製造方法では、上記式(2)において、Rは置換基があってもよいフェニル基を表し、Rは炭素数1~8のアルキル基、または炭素数1~6のアルケニル基を表すことが好ましい。
【0018】
上記の課題を解決するために、本発明に係る粒子の製造装置は、光重合する気体状の単量体を含む気体中に核粒子が分散されている混合気体が導入される反応容器と、上記反応容器内に、上記単量体を光重合させるための光を照射する光源とを備えていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る粒子の製造装置では、上記反応容器内の混合気体に含まれる粒子を分級するための分級手段をさらに備えていることが好ましい。
【0020】
上記の課題を解決するために、本発明に係る粒子は、上述したいずれかの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る粒子の製造方法は、粒子の核となる核粒子の本来の性質を損なわせることなく、核粒子の凝集を防止する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)~(d)は、本発明の一実施形態における粒子の製造方法について説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態における粒子の製造装置を模式的に示す図である。
【図3】本発明の一実施例における粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図4】本発明の他の実施例における粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図5】本発明の他の実施例における粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施例における粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図7】本発明の比較例における粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図8】本発明の他の比較例における粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図9】本発明の一参考例における粒子の粒径分布を示すグラフである。
【図10】本発明の他の参考例における粒子の粒径分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。

【0024】
〔粒子の製造方法〕
本実施形態に係る粒子の製造方法は、光重合する気体状の単量体を含む気体中に核粒子を分散させる分散工程と、上記核粒子の表面に上記気体状の単量体を接触させた状態で光を照射することによって、当該核粒子の表面において当該単量体を分子間において光重合させる光重合工程とを有する。

【0025】
本実施形態に係る製造方法を用いれば、重合体によって被覆された粒子(以下、「被覆粒子」とよぶこともある。)を製造することができる。

【0026】
まず、本実施形態に用いる核粒子および単量体について、以下に説明する。

【0027】
(核粒子)
核粒子とは、本実施形態によって製造する粒子の核となる粒子をさす。核粒子は、固体であってもよいし、液体であってもよい。核粒子は、微細な粒であることが好ましく、いわゆるナノ粒子であってもよい。ナノ粒子とは、粒径が1nm~100nmである粒子をさす。

【0028】
核粒子が固体である場合の材質としては、金属、有機物、塩類等の固体、および低温下において固体になるものが挙げられる。金属としては、例えば銀、亜鉛、マンガン等が挙げられる。また、有機物としては、例えばL-ロイシン、ステアリン酸、アセチルサリチル酸等が挙げられる。塩類としては、例えば塩化ナトリウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。低温下において固体になるものとは、例えば室温(例えば25℃)において液体状態であり、-50℃以上室温以下において固体状態となるものなどであればよく、例えば水、グリセリン、リノール酸などが挙げられる。

【0029】
また、核粒子が液体である場合の材質としては、水、グリセリン、リノール酸、水銀等が挙げられる。また、核粒子として用いる液体は、単量体に対する溶解性および反応性を有しないものであることが好ましい。例えば単量体としてケイ皮酸ビニル(CAV)を用いる場合には、核粒子としてCAVに対する溶解性および反応性を有しないものが選択されることが好ましく、例えば水、水銀等を用いることができる。

【0030】
核粒子は、その原料となる物質を加熱して発生させた蒸気ガスを冷却する方法などによって作製することができる。また、核粒子は、さらにイオン化されたものであってもよく、分級されたものなどであってもよい。また、核粒子は、後述する重合体によって被覆されたものであってもよい。

【0031】
本実施形態によって製造する粒子は、例えば発光材料、吸光材料、磁性材料、微細配線、触媒、抗菌材料等に用いる粒子などに利用できる。例えば、核粒子として硫化カドミウム、セレン化カドミウム等を用いた場合には、発光材料として好適に利用できる。

【0032】
(単量体)
本実施形態に用いる単量体は、気体状であって、分子間において光重合するものであればよい。ここで、光重合とは、光の照射によって反応が進行する重合反応をさす。単量体は、揮発性を有するものであれば、容易に気体状にすることができるため好ましい。また、単量体は、有機化合物であれば、重合させて核粒子を被覆させた後に、加熱あるいは紫外光照射などによって容易に取り除くことが可能となるため好ましい。また、単量体は、光重合によって二量体となるものであってもよいし、3つ以上の単量体が重合したポリマーを形成し得るものであってもよい。また、単量体は、光を吸収する基と、重合反応に用いられる不飽和結合とを有するものであることが好ましい。

【0033】
また、単量体は、気相中に単独で存在するときには、光によって分解、異性化等されにくいものであることが好ましい。これにより、光によって生じる単量体の分解生成物または異性体の蒸気圧が当該単量体の蒸気圧より低い場合に、これらの分解生成物または異性体が過飽和となって核粒子の表面に凝縮することを防止することができる。また、単量体が失われてしまうことを防ぐことができる。

【0034】
このような単量体としては、例えば上記式(1)で表されるものが挙げられる。

【0035】
上記式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン元素、置換基があってもよいアルキル基、置換基があってもよいアリール基、置換基があってもよいカルボキシル基、または置換基があってもよいメトキシル基を表している。ハロゲン元素としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。アルキル基としては、例えば炭素数1~8のアルキル基等が挙げられる。アリール基としては、例えば炭素数6~10のアリール基等が挙げられる。アルキル基、アリール基、カルボキシル基およびメトキシル基が有し得る置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン元素、ニトロ基、アミノ基、メトキシル基、アルキル基、アルケニル基、シアノ基等が挙げられる。

【0036】
また、上記式(1)中、Rは置換基があってもよいアリール基を表している。アリール基としては、例えば炭素数6~14のアリール基等が挙げられ、フェニル基またはナフチル基であることが好ましい。アリール基が有し得る置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン元素、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、メトキシル基、シアノ基等が挙げられる。また、アリール基は、複数の置換基を有していてもよい。

【0037】
また、単量体は、上記式(2)で表されることが好ましい。上記式(2)中、Rについては、上記式(1)中のRについて例示したものと同じものを用いることができる。

【0038】
また、上記式(2)中、Rはアルキル基またはアルケニル基を表している。アルキル基としては、例えば炭素数1~8のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば炭素数1~6のアルケニル基が好ましく、ビニル基、アリル基等が挙げられる。アルキル基またはアルケニル基は、それぞれ置換基を有していてもよい。該置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲン元素、ニトロ基、アミノ基、メトキシル基、シアノ基等が挙げられる。

【0039】
このような単量体の具体例としては、例えばケイ皮酸およびケイ皮酸誘導体、スチレンおよびスチレン誘導体等が挙げられる。ケイ皮酸誘導体としては、例えばケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸ビニル、ケイ皮酸ノルマルブチル、ケイ皮酸ノルマルプロピル、ジヒドロキシケイ皮酸エチル、クロロケイ皮酸メチル、メチルケイ皮酸エチル、メトキシケイ皮酸イソアミル、ニトロケイ皮酸エチル、シアノケイ皮酸等が挙げられる。スチレン誘導体としては、例えばメチルスチレン、フルオロスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン、ニトロスチレン、アミノスチレン、シアノスチレン、スチルベンおよびスチルベン誘導体等が挙げられる。

【0040】
上記の構成であれば、単量体は、光照射によって重合し得る。例えば、ポリケイ皮酸ビニルが分子間で光環化反応を起こすことが知られている(有機合成化学、30(7)、589(1972))。

【0041】
次に、本実施形態に係る粒子の製造方法について、図1(a)~(d)を参照して説明する。図1(a)~(d)は、本発明の一実施形態における粒子の製造方法について説明するための図である。

【0042】
本実施形態に係る粒子の製造方法は、分散工程と光重合工程とを有する。以下、それぞれの工程について説明する。

【0043】
(分散工程)
まず、核粒子21を準備し(図1(a))、この核粒子21を、単量体ガス(気体状の単量体を含む気体)22中に分散させる分散工程を行なう(図1(b))。分散工程としては、例えば、混合容器中に核粒子21が含まれるガスと、単量体ガス22とを導入し、これらを混合する方法などを用いることができる。分散工程の結果、核粒子21が単量体ガス22中に分散された混合気体25を得ることができる。これにより、混合気体25中において、核粒子21の表面に気体状の単量体を接触させることができる。

【0044】
核粒子21に対する単量体ガス22の量は、核粒子21の表面に形成させたい重合体の厚さに基づいて調整されることが好ましい。

【0045】
ここで、単量体ガス22とは、単量体が蒸発、昇華、あるいは揮発などによって気体状になっているものを含むガスである。単量体ガス22は、例えば単量体の蒸気が不活性ガス(窒素ガス等)に含まれたものであってもよいし、単量体の飽和蒸気であってもよい。単量体ガス22における単量体の濃度は、分散工程において当該単量体が核粒子21の表面に接触し得る範囲内であることが好ましい。また、単量体ガス22における単量体の濃度は、分散工程において、単量体が核粒子21の表面に液滴として付着しない範囲内であることが好ましい。

【0046】
また、分散工程において、核粒子21が含まれるガスおよび混合気体25の温度は、核粒子21を構成する物質が分散工程中に全て気化または昇華して蒸気となる蒸気圧を有するような温度よりも低いことが好ましい。具体的には、当該温度は、当該温度における核粒子21を構成する物質の蒸気圧が10-3Pa以下となるような温度であることが好ましい。これにより、分散工程において核粒子21が消失することを防ぐことができる。また、当該温度は、当該物質の融点よりも低いことが好ましい。

【0047】
(光重合工程)
次に、分散工程において得られた混合気体25に光を照射する光重合工程を行なう(図1(c))。光重合工程とは、核粒子21の表面に気体状の単量体を接触させた状態である混合気体25に光を照射することによって、核粒子21の表面において当該単量体を分子間において光重合させる工程である。具体的には、核粒子21の表面に接触している2つ以上の単量体間において重合反応が起こる。その結果、核粒子21の表面を覆うように、単量体が重合した重合体22’が形成される。

【0048】
光重合工程において照射する光とは、単量体の光重合を引き起こし得る光であればよく、例えば所定の範囲の波長を有する光などであってもよい。例えば紫外光などであってもよい。

【0049】
また、光重合工程において、混合気体25の温度は、核粒子21を構成する物質が光重合工程中に全て気化または昇華して蒸気となる蒸気圧を有するような温度よりも低いことが好ましい。具体的には、当該温度は、当該温度における核粒子21を構成する物質の蒸気圧が10-3Pa以下となるような温度であることが好ましい。これにより、光重合工程において核粒子21が消失することを防ぐことができる。また、当該温度は、当該物質の融点よりも低いことが好ましい。

【0050】
上述した各工程の結果、核粒子21が重合体22’によって被覆された被覆粒子(粒子)23が製造される(図1(d))。

【0051】
なお、本実施形態に係る粒子の製造方法では、光重合工程を繰り返して行なってもよい。2回目以降に行なう光重合工程では、その直前に行なった光重合工程において得られた被覆粒子を核粒子として、その表面を覆うように重合体を形成させる。これにより、核粒子21が重合体からなる複数の層によって被覆された被覆粒子(粒子)を製造することができる。

【0052】
また、本実施形態に係る粒子の製造方法では、分散工程および光重合工程の組み合わせを繰り返し行なってもよい。この場合には、それぞれの繰り返しにおける分散工程において、異なる単量体ガスを用いてもよい。これにより、核粒子21が異なる重合体からなる複数の層によって被覆された被覆粒子(粒子)を製造することができる。

【0053】
〔粒子の製造装置〕
次に、本実施形態に係る粒子の製造装置について説明する。図2は、本発明の一実施形態における粒子の製造装置を模式的に示す図である。なお、図2には、各部材を流れるサンプルの流れを示す。

【0054】
本実施形態に係る製造装置100は、被覆部(製造装置)10と、分級器(分級手段)14とを備えている。まず、被覆部10の構成について説明する。

【0055】
(被覆部10)
被覆部10は、混合容器13と、光反応管(反応容器)1と、窓部2および2’と、光学フィルター3と、光源4とを備えている。

【0056】
混合容器13は、核粒子を含むガスと、単量体ガス(単量体の蒸気ガス等)とが導入されて混合される容器である。混合容器13内において、単量体ガス中に核粒子が分散された混合気体が発生する。発生した混合気体は、光反応管1内に導入される。

【0057】
光反応管1は、導入された混合気体に光を照射するための管である。光反応管1の材質としては、例えばステンレス鋼、ガラス等を用いることができる。光反応管1の両端には、窓部2および2’が設けられている。光反応管1には、一端の窓部2から他端の窓部2’に向けて、管軸方向に平行に光が照射される。また、混合気体は、光反応管1の他端の近傍において、光反応管1の側部から導入され、光反応管1の一端の近傍において、光反応管1の側部から排出される。これによって、混合気体は、光が照射する向きに対向して光反応管1内を流れることとなる。なお、窓部2および2’としては、光を透過するものであればよく、石英からなる窓(石英窓)などを用いることができる。なお、光は、窓部2’から窓部2に向けて、管軸方向に平行に照射されてもよい。

【0058】
ここで、上記特許文献3に記載されているような、光を管軸方向に垂直に照射する従来の方法を用いた場合には、光反応管1の全体に光を照射するためには、光源からの光を光反応管1の長さと同等まで広げるためのレンズ等が必要となるうえ、光の強度が低下するなどの問題を生じる。光の強度を高くするためには、より強い光源が必要となり、コストおよびエネルギー消費が増大する。

【0059】
一方、本実施形態であれば、光を管軸方向に平行に照射することによって、光反応管1の全体に光を照射することが容易になる。特に単量体ガスおよび核粒子による光の吸収がそれほど大きくない場合(光反応管1内において光の強度が大幅に減衰しない場合)には、光を管軸方向に平行に照射することによって、光が照射されている空間に核粒子および単量体が滞在する時間が長くなるため、従来の方法よりも、光重合反応が進みやすい。したがって、未反応の単量体を減らすことができ、コストおよびエネルギー消費を抑えて効率よく被覆粒子を製造することができる。

【0060】
また、単量体ガスおよび核粒子による光の吸収が大きい場合(光反応管1内において光の強度が大幅に減衰する場合)には、上述した従来の方法では、光反応管1における、光源から遠い位置を通る核粒子に照射される光の強度が小さくなり、この核粒子の表面における光重合反応が進みにくくなるというおそれがある。これによって、被覆粒子の粒径分布が広くなってしまうという問題が生じる。

【0061】
一方、このような場合でも、本実施形態であれば、管軸方向に平行に光を照射することによって、光反応管1内を通る全ての核粒子にほぼ同じ強度の光が当たるため、被覆粒子の粒径分布を狭くすることができる。

【0062】
光学フィルター3とは、入射した光のうち所定の波長の光を選択して出射させるフィルターである。光学フィルター3としては、例えばバンドパスフィルター、ショートカットフィルター、ロングカットフィルターなどを用いることができる。光学フィルター3には、光源4から出射した光が入射する。光源4からの光は、光学フィルター3を通ることによって所定の波長の光が選択された後に光反応管1内に照射される。例えば光反応管1内に紫外光を照射したい場合には、光学フィルター3としては、300nmより短波長の光をカットするショートカットフィルターなどを用いることができる。

【0063】
光源4は、単量体を光重合させるための光を光反応管1内に照射するための光源であり、光学フィルター3および窓部2を介して光反応管1内に光を照射する。光源4としては、例えばHg-Xeランプなどを用いることができる。光源4から出射された光は、光学フィルター3によって所定の波長の光が選択された後、窓部2を介して光反応管1内に照射される。

【0064】
被覆部10によって、核粒子の表面に重合体が被覆した被覆粒子を得ることができる。

【0065】
(分級器14)
分級器14は、光反応管1から排出された被覆粒子を分級するための分級手段である。分級器14には、余剰ガスが排気された後に被覆粒子が導入される。分級器14としては、公知の分級器などを用いることができる。分級器14は、例えばシースガスの流れを用いて、荷電されている被覆粒子を電気移動度の違いに基づいて選別するものであってもよい。ここで、粒子の電気移動度は粒径に依存するため、分級器14によって被覆粒子を分級することができる。このような分級器14としては、例えば微分型電気移動度分析器(DMA)等が挙げられる。

【0066】
本実施形態における製造装置100は、分級器14を備えることによって、粒径が揃った良質な粒子を製造することができる。

【0067】
なお、製造装置100は、核粒子を発生させるための発生装置、核粒子を荷電させるための荷電装置、分級器14において分級された粒子を検出するための検出器としてファラデーカップ等をさらに備えていてもよい。また、製造装置100は、被覆部10の上流において、混合容器13に導入する前に核粒子を分級する分級器をさらに備えていてもよい。

【0068】
なお、ここでは分級器14を備えた形態について説明したが、粒子の製造装置100は、分級器14を必ずしも備えていなくてもよい。本実施形態における被覆部10によって得られる被覆粒子は、その粒径分布のばらつきが非常に小さいため、さらに分級することなく次工程に好適に利用することができる。

【0069】
また、粒子の製造装置100は、上述した被覆部10に直列に接続された1つ以上の他の被覆部をさらに備えていてもよい。他の被覆部は、上述した被覆部10と同じ構成であってよい。これによって、分散工程および光重合工程の組み合わせを繰り返し行なうことができる。さらに、これらの複数の被覆部における混合容器には、それぞれ異なる単量体ガスが導入されてもよい。これによって、異なる重合体からなる複数の層によって被覆された被覆粒子を得ることができる。

【0070】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態であれば、核粒子の表面に、有機化合物などの重合体を形成させて被覆させるため、核粒子間の接触が妨げられるので、核粒子の凝集を防ぐことができる。

【0071】
また、当該重合体は、核粒子の表面に接触させた単量体を重合して形成させるため、核粒子と直接化学結合する必要がない。したがって、重合体が核粒子に与える影響を抑えることができ、核粒子の本来の性質を損なわせることを防ぐことができる。また、単量体を重合させる際、酸素を必要としないため、核となる核粒子に酸素と反応しやすい金属等を用いた場合でも、核粒子本来の性質を損なわせることがない。このように、本実施形態であれば、核粒子の選択幅を広げることができる。

【0072】
また、本実施形態であれば、気体状の単量体の導入量を調節することによって、核粒子の表面に形成させる重合体の厚さを容易に調節することができる。

【0073】
また、本実施形態であれば、照射する光の強度を調節することによって、単量体の重合反応速度を調節することができ、核粒子の表面に形成させる重合体の厚さを容易に調節することができる。

【0074】
また、本実施形態であれば、光反応管1の長さを調節することによって、単量体の重合反応時間を調節することができ、核粒子の表面に形成させる重合体の厚さを容易に調節することができる。

【0075】
ここで、上記特許文献3に記載された従来の方法では、高い耐食性および耐熱性を有するSiOによって被覆するため、被覆物が不必要になった際にこれを取り除くことが容易でない。また、従来の方法では、粒子の表面の化学的特性を変えること(例えば、有機溶媒に分散しやすくするなど)が容易でない。

【0076】
一方、本実施形態であれば、重合体が有機化合物であれば、加熱または紫外光の照射などによって、被覆粒子から重合体を取り除くことが可能になる。また、単量体の選択幅が広いため、その種類の選択によって、被覆粒子の化学的特性を自由に調節することが可能であるという利点がある。

【0077】
また、上記特許文献3に記載された従来の方法では、有機ケイ素化合物と酸素との混合気体が、熱あるいは光が加わった時点で反応してSiOとなってしまうため、核となる超微粒子の表面以外の場所に析出し、核を含まない粒子が生産されたり、反応容器の内壁に付着したりするなどの問題が生じる。このため、従来の方法では、粒子を被覆するための材料が失われてしまい、無駄になる。

【0078】
一方、本実施形態であれば、下記比較例1および2に示すように、単量体のみに光を照射しても粒子が生成されないため、単量体成分のみが重合した粒子は実質的に生産されない。したがって、単量体を無駄なく粒子の製造に利用することができる。これに加えて、必要に応じて行なわれる被覆粒子の分級工程を簡素化することができるので、被覆粒子の生産効率が向上する。

【0079】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0080】
(実験装置)
上述した製造装置100と同様の構成の製造装置を用いて、以下の各実施例を行なった。なお、光学フィルター3には、特に断らない限り、300nmより短波長の光をカットするショートカットフィルターを用いた。また、光源4としてHg-Xeランプを用い、分級器14としてDMAを用いた。
【実施例】
【0081】
なお、以下において粒径とは、粒径分布における極大値をさす。
【実施例】
【0082】
〔実施例1〕
核粒子として銀ナノ粒子を用い、単量体として下記式(3)で表されるケイ皮酸ビニル(CAV:Cinnamic acid vinyl ester(Vinyl cinnamate))を用いて、銀ナノ粒子にケイ皮酸ビニルの重合体を被覆した。
【実施例】
【0083】
【化3】
JP0005614678B2_000004t.gif
【実施例】
【0084】
まず、混合容器13において、粒径12nmの銀ナノ粒子が分散された窒素ガス(2.7L/min)と、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気とを混合した。ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の温度を室温とし、その流量を0.0L/min、0.2L/min、0.4L/min、または1.0L/minとした。なお、飽和蒸気の流量は、室温において気化させたケイ皮酸ビニルを、目的の流量の窒素ガスで押し出すことによって調節した。
【実施例】
【0085】
次に、この混合気体を光反応管1に導入した。光反応管1内には、窓部2を通して、光源4としてのHg-Xeランプから出射され、ショートカットフィルターを通過した紫外光を照射した。
【実施例】
【0086】
次に、光反応管1から排出された被覆粒子の粒径を、分級器14としてのDMAを用いて測定した。
【実施例】
【0087】
この結果を図3に示す。図3は、本発明の一実施例における粒子の粒径分布を示すグラフである。ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の流量が0.0L/min、0.2L/min、0.4L/min、1.0L/minのときに得られた粒子の粒径は、それぞれ12.1nm、13.8nm、14.7nm、15.4nmであった。この結果から、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の流量が多いほど、得られる粒子の粒径が大きくなることがわかった。
【実施例】
【0088】
なお、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の流量が0.0L/minのとき、すなわちケイ皮酸ビニルを導入しないときには、得られた粒子の粒径は銀ナノ粒子の粒径とほぼ同じであり、大きくならなかった。この結果から、銀ナノ粒子のみに光を照射してもその粒径に変化を与えず、粒径の変化にはケイ皮酸ビニルなどの単量体の存在が必要であることがわかった。
【実施例】
【0089】
以上の結果から、銀ナノ粒子の表面においてケイ皮酸ビニルが光重合によって不揮発性の物質(重合体)に変化し、銀ナノ粒子を被覆したことが示唆される。
【実施例】
【0090】
〔実施例2〕
次に、核粒子として銀ナノ粒子を用い、単量体として上記式(3)で表されるケイ皮酸ビニル(CAV)を用いて、光反応管1内に光を照射する場合と照射しない場合とにおいて得られる粒子の粒径を測定した。なお、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の温度を室温とし、その流量を1.0L/minとした。そのほかの条件は、実施例1と同じとした。
【実施例】
【0091】
この結果を図4に示す。図4は、本発明の他の実施例における粒子の粒径分布を示すグラフである。なお、光を照射したとき(光照射)の結果は、実施例1におけるケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の流量が1.0L/minのときの結果と同じである。図4に示すように、光を照射しないとき(光非照射)における銀ナノ粒子の粒径は、11.7nmであり、ケイ皮酸ビニルと混合させる前の銀ナノ粒子の粒径とほぼ同じであった。したがって、銀ナノ粒子の粒径の変化は、ケイ皮酸ビニルと混合されたことのみによっては起こらず、光の照射が必要であることがわかった。
【実施例】
【0092】
〔実施例3〕
次に、核粒子として銀ナノ粒子を用い、単量体として下記式(4)で表されるケイ皮酸エチル(CAE:Cinnamic acid ethyl ester(Ethyl cinnamate))を用いて、銀ナノ粒子にケイ皮酸エチルの重合体を被覆した。なお、光学フィルター3には、250nmより短波長の光をカットするショートカットフィルターを用いた。
【実施例】
【0093】
【化4】
JP0005614678B2_000005t.gif
【実施例】
【0094】
混合容器13に、粒径約6nmの銀ナノ粒子を含む窒素ガス(2.7L/min)と、ケイ皮酸エチルの飽和蒸気とを導入し、混合した。ケイ皮酸エチルの飽和蒸気は50℃とし、その流量は0.0L/min、0.2L/min、0.4L/min、または1.0L/minとした。
【実施例】
【0095】
実施例1と同様の操作によって、光反応管1において混合気体に光を照射した。光反応管1から排出された被覆粒子の粒径を、DMAにより測定した。
【実施例】
【0096】
この結果を図5に示す。図5は、本発明の他の実施例における粒子の粒径分布を示すグラフである。ケイ皮酸エチルの飽和蒸気の流量が0.0L/min、0.2L/min、0.4L/min、1.0L/minのときに得られた粒子の粒径は、それぞれ6.3nm、6.8nm、7.4nm、9.8nmであった。この結果から、ケイ皮酸エチルの飽和蒸気の流量が多いほど、得られる粒子の粒径が大きくなることが示された。
【実施例】
【0097】
また、ケイ皮酸エチルの飽和蒸気を導入しないとき(流量が0.0L/minのとき)には、得られた粒子の粒径は銀ナノ粒子の粒径とほぼ同じであり、大きくならなかった。
【実施例】
【0098】
これらの結果から、ケイ皮酸エチルを用いた場合にも、ケイ皮酸ビニルを用いた場合と同様の結果が得られることが示された。
【実施例】
【0099】
〔実施例4〕
次に、核粒子として粒径14nmの硫酸アンモニウム((NHSO)粒子を用い、単量体として上記式(3)で表されるケイ皮酸ビニル(CAV)を用いて、光を照射する場合と照射しない場合とにおいて得られる粒子の粒径を測定した。なお、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の温度を70℃とし、その流量を0.05L/minとした。そのほかの条件は、実施例1と同じとした。
【実施例】
【0100】
これらの結果を図6に示す。図6は、本発明の他の実施例における粒子の粒径分布を示すグラフである。図6に示すように、硫酸アンモニウム粒子を用いた場合でも、光照射の条件では、供給した核粒子と比較して、得られる粒子の粒径が大きくなった。また、光非照射の条件では、得られた粒子の粒径は、供給した核粒子と比較してほとんど大きくならなかった。
【実施例】
【0101】
したがって、核粒子が硫酸アンモニウム粒子の場合でも、銀ナノ粒子と同様の結果が得られることが示された。
【実施例】
【0102】
〔比較例1〕
次に、核粒子を供給しない条件において、ケイ皮酸ビニルのみを光反応管1に導入して紫外光を照射して、得られる粒子の粒径を測定した。なお、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の温度を60℃とし、その流量を0.2L/minとした。また、光反応管1に導入する前に、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気と銀ナノ粒子等の核粒子を含まない窒素ガス(2.00L/min)とを混合した。そのほかの条件は、実施例1と同じとした。
【実施例】
【0103】
この結果を図7に示す。図7は、本発明の比較例における粒子の粒径分布を示すグラフである。図7に示すように、銀ナノ粒子等の核粒子を供給しない条件では、粒子は検出されなかった。これにより、ケイ皮酸ビニルのみに光を照射しても粒子が生成されないことが示された。
【実施例】
【0104】
ここで、上記特許文献3に記載された従来の方法では、有機ケイ素化合物と酸素との混合気体が、熱あるいは光が加わった時点で反応してSiOになってしまうため、超微粒子の表面以外の場所でもSiOが析出し、有機ケイ素化合物が失われてしまい無駄になる。
【実施例】
【0105】
一方、本実施例であれば、ケイ皮酸ビニルのみに光を照射しても粒子が生成されないため、ケイ皮酸ビニルを無駄なく粒子の製造に利用することができる。
【実施例】
【0106】
〔比較例2〕
次に、核粒子を供給しない条件において、ケイ皮酸エチルのみを光反応管1に導入して紫外光を照射して、得られる粒子の粒径を測定した。なお、ケイ皮酸エチルの飽和蒸気の温度を45℃とし、その流量を1.00L/minとした。そのほかの条件は、実施例3と同じとした。
【実施例】
【0107】
この結果を図8に示す。図8は、本発明の他の比較例における粒子の粒径分布を示すグラフである。図8に示すように、銀ナノ粒子等の核粒子を導入しない場合には、粒子は検出されなかった。これにより、ケイ皮酸ビニルと同様に、ケイ皮酸エチルのみに光を照射しても粒子が生成されないことが示された。
【実施例】
【0108】
〔参考例1〕
次に、一部の銀ナノ粒子の表面にケイ皮酸ビニルの液滴が付着する条件下(すなわち、一部の核粒子の表面に気体状の単量体が接触しない条件)において光を照射した場合について検討した。
【実施例】
【0109】
核粒子として粒径12nmの銀ナノ粒子を用い、単量体としてケイ皮酸ビニルを用いた。なお、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の温度を70℃とし、その流量を0.2L/min、0.4L/min、0.8L/min、または1.0L/minとした。そのほかの条件は、実施例1と同じとし、実施例1と同様の操作を行なって、得られた粒子の粒径を測定した。
【実施例】
【0110】
これらの結果を図9に示す。図9は、本発明の一参考例における粒子の粒径分布を示すグラフである。なお、図9のグラフdはケイ皮酸ビニルの流量が0.2L/minの場合、グラフeは0.4L/minの場合、グラフfは0.8L/minの場合、グラフgは1.0L/minの場合の結果を示す。
【実施例】
【0111】
図9に示すように、ケイ皮酸ビニルの流量が0.2L/minの場合には、粒径20~40nm付近の粒子のみが検出された(グラフd)。この粒子は、銀ナノ粒子の表面に気体状のケイ皮酸ビニルが接触した状態で光が照射されることにより、重合体によって被覆されたものであると考えられる。
【実施例】
【0112】
一方、ケイ皮酸ビニルの流量が0.4~1.0L/minの場合には、粒径が100nm以上の粒子が検出された(グラフe~g)。これらの粒子は、上述した実施例と比較すると、粒径のばらつきが大きかった。なお、このようなケイ皮酸ビニルの蒸気の温度および流量の条件下では、ケイ皮酸ビニルの蒸気が過飽和になっていると考えられる。したがって、過飽和のケイ皮酸ビニルと銀ナノ粒子とを混合した際に、ケイ皮酸ビニルが一部の銀ナノ粒子の表面に液滴となって付着して核粒子が成長し、いわゆる不均一核生成が起こったと考えられる。この成長した核粒子が光反応管1内で光を照射された結果、液滴として付着したケイ皮酸ビニルが重合して粒径100nm以上の粒子が検出されたと考えられる。
【実施例】
【0113】
また、粒径20~40nm付近の粒子の粒径は、ケイ皮酸ビニルの流量の増加に伴って小さくなった。これは、過飽和となっているケイ皮酸ビニルの蒸気または液滴によって紫外光が吸収され、ケイ皮酸ビニルの液滴が付着していない銀ナノ粒子の表面に接触する気体状のケイ皮酸ビニルに対する光の照射量が減少して、光に対する反応が遅くなった結果、被覆量が減少したためであると考えられる。
【実施例】
【0114】
これらの結果から、一部の銀ナノ粒子の表面にケイ皮酸ビニルの液滴が付着する条件(ケイ皮酸ビニルの蒸気が過飽和である条件)では、上述した実施例と比較すると、被覆粒子の粒径のばらつきが大きくなることが示された。
【実施例】
【0115】
一方、ケイ皮酸ビニルの流量が0.2L/minの場合(ケイ皮酸ビニルの蒸気が過飽和でない条件)では、粒径100nm以上の粒子は検出されず、粒径のばらつきがより小さい均一な粒子が得られることが示された。
【実施例】
【0116】
〔参考例2〕
次に、核粒子を供給しない条件において、ケイ皮酸ビニルのみを光反応管1に導入して紫外光を照射して、得られる粒子の粒径を測定した。なお、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気の温度を80℃とし、その流量を0.2L/minとした。また、光反応管1に導入する前に、ケイ皮酸ビニルの飽和蒸気と銀ナノ粒子等の核粒子を含まない窒素ガス(2.00L/min)とを混合した。そのほかの条件は、実施例1と同じとした。なお、このようなケイ皮酸ビニルの蒸気の温度および流量の条件下では、ケイ皮酸ビニルの蒸気が過飽和となると考えられる。
【実施例】
【0117】
この結果を図10に示す。図10は、本発明の他の参考例における粒子の粒径分布を示すグラフである。図10に示すように、粒径80nm付近の粒子の存在を示すピークが観察された。この粒子は、ケイ皮酸ビニルのみが重合してできたものであると考えられる。
【実施例】
【0118】
したがって、ケイ皮酸ビニルが過飽和となる条件下では、核粒子がなくてもケイ皮酸ビニルが重合して粒子となることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、粒子の核となる核粒子の本来の性質を損なわせることなく、核粒子の凝集を防止する技術を提供することができるので、この技術によって得られた粒子を、発光材料、吸光材料、磁性材料、微細配線、触媒、抗菌材料などに用いる粒子として、幅広い産業分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 光反応管(反応容器)
4 光源
10 被覆部(製造装置)
14 分級器(分級手段)
21 核粒子
22 単量体ガス(気体状の単量体を含む気体)
22’ 重合体
23 被覆粒子(粒子)
25 混合気体
100 製造装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9