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明細書 :ペースト状調味料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-096792 (P2016-096792A)
公開日 平成28年5月30日(2016.5.30)
発明の名称または考案の名称 ペースト状調味料
国際特許分類 A23L  27/00        (2016.01)
FI A23L 1/22 D
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2014-237610 (P2014-237610)
出願日 平成26年11月25日(2014.11.25)
発明者または考案者 【氏名】成田 貴行
【氏名】大石 祐司
【氏名】高上 穂奈美
出願人 【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査請求 未請求
テーマコード 4B047
Fターム 4B047LB09
4B047LE01
4B047LG30
4B047LG42
4B047LG60
4B047LP01
4B047LP03
要約 【課題】 減塩作用を呈すると共に優れた食感及び旨みを有するペースト状調味料を提供する。
【解決手段】
ペースト状調味料は、塩分を含有する液体調味料と、アルギン酸塩とを、混練して成る粘性を有するペースト状調味料において、前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸及びマンヌロン酸の構成比について、グルロン酸がマンヌロン酸よりも高いものであり、優れた減塩作用を呈する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
塩分を含有する液体調味料と、アルギン酸塩とを、混練して成る粘性を有するペースト状調味料において、
前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸及びマンヌロン酸の構成比について、グルロン酸がマンヌロン酸よりも高いことを特徴とする
ペースト状調味料。
【請求項2】
請求項1に記載のペースト状調味料において、
前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比(マンヌロン酸/グルロン酸)が、0.1~0.5であることを特徴とする
ペースト状調味料。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のペースト状調味料において、
前記アルギン酸塩の水溶液粘度が、100~10000mPa・sであることを特徴とする
ペースト状調味料。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載のペースト状調味料において、
水溶液粘度が、100~10000mPa・sであることを特徴とする
ペースト状調味料。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載のペースト状調味料において、
前記液体調味料が、醤油であることを特徴とする
ペースト状調味料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、食材の味付けに用いられるペースト状調味料に関し、特に、減塩効果を奏するペースト状調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者における健康志向の高まりと共に、塩分(塩化ナトリウム)の摂取過多により引き起こされる高血圧症等の生活習慣病を予防するため、塩分摂取量を減らしたいという減塩のニーズが高まっている。特に、醤油をはじめとする塩分を含有する液体調味料からは、塩分が摂取され易く、日本人の一日当たりの平均塩分摂取量の1/3まで及んでいる。
【0003】
減塩の手法としては、食品中の塩分量を減らした各種の減塩食が提供されている。しかし、単に塩分量を減らすのみの減塩では、味が薄く旨みに乏しい食事を続けることとなり、食事による満足感が乏しいため、長期にわたって継続することが難しい。
【0004】
また、液体調味料にだし汁を加えることによって、塩分濃度の稀釈化を図るもの(例えば、だし醤油)もあるが、だし汁を添加することにより、液体調味料の味自体が変わってしまう。この他にも、食塩に含まれるナトリウムイオンをカリウムイオンに置換する方法も提案されているが、カリウムイオンは苦味を呈することから、味の質が落ちてしまう。
【0005】
そのため、液体調味料に対して、味の質を維持しつつ減塩効果が得られることが望ましいが、未だそのようなものは見当たらない。
【0006】
その一方で、機能性が付与された液体調味料としては、粘性や流動性を持たせた各種のペースト状調味料が提案されている。例えば、食酢、醤油及び柑橘果汁を含有するゲル状調味料であって、ローカストビーンガム、キサンタンガム及びカラギーナンを含む増粘多糖類、及び糖アルコールを含有し、さらに塩分濃度を調節することにより、適度な保形性及び食感を付与するゲル状調味料がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、液体調味料と、該液体調味料に溶解する起泡剤と、キラヤ抽出物(キラヤ:バラ科の常緑樹シャボンの木)とを含有する起泡性調味料もある(例えば、特許文献2参照)。この他、醤油とアルギン酸ペーストから成り、食感と外観に特徴を持たせたゾル状醤油もある(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2012-135292号公報
【特許文献2】特開2012-223186号公報
【0009】

【非特許文献1】松田夏希, 大石祐司, 成田貴行,AL‐ASSAF Saphwan,第36回日本バイオレオロジー学会年会プログラム・抄録集、Page.57、2013年6月
【非特許文献2】高上穂奈美, 松田夏希, 井上侑子, Saphwan Al-Assaf, 成田貴行, 大石祐司、第50回化学関連支部合同九州大会、2013年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のペースト状調味料は、上述したように、ゲル化剤、気泡剤、又はキラヤ抽出物等の添加物を添加することによって、食材への付着し易さや、食材との絡み易さ等の機能性向上を図るものである。しかし、例えば、特許文献1にあるように、塩分濃度を調節することにより所望の機能性を得ようとするものについては、減塩することによって、塩分濃度を低下させた状態では、当該調節が最適に機能しなくなる虞があり、所望の機能性が発揮されない虞がある。
【0011】
また、例えば、特許文献2にあるように、気泡剤やキラヤ抽出物等の化合物を添加することにより、これらの化合物が有する気泡性や界面活性等の機能性の付与を図るものもあるが、これらの化合物は、旨みの向上や減塩の作用をもたらすものではない。また、例えば、非特許文献1及び2にあるように、醤油とアルギン酸ペーストから成るゾル状醤油では、一定の粘性が得られることが開示されているものの、その原料の構成比率については全く言及されておらず、旨みや減塩効果との関連性も何ら解明されてはいない。
【0012】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、減塩作用を呈すると共に優れた食感及び旨みを有するペースト状調味料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願に開示するペースト状調味料は、塩分を含有する液体調味料と、アルギン酸塩とを、混練して成る粘性を有するペースト状調味料において、前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸及びマンヌロン酸の構成比について、グルロン酸がマンヌロン酸よりも高いものである。
【0014】
このように、本願に開示するペースト状調味料は、前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸及びマンヌロン酸の構成比について、グルロン酸がマンヌロン酸よりも高いことから、前記アルギン酸塩によって塩分に含まれるナトリウムイオンが吸着されると共に、その粘性により、粘り気のある食感が増し(テクスチャー効果)、さらに食材に対する付着性も高められることとなり、旨みを維持しつつ複合的に減塩効果を奏することができる。
【0015】
また、本願に開示するペースト状調味料は、必要に応じて、前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比(マンヌロン酸/グルロン酸)が、0.1~0.5であるものである。このように、本願に開示するペースト状調味料は、前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比(マンヌロン酸/グルロン酸、以下、M/Gともいう)が、0.1~0.5であることから、当該アルギン酸塩により塩分中のナトリウムイオンをより吸着しやすくなると共に、その粘性によって、粘り気のある食感が増し(テクスチャー効果)、さらに食材への付着性も高められることとなり、旨みを維持しつつ複合的に減塩効果を奏することができる。
【0016】
また、本願に開示するペースト状調味料は、必要に応じて、前記アルギン酸塩の水溶液粘度が、100~10000mPa・sであるものである。このように、本願に開示するペースト状調味料は、前記アルギン酸塩の水溶液粘度が、100~10000mPa・sであることから、粘りのある食感が得られると共に、口内での滞留時間が増大することとなり、前記アルギン酸塩によって塩分に含まれるナトリウムイオンが吸着されることと合わさって、旨みを維持しつつ複合的に減塩効果を奏することができる。
【0017】
また、本願に開示するペースト状調味料は、必要に応じて、水溶液粘度が、100~10000mPa・sであるものである。このように、本願に開示するペースト状調味料は、水溶液粘度が、100~10000mPa・sであることから、粘り気のある食感が得られると共に、口に含んだ際の口内での滞留時間が増大することとなり、原料である前記アルギン酸塩によって塩分に含まれるナトリウムイオンが吸着されることと合わさって、旨みを維持しつつ複合的に減塩効果を奏することができる。
【0018】
また、本願に開示するペースト状調味料は、必要に応じて、前記液体調味料が、醤油であるものである。このように、本願に開示するペースト状調味料は、前記液体調味料が醤油であることから、グルロン酸がマンヌロン酸よりも高い構成比となる前記アルギン酸塩によって、醤油中の塩分に含まれるナトリウムイオンが抑制されると共に、醤油本来の旨みが高められ、また、粘性により食感が増す(テクスチャー効果)こととなり、旨みを維持しつつ複合的に減塩効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】3wt%アルギン酸含有の醤油ペーストの粘弾性挙動の測定結果を示す。
【図2】醤油と3wt%アルギン酸カリウム水溶液の混合比(醤油:アルギン酸カリウム水溶液)を、1:2、1:1、2:1、及び5:1と変動させた各醤油ペーストの損失弾性率G’’の測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る第1の実施形態を説明する。

【0021】
本実施形態に係るペースト状調味料は、塩分を含有する液体調味料と、アルギン酸塩とを、混練して成る粘性を有するペースト状調味料において、前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸及びマンヌロン酸の構成比について、グルロン酸がマンヌロン酸よりも高いものである。

【0022】
前記アルギン酸塩としては、特に限定されないが、カリウムを構成元素に含むアルギン酸カリウムを用いることが好ましい。アルギン酸カリウムは、天然由来の褐藻類(海藻)から抽出して得ることができるが、市販のものを使用することもできる。この他のアルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸カルシウムを用いることができる。

【0023】
前記アルギン酸塩は、構成単位としてグルロン酸(α-L-グルロン酸)及びマンヌロン酸(β-D-マンヌロン酸)が、ピラノース型で、1,4-グリコシド結合により結合した構造を有する。さらに、アルギン酸塩の分子は、このグルロン酸及び/又はマンヌロン酸から成る3つの異なる構造のブロックが混在して構成される。この3つのブロックは、グルロン酸(G)のみから成るGブロック、マンヌロン酸(M)のみから成るMブロック、及び、グルロン酸(G)及びマンヌロン酸(M)がランダムに混在して成るGMランダムブロックである。

【0024】
前記アルギン酸塩を構成するグルロン酸及びマンヌロン酸の構成比(マンヌロン酸/グルロン酸)は、グルロン酸がマンヌロン酸よりも高く配合されていれば良く、特に限定されるものではないが、0.1~1.0であることが好ましく、より好ましくは、0.1~0.5である。

【0025】
このようなグルロン酸がマンヌロン酸よりも構成比率が高い前記アルギン酸塩は、例えば、公知の文献「食品ハイドロコロイドの開発と応用(シーエムシー出版、2007年5月)」に記載の製造方法に従って製造することができる。

【0026】
前記アルギン酸塩の水溶液濃度としては、重量パーセントで、0.5~50wt%であることが好ましく、より好ましくは、1~3wt%である。

【0027】
本実施形態に係るペースト状調味料における「ペースト状」とは、粘性(粘弾性)を有する液状のものを意味する。従って、ゾル状のものでもよいし、ゲル状のものをすり潰したものでもよい。温度との関係では、常温において、固形化することなく、流動性が維持されている状態を意味する。

【0028】
本実施形態に係るペースト状調味料の粘性の度合いについては、特に制限されないが、粘度が低過ぎる場合には液状化が促進され、粘度が高過ぎる場合には固形化が促進されることから、いずれの場合も所望の増粘性が得られ難くなり、減塩効果が得られなくなる虞がある。このような点から、前記アルギン酸塩の水溶液粘度は、100~10000mPa・sの範囲に含まれることが好ましい。

【0029】
前記アルギン酸塩の水溶液粘度が、100mPa・sより小さい場合には、流動性が高い状態となり、十分なテクスチャー効果が得られないと共に、食材に対する付着性が損なわれ、食材に対する掛け過ぎを引き起こす虞がある。その一方で、前記アルギン酸塩の水溶液粘度が、10000mPa・sより大きい場合には、流動性が失われてゲル状となって食材と分離し易くなり、食材に対する味付けが不十分となる虞がある。

【0030】
さらに、前記アルギン酸塩の水溶液粘度については、より粘度の高いものが、十分なテクスチャー効果が得られやすいことから好ましい。すなわち、前記アルギン酸塩の水溶液粘度については、より好ましくは、10000mPa・sを上限として高い粘度を有することである。

【0031】
また、本実施形態に係るペースト状調味料自体の粘性についても、ペースト状態を維持しつつ粘性及び旨みのある食感を十分に得るという点から、100~10000mPa・sの範囲に含まれることが好ましく、このうち10000mPa・sを上限として高い粘度を有することがより好ましい。

【0032】
本実施形態で原料に用いられる液体調味料としては、好適には、醤油が挙げられる。本実施形態の対象となり得る醤油は、塩分濃度やその製造方法等によって特に限定されるものではなく、例えば、濃口醤油、淡口醤油、減塩醤油、白醤油、溜醤油、再仕込醤油、及び刺身醤油を用いることができる。

【0033】
さらに、この液体調味料としては、醤油単体のみならず、醤油を含有する調味料であってもよく、例えば、液状たれ、めんつゆ、ポン酢、ドレッシングを挙げることができる。この他の液体調味料としては、塩分を含有する液体状の調味料であれば醤油に限定されるものではなく、例えば、みりん、みりん風調味料、料理酒、発酵調味料、だし汁、魚醤が挙げられる。

【0034】
本実施形態に係るペースト状調味料は、上記のように、液体調味料が醤油である場合には、醤油ジュレ、ジュレ状だし醤油、又は携帯用だし醤油として利用することが可能である。

【0035】
前記液体調味料とアルギン酸塩の混合比(液体調味料:アルギン酸塩)は、粘性及び旨みをバランス良く得るという点から、より好ましくは、重量比で、2:1~1:2である。

【0036】
本実施形態に係るペースト状調味料は、前記液体調味料とアルギン酸塩を混練して得る。混錬の方法としては、攪拌を用いる。攪拌の方法としては、特に限定されないが、例えば、遠心分離機、超音波振動器、及びマグネチックスターラーを用いることにより実施することができる。

【0037】
さらに、液体調味料とアルギン酸塩を混練した混合液に対して、濾過を行ってもよい。濾過を行うことによって、塩分がさらに抑制された濾液(ペースト状調味料)を得ることができる。この濾過を行うことによって減塩効果が促進されるメカニズムは、未だ詳細には解明されていないが、アルギン酸塩に吸着された塩分が、濾過を行うことによって、選択的に除去されやすくなるものと推察される。

【0038】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。

【0039】
(実施例1)
塩分を含有する液体調味料として、醤油(キッコーマン社製 本醸造醤油)を用いた。アルギン酸塩として、3wt%のアルギン酸カリウム(キミカ社製K-1G)を用いた。アルギン酸カリウムの物性は、グルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比(M/G)が、0.1~0.5であり、粘度が100~200mPa・sのものを使用した。醤油と3wt%アルギン酸カリウム水溶液の混合比(醤油:アルギン酸カリウム水溶液)を、重量比で1:2として、醤油とアルギン酸カリウム水溶液を攪拌器によって攪拌し、ペースト状調味料の醤油ペースト(醤油ジュレ)を得た。

【0040】
比較例として、上記製造した醤油ペーストと同じ粘度(100~200mPa・s)であり、醤油と3wt%アルギン酸カリウム水溶液との混合比も同じく1:2として、グルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比(M/G)が1.0~1.5であるもの(比較例1)も作成した。

【0041】
(1)減塩効果の確認
減塩効果の確認として、上記製造した醤油ペーストにおけるナトリウムイオン(Na)の減少量を、以下の計算式を用いて算出した。
Na減少量(ppm)
= 醤油を水で2倍希釈した時点のNa(ppm) - 醤油ペースト中のNa(ppm)
上記計算式により算出して得られた結果を、上記比較例1の結果と合わせて以下に示す。

【0042】
【表1】
JP2016096792A_000003t.gif

【0043】
得られた結果から、実施例1の醤油ペーストに含まれるナトリウムイオン(Na)の量は、比較例1よりも有意に減少していることが確認された。

【0044】
(2)粘弾性の確認(粘弾性試験)
動的粘弾性測定装置MCR-101(アントンパール(Anton paar)社製)を用いて、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’を測定した。測定条件は、試験温度20℃、変形方法としてせん断、周波数0.05~10Hzの条件下にて、醤油ペースト(ペースト状調味料)の20℃での貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’を測定した。

【0045】
粘弾性の試験は、0M、1.4M、及び1.8M NaClの各塩化ナトリウム濃度からなる3wt%のアルギン酸カリウム溶液に対して行った。図1は各塩化ナトリウム濃度で調製した3wt%アルギン酸含有の醤油ペーストの粘弾性挙動を示している。グラフから各周波数において塩化ナトリウムの添加量が大きくなるに従ってG’およびG’’が増加したことが確認された。

【0046】
高周波数領域においては、塩化ナトリウム濃度が2 Mを超えると、塩化ナトリウム濃度の増加に伴う貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’の増加の割合が低下した。これは、塩化ナトリウム濃度の増加と共にアルギン酸ポリマーのネットワーク化が進行する一方で、塩化ナトリウム濃度が高まるとネットワークの凝集化が進み、分離またはネットワーク網目の粗大化が粘弾性挙動に反映されたものと推察される。

【0047】
(実施例2)
上述の実施例1で調製した醤油ペーストと、比較例1と、市販の醤油(キッコーマン社製 本醸造醤油)に対して、被検者10人による試食を行い、旨み、塩辛さ、及び甘さの各項目に関する評価テストを行って、以下の評価を得た。全般的に、市販の醤油よりも、実施例1で調製した醤油ペーストのほうが、ほどよく塩味が感じられてトロミ(粘り気)と共に旨みがあり美味しいという評価が得られた。

【0048】
【表2】
JP2016096792A_000004t.gif

【0049】
(実施例3)
上述した実施例1の醤油ペースト(ペースト状調味料)に対して濾過を行った。この濾過後の醤油ペーストに含まれるナトリウムイオンの量について、上記の比較例1及び醤油との比較を行った。

【0050】
【表3】
JP2016096792A_000005t.gif

【0051】
得られた結果から、実施例1の醤油ペーストに含まれるナトリウムイオン(Na)の量は、比較例1及び醤油よりも明らかに減少していることが確認された。

【0052】
(実施例4)
上記実施例1と同様の手順にて、醤油と3wt%アルギン酸カリウム水溶液の混合比(醤油:アルギン酸カリウム水溶液)を、重量比で1:1、2:1、及び5:1に変動させた醤油ペーストを各々調製した。上記実施例1の醤油ペースト(当該混合比が1:2)を含めて、各醤油ペーストの粘弾性特性として、損失弾性率G’’を測定した。比較例として、上記の比較例1に係る醤油ペーストに対しても、当該混合比を、1:2、1:1、2:1、及び5:1と変動させたものを各々調製し、各々の損失弾性率G’’を測定した。測定結果を図2に示す。

【0053】
得られた結果から、実施例1の醤油ペーストでは、醤油と3wt%アルギン酸カリウム水溶液の混合比によらず、安定した粘弾性が得られることが確認された。特に、適度な粘弾性として損失弾性率G’’が10~20の範囲であることが好ましい点から、当該混合比は好ましくは、2:1~1:2の範囲であることが確認された。実際に、当該混合比の範囲に含まれている上記実施例1の醤油ペーストでは、上記評価テストにおいて良好な評価が得られたことからも、当該混合比において優れた減塩効果が得られることが示されている。

【0054】
以上の結果より、本醤油ペーストは、通常醤油よりも低い塩化ナトリウム濃度で十分な旨みと塩味、甘味を備え、テクスチャー効果とも相俟って優れた減塩効果を奏することが確認された。
図面
【図1】
0
【図2】
1