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明細書 :Mn-Al-C系磁石の製造方法及びMn-Al-C系磁性焼結体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-147994 (P2019-147994A)
公開日 令和元年9月5日(2019.9.5)
発明の名称または考案の名称 Mn-Al-C系磁石の製造方法及びMn-Al-C系磁性焼結体
国際特許分類 B22F   3/00        (2006.01)
C22C   1/04        (2006.01)
H01F   1/047       (2006.01)
H01F   1/08        (2006.01)
C22C  38/00        (2006.01)
B22F   3/105       (2006.01)
B22F   3/16        (2006.01)
FI B22F 3/00 F
C22C 1/04 F
H01F 1/047
H01F 1/08 160
H01F 1/08 130
C22C 38/00 303A
B22F 3/105
B22F 3/16
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2018-034070 (P2018-034070)
出願日 平成30年2月28日(2018.2.28)
発明者または考案者 【氏名】三井 好古
【氏名】小山 佳一
【氏名】小林 領太
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100162259、【弁理士】、【氏名又は名称】末富 孝典
【識別番号】100133592、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 浩一
【識別番号】100168114、【弁理士】、【氏名又は名称】山中 生太
審査請求 未請求
テーマコード 4K018
5E040
Fターム 4K018AA40
4K018AB07
4K018BA08
4K018BA20
4K018BD01
4K018CA11
4K018CA44
4K018DA29
4K018DA31
4K018DA32
4K018EA51
4K018EA60
4K018KA45
5E040AA09
5E040BD01
5E040CA01
5E040HB03
5E040HB06
5E040HB15
5E040NN01
5E040NN06
5E040NN17
5E040NN18
要約 【課題】従来よりも簡単にMn-Al-C系磁石を得ることができるMn-Al-C系磁石の製造方法と、従来よりも粉砕を容易に行えるMn-Al-C系磁性焼結体とを提供する。
【解決手段】Mn-Al-C系磁石の製造方法は、マンガン質原料の粉体、アルミニウム質原料の粉体、及び炭素質原料の粉体を含む原料粉体を成形することにより、成形体となす成形工程(ステップS2)と、成形体を、MnとAlとの合金の融点未満の温度で、10時間以上にわたって加熱することにより、焼結体となす焼結工程(ステップS3)とを有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
マンガン質原料の粉体、アルミニウム質原料の粉体、及び炭素質原料の粉体を含む原料粉体を成形することにより、成形体となす成形工程と、
前記成形体を、MnとAlとの合金の融点未満の温度で、10時間以上にわたって加熱することにより、焼結体となす焼結工程と、
を有する、Mn-Al-C系磁石の製造方法。
【請求項2】
前記焼結工程では、前記成形体を1200K未満の温度で加熱する、請求項1に記載のMn-Al-C系磁石の製造方法。
【請求項3】
前記原料粉体におけるCの含有量が、前記原料粉体におけるMnとAlとの含有量の合計100mol%に対する外かけで、1.5mol%以上である、請求項1又は2に記載のMn-Al-C系磁石の製造方法。
【請求項4】
前記焼結工程の後に、
前記焼結体を、80K/hr以下の降温速度で常温に冷ます徐冷工程、
をさらに有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のMn-Al-C系磁石の製造方法。
【請求項5】
前記焼結工程の後に、
前記焼結体を粉砕することにより、粉砕物となす粉砕工程と、
前記粉砕物を再成形すると共に、再成形の過程で、前記粉砕物を構成する粒子の磁化容易軸を配向させることにより、磁気的に異方化された再成形体を得る再成形工程と、
前記再成形体を着磁させる着磁工程と、
をさらに有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のMn-Al-C系磁石の製造方法。
【請求項6】
Mn、Al、及びCを含む気孔率15%以上の焼結体よりなり、内部に面心正方晶構造の強磁性相を、前記焼結体が磁気等方性を有する態様で含有している、
Mn-Al-C系磁性焼結体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、Mn-Al-C系磁石の製造方法及びMn-Al-C系磁性焼結体に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、Mn、Al、Cのように元素記号で表記したものは化学成分としての元素を表し、マンガン質原料、アルミニウム質原料、炭素質原料のように「~質原料」と表記したものは不可避的不純物を含有する可能性のある現実の原料を表すものとする。
【0003】
Mn-Al-C系磁石は、Mn、Al、及びCを主成分とする永久磁石であり、自発磁化の発現にあたって希土類元素を含有する必要がなく、フェライト磁石よりも大きな最大エネルギー積を示し得るといった特性を有する。
【0004】
特許文献1に開示されるように、Mn-Al-C系磁石は、マンガン質原料、アルミニウム質原料、及び炭素質原料から製造される。具体的には、特許文献1は、マンガン質原料、アルミニウム質原料、及び炭素質原料を溶融させた溶湯を凝固させて合金を得る合金化工程と、得られた合金を熱処理する熱処理工程とを有する製造方法を開示している。
【0005】
また、特許文献2に開示されるように、MnとAlとの合金を主成分とするアトマイズ合金粉末を、炭素質原料の粉末と共に焼結させることにより、Mn-Al-C系磁石を得る製造方法も知られている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平10-270224号公報
【特許文献2】特公平2-17921号公報
【特許文献3】特開2015-63725号公報
【特許文献4】特開2017-157738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の製造方法において、上述した合金化工程及び熱処理工程が必要である理由は、これらの工程を経なければ強磁性相を生成できないためである。つまり、強磁性相は準安定相であるため、従来は、いったん合金化工程で安定な常磁性の高温相を生成しておき、その高温相を熱処理工程で強磁性相に変態させる手法を採る必要があった。
【0008】
特許文献2の製造方法においても、焼結の前の段階で、アトマイズ合金粉末を得るために、MnとAlとを合金化する工程が予め必要である。
【0009】
このように、従来は、1つの工程で、マンガン質原料、アルミニウム質原料、及び炭素質原料から直接的に強磁性相を生成することができなかった。このため、Mn-Al-C系磁石の製造に手間を要しており、より簡単にMn-Al-C系磁石を製造できる技術が望まれていた。
【0010】
また、特許文献1に開示されるように、上述した合金は、磁気異方性が高められたボンド磁石の素材として用いることができる。即ち、上述した合金を粉砕し、得られた粉砕物を、外部磁場によって結晶配向度を高めながら樹脂で固めることで、異方性ボンド磁石となすことができる。しかし、合金は硬くてねばり強いため、粉砕に多大なエネルギーを要する。そこで、粉砕を容易に行える素材が望まれていた。
【0011】
本発明の目的は、従来よりも簡単にMn-Al-C系磁石を得ることができるMn-Al-C系磁石の製造方法と、従来よりも粉砕を容易に行えるMn-Al-C系磁性焼結体とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るMn-Al-C系磁石の製造方法は、
マンガン質原料の粉体、アルミニウム質原料の粉体、及び炭素質原料の粉体を含む原料粉体を成形することにより、成形体となす成形工程と、
前記成形体を、MnとAlとの合金の融点未満の温度で、10時間以上にわたって加熱することにより、焼結体となす焼結工程と、
を有する。
【0013】
前記焼結工程では、前記成形体を1200K未満の温度で加熱してもよい。
【0014】
前記原料粉体におけるCの含有量が、前記原料粉体におけるMnとAlとの含有量の合計100mol%に対する外かけで、1.5mol%以上であってもよい。
【0015】
前記焼結工程の後に、
前記焼結体を、80K/hr以下の降温速度で常温に冷ます徐冷工程、
をさらに有してもよい。
【0016】
前記焼結工程の後に、
前記焼結体を粉砕することにより、粉砕物となす粉砕工程と、
前記粉砕物を再成形すると共に、再成形の過程で、前記粉砕物を構成する粒子の磁化容易軸を配向させることにより、磁気的に異方化された再成形体を得る再成形工程と、
前記再成形体を着磁させる着磁工程と、
をさらに有してもよい。
【0017】
本発明に係るMn-Al-C系磁性焼結体は、
Mn、Al、及びCを含む気孔率15%以上の焼結体よりなり、内部に面心正方晶構造の強磁性相を、前記焼結体が磁気等方性を有する態様で含有している。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るMn-Al-C系磁石の製造方法によれば、成形体を、MnとAlとの合金の融点未満の温度で、10時間以上にわたって焼結させることにより、内部に強磁性相が生成されている焼結体を得ることができる。
【0019】
つまり、従来のように、高温相を形成する工程と、高温相を強磁性相に相転移させる工程とを分ける必要がなく、1つの焼結工程を経て強磁性相を得ることができる。このため、従来よりも簡単にMn-Al-C系磁石を得ることができる。
【0020】
また、本発明に係るMn-Al-C系磁性焼結体は、気孔率が15%以上であるため、従来の合金よりも粉砕を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】Mn-Al-C系磁石の製造方法を示すフローチャート。
【図2】焼結工程及び徐冷工程における加熱温度を示すグラフ。
【図3A】Mn-Al-C系磁性焼結体の外観を示す写真。
【図3B】焼結前の成形体の外観を示す写真。
【図4】Mn-Al-C系磁性焼結体のX線回折パターンを示すグラフ。
【図5】Mn-Al-C系磁性焼結体に1.5Tの磁場を与えた場合の磁化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示すフローチャートに沿って、本発明の実施形態に係るMn-Al-C系磁石の製造方法について説明する。

【0023】
(a)混合工程
まず、マンガン質原料の粉体、アルミニウム質原料の粉体、及び炭素質原料の粉体を混合し、原料粉体を得る(ステップS1)。マンガン質原料としては、Mnを主成分とするもの、例えば、金属マンガンを用いることができる。アルミニウム質原料としては、Alを主成分とするものを用いることができる。炭素質原料としては、Cを主成分とするもの、例えば、黒鉛、無定形炭素等を用いることができる。本明細書において“主成分とする”とは、純度が95wt%以上、好ましくは98wt%以上であることを意味する。

【0024】
原料粉体の粒度は、後述する焼結工程(ステップS3)における反応を促進するという観点から、1mm未満であることが好ましく、75μm未満であることがより好ましい。本明細書において、粒子の粒径がd未満とは、粒子がJIS-Z8801に規定する目開きdの篩を通過する粒度であることを意味する。

【0025】
また、原料粉体におけるCの含有量は、原料粉体におけるMnとAlとの含有量の合計100mol%に対する外かけで、1.5mol%以上であることが好ましく、2mol%以上であることがより好ましい。原料粉体におけるCの含有量が高い程、後述する焼結体又は再成形体に大きな残留磁化を付与することができる。

【0026】
なお、原料粉体におけるMnの含有量/Alの含有量のmol比は、強磁性相の生成に当たってMnとAlの過不足をできるだけ少なくするという観点から、50/50以上、60/40以下であることが好ましく、52/48以上、58/42以下であることがより好ましい。

【0027】
(b)成形工程
次に、上述した原料粉体を成形することにより、成形体となす(ステップS2)。原料粉体の成形方法としては、加圧を伴う方法、例えば、原料粉体を型に充填してプレスする型成形法が典型的である。但し、これに限られない。原料粉体を噴射し、積層させながら造形する積層造形法を用いてもよい。なお、成形に際して、得られる成形体の保形性を高める結合剤を使用してもよい。

【0028】
(c)焼結工程及び徐冷工程
次に、得られた成形体を、MnとAlとの合金の融点未満の温度で、10時間以上にわたって加熱した後、徐冷する(ステップS3及びステップS4)。この加熱による焼結の過程で、MnとAlとによって面心正方晶構造の強磁性相であるτ相が構成される反応が生じる。Cは、主として、τ相を安定化させる役割を果たす。

【0029】
なお、MnとAlとの合金の融点は、概ね1345K~1595Kである。本実施形態では、MnとAlとの合金の融点未満の温度とは、具体的には、1275K未満の温度を指す。

【0030】
加熱温度は、1175K以下であることが好ましく、1075K以下であることがより好ましい。なお、焼結を生じさせるためには、自ずと加熱温度に下限値が存在することは、当業者に理解できるであろう。τ相の生成をより確実なものとするために、加熱温度の下限値は、液相焼結が生じ得る程度の値とすることが好ましい。

【0031】
加熱時間が10時間未満であると、τ相を充分に生成することが難しい。τ相の生成をより確実なものとするために、加熱時間は、12時間以上であることが好ましく、20時間以上であることがより好ましい。なお、加熱時間とは、焼結が生じ得る温度に成形体を昇温するまでの昇温期間を除いた時間を指す。

【0032】
また、加熱は、得られる未着磁焼結体の酸化を防ぐ等の観点から、不活性ガスの雰囲気中、又は減圧された雰囲気中、好ましくは真空中で行う。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス等を用いることができる。

【0033】
焼結体の徐冷は、80K/hr以下の降温速度で常温に冷ますことにより行う。ここで常温とは、JISZ8703の規定に則り、278.15K~308.15Kの温度を指すものとする。この徐冷工程においても、τ相の生成、具体的には、ε相からτ相への相変態が生じる。

【0034】
降温速度を80K/hr以下とすることにより、τ相の生成をより確実なものとすることができる。降温速度は、75K/hr以下であることが好ましく、70K/hr以下であることがより好ましい。

【0035】
また、徐冷も焼結と同様、焼結体の酸化を防ぐ等の観点から、不活性ガスの雰囲気中、又は減圧された雰囲気中、好ましくは真空中で行う。

【0036】
なお、焼結工程及び徐冷工程を経て得られた焼結体(以下、Mn-Al-C系磁性焼結体という。)は、焼結前の元の成形体に比べて、体積が膨張している。この体積膨張によって、気孔率も高められる。Mn-Al-C系磁性焼結体の気孔率は、例えば、15%以上である。

【0037】
上述したように、Mn-Al-C系磁性焼結体の内部には、強磁性相であるτ相が生成されている。但し、Mn-Al-C系磁性焼結体の内部においては、τ相の結晶粒の磁化容易方向がランダムであるため、Mn-Al-C系磁性焼結体は、等方性磁石である。

【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るMn-Al-C系磁性焼結体は、Mn、Al、及びCを主成分とする気孔率15%以上の焼結体よりなり、内部に磁気等方性を有する態様でτ相を含有している。Mn-Al-C系磁性焼結体におけるMn、Al、及びCの合量は、着磁済焼結体の95wt%以上、好ましくは98wt%以上を占める。

【0039】
Mn-Al-C系磁性焼結体は、それ自体、着磁させて等方性磁石として用いることができるし、異方性磁石を得るための素材として用いることもできる。そこで、以下では、引き続き、Mn-Al-C系磁性焼結体を用いて、異方性磁石を得る方法を述べる。

【0040】
(d)粉砕工程
まず、Mn-Al-C系磁性焼結体を粉砕することにより、粉砕物となす(ステップS5)。粉砕物の粒度は、特に限定されないが、Mn-Al-C系磁性焼結体を、できるだけ磁区レベルに分解することが好ましい。このような観点から、粉砕物の粒度は、例えば、45μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。なお、上述のように、Mn-Al-C系磁性焼結体は、気孔率15%以上の多孔質な組織を有するため、従来の合金に比べて、粉砕を容易に行える。

【0041】
なお、Mn-Al-C系磁性焼結体を粉砕して粉砕物を得た後は、磁力選別によって、強磁性相を含まない粒子を粉砕物から取り除くことで、粉砕物中における強磁性相を含む粒子の存在割合を高めることが好ましい。

【0042】
(e)再成形工程
次に、得られた粉砕物を再成形すると共に、再成形の過程で、粉砕物を構成する粒子の磁化容易軸を配向させることで、磁気的に異方化された再成形体を得る(ステップS6)。

【0043】
具体的には、粉砕物をバインダで練り込んで混錬物を得、かかる混錬物を、バインダが未硬化の状態で、外部磁場を付与しながら成形する。成形の過程で、粉砕物を構成する粒子の磁化容易方向が外部磁場の方向に配向することにより、磁気異方性が高められる。

【0044】
混錬物の成形後に、バインダが硬化される。なお、バインダには、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂といった樹脂を用いることができる。

【0045】
(f)着磁工程
次に、再成形体に磁場を与えることにより、再生形体を着磁させる(ステップS7)。以上で、本実施形態に係るMn-Al-C系磁石としての、異方性磁石である再成形体が完成する。

【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、成形体を、MnとAlとの合金の融点未満の温度で、10時間以上にわたって焼結させることにより、内部に強磁性相が生成されているMn-Al-C系磁性焼結体を得ることができる。つまり、従来よりも低温で、従来よりも長い時間の加熱を行うことで、1つの焼結工程を経て強磁性相を得ることができる。従来のように、ε相を形成する工程と、ε相をτ相に相転移させる工程とを分ける必要がない。このため、従来よりも簡単にMn-Al-C系磁石としての再成形体を得ることができる。

【0047】
また、本実施形態に係るMn-Al-C系磁性焼結体は、気孔率が15%以上であるため、従来の合金に比べて、粉砕が容易である。このため、粉砕を伴う異方性磁石の製造を従来よりも容易に行える。なお、粉砕をより容易化するという観点から、Mn-Al-C系磁性焼結体の気孔率は、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましい。なお、気孔率は、原料粉体の粒度、成形体を形成する際の成形圧力、焼結体を得る際の加熱温度、加熱時間等で調整できることは当業者に理解できるであろう。
【実施例】
【0048】
純度99.9wt%のマンガン質原料よりなる粒径75μm未満の粉体、純度99.99wt%のアルミニウム質原料よりなる粒径75μm未満の粉体、及び純度99.99wt%の炭素質原料よりなる粒径75μm未満の粉体を秤量して混合し、Mn、Al、及びCの含有量が互いに異なる、実施例1-4に係る4種類の原料粉体を得た。
【実施例】
【0049】
実施例1に係る原料粉体におけるMn、Al、Cのmol比は、Mn:Al:C=55:45:0.5である。実施例2に係る原料粉体におけるMn、Al、Cのmol比は、Mn:Al:C=55:45:1.0である。実施例3に係る原料粉体におけるMn、Al、Cのmol比は、Mn:Al:C=55:45:1.5である。実施例4に係る原料粉体におけるMn、Al、Cのmol比は、Mn:Al:C=55:45:2.0である。
【実施例】
【0050】
また、比較例として、実施例1-4に係るマンガン質原料の粉体及びアルミニウム質原料の粉体と同じものを用い、炭素質原料を含有しない原料粉体を得た。比較例に係る原料粉体におけるMn、Al、Cのmol比は、Mn:Al:C=55:45:0である。
【実施例】
【0051】
次に、上述した実施例1-4及び比較例に係る原料粉体の各々を、型に充填して15MPaで加圧成形し、円柱状の成形体となした。そして、それら成形体の各々を、加熱炉においてアルゴンガスの雰囲気中で焼結させたのち、徐冷させた。
【実施例】
【0052】
図2に、加熱炉内の温度パターンを示す。焼結工程では、各成形体を昇温速度300K/hrで、常温としての293Kから、MnとAlとの合金の融点未満の温度である1073Kへと昇温させたのち、1073Kを48時間にわたって保持した。このようにして、48時間にわたる加熱によって、各成形体を焼結体となした。
【実施例】
【0053】
また、徐冷工程では、各焼結体を、降温速度65K/hrで常温に冷ました。徐冷は12時間にわたって行った。
【実施例】
【0054】
以上のようにして、実施例1-4及び比較例に係る焼結体を得た。図3Aに、実施例3に係る焼結体の外観を示す。また、図3Bに、同実施例3に係る焼結前の成形体の外観を示す。
【実施例】
【0055】
図3Aと図3Bとの比較から見て取れるように、焼結によって、体積の膨張が認められた。図3Aに示す焼結体の体積は、図3Bに示す成形体の体積の約3倍であった。なお、このように体積が膨張した理由は、焼結及び徐冷の過程で、C原子が、Mn-Al系の結晶内に入り込んだためではないかと推定される。体積膨張に伴い、気孔率も増加する。図3Aに示す焼結体の気孔率は、約25%であった。
【実施例】
【0056】
次に、実施例1-4及び比較例に係る焼結体の各々に含まれる晶相を、X線回折装置を用いて同定した。
【実施例】
【0057】
図4に、各焼結体のX線回折パターンを示す。横軸は、角度2θを単位「度」で表し、縦軸は回折ビームの強度を相対目盛で表す。また、図4には、各焼結体について、原料粉体の段階におけるCの含有比Xを付記している。Xの値は、MnとAlの含有量の合計100mol%に対する外かけを表す。
【実施例】
【0058】
X=1.0とした実施例2、X=1.5とした実施例3、及びX=2.0とした実施例4のそれぞれの回折パターンにおいて、2θが約41度及び約47度の位置に、強磁性相であるτ相の存在を示すピークが現れている。これより、焼結工程及び徐冷工程において、τ相が生成されたことが確認された。
【実施例】
【0059】
一方、X=0.5とした実施例1、及びX=0.0とした比較例の回折パターンにおいては、τ相の存在を示すピークは、明瞭には認められなかった。
【実施例】
【0060】
また、実施例1-4及び比較例のいずれの回折パターンにおいても、β相の存在を示すピークが認められる。但し、β相は、常磁性相である。また、ε相の存在を示すピークは、いずれの回折パターンにおいても、明瞭には認められなかった。
【実施例】
【0061】
次に、実施例1-4及び比較例に係る焼結体の各々について、磁束密度1.5Tの外部磁場を与えた場合に保持しうる磁化を、振動試料型磁力計によって測定した。
【実施例】
【0062】
図5に、磁化の測定結果示す。縦軸は、単位質量あたりの磁化を表す。横軸は、各焼結体についての原料粉体の段階におけるCの含有比Xを表す。即ち、図5のグラフは、残留磁化の、Cの添加量に対する依存性を示す。
【実施例】
【0063】
Cの添加量が増えるに従って、磁化が大きくなる傾向がみられる。Mn-Al系の結晶において、強磁性相はτ相のみであることから、磁化の増加は、τ相の増加を示している。特に、Cの添加比X=1.5mol%以上である場合に、残留磁化が飛躍的に増大する。
【実施例】
【0064】
このことから、焼結体におけるCの含有量は、同焼結体におけるMnとAlとの含有量の合計100mol%に対する外かけで、1.5mol%以上が好ましく、2.0mol%以上がより好ましいと言える。
【実施例】
【0065】
また、Cの添加比X=0.5mol%とした実施例1に係る焼結体についても、磁化の保持が認められた。このことから、実施例1に係る焼結体は、図4のX線回折パターンにはτ相のピークを明瞭には示さなかったが、確かにτ相が生成されていたと言える。なお、Cの添加比X=0mol%とした比較例については、残留磁化が認められなかった。
【実施例】
【0066】
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれに限られない。上記実施形態及び実施例1-4は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示される。請求の範囲内及びそれと同等の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【実施例】
【0067】
例えば、上記の方法の他に、粉砕前のMn-Al-C系磁性焼結体をプレスすることで再成型することが可能である。
【実施例】
【0068】
また、Mn-Al-C系磁性焼結体を従来技術のように熱間塑性加工することで、異方性磁石を製造できる。
【実施例】
【0069】
さらに、特許文献3や特許文献4によれば、焼結工程(ステップS3)及び徐冷工程(ステップS4)で焼結体に磁場を印加することで、τ相の合成を促進でき、結晶配向したτ相の生成ができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図4】
4
【図5】
5