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明細書 :羽ばたき型飛行機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6831566号 (P6831566)
公開番号 特開2018-144668 (P2018-144668A)
登録日 令和3年2月2日(2021.2.2)
発行日 令和3年2月17日(2021.2.17)
公開日 平成30年9月20日(2018.9.20)
発明の名称または考案の名称 羽ばたき型飛行機
国際特許分類 B64C  33/00        (2006.01)
A63H  27/28        (2006.01)
A63H  29/22        (2006.01)
FI B64C 33/00
A63H 27/28
A63H 29/22 C
請求項の数または発明の数 6
全頁数 9
出願番号 特願2017-042236 (P2017-042236)
出願日 平成29年3月6日(2017.3.6)
審査請求日 令和元年12月10日(2019.12.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
発明者または考案者 【氏名】渡邉 孝信
【氏名】依田 大輝
【氏名】臼田 稔宏
【氏名】重松 直哉
【氏名】白鳥 智大
【氏名】伊勢 岳起
【氏名】滝口 千波
【氏名】宗像 俊龍
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査官 【審査官】立花 啓
参考文献・文献 特開2006-142913(JP,A)
特開2013-252756(JP,A)
特開2012-140038(JP,A)
調査した分野 B64C 33/00
A63H 27/28
A63H 29/22
特許請求の範囲 【請求項1】
機体に対して揚力及び推力を発生させる羽ばたき動作を行いながら飛行可能な羽ばたき型飛行機において、
機体の進行方向前後に延びる胴部と、当該胴部の前側に取り付けられて前記羽ばたき動作を行うための羽ばたき動作手段と、機体の重心位置の移動によって、飛行時の飛行姿勢を変化させる重心移動手段とを備え、
前記重心移動手段は、前記胴部の前端側で揺動可能に取り付けられ、機体の重心位置を変化させる揺動体を含み、機体が地面に対して水平姿勢で移動する水平飛行モードによる飛行と、機体が地面に対して垂直姿勢で移動する垂直飛行モードによる飛行とを可能に、機体の重心位置を移動させ
前記揺動体は、前記水平飛行モードでの飛行時に、前記重心位置が前記胴部の前寄りに位置し、前記垂直飛行モードでの飛行時に、前記重心位置が前記水平飛行モードでの飛行時よりも前記胴部の後方に位置するように揺動し、
前記羽ばたき動作手段は、前記水平姿勢時に、揚力中心と機体の重心が前記胴部の前方上側に位置するように当該前方上側に全て配置されることを特徴とする羽ばたき型飛行機。
【請求項2】
前記重心移動手段は、前記揺動体を動作させる重心移動用モータを備え、
前記揺動体は、基端側が前記重心移動用モータに繋がるアームと、当該アームの先端側に固定される錘とからなり、
前記アームは、前記胴部の前端側を支点として、当該胴部を挟んで前記羽ばたき動作手段の反対側で前記錘を前記胴部に離間接近させるように、前記胴部の延出方向に対してほぼ直交する方向に揺動することを特徴とする請求項記載の羽ばたき型飛行機。
【請求項3】
前記重心移動手段は、前記揺動体を動作させる重心移動用モータを備え、
前記揺動体は、基端側が前記重心移動用モータに繋がるアームと、当該アームの先端側に固定される錘とからなり、
前記錘は、前記水平飛行モードでの飛行を可能にする第1位置と前記垂直飛行モードでの飛行を可能にする第2位置との間を移動可能に設けられ、
前記第2位置は、前記第1位置よりも前記胴部の後側で当該胴部に近づくように設定されることを特徴とする請求項記載の羽ばたき型飛行機。
【請求項4】
前記垂直飛行モードでは、前記羽ばたき動作の速度調整により、前記垂直姿勢でのホバリングをも可能に設けられることを特徴とする請求項1記載の羽ばたき型飛行機。
【請求項5】
飛行に際する各種の動作制御を行う制御手段を備え、
前記制御手段は、機体の姿勢を検出するセンサと、当該センサの検出値に基づいて、予め指定した所望の飛行状態にするように、前記羽ばたき動作と前記重心移動手段の動作を制御する自動制御機能とを備えたことを特徴とする請求項1記載の羽ばたき型飛行機。
【請求項6】
前記胴体の後端側に配置された脚部を更に備え、
前記脚部は、機体の離着陸時に、当該機体を前記垂直姿勢で地面に自立可能に支持することを特徴とする請求項1記載の羽ばたき型飛行機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に対して揚力及び推力を発生させる羽ばたき動作を行いながら飛行可能な羽ばたき型飛行機に係り、更に詳しくは、水平飛行モード及び垂直飛行モードの双方の飛行モードでの飛行を可能にする羽ばたき型飛行機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、翼部材の打ち上げ動作と打ち下ろし動作を繰り返し行いながら、機体に揚力と推力を発生させ、当該機体の空中飛行を可能にする羽ばたき型飛行機が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような羽ばたき型飛行機の多くは、飛行中に発生する揚力を調整しながら姿勢制御を行っており、当該揚力のように空気力学的作用で生じる力は、機体の飛行速度に依存するため、機体の姿勢制御が難しく、特に、ホバリング等の低速飛行時には姿勢制御に必要となる力が発生し難い。そこで、特許文献2には、機体の重心移動を利用して機体の姿勢制御を行える羽ばたき型飛行機が提案されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2010-18059号公報
【特許文献2】特開2012-218474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1及び2の羽ばたき型飛行機にあっては、鉛直方向に機体を移動させる垂直飛行を行うことができず、例えば、森林の中やビルの谷間等、周囲に高い物体が存在する空間内を飛行させるには、大きな制約が生じ、汎用性の高い飛行を実現できない。また、前記特許文献1及び2の羽ばたき型飛行機では、地面に対する離着陸を自力で行うことができず、離着陸のための滑走路やカタパルト等の設備や人力による投げ上げ、受け取りが必要となり、当該設備を配置できない場所や人間が入れないような場所での機体の離着陸を行えず、この点においても、飛行機の使用に一定の制約が生じる。
【0005】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、水平飛行及び垂直飛行による広範な速度帯での飛行を可能にし、各種飛行を広範な状況下にて行うことができる羽ばたき型飛行機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、主として、本発明は、機体に対して揚力及び推力を発生させる羽ばたき動作を行いながら飛行可能な羽ばたき型飛行機において、機体の進行方向前後に延びる胴部と、当該胴部の前側に取り付けられて前記羽ばたき動作を行うための羽ばたき動作手段と、機体の重心位置の移動によって、飛行時の飛行姿勢を変化させる重心移動手段とを備え、前記重心移動手段は、機体が地面に対して水平姿勢で移動する水平飛行モードによる飛行と、機体が地面に対して垂直姿勢で移動する垂直飛行モードによる飛行とを可能に、機体の重心位置を移動させる、という構成を採っている。
【0007】
なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、位置若しくは方向を示す用語は、特に明記しない限り、図1の姿勢等を基準として、次のように定義する。すなわち、「前」、「後」は、機体の進行方向における「前」、「後」を意味し、図1において、x軸方向が進行方向となり、同図中右側が「前」で、同左側が「後」となる。また、「左」、「右」は、機体の進行方向に対する横方向(図1中y軸方向)について、進行方向における「左」、同「右」を意味する。更に、「上」、「下」は、図1に表した機体の水平姿勢を基準とし、図1中z軸方向における「上」、「下」を意味し、水平姿勢時における背中側が「上」で、同姿勢時において地面に対向する腹側が「下」となる。
【0008】
また、本特許請求の範囲及び本明細書において、「機体」とは、羽ばたき型飛行機全体の総称として用いる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、羽ばたき動作における揚力の調整によらず、重心移動手段による機体の重心移動により、羽ばたき動作を行いながら、機体の姿勢を水平姿勢と垂直姿勢との間で自由に変化させることで、水平飛行モード及び垂直飛行モードによる選択的な飛行が可能になり、様々な状況下で要求される飛行態様を実現することができる。また、機体の飛行姿勢を水平姿勢と垂直姿勢との間で連続的に変化させることができ、羽ばたき動作の速度調整を行いながら、水平飛行による高速飛行から垂直飛行による低速飛行まで、1機の構成で広範な速度帯での連続飛行が可能になる。また、従来の羽ばたき飛行機では実現できなかった垂直姿勢での飛行と、当該垂直姿勢での地面に対する機体の離着陸とが可能になるため、例えば、周囲に高い樹木や構造物等の物体が存在するような限られた空間での飛行も行うことができる。以上により、本発明の羽ばたき型飛行機によれば、様々な状況下において、広範な速度帯による飛行が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る羽ばたき型飛行機を模式的に表した斜視図である。
【図2】(A)~(E)は、羽ばたき飛行機の飛行動作を順に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

【0012】
図1には、本実施形態に係る羽ばたき型飛行機を模式的に表した斜視図が示されている。この図において、前記羽ばたき型飛行機10は、機体に対して揚力及び推力を発生させる羽ばたき動作に加え、機体の重心位置の移動を行うことにより、空中を水平方向に移動する水平飛行モードと、空中を鉛直方向に移動する垂直飛行モードとによる飛行を可能にした構造となっている。なお、図1は、前記水平飛行モードでの機体の姿勢を表しているが、当該水平飛行モードでは、地面に対して機体が水平となる水平姿勢の状態で飛行する。一方、前記垂直飛行モードでは、地面に対して機体が垂直となる垂直姿勢の状態で飛行する。

【0013】
この羽ばたき型飛行機10は、機体の進行方向前後に延びる胴部11と、胴部11の前側に配置されて羽ばたき動作を行うための羽ばたき動作手段12と、胴部11の後側に取り付けられる尾翼部14と、胴部11の後端部分に取り付けられた脚部15と、羽ばたき動作手段12と尾翼部14との間となる胴部11の位置に設けられ、進行方向に対して横向きに機体の方向変換をするための方向変換手段16と、羽ばたき動作時における機体の重心位置の移動によって、前記水平姿勢と前記垂直姿勢との間で飛行姿勢を変化させる重心移動手段18と、飛行に際する各種の動作制御を行う制御手段としての制御用ボード19とを備えて構成されている。

【0014】
前記胴部11は、特に限定されるものではないが、カーボンロッド等の軽量且つ高強度の材質の棒材によってフレーム状に形成されており、当該胴部11を除く前述の構成要素全てを支持している。

【0015】
前記羽ばたき動作手段12は、羽ばたき翼となる主翼部21と、主翼部21の羽ばたき動作を可能にする羽ばたき機構22と、羽ばたき機構22を通じて主翼部21に羽ばたき動作をさせる駆動源となる羽ばたき用モータ23とを備えており、これら全てが胴部11の前方上側に配置されるようになっている。

【0016】
前記主翼部21は、合計4枚の翼本体25と、当該翼本体25が取り付けられるとともに、羽ばたき機構22に繋がる2本のV字状のフレーム27とからなる。

【0017】
前記翼本体25は、進行方向左側で上下一対設けられた左上側の翼本体25A及び左下側の翼本体25Bと、進行方向右側で上下一対設けられた右上側の翼本体25C及び右下側の翼本体25Dとからなり、それぞれ同一の形状及びサイズに設けられている。なお、これら翼本体25A~25Dは、前記羽ばたき動作によって揚力及び推力を発生させることができる限りにおいて、種々の形状や材質等を採用することができる。本実施形態の翼本体25A~25Dは、特に限定されるものではないが、ポリエチレン製のフィルムにより形成され、直線状縁と円弧状縁とを有する楕円扇形の形状となっている。

【0018】
前記フレーム27は、左下側及び右上側の翼本体25B,25Cが取り付けられる第1のフレーム27Aと、左上側及び右下側の翼本体25A,25Dが取り付けられる第2のフレーム27Bとにより構成される。なお、これらフレーム27A,27Bについても、特に限定されるものではないが、カーボンロッド等の軽量且つ高強度の材質の棒材で形成される。

【0019】
前記第1のフレーム27Aは、中央部分Cを挟んで図1中奥行側となる左側部分に、左下側の翼本体25Bの直線状縁が取り付けられ、中央部分Cを挟んで同手前側となる右側部分に、右上側の翼本体25Cの直線状縁が取り付けられる。

【0020】
前記第2のフレーム27Bは、前記左側部分に、左上側の翼本体25Aの直線状縁が取り付けられ、前記右側部分に、右下側の翼本体25Dの直線状縁が取り付けられる。

【0021】
これらフレーム27A,27Bは、それらの中央部分Cが胴部11の前端側に相対回転可能に取り付けられるとともに、相互に異なる向きで胴部11の前後にシフトして設けられており、後述するように、翼本体25による羽ばたき動作を左右同一に行えるように構成されている。

【0022】
前記羽ばたき機構22は、各フレーム27A,27Bにそれぞれに繋がっており、相対する上下の翼本体25を左右同じ動きで離間接近させるように、中央部分Cを中心に各フレーム27A,27Bをそれぞれ揺動させるクランク機構により構成される。このクランク機構は、図示を簡略化しているが、クランク軸、ギア、回転軸等からなる公知の構造からなり、本発明の本質部分でないため、構造の詳細な説明を省略する。

【0023】
前記羽ばたき用モータ23は、その駆動により、羽ばたき機構22から主翼部21に動力が伝達され、主翼部21による後述の羽ばたき動作が可能となる。本実施形態では、この羽ばたき用モータ23としてDCモータが用いられている。

【0024】
以上の構成の羽ばたき動作手段12では、羽ばたき機構22の構造により、羽ばたき用モータ23が駆動すると、次のように、主翼部21で羽ばたき動作が行われることになる。

【0025】
すなわち、羽ばたき用モータ23が駆動すると、翼本体25の打ち上げ動作と打ち下ろし動作が、左右それぞれ同一のタイミングで繰り返し行われ、上側の翼本体25A,25Cが相対する下側の翼本体25B,25Dに対し離間接近する。このとき、各翼本体25A~25Dの後縁側となる円弧状縁は、他の部材に接続されていないことから、各翼本体25A~25Dが後方にはためきながら、後方への空気の流れを生じ、この流れが機体を前方に推進させる推力となる。加えて、当該羽ばたき動作により、翼本体25付近に生成される渦等の流体作用によって、機体に対する揚力が発生する。なお、この際の揚力中心は、翼本体25の近傍における胴部11のやや上方に位置することになる。

【0026】
なお、前記羽ばたき動作手段12としては、前述の構成に限定されることなく、前述の羽ばたき動作を行える限りにおいて、種々の構造や構成を採用することができる。

【0027】
前記尾翼部14は、胴部11の後端部分の左右両側に配置された水平尾翼29と、これら水平尾翼29の間に起立配置された垂直尾翼30とからなり、それぞれ胴部11に対して相対移動不能に固定されている。なお、前記尾翼部14は、後述する飛行を可能にするように、空気力学等を考慮した形状及び材質によって形成されている。

【0028】
前記脚部15は、カーボンロッド等の棒材によって3脚状に形成されており、図2(A)、(E)に示されるように、羽ばたき動作手段12側を同図中上側にした垂直姿勢により、地面G上で機体を自立できるように構成されている。また、脚部15には、垂直姿勢による地面Gへの着陸時に、当該着陸によるバランスの崩れや衝撃を吸収し、前記自立を可能にする弾性を付与することが好ましい。

【0029】
前記方向変換手段16は、図1に示されるように、方向変換用モータ32によって駆動するプロペラ33の正逆回転により、機体を進行方向に対して横方向(同図中z軸回り)に旋回させることで、機体の進行方向の変更や姿勢維持を可能に機能する。

【0030】
前記重心移動手段18は、胴部11の前端側で揺動可能に取り付けられ、機体の重心位置を変化させる揺動体35と、揺動体35を動作させるサーボモータからなる重心移動用モータ36とにより構成される。

【0031】
前記揺動体35は、基端側が重心移動用モータ36に繋がるアーム38と、アーム38の先端側に固定される錘39とからなり、前記水平飛行モードでの飛行時に、機体の重心位置を胴部11の前寄りに位置させる一方、前記垂直飛行モードでの飛行時に、水平飛行モードでの飛行時よりも前記重心位置を胴部11の後方に位置させるように揺動する。

【0032】
前記アーム38は、重心移動用モータ36の駆動により、胴部11の前端側を支点として、胴部11を挟んで羽ばたき動作手段12の反対側で錘39を胴部11に離間接近させるように、胴部11の延出方向に対してほぼ直交する方向、すなわち、図1中xz面に沿って上下方向に揺動する。

【0033】
前記錘39は、前述の各種モータ23,32,36や制御用ボード19に対して電力を供給するバッテリーからなる。当該錘39は、アーム38の揺動により、前記水平飛行モードでの飛行を可能にする図1中実線の第1位置と、前記垂直飛行モードでの飛行を可能にする同図中一点鎖線の第2位置との間で移動可能に設けられる。この第2位置は、前記第1位置よりも胴部11の後側で胴部11に近づくように設定される。すなわち、錘39は、胴部11の前端側を中心として、前記第1位置と前記第2位置との間で、上下方向に回転移動することで、機体の重心位置を変化させることが可能になる。本実施形態においては、前記第1位置が、胴部11よりもやや上方となる中央寄りの位置とされ、前記第2位置が、胴部11よりも下方で胴部11との最短距離が最も離れる機体の前端側の位置とされる。

【0034】
前記制御用ボード19は、図示省略した操作装置等からの操作者からの操作指令に対応し、前記各モータ23,32,36への駆動制御を行えるようになっており、前記操作装置からの操作指令信号を受信可能な無線モジュールや各種の電子部品からなる処理回路等を含むコンピュータにより構成される。また、この制御用ボード19は、羽ばたき機構22の近傍となる胴部11の上側に配置される。

【0035】
なお、以上の構成の羽ばたき型飛行機10について、各構成要素のサイズ、重量、設置位置等の詳細な仕様に関しては、後述する飛行動作を実現可能となるようにそれぞれ設定される。

【0036】
次に、図2を用いて、前記羽ばたき型飛行機10の飛行動作につき説明する。

【0037】
先ず、羽ばたき型飛行機10が、図2(A)に示されるように、垂直姿勢で地面Gに自立した状態から、羽ばたき用モータ23の駆動によって、主翼部21の羽ばたき動作が開始される。この際、相対する翼本体25の接近によって、これら翼本体25の間の空気が地面Gの方向に流れ、この空気の流れによる上昇力によって、機体が上昇して垂直飛行モードでの飛行が可能になる。この垂直飛行モードの際、錘39は、重心移動用モータ36の駆動によって、胴部11の中央付近で近づく前記第2位置とし、機体の重心位置を胴体11の中央寄りに移動させる。これにより、前記上昇力の他に羽ばたき動作によって生じる力のモーメントがキャンセルされ、垂直姿勢を維持したまま機体を上昇させることが可能となる。この際、機体の姿勢が横方向に傾いたときには、方向変換手段16が用いられ、方向変換用モータ32の駆動により、当該姿勢を矯正する方向にプロペラ33を回転させることで、機体の垂直姿勢が維持される。

【0038】
また、羽ばたき動作の速度を調整することで、羽ばたき型飛行機10を垂直姿勢のままホバリングさせることができ、この際の姿勢維持にも方向変換手段16が用いられる。

【0039】
羽ばたき型飛行機10が垂直飛行モードで上昇し、所望の高さに達してから水平飛行モードに移行する際には、重心移動用モータ36の駆動によって錘39を回転移動し、錘39を前記第2位置から前記第1位置に移動させる。これによって、機体の重心位置が胴部11の前方に徐々に移動し、図2(B)、(C)に示されるように、主翼部21側となる機体の前側が地面G側に次第に傾きながら、機体が水平姿勢に移行する。この際、主翼部21での羽ばたき動作は継続されており、垂直飛行モードから水平飛行モードに連続的に移行しながら、羽ばたき飛行機10が前方に飛行することになる。この水平飛行モードでは、主翼部21の羽ばたき動作によって揚力と推力が働き、機体を所望の位置に移動させる水平飛行が可能になる。この際、風等の外乱によって、機体の進行方向が所望の方向からずれたときや、機体の進行方向を変更したいときには、方向変換手段16が用いられる。

【0040】
羽ばたき型飛行機10が水平飛行モードで空中移動し、所望の位置に達したら、重心移動用モータ36を駆動させ、前述と逆の手順で、錘39を水平飛行モードのときの前記第1位置から垂直飛行モードのときの前記第2位置に移動させる。すなわち、このとき、機体の重心位置が前端側から後方に徐々にシフトするように錘39が移動し、図2(D)、(E)に示されるように、機体が、水平姿勢から次第に尾翼部14側を地面G側に下げながら垂直姿勢に移行することになる。この際、主翼部21での羽ばたき動作を調整しながら、機体を徐々に降下させ、垂直姿勢のまま脚部15から地面Gに着陸させる。

【0041】
従って、このような実施形態によれば、飛行速度に依存する揚力の大きさを調整することなく、機体の重心移動を用いて、一連の動作で垂直飛行と水平飛行とが共に可能になるとともに、自立での垂直離着陸も可能となり、幅広い用途の飛行体として利用することができる。

【0042】
また、揺動体35以外に羽ばたき型飛行機10の重量の大部分を占める羽ばたき動作手段12及び制御用ボード19が、胴部11の前端側上部に設けられているため、揺動体35を除く各種部材による重心を翼本体25の存在する当該上部付近に位置させ、当該重心位置を翼本体25の羽ばたき動作による揚力中心に近けることができ、羽ばたき型飛行機10に作用するモーメントの影響等を少なくし、揺動体35の動作での重心移動による飛行制御をより簡単且つ確実に行うことができる。

【0043】
なお、前記実施形態では、図示しない操作装置による操作者のマニュアル操作により、各種態様で羽ばたき型飛行機10を飛行させるようにしたが、制御用ボード19に、機体の姿勢を検出する姿勢センサ、加速度センサ、位置センサ等を設け、当該各センサからの検出結果によるフィードバック制御により、予め指定した所望の飛行状態を維持できるように、各モータ23,32,36の駆動制御による羽ばたき動作制御を自動で行う自動制御機能を制御用ボード19のコンピュータに設けることも可能である。

【0044】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 羽ばたき型飛行機
11 胴部
12 羽ばたき動作手段
15 脚部
18 重心移動手段
19 制御用ボード(制御手段)
35 揺動体
36 重心移動用モータ
38 アーム
39 錘
図面
【図1】
0
【図2】
1