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明細書 :加工対象物の加工計測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-169007 (P2019-169007A)
公開日 令和元年10月3日(2019.10.3)
発明の名称または考案の名称 加工対象物の加工計測装置
国際特許分類 G05B  19/4061      (2006.01)
B23Q  17/24        (2006.01)
G05B  19/19        (2006.01)
G05B  19/401       (2006.01)
FI G05B 19/4061 M
B23Q 17/24 A
G05B 19/19 H
G05B 19/401
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2018-057313 (P2018-057313)
出願日 平成30年3月23日(2018.3.23)
発明者または考案者 【氏名】池内 壽孝
【氏名】脇迫 仁
出願人 【識別番号】506221723
【氏名又は名称】株式会社熊本精研工業
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100195970、【弁理士】、【氏名又は名称】本夛 伸介
【識別番号】100204847、【弁理士】、【氏名又は名称】北村 佳代子
審査請求 未請求
テーマコード 3C029
3C269
Fターム 3C029CC10
3C269AB01
3C269BB03
3C269EF71
3C269JJ09
3C269MN16
3C269QC01
3C269QD02
3C269QE10
要約 【課題】本発明は、加工対象物の計測の精度を向上させること、ひいては加工対象物の加工精度を向上させること、及び加工計測装置の移動をより容易にすることを目的とする。
【解決手段】撮像装置は、加工対象物の加工を行う加工機の主軸に取り付けられる。ユーザ端末は、加工機から機械座標を取得し、撮像装置から加工対象物の画像を取得し、取得した画像を表示部へ表示する。ユーザ端末は、ユーザがタッチパネルより指定した位置の機械座標を取得し、取得した画像とユーザが指定した機械座標より、加工状態を計測する。ユーザ端末は、端末からCAD図を取得し、取得した画像に取得したCAD図を重畳して表示部へ表示する。ユーザ端末は、取得した画像とCAD図との差分を演算し、計測結果を端末へ送信する。端末は、受信した差分からNCデータを作成し、加工機へ送信する。加工機は、受信したNCデータに従って、加工対処物に加工を追加する。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
加工対象物を加工する加工機の、加工対象物を載せる載置台上の加工対象物の加工状態を計測する加工計測装置であって、
当該加工計測装置を駆動するための電力を蓄える蓄電装置と、
外部機器に対して無線によりデータを送受する送受信手段と、
前記加工機に脱着可能に配設され、前記加工対象物を当該加工対象物に対向する位置より撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像した画像を取得する画像取得手段と、
前記送受信手段により前記加工機が有する座標を当該加工機械から取得する座標取得手段と、
前記画像取得手段により取得した前記撮像画像と前記座標取得手段により取得した前記座標に基づき、前記加工対象物の加工状態を計測する計測手段と、
前記計測手段が計測した情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする加工計測装置。
【請求項2】
前記加工対象物の加工に用いる設計情報を取得する設計情報取得手段と、を備え、
前記計測手段は、当該計測手段が計測した情報と前記設計情報取得手段が取得した設計情報との差分を演算し、
前記表示手段は、当該演算結果を表示することを特徴とする請求項1に記載の加工計測装置。
【請求項3】
前記設計情報取得手段は、前記送受信手段を介して外部機器より設計情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の加工計測装置。
【請求項4】
前記送受信手段は、前記計測手段が演算した演算結果を外部機器へ送信することを特徴とする請求項1から3に記載の加工計測装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記加工機の工具交換手段により前記加工対象物に対向する位置に配設され、
前記画像取得手段は、前記送受信手段を介して前記撮像画像を前記撮像装置から取得することを特徴とする請求項1から請求項4に記載の加工計測装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象物の加工状態を計測する加工計測装置に係るものであり、具体的には例えば、放電加工や機械加工によって研削や切断加工を行う加工機において、加工対象物の加工中に、当該加工対象物を当該加工機から取り外すことなく当該加工機上にて当該加工対象物の加工状態を計測する加工計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工機において加工対象物を加工する際には、その加工作業中において、加工対象物が所望の加工状態に加工されているかを確認する必要がある。切断加工や研削加工を初めとする加工作業には極めて高い精度が要求される場合が多く、その精度はμm単位で求められることがある。
加工対象物の加工状態を知るために、加工対象物を加工機から取り外し、顕微鏡等を用いて目視にてその加工状態を確認することができる。
【0003】
しかしながら、加工対象物を加工機から取り外して、加工対象物に必要な追加作業分を計測したとしても、加工象物を再度加工機に取り付ける際に、加工対象物を加工機から取り外す前の位置と同じ位置に戻すことは困難であるところ、μm単位での精度を求める場合においては特に困難を極める。その結果、必然的に加工対象物への加工精度の確保も困難となる。
このような問題を解決すべく、加工対象物を加工機に取り付けた状態で加工対象物の加工状態を計測する機能を有する加工機や、汎用の加工機に脱着可能に取り付けられる加工計測装置が知られている。
例えば、特許文献1には、汎用の加工機に脱着可能であって、加工対物を加工機の設置台から取り外さずに加工状態を確認できる技術が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、加工対象物の加工状況を計測するにあたり、作業者は、加工対象物の計測したい位置の機械座標を加工精度確認装置に手入力する必要がある。手入力であるがゆえに、作業者の手間がかかり、かつ、入力ミスをすれば誤計測となる。
作業者が、機械座標を正しく入力したとしても、その計測位置の指定が作業者毎に異なることにより、計測結果が異なることがある。μm単位の精度を求める際に、作業者によって計測結果が異なることは致命的であり、できるかぎり減らす若しくはなくすのが望ましい。
【0005】
また、特許文献1記載の加工精度確認装置は、汎用の加工機に脱着可能であるとしても、当該加工精度確認装置を稼働する電力の供給の面や、加工機が、外部と通信するため通信部をその背面に有する場合、該加工機と当該加工精度確認装置とを通信可能に接続するための配線の取り回しも難しいことから、何れの場所にある加工機においても使用できるというものでもない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】実用新案登録第3186406号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、加工対象物の計測の精度を向上させること、ひいては加工対象物の加工精度を向上させること、及び加工計測装置の移動をより容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1に記載の発明では、加工対象物を加工する加工機の、加工対象物を載せる載置台上の加工対象物の加工状態を計測する加工計測装置であって、当該加工計測装置を駆動するための電力を蓄える蓄電装置と、外部機器に対して無線によりデータを送受する送受信手段と、前記加工機に脱着可能に配設され、前記加工対象物を当該加工対象物に対向する位置より撮像する撮像装置と、前記撮像装置により撮像した画像を取得する画像取得手段と、前記送受信手段により前記加工機の座標を当該加工機械から取得する座標取得手段と、前記画像取得手段により取得した前記撮像画像と前記座標取得手段により取得した前記座標に基づき、前記加工対象物の加工状態を計測する計測手段と、前記計測手段が計測した情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする加工計測装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記加工対象物に用いた設計情報を取得する設計情報取得手段と、を備え、前記計測手段は、当該計測手段が計測した情報と前記設計情報取得手段が取得した設計情報との差分を演算し、前記表示手段は、当該演算結果を表示することを特徴とする請求項1に記載の加工計測装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記設計情報取得手段は、前記送受信手段を介して外部機器より設計情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の加工計測装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記送受信手段は、前記計測手段が演算した演算結果を外部機器へ送信することを特徴とする請求項1から3に記載の加工計測装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記撮像装置は、前記加工機の工具交換手段により前記加工対象物に対向する位置に配設され、前記画像取得手段は、前記送受信手段を介して前記撮像画像を前記撮像装置から取得することを特徴とする請求項1から請求項4に記載の加工計測装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
(1)請求項1記載の発明によれば、加工対象物を加工する加工機の、加工対象物を載せる載置台上の加工対象物の加工状態を計測する加工計測装置であって、当該加工計測装置を駆動するための電力を蓄える蓄電装置と、前記加工機に脱着可能に配設され、前記加工対象物を当該加工対象物に対向する位置より撮像する撮像装置とを備え、前記撮像装置により撮像した画像を取得し、前記加工機より当該加工機の座標を無線通信にて取得し、取得した前記撮像画像と取得した前記座標に基づき、前記加工対象物の加工状態を計測し、当該計測した情報を表示するので、加工対象物の計測の精度を向上させること、及び加工計測装置の移動をより容易にすることができる。
また、撮像部の無線化によってオートツールチャレンジャーへの搭載が可能となり、このことによって自動計測と自動補正加工が可能となる結果、量産加工機への搭載が実現できる。
さらに、CADとCAMの連動による加工機の自動加工化も実現できる。
(2)請求項2に記載の発明によれば、前記加工対象物に用いた設計情報を取得し、前記計測した情報と前記取得した設計情報との差分を演算し、当該演算結果を表示するので、加工対象物の計測の精度を向上させることができる。
(3)請求項4に記載の発明によれば、前記演算結果を外部機器へ送信するので、加工対象物の加工精度を向上させることができる。
(4)請求項5に記載の発明によれば、前記撮像画像を前記撮像装置から無線通信により取得するので、安定的な加工精度を担保しつつも作業負担なく、加工計測装置の移動をより容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態における加工計測装置100の構成図である。
【図2】本実施形態におけるユーザ端末200の構成図である。
【図3】本実施形態における撮像装置300の断面図である。
【図4】本実施形態における加工計測システムの構成図である。
【図5】本実施形態における撮像装置300が加工機に取り付けられた状態を示す図である。
【図6】本実施形態における高さを計測する画面表示を示す図である。
【図7】本実施形態における撮像装置300により撮像された画像とCAD図とを比較する画面表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の加工計測装置における好適な実施の形態について、図1から図7を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
撮像装置300は、加工対象物を加工する加工途中において、加工状態を確認する加工対象物の加工を行う加工機600の主軸620に取り付けられる。
ユーザ端末200は、加工機600から加工機600が有する機械座標を取得し、撮像装置300から加工対象物の画像を取得する。ユーザ端末200は、取得した画像を表示部250へ表示し、ユーザがタッチパネル240より指定した位置の機械座標を取得する。ユーザ端末200は、取得した画像とユーザが指定した機械座標より、加工状態を計測する。

【0012】
ユーザ端末200は、端末500からCAD図を取得する。ユーザ端末200は、撮像装置300より取得した画像に取得したCAD図を重畳して表示部250へ表示する。
ユーザ端末200は、取得した画像とCAD図との差分を演算し、計測結果を端末500へ送信する。
端末500は、受信した計測結果からNCデータを作成し、加工機600へ送信する。
加工機600は、受信したNCデータに従って、加工対処物に加工を追加する。

【0013】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態における加工計測装置100の構成図を表したものである。
加工計測装置100は、加工対象物の加工状態を計測するユーザ端末200と、加工対象物を撮像する撮像装置300と、ユーザ端末200を駆動する電力を蓄える蓄電装置400からなる。

【0014】
撮像装置300とユーザ端末200は、有線又は無線通信で相互に接続する。
有線である場合には、後述する照明装置320を制御するためのシールド線と、撮像装置300が撮像した画像をユーザ端末200へ送信するためのUSBケーブルとを多芯線として構成する。
撮像装置300とユーザ端末200とを無線通信とする場合には、撮像装置300は、シングルボードコンピュータを搭載し、当該コンピュータにより照明装置320を制御し、撮像した画像をユーザ端末200へ送信する。

【0015】
撮像装置300とユーザ端末200を無線通信とした場合には、撮像装置300を、加工機600のオートツールチェンジャーに取り付けて使用することができる。
撮像装置300を通信ネットワークに接続してユーザ端末200と通信するようにしてもよい。加工機600とユーザ端末200とが離れている場合、例えば異なる部屋に設置される場合など、撮像装置300とユーザ端末200が通信ネットワークを介して接続することができる。

【0016】
蓄電装置400とユーザ端末200は、電源ケーブルにより接続する。
蓄電装置400は、ACバッテリーなど、ユーザ端末200へ電源を供給できるものであればよい。ユーザ端末200と蓄電装置400は、移動に際し、同一の台車に載せる等して、一緒に移動する。

【0017】
ユーザ端末200は、パーソナルコンピュータ、タブレット、もしくは専用端末等である。ユーザ端末200が例えばタブレット等であり、ユーザ端末200がバッテリー等の蓄電装置を内蔵可能である場合には、蓄電装置400は不要である。

【0018】
図2は、ユーザ端末200の構成図である。
ユーザ端末200は、制御部210を備えており、データバス等のバスラインを介して記憶部220、通信制御部230、タッチパネル240、表示部250、その他の機器が接続される。

【0019】
制御部210は、CPU211、ROM212、RAM213を備える。
CPU211は、プログラムに従って、装置、各部を制御し、演算を行う。
ROM212は、CPU211が各種制御や演算を行うための各種プログラムやデータが予め格納されたリード・オンリ・メモリである。
RAM213は、CPU211にワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。このRAM213には、本実施形態による計測のための演算等の各種処理を行うための各種領域が確保可能になっている。

【0020】
記憶部220は、書込み可能な記憶媒体で構成され、主としてハードディスクが使用される。記憶部220は、計測部221と画像処理部222を有している。
計測部221は、撮像装置300が撮像した加工対象物の画像と、加工機600から取得する機械座標と、タッチパネル240からの入力に従い、計測のための演算を行う。
画像処理部222は、加工対象物の画像から加工対象物の端面であるエッジを検出するなどの画像に対する処理を行う。
通信制御部230は、ユーザ端末200と、撮像装置300や加工機600、端末500、その他のパーソナルコンピュータ等の各種外部電子機器とを通信ネットワークを介して接続するための制御装置である。

【0021】
タッチパネル240は、表示部250の前面に重ねて配置され、タッチペンやユーザの指による入力を受け付ける入力装置である。タッチパネル240は、例えば、感圧式のタッチセンサパネルからなり、タッチペン等の圧力を検知し、接触等のタッチ操作およびその位置(タッチ位置)等を検出する。タッチパネル240は、たとえば、静電容量の変化からユーザの指等の接触を検知・検出するものであってもよい。なお、入力装置はタッチパネルの他に、キーボードやマウス等でもよい。
表示部250は、例えば液晶ディスプレイ等であり、フルハイビジョン以上のパネルの使用が望ましい。この表示部250には、撮像装置300が撮影した画像や計測部221の演算結果、ユーザ等がタッチパネル240に接触することで計測の指示を入力するのに必要な計測ボタン等を表示する。

【0022】
図3は、撮像装置300の断面図である。
撮像装置300は、カメラ310、照明装置320、係合部330、通信部340からなる。
カメラ310は、CCDカメラやCMOSカメラ等である。加工においては、μm単位での精度が求められるため、画素数は高いほうが良い。画素数が高いほど計測精度は向上するためである。
照明装置320は、LED照明等である。照明装置320は、同軸スポット照明とリング照明が可能である。
同軸スポット照明は、加工対象物を平行光で照射する。加工対象物を平行光で照射することにより、金属顕微鏡で観察するかのような撮像が可能である。
他方、リング照明は、加工対象物を拡散光で照射する。このため、実体顕微鏡で観察したかのような撮像が可能である。

【0023】
同軸スポット照明とリング照明は同時点灯が可能である。また、両照明の照明強度は、ユーザ端末200から制御することができる。これにより、加工対象物ごとに最適な照明強度を提供でき、カメラ310が撮像する画像の精度を高め、ひいては、加工対象物の計測の精度を向上することができる。
撮像装置300を駆動するための電力は、撮像装置300がユーザ端末200とUSBケーブルや多芯線などを用いて有線にて接続する場合には、当該有線を用いてユーザ端末200より供給する。撮像装置300が無線にて外部機器と通信する場合には、撮像装置300は自身の駆動に必要な電力を供給するためのバッテリーや電池などの蓄電装置を内蔵する。

【0024】
係合部330は、撮像装置300を加工機600の主軸620へ取り付けるための形状を有する。例えば、加工機が放電加工機であれば、その主軸620へ治具を介して撮像装置300を取り付けることとなり、係合部330は当該治具に対応した形状をとる。
また、撮像装置300を加工機の主軸620には取り付けずに、加工機にアーム等を配設し、これに撮像装置300を取り付ける場合には、係合部330は、当該アーム等に係合する形状をとる。
通信部340は、撮像部300とユーザ端末200とを、有線または無線にて直接に接続する。また、通信部340は、上述のように、撮像装置300を通信ネットワークに接続してユーザ端末200と通信するようにしてもよい。

【0025】
図4は、本実施形態が適用される加工計測システムの構成図である。
加工計測システムは、加工対象物の加工状態を計測する加工計測装置100と、加工対象物を加工する加工機600と、設計情報であるCAD図の情報や加工計測装置100が計測した情報を格納する端末500からなる。
加工計測装置100と加工機600と端末500はそれぞれ、LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続し、インターネットや専用回線などの通信ネットワークを介して通信可能に接続される。

【0026】
加工計測装置100のユーザ端末200は無線LANにより通信ネットワークに接続する。無線LANとすることで配線を取り回す必要がなく、有線である場合に比して加工計測装置100を容易に移動することができる。
加工機600と端末500は、有線LAN、無線LAN、WiFi等により通信ネットワークへ接続する構成とすることができる。
加工機600は、形彫放電加工機、ワイヤ放電加工機、マシニングセンタ、フライス、表面研削盤、プロファイル研削盤等のNCデータに従って加工対象物を加工するNC加工機である。加工機600は、ステージ610、主軸620、制御部630、通信部640を有する。

【0027】
図5は、加工機600におけるステージ610と主軸620の構成を示す図である。
ステージ610上に加工対象物が設置される。ステージ610は、加工に際し、X軸及びY軸方向へ移動する。
主軸620は、加工に応じた工具を把持し、Z軸方向へ移動する。
制御部630は、XYZの3軸を制御して、NCデータに従って加工機600を動作させる。
通信部640は、加工機600を通信ネットワークに接続する。

【0028】
図4に戻り説明する。
端末500は、パーソナルコンピュータ、サーバ、NAS(Network Attached Strage)等であり、外部機器と通信可能な端末である。
端末500は、制御部510、記憶部520、通信制御部530、その他の機器を備える。制御部510には、バスラインを介して記憶部520、通信制御部530、およびその他の機器が接続されている。

【0029】
端末500の制御部510は、プログラムに従って装置、各部を制御し、演算を行うCPU511、CPU511が各種制御演算を行うためのプログラムやデータを格納するROM512、CPU511にワーキングメモリとして使用されるRAM513を備えている。
記憶部520は、読み書き可能な記憶媒体で構成され、主としてハードディスクが使用される。記憶部520は、CAD図の情報、及びCAD図から作成されたNCデータを格納する。また、端末500の制御部510は、ユーザ端末200から計測結果等の情報を取得する場合には、当該情報を端末500の記憶部520へ格納する。
通信制御部530は、端末500を通信ネットワークへ接続するための制御装置である。

【0030】
次に、以上のように構成された実施形態の動作について説明する。
作業者は、加工機600のステージ610へ加工対象物をセットする。
端末500の制御部510は、NCデータを加工機600へ送信する。
加工機600の制御部630は、端末500が送信したNCデータを取得する。制御部630は、取得したNCデータに従って加工機600を動作させ、加工対象物への加工を開始する。

【0031】
作業者は、加工機600による加工対象物への加工の状態を、加工計測装置100を使用して確認する。
加工計測装置100の蓄電装置400は、予め充電される。
作業者はユーザ端末200を起動する。ユーザ端末200が専用端末でなく、パーソナルコンピュータ等である場合には、ユーザ端末200に予めインストールされた加工状態を計測するためのアプリケーションを起動する。当該アプリケーションは、ユーザ端末200にインストールされてもよいし、クラウドにて提供されるようにしてもよい。
作業者は、加工機600の主軸620から工具を外し、撮像装置300を取り付ける。
撮像装置300は、ステージ610上の加工対象物を撮像する。

【0032】
ユーザ端末200の制御部210は、加工機600へ機械座標を要求する。機械座標は、ユーザ端末200の計測部221が計測のための演算を行う際に必要となる。加工機600の機械座標を加工機600から取得することで、作業者は、表示部250に表示される加工対象物の画像から計測したい位置をタッチパネル240から指定することで、計測する位置を入力することができる。作業者がユーザ端末200へ機械座標を手入力する必要がなくなり、結果、入力ミスがなくなることから、誤計測を減らすことができる。
加工機600の制御部630は、ユーザ端末200の要求を受信し、ユーザ端末200へ機械座標を送信する。
ユーザ端末200の制御部210は、加工機600から機械座標を受信し、取得する。

【0033】
ユーザ端末200の制御部210は、加工対象物に対するCAD図の情報を取得する。
具体的には、ユーザ端末200の制御部210は、端末500へ加工対象物に対するCAD図の情報を要求する。
端末500の制御部510は、ユーザ端末200の要求を受信し、ユーザ端末200へCAD図の情報を送信する。
ユーザ端末200の制御部210は、端末500からCAD図の情報を受信し、取得する。

【0034】
ユーザ端末200の制御部210は、撮像装置300から取得した画像を表示部250へ表示する。
ユーザ端末200の制御部210は、計測の種類を表示部250へ表示する。計測の種類は複数表示される。例えば、加工対象物へ孔を開ける加工を施す場合に使用する同心円による計測、その他、高低差のある二点の計測や、二点間の直線距離等の距離、角度、直径、円弧、仮想交点などの計測の種類が表示される。仮想交点とは、結合していない2つの辺のそれぞれの延長線が互いに交差する交点である。
作業者は、計測の種類を適宜選択する。

【0035】
続いて、作業者は、計測の種類に応じて、表示部250に表示される加工対象物の画像上の計測したい位置をタッチする。二点間の直線距離を計測したい場合には、始点と終点の位置をそれぞれタッチする。
計測にあたって、加工対象物の端面であるエッジを計測の起点とすることがある。この場合、作業者は、表示部250に表示されている加工対象物の画像上から起点とするエッジ部分を指定することとなるが、画像上で指定するため作業者毎にその指定する位置にばらつきが生じる。μm単位での計測が必要な際に、このような作業者によるエッジの指定位置のばらつきは加工対象物の加工の精度を落とすことになるため、ユーザ端末200の画像処理部222は、エッジの検出を自動で行う。

【0036】
具体的には、制御部210は、表示部250に表示されている加工対象物の画像上に十字状のカーソルを表示する。
作業者は、表示部250に表示される十字カーソルを、タッチパネル240を操作して所望の位置付近へ移動する。
画像処理部222は、エッジと十字カーソルが合致しているかを判定する。
制御部210は、画像処理部222がエッジと十字カーソルが合致していると判定した場合には、当該十字カーソルの色を変化させる。十字カーソルの色の変化により、作業者はエッジが検出されたことが判断でき、作業者毎のエッジの指定位置のばらつきを解消することができる。

【0037】
エッジの検知感度は、作業者がユーザ端末200を操作することで適宜変更することができる。
ユーザ端末200の制御部210は、タッチパネル240からのタッチの入力を受付け、タッチされた位置の機械座標を取得する。計測部221は、計測の種類、タッチパネル240からの入力情報、及び加工機600から取得した機械座標に従い、計測のための演算を行う。

【0038】
図6は、高低差のある二点の計測を行う場合を示す。
撮像装置300のカメラ310は、加工機600の主軸620のZ軸方向の移動によりその焦点をあわせる。
ユーザ端末200の表示部250には、カメラ310の焦点があっているか否かを表すフォーカスインジケータが表示される。フォーカスインジケータは、カメラ310の焦点が最もあっているときをインジケータのピークとする。
作業者は、表示部250に表示された「高さ計測メニュー」ボタンを押下する。
作業者は、高さを計測したい位置を、表示部250に表示された加工対象物の画像上からタッチパネル240をタッチして入力する。

【0039】
続いて作業者は、加工機600を操作して主軸620をZ軸方向へ移動させ、フォーカスインジケータがピークを示す位置へカメラ310を移動する。
ユーザ端末200の制御部210は、加工機600からZ軸の座標を取得する。
ユーザ端末200の制御部210は、タッチパネル240から入力された機械座標(X軸及びY軸)とZ軸を記憶する。
作業者は、高さを比較したい他点を、上記と同じ手順で指定し、制御部210は機械座標(X、Y、Z軸)を記憶する。
ユーザ端末200の計測部221は、記憶した2点のZ軸を比較して、2点間の高低差を演算し、制御部220は当該演算結果を表示部250へ表示する。

【0040】
図7は、加工対象物の画像と、端末500から取得したCAD図を重畳して表示し、加工対象物とCAD図との差を計測する場合を示す。
ユーザ端末200の制御部210は、CAD図の原点をカメラ310が撮影した加工対象物の画像に一致させ、機械座標と同期させることで、撮影画像にCAD図を追従させる。これにより、加工対象物の画像にCAD図を重畳して表示することができる。

【0041】
加工対象物のエッジとCAD図との差分は、同心円(グリッド)により計測する。
作業者は、表示部250に表示された加工対象物の画像上からタッチパネル240を操作して、上述の十字カーソルを利用して、加工対象物のエッジを検出する。続いて、作業者は、タッチパネル240を操作して、検出したエッジを中心としてCAD図のラインに接触するように同心円を描く。
ユーザ端末200の制御部210は、タッチパネル240により入力された同心円の半径を演算し、演算結果が加工対象物のエッジとCAD図との差分となる。制御部210は演算結果を表示部250へ表示する。

【0042】
撮像装置300のカメラ310は、加工対象物の全体を一度に撮像することはできないが、ユーザ端末200の制御部210は、撮像装置300より画像を取得し、その機械座標とともに記憶する。ユーザ端末200の制御部210は、記憶した画像と機械座標を活用し、加工対象物全体の計測が可能である。

【0043】
図4に戻り説明する。
ユーザ端末200の制御部210は、演算結果を端末500へ送信する。
端末500の制御部510は、ユーザ端末200から演算結果を受信し、取得する。制御部510は、取得した演算結果からNCデータを作成する。制御部510は、作成したNCデータを加工機600へ送信する。
加工機600の制御部630は、端末500よりNCデータを取得する。制御部630は取得したNCデータに従い、加工機600を制御し、ステージ610上の加工対象物へ追加の加工を行う。

【0044】
なお、演算結果を端末500へ送信せずに、作業者が加工機600へ直接追加工分のNCデータを入力しても良い。追加工に伴うNCデータの入力が煩雑でない場合や、端末500がユーザ端末200や加工機600から離れた場所にある場合など、端末500上でNCデータをすぐに作成できない場合等に有益である。

【0045】
以上説明したように本実施形態の加工計測装置100によれば、ユーザ端末200と、ユーザ端末200を駆動するための電力を蓄える蓄電装置400と、加工機600に脱着可能に配設され、加工対象物を当該加工対象物に対向する位置より撮像する撮像装置300とを備え、ユーザ端末200は撮像装置300により撮像した画像を取得し、加工機600より当該加工機600の機械座標を無線通信にて取得し、取得した撮像画像と取得した機械座標に基づき、加工対象物の加工状態を計測し、当該計測した情報を表示部250へ表示するので、加工対象物の計測の精度を向上させること、及び加工計測装置100の移動をより容易にすることができる。

【0046】
本実施形態の加工計測装置100によれば、加工対象物に用いた設計情報を端末500より取得し、撮像画像と機械座標と取得した設計情報との差分を演算し、当該演算結果を表示するので、加工対象物の計測の精度を向上させることができる。
本実施形態の加工計測装置100によれば、ユーザ端末200は、演算結果を端末500へ送信し、端末500は演算結果に基づきNCデータを作成し、加工機600は当該NCデータに従って加工対象物に追加の加工を施すので、加工対象物の加工精度を向上させることができる。
本実施形態の加工計測装置100によれば、撮像画像を撮像装置300から無線通信により取得するので、加工計測装置100の移動をより容易にすることができる。

【0047】
以上、本発明の加工計測装置における実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態では、ユーザ端末200の制御部は、演算結果を端末500へ送信し、端末500の制御部510が演算結果に基づきNCデータを作成するとしたが、ユーザ端末200の制御部210が演算結果に基づきNCデータを作成してもよい。この場合、作業者は端末500へ移動することなく、加工計測装置100により、計測から加工機600への追加の加工の指示までを一貫して行うことができる。

【0048】
ユーザ端末200の記憶部220へCAD図を格納するようにしても良い。
また、撮像装置300とユーザ端末200を無線通信とした場合には、撮像装置300を複数の加工機にそれぞれ取り付け、一台のユーザ端末200で複数の撮像装置300を管理するように構成してもよい。撮像装置300をオートツールチェンジャーに取り付けて使用する場合には、作業者は加工機まで移動することなく、複数の加工機における加工対象物の加工状態を単一のユーザ端末200を使用して確認することができる。
【符号の説明】
【0049】
100 加工計測装置
200 ユーザ端末
210 制御部
211 CPU
212 ROM
213 RAM
220 記憶部
221 計測部
222 画像処理部
230 通信制御部
240 タッチパネル
250 表示部
300 撮像装置
310 カメラ
320 照明装置
330 係合部
340 通信部
400 蓄電装置
500 端末
510 制御部
511 CPU
512 ROM
513 RAM
520 記憶部
530 通信部
600 加工機
610 ステージ
620 主軸
630 制御部
640 通信部

図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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