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明細書 :霊長類生体の脳内AMPA受容体のイメージング方法、プログラム、及びスクリーニング方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第6241974号 (P6241974)
登録日 平成29年11月17日(2017.11.17)
発行日 平成29年12月6日(2017.12.6)
発明の名称または考案の名称 霊長類生体の脳内AMPA受容体のイメージング方法、プログラム、及びスクリーニング方法
国際特許分類 A61K  49/00        (2006.01)
FI A61K 49/00
請求項の数または発明の数 7
全頁数 43
出願番号 特願2017-059301 (P2017-059301)
出願日 平成29年3月24日(2017.3.24)
優先権出願番号 2017002960
優先日 平成29年1月11日(2017.1.11)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年3月24日(2017.3.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
発明者または考案者 【氏名】高橋 琢哉
【氏名】宮崎 智之
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100131705、【弁理士】、【氏名又は名称】新山 雄一
審査官 【審査官】高橋 樹理
参考文献・文献 特表2016-522786(JP,A)
国際公開第1996/025926(WO,A1)
国際公開第2011/002096(WO,A1)
国際公開第2015/066456(WO,A1)
国際公開第2017/006931(WO,A1)
Journal of Medicinal Chemistry,2015年,Vol.58,p.8444-8462
AHMED, A. H. et al.,Molecular mechanism of flop selectivity and subsite recognition for an AMPA receptor allosteric modu,BIOCHEMISTRY,2010年,49(13),pp.2843-2850
調査した分野 A61K 49/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
要約 【課題】霊長類生体の脳内AMPA受容体をイメージング化する技術及びその応用を提供すること。
【解決手段】本発明に係る霊長類生体の脳内AMPA受容体のイメージング方法は、霊長類生体に投与された、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質を、脳内に移行させて前記脳内AMPA受容体に結合させ、脳内AMPA受容体に結合した物質から放出される放射線を検知することで、脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータを取得する工程を有する。
【選択図】図9
特許請求の範囲 【請求項1】
霊長類生体に投与された、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質を、脳内に移行させて前記脳内AMPA受容体に結合させ、
前記脳内AMPA受容体に結合した前記物質から放出される放射線を検知することで、前記脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータを取得する工程を有し、
前記霊長類はヒトであり、
前記物質が脳内に移行した後に所要時間を空けることで、前記脳内AMPA受容体に結合していない前記物質の脳外排出を促した後、前記検知を行う
霊長類生体の脳内AMPA受容体のイメージング方法。
【請求項2】
霊長類生体に投与された、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質を、脳内に移行させて前記脳内AMPA受容体に結合させ、
前記脳内AMPA受容体に結合した前記物質から放出される放射線を検知することで、前記脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータを取得する工程を有し、
前記霊長類はヒトであり、
前記物質が脳内に移行した後に第1時間経過後と、第1時間よりも長い第2時間経過後とにそれぞれ前記検出を行い、
それぞれの検出値に基づき、前記脳内AMPA受容体の分布及び/又は量に関するデータを取得する
霊長類生体の脳内AMPA受容体のイメージング方法。
【請求項3】
霊長類生体に投与された、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質を、脳内に移行させて前記脳内AMPA受容体に結合させ、
前記脳内AMPA受容体に結合した前記物質から放出される放射線を検知することで、前記脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータを取得する工程を有し
前記物質は、式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物
【化1】
JP0006241974B1_000042t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
~Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数であり;
1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体である。)
を含む、
霊長類生体の脳内AMPA受容体のイメージング方法。
【請求項4】
前記物質が脳内に移行した後に所要時間を空けることで、前記脳内AMPA受容体に結合していない前記物質の脳外排出を促した後、前記検知を行う請求項記載の方法。
【請求項5】
前記物質が脳内に移行した後に第1時間経過後と、第1時間よりも長い第2時間経過後とにそれぞれ前記検出を行い、
それぞれの検出値に基づき、前記脳内AMPA受容体の分布及び/又は量に関するデータを取得する請求項記載の方法。
【請求項6】
請求項1からいずれか記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防薬のスクリーニング方法であって、
前記霊長類生体への候補物質の投与前後における、請求項1からいずれか記載の方法で得られる前記データの差異に基づき、前記候補物質を選抜する工程を有する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、霊長類生体の脳内AMPA受容体をイメージングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
AMPA受容体は中神経系に広く分布し、学習、記憶、神経変性、及び細胞死などに関与することが知られている。近年、AMPA受容体を標的とした、精神・神経疾患の治療に関する研究が進められている(特許文献1~3)。AMPA受容体とこれらの疾患との関係を調査するためには、脳内におけるAMPA受容体の発現量及び分布を評価することが求められる。
【0003】
従来、AMPA受容体の解析技術としては、シナプス、スパインレベルでのミクロスコピックな観察(電子顕微鏡を用いた抗体染色、2光子顕微鏡を用いた蛍光観察、電気生理学的手法を用いたシナプスにおける機能観察、quantum dot法を用いたsingle molecule tracking 法等)、および、スライスを用いた免疫染色法等の比較的マクロスコピックな観察が知られている。
【0004】
このうち、2光子顕微鏡を用いたin vivoイメージング以外では、生体での解析が不可能である。他方、2光子顕微鏡を用いたin vivoイメージングでは、スパイン、樹状突起レベルのミクロスコピックな観察が生体で可能だが、逆に脳全体における観察ができない。また、二光子顕微鏡を用いたin vivoイメージング法では、蛍光タンパク質のタグをつけたAMPA受容体の観察しかできず、内在性のAMPA受容体の観察ができない。蛍光タンパク質のタグをつけたAMPA受容体は遺伝子導入法により人為的に発現させる必要があり、ヒト以外の霊長類においては費用面で大きな問題を生じ、ましてやヒトにおいては侵襲性の問題から事実上実施できない。
【0005】
また、特許文献4には、AMPA受容体との親和性を有する物質を用いて、サル生体脳のAMPA受容体のイメージングを行おうとした例が記載されている。しかし、非標識の競合物質の投与量に依存したプローブ由来放射線検知値の低下が、実際には確認されておらず、ある時点で脳に存在するプローブに由来した放射線を検知できたにとどまる。つまり、AMPA受容体に結合したプローブ由来の放射線を検知し、それに基づき本当にAMPA受容体をイメージング化できることは証明できていない。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2012-207021号公報
【特許文献2】特開2010-202525号公報
【特許文献3】特表2006-525292号公報
【特許文献4】特表2016-522786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、霊長類生体の脳内AMPA受容体をイメージング化する技術及びその応用の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 霊長類生体に投与された、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質を、脳内に移行させて前記脳内AMPA受容体に結合させ、
前記脳内AMPA受容体に結合した前記物質から放出される放射線を検知することで、前記脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータを取得する工程を有する、霊長類生体の脳内AMPA受容体のイメージング方法。
【0009】
(2) 前記物質が脳内に移行した後に所要時間を空けることで、前記脳内AMPA受容体に結合していない前記物質の脳外排出を促した後、前記検知を行う(1)記載の方法。
【0010】
(3) 前記物質が脳内に移行した後に第1時間経過後と、第1時間よりも長い第2時間経過後とにそれぞれ前記検出を行い、
それぞれの検出値に基づき、前記脳内AMPA受容体の分布及び/又は量に関するデータを取得する(1)又は(2)記載の方法。
【0011】
(4) 前記物質は、式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物
【化1】
JP0006241974B1_000002t.gif
(式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
~Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数であり;
1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体である。)
を含む(1)から(3)いずれか記載の方法。
【0012】
(5) (1)から(4)いずれか記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0013】
(6) 霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質を有効成分とする、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の診断薬、又は前記疾患の治療又は予防のためのコンパニオン診断薬。
【0014】
(7) 霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防のための医薬であって、
霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合する物質を有効成分とし、(1)から(4)いずれか記載の方法で得られる前記データに基づく投与計画で投与されるものである医薬。
【0015】
(8) 前記疾患は、精神疾患又は神経疾患である(6)又は(7)記載の薬。
【0016】
(9) 霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防薬のスクリーニング方法であって、
前記霊長類生体への候補物質の投与前後における、(1)から(4)いずれか記載の方法で得られる前記データの差異に基づき、前記候補物質を選抜する工程を有する方法。
【0017】
(10) 霊長類生体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関する情報をサーバへと送信する入力端末。
【0018】
(11) 霊長類体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量と、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の状態と、が関連づけられたデータを格納するデータベースと、
入力された被験者の生体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関する情報と、前記データとを照会し、前記被験者の前記疾患の状態に関する情報を出力端末へと送信する手段と、を備えるサーバ。
【0019】
(12) 霊長類体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量と、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の状態と、既に投与された霊長類体の生体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防のための医薬の種類、用量及び/又は用法と、が関連づけられたデータを格納するデータベースと、
入力された被験者の生体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関する情報と、前記データとを照会し、前記被験者への推奨される医薬の種類、用量及び/又は用法に関する情報を出力端末へと送信するする手段と、を備えるサーバ。
【0020】
(13) (10)記載の入力端末と、
(11)又は(12)記載のサーバと、
(11)又は(12)記載のサーバから送信された前記情報を出力する出力端末と、を備えるシステム。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、霊長類生体の脳内AMPA受容体をイメージング化する技術及びその応用を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】K-2についてインビトロでのAMPA受容体結合性試験(in vitrо autоradiоgraphy法)の結果を示すグラフである。
【図2】K-2およびK-4についてインビトロでのAMPA受容体結合性試験(電気生理学的検証)の結果を示すグラフである。
【図3】放射性標識化K-2をWistarラットに投与後のインビボPET画像である。
【図4】放射性標識化K-2をWistar kyoto ラット(WKYラット)に投与後のインビボPET画像である。
【図5】Wistarラット及びWKYラットにおける放射性標識化K-2の脳内取り込み量を示すグラフである。
【図6】ラットでのK-2急性投与における強制水泳試験の結果を示すグラフである。
【図7】K-2およびK-4の強制水泳試験の結果を示すグラフである。
【図8】[11C]K-2を投与した健常者でのPET撮像画像である。
【図9】[11C]K-2を投与した健常者でのPET撮像画像である。
【図10】[11C]K-2を投与した健常者でのPET撮像の結果を示すグラフである。
【図11】[11C]K-2を投与した健常者でのPET撮像の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を説明するが、これらに本発明が限定されるものではない。

【0024】
(イメージング方法)
本発明の一実施形態は、霊長類生体の脳内AMPA受容体のイメージング方法である。この方法は、霊長類生体に投与された、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質を、脳内に移行させて脳内AMPA受容体に結合させる工程を有する。後述の実施例のように、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質を用いたときに、霊長類生体の脳内AMPA受容体に結合した物質から放出される放射線を検知できることを、本発明者らは初めて発見し、本実施形態に係る方法論を確立した。

【0025】
つまり、この新規発見に基づく本実施形態は、脳内AMPA受容体に結合した物質から放出される放射線を検知することで、脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータを取得する工程を有する。これにより、霊長類生体の脳全体におけるAMPA受容体の分布及び/又は発現量が把握され、霊長類生体の脳内AMPA受容体をイメージング化することができる。

【0026】
放射線検知によるイメージングは、特に限定されないが、分子イメージング、例えば、ポジトロン断層撮影法(Positron Emission Tomography, PET)、多光子イメージング法、二光子イメージング法、近赤外蛍光イメージング法、オートラジオグラフィー、及び単一光子放射断層撮影法(Single photon emission computed tomography, SPECT)などであってよい。中でもPETイメージングが好ましい。

【0027】
霊長類は、特に限定されないが、ヒト、サルであってよい。ヒト及びサルの間では、物質代謝性、血液脳関門の通過性、脳内AMPA受容体の量、分布について、若干の差異があると考えられる。この点、後述の実施例はヒトでのデータに関するが、本発明者らはサルでも同様にイメージング化できることを確認している(データは示さず)。

【0028】
一実施形態において、上記物質が脳内に移行した後に所要時間を空けることで、脳内AMPA受容体に結合していない上記物質の脳外排出を促した後、放射線検知を行うことが好ましい。これにより、脳内AMPA受容体に結合した上記物質に由来する放射線をより高頻度に検知することができ、AMPA受容体のイメージング化精度が増す。

【0029】
上記の所要時間は、特に限定されず、用いる物質や統計に基づき予め設定されてもよく(典型的には、上記物質の投与後から10分以上、20分以上、30分以上、40分以上、又は45分以上になるように設定されてよい。)、対象となる生体ごとに設定されてもよい。具体的に、所要時間は、(i)数理解析モデルに当てはめて算出する、または(ii)ターゲットタンパクが存在する領域と存在しない領域の比率が一定になった時点以降で、その差が最大かつばらつきが少なくなる最大の時間帯、(iii)疾患と健常者との差が最も明確に検出できる時間帯、であり得る。

【0030】
他方、上記の所要時間を過剰に長くすると、放射線の絶対量が減衰し、高精度での検知が困難になり得る。そこで、上記所要時間は特に限定されないが、例えば上記物質の投与後から110分以下、100分以下、90分以下、80分以下、70分以下、又は60分以下になるよう設定されてよい。

【0031】
一実施形態において、上記物質が脳内に移行した後に第1時間経過後と、第1時間よりも長い第2時間経過後とにそれぞれ前記検出を行い、それぞれの検出値に基づき、脳内AMPA受容体の分布及び/又は量に関するデータを取得することが好ましい。より好ましくは、第1時間と第2時間との間に連続又は不連続で、各脳領域に取り込まれている上記物質由来の放射線量を検出し、その平均値を算出し、各平均値の脳領域間格差に基づき、脳内AMPA受容体の分布及び/又は量に関するデータを取得することができる。あるいは、第1時間経過後から第2時間経過後までの間で、相対的に小さい幅で放射線検知値が変化(低下)した領域はAMPA受容体に対応する可能性が高い。このため、検出値の差異に基づくデータを利用することで、AMPA受容体のイメージング化精度を増すことができる。なお、上記の第1時間及び第2時間を過剰に長くすると、放射線の絶対量が減衰し、高精度での検知が困難になり得る。

【0032】
第1時間及び第2時間は、特に限定されず、用いる物質や統計に基づき予め設定されてもよく、対象となる生体ごとに設定されてもよい。第1時間は、典型的には、上記物質の投与後から10分以上、20分以上、30分以上、40分以上、又は45分以上になるように設定されてよく、110分以下、100分以下、90分以下、80分以下、70分以下、又は60分以下になるように設定されてよく、上記した所要時間と同様に決められてよい。第2時間は、典型的には上記物質の投与後から55分以上150分以下(具体的には60分以下)になるように設定されてよい。

【0033】
上記物質は、特に制限されないが、例えば、非経口投与、静脈内投与、又は腹腔内投与された後、血液脳関門を通過して脳へ移行する。このため、上記物質は、血液脳関門を通過可能な特性を有する必要があり、その観点で、所要の低分子量、脂溶性とともに、所要の血液溶解性を備えることが好ましい。なお、上記物質は、単一物質であってもよく、あるいは、DDSに担持された状態でもよい。

【0034】
また、上記物質は医薬として許容し得る担体中に含まれてもよい。医薬として許容し得る担体は、特に制限されないが、例えば、滅菌水、食塩水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロース、及び乳酸リンゲル注射液などがある。

【0035】
上記物質の投与量は、使用される物質の種類;投与される対象の年齢、体重、健康状態、性別及び食事内容;投与の回数、及び投与経路等によって、適宜設定されてよい。上記物質の投与は、特に限定されない。

【0036】
上記物質は、特に限定されないが、例えば下記式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物であってもよい。
【化2】
JP0006241974B1_000003t.gif

【0037】
式中、
A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり;
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり;
~Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり;
nは、0~4の整数であり;
1個又はそれ以上の原子が該原子の放射性同位体である。

【0038】
式(I)の化合物において、放射性同位体は、15O、13N、11C、及び18Fなどからなる群から選択されるが、特に限定されない。半減期の観点から、放射性同位体は、11C又は18Fが好ましい。

【0039】
好ましくは、R~Rの1、2、3又は4個、好ましくは、1個が、放射性同位体を含む基(例えば、[11C]アルキル(好ましくは11CH)、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニル、或いは、18F)である。具体的には、Rがアルキルであることが好ましく、さらにR及びRの双方が水素、またはR及びRの各々が独立してアルキルであることが好ましい。

【0040】
式(I)の化合物として、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRのうち一方が、水素であり、他方がアルキルであり、Rがハロ、特にフルオロであって、RはY基に対して両方のオルト位(すなわち、X基に対して両方のメタ位)に存在し、nが2であって、R1~R4の1個が、放射性同位体を含む基(例えば、[11C]アルキル(好ましくは11CH)、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニル、或いは、18F)が好ましい。

【0041】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物として、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRのうち一方が、水素であり、他方がアルキルであり、Rがハロ、特にフルオロであって、RはY基に対して両方のオルト位(すなわち、X基に対して両方のメタ位)に存在し、nが2であって、R~Rの1個が、放射性同位体を含む基(例えば、[11C]アルキル(好ましくは11CH)、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニル、或いは、18F)がより好ましい。

【0042】
放射性同位体を含む化合物の具体的な例を挙げると、以下の化合物がある:
【表1】
JP0006241974B1_000004t.gif

【0043】
(定義)
用語「アルキル」とは、脂肪族飽和炭化水素の水素原子1個が失われて生じる1価の基を意味する。アルキルは、例えば、1~15個(C-C15)の炭素原子、典型的には、1~10個(C-C10)、1~8個(C-C)、1~6個(C-C)、1~5個(C-C)、1~4個(C-C)、1~3個(C-C)、1~2個(C-C)、又は2~6個(C-C)の炭素原子を有する。アルキルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルキルの例を挙げると、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びヘキシルなどがある。アルキルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。

【0044】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの二重結合を持つ脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。アルケニルは、例えば、2~15個(C-C15)の炭素原子、典型的には、2~10個(C-C10)、2~8個(C-C)、2~6個(C-C)、2~5個(C-C)、2~4個(C-C)、2~3個(C-C)、3~6個(C-C)、3~8個(C-C)、4~6個(C-C)、4~7個(C-C)、又は4~8個(C-C)の炭素原子を有する。アルケニルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルケニルの例を挙げると、限定されないが、具体的には、ビニル(-CH=CH)、アリル(-CHCH=CH)、-CH=CH(CH)、-CH=C(CH、-C(CH)=CH、-C(CH)=CH(CH)、-C(CHCH)=CH、1,3-ブタジエニル(-CH=CH-CH=CH)、及びヘプタ-1,6-ジエン-4-イル(-CH-(CHCH=CH)などがある。アルケニルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。

【0045】
用語「アルキニル」とは、少なくとも1つの三重結合を持つ脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。アルキニルは、例えば、2~15個(C-C15)の炭素原子、典型的には、2~10個(C-C10)、2~8個(C-C)、2~6個(C-C)、2~5個(C-C)、2~4個(C-C)、2~3個(C-C)、3~6個(C-C)、3~8個(C-C)、4~6個(C-C)、4~7個(C-C)、又は4~8個(C-C)の炭素原子を有する。アルキニルは、直鎖若しくは分枝状であってもよい。アルキニルの例を挙げると、限定されないが、エチニル(-C≡CH)、-C≡CH(CH)、-C≡C(CHCH)、-CHC≡CH、-CHC≡C(CH)、及び-CHC≡C(CHCH)などがある。アルキニルは、さらに適当な置換基によって置換されてもよい。

【0046】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フルオロ(-F)、クロロ(-Cl)、ブロモ(-Br)、及びヨード(-I)を意味する。

【0047】
用語「医薬として許容し得る塩」とは、哺乳動物、特にヒトに対して有害でない塩を指す。医薬として許容し得る塩は、無機酸若しくは無機塩基、又は有機酸若しくは有機塩基を含む、無毒性の酸又は塩基を用いて形成することができる。医薬として許容し得る塩の例を挙げると、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛などから形成される金属塩、又はリジン、N,N’’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインなどから形成される有機塩などがある。また、医薬として許容し得る塩は、酸付加塩及び塩基付加塩を包含する。

【0048】
用語「溶媒和物」とは、本発明化合物に対する1つ又は複数の溶媒分子の会合により形成される含溶媒化合物を意味する。溶媒和物は、例えば、一溶媒和物、二溶媒和物、三溶媒和物、及び四溶媒和物を含む。また、溶媒和物は、水和物を含む。

【0049】
(製造方法及び中間体)
(合成例1)
がアルキル、アルケニル又はアルキニルである式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、例えば、下記式(II)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化3】
JP0006241974B1_000005t.gif
(式中、A、X、Y、Z、R、R、R、R、及びnは、式(I)の化合物において定義したものと同じである。)を、X-R(式中、Rはアルキル、アルケニル又はアルキニルであり、Xはハロゲンである。)と反応させることにより製造することができる。一実施態様において、式(I)及び式(II)中のR及びRはいずれも水素である。一実施態様において、Rは、[11C]アルキル、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニルであり、好ましくは、Rは、[11C]アルキル、特に、11CHである。一実施態様において、XはIである。式(II)の化合物の具体例をあげると、2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド(PEPA)がある。

【0050】
該反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン又はジメチルスルホキシドなどの極性非プロトン性溶媒中で行うことができる。また、該反応は、NaOHなどの塩基を用いて、塩基性条件下で行うことが好ましい。反応温度は、室温~還流温度、特に、60~100℃が好ましく、より好ましくは80℃である。反応時間は、1分~10分、特に5分である。

【0051】
PETプローブは、通常、放射性同位体の短い半減期のため、短い時間でかつ高収率で製造しなければならない。該反応は、短い時間で定量的に進行するため、PETプローブの製造に適している。

【0052】
本発明者らは、式(II)の化合物とX-Rとの反応が、式(II)の化合物のA基に隣接するNH基で定量的に起こることを見出した。したがって、たとえR及びRが水素であったとしても、保護基を使用せずに該NH基のみをN-R基に変換することができる。

【0053】
式(II)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、Rがアルキル、アルケニル又はアルキニルである式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体として使用することができる。また、式(II)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、Rが[11C]アルキル、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニルである放射性標識された式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体として使用することができる。

【0054】
(合成例2)
がアルキル、アルケニル、又はアルキニルである式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、例えば、下記式(III)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
【化4】
JP0006241974B1_000006t.gif
(式中、A、X、Y、Z、R、R、R、R、及びnは、上記で定義したものと同じであり、Rは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、又はアルキニルである。)を、X-R(式中、Rは、上記で定義したものと同じであり、Xはハロゲンである。)と反応させることにより製造することができる。一実施態様において、Rは、全てn-ブチルである。一実施態様において、Rは、[11C]アルキル、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニルであり、好ましくは、Rは、[11C]アルキル、特に、11CHである。一実施態様において、XはIである。

【0055】
式(III)の化合物の具体例は、下記である。
【表2】
JP0006241974B1_000007t.gif

【0056】
該反応は、パラジウム触媒、ホスフィンリガンド、炭酸塩及びハロゲン化銅の存在下で行うことができる。該パラジウム触媒は、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどがある。また、該ホスフィンリガンドは、例えば、トリ(o-トリル)ホスフィン又は(ジ-tert-ブチル)メチルホスフィンなどがある。該炭酸塩は、KCOなどがある。該ハロゲン化銅は、CuClなどがある。該反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン又はジメチルスルホキシドなどの極性非プロトン性溶媒中で行うことができる。反応温度は、室温~還流温度、特に、60~100℃が好ましく、より好ましくは80℃である。反応時間は、1分~10分、特に5分である。

【0057】
PETプローブは、通常、放射性同位体の短い半減期のため、短い時間でかつ高収率で製造しなければならない。該反応は、短い時間で定量的に進行するため、PETプローブの製造に適している。

【0058】
式(III)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、Rがアルキル、アルケニル、又はアルキニルである式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体として使用することができる。また、式(III)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、Rが[11C]アルキル、[11C]アルケニル、又は[11C]アルキニルである放射性標識された式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を製造するための中間体として使用することができる。

【0059】
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物は、下記実施例に示す方法によっても製造することができる。

【0060】
(プログラム)
本発明の一実施形態は、前述のイメージング方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。具体的に、プログラムによってコンピュータは、イメージング装置を制御し、霊長類生体の脳内AMPA受容体をイメージングする。

【0061】
(診断薬、コンパニオン診断薬、医薬)
本発明の一実施形態は、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の診断薬、又は疾患の治療又は予防のためのコンパニオン診断薬である。

【0062】
上記診断薬を用いて、霊長類生体の対象から得られる脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータを、上記疾患と、脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量との相関性に照会することで、対象の上記疾患に関する診断(具体的には、上記疾患の罹患有無、重篤性、発作可能性等)が可能である。

【0063】
また、上記コンパニオン診断薬を用いて、霊長類生体の対象から得られる脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータを、上記疾患と、脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量との相関性に照会することで、対象の上記疾患状態が把握されるので、これに基づき、上記疾患の予防/治療計画(投与する予防/治療薬の種類や組合せ、用量、用法など)を策定することができる。

【0064】
例えば、AMPA受容体の発現量の減少が把握された対象には、AMPA受容体機能活性化薬の投与を推奨でき、AMPA受容体の発現量の増加が把握された対象には、AMPA受容体拮抗薬の投与を推奨できる。たとえば、現在の疾患分類(DSM-VやICD-10など)により臨床的にうつ病と診断された疾患群においても、AMPA受容体の発現量の増加を認める症例もあれば、変化なしないし減少する症例もある。その場合は、臨床診断上はうつ病であっても、AMPA受容体増加型うつ病には拮抗薬を投与するなど、テーラーメイド型の診断・治療が行われることとなる。また、AMPA受容体の発現量の減少/増加幅や、分布異常(健常者を正常としたとき)の類型や度合いに応じて、AMPA受容体機能活性化薬/AMPA受容体拮抗薬の種類(生体内代謝時間の違いや有効血中濃度の違い)、投与量、投与頻度、投与タイミング(例えば、症状の発作の予兆に相関するAMPA受容体の発現量又は分布が把握された場合に、予防的に薬剤を投与する)を設定することができる。

【0065】
つまり、本発明の一実施形態は、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防のための医薬であって、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合する物質を有効成分とし、上記したイメージング方法で得られる脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータに基づく投与計画で投与される医薬にも関する。

【0066】
一実施形態に係る医薬(コンパニオン診断薬とともに用いられてもよい)であるAMPA受容体拮抗薬としては、特に限定されないが、てんかん病に対するペランパネル水和物(エーザイ社)、talampanel(テバ社)が挙げられる。

【0067】
一実施形態に係る医薬(コンパニオン診断薬とともに用いられてもよいAMPA受容体機能活性化薬)としては、特に限定されないが、式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物であってよい。
【化5】
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ただし、式中、A及びZは、それぞれ独立に、CO、SO又はSOであり、これらの基であれば、AMPA受容体との間に相互作用を示すことが期待される。これらの中でも好ましくは、A及びZは、それぞれ独立に、CO又はSOであり、より好ましくは、AがSOであり、かつZがCOである。
X及びYは、それぞれ独立に、S又はOであり、好ましくは、XがSであり、かつYがOである。
~Rは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロである。一実施態様において、R~Rの全てが水素となることはない、すなわち、R~Rの少なくとも1つは水素以外である。一実施態様において、Rはアルキルである。他の実施態様において、Rはアルキル又はハロである。Rは、オルト位、メタ位、又はパラ位のいずれかに存在することができる。好ましくは、Rは、パラ位に存在する。さらに他の実施態様において、R及びRのうちの一方が、水素であり、他方がアルキルである。最も好ましくは、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり、Rは、アルキル、アルケニル又はアルキニルである。
は、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロである。好ましくは、Rは、ハロであり、特に好ましくは、フルオロである。さらに好ましくは、Rは、Y基に対して両方のオルト位(すなわち、X基に対して両方のメタ位)に存在する。
nは、0~4の整数である。好ましくは、nは2である。

【0068】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物における各置換基の組み合わせとしては、A及びZがそれぞれ独立に、CO、SO又はSOであり、X及びYがそれぞれ独立に、S又はOであり、R、R及びRがそれぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり、Rがアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり、Rが出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり、nが0~4の整数である組み合わせが好ましい。

【0069】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物における各置換基の組み合わせとしては、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRのうち一方が水素であり、他方がアルキルであり、Rは、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり、nは、0~4の整数である組み合わせが好ましい。

【0070】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物における各置換基の組み合わせとしては、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRのうち一方が、水素であり、他方がアルキルであり、Rがハロ、特にフルオロであって、RはY基に対して両方のオルト位(すなわち、X基に対して両方のメタ位)に存在し、nが2である組み合わせが好ましい。

【0071】
さらに他の実施態様において、式(I)の化合物における各置換基の組み合わせとしては、AがSOであり、ZがCOであり、XがSであり、YがOであり、Rがアルキルであり、Rが水素、アルキル又はハロであり、Rがアルキル又はハロである場合、Rはパラ位に存在し、R及びRが共に水素であり、Rは、出現ごとにそれぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル又はハロであり、nは、0~4の整数である組み合わせが好ましい。

【0072】
式(I)の化合物の具体的な例を挙げると、以下の化合物がある:
【表3】
JP0006241974B1_000009t.gif

【0073】
製造方法及び中間体は、前述と同様である。

【0074】
AMPA受容体機能活性化薬/AMPA受容体拮抗薬は、経口的あるいは非経口的に投与することができる。経口投与剤としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤とすることができる。また、非経口投与剤として注射剤(静脈、筋肉など)、直腸投与剤、皮膚外用剤、吸入剤とすることができる。これらの製剤は有効成分に薬学的に認容である製造助剤を加えることにより常法に従って製造される。更に公知の技術により持続性製剤とすることも可能である。

【0075】
霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患は、特に限定されないが精神疾患又は神経疾患であってよく、例えば、
(1)うつ病、大うつ病、双極性うつ病、気分変調障害、情動障害、再発性うつ病、産後うつ病、ストレス性障害、うつ症状、躁病、不安、全般性不安障害、不安症候群、パニック障害、恐怖症、社会性恐怖症、社会性不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、外傷後ストレス障害、タウレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、レット症候群、適応障害、双極性障害、神経症、統合失調症、慢性疲労症候群、不安神経症、強迫神経症、恐慌性障害、てんかん、神経過敏症、注意欠陥多動性障害、精神病性大うつ病、難治性大うつ病、治療抵抗性うつ病などの精神疾患
(2)アルツハイマー病、アルツハイマー型老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、多発脳梗塞性認知症、前頭側頭認知症、パーキンソン型前頭側頭認知症、進行性核上麻痺、ピック症候群、ニーマン-ピック症候群、大脳皮質基底核変性症、ダウン症、欠陥性認知症、レヴィー小体認知症、筋委縮性脊髄側索硬化症、運動神経原性疾患、クロイツフェルト・ヤコブ病、脳性麻痺、進行性核上麻痺、多発性硬化症などの神経変性疾患
(3)加齢性記憶障害、老人性認知症などの加齢に伴う認知・記憶障害
(4)内在因性睡眠障害、外在因性睡眠障害、概日リズム障害、睡眠時随伴症、内科又は精神科障害に伴う睡眠障害、ストレス性不眠症、不眠症、不眠性神経症、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害
(5)麻酔薬、外傷性疾患、又は神経変性疾患などに起因する呼吸抑制
(6)外傷性脳損傷、脳卒中、神経性食欲不振、摂食障害、神経性無食欲症、過食症、その他の摂食障害、アルコール依存症、アルコール乱用、アルコール性健忘症、アルコール妄想症、アルコール嗜好性、アルコール離脱、アルコール性精神病、アルコール中毒、アルコール性嫉妬、アルコール性躁病、アルコール依存性精神障害、アルコール精神病、薬物嗜好、薬物恐怖症、薬物狂、薬物離脱、偏頭痛、ストレス性頭痛、緊張性頭痛、糖尿病性ニューロパシー、肥満、糖尿病、筋肉痙攣、メニエール病、自律神経失調症、脱毛症、緑内障、難聴、高血圧、心臓病、頻脈、うっ血性心不全、過呼吸、気管支喘息、無呼吸、乳幼児突然死症候群、炎症性疾患、アレルギー疾患、インポテンス、更年期障害、不妊症、癌、HIV感染による免疫不全症候群、脳脊髄膜炎、末端肥大症、失禁、メタボリック・シンドローム、骨粗しょう症、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ストレス性胃腸障害、神経性嘔吐、消化性潰瘍、下痢、便秘、術後イレウス
などが挙げられる。

【0076】
本発明の一実施形態は、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防のための医薬である。

【0077】
上記疾患は、特に限定されないが、癲癇、うつ病、統合失調症、脳虚血、パーキンソン病、アルツハイマー病、自閉症、注意多動性障害(ADHD)及び多発性硬化症からなる群より選ばれる1種以上であってよい。

【0078】
本実施形態に係る薬は、医薬として許容し得る担体を含むことができる。
医薬として許容し得る担体としては、特に制限されないが、例えば、滅菌水、食塩水、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロース、及び乳酸リンゲル注射液などがある。

【0079】
(スクリーニング方法)
本発明の一実施形態は、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防薬のスクリーニング方法である。この方法は、霊長類生体への候補物質の投与前後における、上記したイメージング方法で得られる脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関するデータの差異に基づき、候補物質を選抜する工程を有する。

【0080】
具体的には、霊長類生体への候補物質の投与前後における、脳内AMPA受容体の発現量の増加/減少幅や、分布異常(健常者を正常としたとき)の類型や度合いの変化に基づき、候補物質をAMPA受容体機能活性化薬/AMPA受容体拮抗薬として選抜することができる。これにより、従来は一括りにされてきた上記疾患を脳内AMPA受容体の発現量又は分布によって細かく分類し、分類ごとに適切な治療又は予防薬を作製することが期待できる。

【0081】
一実施形態において、選抜された候補物質が、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防効果を実際に有するか否かを確認(動物実験、ヒトでの試験等)し、上記効果を実際に有することに基づいてさらに選抜してもよい。

【0082】
(システム)
本発明の一実施形態に係るシステムは、入力端末と、サーバと、出力端末と、を備える。

【0083】
入力端末は、霊長類生体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関する情報をサーバへと送信する。この情報は、上記した本発明のイメージング方法で取得することができる。

【0084】
一実施形態におけるサーバは、霊長類体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量と、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の状態と、が関連づけられたデータを格納するデータベースを備える。サーバは、入力された被験者の生体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関する情報と、データベース内のデータとを照会し、被験者の疾患の状態に関する情報を生成し(情報作成部)、この情報を出力端末へと送信する手段をさらに備える。このサーバを備えるシステムは、被験者の上記疾患の状態を正確に提示することができる。疾患の状態とは、例えば疾患の罹患有無、重篤性、発作可能性を包含する。

【0085】
例えば、上記の情報作成部は、データベースから、被験者の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に同一又は類似するデータを選別し、疾患の状態に関する情報を生成することができる。

【0086】
別の実施形態におけるサーバは、霊長類体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量と、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の状態と、既に投与された霊長類体の生体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防のための医薬の種類、用量及び/又は用法と、が関連づけられたデータを格納するデータベースを備える。サーバは、入力された被験者の生体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関する情報と、前記データとを照会し、被験者への推奨される医薬の種類、用量及び/又は用法に関する情報を生成し(情報作成部)、この情報を出力端末へと送信する手段をさらに備える。このサーバを備えるシステムは、被験者に応じた適切な医薬の種類、用量及び/又は用法を推奨することができる。具体的な態様は、コンパニオン診断薬及び医薬について上記したのと同様であってよい。

【0087】
一実施形態において、サーバのデータベースは、推奨された医薬の種類、用量及び/又は用法に従った投与による被験者の予防又は治療成果に関する情報がフィードバックされ、既に入力されている当該被験者の生体の脳内AMPA受容体の分布及び/又は発現量に関する情報と関連付けられる。これにより、データベースがアップデートされ、推奨精度がさらに高まる。

【0088】
出力端末は、上記のサーバから送信された情報を出力する出力端末である。
【実施例】
【0089】
(合成例1)
(K-1及びK-2の合成)
下記スキームに従って、2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド(K-1,PEPA)及び{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-アセトアミド(K-2)を合成した。
各化合物のH NMRスペクトルは、TMSを内部標準として使用し、Bruker Avance III 400 MHz又はVarian Mercury plus-300 MHzで記録した。
【化6】
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【実施例】
【0090】
工程(i):(2,6-ジフルオロ-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(2)の合成
【化7】
JP0006241974B1_000011t.gif
2,6-ジフルオロ-フェノール(1) (5.00 g, 38.5 mmol)のアセトン溶液(75 mL)に、KCO (8.40 g, 60.7 mmol)を加え、10分後、反応溶液にブロモ酢酸メチル(5.80 g, 38.5 mmol)を加えた。該反応溶液を室温で一晩撹拌した。反応終了後に、該反応混合液を濃塩酸(20 mL)と氷水(200 ml)の混合液に注ぎ、EtOAc(100 mL × 3)で抽出し、有機層を水(50 mL × 3)及びブライン(100 mL × 2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過した。その後、真空下で濃縮し、化合物(2)を黄色オイルとして得た(7.50 g, 97%)。
H NMR (300 MHz, CDCl): δ 3.78 (s, 3H), 4.74 (s, 2H), 6.86-6.99 (m, 3H).
【実施例】
【0091】
工程(ii):(4-クロロスルホニル-2,6-ジフルオロ-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(3)の合成
【化8】
JP0006241974B1_000012t.gif
(2,6-ジフルオロ-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(2) (5.00 g, 24.7 mmol)のDCM溶液に、クロロスルホン酸(17.2 g, 24.7 mmol)を、氷浴下、滴下して加え、反応溶液を45℃に加熱し、1.5時間、撹拌した。反応終了後に、該反応混合液を50 mLの氷水でクエンチし、有機層を分離し、かつ水(300 mL × 3)で洗浄した。NaSOで乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、化合物(3)を黄色オイルとして得た(5.50 g, 74%)。
H NMR (300 MHz, CDCl): δ 3.81 (s, 3H), 4.96 (s, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.64 (s, 1H).
【実施例】
【0092】
工程(iii):(2,6-ジフルオロ-4-メルカプト-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(4)の合成
【化9】
JP0006241974B1_000013t.gif
(4-クロロスルホニル-2,6-ジフルオロ-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(3) (5.50 g, 18.3 mmol)、SnCl (14.5 g, 64.2 mmol)、及びメタノール(50 mL)の混合液に、濃塩酸(25 mL)を滴下して加えた。反応混合液を還流温度に加熱し、2時間、撹拌した。冷却後に、該反応混合液を氷水(100 mL)に注ぎ、DCM (100 mL × 3)で抽出した。有機層を水(100 mL × 3)及びブライン(100 mL × 2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、化合物(4)を黄色オイルとして得た(3.30 g, 77%)。
H NMR (300 MHz, CDCl): δ 3.52 (s, 1H), 3.77 (s, 3H), 4.71 (s, 2H), 6.83 (s, 1H), 6.86 (s, 1H).
【実施例】
【0093】
工程(iv):[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-酢酸メチルエステル(5)の合成
【化10】
JP0006241974B1_000014t.gif
(2,6-ジフルオロ-4-メルカプト-フェノキシ)-酢酸メチルエステル(4) (1.10 g, 4.7 mmol)、炭酸カリウム(778 mg, 5.6 mmol)、及びアセトン(15 mL)の混合液を、N下、室温で20分間、撹拌した。該反応溶液に、N-(2-ブロモ-エチル)-ベンゼンスルホンアミド(9) (1.30 g, 4.90 mmol)を加え、該反応溶液を、室温で一晩撹拌した。反応終了後に、該反応溶液を30 mLの2N HClに注ぎ、EtOAc (50 mL × 3)で抽出した。有機層を水(50 mL × 3)及びブライン(100 mL × 2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、残渣を得た。該残渣をシルカゲルカラムクロマトグラフィー(PE/EA = 10/1 to 3/1, v/v)により精製し、化合物(5)を黄色オイルとして得た(1.60 g, 84%)。
HNMR (300 MHz, CDCl): δ 2.95 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.12 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 3.78 (s, 3H), 4.72 (s, 2H), 5.20 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 6.76-6.83 (m, 2H), 7.47-7.60 (m, 3H), 7.82-7.84 (m, 2H).
【実施例】
【0094】
工程(v):{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-酢酸メチルエステル(6)の合成
【化11】
JP0006241974B1_000015t.gif
[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-酢酸メチルエステル(5) (300 mg, 0.72 mmol)及びKCO (397 mg, 2.88mmol)の10 mL DMF混合液に、0℃でMeI (255 mg, 1.80 mmol)を加えた。その後、反応溶液を、室温で1時間、撹拌した。反応終了後に、該反応溶液を、20 mlの水で希釈し、EtOAc (30 mL × 3)で抽出した。有機層を水(30 mL × 3)及びブライン(20 mL × 2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、化合物(6)を黄色オイルとして得た(285 mg, 92%)。
HNMR (300 MHz, CDCl): δ 2.81 (s, 3H), 3.04-3.09 (m, 2H), 3.19-3.24 (m, 2H), 3.79 (s, 3H), 4.74 (s, 2H), 6.90-6.94 (m, 2H), 7.50-7.60 (m, 3H), 7.74-7.77 (m, 2H).
【実施例】
【0095】
工程(vi):{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-アセトアミド(K-2)の合成
【化12】
JP0006241974B1_000016t.gif
{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-酢酸メチルエステル(6) (40.0 mg, 0.09 mmol)及び13 mLの4N MeOH/NHの混合液を、室温で18時間、撹拌した。反応終了後に、該反応混合液を真空下で濃縮することにより、残渣を得た。該残渣を分取HPLCにより精製して、化合物(K-2)を白色固体として得た(22.0 mg, 57%)。
HNMR (300 MHz, CDCl3): δ 2.82 (s, 3H), 3.08-3.13 (m, 2H), 3.20-3.26 (m, 2H), 4.58 (s, 2H), 6.93-6.99 (m, 2H), 7.50-7.63 (m, 3H), 7.75-7.78 (m, 2H).
【実施例】
【0096】
{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-N,N-ジメチル-アセトアミド(K-4)の合成
【化13】
JP0006241974B1_000017t.gif
{4-[2-(ベンゼンスルホニル-メチル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-酢酸メチルエステル(6)(9g,27.7mmol)及び240mLの5Nジメチルアミン/メタノールの混合液を室温で2時間攪拌した。反応終了後、減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物(K-4)を無色油状物質として得た(12g,97%)。
H NMR(CDCl,400MHz):δ2.82(s,3H),2.98(s,3H),3.05-3.09(m,5H),3.19-3.22(m,2H),4.80(s,2H),6.89-6.92(m,2H),7.53-7.55(m,2H),7.58-7.60(m,1H),7.75-7.77(m,2H).
LCMS[移動相:55%水(0.05%ギ酸)及び45%アセトニトリル(0.05%ギ酸)で6.5分間分析]純度>95%,保持時間=3.445min;MS Calcd.:444.5;MS Found: 445.0[M+1]
【実施例】
【0097】
工程(vii):2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド(K-1)の合成
【化14】
JP0006241974B1_000018t.gif
[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-酢酸メチルエステル(5) (200 mg, 0.48 mmol)及び10 mLの4N MeOH/NHの混合液を、室温で18時間、撹拌した。反応終了後に、該反応混合液を真空下で濃縮することにより、残渣を得た。該残渣を分取HPLCにより精製して、化合物K-1を白色固体として得た(110 mg, 57%)。
HNMR (300 MHz, CDCl + DO): δ 2.97-3.02 (m, 2H), 3.11-3.16 (m, 2H), 4.56 (s, 2H), 6.82-6.90 (m, 2H), 7.48-7.61 (m, 3H), 7.82-7.87 (m, 2H).
【実施例】
【0098】
{4-[2-(ベンゼンスルホニル-アミノ)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}- N,N-ジメチル-アセトアミド(K-5)の合成
【化15】
JP0006241974B1_000019t.gif
K-1(159.4mg,0.396mmol)を1,4-dioxane(3mL)中に溶解させ、6M塩酸(1mL)を加え、80℃で2時間加熱した。
水を加えて反応を停止し、酢酸エチルで生成物を抽出した後、この酢酸エチル溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、水層に生成物を抽出し、再度、塩酸を加えて酸性とした後に、再び酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加えて水分を除去した。この溶液を減圧留去し、得られた残渣をジクロロメタン溶液で溶解し、この溶液にジメチルアミン・塩酸塩(94.5mg)、WSC・HCl(150.8mg)、ジイソプロピルエチルアミン(265μL)を加え、室温で2時間攪拌した。これに塩酸を加えて反応を停止し、酢酸エチルで生成物を抽出した。これを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、目的とするK-5を白色固体(148.1mg,84%)として得た。
【実施例】
【0099】
工程(viii):N-(2-ブロモ-エチル)-ベンゼンスルホンアミド(9)の合成
【化16】
JP0006241974B1_000020t.gif
ベンゼンスルホニルクロリド(7) (3.00 g, 17.0 mmol)及び2-ブロモエチルアミンヒドロブロミド(8) (3.80 g, 18.7 mmol)のDCM (30 mL)溶液に、氷浴下で、DIPEA (4.80 g, 37.4 mmol)を加えた。その後、反応溶液を、同じ温度で1.5時間、撹拌した。反応終了後に、該反応溶液を20 mLの水で希釈し、EtOAc (30 mL × 3)で抽出した。有機層を水(30 mL × 3)及びブライン(20 mL × 2)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、その後、真空下で濃縮することにより、化合物(9)を白色固体として得た(4.40 g, 98%)。
HNMR (300 MHz, CDCl): δ 3.36-3.39 (m, 4H), 5.09 (s, 1H), 7.50-7.63 (s, 3H), 7.87-7.89 (s, 2H).
【実施例】
【0100】
(合成例2)
(M-1、M-2及びM-3の合成)
下記スキームに従って、2-[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-N-メチル-アセトアミド(M-1)、2-{2,6-ジフルオロ-4-[2-(4-フルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチルスルファニル]-フェノキシ}-アセトアミド(M-2)、及び2-{2,6-ジフルオロ-4-[2-(4-メチル-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチルスルファニル]-フェノキシ}-アセトアミド(M-3)を合成した。
各化合物のH NMRスペクトルは、TMSを内部標準として使用し、Varian Mercury plus-400 MHzで記録した。LCMSは、下記のものを使用した:Agilent 1200A, カラム: C18; カラムサイズ: 4.6 50分; 移動相: B(ACN), A(0.05%NHの水); 勾配(B%):合成例に示すとおり。
【化17】
JP0006241974B1_000021t.gif
【実施例】
【0101】
工程(i):3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-ベンゼンスルホニルクロリド(10)の合成
【化18】
JP0006241974B1_000022t.gif
化合物(1) (5.0 g)のDCM (50 mL)溶液に、クロロスルホン酸(15 mL)を滴下して加えた。反応混合液を、25℃で1時間、撹拌した。TLC (石油エーテル/ EtOAc: 20/1)は、反応が完了したことを示した。その後、該溶液をクラッシュアイスに注いだ。有機層を分離し、セライトを通して濾過した。濾液を乾燥させ、真空下で留去して、化合物(10)を黄色オイルとして得た:5 g (57%)。
H-NMR (400 MHz, CDCl): δ 6.30 (s, 1H), 7.66-7.68 (m, 2H).
【実施例】
【0102】
工程(ii):2,6-ジフルオロ-4-メルカプト-フェノール(11)の合成
【化19】
JP0006241974B1_000023t.gif
トリフェニルホスフィン(3.4 g, 13.1 mmol)及びDMF (0.1 mL)のDCM (3 mL)溶液に、窒素下0℃で、化合物(10) (1.0 g, 4.3 mmol)のDCM (4 mL)溶液を滴下して加えた。反応混合液を、25℃で2時間、撹拌した。その後、該混合液に、1N HClを加えてpH=3に調整し、EAで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して、粗化合物(11)を黄色オイルとして得た。
【実施例】
【0103】
工程(iii):2-[2-(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-フェニルスルファニル)-エチル]-イソインドール-1,3-ジオン(12)の合成
【化20】
JP0006241974B1_000024t.gif
粗化合物(11) (14 g, 86 mmol)のDMF (100 mL)溶液に、2-(2-ブロモ-エチル)-イソインドール-1,3-ジオン(13.2g, 51.8 mmol)及びKCO (23.8 g, 172.4 mmol)を加えた。混合液を、25℃で一晩、撹拌した。その後、該混合液に、1N HClを加えてpH=3に調整し、EAで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して、化合物(12)を黄色固体として得た(8 g, 27%)。
H-NMR (400 MHz, DMSO_d6): δ 3.20-3.23 (t, 2H), 3.75-3.79 (t, 2H), 7.08-7.10 (d, 2H), 7.84 (s, 4H).
【実施例】
【0104】
工程(iv):{4-[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-酢酸エチルエステル(13)の合成
【化21】
JP0006241974B1_000025t.gif
化合物(12) (5.0 g, 15 mmol)をDMF (30 mL)に溶解した溶液に、3-ブロモ-プロピオン酸エチルエステル(2.5g, 15 mmol)及びKCO (3.0 g, 22.5 mmol)を加えた。混合液を、25℃で一晩、撹拌した。その後、該混合液をEAで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して、化合物(13)を白色固体として得た(6 g, 97%)。
H-NMR (400 MHz, CDCl): δ 1.21-1.24 (t, 3H), 3.11-3.14 (t, 2H), 3.84-3.88 (t, 2H), 4.18-4.20 (d, 2H), 4.61 (s, 2H), 6.91-6.94 (d, 2H), 7.66-7.68 (m, 2H), 7.77-7.79 (m, 2H).
【実施例】
【0105】
工程(v):2-{4-[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-N-メチル-アセトアミド(14)の合成
【化22】
JP0006241974B1_000026t.gif
化合物(13) (0.5 g, 1.2 mmol)のメチルアミンアルコール溶液(10 mL)を、100℃で30分間、撹拌した。その後、混合液を濃縮し、粗化合物(14)を黄色オイルとして得た(1 g)。
【実施例】
【0106】
工程(vi):2-[4-(2-アミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-N-メチル-アセトアミド(15)の合成
【化23】
JP0006241974B1_000027t.gif
ヒドラジン水和物(0.25 g, 5 mmol)を、粗化合物(14) (1 g, 2.5 mmol)のEtOH (10 mL)溶液に、90℃で加えた。溶液を90℃に加熱し、30分間撹拌し、その後、室温に冷却した。生成物を濾過し、EtOHで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物(15)を黄色オイルとして得た(0.5 g)。
【実施例】
【0107】
工程(vii):2-[4-(2-ベンゼンスルホニルアミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-N-メチル-アセトアミド(M-1)の合成
【化24】
JP0006241974B1_000028t.gif
ベンゼンスルホニルクロリド(0.4g, 2.2 mmol)及びトリエチルアミン(0.2 g, 2.2 mmol)を、粗化合物(15) (0.5 g, 1.8 mmol)のDCM (10 mL)溶液に加えた。その後、混合液を、25℃で1時間、撹拌し、EAで抽出した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、化合物(M-1)を白色固体として得た(20 mg)。
H-NMR (400 MHz, DMSO_d6): δ 2.65-2.66 (d, 3H), 2.91-2.94 (t, 2H), 2.01-3.04 (t, 2H), 4.50 (s, 2H), 7.10-7.12 (d, 2H), 7.57-7.65 (m, 3H), 7.76-7.78 (d, 2H), 7.92-7.95 (t, 1H), 8.05 (s, 1H).
MS: m/z 417(M+1)
LCMS [移動相: 90% 水(0.1% NHOH)及び10% CHCNから5% 水(0.1% NHOH)及び95% CHCN、6.0分、最終的にこれらの条件下0.5分] 純度97.4%, Rt = 3.341分; MS Calcd.: 416; MS Found: 417 ([M+1]).
【実施例】
【0108】
工程(viii):2-{4-[2-(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-エチルスルファニル]-2,6-ジフルオロ-フェノキシ}-アセトアミド(16)の合成
【化25】
JP0006241974B1_000029t.gif
化合物(13) (5.0 g, 11.8 mmol)のNH/EtOH(100 mL)溶液を、25℃で2時間、撹拌した。その後、該溶液を濃縮し、粗化合物(16)を黄色オイルとして得た(6.0 g)。
【実施例】
【0109】
工程(ix):2-[4-(2-アミノ-エチルスルファニル)-2,6-ジフルオロ-フェノキシ]-アセトアミド(17)の合成
【化26】
JP0006241974B1_000030t.gif
ヒドラジン水和物(1.5 g, 30 mmol)を、粗化合物(16) (6.0 g, 15.3 mmol)のEtOH (50 mL)溶液に、90℃で加えた。溶液を90℃に加熱し、30分間撹拌し、その後、室温に冷却した。生成物を濾過し、EtOHで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗化合物(17)を黄色オイルとして得た(4.0 g)。
【実施例】
【0110】
工程(x):2-{2,6-ジフルオロ-4-[2-(4-フルオロ-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチルスルファニル]-フェノキシ}-アセトアミド(M-2)の合成
【化27】
JP0006241974B1_000031t.gif
4-フルオロ-ベンゼンスルホニルクロリド(0.4g, 2.3 mmol)及びトリエチルアミン(0.2 g, 2.2 mmol)を、粗化合物17 (0.5 g, 1.9 mmol)のDMF (10 mL)溶液に加えた。その後、混合液を、25℃で1時間、撹拌し、EAで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物(M-2)を白色固体として得た(20 mg)。
H-NMR (400 MHz, DMSO_d6): δ 2.92-2.95 (t, 2H), 3.01-3.04 (t, 2H), 4.45 (s, 2H), 7.09-7.11 (d, 2H), 7.40-7.44 (m, 3H), 7.47 (s, 1H), 7.81-7.85 (m, 2H), 7.95-7.98 (t, 1H).
MS: m/z 421(M+1)
LCMS [移動相: 90% 水(0.1% NHOH)及び10% CHCNから5% 水(0.1% NHOH)及び95% CHCN、6分、最終的にこれらの条件下0.5分] 純度95.1%, Rt = 3.284分; MS Calcd.: 420; MS Found: 421 ([M+1]).
【実施例】
【0111】
工程(xi):2-{2,6-ジフルオロ-4-[2-(4-メチル-ベンゼンスルホニルアミノ)-エチルスルファニル]-フェノキシ}-アセトアミド(M-3)の合成
【化28】
JP0006241974B1_000032t.gif
4-メチル-ベンゼンスルホニルクロリド(0.5g, 2.3 mmol)及びトリエチルアミン(0.2 g, 2.2 mmol)を、粗化合物(17) (0.5 g, 1.9 mmol)のDMF (10 mL)溶液に加えた。その後、混合液を、25℃で1時間、撹拌し、EAで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物(M-3)を白色固体として得た(20 mg)。
H-NMR (400 MHz, DMSO_d6): δ 2.38 (s, 3H), 2.88-2.91 (t, 2H), 2.99-3.02 (t, 2H), 4.49 (s, 2H), 7.08-7.10 (d, 2H), 7.37-7.48 (m, 4H), 7.64-7.66 (d, 2H), 7.81-7.84 (t, 1H).
MS: m/z 417(M+1)
LCMS [移動相: 90% 水(0.1% NHOH)及び10% CHCNから5% 水(0.1% NHOH)及び95% CHCN、6.0分、最終的にこれらの条件下0.5分] 純度96.6%, Rt = 3.365分; MS Calcd.: 416; MS Found: 417 ([M+1]).
【実施例】
【0112】
(合成例3)
(M-3preの合成)
下記スキームに従って、2-(2,6-ジフルオロ-4-((2-(4-(トリブチルスタンニル)フェニルスルホンアミド)エチル)チオ)フェノキシ)アセトアミド(M-3pre)を合成した。
各化合物のH NMRスペクトルは、TMSを内部標準として使用し、Bruker Avance III 400 MHz及びBruker Fourier 300 MHzで記録した。LCMSは、下記のものを使用した:四重極質量分析計、Agilent LC/MSD 1200シリーズ(カラム: ODS 2000 (50 × 4.6 mm, 5 μm) ES (+)又は(-)イオン化モードで操作; T = 30℃; 流速 = 1.5 mL/分; 検出波長: 254 nm。
【化29】
JP0006241974B1_000033t.gif
【実施例】
【0113】
工程(i):エチル 2-(2,6-ジフルオロフェノキシ)アセテート(19)の合成
【化30】
JP0006241974B1_000034t.gif
化合物(1) (39.0 g, 0.30 mol)、KCO (62.0 g, 0.45 mol)、化合物(18) (50.1 g, 0.30 mol)、及びアセトン(200 mL)の混合液を、約16時間、室温で撹拌した。反応混合液を3% HClに注ぎ、酢酸エチル(90 mL × 3)で抽出した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 10 : 1)で精製し、化合物(19)を得た(57 g, 87%)。
H NMR (CDCl, 300 MHz): δ 1.19 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 4.17 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 4.82 (s, 2H), 7.06-7.13 (m, 3H).
【実施例】
【0114】
工程(ii):エチル 2-(4-(クロロスルホニル)-2,6-ジフルオロフェノキシ)アセテート(20)の合成
【化31】
JP0006241974B1_000035t.gif
化合物(19) (50 g, 0.23 mol)のDCM (180 mL)溶液に、35℃で、ClSOH (106 mL, 1.38 mol)を加えた。反応混合液を、還流温度に加熱し、約1.5時間、撹拌した。その後、氷に注いだ。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、化合物20を得た(37 g, 50%)。
H NMR (CDCl, 300 MHz): δ 1.18 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 4.16 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 4.83 (s, 2H), 7.18-7.21 (m, 2H).
【実施例】
【0115】
工程(iii):メチル 2-(2,6-ジフルオロ-4-メルカプトフェノキシ)アセテート(21)の合成
【化32】
JP0006241974B1_000036t.gif
化合物(20) (25.0 g, 0.08 mol)、SnCl (63.3 g, 0.28 mol)、濃HCl (46.6 mL, 0.56 mol)、及びMeOH (333 mL)の混合液を、還流温度に加熱し、約1.5時間、撹拌した。その後、反応混合液を氷に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を12% HClで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 2 : 1)で精製し、化合物(21)を得た(14 g, 75%)。
H NMR (CDCl, 300 MHz): δ 3.52 (s, 1H), 3.79 (s, 3H), 4.72 (s, 2H), 6.88 (d, J = 6.3 Hz, 2H).
【実施例】
【0116】
工程(iv):4-ブロモ-N-(2-ブロモエチル)ベンゼンスルホンアミド(24)の合成
【化33】
JP0006241974B1_000037t.gif
化合物(23) (1.35 g, 11.0 mmol)を、化合物(22) (2.54 g, 10.0 mmol)のDCM (40 mL)溶液に加え、続いて、TEA (1.52 g, 15.0 mmol)を加えた。その後、反応混合液を、室温で約3時間撹拌し、水で希釈した。該溶液をDCM (80 mL × 3)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 5 : 1)で精製し、化合物(24)を得た(2.45 g, 72%)。
H NMR (DMSO-d, 300 MHz): δ 3.12-3.16 (m, 2H), 3.43 (t, J = 3.6 Hz, 2H), 7.69-7.73 (m, 2H), 7.79-7.82 (m, 2H), 8.13 (t, J = 3.9 Hz, 1H).
【実施例】
【0117】
工程(v):メチル 2-(4-((2-(4-ブロモフェニルスルホンアミド)エチル)チオ)-2,6-ジフルオロフェノキシ)アセテート(25)の合成
【化34】
JP0006241974B1_000038t.gif
化合物(21) (1.25 g, 5.36 mmol)、KCO (905 mg, 6.55 mmol)、化合物(24) (1.88 g, 5.50 mmol)、及びアセトン(50 mL)の混合液を、約16時間、室温で撹拌した。反応混合液を3% HClに注ぎ、酢酸エチル(90 mL × 3)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 5 : 1)で精製し、化合物(25)を得た(2 g, 76%)。
H NMR (CDCl, 300 MHz): δ 2.94-2.98 (m, 2H), 3.08-3.14 (m, 2H), 3.77 (s, 3H), 4.73 (s, 2H), 5.33 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 6.78-6.84 (m, 2H), 7.61-7.70 (m, 4H).
【実施例】
【0118】
工程(vi):2-(4-((2-(4-ブロモフェニルスルホンアミド)エチル)チオ)-2,6-ジフルオロフェノキシ)アセトアミド(26)の合成
【化35】
JP0006241974B1_000039t.gif
化合物(25) (3.00 g, 6.06 mmol)及び2M NH/MeOH (150 mL, 300 mmol)の混合液を、約16時間、室温で撹拌した。得られた沈殿物を濾過により回収し、化合物(26)を得た(2.3 g, 80%)。
H NMR (DMSO-d, 400 MHz): δ 2.93-2.96 (m, 2H), 3.00-3.03 (m, 2H), 4.48 (s, 2H), 7.10 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.40-7.45 (m, 2H), 7.70 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.80 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.01 (br s, 1H).
【実施例】
【0119】
工程(vii):2-(2,6-ジフルオロ-4-((2-(4-(トリブチルスタンニル)フェニルスルホンアミド)エチル)チオ)フェノキシ)アセトアミド(M-3pre)の合成
【化36】
JP0006241974B1_000040t.gif
化合物(26) (670 mg, 1.39 mmol)のキシレン(50 mL)溶液に、ビス(トリブチルスズ) (0.87 mL, 1.81 mmol)及びPd(PPh (40 mg)を加えた。反応混合液を、N下、120℃で約1時間、撹拌した。その後、該反応混合液を、真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(PE : EA = 3 : 1)で精製して、化合物(M-3pre)を黄色オイルとして得た(180 mg, 18%)。
H NMR (CDOD, 300 MHz): δ 0.94 (t, J = 7.2 Hz, 9H), 1.12-1.17 (m, 5H), 1.29-1.39 (m, 8H), 1.52-1.60 (m, 5H), 2.98-3.06 (m, 4H), 4.55 (s, 2H), 7.01 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.68 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.77 (d, J = 8.1 Hz, 2H); LCMS [移動相: 30% 水(0.02% NHOAc)及び70% CHCNから5% 水(0.02% NHOAc)及び95% CHCN、6分、最終的にこれらの条件下0.5分] 純度>95%, Rt = 4.259分; MS Calcd.: 692; MS Found: 693 ([M+H]).
【実施例】
【0120】
(合成例4)
(放射性標識化K-2の合成)
放射性標識化K-2を下記のように合成した。
【化37】
JP0006241974B1_000041t.gif
PEPA 1 mg (ca 2.5μmol)をDMF(0.3 mL)に溶解し、0.5N-NaOH aq (7μL)を添加、混合し、ホットセル内の反応容器へ仕込んだ。常法により[11C]ヨウ化メチルを捕集後、80℃で5分間、反応させた。室温付近まで冷却し、500μlのLC溶媒(CHCN:HO=1:1)で希釈し、LC分離を行った。カラムにCapcellPak UG-80(10X250)(資生堂、日本)を用い、流速5.0 ml/分で分離を行い、検出はUV 254nmとRIを用いて行った。約8分付近のRIピーク部分を分取し、Tween 80 (最終濃度0.8%)及び2.5 mgアスコルビン酸添加下で、エバポレーターを用いて濃縮した。残渣を2.5 ml生理食塩水を加えて溶解した。
【実施例】
【0121】
HPLCを用いて、放射性標識化K-2と非標識K-2との比較を行った。HPLC分析は、カラムにCapcellPak UG-80(4.6X250)(資生堂、日本)を用い、流速1.0 ml/分で展開し、検出はUV 254 nmとRIを用いて行った。非標識K-2(UV検出)と放射性標識化K-2(RI検出)は、保持時間8分のところで同一のピークを示した。これは、2つが同一物質であり、放射性標識化K-2が製造できたことを示している。
【実施例】
【0122】
反応させたヨウ化メチルは、100% PEPAのスルホンアミドに結合することがわかり、放射性標識化K-2の合成は、極めて簡素であり、かつ高い収率を示すことがわかった。
【実施例】
【0123】
(合成例5)
(放射性標識化M-3の合成)
1mLのガラスバイアルに、Pd(dba)(1.74 mg)、塩化第一銅 (1.7 mg)、炭酸カリウム (2.25 mg)を計り取り、その混合物に、P(o-tol)(1.7 mg)のDMF (300μL)溶液を窒素雰囲気下で加えた。室温下で約5分程度撹拌してから、本溶液を標識用反応容器に移した。[11C]CHIを冷却下で捕集し、放射能が飽和した後に、原料のトリブチルスズ体(preM-3) (1.6mg)のDMF溶液 (300μL)を加え、80℃で約5分間反応させた。反応混合物をPTFEフィルターを通して固形物を除去してからHPLC分離を行い、約7分付近のRIピーク部分を分取、濃縮、調剤化した。
Pd(dba):トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
P(o-tolyl):トリ(o-トリル)ホスフィン
【実施例】
【0124】
(参考例1)
(in vitro autoradiography法)
ラットは、2~3週齢のオス成体SDラット(チャールズリバー、日本)を使用した。線条体を含む厚さ200umの急性脳切片を作成し、セルストレイナー上に置き、酸素化ACSF(人工脳脊髄液)中で60分間静置した。
【実施例】
【0125】
100μM PEPA(1%DMSO含有ACSF)を12ml分調整し、そこに20nMになるよう[11C]K-2を加え、60分間静置した。反応後、ACSFで10秒間洗浄を3回行い、最後に蒸留水で10秒間洗浄を行った。反応後の脳切片より大きめにセルストレイナーを切除し、イメージングプレートに2時間感光させた。感光後のイメージングプレートはTyphoon(GEヘルスケア・ジャパン)で撮像した(分解能25pixel)。
【実施例】
【0126】
(生物学的実施例)
(AMPA受容体結合化合物の調製及び投与)
強制水泳試験では、AMPA受容体結合化合物K-2およびK-4を、100%DMSO(ナカライテスク、日本)に2.1mMの濃度となるように溶解し、投与直前に生理食塩水で希釈し(15%DMSO、320μM)、5μl/体重(g)の投与量にて、1mg/kgないし1.5mg/kgとなるようにラットに経静脈的に投与した。
【実施例】
【0127】
(動物実験)
すべての動物実験は、横浜市立大学の動物実験委員会の審議及び承認を受けた(承認番号:F-A-15-051)。
ラットは、6~10週齢のオス成体Wistarラット及びうつ病モデルラットであるWistar kyoto ラット(WKYラット)(チャールズリバー、日本)を使用した。
反復してK-2投与を行う経路を確保するため、実験を実施する1週間前に頚静脈カニューレ留置手術を行った。頚静脈カニューレ留置手術は、イソフルラン(DSファーマ アニマルヘルス、日本)でラットを入眠させた後、1.5%のイソフルラン濃度(空気2L/分)で麻酔を維持して行った。頚部の皮膚を約3cm切開し、皮下脂肪を開創し、頚静脈を露出させた。カニューレチューブを装着した針で頚静脈を貫通させた後、カニューレチューブを針から取り外し、カニューレチューブの尖端を頚静脈内に2.5cm挿入し、縫合糸で挿入部付近へ固定した。カニューレチューブの反対側は、ラット背部より体外へ露出させ、逆流を防ぐために栓を装着し、切開した皮膚を縫合した。手術終了後、ラットはホームケージに戻した。
【実施例】
【0128】
(ラットを用いたインビボPET撮像)
PET撮像は、microPET(Focus 220;Siemens Medical Solution)を用いて行った。
ラットを用いたPET撮像実験:イソフルラン(DSファーマ アニマルヘルス、日本)を充填した麻酔箱の中でラットを入眠させた後、1.5%のイソフルラン濃度(空気2L/分)で麻酔を維持し、尾静脈より24Gサーフロー留置針(テルモ、日本)で静脈路を確保した。ラットをPET撮影台に固定した後、撮像の前に減弱補正のための放射撮像を行い、その後放射性標識したK-2(約40MBq)を投与した。PET撮像中は、体温をフィードバック型加温盤(BWT-100A;バイオリサーチセンター、日本)を用いて37±0.5℃に維持した。撮像後、静脈路を抜去し、イソフルラン投与を中止した後に、ラットをPET台より外し、ホームケージに戻した。ラットは、撮像後1週間、撮像した部屋にて飼育し、その後、通常のラット集団飼育室に戻した。
加算(Summation)画像を構成するとともに、0.5mmハニング(Hanning)フィルターで裏写りを取り除いてダイナミック画像を再構成した。再構成画像は、PMOD画像分析ソフトウェア(PMOD technologies)を用いて、海馬、内側前頭前皮質、側坐核、線条体、視床、小脳などの複数の領域を含むVOIsを、鋳型MRI画像上に作成したものと統合して解析した。定量に用いた算出値は%SUV(% of standardized uptake value)であり、以下の式で求めた;
%SUV = VOIで囲われた各組織の放射線量(MBq/cc)/投与した放射線量(MBq)×体重(g)
【実施例】
【0129】
(ラットを用いた強制水泳試験)
強制水泳試験は、薬剤投与前日の投与前実験、薬剤投与1日目の急性投与実験、薬剤投与7日目の慢性投与実験を行った。
強制水泳試験(投与前実験、急性投与実験、慢性投与実験)では、ラットを実験の実施する部屋へ馴化させるため、1時間静置した。投与前実験は、馴化後すぐに強制水泳試験を行った。急性投与実験は、強制水泳試験を開始する30分前に15%DMSO又は15%DMSOに溶解したK-2およびK-4を経静脈的に投与した。慢性投与実験は、15%DMSO又は15%DMSOに溶解したK-2およびK-4の経静脈的投与を7日間行い、投与7日目の投与30分後に強制水泳試験を行った。
強制水泳試験は、直径20cm泳高さ50cmの円筒ケージを用いて、水温26±0.5℃の水道水を水位40cmまで注水して行った。この円筒ケージ内にラットを投入し、10分間泳ぐ様子をデジタルビデオカメラ(HC-V750、パナソニック、日本)を用いて撮影した。撮影後、ペーパータオルでラットの水滴を拭き取り、ホームケージへ戻した。
解析は、急性投与実験及び慢性投与実験において、撮影した動画の2~10分間(0~2分はラットの環境適応時間とした)における、ラットの四肢を動かさない時間を無動時間として計測した。15%DMSOを投与したラットと15%DMSOに溶解したK-2およびK-4を投与したラットで無動時間を比較した。
【実施例】
【0130】
(実験結果)
(AMPA受容体結合性試験結果)
in vitro autoradiography法によって、K-2はAMPA受容体に結合親和性を示すことが確認され、そのKd値は47.9nMであった(図1)。
電気生理学的検証によって、K-2及びK-4はAMPA受容体に結合親和性を示すことが確認された(図2)。
【実施例】
【0131】
(AMPA受容体標識化合物K-2を用いたラットでのPET撮像)
放射性標識化K-2([11C]K-2)をWistarラットとWKYラットに投与し、インビボでのPET撮像を行った(図3,4)。その結果、WKYラットの内側前頭前皮質、線条体、大脳皮質、視床において放射性標識化K-2の有意に低い脳内への取り込みを示し(図5)、これらの部位においてAMPA受容体の集積量の低下が示唆された。これらの結果より、うつ病モデルラットであるWKYラットでは、特定の脳領域において、AMPA受容体の発現量が低下していることがわかった。
【実施例】
【0132】
(AMPA受容体結合化合物K-2を用いたラットでの強制水泳試験)
急性投与実験では、15%DMSOを投与したラットとK-2を投与したラット間で無動時間の変化は認められなかった(図6)。慢性投与実験では、K-2投与ラットでは無動時間の有意な低下が認められ、その効果は1mg/kgよりも1.5mg/kgで有意に高かった(図7)。また同様にK-4投与ラットでも無動時間の有意な低下が認められ、1mg/kg投与間で比較するとK-4はK-2に比して有意に無働時間を低下させた(図7)。この結果より、うつ病モデルラットであるWKYラットにおけるK-2およびK-4慢性投与は抗うつ効果を示すことが示唆された。
AMPA受容体に結合親和性を示すK-2やK-4といった化合物と、AMPA受容体の関連が知られているうつ病との関連(Jingli Zhangら、Rev.Neurosci.2013;24(5):499-505、Simon E Wardら、British Journal оf Pharmacology(2010),160,181-190)が確認されたことから、上記の抗うつ効果はAMPA受容体機能活性化に起因すると示唆される。このため、K-2及びK-4、並びにこれらに類似する本発明の化合物は、うつ病に限らずAMPA受容体が関連する疾患の治療に有用であることが示唆される。
これらは、哺乳類生体の脳内AMPA受容体のイメージング結果に基づき、脳内AMPA受容体が関連する疾患の診断、上記疾患の治療又は予防のためのコンパニオン診断、上記疾患の治療又は予防のための医薬の投与計画の策定、上記疾患の治療又は予防薬のスクリーニングが可能であることを示唆する。
【実施例】
【0133】
(実施例1)
(ヒトでのPET撮像)
2名の被験者を対象としてPET撮像を行った。撮像台上で臥位をとり、前腕ないし手背に22ゲージサーフロー針で静脈路を確保した。約1分間の吸収補正用CT撮像を行った後、約370MBqの[11C]K-2を1分間かけて静脈投与した。その後、120分間の撮像を行った。撮像にはPET/CT装置aquiduo(東芝メディカルシステムズ)を用いた。収集されたリストデータはOS-EM法でダイナミック画像を再構成した。
【実施例】
【0134】
再構成画像は、PMOD画像分析ソフトウェア(PMOD technologies)を用いて、前頭葉、歯状皮質、海馬、扁桃体、被核、小脳、橋などの複数の領域を含むVOIsを、鋳型MRI画像上に作成したものと統合して解析した。
図8は、PET薬剤投与0分後から30分後までの30分間に関する画像(前半画像という)、及びPET薬剤投与60分後から120分後までの60分間に関する画像(後半画像という)である。
両被験者ともに、前半画像では[11C]K-2の海馬集積に左右差が若干確認されるものの、明確には確認しにくかったが、後半画像(右側)では海馬集積に左右差が確認され、被験者Aでは右海馬に、被験者Bでは左海馬に高い集積を認めた。この結果は、PET薬剤投与の30分後~60分後の間に、脳内AMPA受容体に結合していないPET薬剤による非特異的な集積が顕著に洗い出されたことを示す。したがって、PET薬剤として[11C]K-2を使う場合には、特に限定されないが、少なくとも投与後30分、特に60分程度経過した後に検知及び検出を行うことが好ましいことが分かる。
【実施例】
【0135】
(実施例2)
(ヒトでのPET撮像)
20代健常男性を対象としてPET撮像を行った。撮像台上で臥位をとり、前腕ないし手背に22ゲージサーフロー針で静脈路を確保した。約1分間の吸収補正用CT撮像を行った後、約370MBqの[11C]K-2を1分間かけて静脈投与した。その後、120分間の撮像を行った。撮像にはPET/CT装置aquiduo(東芝メディカルシステムズ)を用いた。収集されたリストデータはOS-EM法でダイナミック画像を再構成した。
【実施例】
【0136】
再構成画像は、PMOD画像分析ソフトウェア(PMOD technologies)を用いて、前頭葉、歯状皮質、海馬、扁桃体、被核、小脳、橋などの複数の領域を含むVOIsを、鋳型MRI画像上に作成したものと統合して解析した。定量に用いた算出値は%SUV(% of standardized uptake value)を使用した。また、実施例1の結果を踏まえ、健常者3名分の%SUVはPET薬剤投与50分後(第1時間の一例)から120分後(第2時間の一例)までの70分間の平均値を算出し、解析に用いた。
図9及び10に示されるように、脳内領域間の検出値格差について個体差が少ないことが分かる。特に図9から、脳への取り込みが高く、脳領域間格差も明確で、かつAMPA受容体が存在しない白質にはほとんどシグナルがないことが分かる。つまり、ヒト生体の脳内AMPA受容体のイメージングを適切に行えることが分かった。
【実施例】
【0137】
また、哺乳類の脳内AMPA受容体が関連する疾患と、哺乳類生体のAMPA受容体の発現量及び局在との相関性を示す図3及び4の結果をあわせて考慮すると、霊長類生体の脳内AMPA受容体に選択的に結合しかつ放射性標識を有する物質が、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の診断薬又は疾患の治療又は予防のためのコンパニオン診断薬の有効成分として使用できることが示唆された。同様に、霊長類体の脳内AMPA受容体が関連する疾患の治療又は予防のための医薬の投与計画や、治療又は予防薬のスクリーニング方法において、本発明のイメージング方法による結果が使用できることも示唆された。
【実施例】
【0138】
(実施例3)
実施例2において、健常者6名分の%SUVとしてPET薬剤投与50分後(第1時間の一例)から60分後(第2時間の一例)までの10分間(前期という)の平均値、及びPET薬剤投与60分後(第1時間の一例)から90分後(第2時間の一例)までの30分間(後期という)の平均値を算出し、解析に用いた。この結果を図11に示す。なお、図11の縦軸は、後頭葉の%SUVを1としたときの、各脳領域の%SUVの相対値である。後頭葉は比較的血流成分が多く、参照部位として適している。
【実施例】
【0139】
後期では放射線量が著しく減衰したため、健常者間での値に大きなばらつきが生じ、標準偏差が拡大した。値のばらつきが拡大すると、統計解析上の有意差を検出するのが困難になりやすい。したがって、PET薬剤として約370MBqの[11C]K-2を使う場合には、特に限定されないが、投与後60分以内に検知及び検出を行うことが好ましいことが分かる。
【実施例】
【0140】
(略号の説明)
AMPA:α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾール-プロピオン酸
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DCM:ジクロロメタン
EA、EtOAc:酢酸エチル
PE:石油エーテル
PEPA:2-[2,6-ジフルオロ-4-({2-[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}チオ)フェノキシ]アセトアミド
PET:ポジトロン断層撮影法
TEA:テトラエチルアンモニウム
TMS:テトラメチルシラン
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
MeI:ヨウ化メチル
WSC・HCl:水溶性カルボジイミド塩酸塩
DMSO:ジメチルスルホキシド
ACFS:人工脳脊髄液
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10