TOP > 国内特許検索 > ホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置 > 明細書

明細書 :ホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-137031 (P2018-137031A)
公開日 平成30年8月30日(2018.8.30)
発明の名称または考案の名称 ホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置
国際特許分類 G11B   7/0065      (2006.01)
G11B   7/135       (2012.01)
G03H   1/02        (2006.01)
G03H   1/04        (2006.01)
FI G11B 7/0065
G11B 7/135
G03H 1/02
G03H 1/04
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2017-032934 (P2017-032934)
出願日 平成29年2月24日(2017.2.24)
発明者または考案者 【氏名】山本 学
出願人 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100078754、【弁理士】、【氏名又は名称】大井 正彦
審査請求 未請求
テーマコード 2K008
5D090
5D789
Fターム 2K008AA04
2K008BB04
2K008BB06
2K008CC01
2K008CC03
2K008EE01
2K008FF07
2K008FF17
5D090AA01
5D090AA03
5D090BB16
5D090CC01
5D090CC04
5D090FF11
5D090KK12
5D090KK15
5D789AA22
5D789BA01
5D789BA02
5D789BB20
5D789CA12
5D789GA10
5D789KA03
要約 【課題】複雑なメカ機構を必要とすることなく、記録情報の高容量化を効率的に図ることのできるホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置を提供すること。
【解決手段】本発明においては、記録媒体の一面側から信号光および球面参照光が照射されて当該記録媒体に球面参照光シフト多重記録が行われることにより第1シフト多重ホログラム列が記録され、その後、当該記録媒体の他面側から信号光および球面参照光が照射されて当該記録媒体に球面参照光シフト多重記録が行われることにより第2シフト多重ホログラム列が第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きされる。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
データ情報を担持した信号光と球面参照光とを干渉させることにより得られるホログラムをシフト多重方式により記録媒体に多重記録すると共に、ホログラムが記録された記録媒体に参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生するホログラム記録再生方法において、
記録媒体の一面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体にシフト多重記録を行うことにより第1シフト多重ホログラム列を記録した後、当該記録媒体の他面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体にシフト多重記録を行うことにより第2シフト多重ホログラム列を第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きすることを特徴とするホログラム記録再生方法。
【請求項2】
同一の信号光照射光学系および同一の球面参照光照射光学系によって、第1シフト多重ホログラム列および第2シフト多重ホログラム列が記録媒体に記録されることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生方法。
【請求項3】
記録媒体の一面側に配置された、信号光および球面参照光を照射する第1の光学ヘッドによって第1シフト多重ホログラム列が当該記録媒体に記録され、当該記録媒体の他面側に配置された、第1の光学ヘッドに係る信号光と球面参照光による記録格子ベクトルと互いに異なる方向の記録格子ベクトルの得られる条件で信号光および球面参照光を照射する第2の光学ヘッドによって第2シフト多重ホログラム列が当該記録媒体に記録されることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生方法。
【請求項4】
データ情報を担持した信号光と球面参照光とを干渉させることにより得られるホログラムをシフト多重方式により記録媒体に多重記録すると共に、ホログラムが記録された記録媒体に参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生するホログラム記録再生装置において、
記録媒体の一面側に配置された第1の光学ヘッドと、当該記録媒体の他面側に配置された第2の光学ヘッドとを備えており、
当該第1の光学ヘッドおよび当該第2の光学ヘッドの各々は、記録再生光源と、当該記録再生光源からの光を分離して生成した信号光および球面参照光を記録媒体に照射する記録再生光照射光学系を備えており、
前記第2の光学ヘッドにおける記録再生光照射光学系は、信号光および球面参照光を、前記第1の光学ヘッドに係る信号光および球面参照光による記録格子ベクトルと互いに異なる方向の記録格子ベクトルが得られる条件で照射するよう構成されていることを特徴とするホログラム記録再生装置。
【請求項5】
第1の光学ヘッドによって記録されるホログラムの記録格子ベクトルと、第2の光学ヘッドによって記録されるホログラムの記録格子ベクトルとが、互いに逆方向であることを特徴とする請求項4に記載のホログラム記録再生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置に関する。更に詳しくは、2次元化されたデジタルビットパターンを記録媒体にホログラムとして多重に記録することにより大容量光メモリを構成する上で好適に用いられるホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホログラムを用いてデジタル情報を二次元的に記録再生するホログラム記録再生装置が提案されている。ホログラム記録再生装置においては、複数の画素よりなる空間光変調器で変調された、デジタル情報(データ情報)を担持した信号光と、当該信号光とコヒーレントな参照光とを記録媒体内で干渉させることにより得られる干渉縞をホログラムとして記録する。また、記録媒体に記録されたホログラムを再生する場合には、記録に用いた参照光をホログラムに照射することにより回折光を発生させ、例えばCCDなどの撮像素子上に、ホログラムとして記録されているデジタル情報の画像を形成させる。
このようなホログラム記録再生方法の一としては、例えば、参照光として球面波(以下、「球面参照光」ともいう。)を用いた球面参照光シフト多重記録方式が知られている。
【0003】
球面参照光シフト多重記録の原理を図8を用いて説明すると、球面参照光は、平面波が複数存在するものと考えられる。従って、図8(a)に示すように、ホログラムH1が記録された記録媒体10を当該記録媒体10の表面(図8(a)における上面)に沿って一方向(図8(a)における右方向)にわずかな距離シフトさせると、既に記録されたホログラムH1の再生が不可となり、新たなホログラムH2をその記録領域の一部が既に記録されたホログラムH1の記録領域と重なる状態で記録することが可能となる。記録媒体10のシフト量は、通常、10μm程度以上である。なお、図8(a)においては、便宜上、ホログラムH1と、ホログラムH2とを離間させた状態で示してある。
再生可能な条件は、図8(b)に示すように、信号光の波数ベクトルks、参照光の波数ベクトルkrおよびホログラムの波数ベクトル(記録格子ベクトル)kgがブラッグの回折条件を満たす場合である。記録媒体10をシフトさせると、図8(c)に示すように、波数ベクトルの関係がブラッグの回折条件から外れ、ホログラムH1の再生が不可となる。
ここに、図8(b)は、図8(a)におけるホログラムH2に係る信号光の波数ベクトルksと参照光の波数ベクトルkrとホログラムの波数ベクトル(記録格子ベクトル)kgとの関係を示す説明図である。また、図8(c)は、図8(a)に示す状態において、先に記録されたホログラムH1に係る信号光の波数ベクトルksと参照光の波数ベクトルkrとホログラムの波数ベクトル(記録格子ベクトル)kgとの関係を示す説明図である。
【0004】
しかしながら、従来より検討されていた球面参照光シフト多重記録方式においては、信号光の光軸と参照光の光軸とによって形成される平面内に沿った一軸方向のシフト選択性は優れているが、その軸方向に垂直な方向にはシフト選択性が弱く、2次元での多重記録が困難である。そのため、球面参照光シフト多重記録方式のみによっては、記録情報の高密度化を図ることは困難である。
このような事情に鑑みて、本願発明者らは、記録媒体平面内すなわち2次元平面内でシフト多重ホログラムをクロスさせて多重記録を行う方法を提案している(例えば特許文献1参照。)。この方法は、2次元方向でシフト多重ホログラムを重ね書きする方法である。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2016-219087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の、球面参照光を用いたクロスシフト多重方式においては、記録媒体および光学機構を駆動させるメカ機構部が複雑になると共にホログラム記録再生開始位置に対する記録再生光の位置決めも複雑になる、という問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、複雑なメカ機構を必要とすることなく、記録情報の高容量化を効率的に図ることのできるホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホログラム記録再生方法は、データ情報を担持した信号光と球面参照光とを干渉させることにより得られるホログラムをシフト多重方式により記録媒体に多重記録すると共に、ホログラムが記録された記録媒体に参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生するホログラム記録再生方法において、
記録媒体の一面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体にシフト多重記録を行うことにより第1シフト多重ホログラム列を記録した後、当該記録媒体の他面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体にシフト多重記録を行うことにより第2シフト多重ホログラム列を第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きすることを特徴とする。
【0009】
本発明のホログラム記録再生方法においては、同一の信号光照射光学系および同一の球面参照光照射光学系によって、第1シフト多重ホログラム列および第2シフト多重ホログラム列が記録媒体に記録されることが好ましい。
また、本発明のホログラム記録再生方法においては、記録媒体の一面側に配置された、信号光および球面参照光を照射する第1の光学ヘッドによって第1シフト多重ホログラム列が当該記録媒体に記録され、当該記録媒体の他面側に配置された、第1の光学ヘッドに係る信号光と球面参照光による記録格子ベクトルと互いに異なる方向の記録格子ベクトルの得られる条件で信号光および球面参照光を照射する第2の光学ヘッドによって第2シフト多重ホログラム列が当該記録媒体に記録されてもよい。
【0010】
本発明のホログラム記録再生装置は、データ情報を担持した信号光と球面参照光とを干渉させることにより得られるホログラムをシフト多重方式により記録媒体に多重記録すると共に、ホログラムが記録された記録媒体に参照光を照射することによりホログラムに記録されたデータ情報を再生するホログラム記録再生装置において、
記録媒体の一面側に配置された第1の光学ヘッドと、当該記録媒体の他面側に配置された第2の光学ヘッドとを備えており、
当該第1の光学ヘッドおよび当該第2の光学ヘッドの各々は、記録再生光源と、当該記録再生光源からの光を分離して生成した信号光および球面参照光を記録媒体に照射する記録再生光照射光学系を備えており、
前記第2の光学ヘッドにおける記録再生光照射光学系は、信号光および球面参照光を、前記第1の光学ヘッドに係る信号光および球面参照光による記録格子ベクトルと互いに異なる方向の記録格子ベクトルが得られる条件で照射するよう構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のホログラム記録再生装置においては、第1の光学ヘッドによって記録されるホログラムの記録格子ベクトルと、第2の光学ヘッドによって記録されるホログラムの記録格子ベクトルとが、互いに逆方向であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、記録媒体の一面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体にシフト多重記録を行うことにより記録される第1シフト多重ホログラム列と、記録媒体の他面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体にシフト多重記録を行うことにより第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きされる第2シフト多重ホログラム列とは、互いに異なる方向の記録格子ベクトルを有するものとされる。このため、本発明によれば、クロストークを発生させることなく、記録情報の高容量化を効率的に図ることができる。
しかも、シフト多重記録を記録媒体の一面側および他面側の各々に対して行えばよいので、メカ機構部が複雑になることを回避することができると共にホログラム記録再生開始位置に対する記録再生光の位置決めも容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明においては、記録媒体の一面側からシフト多重記録を行うことにより第1シフト多重ホログラム列が記録された記録媒体に、第2シフト多重ホログラム列を重ね書きするに際しては、例えば記録媒体を表裏反転させるだけでよい。このため、同一の信号光照射光学系および同一の球面参照光照射光学系によって、第1シフト多重ホログラム列および第2シフト多重ホログラム列を記録媒体に記録することができ、光学系が煩雑化することを回避することができる。
【0014】
さらにまた、本発明においては、記録媒体の一面側および他面側の各々に配置された光学ヘッドによって通常のシフト多重記録が行われるようにしても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ホログラムの記録再生方法の概要を示す説明図である。
【図2】ディスク状の記録媒体に対する球面参照光シフト多重記録の概要を示す説明図である。
【図3】カード状の記録媒体に対する球面参照光シフト多重記録の概要を示す説明図である。
【図4】2つのシフト多重ホログラム列が記録媒体における同一の記録領域に重ね書きされた場合における、各々のシフト多重ホログラム列に係るホログラムの記録格子ベクトルの相互関係を示す説明図である。
【図5】本発明のホログラム記録再生装置の一例における要部構成を概略的に示す説明図である。
【図6】本発明のホログラム記録再生装置の他の例における要部構成を概略的に示す説明図である。
【図7】本発明のホログラム記録再生装置のさらに他の例における要部構成を概略的に示す説明図である。
【図8】球面参照光シフト多重記録の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。

【0017】
本発明のホログラム記録再生方法は、記録媒体の一面側から信号光および球面参照光を照射して記録媒体に球面参照光シフト多重記録を行うことにより第1シフト多重ホログラム列を記録した後、当該記録媒体の他面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体に球面参照光シフト多重記録を行うことにより第2シフト多重ホログラム列を第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きし、これにより記録情報の高密度化を図るものである。また、球面参照光をホログラムが記録された記録媒体に照射することによって同一の記録領域に記録されたホログラムの各々を独立して再生するものである。

【0018】
記録媒体としては、ディスク状およびカード状などのいずれの形状を有するものであってもよいが、例えば透過型のものが用いられる。
記録媒体は、各々例えばガラス材料よりなる2枚の光透過性基板と、これらの光透過性基板の間に形成された、光反応性モノマーよりなるホログラム記録層とを有する。
ホログラム記録層15の厚みは、記録再生能の観点から、例えば0.3~2.0mmとされ、好ましくは0.5~1.0mmとされる。

【0019】
本発明のホログラム記録再生方法においては、ホログラムの記録方式としては、透過型記録および反射型記録のいずれであってもよい。また、第1シフト多重ホログラム列に係るホログラムを例えば透過型記録により形成し、第2シフト多重ホログラム列に係るホログラムを反射型記録により形成することもできる。このような場合には、記録媒体の傾き、反りあるいは媒体収縮などに対して措置を講ずる必要があり、動作制御や光学調整が煩雑化するおそれがあるため、透過型記録および反射型記録のいずれかの方式によりシフト多重ホログラム列を形成することが好ましい。

【0020】
本発明のホログラム記録再生方法において実施される球面参照光シフト多重記録について説明すると、図1に示すように、記録再生光源(図示せず)より出射された光を分離して得られた信号光用の光が空間光変調器25によって変調されることによって、データ情報を担持した信号光Lsが生成される。信号光Lsはリレーレンズ26によって空間フィルタ27に入射され、空間フィルタ27によって空間周波数帯域が調整される。リレーレンズ27から出射された信号光Lsは、信号光集光用レンズ20によって記録媒体10に照射される。一方、信号光Lsと同一の記録再生光源より出射された光を分離して得られた参照光用の光が参照光集光用レンズ30によって球面波に変換されて参照光Lrとして記録媒体10に照射される。これにより、記録媒体10においては、信号光Lsと球面参照光Lrとによる干渉縞がホログラムとして記録される。
そして、信号光Lsおよび球面参照光Lrを照射する光学機構および記録媒体10の一方を他方に対して相対的に記録媒体10の表面に沿って一方向に移動(シフト)させた状態において、新たなホログラムを記録する操作を繰り返し行うことにより、複数のホログラムが互いに一部が重なる状態で当該一方向に並ぶよう記録されたシフト多重ホログラム列が記録される。
また、ホログラムが形成された記録媒体10に球面参照光Lrが照射されることによって当該ホログラムから発せられる再生光Lgが結像レンズ41を介して撮像素子40に結像され、当該ホログラムに記録されたデータ情報が再生される。
ここに、一のホログラムは、平面視で略円形状であって、そのサイズは、例えば直径が500μmである。光学機構または記録媒体10のシフト量は、例えば10μm程度である。

【0021】
図1において、リレーレンズ26、信号光集光用レンズ20および結像レンズ41は、例えばフーリエ変換レンズにより構成されており、同一光軸上に配置されている。リレーレンズ26を構成する一方のレンズ26aの後側焦点に空間光変調器25が配置されており、前側焦点に空間フィルタ27が配置されている。リレーレンズ26を構成する他方のレンズ26bは、その後側焦点が一方のレンズ26aの前側焦点と一致する状態で配置されている。信号光集光用レンズ20はその後側焦点がリレーレンズ26を構成する他方のレンズ26bの前側焦点と一致する状態で配置されている。参照光集光用レンズ30は、例えば、信号光Lsの波数ベクトルとの関係において、例えば記録媒体10の表面と略平行な方向の記録格子ベクトルの得られる波数ベクトルを有する球面参照光Lrを照射するよう配置されている。結像レンズ41はその後側焦点が信号光用集光レンズ20の前側焦点と一致する状態で配置されており、結像レンズ41の前側焦点に撮像素子40が配置されている。この例の光学系においては、例えば透過型のフーリエ変換ホログラムが記録媒体10に記録される。
なお、参照光集光用レンズが記録媒体10の他面側に配置され、反射型のフーリエ変換ホログラムが記録媒体10に記録されるよう構成されていてもよい。
また、複数の参照光集光用対物レンズが、各々光軸が信号光の記録媒体10に対する入射光軸に対して互いに異なる方向に延びるよう配置された構成とされていてもよい。

【0022】
記録媒体としてディスク状の記録媒体が用いられる場合には、図2に示すように、記録媒体10aにおいて同心円状に形成された複数の位置決め用案内溝11に沿った複数のトラックの各々に、球面参照光シフト多重記録によってシフト多重ホログラム列HLが記録される。具体的には、各々の位置決め用案内溝11には、記録媒体10における位置情報を含む標識情報を有するマーカ(図示せず)が設けられており、当該マーカが光学的に検出されることにより光学ヘッドの記録媒体10aに対する位置決めが行われる。この状態で、信号光および球面参照光が記録媒体10aに照射されてホログラムが記録される。そして、記録媒体10aを回転させて記録再生光の照射位置を一方向(円周方向)にわずかな距離シフトさせた状態において、新たなホログラムを記録する操作が繰り返し行われることにより、複数のホログラムが互いに一部が重なる状態で円周方向に並ぶシフト多重ホログラム列HLが記録される。

【0023】
次に、記録媒体としてカード状の記録媒体が用いられる場合について説明する。図3に示すように、カード状の記録媒体10bには、各々一方向に延びる複数のトラックTrが所定のピッチで当該一方向と直交する方向に並ぶよう形成されている。各トラックTrは当該一方向に並ぶ複数のセクタSを有しており、複数のセクタSの各々に対応して記録媒体における位置情報を含む標識情報を有するマーカMが設けられている。そして、カード状の記録媒体10bにおいては、球面参照光シフト多重記録によってシフト多重ホログラム列がセクタS毎に記録される。具体的には、マーカMが光学的に検出されることにより光学ヘッドの記録媒体10bに対する位置決めが行われる。この状態で、信号光および球面参照光が記録媒体10bに照射されてホログラムが記録される。そして、記録媒体10bおよび光学ヘッドの一方を他方に対して前記一方向に移動させて記録再生光の照射位置を当該一方向にわずかな距離シフトさせた状態において、新たなホログラムを記録する操作が繰り返し行われることにより、複数のホログラムが互いに一部が重なる状態で並ぶシフト多重ホログラム列HLが記録される。

【0024】
マーカMに記録される情報は、基本的にはアクセスのための位置情報であり、具体的には、トラックTrの位置情報(トラック番号)やセクタSの位置情報(セクタ番号)、およびフォーマット情報、記録条件、再生時の最適フィルターパラメータなどの再生条件などが挙げられる。

【0025】
本発明のホログラム記録再生方法において、球面参照光シフト多重方式により得られるシフト多重ホログラム列を記録媒体における同一の記録領域に重ね書きする方法としては、(1)記録媒体の一面側から記録再生光(信号光および球面参照光)を照射することにより第1シフト多重ホログラム列を記録した後、当該記録媒体を表裏反転させた状態で、同一の光学系によって記録媒体の他面側から記録再生光を照射することにより、第2シフト多重ホログラム列を記録する方法、
(2)記録媒体の一面側および他面側の各々に配置される光学ヘッドによって、記録再生光を記録媒体の両面から順次に照射することにより第1シフト多重ホログラム列および第2シフト多重ホログラム列を記録する方法、および
(3)記録媒体の一面側から記録再生光(信号光および球面参照光)を照射することにより透過型ホログラムによる第1シフト多重ホログラム列を記録した後、記録媒体の一面側から信号光を照射すると共に記録媒体の他面側から球面参照光を照射することにより反射型ホログラムによる第2シフト多重ホログラム列を記録する方法
が挙げられる。

【0026】
記録媒体における同一の記録領域に例えば2つのシフト多重ホログラム列が重ね書きされた場合における、各々のシフト多重ホログラム列に係る波数ベクトルの相互関係について図4を用いて説明する。図4に示すように、記録媒体10の一面側から記録されたホログラムに係る記録格子ベクトルkg1と、記録媒体10の他面側から記録されたホログラムに係る記録格子ベクトルkg2とは、互いに異なる方向例えば逆方向となる。従って、一面側から記録されたホログラムについてブラッグ回折条件を満足する状態で再生用の球面参照光を照射した場合には、記録媒体10の他面側から記録されたホログラムについてはブラッグ回折条件を満足しないため、当該ホログラムの再生が不可となる。記録媒体10の他面側から記録されたホログラムについてブラッグ回折条件を満足する状態で球面参照光を照射した場合も同様である。図4においてドットを付した部分は、ホログラムHを示す。
このように、本発明のホログラム記録再生方法によれば、クロストークを発生させることなく、記録媒体10における同一の記録領域に複数のシフト多重ホログラム列を重ね書きすることが可能となる。

【0027】
上記(1)の方法が行われるホログラム記録再生装置としては、図1に示す記録再生光照射学系を備えた光学ヘッドを有するものが用いられる。
ホログラム記録再生装置が、ディスク状の記録媒体が用いられるものとして構成される場合には、記録媒体をその表面に沿った平面内で回動(回転)させる記録媒体回動機構と、記録媒体または光学ヘッドを記録媒体の表面に沿った平面内で記録媒体の径方向に平行移動させる記録媒体移動機構または光学ヘッド移動機構とを備えた構成とされる。
また、ホログラム記録再生装置がカード状の記録媒体が用いられるものとして構成される場合には、記録媒体の表面に沿った平面内において、記録媒体または光学ヘッドを記録媒体におけるトラックに沿った方向およびトラックの並列方向の2方向に平行移動させる記録媒体移動機構または光学ヘッド移動機構を備えた構成とされる。

【0028】
このようなホログラム記録再生装置においては、上述したように、先ず、記録媒体の一面側から記録再生光を照射することによりホログラムを記録し、記録媒体または光学ヘッドを記録媒体の表面に沿った平面内で一方向に平行移動させた状態で、新たなホログラムを記録する操作を繰り返して行うことにより第1シフト多重ホログラム列を記録する。
その後、記録媒体を表裏反転させてセットした状態で、記録媒体の他面側から記録再生光を照射して球面参照光シフト多重記録を行うことにより第2シフト多重ホログラム列を第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きする。

【0029】
記録媒体に記録されたホログラムに係るデータ情報の再生時には、第1シフト多重ホログラム列に係るホログラムについては、記録媒体の一面側から再生用の球面参照光のみが記録媒体に照射されることにより、再生用の球面参照光と同一の参照光照射条件で記録されたホログラムから再生光が発せられる。そして、当該再生光が結像レンズを介して撮像素子により検出されることにより、当該ホログラムに記録されたデータ情報が再生される。また、第2シフト多重ホログラム列に係るホログラムについては、記録媒体を表裏反転させた状態において、再生用の球面参照光のみが記録媒体10に照射されることにより、当該再生用の球面参照光と同一の参照光照射条件で記録されたホログラムから再生光が発せられる。そして、当該再生光が結像レンズを介して撮像素子により検出されることにより、当該反射型ホログラムに記録されたデータ情報が再生される。

【0030】
上記(2)の方法が行われるホログラム記録再生装置としては、図5および図6に示すように、記録媒体10a,10bの一面側および他面側の各々に、図1に示す記録再生光照射光学系を備えた光学ヘッド50a,50bが配置された構成のものが用いられる。
このようなホログラム記録再生装置においては、記録媒体10a,10bの他面側に配置された第2の光学ヘッド50bにおける記録再生光照射光学系は、記録媒体10a,10bの一面側に配置された第1の光学ヘッド50aに係る信号光および球面参照光による記録格子ベクトルと互いに異なる方向、例えば逆方向の記録格子ベクトルが得られる条件で、信号光および球面参照光を照射するよう構成されている。第1の光学ヘッド50aによって記録されるホログラムの記録格子ベクトルと、第2の光学ヘッド50bによって記録されるホログラムの記録格子ベクトルとが互いに逆方向であることにより、クロストークを発生させることなく、複数のシフト多重ホログラム列を確実に同一の記録領域に重ね書きすることができる。

【0031】
上記(2)の方法が行われるホログラム記録再生装置においても、ディスク状の記録媒体が用いられるものとして構成される場合には、記録媒体10aをその表面に沿った平面内で回動(回転)させる記録媒体回動機構と、記録媒体10aまたは光学ヘッド50a,50bを記録媒体10aの表面に沿った平面内で記録媒体10bの径方向に平行移動させる記録媒体移動機構または光学ヘッド移動機構とを備えた構成とされる。図5においては、例えば記録媒体回動機構と、光学ヘッド移動機構(移動方向を白抜き矢印で示す。)とを備えた構成とされた例が示されている。
また、ホログラム記録再生装置がカード状の記録媒体10bが用いられるものとして構成される場合には、記録媒体10bの表面に沿った平面内において、記録媒体10bまたは光学ヘッド50a,50bを記録媒体10bにおけるトラックTrに沿った方向(図6において左右方向)およびトラックTrの並列方向(図6において上下方向)の2方向に平行移動させる記録媒体移動機構または光学ヘッド移動機構を備えた構成とされる。図6においては、例えば光学ヘッド移動機構(移動方向を白抜きの矢印で示す。)を備えた構成とされた例が示されている。

【0032】
このようなホログラム記録再生装置においては、先ず、第1の光学ヘッド50aによって記録媒体10a,10bの一面側から記録再生光を照射することによりホログラムを記録し、記録媒体または光学ヘッドを記録媒体の表面に沿った平面内で一方向に平行移動させた状態で、新たなホログラムを記録する操作を繰り返して行うことにより第1シフト多重ホログラム列を記録する。
その後、第2の光学ヘッド50aによって記録媒体10a,10bの他面側から記録再生光を照射して球面参照光シフト多重記録を行うことにより第2シフト多重ホログラム列を第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きする。

【0033】
記録媒体に記録されたホログラムに係るデータ情報の再生時には、第1の光学ヘッド50aによって、記録媒体10a,10bの一面側から再生用の球面参照光のみが記録媒体10a,10bに照射されることにより、再生用の球面参照光と同一の参照光照射条件で記録されたホログラムから再生光が発せられる。そして、当該再生光が結像レンズを介して撮像素子により検出されることにより、当該ホログラムに記録されたデータ情報が再生される。また、第2の光学ヘッド50bによって、記録媒体10a,10bの他面側から再生用の球面参照光のみが記録媒体10a,10bに照射されることにより、当該再生用の球面参照光と同一の参照光照射条件で記録されたホログラムから再生光が発せられる。そして、当該再生光が結像レンズを介して撮像素子により検出されることにより、当該反射型ホログラムに記録されたデータ情報が再生される。

【0034】
上記(3)の方法が行われるホログラム記録再生装置としては、図7に示すように、記録媒体10の一面側および他面側の各々に参照光集光用レンズ30a,30bが配置された記録再生光照射学系を備えた光学ヘッドを有するものが用いられる。この光学ヘッドにおいては、参照光用の光を記録媒体10の一面側に配置された第1の参照光集光用レンズ30aに入射させる光路と、参照光用の光を記録媒体10の他面側に配置された第2の参照光集光用レンズ30bに入射させる光路とを構成し、例えば光路切り替え手段によって参照光用の光の光路が切り替えられる構成とされる。第2の参照光集光用レンズ30bは、信号光Lsと、記録媒体10の一面側に配置された第1の参照光集光用レンズ30aを介して照射される球面参照光Lr1とによって記録されるホログラムの記録格子ベクトルと互いに異なる方向、例えば逆方向の記録格子ベクトルのホログラムが得られる条件で、球面参照光Lr2を照射するよう配置されている。

【0035】
このホログラム記録再生装置においても、ディスク状の記録媒体が用いられるものとして構成される場合には、記録媒体10をその表面に沿った平面内で回動(回転)させる記録媒体回動機構と、記録媒体10または光学ヘッドを記録媒体の表面に沿った平面内で記録媒体10の径方向に平行移動させる記録媒体移動機構または光学ヘッド移動機構とを備えた構成とされる。
また、ホログラム記録再生装置がカード状の記録媒体が用いられるものとして構成される場合には、記録媒体10の表面に沿った平面内において、記録媒体10または光学ヘッドを記録媒体10におけるトラックに沿った方向およびトラックの並列方向の2方向に平行移動させる記録媒体移動機構または光学ヘッド移動機構を備えた構成とされる。

【0036】
このようなホログラム記録再生装置においては、先ず、記録媒体10a,10bの一面側から信号光Lsを照射すると共に球面参照光Lr1が第1の参照光集光用レンズ30aを介して記録媒体に照射することにより透過型ホログラムを記録し、記録媒体10a,10bまたは光学ヘッドを記録媒体10a,10bの表面に沿った平面内で一方向に平行移動させた状態で、新たなホログラムを記録する操作を繰り返して行うことにより、透過型ホログラムによる第1シフト多重ホログラム列を記録する。
その後、記録媒体10a,10bの一面側から信号光Lsを照射すると共に記録媒体10a,10bの他面側から球面参照光Lr2を第2の参照光集光用レンズ30bを介して記録媒体10a,10bに照射することにより反射型ホログラムを記録し、記録媒体または光学ヘッドを記録媒体の表面に沿った平面内で一方向に平行移動させた状態で、新たなホログラムを記録する操作を繰り返して行うことにより、反射型ホログラムによる第2シフト多重ホログラム列を第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きする。

【0037】
記録媒体10に記録されたホログラムに係るデータ情報の再生時には、光量を大幅に落とした再生用の球面参照光のみが第1の参照光集光用対物レンズ30aを介して記録媒体10に照射されることにより、再生用の球面参照光と同一の参照光照射条件で記録された透過型ホログラムから再生光Lg1が発せられる。そして、当該再生光Lg1が結像レンズ41を介して撮像素子40により検出されることにより、当該透過型ホログラムに記録されたデータ情報が再生される。また、再生用の球面参照光のみが第2の参照光集光用対物レンズ30bを介して記録媒体10に照射されることにより、当該再生用の球面参照光と同一の参照光照射条件で記録された反射型ホログラムから再生光Lg2が発せられる。そして、当該再生光Lg2が結像レンズ41を介して撮像素子40により検出されることにより、当該反射型ホログラムに記録されたデータ情報が再生される。

【0038】
以上のように、本発明のホログラム記録再生方法および当該ホログラム記録再生方法が実施されるホログラム記録再生装置においては、記録媒体10の一面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体にシフト多重記録を行うことにより得られる第1シフト多重ホログラム列と、記録媒体10の他面側から信号光および球面参照光を照射して当該記録媒体にシフト多重記録を行うことにより第1シフト多重ホログラム列と同一の記録領域に重ね書きされる第2シフト多重ホログラム列とは、互いに異なる方向の記録格子ベクトルを有するものとされる。このため、本発明のホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置によれば、クロストークを発生させることなく、記録情報の高容量化を効率的に図ることができる。
しかも、シフト多重記録を記録媒体10の一面側および他面側の各々に対して行えばよいので、メカ機構部が複雑になることを回避することができると共にホログラム記録再生開始位置に対する記録再生光の位置決めも容易に行うことができる。

【0039】
さらに、本発明のホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置においては、記録媒体10の一面側からシフト多重記録を行うことにより第1シフト多重ホログラム列が記録された当該記録媒体10に、第2シフト多重ホログラム列を重ね書きするに際しては、例えば記録媒体10を表裏反転させるだけでよい。このため、同一の信号光照射光学系および同一の球面参照光照射光学系によって、第1シフト多重ホログラム列および第2シフト多重ホログラム列を記録媒体に記録することができ、光学系が煩雑化することを回避することができる。
また、本発明のホログラム記録再生方法およびホログラム記録再生装置においては、記録媒体10の一面側および他面側の各々に配置された光学ヘッド50a,50bによって通常のシフト多重記録が行われるようにしても、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
10 記録媒体
10a 記録媒体
10b 記録媒体
11 位置決め用案内溝
20 信号光集光用レンズ
25 空間光変調器
26 リレーレンズ
26a 一方のレンズ
26b 他方のレンズ
27 空間フィルタ
30 参照光集光用レンズ
30a 第1の参照光集光用レンズ
30b 第2の参照光集光用レンズ
40 撮像素子
41 結像レンズ
50a 第1の光学ヘッド
50b 第2の光学ヘッド
H ホログラム
H1 ホログラム
H2 ホログラム
HL シフト多重ホログラム列
kg ホログラムの波数ベクトル(記録格子ベクトル)
kr 参照光の波数ベクトル
ks 信号光の波数ベクトル
Lg 再生光
Lr 参照光
Ls 信号光
M マーカ
S セクタ
Tr トラック
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7