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明細書 :移動モード判定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-151387 (P2018-151387A)
公開日 平成30年9月27日(2018.9.27)
発明の名称または考案の名称 移動モード判定装置
国際特許分類 G01C  21/26        (2006.01)
G08G   1/005       (2006.01)
FI G01C 21/26 P
G08G 1/005
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2018-044419 (P2018-044419)
出願日 平成30年3月12日(2018.3.12)
優先権出願番号 2017047375
優先日 平成29年3月13日(2017.3.13)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】熊澤 宏之
出願人 【識別番号】591141784
【氏名又は名称】学校法人大阪産業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100098305、【弁理士】、【氏名又は名称】福島 祥人
【識別番号】100108523、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 雅博
【識別番号】100187931、【弁理士】、【氏名又は名称】澤村 英幸
審査請求 未請求
テーマコード 2F129
5H181
Fターム 2F129AA02
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB27
2F129BB28
2F129BB29
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF71
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MB11
要約 【課題】使用者の移動モードを高い精度で判定することが可能な移動モード判定装置を提供する。
【解決手段】移動情報取得部10は、使用者の移動に伴って発生する加速度および移動速度を順次取得する。移動モード分類部20は、移動情報取得部10により取得される加速度および移動速度に基づいて使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類する。移動モード蓄積部30は、移動モード分類部20による分類結果を時系列データとして蓄積する。移動モード判定部40は、移動モード蓄積部30に蓄積された時系列データにおいて判定期間を時間軸上でシフトさせつつ、各判定期間における複数時点に対応する分類結果の生起頻度に基づいて、各判定期間内の所定の時点についての使用者の移動モードを判定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
使用者の移動に伴って発生する加速度を含む移動情報に基づいて使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類する移動モード分類手段と、
前記移動モード分類手段による各時点に対応する分類結果を時系列データとして蓄積する移動モード蓄積手段と、
前記移動モード蓄積手段に蓄積された時系列データにおいて判定期間を時間軸上でシフトさせつつ、各判定期間における複数時点に対応する分類結果の生起頻度に基づいて、各判定期間内の所定の時点についての使用者の移動モードを判定する移動モード判定手段とを備える、移動モード判定装置。
【請求項2】
前記移動モード判定手段は、各時点で分類された移動モードに尤度係数を付与し、使用者の移動の開始から移動の停止までの間において、使用者の移動速度が予め定められた速度範囲内にある時点で分類された移動モードの尤度係数を他の移動モードの尤度係数よりも高く設定し、前記移動速度が前記速度範囲内にある次の分類の時点まで前記設定された尤度係数を維持し、各判定期間内において各移動モードに付与された尤度係数の合計に基づいて各移動モードの生起頻度を算出し、各判定期間における最も高い生起頻度を有する移動モードを当該判定期間についての使用者の移動モードとして判定する、請求項1記載の移動モード判定装置。
【請求項3】
前記移動情報は、鉛直方向の加速度を含む、請求項1または2記載の移動モード判定装置。
【請求項4】
前記移動情報を順次取得する移動情報取得手段をさらに備え、
前記移動モード分類手段は、前記移動情報取得手段により取得される移動情報に基づいて使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類し、
前記移動モード判定装置は、
前記移動情報取得手段、前記移動モード分類手段、前記移動モード蓄積手段および前記移動モード判定手段を有する移動端末により構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の移動モード判定装置。
【請求項5】
前記移動モード分類手段、前記移動モード蓄積手段および前記移動モード判定手段を有するサーバにより構成され、
前記サーバが前記移動情報をオンラインまたはオフラインにより取得する、請求項1~3のいずれか一項に記載の移動モード判定装置。
【請求項6】
前記移動情報を順次取得する移動情報取得手段をさらに備え、
前記移動モード分類手段は、前記移動情報取得手段により取得される移動情報に基づいて使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類し、
前記移動モード判定装置は、
前記移動モード分類手段、前記移動モード蓄積手段および前記移動モード判定手段を有するサーバと、
前記移動情報取得手段を有するとともに、前記移動情報取得手段により取得される前記移動情報を前記サーバに伝送する伝送装置とを有する移動端末とにより構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の移動モード判定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の移動モードを判定する移動モード判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機およびスマートフォン等の移動端末の普及に伴って、種々の通信サービスが開発されている。移動端末を保持する使用者の移動モードを把握することができれば、使用者の状態に応じた情報を提供するなど、利便性の高い通信サービスを提供することができる。ここで、移動モードは、「徒歩」、「自転車」、「自動車」、「バス」および「鉄道」等の使用者の移動手段の種類を意味する。そこで、使用者の移動モードを判定する方法が提案されている。
【0003】
非特許文献1には、スマートフォンに内蔵された加速度センサにより得られる加速度データを用いた交通機関の判別手法が記載されている。その判別手法では、8つの交通機関(移動モード)についての加速度データが収集され、ある時間幅における加速度データを用いて特徴量が算出される。機械学習アルゴリズムを用いた学習により、特徴量を複数の移動モードに分類する分類器が設計される。非特許文献1では、分類器を用いた各移動モードの分類精度が評価されている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】ムハマド アワイス シャフィク、羽藤英二、柳沼秀樹、「スマートフォン加速度データを用いた交通機関判別分析における最適な特徴量設定に関する研究」、第12回ITSシンポジウム2014、論文番号2-1B-02
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スマートフォン等を用いて取得される使用者の動的な移動状況を考慮して移動モードの判定精度を向上させることが求められる。
【0006】
本発明の目的は、使用者の移動モードを高い精度で判定することが可能な移動モード判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る移動モード判定装置は、使用者の移動に伴って発生する加速度を含む移動情報に基づいて使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類する移動モード分類手段と、移動モード分類手段による各時点に対応する分類結果を時系列データとして蓄積する移動モード蓄積手段と、移動モード蓄積手段に蓄積された時系列データにおいて判定期間を時間軸上でシフトさせつつ、各判定期間における複数時点に対応する分類結果の生起頻度に基づいて、各判定期間内の所定の時点についての使用者の移動モードを判定する移動モード判定手段とを備える。
【0008】
その移動モード判定装置においては、各時点に対応する移動モードの分類結果を示す時系列データが蓄積される。時系列データにおいて判定期間が時間軸上でシフトされつつ、各判定期間における複数時点に対応する分類結果の生起頻度に基づいて、各判定期間内の所定の時点についての使用者の移動モードが判定される。それにより、各時点での移動モードがその時点に対応する分類結果とその時点より前または後の時点に対応する分類結果とを用いて判定される。このような時間軸上での動的な判定により、使用者の不規則で一時的な動きの影響が除去される。そのため、各時点の動作モードの誤判定の確率が低減される。また、判定期間が時間軸上で順次シフトするので、使用者の移動状況の変化が移動モードの判定結果に動的に反映される。したがって、使用者の移動モードを高い精度で判定することが可能となる。
【0009】
(2)移動モード判定手段は、各時点で分類された移動モードに尤度係数を付与し、使用者の移動の開始から移動の停止までの間において、使用者の移動速度が予め定められた速度範囲内にある時点で分類された移動モードの尤度係数を他の移動モードの尤度係数よりも高く設定し、移動速度が速度範囲内にある次の分類の時点まで設定された尤度係数を維持し、各判定期間内において各移動モードに付与された尤度係数の合計に基づいて各移動モードの生起頻度を算出し、各判定期間における最も高い生起頻度を有する移動モードを当該判定期間についての使用者の移動モードとして判定してもよい。
【0010】
この場合、各判定期間についての移動モードを簡単な処理でかつ高い精度で判定することができる。
【0011】
(3)移動情報は、鉛直方向の加速度を含んでもよい。
【0012】
この場合、鉛直方向の加速度に基づく特徴量を用いることにより分類の精度が向上することが本発明者により確認されているので、移動モードの判定精度が向上する。
【0013】
(4)移動モード判定装置は、移動情報を順次取得する移動情報取得手段をさらに備え、移動モード分類手段は、移動情報取得手段により取得される移動情報に基づいて使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類し、移動モード判定装置は、移動情報取得手段、移動モード分類手段、移動モード蓄積手段および移動モード判定手段を有する移動端末により構成されてもよい。
【0014】
この場合、移動端末を携帯する使用者の移動モードを通信システムを通して任意の場所で取得することが可能となる。また、本発明によれば、各時点の移動モードの判定が時間軸上で動的に行われるので、使用者の動きに限らず、移動情報取得手段の不規則で一時的な動きの影響も除去される。したがって、各時点の動作モードの誤判定の確率がより低減される。
【0015】
(5)移動モード判定装置は、移動モード分類手段、移動モード蓄積手段および移動モード判定手段を有するサーバにより構成され、サーバが移動情報をオンラインまたはオフラインにより取得してもよい。
【0016】
この場合、使用者の移動モードをサーバにより取得することが可能となる。
【0017】
(6)移動モード判定装置は、移動情報を順次取得する移動情報取得手段をさらに備え、移動モード分類手段は、移動情報取得手段により取得される移動情報に基づいて使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類し、移動モード判定装置は、移動モード分類手段、移動モード蓄積手段および移動モード判定手段を有するサーバと、移動情報取得手段を有するとともに、移動情報取得手段により取得される移動情報をサーバに伝送する伝送装置とを有する移動端末とにより構成されてもよい。
【0018】
この場合、移動端末を携帯する使用者の移動モードをサーバにより取得することが可能となる。また、本発明によれば、各時点の移動モードの判定が時間軸上で動的に行われるので、使用者の動きに限らず、移動情報取得手段の不規則で一時的な動きの影響も除去される。したがって、各時点の動作モードの誤判定の確率がより低減される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用者の移動モードを高い精度で判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態に係る移動モード判定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の移動モード判定装置による移動モードの判定例を示す説明図である。
【図3】移動モード判定プログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図4】図1の移動モード判定装置が移動端末に搭載された例を示すブロック図である。
【図5】図1の移動モード判定装置がサーバに搭載された例を示すブロック図である。
【図6】分類の誤り率および多数決判定の誤り率と使用者の速度範囲との関係の一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る移動モード判定装置の構成を示すブロック図である。
【図8】尤度係数を用いた移動モードの判定の一例を示す図である。
【図9】移動速度が対象速度範囲内にある時点で分類された移動モードに付与される尤度係数の値と尤度係数を用いた移動モードの判定精度との関係の一例を示す図である。
【図10】他の実施の形態に係る移動モード判定装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る移動モード判定装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、移動モードとは、「徒歩」、「自転車」、「自動車」、「バス」、「自動二輪車」および「鉄道」等の使用者の移動手段の種類を意味する。

【0022】
[1]第1の実施の形態
(1)移動モード判定装置の構成
図1は、第1の実施の形態に係る移動モード判定装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る移動モード判定装置100は、移動情報取得部10、移動モード分類部20、移動モード蓄積部30および移動モード判定部40を含む。

【0023】
移動情報取得部10は、位置センサ11、速度算出部12、加速度センサ13および加速度算出部14を含む。位置センサ11は、例えばGPS(全地球測位システム:Global Positioning System)からなり、使用者の現在の位置を示す位置情報を生成する。速度算出部12は、位置センサ11により生成された位置情報の単位時間当たりの変化量に基づいて使用者の移動速度を算出する。

【0024】
加速度センサ13には、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を有するXYZ座標系が定義されている。加速度センサ13は、XYZ座標系の各座標軸の方向に発生する加速度を検出する。加速度算出部14は、加速度センサ13により検出されたXYZ座標系の三方向の加速度から、使用者の鉛直方向(地面に対して垂直な重力の方向)の加速度を算出する。

【0025】
移動モード分類部20は、特徴量算出部21,22および分類器23を含む。特徴量算出部21は、移動情報取得部10の速度算出部12により順次算出される移動速度の時系列データから一定の時間幅のデータを抽出し、抽出したデータに基づいて移動速度に関する特徴量を算出する。特徴量は、一定の時間幅における複数の移動速度の平均値、標準偏差、および第3四分位数等の統計量である。また、特徴量算出部22は、移動情報取得部10の加速度算出部14により順次算出される鉛直方向の加速度の時系列データから一定の時間幅のデータを抽出し、抽出したデータに基づいて加速度に関する特徴量を算出する。特徴量は、一定の時間幅における複数の加速度の平均値、標準偏差、および第3四分位数等の統計量である。移動速度および加速度に関する特徴量は、使用者の移動変化の特徴を表す。

【0026】
分類器23は、移動速度および加速度に関する特徴量と移動モードの種類とを対応付けることにより、特徴量算出部21,22により算出された特徴量を複数の移動モードのいずれかに分類する。分類器は、機械学習アルゴリズムを用いた学習により予め設計される。機械学習アルゴリズムとしては、例えば、決定木アルゴリズムまたはk近傍法アルゴリズムを用いることができる。

【0027】
移動モード蓄積部30は、移動モード分類部20の分類器23による分類結果を時系列データとして蓄積する。分類結果の時系列データは、複数の時点に対応する複数の分類結果を示す。以下、各分類結果を示すデータを単位データと呼ぶ。時系列データは、時間軸方向に並んだ複数の単位データにより構成される。移動モード蓄積部30には、後述する判定期間以上の期間に相当する複数の単位データが蓄積される。移動モード蓄積部30に新たな単位データが記憶されるごとに最も古い単位データがパイプライン式に消去されてもよい。

【0028】
移動モード判定部40は、移動モード読み出し部41および移動モード決定部42を含む。移動モード読み出し部41は、移動モード蓄積部30に蓄積される時系列データから一定期間(以下、判定期間と呼ぶ。)の時系列データを読み出す。詳細には、移動モード読み出し部41は、判定期間を時間軸上で単位データごとに順次シフトさせつつ、各判定期間の時系列データを読み出す。各判定期間には、複数の分類結果を示す複数の単位データが含まれる。

【0029】
この場合、移動モード読み出し部41は、最初の判定期間の時系列データを読み出した後、以降の各判定期間の時系列データの読み出しの際には、最新の分類結果を示す単位データのみを順次読み出す。各判定期間の時系列データの読み出しの際に最も古い分類結果を示す単位データが削除されてもよい。なお、本実施の形態では、各判定期間の時系列データの読み出しの際の判定期間のシフト量は1つの分類結果を示す単位データ分であるが、これに限定されず、判定期間のシフト量が2つ以上の単位データ分であってもよい。ただし、各判定期間と次の判定期間とが時間軸上で重複することが好ましい。なお、判定期間の時間幅は、予め定められてもよく、または使用者の指示により設定されてもよい。また、時間幅は、時間軸上で一定である必要はなく、時間軸上で可変であっても構わない。

【0030】
移動モード決定部42は、移動モード読み出し部41により順次読み出される各判定期間の時系列データに基づいて当該判定期間内の特定時点(例えば中間時点)の移動モードを、分類結果の生起頻度に基づいて決定する。ここで、分類結果の生起頻度は、判定期間内の時系列データに含まれる複数の分類結果の生起頻度を表す。例えば、移動モード決定部42は、判定期間内の時系列データにより表される複数の移動モードのうち最も生起頻度が高い移動モードを当該判定期間内の特定時点の移動モードとして決定し、決定した移動モードを判定結果として出力する。

【0031】
なお、移動モード決定部42は、例えば判定期間内の時系列データにより表される複数の移動モードのうち最も生起頻度が高い移動モードが複数存在する場合、それらの複数の移動モードのうちの1つを任意に選択し、選択された移動モードを使用者の移動モードとして決定してもよい。または、移動モード決定部42は、最も生起頻度が高い複数の移動モードの全てを使用者の移動モードとして決定してもよい。あるいは、移動モード決定部42は、当該判定期間の直前または直後の判定期間で決定された移動モードを使用者の移動モードとして決定してもよい。

【0032】
図1の移動モード判定装置100においては、移動情報取得部10の速度算出部12および加速度算出部14、ならびに移動モード分類部20、移動モード蓄積部30および移動モード判定部40は、例えばCPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)および後述する移動モード判定プログラムにより構成される。この場合、CPUがROMまたは他の記憶装置に記憶される移動モード判定プログラムをRAM上で実行することにより速度算出部12、加速度算出部14、移動モード分類部20、移動モード蓄積部30および移動モード判定部40の機能が実現される。なお、速度算出部12、加速度算出部14、移動モード分類部20、移動モード蓄積部30および移動モード判定部40の一部または全てが、電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。

【0033】
(2)移動モード判定装置による移動モードの判定例
図2は、図1の移動モード判定装置100による移動モードの判定例を示す説明図である。図2の最上段には、図1の移動モード蓄積部30に蓄積される分類結果が時点t0~t10にかけて時系列的に示される。具体的には、時点t0~t1の分類結果は「鉄道」であり、時点t1~t2の分類結果は「鉄道」であり、時点t2~t3の分類結果は「徒歩」であり、時点t3~t4の分類結果は「徒歩」であり、時点t4~t5の分類結果は「鉄道」である。また、時点t5~t6の分類結果は「鉄道」であり、時点t6~t7の分類結果は「鉄道」であり、時点t7~t8の分類結果は「鉄道」であり、時点t8~t9の分類結果は「鉄道」であり、時点t9~t10の分類結果は「徒歩」である。

【0034】
図2の例において、白抜きの矢印a1で示すように、まず、時点t0から時点t5までの間の期間が判定期間として設定される。移動モード読み出し部41は、判定期間内の複数(本例では5つ)の分類結果を示す時系列データを移動モード蓄積部30から読み出す。この場合、判定期間内の移動モードは、「鉄道」、「鉄道」、「徒歩」、「徒歩」および「鉄道」である。移動モード決定部42は、時点t0~t5の判定期間における複数の移動モードの生起頻度を計数する。本例では、「鉄道」の生起頻度が3であり、「徒歩」の生起頻度が2である。移動モード決定部42は、生起頻度が最も高い移動モード(本例では「鉄道」)を現在設定されている判定期間の中間時点t11の移動モードとして決定する。

【0035】
次に、白抜きの矢印a2で示すように、時点t1から時点t6までの間の期間が判定期間として設定される。移動モード読み出し部41は、判定期間内の複数の分類結果を示す時系列データを移動モード蓄積部30から読み出す。この場合、判定期間内の移動モードは、「鉄道」、「徒歩」、「徒歩」、「鉄道」および「鉄道」である。移動モード決定部42は、時点t1~t6の判定期間における複数の移動モードの生起頻度を計数する。本例では、「鉄道」の生起頻度が3であり、「徒歩」の生起頻度が2である。移動モード決定部42は、生起頻度が最も高い移動モード(本例では「鉄道」)を現在設定されている判定期間の中間時点t12の移動モードとして決定する。

【0036】
以降、図2に白抜きの矢印a3~a6で示すように、判定期間が時間軸上で順次シフトする。各判定期間内の中間時点の移動モードが決定される。その結果、図2の例では、中間時点t11,t12に加えて、時点t2,t7間の中間時点t13、時点t3,t8間の中間時点t14、時点t4,t9間の中間時点t15および時点t5,t10間の中間時点t16の全てにおいて、移動モードが「鉄道」と判定される。

【0037】
なお、移動モード蓄積部30への時系列データの蓄積が開始されてから予め定められた時間が経過するまでの間(図2の例では時点t0~t4までの時間)に、移動モードの判定が行われなくてもよいし、移動モードの判定が行われてもよい。

【0038】
(3)移動モード判定プログラムのアルゴリズム
図3は、移動モード判定プログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。図3に示すように、図1の移動情報取得部10が使用者の移動速度および使用者の鉛直方向の加速度をそれぞれ算出する(ステップS11)。ステップS11の動作により移動速度および鉛直方向の加速度について所定量のデータが取得されると、図1の特徴量算出部21,22は移動速度および加速度に関する特徴量を算出する(ステップS12)。図1の分類器23は特徴量算出部21,22により算出された特徴量を複数の移動モードのいずれかに分類する(ステップS13)。その後、図1の移動モード蓄積部30は、分類器23による分類結果を時系列データとして蓄積する(ステップS14)。

【0039】
図1の移動モード読み出し部41は、移動モード蓄積部30に蓄積された時系列データから判定期間内の時系列データを読み出す(ステップS15)。図1の移動モード決定部42は、判定期間内の時系列データにより表される複数の分類結果の生起頻度に基づいて、使用者の移動モードを判定し、判定結果を出力する(ステップS16)。ステップS17において移動モードの判定処理の終了が指示されるまで、ステップS11~S17の処理が一定周期で繰り返される。

【0040】
(4)第1の実施の形態の効果
使用者がいずれかの移動手段で移動する場合には、移動手段の通常の動きとともに、使用者自身の不規則で一時的な動きが生じ、または位置センサ11および加速度センサ13の不規則で一時的な動きが生じることがある。それにより、移動モードの誤判定が生じる可能性がある。

【0041】
本実施の形態に係る移動モード判定装置100においては、使用者が移動する各時点に対応する移動モードの分類結果を示す時系列データが移動モード蓄積部30に蓄積される。時間軸上で順次シフトする各判定期間における複数時点に対応する分類結果の生起頻度に基づいて、各判定期間についての使用者の移動モードが判定される。それにより、各時点での移動モードがその時点に対応する分類結果とその時点より前または後の時点に対応する分類結果とを用いて判定される。このような時間軸上での動的な判定により移動手段以外の動きの影響が除去される。そのため、各時点の動作モードの誤判定の確率が低減される。また、判定期間が時間軸上でシフトするように設定されるので、使用者の移動状況の変化が移動モードの判定結果に動的に反映される。したがって、使用者の移動モードを高い精度で判定することが可能となる。

【0042】
また、本実施の形態では、移動モードの判定を行うために、本発明者により移動モードの分類精度の向上が確認されている鉛直方向の加速度に関する特徴量が用いられるので、移動モードの判定精度が向上する。

【0043】
(5)移動モード判定装置100の移動端末への搭載例
図4は、図1の移動モード判定装置100が移動端末に搭載された例を示すブロック図である。図4に示すように、移動端末1は、図1の移動モード判定装置100を構成する移動情報取得部10、移動モード分類部20、移動モード蓄積部30および移動モード判定部40に加えて、通信回路50を含む。

【0044】
通信回路50は、電話回線またはインターネット等の通信システムを介して、図示しないサーバまたは他の移動端末との間で各種データの送信および受信を行う。したがって、移動端末1を携帯する使用者の移動モードを任意の場所で取得することが可能となる。

【0045】
なお、本発明者は、判定期間内の複数の分類結果の生起頻度に基づいて使用者の移動モードを判定する場合には、生起頻度によらず使用者の移動モードを判定する場合に比べて10%程度判定精度が上昇することを実験により確認した。

【0046】
(6)移動モード判定装置100のサーバへの搭載例
図5は、図1の移動モード判定装置100がサーバに搭載された例を示すブロック図である。図5の例では、通信回路60を有するサーバ3に図1の移動モード分類部20、移動モード蓄積部30および移動モード判定部40が搭載される。一方、図1の移動情報取得部10は、伝送装置70とともにサーバ3とは別体の移動端末2に搭載される。

【0047】
この場合、移動端末2においては、伝送装置70は、移動情報取得部10の速度算出部12(図1)および加速度算出部14(図1)により算出される移動速度および加速度を、基地局5およびインターネット4を含む通信システムを介してサーバ3へ伝送する。また、サーバ3においては、通信回路60が移動端末2から伝送される移動速度および加速度を移動情報として受信し、受信した移動情報を移動モード分類部20に与える。それにより、移動端末2を携帯する使用者の移動モードを任意の場所で取得することが可能となる。

【0048】
なお、図5の構成において、移動情報取得部10のうち位置センサ11(図1)および加速度センサ13(図1)が伝送装置70とともに移動端末2に搭載され、図1の移動情報取得部10のうち速度算出部12(図1)および加速度算出部14(図1)がサーバ3に搭載されてもよい。この場合、移動端末2の伝送装置70は、位置センサ11(図1)により生成される位置情報および加速度センサ13(図1)により検出される三方向の加速度をサーバ3へ伝送する。また、サーバ3においては、速度算出部12(図1)が伝送された位置情報に基づいて使用者の移動速度を算出し、加速度算出部14(図1)が伝送された三方向の加速度に基づいて、使用者の鉛直方向の加速度を算出する。

【0049】
また、図5の構成において、移動情報取得部10および伝送装置70が移動端末2に搭載されなくてもよい。例えば、使用者が携帯可能な種々の製品(携行品)に移動情報取得部10および伝送装置70が設けられてもよい。この場合、サーバ3は、移動情報取得部10により取得される移動情報をオンラインまたはオフラインで取得してもよい。

【0050】
[2]第2の実施の形態
上記のように、第1の実施の形態に係る移動モード判定装置100においては、各判定期間における複数の時点に対応する分類結果のうち最も生起頻度が高い移動モードが当該判定期間についての使用者の移動モードとして判定される。すなわち、判定期間内の複数の時点で分類された全ての移動モードのうち最も多い回数分類された移動モードが単純な多数決により当該判定期間の移動モードとして決定される。以下の説明では、第1の実施の形態に記載された単純な多数決による移動モードの判定を多数決判定と呼ぶ。

【0051】
本発明者は、使用者の移動速度の範囲により移動モードの判定結果の尤度に違いが生じると考えた。この点を確認するために、分類器23による分類の誤り率と使用者の移動速度の範囲(以下、速度範囲と呼ぶ。)との関係、および移動モード決定部42による多数決判定の誤り率と使用者の速度範囲との関係を調査した。

【0052】
図6は、分類の誤り率および多数決判定の誤り率と使用者の速度範囲との関係の一例を示す図である。図6においては、縦軸は分類および多数決判定の誤り率を表し、横軸は使用者の複数の速度範囲を表す。本例では、0km/hから50km/hにかけて5km/hごとに速度範囲が設定されている。分類の誤り率を四角印で表し、多数決判定の誤り率を丸印で表す。

【0053】
また、図6においては、速度範囲に基づく誤り率の変化の傾向を分かりやすくするために、複数の速度範囲における分類の誤り率が実線で結ばれ、複数の速度範囲における多数決判定の誤り率が破線で結ばれている。分類の誤り率が低いほど移動モードの分類精度が高く、多数決判定の誤り率が低いほど移動モードの多数決判定の精度が高い。

【0054】
図6の調査結果によれば、多数決判定の誤り率は、全ての速度範囲において分類の誤り率よりも低い。したがって、移動モードの多数決判定の精度は、全ての速度範囲において移動モードの分類精度よりも高いことがわかる。

【0055】
また、分類の誤り率および多数決判定の誤り率は、5km/h以上10km/h未満および45km/h以上50km/h未満の速度範囲で局所的に低くなっている。それにより、移動モードの分類精度および多数決判定の精度は、使用者の移動速度が特定の移動範囲内にあるときに高くなることがわかる。

【0056】
上記の点を考慮して、第2の実施の形態に係る移動モード判定装置においては、各時点で分類された移動モードに尤度係数が付与される。尤度係数は、分類結果の重みを意味する。ここで、使用者の移動の開始から移動の停止までの間において、使用者の移動速度が予め定められた速度範囲内にある時点で分類された移動モードの尤度係数が他の移動モードの尤度係数よりも高く設定され、移動速度が速度範囲内にある次の分類の時点まで、設定された尤度係数が維持される。その上で、各判定期間内において各移動モードに付与された尤度係数の合計に基づいて各移動モードの生起頻度が算出される。各判定期間における最も高い生起頻度を有する移動モードが当該判定期間についての使用者の移動モードとして判定される。それにより、各判定期間についての移動モードが簡単な処理でかつ高い精度で判定される。

【0057】
第2の実施の形態に係る移動モード判定装置の構成について、第1の実施の形態に係る移動モード判定装置100と異なる点を説明する。図7は、第2の実施の形態に係る移動モード判定装置の構成を示すブロック図である。図7に示すように、本実施の形態に係る移動モード判定装置100においては、移動モード判定部40の構成が第1の実施の形態に係る移動モード判定部40の構成とは異なる。

【0058】
本実施の形態に係る移動モード判定部40は、移動モード読み出し部41および移動モード決定部42に加えて、速度範囲判定部43、レジスタ更新部44、尤度係数レジスタ45および尤度係数付与部46を含む。

【0059】
尤度係数レジスタ45には、分類器23による分類対象となる複数の移動モードとそれらの移動モードにそれぞれ付与されるべき尤度係数との関係が記憶される。尤度係数レジスタ45は、記憶された関係を尤度係数付与部46に与える。

【0060】
尤度係数付与部46には、尤度係数レジスタ45から移動モードと尤度係数との関係が与えられるとともに、移動モード読み出し部41により読み出された時系列データ(判定期間内の分類器23による分類結果)が与えられる。尤度係数付与部46は、尤度係数レジスタ45から与えられる関係に基づいて判定期間内の各時点で分類された移動モードに尤度係数を付与する。

【0061】
速度範囲判定部43には、予め行われた調査により分類精度が高くなった速度範囲が対象速度範囲として設定されている。また、速度範囲判定部43には、速度算出部12から算出された移動速度が与えられる。速度範囲判定部43は、速度算出部12から与えられる移動速度に基づいて、使用者の移動速度が対象速度範囲内にあるか否かを判定し、判定結果をレジスタ更新部44に与える。

【0062】
レジスタ更新部44には、移動モード読み出し部41により読み出された時系列データ(判定期間内の分類器23による分類結果)が与えられる。レジスタ更新部44は、速度範囲判定部43から与えられる判定結果と移動モード読み出し部41から与えられる判定期間内の各時点における分類結果とに基づいて、尤度係数レジスタ45に記憶された移動モードと尤度係数との関係を更新する。

【0063】
具体的には、レジスタ更新部44は、使用者の移動速度が対象速度範囲内にある時点で分類された移動モードの尤度係数が他の移動モードの尤度係数よりも高くなるように尤度係数レジスタ45に記憶された関係を更新する。また、レジスタ更新部44は、上記の関係が更新された後、使用者の移動速度が対象速度範囲外となった場合に、尤度係数レジスタ45において更新された関係を移動速度が対象速度範囲内にある次の分類の時点まで維持する。

【0064】
移動モード決定部42は、各判定期間内において尤度係数付与部46により各移動モードに付与された尤度係数の合計に基づいて各移動モードの生起頻度を算出し、各判定期間における最も高い生起頻度を有する移動モードを当該判定期間についての使用者の移動モードとして決定する。

【0065】
本実施の形態においても、移動モード判定部40は、例えばCPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)および後述する移動モード判定プログラムにより構成される。この場合、CPUがROMまたは他の記憶装置に記憶される移動モード判定プログラムをRAM上で実行することにより移動モード読み出し部41、移動モード決定部42、速度範囲判定部43、レジスタ更新部44、尤度係数レジスタ45および尤度係数付与部46の機能が実現される。なお、これらの構成要素の一部または全てが、電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。

【0066】
図8は、尤度係数を用いた移動モードの判定の一例を示す図である。図8の最上段には、使用者の移動速度の変化が時系列的に示されるとともに、予め調査により定められた対象速度範囲aaが一点鎖線で示される。

【0067】
本例では、一定間隔で時間軸上に並ぶ複数の点線により、複数の時点u0~u24が示される。kを1~24までの整数とした場合に、分類器23は、時点u(k-1)と時点ukとの間の時点(例えば中間時点)の移動モードを分類する。

【0068】
図8の2段目には、移動モードの分類結果が示される。なお、本例では、移動モードに、使用者が移動手段を利用してない状態として「停止」が含まれるものとする。図8では、移動モードの一例である「徒歩」、「鉄道」、「バス」および「停止」を、それぞれ符号「A」、「B」、「C」および「D」で表す。

【0069】
図8の3段目には、分類器23による各時点での分類結果である移動モードに付与される尤度係数が示される。本例では、尤度係数の初期値は「1」である。使用者は時点u5から移動を開始している。時点u0から時点u6にかけて使用者の移動速度は対象速度範囲aaよりも低い。したがって、時点u0と時点u6との間で分類された各移動モードには、尤度係数として初期値「1」が付与される。

【0070】
使用者の移動速度は、時点u6から時点u7にかけて対象速度範囲aa内となっている。このとき、図7の尤度係数レジスタ45に記憶された関係が更新される。それにより、時点u6と時点u7との間で分類された移動モード(「B」)には、他の移動モード(「A」、「C」および「D」)の尤度係数「1」よりも高い尤度係数「2」が付与される。

【0071】
次に、使用者の移動速度は、時点u7から時点u15にかけて対象速度範囲aa外となっている。このとき、時点u6と時点u7との間で図7の尤度係数レジスタ45に記憶された関係が維持される。それにより、時点u7から時点u15までの間で分類された移動モード(「B」)には、直前の時点u6と時点u7との間で付与された尤度係数「2」が付与される。また、他の移動モード(「A」、「C」および「D」)には、尤度係数「1」が付与される。

【0072】
次に、使用者の移動速度は、時点u15から時点u18にかけて対象速度範囲aa内となっている。時点u15から時点u18までの間には、移動モードが3回分類されている。この場合、移動モードが分類されるごとに、図7の尤度係数レジスタ45に記憶された関係が更新される。それにより、時点u15と時点u16との間で分類された移動モード(「C」)には、他の移動モード(「A」、「B」および「D」)の尤度係数「1」よりも高い尤度係数「2」が付与される。また、時点u16と時点u17との間で分類された移動モード(「C」)には、他の移動モード(「A」、「B」および「D」)の尤度係数「1」よりも高い尤度係数「2」が付与される。さらに、時点u17と時点u18との間で分類された移動モード(「B」)には、他の移動モード(「A」、「C」および「D」)の尤度係数「1」よりも高い尤度係数「2」が付与される。

【0073】
次に、使用者の移動速度は、時点u18から時点u21にかけて対象速度範囲aa外となっている。このとき、時点u17と時点u18との間で図7の尤度係数レジスタ45に記憶された関係が維持される。それにより、時点u18から時点u21までの間で分類された移動モード(「B」)には、直前の時点u17と時点u18との間で付与された尤度係数「2」が付与される。また、他の移動モード(「A」、「C」および「D」)には、尤度係数「1」が付与される。

【0074】
次に、使用者の移動速度は、時点u21から時点u22にかけて対象速度範囲aa内となっている。このとき、図7の尤度係数レジスタ45に記憶された関係が更新される。それにより、時点u21と時点u22との間で分類された移動モード(「B」)には、他の移動モード(「A」、「B」および「D」)の尤度係数「1」よりも高い尤度係数「2」が付与される。

【0075】
次に、使用者の移動速度は、時点u22から時点u24にかけて対象速度範囲aa外となっている。このとき、時点u21と時点u22との間で図7の尤度係数レジスタ45に記憶された関係が維持される。それにより、時点u22から時点u24までの間で分類された移動モード(「B」)には、直前の時点u21と時点u22との間で付与された尤度係数「2」が付与される。また、他の移動モード(「A」、「C」および「D」)には、尤度係数「1」が付与される。

【0076】
図8の最下段には、複数の判定期間のうち一部の判定期間における生起頻度が示される。この場合、図8に白抜きの矢印a11で示される判定期間(時点u3から時点u8までの判定期間)に関しては、「A」の尤度係数の合計が「1」であり、「B」の尤度係数の合計が「4」であり、「D」の尤度係数の合計が「2」である。これらの合計を各移動モードの生起頻度とすると、最も生起頻度が高い移動モードは「B」となる。したがって、矢印a11で示される判定期間についての移動モードは「B」と判定される。なお、矢印a11で示される判定期間について、第1の実施の形態に係る多数決判定を行った場合には、「A」、「B」および「D」の生起頻度がそれぞれ「1」、「2」および「2」となる。そのため、当該判定期間についての移動モードは、「B」および「C」と判定される。

【0077】
また、図7に白抜きの矢印a12で示される判定期間(時点u9から時点u14までの判定期間)に関しては、「B」の尤度係数の合計が「4」であり、「C」の尤度係数の合計が「3」である。これらの合計を各移動モードの生起頻度とすると、最も生起頻度が高い移動モードは「B」となる。したがって、矢印a12で示される判定期間についての移動モードは「B」と判定される。なお、矢印a12で示される判定期間について、第1の実施の形態に係る多数決判定を行った場合には、「B」および「C」の生起頻度がそれぞれ「2」および「3」となる。そのため、当該判定期間についての移動モードは「C」と判定される。

【0078】
さらに、図7に白抜きの矢印a13で示される判定期間(時点u15から時点u20までの判定期間)に関しては、「B」の尤度係数の合計が「6」であり、「C」の尤度係数の合計が「4」である。これらの合計を各移動モードの生起頻度とすると、最も生起頻度が高い移動モードは「B」となる。したがって、矢印a13で示される判定期間についての移動モードは「B」と判定される。なお、矢印a13で示される判定期間について、第1の実施の形態に係る多数決判定を行った場合には、「B」および「C」の生起頻度がそれぞれ「3」および「2」となる。そのため、当該判定期間についての移動モードは「B」と判定される。

【0079】
図8の例では、使用者が移動を開始することにより移動速度が対象速度範囲内になったときに分類された移動モードの尤度係数は「2」に設定されるが、その尤度係数は「3」以上の値に設定されてもよい。移動速度が対象速度範囲内にある時点で分類された移動モードに付与される尤度係数の値は、移動モードの判定精度を考慮して実験またはシミュレーション等により求めることが好ましい。

【0080】
図9は、移動速度が対象速度範囲内にある時点で分類された移動モードに付与される尤度係数の値と尤度係数を用いた移動モードの判定精度との関係の一例を示す図である。図9においては、縦軸は判定精度を表し、横軸は尤度係数を表す。

【0081】
本例では、移動速度が対象速度範囲内にある時点で分類された移動モード以外の移動モードには尤度係数「1」が付与される。したがって、移動速度が対象速度範囲内にある時点で分類された移動モードに尤度係数「1」を付与して判定を行うことは、多数決判定を行うことに等しい。

【0082】
図9の例によれば、移動モード決定部42による移動モードの判定の測定精度は、尤度係数の値が「1」であるとき、すなわち多数決判定を行うときに最も低い。これに対して、移動モード決定部42による移動モードの判定の測定精度は、尤度係数の値が「1」から「2」に変化することにより大きく上昇している。さらに、移動モードの判定精度は、尤度係数の値が「2」から「29」に変化することにより緩やかに上昇している。したがって、移動速度が対象速度範囲内になったときに分類された移動モードに付与される尤度係数の値が他の移動モードの尤度係数の値よりも大きく設定されることにより、判定精度が向上することがわかる。

【0083】
第2の実施の形態に係る移動モード判定装置100は、第1の実施の形態に係る移動モード判定装置100の図4および図5の例と同様に、移動端末への搭載およびサーバへの搭載が可能である。

【0084】
[3]他の実施の形態
(1)上記実施の形態においては、移動モード判定装置100が移動情報取得部10を含むが、本発明はこれに限定されない。移動モード判定装置100は、移動情報取得部10を含まなくてもよい。例えば、使用者の移動速度および加速度の時系列データを含むデータベースが存在する場合、移動モード判定装置100は、当該データベースから移動速度および加速度の時系列データを読み出すことにより移動モードの判定を行うことができる。

【0085】
(2)上記実施の形態においては、移動モードの判定を行うために、移動速度に関する特徴量および鉛直方向の加速度に関する特徴量が用いられるが、本発明はこれに限定されない。移動モードは、移動速度に関する特徴量および鉛直方向の加速度に関する特徴量のうちいずれか一方を用いて判定されてもよい。

【0086】
また、移動モードの判定を行うために、移動速度に関する特徴量および鉛直方向の加速度に関する特徴量以外の特徴量が用いられてもよい。例えば、加速度センサ13により検出されるXYZ座標系の三方向の加速度によれば、使用者の鉛直方向の加速度に加えて、使用者の水平方向の加速度を算出することも可能である。より具体的には、使用者の水平方向の加速度として、使用者の進行方向の加速度と進行方向に直交する使用者の左右方向の加速度とを算出することが可能である。そこで、移動速度に関する特徴量、使用者の鉛直方向の加速度に関する特徴量、使用者の進行方向の加速度に関する特徴量および使用者の左右方向の加速度に関する特徴量のうち少なくとも1つを用いて移動モードが判定されてもよい。

【0087】
ここで、加速度センサ13により検出される三方向の加速度に基づいて使用者の鉛直方向、進行方向および左右方向の加速度を算出するためには、加速度センサ13の姿勢を検知する必要がある。すなわち、加速度センサ13に定義されるXYZ座標系が、使用者の鉛直方向、進行方向および左右方向からなる三次元座標系(以下、基準座標系と呼ぶ。)に対してどのような関係にあるのかを検知する必要がある。

【0088】
加速度センサ13の姿勢は、例えば加速度センサ13により検出されるXYZ座標系の三方向の加速度に基づいて検知することができる。あるいは、移動情報取得部10に加速度センサ13とともにジャイロスコープを設ける場合、加速度センサ13の姿勢は、ジャイロスコープにより検出される回転角速度から回転角度を求め、求めた回転角度から得られる回転行列に基づいて検知することもできる。加速度センサ13の姿勢の検知方法はこれらの例に限定されない。

【0089】
なお、使用者の鉛直方向、進行方向および左右方向の加速度を算出する際には、加速度センサ13の姿勢を表す四元数(Quaternion)を用いることができる。例えば、加速度センサ13の姿勢を表す四元数を用いて加速度センサ13により検出されるXYZ座標系の加速度の合成ベクトルを基準座標系に変換する。それにより、使用者の鉛直方向、進行方向および左右方向の加速度を算出することが可能になる。

【0090】
(3)第2の実施の形態に係る移動モード判定装置100においては、レジスタ更新部44は、使用者が移動を開始してから移動を停止した時点で全ての移動モードの尤度係数が互いに等しい初期値「1」となるように尤度係数レジスタ45に記憶された関係を更新し、尤度係数レジスタ45において更新された関係を移動速度が対象速度範囲内にある次の分類の時点まで維持してもよい。

【0091】
この場合、使用者の移動が停止されるごとに、全ての移動モードの尤度係数がリセットされる。そのため、使用者が移動を開始した後、使用者の移送速度が対象速度範囲に到達するまでの判定に、前回の移動モードの判定時に設定された尤度係数が用いられることによる判定精度の低下が抑制される。

【0092】
(4)図6の調査結果に示されるように、移動モードの多数決判定の精度は、移動モードの分類精度と同様に、使用者の移動速度が特定の移動範囲内にある時に高くなる。この点を考慮して、移動モード判定装置においては、例えば複数の判定期間を含む一定期間(以下、対象期間と呼ぶ。)を設定するとともに、対象期間内の各判定期間に対応する多数決判定結果に尤度係数を付与し、各多数決判定結果に付与された尤度係数の合計に基づいて、各対象期間についての移動モードを判定してもよい。

【0093】
図10は、他の実施の形態に係る移動モード判定装置の構成を示すブロック図である。図10に示すように、本例の移動モード判定装置100は、移動情報取得部10、移動モード分類部20、移動モード判定部40、多数決判定部110および多数決判定結果蓄積部120を含む。この移動モード判定装置100においては、予め上記の判定期間および対象期間が設定されているものとする。

【0094】
図10の移動情報取得部10、移動モード分類部20および移動モード判定部40の構成および動作は、図7の移動情報取得部10、移動モード分類部20および移動モード判定部40の構成および動作と基本的に同じである。また、図10の多数決判定部110は、図1の移動モード蓄積部30および移動モード判定部40で構成され、分類器23の分類結果に基づいて各判定期間の移動モードについて多数決判定を行う。

【0095】
多数決判定結果蓄積部120は、多数決判定部110による多数決判定結果を時系列データとして蓄積する。多数決判定結果の時系列データは、複数の判定期間に対応する複数の多数決判定結果を示す。

【0096】
本例の移動モード判定部40においては、尤度係数レジスタ45に、多数決判定部110による判定対象となる複数の移動モードとそれらの移動モードにそれぞれ付与されるべき尤度係数との関係が記憶される。尤度係数レジスタ45は、記憶された関係を尤度係数付与部46に与える。尤度係数付与部46は、尤度係数レジスタ45から与えられる関係に基づいて予め設定された対象期間内の各判定期間で分類された移動モードに尤度係数を付与する。

【0097】
速度範囲判定部43は、速度算出部12から与えられる移動速度に基づいて、使用者の移動速度が対象速度範囲内にあるか否かを判定し、判定結果をレジスタ更新部44に与える。レジスタ更新部44は、使用者の移動速度が対象速度範囲内にある判定期間について多数決判定された移動モードの尤度係数が他の移動モードの尤度係数よりも高くなるように尤度係数レジスタ45に記憶された関係を更新する。また、レジスタ更新部44は、上記の関係が更新された後、使用者の移動速度が対象速度範囲外となった場合に、尤度係数レジスタ45において更新された関係を移動速度が対象速度範囲内にある次の多数決判定の判定期間まで維持する。

【0098】
移動モード決定部42は、各対象期間内において尤度係数付与部46により各移動モードに付与された尤度係数の合計に基づいて各移動モードの生起頻度を算出し、各対象期間における最も高い生起頻度を有する移動モードを当該対象期間についての使用者の移動モードとして決定する。

【0099】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることができる。

【0100】
上記実施の形態では、移動情報取得部10が移動情報取得手段の例であり、移動モード分類部20が移動モード分類手段の例であり、移動モード蓄積部30が移動モード蓄積手段の例であり、移動モード判定部40が移動モード判定手段の例である。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることができる。
【符号の説明】
【0101】
1,2…移動端末,3…サーバ,4…インターネット,5…基地局,10…移動情報取得部,11…位置センサ,12…速度算出部,13…加速度センサ,14…加速度算出部,20…移動モード分類部,21,22…特徴量算出部,23…分類器,30…移動モード蓄積部,40…移動モード判定部,41…移動モード読み出し部,42…移動モード決定部,43…速度範囲判定部,44…レジスタ更新部,45…尤度係数レジスタ,46…尤度係数付与部,50,60…通信回路,70…伝送装置,100…移動モード判定装置,110…多数決判定部,120…多数決判定結果蓄積部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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