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Specification :(In Japanese)プラズマ殺菌装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)再公表特許(A1)
Date of issue Aug 23, 2018
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)プラズマ殺菌装置
IPC (International Patent Classification) A61L   2/14        (2006.01)
A23L   3/32        (2006.01)
FI (File Index) A61L 2/14
A23L 3/32
Demand for international preliminary examination (In Japanese)
Total pages 23
Application Number P2017-547843
International application number PCT/JP2016/081799
International publication number WO2017/073641
Date of international filing Oct 27, 2016
Date of international publication May 4, 2017
Application number of the priority 2015212715
Priority date Oct 29, 2015
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Designated state AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】柳生 義人
【氏名】三沢 達也
【氏名】作道 章一
Applicant (In Japanese)【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
【識別番号】504145308
【氏名又は名称】国立大学法人 琉球大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4B021
4C058
F-term 4B021LP10
4B021LT03
4C058AA21
4C058BB06
4C058KK06
4C058KK26
4C058KK32
4C058KK50
Abstract (In Japanese) 農産物のような様々な立体的形状を有する殺菌対象物に対しても、緩和な条件で損傷を防止して品質を劣化させずに、均質的な殺菌を可能とするプラズマ殺菌を行えるプラズマ殺菌装置を提供する。
プラズマ殺菌装置は、導電性を有する殺菌対象物に対して電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段から印加される電圧を前記殺菌対象物に対して誘電体を介して放電状態で印加する一対の電極と、前記一対の電極と前記殺菌対象物との相対位置を変化させる位置変化手段とを備えて構成される。
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
導電性を有する殺菌対象物に対して電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段から印加される電圧を前記殺菌対象物に対して誘電体を介して放電状態で印加する一対の電極と、
前記一対の電極と前記殺菌対象物との相対位置を変化させる位置変化手段とを備えることを特徴とする
プラズマ殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ殺菌装置において、
前記一対の電極は、当該一対の電極の少なくとも一方が、誘電体で導体を被覆して柔軟に形成される接触片で形成されると共に、当該接触片の対を複数配設して形成されることを特徴とする
プラズマ殺菌装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプラズマ殺菌装置において、
前記誘電体が、繊維形状又はメッシュ形状を有する繊維、合成樹脂又はシリコーン樹脂から形成されることを特徴とする
プラズマ殺菌装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のプラズマ殺菌装置において、
前記位置変化手段が、前記殺菌対象物を、前記一対の電極に対して移動させることを特徴とする
プラズマ殺菌装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれかに記載のプラズマ殺菌装置において、
前記位置変化手段が、一対の電極を構成する各接触片を回転させて、少なくとも1つの前記接触片の少なくとも先端部分を前記殺菌対象物に接触させることを特徴とする
プラズマ殺菌装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のプラズマ殺菌装置において、
前記殺菌対象物に関するインピーダンス値を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測されたインピーダンス値に基づいて、前記位置変化手段による前記相対位置の変化を制御する制御手段とを備えることを特徴とする
プラズマ殺菌装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のプラズマ殺菌装置において、
前記電圧印加手段が、前記殺菌対象物の種類に応じて、印加する電圧値を変化させることを特徴とする
プラズマ殺菌装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、放電プラズマを利用して殺菌対象物を殺菌するプラズマ殺菌装置に関し、特に、種々の立体的形状を有する殺菌対象物の表面を均質に殺菌できるプラズマ殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを用いて対象物の殺菌を行うプラズマ殺菌は、その用途が多岐にわたっており、その応用分野は拡大の一途を辿っている。その応用分野として期待されている分野として、農業分野における農産物の殺菌がある。
【0003】
農業分野では、現在の世界的な農産物の輸出入緩和の傾向に伴って、今後は、農産物の長距離輸送が大いに活発になることが予想されている。
【0004】
農産物は、その外皮表面に様々な菌類が付着しているが、多岐に渡る立体的形状があることから、一律な殺菌では均質に殺菌し難いという特徴がある。農産物の殺菌には、収穫後の農作物の腐敗を抑制する目的で従来から農薬等の薬剤が使用されているが、食用の用途のため、殺菌剤や防黴剤などの農薬を散布する行為(ポストハーベスト)や残留農薬濃度は、各国独自の法令により厳しく規制されていることもあり、現状では長距離輸送は技術的に難しいという状況となっている。そのため、殺菌が農産物に与えるダメージや悪影響を抑えて殺菌を行うことが要求されている。
【0005】
このような農産物の殺菌にプラズマ殺菌装置を用いることによって、その高い殺菌能力により、特に人体に有害な薬剤や農薬を必要とすることなく、農産物に対して安全且つ十分な殺菌が行えるという優れた利点が期待されている。
【0006】
このような従来のプラズマ殺菌装置としては、例えば、殺菌対象物に対して空気プラズマを照射するプラズマ照射工程を行って、当該殺菌対象物を殺菌するものがある(特許文献1参照)。また、例えば、搬送コンベアにより搬送される青果物の選果から箱詰めまでの工程間における搬送経路内に各青果物をプラズマ装置によりプラズマ生成したラジカルを照射するプラズマ滅菌装置を用いて、前記滅菌装置により前記搬送コンベアにより搬送される青果物の表皮に付着した微生物を殺菌するものもある(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0007】
また、例えば、穀類や種子を殺菌するものとして、多数配設された針状電極からなる放電側電極と、この放電側電極と離間して絶縁板により表面が覆われている平板状電極からなる接地側電極と、前記放電側電極と接地側電極とを囲う誘電体で形成され、放電側電極と接地側電極間に穀類及び種子等の殺菌対象物を介在させて、前記電極間でパルスストリーマ放電を発生することにより殺菌するものがある(例えば、特許文献4及び特許文献5参照)。この他にもプラズマジェットを照射することにより、農作物を殺菌するものもある(特許文献6参照)。
【0008】
なお、従来のプラズマを生成する装置に使われる電極については、農作物を殺菌対象としたものではないが、工業用材料の表面加工等を目的として、様々な形状のものが提案されている。例えば、ロール型の回転電極を用いる電極構成によって、電極間に設置された基材の表面に製膜又は表面処理を行うもの(例えば、特許文献7参照)や、回転電極の回転を利用して被処理ガスと反応ガスに化学反応を起こさせるもの(例えば、特許文献8参照)や、回転電極間に発生したプラズマを、外部に吹き出して、外部に設置された被処理基材を処理するもの(例えば、特許文献9参照)などがある。
【0009】
この他にも、従来のプラズマを生成する装置に使われる電極としては、上記と同様に、農作物を殺菌対象としたものではないが、ブラシ状電極を用いる構成(例えば、特許文献10及び特許文献11参照)も知られており、当該ブラシ状電極を上記回転電極に取り付ける構成(例えば、特許文献12~特許文献14参照)も知られている。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2010-187648号公報
【特許文献2】特開2013-172657号公報
【特許文献3】特開2008-283909号公報
【特許文献4】特開2000-295980号公報
【特許文献5】再公表02/001971号公報
【特許文献6】特開2008-237047号公報
【特許文献7】特開2011-225954号公報
【特許文献8】特開2002-28441号公報
【特許文献9】特開2003-166062号公報
【特許文献10】特開平7-296993号公報
【特許文献11】特開2003-38933号公報
【特許文献12】特開2008-245784号公報
【特許文献13】特開平9-104985号公報
【特許文献14】特開2003-19785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来のプラズマ殺菌装置は、殺菌対象物にプラズマを照射又は噴射することにより一律な強度で殺菌を行うことから、殺菌対象物が様々な立体的形状を有するものであり且つ複数個ある場合には、個々の殺菌対象物についての殺菌の度合いにばらつきが生じやすく、殺菌能力が同程度であっても、ある種類の殺菌対象物に対しては殺菌の度合いが弱過ぎることによって殺菌が不十分となる場合もあれば、別の種類の殺菌対象物に対しては殺菌の度合いが強過ぎることによって損傷を与える場合もあった。
【0012】
このような殺菌対象物としては、例えば、農産物の場合は、ミカン等の柑橘類のように外皮を食用としないもあれば、イチゴ等のように外皮を食用とするものもある。さらに、アボカドや南瓜のように、外皮が不均一で歪な凹凸形状を有するものもある。
【0013】
このような農産物のように、その表面の立体的形状が、滑らかな形状のものや、粗い形状のものや、歪な凹凸形状を有するものを殺菌対象物とする場合には、一律な強度のプラズマ放電を用いて殺菌を行うことによっては、殺菌が強すぎる箇所と不十分な箇所とが混在し、不均質な殺菌となっていた。
【0014】
また、農作物を殺菌対象としたものではないが、従来のプラズマを生成する装置に使われる様々な形状の電極を用いてプラズマを生成して、仮に農作物を殺菌対象とするとした場合でも、生成されたプラズマの噴射によって、一律な殺菌が行われることにより、殺菌が強すぎる箇所と不十分な箇所とが混在することから、上記と同様に、不均質な殺菌にとどまるものである。
【0015】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、農産物のような様々な立体的形状を有する殺菌対象物に対しても、緩和な条件で損傷を防止して品質を劣化させずに、均質的な殺菌を可能とするプラズマ殺菌を行えるプラズマ殺菌装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願に開示するプラズマ殺菌装置は、導電性を有する殺菌対象物に対して電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段から印加される電圧を前記殺菌対象物に対して誘電体を介して放電状態で印加する一対の電極と、前記一対の電極と前記殺菌対象物との相対位置を変化させる位置変化手段とを備えるものである。
【0017】
このように、本願に開示するプラズマ殺菌装置は、前記電圧印加手段が導電性を有する殺菌対象物に対して電圧を印加し、前記一対の電極が、前記電圧印加手段から印加される電圧を前記殺菌対象物に対して誘電体を介して放電状態で印加し、前記位置変化手段が、前記一対の電極と前記殺菌対象物との相対位置を変化させることから、前記殺菌対象物に与える放電が、誘電体を介することでアーク放電となることが抑制されると共に、前記殺菌対象物が放電を受ける位置が逐次変化することによって、前記殺菌対象物の表面で局所的ではなく分散的な放電が引き起こされることとなり、当該分散的な放電によって、前記殺菌対象物の形状に拠らず(凹凸表面に有する球体のような複雑な形状であっても)、前記殺菌対象物の表面の全領域に対して均質的且つ穏やかに、損傷を与えることなくドライプロセスで殺菌することができる。また、前記誘電体が前記殺菌対象物に接している部分にのみ放電プラズマが発生することから、電圧印加に係る電力が抑制されることとなり、常時放電している場合に比べてもより低コストで殺菌を行うことができる。
【0018】
また、本願に開示するプラズマ殺菌装置は、必要に応じて、前記一対の電極は、当該一対の電極の少なくとも一方が、誘電体で導体を被覆して柔軟に形成される接触片で形成されると共に、当該接触片の対を複数配設して形成されるものである。
【0019】
このように、前記一対の電極は、当該一対の電極の少なくとも一方が、誘電体で導体を被覆して柔軟に形成される接触片で形成されると共に、当該接触片の対を複数配設して形成されることから、接触片が常に振動して動いていることにより、前記殺菌対象物の様々な位置に接触片が接触することとなり、放電位置が局所集中することなく、前記殺菌対象物の表面の全領域にわたって均質に殺菌することができると同時に、接触片が接触することで前記殺菌対象物の表面を洗浄することも可能となる。
【0020】
また、本願に開示するプラズマ殺菌装置は、必要に応じて、前記誘電体が、繊維形状又はメッシュ形状を有する繊維、合成樹脂又はシリコーン樹脂から形成されるものである。このように、前記誘電体が、繊維形状又はメッシュ形状を有する繊維、合成樹脂又はシリコーン樹脂から形成されることから、前記誘電体が空隙を有する構造を有することによって、当該空隙間をプラズマ生成の原料となる原料ガスが充填されて、当該原料ガスが、前記誘電体で被覆された一対の電極としての導体に直接供給されると共に、前記殺菌対象物は前記誘電体の厚みにより当該導体には接触しないこととなり、前記殺菌対象物の表面の全体にわたって穏やかな殺菌を行うことができる。
【0021】
また、本願に開示するプラズマ殺菌装置は、必要に応じて、前記位置変化手段が、前記殺菌対象物を、前記一対の電極に対して移動させるものである。このように、前記位置変化手段が、前記殺菌対象物を、前記一対の電極に対して移動させることから、複数の前記殺菌対象物の各々が、確実に前記一対の電極に接触すると共に、前記一対の電極に対して、接触と隔離を繰り返すことから集中的ではなく分散的な殺菌が行われることとなり、前記殺菌対象物を均質的且つ満遍なく殺菌することができる。
【0022】
また、本願に開示するプラズマ殺菌装置は、必要に応じて、前記位置変化手段が、一対の電極を構成する各接触片を回転させて、少なくとも1つの前記接触片の少なくとも先端部分を前記殺菌対象物に接触させるものである。
【0023】
このように、前記位置変化手段が、一対の電極を構成する各接触片を回転させて、少なくとも1つの前記接触片の少なくとも先端部分を前記殺菌対象物に接触させることから、全ての接触片が前記殺菌対象物に接触可能に動いている状況が形成されることとなり、複数の前記殺菌対象物に対しても満遍なく接触片が接触することによって、前記殺菌対象物を均質的且つ満遍なく殺菌することができる。
【0024】
また、本願に開示するプラズマ殺菌装置は、必要に応じて、前記殺菌対象物に関するインピーダンス値を計測する計測手段と、前記計測手段により計測されたインピーダンス値に基づいて、前記位置変化手段による前記相対位置の変化を制御する制御手段とを備えるものである。
【0025】
このように、前記殺菌対象物に関するインピーダンス値を計測する計測手段と、前記計測手段により計測されたインピーダンス値に基づいて、前記位置変化手段による前記相対位置の変化を制御する制御手段とを備えることから、前記殺菌対象物の個々の導電性が判断されることによって、前記殺菌対象物の種類に応じて最適な前記相対位置の変化量が制御されることとなり、前記殺菌対象物の種類に応じた最適な殺菌強度が設定させることによって、前記殺菌対象物を均質的且つ満遍なく殺菌することができる。
【0026】
また、本願に開示するプラズマ殺菌装置は、必要に応じて、前記電圧印加手段が、前記殺菌対象物の種類に応じて、印加する電圧値を変化させるものである。このように、前記電圧印加手段が、前記殺菌対象物の種類に応じて、印加する電圧値を変化させることから、前記殺菌対象物の外皮が食用か否かによっても印加する電圧値を変化することができ、例えば、ミカンのように外皮を食用としないものについては外皮の損傷よりも殺菌強度を高めることが可能となるために印加する電圧値を高める一方で、イチゴのように外皮を食用するものについては損傷を抑えるために印加する電圧値を抑えるなど、殺菌強度を柔軟に変化できることとなり、前記殺菌対象物の種類や特性に応じて最適な殺菌が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の構成図を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の構成図を示す。
【図3】本発明の第3の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の構成図を示す。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るプラズマ殺菌装置による殺菌の様子を示す説明図を示す。
【図5】本発明の第4の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の電極構造に係る構成図を示す。
【図6】本発明の第5の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の構成図を示す。
【図7】本発明の第5の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の構成図を示す。
【図8】本発明の第5の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の変形例及び接触片の形状の一例を示す。
【図9】本発明の第5の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の電極構造の変形例に係る構成図を示す。
【図10】本発明の第6及び第7の実施形態に係るプラズマ殺菌装置の構成図を示す。
【図11】実施例1に係るプラズマ殺菌装置の放電の様子を撮影した写真を示す。
【図12】実施例1に係るプラズマ殺菌装置の殺菌結果を示す写真、及びプラズマ処理時間に対する残存菌数のグラフを示す。
【図13】実施例1に係るプラズマ殺菌装置の実験状況を示す写真(a)、及びシート状電極幅3mmの殺菌範囲を表す写真(b)、及びシート状電極幅5mmの殺菌範囲を表す写真(c)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係るプラズマ殺菌装置を、図1に基づいて説明する。

【0029】
図1(a)において、本実施形態に係るプラズマ殺菌装置は、導電性を有する殺菌対象物100に対して電圧を印加する電圧印加手段1と、この電圧印加手段1から印加される電圧を殺菌対象物100に対して誘電体21を介して放電状態で印加する一対の電極2と、この一対の電極2と殺菌対象物100との相対位置を変化させる位置変化手段3とを備える構成である。この一対の電極2は、一の電極2aと、他の電極2bが一対となって構成される。

【0030】
プラズマ放電の原料ガスは、特に限定されないが、大気中の空気を原料ガスとしてそのまま用いることができ、この場合には、特段のガスを別途用意することなく簡易且つ低コストで殺菌を実施できるという利点がある。すなわち、プラズマ放電の圧力条件としては、大気圧で十分である。

【0031】
この他にも、原料ガスとしては、ヘリウムやアルゴンなどの希ガスを用いることもでき、この場合には、放電が容易に得られるという利点がある。さらに、この希ガスに追加して、空気、窒素、酸素、水蒸気もしくはそれらを混合させたガスを混合させることがより好ましく、この場合には、大気圧下においても放電面積を増大し処理時間を短縮することが可能となる。

【0032】
また、この使用した希ガスは、使用後に回収・分離することによって、放電プラズマの生成のための原料として再利用することができる。また、真空ポンプを用いて減圧することによって、さらなる放電面積の増大を可能として処理時間を短縮することができる。

【0033】
この電圧印加手段1は、この一対の電極2の各々の電位の高低関係が、時間の経過に拠らず一定となる電圧、すなわち、各々が高電位側及び低電位側のいずれかに固定される電圧であれば、直流電圧でも交流電圧でも用いることが可能である。印加電圧が交流であれば、低周波電源や高周波電源(RF)を用いることができる。例えば、周波数帯域:数十Hz~数百MHz及び電圧:1~10kVの交流電源を用いることができる。

【0034】
この一対の電極2は、殺菌対象物100に対して誘電体21を介して接触可能な構成であれば特に限定されないが、好ましくは、図1(b)に示すように、この一対の電極2を構成する導体22が、その周囲を誘電体21で被覆されるものである。

【0035】
この誘電体21は、誘電性を有する素材、すなわち、高抵抗素材であれば、特に限定されない。

【0036】
この導体22は、導電性を有する素材であれば特に限定されず、例えば、金属導線、導電性プラスチック、炭素繊維などを用いることができ、例えば、柔軟性を有する銅線を用いることができる。

【0037】
この位置変化手段3は、図1(a)中の矢印で示されるように、一対の電極2と殺菌対象物100との相対位置を変化させるものであれば特に限定されず、好ましくは、殺菌対象物100を一対の電極2に対して移動させることであり、例えば、移動するベルトによって殺菌対象物100を転がして移動させるベルトコンベア、複数の回転ローラーの回転によって殺菌対象物100を転がして移動させるローラーコンベア、風圧、傾斜面、又は振動を用いることができる。

【0038】
この相対位置が変化することによって、複数の殺菌対象物100の各々が、確実に一対の電極2に接触すると共に、前記一対の電極2に対して、接触と隔離を繰り返すことから集中的ではなく分散的な殺菌が行われることとなり、殺菌対象物100を均質的且つ満遍なく殺菌することができる。そのため、複数個の殺菌対象物100に対してインライン化された連続的な放電プラズマ処理が可能となる。

【0039】
プラズマ殺菌の対象となる殺菌対象物100は、一対の電極2に接触した箇所でプラズマ放電が生じるという簡素な構成から、その対象となる形状は特に限定されるものではなく、単純な立体的形状を有するものに限られず、複雑な立体的形状を有するものに対しても適用することができる。例えば、表面の立体的形状が、滑らかな形状、粗い形状、又は歪な凹凸形状を有する複雑な立体的形状を表面に有する農産物、例えば、ミカン等の柑橘類や、イチゴ、アボカド、南瓜等を対象とすることが可能である。

【0040】
このように、この電圧印加手段1が殺菌対象物100に電圧を印加し、一対の電極2が、電圧印加手段1から印加される電圧を殺菌対象物100に対して誘電体21を介して放電状態で印加し、位置変化手段3が、前記一対の電極2と殺菌対象物100との相対位置を変化させることから、図1(c)に示すように、プラズマ放電Aによる殺菌対象物100への殺菌が、局所集中的ではなく、放電を受ける位置が変化することによって分散化されることとなり、この分散化された放電によって、殺菌対象物100の形状に拠らず(表面に凹凸形状を有する略球体のような複雑な形状であっても)、均質的且つ穏やかに全面にわたって、損傷させることなく殺菌することができる。

【0041】
また、誘電体21が殺菌対象物100に接している部分にのみ放電プラズマが発生することにより、殺菌可能な箇所に対してのみ放電が発生することから、必要最小限の放電が生じることによって、電圧印加に必要となる総電力が抑制されることとなり、定常的に放電している場合に比べて、より低コストで殺菌を行うことが可能となる。さらに、ある1つの殺菌対象物100の表面における放電領域も、逐次変化することから、結果として、この殺菌対象物100の表面の全領域にわたって殺菌することができる。

【0042】
このような殺菌によって、殺菌対象物100として農産物の場合、例えば、ミカン等の柑橘類や、イチゴ、アボカド、南瓜等の場合には、これらの表面に付着した微生物の殺菌・不活化や、線虫や昆虫の殺虫、農薬などの分解が、薬剤を用いることなく可能となる。

【0043】
このように、本実施形態に係るプラズマ殺菌装置では、残存性のないプラズマ状態のガスを用いて,農作物や食材の腐敗に関与する病原体に対して,対象物を損傷することなく不活化することができることから、現在の輸出入の障害となっている長期保存や長距離輸送の際に生じるロスの削減に寄与することができる。また、国内から輸出される農作物のみならず、外国から輸入される農産物にも幅広く適用できるという利点もある。さらに、「食の安全」は国内外を問わず最重要課題であり、減農薬や有機農法により栽培されたオーガニック農産物は、健康的で安全な食物として各国で栽培規模が広がっていることからも、農薬を用いない殺菌手法である本実施形態に係るプラズマ殺菌装置は、現在の消費者嗜好に合致するものであり、その適用対象は広範に各種農作物に及ぶものである。

【0044】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係るプラズマ殺菌装置を説明する。

【0045】
第2の実施形態では、上述した第1の実施形態と同じく、前記電圧印加手段1と、前記一対の電極2と、前記誘電体21と、前記導体22と、前記位置変化手段3とを備え、さらに、前記一対の電極2を構成する一の電極2a又は他の電極2bのうちのいずれか一方の電極が、前記位置変化手段3としても機能する構成である。例えば、図2(a)に示すように、一の電極2a(例えば、シート状電極)に対向する他の電極2bが、前記位置変化手段3としても機能する構成である。

【0046】
このような構成により、前記位置変化手段3により逐次移動する殺菌対象物100が、図2(b)に示すように、上面のみならず下面からもプラズマ放電Aを受けて殺菌されることとなり、殺菌対象物100の全面にわたって、より効率的で均質な殺菌を実施することができる。

【0047】
なお、前記位置変化手段3は、シート状の形状のみならず、円柱形状のローラーが、殺菌対象物100の進行方向に対して複数横並びに並んで構成されるローラーコンベアとして構成することもできる。このローラーコンベアを前記位置変化手段3として用いた場合には、ローラーと殺菌対象物100との接触箇所(すなわち、殺菌対象物100の下面からプラズマ放電Aを受ける箇所)が経時的により大きく変動し続けることとなり、殺菌対象物100の全面にわたって、より効率的で均質な殺菌を実現することができる。

【0048】
上記の構成からも明らかなように、一の電極2a(例えば、シート状電極)と対向する前記位置変化手段3(ベルトコンベアもしくはローラーコンベア等のコンベア)の材質について、誘電性の材料を用いた場合には、高圧側(一の電極2a)と低圧側(コンベア側)の両側にプラズマが生成される一方で、導電性の材料を用いた場合には、高圧側(一の電極2a)にのみ強いプラズマを生成することが可能となる。このように、殺菌対象物100の種類に応じて低圧側(コンベア側)の材質を選択することによって、殺菌対象物100の種類に応じた最適なプラズマ処理を容易に実現することができる。

【0049】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係るプラズマ殺菌装置を図3及び図4に基づいて説明する。

【0050】
第3の実施形態では、上述した第1の実施形態と同じく、前記電圧印加手段1と、前記一対の電極2と、前記誘電体21と、前記導体22と、前記位置変化手段3とを備え、さらに、図3(a)に示すように、前記一対の電極2の少なくとも一方が、誘電体21で導体22を被覆して柔軟に形成される接触片23で形成されると共に、この接触片23の対を複数配設して形成される構成である。

【0051】
また、上述した第2の実施形態のプラズマ殺菌装置に対しても、上記と同様にして、図3(b)に示すように、本実施形態を適用することが可能である。

【0052】
この接触片23の形状は、特に限定されず、例えば、図4(a)に示すように、各々、平板状とすることができ、複数の接触片23によって、全体として暖簾状態とすることができ、これにより電極面積が増えることとなり、殺菌対象物100との接触機会の増大と共に、放電面積を拡大することができる。また、例えば、図4(b)に示すように、この接触片23の形状は、紐状(ロープ状)とすることもでき、これにより電極面積が増えると共に殺菌対象物100の表面領域の細かい箇所にも電極が届くこととなり、放電面積をより拡大することができる。また、身近にある紐状の絶縁体をそのまま利用することができることから、容易な装置構成が可能となる。

【0053】
このように、複数の接触片23が柔軟に常に動いていることにより、殺菌対象物100の表面の様々な位置に接触片23が接触することとなり、放電位置が局所集中することなく、殺菌対象物100の表面の全領域にわたって均質に殺菌することができる。また、柔軟性のある接触片23が殺菌対象物100に穏やかに接触することによって、殺菌対象物100の表面の汚れを落としながら殺菌ができることから、汚れを落とす工程で使うと殺菌工程と洗浄工程とを同時に行えるという処理の効率化を図ることができる。

【0054】
また、上記の構成からも明らかなように、一の電極2a(接触片23)と対向する前記位置変化手段3(ベルトコンベアもしくはローラーコンベア等のコンベア)の材質について、誘電性の材料を用いた場合には、高圧側(接触片23)と低圧側(コンベア側)の両側にプラズマが生成される一方で、導電性の材料を用いた場合には、高圧側(接触片23)にのみ強いプラズマを生成することが可能となる。このように、殺菌対象物100の種類に応じて低圧側(コンベア側)の材質を選択することによって、殺菌対象物100の種類に応じた最適なプラズマ処理を容易に実現することができる。

【0055】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係るプラズマ殺菌装置を図5に基づいて説明する。

【0056】
第4の実施形態では、上述した第1の実施形態と同じく、前記電圧印加手段1と、前記一対の電極2と、前記誘電体21と、前記導体22と、前記位置変化手段3とを備え、さらに、前記誘電体21が、繊維形状又はメッシュ形状を有する繊維、合成樹脂又はシリコーン樹脂から形成される構成である。

【0057】
前記誘電体21の素材は、図5(a)に示すように、空隙を有する略多孔質体である。繊維としては、超微細繊維や炭素繊維等が挙げられる。合成樹脂としては、軟性プラスチックやフッ素樹脂等が挙げられる。

【0058】
このように、この誘電体21に形成される空隙によって、この空隙間にプラズマ生成の原料となる原料ガス(もしくは空気層)が浸透して充填され、この原料ガスが、この誘電体21を透過して、この誘電体21で被覆された一対の電極2である導体22に直接供給されることから、図5(a)に示すように、この誘電体21に接触した殺菌対象物100に対して、確実にプラズマ放電Aが生じることとなり、この誘電体21に接触した殺菌対象物100の表面を確実に殺菌することができる。また、その一方で、殺菌対象物100はこの誘電体21の厚みによってこの導体22には直接接触することが回避されることから、殺菌対象物100の表面の全領域にわたって穏やかな殺菌を行うことができる。

【0059】
なお、図5(b)に示すように、前記一対の電極2を構成する一の電極2a又は他の電極2bのうち電圧が印加される電極として、前記導体22の周囲を遊隔して配設される中空の筒状の第二の導体22aを備え、前記導体22と第二の導体22aが接触した場合に限り印加電圧が導通してプラズマ放電を生じる構成とすることができる。

【0060】
このような構成によって、前記一対の電極2のうち電圧を印加される電極が、殺菌対象物100に押されることにより、導体22と第二の導体22aが接触した時点ではじめてプラズマ放電を生じることから、殺菌対象物100に対する放電がより選択的に確実に生じることとなり、消費電力を抑制して効率的に殺菌を行うことができる。

【0061】
なお、本実施形態では、上述した第2及び第3の各実施形態に対しても適用が可能であり、いずれの場合でも、前記誘電体21が空隙を有する構成により、殺菌対象物100はこの誘電体21の厚みによってこの導体22には直接接触しないこととなり、殺菌対象物100がこの導体22で強い放電を直接受けることなく、殺菌対象物100の表面の全領域にわたって穏やかな殺菌を行うことができる。

【0062】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態に係るプラズマ殺菌装置を図6~図9に基づいて説明する。

【0063】
第5の実施形態では、上述した第3の実施形態と同じく、前記電圧印加手段1と、前記一対の電極2と、前記誘電体21と、前記導体22と、前記接触片23と、前記位置変化手段3とを備え、さらに、図6及び図7に示すように、前記位置変化手段3が、一対の電極2を構成する各接触片23を回転させて、少なくとも1つの接触片23の少なくとも先端部分を殺菌対象物100に接触させる構成である。図6は、第3の実施形態の図3(a)に対応した図であり、図7は、第3の実施形態の図3(b)に対応した図であり、いずれも、インライン処理で殺菌対象物100を殺菌可能とする構成である。

【0064】
また、図8(a)に示すように、インライン処理の他にも、接触片23が配設された一対の電極2により殺菌対象物100を挟み込む構成として、連続的に殺菌処理する構成とすることも可能である。

【0065】
また、この接触片23の形状は特に限定されないが、例えば、図8(b)~(e)に示すように、円筒状、平板状、星状、凹凸状などの各種の形状を用いることが可能であり、
殺菌対象物100の表面形状や殺菌度合いに応じて、例えば、アボガドのような歪な形状のものに対しては、星状の接触片23を用いる等、最適な形状のものを選択することが可能である。

【0066】
このように、全ての接触片23が殺菌対象物100に接触可能に動いている状況が形成されることとなり、複数の殺菌対象物100に対して満遍なく接触片23が接触することによって、殺菌対象物100を均質的且つ満遍なく殺菌することができる。

【0067】
なお、この接触片23の変形例としては、図9(a)に示すように、一対の電極2のうちの一方の電極の周囲において、当該電極の導体22とは遊隔して配設された接触片23の導体22側の端部に、可動導体23aを備える構成とすることができる。この可動導体23aは、この可動導体23aが導体22と接触した時点ではじめて、電圧印加手段1からの電圧が導体22に印加されるという電気導通のスイッチング機能として作用する。

【0068】
この構成により、接触片23が殺菌対象物100に接触した時点で、図9(b)に示すように、可動導体23aが導体22に接触することによって、電気導通のスイッチング機能が作用することとなり、電圧印加手段1からの電圧が導体22に印加されてプラズマ放電を生じることから、殺菌対象物100に対する放電がより選択的に確実に生じることとなり、消費電力を抑制して効率的に殺菌を行うことができる。

【0069】
なお、本実施形態では、上述した第4の実施形態に対しても適用が可能であり、本実施形態と同様に、各接触片23を回転させる構成により、複数の殺菌対象物100に対しても満遍なく接触片23が接触することによって、殺菌対象物100を均質的且つ満遍なく殺菌することができる。

【0070】
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態に係るプラズマ殺菌装置を図10(a)に基づいて説明する。

【0071】
第6の実施形態では、上述した第3の実施形態と同じく、前記電圧印加手段1と、前記一対の電極2と、前記誘電体21と、前記導体22と、前記接触片23と、前記位置変化手段3とを備え、さらに、図10(a)に示すように、殺菌対象物100に関するインピーダンス値を計測する計測手段4と、この計測手段4により計測されたインピーダンス値に基づいて、前記位置変化手段3による前記相対位置の変化を制御する制御手段5とを備える構成である。

【0072】
この計測手段4は、殺菌対象物100に最初に接触した時点でインピーダンス値を計測することができ、それ以降は、制御手段5が、このインピーダンス値に基づいて、位置変化手段3による相対位置の変化を制御する。例えば、インピーダンス値が高い殺菌対象物100に対しては、位置変化手段3による相対位置の変化量を少なくする(移動速度を遅くする)ことにより、時間を掛けて十分な殺菌を行うことが可能となる。また、例えば、インピーダンス値が低い殺菌対象物100に対しては、位置変化手段3による相対位置の変化量を高くする(移動速度を早くする)ことにより、表面を傷めない程度の穏やかな殺菌を行うことが可能となる。

【0073】
このように、殺菌対象物100の個々の導電性が判断されることによって、殺菌対象物100の種類に応じて最適な前記相対位置の変化量が制御されることとなり、殺菌対象物100の種類に応じた最適な殺菌強度が設定させることによって、殺菌対象物100を均質的且つ満遍なく殺菌することができる。

【0074】
なお、本実施形態では、上述した第1、第2、第4、及び第5の各実施形態に対しても適用が可能であり、いずれの場合でも、測定されたインピーダンス値に基づいて、位置変化手段3による相対位置の変化が制御され、殺菌対象物100の種類に応じた最適な殺菌強度が設定させることによって、殺菌対象物100を均質的且つ満遍なく殺菌することができる。

【0075】
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態に係るプラズマ殺菌装置を図10(b)に基づいて説明する。

【0076】
第7の実施形態では、上述した第6の実施形態と同じく、前記電圧印加手段1と、前記一対の電極2と、前記誘電体21と、前記導体22と、前記接触片23と、前記位置変化手段3と、計測手段4とを備え、前記制御手段5の代用として、前記電圧印加手段1が、図10(b)に示すように、前記計測手段4により計測されたインピーダンス値に基づいて、印加する電圧値を変化させる構成である。

【0077】
すなわち、計測されたインピーダンス値から殺菌対象物100の種類が判断されることから、前記電圧印加手段1が、殺菌対象物100の種類に応じて、印加する電圧値を変化させる構成である。

【0078】
このように、前記電圧印加手段1が、殺菌対象物100の種類に応じて、印加する電圧値を変化させることから、殺菌強度を個別に柔軟に変化できることとなり、殺菌対象物100の種類や特性に応じた殺菌が可能となる。

【0079】
なお、本実施形態では、上述した第1~第5の各実施形態に対しても適用が可能である。すなわち、前記電圧印加手段1が、殺菌対象物100の種類に応じて、印加する電圧値を変化させる構成から、殺菌対象物100の外皮が食用か否かによっても印加する電圧値を変化することができ、例えば、ミカンのように外皮を食用としないものについては外皮の損傷よりも殺菌強度を高めることが可能となるために印加する電圧値を高める一方で、イチゴのように外皮を食用するものについては商品の品質としての損傷を抑えるために印加する電圧値を抑えるなど、殺菌強度を柔軟に変化できることとなり、殺菌対象物100の種類や特性に応じた殺菌が可能となる。

【0080】
以下に実施例を示すが、これらの実施例は本発明に係るプラズマ殺菌装置を単に例示するためのものであり、本発明を限定するものではない。

【0081】
(実施例1)
上記第3の実施形態で示した装置を用いて、殺菌対象物に対する殺菌を行った。実施条件は、金属線から成る一対の電極を、誘電体であるシリコーン樹脂で被覆することにより、柔軟な接触片として形成された複数の紐状の電極(シート状電極とも言う)に、交流高電圧電源(10kVpp、10kHz)を印加し、ウンシュウミカン果皮のミドリカビ病菌胞子を直接に殺菌するためにプラズマを生成した。処理対象に用いたウンシュウミカンには、懸濁したミドリカビ病菌胞子(4×107個/ml)を散布し、プラズマを0秒から10秒間照射した。プラズマ照射による殺菌効果は、プラズマを照射した部位のミドリカビ病菌胞子胞子を拭き取った後、培地にて培養し、コロニー数をカウントすることで評価した。

【0082】
上記放電の様子を撮影した写真を図11に示す。図11(a)に示すように、殺菌対象物の農作物であるミカンに対して、紐状の接触片が接触しており、この接触の際に、図11(b)に示すように、ミカンと接触片が接触した箇所のみで放電が起きていることが確認された。

【0083】
上記放電により得られた殺菌効果について、プラズマ処理時間に対する殺菌の度合いに関する図12(a)の写真、及び図12(b)のプラズマ処理時間に対する残存菌数(上記カウントされたコロニー数に基づく)のグラフから、照射時間が1秒経過後で残存菌数が著しく減少しており、10秒程度の照射によって、十分な殺菌が行われたことが確認された。

【0084】
さらに、上記装置に用いたシート状電極による殺菌範囲を確認した。シート状電極は、幅3mmと幅5mmの2種類を用意し、以下の実験条件にて、図13(a)に示すように、この各シート状電極にウンシュウミカンを接触させてから電圧印加した後、5秒後、10秒後、30秒後の殺菌状況を確認した。
・処理対象:ウンシュウミカン (Citrus unshiu)
・疑似汚染:ミドリカビ病菌胞子 (Spore of Penicillium digitatum)
・電源:10kVpp,9-11kHz (LHV-10AC,ロシ゛ー電子製)
・シート状電極幅:3mm,5mm

【0085】
この幅3mm及び幅5mmの各シート状電極を用いて得られた経時的な殺菌結果を、各々、図13(b)及び(c)の写真で示す。得られた結果から、5秒後には徐々に殺菌され、30秒後には殆ど殺菌されており、殺菌効果は、照射時間に依存することが確認された。また、シート電極1本あたりの殺菌範囲は,シート電極直下に留まることなく周囲にまで広範に及んでおり、シート状電極の実幅よりも広い範囲で殺菌できることが明らかとなった。このように、電極一本あたりの殺菌可能範囲は,電極直下だけでなく周囲にまで及ぶことから、シート状電極幅よりも広い範囲で殺菌できることとなり、放電面積が拡大して効率的な殺菌処理が行えることが確認された。
【符号の説明】
【0086】
1 電圧印加手段
2 一対の電極
2a 一の電極
2b 他の電極
21 誘電体
22 導体
22a 第二の導体
23 接触片
23a 可動導体
3 位置変化手段
4 計測手段
5 制御手段
100 殺菌対象物
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8
(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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(In Japanese)【図13】
12