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明細書 :ヌクレオシド誘導体及びその利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年10月11日(2018.10.11)
発明の名称または考案の名称 ヌクレオシド誘導体及びその利用
国際特許分類 C07D 239/54        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61K  31/513       (2006.01)
A61K  31/52        (2006.01)
A61K  48/00        (2006.01)
C12N  15/113       (2010.01)
C12N  15/115       (2010.01)
C12N  15/117       (2010.01)
C07D 473/34        (2006.01)
C07D 239/47        (2006.01)
C07F   7/18        (2006.01)
FI C07D 239/54 CSP
A61P 43/00 105
A61P 43/00 111
A61K 31/513 ZNA
A61K 31/52
A61K 48/00
C12N 15/113
C12N 15/115
C12N 15/117
C07D 473/34
C07D 239/47 Z
C07F 7/18 W
国際予備審査の請求
全頁数 46
出願番号 特願2017-539920 (P2017-539920)
国際出願番号 PCT/JP2016/077006
国際公開番号 WO2017/047594
国際出願日 平成28年9月13日(2016.9.13)
国際公開日 平成29年3月23日(2017.3.23)
優先権出願番号 2015180893
優先日 平成27年9月14日(2015.9.14)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG
発明者または考案者 【氏名】上野 義仁
出願人 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000110、【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
審査請求
テーマコード 4C084
4C086
4H049
Fターム 4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB211
4C084ZC411
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086BC43
4C086CB07
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZC41
4H049VN01
4H049VP02
4H049VQ60
4H049VR23
4H049VR41
4H049VU31
4H049VW02
要約 以下の式(1)で表されるヌクレオシド誘導体を提供する。
【化1】
JP2017047594A1_000023t.gif
(式(1)中、Yは縮合していない芳香族系若しくは複素環式炭化水素基又は縮合多環系炭化水素基を表し、W1は、水素原子、水酸基保護基、リン酸エステル基を表し、W2は、水素原子、水酸基保護又はリン酸エステル基を表し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の直鎖状の飽和炭化水素基を表す。)
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の式(1)で表されるヌクレオシド誘導体。
【化1】
JP2017047594A1_000021t.gif
(式(1)中、Yは縮合していない芳香族系若しくは複素環式炭化水素基又は縮合多環系炭化水素基を表し、W1は、水素原子、水酸基保護基、リン酸エステル基を表し、W2は、水素原子、水酸基保護又はリン酸エステル基を表し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の直鎖状の飽和炭化水素基を表す。)
【請求項2】
前記Yは、縮合多環系炭化水素基である、請求項1に記載のヌクレオシド誘導体。
【請求項3】
前記Yは、ピリミジン骨格又はプリン骨格を含む塩基を表す、請求項1又は2に記載のヌクレオシド誘導体。
【請求項4】
以下の式(2)で表されるヌクレオシド誘導体単位を備える、オリゴヌクレオチド誘導体。
【化2】
JP2017047594A1_000022t.gif
(式(2)中、Yは縮合していない芳香族系炭化水素基若しくは複素環式炭化水素基又は縮合多環系炭化水素基を表し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の直鎖状の飽和炭化水素基を表す。)
【請求項5】
前記ヌクレオシド誘導体単位を2個以上連続して備える、請求項4に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項6】
前記ヌクレオシド誘導体単位を5’末端及び/又は3’末端に2個以上連続して備える、請求項5に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項7】
前記オリゴヌクレオチ誘導体は、オリゴデオキシリボヌクレオチドである、請求項4~6ののいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
【請求項8】
請求項4~7ののいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体を含む遺伝子発現抑制剤。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチド誘導体は、オリゴデオキシリボヌクレオチドである、請求項8に記載の遺伝子発現抑制剤。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチド誘導体は、オリゴリボヌクレオチドである、請求項8に記載の遺伝子発現抑制剤。
【請求項11】
請求項4~7のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体を含む、アプタマー。
【請求項12】
請求項4~7のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体を含む、CpGオリゴヌクレオチド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本明細書は、新規なヌクレオシド誘導体及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸医薬は、DNAやRNAの成分である4種類の塩基を組み合わせて化学合成した医薬品であり、疾患を引き起こす遺伝子に直接作用しその発現を抑制すると考えられている。核酸医薬には、アンチセンスDNAを用いたアンチセンス医薬、RNAを用いたsiRNA医薬、miRNA医薬等がある。例えば、アンチセンス法は、アンチセンスDNAが相補的な一本鎖mRNAに結合することによって対応するタンパク質の発現を抑制する方法であり、その作用機構はpre-mRNAのスプライシング阻害やmRNAへのリボソーム結合阻害などの立体障害によるものと、RNase HによるmRNAの分解の二つがある。
【0003】
RNase HはDNA/RNA二本鎖のRNA鎖のみを特異的に加水分解する酵素であり、アンチセンスDNA/RNA二本鎖がRNase Hの基質となれば、アンチセンスDNAは触媒量でタンパク質の発現を抑制することができる。アンチセンス法を成立させるためには、合成したオリゴヌクレオチドが標的mRNAと安定な二本鎖を形成すること、生体内に存在するヌクレアーゼに対して耐性があること等であること等が必要となる。
【0004】
また、siRNAやmiRNAなどの核酸医薬においても、合成したRNAが標的mRNAと安定な二本鎖を形成すること、生体内に存在するヌクレアーゼに対して耐性があること等が同様に必要となる。
【0005】
これまでにオリゴヌクレオシド誘導体として、ベンゼン-リン酸骨格の人工核酸の合成が報告されている(特許文献1)。また、糖部がメチレン骨格からなるグリコール核酸(GNA)も報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開第2007/094135
【0007】

【非特許文献1】Mark K. Schlegelら、Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 960 -963
【発明の概要】
【0008】
しかし、本発明者がベンゼン-リン酸骨格を備える人工核酸について種々検討したところ、当該人工核酸同士では熱的に安定な二本鎖を形成するものの天然の核酸とは安定な二本鎖を形成しないことがわかった。
【0009】
本明細書は、天然の核酸と安定な二本鎖を形成する人工核酸を構築できるヌクレオシド誘導体及びその利用を提供することを1つの目的とする。
【0010】
本発明者は、ベンゼン-リン酸骨格を備える人工核酸と天然核酸とのハイブリダイズ産物について種々検討したところ、ベンゼン環を備えながらも、天然核酸との二本鎖安定性が向上された人工核酸を作製できるヌクレオチド誘導体を取得するに至った。本明細書はこうした知見に基づいて以下の手段を提供する。
【0011】
(1)以下の式(1)で表されるヌクレオシド誘導体。
【化1】
JP2017047594A1_000003t.gif
(式(1)中、Yは縮合していない芳香族系若しくは複素環式炭化水素基又は縮合多環系炭化水素基を表し、W1は、水素原子、水酸基保護基、リン酸エステル基を表し、W2は、水素原子、水酸基保護又はリン酸エステル基を表し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の直鎖状の飽和炭化水素基を表す。)
(2)前記Yは、縮合多環系炭化水素基である、(1)に記載のヌクレオシド誘導体。
(3)前記Yは、ピリミジン骨格又はプリン骨格を含む塩基を表す、(1)又は(2)に記載のヌクレオシド誘導体。
(4)以下の式(2)で表されるヌクレオシド誘導体単位を備える、オリゴヌクレオチド誘導体。
【化2】
JP2017047594A1_000004t.gif
(式(2)中、Yは縮合していない芳香族系炭化水素基若しくは複素環式炭化水素基又は縮合多環系炭化水素基を表し、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の直鎖状の飽和炭化水素基を表す。)
(5)前記ヌクレオシド誘導体単位を2個以上連続して備える、(4)に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
(6)前記ヌクレオシド誘導体単位を5’末端及び/又は3’末端に2個以上連続して備える、(5)に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
(7)前記オリゴヌクレオチドは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである、(4)~(6)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
(8)(4)~(7)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体を含む遺伝子発現抑制剤。
(9)前記オリゴヌクレオチド誘導体は、オリゴデオキシリボヌクレオチドである、(8)に記載の遺伝子発現抑制剤。
(10)前記オリゴヌクレオチド誘導体は、オリゴリボヌクレオチドである、(8)に記載の遺伝子発現抑制剤。
(11)(4)~(7)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体を含む、アプタマー。
(12)(4)~(7)のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド誘導体を含む、CpGオリゴヌクレオチド。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例3におけるオリゴヌクレオチド二本鎖のジグモイド曲線の測定結果を示す図である。
【図2】実施例3におけるオリゴヌクレオチド二本鎖のジグモイド曲線の他の測定結果を示す図である。
【図3】実施例3におけるオリゴヌクレオチド二本鎖のジグモイド曲線の他の測定結果を示す図である。
【図4】実施例3におけるオリゴヌクレオチド二本鎖のジグモイド曲線の他の測定結果を示す図である。
【図5】実施例3におけるオリゴヌクレオチド二本鎖のジグモイド曲線の他の測定結果を示す図である。
【図6】ヴァンホッフプロットの測定結果を示す図である。
【図7】ヴァンホッフプロットの他の測定結果を示す図である。
【図8】ヌクレアーゼ耐性の評価結果(電気泳動)を示す図である。
【図9】ヌクレアーゼ耐性の評価結果を示す図である。
【図10】RNaseH活性化能の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、新規なヌクレオシド誘導体、ヌクレオチド誘導体及びオリゴヌクレオチド誘導体並びに遺伝子発現抑制剤等の核酸試薬又は核酸医薬品に関する。

【0014】
本明細書に開示される新規なヌクレオシド誘導体は、以下の式(1)で表されるベンゼン環上の炭素原子にグリコールの炭素原子が結合したベンゼン-グリコール骨格を備えることができる。かかるヌクレオシド誘導体として、例えば、以下に示すように、Yとして、天然塩基であるアデニン、チミン、グアニン、シトシン及びウラシルなどの塩基を備えるヌクレオシド誘導体を例示することができる。ヌクレオシド誘導体は、また、ベンゼン環の炭素原子に結合する縮合していない芳香族系炭化水素基又は縮合多環系炭化水素基を備えることができる。

【0015】
【化3】
JP2017047594A1_000005t.gif

【0016】
本発明者は、ベンゼンを有するヌクレオチド誘導体の単位を有するオリゴヌクレオチドと天然核酸との熱的安定性の向上のためには、ベンゼンに対してグリコール基を導入したベンゼン-グリコール骨格が有利であることを見出した。

【0017】
ベンゼン-グリコール骨格を備えるヌクレオシド誘導体から、ベンゼン-グリコール-リン酸骨格等を備えるヌクレオチド誘導体やこうしたヌクレオシド誘導体の単位を備えるオリゴヌクレオチド誘導体が創出され得る。

【0018】
こうしたオリゴヌクレオチド誘導体は、従来のベンゼン-リン酸骨格を備えるヌクレオチド誘導体の単位を備えるオリゴヌクレオチドよりも、天然の核酸、すなわち、D-リボース又はD-デオキシリボースを糖-リン酸骨格に備える核酸と熱的に安定した二本鎖を形成することができる。

【0019】
したがって、こうしたオリゴヌクレオチド誘導体がデオキシリボヌクレオチド体の単位を有する重合体であるとき、オリゴヌクレオチドをアンチセンスDNAとして用いることができる。かかるアンチセンスDNAは、天然のリボ核酸であるmRNAやpre-mRNAとハイブリダイズして熱的に安定した二本鎖を形成できる。この結果、かかる二本鎖に対するRNaseHのアクセス及び作用の機会が増大されて、RNaseHによるリボ核酸の切断が促進される。すなわち、こうしたアンチセンスDNAは、mRNAの分解を促進することができる。

【0020】
また、こうしたオリゴヌクレオチドがリボヌクレオチド体の単位を有する重合体であるとき、オリゴヌクレオチドをRNA干渉剤として用いることができる。かかるRNA干渉剤は、生体内のRNAi現象において、RISC(RNA 誘導型サイレンシング複合体)に組み込まれるが、かかるRISCは、天然のリボ核酸である標的mRNAとハイブリダイズして熱的に安定した二本鎖を形成できる。この結果、かかる二本鎖に対するRISCのRNA切断活性部位のアクセス及び作用の機会が増大されて、RISCによるmRNAの切断が促進される。すなわち、こうしたRNA干渉剤は、mRNAの分解を促進することができる。

【0021】
また、こうしたオリゴヌクレオチドは、天然のデオキシリボ核酸又はリボ核酸よりも、対合する塩基を備える天然のデオキシリボ核酸又はリボ核酸と熱的に安定した二本鎖を形成できる。このため、生体内において競合する天然核酸が存在するときにおいても、より低濃度であるいは優先的に安定的な二本鎖を形成して、RNaseHやRISCなどの作用を促進することができる。

【0022】
さらに、こうしたオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性にも優れている。また、細胞膜透過性にも優れている。

【0023】
以上のことから、本明細書に開示されるヌクレオシド誘導体、ヌクレオチド誘導体及びオリゴヌクレオチドによれば、種々の核酸を用いた試薬や医薬品を提供できる。例えば、有用な遺伝子発現抑制剤(アンチセンスDNA/RNA、siRNA、miRNA、デコイ等)や、アプタマー、CpGオリゴ、miRNAmimicを提供することができる。

【0024】
また、本明細書に開示されるヌクレオシド誘導体、ヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチドによれば、ヌクレアーゼ耐性に優れており、かつ、熱的安定性に優れる二本鎖ハイブリダイズ産物を形成できるため、診断、医薬、試薬等など広い範囲で用いられるオリゴヌクレオチド(一本鎖DNA、二本鎖DNA、一本鎖RNA、DNA/DNAハイブリッド、DNA/RNAキメラ、DNA又はRNAのその修飾体等)を提供できる。

【0025】
以下、本明細書に開示されるヌクレオシド誘導体、ヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド等を製造し、利用する各種実施形態について詳細に説明する。なお、本発明に関する当業者の技術の範囲内である分子生物学および核酸化学の従来の技術は、文献中で説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring HarborLaboratory,Cold Spring Harbor,New York,1989年;Gait,M.J.,
OligonucleotideSynthesis,編集(1984年);Hames,B.D.およびHiggins,S.J.、Nucleic Acid Hybridization,編集(1984年);および一連のMethodsin Enzymology,Academic Press,Inc.を参照することができる。なお、本明細書において、これらの文献ほか全ての引用文献は、参照により、その内容の全てが本願明細書に組み込まれる。

【0026】
本明細書において、オリゴヌクレオチドとは、例えば、リボヌクレオチド若しくはその誘導体及び/又はデオキシリボヌクレオチド若しくはその誘導体を単位として有するポリマーをいい、そのユニット数は特に限定されない。例えば、2個以上100個以下程度とすることができる。ユニット数は、3個以上100個以下が好ましく、3個以上50個以下がより好ましく、3個以上30個以下がより好ましい。なお、本明細書において、オリゴヌクレオチドは、ユニット数が100を超えるいわゆるポリヌクレオチドであってもよい。また、オリゴヌクレオチドは、一本鎖である場合を含むほか、塩基対合等によるいわゆるハイブリダイズにより二本鎖である場合も包含する。したがって、オリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA、一本鎖RNA、DNA/DNAハイブリッド、DNA/RNAキメラ等の各種形態を採ることができる。

【0027】
以下、本開示の代表的かつ非限定的な具体例について、適宜図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本開示の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善されたヌクレオシド誘導体及びその利用を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。

【0028】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本開示を実施する際に必須のものではなく、特に本開示の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本開示の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。

【0029】
本明細書及び/又はクレームに記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。

【0030】
(ヌクレオシド誘導体)
本明細書に開示されるヌクレオシド誘導体は、式(1)で表すことができる。

【0031】
【化4】
JP2017047594A1_000006t.gif

【0032】
式(1)におけるベンゼン環の水素原子は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。置換機としては、炭素数1~4の鎖状アルキル基とすることが好ましい。例えば、メチル基、エチル基、N-プロピル基、イソプロピル基、N-ブチル基、イソブチル基及びtert-ブチル基が挙げられる。立体障害等が考慮したとき、メチル基又はエチル基が好ましく用いられる場合がある。また、置換基の数も特に限定しないが、立体障害等が問題となる場合には、1個又は2個が好ましい。

【0033】
式(1)におけるYは、縮合していない芳香族系炭化水素基若しくは複素環式炭化水素基又は縮合多環炭化水素基を表す。縮合していない芳香族炭化水素機としては、芳香族性を有する単環の不飽和有機置換基が挙げられる。例えば、芳香族炭化水素基があげられ、典型的にはベンゼンを含む置換基が挙げられる。複素環式炭化水素基としては、単環の複素環置換基が挙げられる。例えば、イミダゾール基やピラゾール基などの5員複素環置換基やピリジル基やピリミジル基などの6員複素環置換基等が挙げられる。こうした単環の置換基の芳香族上のいずれかの炭素原子が式(1)における6員環の炭素原子に結合される。

【0034】
縮合多環系炭化水素基としては、芳香族炭化水素基であってもよいし、複素環式炭化水素基であってもよいし、非芳香族炭化水素基であってもよい。縮合多環系炭化水素基としては、ナフタレン、アズレン、へプライマータレン、ビフェニレン、フェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラセン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン等が挙げられる。なかでも、ナフタレン、フェナントレン、ピレン及びペリレンから選択される縮合芳香族化合物の置換基を備えることが好ましい。これらは入手容易であるとともに、安定したスタックを形成するのに都合がよいからである。縮合多環系炭化水素基における水素原子は、置換されていてもよい。縮合多環系炭化水素基はその縮合した縮合環のいずれかの炭素原子が式(1)で表されるベンゼン環上の炭素原子に連結される。

【0035】
このような縮合してない芳香族系炭化水素基、複素環式炭化水素基及び縮合多環炭化水素基は、いずれも、公知の蛍光色素を包含することができる。例えば、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、アレクサ(Alexa)系色素等が挙げられる。

【0036】
Yは、複素環式炭化水素基や縮合多環系炭化水素基に包含される、ピリミジン骨格又はプリン骨格を有する天然塩基又は修飾塩基であってもよい。天然塩基としては、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル等が挙げられる。また、フルオロウラシル、フルオロシトシン、クロルグアニン等の各種ハロゲン化物も挙げられる。

【0037】
天然塩基及びその修飾塩基などのYのベンゼン環に対する連結部位は、特に限定しないが、天然核酸において、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシルが通常連結する部位でベンゼン環に連結することができる。

【0038】
ベンゼン環に結合するグリコール部分におけるR1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の直鎖状の飽和炭化水素基とすることができる。例えば、メチル基、エチル基、N-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基が挙げられる。立体障害等を考慮すると、好ましくは、メチル基、エチル基が好ましい場合がある。好ましくは、R1、R2及びR3は、いずれか又は2個以上が水素原子であり、より好ましくは、いずれも水素原子である。

【0039】
式(1)におけるW1は、水素原子、水酸基保護基、リン酸エステル基又は固相担体に結合させるための連結基を表すことができる。

【0040】
水酸基保護基としては、該保護基により置換されるヒドロキシル基中の酸素を意図しない反応から保護する基であればよい。好ましくは、保護基は、オリゴヌクレオチド誘導体の活性を維持して除去されるものである。こうした水酸基保護基としては、特に限定しないで従来公知であって核酸合成に適用可能な各種の水酸基保護基を用いることができる。例えば、脂肪族アシル基(例えばアセチル基など)、芳香族アシル基(例えばベンゾイル基など)、アルコキシ基、アリール基で置換されたメチル基、脂肪族で置換されたシリル基(例えばtert-ブチルジメチルシリル基など)、芳香族で置換されたシリル基(例えばtert-ブチルジフェニルシリル基など)などを挙げることができる。より具体的には、フルオレニルメトキシカルボニル基(FMOC基)、ジメトキシトリチル基(DMT基)、四級ブチルジメチルシリル基(TBDMS基)、モノメトキシトリチル基、トリフルオロアセチル基、レブリニル基、またはシリル基である。好ましい保護基は、トリチル基であり、例えば、ジメトキシトリチル(DMT)及び四級ブチルジメチルシリル基(TBDMS基)等から選択される。

【0041】
リン酸エステル基としては、例えば、以下の式(3)で表される、リン酸基を含む各種のリン酸エステル基が挙げられる。リン酸エステル基は、例えば、以下の式において、X1は、O、S又はSeを表し、X2は、OH(O-)、SH(若しくはS-)、SeH(Se-)、炭素数1~4個のアルキル基(R)、炭素数1~4のアルキルエーテル基、炭素数1~4のアルキル基を備えるアシル基、炭素数1~4のアルキル基を備えるアルキルアミノ基又はモルホリノ基を表すことができる。こうしたリン酸エステル基の例を、以下に併せて示すことができる。これらのリン酸エステル基は、適宜塩の態様を採ることができる。

【0042】
【化5】
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【0043】
また、リン酸エステル基には、核酸合成における保護基で保護されたリン酸基が包含される。核酸合成における保護基で保護されたリン酸基の具体的な例としては、例えば、2-クロロフェニルリン酸基、4-クロロフェニルリン酸基などが挙げられる。

【0044】
また、リン酸エステル基には、核酸合成用に活性化されたリン酸エステル基が包含される。核酸合成用に活性化されたリン酸エステル基は、かかるリン酸エステル基としては、例えば、ホスホルアミダイト基が挙げられる。W2がホスホルアミダイト基である化合物(アミダイト化合物)は、ホスホルアミダイト法によるホスホルアミダイト試薬として用いて、オリゴヌクレオチドを合成するのに用いることができる。なお、本発明において、ホスホルアミダイト基は、以下の式(4)で表すことができる。

【0045】
【化6】
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(式(4)中、各Qは独立して、同一であっても異なっていてもよく、分枝状又は直鎖状の炭素数1~5個のアルキル基を表し、Qは、分枝状又は直鎖状の炭素数1~5個のアルキル基又は置換されていてもよいアルコキシル基を表す。)

【0046】
上記式(4)において、Qは、特に限定しないがイソプロピル基が好ましいものとして挙げられ、また、Qとしては、-OCH、-OEtCN、-OCHCHCH等が挙げられる。

【0047】
さらに、W1は、固相担体に結合される若しくは結合された連結基であってもよい。固相担体に結合される連結基は、当該連結基とアミノ基など固相担体上の所定の官能基とを結合させることにより、固相担体に保持される。そして、式(1)において、W2が固相担体に結合された連結基である化合物は、連結基を介して本ヌクレオシド誘導体が固相担体に結合されているため、各種の核酸固相合成法の出発材料として用いることができる。この出発材料を用いることで、式(1)で表されるヌクレオシド誘導体を単位として有するオリゴヌクレオチドを製造することができる。

【0048】
ここで、固相担体とは、一般に高分子担体が用いられ、例えば、CPG(controlled pored glass)やHCP(highly cross-linked polystyrene)、ある種のゲルなどが挙げられる。また、固相担体には適切なスペーサーを有していてもよい。連結基は、固相担体と本化合物とを連結するリンカーである。こうした連結基としては、公知のコハク酸エステルリンカー、シュウ酸エステルリンカー、シランジイルリンカー、シリルリンカーなどを用いることができる。

【0049】
式(1)で表されるヌクレオシド誘導体は、その化合物の態様によって許容される塩の形態も採ることができる。ここで塩の態様を採るときには、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩等などが挙げられる。無機塩基との塩の例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。本発明において、その塩とは、薬理学的に許容される塩が好ましい。

【0050】
式(1)におけるW2は、水素原子、水酸基保護基、リン酸エステル基又は固相担体に結合される若しくは結合された連結基を表すことができる。水酸基保護基、リン酸エステル基及び固相担体に結合される若しくは結合された連結基は、それぞれW1におけるこれらの語の同義である。

【0051】
式(1)においてW1、W2がいずれも水素原子を表す態様が、いわゆるヌクレオシド誘導体(アナログ)として好ましい。また、同様に、W1がリン酸エステルを表し、W2が水素原子を表す態様も好ましいものとして挙げられる。かかるヌクレオシド誘導体は、リン酸エステルを備えることができるため、いわゆるヌクレオチド誘導体(アナログ)ということができる。また、W1、W2がいずれも水酸基保護基である態様も好ましいものとして挙げられる。さらに、W1が水酸基保護基を表し、W2が水素原子である態様も好ましいものとして挙げられる。さらにまた、W1が水酸基保護基を表し、W2がホスホルアミダイト基などの核酸合成用に活性化されたリン酸エステル基を表す態様も好ましいものとして挙げられる。

【0052】
以上説明した本ヌクレオシド誘導体は、例えば、以下のスキーム1~4に基づいて合成することができる。以下のスキームは、本ヌクレオシド誘導体の各種態様を含んでいる。

【0053】
【化7】
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【0054】
まず、(S)-マンデル酸 (1) を出発原料とし、これをエタノールに溶解して濃硫酸を少量滴下し、70℃で撹拌することによりエチルエステル体 (2) を得ることができる。その後、化合物 (2) をCH2Cl2に溶解し、TfOAg存在下でI2を加えることによりベンゼン環のパラ位をヨウ素化する。得られた混合物をNaBH4により処理しエステル部位を還元することで、アルコール体 (3) を得ることができる。続いて化合物 (3) の水酸基をTBDMSClにより保護しシリル体 (4) を得る。その後、化合物 (4) をTHFに溶解し、-78℃の条件下にてn-BuLiを加えてベンゼン環のパラ位をリチオ化し、ホウ酸トリメチルを加えて撹拌した後、塩酸で処理することでボロン酸誘導体 (5) を得る。なお、ボロン酸誘導体 (5) をTHFに溶解し、pinacolを加えて撹拌した後にMgCl2で処理することでボロン酸エステルを得ることができる。

【0055】
【化8】
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【0056】
次いで、化合物 (5) をメタノール:水=4:1に溶解させ、酢酸銅一水和物存在下、TEMED、アデニンを加え室温にて撹拌して、アデニン誘導体 (7) を得ることができる。その後化合物 (7) をピリジンに溶解させ、BzClを加えてベンゾイル基でアミノ基を保護し、ベンゾイル保護体 (9) を得る。続いて化合物 (9) をTBAFにより処理することによりシリル保護を脱保護して化合物 (11) を得、化合物 (11) をピリジンに溶解しDMTrClを加えて一級水酸基のみをトリチル化させることにより、化合物 (13) を得る。

【0057】
【化9】
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【0058】
オリゴヌクレオチド合成の為、アミダイト体とアナログが結合した樹脂の合成を行う。アミダイト体は化合物 (13) にアミダイト試薬と塩基を加え反応させることで、化合物 (15) を得る。

【0059】
一方、樹脂の合成は、化合物 (13) に無水コハク酸とDMAPを触媒として加え、撹拌することによりスクシニル体 (17) を得、続いて、化合物 (17) にCPG樹脂を加えて反応させ、化合物 (19) を得る。

【0060】
【化10】
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【0061】
なお、化合物 (7) をTHFに溶解し、TBAFで処理することによって化合物 (21) を得る。当業者であれば、このスキームによりあるいはこのスキームを適宜変更して、シチジン誘導体も合成することができる。また、当業者であれば、このスキームに準じてあるいはこのスキームを適宜変更して、グアニン、チミン、ウラシルについても誘導体を得ることができる。

【0062】
本ヌクレオシド誘導体は、ベンゼン-グリコール骨格を備えるヌクレオシド誘導体として各種の態様を採ることができる。本願出願時における技術常識に基づいて当業者であれば、本ヌクレオシド誘導体を、ホスホジエステル結合で相互に、あるいは従来公知のヌクレオチドやオリゴヌクレオチドに連結した構造を有するオリゴヌクレオチドを取得することができる。

【0063】
本ヌクレオシド誘導体は、オリゴヌクレオチドの一部に備えられることで、天然核酸などのリボース-リン酸骨格を有する核酸と熱的に安定な二本鎖を形成することができる。また、本ヌクレオシド誘導体は、エキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼなどのヌクレアーゼ耐性を向上させることができる。さらに、本ヌクレオシド誘導体は、ベンゼン環を備えることでそれ自体、従来のリボース構造よりも脂溶性が向上しており細胞膜透過性が向上している。

【0064】
(オリゴヌクレオチド誘導体)
本明細書に開示されるオリゴヌクレオチド誘導体は、以下の式(2)で表される。本オリゴヌクレオチド誘導体の5’末端は、以下の式の左側であり、同3’末端側は同右側に対応している。

【0065】
【化11】
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【0066】
本オリゴヌクレオチド誘導体は、上記式(1)で表されるヌクレオシド誘導体に基づく本ヌクレオシド単位を、リン酸エステル等を介して少なくとも1つ備えることができる。本オリゴヌクレオチドは、式(2)で表される本ヌクレオシド単位を有する限り、他のヌクレオチド単位は、特に限定されないで、従来公知の天然又は非天然のヌクレオチド単位を1個又は2個以上備えることができる。本ヌクレオシド単位は、典型的にはリン酸エステルを備えたヌクレオチド単位を構成することができる。

【0067】
本オリゴヌクレオチド誘導体の5’末端及び3’末端の構造は、天然及び非天然の公知の各種形態を採ることができる。本オリゴヌクレオチド誘導体の5’末端及び3’末端はは水酸基、保護された水酸基、リン酸基を含むリン酸エステル基など、各種形態を採ることができる。

【0068】
また、本オリゴヌクレオチド誘導体は、本ヌクレオシド単位を、リン酸エステル基を介して備えることができる。ここでリン酸エステル基は、本ヌクレオシド誘導体において既に説明したリン酸エステル基の各種態様を適用することができる。

【0069】
本オリゴヌクレオチド誘導体は、どの部位に本ヌクレオシド単位を備えていてもよい。本ヌクレオシド単位は、1個又は2個以上がオリゴヌクレオチド誘導体の5’末端側及び/又は3’末端側に備えられていてもよい。この場合、本ヌクレオシド単位が5’末端及び/又は3’末端であってもよいし、これらの末端から1個から数個程度(好ましくは6個以下、より好ましくは5個以下、さらに好ましくは4個以下、なお好ましくは3個以下、一層好ましくは2個以下)中央側に備えられていてもよい。また、オリゴヌクレオチド誘導体の5’末端に天然のヌクレオチドを備え、その3’側において本ヌクレオシド単位を備えていてもよい。また、本ヌクレオシド単位の1個又は2個以上がオリゴヌクレオチド誘導体の5’末端及び3’末端以外の部位に備えられていてもよい。なお、2個以上の本ヌクレオシド単位は、連続して備えられてもよいし、本ヌクレオシド単位間に他のヌクレオチド単位を介して備えられていてもよい。

【0070】
本ヌクレオシド単位は、天然核酸等と熱的に安定した二本鎖を形成するのに好適であるため、天然核酸等とハイブリダイズする部位に備えることができる。したがって、例えば、アンチジーン、アンチセンス、アプタマー、siRNA、shRNA、miRNA及びリボザイム並びにプローブ及びプライマー、特には、アンチジーンDNA、アンチセンスDNA、siRNA、shRNA及びmiRNA、プローブ、プライマー等においては、標的DNAとハイブリダイズする領域に備えることができる。

【0071】
また、本ヌクレオシド単位は、ヌクレアーゼ耐性を備えているため、ヌクレアーゼ耐性が期待される部位に備えることができる。したがって、例えば、各種ヌクレアーゼのターゲットとなる箇所(ヌクレアーゼの種類により3’末端、5’末端、非3’末端非5’末端の特定の塩基部位など)に備えることができる。例えば、本ヌクレオシド単位を、siRNAの3’末端ダングリングエンド(オーバーハング部位)に備えることにより、RNAiによる遺伝子発現抑制作用が増大される。siRNAやshRNAの3’末端に本ヌクレオシド単位を備えるようにすることで、これらの3’末端の疎水性を向上させると同時に、ヌクレアーゼ耐性も付与して優れたサイレンシング活性を発揮することができる。

【0072】
また、本ヌクレオシド単位は、ベンゼン環により脂溶性及び細胞膜透過性が向上されているため、細胞膜透過性を発揮しやすい部位に備えることができる。したがって、例えば、3’末端、5’末端、非3’末端かつ非5’末端部位など適宜備えることができる。

【0073】
また、本オリゴヌクレオチド誘導体を利用してアンチジーン、アンチセンス、アプタマー、miRNA及びリボザイムを構築するときには必要に応じて本ヌクレオシド単位を備えるようにすればよい。例えば、アンチセンスRNAには、3’末端が側及び5’末端側に本ヌクレオシド単位を備えることができる。また、アプタマーやリボザイムにあっては、非5’末端非3’末端において本ヌクレオシド単位が有効な場合もありえる。また、プローブにおいては、3’末端側及び/又は5’末端側に本ヌクレオシド単位がを備えることもできるし、あるいは、プローブが固相担体に固定化されている場合には、自由端側となる側に本ヌクレオシド単位をを備えるようにすることができる。さらに、プライマーにおいては必要に応じて適宜本ヌクレオシド単位を備えることができる。

【0074】
例えば、本ヌクレオシド単位がYとして天然塩基又は天然塩基と対合可能な塩基を備えるときの本オリゴヌクレオチド誘導体は、天然核酸等と熱的に安定な二本鎖を形成することができて、アンチセンス核酸、siRNA、shRNA、miRNAとして、その効果を向上させることができる。しかも、ヌクレアーゼ耐性も高く、細胞膜透過にも有利であるため、これらの相乗効果により、RNAiの効果をより一層又は実質的に向上させることができる。かかるオリゴヌクレオチド誘導体は、また、プライマーやプローブなどしても有用である。また、かかるオリゴヌクレオチド誘導体の5’末端及び/又は3’末端や、それ以外の部位に、Yを介して蛍光色素などの従来公知の標識要素を備えることもできる。

【0075】
また、本ヌクレオシド単位がYとして色素などの従来公知の標識要素を備えるときの本オリゴヌクレオチド誘導体は、ヌクレアーゼ耐性も高く、細胞膜透過にも有利なラベル化剤として利用することができる。

【0076】
なお、本オリゴヌクレオチド誘導体のヌクレオチド単位や本ヌクレオシド単位は、その機能やハイブリダイズ対象に応じて適宜適切な塩基配列を構成できるような塩基を備えることができる。

【0077】
(本オリゴヌクレオチド誘導体の製造方法)
本オリゴヌクレオチド誘導体は、オリゴヌクレオチド合成用の中間体として機能できる本ヌクレオシド誘導体等を用いることで取得することができる。

【0078】
本オリゴヌクレオチド誘導体は、従来公知の核酸合成法によって得ることができるため、こうした核酸合成法のオリゴヌクレオチド合成工程中、所望の部位において、本ヌクレオシド誘導体であるッホスホルアミダイト化合物等を用いることにより、当該部位に本ヌクレオシド単位を備える本オリゴヌクレオチド誘導体を製造することができる。

【0079】
例えば、5’末端側に本ヌクレオシド単位を有する本オリゴヌクレオチド誘導体を得るには、従来の核酸合成法により取得したオリゴヌクレオチドの5’末端に本ヌクレオシド誘導体であるホスホアミダイト化合物やその他の導入用試薬を用いることにより、本ヌクレオシド単位を導入することができる。必要に応じて、連続してあるいは他のヌクレオチド単位を介して本ヌクレオシド単位が導入される。こうして5’末端側に1又は2個以上の本ヌクレオシド単位を備える本オリゴヌクレオチドを得ることができる。

【0080】
また、3’末端側に本ヌクレオシド単位を有するオリゴヌクレオチド誘導体を得るには、固相体に連結された態様の本ヌクレオシド誘導体を出発材料として用い、アミダイト法をはじめとする各種核酸合成法によりオリゴヌクレオチドを合成し、固相担体からAユニットを含んだ形態で生成物の切り出しを行うことで、3’末端側に本ヌクレオシド単位を有する本オリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。

【0081】
さらに、非3’末端非5’末端に本ヌクレオシド単位を有する本オリゴヌクレオチド誘導体を得るには、従来のオリゴヌクレオチド合成途中において本ヌクレオシド誘導体又はそれから誘導したヌクレオチド導入試薬を用いることで、本オリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。

【0082】
さらにまた、こうした手法を組み合わせることで、任意の部位に本ヌクレオシド単位を有する本オリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。

【0083】
(本ヌクレオシド誘導体及び本オリゴヌクレオチド誘導体の用途)
本ヌクレオシド誘導体は、上記したように、本オリゴヌクレオチド誘導体を製造するための構成単位であり、本ヌクレオチド誘導体を剛性するための中間体等と利用できる。

【0084】
本ヌクレオチド誘導体は、天然の糖-リン酸骨格を有する核酸とのハイブリダイズ能、熱的安定性に優れるほか、ヌクレアーゼ抵抗性、細胞膜透過性が向上されている。このため、遺伝発現調節用、又は研究用、診断用の各種用途に用いることができる。遺伝子発現調節用途(遺伝子発現抑制用途)としては、アンチジーン、アンチセンス、アプタマー、siRNA、miRNA、dshRNA及びリボザイム等が挙げられる。またCpGオリゴとしても用いることができる。

【0085】
したがって、本オリゴヌクレオチド誘導体は、ヒト及び非ヒト動物における各種疾患の予防・治療用医薬組成物の有効成分として用いることができる。例えば、遺伝子発現に伴う疾患に対して、遺伝子発現抑制剤として構築した本オリゴヌクレオチド誘導体はこうした疾患の予防や治療に有効である。また、本オリゴヌクレオチド誘導体は、遺伝子発現抑制を意図した形態を利用した遺伝子発現抑制方法、疾患の予防又は治療方法等にも利用できる。また、例えば、アプタマー等は、細胞外タンパク質の阻害やシグナル伝達阻害等にも用いることもでき、CpGオリゴは、免疫細胞の活性化等に有用である。

【0086】
また、診断用途又は研究用途としては、上記の遺伝子発現調節用途に加えて、プローブ及びプライマーが挙げられる。プローブは、設計または選択により、ターゲット核酸に特異的に規定された配列を有しており、所定のストリンジェンシーの下で、それらがハイブリダイズするようにするに取得されたオリゴヌクレオチドである。プローブに本オリゴヌクレオチド誘導体を用いることでヌクレアーゼ耐性が向上されるため、ターゲット核酸を含有するサンプル中に混在するヌクレアーゼの影響を抑制又は回避して、ヌクレアーゼの除去程度が低くてもあるいはヌクレアーゼ除去処理を省略したサンプル調製が可能になる。これにより簡易に遺伝子診断や検査をすることができるようになる。なお、こうしたプローブとターゲットとのハイブリダイゼーションはプローブを適当なガラス基板、プラスチック製基板又はビーズなどの固相担体に固定化して行うことができる。本発明には、本オリゴヌクレオチド誘導体を含むプローブを固定化した固相担体も含まれる。

【0087】
プローブの一態様としてモレキュラービーコンが挙げられる。モレキュラービーコンにおいては、ステム部分に熱的安定性及びヌクレアーゼ耐性を付与することが好ましく、このために、本ヌクレオチド誘導体を適用することが好ましい。

【0088】
したがって、本オリゴヌクレオチド誘導体は、ヒト及び非ヒトの疾患や体質の検査試薬や診断試薬として用いることができる。さらに、本オリゴヌクレオチド誘導体をチップやビーズ等の固相担体等に保持したものは、検査装置や診断装置又はこれらの一部として利用することができる。さらには、こうした検査試薬や診断薬は、他の試薬薬や診断薬あるいは装置等と組み合わせた検査用又は診断用キットとしても用いることができる。

【0089】
したがって、本オリゴヌクレオチド誘導体は、そのハイブリダイズ能を利用した疾患の検査又は診断方法等にも利用できる。
【実施例】
【0090】
以下、本明細書の実施形態を具現化した実施例について説明する。だたし、以下の実施例は、本明細書の開示を説明するためのものであって本明細書の開示を限定する趣旨ではない。
【実施例】
【0091】
以下の実施例では、本ヌクレオシド誘導体であるアデノシン誘導体及びシチジン誘導体を合成し、さらに、所定の塩基配列からなる本オリゴヌクレオチド誘導体を合成した。さらに、これらのオリゴヌクレオチド誘導体を用いて、種々の二本鎖安定性、ヌクレアーゼ耐性、RNaseHの活性化について評価した。
【実施例1】
【0092】
(アデノシン誘導体及びシチジン誘導体の合成)
アデノシン誘導体(21)及びシチジン誘導体(22)を、以下のスキーム1~4に従い、それぞれ合成した。
【実施例1】
【0093】
【化12】
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Scheme 1
【実施例1】
【0094】
【化13】
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Scheme 2
【実施例1】
【0095】
【化14】
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Scheme 3
【実施例1】
【0096】
【化15】
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Scheme 4
【実施例1】
【0097】
[アデノシン誘導体(21)の合成]
(1)(S)-2-hydroxy-2-phenyl-ethylacetane (2) の合成
アルゴン雰囲気下、(S)-2-hydroxy-2-phenyl-acetate (1) (10.0g, 65.7mmol) をEtOH (100ml) に溶解させ、濃硫酸(20滴) を加えて70℃で還流しながら撹拌した。24時間後、sat.NaHCO3aqを加えて中和し、EtOAc、H2O、sat.NaHCO3 aq.、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=5:1) で精製した。化合物 (2) (11.7g, 99%) を無色透明オイルとして得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.21-1.25(t, 3H, J=7.1Hz, -CH3), 3.43-3.46(d, 1H, J=6.0Hz, -OH), 4.15-4.30(m, 2H, -CH2), 5.15-5.16(d, 1H, 2-H), 7.32-7.39(m, 4H, Ar-H), 7.41-7.44(d, 1H, J=7.8Hz, Ar-H).
13CNMR (100MHz, CDCl3) δ: 14.00, 62.24, 72.81, 126.48, 128.36, 128.53, 138.36, 173.66.
【実施例1】
【0098】
(2)p-[(S)-1,2-dihydroxyethyl]idobenzene (3) の合成
アルゴン雰囲気下、化合物 (2) (6.00g, 33.3mmol) をdry CH2Cl2(60ml) に溶解させ、TfOAg(9.41g, 36.6mmol, 1.1eq)、I2(9.29g, 36.6mmol, 1.1eq) を加えて、遮光条件下室温で撹拌した。一時間後NaHSO3でI2を還元しCHCl3でセライトろ過をした。ろ液を、H2O、sat.NaHCO3、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣(9.62g) を黄色透明オイルとして得た。
アルゴン雰囲気下、化合物をEtOH(96ml) に溶解させ、NaBH4(3.38g, 62.9mmol, 2eq) を加えて撹拌させた。一時間後NH4Clで反応を停止させ、EtOAc、H2O、sat.NaHCO3 aq.、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAc溶解させてHexaneを加え、再結晶をした。化合物 (3) (4.27g, 49%) を白色結晶として得た。
1H NMR (400MHz,CDCl3) δ:1.99-2.02(d, 1H, J=5.9Hz, -OH), 2.54-2.55(d, 1H, J=3.2Hz, -OH), 3.58-3.64 (m, 1H, -CH2), 3.72-3.78(m, 1H, -CH2), 4.77-4.80(m, 1H, -CH), 7.12-7.14(d, 2H, J=8.0Hz, Ar-H), 7.68-7.70(d, 2H, J=8.0Hz, Ar-H).
13CNMR (100MHz, DMSO- d6) δ: 67.16, 73.20, 92.58, 128.78, 136.53, 143.39
【実施例1】
【0099】
(3)p-[(S)-1,2Bis(tert-buthyldimeylsilyloxy)ethyl]idobenzene (4) の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(3) (2.00g, 6.53mmol) を、dry DMF(20ml) に溶解させ、imidazole(1.95g, 14.4mmol, 2.2eq)、TBDMSCl(2.17g, 14.4mmol, 4.4eq) を加えて室温で撹拌した。一晩撹拌した後、EtOAc、H2O、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=50:1) で精製した。化合物 (4) (2.99g, 93%) を無色透明オイルとして得た。
1H NMR(400MHz,DMSO- d6) δ:-0.087(s, 3H, -TBDMS), -0.054- -0.045(d, 6H, J=3.6, TBDMS), 0.029(s, 18H, -TBDMS), 3.46-3.50(dd, 1H, J=4.8,10.4Hz, -CH2), 3.51-3.55(dd,1H, J=6.8,10.0Hz, -CH2), 4.66-4.69(dd, 1H, J=4.8,6.6Hz,-CH), 7.13-7.15(d, 2H, J=8.4Hz, Ar-H), 7.66-7.681(d, 2H, J=8.0, Ar-H).
13C NMR(125MHz,CDCl3) δ:-5.54, -5.46, -4.84, -4.73, 18.25, 18.38, 25.82, 25.93, 69.65, 75.45, 92.56, 128.50, 136.93, 142.60.
HRMS (ESI) m/z Calcd for C12H37INaO2Si2: 515.1274 (M+Na+); found: 515.1268
【実施例1】
【0100】
(4)p-[(S)-1,2-Bis(tert-buthyldimethyloxy)ethyl]phenylbronic acid (5) の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(4) (2.46g , 4.99mmol) を、dry THF(25ml) に溶解させ、-78℃の冷却下で撹拌しながらn-BuLi(1.6M in Hexane, 6.70ml, 10.9mmol, 2.2eq) を滴下した。一時間後(CH3O)3B(9.00mol/l, 1.22ml, 2.2mmol, 2.2eq) を滴下し、一時後徐々に室温に戻して撹拌した。一晩撹拌後、HClを加えた。5分ほど撹拌後、EtOAc、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=3:1) で精製した。化合物 (5) (1.72g, 84%) を黄白色結晶として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:-0.04- -0.034(m, 9H, -TBDMS), 0.082(s, 3H, -TBDMS), 0.87(s, 9H, -TBDMS), 0.90(s,9H, -TBDMS), 3.576-3.615(dd, 1H, J=5.6,10.2Hz, -CH2), 3.70-3.74(dd, 1H, J=6.8,10.2, -CH2), 4.76-4.79(t, J=6.0Hz, -CH), 7.48-7.50(d, 2H, J=8.0Hz, Ar-H), 8.18-8.20(d, 2H, J=8.0Hz, Ar-H)
【実施例1】
【0101】
(5)p-[(S)-1,2-Bis(tert-buthyldimethlsilyloxy)ethyl]phenylboronic ester (6) の合成
アルゴン雰囲気下にて、室温にて、化合物 (5) (0.71 g, 1.74 mmol) にdry THF (7 mL) を加え溶解させた。続いて、pinacol (0.23 g,1.91 mmol, 1.1 eq) を加え反応を開始した。15時間撹拌後、加熱乾燥させたMgSO4 (1.04 g, 8.68 mmol, 5.0 eq) を加えて、12時間撹拌した。混合物を吸引濾過し、ろ液を真空条件下で溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー (SiO2, 20%, EtOAc in Hexane) で精製した。化合物 (6) (0.61 g, 1.24 mmol, 72 %) を白色固体で得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: -0.066-0.0480 (m, 12H, -TBDMS), 0.86 (s, 18H, -TBDMS), 1.34 (s, 12H, -CH3), 3.53 (dd, 1H, J = 10.1, 7.36, H-2), 3.63 (dd, 1H, J = 10.1, 5.0, H-2), 4.70 (dd, 1H, J = 6.9, 5.0, H-1), 7.33 (d, 2H, J = 7.8, Ar-H), 7.75 (d, J = 8.2, 2H, Ar-H).
13CNMR (151MHz, CDCl3) δ: -5.50, -5.41, -4.83, -4.71, 18.31, 18.41, 24.87, 24.91, 25.85, 25.98, 69.94, 76.24, 83.68, 125.83, 134.43, 145.93.
Anal. Calcd for C26H49BO4Si2?1.2H2O: C, 63.39; H, 10.03. Found: C 60.45; H, 10.17.
【実施例1】
【0102】
(6)9-[p-[(S)-1,2-Bis(tert-buthyldimethyloxy)ethyl]phenyl]adenine (7) の合成
大気圧下、化合物(5) (1.13g, 2.76mmol) をMeOH:H2O=4:1(75ml) に溶解させ、Cu(OAc)2・H2O(0.55g, 3.04mmol, 1.1eq)、adenine(0.90g, 6.08mmol, 2.2eq)、TEMED(0.78g, 6.08mmol, 2.2eq)を加え、室温で撹拌した。一晩撹拌後溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100% EtOAc) で精製した。化合物 (7) (0.99g, 71%) を白色結晶として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:-0.012-0.006(m, 9H, -TBDMS), 0.11(s, 3H, -TBDMS), 0.87(s, 9H, -TBDMS), 0.91(s, 9H, -TBDMS), 3.54-3.58(dd, 1H, J=4.8,10.2Hz, -CH2), 3.65-3.72(dd, 1H, J=6.8,10.0Hz, -CH2), 4.77-4.80(t, 1H, J=6.0Hz, -CH), 5.65(s, 2H, -NH2), 7.54-7.56(d, 2H, J=8.4Hz, Ar-H), 7.65-7.67(d, 2H, J=8.8Hz, Ar-H), 8.10(s, 1H, 2-H), 8.45(s, 1H, 8-H).
13C NMR(125MHz,CDCl3) δ:-5.52, -5.39, -4.80, -4.67, 18.27, 18.41, 25.84, 25.94, 69.85, 75.43, 120.12, 122.88, 127.79, 133.72, 139.62, 143.05, 149.90, 153.67, 155.80.
HRMS (ESI) m/z Calcd for C25H41N5NaO2Si2: 522.2697 (M+Na+); found: 522.2667
【実施例1】
【0103】
(7)6-N-Benzoyl-9-[p-[(S)-1,2-Bis(tert-buthyldimethyloxy)ethyl]phenyl]adenine (9)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(7) (0.99g, 1.97mmol) をdry Pyridine(10ml) に溶解させ、BzCl(1.21g/ml, 0.27ml, 2.37mmol, 1.2eq) を滴下し室温で撹拌した。3時間半後、EtOAc、sat.NaHCO3aq.、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=2:1) で精製した。化合物 (9) (0.63g, 53%) を黄白色結晶として得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ:-0.012-0.004(d, 9H, J=6.4Hz, -TBDMS), 0.11(s, 3H, -TBDMS), 0.87(s, 9H, -TBDMS), 0.91(s, 9H, -TBDMS), 3.55-3.59(dd, 1H, J=4.8,10.2Hz, -CH2), 3.66-3.71(dd, 1H, J=6.8,10.4Hz, -CH2), 4.78-4.80(t, 1H, J=5.8,-CH), 7.53-7.61(m, 5H, benzoyl), 7.68-7.70(d, 2H, J=8.0Hz, Ar-H), 8.05-8.07(d, 2H, J=7.6Hz, Ar-H), 8.31(s, 1H, 2-H), 8.89(s, 1H, 8-H), 9.12(s, 1H, -NH).
13C NMR(125MHz,CDCl3) δ:-5.53, -5.40, -4.81, -4.68, 18.26, 18.39, 25.84, 25.93, 69.77, 75.35, 123.47, 122.97, 127.88, 127.92, 128.86, 132.81, 133.17, 133.59, 141.98, 143.61, 149.88, 151.78, 153.29, 164.65.
Anal. Calcd for C32H45N5O3Si2: C, 63.64; H, 7.51; N, 11.60 found: C,63.38; H,7.61; N, 11.34.
【実施例1】
【0104】
(8)6-N-Benzoyl-9-[p-[(S)-1,2-dihydroxyethyl]phenyl]adenine (11) の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(9) (0.41g, 0.68mmol)をdry THF(4ml) に溶解させ、TBAF( 1M in THF, 2.05ml, 3eq) を加え室温で撹拌した。一晩撹拌後、溶媒を減圧留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100 % CHCl3- CHCl3:MeOH=10:1) で精製した。化合物 (11) (0.25g, 96%) を白色結晶として得た。
1H NMR(400MHz, DMSO- d6) δ:4.62-4.66(dd, 1H, J=5.6,10.2Hz, -CH2), 4.79-4.82(t, 1H, J=5.8, -CH2),5.40-5.41(d, 1H, J=4.0Hz, -CH ), 7.54-7.59(m, 5H, benzoyl), 7.83-7.85(d, 2H, J=8.4Hz, Ar-H), 8.05-8.07(d, 2H, J=7.2Hz, Ar-H), 8.79(s, 1H, 2-H), 8.87(s, 1H, 8-H), 11.26(s, 1H, -NH).
13C NMR(151MHz, DMSO- d6) δ:67.33.,73.29, 123.04, 125.90, 127.43, 128.52, 132.51, 133.07, 133.36, 143.54, 150.69, 151.97, 152.16, 165.70.
HRMS (ESI) m/z Calcd for C20H18N5O3: 376.1410 (M+H+); found: 376.1421
【実施例1】
【0105】
(9)6-N-Benzoyl-9-[p-[(S)- 2-dimethoxytrityloxy-1-hydroxyethyl]phenyl]adenine (13) の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(11) (0.542g, 1.44mmol) をdry Pyridine(5ml) に溶解させ、DMTrCl(0.54g, 1.58mmol, 1.1eq) を加え室温で撹拌した。3時間撹拌後、EtOAc、sat.NaHCO3 aq.、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=1:2) で精製した。化合物 (13) (0.7934g, 81%) を黄白色結晶として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3) δ:2.97-2.98(d, 1H, J=2.5, -OH), 3.26-3.30(t, 1H, J=9.0Hz, -CH2), 3.68-3.41(dd, 1H, J=3.5,10.0Hz, -CH2), 3.80(s, 6H, -CH3), 4.87-4.88(d, 1H, J=8.5,-CH), 7.29-7.32(m, 5H, -DMTr), 7.42-7.44(d, 2H, J=7.5Hz, Ar-H),7.50-7.57(m, 5H, benzoyl), 7.61-7.66(m, 4H, -DMTr), 8.04-8.05(d, 2H, J=7.5Hz, Ar-H), 8.25(s, 1H, 2-H), 8.85(s, 1H, 8-H), 9.01(s, 1H, -NH).
13C NMR(151MHz, DMSO- d6) δ:55.20, 69.06, 72.71, 86.67 ,113.18, 123.31, 123.42, 126.96, 127.78, 127.91, 128.03, 128.83, 130.00, 132.80, 133.40, 133.51, 135.65, 141.35, 141.81, 144.53, 149.90, 151.74, 153.33, 158.56, 164.67.
HRMS (ESI) m/z Calcd for C41H36N5O5: 678.2716 (M+H+); found: 678.2689
【実施例1】
【0106】
(10)6-N-Benzoyl-9-[p-[(S)-1-[(2-cyanoethoxy)(N,N-diisopropylamino)-phosphinyl]oxy-2-(dimethoxytrityloxy)ethyl]phenyl]adenine (15) の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(13) (0.59g, 0.87mmol)をdry CH2Cl2(6ml) に溶解させ、DIPEA(0.45ml, 2.61mmol, 3eq)、i-Pr2NP(Cl)O(CH2)2CN(0.29ml, 1.30mmol, 1.5eq) を加え室温で撹拌した。45分後、CHCl3、sat.NaHCO3 aq.、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=1:3) で精製した。化合物 (15) (0.65g, 85%) を白色結晶として得た。
31P NMR(162MHz,CDCl3) δ:149.46, 149.92
【実施例1】
【0107】
(11)6-N-Benzoyl-9-[p-[(S)-2-dimethoxytrityloxy-1-succinyloxy]phenyl]adenine (17) の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(13) (0.10g, 0.15mmol) をdry Pyridine(1ml) に溶解させ、DMAP(0.036g, 0.30mmol, 2eq)、無水コハク酸(0.0600g, 0.60nnol, 4eq) を加え、室温で撹拌した。2日後、EtOAc、H2O、sat.NaHCO3 aq.、sat.NaCl aq.で抽出、洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去し、化合物(0.1137g) を得た。
【実施例1】
【0108】
(12)p-[(S)-1,2-dihydroxyethyl]phenyl-adenine (21) の合成
アルゴン雰囲気下、室温にて、化合物 (7) (0.25 g, 0.50mmol) をTHF(3ml) に溶解させ、TBAF (1.10ml, 1.10mmol) を加えて撹拌した。6時間後、反応溶媒を減圧除去しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=3:1) にて精製した。化合物 (21) (0.16g, 0.59mmol, 121%) を得た。
1HNMR (400MHz, DMSO- d6) δ: 3.52(m, 2H, -CH2), 4.66(m, 1H, -OH), 4.83(t, 1H, -OH), 5.42(d, 1H, -CH), 7.42(s, 2H, NH2), 7.57(d, 2H, Ar-H), 7.85(d, 2H, Ar-H), 8.23(s, 1H, 2-H), 8.59(s, 1H, 8-H).
13CNMR(151MHz, CDCl3) δ: 67.29, 73.25, 119.22, 122.46, 127.24, 133.72, 139.60, 142.82, 149.14, 153.08, 156.30.
HRMS (ESI) m/z Calcd for C13H14N5O2: 272.1148 (M+Na+); found: 272.1165
【実施例1】
【0109】
[シチジン誘導体(22)の合成]
シチジン誘導体は、スキーム1及びスキーム2に示すように、化合物5までは、アデニン誘導体と同様にして操作された。
【実施例1】
【0110】
(1)1-[p-[(S)-1,2-Bis(tert-buthyldimethlsilyloxy)ethyl]phenyl]cytosine (8) の合成
室温、大気圧下にて、化合物 (5) (1.36 g, 3.32 mmol)をMeOH (56mL) とH2O (14mL) に溶解させ、cytosine (0.73g, 6.64 mmol, 2 eq) 、Cu(OAc)2・H2O (0.60g, 3.32 mmol, 1eq)、TEMED(0.77g, 6.64mmol, 2eq) を加えて、激しく撹拌した。21時間撹拌後、溶媒を減圧留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー ( CHCl3:MeOH=10:1) で精製した。化合物 (8) (0.21g, 0.44mmol, 74 %) を白色固体で得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: -0.0286- -0.0788 (m, 12H, -TBDMS), 0.861 (s, 9H, -TBDMS), 0.888 (s, 9H, -TBDMS), 3.52 (dd, 1H, J = 10.1, 5.0, H-2), 3.62 (dd, 1H, J = 10.1, 7.3, H-2), 4.73 (t, 1H, J = 5.0, H-1), 5.78 (d, 1H, J = 7.3, H-6’ ), 7.30 (d, 2H, J = 8.2, Ar-H), 7.37 (d, 1H, J = 7.3, H-5’), 7.41 (d, 2H, J = 8.7, Ar-H).
13CNMR(125MHz, CDCl3) δ: -5.52, -5.40, -4.81, -4.68, 18.25, 18.40, 25.84, 25.95, 69.87, 75.48, 94.93, 125.72, 127.12, 139.56, 142.78, 145.68, 155.50, 166.03
Anal. Calcd for C24H41N3O3Si2: C, 60.59; H, 8.69; N, 8.83. Found: C 60.06; H, 8.67; N, 8.71.
【実施例1】
【0111】
(2)4-N-Benzoyl-1-[p-[(S)-1,2-Bis(tert-buthyldimethlsilyloxy)ethyl]phenyl]cytosine (10) の合成
アルゴン雰囲気下、化合物 (8) (0.41 g, 0.85 mmol)をpyridine (4 mL) に溶解させ、benzoyl chloride (0.15 g, 0.94 mmol, 1.2 eq.) を加えて、4.5時間撹拌した。生成物をクロロホルムとH2Oで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒をエバポレータにより減圧濃縮し、残渣をカラムゲルカラムクロマトグラフィー (SiO2, 50% EtOAc in Hexane) にて精製した。化合物 (10) (0.46 g, 0.79 mmol, 93 %) を白色固体で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: -0.0169-0.0915 (m, 12H, -TBDMS), 0.865 (s, 9H, TBDMS), 0.899 (s, 9H, -TBDMS), 3.54 (dd, 1H, J = 9.9, 5.0, -H-2), 3.64 (dd, 1H, J = 10.1, 6.9, -TBDMS), 4.76 (t, 1H, J = 5.5, -H-1),7.37-7.65 (m.7H, benzoyl-H,Ar-H), 7.76 (d, 1H, J = 7.4, H-5’), 7.98 (d, 2H, J = 7.8, Ar-H), 8.11 (d, 1H, J = 7.4, H-6’).
13CNMR (151MHz,CDCl3) δ: -5.52, -5.40, -4.81, -4.66, 18.27, 18.41, 25.84, 25.95, 69.86, 75.44, 125.52, 127.40, 127.74, 128.25, 129.03, 130.10, 133.13, 133.28, 138.75, 143.81, 148.99, 162.78.
HRMS (ESI) m/z Calcd for C31H45N3NaO4Si2: 602.2846 (M+Na+); found: 602.2845
【実施例1】
【0112】
(3)4-N-Benzoyl-1-[p-((S)-1,2-dihydroxyethyl)phenyl]cytosine (12) の合成
アルゴン雰囲気下、室温にて、化合物 (10) (0.46 g, 0.79 mmol)をdry THF (5 mL) に溶解させた。続いてTBAF (1M in THF, 1.74 ml) を加え反応を開始した。4時間撹拌後、原料消失を確認した後、揮発性の溶媒をエバポレータにより減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー (SiO2, 15% MeOH in CHCl3) にて精製した。化合物 (12) (0.26 g, 0.75 mmol, 95 %) を白色結晶で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.67 (dd, 1H, J = 11.7, 8.3, H-2), 3.82 (dd, 1H, J = 3.48, 11.0, H-2), 4.91 (m, 1H, H-1), 7.43-7.75 (m, 9H, benzoyl-H, Ar-H), 7.94 (d, 2H, J = 6.2), 8.09 (d, 1H, J = 6.9).
13CNMR (151MHz, DMSO- d6) δ: 67.27, 73.27, 96.26, 125.86, 126.85, 128.44, 128.48, 132.75, 133.13, 138.85, 143.74, 150.12, 154.55, 163.61, 167.36.
HRMS (ESI) m/z Calcd for C19H17N3NaO4: 374.1117 (M+Na+); found: 374.1135
【実施例1】
【0113】
(4)4-N-Benzoyl-1-[p-((S)-2-dimethoxytrityloxy-1-hydroxyethyl)phenyl]cytosine (14) の合成
アルゴン雰囲気下、室温にて化合物 (12) (0.26 g, 0.74 mmol) をdry pyridine (3 mL) に溶解させた。続いてDMTrCl (0.30 g, 0.89 mmol, 1.2eq.) を加え、反応を開始した。1時間撹拌後、原料消失を確認し、生成物をEtOAcとH2Oで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。揮発性の溶媒をエバポレータにより減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー (SiO2, 50-100% EtOAc in Hexane) にて精製した。化合物 (14) (0.46 g, 0.71 mmol, 96 %) を黄色結晶として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 3.23 (t, 1H, J = 9.6, H-2), 3.35 (dd, 1H, J = 10.4, H-2), 3.80 (s, 6H, -OCH3), 4.84 (d, 1H, H-1), 6.84 (d, 5H, J = 8.7,-DMTr), 7.22-7.81 (m, 19H, -DMTr, Ar-H).
13CNMR(151MHz, CDCl3) δ: 55.22, 69.07, 72.77, 86.66, 113.21, 125.90, 126.92, 127.33, 127.54, 127.90, 128.03, 129.07, 130.01, 133.28, 135.67, 139.10, 141.59, 144.61, 158.58.
HRMS (ESI) m/z Calcd for C40H35N3NaO6: 676.2424 (M+Na+); found: 676.2425
【実施例1】
【0114】
(5)4-N-Benzoyl-1-[p-(S)-1-[(2-cyanoethoxy)(N,N-diisopropylamino)-phosphinyl]oxy-2-(dimethoxytrityloxy)ethyl]phenyl]cytosine (16) の合成
アルゴン雰囲気下、室温にて、化合物 (14) (0.40 g, 0.61 mmol) をdry CH2Cl2(4 mL) に溶解させた。続いて、DIPEA (0.32 mL, 1.84 mmol, 3.0 eq.), i-Pr2NP(Cl)O(CH2)2CN (0.21 mL, 0.92 mmol, 1.5 eq.) を加え反応を開始した。1時間撹拌後、生成物をクロロホルムで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。揮発性の溶媒をエバポレータにより減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー (SiO2, 50% Hexane in EtOAc) にて精製した。化合物 (16) (0.43 g, 0.51 mmol, 84 %) を黄色結晶で得た。
31P NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 149.2, 149.9.
【実施例1】
【0115】
(6)p- ((S)-1,2-dihydroxyethyl)phenyl-cytosine (22) の合成
アルゴン雰囲気下、室温にて、化合物 (8)(0.21 g, 0.45mmol) をTHF(3ml)に溶解させ、TBAF (0.99ml, 0.99mmol) を加えて撹拌した。6時間後、反応溶媒を減圧除去しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=3:1) にて精製した。化合物 (22) (0.091g, 0.37mmol, 82%) を得た。
1HNMR (400MHz, DMSO- d6) δ: 3.48 (t, 2H, -CH2), 4.61(m, 1H, -OH), 4.81(t, 1H, -OH), 5.36(d, 1H, -CH), 5.81(d, 1H, 5-H), 7.30(d, 2H, Ar-H), 7.42(d, 2H, Ar-H), 7.64(d, 1H, 6-H).
13CNMR(151MHz, CDCl3) δ: 67.29, 73.33, 94.00, 125.90, 126.62, 139.93, 142.60, 145.79, 154.98, 166.11.
Anal. Calcd for C24H41N3O3Si2: C, 58.29; H, 5.30; N, 17.00. Found: C 57.40; H, 5.28; N, 16.52.
【実施例1】
【0116】
[アデニン誘導体のCPG樹脂体(19) の合成]
アルゴン雰囲気下、化合物 (17) (0.11g, 0.15mnol) をdry DMF(1.5ml) に溶解させ、CPG樹脂(0.275g)、WSC(0.028g, 0.15mmol, 1eq) を加えて、室温で振盪させた。2日後樹脂をPyridineで洗浄した。アルゴン雰囲気下、DMAP(0.183g)、無水酢酸(1.5ml) をPyridine(13.5ml) に溶解させた。その溶液を洗浄した樹脂に加え、一晩振とうさせた。樹脂をPyridine、EtOH、MeCNで洗浄し、乾燥させた。HClO4:EtOH=3:2溶液で脱トリチル反応を行い、その発色を測定することで樹脂への導入率を測定した。導入率は34.6μmol/gであった。
【実施例2】
【0117】
本実施例では、アデノシンアナログ、シチジンアナログを含むオリゴヌクレオチドを合成した。実施例1で合成したアデノシン誘導体Abとシチジン誘導体CbをDNA中に導入したオリゴヌクレオチドを、固相ホスホロアミダイト法によって常法に従いDNA/RNA自動核酸合成機を用いて合成した。また、ヌクレアーゼ耐性やRNase H活性化能を検証するため5´-末端に蛍光色素であるフルオレセインを結合させたオリゴヌクレオチドも合成した。配列(配列番号1~15)並びに分子量の計算値をTable 1に示した。
【実施例2】
【0118】
【表1】
JP2017047594A1_000018t.gif
【実施例3】
【0119】
本実施例では、本ヌクレオシド誘導体に由来する本ヌクレオシド単位を含むオリゴヌクレオチドの熱的安定性を検証するため、相補鎖と二本鎖を形成させ、100 mM NaClを含むリン酸バッファー中 (pH 7.0) で50% 融解温度Tmを測定した。なお、Tm測定に際し、それぞれの鎖の濃度は3 μMになるように調整・減圧乾固後、測定用緩衝液 (10 mM NaH2PO4-Na2HPO4(pH 7.0), 100mM NaCl) 200 μLに溶解した。その後、100℃で3分間加熱し、1時間以上放置し常温に戻した。その溶液から150 μLを専用セルに入れ、5℃から100℃へと加熱 (Δ0.5℃/min) して吸光度の変化を測定することで50% 融解温度 (Tm) を求めた。
【実施例3】
【0120】
なお、duplex1~13は、以下の特徴を備えている。
Duplex 特徴
1 DNA/DNA
2 DNA/DNA
3 DNA/DNAミスマッチ
4 DNA/DNAミスマッチ
5 DNA/RNA
6 DNA/RNA
7 DNA/RNAミスマッチ
8 DNA/RNAミスマッチ
9 DNA/RNAギャップマー
10 DNA/RNAギャップマー
11 DNA/RNAギャップマー
12 DNA/RNAギャップマー、ミスマッチ
13 DNA/RNAギャップマー、ミスマッチ
【実施例3】
【0121】
またduplex 1、2、9、11に関しては二本鎖を8段階の濃度で調製し、オリゴヌクレオチド解離におけるエンタルピー変化 (ΔH°)、エントロピー変化 (ΔS°)、自由エネルギー変化 (ΔG°) をvan’t hoff plotより算出した。それらのTm値を、以下の表に示すとともに、シグモイド曲線を図1~図5に示し、van’t hoff plotを図6及び図7に示す。
【実施例3】
【0122】
【表2】
JP2017047594A1_000019t.gif
【実施例3】
【0123】
表2及び図1~5に示すように、アデノシン誘導体、シチジン誘導体(アナログ)を導入したオリゴヌクレオチドは、いずれもシグモイド曲線を描いていることから天然のRNA、DNAと二本鎖を形成していることがわかった。中央部分にアナログを導入した12merのオリゴヌクレオチドは、天然型のDNA、RNAと比較して熱的安定性を減少させてしまうことが明らかとなった(図1~図4、duplex1~8)。
【実施例3】
【0124】
一方、末端部分にアナログを導入した17merのオリゴヌクレオチドの熱的安定性は、天然型よりも増加した(図5、duplex9~11)。この理由として、17merの配列における連続した天然型のDNAの塩基対の長さが12merよりも長いためであると考えられた。
【実施例3】
【0125】
また、ミスマッチ塩基対を一つ含む二本鎖では、アナログを含むオリゴヌクレオチドでいずれもTm値は減少した(duplex4、8)。12merの結果より、相補鎖がRNAの時にアナログはより強い塩基識別能を有することと共に、二重鎖内で相補塩基と水素結合を形成していることが明らかとなった。
【実施例3】
【0126】
また、図6及び図7からは、アナログを導入したオリゴヌクレオチドは、天然型と比較してエンタルピー的には不利であるものの、エントロピー的には有利となった。これらはアナログが有するベンゼン環のスタッキング効果によるものと考えられる。
【実施例4】
【0127】
本実施例では、実施例2に準じて合成したヌクレオチドアナログを含むオリゴヌクレオチド誘導体(F- 5’- d(AAbAbGTTCACTACTCAbAbAb) -3’、配列番号16)及び天然型オリゴヌクレオチド(F- 5’- d( AAAGTTCACTACTCAAA) -3、配列番号17)についてヌクレアーゼ耐性を評価した。
【実施例4】
【0128】
5′-末端をフルオレセイン(F)で蛍光標識したオリゴヌクレオチド誘導体を、3000pmolずつ減圧乾固し、緩衝液 (0.1M Tris-HCl, 20mM MgCl2, (pH 8.03)) 75mlに溶解させた。緩衝液で希釈されたへび毒ホスホジエステラーゼ(Snake venom phosphodiesterase:SVP)(エキソヌクレアーゼ)1 unit / mL) 75μLを加え、37℃でインキュベートした。30sec、1min、5min、30min、3 h、8h、24h後に、あらかじめ別のエッペンドルフチューブに分注しておいたloading solution (1.2×TBE buffer , グリセロール, キシレンシアノFF, ブロモフェノールブルー) 15 μL中に、反応液を5 μLずつ加え、反応を停止させた。なお、0 minのサンプルは酵素を加えていないものとした。これらの各反応溶液を20% PAGE、500 V、20 mAにて分離した後、ルミノ・イメージアナライザーLAS4000により分析した。結果を、図8及び図9に示す。
【実施例4】
【0129】
図8及び図9に示すように、天然型のオリゴヌクレオチドでは5分の時点で分解されているのに対し、アナログを含むオリゴヌクレオチド誘導体では24時間経過してもほとんど分解されない。このことから、末端にアナログを導入したオリゴヌクレオチド誘導体は、非常にエキソヌクレアーゼ耐性があるということがわかった。
【実施例5】
【0130】
本実施例は、実施例2に準じて合成したヌクレオチドアナログを含むオリゴヌクレオチド誘導体(5’- d(AAbAbGTTCACTACTCAbAbAb) -3’、配列番号16)及び天然型オリゴヌクレオチド( 5’- d( AAAGTTCACTACTCAAA) -3、配列番号17)について、RNaseH活性化能を評価した。
【実施例5】
【0131】
各オリゴヌクレオチド600pmol及びこれら誘導体に対して相補的な塩基配列を有し、5′-末端をフルオレセインで蛍光標識したRNA(3’- r(UUUCAAGUGAUGAGUUU) -5’ - F)(配列番号18)を3000pmolをそれぞれ同じエッペンドルフチューブで減圧乾固し、緩衝液 (50 mM Tris-HCl (pH.8.0), 75 mM KCl, 3mM MgCl2, 10mM dithiothreitol) 75mlに溶解した。その後、100℃で3分間加熱し、1時間以上放置し常温に戻した。その後、緩衝液で希釈されたRNase H (60 unit / mL) 75μLを加え、37℃でインキュベートした。1min、5min、15min、30min、1 h、2 h、4h後に、あらかじめ別のエッペンドルフチューブに分注しておいたloading solution (100% formamide) 15 μL中に、反応液を5 μLずつ加え、反応を停止させた。なお、0 minのサンプルは酵素を加えていないものとした。この反応溶液を20% PAGE、500 V、20 mAにて分離した後、ルミノ・イメージアナライザー LAS4000により分析した。結果を、図10に示す。
【実施例5】
【0132】
図10に示すように、本ヌクレオシド単位を含むオリゴヌクレオチド誘導体とハイブリダイズする相補鎖RNAの切断は、本ヌクレオシド単位を含まない天然型オリゴヌクレオチドよりも速いことが明らかとなった。これは、本オリゴヌクレオチド誘導体が天然型オリゴヌクレオチドよりも相補鎖RNAとの親和性、すなわち、ハイブリダイズ能に優れており、安定した二本鎖を形成してRNaseHのアクセス性及び作用性を高めるとともに、RNAが分解後には、速やかに新たなRNAとハイブリダイズできるためであると考えられた。
【実施例6】
【0133】
本実施例では、塩基として、ウラシル、チミン及びグアニンを備えるヌクレオシド誘導体の合成例について、以下に示すスキーム5に従って説明する。
【実施例6】
【0134】
(1)1-N-[p-[(S)-2-dimethoxytrityloxy-1-hydroxyethyl]phenyl]uracil(23) の合成
アルゴン雰囲気下,1-N-[p-[(S)-1,2-dihydroxyethyl]phenyl]uracil(0.11g, 0.46mmol)をdry pyridine(1.1ml)に溶解させ,DMTrCl(0.19g, 0.55mmol, 1.2eq)を加えて室温で20時間反応させた。反応後,EtOAc,sat.NaHCO3aq,sat.NaClaq.で抽出,洗浄後,Na2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧留去後,残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=3:1)で精製した。化合物(23)(0.25g 98%)を黄色結晶として得た。1H NMR(400MHz, CDCl3) δ:3.21-3.31(m, 2H), 3.76(s, 6H), 4.07-4.12(qua, 1H, J=14.2, 7.32Hz), 4.78-4.80(dd, 1H, J=3.2, 8.24Hz), 5.77-5.79(dd, 1H, J=7.8Hz), 6.78-6.83(d, 4H, J=8.68Hz ), 7.20-7.28(m, 1H, 9H), 7.36-7.40(m, 4H), 8.95(br, 1H), 13C NMR (100MHz, CDCl3) δ:14.2, 21.1, 55.2, 60.4, 68.9, 72.7, 86.6, 102.7, 113.2, 126.0, 126.9, 127.5, 127.9, 128.0, 130.0, 135.6, 137.6, 141.6, 144.5, 144.6, 150.0, 158.5, 163.3
HRMS(ESI-TOF) m/z:Calcd for C33H30N2O6 [M+Na]+573.20016, Found 573.20241.
【実施例6】
【0135】
(2)1-N-[p-[(S)-2-1-[(2-cyanoethoxy)(N,N-diisopropylamino)-phosphinyl]oxy (dimethoxytrityloxy)-1-hydroxyethyl]phenyl]uracil(24) の合成
アルゴン雰囲気下,化合物(23) (0.53g, 0.95mmol)をdry CH2Cl2(5ml) に溶解させ,DIPEA(0.50ml, 2.86mmol, 3.0eq),i-Pr2NP(Cl)O(CH2)2CN(0.32ml, 1.43mmol, 1.5eq) を加え室温で撹拌した。50分後,CHCl3,sat.NaHCO3 aq.,sat.NaCl aq.で抽出,洗浄後, Na2SO4で乾燥させた。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=3:1) で精製した。化合物(17) (0.53g, 72%) を白色結晶として得た。31P NMR(162MHz,CDCl3) δ:149.3, 150.1, HRMS(ESI-TOF) m/z:Calcd for C42H47N4O7P [M+Na]+ 773.30800, Found 773.31014
【実施例6】
【0136】
(3)1-N-[p-[(S)-2-dimethoxytrityloxy-1-hydroxyethyl]phenyl]thymine(25)の合成
アルゴン雰囲気下,1-N-[p-[(S)-1,2-dihydroxyethyl]phenyl]thymine (0.17g 0.65mmol)をdry pyridine(1.7ml)に溶解させ,DMTrCl(0.24g, 0.72mmol, 1.1eq)を加えて室温で2.5時間反応させた。反応後,EtOAc ,sat.NaHCO3 aq ,sat.NaCl aq.で抽出,洗浄後,Na2SO4で乾燥させ減圧留去し,残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc:Hexane=2:1)で精製して化合物(25)(0.28g 83%)を黄色結晶として得た。1H NMR(400MHz, CDCl3) δ:1.95(s, 3H), 2.87(s, 1H), 3.23(t, 1H, J=9.6Hz), 3.35(dd, 1H, J=3.68,Hz ), 3.79(s, 6H), 4.82(d, 1H, J=6.4Hz), 6.83(d, 4H, J=8.7Hz), 7.12-7.41(m, 13H), 8.13(s, 1H)
【実施例6】
【0137】
(4)p-[(S)-1,2-Bis(tert-buthyldimethylsilyloxy)ethyl]phenyl-guanine(26)の合成
アルゴン雰囲気下,2-N-bis-butoxycarbonyl-6-chloro-9-[p-(S)-1,2-Bis(tert-buthyldimethylsilyloxy)ethyl]phenyl]prine(0.47g, 0.63mmol)をMeOHに溶解させ,2-メルカプトエタノール(0.27ml, 3.82mmol, 6eq)とナトリウムメトキシドメタノール溶液(5M)(0.76ml, 3.82mmol, 6eq)を加えて,還流しながら反応させた。12時間後,酢酸で中和を行った。溶媒を減圧留去し,残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=15:1)によって精製し,化合物(26)(0.23g, 73%)を白色結晶として得た。1H NMR(500MHz, CDCl3) δ:-0.04(m, 9H), 0.10(s, 9H), 0.87(s, 9H), 0.94(s, 9H), 3.55(dd, 1H, J=5.2, 9.8Hz), 3.67(dd, 1H, J=6.9, 10.2Hz), 4.76(t, 1H, J=6.9Hz), 6.26(s, 2H), 7.46(d, 2H, J=8.6Hz), 7.57(d, 2H, J=8.6Hz), 7.76(s, 1H), 12.10(s, 1H)
【実施例6】
【0138】
【化16】
JP2017047594A1_000020t.gif
Schem 5
【配列表フリ-テキスト】
【0139】
配列番号1~18:合成オリゴヌクレオチド
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9