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明細書 :顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年7月26日(2018.7.26)
発明の名称または考案の名称 顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡
国際特許分類 G02B  21/00        (2006.01)
FI G02B 21/00
国際予備審査の請求
全頁数 32
出願番号 特願2017-539749 (P2017-539749)
国際出願番号 PCT/JP2016/072139
国際公開番号 WO2017/047243
国際出願日 平成28年7月28日(2016.7.28)
国際公開日 平成29年3月23日(2017.3.23)
優先権出願番号 2015184497
優先日 平成27年9月17日(2015.9.17)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】松崎 政紀
【氏名】寺田晋一郎
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】110000408、【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
審査請求 未請求
テーマコード 2H052
Fターム 2H052AC04
2H052AC05
2H052AD32
2H052AF14
2H052AF21
2H052AF25
要約 観察視野を高速に切り替え、大きな視野を観察可能な顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡を提供する。本発明の顕微鏡用光学モジュールは、顕微鏡の対物光束側に付加する顕微鏡用光学モジュールであって、光学素子を備える光軸シフト光学系と、前記顕微鏡の対物光束に対して前記光軸シフト光学系を位置決め設定する光軸シフト光学系支持手段と、前記光軸シフト光学系支持手段に配置され、前記対物光束の光軸に対して前記光軸シフト光学系を回転可能に支持する回動手段と、を備える。
特許請求の範囲 【請求項1】
顕微鏡の対物光束側に付加する顕微鏡用光学モジュールであって、
光学素子を備える光軸シフト光学系と、
前記顕微鏡の対物光束に対して前記光軸シフト光学系を位置決めする光軸シフト光学系支持手段と、
前記光軸シフト光学系支持手段に配置され、前記対物光束の光軸に対して前記光軸シフト光学系を回転可能に支持する回動手段と、を備えたことを特徴とする顕微鏡用光学モジュール。
【請求項2】
第1の開口部と第2の開口部と、前記第1の開口部と前記第2の開口部に配置された光学素子を備える光軸シフト光学系を備えたことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項3】
前記光軸シフト光学系の光学素子に光ファイバーを用いたことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項4】
前記光学素子は、略平行な対向反射面を備えたプリズム又は略平行な対向反射面を固定支持してなる中空反射素子であることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項5】
前記光学素子は、GRINレンズと、前記GRINレンズの両端に配置される略平行な対向反射面又はプリズムを備えることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項6】
前記光学素子は、三角プリズムであることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項7】
前記顕微鏡の対物光束の光軸に沿った平面上で前記光学素子に対する入射角を変更可能にした前記光軸シフト光学系支持手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項8】
前記中空反射素子での略平行な対向反射面の間に液体を充填可能にしたことを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項9】
前記光軸シフト光学系支持手段に前記回動手段を回転・停止させる駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項10】
請求項1に記載の顕微鏡用光学モジュールを配置したことを特徴とする顕微鏡。
【請求項11】
請求項10に記載の顕微鏡に配置した顕微鏡用光学モジュールに接続する制御システムであって、前記光軸シフト光学系の回転の初期位置と回転角度の設定を可能にしたことを特徴とする顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項12】
前記顕微鏡に備えられた撮影装置に対して、撮影開始を指示する撮影指示信号出力手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項13】
前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の回転駆動開始に先立って、前記顕微鏡に備えられた撮影装置に対して撮影終了を指示する撮影終了信号出力手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項14】
前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の回転駆動開始に先立って発信する信号の発信に応じて回転駆動を開始することを特徴とする請求項11に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項15】
前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の回転駆動は角速度及び位置制御で行うことを特徴とする請求項11に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項16】
顕微鏡の対物光束側に付加する顕微鏡用光学モジュールであって、
前記顕微鏡の対物光束に対して傾斜した面を有するプリズムを備える光軸シフト光学系と、
前記顕微鏡の対物光束に対して前記光軸シフト光学系を位置決めする光軸シフト光学系支持手段と、
前記光軸シフト光学系支持手段に配置され、前記対物光束の光軸に対して平行方向及び垂直方向に前記光軸シフト光学系を移動可能に支持する移動手段と、を備えたことを特徴とする顕微鏡用光学モジュール。
【請求項17】
第1の開口部と第2の開口部と、前記第1の開口部と前記第2の開口部に配置されたプリズムを備える光軸シフト光学系を備えたことを特徴とする請求項16に記載の顕微鏡用光学モジュール。
【請求項18】
請求項16に記載の顕微鏡用光学モジュールを配置したことを特徴とする顕微鏡。
【請求項19】
請求項18に記載の顕微鏡に配置した顕微鏡用光学モジュールに接続する制御システムであって、前記光軸シフト光学系の移動の初期位置と前記対物光束の光軸に対する平行方向及び垂直方向の位置設定を可能にしたことを特徴とする顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項20】
前記顕微鏡に備えられた撮影装置に対して、撮影開始を指示する撮影指示信号出力手段を備えたことを特徴とする請求項19に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項21】
前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の駆動開始に先立って、前記顕微鏡に備えられた撮影装置に対して撮影終了を指示する撮影終了信号出力手段を備えたことを特徴とする請求項19に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項22】
前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の駆動開始に先立って発信する信号の発信に応じて駆動を開始することを特徴とする請求項19に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項23】
請求項1に記載の顕微鏡用光学モジュールを備えたことを特徴とする多光子励起顕微鏡。
【請求項24】
請求項16に記載の顕微鏡用光学モジュールを備えたことを特徴とする多光子励起顕微鏡。
【請求項25】
前記顕微鏡が多光子励起顕微鏡であることを特徴とする請求項11に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
【請求項26】
前記顕微鏡が多光子励起顕微鏡であることを特徴とする請求項19に記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡に関する。特に観察視野を高速に切り替え、大きな視野を観察可能な顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡観察において広い観察視野を得るには、低倍率での観察、又は標本を走査しながら複数枚撮像して観察像を1つに合成する方法がある。しかし、高倍率での観察においては観察視野がさらに狭くなるため、広い観察視野を得るのは容易ではない。また、走査しながら撮像するには、一般にステージを水平方向に移動させるが、精度よく、高速にステージを移動させるのは困難であるため、瞬間的に生じる事象を広範囲にわたって、又は離れた2点以上について観察するのはこれまで困難であった。
【0003】
このような問題に対して、例えば特許文献1には、対物レンズの切り替えや移動を伴うことなく、且つ、ステージや標本の位置を変えることなく、観察視野を移動させる方法として、標本から観察像までの光路において、最も標本側に位置する第1対物レンズと、標本に共役な中間像を、第1対物レンズと共に形成する第2対物レンズとを備えた顕微鏡における、光学系であって、第1対物レンズと第2対物レンズとの間の光学系内に配置され、反射により光路の方向を変更する反射用ミラーを有し、反射用ミラーの反射面の延在方向が変わるように、反射用ミラーが回転可能である顕微鏡の光学系が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1は、接眼レンズと広視野を観察するための低倍率の対物レンズとの間に、低倍率光学系と高倍率光学系を備えた変倍率光学系を配置することにより、対物レンズと標本との位置関係を変化させずに、対物レンズにより観察可能な視野において、反射用回転ミラーで視野ブロックを切り替えながら高倍率光学系で観察技術である。したがって、特許文献1では、標本に対して位置決めされた対物レンズにより観察可能な視野が制限されるため、それより大きな観察視野を得ることはできない。
【0005】
また、特許文献1では、X軸方向及びY軸方向への視野ブロックの切り替えを反射用回転ミラーで行うため、回転軸が2つとなり、反射用回転ミラーの位置制御が難しい。このため、観察視野を連続して移動させる走査型の観察を行う場合、再現性よく繰り返しの観察を行うことは困難である。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2005-321657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題を解決するものであって、観察視野を高速に切り替え、大きな視野を観察可能な顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、顕微鏡の対物光束側に付加する顕微鏡用光学モジュールであって、光学素子を備える光軸シフト光学系と、前記顕微鏡の対物光束に対して前記光軸シフト光学系を位置決め設定する光軸シフト光学系支持手段と、前記光軸シフト光学系支持手段に配置され、前記対物光束の光軸に対して前記光軸シフト光学系を回転可能に支持する回動手段と、を備えた顕微鏡用光学モジュールが提供される。
【0009】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、第1の開口部と第2の開口部と、前記第1の開口部と前記第2の開口部に配置された光学素子を備える光軸シフト光学系を備えてもよい。
【0010】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、前記光軸シフト光学系の光学素子に光ファイバーを用いてもよい。
【0011】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、前記光学素子は、略平行な対向反射面を備えたプリズム又は略平行な対向反射面を固定支持してなる中空反射素子であってもよい。
【0012】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、前記光学素子は、GRINレンズと、前記GRINレンズの両端に配置される略平行な対向反射面又はプリズムを備えてもよい。
【0013】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、前記光学素子は、三角プリズムであってもよい。
【0014】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、前記顕微鏡対物光軸に沿った平面上で前記光学素子に対する入射角を変更可能にした前記光軸シフト光学系支持手段を備えてもよい。
【0015】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、前記中空反射素子での略平行な対向反射面の間に液体を充填可能にしてもよい。
【0016】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、前記光軸シフト光学系支持手段に前記回動手段を回転・停止させる駆動機構を備えてもよい。
【0017】
また、本発明の一実施形態によると、前記何れか一に記載の顕微鏡用光学モジュールを配置した顕微鏡が提供される。
【0018】
また、本発明の一実施形態によると、前記顕微鏡に配置した顕微鏡用光学モジュールに接続する制御システムであって、前記光軸シフト光学系の回転の初期位置と回転角度の設定を可能にした顕微鏡用光学モジュール制御装置が提供される。
【0019】
前記顕微鏡用光学モジュール制御装置において、前記顕微鏡に備えられた撮影装置に対して、撮影開始を指示する撮影指示信号出力手段を備えてもよい。
【0020】
前記顕微鏡用光学モジュール制御装置において、前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の回転駆動開始に先立って、前記顕微鏡に備えられた撮影装置に対して撮影終了を指示する撮影終了信号出力手段を備えてもよい。
【0021】
前記顕微鏡用光学モジュール制御装置において、前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の回転駆動開始に先立って発信する信号の発信に応じて回転駆動を開始してもよい。
【0022】
前記顕微鏡用光学モジュール制御装置において、前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の回転駆動は角速度及び位置制御で行ってもよい。
【0023】
また、本発明の一実施形態によると、顕微鏡の対物光束側に付加する顕微鏡用光学モジュールであって、前記顕微鏡の対物光束に対して傾斜した面を有するプリズムを備える光軸シフト光学系と、前記顕微鏡の対物光束に対して前記光軸シフト光学系を位置決めする光軸シフト光学系支持手段と、前記光軸シフト光学系支持手段に配置され、前記対物光束の光軸に対して平行方向及び垂直方向に前記光軸シフト光学系を移動可能に支持する移動手段と、を備えた顕微鏡用光学モジュールが提供される。
【0024】
前記顕微鏡用光学モジュールにおいて、第1の開口部と第2の開口部と、前記第1の開口部と前記第2の開口部に配置されたプリズムを備える光軸シフト光学系を備えてもよい。
【0025】
また、本発明の一実施形態によると、前記顕微鏡用光学モジュールを配置した顕微鏡が提供される。
【0026】
また、本発明の一実施形態によると、前記顕微鏡に配置した顕微鏡用光学モジュールに接続する制御システムであって、前記光軸シフト光学系の移動の初期位置と前記対物光束の光軸に対する平行方向及び垂直方向の位置設定を可能にした顕微鏡用光学モジュール制御装置が提供される。
【0027】
前記顕微鏡用光学モジュール制御装置において、前記顕微鏡に備えられた撮影装置に対して、撮影開始を指示する撮影指示信号出力手段を備えてもよい。
【0028】
前記顕微鏡用光学モジュール制御装置において、前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の駆動開始に先立って、前記顕微鏡に備えられた撮影装置に対して撮影終了を指示する撮影終了信号出力手段を備えてもよい。
【0029】
前記顕微鏡用光学モジュール制御装置において、前記顕微鏡用光学モジュールの駆動機構の駆動開始に先立って発信する信号の発信に応じて駆動を開始してもよい。
【0030】
また、本発明の一実施形態によると、前記何れかに記載の顕微鏡用光学モジュールを備えた多光子励起顕微鏡が提供される。
【0031】
前記何れかに記載の顕微鏡用光学モジュール制御装置において、前記顕微鏡が多光子励起顕微鏡であってもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、従来のような対物レンズの切り替えやステージの移動を伴わず、対物レンズの対物光束側に配置することで観察視野を高速に切り替え、大きな視野を観察可能な顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡を提供することができる。
【0033】
また、特許文献1のように、従来の顕微鏡では、顕微鏡自体の光学系を変更するため、新たな顕微鏡の購入が必要となる。しかし、本発明に係る顕微鏡用光学モジュール及び顕微鏡用光学モジュール制御装置を用いることにより、既存の顕微鏡を用いて観察視野を高速に切り替え、大きな視野を観察可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るに顕微鏡用光学モジュール100を配置した顕微鏡1000を示す模式図である。
【図2】図1における本発明の一実施形態に係る光軸シフト光学系130近傍を拡大した模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る連続撮影方法を説明する模式図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光学素子210の模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光学素子310の模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る光学素子の変形例を示す模式図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る光学素子610を備えた光軸シフト光学系630の模式図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る顕微鏡用光学モジュール700を配置した顕微鏡2000を示す模式図である。
【図9】図7における本発明の一実施形態に係る光軸シフト光学系730近傍を拡大した模式図である。
【図10】本発明の一実施例に係る顕微鏡用光学モジュール100の模式図である。
【図11】本発明の一実施例に係る観察したマウスの脳の領域を示し、(b)は(a)の観察視野bを示し、(c)は(a)の観察視野cを示す。
【図12】本発明の一実施例に係る顕微鏡用光学モジュール100の駆動制御したタイミングチャートを示す。
【図13】本発明の一実施例に係る観察したマウスの脳の観察視野a~dを示し、(a)~(d)は観察視野a~dをそれぞれ示す。
【図14】本発明の一実施例に係る顕微鏡用光学モジュール100の駆動制御したタイミングチャートを示す。
【図15】本発明の一実施例に係る顕微鏡用光学モジュール100の駆動制御したタイミングチャートを示す。
【図16】(a)は本発明の一実施例に係る光軸シフト光学系130を観察視野a~cに回転させる様子を示した模式図を示し、(b)はマウスの脳における観察視野a~cの位置を示す図であり、(c)は観察像I1~I3を広視野の1つの観察像に合成した図を示す。
【図17】本発明の一実施例に係る顕微鏡用光学モジュール100の駆動制御したタイミングチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に一実施形態に係る本発明の顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡について、図を参照して説明する。なお、以下の実施形態及び実施例は本発明の顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡の一例であり、本発明の顕微鏡用光学モジュール、顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡は以下の実施形態及び実施例に限定されるわけではない。

【0036】
本発明に係る顕微鏡用光学モジュールは、顕微鏡の対物レンズとステージの間に配置し、対物光束に対して光軸をシフトさせることを特徴とする。本発明に係る顕微鏡用光学モジュールは、対物レンズ側に配置され、光学素子を備える光軸シフト光学系を有する。本発明において光学素子は、対物光束に対して光軸をシフトさせる機能を有する。光学素子には幾つもの態様が存在するため、以下に具体的に説明するが、本発明に係る顕微鏡用光学モジュールは以下の実施形態に限定されるものではない。

【0037】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る顕微鏡用光学モジュール100を付加した顕微鏡1000を示す模式図である。図2は図1における、本発明の実施形態1に係る光軸シフト光学系130近傍を拡大した模式図である。なお、図2において、(a)は光軸シフト光学系130と対物レンズ1210、標本1330の断面図であり、(b)及び(c)は光軸シフト光学系130を第1の開口部131側から見た上面図である。

【0038】
顕微鏡用光学モジュール100は、顕微鏡1000の対物光束側に配置され、光学素子110を備える光軸シフト光学系130を備える。また、顕微鏡用光学モジュール100は、顕微鏡1000の対物光束に対して光軸シフト光学系130を位置決めする光軸シフト光学系支持手段150と、光軸シフト光学系支持手段150に配置され、対物光束の光軸に対して光軸シフト光学系130を回転可能に支持する回動手段170を備える。

【0039】
光軸シフト光学系130は、顕微鏡1000の対物光束側に配置する第1の開口部131と、標本1330側に配置する第2の開口部133を備える。光学素子110は、第1の開口部131と第2の開口部133との間に配置される。本明細書において、開口部は光学的開口部であり、第1の開口部131及び第2の開口部133が物理的に開口していることを必須の構成とするものではない。つまり、顕微鏡1000が用いる光が観察に影響しない程度に透過可能であれば、光透過性の部材が第1の開口部131及び/又は第2の開口部133に配置されてもよい。

【0040】
本実施形態において、光学素子110は略平行な対向反射面111及び113を備える。光学素子110は、例えば、略平行な対向反射面を備えたプリズム又は略平行な対向反射面を固定支持してなる中空反射素子である。一実施形態において、中空反射素子での略平行な対向反射面の間に液体を充填可能としてもよい。中空反射素子での略平行な対向反射面の間に液体を充填することにより、液浸法による観察が可能となり、対物レンズ1210と標本1330の間での空気による屈折率への影響を抑制することができる。

【0041】
図2(a)において、図1の顕微鏡用光学モジュール100を配置していない時は、対物光束の光軸Aと標本1330との交点近傍20が観察視野となる。一方、本発明に係る顕微鏡用光学モジュール100を用いることにより、対物光束に対して光軸A’へ距離dだけシフトさせ、光軸A’と標本1330との交点近傍21を観察することができる。すなわち、対物光束は、対向反射面111及び113の間で反射を繰り返し、第1の開口部131と第2の開口部133の間で距離dだけシフトする。

【0042】
本実施形態に係る顕微鏡用光学モジュール100を用いることにより、図2(b)に示したように、第1の開口部131から対物レンズ1210を介して、距離dだけシフトした第2の開口部133の下に位置する標本1330の観察視野を観察することができる。また、光軸シフト光学系130は、回動手段170により回転駆動することができる。回転前の第2の開口部133aに対して、回動手段170により光軸シフト光学系130を180°回転させることにより、第2の開口部133bの下に位置する標本1330の観察視野を観察することができる。このとき、回転前の第2の開口部133aと180°回転後の第2の開口部133bとは距離2d離れており、本実施形態において、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させることにより、距離2d離れた2点を順次観察することができる。

【0043】
回動手段170は、対物光束の光軸に対して光軸シフト光学系130を回転可能に支持する。また、光軸シフト光学系支持手段150には、回動手段170を回転・停止させる駆動機構175を備える。駆動機構175としては、モータを用いることができる。また、回動手段170として、例えば、ステッピングモータは、正確な位置決め制御が可能であるため好ましい。ただし、光軸シフト光学系130を回転可能で、正確な位置決め制御が可能であれば、回動手段170として他の公知の手段を用いてもよい。回動手段170として、ステッピングモータを用いた場合、例えば、数十ミリ秒で第2の開口部133aから第2の開口部133bへと観察視野を切り替えることが可能である。

【0044】
光軸シフト光学系支持手段150は、対物光束に対して第1の開口部131を位置決め設定すると共に、顕微鏡用光学モジュール100を顕微鏡1000のアーム1900に固定する。光軸シフト光学系支持手段150によるアーム1900への固定は、ネジやクリップ等の公知の固定手段を用いることができる。

【0045】
回転駆動による光軸シフト光学系130の制御は、顕微鏡用光学モジュール制御装置10を用いて行うことができる。顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、顕微鏡1000に配置した顕微鏡用光学モジュール100に接続する制御システムであり、光軸シフト光学系130の回転の初期位置と回転角度の設定を可能にする。顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、例えば、顕微鏡用光学モジュール制御プログラムを備えたコンピュータである。顕微鏡用光学モジュール制御装置10に、初期位置と回転角度を設定すると、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、駆動機構175を制御して、回動手段170を用いて、光軸シフト光学系130の第2の開口部133を初期位置に移動させ、その後、第2の開口部133を設定された回転角度に移動する。これにより、標本1330の2つの観察視野を順次観察することができる。なお、複数の回転角度を設定することにより、複数の観察視野を順次観察することもできる。また、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、第2の開口部133を設定された回転角度に移動した後に、第2の開口部133を初期位置に戻すように設定されてもよい。さらに、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、初期位置と設定された回転角度とで、設定された回数で第2の開口部133の移動を繰り返すようにしてもよい。

【0046】
また、顕微鏡用光学モジュール100の駆動機構175の回転駆動は、角速度及び位置制御で行ってもよい。顕微鏡用光学モジュール制御装置10に第2の開口部133を移動させる角速度と、第2の開口部133の位置を設定することにより、標本1330の2つ以上の観察視野を所定の時間間隔で観察することが可能になる。顕微鏡用光学モジュール制御装置10に、角速度と第2の開口部133の位置を設定すると、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、駆動機構175を制御して、回動手段170を用いて、光軸シフト光学系130の第2の開口部133を設定された角速度で、設定された位置に移動させる。これにより、第1の観察視野を観察後、所定の時間経過後の第2の観察視野を観察することで、2点間での位置的、経時的変化を観察することができる。また、駆動機構175を高速に回転駆動させることにより、ミリ秒単位で2つ以上の観察視野を観察することができ、それより遅い事象については、2つ以上の観察視野をほぼ同時に観察するに等しい効果を得ることができる。

【0047】
また、顕微鏡1000が撮影装置1700を備える場合、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、撮影装置に対して、撮影開始を指示する撮影指示信号出力手段を備えてもよい。顕微鏡用光学モジュール制御装置10が撮影指示信号出力手段を備えることにより、光軸シフト光学系130の第2の開口部133の移動と、撮影装置1700での撮影のタイミングを制御することができる。2つ以上の観察視野を所定の時間間隔で順次撮影することが可能であり、2つ以上の観察視野で発生した事象を連続的に撮影することができる。また、光軸シフト光学系130の第2の開口部133の移動速度よりも遅い事象については、2つ以上の観察視野をほぼ同時に撮影するに等しい効果を得ることができる。

【0048】
顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、顕微鏡用光学モジュール100の駆動機構175の回転駆動開始に先立って、顕微鏡1000に備えられた撮影装置に対して撮影終了を指示する撮影終了信号出力手段を備えてもよい。顕微鏡用光学モジュール制御装置10が撮影終了信号を出力することにより、撮影装置1700は撮影を終了し、その後、駆動機構175の回転駆動により光軸シフト光学系130を駆動する。これにより、駆動時の不要な撮影が行われず、必要な観察像のみを得ることができる。また、光軸シフト光学系130の回転の衝撃から、撮影装置1700を保護することもできる。

【0049】
また、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、顕微鏡用光学モジュール100の駆動機構175の回転駆動開始に先立って回転駆動開始信号を発信する。駆動機構175は、回転駆動開始信号に応じて回転駆動を開始する。例えば、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、撮影終了信号を出力して撮影装置1700に撮影を終了させた後に、回転駆動開始信号を発信して駆動機構175の回転駆動を開始させることができる。

【0050】
上述した顕微鏡用光学モジュール制御装置10による初期位置と回転角度、角速度、回転駆動開始信号、撮影指示信号及び撮影終了信号を組み合わせることにより、図3に示したような連続撮影が可能となる。図3は、本発明の一実施形態に係る連続撮影方法を説明する模式図である。連続撮影は、駆動機構175は第2の開口部133を第1の位置に移動させ、撮影装置1700は第1の観察視野を所定の時間撮影し、駆動機構175は第2の開口部133を第2の位置に移動させ、撮影装置1700は第2の観察視野を所定の時間撮影することにより実施することができる。より詳細には、撮影指示信号出力手段から出力される撮影指示信号により、駆動機構175は第2の開口部133を第1の位置に移動させ、撮影装置1700での撮影のタイミングを制御して、第1の観察視野を撮影する。また、撮影終了信号出力手段から出力される撮影終了信号により、撮影装置1700は第1の観察視野での撮影を終了する。続いて撮影指示信号出力手段から出力される撮影指示信号により、駆動機構175は第2の開口部133を第2の位置に移動させ、撮影装置1700での撮影のタイミングを制御して、第2の観察視野を撮影する。また、撮影終了信号出力手段から出力される撮影終了信号により、撮影装置1700は第2の観察視野での撮影を終了する。

【0051】
本実施形態において、顕微鏡用光学モジュール100は、対物光束の光軸Aを回転中心とした回転駆動により制御される。例えば、光軸シフト光学系130を第2の開口部を133aの位置から133bの位置まで回転させて、連続撮影した観察像を結合することにより、標本1330の2点を走査した観察像を得ることができる。ここで、光軸シフト光学系130を回転させて撮影すると、光軸シフト光学系130の回転と共に、観察像Iは、対物光束の光軸Aに垂直な平面におけるX軸方向及びY軸方向に対して平行に移動する。観察像を結合して得られる画像は、光軸Aを中心とする円周上を平行に移動した画像となる。しかし、得られた画像は局所的には直線状となるが、図3にXで示したような複数の観察像に渡るような大きな構造が存在する場合、その全体像を得ることもできる。

【0052】
1軸の回転軸を有する顕微鏡用光学モジュール100は、顕微鏡用光学モジュール制御装置10によりステッピングモータのような回動手段170を制御することにより、高速且つ高精度の位置制御が可能である。このため、観察視野を連続して移動させる走査型の観察を行う場合、再現性よく繰り返しの観察を行うことができる。また、そのような連続観察を高速に実現することができる従来にない優れた機構である。

【0053】
本発明に係る顕微鏡用光学モジュールは、既存の顕微鏡に配置して上述した観察を行うことができる。また、本発明に係る顕微鏡用光学モジュールを組み込んだ顕微鏡として提供することもできる。一実施形態において、顕微鏡1000は、対物レンズ1210、接眼レンズ1230、ステージ1310、光源1510、窓レンズ1530及びアーム1900を備える。光源1510から供給される光は窓レンズ1530からステージ1310上に配置された標本1330を透過して、対物レンズ1210から接眼レンズ1230へと導かれ、光が透過した標本1330の部分の観察像を提供する。または光源は顕微鏡とは独立に光ファイバーを通して標本1330へ照射し、その反射した光が対物レンズ1210から接眼レンズ1230へと導かれ、標本1330の部分の観察像を提供してもよい。本実施形態において、顕微鏡用光学モジュール100は、光軸シフト光学系支持手段150により、アーム1900に固定される。上述したように、顕微鏡1000に顕微鏡用光学モジュール100を配置することにより、対物光束に対して光軸をシフトさせ、これまでにない広範囲の観察視野と2点以上の観察視野での高速な観察視野の切り替えを可能とする。

【0054】
また、撮影装置1700を備えることにより、標本1330の撮影をすることもできる。さらに、顕微鏡1000が蛍光顕微鏡である場合、第2の光源1550により、対物レンズ1210を介して蛍光を励起する波長の光を標本1330に照射することができる。本実施形態においては、励起光も顕微鏡用光学モジュール100により、対物光束に対して光軸をシフトさせることができる。なお、図1では、正立型の顕微鏡を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、倒立顕微鏡に配置することもできる。

【0055】
また、一実施形態において、顕微鏡用光学モジュール100を備えた多光子励起顕微鏡を提供することができる。多光子励起顕微鏡とは、多光子励起過程を用いた顕微鏡であり、2光子以上の励起過程を用いる。このため、本明細書においては、多光子励起顕微鏡は、2光子励起顕微鏡でもよく、3光子励起顕微鏡でもよく、それ以上の光子を用いて励起する顕微鏡であってもよい。多光子励起顕微鏡は、標本1330の深部を励起して、その蛍光を観察することができる。多光子励起顕微鏡には低倍率高開口数の対物レンズはなく、広視野の観察は困難であった。また、標本の深部の蛍光を観察可能である特性から、バイオイメージングに好適に用いられるが、組織の離れた部位で発生する事象を連続的に、又は同時に観察することはできなかった。本発明に係る顕微鏡用光学モジュール100を配置することにより、既存の多光子励起顕微鏡を用いて、組織の離れた部位で発生する事象を連続的に、又はほぼ同時に観察することができる。

【0056】
また、上述した顕微鏡用光学モジュール制御装置を、顕微鏡用光学モジュール100を配置した多光子励起顕微鏡と組み合わせることにより、生体や組織の深部で発生した事象を離れた2点以上について、連続的に、又はほぼ同時に撮影することができる。

【0057】
ここで、顕微鏡用光学モジュールを顕微鏡対物光軸に沿って移動可能な態様について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る光学素子210の模式図である。本実施形態に係る光軸シフト光学系230は、光学素子210を回転させることにより、顕微鏡対物光軸に対して光学素子210に対する入射角を変更することができる。

【0058】
図4(a)において、光軸シフト光学系230に配置された光学素子210を顕微鏡対物光軸に沿った平面上で回転軸215を中心として回転させると、光学素子210に対する入射角が変更され、標本1330のAの位置から、標本1330のA’に位置に距離d1だけ観察視野を移動させることができる。このとき、標本1330のAにおける焦点距離に対して、標本1330のA’に位置での焦点距離は、距離f1だけシフトする。また、図4(b)において、光軸シフト光学系230に配置された光学素子210を顕微鏡対物光軸に沿った平面上で回転軸215を中心として逆方向に回転させると、光学素子210に対する入射角が変更され、標本1330のAの位置から、標本1330のA"に位置に距離d2だけ観察視野を移動させることができる。

【0059】
標本1330のAにおける焦点距離に対して、標本1330のA"に位置での焦点距離は、距離f2だけシフトする。図4(b)に示した距離f2は、距離f1より長く、即ち、図4(b)に示した例では、焦点距離が短くなる。したがって、本実施形態においては、光軸シフト光学系230に配置された光学素子210を顕微鏡対物光軸に沿った平面上で回転軸215を中心として回転させると、光学素子210に対する入射角が変更され、焦点距離を変更することができる。例えば、標本1330の観察面に凹凸があるような場合には、回転軸215を中心として光学素子210を回転させることにより、焦点距離を調節することができる。

【0060】
ここで、回転軸215を中心として光学素子210が回転可能な範囲は入射面の広さL x Lのプリズムに対しL/2の光線を入射した場合、反時計回りを正方向とすると-7.07°から+7.07°となる。

【0061】
光軸シフト光学系230は上述した光軸シフト光学系130の変形例であるため、上述した顕微鏡1000において顕微鏡用光学モジュール100に組み込み可能である。したがって、上述した実施形態で説明した顕微鏡用光学モジュール100を用いることによる作用及び効果を全て包含する。

【0062】
回転軸215を中心として回転角を制御することにより、顕微鏡対物光軸に対して、光学素子210への入射角を変更し、光軸Aからの観察視野の距離を変更して、標本1330を観察することができる。本実施形態において、光軸シフト光学系230は上述した回動手段170により回転駆動され、光軸Aから所望の距離にある観察視野を選択して、光軸Aを中心とする円周上の2点以上を順次観察することができる。

【0063】
図4においては、光学素子210を回転させることにより、顕微鏡対物光軸に対して光学素子210に対する入射角を変更する例について説明した。図5に、第2の対向反射面313のみを回転させる例について説明する。

【0064】
図5(a)において、光軸シフト光学系330に配置された光学素子310の第2の対向反射面313を顕微鏡対物光軸に沿った平面上で回転軸315を中心として回転させると、第1の対向反射面311により反射した光に対する入射角が変更され、標本1330のAの位置から、標本1330のA’に位置に距離d1だけ観察視野を移動させることができる。また、図5(b)において、第2の対向反射面313を顕微鏡対物光軸に沿った平面上で回転軸315を中心として逆方向に回転させると、第1の対向反射面311により反射した光に対する入射角が変更され、標本1330のAの位置から、標本1330のA"の位置に距離d2だけ観察視野を移動させることができる。

【0065】
図5(b)に示したように、本実施形態においては、第2の対向反射面313の傾きに応じて光軸が傾く。このため、標本1330の観察面が光軸に対し斜めとなっている場合でも観察も可能となる。このとき、第2の対向反射面313がθ回転した場合、標本1330の撮像面は2θだけ傾くことになる。

【0066】
ここで、回転軸315を中心として第2の対向反射面313が回転可能な範囲は、入射面の広さL x Lのプリズムに対しL/2の光線を入射した場合、反時計回りを正方向とすると-24.29°から12.15°である。

【0067】
光軸シフト光学系330は上述した光軸シフト光学系130の変形例であるため、上述した顕微鏡1000において顕微鏡用光学モジュール100に組み込み可能である。したがって、上述した実施形態で説明した顕微鏡用光学モジュール100を用いることによる作用及び効果を全て包含する。

【0068】
次に、実施形態1の変形例として、光学素子の別の態様を説明する。図6(a)は光学素子として光ファイバー410を用いた例を示す。光軸シフト光学系430は、第1の開口部431と第2の開口部433との間に配置された光ファイバー410を備える。第1の開口部431と第2の開口部433の間において、対物光束は、光ファイバー410コアの内部を伝搬し、顕微鏡用光学モジュールを配置していない時の対物光束の光軸Aから光軸A’へ距離dだけシフトする。図6(a)においては、光ファイバー410を光軸シフト光学系430に直線状に配置した例を示したが、これに限定されるものではない。光ファイバーは可撓性を有するため、光軸シフト光学系430に曲線状に配置することも可能である。なお、光軸シフト光学系430は、上述した光軸シフト光学系130の変形例であるため、上述した顕微鏡1000において顕微鏡用光学モジュール100に組み込み可能である。したがって、上述した実施形態で説明した顕微鏡用光学モジュール100と同等の作用及び効果を全て包含する。

【0069】
図6(b)は光学素子として三角プリズム510を用いた例を示す。光軸シフト光学系530は、第1の開口部531と第2の開口部533との間に配置された三角プリズム510を備える。第1の開口部531と第2の開口部533の間において、対物光束は、三角プリズム510の内部で反射を繰り返して、顕微鏡用光学モジュールを配置していない時の対物光束の光軸Aから光軸A’へ距離dだけシフトする。なお、光軸シフト光学系530は、上述した光軸シフト光学系130の変形例であるため、上述した顕微鏡1000において顕微鏡用光学モジュール100に組み込み可能である。したがって、上述した実施形態で説明した顕微鏡用光学モジュール100と同等の作用及び効果を全て包含する。

【0070】
また、光軸シフト光学系530は、上述した顕微鏡用光学モジュール100の光軸シフト光学系130の変形例でもある。光軸シフト光学系支持手段150の移動機構151を用いることにより、光軸シフト光学系530は、顕微鏡対物光軸に沿った平面上で三角プリズム510に対する入射角を変更することができる。これにより、光軸Aからの観察視野の距離を変更して、標本1330を観察することができる。本実施形態において、光軸シフト光学系530は回動手段170により回転駆動され、光軸Aから所望の距離にある観察視野を選択して、光軸Aを中心とする円周上の2点以上を順次観察することができる。

【0071】
光学素子の変形例として、光学素子110で説明した対向反射面とGRINレンズを組合せた光学素子について説明する。図7は、光学素子610を備えた光軸シフト光学系630の模式図である。光学素子610は、GRINレンズ621と、GRINレンズ621の両端に配置される略平行な対向反射面611及び613を備える。なお、GRINレンズ621の両端に配置される略平行な対向反射面611及び613は、プリズムで置換してもよい。

【0072】
図7(a)において、標本1330から入射した光は、第2の開口部633により反射し、GRINレンズ621を透過する。GRINレンズ621を透過した光は第1の開口部631により反射し、対物レンズ1210に入射する。この作用により、対物光束に対して光軸A’へ距離dだけシフトさせ、光軸A’と標本1330との交点近傍を観察することができる。

【0073】
なお、光学素子610において、GRINレンズと略平行な対向反射面又はプリズムを複数組み合わせることにより、距離dを大きくすることもできる。図7(b)は、2つのGRINレンズ621a及び621bと、略平行な対向反射面611及び613を備える光学素子610aを有する光軸シフト光学系630aの模式図である。光学素子610aは、光学素子610に対して、顕微鏡対物光軸に沿って対物光束をシフトさせることができる。

【0074】
また、図7(c)は、4つのGRINレンズ621a~621dと、二組の略平行な対向反射面611a及び613aと611b及び613bを備える光学素子610bを有する光軸シフト光学系630bの模式図である。光学素子610は、第1の光軸シフト光学部635と第2の光軸シフト光学部637を備え、それぞれ独立して回転可能である。第1の光軸シフト光学部635は対向反射面611a及び613aと2つのGRINレンズ621a及び621bを備え、光軸Aを回転中心として回転する。また、第2の光軸シフト光学部637は対向反射面611b及び613bと2つのGRINレンズ621c及び621dを備え、光軸Bを回転中心として回転する。ここで、光軸Bは、光軸Aが第1の光軸シフト光学部635によりシフトした光軸である。

【0075】
光軸シフト光学系630bにおいて、光軸Aは、対向反射面611aからGRINレンズ621a、対向反射面613a及びGRINレンズ621bにより順次導かれ、光軸Bへシフトする。光軸Bは、対向反射面611bからGRINレンズ621c、対向反射面613b及びGRINレンズ621dにより順次導かれ、光軸A’へシフトする。光軸シフト光学系630bにおいては、第1の光軸シフト光学部635と第2の光軸シフト光学部637からなる2つの回転機構を与えることでXY平面上の2自由度で光軸をシフト可能である。

【0076】
このように、光学素子610において、GRINレンズと略平行な対向反射面又はプリズムを複数組み合わせることにより、距離dを任意に変更可能である。

【0077】
なお、光軸シフト光学系630は、上述した光軸シフト光学系130の変形例であるため、上述した顕微鏡1000において顕微鏡用光学モジュール100に組み込み可能である。したがって、上述した実施形態で説明した顕微鏡用光学モジュール100と同等の作用及び効果を全て包含する。

【0078】
以上説明したように、本発明に係る顕微鏡用光学モジュールは、観察視野を高速に切り替え、大きな視野を観察可能である。また、本発明に係る顕微鏡用光学モジュールを用いることにより、観察視野を高速に切り替え、大きな視野を観察可能な顕微鏡、顕微鏡用光学モジュール制御装置及び多光子励起顕微鏡を提供することができる。

【0079】
(実施形態2)
上述した実施形態1では光軸シフト光学系を回転駆動することにより、観察視野を切り替える態様について説明した。本実施形態においては、プリズムを用いて、対物光束の光軸に対して水平方向にプリズムを移動することにより観察視野を切り替える態様について説明する。

【0080】
図8は、本発明の実施形態2に係る顕微鏡用光学モジュール700を配置した顕微鏡2000を示す模式図である。図9は図8における、本発明の実施形態2に係る光軸シフト光学系730近傍を拡大した模式図である。光軸シフト光学系730は、プリズム710を備える。プリズム710は、顕微鏡の対物光束に対して傾斜した面を有する。プリズム710は、第1の開口部731と第2の開口部733との間に配置される。

【0081】
また、顕微鏡用光学モジュール700は、顕微鏡1000の対物光束に対して第1の開口部731を位置決めする光軸シフト光学系支持手段750と、光軸シフト光学系支持手段750に配置され、対物光束の光軸に対して平行方向及び垂直方向に光軸シフト光学系730を移動可能に支持する移動手段770を備える。

【0082】
図9(a)において、顕微鏡用光学モジュール100を配置していない時は、対物光束の光軸Aと標本1330との交点近傍が観察視野となる。一方、本発明に係る顕微鏡用光学モジュール700を用いることにより、対物光束に対して光軸A’へ距離dだけシフトさせ、光軸A’と標本1330との交点近傍を観察することができる。すなわち、対物光束はプリズム710の内部で反射を繰り返し、第1の開口部731と第2の開口部733の間で距離dだけシフトする。

【0083】
移動手段770は、対物光束の光軸に対して平行方向及び垂直方向に光軸シフト光学系730を移動可能に支持する。また、光軸シフト光学系支持手段750には、移動手段770を移動・停止させる駆動機構775を備える。駆動機構775としては、モータを用いることができる。また、移動手段770として、例えば、電動シリンダは、正確な位置決め制御が可能であるため好ましい。ただし、光軸シフト光学系730を移動可能で、正確な位置決め制御が可能であれば、移動手段770として他の公知の手段を用いてもよい。移動手段770として、電動シリンダを用いた場合、光軸シフト光学系730を水平方向に前進及び後退させることにより、光軸A’の観察視野から光軸A"の観察視野へ第2の開口部733へと切り替えることが可能である。

【0084】
光軸シフト光学系支持手段750は、対物光束に対して第1の開口部731を位置決め設定すると共に、顕微鏡用光学モジュール100を顕微鏡1000のアーム1900に固定する。光軸シフト光学系支持手段750は、移動機構751を備え、光軸シフト光学系730を顕微鏡対物光軸に沿って移動させることができる。移動機構751はステージ1310の対物光軸に沿った方向への移動手段と同様に公知の技術を用いることができ、例えば、高さ調整可能な摘みを含む。移動機構751を用いることにより、光軸シフト光学系730は、顕微鏡対物光軸に沿った平面上でプリズム710に対する入射角を変更することができる。

【0085】
駆動機構775及び移動機構751による光軸シフト光学系130の制御は、顕微鏡用光学モジュール制御装置10を用いて行うことができる。顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、顕微鏡2000に配置した顕微鏡用光学モジュール700に接続する制御システムであり、光軸シフト光学系730の移動の初期位置と対物光束の光軸に対する平行方向及び垂直方向の位置設定を可能にする。顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、例えば、顕微鏡用光学モジュール制御プログラムを備えたコンピュータである。顕微鏡用光学モジュール制御装置10に、初期位置と対物光束の光軸に対する平行方向及び垂直方向の位置を設定すると、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、駆動機構775を制御して、移動手段770を用いて、光軸シフト光学系730の第2の開口部733を初期位置に移動させ、その後、第2の開口部733を設定された対物光束の光軸に対する平行方向の位置に移動する。これにより、標本1330の2つの観察視野を順次観察することができる。なお、複数の位置を設定することにより、複数の観察視野を順次観察することもできる。また、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、第2の開口部733を設定された位置に移動した後に、第2の開口部733を初期位置に戻すように設定されてもよい。さらに、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、初期位置と設定された対物光束の光軸に対する平行方向の位置とで、設定されて回数で第2の開口部733の移動を繰り返すようにしてもよい。

【0086】
また、顕微鏡2000が撮影装置1700を備える場合、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、撮影装置に対して、撮影開始を指示する撮影指示信号出力手段を備えてもよい。顕微鏡用光学モジュール制御装置10が撮影指示信号出力手段を備えることにより、光軸シフト光学系730の第2の開口部733の移動と、撮影装置1700での撮影のタイミングを制御することができる。2つ以上の観察視野を所定の時間間隔で順次撮影することが可能であり、2つ以上の観察視野で発生した事象を連続的に撮影することができる。また、光軸シフト光学系730の第2の開口部733の移動速度よりも遅い事象については、2つ以上の観察視野をほぼ同時に撮影するに等しい効果を得ることができる。

【0087】
顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、顕微鏡用光学モジュール700の駆動機構775の駆動開始に先立って、顕微鏡2000に備えられた撮影装置に対して撮影終了を指示する撮影終了信号出力手段を備えてもよい。顕微鏡用光学モジュール制御装置10が撮影終了信号を出力することにより、撮影装置1700は撮影を終了し、その後、駆動機構775の駆動により光軸シフト光学系730を駆動する。これにより、駆動時の不要な撮影が行われず、必要な観察像のみを得ることができる。また、光軸シフト光学系730の移動の衝撃から、撮影装置1700を保護することもできる。

【0088】
また、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、顕微鏡用光学モジュール700の駆動機構775の回転駆動開始に先立って駆動開始信号を発信する。駆動機構775は、駆動開始信号に応じて駆動を開始する。例えば、顕微鏡用光学モジュール制御装置10は、撮影終了信号を出力して撮影装置1700に撮影を終了させた後に、駆動開始信号を発信して駆動機構775の駆動を開始させることができる。

【0089】
上述した顕微鏡用光学モジュール制御装置10による初期位置と対物光束の光軸に対する平行方向の位置、回転駆動開始信号、撮影指示信号及び撮影終了信号を組み合わせることにより、連続撮影が可能となる。連続撮影した観察像を結合することにより、標本1330の2点間を走査した観察像を得ることができる。

【0090】
本発明に係る顕微鏡用光学モジュールは、既存の顕微鏡に配置して上述した観察を行うことができる。また、本発明に係る顕微鏡用光学モジュールを組み込んだ顕微鏡として提供することもできる。一実施形態において、顕微鏡2000は、対物レンズ1210、接眼レンズ1230、ステージ1310、光源1510、窓レンズ1530及びアーム1900を備える。光源1510から供給される光は窓レンズ1530からステージ1310上に配置された標本1330を透過して、対物レンズ1210から接眼レンズ1230へと導かれ、光が透過した標本1330の部分の観察像を提供する。本実施形態において、顕微鏡用光学モジュール700は、光軸シフト光学系支持手段750により、アーム1900に固定される。上述したように、顕微鏡2000に顕微鏡用光学モジュール700を配置することにより、対物光束に対して光軸をシフトさせ、これまでにない広範囲の観察視野と2点以上の観察視野での高速な観察視野の切り替えを可能とする。

【0091】
また、撮影装置1700を備えることにより、標本1330の撮影をすることもできる。さらに、顕微鏡2000が蛍光顕微鏡である場合、第2の光源1550により、対物レンズ1210を介して蛍光を励起する波長の光を標本1330に照射することができる。本実施形態においては、励起光も顕微鏡用光学モジュール700により、対物光束に対して光軸をシフトさせることができる。なお、図8では、正立型の顕微鏡を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、倒立顕微鏡に配置することもできる。

【0092】
また、一実施形態において、顕微鏡用光学モジュール700を備えた多光子励起顕微鏡を提供することができる。多光子励起顕微鏡は、標本1330の深部における蛍光を励起して、その蛍光を観察することができる。多光子励起顕微鏡には高開口数の対物レンズはなく、広視野の観察は困難であった。また、標本の深部の蛍光を観察可能である特性から、バイオイメージングに好適に用いられるが、組織の離れた部位で発生する事象を連続的に、又は同時に観察することはできなかった。本発明に係る顕微鏡用光学モジュール700を配置することにより、既存の多光子励起顕微鏡を用いて、組織の離れた部位で発生する事象を連続的に観察することができる。

【0093】
また、上述した顕微鏡用光学モジュール制御装置を、顕微鏡用光学モジュール700を配置した多光子励起顕微鏡と組み合わせることにより、生体や組織の深部で発生した事象を離れた2点以上について、連続的に撮影することができる。
【実施例】
【0094】
上述した実施形態1の顕微鏡用光学モジュール100を作製し、観察を行った。図10は、本実施例に係る顕微鏡用光学モジュール100の模式図である。顕微鏡用光学モジュール100は、光軸シフト光学系130と、光軸シフト光学系支持手段150と、回動手段170を備える。回動手段170は、駆動機構175としてモータを備えたステッピングモータである。光軸シフト光学系130の第1の開口部側には、対物レンズ1210を接続した。駆動機構175による回転駆動は、駆動機構175に接続したギア171からギア172を介して、光軸シフト光学系130に接続したギア173に伝達される。なお、対物レンズ1210はピエゾ1211に接続し、光軸方向(Z軸方向)への移動が可能である。
【実施例】
【0095】
本実施例においては、略平行な対向反射面を固定支持してなる中空反射素子を光学素子110として用いた。光学素子110は、高さ2mm、傾斜45°の反射面を対向して配置し、対物光束の光軸に対して、対物光束を2mmシフトさせた。本実施例の顕微鏡用光学モジュール100は、光軸シフト光学系130を60°回転させるのに要する時間が43ミリ秒と、従来にない高速な視野の切り替えを達成することができた。
【実施例】
【0096】
本実施例に係る顕微鏡用光学モジュール100は、光学顕微鏡に配置することができる。例えば、図1に示したような正立型の光学顕微鏡に配置することができる。また、本実施例に係る顕微鏡用光学モジュール100は、倒立顕微鏡に配置することもできる。顕微鏡用光学モジュール100は、対物レンズ1210に光軸シフト光学系130を位置決め支持可能であれば、正立型の光学顕微鏡、倒立顕微鏡に関わらず配置することができる。また、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡等にも配置可能である。
【実施例】
【0097】
一例として、顕微鏡用光学モジュール100を多光子励起顕微鏡(製造元:オリンパス株式会社、機種:FVMPE-RS)に配置して、マウスの脳を観察した。本実施例においては、多光子励起顕微鏡として、2光子励起顕微鏡を用いたが、3光子以上で励起する顕微鏡を用いることも可能である。
【実施例】
【0098】
図11(a)は、観察したマウスの脳の領域を示す。図11(b)は図11(a)の観察視野bを示し、図11(c)は図11(a)の観察視野cを示す。また、図12は、顕微鏡用光学モジュール100の駆動制御したタイミングチャートを示す。本実施例においては、多光子励起顕微鏡の光学系が備えるピエゾ1211を駆動して、Z軸方向のピント合わせを観察視野毎に設定して撮影を行った。
【実施例】
【0099】
図12のタイミングチャートにおいて、期間(b)は図11の観察視野bを観察した期間を示し、期間(c)は図11の観察視野cを観察した期間を示す。回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野bに移動させた。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野bの観察像を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野bでの撮影を終了した。回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野cに移動させた。このとき、ピエゾ1211を駆動し、対物レンズ1210のZ軸をマウスの脳側(下方)に移動し、観察視野cにピントを合わせた。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野cの観察像を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野cでの撮影を終了した。次に、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野bに移動させた。このとき、ピエゾ1211を駆動し、対物レンズ1210のZ軸を元の位置(上方)に移動し、観察視野bにピントを合わせた。このような制御を繰り返し、観察視野b及び観察視野cを撮影した。
【実施例】
【0100】
本実施例において、1.8mm離れた2つの観察視野について、5.6フレーム/秒の高速な撮影を実現可能であることが示された。
【実施例】
【0101】
[撮影深度の制御]
顕微鏡用光学モジュール100を多光子励起顕微鏡(製造元:オリンパス株式会社、機種:FVMPE-RS)に配置して、マウスの脳の2つの視野について、それぞれ2つの深度の領域を観察した。本実施例においては、多光子励起顕微鏡として、2光子励起顕微鏡を用いたが、3光子以上で励起する顕微鏡を用いることも可能である。
【実施例】
【0102】
図13(a)~(d)は、マウスの脳の観察視野a~dをそれぞれ示す。図13(a)の観察視野aと図13(b)の観察視野bは、マウスの脳の第1の領域の異なる深度の観察視野を示し、観察視野bは観察視野aより深度が深い領域である。また、図13(c)の観察視野cと図13(d)の観察視野dは、マウスの脳の第2の領域の異なる深度の観察視野を示し、観察視野dは観察視野cより深度が深い領域である。
【実施例】
【0103】
また、図14は、顕微鏡用光学モジュール100の駆動制御したタイミングチャートを示す。本実施例においては、多光子励起顕微鏡の光学系が備えるピエゾ1211を駆動して、観察視野毎にZ軸方向の深度を制御して撮影を行った。図14のタイミングチャートにおいて、期間(a)は図13(a)の観察視野aを観察した期間を示し、期間(b)は図13(b)の観察視野bを観察した期間を示す。また、期間(c)は図13(c)の観察視野cを観察した期間を示し、期間(d)は図13(d)の観察視野dを観察した期間を示す。
【実施例】
【0104】
回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野aに移動させた。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野aの観察像を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野aでの撮影を終了した。その後、ピエゾ1211を駆動し、対物レンズ1210のZ軸をマウスの脳側(下方)に移動し、深度が深い領域である観察視野bにピントを合わせた。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野bの観察像を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野bでの撮影を終了した。
【実施例】
【0105】
次に、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野cに移動させた。このとき、ピエゾ1211を駆動し、対物レンズ1210のZ軸を元の位置(上方)に移動した。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野cの観察像を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野cでの撮影を終了した。その後、ピエゾ1211を駆動し、対物レンズ1210のZ軸をマウスの脳側(下方)に移動し、深度が深い領域である観察視野dにピントを合わせた。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野dの観察像を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野dでの撮影を終了した。
【実施例】
【0106】
次に、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野aに移動させた。このとき、ピエゾ1211を駆動し、対物レンズ1210のZ軸を元の位置(上方)に移動した。このような制御を繰り返し、観察視野a~dを撮影した。
【実施例】
【0107】
本実施例において、1.8mm離れた2つの観察視野について、2つの深度の領域を高速に撮影可能であることが示された。
【実施例】
【0108】
[撮影倍率の制御]
顕微鏡用光学モジュール100を多光子励起顕微鏡に配置して、マウスの脳の2つの視野について、撮影倍率を変更して観察することも可能である。また、多光子励起顕微鏡は2光子励起顕微鏡に限定されず、3光子以上で励起する顕微鏡を用いることも可能である。
【実施例】
【0109】
図15は、一例として、顕微鏡用光学モジュール100を駆動制御するためのタイミングチャートを示す。撮影倍率の変更は、例えば、多光子励起顕微鏡のデジタルズーム機構を使用して実施することが可能であり、観察視野毎に倍率を変更して撮影することも可能である。
【実施例】
【0110】
具体的な撮影倍率の制御方法としては、例えば、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野aに移動させる。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野aの観察像を撮影する。このとき、多光子励起顕微鏡のデジタルズーム機構を使用し、高倍率での撮影を行うことができる。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野aでの撮影を終了する。次に、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野bに移動させる。図15には、デジタルズーム機構を使用し、撮影倍率を元の倍率に戻す例を示す。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野bの観察像を撮影する。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野bでの撮影を終了する。
【実施例】
【0111】
次に、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野aに移動させる。図15には、多光子励起顕微鏡のデジタルズーム機構を使用し、撮影倍率を高倍率にする例を示す。このような制御を繰り返し、観察視野a及びbを撮影することができる。
【実施例】
【0112】
このような方法により、離れた2つの観察視野について、観察視野毎に倍率を変更して高速に撮影可能である。
【実施例】
【0113】
[広視野の撮影]
顕微鏡用光学モジュール100を多光子励起顕微鏡(製造元:オリンパス株式会社、機種:FVMPE-RS)に配置して、マウスの脳の隣接する3つの視野を撮影し、広視野の1つの観察像を得た。本実施例においては、多光子励起顕微鏡として、2光子励起顕微鏡を用いたが、3光子以上で励起する顕微鏡を用いることも可能である。
【実施例】
【0114】
図16(a)は、マウスの脳の観察像I1~I3を得るために、光軸シフト光学系130を観察視野a~cに回転させる様子を示した模式図である。図16(b)は、マウスの脳における観察視野a~cの位置を示す図である。図16(c)は、観察像I1~I3を、広視野の1つの観察像に合成した図である。また、図17は、顕微鏡用光学モジュール100の駆動制御したタイミングチャートを示す。
【実施例】
【0115】
回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野aに移動させた。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野aの観察像I1を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野aでの撮影を終了した。次に、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野bに移動させた。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野bの観察像I2を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野bでの撮影を終了した。次に、回動手段170により光軸シフト光学系130を回転させ、第2の開口部を観察視野cに移動させた。撮影指示信号を撮影装置に出力し、観察視野cの観察像I3を撮影した。撮影終了信号を撮影装置に出力し、観察視野cでの撮影を終了した。このような制御を繰り返し、観察視野a~cを撮影した。
【実施例】
【0116】
観察像I1~I3を合成し、広視野の1つの観察像を得た。本実施例において、顕微鏡用光学モジュール100は、対物光束の光軸Aを回転中心とした回転駆動により制御した。光軸シフト光学系130を第2の開口部を観察視野a~cまで回転させて、連続撮影した観察像を結合することにより、広視野の1つの観察像に合成可能であることが示された。
【符号の説明】
【0117】
10:顕微鏡用光学モジュール制御装置、20:交点近傍、21:交点近傍、100:顕微鏡用光学モジュール、110:光学素子、111:対向反射面、113:対向反射面、130:光軸シフト光学系、131:第1の開口部、133:第2の開口部、133a:第2の開口部、133b:第2の開口部、150:光軸シフト光学系支持手段、170:回動手段、175:駆動機構、210:光学素子、211:対向反射面、213:対向反射面、215:回転軸、230:光軸シフト光学系、231:第1の開口部、233:第2の開口部、310:光学素子、311:第1の対向反射面、313:第2の対向反射面、315:回転軸、330:光軸シフト光学系、331:第1の開口部、333:第2の開口部、410:光ファイバー、430:光軸シフト光学系、431:第1の開口部、433:第2の開口部、510:三角プリズム、530:光軸シフト光学系、531:第1の開口部、533:第2の開口部、610:光学素子、611:対向反射面、613:対向反射面、621:GRINレンズ、630:光軸シフト光学系、631:第1の開口部、633:第2の開口部、635:第1の光軸シフト光学部、637:第2の光軸シフト光学部、700:顕微鏡用光学モジュール、730:光軸シフト光学系、731:第1の開口部、733:第2の開口部、750:光軸シフト光学系支持手段、751:移動機構、770:移動手段、775:駆動機構、1000:顕微鏡、1210:対物レンズ、1211:ピエゾ、1230:接眼レンズ、1310:ステージ、1330:標本、1510:光源、1530:窓レンズ、1700:撮影装置、1900:アーム、2000:顕微鏡
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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【図14】
13
【図15】
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【図16】
15
【図17】
16