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明細書 :脳情報解析装置及び脳情報模倣演算装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-134211 (P2018-134211A)
公開日 平成30年8月30日(2018.8.30)
発明の名称または考案の名称 脳情報解析装置及び脳情報模倣演算装置
国際特許分類 A61B   5/055       (2006.01)
FI A61B 5/05 380
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2017-030394 (P2017-030394)
出願日 平成29年2月21日(2017.2.21)
発明者または考案者 【氏名】山川 義徳
【氏名】岡 宏樹
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】110000925、【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C096
Fターム 4C096AA17
4C096AA20
4C096DC24
要約 【課題】脳解析情報を扱い易い値に変換した上で、脳の健康によいこと、あるいはよくないことを客観的且つ統計的に推定し、被験者に脳の健康の指標として使用することができる、脳情報解析装置及び脳情報模倣演算装置を提供する。
【解決手段】脳情報模倣演算装置は、この脳変化模倣特徴量を用いることで、健康の指標となるGM-BHQ及びFA-BHQの差分を推定する他、任意の人に対して何をすればBHQがよくなるのか、すなわち脳の健康が向上するのかを客観的且つ明確に推定することができる。
【選択図】図7
特許請求の範囲 【請求項1】
被験者の脳画像データから複数の灰白質量データを得る灰白質量算出部と、
前記被験者の前記脳画像データから複数の神経線維異方性データを得る神経線維異方性算出部と、
複数の前記灰白質量データの平均値を算出した値であるGM-BHQと、複数の前記神経線維異方性データの平均値を算出した値であるFA-BHQを出力する平均値演算部と、
被験者を一意に識別する被験者IDと、前記GM-BHQと前記FA-BHQを紐付けて登録するBHQテーブルと、
前記被験者IDと前記被験者の健康診断結果と前記被験者の生活環境アンケート結果を紐付けて登録する健康診断テーブルと、
前記BHQテーブルと前記健康診断テーブルを、前記被験者IDにて紐付けた上で多変量解析を行い、前記GM-BHQ及び前記FA-BHQを推定するための第一の特徴量を出力する第一の多変量解析処理部と、
前記被験者の、所定期間を経過する前の前記GM-BHQ及び前記FA-BHQと、所定期間を経過した後の前記GM-BHQ及び前記FA-BHQとの差分を、前記被験者IDで紐付けて登録するBHQ差分テーブルと、
前記被験者の、所定期間を経過する前の前記生活環境アンケート結果と、所定期間を経過した後の前記生活環境アンケート結果との差分を、前記被験者IDで紐付けて登録する介入要素テーブルと、
前記BHQ差分テーブルと前記介入要素テーブルと前記健康診断テーブルを、前記被験者IDにて紐付けた上で多変量解析を行い、前記GM-BHQ及び前記FA-BHQの変動及び前記介入要素を推定するための第二の特徴量である脳変化模倣特徴量を出力する第二の多変量解析処理部と
を具備する、脳情報解析装置。
【請求項2】
前記第一の多変量解析処理部は、前記健康診断テーブルに登録された前記健康診断結果及び前記生活環境アンケート結果を説明変数とし、前記BHQテーブルに登録された前記GM-BHQ及び前記FA-BHQを目的変数として、単一の目的変数に対する多変量解析を実施するものである、請求項1に記載の脳情報解析装置。
【請求項3】
前記第一の多変量解析処理部は、重回帰分析を実施するものであり、
前記第一の特徴量は重回帰式係数である、
請求項2に記載の脳情報解析装置。
【請求項4】
脳情報解析装置が出力した第一の特徴量を用いて、任意の被験者の健康診断結果に対して第一の多変量解析に基づく推定を行い、被験者の脳画像データから得られる複数の灰白質量データの平均値を算出した値であるGM-BHQの推定値であるGM-BHQ推定値と、前記脳画像データから得られる複数の神経線維異方性データの平均値を算出した値であるFA-BHQの推定値であるFA-BHQ推定値を出力する、第一の多変量推定処理部と、
前記脳情報解析装置が出力した第二の特徴量である脳変化模倣特徴量を用いて、前記被験者の前記健康診断結果と、前記被験者の、所定期間を経過する前の生活環境アンケート結果と所定期間を経過した後の前記生活環境アンケート結果との差分に対して第二の多変量解析に基づく推定を行い、前記被験者の、前記GM-BHQの変動推定値及び前記FA-BHQの変動推定値を出力する、第二の多変量推定処理部と
を具備する、脳情報模倣演算装置。
【請求項5】
前記第二の多変量推定処理部は、前記脳情報解析装置が出力した第二の特徴量である脳変化模倣特徴量を用いて、前記被験者の前記健康診断結果と、前記GM-BHQの変動値及び前記FA-BHQの変動値または前記GM-BHQの変動推定値及び前記FA-BHQの変動推定値に対して第二の多変量解析に基づく推定を行い、前記被験者の、前記GM-BHQ及び前記FA-BHQが変動する要因である推定介入要素を出力するものである、
請求項4に記載の、脳情報模倣演算装置。
【請求項6】
前記第一の多変量推定処理部は、重回帰式を演算するものであり、
前記第二の多変量推定処理部は、説明変数が多数で、目的変数も多数の値を扱う学習アルゴリズムに基づく演算を実行するものである、
請求項5に記載の、脳情報模倣演算装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、脳情報解析装置及び脳情報模倣演算装置に関する。
より詳細には、MRI(magnetic resonance imaging:核磁気共鳴画像法)等の、人間の脳を非侵襲にて三次元撮像を行う装置が出力する脳画像データを基に、脳情報と、脳情報の変動とその変動要因を捉えて解析する脳情報解析装置と、脳情報解析装置が出力した特徴量を用いて、人間の脳の状態とその変化を模倣する、脳情報模倣演算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
元々、MRIは非侵襲にて脳を含めた内臓疾患を発見し、診断するためのツールであった。しかし、近年、MRIにて人の脳を撮影し、三次元の脳画像データを取得することが永続的に行われてきたことにより、様々な人々の脳画像データが徐々に蓄積されるようになった。そこで、近年の脳科学者は、脳疾患に留まらず、脳画像データから得られる情報と、人の健康との相関性を模索するようになっている。
これ以降、本明細書において脳画像データから得られる情報を、脳情報と総称する。この脳情報には、例えば、脳画像データを画像解析した結果得られる、脳の特定部位における灰白質の量や、脳の特定部位における神経線維の異方性等が含まれる。
【0003】
特許文献1には、撮影したMRI画像から脳断面の灰白質画像を作成し、その灰白質画像を健常者の灰白質画像と比較して、脳の特定部位の萎縮を判定することで、認知症等の兆候を診断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2005-230456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脳画像データから脳の部位毎に情報を取得する方法には、様々なものが存在する。どの脳情報取得方法も、得られる情報は変数の数が多く、非常に詳細である。しかし、変数の数が多いことは、データの全体の傾向を統計的に類推する、いわゆるビッグデータの解析手法には過剰適応のリスクを多く含むことになる。
MRI装置は高価であり、国際比較においてはわが国は相対的に導入台数は多いものの、他の医療機器に比べると、導入台数は少ない。また、その運用コストも安くはない。このため、MRIによる脳画像データを蓄積することは容易なことではない。したがって、現状では統計的解析の基となるデータの母数は、あまり多いとは言えない状況である。一方、上述したように、脳画像データから得られる情報は、変数の数が多い。これは、統計的解析手法では、既知の値については正しい推定結果を出す一方で、未知の値については正しい推定結果が得られない。つまり、オーバーフィッティングという現象を引き起こす。
また、変数の数が多いことは、判断の指標が複雑になることを示す。このため、現状の詳細な脳解析情報のままでは、脳科学の専門家しかわからず、一般の人が脳の健康の指標等に利用するのに適していない。
【0006】
また、これまで脳情報と健康指標との相関関係がほとんど関連付けて解析されていなかったという現実がある。このため、何をすれば、あるいは何を食べれば、脳の健康によいのかを客観的に推定することができなかった。
【0007】
本発明はかかる課題を解決し、脳解析情報を扱い易い値に変換した上で、脳の健康によいこと、あるいはよくないことを客観的かつ統計的に推定し、被験者に脳の健康の指標として使用することを可能とする、脳情報解析装置及び脳情報模倣演算装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の脳情報模倣演算装置は、被験者の脳画像データから複数の灰白質量データを得る灰白質量算出部と、被験者の脳画像データから複数の神経線維異方性データを得る神経線維異方性算出部と、複数の灰白質量データの平均値を算出した値であるGM-BHQと、複数の神経線維異方性データの平均値を算出した値であるFA-BHQを出力する平均値演算部と、被験者を一意に識別する被験者IDと、GM-BHQとFA-BHQを紐付けて登録するBHQテーブルとを具備する。更に、被験者IDと被験者の健康診断結果と被験者の生活環境アンケート結果を紐付けて登録する健康診断テーブルと、BHQテーブルと健康診断テーブルを、被験者IDにて紐付けた上で多変量解析を行い、GM-BHQ及びFA-BHQを推定するための第一の特徴量を出力する第一の多変量解析処理部とを具備する。更に、被験者の、所定期間を経過する前のGM-BHQ及びFA-BHQと、所定期間を経過した後のGM-BHQ及びFA-BHQとの差分を、被験者IDで紐付けて登録するBHQ差分テーブルと、被験者の、所定期間を経過する前の生活環境アンケート結果と、所定期間を経過した後の生活環境アンケート結果との差分を、被験者IDで紐付けて登録する介入要素テーブルとを具備する。第二の多変量解析処理部は、BHQ差分テーブルと介入要素テーブルと健康診断テーブルを、被験者IDにて紐付けた上で多変量解析を行い、GM-BHQ及びFA-BHQの変動及び介入要素を推定するための第二の特徴量である脳変化模倣特徴量を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、脳解析情報を扱い易い値に変換した上で、脳の健康によいこと、あるいはよくないことを客観的かつ統計的に推定し、被験者に脳の健康の指標として使用することが可能になる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る、脳情報解析装置の概略図である。
【図2】脳情報解析装置が算出した重回帰式係数と脳変化模倣特徴量を利用した、脳情報模倣演算装置の概略図である。
【図3】脳情報解析装置の、ハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】脳情報解析装置の、重回帰式係数を生成するためのソフトウェア機能を示すブロック図である。
【図5】脳情報解析装置の、脳変化模倣特徴量を生成するためのソフトウェア機能を示すブロック図である。
【図6】脳情報模倣演算装置の、BHQを推定するためのソフトウェア機能を示すブロック図である。
【図7】脳情報模倣演算装置の、BHQ差分と推定介入要素を推定するためのソフトウェア機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、発明者らが先に出願した特願2016-167036(以下「先の特許出願」と略す)を基に、更なる機能拡張を実現したものである。
先の特許出願では、脳情報解析装置と脳健康指標演算装置を開示した。
脳情報解析装置は、被験者のMRI画像ファイル群から作成した多数の脳情報を、灰白質量データ群の平均値であるGM-BHQ(Grey-Matter Brain Healthcare Quotient)と、神経線維異方性データ群の平均値であるFA-BHQ(fractional anisotropy Brain Healthcare Quotient)という、2個のスカラ値に変換する。その上で、GM-BHQ及びFA-BHQと、被験者の健康診断結果データ、そして生活環境アンケート結果データを読み込み、重回帰分析を行い、GM-BHQ用重回帰式係数とFA-BHQ用重回帰式係数を算出する。

【0012】
脳健康指標演算装置は、任意の被験者の健康診断結果データと生活環境アンケート結果データを読み込み、GM-BHQ用重回帰式係数とFA-BHQ用重回帰式係数を用いて重回帰演算処理を行い、MRIを用いずともGM-BHQ推定値及びFA-BHQ推定値を出力する。
先の特許出願では、任意の人の健康状態から、その人における現在のBHQを推定するシステムを開示した。つまり、脳健康指標演算装置はその人のBHQの推定はするが、何をすればその人のBHQがよくなるのかについては客観的で明確な回答ができなかった。

【0013】
これより説明する脳情報模倣演算装置は、このBHQの推定に様々な介入要素によるBHQの変動を推定する機能を、多変量解析を用いて実現する。つまり、何をすればBHQがよくなるのか、及び/または何をすればBHQが悪くなるのかを、客観的かつ明確に回答できる機能を提供することができる。
本発明の脳情報解析装置は、先の出願における脳情報解析装置に、以下に実施形態として説明される脳情報模倣演算装置に必要な脳情報模倣特徴量を出力する機能を追加することで構成される。
また、本発明の脳情報模倣演算装置は、先の出願における脳健康指標演算装置に、以下の実施形態で説明するように、BHQを推定する機能に加え、脳情報模倣特徴量を読み込んで推定BHQの差分や推定介入要素を出力する機能が追加される。いわば、バージョンアップされた脳情報模倣演算装置が提供される。

【0014】
[脳情報解析装置]
図1Aは、本発明の実施形態に係る、脳情報解析装置101の概略図であると共に、脳情報解析の第一手順を示す図でもある。
ある日、被験者106はMRI装置102にて脳を撮影されることで、MRI画像ファイル群103aを脳情報解析装置101に提供すると共に、健康診断結果データ104aと生活環境アンケート結果データ105aを、図示しない脳情報解析装置101の操作者へ提出する。被験者106から提供された健康診断結果データ104aと生活環境アンケート結果データ105aは、不図示の操作者によって脳情報解析装置101に入力される。

【0015】
脳情報解析装置101は、大容量の不揮発性ストレージと、所定の演算能力を備えるパソコンあるいはサーバである。
脳情報解析装置101には、(1)被験者106の脳をMRI装置102で撮影して得たMRI画像ファイル群103aと、(2)被験者106が受診した健康診断の結果を記した健康診断結果データ104aと、(3)被験者106が所定の生活環境アンケートに回答した結果を記した生活環境アンケート結果データ105aが入力され、データベースとして蓄積される。MRI画像ファイル群103a、健康診断結果データ104a、及び生活環境アンケート結果データ105aは、全て被験者106を一意に識別する被験者IDによって紐付けされる。特に、脳情報解析装置101には、MRI画像ファイル群103aを保存するための大容量の不揮発性ストレージが必要になる。

【0016】
MRI画像ファイル群103aは、MRI装置102が被験者106の脳を撮影した複数の画像ファイルである。被験者106の脳を仮想的に輪切り状態にて撮影した画像ファイルが、頭頂部から首に至る迄、複数枚得られる。脳情報解析装置101は、この複数枚の画像ファイルを用いて、被験者106の脳を三次元空間的に解析する。

【0017】
健康診断結果データ104aは、通常の健康診断にて得られる診断結果の情報の集合体である。被験者106の年齢、身長、体重、視力、聴力、体脂肪率、BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)、血中中性脂肪値、γGTP(γ-glutamyltransferase:ガンマグルタミルトランスフェラーゼ)等、年に一回実施される、あるいはMRI撮影の際に実施される、健康診断の診断結果の情報である。これらのデータは、被験者106から機械的あるいは化学的な手段で取得される客観的な測定結果であり、被験者106の主観が入り込む余地のないものである。なお、健康診断に留まらず、被験者106が日常的に計測を行った体重や血圧等の生体計測データ、歩数や活動量等のライフログデータも、この健康診断結果データ104aに含めることができる。

【0018】
生活環境アンケート結果データ105aは、健康診断の際に設問され、被験者106が回答する種々のアンケートの他に、精神神経系の健康指標を推し量るためのアンケートも含まれる。例えば、以下の様な項目について設問を設け、被験者106に回答させる。
(1)階層帰属意識及び金融不安を含む社会経済的な状況の自覚
(2)生活に関する満足感と生活向上への意識を含む健康で安心なことについての自覚
(3)個人的な価値観、ポスト物質主義(物質や経済的な富よりも精神や心の安寧(リッチネス)を優先させる考え方)及びエピクロス主義(将来の為の準備よりも現在に生きることに優先権を与えて生きる主義)
すなわち、これらのデータは健康診断結果データ104aとは異なり、被験者106の主観が混じるアンケート結果等の情報である。

【0019】
脳情報解析装置101は、先ず、MRI画像ファイル群103aから所定の画像解析処理を用いて、脳情報を取得し、脳情報の平均値を算出する。次に、脳情報解析装置101は算出した脳情報の平均値を目的変数とし、健康診断結果データ104aと生活環境アンケート結果データ105aを説明変数として、重回帰分析を行う。そして、重回帰分析の特徴量である重回帰式係数107aを算出する。

【0020】
図1Bは、本発明の実施形態に係る、脳情報解析装置101の概略図であると共に、脳情報解析の第二手順を示す図でもある。
被験者106は、図1Aに示した、MRI装置102にて脳を撮影された日から、例えば1ヶ月経過した日に、再びMRI装置102にて脳を撮影されることになっている。そして、被験者106は、MRI画像ファイル群103bを脳情報解析装置101に提供し、健康診断結果データ104bと生活環境アンケート結果データ105bを脳情報解析装置101の操作者へ提出する。脳情報解析装置101は、新たなMRI画像ファイル群103bと、健康診断結果データ104bと生活環境アンケート結果データ105bを得て、図1Aの時点よりも推定精度が向上した重回帰式係数107bを算出する。

【0021】
被験者106は、図1Aに示す1回目のMRI撮影から図1Bに示す2回目のMRI撮影の間に、何らかの生活習慣の変化を実施する。例えば、一週間に1回水泳をする、あるいは野菜ジュースを毎日飲む等である。また、生活習慣の変化は、意図せずに実施した内容も含む。例えば、残業が多くなり晩酌をたしなむ日が増えた等である。このように、被験者106が実施した内容が必ずしも生活習慣の改善に繋がるとは限らないので、生活習慣の改善とは呼ばず、あえて生活習慣の変化と呼ぶこととする。
もし、これら生活習慣の変化が、脳の健康に関係するのであれば、図1Bにおける2回目のMRI撮影において、MRI画像ファイル群103bから得られるデータにその影響が現れている筈である。

【0022】
脳情報解析装置101は、この、同一の被験者106における、最低2回のMRI撮影によって得られるMRI画像ファイル群103a、103b、健康診断結果データ104a、104b、そして生活環境アンケート結果データ105a、105bから、BHQの差分と、生活習慣の変動内容を取得する。そして、生活習慣の変動内容に対するBHQの差分のデータを、多数の被験者106から集めて、多変量解析を行う。最終的に、脳情報解析装置101は、生活習慣の変動内容とBHQの差分との相関関係を示す、脳変化模倣特徴量108を算出する。

【0023】
なお、以下の説明では、生活習慣の変動内容を介入要素とも呼ぶこともある。介入要素とは、被験者106におけるBHQの変化に介入した要素であり、言い換えれば、被験者106におけるBHQの変動が生じた原因である。
また、これ以降、MRI画像ファイル群103aとMRI画像ファイル群103bを特に区別しない時は、MRI画像ファイル群103と呼ぶ。同様に、健康診断結果データ104aと健康診断結果データ104bを特に区別しない時は、健康診断結果データ104と呼ぶ。生活環境アンケート結果データ105aと生活環境アンケート結果データ105bを特に区別しない時は、生活環境アンケート結果データ105と呼ぶ。重回帰式係数107aと重回帰式係数107bを特に区別しない時は、重回帰式係数107と呼ぶ。

【0024】
[脳情報模倣演算装置]
図2Aは、脳情報解析装置101が算出した重回帰式係数107を利用した、脳情報模倣演算装置201の概略図である。
脳情報模倣演算装置201は、一般的なパソコンで実現できる。また、近年普及しているスマートフォン等の携帯型無線端末や、ワンチップマイコンを使用する体脂肪計等の健康器具でも実現することができる。
脳情報模倣演算装置201は、任意の被験者106の健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105を入力されると、脳情報解析装置101が使用していた重回帰式と、脳情報解析装置101が算出した重回帰式係数107を用いて、当該被験者106の脳情報の平均値である推定BHQ202を推定する。
図2Aに示す、脳情報模倣演算装置201が実施するBHQの推定は、先の特許出願における脳健康指標演算装置の機能と等しい。

【0025】
図2Bは、脳情報解析装置101が算出した脳変化模倣特徴量108を利用した、脳情報模倣演算装置201の概略図である。
まず、脳情報模倣演算装置201に、任意の被験者106の健康診断結果データ104と、生活環境アンケート差分203が入力される。すると、脳情報模倣演算装置201は、脳情報解析装置101が使用していた多変量解析と、脳情報解析装置101が算出した脳変化模倣特徴量108を用いて、当該被験者106のBHQの差分である推定BHQ差分204を推定する。
すなわち、脳情報模倣演算装置201は、被験者の年齢、性別、体格、健康診断結果等の客観的情報と、被験者の生活習慣の変化が入力されると、BHQがどの程度変化したか(良くなったのか、あるいは悪くなったのか)を推定する。

【0026】
図2Cは、脳情報解析装置101が算出した脳変化模倣特徴量108を利用した、脳情報模倣演算装置201の概略図である。
脳情報模倣演算装置201に、任意の被験者106の健康診断結果データ104と測定したBHQまたは推定したBHQ205が入力される。すると、脳情報模倣演算装置201は、脳情報解析装置101が使用していた多変量解析と、脳情報解析装置101が算出した脳変化模倣特徴量108を用いて、当該被験者106のBHQがよくなるための推定介入要素206を推定する。
すなわち、脳情報模倣演算装置201は、被験者の年齢、性別、体格、健康診断結果等の客観的情報と、被験者の測定BHQまたは推定BHQ205が入力されると、何をすればBHQが良くなるのか、及び/または、何をするとBHQが悪くなるのかを推定する。

【0027】
[脳情報解析装置101:ハードウェア]
図3は、脳情報解析装置101の、ハードウェア構成を示すブロック図である。
一般的なパソコンやサーバである脳情報解析装置101は、CPU301、ROM302、RAM303、液晶ディスプレイ等の表示部304、キーボードやマウス等の操作部305、ハードディスク装置等の不揮発性ストレージ306がバス307に接続されている。バス307にはこの他に、MRI画像ファイル群103と、健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105を受け付けて、不揮発性ストレージ306内に形成するデータベースに登録するための、シリアルポート308やNIC(Network Interface Card)309が接続されている。不揮発性ストレージ306には、OSと、パソコンやサーバを脳情報解析装置101として稼働させるためのプログラムと、図4にて後述する種々のデータベースが格納されている。

【0028】
なお、脳情報解析装置101がサーバである場合には、NIC309は必須だが、表示部304と操作部305は必ずしも必要ではなく、シリアルポート308も不要である。その場合、ネットワークを通じてサーバを操作する端末が別途用意されていればよい。
図2に示す脳情報解析装置101のブロック図は、ほぼそのまま脳情報模倣演算装置201にも共通する。よって、脳情報模倣演算装置201のハードウェア構成を示すブロック図及びその説明は省略する。

【0029】
[脳情報解析装置101:BHQ推定用重回帰式係数算出ソフトウェア]
図4は、脳情報解析装置101の、BHQを推定するための重回帰式係数107を算出するソフトウェア機能を示すブロック図である。
図1Aにて説明したように、脳情報解析装置101には、被験者106のMRI画像ファイル群103と、健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105が入力される。
灰白質量算出部401は、MRI画像ファイル群103を読み込み、脳の特定部位における灰白質の量を示す灰白質量データ群402を算出する。灰白質量データ群402は、脳の116箇所の部位における灰白質量データの集合体である。
神経線維異方性算出部403は、MRI画像ファイル群103を読み込み、脳の特定部位における白質を構成する神経線維の異方性の指標値を示す神経線維異方性データ群404を算出する。神経線維異方性データ群404は、脳の48箇所の部位における白質を構成する神経線維の異方性の指標値の集合体である。

【0030】
灰白質量算出部401が算出した灰白質量データ群402と、神経線維異方性算出部403が算出した神経線維異方性データ群404は、被験者106の被験者ID405と共に、脳情報テーブル406に登録される。
脳情報テーブル406は、被験者IDフィールドと、116個の灰白質量データフィールドと、48個の神経線維異方性データフィールドよりなる。すなわち、灰白質量データ群402と神経線維異方性データ群404は、被験者106の被験者ID405に紐付けられて、脳情報テーブル406に登録される。
なお、MRI画像ファイル群103は貴重な画像データの集合体であるので、これも被験者ID405に紐付けられて、大容量の不揮発性ストレージ306に記憶される。本発明の実施形態において、これ以降の説明では、MRI画像ファイル群103を使用しないので、以下では図示及び詳述を省略する。

【0031】
脳情報テーブル406に格納された116個の灰白質量データ群402と、48個の神経線維異方性データ群404は、それぞれ平均値演算部407に入力される。
平均値演算部407は、116個の灰白質量データ群402の平均値であるGM-BHQ(Grey-Matter Brain Healthcare Quotient)を算出する。GM-BHQは単一のスカラ値である。
同様に、平均値演算部407は、48個の神経線維異方性データ群404の平均値であるFA-BHQ(fractional anisotropy Brain Healthcare Quotient)を算出する。FA-BHQもGM-BHQと同様、単一のスカラ値である。

【0032】
平均値演算部407が算出したGM-BHQ及びFA-BHQは、被験者106の被験者ID405と共に、BHQテーブル408に登録される。
BHQテーブル408は、被験者IDフィールドと、GM-BHQフィールドと、FA-BHQフィールドよりなる。すなわち、GM-BHQとFA-BHQは、被験者106の被験者ID405に紐付けられて、BHQテーブル408に登録される。
このGM-BHQとFA-BHQが、後述する重回帰式における目的変数となる。

【0033】
一方、健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105は、被験者106の被験者ID405と共に、健康診断テーブル409に登録される。
健康診断テーブル409は、被験者IDフィールドと、項目毎の健康診断結果データフィールドと、項目毎の生活環境アンケート結果データフィールドよりなる。すなわち、健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105は、被験者106の被験者ID405に紐付けられて、健康診断テーブル409に登録される。
この健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105が、後述する重回帰式における説明変数となる。

【0034】
第一の多変量解析処理部である重回帰分析処理部410は、BHQテーブル408から目的変数であるGM-BHQを読み込み、健康診断テーブル409から説明変数である健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105を読み込む。そして、重回帰分析処理部410は、これらの読み込んだデータを被験者ID405と紐付けた上で、GM-BHQにおける重回帰式の係数を算出し、GM-BHQ推定のための重回帰式係数であるGM-BHQ用重回帰式係数411を出力する。

【0035】
また、重回帰分析処理部410は、BHQテーブル408から目的変数であるFA-BHQを読み込み、健康診断テーブル409から説明変数である健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105を読み込む。そして、重回帰分析処理部410は、これらの読み込んだデータを被験者ID405と紐付けた上で、FA-BHQにおける重回帰式の係数を算出し、FA-BHQ推定のための重回帰式係数であるFA-BHQ用重回帰式係数412を出力する。
このGM-BHQ用重回帰式係数411及びFA-BHQ用重回帰式係数412が、図1A及び図1Bにて説明した重回帰式係数107である。

【0036】
[脳情報解析装置101:脳変化模倣特徴量算出ソフトウェア]
図5は、脳情報解析装置101の、脳変化模倣特徴量108を算出するソフトウェア機能を示すブロック図である。
図1Bにて説明したように、脳情報解析装置101には、被験者106のMRI画像ファイル群103と、健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105が入力される。
そして、図4で説明したように、脳情報解析装置101は、被験者106のGM-BHQとFA-BHQを算出する。そして、BHQテーブル408に新規のレコードを追記録する。
また、図4で説明した手順と同様に、脳情報解析装置101は、被験者106の新たな健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105を、被験者106の被験者ID405と共に、健康診断テーブル409に追記録する。

【0037】
図1Bの時点で、同一の被験者106について、図1Aで示した第一の時点におけるGM-BHQ及びFA-BHQ、健康診断結果データ104aそして生活環境アンケート結果データ105aと、図1Bで示した、第一の時点から所定期間経過した第二の時点におけるGM-BHQ及びFA-BHQ、健康診断結果データ104bそして生活環境アンケート結果データ105bが出揃うこととなる。
すなわち、BHQテーブル408には、同一の被験者106について、第一の時点におけるGM-BHQ及びFA-BHQと、第二の時点におけるGM-BHQ及びFA-BHQが記憶されている。
同様に、健康診断テーブル409には、同一の被験者106について、第一の時点における健康診断結果データ104aと生活環境アンケート結果データ105aと、第二の時点における健康診断結果データ104bと生活環境アンケート結果データ105bが記憶されている。

【0038】
BHQ差分演算部501は、BHQテーブル408を参照して、被験者ID405毎にGM-BHQの差分と、FA-BHQの差分を演算する。そして、得られたGM-BHQ差分とFA-BHQ差分を被験者ID405と紐付けた上で、BHQ差分テーブル502に追記録する。
介入要素演算部503は、健康診断テーブル409を参照して、被験者ID405毎に経過日数と、健康診断結果データの差分と、生活環境アンケートの差分、すなわち介入要素を演算する。そして、得られた経過日数と健康診断結果データ差分と介入要素を被験者ID405と紐付けた上で、介入要素テーブル504に追記録する。
BHQ差分テーブル502に記憶されているGM-BHQ差分とFA-BHQ差分は、多変量解析における目的変数である。
介入要素テーブル504に記憶されている経過日数と健康診断結果データ差分と介入要素は、多変量解析における説明変数である。

【0039】
第二の多変量解析処理部である多変量解析処理部505は、BHQ差分テーブル502と介入要素テーブル504と健康診断テーブル409を参照して、正準相関分析やディープニューラルネット(Deep Neural Net)等の学習アルゴリズムを用いる多変量解析を行い、脳変化模倣特徴量108を出力する。この時、多変量解析処理部505は、BHQ差分テーブル502からGM-BHQ差分とFA-BHQ差分を、介入要素テーブル504から種々の介入要素を、健康診断テーブル409から第二の時点における健康診断結果データ104bを読み込む。しかし、第二の時点における健康診断結果データ104bがない場合は、第一の時点における健康診断結果データ104aを読み込む。
また、ある被験者106について、健康診断結果データ104a健康診断結果データ104bの両方が得られる場合は、その差分も脳変化模倣特徴量108を構成するための要素として採用することが可能である。

【0040】
[脳情報模倣演算装置201:BHQ推定ソフトウェア]
図6は、脳情報模倣演算装置201の、BHQを推定するソフトウェア機能を示すブロック図である。
第一の多変量推定処理部である重回帰式演算処理部601は、任意の被験者106の健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105を読み込む。そして、重回帰式演算処理部601は、図4にて説明した、脳情報解析装置101が出力したGM-BHQ用重回帰式係数411を用いて、脳情報解析装置101の重回帰分析処理部410で使用した重回帰式の演算を行い、当該被験者106の、GM-BHQ推定値602を出力する。
同様に、重回帰式演算処理部601は、任意の被験者106の健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105を読み込む。そして、重回帰式演算処理部601は、図4にて説明した、脳情報解析装置101が出力したFA-BHQ用重回帰式係数412を用いて、脳情報解析装置101の重回帰分析処理部410で使用した重回帰式の演算を行い、当該被験者106の、FA-BHQ推定値603を出力する。
このGM-BHQ推定値602及びFA-BHQ推定値603が、図2Aにて説明した、推定BHQ202である。

【0041】
図2Aでは理解を容易にするために推定BHQ202と書いたが、実際には被験者106の脳の健康指標を推定した「推定脳健康指標」という方が正確である。脳情報模倣演算装置201に健康診断データとアンケート結果を入力すれば、MRI装置102を使わなくとも、被験者106の脳の健康状態を推定することができる。

【0042】
勿論、重回帰式演算処理部601が読み込む健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105は、脳情報解析装置101が読み込んだ、被験者106達が受診した健康診断やアンケートと同じ内容である必要がある。
すなわち、脳情報模倣演算装置201の主要な演算処理は、1次関数である重回帰式の計算を行うだけである。この演算処理は大量のデータ処理を必要とするものではない。周知のように、重回帰式の計算は四則演算で実現できるので、ワンチップマイコン等、演算能力の乏しい低資源装置と呼ばれる計算機資源でも、十分実用になる。

【0043】
例えば、体重、体脂肪率、内臓脂肪レベル、皮下脂肪率、基礎代謝、骨格筋率、BMI、体年齢等を測定できる体組成計に、本発明の実施形態に係る脳情報模倣演算装置201を適用することを考える。体組成計には、利用者の生年月日と身長を登録することが可能である。しかし、健康診断における血液検査にて得られる値を登録することは面倒であるし、毎日使用される体組成計が得る前述の様々な値と測定日時が食い違うため、現実的ではない。そこで、脳情報解析装置101は、体組成計が取得可能な情報だけを使用した、GM-BHQ用重回帰式係数411とFA-BHQ用重回帰式係数412を算出する。このように、体組成計用のGM-BHQ用重回帰式係数411とFA-BHQ用重回帰式係数412を用いれば、体組成計も脳情報模倣演算装置201として機能することができる。健康診断や生活環境アンケート結果等の全ての情報が揃っている場合と比べると推定精度は落ちるが、有意な健康指標として、体組成計がGM-BHQ推定値602とFA-BHQ推定値603を出力することが可能になる。

【0044】
また、発明者らは、脳情報解析装置101に登録された被験者106のGM-BHQ及びFA-BHQを説明変数に、そして被験者106の年齢を目的変数として重回帰分析を行ったところ、良好な結果が得られた。このことから、ある被験者106の脳画像データを得ると、重回帰分析により「脳の年齢」を推定することが可能になる。

【0045】
[脳情報模倣演算装置201:変動及び介入要素推定ソフトウェア]
図7Aは、脳情報模倣演算装置201の、BHQの変動を推定するソフトウェア機能を示すブロック図である。
まず、第二の多変量推定処理部である多変量推定処理部701は、任意の被験者106の健康診断結果データ104と、生活環境アンケート差分203を読み込む。そして、多変量推定処理部701は、図5にて説明した、脳情報解析装置101が出力した脳変化模倣特徴量108を用いて、脳情報解析装置101の多変量解析処理部505で使用した多変量解析の演算を行い、当該被験者106の、GM-BHQ変動推定値702と、FA-BHQ変動推定値703を出力する。
これら、GM-BHQ変動推定値702及びFA-BHQ変動推定値703が、図2Bにて説明した、推定BHQ差分204である。

【0046】
図7Bは、脳情報模倣演算装置201の、介入要素を推定するソフトウェア機能を示すブロック図である。
多変量推定処理部701は、任意の被験者106の健康診断結果データ104と、測定BHQまたは推定BHQ205を読み込むと、図5にて説明した、脳情報解析装置101が出力した脳変化模倣特徴量108を用いて、脳情報解析装置101の多変量解析処理部505で使用した多変量解析の演算を行い、当該被験者106の推定介入要素206を出力する。

【0047】
なお、本発明の実施形態における脳情報解析装置101及び脳情報模倣演算装置201では、GM-BHQ及びFA-BHQを推定するための第一の多変量解析として重回帰分析を採用したが、周知のように多変量解析は重回帰分析に留まらない。ロジスティック回帰、主成分分析等、種々の多変量解析を適用可能である。BHQ推定に用いる第一の多変量解析アルゴリズムは、説明変数が多数で、目的変数が単一スカラ値を扱うことができる学習アルゴリズムであればよい。
同様のことは、BHQ差分及び介入要素を推定するための第二の多変量解析にも言える。BHQ差分及び介入要素の推定に用いる第二の多変量解析アルゴリズムは、正準相関分析やディープニューラルネットに限らず、説明変数が多数で、目的変数も多数の値を扱うことができる学習アルゴリズムであればよい。

【0048】
すなわち、脳情報解析装置101における重回帰分析処理部410の上位概念は第一の多変量解析処理部であり、第一の多変量解析処理部が出力する重回帰式係数の上位概念は第一の特徴量であり、脳情報模倣演算装置201における重回帰式演算処理部601の上位概念は第一の多変量推定処理部である。
そして、脳情報解析装置101における多変量解析処理部505は第二の多変量解析処理部となる。脳情報模倣演算装置201における多変量推定処理部701は、第二の多変量推定処理部となる。

【0049】
本発明の実施形態では、脳情報解析装置101及び脳情報模倣演算装置201を説明した。
脳情報解析装置101は、被験者106のMRI画像ファイル群103から、116個の灰白質量データと、48個の神経線維異方性データを取得する。灰白質量データの平均値を算出してGM-BHQとする。神経線維異方性データの平均値を算出してFA-BHQとする。
次に、被験者106に対し、所定期間経過後に再度MRI撮像を実施して、GM-BHQ及びFA-BHQを取得する。この所定期間の経過に伴い、GM-BHQとFA-BHQに生じた変動を、被験者106の健康診断結果と生活環境アンケート結果の変動との関連を知るために、脳情報解析装置101は正準相関分析やディープニューラルネット等の学習アルゴリズムを用いた多変量解析を行う。脳情報解析装置101は、この多変量解析の結果、脳変化模倣特徴量108を得る。

【0050】
脳情報模倣演算装置201は、この脳変化模倣特徴量108を用いることで、健康の指標となるGM-BHQ及びFA-BHQの差分を推定する他、任意の人に対して何をすればBHQがよくなるのか、すなわち脳の健康が向上するのかを客観的に、しかも明確に推定することができる。

【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、更にはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。

【0052】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の揮発性あるいは不揮発性のストレージ、または、ICカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0053】
101…脳情報解析装置、102…MRI装置、103…MRI画像ファイル群、104…健康診断結果データ、105…生活環境アンケート結果データ、106…被験者、107…重回帰式係数、108…脳変化模倣特徴量、201…脳情報模倣演算装置、202…推定BHQ、203…生活環境アンケート差分、204…推定BHQ差分、205…測定BHQまたは推定BHQ、206…推定介入要素、301…CPU、302…ROM、303…RAM、304…表示部、305…操作部、306…不揮発性ストレージ、307…バス、308…シリアルポート、309…NIC、401…灰白質量算出部、402…灰白質量データ群、403…神経線維異方性算出部、404…神経線維異方性データ群、405…被験者ID、406…脳情報テーブル、407…平均値演算部、408…BHQテーブル、409…健康診断テーブル、410…重回帰分析処理部、411…GM-BHQ用重回帰式係数、412…FA-BHQ用重回帰式係数、501…BHQ差分演算部、502…BHQ差分テーブル、503…介入要素演算部、504…介入要素テーブル、505…多変量解析処理部、601…重回帰式演算処理部、602…GM-BHQ推定値、603…FA-BHQ推定値、701…多変量推定処理部、702…GM-BHQ変動推定値、703…FA-BHQ変動推定値
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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