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明細書 :処理物からの金属回収方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5415013号 (P5415013)
公開番号 特開2009-249711 (P2009-249711A)
登録日 平成25年11月22日(2013.11.22)
発行日 平成26年2月12日(2014.2.12)
公開日 平成21年10月29日(2009.10.29)
発明の名称または考案の名称 処理物からの金属回収方法
国際特許分類 C22B   7/02        (2006.01)
C22B   5/10        (2006.01)
C22B   5/16        (2006.01)
B09B   3/00        (2006.01)
F23G   5/00        (2006.01)
FI C22B 7/02 ZABA
C22B 5/10
C22B 5/16
B09B 3/00 303L
F23G 5/00 115B
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2008-101407 (P2008-101407)
出願日 平成20年4月9日(2008.4.9)
審査請求日 平成22年12月20日(2010.12.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】306013991
【氏名又は名称】中部リサイクル株式会社
【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
発明者または考案者 【氏名】松岡 庄五
【氏名】石田 忠男
【氏名】下倉 明
【氏名】小野 貴弘
個別代理人の代理人 【識別番号】100118706、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 陽
審査官 【審査官】坂本 薫昭
参考文献・文献 特開平9-196573(JP,A)
特開平7-242955(JP,A)
特開昭61-79907(JP,A)
調査した分野 C22B 1/00-61/00
B09B 3/00
F23G 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
金属を含む処理物を還元溶融炉内に投入する投入工程と、該処理物を溶融して溶融物とする溶融工程と、該溶融物を炉外に取り出し冷却して溶融スラグ及び溶融メタルを回収するとともに該還元溶融炉から排出される溶融飛灰を回収する回収工程とを備える金属を含む処理物からの金属回収方法において、
前記投入工程における処理物中の塩素分濃度を2%未満とし、前記溶融工程における溶融物の温度を1300℃以上1500℃未満とし、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔を1時間以上5時間未満とすることを特徴とする処理物からの金属回収方法。
【請求項2】
金属を含む処理物を還元溶融炉内に投入する投入工程と、該処理物を溶融して溶融物とする溶融工程と、該溶融物を炉外に取り出し冷却して溶融スラグ及び溶融メタルを回収するとともに該還元溶融炉から排出される溶融飛灰を回収する回収工程とを備える金属を含む処理物からの金属回収方法において、
前記投入工程における処理物中の塩素分濃度を2%未満とし、前記溶融工程における溶融物の温度を1300℃以上1500℃未満とし、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔を5時間以上10時間未満とすることを特徴とする処理物からの金属回収方法。
【請求項3】
金属を含む処理物を還元溶融炉内に投入する投入工程と、該処理物を溶融して溶融物とする溶融工程と、該溶融物を炉外に取り出し冷却して溶融スラグ及び溶融メタルを回収するとともに該還元溶融炉から排出される溶融飛灰を回収する回収工程とを備える金属を含む処理物からの金属回収方法において、
前記投入工程における処理物中の塩素分濃度を2%未満とし、前記溶融工程における溶融物の温度を1500℃以上1600℃未満とし、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔を1時間以上5時間未満とすることを特徴とする処理物からの金属回収方法。
【請求項4】
金属を含む処理物を還元溶融炉内に投入する投入工程と、該処理物を溶融して溶融物とする溶融工程と、該溶融物を炉外に取り出し冷却して溶融スラグ及び溶融メタルを回収するとともに該還元溶融炉から排出される溶融飛灰を回収する回収工程とを備える金属を含む処理物からの金属回収方法において、
前記投入工程における処理物中の塩素分濃度を2%以上30%未満とし、前記溶融工程における溶融物の温度を1300℃以上1500℃未満とし、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔を1時間以上5時間未満とすることを特徴とする処理物からの金属回収方法。
【請求項5】
還元溶融炉はサブマージドアーク炉であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の処理物からの金属回収方法。
【請求項6】
前記溶融工程における溶融物の溶融温度をカーボン質物質の投入量で制御することを特徴とする請求項記載の処理物からの金属回収方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、還元溶融炉を用いて処理物を溶融して金属を回収するため処理物からの金属回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源セキュリティーの面から資源循環システム構築の必要性が高まり、ごみ焼却灰や、携帯電話などの電子機器廃棄物や、歯冠材料の廃棄物等、金属を含む処理物からの金属の回収が焦眉の急となってきている。
【0003】
従来、金属を含む処理物から金属を回収する方法として、還元溶融炉内で金属を含む処理物を溶融し、溶融メタルや溶融飛灰として金属を回収する方法が知られている。還元溶融炉内は高温かつ還元雰囲気でとされているため、金属成分は還元されて溶融メタルや溶融飛灰の中に単体として回収される。
【0004】
例えば、焼却灰から金属を取り出す技術として、サブマージドアーク炉を用いたごみ焼却灰の溶融処理がある(例えば特許文献1)。サブマージドアーク炉は、炉の中に挿入したカーボン電極を介して処理物自体に通電し、ジュール熱で加熱する炉であり、溶融を酸素の少ない強還元雰囲気で行なうことができるという特徴がある。このため、ごみ焼却灰中のFe、Pb、Cr、Cd、Zn、Cu、Au、Ag等の金属成分が金属単体まで還元され、低沸点成分であるZn、Pb、Cd等が溶融飛灰として集塵機で回収され、高沸点成分であるFe、Au、Ag、Cu等は溶融スラグの下に集まり、有価物として回収することができる。また、溶融スラグは溶融前のごみ焼却灰に比べて重金属の溶出が極めて少なくなり、そのまま埋立処分を行っても安全性は高いものとなる。また、減容効果も大きいため、埋立処分場の延命化も図ることができる。
【0005】

【特許文献1】特開平9-196573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の還元溶融炉を利用した処理物からの金属回収方法では、処理物中に含まれる各種の金属が、溶融スラグや溶融メタルや溶融飛灰にどのような割合で分配されるかについて、Pb、Zn、Cu、Au、Pd、Pt及びAgについては、ある程度知られていたが、その他のレアメタル等の金属については詳細には検討されていなかった。このため、還元溶融炉を用いて得られる溶融スラグや溶融メタルや溶融飛灰中に含まれるレアメタル等の金属を効率よく回収することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、還元溶融炉を利用した処理物からの金属回収方法において、溶融スラグや溶融メタルや溶融飛灰中に含まれるレアメタル等の各種の金属を、効率よく回収し利用できる方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、還元溶融炉を利用した処理物からの金属回収方法において溶融条件と、溶融スラグや溶融メタルや溶融飛灰に含まれる各種の金属の分配割合の関係について、詳しい検討を行なった。その結果、原料となる金属を含む処理物中の塩素分濃度と、処理物を溶融するときの溶融物の温度と、溶融物を取り出す時間間隔とを制御することによって、溶融スラグや溶融メタルや溶融飛灰に含まれるレアメタル等の各種の金属の分配割合を制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の処理物からの金属回収方法は、金属を含む処理物を還元溶融炉内に投入する投入工程と、該処理物を溶融して溶融物とする溶融工程と、該溶融物を炉外に取り出し冷却して溶融スラグ及び溶融メタルを回収するとともに該還元溶融炉から排出される溶融飛灰を回収する回収工程とを備える金属を含む処理物からの金属回収方法において、
前記投入工程における処理物中の塩素分濃度と、前記溶融工程における溶融物の温度と、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔とを制御することによって溶融スラグ、溶融メタル及び溶融飛灰に含まれる各種金属の分配率を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の処理物からの金属回収方法では、金属を含む処理物の溶融に、還元溶融炉が用いられる。ここで、還元溶融炉とは、還元雰囲気下で溶融する炉のことをいう。このような炉としては、例えば電気エネルギーによって溶融する電気式溶融炉(交流アーク式溶融炉、交流電気抵抗式溶融炉、直流電気抵抗式溶融炉、プラズマ式溶融炉、誘導式溶融炉等)、重油やガス等の燃料を燃焼させて溶融する燃料燃焼式溶融炉(回転式表面溶融炉、反射式表面溶融炉、輻射式表面溶融炉、旋回流式溶融炉、ロータリーキルン式溶融炉、コークスベット式灰溶融炉等)、直接式溶融炉(コークスベット式溶融炉、熱分解・旋回流式溶融炉、内部式溶融炉等)等が挙げられる。ただし、溶融工程を還元雰囲気で行うために、カーボン質物質をいっしょに投入しておき、カーボン質物質の還元作用によって還元雰囲気を作り出す必要がある。カーボン質物質とは、主としてカーボンからなる物質であり、通常コークスが用いられるが、可燃ごみから得られたごみ炭化物粉等のカーボン質物質を混合してもよい。また、ごみ炭化物と飛灰や焼却灰とを混合した炭化物内装ペレットを投入しても良い。還元溶融炉内は外界とほぼ遮断されているため、還元雰囲気となり、処理物中の金属分は還元され、その一部は溶融物の底に溶融メタルとして沈む。
【0011】
還元溶融炉内に投入された金属を含む処理物は、溶融工程で溶融されて溶融物となる。そして、所定時間ごとに溶融物が炉底から取り出され、容器に入れられて冷却される。このとき、溶融物の下層には溶融メタルが沈殿し、その上に溶融スラグが浮かんだ状態で冷却固化する。また、還元溶融炉からの排ガスとともに排出された溶融飛灰は、バグフィルター等によって回収される。
【0012】
本発明の処理物からの金属回収方法では、投入工程における処理物中の塩素分濃度と、溶融工程における溶融物の温度と、回収工程において溶融物を取り出す時間間隔とを制御する。発明者らの試験結果によれば、溶融スラグ、溶融メタル及び溶融飛灰に含まれる各種金属の分配率は、これらの処理物中の塩素分濃度、溶融物の温度、及び溶融物を取り出す時間によって影響されるため、これらの因子を制御することにより、溶融メタルや溶融飛灰に選択的に集めることができる。こうして溶融メタルや溶融飛灰に選択的に集められた金属を回収すれば、効率の良い金属の回収方法となる。
【0013】
例えば溶融工程における溶融物の溶融温度を1300℃以上1500℃未満とし、回収工程において溶融物を取り出す時間間隔を1時間以上5時間未満とし、投入工程における処理物中の塩素分濃度を2%未満とすれば、溶融飛灰にBi、Ga、Ge、Sb及びTeの多くが集まる。このため、これらの金属を溶融飛灰から回収するためには、この条件で還元溶融炉を稼動すればよい。
【0014】
また、溶融工程における溶融物の溶融温度を1300℃以上1500℃未満とし、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔を5時間以上10時間未満とし、前記投入工程における処理物中の塩素分濃度を2%未満とすれば、溶融飛灰に多くのZn、Pbが集まる(すなわち、溶融飛灰中のZn及びPbの濃度及び総量ともに高くなる)。このため、これらの金属を溶融飛灰から回収するためには、この条件で還元溶融炉を稼動すればよい。
また、この条件下では、溶融メタル中のタングステンが濃度及び総量ともに著しく高くなる。このため、タングステンを溶融メタルから回収するためには、この条件で還元溶融炉を稼動すればよい。
【0015】
さらに、溶融工程における溶融物の溶融温度を1500℃以上1600℃未満とし、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔を1時間以上5時間未満とし、前記投入工程における処理物中の塩素分濃度を2%未満とすれば、溶融メタル中のCu、Ag、Au、Ge及びVが濃度及び総量ともに高くなる。このため、これらの金属を溶融メタルから回収するためには、この条件で還元溶融炉を稼動すればよい。
【0016】
また、溶融工程における溶融物の溶融温度を1300℃以上1500℃未満とし、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔を1時間以上5時間未満とし、前記投入工程における処理物中の塩素分濃度を2%以上30%未満とすれば、溶融メタル中のAgの濃度及び総量がともに高くなる。このため、Agを溶融メタルから回収するためには、この条件で還元溶融炉を稼動すればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施形態)
本発明の実施形態として、サブマージドアーク炉を用いたごみ焼却灰からの金属回収方法について、以下に述べる。ただし、本発明の処理物からの金属回収方法では、サブマージドアーク炉以外にも、上述した全ての還元溶融炉に適用することができることは、いうまでもない。
【0018】
実施形態において用いられるサブマージドアーク炉は、炉内にカーボン電極が設置される。電源としては、単相や三相の交流電電源や直流電源が用いられ、炉内のカーボン電極を介して通電される。サブマージドアーク炉では、炉内の溶融スラグがいまだ溶融していない焼却灰によって覆われるので、電気アークと電気抵抗ジュール熱とによってスラグを溶融することができる。溶融した焼却灰は導電性を有するために、電気回路を形成し、通電によりジュール熱を発生する。また、焼却灰とともにコークスを投入することにより、コークスの電気伝導性によってもジュール熱が発生する。このため、コークスの投入量を増やすと、炉内の温度は上昇し、溶融スラグや溶融メタルの温度も高くなる。なお、運転中に装入原料から発生する有害ガスを外気と遮断するための炉蓋が必要である。焼却灰等の原料を運転中順次追加装入してサブマージドアーク電気溶融法を実現するためには、炉蓋に装入孔を設けて気密式の粉粒状原料の装入を可能にしておくと共に、装入された粉粒体の均一な分散を図ることが好ましい。炉内で焼却灰は溶解し、上層に溶融スラグ層が形成され、下層に溶融メタル層が形成される。そして、溶融スラグ層の上に、まだ溶解していない焼却灰やコークスが浮かんだ状態となる。また、炉底には出湯口が設けられており、所定時間ごとに溶融スラグと溶融メタルとが取り出され、一旦鉄製の取鍋に移され、さらに取鍋から溶融スラグと溶融メタルとが別々に他の容器に取り分けられる。また、炉から発生する排ガスは、溶融飛灰とともに排出され、電気集塵機やバグフィルター等で捕捉され回収される。
【0019】
本発明の処理物からの金属回収方法では、処理物中の塩素分濃度と、前記溶融工程における溶融物の温度と、前記回収工程において溶融物を取り出す時間間隔とを制御することによって溶融スラグ、溶融メタル及び溶融飛灰に含まれる各種金属の分配率を制御する。処理物中には、多量の塩化ナトリウムが含まれており、その塩分濃度を調節するためには、処理物を水に投入して塩分を除去しておき、塩分が除去された処理物を適宜混合することにより、塩素分濃度の調整を行うことができる。また、溶融スラグ及び溶融メタルの温度は、前述したように、焼却灰に対するコークスの投入量で制御することができる。
【0020】
(実施例)
以下、本発明の処理物からの金属回収方法をさらに具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
実施例では、直径3.3m、深さ1.8m:容積15.4mの交流サブマージ式電気炉を用いた。この交流サブマージ式電気炉は、図1に示すように、円筒容器形状の電気炉本体1が炉蓋2で覆われており、炉蓋2には3本のカーボン電極3a、3b,3cが正三角形の頂点の位置に高さ調節可能に立設されている。カーボン電極3a、3b,3cは、三相交流電源4に接続されている。また、炉蓋2には原料投入口5が設けられており、スクリューフィーダー6によって運ばれたごみ焼却灰及びコークスAが原料投入口5から電気炉本体1内に投入可能とされている。
また、炉蓋2には排ガス管7が取り付けられており、排ガス管7は、図示しないでバグフィルターに接続されている。
さらに電気炉本体1の底には出湯口8が開閉可能に接続されており、電気炉本体1の溶融スラグS及び溶融メタルMを鉄製鍋9に取り出し可能とされている。
【0021】
以上のように構成された交流サブマージドアーク炉によってごみ焼却灰の溶融処理を、表1に示す4つの条件(基本条件、条件1、条件2及び条件3)で行なった。表中の滞留時間とは、溶融スラグ及び溶融メタルを出湯口8から定期的に取り出す時間間隔をいう。また、塩素分の調整は、ごみ焼却施設から得られたごみ焼却灰を水に投入して塩分を抽出除去し乾燥させた脱塩ごみ焼却灰と、ごみ焼却灰を処理せずに用いた無処理ごみ焼却灰との混合割合によって調節した。また、電流は13,000A、電圧150Vとした。
【0022】
【表1】
JP0005415013B2_000002t.gif

【0023】
4つの条件(基本条件、条件1、条件2及び条件3)における出湯口8から出たスラグの温度及び回収された溶融飛灰、溶融スラグ及び溶融メタルの算出割合を表2に示す。
【0024】
【表2】
JP0005415013B2_000003t.gif

【0025】
こうして、4つの条件(基本条件、条件1、条件2及び条件3)で得られた溶融飛灰、溶融スラグ及び溶融メタルを粉砕した後、表3に示す方法で前処理(溶液化)した後、溶液に含まれる元素をICP-AES、ICP-MS、原子吸光及びイオンクロマト法によって行なった。分析した元素は表4に示すとおりであり、分析方法の詳細は表5に示すとおりである。
【0026】
【表3】
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【0027】
【表4】
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【0028】
【表5】
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【0029】
<分析結果>
溶融飛灰中に含まれている金属の濃度を図2に、溶融メタル中の金属の濃度を図3に、溶融スラグ中の金属の濃度を図4にそれぞれ示す。
図2から、溶融飛灰中に多く含まれているZnは、基本条件より条件1(コークス添加量を上げて、溶融温度を高くする)、条件2(無処理ごみ焼却灰を入れて塩素量を上げる)、条件3(滞留時間を長くする)での含有量が高い。その中で、滞留時間を6時間と長くした条件3で、一番含有量が高くなった。鉛の場合は後述する分析データから、条件1,2,3のほうが基本条件より溶融飛灰中の含有量が若干高いことが分かった。
【0030】
また図3に示すように、溶融メタルに多く含まれているCuは条件1(コークス添加量を上げることにより溶融温度及び還元度上昇)で含有量が高くなった。また、Au、Ag、Pbも条件1で、溶融メタル中含有量が高くなっている。Sbは条件1と2で含有量が高い。スラグ中PbとZnの含有量は基本条件のほうが、条件1,2,3よりも高くなった。これは、条件1,2,3で多くのPb、Znが溶融飛灰又は溶融メタルに移行したことによると推定される。
【0031】
以上の金属回収のための最適条件は、溶融メタルや溶融飛灰に含まれている金属の濃度の観点からのみで評価した場合であるが、実際に金属を回収して資源的価値を有するか否かについては、濃度以外に量も関係する。すなわち、有価金属が高濃度で含まれており、かつ多量に産出されるものであれば、資源的価値を持つ(すなわち、図5におけるB領域)。そこで、処理物1kgを溶融処理する際に発生する溶融飛灰又は溶融メタルに含まれている金属の総量を計算し、溶融飛灰又は溶融メタル中の金属の濃度と一緒にプロットすることにより最適溶融条件の評価を行なった。
【0032】
(溶融飛灰)
溶融飛灰についての結果を図6に示す。溶融飛灰に分配される金属元素中ZnとPbは条件3が最適である。Bi、Ga、Ge、Sb、Teは基本条件が最適である。Agは、絶対量は少ないが、条件1と2で含有量が高くなっている。
【0033】
(溶融メタル)
また、溶融メタルについては、図7に示すように、Cu、Ag、Au、Ge、Vは条件1で含有量と絶対量、両方とも高くなっている。Wは他の条件に比較して、条件3で著しく含有量及び絶対量が高い。Sbは基本条件から条件1,2,3に変化することにより含有量及び絶対量が増加する。
【0034】
以上のように、本発明の処理物からの金属回収方法では、還元溶融炉を利用した処理物からの金属回収方法において、溶融条件を制御することにより、溶融スラグや溶融メタルや溶融飛灰中に含まれるレアメタル等の各種の金属を、効率よく回収し利用できる。
【0035】
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例で用いたサブマージドアーク炉の模式図である。
【図2】溶融飛灰の分析結果を示すグラフである。
【図3】溶融メタルの分析結果を示すグラフである。
【図4】溶融スラグの分析結果を示すグラフである。
【図5】最適溶融条件を示す概念図である。
【図6】溶融飛灰についての処理物1kgを溶融処理する際に発生する金属の量と、溶融飛灰の金属の濃度とをプロットしたグラフである。
【図7】溶融メタルについての処理物1kgを溶融処理する際に発生する金属の量と、溶融飛灰の金属の濃度とをプロットしたグラフである。
【符号の説明】
【0037】
A…ごみ焼却灰
C…コークス(カーボン質物質)
S…溶融スラグ
M…溶融メタル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6