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明細書 :画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6007312号 (P6007312)
登録日 平成28年9月16日(2016.9.16)
発行日 平成28年10月12日(2016.10.12)
発明の名称または考案の名称 画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
国際特許分類 G06T  17/05        (2011.01)
G06T   1/00        (2006.01)
G09B  29/00        (2006.01)
FI G06T 17/05
G06T 1/00 315
G09B 29/00 Z
請求項の数または発明の数 11
全頁数 19
出願番号 特願2015-504285 (P2015-504285)
出願日 平成26年2月28日(2014.2.28)
国際出願番号 PCT/JP2014/055165
国際公開番号 WO2014/136694
国際公開日 平成26年9月12日(2014.9.12)
優先権出願番号 2013044907
優先日 平成25年3月7日(2013.3.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年8月5日(2015.8.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
【識別番号】508239045
【氏名又は名称】有限会社地球情報・技術研究所
発明者または考案者 【氏名】井上 誠
【氏名】矢島 太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100166006、【弁理士】、【氏名又は名称】泉 通博
審査官 【審査官】千葉 久博
参考文献・文献 特開2004-93632(JP,A)
特開2003-5634(JP,A)
特開2013-196151(JP,A)
井上誠, 外3名,”ASTERGDEM2及びSRTM-3DEMから作る精密傾斜量図について-地質情報との関連において-”,日本情報地質学会シンポジウム2013 地質情報等の三次元モデリングとCIMについて 講演論文集,日本,日本情報地質学会,2013年10月29日,[online],p.37-40,[検索日 2014.03.25]、インターネット<URL:http://www.jsgi.org/2013symposium/symposium2013_proceeding.pdf>
井上誠, 外1名,”傾斜量図におけるASTERGDEMに対してのフィルター効果について”,資源・素材学会春季大会講演集,日本,一般社団法人資源・素材学会,2012年 3月26日,2012巻,p.355-356
井上誠, 外1名,”SRTM90mDEMに対してのフィルター効果について-利点と欠点-”,資源・素材学会春季大会講演集,日本,一般社団法人資源・素材学会,2011年 9月26日,2011巻,p.365-368
調査した分野 G06T 17/05
G06T 1/00
G09B 29/00
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の地図領域における格子状のエリアのそれぞれの数値標高を示すDEMデータを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記DEMデータが示す前記所定の地図領域における地形の傾向を算出する傾向算出部と、
前記傾向算出部が算出した前記地形の傾向に基づいて、複数のラインフィルタであって、前記地図領域において一方向に連続するデータのフィルタリングを行うフィルタと、複数のマトリクスフィルタであって、前記地図領域において2次元領域を構成するデータのフィルタリングを行うフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択する選択部と、
前記選択部により選択されたフィルタにより、前記取得部により取得された前記DEMデータのフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、
前記フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する出力部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記取得部により取得された前記DEMデータ内の所定のウィンドウ幅において最大値のデータの平滑化を行う平滑処理部をさらに備え、
前記フィルタ処理部は、前記選択部により選択されたフィルタにより、前記平滑化が行われた前記DEMデータのフィルタ処理を行う、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記傾向算出部は、前記所定の地図領域を複数の領域に分割し、分割された当該複数の領域それぞれの地形の傾向を算出し、
前記選択部は、前記複数の領域それぞれに対して、算出された前記地形の傾向に基づいて、前記複数のラインフィルタ及び前記複数のマトリクスフィルタのうち、少なくともいずれかを選択する、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記平滑処理部は、算出された前記地形の傾向に基づいて、前記ウィンドウ幅を決定する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記平滑処理部は、算出された前記地形の傾向に基づいて前記平滑化を行う回数を決定する、
請求項2又は4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記平滑処理部は、前記DEMデータが示す前記所定の地図領域における一方向に前記平滑化を行うとともに、当該一方向と直交する方向に前記平滑化を行い、それぞれの平滑化の結果の平均値を算出する、
請求項2、及びのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
DEMデータが示す前記所定の地図領域の位置と、当該位置における当該DEMデータの生成に利用された衛星画像データ数とを関連付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記平滑処理部は、前記記憶部を参照して前記取得部により取得された前記DEMデータの生成に利用された衛星画像データ数を特定し、特定された衛星画像データ数に基づいて前記平滑化を行う回数を決定する、
請求項2、及びのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記フィルタ処理が行われる前のDEMデータが格納されているファイルのファイル名に前記選択部が選択したフィルタの識別情報を付したファイル名のファイルを生成し、当該ファイルに前記フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する、
請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
所定の地図領域における格子状のエリアのそれぞれの数値標高を示すDEMデータを取得する工程と、
前記取得する工程において取得された前記DEMデータが示す前記所定の地図領域における地形の傾向を算出する工程と、
前記算出する工程において算出された前記地形の傾向に基づいて、複数のラインフィルタであって、前記地図領域において一方向に連続するデータのフィルタリングを行うフィルタと、複数のマトリクスフィルタであって、前記地図領域において2次元領域を構成するデータのフィルタリングを行うフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択する工程と、
前記選択する工程において選択されたフィルタにより、前記取得する工程において取得された前記DEMデータのフィルタ処理を行う工程と、
前記フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する工程と、
を備える画像処理方法。
【請求項10】
前記DEMデータを構成するデータの平滑化を行う工程をさらに備え、
記フィルタ処理を行う工程において、前記平滑化が行われた前記DEMデータのフィルタ処理を行う、
請求項に記載の画像処理方法。
【請求項11】
所定の地図領域における格子状のエリアのそれぞれの数値標高を示すDEMデータを取得する工程と、
前記取得する工程において取得された前記DEMデータが示す前記所定の地図領域における地形の傾向を算出する工程と、
前記算出する工程において算出された前記地形の傾向に基づいて、複数のラインフィルタであって、前記地図領域において一方向に連続するデータのフィルタリングを行うフィルタと、複数のマトリクスフィルタであって、前記地図領域において2次元領域を構成するデータのフィルタリングを行うフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択する工程と、
前記選択する工程において選択されたフィルタにより、前記取得する工程において取得された前記DEMデータのフィルタ処理を行う工程と、
前記フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する工程と、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機又は人工衛星等からリモートセンシング技術により得られるステレオペア画像を用いて作成された、所定の地図領域において格子状のエリアのそれぞれの数値標高を示すデータであるDEM(Digital Elevation Model:数値標高モデル)データが提供されている。例えば、DEMデータとして、SRTM(Shuttle Radar Topography Mission)から作成されたDEMデータ(SRTM DEM)及びASTER(Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection Radiometer:次世代高性能光学センサ)によって作成されたDEMデータ(ASTER GDEM)がある。
【0003】
近年、コンピュータにより、これらのDEMデータを用いた地形解析が行われており、例えば、これらのDEMデータを用いて作成した傾斜量図等に基づいて地質構造解析を行うことが提案されている。
【0004】
ところで、リモートセンシング技術を用いて作成されたDEMデータには、人工衛星の軌道の揺らぎ、ステレオペア画像の精度不足に起因したノイズ成分が含まれている。さらに、DEMデータを作成するためのステレオペア画像が異なる日時に取得された場合、大気の影響等によって、これらの画像間で差異が生じ、ノイズ成分が含まれてしまう。これらのノイズ成分は、DEMデータに含まれる各地点の数値標高の誤差の原因となり、地質構造解析の解析精度の低下を招く。
【0005】
そこで、非特許文献1において、本発明者等は、地図領域において2次元領域を構成する標高データを加重移動平均法によって平滑化するマトリクスフィルタによる処理又は地図領域において一方向に連続するデータのフィルタリングを行うラインフィルタによる処理を行うことにより、SRTM DEMにおけるノイズ成分を除去する方法を提案した。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】井上誠、矢島太郎、「SRTM90mDEMに対してのフィルター効果について-利点と欠点-」、資源素材学会春季大会講演集、2011、(I)資源編、A12-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、多くの地図領域において高精度の地質構造解析を行う場合、これらの地図領域のそれぞれに対応した多数のDEMデータについて、適切なノイズ除去を行うことが必要となる。しかしながら、これらのDEMデータに含まれるノイズの傾向は、DEMデータが示す地形、及び大気の影響等により異なるため、1つのDEMデータに適したフィルタが、他のDEMデータに適したフィルタであるとは限らない。
【0008】
そこで、複数のDEMデータのそれぞれにとってノイズの除去に適したフィルタとして、有効な複数のラインフィルタと複数のマトリクスフィルタからいずれかのフィルタを効率的に選択することが望まれている。
【0009】
本発明は、DEMデータのノイズの除去に適したラインフィルタとマトリクスフィルタとを効率的に選択することができる画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、所定の地図領域における格子状のエリアのそれぞれの数値標高を示すDEMデータを取得する取得部と、複数のラインフィルタであって、前記地図領域において一方向に連続するデータのフィルタリングを行うフィルタと、複数のマトリクスフィルタであって、前記地図領域において2次元領域を構成するデータのフィルタリングを行うフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択する選択部と、前記選択部により選択されたフィルタにより、前記取得部により取得された前記DEMデータのフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、前記フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する出力部と、を備える。
【0011】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記取得部により取得された前記DEMデータ内の所定のウィンドウ幅において最大値のデータの平滑化を行う平滑処理部をさらに備え、前記フィルタ処理部は、前記選択部により選択されたフィルタにより、前記平滑化が行われた前記DEMデータのフィルタ処理を行うようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記取得部により取得された前記DEMデータが示す前記所定の地図領域における地形の傾向を算出する傾向算出部をさらに備え、前記選択部は、算出された前記地形の傾向に基づいて前記複数のラインフィルタ及び前記複数のマトリクスフィルタのうち、少なくともいずれかを選択してもよい。
【0013】
また、本発明に係る画像処理装置では、前記傾向算出部は、前記所定の地図領域を複数の領域に分割し、分割された当該複数の領域それぞれの地形の傾向を算出し、前記選択部は、前記複数の領域それぞれに対して、算出された前記地形の傾向に基づいて、前記複数のラインフィルタ及び前記複数のマトリクスフィルタのうち、少なくともいずれかを選択してもよい。
【0014】
また、本発明に係る画像処理装置では、前記平滑処理部は、算出された前記地形の傾向に基づいて、前記ウィンドウ幅を決定してもよい。
【0015】
また、本発明に係る画像処理装置では、前記平滑処理部は、算出された前記地形の傾向に基づいて前記平滑化を行う回数を決定してもよい。
【0016】
また、本発明に係る画像処理装置では、前記平滑処理部は、前記DEMデータが示す前記所定の地図領域における一方向に前記平滑化を行うとともに、当該一方向と直交する方向に前記平滑化を行い、それぞれの平滑化の結果の平均値を算出してもよい。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置では、DEMデータが示す前記所定の地図領域の位置と、当該位置における当該DEMデータの生成に利用された衛星画像データ数とを関連付けて記憶する記憶部をさらに備え、前記平滑処理部は、前記記憶部を参照して前記取得部により取得された前記DEMデータの生成に利用された衛星画像データ数を特定し、特定された衛星画像データ数に基づいて前記平滑化を行う回数を決定してもよい。
【0018】
また、本発明に係る画像処理装置では、前記取得部は、ラスタデータ形式の前記DEMデータを取得し、前記ラスタデータ形式のDEMデータをテキストデータ形式に変換する変換部をさらに備え、前記フィルタ処理部及び前記平滑処理部は、テキストデータ形式に変換されたDEMデータのフィルタ処理を行い、前記変換部はさらに、前記フィルタ処理が行われたDEMデータをラスタデータ形式に変換し、前記出力部は、ラスタデータ形式に変換されたDEMデータを出力してもよい。
【0019】
また、本発明に係る画像処理装置では、前記選択部は、ユーザから、前記複数のラインフィルタ及び前記複数のマトリクスフィルタから選択を受け付けることによって、前記複数のラインフィルタ及び前記複数のマトリクスフィルタのうち、少なくともいずれかを選択してもよい。
【0020】
また、本発明に係る画像処理装置では、前記出力部は、前記フィルタ処理が行われる前のDEMデータが格納されているファイルのファイル名に前記選択部が選択したフィルタの識別情報を付したファイル名のファイルを生成し、当該ファイルに前記フィルタ処理が行われたDEMデータを出力してもよい。
【0021】
本発明に係る画像処理方法は、所定の地図領域における格子状のエリアのそれぞれの数値標高を示すDEMデータを取得する工程と、複数のラインフィルタであって、前記地図領域において一方向に連続するデータのフィルタリングを行うフィルタと、複数のマトリクスフィルタであって、前記地図領域において2次元領域を構成するデータのフィルタリングを行うフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択する工程と、前記選択する工程において選択されたフィルタにより、前記取得する工程において取得された前記DEMデータのフィルタ処理を行う工程と、前記フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する工程と、を備える。
【0022】
また、本発明に係る画像処理方法は、前記DEMデータが示す前記所定の地図領域における地形の傾向を算出する工程と、前記DEMデータを構成するデータの平滑化を行う工程と、をさらに備え、前記選択する工程において、前記地形の傾向に基づいて前記複数のラインフィルタと、複数のマトリクスフィルタとから少なくともいずれかのフィルタを選択し、前記フィルタ処理を行う工程において、前記平滑化が行われた前記DEMデータのフィルタ処理を行ってもよい。
【0023】
本発明に係る画像処理プログラムは、所定の地図領域における格子状のエリアのそれぞれの数値標高を示すDEMデータを取得する工程と、複数のラインフィルタであって、前記地図領域において一方向に連続するデータのフィルタリングを行うフィルタと、複数のマトリクスフィルタであって、前記地図領域において2次元領域を構成するデータのフィルタリングを行うフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択する工程と、前記選択する工程において選択されたフィルタにより、前記取得する工程において取得された前記DEMデータのフィルタ処理を行う工程と、前記フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する工程と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、DEMデータのノイズの除去に適したラインフィルタとマトリクスフィルタとを効率的に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の機能構成図である。
【図2】DEMデータを取得するための画面の一例を示す図である。
【図3】平滑処理部による処理の例を示す図である。
【図4】画像処理装置の制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
【図5A】加重移動平均フィルタの3×3マトリックスの加重係数の一例を示す表である。
【図5B】加重移動平均フィルタの5×5マトリックスの加重係数の一例を示す表である。
【図6A】DEMデータにおける標高データ中のノイズを示す図である。
【図6B】DEMデータにおける標高データ中のノイズを示す図である。
【図6C】DEMデータにおける標高データ中のノイズを示す図である。
【図6D】DEMデータにおける標高データ中のノイズを示す図である。
【図7A】平滑処理を適用した例を示す図である。
【図7B】平滑処理を適用した例を示す図である。
【図7C】平滑処理を適用した例を示す図である。
【図7D】平滑処理を適用した例を示す図である。
【図7E】平滑処理を適用した例を示す図である。
【図7F】平滑処理を適用した例を示す図である。
【図8A】フィルタ処理を行う前のSRTM DEMを示す図である。
【図8B】フィルタ処理を行った後のSRTM DEMを示す図である。
【図9A】フィルタ処理を行う前のSRTM DEMから作成された傾斜量図である。
【図9B】フィルタ処理を行った後のSRTM DEMから作成された傾斜量図である。
【図10】図9A及び図9Bに示す傾斜量図と同地域の地質図である。
【図11A】平滑化を行わずにフィルタ処理を行って得られたDEMデータから作成された傾斜量図である。
【図11B】平滑化を行った後にフィルタ処理を行って得られたDEMデータから作成された傾斜量図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施形態>
[画像処理装置1の構成例]
図1は、本実施形態に係る画像処理装置1の機能構成図である。画像処理装置1は、表示部10と、入力部20と、記憶部30と、制御部40と、を備える。

【0027】
表示部10は、例えば、液晶ディスプレイにより構成される。表示部10は、制御部40の制御に応じて各種情報を表示する。
入力部20は、例えば、マウス又はキーボードにより構成される。入力部20は、ユーザから、各種情報の入力を受け付け、受け付けられた情報を制御部40に出力する。

【0028】
記憶部30は、例えば、ROM及びRAM、並びにハードディスク等により構成される。記憶部30は、画像処理装置1を機能させるための各種プログラム(図示省略)を記憶する。記憶部30は、例えば、DEMデータと、ラインフィルタ及びマトリクスフィルタに係るプログラムとを記憶する。

【0029】
また、記憶部30は、地形の傾向を示す情報と、当該地形の傾向に適したフィルタのフィルタ名と、このフィルタによるフィルタ処理を行う順番とを関連付けて、傾向別フィルタ情報として記憶する。すなわち、記憶部30は、1つの地形の傾向を示す情報に、少なくとも1つのフィルタのフィルタ名及び少なくとも1つの係数を関連付けて記憶する。また、記憶部30は、後述のDEMデータが示す所定の地図領域の位置と、当該位置におけるASTER GDEMデータの生成に利用されたASTERデータの数とを関連付けて、生成データ数情報として記憶する。ここで、生成データ数は、ASTER GDEMデータの生成に利用されたASTERデータの数でもよいし、「多い」、「やや多い」、「少ない」等を数値化した情報でもよい。

【0030】
制御部40は、例えば、CPUにより構成される。制御部40は、記憶部30により記憶されている、画像処理装置1を機能させるための各種プログラムを実行することにより、画像処理装置1に係る機能を統括的に制御する。具体的には、制御部40は、取得部41と、傾向算出部42と、選択部43と、変換部44と、平滑処理部45と、フィルタ処理部46と、出力部47と、傾斜量図作成部48と、を備える。

【0031】
取得部41は、所定の地図領域における格子状のエリアのそれぞれの数値標高を示すDEMデータを取得する。具体的には、取得部41は、画像処理装置1の表示部10にDEMデータを取得するための画面を表示させ、当該画面を介してDEMデータの格納場所を受け付ける。そして、取得部41は、受け付けた格納場所を参照してDEMデータを取得する。

【0032】
DEMデータは、航空機又は人工衛星等からリモートセンシング技術により得られるステレオペア画像を用いて作成される。DEMデータは、例えば、SRTM DEM及びASTER GDEMである。

【0033】
SRTM DEMは、スペースシャトルから並行に2つのレーダセンサを用いて同時に取得されたステレオペア画像に基づいて作成される、比較的ノイズの少ない高精度のDEMデータである。
ASTER GDEMは、ASTERセンサに搭載された直下視光学センサと後方視光学センサとを用いて異なるタイミングで取得されたステレオペア画像に基づいて作成される。これらのステレオペア画像は、異なるタイミングで取得されるので、撮影時の大気の状態が異なる等の影響を受ける場合がある。このため、ASTER GDEMは、SRTM DEMに比べてノイズ成分が多い。
また、これらのDEMデータの各々の地点のデータ値には、軌道縞、広範的なざらつきノイズ、局所的なスパイクノイズ等の各種ノイズ成分が含まれている場合がある。

【0034】
図2は、DEMデータを取得するための画面11の一例を示す図である。
図2に示すように、画面11には、選択ボタン12と、取得ボタン13が設けられている。取得部41は、この選択ボタン12が押下されると、DEMデータの所在を示す情報の入力を受け付けるダイアログを表示部10に表示させる。取得部41は、入力が受け付けられると、受け付けた情報を入力欄14に表示させる。取得部41は、ダイアログから受け付けられた情報が入力欄14に入力された状態で、取得ボタン13が押下されると、この入力された情報に基づいてDEMデータを取得する。なお、本実施形態において、取得部41は、ラスタデータ形式のDEMデータを取得するものとする。

【0035】
傾向算出部42は、取得部41により取得されたDEMデータが示す所定の地図領域における地形の傾向を算出する。具体的には、傾向算出部42は、取得部41により取得されたDEMデータを構成する格子状のデータ値に基づいて、所定の地図領域における標高分布を算出し、この標高分布に基づいて地形の傾向を算出する。傾向算出部42は、地形の傾向として、この標高分布に基づいて所定の地図領域における平均傾斜量、標高の標準偏差、標高の分散及び平均起伏量を算出する。ここで、傾向算出部42は、この平均傾斜量に基づいて、所定の地図領域が、山岳部又は平坦部のいずれであるかを判定してもよい。

【0036】
また、傾向算出部42は、所定の地図領域を複数の領域に分割し、分割された当該複数の領域それぞれの地形の傾向を算出してもよい。例えば、傾向算出部42は、所定の領域を構成するデータ数に応じて分割する数を決定してもよいし、入力部20を介して分割する数を受け付けることにより分割する数を決定してもよい。

【0037】
選択部43は、複数のラインフィルタ及び複数のマトリクスフィルタのうち、少なくともいずれかを選択する。具体的には、選択部43は、傾向算出部42によって算出された地形の傾向に基づいて、複数のラインフィルタと複数のマトリクスフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択する。すなわち、選択部43は、記憶部30に記憶されている傾向別フィルタ情報を参照し、傾向算出部42によって算出された地形の傾向に関連付けられているフィルタのフィルタ名と、当該フィルタによるフィルタ処理を行う順番とを特定する。これにより、選択部43は、複数のラインフィルタと複数のマトリクスフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択する。

【0038】
なお、傾向算出部42により、所定の地図領域を構成する複数の領域それぞれの地形の傾向を算出する場合、選択部43は、複数の領域それぞれについて算出された地形の傾向に基づいて、これら複数の領域それぞれに対するフィルタを選択する。

【0039】
ここで、ラインフィルタとマトリクスフィルタとについて説明する。
ラインフィルタとは、DEMデータが示す地図領域において一方向(例えば、東西方向又は南北方向)に連続するデータのフィルタリングを行うフィルタをいう。本実施形態では、ラインフィルタとして、例えば、適応化平滑化フィルタ(Kawata-Minamiフィルタ)、及び多項式適合平滑化フィルタ(Savitzky-Golayフィルタ)を用いる。

【0040】
適応化平滑化フィルタは、フィルタリングを行う区間を構成するデータ値のうち最大値を変更することなく、分散の大きい区間のみを平滑化するフィルタである。適応化平滑化フィルタは、最大値を変更しないので、周囲の値に比べて著しく大きい値を持つデータ値、すなわち、スパイクノイズを含むデータ値を平滑化しないという特性を有する。

【0041】
多項式適合平滑化フィルタは、全てのデータが不確かであるものとし、フィルタリングの対象区間内の各データ値に対して重み付けを行った最小二乗法により多項式を近似して値を修正するフィルタである。

【0042】
マトリクスフィルタとは、地図領域において2次元領域を構成するデータのフィルタリングを行うフィルタをいう。本実施形態では、マトリクスフィルタとして、例えば、メディアンフィルタ、加重移動平均フィルタ等を用いる。

【0043】
メディアンフィルタは、2次元領域(例えば、変換対象データを中心とした3×3領域又は5×5領域)におけるデータ値を小さい順に並べて中間に位置するデータ値を算出し、この2次元領域中央のデータ値を、中間のデータ値に変換するフィルタである。メディアンフィルタは、斑点状のノイズの除去に有効なフィルタである。

【0044】
加重移動平均フィルタは、2次元領域(例えば、変換対象データを中心とした3×3領域又は5×5領域)を構成するデータ値のそれぞれに対して重み付けを行って平均値を算出し、この2次元領域中央のデータ値を当該平均値に変換するフィルタである。本実施形態において用いる加重移動平均フィルタでは、2次元領域中央のデータ値の重み付け値が、当該2次元領域における他のデータに比べて小さい値に設定されている。

【0045】
なお、マトリクスフィルタの2次元領域のサイズ(以下、2次元領域のサイズをウィンドウ幅という。)は、予め設定されているものとするが、入力部20を介して変更可能である。例えば、図2における入力欄15、16は、マトリクスフィルタのウィンドウ幅の入力を受け付けるためのテキストボックスである。入力欄15は、X軸(東西方向)のウィンドウ幅の入力を受け付け、入力欄16は、Y軸(南北方向)のウィンドウ幅の入力を受け付ける。選択部43は、この入力欄15、16に入力された値に基づいてウィンドウ幅を決定してもよい。

【0046】
また、選択部43は、傾向算出部42によって算出された地形の傾向に基づいて、選択するフィルタにおいて用いられる重み付け値等のフィルタ係数を変化させるようにしてもよい。

【0047】
また、選択部43は、DEMデータの種類に基づいてフィルタを選択してもよい。例えば、選択部43は、DEMデータがSRTM DEMである場合、ラインフィルタを優先的に選択してもよい。また、DEMデータがASTER GDEMである場合、マトリクスフィルタとラインフィルタとを選択してもよい。この場合において、記憶部30に予めDEMデータの種類と、この種類に応じたフィルタ名とを関連付けて記憶しておき、選択部43が、取得部41により取得したDEMデータの種類を判別して当該種類に関連付けられているフィルタを選択してもよい。
また、選択部43は、DEMデータを構成するデータの個数又はDEMデータの拡大縮小状態に応じて、選択するフィルタを変更してもよい。

【0048】
なお、選択部43は、入力部20を介してフィルタの選択を受け付けるようにしてもよいし、選択部43により選択されたフィルタの中から、入力部20を介して、さらにフィルタの選択を受け付けるようにしてもよい。例えば、選択部43は、図2に示すように、各フィルタの選択を受け付けるためのボタンを設けておき、このボタンの選択状況に応じてフィルタを選択してもよい。

【0049】
変換部44は、取得部41により取得されたラスタデータ形式のDEMデータをテキストデータ形式に変換する。また、変換部44は、フィルタ処理部46によりフィルタ処理が行われたテキストデータ形式のDEMデータをラスタデータ形式に変換する。

【0050】
平滑処理部45は、取得部41により取得されたDEMデータ内の所定のウィンドウ幅において最大値のデータの平滑化を行う。ここでのウィンドウ幅とは、DEMデータを構成するデータにおける、一方向に連続するデータの数をいう。すなわち、平滑処理部45は、DEMデータを構成するデータを一方向に連続する所定数のデータに区切り、それぞれの所定数のデータごとに平滑化を行う。

【0051】
図3を用いて平滑処理部45の処理の例について説明する。図3は、平滑処理部45による処理の例を示す図である。
平滑処理部45は、DEMデータ内で、ウィンドウ幅におけるデータを、平滑化を行う範囲に決定する。図3(a)は、ウィンドウ幅を6とし、平滑化を行う範囲を決定した例である。そして、平滑処理部45は、当該ウィンドウ幅におけるデータの最大値を、当該範囲に含まれるデータのデータ値の平均値又は多項式適合平滑化(Savitzky-Golay法)で得られた値に変換する。なお、平滑処理部45は、最大値をとるデータを除いて平均値又は多項式適合平滑化(Savitzky-Golay法)で得られた値を算出する。続いて、平滑処理部45は、平滑化を行う範囲を移動させ、移動後の範囲において平滑化を行う。図3(b)は、図3(a)におけるそれぞれのウィンドウ幅において、最大値のデータを、このウィンドウ幅に含まれるデータのデータ値の平均値に変換した例を示す。このようにして、平滑処理部45は、DEMデータ内の全データの範囲について平滑化を行う。

【0052】
平滑処理部45は、傾向算出部42によって算出された地形の傾向に基づいて、一回の平滑化における平滑化対象のデータの範囲を規定するウィンドウ幅を決定してもよい。例えば、記憶部30に、地形の傾向と、この地形の傾向に対応するウィンドウ幅とを関連付けて記憶させておき、平滑処理部45が、記憶部30を参照し、傾向算出部42によって算出された地形の傾向に対応するウィンドウ幅を特定してもよい。例えば、地形の傾向に対応するウィンドウ幅は、予想される地形の変化幅に対して狭い範囲となるように決定される。

【0053】
また、平滑処理部45は、入力部20を介してウィンドウ幅を受け付けるようにしてもよい。例えば、図2における入力欄17は、ラインフィルタのウィンドウ幅の入力を受け付けるためのテキストボックスである。平滑処理部45は、この入力欄17に入力された値に基づいてラインフィルタのウィンドウ幅を決定してもよい。

【0054】
また、平滑処理部45は、DEMデータ全体の平滑化を行う際に、処理結果を表示部10にリアルタイムで表示させてもよい。例えば、平滑処理部45は、DEMデータ全体の平滑化を複数回行う場合に、すでに表示されている処理結果に対して、新たな平滑化の処理結果を上書きして表示させてもよい。このようにすることで、ユーザは、平滑化の処理途中においてノイズの除去状況を把握することができる。

【0055】
また、平滑処理部45は、傾向算出部42によって算出された地形の傾向に基づいて、平滑化を行う回数を決定してもよい。すなわち、平滑処理部45は、DEMデータ内の全データについて平滑化を行う処理を複数回繰り返してもよい。例えば、ASTER DEMデータでは、平均傾斜量が5°以下の地形において、スパイクノイズを含む可能性が高い。そこで、平滑処理部45は、傾向算出部42によって算出された平均傾斜量が5°以下の場合、平均傾斜量が5°より大きい場合に比べて平滑化を行う回数を多く決定する。なお、記憶部30に、平均傾斜量と平滑化回数とを関連付けて記憶させておき、平滑処理部45が、傾向算出部42によって算出された平均傾斜量に対応する平滑化回数を取得してもよい。

【0056】
また、平滑処理部45は、DEMデータが示す所定の地図領域における一方向に平滑化を行うとともに、当該一方向と直交する方向に平滑化を行い、それぞれの平滑化の結果の平均値を算出してもよい。すなわち、平滑処理部45は、DEMデータが示す所定の地図領域において南北方向に平滑化を行うとともに、東西方向に平滑化を行う。そして、平滑処理部45は、DEMデータを構成するそれぞれのデータのデータ値を、南北方向の平滑化により算出された場合の当該データのデータ値と、東西方向の平滑化により算出された当該データのデータ値との平均値とする。

【0057】
また、平滑処理部45は、DEMデータが示す所定の地図領域における一方向に平滑化を行い、当該平滑化されたデータに対して、当該一方向と直交する方向に平滑化を行ってもよい。このようにすることで、画像処理装置1は、例えば東西方向のウィンドウ幅におけるデータに対して、連続して複数のスパイクノイズが含まれている場合でもあっても、南北方向のウィンドウ幅における平滑化を行うことで、当該スパイクノイズを除去することができる。

【0058】
また、平滑処理部45は、記憶部30を参照し、取得部41により取得されたASTER GDEMデータの生成に利用されたASTERデータの数を特定し、特定されたASTERデータの数に基づいて平滑化を行う回数を決定してもよい。例えば、平滑処理部45は、特定されたASTERデータの数が多い場合にはスパイクノイズが除去されたDEMデータである可能性が高いので、平滑化を行う回数を少なくし、特定されたASTERデータの数が少ない場合、平滑化を行う回数を多くしてもよい。すなわち、平滑処理部45は、特定されたASTERデータの数が多い場合、特定されたASTERデータの数が少ない場合に比べて、平滑化を行う回数を少なくしてもよい。

【0059】
フィルタ処理部46は、選択部43により選択されたフィルタにより、取得部41により取得され平滑処理部45により平滑化が行われたDEMデータのフィルタ処理を行う。ここで、フィルタ処理部46は、選択部43により複数のフィルタが選択されている場合、選択部43により決定されたフィルタの処理順にしたがって、DEMデータのフィルタ処理を行う。なお、フィルタ処理部46は、テキストデータに変換されたDEMデータのフィルタ処理を行うものとする。

【0060】
また、フィルタ処理部46は、ラインフィルタによるフィルタリングを行う場合、DEMデータが示す所定の地図領域における一方向にフィルタリングを行うとともに、当該一方向と直交する方向にフィルタリングを行い、それぞれのフィルタリングの結果の平均値を算出してもよい。

【0061】
また、フィルタ処理部46は、入力部20を介してフィルタの実行指示を受け付けてもよい。例えば、図2における実行ボタン18は、フィルタ処理部46によるフィルタ処理の実行指示を受け付けるためのボタンである。フィルタ処理部46は、この実行ボタン18が押下されたことに応じてDEMデータのフィルタ処理を行ってもよい。

【0062】
出力部47は、フィルタ処理部46によりフィルタ処理が行われ、変換部44によりラスタデータ形式に変換されたDEMデータをファイルに出力する。具体的には、出力部47は、フィルタ処理が行われる前のDEMデータが格納されているファイルのファイル名に選択部43が選択したフィルタの識別情報を付したファイル名のファイルを生成し、当該ファイルに、フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する。

【0063】
例えば、出力部47は、フィルタ処理が行われ、ラスタデータ形式に変換されたDEMデータを格納するファイルのファイル名の末尾に、フィルタを識別するための拡張子を、当該フィルタのフィルタ処理順に追加してもよい。また、出力部47は、フィルタ処理が行われたDEMデータのファイル名に対して、平滑処理部45において用いられたウィンドウ幅を示す情報を追加してもよい。

【0064】
傾斜量図作成部48は、出力部47により出力されたDEMデータの傾斜量図を作成する。傾斜量図作成部48は、例えば、出力部47により出力されたDEMデータを構成する各々のデータのデータ値を、エッジ強調フィルタ等を用いて画像データに変換することにより傾斜量図を作成する。ここで、傾斜量図作成部48は、各々のデータについて、Sobel法、Prewitt法、又はRobert法を用いてエッジ処理を行って傾斜量図を作成してもよい(非特許文献1参照)。なお、傾斜量図作成部48は、作成した傾斜量図を表示部10に表示させてもよい。

【0065】
続いて、画像処理装置1の制御部40による処理の流れの一例について説明する。図4は、画像処理装置の制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
まず、取得部41は、ラスタファイル形式のDEMデータを取得する(S1)。続いて、傾向算出部42は、取得部41により取得されたDEMデータが示す所定の地図領域における地形の傾向を算出する(S2)。続いて、選択部43は、傾向算出部42により算出された地形の傾向に基づいて、複数のラインフィルタと、複数のマトリクスフィルタから少なくともいずれかのフィルタを選択する(S3)。続いて、変換部44は、取得部41により取得されたDEMデータを、テキストファイル形式のDEMデータに変換する(S4)。

【0066】
続いて、平滑処理部45は、テキストファイル形式に変換されたDEMデータについて、平滑化を行う(S5)。続いて、フィルタ処理部46は、平滑処理部45により平滑化が行われたDEMデータについて、選択部43により選択されたフィルタによりフィルタ処理を行う(S6)。続いて、変換部44は、フィルタ処理が行われたDEMデータをラスタファイル形式のDEMデータに変換する(S7)。続いて、出力部47は、変換部44によりラスタファイル形式に変換されたDEMデータをファイルに出力する(S8)。この際に、出力部47は、フィルタを識別するための拡張子をファイル名に追記する。続いて、傾斜量図作成部48は、出力部47により出力されたDEMデータの傾斜量図を作成する(S9)。

【0067】
[実データへの適用例]
図5Aは、加重移動平均フィルタの3×3マトリックスの加重係数の一例を示す表である。図5Bは、加重移動平均フィルタの5×5マトリックスの加重係数の一例を示す表である。
図6Aから図6Dは、DEMデータにおける標高データ中のノイズを示す図である。横軸は東経値を示し、縦軸は標高(m)を示している。
図6Aは、所定の2地点間の標高を示す、SRTM DEMの1201個の標高データ値を示す図である。図6Bは、図6Aで示した2地点におけるデータ値のうち、片方の地点を起点とした100個の標高のデータ値を示す図である。図6Cは、図6Aと同区間におけるASTER GDEMの3601個の標高データ値を示す図である。図6Dは、図6Bと同区間におけるASTER GDEMの300個のデータ値を示す図である。

【0068】
図6Aと図6Cとを比較するとわかるように、ASTER GDEMの標高データ中のノイズは、SRTM DEMの標高データ中のノイズに比べて大きい。また、図6Dに示されるように、ASTER GDEMにおける標高データ中のノイズの最大幅はおよそ15mである。また、図6Aと図6Cとを比較すると、ASTER GDEMにおいて、周囲のデータに比べて著しくデータ値が変化するスパイクノイズを有するデータの存在が確認できる。

【0069】
図7Aから図7Fは、平滑処理部45による平滑化を行った例を示す図である。横軸は北緯値を示し、縦軸は標高(m)を示している。具体的には、図7Aは、図6Cに示したASTER GDEMの3601個の標高データ値のうち、1番目のデータから1500番目のデータを示す。図7Bは、図7Aに示したASTER GDEMデータに対して、最大値及び最小値を平均値で置換する平滑処理を3回行った後のデータを示す。図7Cは、図7Bに示したデータに対して、最大値及び最小値を多項式適合平滑化値で置換する平滑処理を3回行った後のデータを示す。

【0070】
図7Dは、図7Cに示したデータに対して、多項式適合平滑化フィルタ(Savitzky-Golay)による平滑処理を1回行った後のデータを示す。図7Eは、図7Dに示したデータに対して、適応化平滑化フィルタ(Kawata-Minami)による平滑処理を1回行った後のデータを示す。図7Fは、図7Eに示したデータに対して、加重移動平均による平滑処理を1回行った後のデータを示す。図7Aから図7Fに示されるように、平滑化を行うことにより、スパイクノイズが平滑化されていることが確認できる。

【0071】
図8A及び図8Bは、SRTM DEMに対してフィルタ処理を行った例を示す図である。図8Aは、フィルタ処理部46によるフィルタ処理を行う前のSRTM DEMを示す図である。図8Bは、フィルタ処理部46によるフィルタ処理を行った後のSRTM DEMを示す図である。図8A及び図8Bに示されるように、フィルタ処理部46によるフィルタ処理によって、各領域における濃淡の差がなくなり、フィルタ処理が有効であることが確認できる。

【0072】
図9A及び図9Bは、SRTM DEMから作成された傾斜量図である。具体的には、図9Aは、フィルタ処理部46によるフィルタ処理を行う前のSRTM DEMから作成された傾斜量図である。図9Bは、フィルタ処理部46によるフィルタ処理を行った後のSRTM DEMから作成された傾斜量図である。図9Bに示される傾斜量図は、図9Aに示される傾斜量図に比べて地質及び地質構造が明瞭であることが確認できる。

【0073】
図10は、図9A及び図9Bに示す傾斜量図と同地域の地質図である。図9Bに示す傾斜量図は、フィルタ処理によって地質及び地質構造が明瞭になったことで、図10の地質図に示されている岩脈に沿って河川が形成されていることについて確認することができる。

【0074】
図11は、ASTER GDEMから作成された傾斜量図である。具体的には、図11Aは、平滑処理部45による平滑化を行わずにフィルタ処理を行って得られたDEMデータから作成された傾斜量図である。図11Bは、平滑処理部45による平滑化を行い、その後、フィルタ処理を行って得られたDEMデータから作成された傾斜量図である。図11Bに示される傾斜量図は、図11Aに示される傾斜量図に比べて地質及び地質構造が明瞭であることが確認できる。

【0075】
[本実施形態における効果]
以上のとおり、本実施形態に係る画像処理装置1は、複数のラインフィルタであって、地図領域において一方向に連続するデータのフィルタリングを行うフィルタと、複数のマトリクスフィルタであって、地図領域において2次元領域を構成するデータのフィルタリングを行うフィルタとのうち、少なくともいずれかを選択し、選択されたフィルタにより、取得されたDEMデータのフィルタ処理を行う。

【0076】
このようにすることで、画像処理装置1は、地図領域のそれぞれに対応した多数のDEMデータそれぞれにとってノイズの除去に適したフィルタとして有効な複数のラインフィルタと複数のマトリクスフィルタから少なくともいずれかのフィルタを効率的に選択することができる。

【0077】
また、画像処理装置1は、取得部41により取得されたDEMデータ内の所定のウィンドウ幅において最大値のデータの平滑化を行う。このようにすることで、画像処理装置1は、ラインフィルタ又はマトリクスフィルタで除去することができない最大値のデータについても平滑化することができるので、例えばスパイクノイズのように、他のデータ値に対して突出しているデータ値を平滑化することができる。

【0078】
また、画像処理装置1は、取得部41により取得されたDEMデータが示す所定の地図領域における地形の傾向を算出し、この算出された地形の傾向に基づいて複数のラインフィルタ及び複数のマトリクスフィルタのうち、少なくともいずれかを選択する。このようにすることで、画像処理装置1は、地形の傾向に応じて、当該地形に適したフィルタを選定することができる。

【0079】
また、画像処理装置1は、算出された地形の傾向に基づいてウィンドウ幅を決定する。このようにすることで、画像処理装置1は、地形に応じて、平滑化を行う場合のデータ範囲を最適化することができる。

【0080】
また、画像処理装置1は、算出された地形の傾向に基づいて平滑化を行う回数を決定する。このようにすることで、画像処理装置1は、算出された地形の傾向に適した回数だけ平滑化を行い、効果的にノイズを除去することができる。

【0081】
また、画像処理装置1は、DEMデータが示す所定の地図領域における一方向に平滑化を行うとともに、当該一方向と直交する方向に平滑化を行い、それぞれの平滑化の結果の平均値を算出する。このようにすることで、画像処理装置1は、一方向において連続的に複数のスパイクノイズが含まれている場合であっても、当該一方向と直交する方向に平滑化を行うことができるので、一方向のみで平滑化を行う場合に比べて、効果的にノイズを除去することができる。

【0082】
また、画像処理装置1は、DEMデータが示す所定の地図領域の位置と、当該位置におけるASTER GDEMデータの生成に利用されたASTERデータの数とを関連付けて記憶部30に記憶し、当該記憶部30を参照して取得部41により取得されたDEMデータの生成に利用されたASTERデータの数を特定し、特定されたASTERデータの数に基づいて平滑化を行う回数を決定する。ここで、特定されたASTERデータの数が少ない地図領域を示すDEMデータは、特定されたASTERデータの数が多い地図領域のDEMデータに比べてデータの精度が低く、ノイズ成分を多く含んでいる。これに対して、画像処理装置1は、例えば、特定されたASTERデータの数に応じて適切な回数の平滑化を行うことができる。

【0083】
また、画像処理装置1は、フィルタ処理が行われたDEMデータを格納するファイルのファイル名を、フィルタ処理が行われる前のDEMデータが格納されているファイルのファイル名に選択部43が選択したフィルタの識別情報を付したものと設定し、当該ファイル名が設定されたファイルに、フィルタ処理が行われたDEMデータを出力する。このようにすることで、画像処理装置1により出力されたDEMデータのユーザは、ファイル名によって、フィルタ処理の内容を把握することができる。

【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0085】
1・・・画像処理装置、10・・・表示部、20・・・入力部、30・・・記憶部、40・・・制御部、41・・・取得部、42・・・傾向算出部、43・・・選択部、44・・・変換部、45・・・平滑処理部、46・・・フィルタ処理部、47・・・出力部、48・・・傾斜量図作成部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5A】
4
【図5B】
5
【図6A】
6
【図6B】
7
【図6C】
8
【図6D】
9
【図7A】
10
【図7B】
11
【図7C】
12
【図7D】
13
【図7E】
14
【図7F】
15
【図8A】
16
【図8B】
17
【図9A】
18
【図9B】
19
【図10】
20
【図11A】
21
【図11B】
22