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明細書 :口腔内装置及び口腔内装置の作製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-083276 (P2016-083276A)
公開日 平成28年5月19日(2016.5.19)
発明の名称または考案の名称 口腔内装置及び口腔内装置の作製方法
国際特許分類 A61L  27/00        (2006.01)
A61C  13/23        (2006.01)
FI A61L 27/00 Z
A61C 13/23
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2014-219234 (P2014-219234)
出願日 平成26年10月28日(2014.10.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 発行所名:一般社団法人日本口蓋裂学会事務局、刊行物名:日本口蓋裂学会雑誌 第39巻 第2号、発行年月日:平成26年4月30日 集会名:第38回日本口蓋裂学会総会・学術集会、開催日:平成26年5月29日~30日
発明者または考案者 【氏名】グン 剣萍
【氏名】黒川 孝幸
【氏名】羽根 由貴子
【氏名】金子 知生
【氏名】飯田 順一郎
【氏名】三古谷 忠
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100165515、【弁理士】、【氏名又は名称】太田 清子
【識別番号】100111464、【弁理士】、【氏名又は名称】齋藤 悦子
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
審査請求 未請求
テーマコード 4C081
Fターム 4C081AB04
4C081AB06
4C081AC04
4C081BB09
4C081CA05
4C081CA06
4C081CA08
4C081CA10
4C081CC05
4C081CC09
4C081CE08
4C081DA12
要約 【課題】口腔内に口蓋閉鎖床を安定的に装着することのできる口腔内装置及びその作製方法の提供。
【解決手段】ポリカーボネート等のフレームと、前記フレーム上に形成された、、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム等の主鎖がメチレンビスアクリルアミド等の架橋剤によって架橋された架橋体を口腔内粘膜に接触させて用いるゲル組成物よりなる口腔内装置。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
フレームと、
前記フレーム上に形成された、主鎖が架橋剤によって架橋された架橋体を含むゲル組成物と、
を備え、
前記ゲル組成物を口腔内粘膜に接触させて用いられる口腔内装置。
【請求項2】
前記主鎖は、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリN-オルニチンアクリルアミド、ポリN-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ポリヒドロキシ-エチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)アクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)メタクリレート、ポリN-ビニルピロリドン、ポリN-フェニルアクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリベンジルメタクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ-3-(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリメタクリラトエチルトリメチルアンモニウムクロリド及びポリ—4-ビニルピリジンクロリドからなる群より少なくとも1つ選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の口腔内装置。
【請求項3】
前記主鎖は、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウムである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の口腔内装置。
【請求項4】
前記架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレアート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ペンタエリスリトールトリアリルエステル及びエチレンビスアクリルアミドからなる群より少なくとも1つ選択される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の口腔内装置。
【請求項5】
前記フレームは、ポリカーボネートを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の口腔内装置。
【請求項6】
口蓋閉鎖床である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の口腔内装置。
【請求項7】
モノマーと重合開始剤と架橋剤とを混合し、前記モノマーを重合させて主鎖とし、前記主鎖を前記架橋剤によって架橋させることで、フレーム上にゲル組成物を形成させる工程を含む口腔内装置の作製方法。
【請求項8】
前記主鎖は、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリN-オルニチンアクリルアミド、ポリN-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ポリヒドロキシ-エチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)アクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)メタクリレート、ポリN-ビニルピロリドン、ポリN-フェニルアクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリベンジルメタクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ-3-(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリメタクリラトエチルトリメチルアンモニウムクロリド及びポリ—4-ビニルピリジンクロリドからなる群より少なくとも1つ選択される、
ことを特徴とする請求項7に記載の口腔内装置の作製方法。
【請求項9】
前記主鎖は、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウムである、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の口腔内装置の作製方法。
【請求項10】
前記架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレアート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ペンタエリスリトールトリアリルエステル及びエチレンビスアクリルアミドからなる群より少なくとも1つ選択される、
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の口腔内装置の作製方法。
【請求項11】
前記重合開始剤は、ベンゾフェノン、2-オキソグルタル酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩、過酸化水素、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ペルオキソ二リン酸カリウム、tert-ブチルペルオキシピバレート、クミルヒドロペルオキシド、イソプロピルベンジルモノヒドロペルオキシド及びアゾビスイゾブチロニトリルからなる群より少なくとも1つ選択される、
ことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の口腔内装置の作製方法。
【請求項12】
前記口腔内装置は、口蓋閉鎖床である、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の口腔内装置の作製方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内装置及び口腔内装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口蓋裂患者に、鼻咽喉閉鎖機能の改善を目的として、口蓋裂閉鎖前に口蓋閉鎖床を装着することがある。硬口蓋の鼻口腔交通部を口蓋閉鎖床によって閉鎖することで、呼気鼻漏を防止し、言語発達に支障が出ないようにするためである。
【0003】
口蓋閉鎖床のレジン床には、一般的に、維持装置としてボールクラスプ、アダムスクラスプが使用される(図3)。
【0004】
また、口蓋閉鎖床に義歯安定剤を用いる試みもなされており、種々の義歯安定剤が提案されている。
【0005】
特許文献1では、脱酢酸タイプの常温縮合型液状シリコーンゴムに低重合ポリ酢酸ビニル樹脂を添加攪拌して溶解せしめた軟粘着物であることを特徴とする義歯安定剤、義歯安定剤が義歯床に裏装されていることを特徴とする義歯が開示されている。また、特許文献2では、疎水性ゴム状物質(ポリイソブチレン)と水膨潤性高分子物質とを主基剤とする義歯安定剤が開示されている。また、特許文献3では、酢酸ビニル樹脂、ワセリン、エタノールおよび水を含有する義歯安定剤が開示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2008-289833号公報
【特許文献2】特開2000-351709号公報
【特許文献3】特開2011-63538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、クラスプを使用した口蓋閉鎖床を装着すると、クラスプにより歯肉炎が生じたり、歯列の側方成長が妨げられたりすることがあった。また、特許文献1-3に記載の義歯安定剤では、均一な厚みを出すことが困難であるであるため、装着時に違和感をおぼえたり、口腔空間が狭くなることで舌の可動領域が狭くなり、言語トレーニングに支障をきたす場合があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、口腔内に安定的に装着することのできる口腔内装置及びその作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る口腔内装置は、
フレームと、
前記フレーム上に形成された、主鎖が架橋剤によって架橋された架橋体を含むゲル組成物と、
を備え、
前記ゲル組成物を口腔内粘膜に接触させて用いられる。
【0010】
例えば、前記主鎖は、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリN-オルニチンアクリルアミド、ポリN-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ポリヒドロキシ-エチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)アクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)メタクリレート、ポリN-ビニルピロリドン、ポリN-フェニルアクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリベンジルメタクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ-3-(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリメタクリラトエチルトリメチルアンモニウムクロリド及びポリ—4-ビニルピリジンクロリドからなる群より少なくとも1つ選択される。
【0011】
例えば、前記主鎖は、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウムである。
【0012】
例えば、前記架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレアート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ペンタエリスリトールトリアリルエステル及びエチレンビスアクリルアミドからなる群より少なくとも1つ選択される。
【0013】
例えば、前記フレームは、ポリカーボネートを含む。
【0014】
例えば、前記口腔内装置は、口蓋閉鎖床である。
【0015】
本発明の第2の観点に係る口腔内装置の作製方法は、モノマーと重合開始剤と架橋剤とを混合し、前記モノマーを重合させて主鎖とし、前記主鎖を前記架橋剤によって架橋させることで、フレーム上にゲル組成物を形成させる工程を含む。
【0016】
例えば、前記主鎖は、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリN-オルニチンアクリルアミド、ポリN-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ポリヒドロキシ-エチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)アクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)メタクリレート、ポリN-ビニルピロリドン、ポリN-フェニルアクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリベンジルメタクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ-3-(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリメタクリラトエチルトリメチルアンモニウムクロリド及びポリ—4-ビニルピリジンクロリドからなる群より少なくとも1つ選択される。
【0017】
例えば、前記主鎖は、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウムである。
【0018】
例えば、前記架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレアート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ペンタエリスリトールトリアリルエステル及びエチレンビスアクリルアミドからなる群より少なくとも1つ選択される。
【0019】
例えば、前記重合開始剤は、ベンゾフェノン、2-オキソグルタル酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩、過酸化水素、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ペルオキソ二リン酸カリウム、tert-ブチルペルオキシピバレート、クミルヒドロペルオキシド、イソプロピルベンジルモノヒドロペルオキシド及びアゾビスイゾブチロニトリルからなる群より少なくとも1つ選択される。
【0020】
例えば、前記口腔内装置は、口蓋閉鎖床である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、口腔内に安定的に装着することのできる口腔内装置及びその作製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による口蓋閉鎖床を概略的に示す図である。
【図2】本実施例による口蓋閉鎖床の作製手順を示す図である。(a)は患者の上顎を印象採得した上顎歯列石膏模型を示す図であり、(b)は(a)の上顎歯列石膏模型を元に成形されたフレームを示す図であり、(c)は(a)の上顎歯列石膏模型を元に作製されたシリコン歯列模型を示す図であり、(d)はフレーム上にPCDMEゲルを形成させた状態を示す図であり、(e)はトリミング後の口蓋閉鎖床を示す図である。
【図3】クラスプを使用した従来の口蓋閉鎖床を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、本発明による口腔内装置について詳細に説明する。

【0024】
本発明による口腔内装置は、フレームと、フレーム上に形成されたゲル組成物と、を備える。

【0025】
フレームは、後述するゲル組成物を支持する役割を果たす。フレームの材質としては、口腔内での装着に適し、ゲル組成物を支持することのできる程度の機械的強度を有するものであれば適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等の他、歯科領域で通常用いられるプラスチック、樹脂、セラミック等を挙げることができる。フレームの材質としては、汎用性及び加工のしやすさの観点から、例えば、ポリカーボネート(例えば、商品名インプレロン)を好適に用いることができる。

【0026】
フレーム上に形成されたゲル組成物は、口腔内粘膜に接触し、口腔内装置を口腔内粘膜に固定させる役割を果たす。ゲル組成物は、主鎖(ポリマー)が架橋剤によって架橋された架橋体を含む。図1を用いて説明すると、本発明による口腔内装置100は、フレーム110と、フレーム110上に形成されたゲル組成物150と、を備え、ゲル組成物150は、主鎖120が架橋剤130によって架橋された架橋体140を含む。架橋体とは、主鎖と架橋剤とを含むものであり、主鎖が架橋剤によって架橋された状態のものをいう。ゲル組成物は、架橋体を含み、粘着性を有し、口腔内粘膜に粘着固定することができる。

【0027】
ゲル組成物に含まれる主鎖として、例えば、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム(PCDME)、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリN-オルニチンアクリルアミド、ポリN-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ポリヒドロキシ-エチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)アクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)メタクリレート、ポリN-ビニルピロリドン、ポリN-フェニルアクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリベンジルメタクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ-3-(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MPTC)、ポリアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(DMAEA-Q)、ポリメタクリラトエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MATC)、ポリ—4-ビニルピリジンクロリド、又はこれらの混合物を挙げることができる。口腔内粘膜への良好な粘着性の観点から、主鎖として、好ましくは、ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム(PCDME)が用いられる。

【0028】
ゲル組成物に用いられる架橋剤として、例えば、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレアート、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ペンタエリスリトールトリアリルエステル、エチレンビスアクリルアミド、又はこれらの混合物を挙げることができる。

【0029】
なお、ゲル組成物の材質としては、最適な保存液を用いて保存することにより繰り返して使用することができるものが好ましい。ゲル組成物には、上述の架橋体の他に、口腔内装置に通常含有させることのできる増粘剤、安定化剤等を混合してもよい。

【0030】
本発明による口腔内装置において、フレーム上に形成されたゲル組成物は、接触する口腔内粘膜の形状にあわせて成形されていてもよく;又は、フレーム及びゲル組成物の両方が接触する口腔内粘膜の形状にあわせて成形されていてもよい。口腔内装置の作製方法については、後述する。

【0031】
本発明による口腔内装置は、口腔内の「床」として幅広く応用可能であり、例えば、口蓋閉鎖床、ホッツ床、リテーナー、マウスガード、義歯等に用いることができる。

【0032】
例えば、本発明による口腔内装置を口蓋閉鎖床として用いる場合、粘着性を有するゲル組成物を口腔内粘膜に接触させて固定させることができるため、従来の口蓋閉鎖床(図3)とは異なり、クラスプを必要としない。このため、クラスプに起因する歯肉炎の発生を低減することができ、歯列の側方成長の妨げを回避することができる。また、クラスプが無いため、締め付け感、圧迫感等無しに快適に装着することができ、口蓋閉鎖床を着脱する際には口腔内を傷付けず安全に行うことができる。さらに、薄いフレーム上に薄くゲル組成物を形成させることができ、均一な厚さとすることができる。このため、装着時の違和感が軽減されるとともに、口腔空間を広く確保することができ、舌の可動領域が広がることで言語トレーニングに有効である。

【0033】
次に、本発明による口腔内装置の作製方法について詳細に説明する。

【0034】
本発明による口腔内装置の作製方法は、モノマーと重合開始剤と架橋剤とを混合し、モノマーを重合させて主鎖とし、主鎖を架橋剤によって架橋させることで、フレーム上にゲル組成物を形成させる工程を含む。

【0035】
本発明による口腔内装置の作製方法で用いられるモノマーは、重合して粘着性を有するゲルを形成することのできるものであれば適宜選択することができ、例えば、重合して各々ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム(PCDME)、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリN-オルニチンアクリルアミド、ポリN-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ポリヒドロキシ-エチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)アクリレート、ポリ(ポリエチレングリコール)メタクリレート、ポリN-ビニルピロリドン、ポリN-フェニルアクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリベンジルメタクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリ-3-(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MPTC)、ポリアクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(DMAEA-Q)、ポリメタクリラトエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MATC)、ポリ—4-ビニルピリジンクロリドといった主鎖となる、N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム、ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、N-オルニチンアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)アクリルアミド、ヒドロキシ-エチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、(ポリエチレングリコール)アクリレート、(ポリエチレングリコール)メタクリレート、N-ビニルピロリドン、N-フェニルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、アクリル酸、ベンジルメタクリルアミド、ビニルアルコール、2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、3-(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド(MPTC)、アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(DMAEA-Q)、メタクリラトエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MATC)、4-ビニルピリジンクロリドを挙げることができる。なお、これらの混合物であってもよい。

【0036】
本発明による口腔内装置の作製方法で用いられる重合開始剤としては、フリーラジカルを発生させる試薬であれば適宜用いることができ、例えば、ベンゾフェノン、2-オキソグルタル酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩、過酸化水素、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ペルオキソ二リン酸カリウム、tert-ブチルペルオキシピバレート、クミルヒドロペルオキシド、イソプロピルベンジルモノヒドロペルオキシド、アゾビスイゾブチロニトリル、又はこれらの混合物を挙げることができる。なお、重合開始剤については、例えば、モノマーと架橋剤とを混合する際に添加してもよく、フレームにあらかじめ塗布しておいてもよく、又はフレーム中にあらかじめ含ませて(混合させて)おいてもよい。

【0037】
本発明による口腔内装置の作製方法で用いられる架橋剤及びフレームとしては、前述のものを例示することができる。

【0038】
本発明による口腔内装置の作製方法において、例えば、モノマーとしてN-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム、架橋剤としてエチレンビスアクリルアミド、重合開始剤としてベンゾフェノン又は2-オキソグルタル酸を用いる場合、アルゴン雰囲気下で紫外光(例えば、波長365nm)を照射(例えば、8時間程度)することで、重合反応を進めてもよい。また、重合を開始するためにフリーラジカルを生成する方法として、適切な重合開始剤の使用のもとに、刺激として熱を加える方法;酸化還元反応を利用する方法;超音波を照射する方法;マイクロ波を照射する方法;ガンマ線を照射する方法等を用いることができる。

【0039】
本発明による口腔内装置の作製方法の具体的態様について説明する。

【0040】
まず、口腔内粘膜の形状にあわせてフレームを成形し、その後、フレーム上にゲル組成物を形成させる態様について説明する。この場合、例えば、以下に示す手順で口腔内装置を作製することができる。
(i)口腔内粘膜の形状にあわせてフレームを成形する。成形の手法としては、例えば、患者の上顎を印象採得して作製した上顎歯列模型に、ポリカーボネート製のプレートを使用して歯科用加圧成形器によりフレームを成形する方法が挙げられる。
(ii)患者の上顎を印象採得して作製した上顎歯列模型に、モノマー及び架橋剤を含む溶液を流し込む。
(iii)重合開始剤を塗布した(上記(i)にて口腔内粘膜の形状にあわせて成形された)フレームをかぶせる。
(iv)アルゴン雰囲気下で紫外光を一定時間照射して、フレーム上にゲル組成物を形成させる。
(v)ゲル組成物形成後に、使用した上顎歯列模型からゲル組成物を外す。
(vi)純水で洗浄する;必要な大きさにトリミングする等して、口腔内の装着に供する。

【0041】
次に、フレーム上にゲル組成物を形成させ、その後、フレーム上にゲル組成物が形成された状態で口腔内粘膜の形状にあわせて成形させる態様について説明する。この場合、例えば、以下に示す手順で口腔内装置を作製することができる。
(i)フレーム上にモノマーと重合開始剤と架橋剤とを混合した溶液を流し込む。
(ii)アルゴン雰囲気下で紫外光を一定時間照射して、フレーム上にゲル組成物を形成させる。
(iii)ゲル組成物形成後に、患者の上顎を印象採得して作製した上顎歯列模型にあてがい、歯科用加圧成形器を用いて、口腔内粘膜の形状にあわせて成形する。
(iv)純水で洗浄する;必要な大きさにトリミングする等して、口腔内の装着に供する。

【0042】
本発明による口腔内装置の作製方法によれば、簡便に口蓋閉鎖床、ホッツ床、リテーナー、マウスガード、義歯等の口腔内装置を作製することができる。また、例えば、院内で患者の歯列模型を印象採得した後、短時間で口腔内装置を作製することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
ポリ-N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム(PCDME)ゲルによる口蓋閉鎖床を以下の通り作製した。
【実施例】
【0045】
(1)口蓋閉鎖床のフレームの作製
まず、患者の上顎の印象採得し、上顎歯列石膏模型(図2(a))を作製した。
【実施例】
【0046】
次に、作製した上顎歯列石膏模型に、1mmのポリカーボネート製プレート(インプレロンS、ロッキーマウンテン社製)を使用し、バイオスター(ロッキーマウンテンモリタ社製)によってフレーム(図2(b))を作製した。
【実施例】
【0047】
(2)シリコン歯列模型の作製
まず、上顎歯列模型をアルギン酸塩印象剤で印象採得した。
【実施例】
【0048】
次に、上記の印象にシリコン歯科印象材(メモジル2、ヘレウスクルツァー社製)を盛りシリコン歯列模型(図2(c))を作製した。
【実施例】
【0049】
(3)PCDMEゲルの作製
N-(カルボキシメチル)-N,N-ジメチル-2-(メタクリロイロキシ)エタンアミニウム(CDME)(モノマー)に、エチレンビスアクリルアミド(EBAM)(架橋剤)を加えて水溶液を調製した。この水溶液を上記のシリコン歯列模型に流し、重合開始剤としてベンゾフェノン溶液(ベンゾフェノン0.3g及びポリ酢酸ビニル2gをアセトン100gに溶解したもの)を塗布したポリカーボネート製のフレーム(前述)をかぶせて、アルゴン雰囲気下で波長365nmの紫外光を8時間照射して、CDMEを重合させた。重合反応後、PCDMEゲルが接着したポリカーボネート製フレームをシリコン歯列模型より外し、純水で洗浄した。
【実施例】
【0050】
(4)口蓋閉鎖床の整形
上記の通り得られたPCDMEゲル(図2(d))をトリミングして、口蓋閉鎖床を得た(図2(e))。得られた口蓋閉鎖床のPCDMEゲル側に指を押し当てて、持ち上げたところ、口蓋閉鎖床が持ち上がることが確認された。
【実施例】
【0051】
今回用いたPCDMEゲルは、湿潤の度合いにより、粘着度が変化する性質と、水分を吸収して膨張する性質を持っているため、口腔内でその影響を受けることが考えられる。フレームを口腔内側にし、粘膜側にPCDMEゲルを装着することで、口腔内の水分の影響を受けることを低減し、粘膜に対し適度な湿潤と粘着が得られると考えられた。PCDMEゲルの厚みを薄くすることで、膨張率を少なくすることができると考えられた。
【符号の説明】
【0052】
100 口腔内装置
110 フレーム
120 主鎖
130 架橋剤
140 架橋体
150 ゲル組成物
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2