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明細書 :通信方法及び通信機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年3月22日(2018.3.22)
発明の名称または考案の名称 通信方法及び通信機
国際特許分類 H04L  27/26        (2006.01)
FI H04L 27/26 200
H04L 27/26 110
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 18
出願番号 特願2017-522286 (P2017-522286)
国際出願番号 PCT/JP2016/066629
国際公開番号 WO2016/195085
国際出願日 平成28年6月3日(2016.6.3)
国際公開日 平成28年12月8日(2016.12.8)
優先権出願番号 2015113459
2015215595
優先日 平成27年6月3日(2015.6.3)
平成27年11月2日(2015.11.2)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】中澤 勇夫
【氏名】梅野 健
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000280、【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
審査請求 未請求
要約 伝送周波数帯域幅を制限しつつPAPRの抑制を容易にする。通信方法は、マルチキャリアを用いて通信を行うことを含み、マルチキャリアの周波数配置は、フレーム時間長に対して各々のサブキャリアが非同期とする概周期周波数配置を含む。
特許請求の範囲 【請求項1】
通信方法であって、
マルチキャリアを用いて通信を行うことを含み、
前記マルチキャリアの周波数配置は、フレーム時間長に対してサブキャリア間が非同期となる概周期周波数配置を含む
通信方法。
【請求項2】
前記概周期周波数配置は、概周期関数に基づいて決定された周波数配置である
請求項1記載の通信方法。
【請求項3】
前記概周期周波数配置は、概周期周波数群から、キャリア間の周波数間隔が等間隔である基準周波数配置における基準キャリア周波数に近い概周期周波数を選択することによって決定される
請求項1又は2記載の通信方法。
【請求項4】
前記概周期周波数配置は、少なくとも、第1部分概周期周波数配置と、第1部分概周期周波数配置以外の第2部分概周期周波数配置と、を含み、
前記第2部分概周期周波数配置は、前記第1部分概周期周波数配置を周波数シフトして得られる
請求項1から3のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項5】
前記マルチキャリアの周波数配置は、サブキャリアがフレーム時間長に対して同期となる周波数配置を更に含む
請求項1から4のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項6】
サブキャリアが合成されたサブキャリア合成信号のピークを低減することを含む
請求項1から5のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項7】
前記サブキャリア合成信号のピークを低減することは、
サブキャリア合成信号の値が規定値よりも高くなるピーク値を検出すること、
逆インパルス信号を、前記ピークに複素合成すること、
を少なくとも1回含む請求項6記載の通信方法。
【請求項8】
通信機であって、
送信符号に基づいてサブキャリアを変調する変調部を備え、
前記サブキャリアの周波数配置は、フレーム時間長に対して非同期となる概周期周波数配置を含む
通信機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャリア通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送の本格的運用と共に、超高精細な映像技術(4K・8K)を用いたより高度な放送サービスの提供が要求されてきている。地上移動通信においては、周波数利用効率が高く、高速・大容量通信、多数接続等が可能となる第5世代移動通信システムの国際標準化に向けた研究開発が進められている。地上デジタル放送および4GLTE方式では、占有周波数帯域の狭帯域化および周波数選択性干渉に対する耐干渉特性を有するOFDM方式採用されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】梅野健、”概周期関数に基づくスペクトル拡散通信について-概周期とカオスとの違いについて-”、信学技報、vol.114,no.250 NLP2014-64, pp.87-90(2014),一般社団法人電子情報通信学会
【発明の概要】
【0004】
同期した周期関数を用いたOFDM方式では、一般的にPAPR(Peak to average power ratio)が高く、通信品質の劣化を招き易い。また、送信系での相互変調歪みから占有帯域幅の拡大と隣接干渉が増加する欠点もあり、周波数有効利用からも課題が残っている。
【0005】
本発明は、上記の課題の解決に関連してなされたものである。
【0006】
本発明の一の態様は、通信方法であって、マルチキャリアを用いて通信を行うことを含み、前記マルチキャリアの周波数配置は、マルチキャリア間が非同期であり、周波数間隔が非等間隔である概周期周波数配置を含む。なお、ここでは、通信は、放送を含む意である。本発明の他の態様は、通信機であって、送信符号に基づいてサブキャリアを変調する変調部を備える。サブキャリアの周波数配置は、フレーム時間長に対して非同期となる概周期配置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】概周期周波数配置の決定手順を示すフローチャートである。
【図2】概周期周波数配置生成装置のブロック図である。
【図3】素数から求めた概周期周波数をプロットした図である。
【図4】等間隔周波数配置の模式図である。
【図5】素数の総数対周波数標準偏差を示す図である。
【図6】通信機のブロック図である。
【図7】概周期周波数多重変調の説明図である。
【図8】出力部及び入力部のブロック図である。
【図9】マルチアクセス通信システムのブロック図である。
【図10】PAPRシミュレーションの模式図である。
【図11】PAPR補償部を備えた送信部のブロック図である。
【図12】PAPR補償部のブロック図である。
【図13】PAPRを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。

【0009】
[1.実施形態の概要]
実施形態に係る通信方法は、マルチキャリアを用いて通信を行うことを含む通信方法である。マルチキャリアの周波数配置は、キャリア間の周波数間隔が非等間隔である概周期周波数配置を含む。実施形態において概周期周波数配置とは、信号列の区切りとするフレーム時間長に対して何れのサブキャリア間においても非同期である周波数配置であり、非等間隔な配置を含む。また、概周期周波数(Almost Periodic Frequnecy)とは、概周期周波数配置上の各々のサブキャリアの周波数をいう。

【0010】
ここで、従来のOFDMでは、キャリア(サブキャリア)を互いに干渉させないように、サブキャリアの周波数間隔は、直交条件を満たすように等間隔で設定される。OFDMでは、直交条件を満たす等間隔のサブキャリア配置とすることで、各サブキャリアの帯域が重複するようにサブキャリアの周波数間隔を小さくしても、サブキャリア同士の干渉を防止できる。ただし、OFDMでは、サブキャリアが周期的に等間隔で配置されているため、PAPRが高くなりやすい。これに対して、本実施形態では、フレーム時間長に対して各々のサブキャリアが非同期となる概周期周波数配置であるため、キャリア多重数が多くなっても、PAPRが高くなるのを抑制できる。

【0011】
概周期周波数配置は、概周期関数に基づいて決定することができる。概周期関数は、Weyl系列に基づくものすることができる。Weyl系列は、無理数の整数倍の小数部分は[0,1)に一様分布するというWeylの一様分布定理に基づいている。また、拡張して実数倍の小数部分も[0,1)に一様分布する。概周期周波数は、無理数群から決定されてもよいし、無理数の有効桁数を制限した有理数群から決定されてもよいし、概周期関数に基づいて決定される無理数に近似する有理数群から決定されてもよい。

【0012】
概周期周波数配置は、サブキャリア間の周波数間隔が等間隔に近い配置にする場合には、サブキャリアの周波数間隔が等間隔である基準周波数配置を決めて、概周期関数を用いた素数から生成された概周期周波数群から、サブキャリア間の周波数間隔が等間隔である基準周波数配置における基準キャリア周波数に近い概周期周波数を選択することによって決定することができる。概周期周波数群は、概周期関数を用いて生成できる。基準周波数配置は、OFDMにおけるキャリア周波数配置のように、直交条件を満たし、キャリア間の周波数間隔が等間隔である周波数配置が好ましいが、適用する通信の形態によって最適な基準周波数配置を決めても良い。基準キャリア周波数は、基準周波数配置における各キャリア周波数である。基準キャリア周波数に近い概周期周波数を決定した場合には、キャリアを密に配置でき、キャリア間の干渉も抑えることができる。

【0013】
複合した概周期周波数配置は、少なくとも、第1部分概周期周波数配置と、第1部分概周期周波数配置以外の第2部分概周期周波数配置と、を含み、第1部分以外の第2部分概周期周波数配置は、第1部分概周期周波数配置を周波数シフトして容易に得られる。第1部分概周期周波数配置は、概周期関数に基づき決定することができる。第1部分概周期周波数配置以外の第2部分概周期周波数配置は、第1部分概周期周波数配置を周波数シフトして得ることで、フレーム時間長に対して第1部分と第1部分以外の各々のサブキャリアが非同期とすることが出来て、概周期周波数配置を得る事ができる。なお、周波数シフトによって、第1部分概周期周波数配置から、複数の部分概周期周波数配置を得ても良い。すなわち、周波数シフトによって、1又は複数の部分概周期周波数配置を得ることができる。複数の部分概周期周波数配置を得る場合、第1部分概周期周波数配置からの周波数シフト量をそれぞれ異ならせればよい。

【0014】
マルチキャリアの周波数配置は、サブキャリアの空白部分を含んでいても良い。キャリアの空白部分は、例えば、サブキャリア間干渉を防止するガード区間として用いても良いし、ノイズ測定用区間として用いても良い。

【0015】
マルチキャリアの周波数配置は、概周期周波数配置を含むとともに、概周期周波数配置ではない周波数配置も部分的に含んでも良い。例えば、マルチキャリアの周波数配置は、フレーム時間長に対してサブキャリアが同期となる周波数配置を含んでいても、概周期周波数配置の非同期は維持される。マルチキャリアの周波数配置は、パイロット周波数を含んでも良い。また、パイロット周波数を用いて搬送波再生を行っても良い。

【0016】
マルチキャリアに含まれる各キャリアには、伝送効率を上げるためにQPSK、N-QAMなどのN値多重変調が行われていても良いし、パワーレベル変調が行われていても良いし、位相変調が行われていても良い。マルチキャリアのフレームに窓関数をかけてスペクトラムを一様化してもよい。

【0017】
マルチキャリア通信の送信系では、概周期周波数配置のマルチキャリアの時間軸上の信号を、FFT処理した後、送信周波数を帯域制限し、その後、IFFT処理して時間軸上の信号に変換して送信することができる。

【0018】
マルチキャリア通信の受信系では、送信に用いられた概周期周波数配置と同じ概周期周波数配置を予めFFT処理しておき、概周期周波数配置のマルチキャリアの受信信号のFFT処理後に相互相関値を求めて、送信された概周期周波数の変調された符号を検出することができる。相互相関値は、時間軸上で求めてもよいし、クロススペクトラムから求めても良い。

【0019】
マルチキャリア通信の送信系では、概周期周波数配置のマルチキャリア送信の電力に制限を加えて、PAPRをより改善してもよい。

【0020】
マルチキャリア通信の送信系では、概周期周波数配置のマルチキャリア信号を、必要な無線周波数バンドに周波数コンバート(アップコンバート)し、受信系では、無線周波数バンドの受信信号をダウンコンバートして基底周波数帯の概周期周波数配置のマルチキャリア信号を得ても良い。

【0021】
概周期周波数配置のマルチキャリアを用いたマルチアクセス通信システムにおいて、個々の端末から送信される送信電力を制御し、基地局(サーバ局)での受信レベルを略一定にしてもよい。

【0022】
[2.実施形態の詳細]
[2.1 概周期周波数の決定]
図1は、概周期周波数配置の決定のための手順を示し、図2は、概周期周波数配置生成装置(概周期周波数配置生成部)10を示している。概周期周波数配置生成装置10は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータによって構成される。概周期周波数配置生成装置10を構成するコンピュータは、メモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、図1に示す手順を実行し、図2に示す概周期周波数配置生成装置として機能する。概周期周波数発生装置10は、通信機に搭載されていてもよいし、通信機とは別の装置として構成されてもよい。

【0023】
図2に示す概周期周波数配置生成装置10は、素数群記憶部11と、概周期周波数群の計算・記憶部12と、基準周波数配置の計算・記憶部13と、概周期周波数配置の検索・記憶部14と、を備えている。素数群記憶部11は、概周期周波数を計算するために用いられる多数(例えば、1000万個)の素数を記憶する。概周期周波数群計算・記憶部13は、素数群記憶部11に記憶された素数を用いて、概周期周波数を計算し、記憶する。基準周波数配置の計算・記憶部13は、概周期周波数配置を決定するために用いられる基準周波数配置を計算し、記憶する。概周期周波数配置の検索・記憶部14は、概周期周波数群から、基準周波数配置における基準キャリア周波数に近い概周期周波数を検索して選択し、概周期周波数配置を決定し、決定された概周期周波数配置を記憶する。

【0024】
図1に戻り、概周期周波数の決定には、まず、概周期周波数群の計算・記憶部12によって、概周期周波数群の計算が行われる(ステップS11)。概周期周波数群の計算・記憶部12は、図1のステップS11中の式(概周期関数)に従って、概周期周波数fを計算し、記憶する。ステップS11中の式において、nは任意の整数又は実数であるが、例えば、1.5,2又は3とすることができる。また、(mod 1)は、実数の小数部分を求める関数である。

【0025】
なお、概周期関数は、図1に示す形式に限定されるものではない。例えば、図1のステップS11中の式(概周期関数)は、無理数の概周期周波数を求めるために、素数のn乗根から求める例を示しているが、無理数周波数は、eのn乗(e)であってもよいし、無理数の加減剰余算によって求めても良い。有理数の概周期周波数を求めるには、無理数の概周期周波数の桁数制限や、整数の分数として求めるなどの方法がある。

【0026】
素数は、無限に存在するため、概周期関数は無限に生成できる。図3(a)は、図1に示す概周期関数においてn=2である場合に得られる正規化周波数(0[Hz]から1[Hz]の範囲の周波数)をプロットしたものであり、図3(b)は、同じくn=1.5である場合に得られる正規化周波数をプロットしたものである。図3において、横軸は素数の大きさを示し、縦軸は正規化周波数を示す。図3(a)(b)において黒い部分がプロットされた点を示しており、素数から、正規化周波数の全範囲(0から1)にわたって多数の周波数が一様に分布していることがわかる。

【0027】
また、ステップ12において、基準周波数配置の計算・記憶部13により、基準周波数配置が計算される。図4は、基準周波数配置の例を示している。基準周波数配置は、OFDMと同様に、キャリア間の周波数間隔Δfが等間隔である。正規化周波数(0~1)の範囲で基準となる複数のキャリア(複数の基準キャリア)を配置する場合、キャリア間の周波数間隔Δfは、基準キャリアの総数Nによって決定される。すなわち、周波数間隔Δf=1/Nである。基準キャリアの総数Nは、符号多重数でもあり、2の冪であるのが計算負荷の低減上好ましい。図4において、C~Cは、N本の基準キャリアを示している。また、図1において、Δf/2は、正規化周波数の範囲の両側にある基準キャリア(サブチャネル)C,Cと、通過帯域幅のエッジ(正規化周波数が0又は1)との周波数差を示している。

【0028】
ここで、符号当たりの時間長をΔTとすれば、多重化数Nに応じて概周期関数のフレーム時間長はNΔTを単位として信号処理をすればよい。信号処理する時間長T=NΔTである。また、1/NΔTが基本周波数となり、Δf=1/(NΔT)であり、通過帯域幅BWは、ΔfのN倍から、BW=1/ΔT[Hz]となる。

【0029】
ステップS13において、概周期周波数配置の検索・記憶部14は、ステップS12において得られた概周期周波数群から概周期周波数配置に用いられる概周期周波数が検索される。ステップS14では、検索された概周期周波数のうち、ターゲットとなる基準キャリアC~Cそれぞれの周波数に最も近いN個の概周期周波数が抽出され、抽出されたN個の概周期周波数からなる概周期周波数配置が決定される。

【0030】
図1に示す概周期関数から得られる概周期周波数は、無理数となるため、有理数である基準キャリアC~Cの周波数とは一致しない。このため、検索されたN個の概周期周波数からなる概周期周波数配置は、非等間隔となる。ただし、等間隔である基準キャリアC~Cに近い周波数が選択されるため、概ね等間隔となる。なお、概周期周波数が、有理数である場合には、基準キャリアC~Cの周波数とは一致しないが、基準キャリアC~Cの周波数に近いものを選択すればよい。

【0031】
図5は、選択された概周期周波数が、基準キャリアC~Cの正規化周波数にどの程度近いかを基準キャリアC~Cの正規化周波数からの周波数標準偏差(standard deviation)で示している。図5において、横軸は、ステップS11において用いられた素数の総数であり、縦軸は正規化周波数標準偏差を示している。図13に示すように、素数の総数が大きいほど、基準キャリアC~Cに近い周波数を選択しやすくなり、周波数標準偏差が小さくなる。例えば、素数の総数が、100万を超えると、周波数標準偏差は、0.001程度ないしそれ以下となり、概周期周波数配置の非同期は維持されたままでサブキャリア間の干渉を減らす事ができる。図5に示すように、素数の総数が増加すると標準偏差はゼロに近づき、OFDM方式に近づくとこととなる。

【0032】
[2.2 通信機]
図6は、概周期周波数配置のマルチキャリアによって通信を行う通信機20を示している。通信機20は、マルチキャリア信号の送信機30と、マルチキャリア信号の受信機40と、を備えている。

【0033】
送信機30は、入力部31と、シリアルパラレル変換部32と、サブキャリア変調部33と、概周期周波数配置のマルチキャリア発生部34と、出力部35と、同期信号発生部36と、を備えている。

【0034】
入力部32は、通信機20が有する図示しない信号処理装置から、送信符号(送信データ)の入力を受け付け、必要であればマルチキャリア変調に先立って行われるべき前処理を行う。シリアルパラレル変換部32は、入力部32から出力されたシリアル符号(シリアルデータ)を、多重符号長Nに対応したパラレル数を持つパラレル符号(パラレルデータ)に変換する。符号長Nのパラレル符号が、送信符号となる。

【0035】
サブキャリア変調部33は、図7に示す概周期周波数多重変調を行う。サブキャリア変調部33は、符号長Nの送信符号(d・・・dN-1)のサブキャリア変調を行って、符号列(y・・・yN-1)で示される概周期周波数配置マルチキャリア信号を出力する。サブキャリア変調部33は、概周期周波数配置のマルチキャリア発生部34から与えられたマルチキャリアに基づき、マルチキャリア変調を行う。概周期周波数配置のマルチキャリア発生部34は、図2に示す概周波数配置生成部10を備えて構成されていてもよいし、図2に示す概周波数配置生成部10によって決定された概周期周波数配置が設定されており、設定された概周期周波数配置のキャリアを発生するものであってもよい。

【0036】
図7に示す入出力関係式において、要素a~p(1≦k≦N)を有する行列は、N×N行列である。また、図7において、ρdkは、N個のキャリアを有する概周期周波数配置において、k番目の周波数を生成するために用いられた素数である。また、図7において、θは、任意の実数であり、0であってもよい。

【0037】
なお、図7に示す入出力関係式において、要素a以外の要素c~pの定義を明示していないが、要素aの定義に含まれるA,Bを、C~Pに置換すればよい。C~Pは、A,Bと同様にk番目のキャリアの振幅値である。

【0038】
サブキャリア変調部33から出力されたサブキャリア信号は、出力部35に与えられ、出力部35から、概周期サブキャリア出力信号(概周期周波数サブキャリア合成信号)として伝送路(無線伝播路など)へ出力される。

【0039】
なお、シリアルパラレル変換部33、サブキャリア変調部33、及び出力部35は、同期信号発生部36から与えられる同期信号に基づいて動作する。

【0040】
受信機40は、入力部41と、サブキャリア復調部42と、概周期周波数配置の周波数発生部43と、パラレルシリアル変換部44と、出力部45と、同期信号発生部46と、を備えている。

【0041】
入力部41は、受信信号(概周期周波数サブキャリア合成信号)の入力を受け付け、受信信号をサブキャリア復調部42に与える。サブキャリア復調部42は、受信信号の送信側で用いられた概周期周波数(復調用概周期周波数配置;概周期複素搬送波)と、受信信号との相互相関値(複素相関値)を求めることで復調を行う。復調用概周期周波数配置の周波数は、概周期周波数配置の周波数発生部43から与えられる。信号の相互相関値は、例えば、以下の「時間軸上で求める方法」「クロススペクトラムから求める方法」を採用できる。
【数1】
JP2016195085A1_000003t.gif

【0042】
復調部42からから出力された信号は、パラレルシリアル変換部44によってシリアルデータに変換される。このシリアルデータは、出力部45を介して、図示しない信号処理装置へ、復調された符号として、出力される。

【0043】
なお、入力部41、サブキャリア復調部42、概周期周波数配置の周波数発生部43、パラレルシリアル変換部44は、同期信号発生部46から与えられる同期信号に基づいて動作する。

【0044】
図8(a)は、帯域制限機能を有する出力部35を示している。この出力部35は、変調部33から与えられた概周期周波数サブキャリア合成信号(時間領域信号)の入力を受け付ける入力処理回路351と、FFT処理回路352と、帯域制限処理回路353と、IFFT処理回路354と、を備えている。FFT処理回路352は、時間領域信号である概周期周波数サブキャリア合成信号を周波数領域信号に変換する。帯域制限処理回路353は、信号の周波数帯域を制限し、不要な周波数成分を除去する。IFFT処理回路354は、帯域制限された信号を時間軸領域信号に戻す。出力部35が、図8(a)に示される構成を有することで、概周期周波数サブキャリア合成信号に対する帯域制限が可能である。

【0045】
図8(b)は、帯域制限機能を有する入力部41を示している。この入力部41は、受信信号である概周期周波数サブキャリア合成信号(時間領域信号)の入力を受け付ける入力処理回路411と、FFT処理回路412と、帯域制限処理回路413と、IFFT処理回路414と、を備えている。FFT処理回路412は、時間領域信号である概周期周波数サブキャリア合成信号を周波数領域信号に変換する。帯域制限処理回路413は、信号の帯域を制限し、不要な周波数成分を除去する。IFFT処理回路414は、帯域制限された信号を時間軸領域信号に戻す。帯域制限された信号が、サブキャリア復調部42に与えられる。

【0046】
図9は、多数の端末と基地局とを有するマルチアクセス通信システムを有している。前述の通信機10は、図9の基地局であってもよいし、端末であってもよい。個々の端末から送信される概周期マルチキャリア信号の送信電力は、基地局からの指示に基づいて、端末によって制御され、基地局での受信レベルがほぼ一定としても良い。

【0047】
[2.3 PAPR]
図10は、OFDM方式の信号及び概周期周波数配置サブキャリア合成信号それぞれのPAPRのシミュレーション値を示している。図10において、横軸は、サブキャリア多重数を示し、縦軸はPAPRを示す。図10に示すように、サブキャリア多重化数が512を超えると、概周期周波数配置マルチキャリア信号のPAPRは、OFDM信号のPAPRよりも低下し良好な特性を示す傾向があることがわかる。また、多重化数が1000以上ではPAPRが減少の傾向にあるのはWeyl系列の誤差オーダがO(1/√N)となる効果と考えられる。

【0048】
[2.4 PAPR補償]
図11は、通信機20が有する受信機30の変形例を示している。図11の受信機30は、図6に示す受信機30にPAPR補償部37を追加したものである。PAPR補償部37は、例えば、サブキャリア変調部33と出力部35との間に設けられる。PAPR補償部は、概周期周波数サブキャリア合成信号の時間軸上のベクトルのノルムのピーク値に制限を加えて、概周期周波数サブキャリア合成信号のPAPRを改善する。PAPRが改善された概周期周波数サブキャリア合成信号は、出力部35を介して、伝送路(無線伝播路など)へ出力される。

【0049】
図12は、PAPR補償部37の回路構成例を示している。PAPR補償部37は、入力部37a、ピーク値検出部37b、インパルス新号発生部37c、複素合成部37d、及び出力部37eを備えている。

【0050】
入力部37aは、概周期周波数サブキャリア合成信号の入力を受け付ける。ピーク値検出部37bは、入力部37aから出力された概周期周波数サブキャリア合成信号のピークの時間軸上における位置とピーク値とを検出する。検出されたピーク値が、規定値を超えたときには、複素合成部37dは、インパルス信号発生部37cによって発生した信号を、入力部37aから出力された概周期周波数サブキャリア合成信号に対して、ピーク値とは逆極性で複素合成する。これにより、ピークが抑制され、PAPRが低減する。ピークが抑制された概周期周波数サブキャリア合成信号は、出力部37eを介して出力される。インパルス信号発生部37cによって発生した信号は、検出されたピーク値と規定値との差に対応した逆インパルス信号である。また、図12にあるPAPR補償部37は、PAPR補償処理を複数繰り返すことによりPAPRをより改善できる事は明らかである。

【0051】
図13は、図12のPAPR補償部37によって、ピークを制限した結果を示している。図13は、概周期周波数サブキャリア合成信号におけるピークの標準偏差をσとした場合に、逆インパルス信号の大きさ(ピーク制限レベル)を、2σ、1.8σ、1.6σに設定した場合それぞれのPAPRと、PAPR補償なしの場合のPAPRを示している。なお、PARP補償なし概周期周波数サブキャリア合成信号の場合、PAPRは8~9[dB]程度あるのに対して、PAPR補償を行った場合には、PAPRが低減できている。また、ピーク制限レベルを深くするほどPAPRを低減できる。

【0052】
図13において、概周期周波数サブキャリア合成信号を構成する各サブキャリアの周波数標準偏差を示しており、周波数標準偏差がゼロの場合、OFDMとなる。OFDMの場合、通常、PAPRは10dB程度である。図13から明らかなように、概周期周波数サブキャリア信号は、PAPR補償なしでもOFDMよりもPAPRを低減できており、PAPR補償を行うことにより、さらにPAPRを低減できる。

【0053】
[2.4 まとめ]
本実施形態によれば、サブキャリア複素周波数間を非同期にする関係を用いて、PAPRを低減させ、送信系での相互変調積の低減による周波数利用効率の向上が可能である。また、本実施形態によれば、送信電力の効率化により伝送容量が増加できる超多重化、超マルチアクセス通信システムの実現が可能である。本実施形態において開示の技術は、音響・電波利用システムから光通信まで広範囲の通信システム(放送システムを含む)に適用できる。
【符号の説明】
【0054】
10 概周期周波数配置生成装置
20 通信機
30 送信機
33 サブキャリア変調部
40 受信機
42 サブキャリア復調部
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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