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明細書 :AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年3月29日(2018.3.29)
発明の名称または考案の名称 AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする組成物
国際特許分類 A01N   1/02        (2006.01)
A61K  31/4725      (2006.01)
A61K  31/472       (2006.01)
A61P  37/06        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P   9/10        (2006.01)
A61K   9/08        (2006.01)
C07D 217/04        (2006.01)
C07D 401/12        (2006.01)
A61K  45/00        (2006.01)
C12N   5/02        (2006.01)
FI A01N 1/02
A61K 31/4725
A61K 31/472
A61P 37/06
A61P 43/00 105
A61P 43/00 111
A61P 35/00
A61P 9/10
A61K 9/08
C07D 217/04 CSP
C07D 401/12
A61K 45/00
C12N 5/02
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 46
出願番号 特願2017-515610 (P2017-515610)
国際出願番号 PCT/JP2016/063381
国際公開番号 WO2016/175290
国際出願日 平成28年4月28日(2016.4.28)
国際公開日 平成28年11月3日(2016.11.3)
優先権出願番号 2015093346
優先日 平成27年4月30日(2015.4.30)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】萩原 正敏
【氏名】豊本 雅靖
【氏名】喜井 勲
【氏名】細谷 孝充
【氏名】吉田 優
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000040、【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
審査請求 未請求
テーマコード 4B065
4C034
4C063
4C076
4C084
4C086
4H011
Fターム 4B065AA90X
4B065BD34
4B065CA60
4C034AB20
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC15
4C063DD12
4C063EE01
4C076AA11
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC26
4C076CC27
4C076EE57
4C076FF11
4C084AA17
4C084MA16
4C084NA14
4C084ZA361
4C084ZB081
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZC191
4C084ZC411
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC30
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA16
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZB08
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC19
4C086ZC41
4H011BB09
4H011CA01
4H011CB05
4H011CB08
4H011CD02
要約 臓器の保存液や灌流液のために使用できる組成物を提供する。あるいは、正常細胞の生存を延ばす組成物、及び/又は、がん細胞の生存を抑制する組成物を提供する。
一又は複数の実施形態において、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)のリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする組成物。該組成物は、細胞(とりわけ、正常細胞)の生存を延ばすことができる組成物である。また、該組成物は、がん細胞の生存を抑制できる組成物である。
特許請求の範囲 【請求項1】
細胞の生存を延ばす組成物であって、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする、組成物。
【請求項2】
ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流、再灌流又は保存における損傷又は細胞死を抑制するための医療用組成物である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流又は再灌流における損傷又は細胞死を抑制するための医薬組成物である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
AMPKのリン酸化を亢進する化合物が基剤液に溶解又は混合された臓器保存液又は臓器灌流液である組成物であって、前記基剤液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
臓器保存液又は臓器灌流液を改変するための添加剤である、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
臓器保存液又は臓器灌流液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【化1】
JP2016175290A1_000023t.gif
(式中、Rは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基を示し;
は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、又は置換基を有する若しくは非置換のアリール基を示し;
は、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し;
は、水素原子又はハロゲン原子を示し;
Wは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、又は下記一般式(II)で表され、
【化2】
JP2016175290A1_000024t.gif
式(II)において、R及びRは、互いに同一又は異なって、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、アシル基、若しくはアシルアミノ基を示し;又は、
及びRは、隣接する窒素原子と一緒になって、置換基を有する若しくは非置換の複素環、又は、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を形成し;又は
及びRは、置換基を有する若しくは非置換のシクロアルキリデンアミノ基、又は、置換基を有する若しくは非置換の芳香族環縮合シクロアルキリデン基を示す。)
【請求項8】
AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、下記一般式(III)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【化3】
JP2016175290A1_000025t.gif
(式中、Rは、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し、Rは、水素原子又はハロゲン原子を示す。)
【請求項9】
AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、
【化4】
JP2016175290A1_000026t.gif
及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
移植前、中、又は後のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の保存液、灌流液若しくは再灌流液又はそれらの添加剤におけるAMPKのリン酸化を亢進する化合物の使用。
【請求項11】
生体外の臓器又は組織の保存、貯蔵若しくは輸送中の損傷抑制のため、
再灌流損傷の抑制のため、移植片における虚血損傷の抑制のため、
臓器又は組織の移植後における機能回復の改善のため、又は、
移植不全の抑制のための、
ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流液又は保存液の製造における、AMPKのリン酸化を亢進する化合物の使用。
【請求項12】
生体外のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部を保存、貯蔵若しくは輸送する方法、又は、保存、貯蔵若しくは輸送中の損傷抑制のための方法であって、
前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物とを接触させることを含む方法。
【請求項13】
生体外のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部を移植する方法であって、
前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物とを、移植の前、中、又は後に接触させることを含む方法。
【請求項14】
前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物との接触が、灌流、浸漬、すすぎ、注入、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
下記一般式(III)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩。
【化5】
JP2016175290A1_000027t.gif
(式中、Rは、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し、Rは、水素原子又はハロゲン原子を示す。)
【請求項16】
AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分として含有する、
がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための、医薬組成物。
【請求項17】
AMPKのリン酸化の亢進が、Gタンパク質共役受容体(GPCR)を介したAMPKのリン酸化の亢進である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記化合物が、下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、請求項16又は17に記載の医薬組成物。
【化6】
JP2016175290A1_000028t.gif
(式中、Rは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基を示し;
は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、又は置換基を有する若しくは非置換のアリール基を示し;
は、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し;
は、水素原子又はハロゲン原子を示し;
Wは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、又は下記一般式(II)で表され、
【化7】
JP2016175290A1_000029t.gif
式(II)において、R及びRは、互いに同一又は異なって、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、アシル基、若しくはアシルアミノ基を示し;又は、
及びRは、隣接する窒素原子と一緒になって、置換基を有する若しくは非置換の複素環、又は、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を形成し;又は
及びRは、置換基を有する若しくは非置換のシクロアルキリデンアミノ基、又は、置換基を有する若しくは非置換の芳香族環縮合シクロアルキリデン基を示す。)
【請求項19】
前記化合物が、下記一般式(III)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、請求項16から18のいずれかに記載の医薬組成物。
【化8】
JP2016175290A1_000030t.gif
(式中、Rは、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し、Rは、水素原子又はハロゲン原子を示す。)
【請求項20】
前記化合物が、
【化9】
JP2016175290A1_000031t.gif
及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16から19のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項21】
がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法であって、請求項16から20のいずれかに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項22】
がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法であって、がん細胞に下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を接触させること、あるいは、がん細胞を有する生体に下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を投与することを含む、方法。
【化10】
JP2016175290A1_000032t.gif
(式中、Rは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基を示し;
は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、又は置換基を有する若しくは非置換のアリール基を示し;
は、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し;
は、水素原子又はハロゲン原子を示し;
Wは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、又は下記一般式(II)で表され、
【化11】
JP2016175290A1_000033t.gif
式(II)において、R及びRは、互いに同一又は異なって、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、アシル基、若しくはアシルアミノ基を示し;又は、
及びRは、隣接する窒素原子と一緒になって、置換基を有する若しくは非置換の複素環、又は、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を形成し;又は
及びRは、置換基を有する若しくは非置換のシクロアルキリデンアミノ基、又は、置換基を有する若しくは非置換の芳香族環縮合シクロアルキリデン基を示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、AMPKのリン酸化を亢進する化合物及び該化合物を含む組成物、並びに、それらの使用に関する。本開示は、また、細胞(とりわけ、正常細胞)の生存を延ばす組成物、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流、再灌流又は保存における損傷又は細胞死を抑制するための医療用組成物、及び、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流又は再灌流における損傷又は細胞死を抑制するための医薬組成物に関する。さらに、本開示は、AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分として含有する、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物に関する。さらにまた、本開示は、がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法、並びに、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臓器移植において、ドナーの臓器は、該臓器の除去からレシピエントへの移植までの間、血液が供給されない。そのため、虚血時間中の酸素欠如により細胞の損傷や、壊死性の組織変化が起こることがあり、最終的には該臓器の生命力及び機能性が損なわれることがある。また、心筋梗塞、脳梗塞後の再灌流や移植臓器の再灌流においては、再灌流のストレスに起因して虚血再灌流症候群が引き起こされることがある。
【0003】
これらの問題点を少しでも解決すべく、これまで多くの臓器保存液や灌流液が開発されてきた。例えば、Bretschneider液;Bretschneider's HTK液、商品名:Custodiol(登録商標);Euro-Collins 液;UW 液(ウィスコンシン大学液);St. Thomas' Hospital 液 (Plegisol(登録商標));Viaspan(登録商標) ("Belzer UW" DuPont-Pharma GmbH, Bad Homburg);Celsior(登録商標) (Imtix Sangstat, Lyon);Perfadex(登録商標) (Vitrolife AB, Gothenburg);Polysol(登録商標);ET-Kyoto液などが挙げられる。
【0004】
さらに、特許文献1は、N末がアシル化された5アミノ酸残基長のポリペプチドを有効成分とする細胞又は臓器の保存液を開示する。また、特許文献2は、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤/活性化剤を含有するヒト又は動物由来の臓器、臓器の一部、組織または組織の一部の灌流および保存のための溶液を開示する。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2010-239963号公報
【特許文献2】特表2010-529053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、一態様において、臓器の保存液や灌流液のために使用できる組成物を提供する。
本開示は、その他の一態様において、正常細胞又は非がん細胞に対して細胞死抑制作用を示す組成物、及び/又は、がん細胞に対して細胞死誘導作用を示す組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一又は複数の実施形態において、細胞、とりわけ正常細胞の生存を延ばす組成物であって、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)のリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする組成物に関する。
【0008】
本開示は、一又は複数の実施形態において、移植前、中、又は後のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の保存液、灌流液若しくは再灌流液又はそれらの改変剤としての本開示に係る組成物の使用に関する。
【0009】
本開示は、一又は複数の実施形態において、生体外の臓器又は組織の保存、貯蔵若しくは輸送中の損傷抑制のため、再灌流損傷の抑制のため、移植片における虚血損傷の抑制のため、臓器又は組織の移植後における機能回復の改善のため、又は、移植不全の抑制のための、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流液又は保存液の製造における、本開示に係る組成物の使用に関する。
【0010】
本開示は、一又は複数の実施形態において、生体外のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部を保存、貯蔵若しくは輸送する方法、又は、保存、貯蔵若しくは輸送中の損傷抑制のための方法であって、前記臓器、組織、又はそれらの一部と本開示に係る組成物とを接触させることを含む方法に関する。
【0011】
本開示は、一又は複数の実施形態において、AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分として含有する、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物に関する。
【0012】
本開示は、一又は複数の実施形態において、がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法であって、本開示に係る医薬組成物を対象に投与することを含む方法に関する。
【0013】
本開示は、一又は複数の実施形態において、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法であって、がん細胞に本開示に係るAMPKのリン酸化を亢進する化合物を接触させること、あるいは、がん細胞を有する生体にがん細胞に本開示に係るAMPKのリン酸化を亢進する化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を投与することを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、化合物1の添加後10、30、60、90及び120分におけるリン酸化AMPKα、トータルAMPKα、リン酸化ACC、トータルACCの存在量をウエスタンブロッティングにより検出した結果の一例である。
【図2】図2は、血清飢餓状態における正常細胞の生存細胞数を、化合物1の存在下/非存在下で比べたグラフの一例である。
【図3】図3は、血清飢餓状態における初代培養細胞の生存細胞数を、化合物1の存在下/非存在下で比べたグラフの一例である。
【図4】図4は、ラット肝臓温虚血再灌流モデルにおける肝逸脱酵素AST及びALTの上昇に対する化合物1の抑制効果を、陽性対照AICAR及び陰性対照Vehicleと比較したグラフの一例である。
【図5】図5は、がん細胞(HeLa及びJurkat細胞)の化合物1の存在下/非存在下における生存細胞数を比べたグラフの一例である。
【図6】図6は、化合物1により細胞死が誘導されたがん細胞におけるオートファジーマーカー(LC3-II)を、オートファジー分解阻害剤(BafA)を用いて検出した結果の一例である。
【図7】図7は、化合物1により細胞死が誘導されるがん細胞に対する、オートファジー阻害剤(3-MA)の影響を確認した結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[細胞の生存を延ばす組成物]
本開示は、一態様において、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)のリン酸化を亢進する化合物が、非がん細胞の生存を延長できるという知見に基づく。AMPKのリン酸化とは、一又は複数の実施形態において、αサブユニットThr172のリン酸化をいい、或いは、これに相同する部位のThr/Serのリン酸化をいう。細胞は、一又は複数の実施形態において、ヒト又はヒト以外の動物の細胞をいう。本開示において、「細胞」とは、特に限定がない場合は、正常細胞又は非がん細胞を指す。動物は、一又は複数の実施形態において、哺乳類である。本開示における「細胞の生存を延ばす」とは、一又は複数の実施形態において、細胞死を抑制すること、又は、培養中の生存細胞数の減少を抑制することを含む。「細胞の生存を延ばす」ことは、さらなる一又は複数の実施形態において、無血清培養時若しくは虚血時の細胞死を抑制すること、又は、初代培養時の細胞死を抑制することを含む。
また、本開示におけるAMPKのリン酸化の亢進は、一又は複数の実施形態において、Gタンパク質共役受容体(GPCR)を介したAMPKのリン酸化の亢進であってもよい。

【0016】
すなわち、本開示に係る組成物は、一態様において、AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする組成物である。本開示に係る組成物は、細胞、とりわけ正常細胞の生存を延ばすことができる。

【0017】
本開示は、その他の態様において、本開示に係る組成物が、臓器等の保存液及び/又は灌流液に使用できる、という知見に基づく。本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、保存液の形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、それらの虚血時間を延長できる。また、本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、灌流液の形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、虚血再灌流損傷を抑制又は回避できる。
本開示において、「ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の保存」の保存温度は特に限定されなく、冷凍状態、冷蔵状態、及び/又は常温状態での保存が含まれうる。

【0018】
したがって、本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、移植に使用される臓器等の保存液として使用できる。また、本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、移植後又は脳梗塞若しくは心筋梗塞後の灌流液として使用できる。

【0019】
前記保存液及び灌流液は、限定されない一又は複数の実施形態において、従来使用されている又は今後使用される臓器等の保存液及び/又は灌流液と、AMPKのリン酸化を亢進する化合物との混合液若しくは溶解液の形態である。前記保存液及び/又は灌流液には、一又は複数の実施形態において、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせが含まれうる。

【0020】
本開示は、さらにその他の態様において、本開示に係る組成物が、臓器等の保存液及び/又は灌流液の改変に使用できる、という知見に基づく。本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、添加剤の形態において、臓器等の保存液及び/又は灌流液に添加される。本開示に係る組成物が添加された保存液は、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、それらの虚血時間を延長できる。本開示に係る組成物が添加された灌流液は、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、虚血再灌流損傷を抑制又は回避できる。

【0021】
[医療用組成物]
本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流、再灌流又は保存における損傷又は細胞死を抑制するための医療用組成物である。本形態に係る医療用組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、移植に使用される臓器等の保存液、又は該保存液の添加剤として使用でき、一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、それらの虚血時間を延長できる。

【0022】
[医薬組成物]
本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流又は再灌流における損傷又は細胞死を抑制するための医薬組成物である。本形態に係る医薬組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、移植後又は脳梗塞若しくは心筋梗塞後の灌流液、又は、該灌流液の添加剤として使用でき、一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、虚血再灌流損傷を抑制又は回避できる。

【0023】
[保存液・灌流液]
本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流、再灌流又は保存における損傷又は細胞死を抑制するための保存液又は灌流液である。本開示に係る保存液又は灌流液は、AMPKのリン酸化を亢進する化合物が基剤液に溶解又は混合した構成である。前記基剤液は、一又は複数の実施形態において、従来使用されている又は今後使用される臓器等の保存液/又は灌流液であって、一又は複数の実施形態において、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせが含まれうる。

【0024】
本開示に係る保存液又は灌流液におけるAMPKのリン酸化を亢進する化合物の濃度としては、限定されない一又は複数の実施形態において、AMPKのリン酸化を亢進できる濃度であって、2~150μMが挙げられる。

【0025】
[添加剤]
本開示に係る組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、保存液又は灌流液を改変するための添加剤である。本開示に係る添加剤の改変対象の保存液又は灌流液は、一又は複数の実施形態において、従来使用されている又は今後使用される臓器等の保存液/又は灌流液であって、一又は複数の実施形態において、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせが含まれうる。本開示に係る添加剤が添加された保存液は、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、それらの虚血時間を延長できる。本開示に係る添加剤が添加された灌流液は、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、虚血再灌流損傷を抑制又は回避できる。本開示に係る添加剤の添加量としては、限定されない一又は複数の実施形態において、添加後の保存液又は灌流液におけるAMPKのリン酸化を亢進する化合物の濃度が、AMPKのリン酸化を亢進できる濃度、或いは、2~150μMとなるような量が挙げられる。

【0026】
[AMPKのリン酸化を亢進する化合物]
本開示に係る組成物の有効成分であるAMPKのリン酸化を亢進する化合物は、限定されない一又は複数の実施形態において、下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である。
【化1】
JP2016175290A1_000002t.gif

【0027】
式(I)において、Rは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基を示し;
は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、又は置換基を有する若しくは非置換のアリール基を示し;
は、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し;
は、水素原子又はハロゲン原子を示し;
Wは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、又は下記一般式(II)で表される。
【化2】
JP2016175290A1_000003t.gif

【0028】
式(II)において、R及びRは、互いに同一又は異なって、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、アシル基、若しくはアシルアミノ基を示し;又は、
及びRは、隣接する窒素原子と一緒になって、置換基を有する若しくは非置換の複素環、又は、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を形成し;又は
及びRは、置換基を有する若しくは非置換のシクロアルキリデンアミノ基、又は、置換基を有する若しくは非置換の芳香族環縮合シクロアルキリデン基を示す。

【0029】
臓器の保存液や灌流液のための使用の観点から、式(I)において、Rは、ハロゲン置換C1-3アルキル基が好ましく、より好ましくはトリフルオロメチル基であり、Rは、水素原子が好ましく、Rは、フェニル基、ハロゲン置換若しくはC1-3アルキル置換フェニル基、ナフチル基、ハロゲン置換若しくはC1-3アルキル置換ナフチル基、含窒素複素環、又は、ハロゲン置換若しくはC1-3アルキル置換含窒素複素環であり、Rは、水素原子又はハロゲン原子が好ましく、Wは、
【化3】
JP2016175290A1_000004t.gif
が好ましい。

【0030】
よって、一般式(I)で表される化合物は、限定されない一又は複数の実施形態において、一般式(III)で表される化合物である。
【化4】
JP2016175290A1_000005t.gif

【0031】
一般式(III)において、Rは、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し、Rは、水素原子又はハロゲン原子を示す。臓器の保存液や灌流液のための使用の観点から、Rは、フェニル基、ハロゲン置換若しくはC1-3アルキル置換フェニル基、ナフチル基、ハロゲン置換若しくはC1-3アルキル置換ナフチル基、含窒素複素環、又は、ハロゲン置換若しくはC1-3アルキル置換含窒素複素環が好ましい。

【0032】
本開示において、C1-6アルキル基としては、一又は複数の実施形態において、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、2-メチル-1-プロピル基、2-メチル-2-プロピル基、1-ブチル基、2-ブチル基、1-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、3-メチル-1-ブチル基、2-メチル-2-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、2,2-ジメチル-1-プロピル基、1-へキシル基、2-へキシル基、3-へキシル基、2-メチル-1-ペンチル基、3-メチル-1-ペンチル基、4-メチル-1-ペンチル基、2-メチル-2-ペンチル基、3-メチル-2-ペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-メチル-3-ペンチル基、3-メチル-3-ペンチル基、2,3-ジメチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-1-ブチル基、2,2-ジメチル-1-ブチル基、2-エチル-1-ブチル基、3,3-ジメチル-2-ブチル基、2,3-ジメチル-2-ブチル基等の直鎖又は分枝アルキル基、及び、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル基が挙げられる。

【0033】
本開示において、C2-6アルケニル基としては、一又は複数の実施形態において、炭素数2~6個の直鎖状または分枝鎖状のアルケニル基を意味し、具体的には例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。

【0034】
本開示において、C2-6アルキニル基としては、一又は複数の実施形態において、炭素数2~6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキニル基を意味し、具体的には例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。

【0035】
本開示において、C1-6アルコキシ基としては、一又は複数の実施形態において、前記定義のC1-6アルキル基が結合したオキシ基であることを意味し、具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、1-プロピルオキシ基、2-プロピルオキシ基、2-メチル-1-プロピルオキシ基、2-メチル-2-プロピルオキシ基、1-ブチルオキシ基、2-ブチルオキシ基、1-ペンチルオキシ基、2-ペンチルオキシ基、3-ペンチルオキシ基、2-メチル-1-ブチルオキシ基、3-メチル-1-ブチルオキシ基、2-メチル-2-ブチルオキシ基、3-メチル-2-ブチルオキシ基、2,2-ジメチル-1-プロピルオキシ基、1-へキシルオキシ基、2-へキシルオキシ基、3-へキシルオキシ基、2-メチル-1-ペンチルオキシ基、3-メチル-1-ペンチルオキシ基、4-メチル-1-ペンチルオキシ基、2-メチル-2-ペンチルオキシ基、3-メチル-2-ペンチルオキシ基、4-メチル-2-ペンチルオキシ基、2-メチル-3-ペンチルオキシ基、3-メチル-3-ペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-1-ブチルオキシ基、3,3-ジメチル-1-ブチルオキシ基、2,2-ジメチル-1-ブチルオキシ基、2-エチル-1-ブチルオキシ基、3,3-ジメチル-2-ブチルオキシ基、2,3-ジメチル-2-ブチルオキシ基等が挙げられる。

【0036】
本開示において、C1-6アルキルチオ基としては、一又は複数の実施形態において、前記定義のC1-6アルキル基が結合したチオ基であることを意味し、具体的には例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、1-プロピルチオ基、2-プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基等が挙げられる。

【0037】
本開示において、C1-6アルキルスルホニル基としては、一又は複数の実施形態において、前記定義のC1-6アルキル基が結合したスルホニル基であることを意味し、具体的には例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、1-プロピルスルホニル基、2-プロピルスルホニル基等が挙げられる。

【0038】
本開示において、C1-6アルコキシカルボニル基としては、一又は複数の実施形態において、前記定義のC1-6アルキル基が結合したカルボニル基であることを意味し、具体的には例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、1-プロピルオキシカルボニル基、2-プロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。

【0039】
本開示において、C6-10アリール基とは、一又は複数の実施形態において、炭素数6~10の芳香族性の炭化水素環式基をいい、具体的には例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基などが挙げられる。

【0040】
本開示において、「複素環」とは、環を構成する原子中に1~2個のヘテロ原子を含有し、環中に二重結合を含んでいてもよく、非芳香族性の環または芳香族性の環を意味する。本開示において、「ヘテロ原子」とは、硫黄原子、酸素原子または窒素原子を意味する。本開示において、複素環は、二環又はそれ以上の環が縮合した縮合複素環であってもよい。

【0041】
本開示において、「含窒素複素環」とは、環を構成する原子中に1~2個の窒素原子を含有し、環中に二重結合を含んでいてもよく、非芳香族性の環または芳香族性の環を意味する。含窒素複素環が縮合複素環の場合、窒素原子は少なくとも1つの環に存在すればよい。

【0042】
本開示において、置換基としては、一個又は同一若しくは異なって複数個あってもよく、一又は複数の実施形態において、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、水酸基、メチレンジオキシ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ベンジルオキシ基、C1-6アルカノイルオキシ基、アミノ基、モノC1-6アルキルアミノ基、ジC1-6アルキルアミノ基、カルバモイル基、C1-6アルキルアミノカルボニル基、ジC1-6アルキルアミノカルボニル基、カルボキシル基、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルスルフィニル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルカノイルアミノ基、又はC1-6アルキルスルホンアミド基が挙げられる。本開示において、ハロゲン原子は、一又は複数の実施形態において、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子が挙げられる。

【0043】
また、一般式(I)及び(III)で表される化合物は、不斉炭素原子が存在する場合、及び/又は、立体異性体が存在する場合、一又は複数の実施形態において、各異性体の混合物、又は、単離されたものである。

【0044】
本開示において「プロドラッグ」は、一又は複数の実施形態において、生体内で容易に加水分解され、式(I)で表される化合物を再生するものが挙げられ、例えばカルボキシル基を有する化合物であればそのカルボキシル基がアルコキシカルボニル基となった化合物、アルキルチオカルボニル基となった化合物、又はアルキルアミノカルボニル基となった化合物が挙げられる。また、例えばアミノ基を有する化合物であれば、そのアミノ基がアルカノイル基で置換されアルカノイルアミノ基となった化合物、アルコキシカルボニル基により置換されアルコキシカルボニルアミノ基となった化合物、アシロキシメチルアミノ基となった化合物、又はヒドロキシルアミンとなった化合物が挙げられる。また例えば水酸基を有する化合物であれば、その水酸基が前記アシル基により置換されてアシロキシ基となった化合物、リン酸エステルとなった化合物、又はアシロキシメチルオキシ基となった化合物が挙げられる。これらのプロドラッグ化に用いる基のアルキル部分としては前記アルキル基が挙げられ、そのアルキル基は置換(例えば炭素原子数1~6のアルコキシ基等により)されていてもよい。一又は複数の実施形態において、例えばカルボキシル基がアルコキシカルボニル基となった化合物を例にとれば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどの低級(例えば炭素数1~6)アルコキシカルボニル、メトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニル、ピバロイロキシメトキシカルボニルなどのアルコキシ基により置換された低級(例えば炭素数1~6)アルコキシカルボニルが挙げられる。

【0045】
本開示において「製薬上許容される塩」とは、薬学的、薬理的、及び/又は医薬的に許容される塩を含有し、例えば、無機酸塩、有機酸塩、無機塩基塩、有機塩基塩、酸性又は塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。

【0046】
前記無機酸塩の好ましい例としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが挙げられ、有機酸塩の好ましい例としては、例えば酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。

【0047】
前記無機塩基塩の好ましい例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。前記有機塩基塩の好ましい例としては、例えばジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、メグルミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などが挙げられる。

【0048】
前記酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などが挙げられる。前記塩基性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えばアルギニン塩、リジン塩、オルニチン塩などが挙げられる。

【0049】
本開示において「化合物の塩」には、化合物が大気中に放置されることにより、水分を吸収して形成されうる水和物が包含され得る。また、本開示において「化合物の塩」には、化合物が他のある種の溶媒を吸収して形成されうる溶媒和物も包含され得る。

【0050】
一般式(I)で表される化合物としては、限定されない一又は複数の実施形態において、下記式の化合物が挙げられる。
【化5】
JP2016175290A1_000006t.gif

【0051】
本開示に係る組成物は、一又は複数の実施形態において、保存液及び/又は灌流液、その濃縮物、又は添加剤の形態で液体であり、或いは、保存液及び/又は灌流液のための添加剤の形態で固体であってもよい。

【0052】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[A1] 細胞の生存を延ばす組成物であって、AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする、組成物。
[A2] ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流、再灌流又は保存における損傷又は細胞死を抑制するための医療用組成物である、[A1]記載の組成物。
[A3] ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流又は再灌流における損傷又は細胞死を抑制するための医薬組成物である、[A1]記載の組成物。
[A4] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が基剤液に溶解又は混合された臓器保存液又は臓器灌流液である組成物であって、前記基剤液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[A1]から[A3]のいずれかに記載の組成物。
[A5] 臓器保存液又は臓器灌流液を改変するための添加剤である、[A1]から[A4]のいずれかに記載の組成物。
[A6] 臓器保存液又は臓器灌流液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[A5]記載の組成物。
[A7] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、下記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、[A1]から[A6]のいずれかに記載の組成物。
【化6】
JP2016175290A1_000007t.gif
(式中、Rは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルキニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アジド基、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルスルホニル基、カルボキシ基、ホルミル基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルアミノ基、又はスルファモイル基を示し;
は、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、又は置換基を有する若しくは非置換のアリール基を示し;
は、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し;
は、水素原子又はハロゲン原子を示し;
Wは、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルコキシ基、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキルチオ基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、又は下記一般式(II)で表され、
【化7】
JP2016175290A1_000008t.gif
式(II)において、R及びRは、互いに同一又は異なって、水素原子、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環、アシル基、若しくはアシルアミノ基を示し;又は、
及びRは、隣接する窒素原子と一緒になって、置換基を有する若しくは非置換の複素環、又は、置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を形成し;又は
及びRは、置換基を有する若しくは非置換のシクロアルキリデンアミノ基、又は、置換基を有する若しくは非置換の芳香族環縮合シクロアルキリデン基を示す。)
[A8] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、下記一般式(III)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、[A1]から[A7]のいずれかに記載の組成物。
【化8】
JP2016175290A1_000009t.gif
(式中、Rは、置換基を有する若しくは非置換のC1-6アルキル基、置換基を有する若しくは非置換のC2-6アルケニル基、置換基を有する若しくは非置換のC6-10アリール基、置換基を有する若しくは非置換の含窒素複素環、又は置換基を有する若しくは非置換の縮合芳香族複素環を示し、Rは、水素原子又はハロゲン原子を示す。)
[A9] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、
【化9】
JP2016175290A1_000010t.gif
及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[A1]から[A8]のいずれかに記載の組成物。

【0053】
[使用]
本開示は、その他の態様において、移植前、中、又は後のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の保存液、灌流液若しくは再灌流液又はそれらの添加剤におけるAMPKのリン酸化を亢進する化合物の使用に関する。本態様の使用は、一又は複数の実施形態において、移植前、中、又は後のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の保存液、灌流液若しくは再灌流液又はそれらの添加剤としての本開示に係る組成物の使用である。AMPKのリン酸化を亢進する化合物を含む組成物を、保存液、灌流液、又は添加剤として使用すれば、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、それらの虚血時間を延長できる、或いは、限定されない一又は複数の実施形態において、ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の、虚血により誘導されうる損傷(細胞死)の発生を抑制でき、或いは、虚血再灌流損傷を抑制又は回避できる。

【0054】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[B1] 移植前、中、又は後のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の保存液、灌流液若しくは再灌流液又はそれらの添加剤におけるAMPKのリン酸化を亢進する化合物の使用。
[B2] AMPKのリン酸化を亢進する化合物を含む組成物を、保存液、灌流液、又は添加剤として使用することを含む、[B1]記載の使用。
[B3] AMPKのリン酸化を亢進する化合物を基剤液に溶解又は混合して臓器保存液又は臓器灌流液とすることを含み、前記基剤液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[B1]又は[B2]に記載の使用。
[B4] 臓器保存液又は臓器灌流液を改変するためAMPKのリン酸化を亢進する化合物を前記臓器保存液又は前記臓器灌流液に添加することを含む、[B1]から[B3]のいずれかに記載の使用。
[B5] 臓器保存液又は臓器灌流液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[B4]記載の使用。
[B6] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、[A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、[B1]から[B5]のいずれかに記載の使用。

【0055】
[製造における使用]
本開示は、その他の態様において、生体外の臓器又は組織の保存、貯蔵若しくは輸送中の損傷抑制のため、
再灌流損傷の抑制のため、移植片における虚血損傷の抑制のため、
臓器又は組織の移植後における機能回復の改善のため、又は、
移植不全の抑制のための、
ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流液又は保存液の製造における、AMPKのリン酸化を亢進する化合物の使用に関する。

【0056】
本態様の使用は、一又は複数の実施形態において、添加後の保存液又は灌流液におけるAMPKのリン酸化を亢進する化合物の濃度が、AMPKのリン酸化を亢進できる濃度、或いは、2~150μMとなるように該化合物を添加することが挙げられる。

【0057】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[C1] 生体外の臓器又は組織の保存、貯蔵若しくは輸送中の損傷抑制のため、
再灌流損傷の抑制のため、移植片における虚血損傷の抑制のため、
臓器又は組織の移植後における機能回復の改善のため、又は、
移植不全の抑制のための、
ヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部の灌流液又は保存液の製造における、AMPKのリン酸化を亢進する化合物の使用。
[C2] 前記製造が、AMPKのリン酸化を亢進する化合物を基剤液に溶解又は混合して臓器保存液又は臓器灌流液とすることを含む、[C1]記載の使用。
[C3] 前記基剤液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[C2]記載の使用。
[C4] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、[A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、[C1]から[C3]のいずれかに記載の使用。

【0058】
[臓器保存方法]
本開示は、その他の態様において、生体外のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部を保存、貯蔵若しくは輸送する方法、又は、保存、貯蔵若しくは輸送中の損傷抑制のための方法であって、前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物とを接触させることを含む方法に関する。本態様の方法における、「前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物とを接触させること」は、一又は複数の実施形態において、前記臓器、組織、又はそれらの一部と本開示に係る組成物と接触させることであり、或いは、前記臓器、組織、又はそれらの一部と本開示に係る医療用組成物と接触させることであり、或いは、前記臓器、組織、又はそれらの一部と本開示に係る保存液と接触させることである。前記接触は、一又は複数の実施形態において、灌流、浸漬、すすぎ、注入、及びこれらの組み合わせで行うことができる。

【0059】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[D1] 生体外のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部を保存、貯蔵若しくは輸送する方法、又は、保存、貯蔵若しくは輸送中の損傷抑制のための方法であって、
前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物とを接触させることを含む方法。
[D2] AMPKのリン酸化を亢進する化合物を含む保存液と、前記臓器、組織、又はそれらの一部とを接触させることを含む、[D1]記載の方法。
[D3] 前記保存液が、AMPKのリン酸化を亢進する化合物が基剤液に溶解又は混合された臓器保存液であって、前記基剤液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[D2]記載の組成物。
[D4] 接触が、灌流、浸漬、すすぎ、注入、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[D3]記載の方法。
[D5] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、[A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、[D1]から[D4]のいずれかに記載の方法。

【0060】
[移植方法]
本開示は、その他の態様において、生体外のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部を移植する方法であって、前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物とを、移植の前、中、又は後に接触させることを含む方法に関する。本態様の方法における、「前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物とを接触させること」は、一又は複数の実施形態において、前記臓器、組織、又はそれらの一部と本開示に係る組成物と接触させることであり、或いは、前記臓器、組織、又はそれらの一部と本開示に係る医療用組成物若しくは医薬組成物と接触させることであり、或いは、前記臓器、組織、又はそれらの一部と本開示に係る保存液若しくは灌流液と接触させることである。前記接触は、一又は複数の実施形態において、灌流、浸漬、すすぎ、注入、及びこれらの組み合わせで行うことができる。

【0061】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[E1] 生体外のヒト又は動物の臓器、組織、又はそれらの一部を移植する方法であって、前記臓器、組織、又はそれらの一部とAMPKのリン酸化を亢進する化合物とを、移植の前、中、又は後に接触させることを含む方法。
[E2] AMPKのリン酸化を亢進する化合物を含む保存液又は灌流液と、前記臓器、組織、又はそれらの一部とを接触させることを含む、[E1]記載の方法。
[E3] 前記保存液又は灌流液が、AMPKのリン酸化を亢進する化合物が基剤液に溶解又は混合された臓器保存液又は臓器灌流液であって、前記基剤液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[E2]記載の方法。
[E4] 接触が、灌流、浸漬、すすぎ、注入、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[E3]記載の方法。
[E5] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、[A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、[E1]から[E4]のいずれかに記載の方法。

【0062】
本開示において、臓器は、限定されない一又は複数の実施形態において、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、腸又は膀胱であり、その一部としては、限定されない一又は複数の実施形態において、心臓弁、血管切片、肝葉、腸切片、筋肉調製物、肢が挙げられる。また、本開示おいて組織又はその一部としては、限定されない一又は複数の実施形態において、角膜、皮膚組織、又は皮膚移植片が挙げられる。

【0063】
[治療方法]
本開示は、その他の態様において、梗塞による疾患の治療方法であって、再灌流液としてAMPKのリン酸化を亢進する化合物を含有する灌流液(血液)を使用することを含む治療方法に関する。灌流液におけるAMPKのリン酸化を亢進する化合物の濃度は、一又は複数の実施形態において、AMPKのリン酸化を亢進できる濃度、或いは、2~150μMとなるように該化合物を添加することが挙げられる。本態様は、一又は複数の実施形態において、AMPKのリン酸化を亢進する化合物が溶解した血液又は血清を灌流液として使用すること、或いは、血液に投与する添加剤としてAMPKのリン酸化を亢進する化合物を使用することを含む。

【0064】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[F1] AMPKのリン酸化を亢進する化合物を含有する再灌流液を用いて再灌流することを含む、梗塞による疾患の治療方法。
[F2] 前記再灌流液が、AMPKのリン酸化を亢進する化合物が基剤液に溶解又は混合された再灌流液であって、前記基剤液が、UW液、Bretschneider液、Bretschneider's HTK液、Euro-Collins液、St. Thomas' Hospital 液、ET-Kyoto液、血漿、血清、血液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[F1]記載の方法。
[F3] 前記再灌流液が、AMPKのリン酸化を亢進する化合物が溶解した血液又は血清である、[F1]又は[F2]に記載の方法。
[F4] 再灌流の前又は再灌流時に、AMPKのリン酸化を亢進する化合物を含有する組成物を対象に投与することを含む、[F1]から[F3]記載の方法。
[F5] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、[A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、[F1]から[F4]のいずれかに記載の方法。

【0065】
[がんに対する医薬組成物]
本開示に係るAMPKのリン酸化を亢進する化合物が、がん細胞に細胞死を誘導できることが見出された。よって、本開示は、一態様において、AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする、がんのための医薬組成物に関する。
本態様の医薬組成物であれば、がん細胞に細胞死を誘導できる。本開示において、がん細胞に細胞死を誘導するとは、一又は複数の実施形態において、がん細胞の生存率を低下させること、及び/又は、がん細胞の細胞数を減らすことをいう。前記がん細胞としては、限定されない一又は複数の実施形態において、脳腫瘍、グリオブラストーマ、膵管がん、横紋筋肉腫、肺がん、大腸がん、皮膚がん、前立腺がん、乳がん、又は、卵巣がんが挙げられる。

【0066】
本態様の医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、上述したように、正常細胞又は非がん細胞の生存を延ばすこと、或いは、正常細胞又は非がん細胞の細胞死を抑制することができる。

【0067】
本態様の医薬組成物の有効成分は、上述のAMPKのリン酸化を亢進する化合物が挙げられ、一又は複数の実施形態において、上記一般式(I)で表される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩が挙げられる。
本態様の一又は複数の実施形態において、AMPKのリン酸化の亢進は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)を介したAMPKのリン酸化の亢進である。

【0068】
本態様の医薬組成物が誘導する細胞死は、一又は複数の実施形態において、プログラム細胞死である。本開示において、プログラム細胞死は、アポトーシス、オートファジーを伴う細胞死(以下、単に「オートファジー細胞死」ともいう。)、及び、ネクローシス型プログラム細胞死を含む。
本態様の医薬組成物が誘導する細胞死は、一又は複数の実施形態において、オートファジー細胞死である。オートファジー細胞死は、一又は複数の実施形態において、オートファジーのマーカー(例えば、LC3-II)の発現亢進で確認できる。

【0069】
本態様の医薬組成物は、一又は複数の実施形態において、周知の製剤技術を適用し、投与形態に適した剤形とすることができる。その投与形態としては、これらに限定されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤、シロップ剤、液剤等の剤形による経口投与が挙げられる。或いは、注射剤、液剤、エアゾール剤、坐剤、貼布剤、パップ剤、ローション剤、リニメント剤、軟膏剤、点眼剤等の剤形による非経口投与を挙げることができる。これらの製剤は、これらに限定されないが、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定化剤、矯味矯臭剤、希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造されうる。

【0070】
前記賦形剤としては、これらに限定されないがデンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。前記コーティング剤としては、これらに限定されないが、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。前記結合剤としては、これらに限定されないが、ポリビニルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。前記崩壊剤としては、これらに限定されないが、前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。前記安定化剤としては、これらに限定されないが、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェエノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。前記矯味矯臭剤としては、これらに限定されないが、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。

【0071】
また、液剤の製造には、溶媒として、これらに限定されないが、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができ、必要に応じて界面活性剤又は乳化剤等も使用できる。前記界面活性剤又は乳化剤としては、これらに限定されないが、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。

【0072】
本態様の医薬組成物の使用方法は、症状、年齢、投与方法等により異なりうる。使用方法は、これらに限定されないが、有効成分である前記一般式(I)で表される化合物の体内濃度が100nM~1mMの間のいずれかになるように、間欠的若しくは持続的に、経口、経皮、粘膜下、皮下、筋肉内、血管内、脳内、又は腹腔内に投与することができる。限定されない実施形態として、経口投与の場合、対象(ヒトであれば成人)に対して1日あたり、前記一般式(I)で表される化合物に換算して、下限として0.01mg(好ましくは0.1mg)、上限として、2000mg(好ましくは500mg、より好ましくは100mg)を1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが挙げられる。限定されない実施形態として、静脈内投与の場合には、対象(ヒトであれば成人)に対して1日当たり、下限として0.001mg(好ましくは0.01mg)、上限として、500mg(好ましくは50mg)を1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが挙げられる。

【0073】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[G1] AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする、がん細胞にプログラム細胞死を誘導するための医薬組成物。
[G2] AMPKのリン酸化を亢進する化合物を有効成分とする、がん細胞に細胞死を誘導し、正常細胞の生存を延ばすための医薬組成物。
[G3] AMPKのリン酸化の亢進が、GPCRを介したAMPKのリン酸化の亢進である、[G1]又は[G2]に記載の医薬組成物。
[G4] 前記有効成分が、GPCRを介したAMPKのリン酸化を亢進し、がん細胞にオートファジー細胞死を誘導する化合物である、[G1]から[G3]のいずれかに記載の医薬組成物。
[G5] AMPKのリン酸化を亢進する化合物が、[A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩である、[G1]から[G4]のいずれかに記載の医薬組成物。
[G6] [A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を有効成分とする、医薬組成物。
[G7] がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療のための、[G6]に記載の医薬組成物。
[G8] [G1]から[G7]のいずれかに記載の医薬組成物を製造における、AMPKのリン酸化を亢進する化合物の使用。

【0074】
[がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法]
本態様の医薬組成物を用いれば、上述のとおり、がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法が可能となる。
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[H1] がんの予防、改善、進行抑制、及び/又は、治療の方法であって、[G1]から[G7]のいずれかに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。

【0075】
[がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法]
本開示に係るAMPKのリン酸化を亢進する化合物が、がん細胞にプログラム細胞死を誘導できることが見出された。よって、本開示は、一態様において、AMPKのリン酸化を亢進する化合物によりがん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法に関する。本態様に係る方法におけるプログラム細胞死は、一又は複数の実施形態において、オートファジー細胞死である。オートファジー細胞死は、一又は複数の実施形態において、オートファジーのマーカー(例えば、LC3-II)が発現亢進により確認できる。本態様の一又は複数の実施形態において、AMPKのリン酸化の亢進は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)を介したAMPKのリン酸化の亢進である。本態様に係る方法は、in vivo、in vitro、ex vivoで行うことができる。

【0076】
したがって、本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関しうる。
[I1] がん細胞にAMPKのリン酸化を亢進する化合物を接触させること、あるいは、がん細胞を有する生体にAMPKのリン酸化を亢進する化合物を投与することを含む、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法。
[I2] がん細胞に[A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を接触させること、あるいは、がん細胞を有する生体に[A7]から[A9]のいずれかで規定される化合物若しくはそのプロドラッグ又はそれらの製薬上許容される塩を投与することを含む、がん細胞にプログラム細胞死を誘導する方法。
[I3] プログラム細胞死が、オートファジー細胞死である、[I1]又は[I2]に記載の方法。
【実施例】
【0077】
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。なお、本開示中に引用された文献のその全体は、本開示の一部として組み入れられる。
【実施例】
【0078】
製造例1:化合物1の製造
化合物1
【化10】
JP2016175290A1_000011t.gif
化合物1は、以下のように合成した。
【化11】
JP2016175290A1_000012t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(1.20 g,4.03 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(20 mL)溶液に、4-フルオロベンゼンスルホニルクロリド(4-fluorobenzenesulfonyl chloride)(2.90 g, 14.9 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(1.00 mL, 7.23 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、48時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。次に、得られた反応粗生成物のテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)(20 mL)溶液に室温でフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(1.0 M in THF,10 mL, 10 mmol)を加え、12時間撹拌した。減圧濃縮した後、得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Biotage、SNAP Ultra 100 g、ヘキサン/酢酸エチル=50/1 to 20/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、4-フルオロ-N-{2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル}ベンゼンスルホンアミド(4-fluoro-N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl) -5-(trifluoromethyl)phenyl)benzenesulfonamide)(647 mg,1.42 mmol,35.2%)(化合物1)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.44 (ヘキサン/酢酸エチル = 10/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.89-1.13 (m, 3H), 1.22-1.48 (m, 5H), 1.50-1.72 (m, 2H), 1.73-1.81 (m, 2H), 2.24 (dd, 1H, J = 10.8, 10.8 Hz), 2.37-2.42 (m, 1H), 2.50-2.62 (m, 2H), 7.09-7.16 (m, 3H), 7.26-7.30 (m, 1H), 7.82-7.88 (m, 3H), 7.98 (br s, 1H).

【実施例】
【0079】
製造例2:化合物2の製造
化合物2
【化12】
JP2016175290A1_000013t.gif
化合物2は、以下のように合成した。
【化13】
JP2016175290A1_000014t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(120 mg,0.403 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(10 mL)溶液に、ベンゼンスルホニルクロリド(benzenesulfonyl chloride)(77 μL, 0.60 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.10 mL, 0.72 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、36時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、10 g、ヘキサン/酢酸エチル=20/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、N-{2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル}ベンゼンスルホンアミド(N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl)-5-(trifluoromethyl)phenyl)benzenesulfonamide)(146 mg,0.33 mmol,83.1%)(化合物2)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.19 (ヘキサン/酢酸エチル = 20/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.78-1.12 (m, 3H), 1.13-1.48 (m, 5H), 1.55-1.80 (m, 4H), 2.20 (dd, 1H, J = 10.4, 10.4 Hz), 2.31-2.38 (m, 1H), 2.49-2.59 (m, 2H), 7.12 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.26 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.42-7.47 (m, 2H), 7.51-7.57 (m, 1H), 7.81-7.85 (m, 2H), 7.87 (dd, 1H, J = 1.6 Hz), 7.97 (br s, 1H).

【実施例】
【0080】
製造例3:化合物3の製造
化合物3
【化14】
JP2016175290A1_000015t.gif
化合物3は、以下のように合成した。
【化15】
JP2016175290A1_000016t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(600 mg,2.03 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(5.0 mL)溶液に、4-トルエンスルホニルクロリド(4-toluenesulfonyl chloride)(460 mg, 2.41 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.33 mL, 2.39 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、24時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、20 g、ヘキサン/酢酸エチル=50/1 to 20/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、N-{2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル}-4-トルエンスルホンアミド(N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl) -5-(trifluoromethyl)phenyl)-4-toluenesulfonamide)(180 mg,0.397 mmol,19.9%)(化合物3)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.43 (ヘキサン/酢酸エチル = 10/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.88-1.14 (m, 3H), 1.24-1.48 (m, 5H), 1.50-1.82 (m, 4H), 2.20 (dd, 1H, J = 10.8, 10.8 Hz), 2.35-2.41 (m, 4H), 2.54-2.59 (m, 2H), 7.12 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.22-7.26 (m, 3H), 7.70-7.73 (AA’BB’, 2H), 7.86 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 7.95 (br s, 1H).

【実施例】
【0081】
製造例4:化合物4の製造
化合物4
【化16】
JP2016175290A1_000017t.gif
化合物4は、以下のように合成した。
【化17】
JP2016175290A1_000018t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(120 mg,0.403 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(5.0 mL)溶液に、4-ブロモベンゼンスルホニルクロリド(4-bromobenzenesulfonyl chloride)(310 mg, 1.21 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.20 mL, 1.45 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、48時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物を再沈殿(酢酸エチル/ヘキサン)することで、ビススルホニルイミド中間体(232 mg, 0.315 mmol, 78.4%)を得た。
次に、得られたビススルホニルイミド中間体(152 mg, 0.207 mmol)のテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)(20 mL)溶液に室温でフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(1.0 M in THF,1.0 mL, 1.0 mmol)を加え、12時間撹拌した。減圧濃縮後、得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、10 g、ヘキサン/酢酸エチル=20/1 to 10/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、4-ブロモ-N-{2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル}ベンゼンスルホンアミド(4-bromo-N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl)-5- (trifluoromethyl)phenyl)benzenesulfonamide)(101 mg,0.195 mmol,94.4%)(化合物4)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.23 (ヘキサン/酢酸エチル = 20/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.88-1.12 (m, 3H), 1.32-1.50 (m, 5H), 1.61-1.73 (m, 2H), 1.73-1.81 (m, 2H), 2.23 (dd, 1H, J = 10.8, 10.8 Hz), 2.32-2.40 (m, 1H), 2.50-2.62 (m, 2H), 7.15 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.28 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.56-7.61 (AA’BB’, 2H), 7.67-7.70 (AA’BB’, 2H), 7.84 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.99 (br s, 1H).

【実施例】
【0082】
製造例5:化合物5の製造
化合物5
【化18】
JP2016175290A1_000019t.gif
化合物5は、以下のように合成した。
【化19】
JP2016175290A1_000020t.gif
文献(PCT Int. Appl.(2009), WO2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(120 mg,0.402 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(5.0 mL)溶液に、ピリジン-3-スルホニルクロリド塩酸塩(3-pyridinesulfonyl chloride hydrochloride)(130 mg, 0.607 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.40 mL, 2.89 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、48時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、10 g、ヘキサン/酢酸エチル=5/1 to 1/1)で精製した後、分取用TLC(ヘキサン/酢酸エチル= 1/1)で再度精製することで、N-{2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル}-3-ピリジンスルホンアミド(N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl)-5-(trifluoromethyl)phenyl)-3-pyridine- sulfonamide)(22.8 mg,0.0519 mmol,12.9%)(化合物5)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.21 (ヘキサン/酢酸エチル = 2/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.87-1.13 (m, 3H), 1.22-1.51 (m, 5H), 1.52-1.81 (m, 4H), 2.24 (dd, 1H, J = 10.8 10.8 Hz), 2.36-2.42 (m, 1H), 2.51-2.63 (m, 2H), 7.16 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.30 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.41 (ddd, 1H, J = 8.0, 4.8, 0.8 Hz), 7.85 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 8.06-8.13 (m, 2H), 8.76 (dd, 1H, J = 4.8, 1.2 Hz), 9.04 (dd, 1H, J = 2.4, 0.8 Hz).

【実施例】
【0083】
製造例6:化合物6の製造
化合物6
【化20】
JP2016175290A1_000021t.gif
化合物6は、以下のように合成した。
【化21】
JP2016175290A1_000022t.gif
文献(PCT Int. Appl. (2009), WO 2009119167 A1 20091001.)記載の手法で合成した2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)アニリン(2-[(4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl]-5-(trifluoromethyl)aniline)(120 mg,0.402 mmol)の塩化メチレン(dichloromethane)(5.0 mL)溶液に、4-トルエンスルホニルクロリド(4-toluenesulfonyl chloride)(140 mg, 0.617 mmol、商用品)、トリエチルアミン(triethylamine)(0.10 mL, 0.72 mmol、商用品)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(N,N-dimethyl-4-aminopyridine)(10 mg, 0.082 mmol、商用品)を室温にて順次加えた後、48時間撹拌した。この反応混合物に水を加えて反応停止した後、酢酸エチル(x3)で抽出し、これを飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。これを濾過した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(関東化学、中性・球状、20 g、ヘキサン/酢酸エチル=50/1 to 20/1)で精製した後、再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)することで、N-{2-[(4aS,8aR)-オクタヒドロイソキノリン-2(1H)-イル]-5-(トリフルオロメチル)フェニル}-2-ナフタレンスルホンアミド(N-(2-((4aS,8aR)-octahydroisoquinolin-2(1H)-yl)-5-(trifluoromethyl)phenyl)-2-naphthalenesulfonamide)(50.6 mg,0.103 mmol,25.7%)(化合物6)を無色の結晶として得た。
TLC Rf 0.34 (ヘキサン/酢酸エチル = 10/1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.82-1.12 (m, 3H), 1.23-1.80 (m, 9H), 2.14 (dd, 1H, J = 11.2, 11.2 Hz), 2.24-2.30 (m, 1H), 2.51-2.56 (m, 2H), 7.08 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.20-7.24 (m, 1H), 7.57-7.65 (m, 2H), 7.75 (dd, 1H, J = 8.6, 1.6 Hz), 7.85-7.93 (m, 3H), 7.97 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 8.08 (br s, 1H), 8.45 (s, 1H).
【実施例】
【0084】
[実験例1:化合物1によるAMPKのリン酸化亢進]
マウス線維芽細胞NIH/3T3細胞に無血清条件下で化合物1を加え、経時的に細胞を回収して細胞破砕液を調製し、ウエスタンブロッティングによりリン酸化AMPKα、トータルAMPKα、リン酸化ACC、トータルACCを検出した。ACCは、アセチルCoAカルボキシラーゼを示す。
【実施例】
【0085】
その結果の一例を図1に示す。図1は、化合物1の添加後10、30、60、90及び120分におけるリン酸化AMPKα、トータルAMPKα、リン酸化ACC、トータルACCの存在量をウエスタンブロッティングにより検出した結果の一例である。
【実施例】
【0086】
図1に示すとおり、化合物1の添加後10分以内にAMPK及びACCのリン酸化が亢進された。また、AMPK及びACCのリン酸化は添加後16時間後でも持続された(データ示さず)。
【実施例】
【0087】
[実験例2:化合物1による細胞死の抑制]
NIH/3T3細胞を血清あり又は血清なしの条件下で培養し、所定の時間経過後にWST-8アッセイを行い、細胞数を確認した(N=6)。
【実施例】
【0088】
その結果の一例を図2に示す。図2は、血清飢餓状態における生存細胞数を、化合物1の存在下/非存在下で比べたグラフである。図2に示すとおり、化合物1は血清飢餓による細胞死を有意に抑制した。化合物2,3,4,6についても化合物1と同等の細胞死抑制作用が認められた。また、細胞を4℃にて24時間保存後に37℃へ復温した場合に生じる細胞死に対しても、化合物1を加えた場合に細胞死抑制作用が認められた。さらに、マウス線維芽細胞MEFのTNF‐α誘発アポトーシス、即ち、炎症誘発性の細胞死に対しても、化合物1を加えた場合に細胞死抑制作用が認められた。
【実施例】
【0089】
[実験例3:化合物1による初代培養の細胞死の抑制]
マウス脊髄マクロファージを血清あり又は血清なしの条件下で培養し、所定の時間経過後にWST-8アッセイを行い、細胞数を確認した(N=6)。
【実施例】
【0090】
その結果の一例を図3に示す。図3は、血清飢餓状態における初代培養細胞の生存細胞数を、化合物1の存在下/非存在下で比べたグラフである。図3に示すとおり、化合物1は血清飢餓に非依存的に初代培養の細胞死を有意に抑制した。
【実施例】
【0091】
[実験例4:化合物1によるラット肝臓温虚血再灌流障害モデルの肝障害抑制]
週齢8-9週のLEWラットに対して、気管内挿管による全身麻酔下に開腹術を行い、肝門部遮断による温阻血を20分加えた後に、遮断を解除して再灌流するラット肝臓温虚血再灌流モデルで実験を行った。陽性対象にAMPKのアクチベーターであるAICAR(aminoimidazole-4-carboxamide rebonucleoside)を用い、それぞれ溶媒、化合物1(0.3 mg/kg)、AICAR(100 mg/kg)を阻血前に投与し、再灌流6時間後に末梢血中の肝逸脱酵素aspartate aminotransferase (AST)とalanine aminotransferase (ALT)を測定した(N=3)。ラット肝臓温虚血再灌流障害時に化合物1を事前投与することで、肝逸脱酵素の上昇が抑制され(図4)、肝障害が軽減した。
【実施例】
【0092】
[実験例5:化合物1はがん細胞に細胞死を誘導する]
化合物1は、ヒト子宮頸部がん細胞株であるHeLa細胞、ヒトT細胞白血病株であるJurkat細胞、及びヒト神経芽細胞株であるSH-SY5Y細胞に細胞死を誘導することができた。すなわち、化合物1には、抗がん細胞作用が認められた。その結果の一例を図5に示す。
図5は、培養HeLa及びJurkat細胞に化合物1を図5に示す濃度で添加し、3日後にWST-8アッセイを行って細胞数を確認した実験の結果の一例を示す。同図に示すとおり、化合物1は、抗がん作用を示すことが確認された。
【実施例】
【0093】
[実験例6:化合物1はがん細胞にオートファジーを誘導する]
バフィロマイシンA1(BafA)は、オートファジー分解阻害剤である。HeLa細胞にBafAを1時間添加し、その後化合物1を添加し21時間培養後、細胞を回収して細胞破砕液を調製し、ウエスタンブロッティングによりLC3-IIの量を確認した。LC3-IIは、オートファジーのマーカーである。その結果の一例を図6に示す。同図に示す通り、4mMのBafAの存在下の場合、化合物1の添加によりLC3-IIの検出量が大幅に増加した。この結果から、化合物1によりがん細胞にオートファジーが誘導されることが確認された。
【実施例】
【0094】
[実験例7:化合物1はがん細胞にオートファジー性細胞死を誘導する]
3-メチルアデニン(3-MA)は、クラスIIIのPI3K阻害であり、オートファジー阻害剤でもある。HeLa細胞に3-MAを1時間添加し、その3日後にWST-8アッセイを行って細胞数を確認した。その結果の一例を図7に示す。
同図に示すとおり、3-MAの添加量に依存して細胞の生存率が向上した。よって、化合物1ががん細胞に誘導する細胞死は、オートファジー性であることが確認された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6