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明細書 :津波波源推定方法及び津波波高予測方法並びにその関連技術

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5007391号 (P5007391)
公開番号 特開2008-089316 (P2008-089316A)
登録日 平成24年6月8日(2012.6.8)
発行日 平成24年8月22日(2012.8.22)
公開日 平成20年4月17日(2008.4.17)
発明の名称または考案の名称 津波波源推定方法及び津波波高予測方法並びにその関連技術
国際特許分類 G01V   1/00        (2006.01)
G01C  13/00        (2006.01)
FI G01V 1/00 Z
G01C 13/00 W
請求項の数または発明の数 14
全頁数 23
出願番号 特願2006-267103 (P2006-267103)
出願日 平成18年9月29日(2006.9.29)
審査請求日 平成21年9月17日(2009.9.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】301010607
【氏名又は名称】国土交通省近畿地方整備局長
【識別番号】501241911
【氏名又は名称】独立行政法人港湾空港技術研究所
【識別番号】595138052
【氏名又は名称】一般財団法人沿岸技術研究センター
発明者または考案者 【氏名】高山 知司
【氏名】安田 誠宏
【氏名】東島 義郎
【氏名】永井 紀彦
【氏名】富田 孝史
【氏名】小谷野 喜二
個別代理人の代理人 【識別番号】100095522、【弁理士】、【氏名又は名称】高良 尚志
審査官 【審査官】田中 秀直
参考文献・文献 特開2003-139863(JP,A)
特開2006-170920(JP,A)
国際公開第2007/007728(WO,A1)
大町達夫、他,断層運動に伴う動的地盤変位を考慮した津波解析の評価,海岸工学論文集,1997年10月20日,第44巻(1)・(2),P.311-314
富田孝史、他,海水流動の三次元性を考慮した高潮・津波数値シミュレータSTOCの開発と津波解析への適用,港湾空港技術研究所報告,2005年 6月,第44巻 第2号,P.83-98
調査した分野 G01V 1/00
G01C 13/00
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定する方法であって、
想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、前記各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求めるステップを含む津波波源推定方法。
【請求項2】
上記各観測位置において観測される津波波高の時系列変動が、上記各小領域の初期水位変動に対する観測位置応答関数による各観測位置の津波波高の時系列変動を前記全小領域について重ね合わせたものに対応するものであるとして解析することにより、各小領域の初期水位変動を求める請求項1記載の津波波源推定方法。
【請求項3】
上記観測位置応答関数を求めるステップを含む請求項1又は2記載の津波波源推定方法。
【請求項4】
上記各観測位置において津波波高の時系列変動を観測するステップを含む請求項1、2又は3記載の津波波源推定方法。
【請求項5】
所定観測位置において観測される津波波高に基づき所定予測対象位置の津波波高を予測する方法であって、
想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求めるステップと、
前記各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により所定の予測対象位置に生じる時系列波高変動が対応する予測位置応答関数、及び、前記の求められた各小領域の初期水位変動に基づき、前記予測対象位置の津波波高を予測するステップを含む津波波高予測方法。
【請求項6】
上記各観測位置において観測される津波波高の時系列変動が、上記各小領域の初期水位変動に対する観測位置応答関数による各観測位置の津波波高の時系列変動を前記全小領域について重ね合わせたものに対応するものであるとして解析することにより、各小領域の初期水位変動を求める請求項5記載の津波波高予測方法。
【請求項7】
上記の求められた各小領域の初期水位変動に対する予測位置応答関数による上記予測対象位置の津波波高の時系列波高変動を、前記小領域について重ね合わせることにより、前記予測対象位置の津波波高を予測する請求項5又は6記載の津波波高予測方法。
【請求項8】
上記観測位置応答関数を求めるステップを含む請求項5、6又は7記載の津波波高予測方法。
【請求項9】
上記各観測位置において津波波高の時系列変動を観測するステップを含む請求項5乃至8の何れかに記載の津波波高予測方法。
【請求項10】
上記予測位置応答関数を求めるステップを含む請求項5乃至9の何れかに記載の津波波高予測方法。
【請求項11】
所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定するシステムであって、
想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求める手段を備える津波波源推定システム。
【請求項12】
所定観測位置において観測される津波波高に基づき所定予測対象位置の津波波高を予測するシステムであって、
想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求める手段と、
前記各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により所定の予測対象位置に生じる時系列波高変動が対応する予測位置応答関数、及び、前記の求められた各小領域の初期水位変動に基づき、前記予測対象位置の津波波高を予測する手段を含む津波波高予測システム。
【請求項13】
所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定するために、コンピュータを、想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求める手段として機能させるための津波波源推定プログラム。
【請求項14】
所定観測位置において観測される津波波高に基づき所定予測対象位置の津波波高を予測するために、コンピュータを、想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求める手段、並びに
前記各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により所定の予測対象位置に生じる時系列波高変動が対応する予測位置応答関数、及び、前記の求められた各小領域の初期水位変動に基づき、前記予測対象位置の津波波高を予測する手段として機能させるための津波波高予測プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定する方法、システム及びプログラム、並びに、所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波高を予測する方法、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
海底地震が発生した場合、津波も同時に発生して、場合によっては甚大な津波被害が生じる可能性がある。そのため、地震発生後即座にかつリアルタイムに津波予測を行い、予測結果に基づいて避難勧告を行う等の対策を行うことが重要である。
【0003】
地震発生時の津波予測は、現状では地震情報(地震の揺れ)に基づいて行っている。しかしながら、地震の揺れと津波の発生状況は異なるため、津波を予報しても実際には津波が発生しない予報津波の不発生や、津波を引き起こす地震を見逃して津波の発生を予報し得ない津波予報漏れが生じ得る。
【0004】
地震情報に依存しない津波予測技術として、特開平8-292273号公報(特許文献1)には、監視海域における海面流照射方向の平面分布および波浪特性の平面分布を観測する2台のレーダ装置と、その2台のレーダ装置で観測される各平面分布データを合成して、潮流、吹走流、沿岸流の予測パターンと津波来襲情報を用いて津波の存在の有無、津波の特性、津波の到着時刻を監視予測し、波浪特性を含む海象の予測パターンを用いて異常海象を監視する監視予測装置とを備える津波・海象監視予測装置が記載されている。
【0005】
前記公報には、この津波・海象監視予測装置によれば、できるだけ沖で、面的な海面流速ベクトルを観測し、津波を検知し、特性を調べ、近くの海岸に来襲する津波の到着時刻、波高を予測することができると記載されている。しかしながら、この予測装置では、津波を引き起こす要因となった津波の波源を推定することはできない。

【特許文献1】特開平8-292273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、地震情報ではなく観測波高に基づいて、津波を引き起こす要因となった津波の波源を特定することが、津波を精度良く予測する上で極めて有用であることを見出して本発明を行ったものであり、その目的とするところは、所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定する方法、システム及びプログラム、並びに、所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定し、推定された津波波源に基づき津波波高を予測する方法、システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)津波波源推定
上記目的を達成する本発明の津波波源推定方法は、
所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定する方法であって、
想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、前記各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求めるステップを含むものである。
【0008】
また、本発明の津波波源推定システムは、
所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定するシステムであって、
想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求める手段を備えるものである。
【0009】
また、本発明の津波波源推定プログラムは、所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定するために、コンピュータを、想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求める手段として機能させるためのものである。
【0010】
この津波波源推定方法、システム又はプログラムにおいては、想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数を利用することにより、その各観測位置において観測された津波波高の時系列変動から、各小領域の初期水位変動を求めて津波波源を推定することができる。
【0011】
本発明の津波波源推定方法、システム又はプログラムは、上記各観測位置において観測される津波波高の時系列変動が、上記各小領域の初期水位変動に対する観測位置応答関数による各観測位置の津波波高の時系列変動を前記全小領域について重ね合わせたものに対応するものであるとして解析することにより、各小領域の初期水位変動を求めるものとすることができる。
【0012】
この場合、各観測位置において観測される津波波高の時系列変動が、各小領域の初期水位変動に対する観測位置応答関数による各観測位置の津波波高の時系列変動を前記全小領域について重ね合わせたものに対応するものであるとして、観測位置応答関数及び各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき解析することにより、各小領域の初期水位変動を求めることができる。
【0013】
本発明の津波波源推定方法は、上記観測位置応答関数を求めるステップを含むものとすることができる。また本発明の津波波源推定システムは、上記観測位置応答関数を求める手段を含むものとすることができる。また本発明の津波波源推定プログラムは、コンピュータを上記観測位置応答関数を求める手段として機能させることを含むものとすることができる。
【0014】
本発明の津波波源推定方法は、上記各観測位置において津波波高の時系列変動を観測するステップを含むものとすることができる。また本発明の津波波源推定システムは、上記各観測位置において津波波高の時系列変動を観測する手段を含むものとすることができる。
(2)津波波高予測
【0015】
本発明の津波波高予測方法は、
所定観測位置において観測される津波波高に基づき所定予測対象位置の津波波高を予測する方法であって、
想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求めるステップと、
前記各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により所定の予測対象位置に生じる時系列波高変動が対応する予測位置応答関数、及び、前記の求められた各小領域の初期水位変動に基づき、前記予測対象位置の津波波高を予測するステップを含むものである。
【0016】
また本発明の津波波高予測システムは、
所定観測位置において観測される津波波高に基づき所定予測対象位置の津波波高を予測するシステムであって、
想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求める手段と、
前記各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により所定の予測対象位置に生じる時系列波高変動が対応する予測位置応答関数、及び、前記の求められた各小領域の初期水位変動に基づき、前記予測対象位置の津波波高を予測する手段を含むものである。
【0017】
また本発明の津波波高予測プログラムは、
所定観測位置において観測される津波波高に基づき所定予測対象位置の津波波高を予測するために、コンピュータを、想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数、及び、前記各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を求める手段、並びに
前記各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により所定の予測対象位置に生じる時系列波高変動が対応する予測位置応答関数、及び、前記の求められた各小領域の初期水位変動に基づき、前記予測対象位置の津波波高を予測する手段として機能させるためのものである。
【0018】
この津波波高予測方法、システム又はプログラムにおいては、想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数を利用することにより、その各観測位置において観測された津波波高の時系列変動から、各小領域の初期水位変動を求めることができる。
【0019】
更に、求められた各小領域の初期水位変動から、各小領域の初期水位変動により所定の予測対象位置に生じる時系列波高変動が対応する予測位置応答関数を用いて予測対象位置の津波波高及びその変動を予測することができる。
【0020】
本発明の津波波高予測方法、システム又はプログラムは、上記各観測位置において観測される津波波高の時系列変動が、上記各小領域の初期水位変動に対する観測位置応答関数による各観測位置の津波波高の時系列変動を前記全小領域について重ね合わせたものに対応するものであるとして解析することにより、各小領域の初期水位変動を求めるものとすることができる。
【0021】
この場合、各観測位置において観測される津波波高の時系列変動が、各小領域の初期水位変動に対する観測位置応答関数による各観測位置の津波波高の時系列変動を前記全小領域について重ね合わせたものに対応するものであるとして、観測位置応答関数及び各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき解析することにより、各小領域の初期水位変動を求めることができる。
【0022】
また本発明の津波波高予測方法、システム又はプログラムは、上記の求められた各小領域の初期水位変動に対する予測位置応答関数による上記予測対象位置の津波波高の時系列波高変動を、前記小領域について重ね合わせることにより、前記予測対象位置の津波波高を予測するものとすることができる。
【0023】
この場合、求められた各小領域の初期水位変動に対する予測位置応答関数による上記予測対象位置の津波波高の時系列波高変動を、前記小領域について重ね合わせることにより、前記予測対象位置の津波波高を予測する。
【0024】
本発明の津波波高予測方法は、上記観測位置応答関数を求めるステップを含むものとすることができる。また本発明の津波波高予測システムは、上記観測位置応答関数を求める手段を含むものとすることができる。また本発明の津波波高予測プログラムは、コンピュータを上記観測位置応答関数を求める手段として機能させることを含むものとすることができる。
【0025】
本発明の津波波高予測方法は、上記各観測位置において津波波高の時系列変動を観測するステップを含むものとすることができる。また本発明の津波波高予測システムは、上記各観測位置において津波波高の時系列変動を観測する手段を含むものとすることができる。
【0026】
本発明の津波波高予測方法は、上記予測位置応答関数を求めるステップを含むものとすることができる。また本発明の津波波高予測システムは、上記予測位置応答関数を求める手段を含むものとすることができる。また本発明の津波波高予測プログラムは、コンピュータを上記予測位置応答関数を求める手段として機能させることを含むものとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の津波波源を推定する方法、システム又はプログラムによれば、地震情報ではなく所定観測位置において観測された津波波高の時系列変動から、的確に津波波源を推定することができる。すなわち、想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の所定の初期水位変動に対し、その各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数を利用することにより、その各観測位置において観測された津波波高の時系列変動から、各小領域の初期水位変動を求めて津波波源を推定することができる。推定された津波波源は、所要位置の津波波高の予測等に効果的に利用することができる。
【0028】
本発明の津波波高を予測する方法、システム又はプログラムによれば、所定観測位置において観測された津波波高の時系列変動から推定された各小領域の初期水位変動により、所要の予測対象位置の津波波高及びその変動を予測することができる。地震情報ではなく観測波高から推定した津波波源に基づいて津波波高を予測することにより、予測津波の不発生や津波予測漏れが生じることを防ぎつつ、精度良く津波波高及びその変動を予測することができる。また、津波波高の変動を予測することができるので、津波についての警報発令のほか、警報解除にも利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の方法、システム及びプログラムは、それぞれ、所定観測位置において観測される津波波高に基づき津波波源を推定すること、及び、推定された津波波源に基づき、前記予測対象位置の津波波高を予測することを対象としている。
【0030】
津波波源の推定は、想定津波波源域が細分割されて設定された各小領域の初期水位変動を求めることにより行う。
(a)想定津波波源域
【0031】
想定津波波源域は、津波の波源となる水位変動の発生が想定される水域であり、津波波源を推定する対象水域である。津波の発生原因は地震以外もあり得るが、例えば津波発生の原因となる地震の発生が予想される場合は、その地震による水位変動の発生が想定される水域(その周辺水域を含んでもよい)を想定津波波源域として設定することができる。或いは、地震発生の予想とは別に想定津波波源域を複数又は多数設定して、例えば特定地域に影響し得る津波の波源が生じ得る水域を広くカバーすることもできる。
【0032】
想定津波波源域の面積としては、例えば数万乃至数十万平方km程度とすることができるが、これに限るものではない。想定津波波源域の面積は、水位変動の水域との間にずれがない限り、狭く設定した方が津波波源の推定精度を良くすることができる。地震等の津波発生要因が発生した際に、その震源等に関する情報に基づいて、想定津波波源域を可能な範囲で狭く設定することもできる。
【0033】
具体例として、想定津波波源域及び小領域の例を示す図1に表された例を挙げることができる。図1は、四国SK、紀伊半島KP、大阪湾OB、瀬戸内海SS、並びに四国沖及び紀伊半島沖を含む領域に関する図であり、そのうち、四国及び紀伊半島の沖合い及び沿岸において1乃至123の番号が付された正方形状の小領域に細分割された領域を想定津波波源域とするものである。
(b)小領域
【0034】
小領域は、想定津波波源域が細分割されて設定される。想定津波波源域内は何れかの小領域に属する。小領域は、正方形若しくはその他の方形、正三角形若しくはその他の三角形、又はその他の多角形等の一定形状(従って一定面積)とすることができるが、必ずしも一定形状であることを要しない。
【0035】
小領域は、例えば1辺が2km乃至50kmの正方形(又はその他の方形、正三角形若しくはその他の三角形)とすることができる。好ましくは、5km乃至30km、より好ましくは10m乃至20kmである。
【0036】
図1の例においては、1乃至123の番号が付されている1辺13.5kmの正方形状の領域が小領域である。
(c)観測位置
【0037】
津波波源を推定するために津波波高を観測する観測位置を2以上設ける。観測位置は少なくとも2箇所必要である。1箇所の場合、津波波源の推定及び津波波高の予測において十分な精度が得られない。観測位置は多い方が精度よく津波波源を推定することができる。何れか1以上の観測位置又は全ての観測位置が想定津波波源域内に位置していてもよい。
【0038】
観測位置は、陸地からの反射波の影響をできるだけ排除する上で、できるだけ沖合いに位置することが望ましい。また、海底(水底)地形が複雑でない方が波源推定上好ましい。
【0039】
観測位置は、少なくとも観測中は実質上固定されていることが好ましい。観測位置が常時実質上固定されていることが、より好ましい。この場合の実質上固定というのは、海底に係留されて使用される観測装置等がケーブル等で係留を維持される範囲内で移動し得る程度を意味する。例えば、半径15m程度以下の範囲内に位置する場合、実質上固定と言うことができる。
【0040】
観測位置の具体例として、仮想初期水位変動を示す図2に表された例を挙げることができる。図2は、図1と同じ領域に関する図であって、室戸岬沖及び潮岬沖に示した小丸がそれぞれ室戸岬沖観測位置K1及び潮岬沖観測位置K2を示す。図2の右下部に、水位変動の高さ(m)と各小領域についての濃淡表示との対応を示す。この水位変動の高さ(m)と各小領域についての濃淡表示との対応は、他の図にも適用される。
(d)観測位置応答関数
【0041】
想定津波波源域内の全小領域について、各小領域の所定の初期水位変動に対し、前記各小領域の初期水位変動により2以上の所定の観測位置のそれぞれに生じる時系列波高変動(経時変動。例えば0.1乃至10秒毎、好ましくは0.5乃至5秒毎、より好ましくは0.5乃至2秒若しくは3秒毎の、望ましくは一定時間毎の変動、又は連続的変動。)が対応する観測位置応答関数(すなわち、想定津波波源域内の全小領域と所定の観測位置との全ての組合せについての観測位置応答関数)を求める。このような観測位置応答関数は、グリーン関数の性質を概ね備える。
【0042】
所定の初期水位変動は、所定の単位高さ(例えば1mであるが、これに限らない。)の変動であることが望ましいが、これに限るものではない。一部又は全部が単位高さの初期水位変動でない場合は、例えば、初期水位変動を単位高さに換算した観測位置応答関数を用いることや、初期水位変動を単位高さでない一定高さとすることもできる。
【0043】
各観測位置に対する観測位置応答関数は、対象とする小領域と観測位置の間や周囲の水深や海底(又は水底)の地形等をパラメータとして任意の方法により求めることができるが、例えば、後藤智明らによる線形長波モデル(「三陸沿岸を対象とした津波数値計算システムの開発」,港研報告Vol.32(1993),No.2,pp3-34)を用いて求めることができる。この津波数値計算システムは、地震に伴う地盤変位を直接海面の変動に置き換えて、自由波の伝播を連続式と運動方程式の2つの方程式により、時間の経過にしたがって解くものである。津波の非線形効果、越流を含む防波堤・防潮堤の効果および陸上遡上の効果を数値計算に組み入れたものであり、近地津波および北米・南米沖で発生し、日本に伝播してくるような遠地津波の両方を対象としたものである。
【0044】
例えばこの線形長波モデルを用いて求められた、ある小領域の所定の初期水位変動により何れかの観測位置に生じる時系列波高変動が、その小領域の所定の初期水位変動に対し、その小領域の初期水位変動により前記観測位置に生じる時系列波高変動が対応する観測位置応答関数である。観測位置応答関数は、例えば1時間乃至24時間の何れかの時間にわたり求めるものとすることができる。好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上、更に好ましくは10時間以上である。
観測位置応答関数の算出及び以下の種々の計算において設定した計算格子間隔は、外洋で1350m、大阪湾で450mであるが、この種の計算では、例えば、湾内において10m乃至600m程度、外洋において400m乃至12000m程度とすることができる。
【0045】
なお、観測位置応答関数は、例えば、線形長波(浅水)理論を差分法で解いて計算する他のモデル(例えば、Satake, K., Pure Appl. Geophys., 144, 455-470,1995)を用いて求めることもできる。
【0046】
観測位置応答関数は、予め求めておくこと(或いは、求められた観測位置応答関数を予め用意しておくこと)が望ましい。
(e)津波波高の時系列変動の観測
【0047】
各観測位置における津波波高の時系列変動(経時変動。例えば0.1乃至10秒毎、好ましくは0.5乃至5秒毎、より好ましくは0.5乃至2秒若しくは3秒毎の、望ましくは一定時間毎の変動、又は連続的変動。)を観測する。
【0048】
津波波高の観測は、任意の手段により行い得るが、例えば、海面の上下位置の変動を取得し、波浪や潮汐等の津波以外の成分を、上下動の周期や潮汐の予測データ等によりノイズとして除去することにより行うことができる。
【0049】
海面の上下位置の変動は、例えばGPS波浪計、レーダー若しくはその他の手段による海面位置計測等、任意の装置を用いて行うことができる。
【0050】
このうち好ましく用い得るものとして、GPS波浪計を挙げることができる。GPS波浪計は、ブイにGPS(Global Positioning System)による地球上の三次元位置を測定する装置を搭載したもので、経度、緯度、上下位置等の三次元位置データ(三次元位置以外に観測時刻データを含むことが好ましい)を電波(若しくはその他の方法により)送信するものである。送信された電波等を陸上(若しくはその他の位置)の受信装置により受信して三次元位置データ」を解析する。GPS波浪計は海底に係留して用いることが望ましい。
【0051】
時系列変動の観測は、10分間程度以上行うことが望ましい。好ましくは15分間以上、より好ましくは30分間以上である。或いは、時系列変動の観測は津波の1周期以上の観測時間にわたり行うことが望ましい。好ましくは1.5周期以上、より好ましくは2周期以上、さらに好ましくは3周期以上である。本発明における津波波源の推定及び津波波高の予測は、基づく津波波高の時系列変動の観測時間が長いほうが精度がよくなる。
【0052】
なお、津波が津波波源から観測位置に達するまでに要する時間が観測時間よりも長い場合は、その観測位置においては津波波源からの津波が観測されない。
(f)初期水位変動の算出(津波波源推定)
【0053】
想定津波波源域内の全小領域と所定の観測位置との全ての組合せについての観測位置応答関数と、各観測位置において観測された津波波高の時系列変動に基づき、前記各小領域の初期水位変動を算出する。各小領域について算出する初期水位変動は、対象とする津波の波源となった水面の上下変位とその時期である。
【0054】
各小領域の初期水位変動は、各観測位置において観測された津波波高の時系列変動について、観測位置応答関数を利用して解析(すなわち逆解析)を行うことにより算出することができる。なお、解析の結果、何れかの小領域の初期水位変動時期が、観測位置において観測された津波の到達時期から逆算した初期水位変動時期よりも早いことになる場合は、その小領域は解析対象から除外するものとすることができる。
【0055】
このような解析は、各観測位置において観測される津波波高の時系列変動が、各小領域の初期水位変動に対する観測位置応答関数による各観測位置の津波波高の時系列変動を前記全小領域について重ね合わせたもの(通常は線形的に重ね合わせたもの)に対応するものであるとして行うことができる。
【0056】
ηKiを、想定津波波源域における小領域iにおいて水位が単位変動(水位が上がる単位変動であるものとすることが好ましい。)した場合の、観測位置応答関数に基づく観測位置K(Kは観測位置番号)での津波波高とし、小領域iの変動量係数をaiとした場合、全小領域により構成される想定津波波源域全体における水位変動に基づく観測位置Kでの津波波高は、次式(1)で示されるように、ηKiを線形的に重ね合わせたものとすることが可能である。この点は、津波の非線形性が生じ難い沖合において、より適切に適用することができる。
【0057】
【数1】
JP0005007391B2_000002t.gif
....(1)
【0058】
各観測位置Kにおいて津波波高の時系列変動が観測された場合、全観測位置においてそれぞれの津波波高の時系列変動を再現できるように各小領域の変動量係数aiを求める(すなわち逆解析手法を用いて解く)ことにより、単位変動のai倍を各小領域の初期水位変動として算出し、津波波源を推定することができる。
【0059】
各小領域の変動量係数aiは、例えば、最小二乗法により次式から求めることができる。
【0060】
【数2】
JP0005007391B2_000003t.gif
....(2)
【0061】
式(2)中、Eは誤差、Kは観測位置番号、nは時刻、ηobsK(n)は観測位置Kにおいて時刻nに観測された津波波高、ηKi(n)は小領域iにおいて水位が単位変動した場合の観測位置応答関数に基づく時刻nにおける観測位置Kでの津波波高である。
【0062】
式(2)の誤差Eを最小にするaiは、次式(3)の連立方程式を解くことにより求めることができる。
【0063】
【数3】
JP0005007391B2_000004t.gif
....(3)
【0064】
式(3)は次式(4)のように書き直すことができる。
【0065】
【数4】
JP0005007391B2_000005t.gif
....(4)
【0066】
式(4)をマトリックスで表すと次式(5)のようになる。
【0067】
【数5】
JP0005007391B2_000006t.gif
....(5)
【0068】
式(5)は、例えばガウス・ザイデル法(これに限るものではない)を用いて解くことができる。
【0069】
ガウス・ザイデル法は連立方程式の解を求める方法であり、計算後のxを計算前のxに代入して反復することで解を求める方法である。計算において収束判定誤差をE<10-3とした場合、後記実施例において収束に必要な反復回数は2000回程度であった。
(g)予測対象位置
【0070】
想定津波波源域内で発生した津波が到達し得る沿岸等のうち任意位置を予測対象位置とすることができる。従ってきめ細かい予測が可能である。
【0071】
なお、想定波源域全域又は大部分からの津波の到達が観測位置よりも予測対象位置の方が遅いことが好ましい。
(h)予測位置応答関数
【0072】
上記(d)の観測位置応答関数に関する説明が、予測対象位置についての予測位置応答関数に当てはまる。予測位置応答関数を予め求めておくこと(或いは、求められた予測位置応答関数を予め用意しておくこと)が望ましいことも当てはまる。ただし、予測対象位置は2以上である必要はない。また、予測対象位置が多い方がきめ細かい予測が可能であることは言うまでもない。
(i)予測対象位置の津波波高の予測
【0073】
求められた各小領域の初期水位変動と、想定津波波源域内の各小領域に対する予測対象位置の予測位置応答関数に基づき、予測対象位置の津波波高を予測する。
【0074】
このような予測は、各小領域の初期水位変動に対する予測位置応答関数による予測対象位置の津波波高の時系列波高変動を、それらの小領域について重ね合わせる(通常は線形的に重ね合わせる)ことにより行うことができる。
【0075】
上記(f)の初期水位変動の算出についての説明において算出された変動量係数aiを、小領域iに対する予測対象位置の予測位置応答関数に乗じたものを、それらの小領域について重ね合わせることにより、その予測対象位置の津波波高の時系列変動を即座に算出して予測することができる
【0076】
各観測位置における津波波高の時系列変動データを入手してから、初期水位変動を算出して予測対象位置の予測結果を得るまでに必要な実計算は、例えば10秒間程度の短時間で可能である。
(j)津波波源推定及び津波波高予測システム
【0077】
上記本発明の方法を実行するコンピュータを利用した津波波源推定及び津波波高予測システムは、例えば、図3に示すように、海底に係留したGPS波浪計V1及びV2(又は、その他の海面の上下位置の変動若しくは津波波高の時系列変動を観測し得る装置)、通信システムC(又は通信網)、処理装置P、観測位置応答関数を記憶した観測位置応答関数記憶部R1、予測位置応答関数を記憶した予測位置応答関数記憶部R2、入力装置I、表示部Dを備え、上記本発明のプログラムを用いて機能させることができるものとすることができる。
【0078】
観測位置応答関数および/または予測位置応答関数は、予めこの処理装置Pにおいて、又は他のコンピュータにより算出し、それぞれ観測位置応答関数記憶部R1と予測位置応答関数記憶部R2に記憶させておく。
【0079】
GPS波浪計V1及びV2によりそれぞれ計測された海面の三次元位置及び観測時刻のデータは、2秒毎(又はその他の一定時間毎)に通信システムCを介して処理装置Pに入力される。処理装置Pは、入力されたデータに基づき、波浪や潮汐等の津波以外の成分を除去して観測時刻毎の津波波高を算出し、津波波高の時系列変動として順次記憶する。
【0080】
処理装置Pは、観測位置応答関数と、順次記憶した津波波高の時系列変動に基づき、津波波高観測開始から所定時間経過時(例えば5分毎)に想定津波波源域内の小領域の初期水位変動を算出し、更に、求められた各小領域の初期水位変動と、想定津波波源域内の各小領域に対する予測対象位置の予測位置応答関数に基づき、予測対象位置の津波波高の時系列変動を算出して予測する。
【0081】
推定された津波波源および/または予測された津波波高のデータは、必要に応じ外部に出力および/または送信して利用することができる。
【実施例】
【0082】
本発明を、実施例により更に説明する。なお、これらの実施例は本発明を限定する趣旨のものではない。
【0083】
下記実施例1及び実施例2においては、上述の図1に示す想定津波波源域及び小領域1乃至123、並びに図2に示す室戸岬沖観測位置K1(室戸岬)及び潮岬沖観測位置K2(潮岬)を設定した。また、図1に示される大阪湾OB内において、南東部に位置する海上空港である関西空港(関空)と、北東部に位置する大阪港(大阪)と、北部に位置する海上空港である神戸空港(神戸)をそれぞれ予測対象位置に設定した。
【0084】
その上で、上記後藤智明らによる線形長波モデルを用いて、全小領域に対し、各観測位置K1及びK2についての観測位置応答関数、並びに各予測対象位置についての予測位置応答関数を予め算出し、記憶装置に記憶させておいた。
【0085】
本発明は、その性質上実際の津波を観測した例を挙げることはできないので、波源モデルを用いて津波波源推定及び津波波高予測を行った。すなわち、波源モデルに基づき、後藤智明らによる線形長波モデルを用いて各観測位置K1及びK2における津波波高を2秒間毎に算出して津波波高の時系列変動を観測データ(到達波高)として得、これに基づいて津波波源推定及び津波波高予測を行った。
【0086】
用いる観測データ(到達波高)の時間的長さ、すなわち各観測位置に津波が到達し始めてからの時間、を数種類に変え、それぞれにおいて、両観測位置K1及びK2における観測データとしての津波波高の時系列変動から、逆解析を行うことにより、初期水位変動(各小領域の変動量係数ai)を算出して津波波源を推定し(実施例1及び実施例2)、算出された変動量係数aiを小領域iに対する各予測対象位置の予測位置応答関数に乗じたものを、それらの小領域について重ね合わせることにより、その予測対象位置の津波波高の時系列変動を算出し、予測結果を得た(実施例2のみ)。また、各観測位置についても、算出された変動量係数aiを小領域iに対する各観測位置の観測位置応答関数に乗じることにより、その観測位置の津波波高の時系列変動を算出し、予測結果を得た(実施例1及び実施例2)。
【0087】
逆解析は、(f)初期水位変動の算出において説明したように、室戸岬沖観測位置K1(室戸岬)及び潮岬沖観測位置K2(潮岬)の両者について最小二乗法を適用し、ガウス・ザイデル法を用いて解を求めることにより行った。
【0088】
実施例1及び実施例2に示されるように、用いる観測データ(到達波高)の時間的長さを長くすることにより、推定及び予測の精度をより良いものとすることができた。
実施例1(仮想波源モデル)
【0089】
想定津波波源域の中央部に、図2のような仮想波源を設定して津波波源推定及び津波波高予測を行った。
【0090】
仮想波源モデルは、中央の1つの小領域の水位変動量を+3m、その周囲の8個の小領域の水位変動量を+2m、更にその周囲の16個の小領域の水位変動量を+1mとした。
【0091】
用いる観測データ(到達波高)を15分間とした場合の津波波源の推定結果を図4に示し、30分間とした場合の津波波源の推定結果を図5に示す。
【0092】
また、用いる観測データ(到達波高)を15分間とした場合の室戸岬沖観測位置K1(室戸岬)及び潮岬沖観測位置K2(潮岬)における津波波高の時系列変動(予測結果)を、元の観測データ(到達波高)と共に図6に示し、30分間とした場合の同様の予測結果及び到達波高を図7に示す。
実施例2(南海地震モデル)
【0093】
図8に示す相田勇による安政南海地震モデル(「南海道沖の津波の数値実験」,東京大学地震研究所彙報,Vol.56(1981),pp.713-730)の波源について津波波源推定及び津波波高予測を行った。
【0094】
用いる観測データ(到達波高)を15分間とした場合の津波波源の推定結果を図9に示し、30分間とした場合の津波波源の推定結果を図10に示す。
【0095】
また、用いる観測データ(到達波高)を15分間とした場合の室戸岬沖観測位置K1(室戸岬)及び潮岬沖観測位置K2(潮岬)における津波波高の時系列変動(予測結果)を、元の観測データ(到達波高)と共に図11に示し、30分間とした場合の同様の予測結果及び到達波高を図12に示す。
【0096】
更に、用いる観測データ(到達波高)を15分間とした場合の、予測対象位置である大阪湾OB内の関西空港(関空)、大阪港(大阪)及び神戸空港(神戸)における津波波高の時系列変動(予測結果)を、到達波高(後藤智明らによる線形長波モデルを用いて各予測対象位置における津波波高を2秒間毎に算出して得た津波波高の時系列変動データ)と共に図13に示し、30分間とした場合の同様の予測結果及び到達波高を図14に示し、1時間として津波波源の推定を行って津波波高を予測した場合の同様の予測結果及び到達波高を図15に示す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】想定津波波源域及び小領域の例を示す。
【図2】仮想波源モデルである。
【図3】津波波源推定及び津波波高予測システムのブロック図である。
【図4】観測データ(到達波高)を15分間とした場合の津波波源の推定結果である。
【図5】観測データ(到達波高)を30分間とした場合の津波波源の推定結果である。
【図6】観測データ(到達波高)を15分間とした場合の室戸岬沖観測位置及び潮岬沖観測位置における津波波高の時系列変動(予測結果)及び元の観測データ(到達波高)である。
【図7】観測データ(到達波高)を30分間とした場合の室戸岬沖観測位置及び潮岬沖観測位置における津波波高の時系列変動(予測結果)及び元の観測データ(到達波高)である。
【図8】安政南海地震モデルの波源である。
【図9】観測データ(到達波高)を15分間とした場合の津波波源の推定結果である。
【図10】観測データ(到達波高)を30分間とした場合の津波波源の推定結果である。
【図11】観測データ(到達波高)を15分間とした場合の室戸岬沖観測位置及び潮岬沖観測位置における津波波高の時系列変動(予測結果)及び元の観測データ(到達波高)である。
【図12】観測データ(到達波高)を30分間とした場合の室戸岬沖観測位置及び潮岬沖観測位置における津波波高の時系列変動(予測結果)及び元の観測データ(到達波高)である。
【図13】観測データ(到達波高)を15分間とした場合の関西空港(関空)、大阪港(大阪)及び神戸空港(神戸)における津波波高の時系列変動(予測結果)及び到達波高である。
【図14】観測データ(到達波高)を30分間とした場合の関西空港(関空)、大阪港(大阪)及び神戸空港(神戸)における津波波高の時系列変動(予測結果)及び到達波高である。
【図15】観測データ(到達波高)を1時間とした場合の関西空港(関空)、大阪港(大阪)及び神戸空港(神戸)における津波波高の時系列変動(予測結果)及び到達波高である。
【符号の説明】
【0098】
C 通信システム
D 表示部
I 入力装置
K1 室戸岬沖観測位置
K2 潮岬沖観測位置
KP 紀伊半島
OB 大阪湾
P 処理装置
R1 観測位置応答関数記憶部
R2 予測位置応答関数記憶部
V1 GPS波浪計
V2 GPS波浪計
SK 四国
SS 瀬戸内海
図面
【図3】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14