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明細書 :コア/シェル複合ナノ粒子を製造する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4938285号 (P4938285)
公開番号 特開2007-118147 (P2007-118147A)
登録日 平成24年3月2日(2012.3.2)
発行日 平成24年5月23日(2012.5.23)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
発明の名称または考案の名称 コア/シェル複合ナノ粒子を製造する方法
国際特許分類 B82B   1/00        (2006.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
B22F   9/00        (2006.01)
B22F   1/02        (2006.01)
B22F   9/24        (2006.01)
C22C  33/02        (2006.01)
FI B82B 1/00
B82Y 40/00
B22F 9/00 B
B22F 1/02 E
B22F 9/24 A
C22C 33/02 H
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2005-315132 (P2005-315132)
出願日 平成17年10月28日(2005.10.28)
審査請求日 平成20年10月7日(2008.10.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】庄司 哲也
【氏名】中村 直樹
【氏名】加藤 晃
【氏名】山本 真平
【氏名】高野 幹夫
【氏名】小野 輝男
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100087413、【弁理士】、【氏名又は名称】古賀 哲次
【識別番号】100082898、【弁理士】、【氏名又は名称】西山 雅也
審査官 【審査官】渡邊 吉喜
参考文献・文献 特開2005-270957(JP,A)
国際公開第2006/070572(WO,A1)
調査した分野 B82B 1/00- 3/00
B82Y 5/00-99/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ナノサイズのコア粒子にシェルを被覆したコア/シェル複合ナノ粒子を製造する方法であって、
焼結防止用バリア層としてコア粒子の表面に被膜を形成する工程、
該被膜を形成したコア粒子に、必要な特性を発現する結晶構造とするための熱処理を施す工程、
該熱処理を施したコア粒子の該被膜を溶解除去して該コア粒子の表面を露出させる工程、および
該コア粒子第1分散剤により第1有機溶媒中に分散させて第1溶液を形成する工程、
を含む方法において、
該第1溶液に極性溶媒を添加することにより、該コア粒子から該第1分散剤を剥離除去し該ナノ粒子を凝集させて回収する工程、
該回収したコア粒子を第2分散剤により第2有機溶媒中に分散させて第2溶液を形成する工程、および
該第2溶液に該シェルの前駆体を添加し、該コア粒子の表面に該シェルを形成する工程
更に含むことを特徴とするコア/シェル複合ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、該極性溶媒がアルコール類であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2において、該第2分散剤が該シェルの形成温度において安定であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項において、該第1分散剤が相間移動触媒であることを特徴とする方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノサイズのコア粒子にシェルを被覆したコア/シェル複合ナノ粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異なる特性を持つ2相をナノスケール(数十nm以下)で微細に混在させて、バルクの複合材料や単相材料では得られない優れた特性を発揮するナノ複合材料が注目されている。
【0003】
ナノ複合材料の一つの代表的な形態として、有用な特性を持つナノ粒子(いわゆる機能性ナノ粒子)をコアとして、その表面にコアとは異なる特性を持つシェルを被覆したコア/シェル複合ナノ粒子が提案されている。
【0004】
コアとなる機能性ナノ粒子には、結晶構造が規則構造と不規則構造の2つの状態を持っていて、規則構造の状態でのみ有用な特性を発揮するものが多い。このような機能性ナノ粒子は一般に化学的溶液合成法により生成されるが、合成したままのナノ粒子は不規則構造の状態であり、そのままでは本来の機能特性は示さない。
【0005】
したがって、合成したままのナノ粒子にシェルを被覆してもコア/シェル複合ナノ粒子として期待される特性は得られない。
【0006】
そこで、コア/シェル複合状態で、コア粒子の規則・不規則変態点を超える温度で熱処理してコア粒子を規則構造に変換すれば良いように考えられる。しかし現実には、規則・不規則変態点はコアやシェルの原子が活発に拡散するような高温であることが多く、コア/シェル間で成分元素の相互拡散が起きてしまい、画然と2相分離したコア/シェル複合構造が崩壊する。
【0007】
これを回避するためには、シェル形成より以前に、予めナノ粒子に熱処理を施して規則構造とする必要がある。しかし、ナノサイズの微粒子は凝集し易く、熱処理温度で焼結してしまい、ナノサイズを維持して規則化することができないという問題があった。
【0008】
そこで本出願人の一部は、特願2005-261617において、ナノ粒子に焼結防止用のバリア層を被覆してから熱処理する方法を提案した。バリア層は熱処理後に除去する。これにより、ナノサイズを維持して規則化することが可能になった。
【0009】
ただし、バリア層の除去は水溶液中での処理により行なうが、表面が露出したナノ粒子は溶媒である水により酸化されやすいため、酸化の危険のない有機溶媒中へ移動させる。その際、水中から有機溶媒中へのナノ粒子の移動は相間移動触媒を用いて行なう。
【0010】
しかし、上記提案の方法では、有機溶媒中に分散しているナノ粒子の表面は分散剤としての相間移動触媒が強固に密着して覆っているため、このままではナノ粒子の表面にシェルを形成する反応を行なうことができないという問題があった。
【0011】
そこで、バリア層により焼結を防止した状態で予め熱処理されて特定の結晶構造とされたナノ粒子をコアとし、その表面にシェル形成する方法であって、相間移動触媒等の強密着性の分散剤によるシェル形成反応への妨害を排除して、優れた特性を発揮するコア/シェル複合ナノ粒子を製造する方法が求められている。
【0012】
従来、コア/シェル複合構造を持つ機能性ナノ粒子の生成に関する種々の提案がなされている。
【0013】
特許文献1、2には、コアとしてのフェライト微粒子を水に懸濁させ、これに分散剤と金属イオンの水溶液とを加え、得られた混合懸濁液を加熱処理することにより、フェライト微粒子表面にスピネルフェライトから成るシェルが形成された複合フェライト磁性粉の製造方法が記載されている。シェルの形成工程で用いる分散剤は、シェルの形成反応を阻害しないことが必要であるが、コア粒子の生成工程で用いる分散剤は必ずしもシェルの形成反応には適さない場合がある。特許文献1、2では、この観点からコアとシェルとで形成時の分散剤を使い分けるという考慮がなく、コア/シェル複合ナノ粒子を確実に製造することができない。また、コアを規則構造等の特定の結晶構造とするための熱処理を必要とする場合についての示唆はない。
【0014】
特許文献3には、コアとしての半導体ナノ粒子にシェルとして有機物コーティングする際に、界面活性剤または両親媒性有機化合物の存在下でナノ粒子を水性溶媒中から油性溶媒中へ移行させることが開示されている。コアを規則構造等の特定の結晶構造とするための熱処理を必要とする場合についての示唆はない。
【0015】
特許文献4には、FePtナノ粒子の表面に界面活性剤を付着させることで、ナノ粒子を所定間隔で単分散させることが開示されているが、コア/シェル複合構造については何ら示唆がなく、したがって、コアを規則構造等の特定の結晶構造とするための熱処理を必要とする場合についての示唆はない。
【0016】
特許文献5には、磁化可能な微粒子にコーティングを施す際に界面活性剤を用いることが開示されているが、コアを規則構造等の特定の結晶構造とするための熱処理を必要とする場合についての示唆はない。
【0017】

【特許文献1】特開平6-69017号公報
【特許文献2】特開平6-69018号公報
【特許文献3】特開2005-103746号公報
【特許文献4】特開2005-48250号公報
【特許文献5】特表2004-528550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、バリア層により焼結を防止した状態で予め熱処理されて特定の結晶構造とされたナノ粒子をコアとし、その表面にシェル形成する方法であって、相間移動触媒等の強密着性の分散剤によるシェル形成反応への妨害を排除して、優れた特性を発揮するコア/シェル複合ナノ粒子を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、ナノサイズのコア粒子にシェルを被覆したコア/シェル複合ナノ粒子を製造する方法であって、
必要な特性を発現する結晶構造とするための熱処理を予め施されたコア粒子が第1分散剤により第1有機溶媒中に分散している第1溶液を用意する工程、
該第1溶液に極性溶媒を添加することにより、該コア粒子から該第1分散剤を剥離除去し該ナノ粒子を凝集させて回収する工程、
該回収したコア粒子を第2分散剤により第2有機溶媒中に分散させて第2溶液を形成する工程、および
該第2溶液に該シェルの前駆体を添加し、該コア粒子の表面に該シェルを形成する工程
を含むことを特徴とするコア/シェル複合ナノ粒子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法によれば、熱処理済のコア粒子を分散させている第1分散剤がコア粒子表面へのシェルの形成反応を阻害する相間移動触媒などの分散剤である場合であっても、極性溶媒を添加してコア粒子から第1分散剤を剥離除去してコア粒子を凝集させ、凝集したコア粒子に付与する第2分散剤としてシェル形成反応を阻害しないものを選択することによりシェル形成を行なうことができるので、ナノサイズの熱処理済コアに所定のシェルを被覆して、優れた特性を持つコア/シェル複合ナノ粒子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の製造方法の一実施形態として、L1-FePtのナノ粒子をコアとし、Feをシェルとして被覆したL1-FePtコア/Feシェル複合ナノ粒子を例として説明する。
【0022】
ここで、L1-FePtコア/Feシェル複合ナノ粒子は、L1規則結晶構造を持つL1-FePtが極めて大きい保磁力を持ち(超ハード磁性)、これに磁化の大きいFe(ソフト磁性)を被覆することで、例えばハードディスクのような磁気記録媒体やモーター用高性能永久磁石に適したセミハード磁性を持つ磁性ナノ粒子が得られると期待される。
【0023】
図1を参照して、本発明の製造方法およびその前プロセスを説明する。
【0024】
前プロセスは、コア粒子を規則化するための熱処理(P2)とその前処理(P1)および後処理(P3、P4)とから成る。
【0025】
FePtナノ粒子は典型的にはFe(CO)とPt(acac)を用いて有機合成される。FePt合金の規則・不規則変態点は900℃程度にあり、一般にバルク材の場合は常温では規則構造を取る。ところがナノ粒子の場合は、常温でも不規則構造を取っており、これを規則構造にするには550℃以上の高温、望ましくは変態点を越える高温で熱処理する必要がある。しかし、ナノスケールの微粒子は非常に凝集し易く、そのまま熱処理すると粒子同士が焼結してしまい、ナノ粒子の状態を確保できない。
【0026】
そこで、前処理として工程P1において、焼結を防止するバリア層として、FePtナノ粒子の表面に例えばSiO被膜を形成する。これは水溶液を用いた処理により行なう。
【0027】
次いで、工程P2において、550℃以上あるいは変態点(約900℃)以上の高温で熱処理を施すことによりL1規則結晶構造を持つL1-FePtナノ粒子が得られる。ただしSiOはこの熱処理に対して安定であり、得られたL1-FePtナノ粒子の表面はSiO被膜に覆われたままの状態であり、そのままではL1-FePtナノ粒子表面にシェル形成ができない。
【0028】
そこで、後処理として工程P3において、アルカリ水溶液中で処理することにより、このSiO被膜を溶解除去してフレッシュなL1-FePtナノ粒子表面を露出させる。ただし、ナノ粒子表面にシェルを形成するFe等の純金属は、水により容易に酸化されるので、シェル形成を水溶液中で行なうことはできない。
【0029】
そこで、更に後処理として工程P4において、L1-FePtナノ粒子を水溶液中から有機溶媒中に移動させる。これには、相間移動触媒を用いる必要がある。相間移動触媒はL1-FePtナノ粒子の表面に密着して覆い、極めて効果的にL1-FePtナノ粒子を有機溶媒中に分散させる。この有機溶媒は、シェル材料であるFe等の純金属を酸化することが無いので、Feシェルの形成を安全に行なうための好適な反応環境を提供する。
【0030】
しかしながら、相間移動触媒は、一般に分子量が大きく枝も多い構造を持っていて、L1-FePtナノ粒子の表面に強固に密着しており、外部から粒子表面への物質到達を妨げる。そのため、L1-FePtナノ粒子表面にシェル形成を行なうには、L1-FePtナノ粒子表面から相間移動触媒を除去する必要がある。
【0031】
そこで、以下に説明するように、本発明のプロセスを適用する。
【0032】
本発明のプロセスは、相間移動触媒を除去し、別の分散剤でナノ粒子を別の有機溶媒中に分散させ、その状態でシェル形成を行なう。
【0033】
まず、工程1において、第1溶液として、前プロセスの最終工程P4で得られた溶液を用意する。すなわち第1溶液は、第1分散剤としての相間移動触媒が強固に密着被覆しているL1-FePtコア粒子が、第1有機溶媒としての上記の有機溶媒中に分散している。
【0034】
次に、工程2において、極性溶媒を用いてL1-FePtナノ粒子表面から第1分散剤(相間移動触媒)を剥離除去する。相間移動触媒はL1-FePtナノ粒子を有機溶媒中に分散させる分散剤として作用していたので、相間移動触媒を除去されたL1-FePtナノ粒子は有機溶媒中で凝集する。これを回収して次工程に用いる。
【0035】
極性溶媒としては、比較的極性が弱いメタノール、エタノール、プロパノール程度の低級アルコールが適している。他の極性溶媒としては、例えばアセトンは極性が強すぎて、相間移動触媒を剥離除去されたナノ粒子が強く凝集してしまい、次工程で添加する第2分散剤によって分散することが困難になる。また水も極性溶媒であるが、前プロセスにおいて説明したように酸化性が強く、シェルの形成材料である純金属を酸化するため、当然のことながら用いることができない。極性溶媒の性質としては、粘性が大きすぎないこと、両親媒性を有すること、等が望ましいと考えられる。
【0036】
次いで、工程3においては、工程2で回収したL1-FePtナノ粒子凝集物を、第2分散剤を含む第2有機溶媒中に分散させ、これを第2溶液とする。この第2分散剤としては、次工程のシェル形成反応を阻害せず、且つシェル形成温度で安定な(沸騰や熱分解しない)ものを選択する。
【0037】
次いで、工程4において、工程3で作成した第2溶液に、シェル前駆体を添加し、シェル形成温度に保持することにより、L1-FePtナノ粒子の表面にシェル(例えばFe被膜)を形成する。シェル前駆体としては、典型的にはシェルの構成元素を含む有機錯体を用いることができ、Feシェルの前駆体としては例えばFe(CO)またはFe(acac)が適当である。シェル形成温度において、Fe(CO)は熱分解反応により、Fe(acac)は還元反応により、コア表面にFeを析出してシェルを形成する。
【0038】
以上のプロセスにより、L1-FePtナノ粒子をコアとし、その表面にFeシェルを被覆したL1-FePtコア/Feシェル複合ナノ粒子を得ることができる。
【実施例】
【0039】
本発明の方法により、以下の手順でL1-FePtコア/Feシェル複合ナノ粒子を作製した。
【0040】
〔工程1:第1溶液の用意…前プロセスによる〕
図1に示した前プロセスにより、(工程P1)SiO被膜形成、(工程P2)熱処理、(工程P3)SiO被膜剥離、(工程P4)有機溶媒へ移動を行なって得た溶液を第1溶液として用いる。この前プロセスでは、工程P1では有機合成されたFePtナノ粒子をTEOS水溶液中で処理してSiO被膜を形成し、工程P2として5%H+Arの混合ガス雰囲気中で900℃×1時間の熱処理を行ってL1-FePtナノ粒子とし、これを工程P3でN(Me)OHアルカリ水溶液中で処理してSiO被膜を溶解除去し、工程P4では相間移動触媒として臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いて水溶液中から有機溶媒としてのクロロホルム中へ移動させ、第1溶液とした。
【0041】
すなわち第1溶液は、熱処理により規則化したL1-FePtナノ粒子が相間移動触媒としての臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムにより、第1有機溶媒としてのクロロホルム中に分散している。
【0042】
〔工程2:極性溶媒の添加〕
第1溶液(15g)に、極性溶媒としてエタノール(40g)を添加し、1000rpmにて10分間の遠心分離を行なうことにより、L1-FePtナノ粒子の凝集物を回収した。
【0043】
〔工程3:第2溶液の作製〕
回収したL1-FePtナノ粒子の凝集物を、オレイン酸(0.1g)およびオレイルアミン(0.1g)を第2分散剤として含む第2有機溶媒としてのn-オクチルエーテル(7.71g)中に分散させ、これを第2溶液とした。
【0044】
〔工程4:シェルの形成〕
アルゴンガス雰囲気下において、第2溶液をシェル形成温度である170℃に保持し、Feシェル前駆体としてのFe(CO)を1時間毎に0.2mlずつ添加した。反応時間は4時間とし、合計4回添加を行なった。
【0045】
ここで第2分散剤として用いたオレイン酸およびオレイルアミンは350℃程度までの温度に対して安定であり、シェル形成温度170℃において沸騰も熱分解もせず、かつ、シェルの形成反応を阻害しない。
【0046】
以上の処理により、粒径5~10nmのL1-FePtナノ粒子をコアとし、その表面に厚さ約2nmのFeシェルを被覆したL1-FePtコア/Feシェル複合ナノ粒子が得られた。
【0047】
図2に、得られた複合ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を示す。観察視野内において、黒丸がコアとしてのL1-FePtナノ粒子であり、その周囲を取り囲む灰色の環状部分がFeから成るシェルである。複合ナノ粒子の間の明るい領域は、第2分散剤として用いたオレイン酸およびオレイルアミンである。
【0048】
得られたL1-FePtコア/Feシェル複合ナノ粒子は、L1規則結晶構造を持つL1-FePtが極めて大きい保磁力を持ち(超ハード磁性)、これに磁化の大きいFe(ソフト磁性)を被覆することで、例えばハードディスクのような磁気記録媒体やモーター用高性能永久磁石に適したセミハード磁性を持つ磁性ナノ粒子として有用である。セミハード特性を所望に応じて調整するには、工程4のシェル形成処理において、シェル前駆体の総添加量(各回添加量×添加回数)を増減させて、コア直径に対するシェル厚さの比率を増減させればよい。
【0049】
以上、本発明の方法をFePtコアにFeシェルを形成する場合の具体例について説明したが、本発明を適用できるコア/シェルの組合せはこれに限定する必要はない。例えば磁性分野の場合だけでも以下のように多種多様な組合せについて、本発明を適用することができる。
【0050】
〔コア:磁性ナノ粒子の例〕
FePt磁性ナノ粒子・・・(実施例にて説明)
FePd磁性ナノ粒子
NdFe14B磁性ナノ粒子
Sm2Co17磁性ナノ粒子
MnBi磁性ナノ粒子
〔シェル:磁性シェルの例〕
Fe・・・(実施例にて説明)
FeCo合金
FeNi合金
FeMn合金
Co
CoNi合金
CoMn合金
Ni
NiMn合金
Mn
Fe、Co、Ni、Mnの3元合金または4元合金(種々の組成比にて)
以上は、磁性分野について本発明の適用対象を例示したが、もちろん他の分野であっても、ナノ粒子が製造可能で、その表面にシェルを形成できる組合せであれば、本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、バリア層により焼結を防止して予め熱処理され特定の結晶構造とされたナノ粒子をコアとし、その表面にシェル形成する方法であって、相間移動触媒等の強密着性の分散剤によるシェル形成反応への妨害を排除して、優れた特性を発揮するコア/シェル複合ナノ粒子を製造する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の方法によるプロセスを、その前プロセスとの連携を含めて示すフローチャートである。
【図2】本発明の方法により製造したL1-FePtコア/Feシェル複合ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真である。
図面
【図1】
0
【図2】
1