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明細書 :ポリマー-金属複合体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5444559号 (P5444559)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
発行日 平成26年3月19日(2014.3.19)
発明の名称または考案の名称 ポリマー-金属複合体及びその製造方法
国際特許分類 C08J   7/00        (2006.01)
C23C  18/08        (2006.01)
C23C  18/14        (2006.01)
G02B   5/30        (2006.01)
FI C08J 7/00 CFGA
C23C 18/08
C23C 18/14
G02B 5/30
請求項の数または発明の数 21
全頁数 34
出願番号 特願2007-555959 (P2007-555959)
出願日 平成19年1月24日(2007.1.24)
国際出願番号 PCT/JP2007/051037
国際公開番号 WO2007/086392
国際公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
優先権出願番号 2006015513
優先日 平成18年1月24日(2006.1.24)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年10月30日(2009.10.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】川口 昭夫
【氏名】後藤 康夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
【識別番号】100115347、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 奈緒子
【識別番号】100136858、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 浩
審査官 【審査官】芦原 ゆりか
参考文献・文献 特開2003-029043(JP,A)
特開昭56-099235(JP,A)
特開昭58-107505(JP,A)
特開昭62-174705(JP,A)
特開昭62-177036(JP,A)
特開2005-290294(JP,A)
特開平06-287355(JP,A)
特開2000-256489(JP,A)
調査した分野 C08J 7/00-02,7/12-18
C08J 3/00-28
D06M 10/00-11/84
C23C 18/00-20/08



特許請求の範囲 【請求項1】
ポリマー基材にヨウ素をドープさせたポリヨウ素コンプレックスを介して、前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させることを特徴とするポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項2】
ポリマー基材にヨウ素をドープさせる工程が、ポリマー基材を、ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液中に浸漬することにより行われる請求項1に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項3】
0~100℃の温度条件下で行われる請求項1又は2に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項4】
ポリマー基材が、フィルム、繊維、粉末、ペレット、不織布、多孔質体、織布、高分子ブレンド、共重合体、及びゲルのいずれかである請求項1から3のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項5】
ポリマーが、少なくとも親水性基及び極性基のいずれかを有する請求項1から4のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項6】
ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープしてポリヨウ素コンプレックスを調製する1次ドープ工程、
前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、金属イオンをドープして金属ヨウ化物コンポジットを調製する2次ドープ工程、及び
前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させる析出工程
を少なくとも含む請求項1に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項7】
2次ドープ工程が、ポリヨウ素コンプレックスを、金属イオンを含む溶液中に浸漬することにより行われる請求項6に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項8】
金属ヨウ化物コンポジットに対し、レーザ光を照射して金属粒子の析出を促進させる請求項6又は7に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項9】
金属ヨウ化物コンポジットに対し、電界を印加して金属粒子の析出を促進させる請求項6又は7に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項10】
金属ヨウ化物コンポジットを、酸素存在下において150~300℃で一定時間加熱して金属粒子の析出を促進させる請求項6又は7に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項11】
金属イオンが、銀、銅、白金、金、鉄、水銀、コバルト、カドミウム、タングステン、チタン、鉛、ビスマス、クロム、ニッケル、亜鉛、モリブデン、マンガン、パラジウム、及びスズのいずれかから選択される少なくとも1種の金属イオンである請求項6から10のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項12】
金属イオンを含む溶液が、金属塩溶液であり、前記金属塩が、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物塩、金属臭化物塩、及び金属ヨウ化物、並びにそれらの配位化合物のいずれかである請求項6から11のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項13】
ポリマー基材が、ポリアミド製フィルムであり、
1次ドープ工程が、前記ポリアミド製フィルムを、ヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液に浸漬してポリヨウ素コンプレックスを調製する工程であり、
2次ドープ工程が、前記ポリヨウ素コンプレックスを、硝酸銀水溶液に浸漬してヨウ化銀コンポジットを調製する工程であり、
析出工程が、前記ポリアミド製フィルム内部に銀粒子を析出させる工程である請求項6から12のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項14】
ヨウ化銀コンポジットが淡黄色であり、50~250cm-1の領域におけるラマンスペクトルのピーク波数、ピーク強度、及び波形パターンが、ヨウ化銀(AgI)と略同一である請求項13に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項15】
2次ドープ工程において、ドープ開始後のヨウ化銀コンポジットは淡緑色であり、その後、淡黄色となる請求項13又は14に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項16】
ヨウ化銀コンポジットが無色乃至白色である請求項13に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項17】
ポリヨウ素コンプレックスを、0~20℃の硝酸銀水溶液に浸漬する請求項13に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項18】
ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープしてポリヨウ素コンプレックスを調製するドープ工程、及び
前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、金属電極を接触させることにより 前記ポリマー基材の表面に、該金属粒子を析出させる析出工程
を少なくとも含む請求項1に記載のポリマー-金属複合体の製造方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法により製造されたことを特徴とするポリマー-金属複合体。
【請求項20】
請求項13から17のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法により製造され、銀粒子がポリアミド製フィルム内部に析出してなることを特徴とするポリマー-金属複合体。
【請求項21】
抗菌素材、建材、被服素材、偏光素子、導電性素材、電磁波遮蔽素材、ガス吸収素材、ガス吸蔵素材、触媒素材、及び金属微粒子形成用鋳型素材のいずれかに用いられる請求項19又は20に記載のポリマー-金属複合体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー-金属複合体及びその製造方法に関し、特に、ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させたポリマー-金属複合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属や無機塩をポリマー基材に含有させることにより、様々な機能を持たせたポリマー系複合材料(ハイブリッド素材)が注目され、広く研究されている。
該ポリマー系複合材料の製造方法としては、例えば、フィルム等の成形体の表層部に、化学的無電解めっき、真空蒸着、スパッタリング等により、金属層を形成する方法が知られており、実用化されている。しかしながら、これらの方法によると、表面に形成された金属層が、機械的な摩擦等により脱落して機能低下を生じるという問題や、均一な金属層を形成するために、被処理基材の形状や面状が制限されるという問題がある。
【0003】
一方、ポリマー基材中に金属を分布させてなる高分子複合材料としては、例えば、原料のポリマー中に金属塩等を含有させた後、加熱処理により該金属塩を還元することによってポリマー原料中に超微粒子を作製し、この原料を用いて繊維や成形体を製造する方法(例えば、特許文献1参照)や、固体高分子化合物をガラス転移温度以上において、重金属化合物の蒸気に接触させ、内部に金属クラスターを形成する方法(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【0004】
このように、前記特許文献1及び2の方法によると、成形加工工程等における熱履歴により、金属の分散状態の不均一化や金属の変性を生じることがあるという問題、さらに、溶融することのできない原料や耐熱性の低い原料には適用できないという問題がある。
【0005】
したがって、被処理基材の形状に制限が無く、溶融等を行うことなく金属イオンを前記被処理基材の深部にまで拡散させ、前記被処理基材の内部に金属粒子を均一に析出させることができるポリマー-金属複合体の製造方法は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
【0006】

【特許文献1】特開平6-287355号公報
【特許文献2】特開2000-256489号公報
【発明の開示】
【0007】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、被処理基材の形状に制限が無く、前記被処理基材の内部及び表面の少なくとも一方に、溶融等を行うことなく金属イオンを拡散させ、金属粒子を均一に析出させることができるポリマー-金属複合体の製造方法、及び該製造方法により得られたポリマー-金属複合体を提供することを目的とする。
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ポリマー基材(例えば、フィルム)を、ポリヨウ素イオン(In:ただし、nは3又は5)を含む溶液に浸漬することにより得られたポリヨウ素コンプレックスは、未処理の前記ポリマー基材よりもイオンや分子の拡散性及び透過性が高いため、2次ドープした金属イオンが容易に拡散し、拡散した前記金属イオンとポリヨウ素イオンとが反応することにより、金属ヨウ化物コンポジットが形成され、ポリヨウ素イオンを介在した還元反応等により金属粒子が前記ポリマー基材の内部で生成するという知見を得た。通常、高温条件下でしか観られない金属ヨウ化物の分解が、前記ポリヨウ素コンプレックス中においては、室温条件下においても観られ、前記ポリマー基材の内部に、室温条件下において金属粒子が析出することは、本発明者らの新たな知見である。また、前記ポリヨウ素コンプレックスを金属電極に接触させることにより、金属粒子が前記ポリマー基材表面に析出することも見出された。さらに、本発明におけるポリマー-金属複合体は、抗菌性能を示すこと、及び偏光素子として利用できることがわかった。
【0009】
本発明は、本発明者らによるかかる知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> ポリマー基材にヨウ素をドープさせたポリヨウ素コンプレックスを介して、前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させることを特徴とするポリマー-金属複合体の製造方法である。
<2> ポリマー基材にヨウ素をドープさせる工程が、ポリマー基材を、ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液中に浸漬することにより行われる前記<1>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
【0010】
<3> 0~100℃の温度条件下で行われる前記<1>又は<2>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<4> ポリマー基材が、フィルム、繊維、粉末、ペレット、不織布、多孔質体、織布、高分子ブレンド、共重合体、及びゲルのいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<5> ポリマーが、少なくとも親水性基及び極性基のいずれかを有する前記<1>から<4>のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
【0011】
<6> ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープしてポリヨウ素コンプレックスを調製する1次ドープ工程、
前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、金属イオンをドープして金属ヨウ化物コンポジットを調製する2次ドープ工程、及び
前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させる析出工程
を少なくとも含む前記<1>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<7> 2次ドープ工程が、ポリヨウ素コンプレックスを、金属イオンを含む溶液中に浸漬することにより行われる前記<6>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
【0012】
<8> 金属ヨウ化物コンポジットに対し、レーザ光を照射して金属粒子の析出を促進させる前記<6>又は<7>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<9> 金属ヨウ化物コンポジットに対し、電界を印加して金属粒子の析出を促進させる前記<6>又は<7>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<10> 金属ヨウ化物コンポジットを、酸素存在下において150~300℃で一定時間加熱して金属粒子の析出を促進させる前記<6>又は<7>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
【0013】
<11> 金属イオンが、銀、銅、白金、金、鉄、水銀、コバルト、カドミウム、タングステン、チタン、鉛、ビスマス、クロム、ニッケル、亜鉛、モリブデン、マンガン、パラジウム、及びスズのいずれかから選択される少なくとも1種の金属イオンである前記<6>から<10>のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<12> 金属イオンを含む溶液が、金属塩溶液であり、前記金属塩が、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物塩、金属臭化物塩、及び金属ヨウ化物、並びにそれらの配位化合物のいずれかである前記<6>から<11>のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
【0014】
<13> ポリマー基材が、ポリアミド製フィルムであり、
1次ドープ工程が、前記ポリアミド製フィルムを、ヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液に浸漬してポリヨウ素コンプレックスを調製する工程であり、
2次ドープ工程が、前記ポリヨウ素コンプレックスを、硝酸銀水溶液に浸漬してヨウ化銀コンポジットを調製する工程であり、
析出工程が、前記ポリアミド製フィルム内部に銀粒子を析出させる工程である前記<6>から<12>のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<14> ヨウ化銀コンポジットが淡黄色であり、50~250cm-1の領域におけるラマンスペクトルのピーク波数、ピーク強度、及び波形パターンが、ヨウ化銀(AgI)と略同一である前記<13>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
【0015】
<15> 2次ドープ工程において、ドープ開始後のヨウ化銀コンポジットは淡緑色であり、その後、淡黄色となる前記<13>又は<14>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<16> ヨウ化銀コンポジットが無色乃至白色である前記<13>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
<17> ポリヨウ素コンプレックスを、0~20℃の硝酸銀水溶液に浸漬する前記<13>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
【0016】
<18> ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープしてポリヨウ素コンプレックスを調製するドープ工程、及び
前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、金属電極を接触させることにより 前記ポリマー基材の表面に、該金属粒子を析出させる析出工程
を少なくとも含む前記<1>に記載のポリマー-金属複合体の製造方法である。
【0017】
<19> 前記<1>から<18>のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法により製造されたことを特徴とするポリマー-金属複合体である。
<20> 前記<13>から<17>のいずれかに記載のポリマー-金属複合体の製造方法により製造され、銀粒子がポリアミド製フィルム内部に析出してなることを特徴とするポリマー-金属複合体である。
<21> 抗菌素材、建材、被服素材、偏光素子、導電性素材、電磁波遮蔽素材、ガス吸収素材、ガス吸蔵素材、触媒素材、及び金属微粒子形成用鋳型素材のいずれかに用いられる前記<19>又は<20>に記載のポリマー-金属複合体である。
【0018】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、被処理基材の形状に制限が無く、前記被処理基材内部及び表面の少なくとも一方に溶融等の極めて高い温度での処理を行うことなく、金属粒子を均一に析出させることができるポリマー-金属複合体の製造方法、及び該製造方法により得られたポリマー-金属複合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、金属ヨウ化物コンポジットに金属粒子析出を促進するために直流電界を印加する方法の一例を示す模式図である。
【図2A】図2Aは、ポリアミド-銀複合体の製造方法におけるStage Iのヨウ化銀コンポジットのラマン分光の解析結果を示すチャートである。
【図2B】図2Bは、ポリアミド-銀複合体の製造方法におけるStage IIのヨウ化銀コンポジットのラマン分光の解析結果を示すチャートである。
【図2C】図2Cは、ポリアミド-銀複合体の製造方法におけるStage IIIのヨウ化銀コンポジットのラマン分光の解析結果を示すチャートである。
【図2D】図2Dは、ヨウ化銀のラマン分光の解析結果を示すチャートである。
【図3】図3は、実施例1において測定されたX線回折強度の測定結果を示すチャートである。
【図4】図4は、実施例2において測定されたX線回折像である。
【図5】図5は、実施例2において測定されたX線回折強度の測定結果を示すチャートである。
【図6】図6は、実施例3において測定されたX線回折像である。
【図7】図7は、図6から測定した赤道線上の回折強度を示すチャートである。
【図8】図8は、実施例4で得られたポリアミド-銀複合体の外観の写真である。
【図9A】図9Aは、実施例5で得られたポリアミド-銀複合体の外観の写真(表面)である。
【図9B】図9Bは、実施例5で得られたポリアミド-銀複合体の外観の写真(断面)である。
【図10A】図10Aは、実施例5において測定されたX線回折像のedge viewである。
【図10B】図10Bは、実施例5において測定されたX線回折像のthru viewである。
【図11A】図11Aは、実施例5において測定されたX線回折強度のedge viewの解析結果を示すチャートである。
【図11B】図11Bは、実施例5において測定されたX線回折強度のthru viewの解析結果を示すチャートである。
【図12A】図12Aは、実施例6で得られたポリアミド-金複合体の写真である。
【図12B】図12Bは、実施例6で得られたポリアミド-金複合体の写真(還元剤水溶液浸漬後)である。
【図13A】図13Aは、実施例7で得られたポリアミド-鉄複合体の写真である。
【図13B】図13Bは、実施例7で得られたポリアミド-鉄複合体の写真(還元剤水溶液浸漬後)である。
【図14】図14は、実施例10における光学レイアウトを示す図である。
【図15】図15は、実施例10における透過光映像を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のポリマー-金属複合体の製造方法は、ポリマー基材にヨウ素をドープさせたポリヨウ素コンプレックスを介して、前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させることを特徴とする。
本発明において好適な実施形態について、以下に説明する。
[1]第一実施形態
(1)ポリマー-金属複合体の製造方法
第一実施形態では、前記ポリマー-金属複合体の製造方法は、1次ドープ工程、2次ドープ工程、及び析出工程を少なくとも含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む。
【0021】
<1次ドープ工程>
前記1次ドープ工程は、前記ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープ(添加)し、ポリマーとポリヨウ素とのコンプレックスを調製する工程である。
前記ポリヨウ素コンプレックスとは、前記ポリマーにポリヨウ素が分散・吸着し、包含されてなるものであり、例えば、前記ポリマーの分子鎖間の水素結合によりポリヨウ素が包接されてなる構造を有するもの、分子鎖又は側鎖上のアミド基等を配位座としてポリヨウ素が配位した構造を有するもの、結晶等の分子鎖の凝集によって分子鎖間に配位座が形成されるもの、単分子鎖であっても分子鎖上の極性基の配列やらせん構造のピッチ変化によって配位座が形成されるもの等が挙げられる。
【0022】
前記1次ドープ工程におけるヨウ素のドープ方法としては、前記ポリマー基材がポリヨウ素コンプレックスを形成可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ポリマー基材を、ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液中に浸漬する方法、ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液を噴霧する方法、ヨウ素蒸気に長時間曝露する方法、ヨウ素単体と混合して溶融・成型する方法等が挙げられるが、これらの中でも、前記ポリマー基材を、ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液中に浸漬する方法が好ましい。
【0023】
前記ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液としては、例えば、ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液、ヨウ素-ヨウ化アンモニウム溶液、ヨウ素-ヨウ化リチウム溶液、その他金属イオンのヨウ化物溶液にヨウ素単体を溶解させた溶液、又はヨウ素単体を溶質とする有機溶媒等が挙げられ、これらの中でもヨウ素-ヨウ化カリウム溶液等、1価の陽イオンのヨウ化物溶液にヨウ素単体を溶解させた溶液が好ましい。また、前記溶液の溶媒としては、例えば、水が挙げられ、前記ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液としては、ヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液が挙げられる。
前記ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液の濃度としては、0.05~5.0Nが好ましく、0.1~2.0Nがより好ましい。
【0024】
-ポリマー基材-
--ポリマー--
前記ポリマーとしては、ヨウ素を包含可能な高分子化合物である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも親水性基及び極性基のいずれかを有する高分子化合物が好ましく、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロース、タンパク質、ポリアクリルアミド、ポリ尿素、ポリアクリロニトリル、及びアミロースデンプン等の多糖類等が挙げられる。
前記セルロースとしては、植物由来セルロースが挙げられ、例えば、綿、木質パルプ、レンコン繊維、竹繊維、ケナフ、及び寒天ゲル等が挙げられる。
前記タンパク質としては、動植物由来タンパク質が挙げられ、例えば、蚕糸、羊毛、ゼラチンゲル、及びDNA等が挙げられる。
これらの中でも、ポリアミド、ポリビニルアルコール、及びセルロース等の親水性のポリマーが好ましい。
また、前記ポリアミドとしては、例えば、ポリイミドをアルカリ等で部分的に加水分解して得られるポリアミド(酸)等が挙げられる。
なお、前記ヨウ素を包含可能な高分子化合物とは、前記ヨウ素が内部まで拡散し、かつ分子内に吸着、又は非共有結合で会合した構造をとりうる高分子化合物を意味する。
【0025】
--基材--
前記基材としては、原料であってもよく、前記原料を成形加工してなる成形体であってもよく、例えば、フィルム、繊維、粉末、ペレット、不織布、多孔質体、織布、高分子ブレンド、共重合体、ゲル等が挙げられる。前記フィルムとしては、例えば、表面に凹凸を有するエンボスフィルムや、多孔質フィルムであってもよく、前記繊維としては、中空糸、多孔化繊維等の特殊加工繊維や、らせん状等の特殊形状の繊維であってもよい。
また、前記ポリマー基材は、前記ポリマー-金属複合体の用途に応じ、適宜その他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、セラミックス、無機塩類等の無機化合物、ゴム等の有機材料、及び顔料等が挙げられる。
【0026】
<2次ドープ工程>
前記2次ドープ工程は、前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、金属イオンをドープ(添加)し、前記ポリマーと金属ヨウ化物とのコンポジットを調製する工程である。
前記金属ヨウ化物コンポジットとは、前記ポリヨウ素コンプレックス中に、前記金属イオンが拡散し、前記ポリヨウ素コンプレックスの構成要素であるポリヨウ素から分離したヨウ素イオンと、前記金属イオンとが反応して金属ヨウ化物を形成してなるものである。
なお、該金属ヨウ化物コンポジットは、同一の金属塩を同一のポリヨウ素コンプレックスにドープした場合においても、前記1次ドープ工程及び前記2次ドープ工程における条件(例えば、ヨウ素のドープ量、金属イオンのドープ量、処理時間、温度履歴、試料のサイズや形状等)に応じて、外観や特性が異なるものが得られることがある。
【0027】
前記2次ドープ工程における金属イオンのドープ方法としては、前記ポリヨウ素コンプレックスが、金属ヨウ化物のコンポジットを形成可能な方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ポリヨウ素コンプレックスを、金属イオンを含む溶液に浸漬する方法、及び金属イオンを含む溶液を噴霧する方法等が挙げられるが、これらの中でも、前記ポリヨウ素コンプレックスを、金属イオンを含む溶液に浸漬する方法が好ましい。
【0028】
浸漬後又は噴霧後、前記金属ヨウ化物コンポジットを水洗処理することにより前記2次ドープ工程を停止することができ、該水洗処理の処理時間により、前記金属ヨウ化物コンポジット表面の金属イオン濃度を調整することができる。
【0029】
-金属イオン-
前記金属イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、銀、銅、白金、金、鉄、水銀、コバルト、カドミウム、タングステン、チタン、鉛、ビスマス、クロム、ニッケル、亜鉛、モリブデン、マンガン、パラジウム、及びスズ等の金属イオンが挙げられる。
【0030】
前記金属イオンを含む溶液は、金属塩溶液であることが好ましい。
前記金属塩としては、水溶性金属塩であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、沈殿を生じないものが好ましく、例えば、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物塩、金属臭化物塩、及び金属ヨウ化物、並びにそれらの配位化合物等が挙げられる。
【0031】
前記金属塩は、水溶液として前記ポリヨウ素コンプレックスにドープされることが好ましい。前記金属塩の水溶液の濃度としては、0.05~14M(mol/L)が好ましく、0.1~10Mがより好ましい。
【0032】
<金属粒子の析出工程>
前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方における金属粒子の析出は、前記金属ヨウ化物コンポジットにおいて、該金属ヨウ化物コンポジットからのヨウ素イオンの放出(揮発乃至酸化)が進行し、前記金属ヨウ化物が分解されることにより進行する。
金属ヨウ化物は、通常、室温におけるイオン伝導性が極めて低く、高温条件下(例えば、ヨウ化銀の場合、約150℃以上)でなければイオン伝導が誘起されることはないが、前記金属ヨウ化物コンポジットを形成した場合は、転移点まで昇温することなく、室温においても比較的容易にイオンの伝導や拡散が生じる。このため、前記金属ヨウ化物コンポジットは、例えば、室温条件下(例えば、5~30℃)に静置することにより、ヨウ素イオンが放出され、前記金属粒子が析出する。
【0033】
前記金属粒子の析出を促進させる方法としては、前記金属ヨウ化物コンポジットに対し、例えば、レーザ光を照射する方法、電界を印加する方法、酸素存在下で加熱する方法、紫外光を照射する方法等が挙げられ、これらの方法は、単独で、又は適宜組合せて行うことができる。
【0034】
前記レーザ光を照射する方法としては、前記ポリマー基材が分解しない範囲で照射が行われる限り、特に制限はなく、波長、エネルギー量、及び照射時間等を適宜選択することができる。
【0035】
前記電界を印加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、図1に示すように、前記基材10がフィルムの場合、マイカ等の絶縁材13で絶縁した陰極11及び陽極12の間に前記基材を挟むように設置し、電場を印加する方法等が挙げられる。なお、電界の印加は、湿潤環境下で行うことができる。
【0036】
前記酸素存在下で加熱する方法としては、前記金属ヨウ化物コンポジットを酸素存在下において150~300℃で一定時間加熱する方法であり、前記金属ヨウ化物コンポジットは、過剰量の金属イオンがドープされていることが好ましく、そのような前記ヨウ化物コンポジットとしては、例えば、2次ドープ後の水洗時間を短縮する等して調製することができる。前記加熱温度は、170~260℃が好ましく、220~250℃がより好ましい。
【0037】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、公知の工程から適宜選択することができ、前記ホスト高分子基材が成形体である場合、例えば、表面処理工程、端面処理工程等が挙げられ、前記ホスト高分子基材が原料である場合、例えば、成形工程、結晶化度制御、分子量制御、ブレンドによる異性化、架橋反応による粘性制御、紡糸工程、一軸又は二軸の延伸処理、熱処理、溶媒等による膨潤処理等が挙げられる。
【0038】
前記ポリマー-金属複合体の用途に応じ、適宜その他の成分を添加する工程等が挙げられる。前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、セラミックス、無機塩類等の無機化合物、親水性やヨウ素親和性の異なる異種高分子、ゴム等の有機材料、及び顔料、染料等の着色剤等が挙げられる。
【0039】
本発明のポリマー-金属複合体の製造方法は、被処理基材の形状に制限が無く、溶融等の極めて高い温度での処理を行うことなく、金属イオンを前記被処理基材の深部にまで拡散させ、金属粒子を均一に析出させることができるため、各種機能性素材の調製、及び各種成形品に抗菌性や偏光性、導電性等の各種機能を付加する方法として好適に用いることができる。
【0040】
(2)ポリマー-金属複合体
本発明の第一実施形態におけるポリマー-金属複合体の製造方法により得られた本発明のポリマー-金属複合体は、前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、前記金属粒子が析出してなる。
前記金属粒子の析出は、例えば、広角X線回折(WAXD)を用い、金属粒子(単体金属)からの反射を検出することにより確認することができる。
【0041】
前記ポリマー-金属複合体は、前記ポリマー基材及び前記金属粒子との組合せに応じ、各種機能性材料として用いることができ、例えば、抗菌素材、建材、被服素材、導電性素材、電磁波遮蔽素材、ガス吸収素材、ガス吸蔵素材、触媒素材、及び金属微粒子形成用鋳型素材等として用いることができる。
具体的には、各種サニタリー用品、ペット用品、容器、包装材、文具、建築内装材、建築外装材、車両等の部材や内外装材、服飾製品、電子機器、電気機器、電池、半導体、高透過度の光学偏光材料、環境応答センサー、フィルム状導線、及び多孔質状の触媒フィルター、特定の気体分子の吸着剤、並びにこれらの原料として用いることができる。
【0042】
(3)ポリアミド-銀複合体の製造方法
本発明のポリマー-金属複合体の製造方法は、ポリアミド(例えば、ポリアミド6)製の基材に好適に使用することができる。以下、本発明のポリマー-金属複合体の製造方法を用いたポリアミド製フィルム内部に銀粒子が析出してなるポリアミド-銀複合体の製造方法の一例について説明する。
【0043】
<ポリヨウ素コンプレックスの調製(1次ドープ工程)>
前記ポリヨウ素コンプレックスは、前記1次ドープ工程として、前記ポリアミドからなるフィルム状、繊維状、又は多孔質体の基材に対し、ヨウ素をドープ(添加)して調製することができる。
例えば、前記ポリアミドからなるフィルム状基材(ポリアミド製フィルム)としては、前記ポリアミドのペレット等を用いて適宜成形してなる無延伸フィルム、及び成形後延伸してなる二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
【0044】
前記ポリアミド製フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、工程の効率化の観点から、0.02~10mmが好ましく、0.1~0.5mmがより好ましい。
なお、前記ポリアミド製フィルムは、前記1次ドープを行う前に、真空中で熱処理することにより、合成時の溶媒や吸湿成分を低減させ、同時に結晶性を高めることもできる。
【0045】
前記ポリヨウ素コンプレックスは、例えば、前記ポリアミド製フィルムを、0.1~3Nのヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液中に、1秒以上浸漬することにより調製することができる。浸漬時間は、ヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液の濃度に応じて適宜選択することが出来、例えば、ヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液が0.8N以上であれば、前記浸漬時間としては1秒~1時間が好ましく、0.1Nであれば、前記浸漬時間としては1~2週間が好ましい。
【0046】
得られた前記ポリヨウ素コンプレックスは、次いで行う2次ドープ工程において、揮発成分による影響を低減させる目的で、乾燥処理を行うことが好ましい。
前記乾燥処理としては、例えば、真空乾燥、又は大気圧下でシリカゲルを用いる方法が挙げられる。
前記乾燥処理時間としては、真空乾燥の場合には24時間~1週間が好ましく、シリカゲルを用いた乾燥処理の場合には1ヶ月以上が好ましい。
【0047】
<ヨウ化銀コンポジットの調製(2次ドープ工程)>
前記ヨウ化銀コンポジットは、前記2次ドープ工程として、前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、硝酸銀をドープ(添加)して調製することができる。
【0048】
前記ヨウ化銀コンポジットは、前記ポリヨウ素コンプレックスを、0.1~10Mの硝酸銀水溶液中に、1分~12時間浸漬することにより調製することができる。
なお、前記ヨウ化銀コンポジットとしては、前記硝酸銀水溶液の濃度及び温度、並びに前記硝酸銀水溶液への浸漬時間に応じて、外観や特性の異なる複数の態様のヨウ化銀コンポジットが得られる。
なお、ヨウ化銀コンポジットの水洗処理を簡略化することにより、表面の銀イオンの濃度を高く維持することができ、加熱により銀粒子の析出を促進する場合に有利である。
【0049】
-ヨウ化銀コンポジットの態様-
前記ヨウ化銀コンポジットの態様としては、例えば、下記Stage I、Stage II、及びStage IIIの3種の態様が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの態様は、互いに遷移状態にあってもよく、複数の態様が混成してなるものであってもよい。
【0050】
--Stage I--
前記Stage Iのヨウ化銀コンポジットは、前記2次ドープ工程の初期(例えば、前記硝酸銀水溶液に浸漬後数分後から)において観られる態様であり、外観は淡緑色である。
該Stage Iのヨウ化銀コンポジットは、ヨウ素単体の析出や昇華が活発な状態である(図2A参照)。
【0051】
--Stage II--
前記Stage IIのヨウ化銀コンポジットは、淡黄色であり、該ヨウ化銀コンポジットの50~250cm-1の領域におけるラマンスペクトルのピーク波数、ピーク強度、及び波形パターンは、銀イオンとヨウ素イオンとが通常の反応で生成するヨウ化銀(AgI)と略同一である(図2B参照)。すなわち、Stage IIは、通常のヨウ化銀が分散した形であり、比較的に安定な態様である。
【0052】
--Stage III--
前記Stage IIIのヨウ化銀コンポジットは、無色乃至白色であり、該ヨウ化銀コンポジットの50~250cm-1の領域におけるラマンスペクトルのピーク位置は、銀イオンとヨウ素イオンとが通常の反応で生成するヨウ化銀(AgI)と略同一であるが、強度が異なり、さらに、前記ヨウ化銀及び前記Stage IIでは現れていないピークを有する(図2C参照)。
前記Stage IIIは、前記ポリヨウ素コンプレックスを高濃度のヨウ化銀水溶液に浸漬した場合、長時間浸漬した場合に観られる態様である(図2D参照)。
【0053】
<銀粒子の析出工程>
前記ポリアミド製フィルムの内部における銀粒子の析出は、前記ヨウ化銀コンポジットにおいて、該ヨウ化銀コンポジットからのヨウ素イオンの放出(揮発乃至酸化)と銀イオンの還元反応が進行することにより生じ、前記ヨウ化銀コンポジットを放置することにより進行するが、前記銀粒子の析出を促進するために、前記ヨウ化銀コンポジットに対し、例えば、レーザ光を照射する方法、電界を印加する方法、酸素存在下で加熱する方法、紫外光を照射する方法等を適用してもよい。
また、前記銀粒子の析出を促進する方法としては、前記ヨウ化銀コンポジットの調製において、0~20℃の硝酸銀溶液を用いる方法を適用してもよい。
なお、前記銀粒子は、均一な銀粒子層として析出されることが好ましく、上記これらの方法を用いることにより、前記銀粒子層の形成が容易となる。
前記銀粒子の析出方法としては、上記の方法を単独で、又は適宜組合せて行うことができる。
【0054】
また、前記電界を印加する方法においては、例えば、電界強度、電極形状、印加時間等を制御することにより、析出する銀粒子の分布や粒径を制御することもできる。
更に、前記フィルムの一方の面に銀粒子を集中して析出させて導体とし、他方の面をヨウ化銀に富む常温における半導体とした機能性材料等を調製することもできる。
【0055】
前記ポリアミド-銀複合体が得られたことは、前記銀粒子層が表面に近い領域で形成された場合には、肉眼で色調の変化(例えば、銀色化、灰色化、黒色化)を観察することにより確認することができる。一方、前記ポリアミド製フィルムの内部に析出した銀粒子乃至銀粒子層は、断面の顕微鏡観察等により観察することができ、銀粒子の存在は、広角X線回折等により観察することができる。
【0056】
(4)ポリアミド-銀複合体
前記ポリアミド-銀複合体は、抗菌性素材、建材、電子材料、容器・包装材料等に好適に使用することができる。
【0057】
[2]第二実施形態
(1)ポリマー-金属複合体の製造方法
第二実施形態では、前記ポリマー-金属複合体の製造方法は、ドープ工程、及び析出工程を少なくとも含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む。
【0058】
<ドープ工程>
前記ドープ工程は、前記ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープ(添加)し、ポリマーとポリヨウ素とのコンプレックスを調製する工程である。
前記ドープ工程におけるヨウ素のドープ方法としては、前記第一実施形態における1次ドープ工程と同様に行うことができる。
【0059】
<金属粒子の析出工程>
前記ポリマー基材の表面及び内部の少なくとも一方における金属粒子の析出は、前記ポリヨウ素コンプレックスを金属電極に接触させることにより、達成される。
ポリヨウ素コンプレックスは通常の親水性高分子よりもイオンや分子の拡散や透過が活性化されている。このため、コンプレックス中に存在するイオンは外部電場によって電気泳動し、イオン伝導としての導電性が観測される。ここで、金属電極を直接接触させることで、ポリヨウ素コンプレックスを電解質とした電気分解が行われる。ポリヨウ素コンプレックスに接触させる電極板を適宜選択することによって、電極板金属の腐食からイオン化が進行し、高分子素材表面及び内部の少なくとも一方に金属元素を拡散させることが可能となる。
【0060】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、前記第一実施形態におけるその他の工程と同様に、公知の工程から適宜選択することができる。
【0061】
(2)ポリマー-金属複合体
本発明の第二実施形態におけるポリマー-金属複合体の製造方法により得られた本発明のポリマー-金属複合体は、前記ポリマー基材の表面及び内部の少なくとも一方に、前記金属粒子又は錯体を含む金属化合物が析出してなる。
前記金属粒子又は錯体を含む金属化合物の析出は、肉眼でも観察できるが、例えば、広角X線回折(WAXD)を用い、金属粒子(単体金属)からの反射を検出することにより確認することができる。
【実施例】
【0062】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)ポリアミド-銀複合体の製造
<ポリマー基材の調製>
前記ポリマー基材として、膜厚0.1mmのポリアミド製フィルム(市販品、商品名:レイファン、東レ(株)製)を、10×30mmの大きさに切出し、これを真空中で、210℃にて48時間処理した。
【0063】
<1次ドープ工程>
前記ポリアミド製フィルムを、0.8Nのヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液3mL中に1時間浸漬し、ポリヨウ素コンプレックスを調製した。なお、浸漬は、25℃の温度条件下にて行った。
前記ポリヨウ素コンプレックスを形成した前記ポリアミド製フィルムを、前記ヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液中から取り出した後、十分な量のシリカゲルと共に密閉して25℃で3ヶ月以上乾燥させた。
なお、前記乾燥に要する時間は、3日間以上真空条件下で脱気処理することにより短縮することができる。
【0064】
<2次ドープ工程>
前記ポリヨウ素コンプレックスを形成した前記ポリアミド製フィルムを、8℃の1M硝酸銀水溶液3mL中に4時間浸漬し、ヨウ化銀コンポジットを調製した。なお、浸漬は、水溶液注入後は25℃の温度条件下にて行った。
【0065】
<銀粒子の析出>
前記ヨウ化銀コンポジットを前記硝酸銀水溶液から取り出し、温度25℃の環境下で1ヶ月以上時間静置し、ポリアミド-銀複合体を得た。得られた前記ポリアミド-銀複合体は、外観が灰色化し、銀粒子が析出していることが予想された。
前記ポリアミド-銀複合体を切断し、断面を観察したところ、表層に近い領域に灰色の層が形成されていた。
また、前記ポリアミド-銀複合体に対し、広角X線回折により銀粒子による反射の有無を調べたところ、X線が前記フィルム面に平行に入射する配置(edge view)において観測されたが、X線が前記フィルム面に垂直に入射する配置(thru view)においては、観測されなかった。このことから、前記ポリアミド製フィルム内部に銀粒子が析出し、該銀粒子は、フィルム表面付近に銀粒子層を形成していることがわかった。結果を図3に示す。
【0066】
(実施例2)
実施例1と同様にして、1次ドープ工程を行い、ポリアミド製フィルムにポリヨウ素コンプレックスを形成した。前記2次ドープ工程として、前記ポリヨウ素コンプレックスを形成した前記ポリアミド製フィルムを、25℃の1M硝酸銀水溶液3mL中に4時間浸漬し、ヨウ化銀コンポジットを調製した。なお、浸漬は、水溶液注入後は25℃の温度条件下にて行った。
なお、得られたヨウ化銀コンポジットは、Stage IIであると観察された。
【0067】
<銀粒子の析出(湿潤条件下での電界の印加)>
図1に示すように、マイカで絶縁した陰極と陽極で前記ヨウ化銀コンポジットを挟むように配置し、相対湿度80%以上の環境下にて、1.2~1.5×10V/mの直流電界を印加した。前記ヨウ化銀コンポジットは、陽極上のマイカ表面にテープで固定し、陰極との間に約2mmの空隙を設けて設置した。
直流電界を印加後、30日間経過後、前記ヨウ化銀コンポジットを取り出し、広角X線回折像及び強度プロファイルを測定したところ、銀粒子の析出が観測され、ポリアミド-銀複合体が得られたことがわかった。広角X線回折像を図4に、強度プロファイル図5に示す。
【0068】
(実施例3)
前記ヨウ化銀コンポジットに対し、下記の方法によりレーザ光を照射することにより銀粒子を析出させたこと以外は、実施例2と同様にして、ポリアミド-銀複合体を調製した。
<銀粒子の析出(レーザ光の照射)>
前記Stage IIのヨウ化銀コンポジットに対し、出力約50mWのArレーザを、集光せずに照射した。照射開始から10分後、照射領域が灰色に変色し、銀粒子の析出が予想された。照射を120分行った後、照射領域を広角X線解析で観測したところ、銀粒子の反射が測定された。結果を図6に示す。
また、該領域の断面を、光学顕微鏡により観察したところ、フィルムの内部の深い領域にも銀粒子の析出を示す灰色の変色が観られ、銀粒子の析出による変色であることが、図6の赤道線上の回折強度の解析結果から明らかとなった。該赤道線上の回折強度の解析結果を、図7に示す。
【0069】
(実施例4)
前記ヨウ化銀コンポジットに対し、下記の方法により酸素存在下で加熱することにより銀粒子を析出させたこと以外は、実施例2と同様にして、ポリアミド-銀複合体を調製した。
<銀粒子の析出(加熱)>
前記Stage IIのヨウ化銀コンポジットは、2次ドープ後の水洗処理を簡略化し、銀イオンの濃度をヨウ素イオンの濃度よりも高めたものを用いた。
該ヨウ化銀コンポジットを、空気中で室温から220~250℃の範囲になるまで加熱した。
加熱後、表面に金属光沢が現れ、銀粒子が表面付近に均一に析出したことが予想された。結果を図8に示す。
【0070】
(実施例5)
前記ヨウ化銀コンポジットに対し、下記の方法により電界を印加すること以外は、実施例2と同様にして、ポリアミド-銀複合体を調製した。
<銀粒子の析出(乾燥条件下での電界の印加)>
白金陰極と銅陽極で前記Stage IIのヨウ化銀コンポジットを挟むように配置し、4~7Vの直流電流を通電した。
直流電流を通電後、数十分から1時間程度で、陰極側(図9A左側)から黒変部が樹状に拡大し始めた(図9A参照)。この「黒変」はポリマー基材の表面に生じた(図9B参照)。前記ヨウ化銀コンポジットを取り出し、広角X線回折像及び強度プロファイルにて測定したところ、銀粒子の析出が観測され、ポリアミド-銀複合体が得られたことがわかった。広角X線回折像を図10に、強度プロファイル図11に示す。
フィルム面に平行に入射する配置(edge view)においては、銀粒子によると見られる反射(d=2.36Å、Ag(111))が観測されたが、フィルム面に垂直に入射する配置(thru view)においては、これが観察されなかった。このことから、「表面付近の構造」(黒変部)による回折であることがわかる。
【0071】
(実施例6)
<ポリマー基材の調製>
前記ポリマー基材として、膜厚0.1mmのポリアミド製フィルム(市販品、商品名:ナイロン6)を、10×30mmの大きさに切出し、これを真空中で、210℃にて48時間処理した。
【0072】
<ドープ工程>
前記ポリアミド製フィルムを、0.8Nのヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液3mL中に1時間浸漬し、ポリヨウ素コンプレックスを調製した。なお、浸漬は、25℃の温度条件下にて行った。
前記ポリヨウ素コンプレックスを形成した前記ポリアミド製フィルムを、前記ヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液中から取り出した後、十分な量のシリカゲルと共に密閉して25℃で3ヶ月以上乾燥させた。
【0073】
金属金Auを電極として、前記ヨウ化銀コンポジットに、相対湿度80%以上の環境下にて、10Vの直流電流を通電した。直流電流を通電後、10日間経過後、金属金粒子が陰極(金)側(図12A左側)から析出成長した(図12A参照)。一般的な水溶液やゲルに対する電気分解の場合には陽極板の金属が(陽)イオン化されて電解質に拡散してゆくのに対して、ヨウ素コンプレックスを電解質として利用した上記の電気分解の場合には陽極板よりも陰極板の電極板金素材がヨウ素コンプレックス中に溶解・拡散している。このことから、陰極の金表面から溶出したAu3+が、錯イオン[AuI]として分散した後に、陰極で還元されて単体Au(0)になっていることが予想される。
【0074】
さらに通電後の試料を還元剤水溶液(チオ硫酸ナトリウム水溶液)に浸したところ、表面析出した金光沢が明確になっただけでなく、極板間部分が黒色域として残った(図12B)。このことから、この「極板間黒色部」はヨウ素の包接構造とは異なる、金属イオンとの化合物(又は錯体)としてポリマー中に分散・析出したものと考えられる。
【0075】
(実施例7)
上記実施例6において、金電極の代わりに鉄電極を用いて、同様に直流電流を通電し、ポリアミド-鉄化合物複合体を調製した。
貴金属でありヨウ素との錯体[AuIを作る可能性がある金だけでなく、卑金属である鉄を極板とした場合も、類似の結果が得られた。すなわち、試料の内部又は表面に金属元素が残留し、陰電極の腐食が確認された(図13A)。
【0076】
また、通電後の試料を還元剤水溶液(チオ硫酸ナトリウム水溶液)に浸したところ、極板間部分が黒色域として残った(図13B)。このことから、この「極板間黒色部」はヨウ素の包接構造とは異なる、金属イオンとの化合物(又は錯体)としてポリマー中に分散・析出したものと考えられる。
また電極による電場印加をフィルムの厚み方向にかけることで、更にフィルム内部への金属イオン注入や析出を図ることも可能であると予想される。
【0077】
(実施例8)
実施例1で得られたポリアミド-銀複合体(フィルム)の抗菌作用を以下の方法により評価した。
無菌環境下で、寒天培地を充填したシャーレに、前記ポリアミド-銀複合体(フィルム)を投入したものを調製し、A.niger(黒カビ)を含む排水溝の汚垢を採取し、これを精製水に懸濁した後1時間経過した液を接種した。前記各シャーレを37℃の環境下で24時間放置し、菌数を測定した。
この結果、前記ポリアミド-銀複合体(フィルム)を投入したシャーレ中の黒カビの増殖は抑制されていた。
【0078】
(実施例9)ポリアミド-ヨウ化銀複合体の抗菌性評価
ポリマー基材として、ポリアミド製メッシュ(市販品、ナイロン6メッシュ)を、30×50mmの大きさに切出した。実施例1の1次ドープ工程及び2次ドープ工程と同様にして、上記ポリアミド製メッシュを0.3N又は0.03Nのヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液中に1分間浸漬し、ポリヨウ素コンプレックスを形成させた後、軽く純水で洗浄してから、直ちに硝酸銀水溶液中に4分間浸漬し、ヨウ化銀導入ポリアミドコンポジットを調製した。
【表1】
JP0005444559B2_000002t.gif

【0079】
この試料の抗菌性をJIS L 1902「繊維製品の抗菌試験方法」に準拠して評価した。
試料に接種した初期の菌濃度と、基材であるヨウ化銀を含まないナイロン6メッシュに対する培養後の菌濃度(コントロール)を表2に示す。これらの数値は単位体積あたりに存在する菌体が形成するコロニー数を表しており、単位はCFU/mL(コロニー形成単位)である。
【表2】
JP0005444559B2_000003t.gif

【0080】
表3に各実施例における抗菌試験の結果を示す。
【表3】
JP0005444559B2_000004t.gif

【0081】
実施例9-1~9-3では、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、緑膿菌のいずれも、ほとんど死滅しており、強い抗菌性を有することが分かった。実施例9-4では、ナイロン6中に形成されるヨウ化銀の量が小さいため、黄色ブドウ球菌、ならびに肺炎桿菌に対しては抗菌効果がやや低いが、緑膿菌に対し高い抗菌性を示した。
【0082】
(実施例10)Stage IIIのヨウ化銀コンポジットの光学偏光実験
液晶デバイス等に最も一般的に使われている安価な偏光素子はPVAにポリヨウ素をドープしたものである。このようなヨウ素ドープ偏光フィルムは、ポリヨウ素イオンの発色による光吸収が生じるため、偏光性能の向上と吸光度の低減(透過光強度の向上)とは二律背反の関係にある。これに対して、本発明における上記Stage IIIの金属ヨウ化物コンポジットは、(ポリ)ヨウ素イオンや金属イオンを内包するにもかかわらず無色又は白色であるために光透過性が高いと考えられる。そのため、光透過性の高い偏光素子が実現できるのではないかと考えた。
【0083】
市販ナイロンフィルムをベースに、以下のような手順にて、Stage IIIのコンポジットを調整した。ヨウ素ドープ(1次ドープ)及び金属イオンの2次ドープの前後、又は両プロセス間において材料に延伸操作を施すことで、配向したStage IIIコンポジットを調整することができる。なお、処理は全て室温下で行った。
基材:ナイロン6フィルム(TORAY Rayfan #1401、0.1mm)
実施例:ヨウ素による1次ドープ(0.2N I-KI水溶液)→延伸(延伸比3)→硝酸銀による2次ドープ(2.0Mの硝酸銀水溶液)
比較例:延伸のみ(延伸比3)
【0084】
光学レイアウトを図14に示す。
光源(He-Neレーザー、15mW) → 強度調整用アッテネータ → 偏光子(固定) → 試料(normal又はparallel) → 分析器(0°~90°) → CCDカメラ (1024×484ピクセル)
normal:各試料の延伸方向と偏光子の偏光方向が直交。
parallel:各試料の延伸方向と偏光子の偏光方向が平行。
各試料を円形窓(直径約5mm)にはり付けた状態でCCDカメラで透過光映像を測定した。このデータ(10ビット(210)×1024×484ピクセル~900KB)をビットマップファイル化した後に、試料窓付近(30×30ピクセル)のみを拡大及びトリミングした。
【0085】
各角度における透過光映像を図15に示す。
「2次ドープ」のための条件を適当に選択することで得られたStage IIIのコンポジットにおいては、入射光の直線偏光に対して透過強度が変化することから、偏光素子としての機能性が確認された。具体的には入射側偏光子の偏光面に対して、試料延伸方向を垂直に配置した場合(normal)に透過光強度がより強く観測されたのに対して、平行に配置した場合(parallel)の透過光強度が相対的に減少することが確認された。このことは金属化合物を内包するコンポジットとして、延伸による分子鎖配向に対して垂直な偏光成分を多く透過し、平行な成分に強度減少を生じていることを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のポリマー-金属複合体の製造方法は、被処理基材の形状に制限が無く、溶融等を行うことなく、金属イオンを前記被処理基材の深部にまで拡散させ、金属粒子を均一に析出させることができるため、各種機能性素材の調製や、各種成形品に対し抗菌性や偏光性、導電性等の各種機能を付加する方法として好適に使用することができる。
図面
【図2A】
0
【図2B】
1
【図2C】
2
【図2D】
3
【図3】
4
【図1】
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【図4】
6
【図5】
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【図6】
8
【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
13
【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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