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明細書 :多能性幹細胞の心筋分化促進剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5930205号 (P5930205)
登録日 平成28年5月13日(2016.5.13)
発行日 平成28年6月8日(2016.6.8)
発明の名称または考案の名称 多能性幹細胞の心筋分化促進剤
国際特許分類 C07D 277/82        (2006.01)
C12N   5/077       (2010.01)
C12N   5/0735      (2010.01)
C12N   5/10        (2006.01)
FI C07D 277/82 CSP
C12N 5/077
C12N 5/0735
C12N 5/10
請求項の数または発明の数 28
全頁数 36
出願番号 特願2012-530688 (P2012-530688)
出願日 平成23年8月24日(2011.8.24)
国際出願番号 PCT/JP2011/069054
国際公開番号 WO2012/026491
国際公開日 平成24年3月1日(2012.3.1)
優先権出願番号 2010189548
優先日 平成22年8月26日(2010.8.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年8月22日(2014.8.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】509286880
【氏名又は名称】特定非営利活動法人 幹細胞創薬研究所
発明者または考案者 【氏名】中辻 憲夫
【氏名】上杉 志成
【氏名】山田 耕平
【氏名】南 一成
【氏名】尾辻 智美
個別代理人の代理人 【識別番号】100062144、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 葆
【識別番号】100101454、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 卓二
【識別番号】100106518、【弁理士】、【氏名又は名称】松谷 道子
【識別番号】100138911、【弁理士】、【氏名又は名称】櫻井 陽子
審査官 【審査官】荒木 英則
参考文献・文献 国際公開第2007/126077(WO,A1)
特表2001-510450(JP,A)
米国特許出願公開第2007/0148185(US,A1)
特表2009-500357(JP,A)
特開2005-330443(JP,A)
国際公開第2005/037845(WO,A1)
特表2009-531365(JP,A)
遠山 周吾ら,移植,2009年,44(3),pp.219-225
CARLTON,D.L. et al.,Discovery of small molecule agonists for the bombesin receptor subtype 3 (BRS-3) based on an omepraz,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2008年,Vol.18, No.20,pp.5451-5455
BELLASIO,E. et al.,Substances with potential cardiovascular activity. 2-Acylaminobenzimidazoles with hypotensive activi,Farmaco, Edizione Scientifica,1973年,Vol.28, No.2,pp.164-182
HARSANYI,K. et al.,Reactions of acylcyanamides. I. New synthesis of 2-acylaminobenzoxazoles,Annali di Chimica(Rome, Italy),1964年,Vol.54, No.11,pp.1060-1065
Database REGISTRY[Online]: Chemical Abstracts Service, Columbus, Ohio, USA. [retrieved on 07 October 2011], Registry Number(Entry Date),1177562-46-7(30 Aug 2009), 1147532-35-1(19 May 2009), 1147404-38-3(19 May 2009), 1147337-80-1(19 May 2009), 1136531-24-2(19 Apr 2009), 1136432-34-2(19 Apr 2009), 1090781-93-3(28 Dec 2008), 1061194-02-2(14 Oct 2008), 1061020-56-1(14 Oct 2008), 1031144-38-3(27 Jun 2008), 1031127-32-8(27 Jun 2008), 1023259-74-6(28 May 2008), 1017145-50-4(25 Apr 2008),941864-24-0(10 Jul 2007), 941861-12-7(10 Jul 2007), 940726-30-7(02 Jul 2007), 940660-05-9(02 Jul 2007), 930893-80-4(19 Apr 2007), 930520-52-8(17 Apr 2007), 930496-97-2(17 Apr 2007), ,930025-45-9(13 Apr 2007)
STUCKWISCH, C.G., et al.,Some N-Substituted Dimethoxyphenylacetamides and Dimethoxyphenylethylamines,J. Med. Chem.,1965年,Vol.8, No.5,pp.734-735
調査した分野 C12N 5/00- 5/10
C07D 277/00-277/84
C07D 263/00-263/64
C07D 209/00-209/96
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】
JP0005930205B2_000031t.gif
[式中、
、R、R、R、及びRは水素原子である、
及びRは、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基である、
は、水素原子;ハロゲン原子;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換の炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NOである、
は、水素原子;ハロゲン原子;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換の炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
又は、RおよびRは、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している、
10-R11水素原子ある、
Xは硫黄原子ある、および
nは、0から6の整数である]
の化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
【請求項2】
が、0から4の整数である、
請求項の心筋分化促進剤。
【請求項3】
が、ハロゲン原子である、請求項またはの心筋分化促進剤。
【請求項4】
が、水素原子である、請求項のいずれかの心筋分化促進剤。
【請求項5】
nが、0から4の整数である、
が、ハロゲン原子である、および
が、水素原子である、
請求項1の心筋分化促進剤。
【請求項6】
及びRが、メトキシ基である、請求項のいずれかの心筋分化促進剤。
【請求項7】
nが、1から4の整数である、請求項1~6のいずれかの心筋分化促進剤。
【請求項8】
nが、2または3である、請求項のいずれかの心筋分化促進剤。
【請求項9】
式(I):
【化2】
JP0005930205B2_000032t.gif
[式中、
、R、R、R、R、及びR、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
及びR、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基である、又はR及びRが、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している、
、基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい)である、および
10-R11は、各々独立して、水素原子;又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
、酸素原子;硫黄原子;基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である]
の化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
【請求項10】
、R、R、R、R、及びRが、水素原子である、
及びRが、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基である、
10及びR11が、水素原子である、
Xが、硫黄原子である、
Aが、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリニル基である、および
nが、0から4の整数である、
請求項の心筋分化促進剤。
【請求項11】
以下から選択される化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進剤。
SO087
【化3】
JP0005930205B2_000033t.gif
KY01041
【化4】
JP0005930205B2_000034t.gif
T61164
【化5】
JP0005930205B2_000035t.gif
KY02111
【化6】
JP0005930205B2_000036t.gif
KY02114
【化7】
JP0005930205B2_000037t.gif
KY01045
【化8】
JP0005930205B2_000038t.gif
KY01040
【化9】
JP0005930205B2_000039t.gif
KY02109
【化10】
JP0005930205B2_000040t.gif
KY01042
【化11】
JP0005930205B2_000041t.gif
KY01043
【化12】
JP0005930205B2_000042t.gif
KY01046
【化13】
JP0005930205B2_000043t.gif
PB2852
【化14】
JP0005930205B2_000044t.gif
N11474
【化15】
JP0005930205B2_000045t.gif
PB2572
【化16】
JP0005930205B2_000046t.gif
PB2570
【化17】
JP0005930205B2_000047t.gif
KY02104
【化18】
JP0005930205B2_000048t.gif
SO102
【化19】
JP0005930205B2_000049t.gif
SO096
【化20】
JP0005930205B2_000050t.gif
SO094
【化21】
JP0005930205B2_000051t.gif

【請求項12】
多能性幹細胞が哺乳類である、請求項1~11のいずれかの心筋分化促進剤。
【請求項13】
多能性幹細胞が霊長類である、請求項12の心筋分化促進剤。
【請求項14】
別の心筋分化促進因子と併用される、請求項1~13のいずれかの心筋分化促進剤。
【請求項15】
別の心筋分化促進因子が、ニトロビン;bFGF、BMP4、VEGF、DKK1、およびアクチビンAの組み合わせ;またはWntシグナル阻害剤である、請求項14の心筋分化促進剤。
【請求項16】
請求項1~13のいずれかの心筋分化促進剤を含む、心筋分化促進用キット。
【請求項17】
さらに別の心筋分化促進因子を含む、請求項16のキット。
【請求項18】
請求項1~15のいずれかの心筋分化促進剤を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞を心筋細胞に分化誘導する方法。
【請求項19】
請求項1~15のいずれかの心筋分化促進剤を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞から心筋細胞を製造する方法。
【請求項20】
式(I):
【化22】
JP0005930205B2_000052t.gif
[式中、
、R、R、R、及びRは水素原子である、
及びRは、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基である、
は、ハロゲン原子である、
は、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
10-R11水素原子ある、
Xは、酸素原子;硫黄原子;基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、
および
nは、0から6の整数である]
を有する化合物またはその塩、
但し、
(i)R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が水素原子であり、RおよびRがメトキシ基であり、Xが硫黄原子であり、かつnが1のとき、Rは-OCH、-Cl、または-NOではない、
(ii)R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が水素原子であり、RおよびRがメトキシ基であり、Xが硫黄原子であり、かつnが2のとき、Rは-Clではない、および
(iii)R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が水素原子であり、RおよびRがメトキシ基であり、Xが硫黄原子であり、かつnが0のとき、Rは水素原子ではない。
【請求項21】
Xが、硫黄原子である、および
nが、0から4の整数である、
請求項20の化合物またはその塩。
【請求項22】
が、水素原子である、請求項20または21の化合物またはその塩。
【請求項23】
及びRが、メトキシ基である、請求項20~22のいずれかの化合物またはその塩。
【請求項24】
nが、1から4の整数である、請求項20~23のいずれかの化合物またはその塩。
【請求項25】
nが、2または3である、請求項20~24のいずれかの化合物またはその塩。
【請求項26】
式(I):
【化23】
JP0005930205B2_000053t.gif
[式中、
、R、R、R、R、及びR、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
及びR、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基である、又はR及びRが、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している、
、基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい)である、および
10-R11は、各々独立して、水素原子;又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
、酸素原子;硫黄原子;基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、
nは、0から6の整数である]
を有する化合物またはその塩。
【請求項27】
、R、R、R、R、及びRが、水素原子である、
及びRが、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基である、
10及びR11が、水素原子である、
Xが、硫黄原子である、
Aが、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリニル基である、および
nが、0から4の整数である、
請求項26の化合物またはその塩。
【請求項28】
以下:
SO087
【化24】
JP0005930205B2_000054t.gif
KY02114
【化25】
JP0005930205B2_000055t.gif
SO102
【化26】
JP0005930205B2_000056t.gif
SO096
【化27】
JP0005930205B2_000057t.gif
SO094
【化28】
JP0005930205B2_000058t.gif
いずれかの式を有する化合物またはその塩。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、多能性幹細胞の心筋細胞への分化促進剤、多能性幹細胞を心筋細胞に分化誘導する方法、および多能性幹細胞から心筋細胞を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多能性幹細胞の分化誘導方法は、再生医療の実現やインビトロでの薬効評価試験、あるいは薬剤安全性試験の確立の鍵を握るものである。特に、心疾患は現在日本人の死亡原因の第二位であり、再生医療や心疾患薬効評価については重要である。また心臓に対して心不全や不整脈など重篤な副作用を引き起こす薬物が多いことから、心毒性試験に用いることのできる均一な心筋細胞の供給が求められている。これまで、ヒトES細胞を心筋細胞へ分化させる手法として、マウス由来の支持細胞であるEND2細胞とヒトES細胞を共培養する方法が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、その分化効率は十分ではなく、またマウス由来のEND2細胞がヒト心筋細胞に混入しやすいため、純粋なヒト心筋細胞が得られにくいという問題がある。また、他の手法として、ES細胞から胚様体を形成し、そこに数種類のサイトカイン(維芽細胞成長因子(bFGF)、骨形態形成タンパク4(BMP4)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、Dickkopf-1 (DKK1)、アクチビンA)を添加し、心筋細胞への分化を誘導する方法も報告されている(非特許文献2、3)。しかしながら、この方法は大量のサイトカインを必要とするためコストがかかる上、その分化効率も十分ではない。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Mummery, C., et al., Differentiation of human embryonic stem cells to cardiomyocytes: role of coculture with visceral endoderm-like cells. Circulation. 107(21), 2733-40 (2003).
【非特許文献2】Yang, L., et al., Human cardiovascular progenitor cells develop from a KDR+ embryonic-stem-cell-derived population. Nature. 453(7194), 524-8 (2008).
【非特許文献3】Leschik, J., et al., Cardiac commitment of primate embryonic stem cells. Nat Protoc. 3(9), 1381-7 (2008).
【0004】
以上の文献は引用により本明細書に含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高効率かつ低コストにて均一な心筋細胞を得る方法が、再生医療や創薬の分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、9600種類のライブラリー化合物について、サルES細胞から心筋細胞への分化促進効果を検討し、低分子化合物N11474が心筋分化促進効果を有することを見出した。さらに、N11474の合成展開によって得られた類縁体KY02111およびその周辺化合物に心筋分化促進効果が認められることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、
式(I):
【化1】
JP0005930205B2_000002t.gif
[式中、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
10-R11は、各々独立して、水素原子;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
Xは、-CR14(R14は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基、非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である);酸素原子;硫黄原子;セレン原子;基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である]
の化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進剤を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、前記心筋分化促進剤を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞を心筋細胞に分化誘導する方法を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、前記心筋分化促進剤を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞から心筋細胞を製造する方法を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、
式(I):
【化2】
JP0005930205B2_000003t.gif
[式中、
、R及びRは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)である、
及びRは、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基である、又はR及びRは、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-又は-O-(CH-O-を形成していてもよい、
10-R11は、各々独立して、水素原子;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
Xは、酸素原子;硫黄原子;基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である、但し、nが1又は2のとき、RはCl及びメトキシ基ではなく、Rはメトキシ基ではない]
を有する化合物またはその塩を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、支持細胞を使用することなく、多能性幹細胞を心筋細胞へ分化誘導し、純粋な心筋細胞を得ることが可能となった。また、本発明により、既知の方法と比較して高効率かつ低コストに心筋細胞への分化を誘導し、心筋細胞を製造することが可能となった。本発明は、薬剤安全性試験として重要なQT延長試験をハイスループットスクリーニングで行うため、あるいは心疾患に対する薬効評価に用いる均一かつ成熟したヒト心筋細胞の大量生産や、心臓疾患などに対する移植用心筋細胞の生産に特に有用である。また、本発明の心筋分化促進剤とこれまで報告されていた心筋分化促進因子との間には分子構造の相同性がなく、本発明の心筋分化促進剤は全く新たなタイプの心筋分化促進因子と考えられるため、他の心筋分化促進因子との併用によりさらに分化効率を高めることができると期待される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】心筋分化促進物質の探索スクリーニング方法。
【図2】スクリーニングシステムとN11474の検出。
【図3】KY02111とその周辺化合物の構造活性相関。
【図4】サイトカイン、G-CSF、ニトロビン、N11474、KY02111、およびKY01042の心筋分化促進効果の比較。
【図5-1】心筋分化促進におけるニトロビンとN11474の相乗効果。
【図5-2】心筋分化促進におけるニトロビンとKY02111の相乗効果。
【図6】N11474のヒトES細胞に対する心筋分化促進効果(GFP発現量の増加)。
【図7-1】心筋分化促進効果を有する化合物(1)。
【図7-2】各化合物の心筋分化促進効果。
【図8】遺伝子発現に対するKY02111の効果。
【図9-1】遺伝子発現に対するWntシグナル阻害剤とWntシグナル活性化剤の効果(1)。
【図9-2】遺伝子発現に対するWntシグナル阻害剤とWntシグナル活性化剤の効果(2)。
【図10】KY02111、N11474、既知のWntシグナル阻害剤(IWP2、XAV939、IWR1)、および心筋分化促進効果が知られるタンパク質(G-CSF、IGFBP4、Dkk1、サイトカイン)の心筋分化促進効果の比較。
【図11-1】KY02111、XAV939、およびIWP2の心筋分化促進効果に対するWntシグナル活性化剤の効果(サルES細胞由来心筋細胞)。
【図11-2】KY02111、XAV939、およびIWP2の心筋分化促進効果に対するWntシグナル活性化剤の効果(ヒトiPS細胞)。
【図12】心筋分化促進におけるKY02111とXAV939またはIWP2との相乗効果。
【図13】心筋分化促進効果を有する化合物(2)および各化合物の心筋分化促進効果。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、
式(I):
【化3】
JP0005930205B2_000004t.gif
[式中、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
10-R11は、各々独立して、水素原子;又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
Xは、-CR14(R14は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基、非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である);酸素原子;硫黄原子;セレン原子;又は基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である]。
の化合物またはその塩を含む、多能性幹細胞の心筋分化促進剤を提供する。

【0014】
炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられる。

【0015】
炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基が挙げられる。

【0016】
炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基が挙げられる。

【0017】
ハロゲン原子としては、Cl、Br、IまたはFが挙げられる。

【0018】
好ましい態様において、R-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい。

【0019】
及びRは、好ましくは、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基であるか、又は、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している。さらに好ましくは、R及びRは、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。

【0020】
、R及びRは、好ましくは、水素原子である。

【0021】
ある態様において、R-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキル基である)であり、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい。

【0022】
及びRは、好ましくは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、より好ましくは、水素原子である。

【0023】
好ましい態様において、Rは、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)であって、Rは、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であるか、又は、R及びRは、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している。

【0024】
ある態様において、Rは、基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖アルコキシ基であり、基-C(O)Aは前記アルコキシ基の末端の炭素原子に結合している。

【0025】
好ましい態様において、Aは窒素原子を少なくとも1つ含み、そのようなAとしては、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニル基が例示される。より好ましい態様において、Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリニル基である。さらに好ましい態様において、Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピペリジン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、又はモルホリン-4-イル基である。

【0026】
10及びR11は、好ましくは、水素原子である。

【0027】
好ましい態様において、Xは、酸素原子;硫黄原子;基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である。Xは、好ましくは、硫黄原子である。

【0028】
好ましい態様において、nは、0から4の整数である。別の好ましい態様において、nは、1から6の整数、1から4の整数、又は2若しくは3である。

【0029】
好ましい態様において、本発明の心筋分化促進剤は、以下から選択される化合物またはその塩を含む:
KY01041
【化4】
JP0005930205B2_000005t.gif
T61164
【化5】
JP0005930205B2_000006t.gif
KY02111
【化6】
JP0005930205B2_000007t.gif
KY02114
【化7】
JP0005930205B2_000008t.gif
KY01045
【化8】
JP0005930205B2_000009t.gif
KY01040
【化9】
JP0005930205B2_000010t.gif
KY02109
【化10】
JP0005930205B2_000011t.gif
KY01042
【化11】
JP0005930205B2_000012t.gif
KY01043
【化12】
JP0005930205B2_000013t.gif
KY01046
【化13】
JP0005930205B2_000014t.gif
PB2852
【化14】
JP0005930205B2_000015t.gif
N11474
【化15】
JP0005930205B2_000016t.gif
PB2572
【化16】
JP0005930205B2_000017t.gif
PB2570
【化17】
JP0005930205B2_000018t.gif
KY02104
【化18】
JP0005930205B2_000019t.gif
SO087
【化19】
JP0005930205B2_000020t.gif
SO102
【化20】
JP0005930205B2_000021t.gif
SO096
【化21】
JP0005930205B2_000022t.gif
SO094
【化22】
JP0005930205B2_000023t.gif

【0030】
本発明の化合物は、例えば、J. Med. Chem., 1965, 8 (5), pp 734-735(引用により本明細書に含まれる)に記載されている(N11474、T61164)。また、UkrOrgSynthesis社(PB2852、PB2572、PB2570)やENAMINE社(T61164)などから入手可能である。

【0031】
本発明の化合物は、公知の方法(J. Med. Chem., 1965, 8 (5), pp 734-735)(引用により本明細書に含まれる)により、あるいは実施例に記載の方法に準じて、合成することができる。

【0032】
本発明において「多能性幹細胞」とは、成体を構成する全ての細胞に分化することができる多分化能(pluripotency)と、細胞分裂を経てもその多分化能を維持することができる自己複製能を有する細胞を意味する。「多能性幹細胞」には、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)が含まれる。「多能性幹細胞」の生物種は特に限定はされないが、好ましくは哺乳類であり、より好ましくは齧歯類または霊長類である。本発明は、サルまたはヒト多能性幹細胞に特に好適である。

【0033】
ES細胞は、初期胚に由来する多能性幹細胞であり、胚盤胞の内部細胞塊または着床後の初期胚のエピブラストから樹立することができる。ES細胞としては、ヒト(Thomson J. A. et al., Science 282: 1145-1147 (1998) 、Biochem Biophys Res Commun. 345(3), 926-32 (2006);アカゲザルおよびマーモセット等の霊長類(Thomson J. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 7844-7848 (1995);Thomson J. A. et al., Biol. Reprod. 55: 254-259 (1996));ウサギ(特表2000-508919号);ハムスター(Doetshman T. et al., Dev. Biol. 127: 224-227 (1988))、ブタ(Evans M. J. et al., Theriogenology 33: 125128 (1990); Piedrahita J.A. et al., Theriogenology 34: 879-891 (1990); Notarianni E. et al., J. Reprod. Fert. 40: 51-56 (1990); Talbot N. C. et al., Cell. Dev. Biol. 29A: 546-554 (1993))、ヒツジ(Notarianni E. et al., J. Reprod. Fert. Suppl. 43: 255-260 (1991))、ウシ(Evans M. J. et al., Theriogenology 33: 125-128 (1990); Saito S. et al., Roux. Arch. Dev. Biol. 201: 134-141 (1992))、ミンク(Sukoyan M. A. et al., Mol. Reorod. Dev. 33: 418-431 (1993)) などのES細胞が挙げられる(これら文献は引用により本明細書に含まれる)。

【0034】
EG細胞は、始原生殖細胞に由来する多能性幹細胞であり、例えば、ヒトEG細胞(Shamblott, et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 95: 13726-13731 (1998) (引用により本明細書に含まれる)が挙げられる。

【0035】
本発明において「iPS細胞」とは、体細胞や組織幹細胞などの多能性幹細胞以外の細胞から誘導された多能性幹細胞を意味する。iPS細胞の作製方法は、例えば、WO2007/069666、WO2009/006930、WO2009/006997、WO2009/007852、WO2008/118820、Cell Stem Cell 3(5): 568-574 (2008) 、Cell Stem Cell 4(5): 381-384 (2009)、Nature 454: 646-650 (2008) 、Cell 136(3) :411-419 (2009) 、Nature Biotechnology 26: 1269-1275 (2008) 、Cell Stem Cell 3: 475-479 (2008) 、Nature Cell Biology 11: 197-203 (2009) 、Cell 133(2): 250-264 (2008)、Cell 131(5): 861-72 (2007)、Science 318 (5858): 1917-20 (2007)(これら文献は引用により本明細書に含まれる)に記載される。しかしながら、人工的に誘導された多能性幹細胞であれば、いかなる方法で作製された細胞も本発明の「iPS細胞」に含まれる。

【0036】
本発明の心筋分化促進剤は、多能性幹細胞の心筋分化培地に、活性成分の最終濃度が例えば0.5~20μMとなるよう添加される。心筋分化培地は、一般的に多能性幹細胞の心筋分化に使用される組成であればよく、特に限定はされないが、例えばIMDM培地を基本とした心筋分化培地(実施例で使用している下記の組成のもの)、DMEMを基本とした心筋分化培地(DMEM/F12培地(Sigma)200ml、ウシ胎児血清(GIBCO)50ml、MEM non-essential amino acid solution (Sigma)2.5ml、ペニシリン-ストレプトマイシン(GIBCO)2.5ml、200mM L-グルタミン 2.5ml、2-メルカプトエタノール)、またはStemPro-34SFM(GIBCO)+BMP4(10ng/ml)のような培地が例示される。本発明の分化促進剤を使用する場合、END2細胞のような支持細胞を使用する必要がない。本発明の分化促進剤の添加の時期は、使用する多能性幹細胞の種類や心筋分化培地の組成により適宜変更されうるが、例えばサルまたはヒトES細胞を実施例に記載のIMDM培地を基本とした心筋分化培地で培養する場合、心筋分化培地での培養開始後6~14日目に添加すればよい。

【0037】
本発明の心筋分化促進剤は、ニトロビン、サイトカイン(bFGF、BMP4、VEGF、DKK1およびアクチビンAの組み合わせ)、Wntシグナル阻害剤などの別の心筋分化促進因子と共に使用してもよい。本発明における「心筋分化促進因子」には、心筋分化促進効果を有するあらゆる物質が含まれ、それゆえ本発明の心筋分化促進剤もまた「心筋分化促進因子」の一つである。本発明における「Wntシグナル阻害剤」とは、Wntシグナル経路を阻害する物質を意味し、例えばIWP2、XAV939、IWR1などの既知の化合物、およびG-CSF、IGFBP4、Dkk1などのタンパク質が挙げられる。本発明の心筋分化促進剤もまた、本発明における有用な「Wntシグナル阻害剤」である。すなわち、本発明の心筋分化促進剤とWntシグナル阻害剤とを併用する態様には、複数種類の本発明の心筋分化促進剤を使用する態様が含まれる。好ましくは、併用する別の心筋分化促進因子は、本発明の心筋分化促進剤と作用機序の異なるものであり、例えばIWP2やXAV939が挙げられる。別の心筋分化促進因子の添加の時期は、使用する心筋分化促進因子に応じて当業者が適宜決定可能である。

【0038】
本発明はまた、本発明の心筋分化促進剤を含む心筋分化促進用キットを提供する。本発明のキットは、本発明の心筋分化促進剤に加えて別の心筋分化促進因子を含んでもよい。本発明の心筋分化促進剤と別の心筋分化促進因子とは、別々の容器に保存されていても、同一の容器に保存されていてもよい。

【0039】
本発明はまた、心筋細胞の分化誘導方法および心筋細胞の製造方法を提供する。本発明の方法は、本発明の心筋分化促進剤を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを特徴とする。ある態様において、本発明の方法は、多能性幹細胞を心筋分化培地中で培養すること、心筋分化培地での培養開始後6~14日目に本発明の心筋分化促進剤を活性成分の最終濃度が0.5~20μMとなるよう添加すること、および培養18日目に多能性幹細胞の心筋細胞への分化を確認することにより実施される。心筋細胞への分化は、例えば、拍動心筋細胞の数、心筋分化マーカーであるα-MHC遺伝子の発現量により確認することができる。

【0040】
本発明の方法では、本発明の心筋分化促進剤に加えて、さらに別の心筋分化促進因子を培地に添加してもよい。

【0041】
本発明の方法により得られた心筋細胞は、インビトロにおける薬剤安全性試験に、あるいは心臓疾患などに対する移植用心筋細胞として、使用することができる。

【0042】
本発明はまた、
式(I):
【化23】
JP0005930205B2_000024t.gif
[式中、
、R及びRは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)である、
及びRは、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基である、又はR及びRは、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-又は-O-(CH-O-を形成していてもよい、
10-R11は、各々独立して、水素原子;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
Xは、酸素原子;硫黄原子;又は基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である、但し、nが1又は2のとき、RはCl及びメトキシ基ではなく、Rはメトキシ基ではない]
を有する化合物またはその塩を提供する。

【0043】
好ましい態様において、R、R及びRは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは、水素原子である。

【0044】
好ましい態様において、R及びRは、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基である。

【0045】
好ましい態様において、R及びRは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましくは、水素原子である。

【0046】
好ましい態様において、Rは、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)であって、Rは、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であるか、又は、R及びRは、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している。

【0047】
ある態様において、Rは、基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖アルコキシ基であり、基-C(O)Aは前記アルコキシ基の末端の炭素原子に結合している。

【0048】
好ましい態様において、Aは窒素原子を少なくとも1つ含み、そのようなAとしては、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニル基が例示される。より好ましい態様において、Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリニル基である。さらに好ましい態様において、Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピペリジン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、又はモルホリン-4-イル基である。

【0049】
好ましい態様において、R10及びR11は、水素原子である、

【0050】
好ましい態様において、Xは、硫黄原子である。

【0051】
好ましい態様において、nは、0から4の整数である。別の好ましい態様において、nは、1から6の整数、1から4の整数、又は2若しくは3である。

【0052】
好ましい態様において、本発明の化合物は、
KY02114
【化24】
JP0005930205B2_000025t.gif
SO087
【化25】
JP0005930205B2_000026t.gif
SO102
【化26】
JP0005930205B2_000027t.gif
SO096
【化27】
JP0005930205B2_000028t.gif
SO094
【化28】
JP0005930205B2_000029t.gif
である。

【0053】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0054】
(1)ライブラリー化合物のスクリーニング
図1に示すように、サルES細胞の心筋分化を促進する物質の探索スクリーニングを実施した。サルES細胞株(カニクイザルCMK6.4株)に、心筋分化マーカーであるα-MHC遺伝子のプロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するベクターを導入し、96ウェルプレート(Greiner/655090:96穴FIAブラックプレート)上に5.0×10細胞/ウェルにて播種し、IMDM培地を基本とした心筋分化培地(IMDM培地(Sigma l3390)200ml、ウシ胎児血清(GIBCO 10099-141)50ml、MEM non-essential amino acid solution (Sigma M7145)2.5ml、ペニシリン-ストレプトマイシン(GIBCO 15140)2.5ml、200mM L-グルタミン 2.5ml、2-メルカプトエタノール(Sigma M7522) 2μl、5N NaOH 255μlを混合したもの)で14日間培養した。培養後6~14日に、9600種類のライブラリー化合物を、1ウェルあたり1化合物(約1~5μM)投与した。培養後14日に、HCS(high contents screening)システム(モレキュラーデバイス/MetaMorph イメージングシステム)を用いてGFP発現量を測定した。その結果、低分子化合物N11474を投与したウェルのGFP発現量が高い値を示し、N11474が心筋分化促進効果を有することが明らかとなった(図2)。
【実施例】
【0055】
(2)KY02111およびその周辺化合物の構造活性相関
心筋分化促進効果を有することが示されたN11474の類縁体KY02111およびその周辺化合物を合成し、これらの心筋分化促進効果を検討した。サルES細胞を6ウェルプレート(旭硝子/ 5816-006 :Ezview カルチャープレート)に4.0×10細胞/ウェルにて播種し、培養4~10日目に最終濃度が10μMとなるように各化合物を投与し、培養14日目にGFP発現を観察した。その結果、化合物の分子構造に対応して、GFP発現量の顕著な増加が見られた(図3)。また、心筋分化促進効果は、ジメトキシフェニル基に結合する炭素鎖の長さと相関することが示唆された(図3)。
【実施例】
【0056】
(3)ニトロビンおよびサイトカインとの比較
心筋分化促進因子として報告されているサイトカイン(bFGF、BMP4、VEGF、DKK1、アクチビンA)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、および本発明者らが心筋分化促進効果を有することを見出したニトロビンと、本発明の化合物の心筋分化促進効果をGFP発現量の増加で比較した。上記(2)と同様にして、6ウェルプレートにサルES細胞を播種し、培養4~10日目に、N11474、KY02111、KY01042(最終濃度各10μM)、G-CSF(最終濃度5ng/ml)、培養8~14日目にニトロビン(最終濃度5μM)を、培養1~14日目にサイトカイン(bFGF、BMP4、VEGF、DKK1、アクチビンA)(最終濃度各5ng/ml、10ng/ml、10ng/ml、150ng/ml、3ng/ml)を投与し、培養14日目にGFP発現を観察した。その結果、N11474、KY02111、およびKY01042は、サイトカイン(約300%)やG-CSF(約250%)、ニトロビン(約400%)よりもはるかに高いGFP発現量の増加(N11474=1000%、KY02111=7400%、KY01042=7000%)を示した(図4)。
【実施例】
【0057】
(4)ニトロビンとの相乗効果
ニトロビンとN11474について、心筋分化促進効果における相乗効果を調べた。N11474(10μM)を培養4~10日目に、ニトロビン(3μM)を培養8~14日目に投与し、培養14日目にGFP発現を観察した。その結果、GFP発現量の増加は、ニトロビンまたはN11474の単独投与の場合約3~4倍であったのに対して、ニトロビンとN11474を併用することで約9倍となった(図5-1、左グラフ)。また、GFPコロニー数の割合は、ニトロビンまたはN11474の単独投与の場合約3~4割の増加であったのに対して、ニトロビンとN11474の併用により約8割の増加となった(図5-1、右グラフ)。
【実施例】
【0058】
同様に、ニトロビンとKY02111について、心筋分化促進効果における相乗効果を調べた。KY02111(5μM)を培養4~8日目に、ニトロビン(1μM)を培養8~12日目に投与し、培養14日目にGFP発現を観察した。その結果、GFP発現量の増加は、コントロール(DMSO)に比べニトロビンまたはKY02111の単独投与の場合、それぞれ約3倍、約30倍であったのに対して、ニトロビンとKY02111を併用することで約50倍となった(図5-2、左下グラフ)。また、GFPコロニー数の割合は、ニトロビンまたはKY02111の単独投与の場合、それぞれ22%、73%であったのに対して、ニトロビンとKY02111の併用によりほぼすべて(100%)のコロニーがGFP蛍光陽性となった(図5-2、右下グラフ)。さらに、拍動コロニーの割合についても、ニトロビンまたはKY02111の単独投与の場合、それぞれ約16%、30%であったのに対して、ニトロビンとKY02111の併用により58%となった(図5-2、右下グラフ)。
【実施例】
【0059】
(5)サル、ヒト、マウスES細胞およびヒトiPS細胞における心筋分化促進効果
N11474およびKY02111について、各種ES/iPS細胞での心筋分化促進効果を、GFP発現量と拍動コロニー数を指標に確認した。ヒトES細胞株(Kh-1株)(Suemori, H., et al., Efficient establishment of human embryonic stem cell lines and long-term maintenance with stable karyotype by enzymatic bulk passage. Biochem Biophys Res Commun. 345(3), 926-32 (2006))(引用により本明細書に含まれる)を6ウェルプレート(旭硝子/ 5816-006 :Ezview カルチャープレート)に1.2×10細胞/ウェルにて播種し、BMP4(10ng/ml)を培養後0~4日目まで投与し、N11474(10μM)またはKY02111(5μM)を培養後4~14日目まで投与し、22日間培養した。ヒトiPS細胞株(253G1、IMR90-1、IMR90-4、RCHIPC0003)(Takahashi, K., et al., Induction of pluripotent stem cells from adult human fibroblasts by defined factors. Cell. 131(5), 861-72 (2007); Yu, J., et al., Induced pluripotent stem cell lines derived from human somatic cells. Science. 318(5858), 1917-20 (2007).)(これら文献は引用により本明細書に含まれる)については、ヒトES細胞と同じ方法で心筋分化培養を行った。マウスES細胞(R1)からの心筋分化方法は、文献( Transient inhibition of BMP signaling by Noggin induces cardiomyocyte differentiation of mouse embryonic stem cells.Yuasa S, Itabashi Y, Koshimizu U, Tanaka T, Sugimura K, Kinoshita M, Hattori F, Fukami S, Shimazaki T, Ogawa S, Okano H, Fukuda K.Nat Biotechnol. 2005 May;23(5):607-11. Epub 2005 May 1. Erratum in: Nat Biotechnol. 2005 Jul;23(7):897. )(引用により本明細書に含まれる)に従って行った。心筋分化培養後6~9日目までの3日間、KY02111(5μM)を投与し、9日目に拍動心筋コロニーを解析した。サルES細胞(CMK6.4)については、上記(2)と同様にして心筋分化培養を行った。
【実施例】
【0060】
その結果、培養14日以降、GFP発現量の顕著な増加が観察された(図6)。また、拍動コロニー数についても、サルES細胞(CMK6.4)、マウスES細胞(R1)、ヒトES細胞(Kh-1)、およびヒトiPS細胞(253G1、IMR90-1、IMR90-4、RCHIPC0003)において、N11474、KY02111の投与により最大約60倍もの顕著な増加が観察された(表1)。以上のとおり、これら化合物はヒトES細胞およびiPS細胞、マウスES細胞においても強い心筋分化促進効果を有することがわかった。
【表1】
JP0005930205B2_000030t.gif
【実施例】
【0061】
(6)その他の活性化合物(1)
上記(2)と同様にして、さらに幾つかの周辺化合物が心筋分化促進効果を有することを見出した(図7)。
【実施例】
【0062】
(7)作用機序の検討
本発明の化合物の作用機序を調べるため、ヒトiPS細胞を上記(1)記載の心筋分化培地へ播種し、培養3日目にDMSOまたはKY02111(10μM)を添加し、添加後12時間および24時間の遺伝子発現をDNAアレイにより調べた。その結果、以下の遺伝子の発現がKY02111の添加により低下することがわかった:(12時間後最も発現が低下した遺伝子から順に)HOXA1、MSGN1、NKD1、T、TNFRSF11B、DKK1、DKK4、CDX2、MSX1、NODAL、FGF4、PAPPA、PRRX1、LRAT、CYP1B1、SLC34A2、AXIN2、LGL1、SP5、MIXL1、APCDD1、DSEL。TCF/LEF転写因子認識配列を用いたプロモーター解析を行ったところ、これら遺伝子にはWntシグナル経路の下流で機能する遺伝子が多く含まれていることがわかった。これら遺伝子の一部(MSGN1、HOXA1、T、Dkk1、FGF4)について、定量的PCR(qPCR)により発現を確認したところ、いずれの遺伝子についてもDNAアレイと同様の結果が得られた(図8)。
【実施例】
【0063】
次に、KY02111の添加により発現が低下することが明らかとなった遺伝子群の発現に対する、KY02111、既知のWntシグナル阻害剤であるXAV939およびIWP-2、ならびにWntシグナル活性化剤であるBIOの効果を、定量的PCRにより調べた。検討した遺伝子は以下のとおりである:MSGN1、HOXA1;T、MIXL1;Dkk1、AXIN2;NODAL、FGF4(すべてWntシグナル標的遺伝子として報告されている)。その結果、これら遺伝子の発現は、KY02111、XAV939およびIWP-2のいずれの化合物によっても低下し、反対にWntシグナル活性化剤であるBIOによって増加した(図9)。
【実施例】
【0064】
以上の結果は、DNAアレイにおいてKY02111の添加により発現低下が観察された遺伝子群がWntシグナル経路の下流の遺伝子であること、および、KY02111がWntシグナル阻害剤であることを示唆している。
【実施例】
【0065】
(8)心筋分化促進効果の比較
上記(2)と同様にして、KY02111およびN11474と、既知のWntシグナル阻害剤(IWP2、XAV939、IWR1)および心筋分化促進効果が知られるタンパク質(G-CSF、IGFBP4、Dkk1、サイトカイン(bFGF、BMP4、VEGF、DKK1、アクチビンAの組み合わせ))との心筋分化促進効果を比較した。6ウェルプレートにサルES細胞を播種し、培養4~10日目に、KY02111、N11474(最終濃度各10μM)、IWP2(最終濃度10μM)、XAV939(最終濃度10μM)、IWR1(最終濃度10μM)、G-CSF(最終濃度5ng/ml)、IGFBP4(最終濃度1μg/ml)、Dkk1(最終濃度150ng/ml)、培養1~14日目にサイトカイン(bFGF、BMP4、VEGF、DKK1、アクチビンAの組み合わせ)(最終濃度各5ng/ml、10ng/ml、10ng/ml、150ng/ml、3ng/ml)を投与し、培養14日目にGFP発現を観察した。その結果、既知のWntシグナル阻害剤も心筋分化促進効果を示したが、KY02111の心筋分化効果が最も強かった(図10)。
【実施例】
【0066】
(9)心筋分化促進効果に対するWntシグナル活性化剤の効果
KY02111、XAV939、およびIWP2の心筋分化促進効果に対するWntシグナル活性化剤であるBIOの効果を検討した。上記(8)と同様にして、サルES細胞に、培養4~10日目にKY02111、XAV939、またはIWP2とともにBIO(最終濃度5μM)を投与し、培養14日目にGFP発現を観察した。その結果、BIOはXAV939およびIWP2の心筋分化効果を抑制したが、KY02111の効果は抑制しなかった(図11)。同様の結果が、上記(5)記載のようにヒトiPS細胞(IMR90-1)を用いて拍動コロニー数を調べた場合にも得られた(図11)。これらの結果は、KY02111の心筋分化効果の作用機序が既知のWntシグナル阻害剤とは異なることを示唆する。
【実施例】
【0067】
(10)既知のWntシグナル阻害剤との相乗効果
心筋分化促進における、KY02111と既知のWntシグナル阻害剤であるXAV939またはIWP2との相乗効果について検討した。上記(8)と同様にして、サルES細胞に培養4~10日目にKY02111、XAV939、およびIWP2を投与し、培養14日目にGFP発現を観察した。その結果、KY02111とXAV939とに相乗効果が観察された(図12)。また、上記(8)記載のようにヒトiPS細胞(IMR90-1)を用いて拍動コロニー数を調べたところ、KY02111とXAV939、KY02111とIWP2との間に相乗効果が観察された(図12-2)。以上の結果は、KY02111の作用機序が既知のWntシグナル阻害剤とは異なることを支持し、両者を併用するとさらに強い心筋分化促進効果が得られることを示す。
【実施例】
【0068】
(11)その他の活性化合物(2)
上記(2)と同様にして、さらに幾つかの心筋分化促進効果を有する化合物を見出した(図13)。
【実施例】
【0069】
(12)本発明の化合物の製造例
KY01041
3,4-ジメトキシベンゾイルイルクロリド(100mg,0.55mmol)とトリエチルアミン(83,0μl.6mmol)を塩化メチレン(500μl)に溶かし、2-アミノ-6-クロロベンゾチアゾール(105mg,0.57mmol)を加え一時間、室温にて撹拌した。反応終了後、塩化メチレンに希釈し、飽和食塩水にて洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣にエタノールを加え、70度に加熱し、溶解させた後に室温に戻すことで再結晶を行い、2-(3,4-ジメトキシベンズアミド)-6-クロロベンゾチアゾールを130mg、収率68%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ10.15(s, 1H), 7.83 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.63-7.45 (m, 3H), 7.36 (dd, J= 1.8, 8.7 Hz, 1H), 6.91 (d, J= 8.2 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H), 3.94 (s, 3H)
MS(ESI) Found: 349 [M+H]+
【実施例】
【0070】
KY02111
3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパノイルクロリド(100mg,0.42mmol)と2-アミノ-6-クロロベンゾチアゾール(78mg,0.42mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)-6-クロロベンゾチアゾールを113mg、収率72%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ9.41(s, 1H), 7.79 (d, J= 2.9 Hz, 1H), 7.62 (d, J= 11.7 Hz, 1H), 7.37 (dd, J= 2.6, 11.4 Hz, 1H), 6.80-6.67 (m, 3H), 3.85 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.03 (t, J= 9.9 Hz, 2H), 2.77 (t, J= 9.9 Hz, 2H)
MS(ESI) Found: 399 [M+H]+
【実施例】
【0071】
KY02114
4-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタノイルクロリド(100mg,0.41mmol)と2-アミノ-6-クロロベンゾチアゾール(76mg,0.41mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(4-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタンアミド)-6-クロロベンゾチアゾールを121mg、収率75%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ9.15(s, 1H), 7.79 (d, J= 2.9 Hz, 1H), 7.64 (d, J= 11.3 Hz, 1H), 7.39 (dd, J= 2.6, 11.4 Hz, 1H), 6.80-6.68 (m, 3H), 3.87 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 2.67 (t, J= 9.9 Hz, 2H), 2.48 (t, J= 9.9 Hz, 2H), 2.09 (m, 2H)
MS(ESI) Found: 413 [M+H]+
【実施例】
【0072】
KY01045
5-(3,4-ジメトキシフェニル)ペンタノイルクロリド(30mg,0.13mmol)と2-アミノ-6-クロロベンゾチアゾール(23mg,0.13mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(5-(3,4-ジメトキシフェニル)ペンタンアミド)-6-クロロベンゾチアゾールを39mg、収率75%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ8.91 (s, 1H), 7.79 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 7.66 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 7.49 (dd, J= 2.3, 8.7 Hz, 1H), 6.79 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 6.71 (d, J= 7.8 Hz, 1H) 6.70 (s, 1H), 3.87(s, 3H), 3.86 (s, 3H), 2.62 (t, J= 7.4 Hz, 2H), 2.52 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 1.80 (m, 2H), 1.72 (m, 2H)
MS(ESI) Found: 405 [M+H]+
【実施例】
【0073】
KY01040
3,4-ジメトキシベンゾイルイルクロリド(100mg,0.5mmol)と2-アミノ-6-ニトロベンゾチアゾール(105mg,0.57mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(3,4-ジメトキシベンズアミド)-6-ニトロベンゾチアゾールを100mg、収率56%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ10.15(s, 1H), 8.80 (d, J= 2.3 Hz, 1H), 8.31 (dd, J= 2.3, 9.2 Hz, 1H), 7.73 (d, J= 9.2 Hz, 1H), 7.63-7.47 (m, 2H), 6.95 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H), 3.97 (s, 3H)
MS(ESI) Found: 360 [M+H]+
【実施例】
【0074】
KY02109
2-(3,4-ジメトキシフェニル)アセチルクロリド(100mg,0.51mmol)と2-アミノ-6-クロロベンゾチアゾール(94mg,0.51mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(2-(3,4-ジメトキシフェニル)アセトアミド)-6-クロロベンゾチアゾールを153mg、収率83%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ8.91(s, 1H), 8.75 (s, 1H), 8.31 (dd, J= 12.1 Hz, 1H), 7.77 (d, J= 11.7 Hz, 1H), 7.00-6.70 (m, 3H), 3.92 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 3.86 (s, 2H)
MS(ESI) Found: 396 [M+H]+
【実施例】
【0075】
KY01042
3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパノイルクロリド(100mg,0.5mmol)と2-アミノ-6-ニトロベンゾチアゾール(105mg,0.57mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)-6-ニトロベンゾチアゾールを138mg、収率71%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ9.29(s, 1H), 8.75 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 8.31 (dd, J= 2.3, 9.2 Hz, 1H), 7.77 (d, J= 9.2 Hz, 1H), 6.80 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 6.75 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 6.74 (s, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 3.06 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 2.83 (t, J= 7.3 Hz, 2H)
MS(ESI) Found: 388 [M+H]+
【実施例】
【0076】
KY01043
4-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタノイルクロリド(55mg,0.25mmol)と2-アミノ-6-ニトロベンゾチアゾール(50mg,0.25mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(4-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタンアミド)-6-ニトロベンゾチアゾールを65mg、収率66%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ8.75 (d, J= 2.3 Hz, 1H), 8.29 (dd, J= 2.3, 8.7 Hz, 1H), 7.70 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 6.75 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 6.67 (s, 1H), 6.66 (d, J= 8.7 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 2.66 (t, J= 7.4 Hz, 2H), 2.54 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 2.11 (m, 2H)
MS(ESI) Found: 402 [M+H]+
【実施例】
【0077】
KY01046
5-(3,4-ジメトキシフェニル)ペンタノイルクロリド(30mg,0.13mmol)と2-アミノ-6-ニトロベンゾチアゾール(25mg,0.13mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(5-(3,4-ジメトキシフェニル)ペンタンアミド)-6-ニトロベンゾチアゾールを38mg、収率70%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ8.94 (s, 1H), 8.75 (d, J= 2.3 Hz, 1H), 8.32 (dd, J= 2.3, 9.2 Hz, 1H), 7.81 (d, J= 9.2 Hz, 1H), 6.80 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 6.72 (d, J= 7.8 Hz, 1H) 6.71 (s, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 2.63 (t, J= 7.4 Hz, 2H), 2.56 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 1.82 (m, 2H), 1.73 (m, 2H)
MS(ESI) Found: 416 [M+H]+
【実施例】
【0078】
KY02104
2-(3,4-ジメトキシフェニル)アセチルクロリド(100mg,0.51mmol)と2-アミノ-6-フルオロベンゾチアゾール(86mg,0.51mmol)を基質に用いて上記と同様に反応を行い、2-(2-(3,4-ジメトキシフェニル)アセトアミド)-6-フルオロベンゾチアゾールを157mg、収率89%で得た。

1H NMR (CDCl3): δ9.14(s, 1H), 7.64 (dd, J= 6.2, 12.1 Hz, 1H), 7.50 (dd, J= 3.6, 11.0 Hz, 1H), 7.14 (ddt, J= 3.7, 12.1 Hz, 1H), 6.90-6.78 (m, 3H), 3.90 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 3.80 (s, 2H)
MS(ESI) Found: 369 [M+H]+
【実施例】
【0079】
SO087
2-アミノ-6-ブロモベンゾチアゾール(500mg,2.18mmol)、3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロピオン酸(505mg,2.40mmol)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(1.09g,2.63mmol)、およびN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(419μl,2.41mmol)のN,N’-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液を室温にて終夜攪拌した。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣にエタノールを加えて還流し、再結晶を行い、2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)-6-ブロモベンゾチアゾールを320mg、収率35%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ12.45 (s, 1H), 8.25 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 1.8, 8.4 Hz, 1H), 6.87-6.83 (m, 2H), 6.77-6.73 (m, 1H), 3.71 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 2.88 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.79 (t, J = 7.0 Hz, 2H)
【実施例】
【0080】
SO102
2-アミノ-6-クロロベンゾチアゾール(55mg,0.298mmol)および3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロピオン酸(80mg,0.357mmol)を基質に用いてSO087と同様に反応を行い,N-(6-クロロベンゾチアゾール-2-イル)-3-(4-エトキシ-3-メトキシフェニル)プロパンアミドを40mg、収率34%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ12.44 (s, 1H), 8.11 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 2.2, 8.8 Hz, 1H), 6.90-6.82 (m, 2H), 6.72 (dd, J = 1.8, 7.0 Hz), 3.94 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.72 (s, 3H), 2.91-2.85 (m, 2H), 2.82-2.75 (m, 2H), 1.28 (t, J = 7.0 Hz, 3H)
【実施例】
【0081】
SO094
2-アミノ-6-ヒドロキシベンゾチアゾール(400mg,2.41mmol)のN,N’-ジメチルホルムアミド(7ml)溶液をアルゴン雰囲気下、氷冷攪拌中、水素化ナトリウム(60%)(106mg,2.65mmol)を加えて30分攪拌後、4-ブロモ酪酸エチル(521μl,3.62mmol)を加えて室温にて終夜攪拌した。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルにて希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去し、エチル 4-((2-アミノベンゾチアゾール-6-イル)オキシ)ブタノエートを372mg、収率55%で得た。
【実施例】
【0082】
エチル 4-((2-アミノベンゾチアゾール-6-イル)オキシ)ブタノエート(372mg,1.33mmol)、3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロピオン酸(335mg,1.59mmol)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(659mg,1.59mmol)、およびN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(278μl,1.59mmol)のN,N’-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液を室温にて終夜攪拌した。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣にエタノールを加えて還流し、再結晶を行い、エチル 4-((2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)ベンゾチアゾール-6-イル)オキシ)ブタノエートを447mg、収率76%で得た。
【実施例】
【0083】
エチル 4-((2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)ベンゾチアゾール-6-イル)オキシ)ブタノエート(447mg,0.946mmol)の1,4-ジオキサン溶液に、5N NaOH水溶液(378μl)を加えて室温にて終夜攪拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、氷冷下、6N 塩酸にて中和した。析出物を吸引ろ取し、水洗し,4-((2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)ベンゾチアゾール-6-イル)オキシ)ブタン酸を271mg,収率64%で得た。
【実施例】
【0084】
4-((2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)ベンゾチアゾール-6-イル)オキシ)ブタン酸(100mg,0.225mmol)およびモルホリン(22μl,0.248mmol)のN,N’-ジメチルホルムアミド(1ml)溶液に、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(38mg,0.248mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(52mg,0.270mmol)を加えて室温にて2日間攪拌した。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣にエタノールを加えて還流し、再結晶を行い、3-(3,4-ジメトキシフェニル)-N-(6-(4-モルホリノ-4-オキソブトキシ)ベンゾチアゾール-2-イル)プロパンアミドを50mg、収率43%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ12.20 (s, 1H), 7.60 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.55 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 2.6, 8.8 Hz, 1H), 6.86-6.83 (m, 2H), 6.75 (dd, J = 1.8, 8.1 Hz), 4.03 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 3.56-3.53 (m, 4H), 3.46-3.42 (m, 4H), 2.87 (t, J = 7.0 Hz), 2H), 2.75 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.51-2.46 (m, 2H), 1.96 (t, J = 7.0 Hz, 2H)
【実施例】
【0085】
SO096
4-((2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)ベンゾチアゾール-6-イル)オキシ)ブタン酸(80mg,0.180mmol)および1-メチルピペラジン(21.8μl,0.198mmol)を基質に用いてSO094と同様に反応を行い、3-(3,4-ジメトキシフェニル)-N-(6-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-4-オキソブトキシ)ベンゾチアゾール-2-イル)プロパンアミドを39mg、収率41%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ12.20 (br s, 1H), 7.54 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 2.6Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 2.6, 8.8 Hz, 1H), 6.86-6.82 (m, 2H), 6.73 (dd, J = 1.8, 8.1 Hz, 1H), 4.01 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 3.45-3.41 (m, 4H), 2.86 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.50-2.45 (m, 2H), 2.29-2.20 (m, 4H), 2.15 (s, 3H), 1,94 (t, J = 7.0 Hz, 2H)
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5-1】
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【図5-2】
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【図6】
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【図7-1】
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【図7-2】
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【図8】
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【図9-1】
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【図9-2】
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【図10】
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【図11-1】
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【図11-2】
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【図12】
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【図13】
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