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明細書 :無線通信システム、集中制御局及び無線通信方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6103701号 (P6103701)
公開番号 特開2014-230093 (P2014-230093A)
登録日 平成29年3月10日(2017.3.10)
発行日 平成29年3月29日(2017.3.29)
公開日 平成26年12月8日(2014.12.8)
発明の名称または考案の名称 無線通信システム、集中制御局及び無線通信方法
国際特許分類 H04W  88/12        (2009.01)
H04W  84/12        (2009.01)
H04W  92/12        (2009.01)
H04W  28/18        (2009.01)
FI H04W 88/12
H04W 84/12
H04W 92/12
H04W 28/18 110
請求項の数または発明の数 8
全頁数 25
出願番号 特願2013-108313 (P2013-108313)
出願日 平成25年5月22日(2013.5.22)
審査請求日 平成27年8月28日(2015.8.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】石原 浩一
【氏名】工藤 理一
【氏名】溝口 匡人
【氏名】山本 高至
【氏名】花田 光平
個別代理人の代理人 【識別番号】110001634、【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
審査官 【審査官】▲高▼橋 真之
参考文献・文献 特開2012-169698(JP,A)
特開2006-229778(JP,A)
特表2013-530637(JP,A)
特開2002-209254(JP,A)
花田光平外,無線LANシステムにおけるユーザ間公平性を考慮した基地局連携受付制御・チャネル選択のゲーム理論的解析,電子情報通信学会技術研究報告RCS2012-121,2012年 8月23日
調査した分野 H04W 4/00-99/00
特許請求の範囲 【請求項1】
集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムであって、
前記基地局装置は、
他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報を示す基地局装置情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した前記基地局装置情報に当該基地局装置の無線通信に関する情報を追加して前記集中制御局に通知する通知部と、
前記端末装置との無線通信に用いる通信パラメータを、前記集中制御局から通知された通信パラメータに設定するパラメータ設定部と、
前記パラメータ設定部により設定された前記通信パラメータにより当該基地局装置の配下の前記端末装置と無線通信する通信部とを備え、
前記集中制御局は、
前記基地局装置より通知された前記基地局装置情報に基づいて、複数の前記基地局装置の中から制御対象の基地局装置を選択し、選択した前記基地局装置をグルーピングする基地局装置選択及びグルーピング決定部と、
前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置選択及びグルーピング決定部によりグルーピングされた制御対象の前記基地局装置群ごとに、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する制御対象の前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定部と、
前記基地局装置パラメータ決定部が決定した前記通信パラメータを制御対象の前記基地局装置に通知する通知部とを備える、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記基地局装置パラメータ決定部は、グルーピングされた前記基地局装置群ごとに、システムスループット、あるいは、各基地局装置のスループットの和、もしくは積のいずれか一つが最大となるように通信パラメータを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記基地局装置選択及びグルーピング決定部は、前記基地局装置情報に基づいて、複数の前記基地局装置から、距離が予め設定された閾値よりも近い、あるいは受信信号強度が予め設定された閾値よりも大きい前記基地局装置の組み合わせを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムであって、
前記集中制御局によって制御され、新たに設置する前記基地局装置、及び、前記集中制御局によって制御され、既に設置されている前記基地局装置は、
他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報を示す基地局装置情報を収集する情報収集部と、
前記情報収集部が収集した前記基地局装置情報に当該基地局装置の無線通信に関する情報を追加して前記集中制御局に通知する通知部と、
前記端末装置との無線通信に用いる通信パラメータを、前記集中制御局から通知された通信パラメータに設定するパラメータ設定部と、
前記パラメータ設定部により設定された前記通信パラメータにより当該基地局装置の配下の前記端末装置と無線通信する通信部とを備え、
新たに設置する前記基地局装置は、
前記集中制御局から設置位置の再設定が通知された場合に、当該基地局装置の位置を再設定する基地局位置設定部を更に備え、
前記集中制御局は、
新たに設置する前記基地局装置及び既に設置されている前記基地局装置より通知された前記基地局装置情報に基づいて、新たに設置する前記基地局装置の設定位置の再設定が必要か否かを判定し、再設定が必要と判定した場合は新たに設置する前記基地局装置に設置位置の再設定を通知する基地局位置判定部と、
前記基地局位置判定部において設置位置の再設定が不要と判定された場合に、前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置毎に、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定部と、
前記基地局装置パラメータ決定部が決定した前記通信パラメータを前記基地局装置に通知する通知部とを備える、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
前記基地局装置は、前記パラメータ設定部が前記通信パラメータを設定した後に前記端末装置との間の無線通信におけるスループットを前記集中制御局に通知するスループット通知部を更に備え、
前記集中制御局は、前記基地局装置から通知された前記スループットに基づいて、システムスループットが低下したか否か判断する判断部を更に備え、
前記基地局装置パラメータ決定部は、前記判断部によりシステムスループットが低下したと判断された場合、前回決定した通信パラメータとは異なる通信パラメータを決定し、
前記通知部は、前記基地局装置パラメータ決定部が新たに決定した前記通信パラメータを前記基地局装置に通知する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムにおける前記集中制御局であって、
前記基地局装置から、当該基地局装置の無線通信に関する情報と、他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報とを示す基地局装置情報を受信し、受信した前記基地局装置情報に基づいて、複数の前記基地局装置の中から制御対象の基地局装置を選択し、選択した前記基地局装置をグルーピングする基地局装置選択及びグルーピング決定部と、
前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置選択及びグルーピング決定部によりグルーピングされた制御対象の前記基地局装置群ごとに、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する制御対象の前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定部と、
前記基地局装置パラメータ決定部が決定した前記通信パラメータを制御対象の前記基地局装置に通知する通知部と、
を備えることを特徴とする集中制御局。
【請求項7】
集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記基地局装置が、
他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報を示す基地局装置情報を収集する情報収集過程と、
前記情報収集過程において収集した前記基地局装置情報に当該基地局装置の無線通信に関する情報を追加して前記集中制御局に通知する通知過程と、
前記端末装置との無線通信に用いる通信パラメータを、前記集中制御局から通知された通信パラメータに設定するパラメータ設定過程と、
前記パラメータ設定過程において設定された前記通信パラメータにより当該基地局装置の配下の前記端末装置と無線通信する通信過程と、
前記集中制御局が、
前記基地局装置より通知された前記基地局装置情報に基づいて、複数の前記基地局装置の中から制御対象の基地局装置を選択し、選択した前記基地局装置をグルーピングする基地局装置選択及びグルーピング決定過程と、
前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置選択及びグルーピング決定過程においてグルーピングされた制御対象の前記基地局装置群ごとに、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する制御対象の前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定過程と、
前記基地局装置パラメータ決定過程において決定した前記通信パラメータを制御対象の前記基地局装置に通知する通知過程と、
を有することを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
前記集中制御局によって制御され、新たに設置する前記基地局装置、及び、前記集中制御局によって制御され、既に設置されている前記基地局装置が、
他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報を示す基地局装置情報を収集する情報収集過程と、
前記情報収集過程において収集した前記基地局装置情報に当該基地局装置の無線通信に関する情報を追加して前記集中制御局に通知する通知過程と、
前記端末装置との無線通信に用いる通信パラメータを、前記集中制御局から通知された通信パラメータに設定するパラメータ設定過程と、
前記パラメータ設定過程において設定された前記通信パラメータにより当該基地局装置の配下の前記端末装置と無線通信する通信過程と、
新たに設置する前記基地局装置が、
前記集中制御局から設置位置の再設定が通知された場合に、当該基地局装置の位置を再設定する基地局位置設定過程と、
前記集中制御局が、
新たに設置する前記基地局装置及び既に設置されている前記基地局装置より通知された前記基地局装置情報に基づいて、新たに設置する前記基地局装置の設定位置の再設定が必要か否かを判定し、再設定が必要と判定した場合は新たに設置する前記基地局装置に設置位置の再設定を通知する基地局位置判定過程と、
前記基地局位置判定過程において設置位置の再設定が不要と判定された場合に、前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置毎に、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定過程と、
前記基地局装置パラメータ決定過程が決定した前記通信パラメータを前記基地局装置に通知する通知過程と、
を有することを特徴とする無線通信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う基地局装置を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2.4GHz(ギガヘルツ)帯又は5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などに基づいた基地局装置(AP:Access point)が広く普及している。これらの規格に基づいたシステムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbps(メガビット毎秒)の伝送速度を実現している。
【0003】
ただし、上述した伝送速度は物理レイヤ上での伝送速度であり、ユーザにとって有効なデータのスループットではない。実際には、MAC(Medium Access Control)レイヤでの伝送効率が50~70%程度であるために、スループットは30Mbps程度が上限値となっている。
【0004】
一方、有線LAN(Local Area Network)の通信速度もFTTH(Fiber to the home)の普及から、上昇の一途をたどっている。そのため、今後無線LANにおいても更なる伝送速度の高速化が求められることが想定される。無線区間のスループット増大のために、MIMO(Multiple Input Multiple Output)やマルチユーザMIMOなど様々な空間信号処理技術が検討されているが、他の方法として通信周波数帯域の拡大も行なわれている。IEEE802.11aでは、各チャネル20MHz(メガヘルツ)の周波数帯域が用いられていたが、IEEE802.11nでは、40MHzの周波数帯域が用いられている。さらに、IEEE802.11acでは、オプションを含めると160MHzまで検討されている。このように、チャネルの帯域拡大が進んでいる。
【0005】
上述したように、チャネルの周波数帯域はIEEE802.11aから11acまでで、8倍に拡大している。しかし、無線LANに用いることのできる周波数帯域全体については、大きな拡張が認められていない。よって、無線端末の普及に伴い、周波数資源は十分でなくなりつつある。例えば、複数の基地局装置が同じ周波数帯域を用いる環境が増加している。このため、基地局装置が選択したチャネルによっては、通信セルが互いにオーバーラップする他の基地局装置からのパケット信号の影響によって、スループットが低下したり、システム全体のスループット効率が低下したりするという問題があった。更に、各基地局装置が選択しうるチャネルの帯域幅も多様化している。そのため、複数の基地局装置が集中制御局(AC:Access point controller)によって集中制御され、その各基地局装置の周波数チャネルを管理することで、パケット衝突を回避することができ、システムスループットを向上できる。
【0006】
複数の基地局装置を集中制御局に接続し、各基地局装置にチャネルを割り当てる方法については特許文献1に記載されている。特許文献1では、基地局装置におけるスループットなどの通信状態を入力情報として用い、システムスループットを最大化するようにチャネルを選択することができる。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2007-74097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、無線通信システムにおいて制御可能な基地局装置の配置については言及されていない。例えば、無線通信システムにおいて制御できない基地局装置が干渉源として存在する場合に、干渉源が様々な周波数帯域のチャネルを用いて通信するような状況において、複数の制御可能な基地局装置をどのように配置すればよいかについては想定されていない。あるいは、大多数の基地局装置が存在する無線通信システムにおいて、全基地局装置を一括で制御するとシステム規模(もしくは演算量)が膨大になる環境において、どの基地局同士を選択して集中制御局で制御すればよいかということ、つまり効率的な基地局装置の選択、組み合わせ方法に関しては明らかにされていない。
上記事情に鑑み、本発明は、干渉源が近隣に存在し干渉信号が生じている無線通信システムにおいて、集中制御局の演算負荷を軽減しながら、無線通信の効率を向上させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムであって、前記基地局装置は、他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報を示す基地局装置情報を収集する情報収集部と、前記情報収集部が収集した前記基地局装置情報に当該基地局装置の無線通信に関する情報を追加して前記集中制御局に通知する通知部と、前記端末装置との無線通信に用いる通信パラメータを、前記集中制御局から通知された通信パラメータに設定するパラメータ設定部と、前記パラメータ設定部により設定された前記通信パラメータにより当該基地局装置の配下の前記端末装置と無線通信する通信部とを備え、前記集中制御局は、前記基地局装置より通知された前記基地局装置情報に基づいて、複数の前記基地局装置の中から制御対象の基地局装置を選択し、選択した前記基地局装置をグルーピングする基地局装置選択及びグルーピング決定部と、前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置選択及びグルーピング決定部によりグルーピングされた制御対象の前記基地局装置群ごとに、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する制御対象の前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定部と、前記基地局装置パラメータ決定部が決定した前記通信パラメータを制御対象の前記基地局装置に通知する通知部とを備える、ことを特徴とする無線通信システムである。
【0010】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記基地局装置パラメータ決定部は、グルーピングされた前記基地局装置群ごとに、システムスループット、あるいは、各基地局装置のスループットの和、もしくは積のいずれか一つが最大となるように通信パラメータを決定する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記基地局装置選択及びグルーピング決定部は、前記基地局装置情報に基づいて、複数の前記基地局装置から、距離が予め設定された閾値よりも近い、あるいは受信信号強度が予め設定された閾値よりも大きい前記基地局装置の組み合わせを選択する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様は、集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムであって、前記集中制御局によって制御され、新たに設置する前記基地局装置、及び、前記集中制御局によって制御され、既に設置されている前記基地局装置は、他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報を示す基地局装置情報を収集する情報収集部と、前記情報収集部が収集した前記基地局装置情報に当該基地局装置の無線通信に関する情報を追加して前記集中制御局に通知する通知部と、前記端末装置との無線通信に用いる通信パラメータを、前記集中制御局から通知された通信パラメータに設定するパラメータ設定部と、前記パラメータ設定部により設定された前記通信パラメータにより当該基地局装置の配下の前記端末装置と無線通信する通信部とを備え、新たに設置する前記基地局装置は、前記集中制御局から設置位置の再設定が通知された場合に、当該基地局装置の位置を再設定する基地局位置設定部を更に備え、前記集中制御局は、新たに設置する前記基地局装置及び既に設置されている前記基地局装置より通知された前記基地局装置情報に基づいて、新たに設置する前記基地局装置の設定位置の再設定が必要か否かを判定し、再設定が必要と判定した場合は新たに設置する前記基地局装置に設置位置の再設定を通知する基地局位置判定部と、前記基地局位置判定部において設置位置の再設定が不要と判定された場合に、前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置毎に、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定部と、前記基地局装置パラメータ決定部が決定した前記通信パラメータを前記基地局装置に通知する通知部とを備える、ことを特徴とする無線通信システムである。
【0013】
また、本発明の一態様は、上述する無線通信システムであって、前記基地局装置は、前記パラメータ設定部が前記通信パラメータを設定した後に前記端末装置との間の無線通信におけるスループットを前記集中制御局に通知するスループット通知部を更に備え、前記集中制御局は、前記基地局装置から通知された前記スループットに基づいて、システムスループットが低下したか否か判断する判断部を更に備え、前記基地局装置パラメータ決定部は、前記判断部によりシステムスループットが低下したと判断された場合、前回決定した通信パラメータとは異なる通信パラメータを決定し、前記通知部は、前記基地局装置パラメータ決定部が新たに決定した前記通信パラメータを前記基地局装置に通知する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様は、集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムにおける前記集中制御局であって、前記基地局装置から、当該基地局装置の無線通信に関する情報と、他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報とを示す基地局装置情報を受信し、受信した前記基地局装置情報に基づいて、複数の前記基地局装置の中から制御対象の基地局装置を選択し、選択した前記基地局装置をグルーピングする基地局装置選択及びグルーピング決定部と、前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置選択及びグルーピング決定部によりグルーピングされた制御対象の前記基地局装置群ごとに、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する制御対象の前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定部と、前記基地局装置パラメータ決定部が決定した前記通信パラメータを制御対象の前記基地局装置に通知する通知部と、を備えることを特徴とする集中制御局である。
【0015】
本発明の一態様は、集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムが実行する無線通信方法であって、前記基地局装置が、他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報を示す基地局装置情報を収集する情報収集過程と、前記情報収集過程において収集した前記基地局装置情報に当該基地局装置の無線通信に関する情報を追加して前記集中制御局に通知する通知過程と、前記端末装置との無線通信に用いる通信パラメータを、前記集中制御局から通知された通信パラメータに設定するパラメータ設定過程と、前記パラメータ設定過程において設定された前記通信パラメータにより当該基地局装置の配下の前記端末装置と無線通信する通信過程と、前記集中制御局が、前記基地局装置より通知された前記基地局装置情報に基づいて、複数の前記基地局装置の中から制御対象の基地局装置を選択し、選択した前記基地局装置をグルーピングする基地局装置選択及びグルーピング決定過程と、前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置選択及びグルーピング決定過程においてグルーピングされた制御対象の前記基地局装置群ごとに、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する制御対象の前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定過程と、前記基地局装置パラメータ決定過程において決定した前記通信パラメータを制御対象の前記基地局装置に通知する通知過程と、を有することを特徴とする無線通信方法である。
【0016】
本発明の一態様は、集中制御局と、端末装置と無線通信する複数の基地局装置とを備えた無線通信システムが実行する無線通信方法であって、前記集中制御局によって制御され、新たに設置する前記基地局装置、及び、前記集中制御局によって制御され、既に設置されている前記基地局装置が、他の前記基地局装置、あるいは、他の前記基地局装置及び他の前記基地局装置の配下の前記端末装置の無線通信に関する情報を示す基地局装置情報を収集する情報収集過程と、前記情報収集過程において収集した前記基地局装置情報に当該基地局装置の無線通信に関する情報を追加して前記集中制御局に通知する通知過程と、前記端末装置との無線通信に用いる通信パラメータを、前記集中制御局から通知された通信パラメータに設定するパラメータ設定過程と、前記パラメータ設定過程において設定された前記通信パラメータにより当該基地局装置の配下の前記端末装置と無線通信する通信過程と、新たに設置する前記基地局装置が、前記集中制御局から設置位置の再設定が通知された場合に、当該基地局装置の位置を再設定する基地局位置設定過程と、前記集中制御局が、新たに設置する前記基地局装置及び既に設置されている前記基地局装置より通知された前記基地局装置情報に基づいて、新たに設置する前記基地局装置の設定位置の再設定が必要か否かを判定し、再設定が必要と判定した場合は新たに設置する前記基地局装置に設置位置の再設定を通知する基地局位置判定過程と、前記基地局位置判定過程において設置位置の再設定が不要と判定された場合に、前記基地局装置情報に基づいて、前記基地局装置毎に、前記集中制御局により制御されない他の前記基地局装置である制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方において利用されていないチャネル、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、あるいは、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルのうちいずれかのチャネルを、前記制御対象外基地局装置と当該制御対象外基地局装置の配下の前記端末装置との少なくとも一方の近傍に位置する前記基地局装置に割り当てる通信パラメータとして決定する基地局装置パラメータ決定過程と、前記基地局装置パラメータ決定過程が決定した前記通信パラメータを前記基地局装置に通知する通知過程と、を有することを特徴とする無線通信方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、干渉源が近隣に存在し干渉信号が生じている無線通信システムにおいて、集中制御局の演算負荷を軽減しながら、無線通信の効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態における無線通信システムのシステム構成を示す図である。
【図2】同実施形態において使用するチャネル及び帯域幅の一例を示す図である。
【図3】同実施形態における無線通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図4】同実施形態における集中制御局及び基地局装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図5】同実施形態におけるRSSI値の例を示す図である。
【図6】同実施形態における基地局装置選択・グルーピング方法および通信パラメータ決定方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第二実施形態における無線通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図8】同実施形態における集中制御局及び基地局装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図9】同実施形態における基地局設定方法および通信パラメータ決定方法の処理の流れをフローチャートである。
【図10】第一実施形態の無線通信システムにおける効果の具体例を示す図である。
【図11】図10に示す無線通信システムにおける総スループットの向上率を示す図である。
【図12】図10に示す無線通信システムにおけるチャネル利用状態を示す図である。
【図13】第二実施形態の無線通信システムにおける効果の具体例を示す図である。
【図14】図13に示す無線通信システムにおける総スループットの向上率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における無線通信システムのシステム構成を示す図である。本実施形態の無線通信システムは、集中制御局(AC:Access point controller)10、ネットワーク(NW)90、複数の基地局装置(AP:Access point)20を備えて構成される。同図に示す無線通信システムは、複数の基地局装置20として、AP1、AP2、…、APMのM台のAPを備える。各基地局装置20の近傍には単数もしくは複数の端末装置が存在する。なお、端末装置についての図は省略する。

【0020】
集中制御局10は、情報処理装置を用いて構成され、複数の基地局装置20とネットワーク90を介して通信可能に接続される。集中制御局10は、基地局装置20の動作を制御する。
基地局装置20は、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントであり、自装置に接続された配下の端末装置(配下端末装置)と無線通信を行う。基地局装置20は、集中制御局10による制御にしたがって各端末装置と無線通信する。
端末装置は、例えばスマートフォン、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム装置、タブレット装置、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。端末装置は、基地局装置20と無線通信を行う。

【0021】
図2は、本実施形態で使用するチャネル及び帯域幅の一例である。各基地局装置20は、予め定められた複数のモードのいずれか一つで動作する。基地局装置20は、例えば40MHzモード、80MHzモード、160MHzモードの3つのいずれかのモードで動作する。基地局装置20が使用可能な帯域は、5.17GHzから5.33GHzまでの160MHz帯域(8つの20MHzチャネル)である。使用可能なチャネル(帯域)を左(低い周波数側)から順に40MHzずつに分け、順にチャネル1、チャネル2、チャネル3、チャネル4とする。また、使用可能なチャネルを左から順に80MHzずつに分け、順にチャネル5、チャネル6とし、160MHzのチャネルをチャネル7とする。なお、(チャネル1,チャネル2,チャネル3,チャネル4)のうち使用しているチャネルを“1”、使用していないチャネルを“0”で表す。例えば、(0,0,1,1)は、チャネル3及びチャネル4、すなわちチャネル6を用いて80MHzモードで動作していることを表している。

【0022】
各基地局装置20は、通信を行うために1から7のいずれかのチャネルを用いる。各基地局装置20が用いるチャネルの集合Ciは、Ci={(0,0,0,1),(0,0,1,0),(0,1,0,0),(1,0,0,0),(0,0,1,1),(1,1,0,0),(1,1,1,1)}である。(0,0,0,1)はチャネル4、(0,0,1,0)はチャネル3、(0,1,0,0)はチャネル2、(1,0,0,0)はチャネル1、(0,0,1,1)はチャネル6、(1,1,0,0)はチャネル5、(1,1,1,1)はチャネル7を表す。

【0023】
ネットワーク90に接続されている複数の基地局装置20の一部は、集中制御局10に接続されている。そのため、集中制御局10に接続されている基地局装置20の一部は、集中制御局10の制御に応じて連携して動作することが可能である。

【0024】
以下、説明を簡単にするため、基地局装置20を4台とし、集中制御局10は、そのうち2台を選択して制御することを考える。図3は、基地局装置20を4台としたときの本実施形態における無線通信システムのシステム構成の一例を示す。4台の基地局装置20であるAP1~AP4の無線通信エリアはそれぞれ、通信セルC1~C4である。また、各基地局装置20(AP1~AP4)を総称して通信装置iとして表現する。

【0025】
本実施形態においては、集中制御局10は、制御対象として選択した2台の通信装置1(1台目の基地局装置20)と通信装置2(2台目の基地局装置20)を連携して動作させる。そのため、通信装置1と通信装置2が使用するチャネルがオーバーラップしており、プライマリチャネルを揃えることが可能な場合、集中制御局10は、優先してプライマリチャネルを揃えて通信装置1と通信装置2を動作させる。

【0026】
例えば、3台の通信装置iが使用するチャネルの一部又は全てがオーバーラップする場合、集中制御局10は、これら3台の全ての通信装置iのチャネルがオーバーラップしているチャネルをプライマリチャネルとして通信装置iに設定するよう制御する。また、これら3台のうち2台の通信装置iの使用するチャネルの一部又は全てがオーバーラップする場合、集中制御局10は、オーバーラップしているチャネルをプライマリとして通信装置iに設定するよう制御する。
また、通信装置iの帯域内に2つの直交するチャネルを使用する通信装置j及び通信装置k(i≠j,k)が存在する場合、集中制御局10は、通信装置iのプライマリチャネルと通信装置j又は通信装置kのプライマリチャネルとを揃える。

【0027】
図4は、集中制御局10及び基地局装置20の機能構成を表す概略ブロック図である。まず、集中制御局10の機能構成を説明する。集中制御局10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御プログラムの実行によって、集中制御局10は、受信部101、基地局装置情報記憶部102、基地局装置選択・グルーピング決定部103、基地局装置パラメータ決定部104-1~104-L(LはL≧1の整数)、スループット記憶部105、判断部106、及び通知部107を備える装置として機能する。なお、集中制御局10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。

【0028】
受信部101は、基地局装置20から通知された情報(例えば周辺の基地局装置20のRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)などの基地局情報、当該基地局装置20のスループット)を受信する。受信部101は、基地局装置20との間で無線通信を行ってもよいし有線通信を行ってもよい。
基地局装置情報記憶部102は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。基地局装置情報記憶部102は、基地局装置20から通知された基地局装置情報を記憶する。基地局装置情報とは、周辺の基地局装置20(以下、「周辺基地局装置20」と記載する。)が行っている無線通信に関する情報や、当該情報の通知元である基地局装置20自身の無線通信に関する情報である。具体的には、基地局装置情報は、例えば、当該情報の通知元である基地局装置20および通知元の基地局装置20の周辺基地局装置20の使用チャネルや、帯域幅、通信頻度、トラヒック量、信号強度、位置情報、QoS(Quality of Service)などを表す。また、基地局装置情報は、周辺基地局装置20に接続している端末装置数を表してもよい。また、基地局装置情報は、周辺基地局装置20の配下端末装置の無線通信に関する情報を含んでもよい。

【0029】
基地局装置選択・グルーピング決定部103は、基地局装置情報記憶部102に記憶されている情報に基づいて制御対象の基地局装置20を選択し、グルーピングを行う。例えば、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、基地局装置20同士のRSSI値が高い場合、基地局装置20同士の位置関係が近い場合、それらの基地局装置20を選択してグルーピングを行う。また、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、選択した基地局装置20に対してある通信パラメータを設定した場合のシステムスループットの推定値(以下、「スループット指標」という。)を算出する。システムスループットとは、個々の基地局装置20におけるスループットではなく、複数の基地局装置20を備える無線通信システム全体のスループットである。なお、スループットの計算方法の具体例は、参考文献「花田, 山本, 工藤, 石原, 守倉, “無線LAN システムにおける基地局連携チャネル選択のゲーム理論的解析,” 信学技報RCS2011-304, pp.211-216, Jan 2012.」に記載されている。

【0030】
ここで、基地局装置選択・グルーピング決定部103の処理の具体例について説明する。基地局装置選択・グルーピング決定部103は、基地局装置情報記憶部102が記憶している基地局装置情報に基づいて、複数の基地局装置20の中から制御対象とする基地局装置20を選択し、グルーピングする。例えば、図3のように4台の基地局装置20としてAP1~AP4があり、基地局装置情報に設定されている位置情報から算出したAP1とAP2の距離、およびAP3およびAP4の距離が、他のAPを組み合わせた距離よりも近かった場合、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、制御するAP数が4台のときは、AP1とAP2、およびAP3とAP4を選択してグルーピングし、制御するAP数が2台のときは、AP1とAP2、またはAP3とAP4を選択してグルーピングし、制御対象APとして集中制御局10で制御する。
あるいは、基地局装置20において信号強度としてRSSI値を測定し、図5に示すRSSI値の情報が得られ、基地局装置情報により通知された場合、AP2がAP1に対して測定したRSSI値が最も大きく、AP1とAP2が近いと考えられる。このことから、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、AP1とAP2を制御対象APとして選択し、グルーピングして集中制御局10で制御する。
あるいは、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、基地局装置20間の距離が予め設定された閾値よりも小さい場合、もしくは基地局装置20間のRSSI値が予め設定された閾値よりも大きいAPの組み合わせがある場合はそのペアリングを選択・グルーピングし、集中制御局10で制御することもできる。また、集中制御局10において制御できる最大AP数やグルーピングした際の最大AP数を予め設定しておき、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、それを超えない範囲でAPを選択し、その中でグルーピングを行うこともできる。
なお、上記条件を満たさない場合、集中制御局10は、制御を行わない場合もありうる。また、例えば、集中制御局10で制御可能な最大AP数を下回るAP数を制御する場合はAPを選択する必要はなく、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、グルーピングのみを行ってもよい。

【0031】
また、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、基地局装置情報記憶部102が記憶している基地局装置情報に基づいて、各基地局装置20に対して割り当てるべき通信パラメータの候補(以下、「通信パラメータ候補」という。)を複数決定する。通信パラメータとは、基地局装置20と端末装置との間で行われる無線通信に関するパラメータである。通信パラメータは、例えば、使用されるチャネルを表す。基地局装置選択・グルーピング決定部103は、例えば制御されていない基地局装置20とその配下端末装置の少なくとも一方において利用されていないチャネル、制御されていない基地局装置20とその配下端末装置の少なくとも一方のトラヒック量または通信頻度の少ないチャネル、制御されていない基地局装置20とその配下端末装置の少なくとも一方による無線信号の信号強度が弱いチャネルなどを、その制御されていない基地局装置20とその配下端末装置の少なくとも一方の近傍に位置する制御対象の基地局装置20に割り当てる通信パラメータ候補のチャネルとして選択する。

【0032】
基地局装置パラメータ決定部104-1~104-Lは、基地局装置選択・グルーピング決定部103から出力された基地局装置20の選択・グルーピング結果及びスループット指標と、基地局装置情報記憶部102に記憶されている基地局装置情報とに基づいて、L個(LはL≧1の整数)のグルーピングされた基地局装置群ごとに、制御対象の基地局装置20の通信パラメータ候補の中から一つの通信パラメータを決定する。例えば、基地局装置パラメータ決定部104-1~104-Lは、基地局装置選択・グルーピング決定部103が計算したスル-プット指標に基づいて、無線通信システムのL個のグルーピングされた基地局装置群ごとに、システムスループット、あるいは、各基地局装置20のスループットの和、もしくは積の少なくとも一つが最大となるように通信パラメータを決定する。また、プライマリチャネルを揃えることが可能な場合、基地局装置パラメータ決定部104-1~104-Lは、基地局装置群内においてプライマリチャネルを揃える。

【0033】
スループット記憶部105は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。スループット記憶部105は、受信部101が受信した各基地局装置20のスループットの実測値を記憶する。
判断部106は、スループット記憶部105が記憶している基地局装置20毎のスループットの実測値に基づいて、無線通信システムのシステムスループットの実測値を算出する。例えば、判断部106は、制御対象となっている基地局装置20のみのスループットの実測値の和をシステムスループットの実測値として算出してもよいし、基地局装置情報を収集しうるすべての基地局装置20の実測値の和をシステムスループットの実測値として算出してもよい。判断部106は、算出したシステムスループットの実測値に基づいて、通信パラメータの再設定が必要か否かを判断する。
通知部107は、基地局装置パラメータ決定部104-1~104-Lが決定した通信パラメータを各基地局装置20に通知する。

【0034】
次に、基地局装置20の機能構成を説明する。基地局装置20は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、基地局プログラムを実行する。基地局プログラムの実行によって、基地局装置20は、情報収集部201、検出部202、通知部203、受信部204、パラメータ設定部205、パラメータ記憶部206、通信部207、及びスループット算出部208を備える装置として機能する。なお、基地局装置20の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、基地局プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、基地局プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。

【0035】
情報収集部201は、自装置(基地局装置20)の近傍に位置する周辺基地局装置20の基地局装置情報を収集する。自装置(基地局装置20)において周辺基地局装置20から送出された無線信号を受信可能な場合、その周辺基地局装置20が「近傍に位置する周辺基地局装置20」である。例えば、図3において、AP2が、AP1とAP3の無線信号を受信可能であり、AP4の無線通信信号を受信できない場合、近傍に位置する周辺基地局装置20は、AP1とAP3である。無線LANでは、帯域情報、通信頻度などをビーコンやデータにより送受信している。そこで、情報収集部201は、ビーコンを常に監視することにより、近傍に位置する周辺基地局装置20の使用チャネル、帯域情報、通信頻度を取得することができる。また、情報収集部201は、受信したビーコン信号から受信信号強度を得ることができる。また、情報収集部201は、近傍に位置する周辺基地局装置20が送受信する無線信号から、その周辺基地局装置20の占有帯域を得ることができる。また、各基地局装置20がGPS(Global Positioning System)を備える場合、周辺基地局装置20からGPSにより取得した位置情報を受信してもよい。あるいは、情報収集部201は、周辺基地局装置20が送信した無線信号のチャネルの伝搬路の情報から到来方向を推測するとともに、その無線信号の電力強度から相対的な位置を推定することで、自装置の位置から周辺基地局装置20の位置を推定することができる。また、情報収集部201は、周辺基地局装置20が送受信する無線信号のヘッダの部分からQoSを取得してもよく、ネットワーク90が有線ネットワークである場合、ネットワーク90を介して周辺基地局装置20が送受信する信号を取得し、取得した信号内容からVoIP、データダウンロードなどを表すQoSを取得したり、周辺基地局装置20の配下端末装置の数を取得したりすることができる。また、さらに、情報収集部201は、近傍に位置する周辺基地局装置20の配下端末装置から、基地局装置情報を収集してもよい。情報収集部201は、近傍に位置する周辺基地局装置20の配下端末装置から、上記と同様に使用チャネル、帯域情報、通信頻度、QoSなどを取得し、基地局装置情報とする。
検出部202は、情報収集部201が収集した基地局装置情報の変化を検出する。

【0036】
受信部204は、集中制御局10から通知される情報(例えば、通信パラメータ)を受信する。
パラメータ設定部205は、受信部204が集中制御局10から受信した通信パラメータを、自装置(基地局装置20)が行う無線通信の通信パラメータとして設定する。具体的には、パラメータ設定部205は、受信部204が受信した通信パラメータを用いて、パラメータ記憶部206に記憶されている通信パラメータを上書きする。
パラメータ記憶部206は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。パラメータ記憶部206は、パラメータ設定部205によって設定された通信パラメータを記憶する。
通信部207は、パラメータ記憶部206に記憶されている通信パラメータを用いて自装置(基地局装置20)の配下端末装置との間で無線通信を行う。
スループット算出部208は、自装置(基地局装置20)と自装置の配下端末装置との間の無線通信におけるスループットを算出する。例えば、スループット算出部208は、パラメータ設定直後と、一定時間経過後(例えば、5秒後、30秒後、1分後、5分後など)とで、端末装置との間で行われる無線通信におけるスループット実測値を算出する。
通知部203は、基地局装置情報や、スループット算出部208が算出したスループット実測値を集中制御局10に通知する。なお、通知部203は、基地局装置情報を通知する際、自装置の基地局装置情報、すなわち、自装置の通信に関する情報(使用チャネル、帯域幅、通信頻度、トラヒック量、信号強度、位置情報、QoSなど)を追加する。

【0037】
なお、集中制御局10が制御を行わないと判断した基地局装置20に対しては、従来通り、自装置内で通知パラメータを算出・決定するものとする。

【0038】
図6は、本実施形態における基地局装置選択・グルーピング方法および通信パラメータ決定方法の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、集中制御局10が制御可能な基地局装置20の情報収集部201は、周辺基地局装置20とその配下端末装置の基地局装置情報を収集する。通知部203は、情報収集部201が収集した基地局装置情報に、自装置の基地局装置情報を追加して集中制御局10に通知する。集中制御局10の受信部101は、各基地局装置20から基地局装置情報を受信し、収集する(ステップS101)。受信部101は、各基地局装置20から受信した基地局装置情報を基地局装置情報記憶部102に記録する。次に、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、基地局装置情報記憶部102に記録された基地局装置情報に基づいて、集中制御する対象の基地局装置20を選択し(ステップS102)、選択された基地局装置20をグルーピングする(ステップS103)。その後、基地局装置選択・グルーピング決定部103は、スループット指標をL個にグルーピングされた基地局装置群ごとに計算する。基地局装置パラメータ決定部104-l(l=1~L)はそれぞれ、l番目のグループの選択された基地局装置20が使用する通信パラメータを、スループット指標値に基づいて算出する。基地局装置パラメータ決定部104-1~104-Lが、グルーピングされた基地局群ごとに、選択された基地局装置20が使用する通信パラメータを算出すると、通知部107は、選択された基地局装置20に、当該基地局装置20について算出された通信パラメータを通知する(ステップS104)。なお、例えば、集中制御局10で制御可能な最大AP数を下回るAP数を制御する場合など、基地局装置20を選択する必要はない場合は、ステップS102における基地局装置20の選択処理は不要となる。

【0039】
選択された基地局装置20の受信部204は、集中制御局10から通知された通信パラメータを受信する。パラメータ設定部205は、パラメータ記憶部206に記憶されている通信パラメータを、受信部204が受信した通信パラメータにより上書きし、自装置が行う無線通信の通信パラメータとして設定する(ステップS105)。通信部207は、設定された通信パラメータにより、自装置の配下端末装置と無線通信を行う(ステップS106)。スループット算出部208は、パラメータ設定直後及び一定時間経過後に配下端末装置との間の無線通信におけるスループットを算出する。通知部203は、算出されたスループットを評価パラメータとして集中制御局10に通知する(ステップS107)。

【0040】
集中制御局10の受信部101は、各基地局装置20から通知された評価パラメータであるスループットを受信・収集し、スループット記憶部105に記録する。判断部106は、パラメータ設定直後のシステムスループットの実測値と、一定時間経過後のシステムスループットの実測値とに基づいて、通信パラメータの再設定の要否を判定する(ステップS108)。判断部106は、システムスループットの実測値が既定値以上減少している場合に、システムスループットの実測値が減少しているそのグループ内の基地局装置群に対して通信パラメータの再設定が必要であると判定する(ステップS108-YES)。この場合、無線通信システムは、該当グループ内の基地局装置群に対してステップS104から処理を繰り返し実行する。そして、ステップS105の処理において、通信パラメータの再設定が必要と判断されたグループに対応した基地局装置パラメータ決定部104-1~104-Lは、前回のステップS105の処理で決定された通信パラメータとは異なる通信パラメータを決定し、通知部107は、新たに決定された通信パラメータを基地局装置20に通知する。

【0041】
一方、判断部106は、システムスループットの実測値が既定値以上減少していない場合に、通信パラメータの再設定が不要であると判定する(ステップS108-NO)。この場合、処理は終了する。

【0042】
本実施形態によれば、集中制御局10において全ての基地局装置20を集中制御することなく、基地局装置情報(RSSI値など)を用いて、干渉回避またはスループット改善に有効な基地局装置20を選択してグルーピングを行い、そのグループに対して通信パラメータの設定を行う。具体的には、最も近い基地局装置20同士を組として設定し、その組のAPに対して、例えば、同じ周波数帯域で直交するチャネルをプライマリチャネルとして設定する。基地局装置20は、設定された通信パラメータを用いて端末装置と無線通信を行う。これにより、集中制御局10の演算量を低減させながら、干渉波からの影響を抑えて、スループットが向上させることができる。

【0043】
[第二実施形態]
続いて、本実施形態の第二実施形態を、図面を参照しながら説明する。
第二実施形態では、集中制御局により制御できない単数もしくは複数の基地局装置が存在しており、集中制御局により制御可能な複数の基地局装置の一部もしくは全てに対して干渉を与える環境における、制御可能な複数基地局装置の配置位置の設定に関する方法を示す。以下では、第一実施形態との差分を中心に説明する。

【0044】
図7は、本実施形態の第二実施形態における無線通信システムのシステム構成の一例を示す図である。本実施形態の無線通信システムは、図3に示す第一実施形態の集中制御局10、基地局装置20に代えて、集中制御局10a、基地局装置20aを備える。説明を簡単にするために、基地局装置20aをAP1~AP4の4台とし、そのうち2台のAP1とAP2が集中制御局10aで制御可能である。また、AP1、AP3、およびAP4は既に設置済みであり、新たにAP2を設置することを考える。

【0045】
図8は、集中制御局10a及び基地局装置20aの機能構成を表す概略ブロック図である。同図において、図4に示す第1の実施形態による集中制御局10a及び基地局装置20aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。

【0046】
同図に示す集中制御局10aが、図4に示す集中制御局10と異なる点は、基地局装置選択・グルーピング決定部103に代えて計算部301を備える点、基地局位置判定部302を更に備える点、及び基地局装置パラメータ決定部104-1~104-Lに代えて基地局装置パラメータ決定部104を備える点である。

【0047】
計算部301は、基地局装置情報記憶部102に基づいて、制御可能な基地局装置20aの位置が適当か否かを判定するためのパラメータを算出する。
基地局位置判定部302は、計算部301によるパラメータの算出結果をもとに、制御可能な基地局装置20aの位置が適当か否かを判定する。例えば、パラメータとして、基地局装置20aが備えるGPSにより取得した位置情報から算出される基地局装置20a間の距離や、基地局装置20aが測定したRSSI値がある。基地局位置判定部302は、既に設置されている基地局装置20aのうち少なくとも一つと新たに設置する制御可能な基地局装置20aとの間の距離が予め設定された閾値よりも大きい場合、あるいは、既に設置されている基地局装置20aのうち少なくとも一つと新たに設置する制御可能な基地局装置20aとの間のRSSI値が予め設定された閾値よりも小さい場合は、新たに設置する基地局装置20aの設置位置を再度設定し直すよう判定し、通知部107を通して基地局装置20aに通知する。あるいは、基地局位置判定部302は、既に設置されている制御可能な基地局装置20aのうち少なくとも一つと、新たに設置する制御可能な基地局装置20aとの間の距離が、制御可能な基地局装置20aあるいは新たに設置する制御可能な基地局装置20aと制御できない基地局装置20aとの間の距離のうち最小の距離よりも大きい場合は、新たに設置する基地局装置20aの設置位置を再度設定し直すよう判定し、通知部107を通して基地局装置20aに通知する。あるいは、基地局位置判定部302は、既に設置されている制御可能な基地局装置20aのうち少なくとも一つと新たに設置する制御可能な基地局装置20aとの間のRSSI値が、既に設置されている制御可能な基地局装置20aあるいは新たに設置する制御可能な基地局装置20aと制御できない基地局装置20aとの間のRSSI値うち最大のRSSI値よりも小さい場合は、新たに設置する基地局装置20aの設置位置を再度設定し直すよう判定し、通知部107を通して基地局装置20aに通知する。
基地局装置パラメータ決定部104は、第一実施形態の基地局装置パラメータ決定部104-1~104-Lと同様の処理により、制御可能な基地局装置20a(新たに設置する制御可能な基地局装置20a及び既に設置されている制御可能な基地局装置20a)それぞれの通信パラメータを決定する。

【0048】
同図に示す基地局装置20aが、図4に示す基地局装置20と異なる点は、基地局位置設定部401を更に備える点である。
基地局装置20aにおける基地局位置設定部401は、集中制御局10aから通知された制御情報が、新たに設置する基地局装置20aの設置位置を再度設定し直す旨を示している場合、新たに設置する制御可能な基地局装置20aの位置を再設定する。この際、新たに設置する基地局装置20aは、情報収集部201より得られた情報(RSSI値やGPS情報)をもとに、新たに設置される制御可能な基地局装置20aが他の制御可能な基地局装置20aの少なくとも一つと位置が近くなる、もしくは電波の受信電力が大きくなるように位置を設置する。ここで、新たに設置する基地局装置20aの位置の設置方法としては、手動で設置場所を変更してもよいし、自走式の基地局装置20aであれば自動で設置位置を変更することも可能である。

【0049】
図9は、本実施形態における基地局設定方法および通信パラメータ決定方法の処理の流れをフローチャートであり、図6に示す第1の実施形態の基地局装置選択・グルーピング方法およびパラメータ決定方法と同一の処理には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
まず、既に設置されている基地局装置20aの無線通信エリアに対して、集中制御局10aが制御可能な基地局装置20aを新たに設置する(ステップS201)。ここで、無線通信エリアとは、基地局装置20aの少なくともいずれか一つにおいて無線通信可能なエリア(通信セル)を示す。つまり、既に設置されている基地局装置20aの無線通信エリアに対して、新たに設置する制御可能な基地局装置20aを設置するということは、既に設置されている基地局装置20aの無線通信エリアと新たに設置する制御可能な基地局装置20aのそれがオーバーラップすることを意味する。図7に示す例では、制御可能なAP1、及び制御できないAP3、AP4の無線通信エリアと、新たに設置する制御可能なAP2の無線通信エリアとがオーバーラップしている。設置方法としては、手動で設置してもよいし、自走可能な基地局装置であれば自動で設置位置を設置してもよい。

【0050】
集中制御局10aが制御可能な基地局装置20a(新たに設置する制御可能な基地局装置20a及び既に設置されている制御可能な基地局装置20a)の情報収集部201は、周辺基地局装置20aとその配下端末装置の基地局装置情報を収集する。通知部203は、情報収集部201が収集した基地局装置情報に、自装置の基地局装置情報を追加して集中制御局10aに通知する。集中制御局10aの受信部101は、制御可能な各基地局装置20aから基地局装置情報を受信し、収集する(ステップS101)。受信部101は、制御可能な各基地局装置20aから受信した基地局装置情報を基地局装置情報記憶部102に記録する。次に、計算部301は、新たに設置した制御可能な基地局装置20aが要求条件を満たすかを判定するためのパラメータを、基地局装置情報記憶部102に記録された基地局装置情報が示す位置情報もしくは電波受信電力情報を用いて計算し、その結果を基地局位置判定部302に出力する。基地局位置判定部302は、新たに設置した制御可能な基地局装置20aについて計算部301が算出したパラメータに基づいて、新たに設置した制御可能な基地局装置20aが要求条件を満たしているかを判定する(ステップS202)。

【0051】
要求条件を満たしているかの判定に用いられるパラメータとして、例えば、基地局装置20aが備えるGPSにより得られた基地局装置20aの位置情報から算出される基地局装置20a間の距離や、周辺基地局装置20aのRSSI値がある。基地局位置判定部302は、既に設置されている基地局装置20aのうち少なくとも一つと新たに設置する制御可能な基地局装置20aとの間の距離が予め設定された閾値よりも大きい場合、あるいは、既に設置されている基地局装置20aのうち少なくとも一つと新たに設置する制御可能な基地局装置20aとの間のRSSI値が予め設定された閾値よりもが小さい場合は、新たに設置する基地局装置20aは要求条件を満たしていないと判定する。あるいは、基地局位置判定部302は、既に設置されている制御可能な基地局装置20aのうち少なくとも一つと新たに設置する制御可能な基地局装置20aとの間の距離が、制御可能な基地局装置20aあるいは新たに設置する制御可能な基地局装置20aと制御できない基地局装置20aとの間の距離のうち最小の距離よりも大きい場合は、新たに設置する基地局装置20aは要求条件を満たしていないと判定する。またあるいは、基地局位置判定部302は、既に設置されている制御可能な基地局装置20aのうち少なくとも一つと新たに設置する制御可能な基地局装置20aとの間のRSSI値が、制御可能な基地局装置20aあるいは新たに設置する制御可能な基地局装置20aと制御できない基地局装置20aとの間のRSSI値のうち最大のRSSI値よりも小さい場合は、新たに設置する基地局装置20aは要求条件を満たしていないと判定する。基地局位置判定部302は、要求条件を満たしていないと判定した場合、新たに設置する基地局装置20aの設置位置を再度設定し直すよう通知部107を通して制御情報により基地局装置20aに通知する(ステップS201-NO)。なお、通知先の基地局装置20aは、新たに設置する基地局装置20aのみでもよく、既に設定されている制御可能な基地局装置20aを含めてもよい。位置を再設置し直すよう通知された新たに設置する制御可能な基地局装置20aは、再びステップS201からの処理を行い、新たに設置した制御可能な基地局装置20aが要求条件を満すまで繰り返し処理を行う。

【0052】
新たに設置した制御可能な基地局装置20aが要求条件を満たしている場合(ステップS202-YES)、計算部301は、制御可能な基地局装置20a(新たに設置した制御可能な基地局装置20aと既に設置されている制御可能な基地局装置20a)を一つのグループとみなして、第一実施形態の基地局装置選択・グルーピング決定部103と同様の処理により、制御可能な基地局装置20aに対するスループット指標を計算し、基地局装置パラメータ決定部104は、スループット指標及び基地局情報に基づいて、制御可能な基地局装置20aそれぞれが使用する通信パラメータを算出して通知部107より通知する(ステップS104)。

【0053】
制御可能な基地局装置20aの受信部204は、集中制御局10aから通知された通信パラメータを受信する。パラメータ設定部205は、受信された通信パラメータを、自装置が行う無線通信の通信パラメータとして設定する(ステップS105)。通信部207は、設定された通信パラメータで自装置の配下端末装置と無線通信を行う(ステップS106)。スループット算出部208は、パラメータ設定直後及び一定時間経過後に被赤端末装置との間の無線通信におけるスループットを算出する。通知部203は、算出されたスループットを集中制御局10aに通知する(ステップS107)。

【0054】
集中制御局10aの受信部101は、各基地局装置20aから通知されたスループットを収集し、スループット記憶部105に記録する。判断部106は、パラメータ設定直後のシステムスループットの実測値と、一定時間経過後のシステムスループットの実測値とに基づいて、通信パラメータの再設定の要否を判定する(ステップS108)。判断部106は、システムスループットの実測値が既定値以上減少している場合に、通信パラメータの再設定が必要であると判定する(ステップS108-YES)。この場合、無線通信システムはステップS104から処理を繰り返し実行する。そして、ステップS105の処理において、基地局装置パラメータ決定部104は、前回のステップS105の処理で決定された通信パラメータとは異なる通信パラメータを決定し、通知部107より通知する。

【0055】
一方、判断部106は、システムスループットの実測値が既定値以上減少していない場合に、通信パラメータの再設定が不要であると判定する(ステップS108-NO)。この場合、処理は終了する。

【0056】
なお、上記説明では、電波の受信電力を把握する手段としてRSSI値を用いて説明したが、必ずしもRSSI値を用いる必要はなく、例えば、受信信号電力対雑音電力比(SNR:Signal-to-Noise Power Ratio)や推定したチャネル情報(CSI:Channel State Information)から算出される受信信号電力を用いてもよい。

【0057】
以上のように構成された無線通信システムによれば、周辺APもしくは制御不可能なAPの影響に応じてシステムスループットが最大となるように各APの通信パラメータが設定される。そのため、周辺APもしくは制御不可能なAPの少なくとも一方が近隣に存在し干渉信号が生じている無線通信システムにおいて、無線通信の効率を向上させることが可能となる。
また、通信パラメータを設定した後にシステムスループットが低下した場合には、他の通信パラメータが改めて設定される。そのため、より確実に無線通信の効率の向上を図ることが可能となる。

【0058】
図10は、上述した第一実施形態の無線通信システムにおける効果の具体例を示す図である。同図では、4台のAP1~AP4が、5.25~5.33MHzの80MHzを使用してそれぞれ5台の端末装置(Station)と通信している場合を想定する。実線の丸に含まれる端末装置は、その中心に位置するAPに帰属している。APi(i=1,2,3,4)のセルをそれぞれCiとし、4台のAPは等間隔に設置され、AP1とAP2、AP2とAP3、AP3とAP4間におけるRSSI値は等しいものとする。4台のAPのうち2台を集中制御局10(CC(Centralized controller)もしくはAC)により制御するものとし、各APは、自セル内のスループットの総和が最大になるようにチャネルおよび帯域を選択する。

【0059】
図11は、図10に示す無線通信システムにおいてゲーム理論により理論解析したときの、集中制御されるAPの組み合わせ、その際のナッシュ均衡点におけるチャネル利用状態、および独立動作時と比較した場合の全APの総スループットの向上率を示す。なお、ナッシュ均衡点におけるチャネル利用状態A、B、CおよびDは、図12に示すチャネル利用状態A、B、CおよびDに対応する。チャネル利用状態Aでは、AP1~AP4がチャネル7を利用し、チャネル利用状態Bでは、AP1及びAP4がチャネル5を、AP2がチャネル3を、AP3はチャネル4を利用する。チャネル利用状態Cでは、AP1及びAP3がチャネル5を、AP2及びAP4がチャネル6を利用し、チャネル利用状態Dでは、AP1及びAP4がチャネル5を、AP2及びAP3はチャネル6を利用する。また、図11の集中制御されるAPの組み合わせにおける、AP2とAP4、およびAP3とAP4の組み合わせは、AP1とAP3、およびAP1とAP2との組み合わせと実質的に同じなため、省略する。

【0060】
独立動作時と比較した場合の全APの総スループットの向上率が示す結果より、距離が最も近い、もしくは電波受信電力が最も大きいAPの組み合わせであるAP1とAP2、もしくはAP2とAP3を、制御対象のAPの組み合わせとして選択することで、27~47%スループットが向上することが示されている。これは、制御対象のAPは、他のAPと距離が最も近い、もしくは電波受信電力が最も大きいAPを制御対象に選択することで、ナッシュ均衡点としてチャネル利用状態Cに収束することができるためである。

【0061】
図13は、上述した第二実施形態の無線通信システムにおける効果の具体例を示す図である。同図では、4台のAP1~AP4が5.25~5.33MHzの80MHzを使用してそれぞれ5台の端末装置と通信する場合を想定する。AP1、AP3、AP4の3台のAPは等間隔に設置され、AP2を新たに設置するAPとする。AP1とAP3、AP3とAP4間におけるRSSI値は等しいものとする。AP1およびAP2を集中制御局10a(CC、もしくはAC)により制御するものとし、各APは、自セル内のスループットの総和が最大になるようにチャネルおよび帯域を選択する。

【0062】
図14は、図13に示す無線通信システムにおいてゲーム理論により理論解析したときの、集中制御されるAPの組み合わせ、その際のナッシュ均衡点におけるチャネル利用状態、および独立動作時と比較した場合の全APの総スループットの向上率を示す。同図に示すように、ゲーム理論により理論解析すると、AP1とAP2を近い位置、例えば図13のようにほぼ同じ場所に設置することでスループットが向上する。APすべてを独立に動作させた場合と比較すると、53~65%スループットが向上する。

【0063】
<変形例>
基地局装置20は、自装置に接続する複数の端末装置と無線通信可能な装置であればどのような装置であってもよく、無線LANのアクセスポイントに限定される必要は無い。基地局装置20は、例えば携帯電話通信網の基地局装置であってもよい。なお、無線LANシステムの具体例には、IEEE802.11a/b/g/n/acといったCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance:搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式)によるシステムがある。

【0064】
また、上記ステップS108の処理において、システムスループットの実測値が既定値以上減少しているか否かに基づいて分岐の判断を行うのではなく、所定回数ステップS104~S108等の処理を繰り返してから処理を終了又は次の処理に移行するように構成されてもよい。また、上記各処理において、システムスループットの実測値が閾値を超えた場合に、処理を終了又は次の処理に移行するように構成されてもよい。また、上記ステップS202において、新たに設置した制御可能な基地局装置20aが要求条件を満たしているか否かに基づいて分岐の判断を行うのではなく、所定回数ステップS201~S202等の処理を繰り返してから処理を終了又は次の処理に移行するように構成されてもよい。

【0065】
なお、基地局装置情報を収集する装置は、基地局装置20に限定される必要は無く、端末装置であってもよいし、他の装置であってもよい。このように構成されることにより、隠れ端末問題に対する特性劣化を低減することができる。
集中制御局10、10aは、LUT記憶部を更に備えるように構成されてもよい。LUT記憶部は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。LUT記憶部は、シミュレーションなどにより予め求められたLUT(Look Up Table)のデータを記憶している。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
無線通信を行う複数の基地局装置を備える無線通信システムに利用できる。
【符号の説明】
【0067】
10 集中制御局
20 基地局装置
90 ネットワーク
101 受信部
102 基地局装置情報記憶部
103 基地局装置選択・グルーピング決定部(基地局装置選択及びグルーピング決定部)
104-1~104-L、104 基地局装置パラメータ決定部
105 スループット記憶部
106 判断部
107 通知部
201 情報収集部
202 検出部
203 通知部
204 受信部
205 パラメータ設定部
206 パラメータ記憶部
207 通信部
208 スループット算出部
301 計算部
302 基地局位置判定部
401 基地局位置設定部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13