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明細書 :浮体式洋上風力発電設備

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6108445号 (P6108445)
公開番号 特開2014-173586 (P2014-173586A)
登録日 平成29年3月17日(2017.3.17)
発行日 平成29年4月5日(2017.4.5)
公開日 平成26年9月22日(2014.9.22)
発明の名称または考案の名称 浮体式洋上風力発電設備
国際特許分類 F03D  13/25        (2016.01)
FI F03D 13/25
請求項の数または発明の数 6
全頁数 19
出願番号 特願2013-050180 (P2013-050180)
出願日 平成25年3月13日(2013.3.13)
審査請求日 平成27年11月10日(2015.11.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
発明者または考案者 【氏名】佐藤 郁
【氏名】浅野 均
【氏名】宇都宮 智昭
【氏名】吉田 茂雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100104927、【弁理士】、【氏名又は名称】和泉 久志
審査官 【審査官】山本 崇昭
参考文献・文献 特開2012-149531(JP,A)
特開2010-223114(JP,A)
特開2012-012974(JP,A)
特開2009-235850(JP,A)
特表2008-542630(JP,A)
国際公開第2011/138824(WO,A1)
国際公開第2003/004869(WO,A1)
調査した分野 F03D 1/00-80/80
特許請求の範囲 【請求項1】
浮体と、係留索と、タワーと、タワーの頂部に設備されるナセル及び複数のブレードからなる風車とから構成された浮体式洋上風力発電設備において、
前記風車は、回転軸に所定角度の上向き角を付けており、かつ前記ブレードをナセルの風下側に取り付け、ブレードの背面を風上に向けて設置するダウンウィンド型式とし、
前記係留索の浮体への係留点は、海面下であってかつ浮体の重心よりも高い位置に設定し
前記浮体は、下部側がコンクリート製のプレキャスト筒状体を高さ方向に複数段積み上げたコンクリート製浮体構造とし、上部側が鋼部材からなる鋼製浮体構造とし、
前記コンクリート製浮体構造は、前記プレキャスト筒状体が周方向に複数に分割された分割プレキャスト筒状体を接合して構成され、少なくとも組立時において、それぞれのプレキャスト筒状体の外周面に、緊張力が導入されたアウターケーブルを周方向に沿って巻回してあることを特徴とする浮体式洋上風力発電設備。
【請求項2】
前記浮体の下部側に周面より突出するヨー抑制フィンを周方向に間隔を空けて複数設けてある請求項1記載の浮体式洋上風力発電設備。
【請求項3】
平均風速作用時に前記ブレードの回転面がほぼ鉛直面となるようにバラスト重量を調整してある請求項1、2いずれかに記載の浮体式洋上風力発電設備。
【請求項4】
前記アウターケーブルは、前記プレキャスト筒状体の軸方向に間隔をあけて複数設けてある請求項1~3いずれかに記載の浮体式洋上風力発電設備。
【請求項5】
前記アウターケーブルの定着具は前記プレキャスト筒状体の直径方向に対向する2箇所に設けてあり、前記定着具に前記プレキャスト筒状体を吊り上げる際の吊り上げ金具を備えてある請求項1~4いずれかに記載の浮体式洋上風力発電設備。
【請求項6】
前記アウターケーブルは仮設とされ、前記浮体式洋上風力発電設備の設置時には取り外し可能としてある請求項いずれかに記載の浮体式洋上風力発電設備。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的水深の深い海上に設置されるスパー型の浮体式洋上風力発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、主として水力、火力及び原子力発電等の発電方式が専ら採用されてきたが、近年は環境や自然エネルギーの有効活用の点から自然風を利用して発電を行う風力発電が注目されている。この風力発電設備には、陸上設置式と水上(主として海上)設置式とがあるが、沿岸域から後背に山岳地帯をかかえる我が国の場合は、沿岸域に安定した風が見込める平野が少ない状況にある。一方、日本は、四方を海で囲まれており、海上は発電に適した風が容易に得られるとともに、設置上の制約が少ないなどの利点を有する。そこで、近年は浮体式洋上風力発電設備が多く提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、中空四角柱状の構造物を組み合わせて平面三角形状の水に浮く浮体を構成し、この上に発電用風車を設けた風力発電装置が提案されている。この浮体は水面に浮かぶため「ポンツーン型」と呼ばれている。
【0004】
また、下記特許文献2では、上部に物品が載置される複数の浮体部と、所定中心に内端を連結して水平放射方向に延在した外端に前記各浮体部を連結する長手状の剛体からなる連結部と、前記浮体部の間に引張力を生じる引張部とを備えた浮体構造が提案されている。
【0005】
下記特許文献3では、水に浮遊する複数の浮体部と、前記浮体部を環状に連結する剛体からなる連結部と、環状のほぼ中央部を水底に係留する係留手段と、前記浮体部の位置を検出する位置検出手段と、潮流を検出する潮流検出手段と、潮流に対して角度を可変する態様で複数の浮体部に取り付けた舵と、各舵の角度を潮流に対して調整することによって環状のほぼ中央部を中心とした各浮体部の位置を可変する位置制御部とを備えた浮体構造が提案されている。前記特許文献2,3に係る浮体構造は、浮体を水面下に沈めた状態で浮くため「セミサブ型」と呼ばれている。
【0006】
更に、下記特許文献4では、上下の蓋体と、これらの間に連続的に設置された筒状のプレキャストコンクリートブロックとがPC鋼材で一体接合されてなる下部浮体と、該下部浮体にPC鋼材で一体接合された、上記プレキャストコンクリートブロックよりも小径なプレキャストコンクリートブロックと上蓋とからなる上部浮体とから構成され、下部浮体の下部内側に隔壁によって複数のバラストタンクが形成され、上部浮体の内側には隔壁によって複数の水密区画部が形成された洋上風力発電の浮体構造が提案されている。この特許文献4は、釣浮きのように起立状態で浮くため「スパー型」と呼ばれている。
【0007】
前記スパー型浮体は、一つの浮体に一基しか取り付けできないが、他のポンツーン型やセミサブ型に比べて、経済性に優れているとともに、浮体の安定性に優れるという利点を有するものである。
【0008】
そこで本出願人も、下記特許文献5において、図25に示されるように、浮体51と、この浮体51の上部に設置されるデッキ52と、このデッキ52に繋がれた係留索53と、前記デッキ52の上に立設されるタワー54と、このタワー54の頂部に設備されるナセル55及び複数の風車ブレード56,56…からなる洋上風力発電設備50であって、前記浮体51は、コンクリート製のプレキャスト筒状体を高さ方向に複数段積み上げ、各プレキャスト筒状体をPC鋼材により緊結し一体化を図った下側コンクリート製浮体構造部51Aと、この下側コンクリート浮体構造部51Aの上側に連設された上側鋼製浮体構造部51Bとからなるとともに、上端部を開口させた有底中空部を有するスパー型の浮体構造とし、少なくとも施工時に前記タワーは前記デッキ52上に設けたタワー昇降設備によって昇降自在とされ、前記浮体51内部に収容可能とされたスパー型の洋上風力発電設備を提案した。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2001-165032号公報
【特許文献2】特開2007-160965号公報
【特許文献3】特開2007-331414号公報
【特許文献4】特開2009-18671号公報
【特許文献5】特開2010-223113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、風車型式には、ナセルの風上側にブレードを取り付け、ブレードを風上に向かって正対させ、正面から風を受けるように設置するアップウィンド型式と、ナセルの風下側にブレードを取り付け、ブレードの背面を風上に向け後側から風を受けるように設置するダウンウィンド型式とが存在するが、一般的にはブレードの風上側に障害物があると効率が落ちるとされ、アップウィンド型式が専ら採用されている。この場合、ブレードの撓みによって該ブレードがタワーに接触するのを防止するため、図26(A)に示されるように、風車の回転軸は水平線に対して所定角度(θ=5~10°程度)の上向き角θを付けている。
【0011】
しかしながら、風力発電設備が浮体式である場合は、タワーの下端が地面に固定されておらず、風圧によって傾動し風下側に傾くことになるため、図26(B)に示されるように、ブレードの回転面Sがさらに上を向くように傾き(θ+β)、受風面積が低下することにより発電効率が低下するという問題点があった。
【0012】
また、浮体式の洋上発電設備の場合、風車に風が当たると、風による抵抗を減らすように浮体に鉛直軸回りの回転力(ヨー)が発生するため発電効率が低下するとともに、暴風時には浮体の傾動が大きくなり係留索に作用する荷重が増大するという問題点もある。
【0013】
更に、前記特許文献5では、海面上に係留点を設置することで係留の作用点を上げ、浮体運動の抑制力を増加させるようにしているが、係留点を海面上にすると接近する船舶が係留に接触する可能性が高くなり危険であるなどの問題があった。
【0014】
一方、前記特許文献5のように、コンクリート製のプレキャスト筒状体を高さ方向に複数段積み上げて一体化を図るコンクリート浮体構造部51Aを備えた洋上風力発電設備50の場合、前記コンクリート浮体構造部51Aの組立てや運搬の際及び洋上風力発電設備50の建て起こしの際などに、コンクリート浮体構造部51Aに大きな曲げ応力が作用する。ここで、コンクリート浮体構造部51Aは、設置後は両端がほぼ自由端とされた支持構造であるため、主に軸力が作用し、大きな曲げ応力は作用しない構造となっている。特に、プレキャスト筒状体として周方向に複数に分割された分割プレキャスト筒状体を接合する構造の場合、曲げに対する強度が弱く組立てや運搬中及び建て起こし時に変形や破損が生じる危険性があった。このため、組立て等の際に発生する曲げに対し、一時的に補強用のフレーム枠を別途用意しなければならず、作業が大掛かりなものになるとともに、コストが増大する欠点があった。
【0015】
そこで本発明の主たる課題は、スパー型の浮体式洋上風力発電設備において、タワーの傾動による発電効率の低下を抑えるとともに、鉛直軸回りの回転運動(ヨー運動)を抑制し、かつ船舶が係留索に接触するのを防止すると同時に、タワーの傾動姿勢状態を適性に保持し得るようにし、更に組立て等の作業を容易にするとともに、コストを低減した浮体式洋上風力発電設備を提供することにある。
【0016】
第2の課題は、特に暴風時において、鉛直軸回りの回転運動(ヨー運動)の更なる抑制を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、浮体と、係留索と、タワーと、タワーの頂部に設備されるナセル及び複数のブレードからなる風車とから構成された浮体式洋上風力発電設備において、
前記風車は、回転軸に所定角度の上向き角を付けており、かつ前記ブレードをナセルの風下側に取り付け、ブレードの背面を風上に向けて設置するダウンウィンド型式とし、
前記係留索の浮体への係留点は、海面下であってかつ浮体の重心よりも高い位置に設定し
前記浮体は、下部側がコンクリート製のプレキャスト筒状体を高さ方向に複数段積み上げたコンクリート製浮体構造とし、上部側が鋼部材からなる鋼製浮体構造とし、
前記コンクリート製浮体構造は、前記プレキャスト筒状体が周方向に複数に分割された分割プレキャスト筒状体を接合して構成され、少なくとも組立時において、それぞれのプレキャスト筒状体の外周面に、緊張力が導入されたアウターケーブルを周方向に沿って巻回してあることを特徴とする浮体式洋上風力発電設備が提供される。
【0018】
上記請求項1記載の発明においては、風車は、ブレードとタワーとの接触を避けるために風車の回転軸に所定角度の上向き角を付け、かつ前記ブレードをナセルの風下側に取り付け、ブレードの背面を風上に向けて設置するダウンウィンド型式としている。従って、無風状態時には、図7(A)に示されるように、ブレードの回転面は風上に向かって下向きの状態(-θ)となるが、風を受けると図7(B)に示されるように、風下側に傾くことにより逆に受風面積を増大させることになり、発電効率の低下を防止することが可能となる。なお、従来のアップウィンド型式の場合は、初期状態のブレード回転面の傾斜角(θ)に対して風による傾動角(β)が加算させるのに対して、本発明のダウンウィンド型式の場合は、初期状態のブレード回転面の傾斜角(-θ)に風による傾動角(β)が加算されるため、前記アップウインド型式に比較して常に前記傾斜角θ分に相当する発電効率の向上が見込めることになる。
【0019】
また、アップウィンド型式の場合は、ブレードを後側から支えている構造のためヨーモーメントが発生し易いのに対して、本発明のようにダウンウィンド型式とした場合は、ナセルの風下側にブレードを取り付けるものであり、ブレードを前側で引っ張るように支えている構造のためヨーモーメントが作用し難くなる。
【0020】
さらに、前記係留索の浮体への係留点は、海面下であってかつ浮体の重心よりも高い位置に設定したことによって、船舶が係留索に接触するのを防止できるようになる。また、係留点が浮体の重心よりも上側に位置するため浮体の倒れ過ぎを抑えるように係留点に浮体の重心を中心とする抵抗モーメントを発生させるため、タワーの傾動姿勢状態を適性に保持し得るようになる。
【0021】
前記浮体は、下部側がコンクリート製のプレキャスト筒状体を高さ方向に複数段積み上げたコンクリート製浮体構造とし、上部側が鋼部材からなる鋼製浮体構造としてある。
【0022】
浮体構造として、下部側がコンクリート製のプレキャスト筒状体を高さ方向に複数段積み上げたコンクリート製浮体構造とし、上部側が鋼部材からなる鋼製浮体構造とした浮体構造を採用することにより、重心を低くすることができ、アーム長の増大により前記抵抗モーメントを増大させることができる。
【0023】
本発明では更に、前記コンクリート製浮体構造は、前記プレキャスト筒状体が周方向に複数に分割された分割プレキャスト筒状体を接合して構成され、少なくとも組立時において、それぞれのプレキャスト筒状体の外周面に、緊張力が導入されたアウターケーブルを周方向に沿って巻回してある。
【0024】
複数に分割されたプレキャスト筒状体であっても、プレストレスが導入されたアウターケーブルを周方向沿って巻回してプレキャスト筒状体を締め付けているため、プレキャスト筒状体の曲げに対する強度が増し、組立作業や運搬作業、浮体式洋上風力発電設備の建て起こしの際など、コンクリート製浮体構造に曲げ応力が作用する場合でも、コンクリート製浮体構造の変形及び破損が防止できるとともに、仮設のフレーム枠等を設ける必要がなくなるためコストも低減できる。
【0025】
請求項に係る本発明として、前記浮体の下部側に周面より突出するヨー抑制フィンを周方向に間隔を空けて複数設けてある請求項1記載の浮体式洋上風力発電設備が提供される。
【0026】
上記請求項記載の発明は、前記浮体の下部側に周面より突出するヨー抑制フィンを周方向に間隔を空けて複数設けるようにしたものである。ダウンウィンド型式の採用によりアップウィンド型式に比べてヨーモーメントの発生は低減できるが、浮体式の場合は係留索の引張力しか期待できないため、一旦ヨーモーメントが発生してしまうとヨーが制御し難いという欠点がある。そこで、浮体の下部側に、好ましくは水深30m以下の範囲にヨー抑制フィンを設けることで、浮体の回転抵抗を与え、ヨー運動を抑制するようにした。
【0027】
請求項に係る本発明として、平均風速作用時に前記ブレードの回転面がほぼ鉛直面となるようにバラスト重量を調整してある請求項1、2いずれかに記載の浮体式洋上風力発電設備が提供される。
【0028】
上記請求項記載の発明は、請求項1の前記係留索の浮体への係留点を、海面下であってかつ浮体の重心よりも高い位置に設定した構成に関連して、この構成によって発生する前記抵抗モーメントの大きさを調整、すなわち平均風速作用時に前記ブレードの回転面がほぼ鉛直面となるようにバラスト重量を調整することにより、ブレードの回転面の傾きを受風面積が大きくなる状態に保持することが可能となる。
【0029】
請求項に係る本発明として、前記アウターケーブルは、前記プレキャスト筒状体の軸方向に間隔をあけて複数設けてある請求項1~3いずれかに記載の浮体式洋上風力発電設備が提供される。
【0030】
上記請求項記載の発明は、前記アウターケーブルを前記プレキャスト筒状体の軸方向に間隔をあけて複数設けるようにしたもので、これによって、コンクリート製浮体構造の軸方向に均一に補強できるようになる。
【0031】
請求項に係る発明として、前記アウターケーブルの定着具は前記プレキャスト筒状体の直径方向に対向する2箇所に設けてあり、前記定着具に前記プレキャスト筒状体を吊り上げる際の吊り上げ金具を備えてある請求項1~4いずれかに記載の浮体式洋上風力発電設備が提供される。
【0032】
上記請求項記載の発明は、前記アウターケーブルの定着具を前記プレキャスト筒状体の直径方向に対向する2箇所に設け、この定着具に前記プレキャスト筒状体を吊り上げる際の吊り上げ金具を備えるようにしてあるため、プレキャスト筒状体の曲げ応力負荷がより一層抑制できる。
【0033】
請求項係る発明として、前記アウターケーブルは仮設とされ、前記浮体式洋上風力発電設備の設置時には取り外し可能としてある請求項いずれかに記載の浮体式洋上風力発電設備が提供される。
【0034】
上記請求項記載の発明は、浮体式洋上風力発電設備の設置後は、大きな曲げ応力が作用しない構造であるため、前記定着具及びアンボンド線材を仮設とし、前記浮体式洋上風力発電設備の設置後に取り外しできるようにしている。
【発明の効果】
【0035】
以上詳説のとおり本発明によれば、スパー型の浮体式洋上風力発電設備において、タワーの傾動による発電効率の低下を押さえるとともに、鉛直軸回りの回転運動(ヨー運動)を抑制し、かつ船舶が係留索に接触するのを防止すると同時に、タワーの傾動姿勢状態を適性に保持し得るようになる。また、組立て等の作業が容易にできるとともに、コスト低減が可能となる。
【0036】
さらに、特に暴風時において、鉛直軸回りの回転運動(ヨー運動)の更なる抑制を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る浮体式洋上風力発電設備1の側面図である。
【図2】浮体2の縦断面図である。
【図3】プレキャスト筒状体12(13)を示す、(A)は縦断面図、(B)は平面図(B-B線矢視図)、(C)は底面図(C-C線矢視図)である。
【図4】プレキャスト筒状体12(13)同士の緊結要領図(A)(B)である。
【図5】下側コンクリート製浮体構造部2Aと上側鋼製浮体構造部2Bとの境界部を示す縦断面図である。
【図6】ヨー抑制フィン8を示す下側コンクリート製浮体構造部2Aの横断面図である。
【図7】風によるタワー4の傾動状態を示す、(A)は無風時(直立時)、(B)は受風時(傾動時)を示す側面図である。
【図8】抵抗モーメント発生による傾動制御状態を示す全体側面図である。
【図9】タワー4の傾斜角に対する発電出力の変化図である。
【図10】下側コンクリート製浮体構造部2Aを示す、(A)は横断面図、(B)は左右で別視点からの側面図である。
【図11】要部を拡大した、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図12】定着具30を示す、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図13】アウターケーブル31の正面図である。
【図14】浮体式洋上風力発電設備1の施工要領を示す流れ図である。
【図15】施工要領(その1)を示す、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図16】施工要領(その2)を示す、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図17】施工要領(その3)を示す、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図18】施工要領(その4)を示す、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図19】施工要領(その5)を示す、(A)は正面図、(B)はプレキャスト筒状体12部分の平面図である。
【図20】施工要領(その6)を示す平面図である。
【図21】施工要領(その7)を示す正面図である。
【図22】施工要領(その8)を示す正面図である。
【図23】施工要領(その9)を示す正面図である。
【図24】施工要領(その10)を示す正面図である。
【図25】従来の浮体式洋上風力発電設備(特許文献5)を示す全体図である。
【図26】アップウインド型式の場合の風によるタワーの傾動状態を示す、(A)は無風時(直立時)、(B)は受風時(傾動時)を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。

【0039】
図1に示されるように、本発明の洋上風力発電設備1は、浮体2と、係留索3と、タワー4と、タワー4の頂部に設備されるナセル6及び複数のブレード7,7…からなる風車5とから構成されるものである。

【0040】
前記浮体2は、図2に示されるように、コンクリート製のプレキャスト筒状体12~13を高さ方向に複数段積み上げ、各プレキャスト筒状体12~13をPC鋼材19により緊結し一体化を図った下側コンクリート製浮体構造部2Aと、この下側コンクリート浮体構造部2Aの上側に連設された上側鋼製浮体構造部2Bとからなる。前記浮体2の吃水Lは、2MW級発電設備の場合、概ね60m以上に設定される。

【0041】
以下、更に具体的に詳述する。

【0042】
前記下側コンクリート浮体構造部2Aは、コンクリート製のプレキャスト筒状体12、12…と、合成プレキャスト部材13の下半部分とで構成されている。前記プレキャスト筒状体12は、図3に示されるように、軸方向に同一断面とされる円形筒状のプレキャスト部材であり、それぞれが同一の型枠を用いて製作されるか、遠心成形により製造された中空プレキャスト部材が用いられる。

【0043】
壁面内には鉄筋20の他、周方向に適宜の間隔でPC鋼棒19を挿通するためのシース21、21…が埋設されている。このシース21、21…の下端部にはPC鋼棒19同士を連結するためのカップラーを挿入可能とするためにシース拡径部21aが形成されているとともに、上部には定着用アンカープレートを嵌設するための箱抜き部22が形成されている。また、上面には吊り金具23が複数設けられている。

【0044】
プレキャスト筒状体12同士の緊結は、図4(A)に示されるように、下段側プレキャスト筒状体12から上方に延長されたPC鋼棒19、19…をシース21、21…に挿通させながらプレキャスト筒状体12,12を積み重ねたならば、アンカープレート24を箱抜き部22に嵌設し、ナット部材25によりPC鋼棒19に張力を導入し一体化を図る。また、グラウト注入孔27からグラウト材をシース21内に注入する。なお、前記アンカープレート24に形成された孔24aはグラウト注入確認孔であり、該確認孔からグラウト材が吐出されたことをもってグラウト材の充填を終了する。

【0045】
次に、図4(B)に示されるように、PC鋼棒19の突出部に対してカップラー26を螺合し、上段側のPC鋼棒19、19…を連結したならば、上段となるプレキャスト筒状体12のシース21、21…に前記PC鋼棒19、19…を挿通させながら積み重ね、前記要領によりPC鋼棒19の定着を図る手順を順次繰り返すことにより高さ方向に積み上げられる。この際、下段側プレキャスト筒状体12と上段側プレキャスト筒状体12との接合面には止水性確保及び合わせ面の接合のためにエポキシ樹脂系などの接着剤28やシール材が塗布される。

【0046】
次いで、前記合成プレキャスト部材13は、図5にも示されるように、コンクリート製のプレキャスト筒状体16と鋼製筒状体17との合成構造である。これらは一体的に製作される。前記プレキャスト筒状体16は、前記鋼製筒状体17の肉厚分の厚さを減じた外径寸法とされ、この外周に前記鋼製筒状体17の下半部分が外嵌された構造とし、前記プレキャスト筒状体16の上端面がPC鋼棒19の締結面とされる。

【0047】
前記上側鋼製浮体構造部2Bは、前記合成プレキャスト部材13の上半部分と、鋼製筒状体14,15とで構成されている。下段側の鋼製筒状体14は、下側部分は合成プレキャスト部材13と同一の外径寸法とされ、合成プレキャスト部材13に対して、ボルト又は溶接等(図示例はボルト締結)によって連結される。鋼製筒状体14の上部は漸次直径を窄めた截頭円錐台形状を成している。

【0048】
上段側の鋼製筒状体15は、前記下段側の鋼製筒状体14の上部外径に連続する外径寸法とされる筒状体とされ、下段側の鋼製筒状体14に対してボルト又は溶接等(図示例はボルト締結)によって連結される。

【0049】
一方、前記タワー4は、鋼材、コンクリート又はPRC(プレストレスト鉄筋コンクリート)から構成されるものが使用されるが、好ましいのは総重量が小さくなるように鋼材によって製作されたものを用いるのが望ましい。タワー4の外径と前記上段側鋼製筒状体15の外径とはほぼ一致しており、外形状は段差等が無く上下方向に連続している。図示例では、上段側鋼製筒状体15の上部に梯子9が設けられ、タワー4と上段側鋼製筒状体15とのほぼ境界部に周方向に歩廊足場10が設けられている。

【0050】
前記係留索3の浮体2への係留点Pは、図1に示されるように、海面下であってかつ浮体2の重心Gよりも高い位置に設定してある。従って、船舶が係留索3に接触するのを防止できるようになる。また、浮体2の倒れ過ぎを抑えるように係留点Pに浮体2の重心Gを中心とする抵抗モーメントMを発生させるため、タワー4の傾動姿勢状態を適性に保持し得るようになる。

【0051】
一方、前記ナセル6は、風車5の回転を電気に変換する発電機やブレードの角度を自動的に変えることができる制御器などが搭載された装置である。

【0052】
前記ブレード7,7…は、図7(A)に示されるように、タワー4との接触を避けるため、回転軸は所定角度の上向き角θを付けている。従って、ブレード回転面Sは上向き角θだけ傾いて設定される。同図に示されるように、本発明では風車型式は、前記ブレード7,7…をナセル6の風下側に取り付け、ブレード7,7…の背面を風上に向けて設置するダウンウィンド型式としてある。前記上向き角θは概ね5~10°の範囲である。従って、無風状態時には、図7(A)に示されるように、ブレード7の回転面Sは風上に向かって下向きの状態(-θ)となるが、風を受けると図7(B)に示されるように、風下側に傾くことにより逆に受風面積を増大させることになり、発電効率の低下を防止することが可能となる。

【0053】
なお、既往の文献によれば(第4回 講演会講演集「(5)浮体式洋上風力発電の開発」独立行政法人 海上技術安全研究所)、図9に示されるように、上向き角10°で発電効率は5%ほど低下することが実証されている。従って、風車5の回転状態でタワー4が風下側に傾き風に正対する状態(ブレード回転面Sが鉛直)になった場合には、5%の発電効率の向上が見込めることになる。

【0054】
一方で、本発明では、前記係留索3の浮体2への係留点Pは、図1に示されるように、海面下であってかつ浮体2の重心Gよりも高い位置に設定してある。従って、図8に示されるように、風圧によってタワー4が風下側に倒れすぎると、浮体2の倒れ過ぎを抑えるように係留点Pに浮体2の重心Gを中心とする抵抗モーメントMを発生させるため、タワー4の傾動姿勢状態を適性に保持し得るようになる。本浮体構造は、下部側がコンクリート製のプレキャスト筒状体を高さ方向に複数段積み上げたコンクリート製浮体構造とし、上部側が鋼部材からなる鋼製浮体構造としてあるため、重心Gは係留点よりもかなり下側に設定することが可能となり、抵抗モーメントMのアーム長lの増大により大きな抵抗モーメントMを発生することが可能となっている。

【0055】
ところで、前記浮体2の中空部内には、水、砂利、細骨材又は粗骨材、金属粒などのバラスト材が投入されるが、このバラスト材投入量は、平均風速作用時に前記ブレード7の回転面Sがほぼ鉛直面となるようにバラスト重量を調整するのが望ましい。

【0056】
一方で、本発明では、図1に示されるように、前記浮体2の下部側に周面より突出するヨー抑制フィン8,8…を周方向に間隔を空けて複数設けてある。具体的には、図6に示されるように、プレキャスト筒状体12、13の周面に周方向に等間隔で、図示例では8等分間隔で半径方向に突出するヨー抑制フィン8,8…を設けている。一般的にスパー型の洋上風力発電設備の場合は、フィンが水の抵抗を増大させるため設けないのが一般的であるが、浮体2の下部側にのみフィンを設けることで、暴風時における浮体2のヨー運動を効果的に防止するようにした。前記ヨー抑制フィン8、8…の設置範囲は、水深25m以上の範囲、好ましくは水深30mの範囲とするのが望ましい。また、前記ヨー抑制フィン8の突出長は、浮体2の下部側の外径の0.10~0.15倍、好ましくは0.11~0.13倍程度とするのが望ましい。

【0057】
ところで、前記下側コンクリート浮体構造部2Aは、前記プレキャスト筒状体12~13が周方向に一体のものでもよいが、大型の洋上風力発電設備の場合は、図10及び図11に示されるように、前記プレキャスト筒状体12~13が周方向に複数に分割された分割プレキャスト筒状体12a~12dを、周方向に接合して構成される。このように分割プレキャスト筒状体12a~12dを周方向に接合した前記プレキャスト筒状体12~13の外周には、緊張力が導入されたアウターケーブル31が周方向に沿って巻回されている。前記プレキャスト筒状体12は、周方向に2以上に分割したものが用いられ、図10に示される例では4つに分割してある。

【0058】
前記プレキャスト筒状体12~13の接合構造としては、公知のものを使用することが可能であるが、特開2009-235850号公報に開示されるプレキャストコンクリート部材の接合構造が好適である。かかるプレキャストコンクリート部材の接合構造は、一方のプレキャストコンクリート部材の接合端面には、上下方向に複数段で配置された各鉄筋に接合された定着用埋込部材が埋設され、前記定着用埋込部材には開口を外部に臨ませたポケット状の切欠き溝が形成されるとともに、前記切欠き溝の形状と同形状で上下方向に沿ってコンクリートに切欠き溝が形成されることによって上下方向に連続する縦溝が形成され、他方のプレキャストコンクリート部材の接合端面には、上下方向に複数段で配置された各鉄筋が外部まで突出して設けられるとともに、この突出した鉄筋の先端部に前記ポケット状切欠き溝に嵌合される定着部材が固定され、前記他方のプレキャストコンクリート部材の接合端面に突出して設けられた鉄筋の定着部材を、前記一方のプレキャストコンクリート部材の縦溝に沿って挿入してプレキャストコンクリート部材同士を連結するとともに、前記他方のプレキャストコンクリート部材の定着部材を、前記一方のプレキャストコンクリート部材の定着用埋込部材のポケット状切欠き溝部分に位置決めした状態で、隙間部分にグラウト材を充填することによって構成されるものである。この接合構造によれば、現場での溶接作業を不要とするとともに、使用するグラウト材の量を低減することにより、作業時間の短縮及び施工コストの削減ができ、かつ接合部の幅を小さくすることにより良好な外観とすることができる。

【0059】
前記アウターケーブル31は、緊張力を導入する際の緊張端とされた定着具30によって両端が定着されている。前記定着具30は、図11(A)に示されるように、プレキャスト筒状体12の外周に設けられた台座コンクリート32に設置され、図10(A)に示されるようにプレキャスト筒状体12の直径方向に対向する2箇所に設けられている。前記定着具30は、詳細には、図12に示されるように、前記台座コンクリート32に設置される座板33と、前記座板33の両側からそれぞれ所定の内向き角度で立設される側板34、34と、前記側板34、34間に長手方向に所定の間隔で立設される複数の支圧板35、35…とから主に構成されている。また、一方の側板34には、外方に突出して、前記プレキャスト筒状体12を吊り上げる際の吊り上げ金具36が備えられている。

【0060】
図12及び図13に示されるように、一方の側板34には、長手方向に所定の間隔で前記アウターケーブル31の端部に固着されたマンション43を内側から挿入するための開孔34a、34a…が設けられている。前記開孔34aから突出させたマンション43には、アンカープレート37及びナット38が取り付けられ、前記ナット38を締め込むことにより、この側板34を緊張端とした緊張力が導入可能とされている。また、これに対向する他方の側板34には、その起立基端部に前記アウターケーブル31を挿通させるための開口34bが設けられている。

【0061】
前記支圧板35は、前記アウターケーブル31を各側板34、34に設けられた開孔34a及び開口34bにそれぞれ挿通させた状態で、前記アウターケーブル31の両側に平行する一対で設けられている。隣接するアウターケーブル31、31に対応する隣接する支圧板35、35間には、これら支圧板35、35に垂直な2枚の支持壁39、39が立設されている。

【0062】
前記定着具30は、プレキャスト筒状体12の直径方向に対向する2箇所に設けることが好ましく、これによって両側の定着具30、30間に張設される1本のアウターケーブル31は、プレキャスト筒状体12の約半周分を締結するように配設される。

【0063】
両側の前記定着具30、30にはそれぞれ、プレキャスト筒状体12を吊り上げる際の吊り上げ金具36が備えられている。このため、別途吊り上げのための架台などを組むことなく、プレキャスト筒状体12をクレーンで吊り上げることが可能となる。

【0064】
前記アウターケーブル31は、前記定着具30に対して、プレキャスト筒状体12の一方側を半周するものと、他方側を半周するものとが、ほぼ互い違いになるように配置されている。図示例では、図10(B)に示されるように、軸方向両端のアウターケーブル31を除いて、中間のアウターケーブル31が、2本一組として、一方側(左半分)を半周するものと、他方側(右半分)を半周するものとが交互に設けられている。なお、一方側を半周するアウターケーブル31の本数と、他方側を半周するアウターケーブル31の本数とは同一とする。

【0065】
前記アウターケーブル31としては、PC鋼棒又はPC鋼より線を用いてもよいが、図13に示されるように、PC鋼より線40の外周に防錆・潤滑剤としてグリース41を塗布し、更にポリエチレン等の合成樹脂42を被覆加工したアンボンド線材を用いることが好ましい。アウターケーブル31としてアンボンド線材31を用いることにより、潤滑性に優れるためプレキャスト筒状体12を均一に締め付けることができるとともに、防錆性、施工性及び作業性に優れるようになる。前記PC鋼より線の両端にはそれぞれ、定着用のマンション43が固着されるとともに、そのマンション43の基部の外周にストッパーシース44が固着されている。前記ストッパーシース44の外径は前記側板34に設けられた開孔34aの内径より大きく形成され、アウターケーブル31による締め込みすぎを防止している。

【0066】
次に、前記下側コンクリート浮体構造部2Aの組立手順について説明する。図14に示されるように、先ずはじめに第1工程として、施工資材搬入とその組立てを行うとともに、鉄板やH鋼、角材を設置して敷設準備を行う。

【0067】
次に、第2工程として、図15に示されるように、分割プレキャスト筒状体12a~12dを周方向に接合してリング状のプレキャスト筒状体12を構築するためのリング構築架台45を設置するとともに、このリング構築架台45に前記プレキャスト筒状体12の内面に当接して所定のリング状に仕上げるための案内となる内面定規46を設置する。

【0068】
第3工程として、図16に示されるように、1/4に分割された分割プレキャスト筒状体12a~12dのうち、2つの分割プレキャスト筒状体12a、12bを前記内面定規46に合わせてリング構築架台45上に設置し、1/2リング状の分割プレキャスト筒状体を構築する。具体的には、これら分割プレキャスト筒状体12a、12bの接合端面に接着剤を塗布し、一方の分割プレキャスト筒状体12aを前記内面定規46に合わせてセットしたら、両者の接合端面間に懸架したジャッキ等の引き寄せ治具によってもう一方の分割プレキャスト筒状体12bを引き寄せるようにしてセットする。その翌日、接着剤が乾燥した頃、スリーブモルタルを注入した後、中2日間養生する。

【0069】
その後、図17に示されるように、別途同様にして製作した1/2リング状の分割プレキャスト筒状体を、先に製作した1/2リング状の分割プレキャスト筒状体がセットされた前記内面定規46に合わせてリング構築架台45上に設置し、両者を接合することによってリング状のプレキャスト筒状体12を構築する。これら端面同士の接合要領は前述と同様である。

【0070】
第4工程として、リング状のプレキャスト筒状体12の外面及び内面を防水塗装する。

【0071】
第5工程として、図18に示されるように、定着具30及びアウターケーブル31を設置し、ナット38を締めてアウターケーブル31にプレストレスを導入しプレキャスト筒状体12を締め付ける。前記アウターケーブル31を設置する際、定着具30、30の間に所定間隔でガイド部材を設けておき、これに沿わせるように取り付けるのが好ましい。

【0072】
第6工程として、図19に示されるように、リング構築架台45上に横向きに構築されたプレキャスト筒状体12をクレーンで吊り下げ、図20に示されるように、横向きのまま回転架台47に移動する。回転架台47では、図21に示されるように、架台の一端をクレーンで吊り上げてプレキャスト筒状体12とともに建て起こす。

【0073】
第7工程として、図22に示されるように、回転架台47の固定を外し、前記定着具30の吊り上げ金具36に治具を装着してプレキャスト筒状体12をクレーンで吊り上げた後、図23に示されるように、据え置き架台48に設置する。このとき、既に設置・連結済みのプレキャスト筒状体12とは500mm程度の間隔をあけて設置する。

【0074】
そして、第8工程として、既に設置連結済みのプレキャスト筒状体12と、今回新たに連結するプレキャスト筒状体12との接合端面に接着剤を塗布し、上述の通り軸方向に連結する。具体的には、図24に示されるように、クレーンでプレキャスト筒状体12を僅かに吊り上げた状態で、ジャッキ等によって引き寄せるようにして、PC鋼棒19、19…をシース21、21…に挿通させながらプレキャスト筒状体12を連結する。その後、上述の通り、図4に示されるように、PC鋼棒19に張力を導入し、シース21内にグラウト材を注入し、緊結する。

【0075】
上記第2工程から第8工程を繰り返すことによって、コンクリート製浮体構造2Aが完成する。

【0076】
本発明に係る浮体式洋上風力発電設備1では、下側コンクリート浮体構造2Aとして、プレキャスト筒状体12を周方向に複数に分割した分割プレキャスト筒状体を接合することによって構成した場合でも、プレキャスト筒状体12の外周に、緊張力が導入されたアウターケーブル31を周方向に沿って巻回してあるため、プレキャスト筒状体12が円周方向に締め付けられ、曲げ強度が増し、プレキャスト筒状体12の連結作業や、浮体式洋上風力発電設備1の建て起こし作業など、下側コンクリート浮体構造2Aに曲げ応力が作用する場合でも、コンクリート浮体構造2Aの変形及び破損が防止できるようになる。

【0077】
前記アウターケーブル31は、浮体式洋上風力発電設備1の設置後も継続して設置しておくようにしてもよいが、浮体式洋上風力発電設備1の設置後は大きな曲げ応力が作用しないため、前記浮体式洋上風力発電設備1の組立時のみの仮設とし、浮体式洋上風力発電設備1の設置後は取り外し可能としてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…浮体式洋上風力発電設備、2…浮体、2A…下側コンクリート浮体構造部、2B…上側鋼製浮体構造部、3…係留索、4…タワー、5…風車、6…ナセル、7…ブレード、8…ヨー抑制フィン、12…プレキャスト筒状体、30…定着具、31…アウターケーブル、36…吊り上げ金具
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
11
【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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