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明細書 :グラウンドアンカーの軸力測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6419543号 (P6419543)
公開番号 特開2016-099153 (P2016-099153A)
登録日 平成30年10月19日(2018.10.19)
発行日 平成30年11月7日(2018.11.7)
公開日 平成28年5月30日(2016.5.30)
発明の名称または考案の名称 グラウンドアンカーの軸力測定方法
国際特許分類 G01L   5/00        (2006.01)
E02D   5/80        (2006.01)
FI G01L 5/00 103C
E02D 5/80 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2014-234437 (P2014-234437)
出願日 平成26年11月19日(2014.11.19)
審査請求日 平成29年10月5日(2017.10.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
発明者または考案者 【氏名】塩谷 智基
【氏名】藤原 優
個別代理人の代理人 【識別番号】100082418、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 朔生
審査官 【審査官】公文代 康祐
参考文献・文献 特開2002-004274(JP,A)
国際公開第83/003470(WO,A1)
特開2007-101205(JP,A)
米国特許第07441471(US,B1)
調査した分野 G01L 5/00
E02D 5/80
G01B 17/00-17/08
特許請求の範囲 【請求項1】
ラウンドアンカーの軸力測定方法であって、
支圧板の側面で超音波を発振して、前記支圧板に設けた支圧板孔の位置、寸法および面積を測定し、
測定された前記支圧板孔の位置、寸法および面積を用いて、前記グラウンドアンカーの頭部に設けたアンカー頭部と前記支圧板とが接触している、支圧面積を算出し、
アンカー頭部の上面の複数点で、超音波を支圧板方向に発振して反射波を計測し、
前記反射波の振幅から、前記複数点における前記アンカー頭部の応力を算出し、
前記複数点の応力を平均して、平均応力を算出し、
前記支圧面積と前記平均応力の積から軸力を算出する、
グラウンドアンカーの軸力測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載のグラウンドアンカーの軸力測定方法において、
前記複数点の反射波のうち、受圧板表面からの反射波が計測できない点の反射波の値を、平均応力の算出時に除外することを特徴とする、
グラウンドアンカーの軸力測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、斜面の安定化などに用いるグラウンドアンカーの軸力を測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
斜面を安定化する方法として、図1に示すグラウンドアンカー工法が知られている。
グラウンドアンカー工法は、アンカー体31をセメントグラウト37によって地中に拘束し、自由長部32に軸力(引張り力)を付与した状態でアンカー頭部33やくさび34を介して支圧板35および受圧板36に定着することにより、斜面内部に圧縮力を与えて安定化するものである。
グラウンドアンカーは高度経済成長期より大量に打設されており、その数は、高速道路沿いの斜面を中心に12万本以上に達している。
現在、多数のグラウンドアンカーは施工から数十年を迎え、機能が低下しているものも多く、維持管理を行うためには残存緊張力(軸力)の測定が必要となる。
グラウンドアンカーの軸力の測定方法としては、従来のリフトオフ試験に代わるものとして、超音波による透過法が検討されている。
透過法はアンカー頭部33に自由長部32の軸とは垂直な方向に超音波を送信し、その対面で透過波を受信するものである。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2012-233351
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この透過法は以下のような問題がある。
(1)載荷過程と除荷過程とで得られる超音波パラメータが異なるといったヒステリシスの問題がある。
(2)くさびタイプのグラウンドアンカーでは超音波の伝播経路によって、得られる数値が大きく異なる。
【0005】
本発明は、大がかりな装置が必要なく、簡便に多数のグラウンドアンカーの軸力を測定することができる、グランドアンカーの軸力の測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、グラウンドアンカーの軸力測定方法であって、支圧板の側面で超音波を発振して、前記支圧板に設けた支圧板孔の位置、寸法および面積を測定し、測定された前記支圧板孔の位置、寸法および面積を用いて、前記グラウンドアンカーのアンカー頭部と前記支圧板とが接触している、支圧面積を算出し、アンカー頭部の上面の複数点で、超音波を支圧板方向に発振して反射波を計測し、前記反射波の振幅から、前記複数点における前記アンカー頭部の応力を算出し、前記複数点の応力を平均して、平均応力を算出し、前記支圧面積と前記平均応力の積から軸力を算出する、グラウンドアンカーの軸力測定方法を提供する。
本願の第2発明は、第1発明のグラウンドアンカーの軸力測定方法において、前記複数点の反射波のうち、受圧板表面からの反射波が計測できない点を、平均応力の算出時に除外することを特徴とする、グラウンドアンカーの軸力測定方法を提供する。

【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)透過法とは異なり、くさびの位置ではなくアンカー頭部から支圧板方向の反射波を測定するため、載荷過程および除荷過程で同じ履歴をたどり、正しく荷重を評価することができる。
(2)アンカー頭部の上面から支圧板方向(軸方向)に超音波を発振して反射波を計測するため、超音波の伝播経路が一定であり、均一な測定結果を得ることができる。
(3)超音波により測定するものであるため、従来の測定方法と比較して、大がかりな装置が不要であり、簡便に多数のアンカーの軸力を測定することができる。
(4)簡便に多数のアンカーの軸力を測定することができるため、詳細な調査実施の判断が可能となり、これまでに補完的に推定されていた斜面全体の安定性が、より精緻に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のグラウンドアンカーの軸力測定方法の実施図(1)
【図2】本発明のグラウンドアンカーの軸力測定方法の実施図(2)
【図3】支圧板の寸法測定の説明図
【図4】支圧面積の算出方法の説明図
【図5】軸方向反射波の説明図
【図6】アンカー頭部と支圧板が接触していない点の反射の説明図
【図7】くり返し反射波の振幅から応力を算出する説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図に示す実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
(1)測定装置。
本発明の軸力測定方法のための軸力測定装置は、図1に示す超音波を送受信する超音波センサ1と、超音波センサ1で受信した超音波を計測する超音波計測器2と、からなる。
超音波センサ1は超音波計測器2にケーブルを介して接続する。
【実施例】
【0011】
(2)グラウンドアンカー。
グラウンドアンカー工法は、アンカー体31をセメントグラウト37によって地中に拘束し、自由長部32に軸力(引張り力)を付与した状態でアンカー頭部33やくさび34を介して支圧板35および受圧板36に定着する。
自由長部32はPC鋼線や炭素繊維からなる。
自由長部32は、地盤から支圧板35の支圧板孔351およびアンカー頭部33のくさび挿通孔331を貫通して露出する側の端部にくさび34を取り付け、くさび34を自由長部32の軸力によってアンカー頭部33のくさび挿通孔331に貫入させることにより、アンカー頭部33と自由長部32が連結される。(図1)
【実施例】
【0012】
また、自由長部32は鋼棒(PC鋼棒)であってもよい。
この場合、自由長部32は地盤から露出する側の端部が雄ネジ状に形成されており、六角ナットからなるアンカー頭部33と自由長部32は螺合される。(図2)
【実施例】
【0013】
いずれの場合にも、支圧板35および受圧板36は軸力を付与した自由長部32に挿通しており、アンカー頭部33により、斜面である地盤に緊締する。
【実施例】
【0014】
(3)軸力測定。
自由長部32の軸力測定は、以下の手順により行う。
【実施例】
【0015】
(3-1)支圧板の位置、寸法測定。
支圧板35の側面に超音波センサ1を当接し、支圧板35を横断するように超音波を発振し、支圧板35の形状や支圧板35の端部から支圧板孔351の端部までの距離から、支圧板35に設けられている支圧板孔351の位置、寸法および面積を測定する。(図3)
支圧板孔351はアンカー頭部33の下に位置しているため目視することはできないが、超音波により、位置、寸法、および面積を求めることができる。
【実施例】
【0016】
(3-2)支圧面積の算出。
アンカー頭部33は支圧板35の上面に位置する。よって、アンカー頭部33の寸法や支圧板35に対する位置、断面積、くさび挿通孔331の位置、面積を求める。
そしてアンカー頭部33の断面積から、(3-1)で測定した支圧板孔351の面積と、くさび挿通孔331のうちで支圧板孔351から外れる部分の面積Sとを差し引いて、アンカー頭部33が支圧板35に接触している面積(支圧面積)Sを求める。(図4)
【実施例】
【0017】
(3-3)軸方向反射波の計測。
超音波センサ1をアンカー頭部33の上面にあてて、超音波をアンカー頭部33上面から支圧板35方向(自由長部32の軸方向)に発振し、反射波を計測する。
計測は、超音波センサ1の受感面がアンカー頭部33からはみ出さないようにあて、まんべんなく複数点を計測する。
軸方向反射波は、アンカー頭部33と支圧板35の境界面と、支圧板35と受圧板36の境界面の二カ所で反射するとともに、当該境界面での反射波がアンカー頭部の表面で反射するため、図5のような波形(繰り返し反射波)が計測される。
【実施例】
【0018】
(3-4)反射波の振幅の算出。
(3-3)で計測した軸方向反射波のうち、支圧板35と受圧板36の境界面からの反射波の振幅が計測できない点であって、(3-2)のアンカー頭部33と支圧板35との位置関係からアンカー頭部33の上面から支圧板孔351に向けて発射されて得られたと考えられる反射波については、アンカー頭部33と支圧板35が接触していない箇所であり、求めようとする自由長部32の軸力が反映されていないため除外する。(図6)
また、いずれかの計測点において、アンカー頭部33と支圧板35の境界面からの反射波の振幅が大きい点と小さい点がある場合には、反射波の振幅が小さい点は、アンカー頭部33と支圧板35が接触してない箇所であるため同じく除外する。
【実施例】
【0019】
(3-5)各点の応力の算出。
アンカー頭部33と支圧板35の接触面や、支圧板35と受圧板36との接触面には微視的には凹凸が存在し、直接接触している真実接触部分と、空隙などによる非接触部分がある。そして、真実接触部分の面積は、応力(垂直荷重)の増加に比例する。
そして、応力が増加すると、真実接触部分の面積も増加することにより、支圧板35や受圧板36へ透過する波が増加し、反射波として超音波センサ1によって計測される波が減少して振幅が小さくなる。
このような接触面の反射特性の変化は微細だが、接触面での反射を繰り返すことによって、接触面の反射特性がより顕著に反映される。
以上のような関係から、図7のように、各点の反射波の振幅から、各点の応力を算出する。
測定環境や測定精度により好適な反射波は異なるが、3番目の反射波を用いる場合には、以下の式1を用いる。
[式1]
y=(0.0094±0.005)x
(y:振幅、x:応力)
【実施例】
【0020】
(3-6)軸力の算出。
(3-5)で算出した各点の応力から、平均応力を算出する。
そして、平均応力と(3-2)で算出した支圧面積の積から軸力を算出する。
【実施例】
【0021】
本発明の軸力測定方法は、従来の測定方法と比較して、大がかりな装置が不要であり、簡便に多数のアンカーの軸力を測定することができる。この結果から、さらに詳細な調査実施の判断が可能となる。
また、これまでに補完的に推定されていた斜面全体の安定性が、より精緻に判断できる。
【符号の説明】
【0022】
1 超音波センサ
2 超音波計測器
31 アンカー体
32 自由長部
33 アンカー頭部
331 くさび挿通孔
34 くさび
35 支圧板
351 支圧板孔
36 受圧板
37 セメントグラウト
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6