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明細書 :無線通信システム及び無線通信方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6156936号 (P6156936)
公開番号 特開2016-021647 (P2016-021647A)
登録日 平成29年6月16日(2017.6.16)
発行日 平成29年7月5日(2017.7.5)
公開日 平成28年2月4日(2016.2.4)
発明の名称または考案の名称 無線通信システム及び無線通信方法
国際特許分類 H04W  74/08        (2009.01)
H04W  84/12        (2009.01)
H04W  52/24        (2009.01)
H04W  72/08        (2009.01)
FI H04W 74/08
H04W 84/12
H04W 52/24
H04W 72/08 110
請求項の数または発明の数 6
全頁数 18
出願番号 特願2014-144344 (P2014-144344)
出願日 平成26年7月14日(2014.7.14)
審査請求日 平成28年7月13日(2016.7.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】工藤 理一
【氏名】石原 浩一
【氏名】アベーセーカラ ヒランタシティラ
【氏名】溝口 匡人
【氏名】山本 高至
【氏名】塩谷 郁弥
個別代理人の代理人 【識別番号】110001634、【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
審査官 【審査官】石田 紀之
参考文献・文献 国際公開第2014/073706(WO,A1)
特開2010-193446(JP,A)
塩谷 郁弥 他,無線LANスループット改善のための送信電力・キャリア検出閾値反比例設定法 RCS2014-45,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2014年 6月10日,Vol.114 No.86
調査した分野 H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
特許請求の範囲 【請求項1】
基地局装置と、前記基地局装置を制御する集中制御局とを備える無線通信システムであって、
前記基地局装置は、
受信信号の受信信号レベルを検出する受信信号レベル検出部と、
検出された受信信号レベルを前記集中制御局に送信し、自装置のデータ送信を行わないことを判定するための基準となる基準値と、送信電力の値とを制御するための制御係数を前記集中制御局から受信する情報信号入出力部と、
受信された前記制御係数を用いて、設定されている基準値及び送信電力の値を新たに設定する制御部と、
前記受信信号レベルが、基準値未満である場合に通信相手に対する送信信号を生成する送信信号生成部と、
生成された前記送信信号を前記通信相手に送信する信号送信部と、
を備え、
前記集中制御局は、
前記基地局装置から送信された受信信号レベルに基づいて制御係数を算出する制御係数算出部と、
算出された前記制御係数を前記基地局装置に送信する情報信号入出力部と、
を備える無線通信システム。
【請求項2】
前記制御係数算出部は、受信信号レベルの比の逆数が、前記基地局装置に通知する制御係数の比となるように制御係数を算出する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記集中制御局は、
制御係数を用いることで互いの送信信号に対する受信電力を基準値以下に設定できる基地局装置の組を検出するグループ検出部をさらに備え、
前記制御係数算出部は、前記組に属する基地局装置から収集した受信信号レベルの比の逆数が、前記組に属する基地局装置に通知する制御係数の比となるように制御係数を算出する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記グループ検出部は、収集された基地局装置間の受信信号レベルが予め定めた第1の設定値以上である場合に、受信信号レベルが予め定めた第1の設定値以上である基地局装置を制御対象から除く、請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記グループ検出部は、収集された基地局装置と通信相手間の受信信号レベルが予め定めた第2の設定値未満である場合に、受信信号レベルが予め定めた第2の設定値未満である基地局装置を制御対象から除く、請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項6】
基地局装置と、前記基地局装置を制御する集中制御局とを備える無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記基地局装置が、受信信号の受信信号レベルを検出する受信信号レベル検出ステップと、
前記基地局装置が、検出された受信信号レベルを前記集中制御局に送信し、自装置のデータ送信を行わないことを判定するための基準となる基準値と、送信電力の値とを制御するための制御係数を前記集中制御局から受信する情報信号入出力ステップと、
前記基地局装置が、受信された前記制御係数を用いて、設定されている基準値及び送信電力の値を新たに設定する制御ステップと、
前記基地局装置が、前記受信信号レベルが、基準値未満である場合に通信相手に対する送信信号を生成する送信信号生成ステップと、
前記基地局装置が、生成された前記送信信号を前記通信相手に送信する信号送信ステップと、
前記集中制御局が、前記基地局装置から送信された受信信号レベルに基づいて制御係数を算出する制御係数算出ステップと、
前記集中制御局が、算出された前記制御係数を前記基地局装置に送信する情報信号入出力ステップと、
を有する無線通信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANシステムとその他の無線システムが共存するヘテロジニアスネットワークシステムに用いられる無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信に求められるトラヒック量は年々増加しており、無線区間全体でのスループットを増加させることが求められている。無線LANの標準化規格IEEE802.11では、無線端末が密集しているような環境でもスループットを向上させることを目指し、HEW(High efficient wireless LAN)SG(スタディグループ)を立ち上げ、標準化を目指している。このような中で、無線LANシステムにおいて前提条件であるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance)において、CCA(Clear Channel Assessment)レベルを制御することが新たに提案されている。
【0003】
無線LAN端末は、他の無線LAN端末から受信した信号の受信信号レベルがCCAレベル未満であれば、送信を行えるため、CCAレベルを高く設定することで送信権の取得率を向上することができる。しかしながら、その一方で、送信権の取得率を向上するために各無線LAN端末が勝手にCCAレベルを高く設定すると全ての無線LAN端末が自由に送信を開始し、干渉の増大によりシステムスループットが低下してしまう。システムスループットとは、個々の無線LAN端末におけるスループットではなく、複数の無線LAN端末を備える無線LANシステム全体のスループットである。このような問題によりシステムスループットが低下しないように非特許文献1ではCCAレベルを高くすると同時に送信電力を下げるように制御を行うことを想定している。しかしながら、個別の無線LAN端末が自己最適化を図ろうとすれば、CCAレベルを高くすることを優先してしまうリスクがある。
【0004】
図12は、従来の無線LANにおける無線端末2の構成を示すブロック図である。図12に示す無線端末2は、アンテナ10、無線システム信号送受信回路12、送信変調回路13、受信復号回路14、受信レベル取得回路16及び情報信号入出力回路17を備える。無線端末2は、アンテナ10を介して、無線信号を無線システム信号送受信回路12において受信する。無線システム信号送受信回路12は、受信信号に同期を行った後でアナログ・デジタル変換を行うことによって受信信号をデジタル信号に変換する。その後、無線システム信号送受信回路12は、デジタル信号を受信復号回路14に出力するとともに、受信信号の受信信号レベルに関する情報を受信レベル取得回路16に出力する。
【0005】
受信レベル取得回路16は、入力された受信信号レベルが予め定められたCCAレベルより高い場合、信号検出を情報信号入出力回路17に通知する。また、受信レベル取得回路16は、入力された受信信号レベルが予め定められたCCAレベルより低くなった際には、信号検出状態を取り消す旨を情報信号入出力回路17に通知する。情報信号入出力回路17が考慮するCCAレベルは、受信信号が未知のシステムである場合と、無線端末2と同種の無線システムである場合とで異なる値を用いることができる。
【0006】
受信復号回路14は、無線システム信号送受信回路12から入力されたデジタル信号に対し、復号を行い、得られた信号が自無線端末2宛ての信号である場合には、得られたデータビットを情報信号入出力回路17に出力する。一方、受信復号回路14は、復号されたデータビットが自無線端末2宛てではない場合には、復号を行わないこともできる。受信復号回路14は、復号したビットが誤りなく取得されたと判定された場合、無線システム信号送受信回路12に信号を正常に受信した旨を通知する。無線システム信号送受信回路12は、正常に受信した旨が入力されると、正常に受信した旨を示すACK(Acknowledge)信号を生成し、送信に適したアナログ信号に変換し、搬送波周波数にアップコンバートした上で、アンテナ10を介して送信する。
【0007】
情報信号入出力回路17に他の無線端末宛ての送信信号が入力された場合、情報信号入出力回路17は自装置が信号検出状態であるか否か判定する。自装置が信号検出状態である場合、情報信号入出力回路17は信号検出状態が受信レベル取得回路16から取り消されるまで待機する。一方、自装置が信号検出状態ではない、又は、受信レベル取得回路16から信号検出状態が取り消された場合、情報信号入出力回路17はCSMA/CAの規定に従いランダム時間待機した後、データビットを送信変調回路13に出力する。送信変調回路13は、入力されたデータビットに変調を行うことによって変調信号を生成し、生成した変調信号を無線システム信号送受信回路12に出力する。無線システム信号送受信回路12は、入力された変調信号をアナログ信号へ変換し、アップコンバートし、アンテナ10を介して通信相手となる無線端末に送信する。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】Koichi Ishihara, et al., "Simultaneous Transmission Technologies for HEW," IEEE 11-13/1395r2, Nov. 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、各無線端末が自己のスループット最適化のため、受信信号レベル判定におけるCCAレベルを自由にコントロールすると、システムスループットが大きく低下する。すなわち、CSMA/CAに基づく無線システムにおいて、各無線端末が自己のスループットを最大化するようにCCAレベルを大きくすると、干渉の増大によりシステムスループットが大きく低下してしまうという問題がある。
【0010】
上記事情に鑑み、本発明は、複数の無線システムが共存する際に、システムスループットの低下を抑制することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、基地局装置と、前記基地局装置を制御する集中制御局とを備える無線通信システムであって、前記基地局装置は、受信信号の受信信号レベルを検出する受信信号レベル検出部と、検出された受信信号レベルを前記集中制御局に送信し、自装置のデータ送信を行わないことを判定するための基準となる基準値と、送信電力の値とを制御するための制御係数を前記集中制御局から受信する情報信号入出力部と、受信された前記制御係数を用いて、設定されている基準値及び送信電力の値を新たに設定する制御部と、前記受信信号レベルが、基準値未満である場合に通信相手に対する送信信号を生成する送信信号生成部と、生成された前記送信信号を前記通信相手に送信する信号送信部と、を備え、前記集中制御局は、前記基地局装置から送信された受信信号レベルに基づいて制御係数を算出する制御係数算出部と、算出された前記制御係数を前記基地局装置に送信する情報信号入出力部と、を備える無線通信システムである。
【0012】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記制御係数算出部は、受信信号レベルの比の逆数が、前記基地局装置に通知する制御係数の比となるように制御係数を算出する。
【0013】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記集中制御局は、制御係数を用いることで互いの送信信号に対する受信電力を基準値以下に設定できる基地局装置の組を検出するグループ検出部をさらに備え、前記制御係数算出部は、前記組に属する基地局装置から収集した受信信号レベルの比の逆数が、前記組に属する基地局装置に通知する制御係数の比となるように制御係数を算出する。
【0014】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記グループ検出部は、収集された基地局装置間の受信信号レベルが予め定めた第1の設定値以上である場合に、受信信号レベルが予め定めた第1の設定値以上である基地局装置を制御対象から除く。
【0015】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記グループ検出部は、収集された基地局装置と通信相手間の受信信号レベルが予め定めた第2の設定値未満である場合に、受信信号レベルが予め定めた第2の設定値未満である基地局装置を制御対象から除く。
【0016】
本発明の一態様は、基地局装置と、前記基地局装置を制御する集中制御局とを備える無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記基地局装置が、受信信号の受信信号レベルを検出する受信信号レベル検出ステップと、前記基地局装置が、検出された受信信号レベルを前記集中制御局に送信し、自装置のデータ送信を行わないことを判定するための基準となる基準値と、送信電力の値とを制御するための制御係数を前記集中制御局から受信する情報信号入出力ステップと、前記基地局装置が、受信された前記制御係数を用いて、設定されている基準値及び送信電力の値を新たに設定する制御ステップと、前記基地局装置が、前記受信信号レベルが、基準値未満である場合に通信相手に対する送信信号を生成する送信信号生成ステップと、前記基地局装置が、生成された前記送信信号を前記通信相手に送信する信号送信ステップと、前記集中制御局が、前記基地局装置から送信された受信信号レベルに基づいて制御係数を算出する制御係数算出ステップと、前記集中制御局が、算出された前記制御係数を前記基地局装置に送信する情報信号入出力ステップと、を有する無線通信方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、複数の無線システムが共存する際に、システムスループットの低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態における無線通信システムのシステム構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態による無線通信システムの効果を示すために定義した無線端末間のチャネル条件を示す図である。
【図3】パラメータの一例を示す説明図である。
【図4】送信電力CCA制御係数aの値を制御した場合の周波数利用効率の増大を表したグラフである。
【図5】2.4GHzの無線LAN基地局4台(無線LAN基地局#1、#2、#3、#4)によるスループット評価実験の実験図である。
【図6】総スループットの変化を表す図である。
【図7】装置間の距離がD=16mである無線LAN基地局#1と#3の個別のスループットの結果を示す図である。
【図8】集中制御局200の処理の流れを表すフローチャートである。
【図9】基地局装置100の設定処理の流れを表すフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態における無線通信システムのシステム構成を示す概略ブロック図である。
【図11】集中制御局200aの処理の流れを表すフローチャートである。
【図12】従来の無線LANにおける無線端末2の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な構成例(第1実施形態及び第2実施形態)について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態における無線通信システムのシステム構成を示す概略ブロック図である。第1実施形態における無線通信システムは、基地局装置100-1~100-M(Mは2以上の整数)及び集中制御局200を備える。集中制御局200には、基地局装置100-1~100-Mが接続される。なお、以下の説明では、基地局装置100-1~100-Mについて特に区別しない場合には基地局装置100と記載する。

【0020】
基地局装置100は、集中制御局200の制御に従って自装置の基準値及び送信電力の値を新たに設定する。基準値は、基地局装置100のデータ送信を行わないことを判定するための基準となる値であり、例えばCCAレベルの値である。なお、以下の説明では、基準値がCCAレベルの値である場合を例に説明する。
集中制御局200は、各基地局装置100から受信した情報に基づいて各基地局装置100のCCAレベルの値及び送信電力の値を制御する。集中制御局200は、各基地局装置100から受信した受信信号レベル(RSSI:Received Signal Strength Indicator)の値に基づいて、基地局装置100のCCAレベルの値及び送信電力の値を制御するための値(以下、「送信電力CCA制御係数」という。)を算出し、算出した送信電力CCA制御係数(制御係数)を基地局装置100に送信する。
以下、基地局装置100及び集中制御局200それぞれについて具体的に説明する。

【0021】
まず、基地局装置100の具体的な機能構成について説明する。基地局装置100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御プログラムの実行によって、基地局装置100は、無線システム信号送受信回路101、受信信号レベル検出部102、受信復号回路103、CCA判定回路104、情報信号入出力回路105、送信電力/CCA制御回路106、送信変調回路107を備える装置として機能する。なお、基地局装置100の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。

【0022】
無線システム信号送受信回路101は、アンテナを介して、他の通信装置との間で無線信号を送受信する。例えば、無線システム信号送受信回路101は、他の基地局装置100又は自装置に帰属する通信端末との間で無線信号を送受信する。無線システム信号送受信回路101は、受信した無線信号に同期を行った後、アナログ・デジタル変換を行い、得られたデジタル信号を受信信号レベル検出部102及び受信復号回路103に出力する。また、無線システム信号送受信回路101は、受信復号回路103から信号を正常に受信した旨の通知が入力されると、正常に受信した旨を示すACK信号を生成する。そして、無線システム信号送受信回路101は、ACK信号を送信に適したアナログ信号に変換し、搬送波周波数にアップコンバートした上でアンテナ10を介して無線信号の送信元の装置に送信する。

【0023】
受信信号レベル検出部102は、無線システム信号送受信回路101によって受信された無線信号の受信信号レベル(RSSI)を検出する。受信信号レベル検出部102は、検出した無線信号の受信信号レベル(RSSI)をCCA判定回路104及び情報信号入出力回路105に出力する。
受信復号回路103は、無線システム信号送受信回路101から入力されたデジタル信号に対して復号を行う。得られた信号が自装置宛ての信号である場合には、得られたデータビットを情報信号入出力回路105に出力する。一方、受信復号回路103は、復号されたデータビットが自装置宛てではない場合には、復号を行わないこともできる。受信復号回路103は、復号したビットが誤りなく取得されたと判定された場合、無線システム信号送受信回路101に信号を正常に受信した旨を通知する。

【0024】
CCA判定回路104は、受信信号レベル検出部102によって検出された受信信号レベルがCCAレベル以上であるか否か判定する。受信信号レベルがCCAレベル以上である場合、CCA判定回路104は信号検出を情報信号入出力回路105に通知する。一方、受信信号レベルがCCAレベル未満である場合、CCA判定回路104は信号検出状態を取り消す旨を情報信号入出力回路105に通知する。信号検出状態とは、自装置の通信に影響を及ぼすおそれのある信号を送信している通信装置が自装置の周辺に存在していることを検出している状態を表す。CCA判定回路104が考慮するCCAレベルは、受信信号が未知のシステムから送信された信号である場合と、無線端末と同種の無線システムから送信された信号である場合とで異なる値を用いることができる。

【0025】
情報信号入出力回路105は、集中制御局200との間で通信を行う。例えば、情報信号入出力回路105は、受信信号レベル検出部102から入力された受信信号レベルの情報を含む情報信号を集中制御局200に送信する。例えば、情報信号入出力回路105は、集中制御局200から送信電力CCA制御係数の情報を含む情報信号を受信する。また、情報信号入出力回路105は、他の通信装置宛ての送信信号が入力された場合、自装置が信号検出状態であるか否か判定する。自装置が信号検出状態である場合、情報信号入出力回路105は信号検出状態がCCA判定回路104から取り消されるまで待機する。一方、自装置が信号検出状態ではない、又は、CCA判定回路104から信号検出状態が取り消された場合、情報信号入出力回路105はCSMA/CAの規定に従いランダム時間待機した後、データビットを送信変調回路107に出力する。なお、信号検出状態は、CCA判定回路104から信号検出が通知された場合に基地局装置100がなる状態である。

【0026】
送信電力/CCA制御回路106は、情報信号入出力回路105によって受信された情報信号に含まれる送信電力CCA制御係数に基づいて自装置のCCAレベルの値及び送信電力を設定する。
送信信号生成部である送信変調回路107は、入力されたデータビットに対して変調を行うことによって送信信号を生成する。より具体的には、送信変調回路107は、入力されたデータビットに対して、送信電力/CCA制御回路106で設定された送信電力に対応する変調方式と符号化率からなる変調モードに変更して送信信号を生成する。

【0027】
次に、集中制御局200の具体的な機能構成について説明する。集中制御局200は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御プログラムの実行によって、集中制御局200は、情報信号入出力回路201、RSSI情報管理回路202、送信電力CCA制御係数算出回路203を備える装置として機能する。なお、集中制御局200の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。

【0028】
情報信号入出力回路201は、基地局装置100との間で通信を行う。例えば、情報信号入出力回路201は、基地局装置100から受信信号レベルの情報を含む情報信号を受信する。例えば、情報信号入出力回路201は、送信電力CCA制御係数の情報を含む情報信号を基地局装置100に送信する。
RSSI情報管理回路202は、受信された情報信号から受信信号レベルの情報を取得する。RSSI情報管理回路202は、自装置の通信相手が複数存在する場合、各通信相手との通信の割合の情報も取得する。
送信電力CCA制御係数算出回路203は、RSSI情報管理回路202によって取得された受信信号レベルの情報に基づいて送信電力CCA制御係数を算出する。

【0029】
図2は、本実施形態による無線通信システムの効果を示すために定義した無線端末間のチャネル条件を示す図である。図2を参照して、CCAレベル及び送信電力の制御とその効果について説明する。本実施形態による基地局装置100(図2では、無線端末1-1及び1-3)が通信相手となる無線端末1-2及び1-4にそれぞれデータパケットを送信することを考える。G21は無線端末1-1から無線端末1-2へ、G31は無線端末1-1から無線端末1-3へ、G13は無線端末1-3から無線端末1-1へ、G43は無線端末1-3から無線端末1-4へ、G23は無線端末1-3から無線端末1-2へ、G41は無線端末1-1から無線端末1-4へのチャネル利得をそれぞれ表す。ここで、チャネルの対称性を仮定し、G31=G13とし、Gijの範囲は0<Gij<1とした。ここで、CCAレベルと送信電力の制御を表すパラメータとして送信電力CCA制御係数aを定義する。これはCCAレベルと送信電力の積の値を一定とすることで、外部への干渉の影響を最小化するための仮定である。つまり、送信電力CCA制御係数aを-10dBと設定した場合、送信電力を10dB下げる代わりに、CCAレベルを10dB上げることを意味する。無線端末1-iに適用する送信電力CCA制御係数をaと定義する。すなわち、無線端末1-iに設定される送信電力Pi=P、CCAレベルの初期値をTとすると、設定されるCCAレベルT=T/aとなっている。ここで、送信電力及びCCAレベルをそれぞれデシベル(dB)表記で表すと、送信電力Pi=P+a[dBm]、T=T—a[dBm]と表せる(aは負の数)。

【0030】
集中制御局2は、無線端末1-1及び1-3からG31、G21、G43の情報を収集し、収集した情報に基づいて、無線端末1-1及び1-3それぞれに対応する送信電力CCA制御係数を算出する。そして、集中制御局2は、算出した送信電力CCA制御係数を、対応する無線端末1-1及び1-3に通知する。

【0031】
周辺に同一周波数を用いる他の無線端末は、無線端末が自己スループット最適化のため、受信信号レベル判定におけるCCAレベルを自由にコントロールすると、システムスループットを大きく低下する問題があった。無線端末1-3と無線端末1-1とが互いに検出できる程度に近い場合、G13P+N≧Tの関係を満たす。ここで、Pが送信電力、Nは熱雑音レベル、Tは無線端末(例えば、基地局装置100)がデータの送信を行わないことを判定するための基準となるCCAレベルである。

【0032】
このような条件で無線端末1-3と無線端末1-1が通信相手となる無線端末1-4と無線端末1-2にそれぞれ常に送信を行おうとすると、これら無線端末2台を考慮したシステム全体の周波数利用効率は、以下の式1のように表される。
【数1】
JP0006156936B2_000002t.gif
シャノン容量により、SINRから、log(1+SINR)として周波数利用効率を評価した。ログの前についた1/2は、無線端末1-3と無線端末1-1が時間領域を半分ずつシェアしているためである。

【0033】
本実施形態の構成により、基地局装置100には集中制御局200により通知された送信電力CCA制御係数aだけ受信信号および送信信号のレベルを低下させることを考える。本実施形態の説明で送信電力CCA制御係数と表現していたものはdBで表記していたため、真値で表現し、0<a≦1となる送信電力CCA制御係数は異なる用語で定義したが、どちらも本質的には同じものである。送信電力CCA制御係数をaで設定した場合の周波数利用効率は、以下の式2のように表される。
【数2】
JP0006156936B2_000003t.gif

【0034】
ここではまだCCAレベルを上回る信号が無線端末1-1と無線端末1-3で受信されている。送信電力CCA制御係数を受信信号がCCAレベルを下回るように設定すると、
【数3】
JP0006156936B2_000004t.gif

【0035】
として周波数利用効率が得られる。すなわち、送信電力CCA制御係数の設定により周波数利用効率は、以下の式4のように表される。
【数4】
JP0006156936B2_000005t.gif

【0036】
ここで、図3に示すパラメータにより、送信電力CCA制御係数aによる周波数利用効率の変化を評価する。送信電力を13dBm、しきい値を-82dBm、ノイズレベルを-91dBm、周波数を2.4GHzとした。また、以下の説明を簡単にするため、SINRが十分に大きい環境を仮定し、送信電力CCA制御係数を用いない従来の周波数利用効率をη’、送信電力CCA制御係数を用いる本実施形態の周波数利用効率をη’として以下の式5及び式6のように定義する。

【0037】
【数5】
JP0006156936B2_000006t.gif
【数6】
JP0006156936B2_000007t.gif

【0038】
また、伝搬ロスとしては自由空間を仮定し、Gji=(λ/4πDjiとしている。ここで、テザリングで用いられるような無線端末間距離が非常に短い環境を考え、D21=D43=1[m]、D31=D41=D23=Dとした。本実施形態の構成では、送信側のみ可変ATT(不図示)を用いるものとし、a=a=1とした。さらに、周波数利用効率の評価式はどんなに高いSINRに対しても実用的な変調方式が存在し、かつ、理論的な上限値となる条件となっているため、実際のシステムのパフォーマンスとはずれが生じる問題がある。このため、無線LANの標準化規格IEEE802.11aで用いられている最も高い変調方式(64QAM)と符号化率(3/4)におけるビットレート、2.7bit/s/Hzを上限として用いた。

【0039】
さらに、SINRに対する周波数利用効率を実用の変調方式と符号化率に対して近似した文献を参照し、SINRに対する周波数利用効率の評価式をc(SINR)=log(1+SINR)とする代わりに、c(SINR)=min{2.7,0.52log(1+0.25SINR)とした。

【0040】
図4は、無線端末1-1と無線端末1-2との間の距離D12と、無線端末1-3と無線端末1-2との間の距離D34の大きさに応じて、送信電力CCA制御係数aの値を制御した場合の周波数利用効率の増大を表したグラフである。図4では、送信電力、CCAレベルの制御を行わない場合の周波数利用効率が2.7bit/s/Hzであり、これより高い周波数利用効率を得られる条件が確認できる。図4から距離D12とD34が同じ場合に最も効果が高いが、ずれがある場合には無線端末1-1及び1-3に設定するべき送信電力CCA制御係数aの最適値が同じにはならないことが確認できる。具体的には通信相手との距離が遠い無線端末1-3の送信電力CCA制御係数aより通信相手との距離が近い無線端末1-1の送信電力CCA制御係数aを大きく設定する必要がある。送信電力CCA制御係数aの設定値の違いはRSSIの違いと言い換えることもできる。よって、本実施形態では、集中制御局200が基地局装置100と端末間のRSSIの情報を各基地局装置100から収集し、RSSIのずれに応じた送信電力CCA制御係数aのずれに基づいて各基地局装置のCCAレベル及び送信電力を制御する。

【0041】
RSSIのずれに応じた送信電力CCA制御係数aのずれは、設定できる送信電力CCA制御係数aがa1とa3のみで、かつ、セル間干渉条件G23とG41に大きなずれがないとすると、上記式6の右辺の一行目の2つの項が等しくなるようにa1とa3を設定することで得られる。すなわち、以下の式7を満たすようにa1とa3を設定すればよい。
【数7】
JP0006156936B2_000008t.gif

【0042】
チャネル利得G21、G43を用いて、送信電力CCA制御係数a1、a3を決定するためには、上記式7を満たしつつ、上記式3で表せるηSの条件となるように設定すればよい。すなわち、下記式8で示されるように、
【数8】
JP0006156936B2_000009t.gif
を満たすように設定される。

【0043】
また、以下のように、マージンβを考慮し、装置の個体差を考慮した設計にすることができる。βは1より小さく、0より大きい値で設定される(0<β<1)。この場合、以下の式9が用いられる。
【数9】
JP0006156936B2_000010t.gif

【0044】
そして、式9に式7を代入すると、以下の式10に示すように送信電力CCA制御係数が得られる。
【数10】
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送信電力をできるだけ大きくしたいことから、送信電力CCA制御係数aは上記式10の等号の際の値をとることができる。

【0045】
次に、マージンβの具体的な決定方法について実験結果を用いて具体的に説明する。図5にIEEE802.11gによる2.4GHzの無線LAN基地局4台(無線LAN基地局#1、#2、#3、#4)によるスループット評価実験の実験図を示す。図2の無線端末1-1、1-2、1-3、1-4にそれぞれ対応させるように無線LAN基地局#1、#2、#3、#4を用意し、送信電力CCA制御係数を、ATTを挿入することで模擬し、電波暗室内で、無線LAN基地局#1と#3の距離Dを4m、8m、16mと変化させ、送信電力CCA制御係数に対するスループットの特性を評価した。

【0046】
総スループットの変化を図6に示す。Dが16mの場合に送信電力CCA制御係数を-23dBとした場合に総スループットのピークがみられるが、送信電力CCA制御係数をこのピーク位置より大きく設定するとスループットが緩やかに下がっているのが確認できる。図7は、装置間の距離がD=16mである無線LAN基地局#1と#3の個別のスループットの結果を示す図である。送信電力CCA制御係数-16dBの場合に、無線LAN基地局#1(図7の場合、AP1)と#3(図7の場合、AP3)に大きなスループットの開きがあるのが確認できる。これは、同じ送信電力CCA制御係数を2つの基地局装置に与えても、アンテナ指向性や装置の個体差により、CCAレベルを上回るか否かの判定にずれが生じることを示している。このような装置間のギャップを防ぐようにβが設定できる。図7のケースでは、βを-10~-5dBと設定することで、どちらか一方のみが信号を検出する非対称を生じることを防げる。

【0047】
図8は、集中制御局200の処理の流れを表すフローチャートである。
情報信号入出力回路201は、複数の基地局装置100から送信された受信信号レベルの情報を含む情報信号を受信する(ステップS101)。情報信号入出力回路201は、受信した情報信号をRSSI情報管理回路202に出力する。RSSI情報管理回路202は、入力された情報信号から受信信号レベルの情報を取得する(ステップS102)。送信電力CCA制御係数算出回路203は、取得された受信信号レベルの情報に基づいて送信電力CCA制御係数を算出する(ステップS103)。具体的には、送信電力CCA制御係数算出回路203は、上記式1~10に基づいて送信電力CCA制御係数を算出する。情報信号入出力回路201は、算出された送信電力CCA制御係数を、対応する基地局装置100に通知する(ステップS104)。

【0048】
図9は、基地局装置100の設定処理の流れを表すフローチャートである。
情報信号入出力回路105は、集中制御局200から通知された送信電力CCA制御係数の情報を受信する(ステップS201)。情報信号入出力回路105は、受信した送信電力CCA制御係数の情報を送信電力/CCA制御回路106に出力する。送信電力/CCA制御回路106は、送信電力CCA制御係数の情報に基づいて自装置のCCAレベル及び送信電力を設定する(ステップS202)。具体的には、送信電力/CCA制御回路106は、CCA判定回路104の判定基準として設定されているCCAレベルに送信電力CCA制御係数を乗算することによって新たなCCAレベルを設定する。また、送信電力/CCA制御回路106は、送信変調回路107の送信電力に送信電力CCA制御係数を乗算することによって新たな送信電力を設定する。

【0049】
以上のように構成された無線通信システムでは、基地局装置100が通信相手からの受信電力に対応する送信電力CCA制御係数を設定し、この送信電力CCA制御係数分、CCAレベルを上げると同時に送信電力を下げ、送信電力に対応する変調モードに変更して送信信号を送信するようにした。また、これらを実現するために、集中制御局200が各基地局装置100から受信信号レベルの情報を収集し、収集した受信信号レベルに基づいて送信電力CCA制御係数を算出し、基地局装置100に送信電力CCA制御係数を送信する。そして、基地局装置100が受信した送信電力CCA制御係数に応じて送信電力及びCCAレベルを制御する。このように、集中制御局200が各基地局装置100から受信した情報に基づいて各基地局装置100の通信に影響を及ぼすおそれを軽減するように制御する。そのため、システムスループットの低下を防止することができる。

【0050】
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態における無線通信システムのシステム構成を示す概略ブロック図である。第2実施形態における無線通信システムは、基地局装置100a-1~100a-M(Mは2以上の整数)及び集中制御局200aを備える。集中制御局200aには、基地局装置100a-1~100a-Mが接続される。なお、以下の説明では、基地局装置100a-1~100a-Mについて特に区別しない場合には基地局装置100aと記載する。
以下、基地局装置100及び集中制御局200それぞれについて具体的に説明する。なお、基地局装置100aは、第1実施形態における基地局装置100と同様の処理を行うため説明を省略し、集中制御局200aの具体的な機能構成についてのみ説明する。

【0051】
次に、集中制御局200aの具体的な機能構成について説明する。集中制御局200aは、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御プログラムの実行によって、集中制御局200aは、情報信号入出力回路201、RSSI情報管理回路202、送信電力CCA制御係数算出回路203a、グループ検出部204を備える装置として機能する。なお、集中制御局200aの各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。

【0052】
集中制御局200aは、送信電力CCA制御係数算出回路203に代えて送信電力CCA制御係数算出回路203aを備え、さらにグループ検出部204を新たに備える点で集中制御局200と構成が異なる。集中制御局200aは、他の構成については集中制御局200と同様である。そのため、集中制御局200a全体の説明は省略し、送信電力CCA制御係数算出回路203a及びグループ検出部204について説明する。

【0053】
グループ検出部204は、取得された受信信号レベルに基づいて、互いに送信機会を向上することができる複数の基地局装置100a(例えば、2つの基地局装置100a)を制御対象の基地局装置100aの組として検出する。ここで、互いに送信機会を向上することができる条件について説明する。図2において、無線端末1-1と無線端末1-3の送信電力をそれぞれP、Pとし、アンテナ指向性による利得がないとすると、無線端末1-1と無線端末1-3における平均受信電力はP13、P13となる。無線端末1-1と無線端末1-3におけるCCAレベルTとTをそれぞれ送信電力CCA制御係数aと送信電力CCA制御係数aの逆数分増加させたCCAレベルにより、平均受信電力P13、P13がそれぞれT/aとT/aをそれぞれ下回る送信電力CCA制御係数aが存在すればよい。送信電力CCA制御係数aは1に近い値であるほど、送信電力の低下を防げるため、予め送信電力CCA制御係数aに許容する値の範囲を定め、上記の条件を満たす送信電力CCA制御係数aが存在すれば、互いに送信機会を向上することができる条件を満たす基地局装置100aを選択できる。送信電力CCA制御係数aの許容範囲を徐々に1より下げていくことで、互いに送信機会を向上できることができる複数の基地局装置100aの組が現れるまで行い、より1に近い値での基地局装置100aの組を抽出することができる。グループ検出部204は、このようにして送信電力CCA制御係数aを用いることで互いの送信信号に対する受信電力を基準値以下に設定できる基地局装置100aの組を検出する。

【0054】
なお、グループ検出部204は、基地局間の受信信号レベルが、予め定められた第1の設定値以上である基地局装置100aにおいては制御対象から除外する。設定値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。第1の設定値は例えば、送信電力CCA制御係数aとして設定可能な最小のaを互いに用いても、どちらか一方の受信電力がCCAレベル以下とならない場合をあらかじめ除外するように設定できる。
また、グループ検出部204は、基地局装置100aとその通信相手となる無線端末の間の受信信号レベルが、予め定められた第2の設定値未満である基地局装置100aにおいては制御対象から除外する。第2の設定値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。例えば最小のスループットとなる変調方式に求められるSNRが5dB必要であるとして、基地局装置100aと通信相手との間の受信電力が雑音電力に対し、6dB程度しかない場合に送信電力CCA制御係数を用いた通信は行えない。許容される最小のSNRにある程度のマージンを与えた値を第2の設定値とすることができる。
送信電力CCA制御係数算出回路203aは、グループ検出部204によって検出された組に属する制御対象の基地局装置100aから収集した受信信号レベルに基づいて送信電力CCA制御係数を算出する。

【0055】
図11は、集中制御局200aの処理の流れを表すフローチャートである。なお、図8と同様の処理については、図11において図8と同様の符号を付して説明を省略する。
ステップS102までの処理が終了すると、グループ検出部204は、取得された受信信号レベルに基づいて、互いに送信機会を向上することができる複数の基地局装置100aを制御対象の基地局装置100aの組として検出する(ステップS201)。送信電力CCA制御係数算出回路203aは、制御対象の組に属する基地局装置100aから取得された受信信号レベルに基づいて送信電力CCA制御係数を算出する(ステップS202)。具体的には、送信電力CCA制御係数算出回路203aは、制御対象の組に属する基地局装置100aから取得された受信信号レベルから上記式1~10に基づいて送信電力CCA制御係数を算出する。情報信号入出力回路201は、算出された送信電力CCA制御係数を、対応する基地局装置100aに通知する(ステップS203)。

【0056】
以上のように構成された無線通信システムでは、基地局装置100aが通信相手からの受信電力に対応する送信電力CCA制御係数を設定し、この送信電力CCA制御係数分、CCAレベルを上げると同時に送信電力を下げ、送信電力に対応する変調モードに変更して送信信号を送信するようにした。また、これらを実現するために、集中制御局200aが各基地局装置100aのうち、制御対象となる基地局装置100aの組を検出し、検出した制御対象の組の基地局装置100aから受信信号レベルの情報を収集し、収集した受信信号レベルに基づいて送信電力CCA制御係数を算出し、制御対象の基地局装置100aに送信電力CCA制御係数を送信する。そして、基地局装置100aが受信した送信電力CCA制御係数に応じて送信電力及びCCAレベルを制御する。このように、集中制御局200aが各基地局装置100aから受信した情報に基づいて各基地局装置100aの通信に影響を及ぼすおそれを軽減するように制御する。そのため、システムスループットの低下を防止することができる。

【0057】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0058】
2…無線端末, 10…アンテナ, 12…無線システム信号送受信回路, 13…送信変調回路, 14…受信復号回路, 16…受信レベル取得回路, 17…情報信号入出力回路, 100(100-1~100-M)、100a(100a-1~100a-M)…基地局装置, 101…無線システム信号送受信回路(信号送信部), 102…受信信号レベル検出部, 103…受信復号回路, 104…CCA判定回路, 105…情報信号入出力回路(情報信号入出力部), 106…送信電力/CCA制御回路(制御部), 107…送信変調回路(送信信号生成部), 200a…集中制御局, 201…情報信号入出力回路(情報信号入出力部), 202…RSSI情報管理回路, 203、203a…送信電力CCA制御係数算出回路(制御係数算出部), 204…グループ検出部
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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