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明細書 :関係性グラフ評価システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6310721号 (P6310721)
公開番号 特開2015-153395 (P2015-153395A)
登録日 平成30年3月23日(2018.3.23)
発行日 平成30年4月11日(2018.4.11)
公開日 平成27年8月24日(2015.8.24)
発明の名称または考案の名称 関係性グラフ評価システム
国際特許分類 G06F  17/30        (2006.01)
FI G06F 17/30 419B
請求項の数または発明の数 20
全頁数 22
出願番号 特願2014-029713 (P2014-029713)
出願日 平成26年2月19日(2014.2.19)
審査請求日 平成29年1月16日(2017.1.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】501408204
【氏名又は名称】株式会社神戸デジタル・ラボ
発明者または考案者 【氏名】新熊 亮一
【氏名】山口 和泰
個別代理人の代理人 【識別番号】100114764、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 正樹
審査官 【審査官】石田 信行
参考文献・文献 特開2010-140296(JP,A)
特開2001-044993(JP,A)
特開平04-113464(JP,A)
調査した分野 G06F 17/30
19/00
G06Q 10/00-99/00
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のノードをリンクで接続した関係性グラフを評価する関係性グラフ評価システムであって、
関係性グラフを記憶する関係性グラフデータベースと、
基点ノードに関する選択情報が入力される選択情報入力部と、
該選択情報入力部により入力された基点ノードに関する選択情報に基づいて基点ノードを選択する基点ノード選択部と、
該基点ノード選択部により選択された基点ノードに基づいて、関係性グラフデータベースから評価対象となる関係性グラフを抽出する関係性グラフ抽出部と、
該関係性グラフ抽出部により抽出された関係性グラフに基づいて、仮想通信ネットワークを生成する仮想通信ネットワーク生成部と、
該仮想通信ネットワーク生成部により生成された仮想通信ネットワークにおいて、前記基点ノード選択部により選択された基点ノードを伝播元として、仮想の通信パケットを隣接するノードに順次伝播させることによりシミュレーションを実行する仮想通信ネットワークシミュレーション部と、
該仮想通信ネットワークシミュレーション部によりシミュレーションが実行された結果、ノードに受信された通信パケットの内容に基づいて、基点ノードに対する当該ノードの関係性を評価する関係性評価部と、
該関係性評価部による基点ノードに対する当該ノードの関係性の評価結果を出力する関係性評価出力部とを備えることを特徴とする関係性グラフ評価システム。
【請求項2】
前記関係性評価部は、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部によるシミュレーションに使用される制御パラメータを指示する請求項1に記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項3】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、受信した通信パケットの情報を記録した上で、当該通信パケットを隣接するノードに伝播させる請求項1または請求項2に記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項4】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、通信パケットを伝播してきた相手のノードには当該通信パケットを伝播させない請求項1から請求項3のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項5】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、通信パケットを隣接するノードに伝播させるときに、通信パケットのボリュームに隣接するノードとのリンクの伝播成功率を乗算して伝播させる請求項1から請求項4のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項6】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、通信パケットを隣接するノードに伝播させるときに、通信パケットのホップ数を一ないし複数増加させ、通信パケットが所定のホップ数に達したときに当該通信パケットを破棄する請求項1から請求項5のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項7】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、通信パケットを隣接するノードに伝播させるときに、通信パケットの累積遅延をリンクの伝播遅延の分だけ増加させ、通信パケットが所定の累積遅延に達したときに当該通信パケットを破棄する請求項1から請求項6のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項8】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、隣接する複数のノードのうち、伝播成功率が最も高いリンクを有するノードに通信パケットを伝播させる請求項1から請求項7のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項9】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、隣接するノードの個数に応じて同じボリュームの通信パケットを複製し、それら複製した通信パケットをそれぞれ隣接する複数のノードに伝播させる請求項1から請求項8のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項10】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、隣接するノードの個数に応じて通信パケットのボリュームを分割し、それら分割した通信パケットをそれぞれ隣接する複数のノードに伝播させる請求項1から請求項のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項11】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、隣接するノードとの間のリンクの伝播成功率に比例して通信パケットのボリュームを分割する請求項10に記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項12】
前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた各通信パケットのボリュームの和により、基点ノードから各ノードまでの距離を評価する請求項1から請求項11のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項13】
前記関係性評価部は、各ノードで受信した通信パケットの個数、ボリューム、あるいは経路の類似性を比較することにより、各ノードの類似性を評価する請求項1から請求項12のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項14】
前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた各通信パケットのホップ数のうち、最少ホップ数に基づいて基点ノードに対する当該ノードの直接性を評価する請求項1から請求項13のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項15】
前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた通信パケットの個数とボリュームに基づいて基点ノードに対する当該ノードの従属性を評価する請求項1から請求項14のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項16】
前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた各通信パケットが共通の中継ノードを経由していた場合、当該中継ノードは基点ノードから当該ノードとの間の関係性において影響度が大きいと評価する請求項1から請求項15のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項17】
前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた通信パケットの個数に基づいて当該ノードの頑強性を評価する請求項1から請求項16のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項18】
前記関係性評価部は、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部により通信パケットが伝播される過程において、通信パケットの所定ホップ数毎または所定時間毎に、ノードに受信された通信パケットの内容に基づいて、基点ノードに対する当該ノードの関係性を評価する請求項1から請求項17のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項19】
前記基点ノード選択部は、複数の基点ノードを選択し、
前記関係性評価部は、各ノードにおいて、各基点ノードに対する距離、直接性、従属性、類似性、中継ノードの影響度、あるいは頑強性の少なくとも一つを評価する請求項1から請求項18のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
【請求項20】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、基点ノードから所定範囲の複数のノードを伝播元として通信パケットを隣接するノードに順次伝播させていき、
前記関係性評価部は、前記所定範囲内のノードにおいて通信パケットが伝播したノードの分布に基づいて特徴的なノードまたは部分ネットワークを抽出して評価する請求項1から請求項19のいずれかに記載の関係性グラフ評価システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノードをリンクで接続した関係性グラフを評価する関係性グラフ評価システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高度なサービス実現のため、個々のデータに詳細な属性情報をもたせることが取り組まれているが、一方で、データ間の関係性をサービスに活用する試みが検討されている(非特許文献1参照)。特に人と人の関係性や人の移動のコンテキストとロケーションの関係性といったソーシャルな関係性が注目を集めており、こういったデータの関係性は関係性グラフとして表現される。
【0003】
この関係性グラフとは、図3(a)に示すように、人、モノ、場所、コンテンツといったオブジェクトをノードとして表し、それらオブジェクト相互の関係性の有無をリンクで表したものである。また、直接相互に接続されたノード間の関係性の強さはリンク長で与えられ、他のノードを介して接続しているノード間の関係性の強さは経路長で与えられる。
【0004】
また、現実世界あるいはオンラインで観測された情報を入力ソースとすることで、入力ソースに含まれるオブジェクト群がノードとして生成される。また、ノード間のリンクも生成されることで、小さな関係性グラフ(部分グラフ)が形成される。
【0005】
また、複数の部分グラフを、共通のノードを介して結合していくことで大きな1つの関係性グラフが形成され、これがデータベースに保持される(特許文献1参照)。なお、結合の際、同じリンクが重複して存在するほど、リンク長は短くなる。
【0006】
また、データベースに保持された関係性グラフは様々なアプリケーションに参照され利用される。例えば、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の情報を入力ソースとして、人のみの関係性グラフを形成した場合、ある人と直接のリンクはないが、経路長の小さい他の人を将来の友人として提示(レコメンド)することが可能である。例えば、モバイル端末によるEコマースにおいて、場所への訪問履歴と商品の購入履歴から関係性グラフを形成した場合、ある消費者がある場所を訪問した際に、関係性グラフ上でその消費者とその場所から経路長の小さい商品をレコメンドするといったことが可能である。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】R.Shinkuma et al., "New Generation Information Network Architecture Based on Social Metric", IEICE Society Conference, Sept. 2010
【0008】

【特許文献1】特開2013-45326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、あるノードの基点ノードに対する関係性は基点ノードから該ノードへの経路によって決定されるが、以下の問題があった。
【0010】
(1)あるノードの基点ノードに対する関係性は、それらの最短経路に必ずしもあらわれていない。
【0011】
(2)最短経路以外の経路は遠回りになる経路(迂回経路)も含めると多数存在し、全ての経路を逐一調べることは容易ではなく、また調べられたとしてもどの経路が関係性をあらわしているのかが不明である。特にノードとリンクが多数になる関係性グラフでは、全ての経路を逐一調べることは極めて非効率的なものとなり、事実上、極めて困難である。
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、複数のノードをリンクで接続した関係性グラフについて、基点ノードに対するノードの関係性を効率よく評価することができ、ひいては関係性グラフ上の商品やサービスをユーザに精度良く提示することが可能な関係性グラフ評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、複数のノードをリンクで接続した関係性グラフを評価する関係性グラフ評価システムであって、関係性グラフを記憶する関係性グラフデータベースと、基点ノードに関する選択情報が入力される選択情報入力部と、該選択情報入力部により入力された基点ノードに関する選択情報に基づいて基点ノードを選択する基点ノード選択部と、該基点ノード選択部により選択された基点ノードに基づいて、関係性グラフデータベースから評価対象となる関係性グラフを抽出する関係性グラフ抽出部と、該関係性グラフ抽出部により抽出された関係性グラフに基づいて、仮想通信ネットワークを生成する仮想通信ネットワーク生成部と、該仮想通信ネットワーク生成部により生成された仮想通信ネットワークにおいて、前記基点ノード選択部により選択された基点ノードを伝播元として、仮想の通信パケットを隣接するノードに順次伝播させることによりシミュレーションを実行する仮想通信ネットワークシミュレーション部と、該仮想通信ネットワークシミュレーション部によりシミュレーションが実行された結果、ノードに受信された通信パケットの内容に基づいて、基点ノードに対する当該ノードの関係性を評価する関係性評価部と、該関係性評価部による基点ノードに対する当該ノードの関係性の評価結果を出力する関係性評価出力部とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、前記仮想通信ネットワークの各リンクは、一般に伝播成功率、伝播遅延およびそれら信頼度の一ないし複数の属性を有する。また、前記通信パケットは、一般に基点ノードアドレス,累積遅延、ボリューム、ホップ数、ライフタイム、経路の一ないし複数の情報を有する。
【0015】
また、前記関係性評価指示部は、仮想通信ネットワークシミュレーション部によるシミュレーションに使用される制御パラメータを指示してもよい。
【0016】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、受信した通信パケットの情報を記録した上で、当該通信パケットを隣接するノードに伝播させてもよい。
【0017】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、通信パケットを伝播してきた相手のノードには当該通信パケットを伝播させなくてもよい。
【0018】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、通信パケットを隣接するノードに伝播させるときに、通信パケットのボリュームに隣接するノードとのリンクの伝播成功率を乗算して伝播させてもよい。
【0019】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、通信パケットを隣接するノードに伝播させるときに、通信パケットのホップ数を一ないし複数増加させ、通信パケットが所定のホップ数に達したときに当該通信パケットを破棄してもよい。
【0020】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、通信パケットを隣接するノードに伝播させるときに、通信パケットの累積遅延をリンクの伝播遅延の分だけ増加させ、通信パケットが所定の累積遅延に達したときに当該通信パケットを破棄してもよい。
【0021】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、隣接する複数のノードのうち、伝播成功率が最も高いリンクを有するノードに通信パケットを伝播させてもよい。
【0022】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、隣接するノードの個数に応じて同じボリュームの通信パケットを複製し、それら複製した通信パケットをそれぞれ隣接する複数のノードに伝播させてもよい。なお、全ての隣接するノードに伝播させる必要はなく、リンクの伝播成功率が上位のノードに限定するなどしてもよい。
【0023】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、各ノードにおいて、隣接するノードの個数に応じて通信パケットのボリュームを分割し、それら分割した通信パケットをそれぞれ隣接する複数のノードに伝播させてもよい。なお、全ての隣接するノードに伝播させる必要はなく、リンクの伝播成功率が上位のノードに限定するなどしてもよい。
【0024】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、隣接するノードとの間のリンクの伝播成功率に比例して通信パケットのボリュームを分割してもよい。なお、全ての隣接するノードに伝播させる必要はなく、リンクの伝播成功率が上位のノードに限定するなどしてもよい。
【0025】
また、前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた各通信パケットのボリュームの和により、基点ノードから各ノードまでの距離を評価してもよい。
【0026】
また、前記関係性評価部は、各ノードで受信した通信パケットの個数、ボリューム、あるいは経路の類似性を比較することにより、各ノードの類似性を評価してもよい。
【0027】
また、前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた各通信パケットのホップ数のうち、最少ホップ数に基づいて基点ノードに対する当該ノードの直接性を評価してもよい。
【0028】
また、前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた通信パケットの個数とボリュームに基づいて基点ノードに対する当該ノードの従属性を評価してもよい。
【0029】
また、前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた各通信パケットが共通の中継ノードを経由していた場合、当該中継ノードは基点ノードから当該ノードとの間の関係性において影響度が大きいと評価してもよい。
【0030】
また、前記関係性評価部は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた通信パケットの個数に基づいて当該ノードの頑強性を評価してもよい。
【0031】
また、前記関係性評価部は、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部により通信パケットが伝播される過程において、通信パケットの所定ホップ数毎または所定時間毎に、ノードに受信された通信パケットの内容に基づいて、基点ノードに対する当該ノードの関係性を評価してもよい。なお、前記関係性評価出力部は、関係性評価部により評価された途中の評価結果を随時出力する。
【0032】
また、前記基点ノード選択部は、複数の基点ノードを選択し、前記関係性評価部は、各ノードにおいて、各基点ノードに対する距離、直接性、従属性、類似性、中継ノードの影響度、あるいは頑強性の少なくとも一つを評価してもよい。
【0033】
また、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部は、基点ノードから所定範囲の複数のノードを伝播元として通信パケットを隣接するノードに順次伝播させていき、前記関係性評価部は、前記所定範囲内のノードにおいて受信された通信パケットの分布に基づいて特徴的なノードまたは部分ネットワークを抽出して評価してもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、複数のノードをリンクで接続した関係性グラフについて、基点ノードに対する各ノードの関係性を効率よく評価することができ、ひいては関係性グラフ上の商品やサービスをユーザに精度良く提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本システムを含むシステムモデルの全体構成を示す図である。
【図2】本システムの機能的構成を示す図である。
【図3】関係性グラフと仮想通信ネットワークの概念図である。
【図4】仮想通信ネットワークのリンクの伝播成功率、伝播遅延およびそれらの信頼度を示す図である。
【図5】通信パケットの構造を示す図である。
【図6】通信パケットのボリュームに伝播成功率を乗算することを説明する図である。
【図7】本システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】実施例1に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図9】実施例2に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図10】実施例3に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図11】実施例4に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図12】実施例5に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図13】実施例6に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図14】実施例7に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図15】実施例8に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図16】実施例9に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【図17】実施例10に係る仮想通信ネットワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本発明に係る関係性グラフ評価システム1(以下、本システム1という)の実施形態について図1~図7を参照しつつ説明する。
[全体構成]

【0037】
図1は、本システム1を含むシステムモデルの全体構成を示す図である。本システム1は、図1に示すように、関係性の評価を実行する関係性評価モジュール10と、仮想通信ネットワークを生成及び実行する仮想通信ネットワークシミュレータ20とを備える。

【0038】
前記関係性評価モジュール10は、インターネットなどのコンピュータネットワークを介して端末装置30やその他のサーバ40と通信可能である。この端末装置30は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、その他のモバイル端末など、コンピュータネットワークに接続可能な装置であれば、特に限定されない。また、サーバ40は、例えばサービスアプリケーションを構成するサーバである。

【0039】
前記仮想通信ネットワークシミュレータ20は、前記関係性評価モジュール10と通信可能に接続されている。この仮想通信ネットワークシミュレータ20は、前記関係性評価モジュール10と同一のサーバであってもよいし、異なるサーバであってもよい。

【0040】
なお、本システム1の各機能は、サーバとして機能するコンピュータの記憶装置にインストールされたコンピュータプログラムが、コンピュータに実行されることによって機能する。このコンピュータプログラムは、記憶媒体に記録して譲渡・販売することができる。

【0041】
また、本システム1において行われる各処理の結果をキャッシュサーバに記憶して、処理の高速化を図ってもよい。
[関係性評価モジュール10の構成]

【0042】
前記関係性評価モジュール10は、図2に示すように、関係性グラフデータベース100と、選択情報入力部101と、基点ノード選択部102と、関係性グラフ抽出部103と、関係性評価部104と、関係性評価出力部105とを備える。

【0043】
前記関係性グラフデータベース100は、関係性グラフを記憶するものである。この関係性グラフとは、図3(a)に示すように、人、モノ、場所、コンテンツといったオブジェクトをノードとして表し、それらオブジェクト相互の関係性の有無をリンクで表したものである。また、直接相互に接続されたノード間の関係性の強さはリンク長で与えられ、他のノードを介して接続しているノード間の関係性の強さは経路長で与えられる。また、現実世界あるいはオンラインで観測された情報を入力ソースとすることで、入力ソースに含まれるオブジェクト群がノードとして生成される。また、ノード間のリンクも生成されることで、小さな関係性グラフ(部分グラフ)が形成される。また、複数の部分グラフを、共通のノードを介して結合していくことで大きな1つの関係性グラフが形成される。これが関係性グラフデータベース100に保持される。なお、結合の際、同じリンクが重複して存在するほど、リンク長は短くなる。これらの関係性グラフの形成方法については、上記特許文献1に具体的に説明されている。

【0044】
前記選択情報入力部101は、端末装置30やサーバ40からネットワークを介して送信されてきた基点ノードに関する選択情報が入力されるものである。この選択情報とは、例えばユーザ本人、ユーザの所在する場所、ユーザの興味のある商品などの基点ノードの候補となる情報である。

【0045】
前記基点ノード選択部102は、選択情報入力部101により入力された基点ノードに関する選択情報に基づいて基点ノードを選択するものである。例えばユーザ本人、ユーザの所在する場所、ユーザの興味のある商品などの基点ノードの候補となる情報の中から所定の情報を基点ノードとして選択する。

【0046】
前記関係性グラフ抽出部103は、基点ノード選択部102により選択された基点ノードに基づいて、関係性グラフデータベース100から評価対象となる関係性グラフを抽出するものである。例えば、ユーザの興味のある商品の情報が基点ノードとして選択された場合、当該商品の情報を含む関係性グラフを抽出する。

【0047】
前記関係性評価部104は、基点ノードに対する各ノードの関係性を評価するものであり、本実施形態では評価指示部1041と評価処理部1042とを備える。

【0048】
前記評価指示部1041は、仮想通信ネットワークシミュレータ20の仮想通信ネットワークシミュレーション部202による後述のシミュレーションに用いられる制御パラメータを特定するとともに、関係性グラフ抽出部103により抽出された関係性グラフを該制御パラメータとともに仮想通信ネットワークシミュレータ20に送信する。この制御パラメータとは、仮想通信ネットワークシミュレータで制御するパラメータであり、例えば、ライフタイム、通信パケットの複製の有無、通信パケットの有無や分割パターン、通信パケットの個数・ボリューム経路の類似性など、種々のパラメータが挙げられる。

【0049】
前記評価処理部1042は、仮想通信ネットワークシミュレータ20において、仮想通信ネットワークシミュレーション部202によりシミュレーションが実行された結果、各ノードに受信された通信パケットの内容に基づいて、基点ノードに対する各ノードの関係性を評価するものである。なお、この基点ノードに対する各ノードの関係性の評価については、後の実施例1~実施例10において具体的に説明する。

【0050】
前記関係性評価出力部105は、関係性評価部104による各ノードの関係性の評価結果を出力する。なお、各ノードの関係性の評価結果の出力に際しては、端末装置30やサーバ40(サービスアプリケーション)が理解できる形式に処理した上で出力する。
[仮想通信ネットワークシミュレータ20の構成]

【0051】
前記仮想通信ネットワークシミュレータ20は、図2に示すように、仮想通信ネットワークデータベース200と、仮想通信ネットワーク生成部201と、仮想通信ネットワークシミュレーション部202とを備える。

【0052】
前記仮想通信ネットワーク生成部201は、前記関係性評価モジュール10における関係性評価部104の評価指示部1041から送信されてきた関係性グラフおよび制御パラメータを受信したあと、それら関係性グラフおよび制御パラメータに基づいて仮想通信ネットワークを生成するものである。

【0053】
この仮想通信ネットワークとは、図3(b)に示すように、関係性グラフ上のノードおよびリンクを仮想通信ネットワークのノードおよびリンクに置き換えたものである。仮想通信ネットワークの各リンクは、図4に示すように、伝播成功率、伝播遅延、およびそれらの信頼度を有し、これらはいずれも関係性グラフのリンク長によって決まる値である。例えば、関係性グラフ上のリンク長(例えばリンク長5)によって、仮想通信ネットワーク上の伝播成功率(リンク長が長くなるほど低下する。本実施形態では0.5)と、伝播遅延(リンク長が長くなるほど遅くなる。本実施形態では1)が決まる。また、関係性グラフ上のリンク長の信頼度によって仮想通信ネットワーク上の伝播成功率と伝搬遅延の信頼度(本実施形態では1)が決まる。

【0054】
前記仮想通信ネットワークデータベース200は、仮想通信ネットワーク生成部201により生成された仮想通信ネットワークを一時的に保持するものである。

【0055】
前記仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、仮想通信ネットワーク生成部201により生成された仮想通信ネットワークにおいて、前記基点ノード選択部102により選択された基点ノードを伝播元として、仮想の通信パケットを隣接するノードに順次伝播させ、制御パラメータに基づいてシミュレーションを実行するものである。

【0056】
この通信パケットは、図5(a)に示すように、基点ノードアドレス,累積遅延、ボリューム、ホップ数、ライフタイム、経路の情報を有する。また、通信パケットは、ボリュームと累積遅延の信頼度を副次的情報として有する。例えば、通信パケットは、基点ノードアドレスA,累積遅延20、累積遅延信頼度1、ボリューム1000、ボリュームの信頼度1、ホップ数2、ライフタイム3、経路A→B→Cの情報を有する場合、図5(b)に示すような構造となる。

【0057】
而して、基点ノードは、あらかじめ決められた初期ボリュームの通信パケットを隣接するノードに伝播させる。そして、通信パケットを受信したノードは、当該通信パケットの情報を記録した上で、隣接するノードに伝播させる。このように各ノードは隣接するノードに通信パケットを順次伝播させていく。このときノードが、通信パケットを伝播してきた相手のノードには当該通信パケットを伝播させないなど、不要なループを回避する仕組みを有するのがよい。

【0058】
また、各ノードは、図6に示すように、通信パケットを隣接するノードに伝播させる際、通信パケットのボリュームに当該隣接するノードとのリンクの伝播成功率を乗算して伝播させるとよい。例えば、あるノードAと隣接するノードBとのリンクの伝播成功率が0.5の場合、ノードAはボリューム1000の通信パケットをノードBに伝播させる際、通信パケットのボリューム1000に伝播成功率0.5を乗算したボリューム500の通信パケットをノードBに伝播させる。

【0059】
この仮想通信ネットワークシミュレーション部202によるシミュレーション結果は、主に各ノードに受信された通信パケットの内容から構成され、関係性評価モジュール10の関係性評価部104に送信される。なお、この仮想通信ネットワークシミュレーション部202によるシミュレーションの実行方法については、後の実施例1~実施例10において具体的に説明する。
[本システム1の動作]

【0060】
次に本システム1の動作について、図7に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、「ステップ」を「S」と略記する。

【0061】
まず、関係性評価モジュール10において、前記選択情報入力部101は、端末装置30やサーバ40からネットワークを介して送信されてきた基点ノードに関する選択情報が入力される(S1)

【0062】
そして、基点ノード選択部102は、選択情報入力部101により入力された基点ノードに関する選択情報に基づいて基点ノードを選択する(S2)

【0063】
そして、前記関係性グラフ抽出部103は、基点ノード選択部102により選択された基点ノードに基づいて、関係性グラフデータベース100から評価対象となる関係性グラフを抽出する(S3)

【0064】
そして、関係性評価部104の評価指示部1041は、制御パラメータを特定するとともに、関係性グラフ抽出部103により抽出された関係性グラフを該制御パラメータとともに仮想通信ネットワークシミュレータ20に送信する(S4)。

【0065】
次に、仮想通信ネットワークシミュレータ20において、前記仮想通信ネットワーク生成部201は、前記関係性評価モジュール10における関係性評価部104の評価指示部1041から送信されてきた関係性グラフおよび制御パラメータを受信したあと、それら関係性グラフおよび制御パラメータに基づいて仮想通信ネットワークを生成する(S5)。

【0066】
そして、仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、仮想通信ネットワーク生成部201により生成された仮想通信ネットワークにおいて、前記基点ノード選択部102により選択された基点ノードを伝播元として、通信パケットを隣接するノードに順次伝播させ、制御パラメータに基づいてシミュレーションを実行する(S6)この仮想通信ネットワークシミュレーション部202によるシミュレーション結果は、主に各ノードに受信された通信パケットの内容から構成され、関係性評価モジュール10の関係性評価部104に送信される。

【0067】
次に、再び関係性評価モジュール10において、前記評価処理部1042は、仮想通信ネットワークシミュレータ20において各ノードに受信された通信パケットの内容に基づいて、基点ノードに対する各ノードの関係性を評価する(S7)。なお、この基点ノードに対する各ノードの関係性の評価については、後の実施例1~実施例10において具体的に説明する。

【0068】
そして、前記関係性評価結果出力部105は、該関係性評価部104による各ノードの関係性の評価結果を出力する(S8)。なお、各ノードの関係性の評価結果の出力に際しては、端末装置30やサーバ40(サービスアプリケーション)が理解できる形式に処理した上で出力する。なお、評価結果の出力のタイミングについては、

【0069】
なお、本実施形態では、仮想通信ネットワークシミュレーション部202によりシミュレーションが実行され、通信パケットが所定の伝搬を完了した時点において、前記関係性評価部104の評価処理部1042がノードに受信された通信パケットの内容に基づいて、基点ノードに対する当該ノードの関係性を評価し、関係性評価結果出力部105がその評価結果を出力する。また、仮想通信ネットワークシミュレーション部202により通信パケットが伝播される過程において、通信パケットの所定ホップ数毎または所定時間毎に、前記関係性評価部104の評価処理部1042がノードに受信された通信パケットの内容に基づいて、基点ノードに対する当該ノードの関係性を評価し、関係性評価結果出力部105が途中の評価結果を出力してもよい。
【実施例】
【0070】
次に本発明の実施例1~10について図面を参照しつつ説明する。なお、実施例1~9については、各ノードは、通信パケットを伝播してきた相手のノードには当該通信パケットを伝播させないように制御されている。
[実施例1](ライフタイムによる伝播制御)
【実施例】
【0071】
実施例1では、通信パケットのライフタイムがホップ数または時間で規定されており、ライフタイムに達した通信パケットはそれ以上伝播されず破棄される。このライフタイムは外部(端末装置30やサーバ40)から制御可能な制御パラメータである。
【実施例】
【0072】
具体的には、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、各ノードにおいて、通信パケットを隣接するノードに伝播させるときに、通信パケットのホップ数を一つ増加させる。また、仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、各ノードにおいて、通信パケットを隣接するノードに伝播させるときに、通信パケットの累積遅延をリンクの伝播遅延の分だけ増加させる。そして、仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、通信パケットが所定のホップ数に達したとき、または通信パケットが所定の累積遅延に達したときに当該通信パケットを破棄する。
【実施例】
【0073】
例えば、図8に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワークにおいて、ノードAから隣接するノードB、C、Dに通信パケットを伝播させる(1ホップ目:A→B,A→C、A→D)。次に、各ノードB、C、Dから隣接するノードに通信パケットを伝播させる(2ホップ目:A→B→C、A→B→D、A→C→D、A→C→B、A→D→B、A→D→C)。ここでライフタイムがホップ数2で設定されている場合、各ノードは、通信パケットをこれ以上伝播させない。
【実施例】
【0074】
このようにライフタイムにより仮想通信ネットワークにおける評価範囲を制御でき、不要な範囲に通信パケットが伝播することによる無用な処理の増加を避けることができる。
[実施例2](通信パケットの伝播方法)
(実施例2-1)
【実施例】
【0075】
本実施例では、伝播成功率が高いリンクを有するノードに通信パケットを伝播させる。
【実施例】
【0076】
すなわち、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、各ノードにおいて、隣接する複数のノードのうち、伝播成功率が最も高いリンクを有するノードのみに通信パケットを伝播させる。
【実施例】
【0077】
例えば、図9(a)に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワークにおいて、ノードAにおいて、隣接する複数のノードB、C、Dのうち、伝播成功率が最も高いリンクを有するノードBのみに通信パケットを伝播させ、次のノード以降、同様の方法で通信パケットを伝播させる。
(実施例2-2)
【実施例】
【0078】
本実施例では、隣接するノードが複数存在する場合、通信パケットを任意の個数に複製する。なお、この複製するか否かは外部(端末装置30やサーバ40)から制御可能な制御パラメータである。
【実施例】
【0079】
具体的には、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、各ノードにおいて、隣接するノードの個数に応じて同じボリュームの通信パケットを複製し、それら複製した通信パケットをそれぞれ隣接する複数のノードに伝播させる。
【実施例】
【0080】
例えば、図9(b)に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワークにおいて、ノードAで隣接するノードB、C、Dの個数3個分だけ同じボリューム1200の通信パケットを複製し、それら複製したボリューム1200の通信パケットをそれぞれ隣接するノードB、C、Dに伝播させ、次のノード以降、同様の方法で通信パケットを伝播させる。
(実施例2-3)
【実施例】
【0081】
本実施例では、隣接するノードが複数存在する場合、通信パケットを任意の個数に分割する。なお、この分割するか否かや分割パターンは外部(端末装置30やサーバ40)から制御可能な制御パラメータである。
【実施例】
【0082】
具体的には、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、各ノードにおいて、隣接するノードの個数に応じて通信パケットのボリュームを分割し、それら分割した通信パケットをそれぞれ隣接する各ノードに伝播させる。本実施例では、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、通信パケットのボリュームを均等に分割する。
【実施例】
【0083】
例えば、図9(c)に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワークにおいて、ノードAでボリューム1200の通信パケットを隣接するノードB、C、Dの個数3個分だけ均等にボリューム400に分割し、それら分割したボリューム400の通信パケットをそれぞれ隣接するノードB、C、Dに伝播させ、次のノード以降、同様の方法で通信パケットを伝播させる。
(実施例2-4)
【実施例】
【0084】
本実施例では、通信パケットのボリュームをリンクの伝播成功率に比例して分割する。
【実施例】
【0085】
具体的には、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、隣接するノードとの間のリンクの伝播成功率に比例して通信パケットのボリュームを分割する。
【実施例】
【0086】
例えば、図9(d)に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワークにおいて、ノードAでボリューム1200の通信パケットを隣接するノードB、C、Dとの間のリンク成功率(A-Bのリンク0.6、A-Cのリンク0.2、A-Dのリンク0.4)に応じて通信パケットのボリュームを600、200、400に分割し、その分割したボリューム600、200、400通信パケットをそれぞれ隣接するノードB、C、Dに伝播させ、次のノード以降、同様の方法で通信パケットを伝播させる。
[実施例3](通信パケットのボリューム和による評価)
【実施例】
【0087】
実施例3では、ノードが受信した通信パケットのボリュームの和により、基点ノードから各ノードまでの距離を評価する。
【実施例】
【0088】
具体的には、関係性評価部104は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた各通信パケットのボリュームの和により、基点ノードから各ノードまでの距離を評価する。
【実施例】
【0089】
例えば、図10に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワーク(全てのリンクの伝播成功率0.5)において、ノードAでボリューム1200の通信パケットを隣接するノードB、C、Dの個数3個分だけ均等にボリューム400に分割し、それら分割したボリューム400の通信パケットをそれぞれ隣接するノードB、C、Dに伝播する。すると、全てのリンクの成功率は0.5であるため、ノードB、C、Dには400×0.5=200のボリュームの通信パケットが受信される。次に、各ノードB、C、Dでも、同様にボリューム400の通信パケットを隣接するノードの個数2個分だけ均等にボリューム100に分割し、それら分割したボリューム100の通信パケットをそれぞれ隣接するノードに伝播する。すると、全てのリンクの成功率は同じく0.5であるため、隣接するノードには100×0.5=50のボリュームの通信パケットが受信される。
【実施例】
【0090】
而して、ライフタイムがホップ数2の場合、ノードBには、経路A→Bのボリューム200の通信パケットと、経路A→C→Bのボリューム50の通信パケットと、経路A→D→Bのボリューム50の通信パケットとが受信されるため、通信パケットのボリュームの和は300となり、当該和300をもって基点ノードAからノードBまでの距離を評価する。
【実施例】
【0091】
よって、元の関係性グラフ上で、ある消費者とある場所、ある消費者とある商品との距離などを最短経路だけではない他の経路も加味して評価することができる。
[実施例4](ノードの類似性の評価)
【実施例】
【0092】
本実施例では、各ノードで受信した通信パケットの内容から各ノードの類似性を評価する。
【実施例】
【0093】
具体的には、関係性評価部104は、各ノードで受信した通信パケットの個数、ボリューム、あるいは経路の類似性を比較することにより、各ノードの類似性を評価する。なお、通信パケットの個数、ボリューム、あるいは経路の類似性は外部(端末装置30やサーバ40)から制御可能な制御パラメータである。
【実施例】
【0094】
例えば、上記実施例3において、ライフタイムがホップ数2の場合、ノードBには、経路A→Bのボリューム200の通信パケットと、経路A→D→Bのボリューム50の通信パケットと、経路A→C→Bのボリューム50の通信パケットとが受信されるため、通信パケットのボリュームの和は300となる。また、ノードCには、経路A→Cのボリューム200の通信パケットと、経路A→D→Cのボリューム50の通信パケットと経路A→B→Cのボリューム50の通信パケットとが受信されるため、通信パケットのボリュームの和は300となる。
【実施例】
【0095】
而して、図11に示すように、ノードBとノードCは、通信パケットの個数が2個であること、距離(ボリューム)が同じ300であることと、A→Dという共通の経路とにより、互いの類似性を評価することができる。
【実施例】
【0096】
よって、元の関係性グラフ上で、属性の全く異なる商品や、消費者、場所などの類似性を評価することが可能となる。
【実施例】
【0097】
なお、本実施例では、通信パケットの個数、ボリューム、あるいは経路の全てを比較することにより各ノードの類似性を評価したが、少なくとも一つを比較することにより各ノードの類似性を評価してもよい。
[実施例5](ノードの直接性の評価)
【実施例】
【0098】
本実施例では、各ノードにおける通信パケットの最少ホップ数に基づいて、各ノードの直接性を評価する。
【実施例】
【0099】
具体的には、関係性評価部104は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた各通信パケットのホップ数のうち、最少ホップ数に基づいて基点ノードに対する当該ノードの直接性を評価する。
【実施例】
【0100】
例えば、図12に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワークにおいて、ノードAから隣接するノードB、C、Dに通信パケットを伝播させ、さらに隣接するノードに順次伝播させていき、ライフタイムがホップ数3で終了したと想定する。
【実施例】
【0101】
而して、ノードDには、ホップ数1の経路A→D、ホップ数2の経路A→B→Dおよび経路A→C→D、ホップ数3の経路A→B→C→Dおよび経路A→C→B→Dの各経路がある。このうち、最少ホップ数は経路A→Dの1であるため、ノードDのノードAに対する直接性は最少ホップ数1から評価される。
【実施例】
【0102】
よって、元の関係性グラフ上で、ある消費者にとって直接性が低い商品や場所は、直接的接点なく間接的につながったものなので、消費者に対して意外性のある結果を提示することが可能となる。
[実施例6](ノードの従属性の評価)
【実施例】
【0103】
本実施例では、各ノードの従属性を評価する。少ない経路から大きなボリュームの通信パケットが伝播されるほど従属性が高い。
【実施例】
【0104】
具体的には、関係性評価部104は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた通信パケットの個数とボリュームに基づいて基点ノードに対する当該ノードの従属性を評価する。
【実施例】
【0105】
例えば、図13(a)に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続されたメッシュ型の仮想通信ネットワーク(全てのリンクの伝播成功率0.5)において、ノードAから隣接するノードB、C、Dにそれぞれ分割したボリューム400の通信パケットをボリュームに伝播成功率を乗算して伝播させ、さらに隣接するノードでもリンク数に応じて分割した通信パケットをボリュームに伝播成功率を乗算して順次伝播させていき、ライフタイムがホップ数2で終了すると想定する。このときノードDには、経路A→Dのボリューム200の通信パケット、経路A→B→Dのボリューム50の通信パケット、経路A→C→Dのボリューム50の通信パケットがそれぞれ伝播される。
【実施例】
【0106】
一方、図13(b)に示すように、ノードAを中心としてノードB、C、Dがリンクを介してスター型に接続された仮想通信ネットワーク(全てのリンクの伝播成功率0.75)において、ノードAから隣接するノードB、C、Dにそれぞれ分割したボリューム400の通信パケットをボリュームに伝播成功率を乗算しながた伝播させる。このときノードDには、経路A→Dのボリューム300の通信パケットが伝播される。
【実施例】
【0107】
而して、図13(a)と図13(b)の仮想通信ネットワークでは、いずれもノードDに伝播される通信パケットのボリュームの合計は300であるが、図13(b)に示すスター型の仮想通信ネットワークの方が一つの経路から大きなボリュームの通信パケットが伝播されるので、ノードAに対するノードDの従属性がより高いと評価することができる。
【実施例】
【0108】
よって、元の関係性グラフにおいてノードAに対するノードDの従属性が高いとして評価することができ、オブジェクトAが発生したときにオブジェクトDも発生し易い、すなわちオブジェクトAとオブジェクトDの共起性が高いと評価することが可能となる。
[実施例7](中継ノードの影響度の評価)
【実施例】
【0109】
本実施例では、基点ノードとあるノードの間において、どの中継ノードの影響度が大きいかを評価する。
【実施例】
【0110】
具体的には、関係性評価部104は、各ノードにおいて、基点ノードから異なる経路で伝播してきた複数の通信パケットが共通の中継ノードを経由していた場合、当該中継ノードは基点ノードから当該ノードとの間の関係性において影響度が大きいと評価する
【実施例】
【0111】
例えば、図14に示すように、ノードAとB、BとC、BとD、CとDがリンクを介して互いに接続された仮想通信ネットワークにおいて、ノードAから隣接するノードBに通信パケットを伝播させ、ノードBが隣接するノードC,Dに通信パケットを伝播させ、ノードCが隣接するノードDに通信パケットを伝播させる。このときノードDには、経路A→B→Dと経路A→B→C→Dの通信パケットがそれぞれ伝播される。これらの通信パケットの経路を比較すると、共通の中継ノードBを経由しているので、ノードAとノードDの間において中継ノードBの影響度が大きいと評価することができる。
【実施例】
【0112】
よって、元の関係性グラフにおいてノードAとノードDの間において中継ノードBの影響度が大きいと評価することができ、その影響度が大きい中継ノードBを特別なノードとして扱うことが可能となる。
[実施例8](ノードの頑強性の評価)
【実施例】
【0113】
本実施例では、あるノードの頑強性を評価する。
【実施例】
【0114】
具体的には、関係性評価部104は、各ノードにおいて、基点ノードから複数の経路で伝播してきた通信パケットの個数に基づいて当該ノードの頑強性を評価する。
【実施例】
【0115】
例えば、図15(a)に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された前者の仮想通信ネットワークにおいて、ノードAから隣接するノードB、C、Dに通信パケットを伝播させ、さらに隣接するノードに順次伝播させていき、ライフタイムがホップ数3で終了したと想定する。このときノードDには、経路A→D、経路A→B→D、経路A→C→D、経路A→B→C→D、経路A→C→B→Dの通信パケットがそれぞれ伝播され、通信パケットの個数は5個となる。
【実施例】
【0116】
一方、図15(b)に示すように、ノードAとB、BとC、BとD、CとDがリンクを介して互いに接続された後者の仮想通信ネットワークにおいて、ノードAから隣接するノードBに通信パケットを伝播させ、ノードBが隣接するノードC,Dに通信パケットを伝播させ、ノードCが隣接するノードDに通信パケットを伝播させる。このときノードDには、経路A→B→Dと経路A→B→C→Dの通信パケットがそれぞれ伝播され、通信パケットの個数は2個となる。
【実施例】
【0117】
而して、これら図15(a)と図15(b)の仮想通信ネットワークでは、前者の通信パケットの個数は5個であるのに対して後者の通信パケットの個数は2個であり、前者の仮想通信ネットワークの方がノードAに対するノードDの通信パケットの個数が多いため、ノードAに対するノードDの頑強性が高いと評価することができる。
【実施例】
【0118】
よって、元の関係性グラフにおいてノードAに対するノードDの頑強性が高いと評価することができ、その頑強性からノード間の関係性の切れにくさなどを評価することが可能となる。
[実施例9](複数の基点ノードに対するノードの評価)
【実施例】
【0119】
本実施例では、基点ノードを複数設定し、各基点ノードに対してノードを評価する。ノードの評価に際しては、距離、直接性、従属性、類似性、中継ノードの影響度、あるいは頑強性の少なくともいずれか一つを使用する。また、複数の基点ノードとの平均的な距離など、総合的な関係性を評価してもよい。
【実施例】
【0120】
具体的には、基点ノード選択部102は、複数の基点ノードを選択する。また、関係性評価部104は、各ノードにおいて、各基点ノードに対する距離、直接性、従属性、類似性、中継ノードの影響度、あるいは頑強性の少なくとも一つを評価する。
【実施例】
【0121】
例えば、図16に示すように、ノードA、B、C、Dがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワーク(全てのリンクの伝播成功率0.5)において、ノードAから隣接するノードB、C、Dにそれぞれ分割したボリューム400の通信パケットをボリュームに伝播成功率を乗算して伝播させ、さらに隣接するノードでもリンク数に応じて分割した通信パケットをボリュームに伝播成功率を乗算して順次伝播させていき、ライフタイムがホップ数2で終了すると想定する。このときノードBには、ノードAから経路A→Bのボリューム200、経路A→C→Bのボリューム50、経路A→D→Bのボリューム50の通信パケットがそれぞれ伝播される。また、ノードDから、経路D→Bのボリューム200、経路D→C→Bのボリューム50、経路D→A→Bのボリューム50の通信パケットがそれぞれ伝播される。
【実施例】
【0122】
而して、基点ノードA、Dに対するノードBの関係性の平均的な距離は、(300+300)/2=300と評価することができる。
【実施例】
【0123】
よって、元の関係性グラフにおいて、基点ノードA、Dに対するノードBの関係性の平均的な距離を評価することができ、複数のコンテキスト(いる、どこで、誰と、何を)を加味して、距離などの関係性を評価することが可能となる。
【実施例】
【0124】
なお、本実施例では、各基点ノードに対するノードの距離(平均的な距離)をもって評価したが、各基点ノードに対する距離、直接性、従属性、類似性、中継ノードの影響度、あるいは頑強性をもって評価してもよい。
[実施例10](特徴的なノードの抽出)
【実施例】
【0125】
本実施例では、基点ノードから所定範囲のノードを伝播元として通信パケットを伝播させ、前記所定範囲内のノードにおいて通信パケットが伝播したノードの分布から特徴的なノードや部分ネットワークを抽出して評価する。
【実施例】
【0126】
具体的には、前記仮想通信ネットワークシミュレーション部202は、基点ノードから所定範囲の複数のノードを伝播元として通信パケットを隣接するノードに順次伝播させる。また、前記関係性評価部104は、前記所定範囲内のノードにおいて通信パケットが伝播したノードの分布に基づいて特徴的なノードまたは部分ネットワークを抽出して評価する。
【実施例】
【0127】
例えば、図17に示すように、ノードA、B、Cがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワークIと、ノードD、E、Fがリンクを介して相互に接続された仮想通信ネットワークIIとを備え、仮想通信ネットワークIと仮想通信ネットワークIIがノードC、Fの間でリンクを介して相互に接続されている。このような仮想通信ネットワークI、IIにおいて、このネットワークの範囲内の全ノードを伝播元としてライフタイムの十分大きい通信パケットを隣接するノードに順次伝播させる。
【実施例】
【0128】
而して、これらの経路情報を分析すると、仮想通信ネットワークIに出入りする通信パケットは必ずノードCを通過し、仮想通信ネットワークIIに出入りする通信パケットは必ずノードFを通過することがわかり、ノードC、Fがそれぞれ代表ノードであると評価することができる。
【実施例】
【0129】
よって、元の関係性グラフにおいて、ノードC、Fがそれぞれ代表ノードであると評価することができる。このため関係性グラフのI、IIに対応する部分グラフはあるグループを表しているといえるので、代表ノードC,Fはそれぞれ部分グラフI,IIのゲートウェイとみなすことが可能となる。
【実施例】
【0130】
なお、本実施例では、前記所定範囲内のノードにおいて通信パケットが伝播したノードの分布から特徴的なノードを抽出して評価するものとしたが、特徴的な部分ネットワークを抽出して評価してもよい。
【実施例】
【0131】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0132】
1・・・本システム
10・・・関係性評価モジュール
100・・・関係性グラフデータベース
101・・・選択情報入力部
102・・・基点ノード選択部
103・・・関係性グラフ抽出部
104・・・関係性評価部
105・・・関係性評価出力部
20・・・仮想通信ネットワークシミュレータ
200・・・仮想通信ネットワークデータベース
201・・・仮想通信ネットワーク生成部
202・・・仮想通信ネットワークシミュレーション部
30・・・端末装置
40・・・サーバ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16