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明細書 :元素分析装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6179994号 (P6179994)
登録日 平成29年7月28日(2017.7.28)
発行日 平成29年8月16日(2017.8.16)
発明の名称または考案の名称 元素分析装置
国際特許分類 G01N  23/225       (2006.01)
FI G01N 23/225 312
請求項の数または発明の数 8
全頁数 16
出願番号 特願2014-544557 (P2014-544557)
出願日 平成25年10月30日(2013.10.30)
国際出願番号 PCT/JP2013/079428
国際公開番号 WO2014/069530
国際公開日 平成26年5月8日(2014.5.8)
優先権出願番号 2012238534
優先日 平成24年10月30日(2012.10.30)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年10月28日(2016.10.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】河合 潤
【氏名】今宿 晋
【氏名】今西 朗
【氏名】大谷 一誓
個別代理人の代理人 【識別番号】110001069、【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
審査官 【審査官】立澤 正樹
参考文献・文献 特開2004-165518(JP,A)
特開2005-032500(JP,A)
特開2008-204868(JP,A)
今宿 晋 Susumu IMASHUKU,カソードルミネッセンス法を利用した酸化物中の希土類元素の分析 Analysis of rare earth elements in oxides using cathodoluminescence spectrometer,日本鉄鋼協会講演論文集「材料とプロセス」,一般社団法人日本鉄鋼協会 小島 彰,2012年 9月 1日
Susumu IMASHUKU, Akira IMANISHI, Jun KAWAI,'Development of Minaiaturized Electron Probe X-ray Microanalyzer',Analytical Chemistry,2011年10月21日,83(22),p.8363-8365
今宿晋,外,焦電結晶を用いた超小型EPMAの開発,X線分析討論会講演要旨集,2011年10月28日,P.66-67
調査した分野 G01N 23/00-23/227
G21K 1/00-7/00
G01B 15/00-15/08
H01J 37/00-37/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
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ACS PUBLICATIONS
CiNii(KAKEN)
特許請求の範囲 【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器内に配置された焦電結晶と、
前記焦電結晶の温度を変化させる温度変化手段と、
前記焦電結晶の分極面の一方を覆う、該焦電結晶に比べて低い誘電率を有する絶縁体部材と、
前記焦電結晶の前記一方の分極面に立設された、前記絶縁体部材から突出する突出端を有する導電性の針と、
前記真空容器内に配置された、前記針の突出端の延長線と交差する試料載置面を有すると共に、前記焦電結晶の他方の分極面と電気的に接続され、かつ、接地された導電性の試料台と、
前記試料載置面に載置された試料から放出される特性X線を検出するX線検出手段と
を備える元素分析装置。
【請求項2】
前記焦電結晶の前記一方の分極面と前記絶縁体部材の間に、導電体層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の元素分析装置。
【請求項3】
前記絶縁体部材が、ゲル状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の元素分析装置。
【請求項4】
前記絶縁体部材が、真空グリースであることを特徴とする請求項3に記載の元素分析装置。
【請求項5】
真空容器と、
前記真空容器内に配置された焦電結晶と、
前記焦電結晶の温度を変化させる温度変化手段と、
前記焦電結晶の分極面の一方を覆う、前記焦電結晶に比べて低い誘電率を有する絶縁体部材と、
前記焦電体結晶の前記一方の分極面に立設された、前記絶縁体部材から突出する突出端を有する導電性の針と、
前記真空容器内に配置された、前記針の突出端の延長線と交差する電子線照射面を有すると共に、前記焦電結晶の他方の分極面と電気的に接続され、かつ、接地された導電性の電子線照射台と
を有することを特徴とする電子線照射装置。
【請求項6】
前記焦電結晶の前記一方の分極面と前記絶縁体部材の間に、導電体層が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電子線照射装置。
【請求項7】
前記絶縁体部材が、ゲル状であることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子線照射装置。
【請求項8】
前記絶縁体部材が、真空グリースであることを特徴とする請求項7に記載の電子線照射装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯性に優れた小型の元素分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、これまで、焦電結晶を用いた元素分析装置を開発している(非特許文献1)。この元素分析装置は、ペルチェ素子で焦電結晶を加熱又は冷却することにより該焦電結晶と試料(被測定物)の間に高電圧を発生させ、両者間の電子を加速して該試料に照射し、それにより発生する特性X線のスペクトルから、該試料に含まれる元素を検出するものである。
この元素分析装置は、ペルチェ素子の駆動及び制御に用いる乾電池程度の小型のバッテリーで駆動し、また、装置全体のサイズもトランクケース以下の大きさで済むため、携帯性に優れている。
【0003】
焦電結晶は、その温度変化に伴い自発分極の大きさが変化する結晶である。平衡状態では、周囲に浮遊する荷電粒子が付着することにより、分極による焦電結晶表面の電荷が打ち消され、外部に電界が現れない電気的に中性な状態を保っている(図13の中央の図)。この状態から焦電結晶に温度変化を与えると、焦電結晶の分極の状態が変化して、表面が正あるいは負に帯電する(図13の右図又は左図)。その後、温度を一定に保つと浮遊荷電粒子によって表面の帯電が解消される(図示せず)。大気中では浮遊荷電粒子が大量に存在するため、焦電結晶表面の帯電はすみやかに解消されるが、真空中では浮遊荷電粒子が少ないために、焦電結晶表面の帯電が解消されるまでには数分程度の時間がかかる。
【0004】
非特許文献1の装置では、導電性の試料台上に試料を載置し、一方の分極面が該試料に対向するように焦電結晶を配置している(図14参照)。そして、該焦電結晶の他方の分極面を該試料台と電気的に接続し、これを接地している。これにより、ペルチェ素子(図示せず)によって焦電結晶の温度が変化したときに、該焦電結晶と試料台の間に電場が生じる(図14の左図)。例えば、試料台に対向する側の焦電結晶の分極面(図14の例では-z面)を負に帯電させると、負の浮遊荷電粒子(電子)は試料台に向かって、正の浮遊荷電粒子は焦電結晶に向かって、それぞれ加速される(図14の中央の図)。これらの浮遊荷電粒子のうち、試料に照射される電子が、特性X線の放出に寄与することになる。大気中では、電子は空気分子と衝突し合ってエネルギーを失うが、数Pa程度の真空中では、電子の多くは、エネルギーを失うことなく試料台上の試料に衝突する。これにより試料から特性X線が放出され(図14の右図)、この放出された特性X線をエネルギー分散型X線検出器(EDX)等で検出することにより、特性X線のスペクトルが得られる。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】"Development of Miniaturized Electron Probe X-ray Microanalyzer", Susumu Imashuku, Akira Imanishi, and Jun Kawai, Analytical Chemistry, vol. 83, pp. 8363-8365 (2011).
【非特許文献2】「焦電結晶によるパルス状の電界放射」、中江保一、河合潤、X線分析の進歩、42巻、pp.249-253(2011)
【非特許文献3】「焦電結晶上での二元X線発生機構」、山岡理恵、山本孝、湯浅賢俊、今井昭二、X線分析の進歩、vol. 43、pp.381-389(2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の焦電結晶を用いた元素分析装置で試料の分析を行った場合に、得られたX線スペクトルに、試料に含まれるはずのない元素のピークが現れることがあり、該X線スペクトルが試料のみに由来するものではないこと、つまり試料以外からもX線が放出されていることが判明した。試料由来ではないX線が放出されると、そのX線スペクトルが試料に対し外乱ノイズとなるため、試料に含まれる元素の量を正確に分析することができない。また、このような外乱ノイズがあると、含有量の少ない元素の場合は検出することが難しくなり、高感度の分析を行うことができないという問題が生じる。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、試料中の含有量が少ない元素であっても、外乱ノイズの少ない、高感度の分析を行うことができる焦電結晶を用いた元素分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る元素分析装置は、
真空容器と、
前記真空容器内に配置された焦電結晶と、
前記焦電結晶の温度を変化させる温度変化手段と、
前記焦電結晶の分極面の一方を覆う、該焦電結晶に比べて低い誘電率を有する絶縁体部材と、
前記焦電結晶の前記一方の分極面に立設された、前記絶縁体部材から突出する突出端を有する導電性の針と、
前記真空容器内に配置された、前記針の突出端の延長線と交差する試料載置面を有すると共に、前記焦電結晶の他方の分極面と電気的に接続され、かつ、接地された導電性の試料台と、
前記試料載置面に載置された試料から放出される特性X線を検出するX線検出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、本発明を想到するに至った経緯を説明する。
上述したように、焦電結晶を用いた従来の元素分析装置により得られたX線スペクトルに試料由来ではない元素のピークが含まれることから、本発明者は、その元素の由来を調べたところ真空容器や試料台等の構成元素であることを突き止めた。このことから、負の浮遊荷電粒子が試料だけでなく真空容器の内壁や試料台等に向かって照射されていると考え、このような試料以外に向かう負の浮遊荷電粒子を減らす方法について検討した。
【0010】
まずは、焦電結晶の試料側の分極面に金属針を立設することを考えた。この構成により、焦電結晶と試料の間の電場勾配を金属針の先端と試料の間において局所的に高めることができる(例えば非特許文献2を参照)。これにより、金属針の先端の延長線上に位置する狭い範囲に電子線を集中して照射することが可能となる。
しかし、この構成によってもなお、試料由来の元素以外のピーク(外乱ノイズ)の現出を阻止することができなかった。
【0011】
そこで、本発明者は、金属針と試料の間以外に、負の浮遊荷電粒子に十分なエネルギーを与えるような強い電場が形成される部位が存在すると推測し、その部位の電場を弱めることを考えた。そして、様々な実験を行った結果、焦電結晶の試料側分極面と真空容器の内壁や試料台との間に比較的強い電場が形成されること、特に、試料側分極面の周縁部(エッジ部分)と真空容器の内壁の間の距離が、金属針と試料の間の距離と同等あるいは短い場合には、試料側分極面の周縁部と真空容器の間に金属針と試料の間の電場と同等あるいは大きい強さの電場が生じることを見出した。さらに、電場を弱める方法として、焦電結晶に比べて低い誘電率を有する絶縁体部材で試料側分極面を覆うことが極めて有効であること、このような低誘電率の絶縁体部材で覆うことにより、焦電結晶の試料側分極面に生じた電荷によって金属針と試料の間に電場が誘起されるまでの時間よりも、絶縁体部材の表面と真空容器の内壁等の間に電場が誘起されるまでの時間の方が長くなることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきなされたものである。
【0012】
従って、本発明に係る元素分析装置では、金属針と試料の間に電場が誘起されてから絶縁体部材の表面と真空容器の内壁等の間に電場が誘起されるまでの間は、外乱ノイズの現出を抑制することができる。このため、この間に検出されたX線から得られるX線スペクトルを用いることにより、試料に含まれる元素の定性・定量分析を正確に行うことができる。
なお、針は導電性を有するため、焦電結晶の試料側分極面に電荷が生じると、該試料側分極面と針にはほぼ同時に同一の電圧が発生する。一方、絶縁体部材では電荷が非常に移動しにくいため、焦電結晶の試料側分極面に電荷が生じても、すぐには絶縁体部材の表面に電荷が現れない。このため、絶縁体部材の表面と真空容器の内壁等の間に電場が誘起されるまでに時間が掛かり、その時間(以下、これを「誘起時間」という。)は、該絶縁体部材の誘電率が低いほど長くなる。そのため、絶縁体部材に十分に誘電率が低い材料を用いる方が、分析に有効な(外乱ノイズの少ない)時間を長くすることができる。
【0013】
前記絶縁体部材と前記焦電結晶の試料側分極面の間には、導電体層を設けておくことが望ましい。
導電体層を設けることにより、焦電結晶の試料側分極面に付着する荷電粒子の単位時間当たりの量が増える。このため、焦電結晶を加熱又は冷却を開始してから試料側分極面の電荷が打ち消されて電気的に中性な状態になるまでの時間(以下、これを「中和時間」という。)が短くなる。非特許文献3には、焦電結晶の加熱又は冷却を開始してから該焦電結晶が中和されるまでの1サイクルの間に、試料から発生するX線の全積分強度は一定であることが記載されている。すなわち、焦電結晶の中和時間が短くなるほど、単位時間当たりのX線強度が高くなり、元素分析に必要な強度のX線スペクトルデータを短時間で得ることが可能となる。
なお、中和時間は、焦電結晶のサイズや導電体層と焦電結晶の接触面積等によって決まる。中和時間が上記誘起時間よりも短くなるように、これらを適切に決めれば、絶縁体部材に高電圧が誘起される前に試料への電子線の照射が終了するため、外乱ノイズの発生を抑制することができる。
【0014】
前記絶縁体部材には、ガラス、プラスチック、ゴムのような固体状のものだけでなく、真空グリースのようなゲル状のものを用いても良い。真空グリースとしては、誘電率が低く、電気絶縁性がある例えば絶縁用シリコーングリースが好ましい。真空グリースを用いる場合、焦電結晶の試料側分極面(導電体層を設けた場合は導電体層の表面)にこれを塗布すれば良い。また、蒸着等により、焦電結晶の試料側分極面又は導電体層の表面に絶縁性の膜を形成しても良い。
【0015】
前記絶縁体部材には、上記のように、できるだけ誘電率の低い材料(例えばLow-k材料)を用いる方が望ましいが、例えば該絶縁体部材の厚みを厚くしても、同様の効果を得ることができる。
【0016】
なお、上記の構成ではX線検出手段を必須の構成としたが、電子線照射装置として用いる場合は、X線検出手段は不要である。すなわち、本発明に係る電子線照射装置は、
真空容器と、
前記真空容器内に配置された焦電結晶と、
前記焦電結晶の温度を変化させる温度変化手段と、
前記焦電結晶の分極面の一方を覆う、該焦電結晶に比べて低い誘電率を有する絶縁体部材と、
前記焦電結晶の前記一方の分極面に立設された、前記絶縁体部材から突出する突出端を有する導電性の針と、
真空容器内に配置された、前記針の突出端の延長線と交差する電子線照射面を有すると共に、前記焦電結晶の他方の分極面と電気的に接続され、かつ、接地された導電性の電子線照射台と、
を有することを特徴とする。
【0017】
この電子線照射装置においても、上記の元素分析装置と同様、前記絶縁体部材と前記焦電結晶の試料側分極面の間に導電体層が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
試料が電子線の照射範囲とほぼ同じ大きさであるか、該照射範囲よりも大きければ、該照射範囲に試料を配置することにより試料のみに電子線を照射することができるため、外乱ノイズとなる試料載置面からのX線の発生を抑えることができる。一方、試料が電子線の照射範囲よりも小さい場合は、電子線は試料と試料載置面の両方に照射されるため、外乱ノイズとなる試料載置面からのX線の発生を避けられない。従って、微小物質を分析するためには、電子線の照射範囲をできるだけ狭くする必要がある。
【0019】
本発明に係る元素分析装置では、焦電結晶の一方の分極面である試料側分極面に針を立設して、針の先端と試料載置面の間に電場を誘起するようにしたため、試料載置面の狭い範囲に集中して電子線を照射することができる。従って、空気中に存在するエアロゾル等の微小物質や鉄鋼中に存在する酸化物(Al2O3, SiO2, MnO2等)や硫化物(MnS, CaS等)等の介在物や、空気中に存在するエアロゾル等の微粒子の分析が可能となる。なお、電子線の照射範囲の大きさに影響を及ぼす要因としては、真空容器内の真空度、焦電結晶の一方の分極面から他方の分極面までの距離、絶縁体部材から突出する針の先端部の長さ、針の先端の径の大きさ、針の先端から試料までの距離等が挙げられる。従って、測定対象試料の大きさに応じてこれらの要因を適宜に調整して、電子線の照射範囲の大きさを設定すると良い。例えば針の先端から試料までの距離を長くしたり、針の先端部の長さを大きくしたりすることにより、電子線の照射範囲を大きくすることができる。
【0020】
また、本発明では、焦電結晶の試料側分極面を該焦電結晶より誘電率の低い絶縁体部材で覆うと共に針の先端を該絶縁体部材から突出させた。このため、焦電結晶の試料側分極面に電荷が生じてから針と試料載置面との間に電場が誘起されるまでの時間よりも、それ以外の場所に電場が誘起されるまでの時間の方が長くなる。これにより、針と試料載置面以外の場所、例えば焦電結晶と真空容器の内壁との間に電場が誘起されるまでの間は、電子線が試料載置面に集中して照射され、試料載置面以外の場所から放出されるX線を抑えることができる。そのため、より一層、外乱ノイズの少ない、高感度の分析が可能となる。
【0021】
なお、本発明では、焦電結晶の試料側分極面を絶縁体部材で覆ったため、針の先端と試料載置面の間に誘起される電場は、絶縁体部材で覆わなかったときに試料側分極面と試料載置面の間に誘起される電場よりも弱くなり、その結果、試料載置面に載置された試料から発生する特性X線の強度が低下する。しかし、上述したように本発明では外乱ノイズの発生を抑えたため、たとえ特性X線の強度が低くても、試料中に含まれる元素の高感度な定性・定量分析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る元素分析装置の一実施例を示す概略構成図。
【図2】本実施例の元素分析装置の焦電結晶近傍の電圧を示す図。
【図3】絶縁体部材の表面における電圧の時間的な変化を示すグラフ。
【図4】タングステン製の針を使用し、Ti板を試料として行った実験結果を示し、(a)は針、導電体層、絶縁体部材を設けなかったとき、(b)は針、導電体層を設け、絶縁体部材を設けなかったとき、(c)は針、導電体層、絶縁体部材を全て設けたときの特性X線スペクトルをそれぞれ示す。
【図5】金製の針を使用し、Ti板を試料として行った実験結果を示し、(a)は針、導電体層、絶縁体部材を設けなかったとき、(b)は針、導電体層を設け、絶縁体部材を設けなかったとき、(c)は針、導電体層、絶縁体部材を全て設けたときの特性X線スペクトルをそれぞれ示す図。
【図6】蛍光板を試料としたときの蛍光板の近傍の写真(a)、電子線を照射したときの該蛍光板における発光を撮影した写真(b)、及びこれら2つの写真を重ね合わせた画像(c)。
【図7】焦電結晶に針を立設せずに、蛍光板に電子線を照射したときの、蛍光板の近傍の写真(a)、電子線を照射したときの該蛍光板における発光を撮影した写真(b)、及びこれら2つの写真を重ね合わせた画像(c)。
【図8】MnO粒子とTiO粒子を含む試料の電子顕微鏡撮影写真。
【図9】TiOの粉末をカーボン両面テープの一面全体に塗った試料の本実施例に係る元素分析装置の測定結果(特性X線スペクトル)。
【図10】MnOの粉末を含む試料をカーボン両面テープの一面全体に塗った試料の本実施例に係る元素分析装置の測定結果(特性X線スペクトル)。
【図11】図8に示す1個のTiO粒子の本実施例に係る元素分析装置の測定結果(特性X線スペクトル)。
【図12】図8に示す1個のMnO粒子の本実施例に係る元素分析装置の測定結果(特性X線スペクトル)。
【図13】焦電結晶の温度が変化することにより、該焦電結晶が帯電する原理を示す説明図。
【図14】焦電結晶により試料台上の試料に電子が照射される原理を示す説明図。
【発明を実施するための形態】【実施例】
【0023】
本発明に係る元素分析装置の一実施例を図面を参照して説明する。図1は、本実施例の元素分析装置の概略構成図である。なお、以下では図中の+z方向を「上」、-z方向を「下」とする。
【実施例】
【0024】
図1の元素分析装置は、接地された導電性の真空容器10と、3mm×3mm×5mmのLiTaO3の単結晶から成る焦電結晶11と、焦電結晶11を加熱/冷却するためのペルチェ素子12と、試料Sを載置する導電性の試料台13と、試料Sに電子が照射されることにより、試料Sから放出される特性X線を検出するSi-PIN型X線検出器14と、Si-PIN型X線検出器14の検出信号を処理する処理装置141と、を有する。処理装置141は、Si-PIN型X線検出器14の検出信号からX線スペクトルを作成する機能、作成したX線スペクトルを表示する機能等を有する。
【実施例】
【0025】
本実施例の真空容器10は、ステンレス製のT字管であるT字型フランジ10A、該T字型フランジ10Aを密閉する平板状のブランクフランジ10Bと、を有する(これらの規格はNW25)。本実施例では、T字型フランジ10Aの「T」の下方向に延びる管(図1では-x方向に延びる管)に真空ポンプ(図示せず)を接続し、T字型フランジ10Aの「T」の横方向に延びる管(図1ではz方向に延びる管)の両端から、銅製の第1ロッド16及び第2ロッド17を挿入している。これら第1ロッド16及び第2ロッド17は、エポキシ系接着剤や銀ペースト等によりブランクフランジ10Bに接着されたうえで、導電性のカーボンテープにより該ブランクフランジ10Bに導通されている。また、T字型フランジ10Aのz方向に延びる管の中央に直径10mmの貫通孔を設け、該貫通孔にカプトンテープ(登録商標)を貼付することにより、窓部15としている。上記のSi-PIN型X線検出器14は、この窓部15に向けて設置されている。
【実施例】
【0026】
第1ロッド16の上面には、ペルチェ素子12を介して焦電結晶11が接合されている。ペルチェ素子12は、電源部18から電力が供給されることにより、焦電結晶11を加熱/冷却する。つまり、ペルチェ素子12及び電源部18が本発明の温度変化手段に相当する。焦電結晶11の上面は-z面(負に分極する面)、下面は+z面(正に分極する面)であり、ペルチェ素子12が焦電結晶11を冷却することにより、図14に示すように、焦電結晶11の上面が負に帯電し、下面が正に帯電する。なお、焦電結晶11は上下を逆さまにしても良い(すなわち、上面を+z面、下面を-z面とする)。この場合、ペルチェ素子12により焦電結晶11を加熱すれば、焦電結晶11の上面(+z面)が負に帯電し、下面(-z面)が正に帯電する(図13の左図を参照)。
【実施例】
【0027】
焦電結晶11の上面には、3mm×3mm×3mmの導電体層21が接合され、この導電体層21に導電性を有する針20が立設されている。針20の材料としては、タングステンや金等の導電性を有する金属を用いることができる。また、焦電結晶11と導電体層21の表面に、絶縁体部材22として、絶縁性の真空グリース(シリコーン)が塗布されている。このとき、針20の先端部は絶縁体材料22の外側に突出し、基端部は絶縁体材料22に埋まるような厚さとなるように、該絶縁体材料22は塗布されている。なお、シリコーンの比誘電率は約3であり、LiTaO(比誘電率が約50)に比べて十分小さい。
【実施例】
【0028】
第2ロッド17の下面には、試料台13が接合されている。この試料台13は、分析目的の元素の特性X線を出さない導電性材料で構成されていることが望ましく、ここではグラファイト製の台を用いている。試料台13は、その下面が試料載置面13aとされている。試料載置面13aは、針20の先端部の延長線と交差している。また、試料載置面13aは、その上に載置された試料Sから放出されるX線を窓部15から取り出しやすくするために、焦電結晶11の-z面に対して45°の勾配を持つ。試料Sはこの試料載置面13aにカーボン両面テープにより固定される。
【実施例】
【0029】
焦電結晶11の下面(+z面)は、第1ロッド16に導線等によって電気的に接続されている(図示せず)。また、試料台13の底面は第2ロッド17に電気的に接続されている。さらに、第1ロッド16と第2ロッド17は、カーボンテープにより真空容器10に電気的に接続されている。これにより、試料台13と焦電結晶11の下面は同電位となり、真空容器10が接地されていることにより、接地電位となる。
【実施例】
【0030】
電源部18は、ペルチェ素子12に電流を流す機能と共に、ペルチェ素子12に流す電流の向きを数分毎に周期的に切り替える機能を有する。これにより、ペルチェ素子12の上面は周期的に加熱と冷却を繰り返す。それに伴い、ペルチェ素子12の上面に接合された焦電結晶11は周期的に加熱され、冷却される。
【実施例】
【0031】
試料台13に試料Sを貼付し、T字型フランジ10Aを密閉した後、図示しないロータリーポンプにより排気管16を通して真空容器10内の排気を行う。真空容器10内の排気は、内部圧力が数Pa程度(例えば1Pa~5Pa)になるまで行う。この状態で焦電結晶11が冷却されると、試料台13から針20に向かう方向に電場が形成される。これにより、針20近傍の真空中の浮遊電子が試料台13に向かって加速され、試料台13上に固定された試料Sに衝突し、試料Sから特性X線が放出される。
【実施例】
【0032】
しかし、ペルチェ素子12による焦電結晶11の冷却が続き、焦電結晶11とペルチェ素子12の低温側(吸熱側)の温度差がなくなると、焦電結晶11からペルチェ素子12への熱の移動(吸熱作用)が飽和して、焦電結晶11の温度が低下しなくなる、つまり、温度が変化しなくなる。温度が変化しなくなると焦電結晶11は真空中の浮遊荷電粒子等により中和されていくので、電場が消えてしまう。X線スペクトルの強度が低く得られる場合、一旦、焦電結晶11を加熱してから、再び焦電結晶を冷却し、試料への浮遊電子の照射を繰り返すことにより、Si-PIN型X線検出器14によるX線の検出を複数回繰り返せば良い。
【実施例】
【0033】
以下、本実施例の元素分析装置において、針20、導電体層21及び絶縁体部材22がどのように作用するかを説明する。図2は、焦電結晶を冷却することにより試料側分極面(-z面)が負に帯電し、-H[V]の電圧(一般的には数十[kV]の高電圧)が発生したときに、焦電結晶近傍の各部における電圧を示したものである。なお、焦電結晶11の試料側分極面における電圧は、実際には時間的に変化するが、以下では説明を簡単にするため、定電圧が発生するものとする。
【実施例】
【0034】
焦電結晶11の試料側分極面に-H[V]の電圧が発生すると、針20及び導電体層21は導電性であるため、これらの電圧もほぼ同時に-H[V]となる。
一方、導電体層21上に設けられた絶縁体部材(グリース)22は、誘電率が低く且つ絶縁性であるため、導電体層21に-H[V]の電圧が印加されてもすぐには電圧が誘起されない。絶縁体部材22は電圧が印加された時点では帯電せず、それから時間を掛けてゆっくりと負に帯電していき、それに伴って絶縁体部材22の表面の電圧の絶対値が徐々に大きくなる(図3)。
【実施例】
【0035】
図3は、絶縁体部材22の表面に誘起される電圧の模式的な変化を示すグラフである。図3の横軸は時間を、縦軸は電圧を表している。なお、図3の縦軸は負の数値を表しており、電圧値が小さいほど上に位置する。
このグラフに示すように、絶縁体部材22の表面の電圧は、-H[V]の電圧が印加された時点では0[V]であり、該表面に負の電荷が現れるまで0[V]のまま推移する。そして、絶縁体部材22の表面に負の電荷が現れると負の電圧が生じ、最終的に-C1/(C0+C1)×H[V](C0は真空のキャパシタンス、C1は絶縁体部材22のキャパシタンス)となる。このプロセスに要する時間は、焦電結晶11と絶縁体部材22の誘電率の差(又は比)によって異なり、焦電結晶11と絶縁体部材22の誘電率の差が大きいほど、あるいは絶縁体部材22が厚いほど時間が長くなる。
【実施例】
【0036】
絶縁体部材22の表面に誘起される電圧が図3に示す閾電圧よりも小さくなると(絶対値が大きくなると)、絶縁体部材22の表面から電子が放出される。この電子や真空中の浮遊電子が絶縁体部材22と例えば真空容器10の間に形成された高い電場勾配により加速され、真空容器10に衝突することで、外乱ノイズとなるX線が放出される。従って、このような外乱ノイズの発生を抑えるためには、絶縁体部材22の表面に誘起される電圧が閾電圧を超えるまでの時間帯でX線検出を行えば良い。絶縁体部材22の表面に誘起される電圧が閾電圧を超えるまでの時間を「誘起時間」という。
【実施例】
【0037】
また、焦電結晶11の温度変化がなくなると、帯電が弱くなり、遂には中和される(これに要する時間が「中和時間」となる)。そのため、冷却を続けた結果、飽和状態に達してそれ以上温度が低下しなくなると、今度は加熱を行い、以後、冷却・加熱を一定時間ずつ繰り返すことにより、焦電結晶11の試料側分極面に常時電圧が発生し、このとき、電圧の正負が変化する。
【実施例】
【0038】
一方、X線が放出されるためには、十分に高い電場勾配が形成される必要があるが、絶縁体部材22の表面に閾電圧を超える電圧が誘起されるには、上記のように時間遅れが生じる(例えば絶縁体部材22の誘電率が1~10程度であり、その厚みが1mmから2mm程度である場合には数分程度)。そのため、誘起時間よりも中和時間の方が長い場合には、絶縁体部材22の表面の電圧が閾電圧を超える前にペルチェ素子12の冷却と加熱を切り替えれば、絶縁体材料22の表面にはX線が放出されるほど高い電場勾配が形成されない。
従って、中和時間及び誘起時間の長さに応じた適宜のタイミングで、焦電結晶11の冷却・加熱を切り替えるように、電源部18は制御される。
【実施例】
【0039】
なお、絶縁体部材22は導電体層21から直接電荷が供給されないので、実際には、絶縁体部材22の表面の電圧が閾電圧より大きくなっても、電子の放出により表面の電圧が閾電圧より小さくなって、電子の放出が止まる。そのため、中和時間が誘起時間を多少超えたとしても、絶縁体部材22の表面から電子の放出が何度も繰り返し生じる前にペルチェ素子12の冷却と加熱を切り替えれば、それによって生じる外乱ノイズを試料元素のピークに比べて十分小さくすることができる。
【実施例】
【0040】
以下、本実施例の元素分析装置による実験結果を示す。以下の実験結果は、ペルチェ素子12に3Vの電圧を印加し、焦電結晶11を約120秒加熱し、その後、電流の向きを逆にして90秒間冷却し、この冷却中の90秒間でSi-PIN型X線検出器14によりX線を検出することにより得られたものである。また、試料Sとして1cm×1cmのTi板を用いた。
【実施例】
【0041】
図4は、(a)針20、導電体層21、絶縁体部材22のいずれも設けなかったときの特性X線スペクトル(図4中の「(a)針なし」のスペクトル)と、(b)針20と導電体層21を設け、絶縁体部材22を設けなかったときの特性X線スペクトル(図4中の「(b)針あり・グリースなし」のスペクトル)と、(c)針20、導電体層21、絶縁体部材22を全て設けたときの(すなわち、本実施例の元素分析装置による)特性X線スペクトル(図4中の「(c)針あり・グリースあり」のスペクトル)を示したものである。なお、この実験では、長さが8mm程度で、先端の曲率半径が数μm~数十μmの金めっきしたタングステン製の針20を用いた。また、絶縁体部材22の厚さは3mm程度とした。
【実施例】
【0042】
この図4のグラフに示すように、(a)及び(b)のスペクトルでは、Tiのピークの他に、Cr、Fe、Niのピークが現れている。これらCr、Fe、Niのピークは、真空容器10の構成元素に由来するものであり、多くの電子が真空容器10にも照射されたことが分かる。
一方、(c)のスペクトルでは、Tiのピークのみが現れ、Cr、Fe、Niのピークは現れなかった。このことから、本実施例の元素分析装置では、殆どの電子が試料Sのみに照射され、針20と試料載置面13aとの間以外の部分に形成される電場が十分に抑制されたことが分かる。
【実施例】
【0043】
また、図5に、針20として金(Au)製の針を用いた実験結果を示す。この金製の針は電界研磨を行っておらず、先端の曲率半径は数百μm程度である。他の実験条件は、図4の特性X線スペクトルを取得したときと同じである。
【実施例】
【0044】
図5に示すように、先端を尖鋭化していない金針を用いても、上記(a), (b), (c)の各スペクトルにおいて、図4とほぼ同じ傾向が現れている。すなわち、(a)及び(b)のスペクトルでは、Tiのピークの他に、Cr、Fe、Niのピークが現れている一方、(c)のスペクトルでは、Tiのピークのみが現れ、Cr、Fe、Niのピークは現れない。このように、本実施例の元素分析装置では、針20の先端の曲率半径が数百μm程度でも、試料S以外の物質に由来する外乱ノイズの低減が可能であることが分かる。
【実施例】
【0045】
図6は、上記の金製の針20を用い、試料Sとして蛍光板(5mm×6mm)を試料載置面13aに載置したときの蛍光板の近傍の写真(a)と、該蛍光板に電子線を照射したとき(冷却を開始してから17秒後)の発光を撮影した写真(b)である。なお、図6(a)の写真は、窓部15から真空容器10内をランプで照らして撮影したため、真空容器10の内壁にランプの光が映りこんでいる。また、図6(c)はこれら2つの写真を重ね合わせた画像であり、発光が蛍光板のどこで生じたかを示したものである。この図6(c)の画像から、本実施例の元素分析装置では、電子線が蛍光板中の狭い範囲(測定では直径1mm以下)にのみ照射されていることが分かる。
図7(a)~(c)は、針20、導電体層21、絶縁体部材22のいずれも設けなかったときの図6(a)~(c)に対応する写真及び画像である。図7(c)の画像から、蛍光板全体が発光しており、電子線が広範囲に亘って照射されていることが分かる。また、図4及び図5のスペクトルから、蛍光板以外、例えば真空容器の内壁等にも電子線は照射されていることが分かる。
【実施例】
【0046】
次に、本実施例に係る元素分析装置を用いて、空気中に浮遊する微小物質を測定する場合を想定した実験を行った。この実験では、空気中に浮遊する微小物質として直径が約100μmから200μm程度のTiO及びMnOの粒子各1粒をカーボン両面テープに付着させたものを試料として用いた。図8は、この試料の電子顕微鏡(SEM)の撮影写真である。この写真から分かるように、TiOは200μm程度、MnO粒子は100μm程度の大きさを有している。また、MnO粒子とTiO粒子は500μm程度離間した状態でカーボン両面テープに付着している。
【実施例】
【0047】
図9、図10はカーボン両面テープの一方の面全体にMnOだけ、もしくはTiOのだけの粉末をこすり付けた試料を本実施例に係る元素分析装置(針有り、グリース有り)を用いて測定したスペクトルを示す。従って、この試料にはMnO、もしくはTiOの多数の粒子が含まれている。一方、図11、図12は図8に示す写真の1個のTiO粒子、もしくは1個のMnO粒子を本実施例に係る元素分析装置(針有り、グリース有り)で測定した測定したスペクトルを示す。この実験では、直径0.2mmの金線を針20として用いた。
【実施例】
【0048】
図9~図12に示すように、図11及び図12の特性X線スペクトルは、図9及び図10の特性X線スペクトルに比べて強度が非常に低く、そのため、バックグラウンドが相対的に高かったが、図9及び図10と同様の傾向を示した。このことから、本実施例に係る元素分析装置を用いて、大きさが100μm~200μm程度の微粒子を高感度に分析できることが分かった。
【実施例】
【0049】
これらの実験から、以下の知見を得ることができた。
(1)針なしの場合又は針あり・グリースなしの場合には、試料載置面や真空容器の内壁に対して放射状に電子線が照射され、しかも電子線の強度が時間的に変化する。
(2)針あり・グリースありの場合は、電子線が安定して(電子線強度があまり時間的に変化することなく)照射され、しかも電子線の照射範囲が絞られる。
(3)針あり・グリースありの構成により、電子線の照射範囲を直径1mm以下に絞ることができる。そのため、外乱ノイズを十分に抑制することができる。
(4)電子線は、針の先端から一番近い試料の位置に集中する。
(5)針20は、巨視的に見て針の形状を有していれば良く、走査型トンネル顕微鏡に用いられる針のように先端を尖鋭化させる必要はない。むしろ試料側の形状が重要であり、できるだけ小さな突起上に試料を貼付することで、より効率良く試料のみが励起される。
(6)針20の材質は、焦電結晶に比べて導電性があることが重要である。従って、金属以外の例えばグラファイトなども十分な導電性があるため、針20に使用することができる。
【実施例】
【0050】
絶縁体部材22としては、真空グリース以外にも、ゴム、酸化シリコン、ガラスなどの固体状且つ低誘電率(比誘電率1~10程度)の絶縁体材料も用いることができる。絶縁体部材22の誘電率は、焦電結晶11の1/5以下程度であれば、絶縁体部材22の表面に高電圧が誘起される時間よりも、焦電結晶11が中和される時間を短くすることができる。
【実施例】
【0051】
なお、図1の元素分析装置は、電子線照射装置としても使用することができる。電子線照射装置として使用する場合、X線検出器14は必須ではなく、必要に応じて付け加えれば良い。この場合は、図1の元素分析装置の試料台13及び試料載置面13aがそれぞれ電子線照射台及び電子線照射面となる。このような電子線照射装置は、例えばカソードルミネッセンス分析にも使用することができる。例えばカソードルミネッセンス分析に用いる場合、窓部15に向けて可視光検出器を設ければ良い。
また、上記実施例では、焦電結晶の加熱・冷却の両方をペルチェ素子を用いて行ったが、冷却にはペルチェ素子を用い、加熱には電熱線を用いても良い。この場合は、ペルチェ素子及び電熱線並びにこれらペルチェ素子及び電熱線に電力を供給する電源部から温度変化手段が構成される。


【符号の説明】
【0052】
10…真空容器
11…焦電結晶
12…ペルチェ素子
13…試料台
13a…試料載置面
14…Si-PIN型X線検出器
141…処理装置
15…窓部
16…第1ロッド
17…第2ロッド
18…電源部
20…針
21…導電体層
22…絶縁体部材
S…試料
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13