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明細書 :マクロ多孔性モノリスとその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6261005号 (P6261005)
登録日 平成29年12月22日(2017.12.22)
発行日 平成30年1月17日(2018.1.17)
発明の名称または考案の名称 マクロ多孔性モノリスとその製造方法
国際特許分類 C01B  37/02        (2006.01)
C08J   9/28        (2006.01)
C08G  77/12        (2006.01)
C08G  77/02        (2006.01)
FI C01B 37/02
C08J 9/28 101
C08J 9/28 CFH
C08G 77/12
C08G 77/02
請求項の数または発明の数 12
全頁数 50
出願番号 特願2014-549762 (P2014-549762)
出願日 平成25年8月30日(2013.8.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 集会名:ゴールド2012(ザ シックスス インターナショナル カンファレンス オン ゴールドサイエンス テクノロジー アンド イッツ アプリケーションズ)、開催日:平成24年9月5日 集会名:シックスス ユーロピアン シリコン デイズ、開催日:平成24年9月5日
国際出願番号 PCT/JP2013/005149
国際公開番号 WO2014/083729
国際公開日 平成26年6月5日(2014.6.5)
優先権出願番号 2012262741
優先日 平成24年11月30日(2012.11.30)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年8月17日(2016.8.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】中西 和樹
【氏名】モイトラ ニルマリヤ
【氏名】金森 主祥
個別代理人の代理人 【識別番号】100107641、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 耕一
審査官 【審査官】塩谷 領大
参考文献・文献 特開平06-265534(JP,A)
特開2004-271314(JP,A)
特開2005-194155(JP,A)
特表2010-521673(JP,A)
特開2009-022862(JP,A)
特開2012-096960(JP,A)
特表2008-503070(JP,A)
国際公開第2006/049333(WO,A1)
特開2013-003065(JP,A)
特表2007-527784(JP,A)
特表2009-520989(JP,A)
特開2012-012334(JP,A)
特開平04-320957(JP,A)
Omer Dag etc.,Spatially Confined Redox Chemistry in Periodic Mesoporous Hydridosilica - NanoSilver Grown in Reducing Nanopores,Journal of The American Chemical Society,2011年 9月26日,2011, 133,17454-17462
調査した分野 C01B 33/20-39/54
C08J 9/28
C08G 77/02
C08G 77/12
特許請求の範囲 【請求項1】
ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、
前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、
前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、Si-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリス。
【請求項2】
加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル-ゲル法による前記ケイ素化合物の加水分解および重合ならびに前記系の相分離を進行させることにより、前記ケイ素化合物の重合体に富む、表面に開口を有する細孔が形成された骨格相と、前記系の溶媒に富む溶液相とから構成されるとともに、前記骨格相および溶液相の共連続構造を有するゲルを形成し、
前記形成したゲルを乾燥して、
前記骨格相を骨格とし、前記細孔を前記骨格の表面に開口を有するメソ孔とし、前記溶液相をマクロ孔とする、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスを得る方法であって、
前記ケイ素化合物が、分子内に少なくとも1つのSi-H結合を有する水素化ケイ素化合物であり、
前記溶液系が、弱酸性であるとともにアルコール(グリセリンを除く)を含み、
前記溶液系に含まれる酸の量が、当該溶液系における全溶媒を基準として、2.0mM~200mMであり、
前記モノリスとして、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、前記Si-H結合に基づく水素サイトが分布したモノリスを得る、マクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項3】
前記水素化ケイ素化合物がトリアルコキシシランである請求項2に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項4】
前記トリアルコキシシランが有するアルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項5】
前記アルコールが、メタノール、エタノールまたはプロパノールである請求項2に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項6】
前記溶液系が含むアルコールの量が、当該溶液中のケイ素に対して、モル比で0.5~20.0である請求項2に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項7】
前記溶液系の溶媒が水であり、
前記溶液系が含む水の量が、当該溶液系が含むケイ素に対してモル比(水/ケイ素)で2.0~40.0である請求項2に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項8】
ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、
前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、
少なくとも前記メソ孔の内部に、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属から構成されたナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリス。
【請求項9】
ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、Si-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、
標準電極電位が水素よりも正に大きい金属の塩を含む溶液に接触させることにより、前記マクロ多孔性モノリスにおける前記水素サイトにおいて前記金属を還元し、当該金属から構成されたナノ粒子を形成して、
少なくとも前記メソ孔の内部に前記ナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスを得る、マクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項10】
前記Si-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、請求項2に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法により形成する請求項に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項11】
前記金属が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる少なくとも1種である請求項に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
【請求項12】
前記金属が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる少なくとも2種であり、
前記ナノ粒子が、前記少なくとも2種の金属の合金または固溶体から構成された粒子である請求項に記載のマクロ多孔性モノリスの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マクロ多孔性モノリス、より具体的には骨格およびマクロ孔の共連続構造を有するとともに、メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカなどの無機材料から構成された、細孔を有する多孔性モノリスが知られている。当該モノリスは、クロマトグラフィー用分離カラム、酵素担体、触媒担体などに広く使用されている。このような多孔性モノリスの製造には、一般に、溶液系における液相反応であるゾル-ゲル法が用いられる。ゾル-ゲル法とは、分散媒に分散させた、加水分解性の官能基を有する無機低分子化合物を出発物質として、ゾル-ゲル反応、すなわち当該化合物の加水分解および重合(重縮合)により、典型的には酸化物の凝集体または重合体を得る方法を示す。出発物質である無機低分子化合物は、例えば、テトラアルコキシシランに代表される金属アルコキシドおよび加水分解性の官能基を有する金属塩である。従来の一般的な多孔性モノリスは、メソ孔(直径が50nm未満の細孔)のみを有する。このような多孔性モノリスは、各種の用途に望まれる特性を必ずしも満たしているとはいえない。
【0003】
特許文献1には、これとは異なり、孔径の大きな貫通孔と、貫通孔の壁面に形成されたより小さな孔径を有する細孔とを有し、当該貫通孔と骨格とが共連続構造を示す多孔性モノリスが開示されている。このような階層的な多孔構造を有する多孔性モノリスによれば、例えば、高い分離能を維持しながらも圧力損失が小さいクロマトグラフィー用分離カラムが実現するなど、メソ孔のみを有する多孔性モノリスによっては実現が困難な、多孔性モノリスとして各種の用途に望まれる特性が実現する。階層的な多孔構造を有する多孔性モノリスは、例えば、相分離過程を併用したゾル-ゲル反応の進行によって得ることができる。
【0004】
非特許文献1,2には、多孔性モノリスではないがメソ孔を有する微粒子であって、当該微粒子中にSi-H結合が存在する微粒子が開示されている。また、非特許文献2には、当該微粒子によって、銀(I)の塩を還元してメソ孔中に銀のナノ粒子を形成できたことが記載されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平6-265534号公報
【特許文献2】特開平7-41374号公報
【0006】

【非特許文献1】Z. Y. Xie et al., "Periodic mesoporous hydridosilica--synthesis of an "impossible" material and its thermal transformation into brightly photoluminescent periodic mesoporous nanocrystal silicon-silica composite", Journal of American Chemical Society, 2011, 133, pp. 5094-5102
【非特許文献2】O. Dag et al., "Spatially confined redox chemistry in periodic mesoporous hydridosilica-nanosilver grown in reducing nanopores", Journal of American Chemical Society, 2011, 133, pp. 17454-17462
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスであって、従来に無い構成のマクロ多孔性モノリスとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマクロ多孔性モノリスの製造方法(第1の製造方法)では、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル-ゲル法による前記ケイ素化合物の加水分解および重合ならびに前記系の相分離を進行させることにより、前記ケイ素化合物の重合体に富む、表面に開口を有する細孔が形成された骨格相と、前記系の溶媒に富む溶液相とから構成されるとともに、前記骨格相および溶液相の共連続構造を有するゲルを形成し;前記形成したゲルを乾燥して;前記骨格相を骨格とし、前記細孔を前記骨格の表面に開口を有するメソ孔とし、前記溶液相をマクロ孔とする、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスを得る。ここで、当該方法では、前記ケイ素化合物が、分子内に少なくとも1つのSi-H結合を有する水素化ケイ素化合物であり、前記モノリスとして、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、前記Si-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを得る。
【0009】
本発明のマクロ多孔性モノリス(第1のマクロ多孔性モノリス)は、ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部にSi-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスである。
【0010】
別の側面からみた本発明のマクロ多孔性モノリスの製造方法(第2の製造方法)では、ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部にSi-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属の塩を含む溶液に接触させることにより、前記マクロ多孔性モノリスにおける前記水素サイトにおいて前記金属を還元し、当該金属から構成されたナノ粒子を形成して、少なくとも前記メソ孔の内部に前記ナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスを得る。
【0011】
別の側面から見た本発明のマクロ多孔性モノリス(第2のマクロ多孔性モノリス)は、ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、少なくとも前記メソ孔の内部に、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属から構成されたナノ粒子が配置されたモノリスである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスであって、従来に無い構成のマクロ多孔性モノリスとその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1の(a)~(e)は、実施例1において作製した多孔性モノリスの構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)観察像である。図1の(f)は、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスの外観を示す像である。
【図2】図2は、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対する水銀圧入法による細孔分布測定結果を示す図である。
【図3】図3は、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対する窒素ガス吸着法による細孔分布測定結果を示す図である。
【図4A】図4Aは、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対するフーリエ変換赤外分光(FT-IR)の測定結果を示す図である。
【図4B】図4Bは、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対するラマン分光の測定結果を示す図である。
【図4C】図4Cは、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対する熱重量-示差熱分析(TG-DTA)の測定結果を示す図である。
【図4D】図4Dは、実施例1において作製した第1のマクロ多孔性モノリスに対する固体29Si CP/MAS NMR測定の結果を示す図である。
【図5A】図5Aは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを硝酸銀水溶液に浸漬して銀イオンを還元した後の当該モノリスに対するFT-IRの測定結果を、浸漬前の当該モノリスに対するFT-IR測定結果と併せて示す図である。
【図5B】図5Bは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを塩化金酸四水和物水溶液に浸漬して金イオンを還元した後の当該モノリスに対するFT-IRの測定結果を、浸漬前の当該モノリスに対するFT-IR測定結果と併せて示す図である。
【図5C】図5Cは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを硝酸パラジウム水溶液に浸漬してパラジウムイオンを還元した後の当該モノリスに対するFT-IRの測定結果を、浸漬前の当該モノリスに対するFT-IR測定結果と併せて示す図である。
【図5D】図5Dは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを塩化白金酸六水和物水溶液に浸漬して白金イオンを還元した後の当該モノリスに対するFT-IRの測定結果を、浸漬前の当該モノリスに対するFT-IR測定結果と併せて示す図である。
【図6A】図6Aは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを金属塩の水溶液に浸漬して金属イオンを還元した後の当該モノリスに対する広角X線回折(XRD)の測定結果を示す図である。
【図6B】図6Bは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを硝酸銀水溶液に浸漬して銀イオンを還元した後の当該モノリスに対するXRDの測定結果(還元する銀イオンの当量違い)を示す図である。
【図6C】図6Cは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを塩化金酸水溶液に浸漬して金イオンを還元した後の当該モノリスに対するXRDの測定結果(還元する金イオンの当量違い)を示す図である。
【図6D】図6Dは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを硝酸パラジウム水溶液に浸漬してパラジウムイオンを還元した後の当該モノリスに対するXRDの測定結果(還元するパラジウムイオンの当量違い)を示す図である。
【図6E】図6Eは、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを塩化白金酸水溶液に浸漬して白金イオンを還元した後の当該モノリスに対するXRDの測定結果(還元する白金イオンの当量違い)を示す図である。
【図7】図7は、実施例2において、第1のマクロ多孔性モノリスを金属塩の水溶液に浸漬することにより、還元されて当該モノリスに析出した金属ナノ粒子の平均粒径(金属の種類違い)を示す図である。
【図8】図8の(a)~(d)は、実施例2において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する高角度散乱暗視野(走査透過電子顕微鏡)像(HAADF-STEM像)を示す図である。
【図9】図9は、実施例2において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM像を示す図である。
【図10】図10は、実施例2において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する窒素ガス吸着法による窒素ガス吸着量を示す図である。
【図11】図11は、実施例2において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する窒素ガス吸着法による細孔分布測定結果を示す図である。
【図12】図12は、実施例3において、金属塩を含む溶液に第1のマクロ多孔性モノリスを浸漬させた際の当該溶液およびモノリスの色調の変化を示す図である。
【図13】図13は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する広角X線回折(XRD)の測定結果を示す図である。
【図14】図14は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するX線光電子分光(XPS)の測定結果を示す図である。
【図15】図15は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する29Si固体NMRの測定結果を示す図である。
【図16】図16は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図17】図17は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM像を示す図である。
【図18】図18は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図19】図19は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図20】図20は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図21】図21は、実施例3において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図22】図22は、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図23A】図23Aは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM像を示す図である。
【図23B】図23Bは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図24A】図24Aは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM像を示す図である。
【図24B】図24Bは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図24C】図24Cは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図24D】図24Dは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図25A】図25Aは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM像を示す図である。
【図25B】図25Bは、実施例4において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図26】図26は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図27A】図27Aは、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM観察像を示す図である。
【図27B】図27Bは、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図28】図28は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図29】図29は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。
【図30】図30は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図31】図31は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図32A】図32Aは、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM観察像を示す図である。
【図32B】図32Bは、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図33】図33は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図34】図34は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図35】図35は、実施例5において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の平均粒径を示す図である。
【図36】図36は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図37A】図37Aは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM観察像を示す図である。
【図37B】図37Bは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図38】図38は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図39】図39は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。
【図40】図40は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図41】図41は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図42A】図42Aは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM観察像を示す図である。
【図42B】図42Bは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図43】図43は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図44】図44は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。
【図45】図45は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図46】図46は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図47A】図47Aは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM観察像を示す図である。
【図47B】図47Bは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図48】図48は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図49】図49は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。
【図50】図50は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図51】図51は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図52A】図52Aは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM観察像を示す図である。
【図52B】図52Bは、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図53】図53は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図54】図54は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。
【図55】図55は、実施例6において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図56】図56は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対するXRDの測定結果を示す図である。
【図57】図57は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのHAADF-STEM観察像を示す図である。
【図58】図58は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図59】図59は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す図である。
【図60】図60は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスに対する、XPSの測定結果を示す図である。
【図61】図61は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスのSEM観察像を示す図である。
【図62】図62は、実施例7において作製した第2のマクロ多孔性モノリスにおける金属ナノ粒子の平均粒径を示す図である。
【図63】図63は、実施例8で実施した4-ニトロフェノールの還元反応の一例における、当該反応の進行に伴う紫外線吸収分光の変化を示す図である。
【図64】図64は、実施例8で作製した流体反応システムと、当該システムを用いた4-ニトロフェノールの4-アミノフェノールへの還元反応とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の第1態様は、ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し;前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し;前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、Si-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを提供する。

【0015】
第2態様は、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル-ゲル法による前記ケイ素化合物の加水分解および重合ならびに前記系の相分離を進行させることにより、前記ケイ素化合物の重合体に富む、表面に開口を有する細孔が形成された骨格相と、前記系の溶媒に富む溶液相とから構成されるとともに、前記骨格相および溶液相の共連続構造を有するゲルを形成し;前記形成したゲルを乾燥して;前記骨格相を骨格とし、前記細孔を前記骨格の表面に開口を有するメソ孔とし、前記溶液相をマクロ孔とする、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有するマクロ多孔性モノリスを得る方法であって、前記ケイ素化合物が、分子内に少なくとも1つのSi-H結合を有する水素化ケイ素化合物であり、前記モノリスとして、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、前記Si-H結合に基づく水素サイトが分布したモノリスを得る、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。

【0016】
第3態様は、第2態様に加え、前記水素化ケイ素化合物がトリアルコキシシランである、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。

【0017】
第4態様は、第2または第3態様に加え、前記トリアルコキシシランが有するアルコキシ基が、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基から選ばれる少なくとも1種である、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。

【0018】
第5態様は、第2から第4態様のいずれかに加え、前記溶液系が弱酸性であるとともにアルコールを含む、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。

【0019】
第6態様は、ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、少なくとも前記メソ孔の内部に、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属から構成されたナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスを提供する。

【0020】
第7態様は、ヒドリドシリカにより構成された骨格と、前記骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、前記骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることで、前記メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、前記骨格の表面および前記メソ孔の内部に、Si-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属の塩を含む溶液に接触させることにより、前記マクロ多孔性モノリスにおける前記水素サイトにおいて前記金属を還元し、当該金属から構成されたナノ粒子を形成して、少なくとも前記メソ孔の内部に前記ナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスを得る、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。

【0021】
第8態様は、第7態様に加え、前記Si-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスを、第2から第5態様のいずれかの製造方法により形成する、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。

【0022】
第9態様は、第7または第8態様に加え、前記金属が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる少なくとも1種である、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。

【0023】
第10態様は、第7または第8態様に加え、前記金属が、白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる少なくとも2種であり、前記ナノ粒子が、前記少なくとも2種の金属の合金または固溶体から構成された粒子である、マクロ多孔性モノリスの製造方法を提供する。

【0024】
本明細書において「マクロ孔」とは、IUPACによる提唱に従い、孔径(細孔径)が50nm以上の細孔を意味し、「メソ孔」とはマクロ孔とミクロ孔(孔径が2nm未満の細孔)との中間、すなわち孔径が2nm以上50nm未満の範囲にある細孔を意味する。細孔の孔径および平均孔径は、予想される当該孔径および平均孔径の大きさに基づいて選択される一般的な細孔分布測定、例えば、マクロ孔について水銀圧入法による細孔分布測定、メソ孔について窒素ガス吸着法による細孔分布測定により、求めることができる。

【0025】
[第1の製造方法および第1のマクロ多孔性モノリス]
第1の製造方法は、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル-ゲル法による当該ケイ素化合物の加水分解および重合(重縮合)ならびに当該溶液系の相分離を進行させることにより、骨格相と溶液相とから構成されるゲルを形成する工程(ゲル化工程)を含む。ゲル化工程において形成するゲルの骨格相は、上記ケイ素化合物の重合体(加水分解物の重縮合体)に富んでいる。骨格相には、その表面に開口を有する細孔(ゲルの乾燥後にメソ孔となる細孔)が形成されている。ただし、当該細孔の全てが骨格相の表面に開口を有するとは限らない。これは、乾燥後のメソ孔においても同様である。溶液相は上記溶液系の溶媒に富んでおり、溶液相における上記重合体の濃度は骨格相における濃度に比べて相対的に低い。相分離過程を経て生じた骨格相および溶液相は、それぞれ連続した3次元の網目構造を有するとともに互いに絡み合っており、すなわち、ゲル化工程において形成するゲルは骨格相および溶液相の共連続構造を有している。

【0026】
第1の製造方法は、ゲル化工程において形成したゲルを乾燥する工程(乾燥工程)をさらに含む。乾燥工程を経て、第1のマクロ多孔性モノリス(第1のモノリス)が得られる。乾燥工程では、ゲルの骨格相から第1のモノリスの骨格が、溶液相から第1のモノリスのマクロ孔が、それぞれ形成される。第1のモノリスでは、ゲルの骨格相および溶液相の構造に対応して、骨格およびマクロ孔はそれぞれ連続した3次元の網目構造を有するとともに互いに絡み合っており、すなわち、第1のモノリスは骨格およびマクロ孔の共連続構造を有する。これにより第1のモノリスは、複数の重合体粒子の確率的な凝集および結着により形成された多孔質体に比べて骨格の構造がより均一となり、強度などの機械的特性に優れる。

【0027】
これに加えて第1のモノリスは、骨格の表面に開口を有するメソ孔を有する。メソ孔は、ゲルの骨格相に存在していた細孔から乾燥工程を経て形成される。骨格の表面に開口を有するとはマクロ孔の壁面に開口を有することであり、すなわち、第1のモノリスは孔径が異なるマクロ孔およびメソ孔の階層的な多孔構造を有する。本明細書では、骨格およびマクロ孔の共連続構造を有するとともに、このようなメソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有するモノリスを、マクロ多孔性モノリスという。階層的な多孔構造により、例えば、孔径の大きなマクロ孔により圧力損失の上昇を抑制しながらも、孔径の小さなメソ孔により高い比表面積、すなわち高い分離能が確保されたクロマトグラフィー用分離カラムが実現するなど、多孔性モノリスとして各種の用途に望まれる特性が実現する。

【0028】
第1の製造方法では、ケイ素化合物として、加水分解性の官能基を有するとともに分子内に少なくとも1つのSi-H結合を有する水素化ケイ素化合物(シリルヒドリド化合物)を使用する。そして、第1のモノリスとして、骨格の表面およびメソ孔の内部にSi-H結合に基づく水素サイトが分布した(Si-H基が分布した)モノリスを得る。第1のモノリスに分布するSi-H基は、第1の製造方法の出発物質である水素化ケイ素化合物に由来する。Si-H基は還元活性、特に種々の有機反応に応用可能な還元活性、を有しており、第1の製造方法により、当該還元活性を利用できる様々な用途に使用可能な第1のマクロ多孔性モノリスが得られる。

【0029】
このようなマクロ多孔性モノリスは、例えば、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解および重合により形成した微粒子を凝集および結着させることによっては得ることができない。微粒子の結着によって、メソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有するモノリスを製造することはできないか、あるいは非常に困難である。そして、仮にSi-H結合に基づく水素サイトが分布した、ケイ素化合物の加水分解物の重縮合体からなる微粒子を準備し、当該微粒子を凝集および結着させたとしても、そもそもケイ素酸化物を主たる成分とする当該重縮合体の結着に必要な高熱によってSi-H基が容易に分解するため、得られた結着体ではSi-H基が全て失われる結果となる。

【0030】
第1のマクロ多孔性モノリスは、相分離過程を併用するゾル-ゲル法を採用した第1の製造方法により初めて実現する。なお、第1のマクロ多孔性モノリスの骨格は、その表面およびメソ孔の内部にSi-H結合に基づく水素サイトが分布した、上記水素化ケイ素化合物の加水分解物の重縮合体であるヒドリドシリカ(水素化シリカ)から構成される。ヒドリドシリカは、通常のシリカゲルとはシロキサン結合(Si-O-Si結合)からなる3次元的な結合を有する点で共通するが上記水素サイト(Si-H基)が分布している点で異なっている。ヒドリドシリカが有するSi-H基が酸化または分解されるとSi-OH基またはSi-O-Si結合となり、ヒドリドシリカは通常のシリカゲルとなる。

【0031】
換言すれば、第1のマクロ多孔性モノリスは、ヒドリドシリカにより構成された骨格と当該骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることでメソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、骨格の表面およびメソ孔の内部にSi-H結合に基づく水素サイトが分布したマクロ多孔性モノリスである。

【0032】
第1のマクロ多孔性モノリスにおける骨格の表面およびメソ孔の内部に分布した水素サイトの分布密度は、例えば、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物として水素化ケイ素化合物とSi-H結合を有さないケイ素化合物(例えばケイ素アルコキシド)とを含む溶液系とし、当該溶液系における両化合物の混合比率を変化させることにより制御することができる。また、第1のマクロ多孔性モノリスを形成した後、当該モノリスが有する水素サイトの一部を他の官能基に転換することによっても制御可能である。転換の一例は、亜鉛化合物を触媒とする、Si-H基とアルコールR-OHとの反応の進行であり、この場合、Si-H基がSi-OR基に転換され、第1のマクロ多孔性モノリスにおけるSi-H基の分布密度が低下する。

【0033】
水素化ケイ素化合物は、その分子内に少なくとも1つのSi-H結合を有する限り限定されない。水素化ケイ素化合物は、好ましくは1つのSi-H結合を有する化合物である。後者の場合、Si原子との残る3つの結合が、Si原子と加水分解性の官能基との結合であることが好ましい。

【0034】
水素化ケイ素化合物は加水分解性の官能基を有する。当該官能基は、アルコキシ基、エチレングリコキシ基およびグリセロキシ基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、加水分解速度の観点から、アルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、水素化ケイ素化合物の加水分解について十分な速度が得られることから、メトキシ基およびエトキシ基から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。水素化ケイ素化合物が、2以上の加水分解性の官能基を有する場合、ゾル-ゲル反応の制御の容易さから、全ての官能基が同一の種類であることが好ましい。

【0035】
水素化ケイ素化合物は、好ましくは、分子内に1つのSi-H結合と、加水分解性の官能基として3つのアルコキシ基とを有するトリアルコキシシラン(SiH(OR):Rはアルキル基)である。水素化ケイ素化合物がトリアルコキシシランである場合、シロキサン結合による3次元ネットワークから構成され、表面およびメソ孔内に上記水素サイトが分布した骨格の形成がより確実となる。トリアルコキシシランが有するアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水素化ケイ素化合物の加水分解について十分な速度が得られることから、メトキシ基およびエトキシ基から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。ゾル-ゲル反応の制御の容易さの観点からは、トリアルコキシシランが有する3つのアルコキシ基が同一であることが好ましい。

【0036】
水素化ケイ素化合物は、例えば、トリメトキシシラン(SiH(OCH)またはトリエトキシシラン(SiH(OCHCH)である。

【0037】
ゲル化工程におけるゲルの形成は、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物として、分子内に少なくとも1つのSi-H結合を有する水素化ケイ素化合物を使用することを除き、従来のマクロ多孔性モノリスの製造における相分離過程を併用したゾル-ゲル法に基づくゲル化工程(従来のゲル化工程)と同様に実施することができる。

【0038】
例えば、相分離過程を伴うゾル-ゲル反応に供する溶液系は、水素化ケイ素化合物と当該化合物の溶媒(分散媒)以外の材料を含むことができる。当該材料は、従来のゲル化工程において溶液系に含まれる材料であればよく、例えば、骨格相の細孔の形成に寄与する鋳型成分、相分離誘起剤、ならびにケイ素化合物の加水分解および重縮合を促進または抑制する材料である。また、上述のように当該溶液系は、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物として、Si-H結合を有さないケイ素化合物(例えばケイ素アルコキシド)を含んでいてもよい。このケイ素化合物は、水素化ケイ素化合物とともに、ゾル-ゲル法による加水分解および重縮合、溶液系の相分離ならびに乾燥を経て、第1のモノリスの骨格を形成する。このケイ素化合物の含有により、例えば、第1のマクロ多孔性モノリスにおける骨格の表面およびメソ孔の内部に分布した水素サイトの分布密度を制御できる。

【0039】
鋳型成分は必ずしも必須ではないが、骨格相の細孔(ひいてはマクロ多孔性モノリスにおける骨格のメソ孔)の形成を確実にするために、溶液系に加えることが好ましい。鋳型成分は、例えば、両親媒性化合物である。両親媒性化合物は、例えば、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ならびに親水部および疎水部を有するブロック共重合体である。カチオン性界面活性剤は、四級アンモニウム塩などの親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを有する界面活性剤が好ましい。両親媒性化合物の具体例は、ハロゲン化アルキルアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドブロック共重合体である。両親媒性化合物は、溶液系の溶媒に均一に溶解するものが好ましい。

【0040】
鋳型成分の添加量は、溶液系に加える場合、例えば、溶液系中のケイ素原子0.0167モル(無水シリカ換算重量として1.0g)に対して0.5~5.0gであり、1.0~3.0gが好ましく、1.5~2.5gがより好ましい。

【0041】
相分離誘起剤は、相分離過程を伴ったゾル-ゲル反応を誘起できる成分である限り限定されず、ポリエチレンオキシド(PEO)のように溶液系の溶媒に溶解する高分子化合物が好ましい。相分離誘起剤には、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩、ポリアリルアミン塩酸塩の他、鋳型成分として上述した材料も使用できる(逆に、PEOは鋳型成分としても機能する)。

【0042】
相分離誘起剤の添加量は、例えば、溶液中のケイ素1モルに対して、単量体として0.01~1.0モルであり、0.05~0.7モルが好ましく、0.1~0.4モルがより好ましい。

【0043】
ケイ素化合物の加水分解および重縮合を促進する材料は、例えば、酸である。酸は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸、および酢酸、クエン酸などの有機酸である。酸は、塩酸、硫酸、硝酸が好ましい。

【0044】
ケイ素化合物の加水分解および重縮合を抑制する材料は、例えば、アルコールである。アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールである。水素化ケイ素化合物が加水分解性の官能基としてアルコキシ基を有する場合、当該アルコキシ基を構成するアルキルの部分と同じアルキル基を有するアルコール(ペアレントアルコール:例えば、水素化ケイ素化合物がメトキシ基を有する場合にはメタノール)が好ましい。これにより、反応系がシンプルとなり、ゾル-ゲル反応の制御性が増加する。

【0045】
溶液系の溶媒は、典型的には水である。水の量は、例えば、溶液中のケイ素に対してモル比(水/ケイ素)で2.0~40.0であり、3.0~20.0が好ましく、5.0~10.0がより好ましい。過剰な水は、ゲルの形成を阻害する。

【0046】
相分離過程を伴うゾル-ゲル反応は、従来のマクロ多孔性モノリスの製造におけるゲル化工程と同様に、これらの材料の混合による溶液系の完成により進行する。ただし、第1の製造方法では、ゲル化工程において、水素化ケイ素化合物が有するSi-H結合が失われることを抑制する(Si-H基の分解を抑制する)ために、相分離過程を伴うゾル-ゲル反応を「マイルドな」条件で進行させることが好ましい。

【0047】
マイルドな条件のために、例えば、溶液系を弱酸性とすることが好ましい。そのためには、例えば、溶液系に加える酸の量を、典型的には水(およびアルコール)からなる全溶媒を基準として2.0mM~500mMとすることが好ましく、5.0mM~200mMとすることがより好ましく、10mM~50mMとすることがさらに好ましい(ここで、M=モル/Lである)。

【0048】
マイルドな条件のために、例えば、溶液系にアルコールを加えることが好ましく、アルコールの添加量は、例えば、溶液中のケイ素に対してモル比(アルコール/ケイ素)で0.5~20.0であり、1.0~10.0が好ましく、2.0~5.0がより好ましい。上述したように、アルコールはペアレントアルコールが好ましい。

【0049】
最も好ましくは、溶液系が弱酸性であるとともにアルコールを含むことである。

【0050】
第1の製造方法において、ゲル化工程において形成されたゲルは、その後乾燥されて第1のマクロ多孔性モノリスとなる。乾燥工程は、従来のマクロ多孔性モノリスの製造におけるゲル化工程後の乾燥工程と同様に実施することができる。ただし、加熱を併用して乾燥工程を実施する場合には、Si-H基が分解する高温がゲルに加わることをできるだけ避けることが好ましい。

【0051】
第1のマクロ多孔性モノリスは、上述した特徴以外にも、例えば、以下の特徴を有する。

【0052】
(1)マクロ孔の孔径の均一性が高い。相分離過程を経てマクロ孔が形成されるため、孔径の均一性が高いマクロ孔を有する。なお、マクロ多孔性モノリスに液体を浸透させる場合には、マクロ孔の平均孔径は1μm以上が好ましい。第2のマクロ多孔性モノリスにおいても同様である。

【0053】
(2)高い比表面積を有する。骨格に形成された無数のメソ孔により、高い比表面積を示す。比表面積は、例えば、600m/g以上とすることができ、製造条件によっては、800m/g以上となる。なお、メソ孔の中心孔径は、2~10nmが好ましい。第2のマクロ多孔性モノリスにおいても同様である。

【0054】
(3)Si-H結合に基づく水素サイトの分布(Si-H基の分布)により、モノリス内に進入した物質を還元させる還元反応を進行させることができる。この場合、水素サイトは還元サイトとして機能する。ただし、還元反応は、還元前の当該物質の標準電極電位が水素よりも正に大きい場合に限られる。第1のマクロ多孔性モノリスは、例えば、有機化合物の還元反応あるいは金属化合物(金、銀、銅、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、水銀、レニウム、ゲルマニウム、タリウムなどの金属の化合物)の還元反応に用いることができる。

【0055】
(4)骨格の表面(マクロ孔の壁面)だけではなくメソ孔の内部にまで上記水素サイトが分布している。これにより、安定かつ確実な還元反応を実現できるとともに、モノリスの単位重量あたり多くの物質を還元できる。また、第2の製造方法および第2のマクロ多孔性モノリスの説明に示すように、メソ孔の内部に還元後の物質を配置することが可能となり、この点は、例えば、モノリスを触媒担体として使用する際に大きなメリットとなる。

【0056】
(5)Si-H結合(Si-H基)を有する物質は、低分子化合物の状態では、その爆発または燃焼の危険性から使用には細心の注意を要する。これは、当該低分子化合物への接触により物質を還元させる還元反応を進行させる場合も同様である。一方、第1のマクロ多孔性モノリスでは、低分子化合物とは異なり、これらの危険性を回避できる。この点は、産業上非常に有利である。

【0057】
第1のマクロ多孔性モノリスが得られる限り、第1の製造方法は、ゲル化工程および乾燥工程以外の任意の工程を含むことができる。

【0058】
第1のマクロ多孔性モノリスは、上述した第1の製造方法以外の方法により製造しても構わない。

【0059】
第1のマクロ多孔性モノリスの用途は限定されず、例えば、Si-H基への任意の官能基修飾による分離媒体、還元反応を伴う触媒分子・酵素分子の固定による触媒担体、還元を伴う微量有害物質の安定化と回収、などに幅広く使用できる。

【0060】
[第2の製造方法および第2のマクロ多孔性モノリス]
第2の製造方法では、第1のマクロ多孔性モノリスを、標準電極電位Eが水素よりも正に大きい金属の塩を含む溶液に接触させることにより、第1のマクロ多孔性モノリスにおける上記水素サイトにおいて当該金属を還元し、当該金属から構成されたナノ粒子を形成する(還元工程)。そして、この還元工程により、少なくともメソ孔の内部に当該金属から構成されたナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリス(第2のマクロ多孔性モノリス)を得る。なお、ナノ粒子とは、粒子の縦・横・高さのいずれかの次元の長さが250nm以下1nm(1nmは、化合物の分子1個あるいは単位格子のサイズに近い)以上、好ましくは100nm以下1nm以上の粒子を意味する。上記いずれかの次元の長さが1nm未満の粒子はクラスターと、250nmを超える粒子は微粒子と、一般的に呼称される。

【0061】
金属は、還元前の状態で(溶液中の典型的にはイオンの状態で)標準電極電位Eが水素よりも正に大きい金属である。金属は、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、水銀(Hg)、レニウム(Re)、ゲルマニウム(Ge)およびタリウム(Tl)から選ばれる少なくとも1種であり、白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる少なくとも1種であってもよい。ただし、水銀は常温常圧下で液体であるため、水銀について固体のナノ粒子を得るためには、低融点の溶媒に水銀塩を溶解させるとともに第1のマクロ多孔性モノリスを水銀の融点(-38.9℃)以下に冷却する必要がある。なお、例えば25℃の水中におけるEは、水素:0V、白金(Pt2+):+1.19V([PtClとしては+0.74V)、パラジウム(Pd2+):+0.92V、金(Au3+):+1.52V([AuClとしては+1.00V)、銀(Ag):+0.80V、銅(Cu2+):+0.34V、ルテニウム(Ru2+):+0.80V、ロジウム(Rh3+):+0.76V、水銀(Hg2+):+0.85V、レニウム(Re3+):+0.30V、ゲルマニウム(Ge4+):+0.12V、タリウム(Tl3+):+0.72Vである。

【0062】
第2の製造方法では、第1のマクロ多孔性モノリスの骨格の表面およびメソ孔の内部に分布したSi-H結合に基づく水素サイトを利用して金属の還元反応を進行させ、当該サイトが存在していた部分に当該金属から構成されたナノ粒子(金属ナノ粒子)を析出させる。なお、「少なくともメソ孔の内部に」としたのは、マクロ多孔性モノリスにおける骨格の表面(マクロ孔の壁面)に配置されたナノ粒子は、第2のマクロ多孔性モノリスの製造後の処理または使用の状態によっては多少なりとも流出する可能性があるためである。金属を還元した直後の状態では、第2のマクロ多孔性モノリスにおける骨格の表面にも当該ナノ粒子が配置されている。もちろん、第2のマクロ多孔性モノリスの形成後の処理または使用によっても当該ナノ粒子が流出せず、メソ孔の内部と併せて第2のマクロ多孔性モノリスにおける骨格の表面にも、還元された当該金属ナノ粒子が配置されうる。

【0063】
金属を還元させたSi-H基は、Si-OH基またはSi-O-Si結合となる。換言すれば、第2のマクロ多孔性モノリスは、ヒドリドシリカまたはシリカゲルにより構成された骨格と当該骨格との共連続構造を示すマクロ孔とを有し、骨格に当該骨格の表面に開口を有するメソ孔が形成されていることでメソ孔およびマクロ孔の階層的な多孔構造を有し、少なくともメソ孔の内部に、標準電極電位が水素よりも正に大きい金属から構成されたナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスである。

【0064】
メソ孔の内部にまで金属ナノ粒子が配置されたマクロ多孔性モノリスは、従来の方法では製造することができない。例えば、マクロ多孔性モノリスを従来の方法により製造し、これに金属ナノ粒子を含む溶液を流したとしても、モノリスの骨格の表面にこそナノ粒子が担持される可能性はあるが、メソ孔の内部にまでナノ粒子が進入することはない。

【0065】
これに加えて、第2のマクロ多孔性モノリスでは、メソ孔の内部で金属イオンの還元反応が進行し、その場で金属ナノ粒子が生成する。このため、メソ孔の壁面の形状に沿った金属ナノ粒子が形成され、その形状の不均一さが一種のアンカーとなって、メソ孔からのナノ粒子の脱落が抑制される。この点は、第2のマクロ多孔性モノリスを、例えば触媒担体などに使用する場合などに産業上の大きな利点となる。

【0066】
さらに、第1のマクロ多孔性モノリスについてSi-H基の分布(還元サイトの分布)の均一性を高くできることに基づき、第2のマクロ多孔性モノリスでは、当該第2のモノリスにおける金属ナノ粒子の高い分布の均一性を確保できる。そして、金属の還元反応がSi-H基という非常に微細なサイトで進行することから、形成した金属ナノ粒子の組成の高い均一性を確保することも可能である。

【0067】
還元工程における金属の還元反応は、電気化学的な量論比に従って進行する。したがって、第1のマクロ多孔性モノリスに分布している水素サイトの量が同じ場合、例えば、白金、パラジウム、金および銀では、一価の電荷のやり取りのみで単体にまで還元される銀のナノ粒子が最も多く析出する。

【0068】
一方、第1のマクロ多孔性モノリスに分布していた水素サイトの当量よりも、還元させる金属イオンの当量が少ない場合は、還元工程後も、水素サイトが第2のマクロ多孔性モノリスに残留することになる。残留した水素サイト(Si-H基)は、水の存在下における熱の印加によってSi-OH基に変化させることができる。すなわち、第2のマクロ多孔性モノリスの骨格は、Si-H基が残留したヒドリドシリカであってもよく、Si-H基を失った通常のシリカゲルであってもよい。

【0069】
還元工程は、Si-H基の高い反応性に基づき、還元したい金属の塩を含む溶液に第1のマクロ多孔性モノリスを接触させるだけで自発的に進行させることができる。このとき、2種以上の金属の塩を含む溶液を用いると、それぞれの金属のナノ粒子および/または当該2種以上の金属の合金もしくは固溶体のナノ粒子が析出し、第2のマクロ多孔性モノリス内に配置される。いずれの粒子が析出するかは、還元する金属イオンの量、および第1のマクロ多孔性モノリスにおける水素サイトの分布密度によって変化する。還元する金属イオンの量に比べて水素サイトが十分大きな分布密度を有している場合はそれぞれの金属のナノ粒子が析出しやすく、そうでない場合は、合金または固溶体のナノ粒子が析出しやすい。また、溶液が水を含む場合、金属の還元反応に水が関係することから、当該溶液に含まれる水の量も、いずれの粒子が析出するかに影響を与える。溶液の溶媒に占める水の割合が大きいと、還元反応速度が上昇し、それぞれの金属のナノ粒子が個別に析出しやすい。一方、水の割合が小さいと還元反応速度が低下し、合金または固溶体のナノ粒子が析出しやすくなる。

【0070】
合金または固溶体のナノ粒子が析出する場合、一度に還元される金属種の数に上限はなく、溶液中に存在する金属種の数に応じて、2元、3元あるいは4元系など多元系の合金ナノ粒子または固溶体ナノ粒子を析出させることができる。例えば、第2の製造方法では、金属が白金、パラジウム、金、銀、銅、ルテニウム、ロジウムおよび水銀から選ばれる少なくとも2種であり、ナノ粒子が当該少なくとも2種の金属の合金または固溶体であってもよい。2元系の例は、Au-Pd系、Au-Pt系、Pd-Rh系、Pt-Rh系である。Au-Pd系のナノ粒子は、例えば、過酸化水素の直接合成、アルコールおよびポリオールの酸化、フェノールおよびトルエンの酸化の触媒、チオフェンの脱硫などに使用できる。Au-Pt系のナノ粒子は、例えば、ポリオールおよびCOの酸化の触媒などに使用できる。もちろん、これらナノ粒子の用途は、上記例に限定されない。3元系の例は、Au-Pd-Pt系、Au-Pd-Rh系、Au-Pt-Rh系、Pd-Pt-Rh系である。4元系の例は、Au-Pd-Pt-Rh系である。

【0071】
還元工程は、例えば、還元したい金属の塩を含む溶液に第1のマクロ多孔性モノリスを浸漬して行う。還元工程後は、例えば、浸漬したマクロ多孔性モノリスを溶液から取り出し、乾燥して、第2のマクロ多孔性モノリスを得ることができる。

【0072】
溶液は、例えば、水を主たる溶媒の成分とする水溶液である。ここで、主たる溶媒の成分とは、溶媒を構成する成分のうち最も含有量(例えば重量)が大きな成分をいう。第1のマクロ多孔性モノリスを接触させる溶液は、水のみを溶媒とする水溶液であってもよいし、本発明の効果が得られる限り、水と水に混和する溶媒(例えば極性溶媒)との混合物を溶媒とする水溶液であってもよい。水に混和する溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのジオール類、グリセリンなどのトリオール類、アセトン、酸アミド類(ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなど)、環状エーテル類(プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなど)、スルホキシドまたはスルホン(ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホンなど)、アルコキシアルコール類(エトキシエタノール、メトキシメタノールなど)である。また、本発明の効果が得られる限り、第1のマクロ多孔性モノリスを接触させる溶液は、水を含むが主たる溶媒の成分としない、あるいは吸湿や金属塩の結晶水などに由来する微量の水を除いて実質的に水を含まない溶液であってもよい。当該溶液の溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのジオール類、グリセリンなどのトリオール類およびアセトンから選ばれる1種または2種以上を含み、あるいは上記1種の溶媒または2種以上の溶媒の混合物からなる。溶液または水溶液は、本発明の効果が得られる限り、水、上述した各溶媒および金属塩以外の材料を含むことができる。

【0073】
第2の製造方法に使用する第1のマクロ多孔性モノリスは、例えば、第1の製造方法により形成した第1のマクロ多孔性モノリスである。すなわち、第1のマクロ多孔性モノリスを上述した第1の製造方法により形成してもよい。この場合、第1のマクロ多孔性モノリスは、ケイ素化合物から第2のマクロ多孔性モノリスを製造する際の中間体となる。

【0074】
第2のマクロ多孔性モノリスが得られる限り、第2の製造方法は、還元工程以外の任意の工程を含むことができる。

【0075】
第2のマクロ多孔性モノリスは、上述した第2の製造方法以外の方法により製造しても構わない。

【0076】
第2のマクロ多孔性モノリスの用途は特に限定されない。当該用途は、例えば、モノリス内に配置されている金属ナノ粒子を触媒として利用する用途(モノリスとしては、当該触媒の担体としての用途)である。具体例としては、第2のマクロ多孔性モノリスを有機合成、例えばパラジウムナノ粒子によって効率よく触媒される、鈴木・宮浦カップリング反応または溝呂木・ヘック反応、の触媒に利用する用途がある。有機合成の触媒に利用する場合、モノリスであることから、反応系からの回収が容易であるという利点も得られる。さらに、第2のマクロ多孔性モノリスでは、多くの触媒担体で見られる「ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基などの配位子(リガンド、リンカー)によるナノ粒子の支持」を行う必要が必ずしもないため、ナノ粒子による従来にない高い活性やナノ粒子の流出の抑制が期待される。

【0077】
また、第2のモノリスがマクロ孔-メソ孔の階層多孔構造を有することにより、マクロ孔による高い流体透過性と、メソ孔に配置された金属ナノ粒子による高い活性(例えば触媒活性)とに基づく、高効率かつ高性能な流体反応システム(flow reaction system)の構築なども期待される。
【実施例】
【0078】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【実施例】
【0079】
(実施例1:第1のマクロ多孔性モノリスの作製)
表1に示す量のポリエチレングリコール(PEO)(シグマアルドリッチ製、分子量35000)を、体積比1:1で混合した濃度50mMの硝酸(岸田化学製、濃度65%)2.5mLおよびメタノール(岸田化学製)2.5mLの混合物に溶解させた。次に、得られた混合物を室温で30分間攪拌した後、得られた溶液に、トリメトキシシラン(HTMS)(東京化成工業製、>90%)2.1mL(16.5mmol)を加えた。次に、この混合物を2分間攪拌した後、攪拌を停止し、室温で放置した。放置後、15分以内にゲル化が始まった。次に、得られたゲルを室温で2日間熟成させ、メタノールで洗浄した後、40℃で2日間乾燥させて、多孔性モノリスを得た。なお、HTMS、メタノール、水および硝酸の混合比(モル比)は、1:3.7:8.4:7.6×10-3であった。
【実施例】
【0080】
【表1】
JP0006261005B2_000002t.gif
【実施例】
【0081】
作製した各多孔性モノリスの構造を走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOL製、JSM-6060S)を用いて観察した。PEOを加えなかったHY0では透明なゲルが得られ、マクロ孔が観察されなかった(図1の(a))。一方、PEOの添加量を増すにつれて得られたゲルの透明性が低下し、マクロ孔が形成されることが確認された(図1の(a)~(e))。そして、サンプルHY150およびHY210では、骨格との共連続構造を有するマクロ孔の形成が明確に確認され(図1の(c)、(d))、第1のマクロ多孔性モノリスの作製が確認された。図1の(f)に、HY210モノリスの外観を示す。図1の(f)には、HY210モノリスと当該モノリスのサイズの指標となる定規とが示されており、図中、上方の物品が円柱状のHY210モノリスである。HY150およびHY210の外観は白色であった。
【実施例】
【0082】
次に、HY150およびHY210に存在するマクロ孔の特性を水銀細孔分布測定装置(カンタクローム製、Pore Master 60-GT)を用いて評価した。各サンプルは、測定の前に200℃で6時間加熱して脱気(degas)した。評価結果を図2に示す。図2に示すように、両モノリスにおけるマクロ孔の孔径はシャープな分布を示した。すなわち、マクロ孔の孔径の均一性が高い第1のマクロ多孔性モノリスが得られていた。HY150モノリスにおけるマクロ孔の孔径分布のピークは3.3μm、HY210モノリスにおけるマクロ孔の孔径分布のピークは1.2μmであった。なお、HY150とHY210とでは、HY210の方がPEOの添加量が大きいが、HY150に比べてHY210ではマクロ孔の孔径が減少する一方で、細孔容積が増大した。
【実施例】
【0083】
次に、HY150およびHY210に存在するメソ孔およびマクロ孔の特性を、窒素ガス吸着法による細孔分布測定(日本ベル製、BELSORP-miniII)により解析した。各サンプルは、測定の前に200℃で6時間加熱して脱気(degas)した。評価結果を図3に示す。図3に示すようにHY150およびHY210の吸着-脱着等温線はタイプIVの特性を示し、メソ孔の存在が確認された。また、HY150およびHY210ともに、吸着ブランチを用いて得たBJH細孔サイズ分布曲線に示すように10nm未満の小さいメソ孔を主たる要因とする高いBET表面積が確認された(HY150が630m/g、HY210が800m/g)。HY210モノリスでは、最も多くを占めるメソ孔の直径(中心孔径)が3.2nmであったが、HY150モノリスでは2nmであった。
【実施例】
【0084】
次に、HY210に対して分光学的な特性評価を行い、その分子レベルの構造とSi-H結合の存在とを評価した。HY210に対するフーリエ変換赤外分光(FT-IR)測定は、フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製、IRAffinity-1)により臭化カリウムを混合した標準試料を用いて行った。また、ラマン分光測定は、共焦点ラマン分光測定装置(HORIBA製、Xplora)を用いて行った。図4Aおよび図4Bに示すように、FT-IRおよびラマンのいずれにおいても、波数2250cm-1にシャープなSi-H伸縮振動が確認された。また、FT-IRにおいて、波数1000~1250cm-1に強いSi-O-Siの振動と、波数800~925cm-1にO-Si-Hの振動が確認された。波数930cm-1にあるSi-OHによる吸収はごく小さく無視できるレベルであるため、HTMSのSi-H結合が、作製したマクロ多孔性モノリスにそのまま残されていることが確認された。PEOは、波数1750cm-1付近のエーテル単位による広いピークによって、モノリス中に残っていることが確認された。これに加えて、FT-IRスペクトルのピークを精査することによって、得られたモノリスの骨格の構造についてさらなる知見を得ることができた。具体的には、それぞれ波数1150cm-1および波数875cm-1に現れているSi-O-SiおよびH-Si-Oの振動は環構造によるものであり、1070cm-1および830cm-1のSi-O-SiおよびH-Si-Oの振動はランダムネットワークに対応していた。したがって、FT-IRの結果から、HY210モノリスの骨格は主にSi-H基が保たれたランダムネットワークおよび環構造から構成されていることがわかった。
【実施例】
【0085】
次に、HY210の熱安定性を評価するために、その熱重量-示差熱分析(TG-DTA)を実施した。分析は、リガク製、ThermoPlusTG8120を用いて、エアーを100mL/分で常時供給しながら昇温速度5℃/分で実施した。図4Cに示すようにTGおよびDTA曲線によれば、150℃から200℃で大きく重量が減少し、350℃から500℃で重量が増加することがわかった。重量減少は、モノリス中のPEOの燃焼に対応すると考えられる。重量増加は、Si-H基のSi-O-Si結合およびSi-OH基への熱酸化によると考えられる。TG-DTA分析によれば、HY210モノリス内に存在するSi-H基は、350℃まで熱に安定であることがわかった。
【実施例】
【0086】
次に、HY210モノリス内に存在するSi-H基の量を固体29Si CP/MAS NMR測定により評価した。固体29Si CP/MAS NMR測定は、OPENCORE NMR(299.52MHzforH、コンタクトタイム10ms、5mmプローブ使用(5kHz))により行った。なお、CP(交差分極)法がスペクトルに影響を及ぼさないことを、CP法無しで得たスペクトルとの比較により別途確認した。NMRスペクトル上の「T」シグナルは、HSiX(XはOSi、OCHまたはOH)のSiに対応する。Si-Hの加水分解が生じた場合は、SiX単位によって「Q」シグナルが登場する。図4Dに示すように、得られたNMRスペクトルでは、TピークがTピークよりもずっと大きく(ピーク面積にして94.5%のT、5.5%のT)、これはHY210モノリスにおいてHTMSの高程度の重縮合がなされていることを示す。これに加えて、Qシグナルは全く観察されず、HY210においてHTMSに由来するSi-H基の保存がなされていることが確認された。
【実施例】
【0087】
(実施例2:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例2では、単一の金属から構成されたナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。
【実施例】
【0088】
上記作製した第1のマクロ多孔性モノリスのうち、HY210の一部(0.20g以上)を蒸留水20mLに浸漬し、室温で3時間放置して、水をマクロ孔内に拡散させた。次に、モノリスを浸漬させている水に、金属塩を水に溶解させた水溶液を表2に示す量加え、室温でさらに3時間放置した。金属塩の水溶液を混合した後、水素の発生と、析出する金属の種類に応じたモノリスの色調の変化(白色から、赤褐色(金)、黒褐色(銀)など)がすぐに確認された。混合して3時間が経過した時点で、水素の発生は停止した。上澄み液を除去し、モノリスを20mLのメタノールで3回洗浄した後、40℃で2時間乾燥させて、第2のマクロ多孔性モノリスを得た。表2の「試料名」の欄には、金属塩を構成する金属の種類、および当該金属とHY210とのモル比(金属/HY210)を示す。銀(Ag)の塩には硝酸銀(シグマアルドリッチ製)を、金(Au)の塩には塩化金酸四水和物(岸田化学製)を、パラジウム(Pd)の塩には硝酸パラジウム(和光純薬工業製)を、白金(Pt)の塩には塩化白金酸六水和物(東京化成工業製)を、それぞれ使用した。
【実施例】
【0089】
【表2】
JP0006261005B2_000003t.gif
【実施例】
【0090】
Si-H基が有する還元性ならびに水素の発生およびモノリスの色調の変化から、水溶液中に含まれる金属イオンが還元され、当該金属の析出が推定された。また、当該析出した粒子が、Si-H基のSi-OHまたはSi-O-Si結合へのさらなる酸化の触媒となることが推定された。Si-H基の酸化は、以下の反応式(1)に従うと考えられる。式(1)におけるMn+は、Ag、Pd2+、Au3+またはPt4+である。
nO1.5Si-H + Mn+ + nH
→ nO1.5Si-OH + M(0) + n/2H + nH (1)
【実施例】
【0091】
式(1)によれば、金属の還元後、モノリスに残留するSi-H基の量は反応した金属塩の量に反比例する。このことが、異なる量のAgNOを還元した後におけるHY210モノリスに対するFT-IRの測定結果から確認された(図5A参照)。また、その他の金属塩に対しても同様の結果が得られた(Auについて図5B、Pdについて図5CおよびPtについて図5Dを参照)。具体的には、加えたAgの量(モノリスによって還元させたAgの量)をAg1/100からAg1/10に増やした場合、Si-HおよびO-Si-H振動の強度が低下し、Si-OH振動の強度が増加した。これは、Si-H基がSi-O結合に酸化されたことを示す。
【実施例】
【0092】
次に、AgNO、HAuCl、Pd(NOまたはHPtClを還元した後の各モノリスに対して広角X線回折測定を実施したところ、析出した粒子に対応するブラッグ回折のピークが確認された(図6A参照)。また、回折ピーク強度は、使用した金属塩の量に比例していた。すなわち、使用した金属塩の量が増加するにしたがって、モノリス内への粒子の配置量が増大することが確認された(Agについて図6B、Auについて図6C、Pdについて図6D、Ptについて図6Eを参照)。広角X線回折測定は、粉末X線回折装置(リガク製、RINT UltimaIII)により、入射ビームとしてCuKα線(波長λ=0.154nm)を用いて行った。
【実施例】
【0093】
広角X線回折の測定結果からシェラーの式を用いて算出した粒子サイズ(粒径)は、Ag、Au、PdおよびPtの全ての場合において、ナノメーターの範囲であった(以下の表3を参照)。すなわち、第1のマクロ多孔性モノリスにこれら金属の塩が溶解した水溶液を接触させることにより、当該金属の還元反応を進行させ、当該モノリス内に当該貴金属のナノ粒子を析出できることが確認された。上記4種類の金属のなかでは、AgおよびAuのナノ粒子の粒径が比較的大きく、これにPd、さらにPtのナノ粒子の粒径が続いた。表3に示すように、シェラーの式から算出したナノ粒子の粒径は、モノリスを浸漬させた水溶液における金属塩の濃度に依存するのではなく、金属の種類に依存していることがわかった。当該金属のカチオンの標準電極電位の値が析出したナノ粒子の粒径に比例し、当該カチオンの電荷(酸化数n)がナノ粒子の粒径に反比例していた。なお、水中でのSi-HからSi-Oへの酸化は-1.23Vで起こる。これは上記各金属のイオンの標準電極電位(E)の値よりも十分に小さいが、一連の反応に水素イオンの還元過程が含まれることから、実質的に、標準電極電位が正の値をとる金属種のみの還元が可能となる。価数の大きい金属イオンは、ヒドリドシリカの細孔表面に分布したSi-H基と複数回相互作用しなければ、中性原子への還元が完了しない。したがって同程度の濃度でヒドリドシリカ細孔表面に接触した場合でも、価数の低い金属ほど速やかに還元されて比較的大きい粒子サイズに成長する。一方、価数の高い金属は単位時間あたりの粒子成長が抑制されて比較的小さい粒子サイズとなる。このため、金属塩における比E/nが大きくなるほど、析出したナノ粒子の平均粒径も大きくなった(図7参照)。
【実施例】
【0094】
【表3】
JP0006261005B2_000004t.gif
【実施例】
【0095】
次に、析出したナノ粒子のサイズおよびモノリス内における当該粒子の空間的な分布を、高角度散乱暗視野(走査透過電子顕微鏡)法(HAADF-STEM)により評価した。具体的には、塊状のサンプルを乳鉢ですりつぶした後、粉末状としたサンプルをCuグリッドにセットして実施した。高解像度TEM(JEOL製、JEM-2100F)は、球面収差補正装置(CEOS製)を備えたSTEMユニットを用いて200kVで走査した。これにより、直径にして0.1nmの像が得られる。HAADF-STEMイメージングの間、プローブの収束角を25mradとし、環状暗視野検出器の内角を52mradを超える状態とした。
【実施例】
【0096】
HAADF-STEMの観察結果を図8に示す。図8の(a)はサンプルAg1/10、(b)はサンプルAu1/10、(c)はサンプルPd1/10、(d)はサンプルPt1/10である。HAADF-STEMにおいて、得られた像のコントラストは、おおまかに述べて原子番号Zの二乗に比例する。したがって、図8に示すHAADF-STEM像では、分散した金属のナノ粒子(Z=47のAg、Z=79のAu、Z=46のPd、Z=78のPtのナノ粒子)が、Z=1のH、Z=8のOおよびZ=14のSiから主として構成されるモノリスに比べて明るく見えている。図8に示すように、ナノ粒子はモノリス骨格の表面(マクロ孔の壁面)だけではなく、骨格の内部にも分散していた。図8において"骨格内"と示されているものがこれに相当する。金属塩の溶液がメソ孔を介して骨格の内部にまで拡散し、そこで還元されて、ナノ粒子が析出したと考えられる。また、骨格内部における粒子の成長には空間的な制限があるため、骨格の表面に存在するナノ粒子に比べて骨格内部に存在するナノ粒子は小さな粒径およびよりいびつな形状を有することが確認された。また、表3に示すように、サンプルAg1/10、Au1/10、Pd1/10およびPt1/10では、幅広いナノ粒子の粒径が実現していることがわかった。ただし、Ag1/10では1nmから200nm、Au1/10では5nmから150nmであったが、Pd1/10では5nmから50nm、Pt1/10では1nmから50nmと、金属の種類によってナノ粒子の粒子径が分布する幅がやや変化した。これは、シェラーの式により算出した粒径の結果と一致する。
【実施例】
【0097】
金属塩を還元した後、乾燥させた第2のマクロ多孔性モノリスにはクラックが見られなかった。図9に示すように、当該モノリスは、金属塩を還元する前のモノリス(第1のマクロ多孔性モノリス)であるHY210モノリスのマクロ孔/骨格共連続構造を保っていた。このことから、第1および第2のマクロ多孔性モノリスともに、Si-H結合に基づく還元反応を実施する際の高い構造安定性を有することが確認された。なお、図9の(a)はサンプルAg1/10、(b)はサンプルAu1/10、(c)はサンプルPd1/10、(d)はサンプルPt1/10である。
【実施例】
【0098】
還元によって析出した金属のナノ粒子はモノリス骨格の表面および内部に固定されており、水、メタノール、エタノールおよびヘキサンをそれぞれ用いてモノリスを洗浄しても、金属粒子がモノリスから流出することはなかった。したがって、第2のマクロ多孔性モノリスは金属ナノ粒子の担体として使用できることが確認された。また、金属ナノ粒子を析出させたモノリスに対して、上述した方法で窒素ガス吸着法による細孔分布測定を行ったところ、以下の表4に示すように、第1のマクロ多孔性モノリスの状態における高い比表面積を維持していた。また、当該モノリスの吸着-脱着等温線は、図10および図11に示すように第1のマクロ多孔性モノリスであったときと同じく、タイプIVの特性を示しており、メソ孔がそのまま存在していることが確認された。サンプルAg1/100からAg1/10になるに従って、すなわち加えるAgの量が増加するに従って、得られた第2のマクロ多孔性モノリスにおける比表面積の若干の低下が確認されたが、これは、HY210モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が、増加したAgナノ粒子によりブロックされたことによると考えられる。
【実施例】
【0099】
【表4】
JP0006261005B2_000005t.gif
【実施例】
【0100】
(実施例3:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例3では、2種類の金属塩(HAuClおよびHPtCl)を含む溶液を用い、AuおよびPtから構成されたナノ粒子(Au-Ptの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。これ以降の実施例において作製した第2のモノリスに対する各種の評価および測定は、特に記載がない限り、実施例2と同様に実施した。
【実施例】
【0101】
最初に、実施例1と同様にして、HY210相当の第1のマクロ多孔性モノリスを作製した。ただし、用いた各材料の量を実施例1の5倍とし、熟成は室温で24時間の実施とした。HTMS、メタノール、水および硝酸の混合比は、実施例1と同じである。作製した第1のマクロ多孔性モノリスの形状は、直径5.5mm、長さ225mmの円柱状であった。
【実施例】
【0102】
次に、作製した第1のマクロ多孔性モノリスの一部(53mg、1mmol相当)を、以下の表5に示す量の水、アセトン、塩化金酸四水和物(HAuCl)水溶液および塩化白金酸六水和物(HPtCl)水溶液の混合溶液に浸漬し、室温(実施例3-1,3-2)または50℃(実施例3-3)で、3時間(実施例3-1)、12時間(実施例3-2)または36時間(実施例3-3)放置した。各実施例における放置時間は、モノリスを浸漬する前の混合溶液における金属イオンに基づく着色が、目視において消失するまでとした。表5の「金属塩溶液」は、濃度0.1MのHAuCl水溶液と濃度0.1MのHPtCl水溶液とを体積で等量混合した(体積比1:1で混合した)溶液である。いずれの実施例においても、浸漬後、水素の発生がすぐに確認された。上記時間の浸漬後、溶液を除去し、モノリスを20mLのメタノールで3回洗浄した後、40℃で2時間乾燥させて、第2のマクロ多孔性モノリスを得た。浸漬前に白色であったモノリスの色は、浸漬後、黒色に変化し、モノリスを浸漬する前の混合溶液に見られた黄色の着色は、モノリスの浸漬によって消失し、溶液は透明になった(図12参照。図12には、実施例3-3におけるモノリスおよび混合溶液の色調の変化を示す)。
【実施例】
【0103】
【表5】
JP0006261005B2_000006t.gif
【実施例】
【0104】
Si-H基が有する還元性ならびに水素の発生およびモノリスの色調の変化から、水溶液中に含まれる金属イオンが還元され、当該金属の析出が推定された。実施例3-1~3-3で作製したモノリスに対して実施した広角X線回折測定の結果を図13に示す。図13は、紙面の左側から、それぞれAuおよびPtの(111)面、(200)面および(220)面の回折を示す。
【実施例】
【0105】
図13に示すように、金属塩溶液の溶媒に占める水の割合が多い実施例3-1では、AuおよびPtのそれぞれの回折ピークが確認され、Auのナノ粒子およびPtのナノ粒子の各々が個別に析出していることが確認された。一方、実施例3-2から3-3へと、溶媒に占める水の割合が減少するにつれてAuおよびPtの個別の回折ピークが減少し、代わってAu-Pt合金のピークが増大する、すなわち、Au-Pt合金のナノ粒子が析出していることが確認された。特に、実施例3-3では、AuおよびPtの個別の回折ピークは確認されず、Au-Pt合金(AuPt合金)の回折ピークのみが確認された。これは、以下の式(2)に示すように、第1のモノリスのSi-H基の酸化反応および溶液中の金属の還元反応に水が関係しているため、溶媒における水の割合が多い実施例3-1では当該反応の進行速度が速く、合金が形成される前に各金属のナノ粒子の形成が完了するためと考えられる。一方、溶媒における水の割合が小さい実施例3-3では、温度50℃ながらも36時間という他の実施例よりも長い浸漬に示されているように当該反応の進行速度が遅く、各金属のナノ粒子が形成する前にAuとPtとの合金が形成される反応ステージが存在できると考えられる。
x++My++(x+y)H-SiO1.5+(x+y)HO → M(0)+M(0)+(x+y)HO-SiO1.5+(x+y)/2H+(x+y)H (2)
【実施例】
【0106】
式(2)におけるMx+およびMy+は金属イオン(実施例3では、Au3+およびPt4+)である。
【実施例】
【0107】
実施例3-3で作製した第2のモノリスに対するX線光電子分光(XPS)の測定結果を図14に示す。XPS測定は、XPS測定装置(アルバックファイ製、MT-5500)により、MgKα線(1253.6eV)を用いて行った。測定のコアレベルは、284.6eVにセットした炭素(C)1sコアレベルピークの第1成分を参照して較正した。図14に示すように、モノリス中にAuおよびPtの存在が確認された。
【実施例】
【0108】
実施例3-3で作製した第2のモノリスに対する29Si固体NMRの結果を図15に示す。図15に示すように、第1のモノリス中のSi-H基の酸化により、SiX単位(XはOSi、OCHまたはOH)に基づくQおよびQシグナルが確認された。第1のモノリスに対する29Si固体NMRの結果(図4Dを参照)との対比により、第1のモノリスに存在していたSi-H基のうち28モル%が酸化されたことが確認された。この酸化量は、還元された金属塩の量に対応していた。
【実施例】
【0109】
実施例3-3で作製した第2のモノリスに対するSEM観察像を、金属塩の水溶液に浸漬する前の第1のモノリスに対するSEM観察像とともに図16に示す。図16の左側の像が浸漬前の第1のモノリスのSEM観察像、図16の右側の像が浸漬後の第2のモノリスのSEM観察像である。図16に示すように、浸漬の前後(ナノ粒子の析出の前後)において、マクロ多孔性モノリスの構造は維持されていた。
【実施例】
【0110】
実施例3-3で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を図17に示す。図17の「f」と付された像に示すように、金属のナノ粒子が作製したモノリス中に分散して分布していることが確認された。また、エネルギー分散X線分光分析(EDS)検出器を併用することにより、HAADF-STEM像上におけるSi、AuおよびPtの各原子の分布を評価した。図17の「g」「h」および「i」と付された像に、それぞれ、上記「f」の像の点線内の領域におけるSi、AuおよびPtの各原子の分布を示す。「g」にSi原子、「h」にAu原子、「i」にPt原子の分布が示される。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子およびPt原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au-Pt合金のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【実施例】
【0111】
図18に、図17のHAADF-STEM観察像から求めたAu-Pt合金ナノ粒子の粒径分布を示す。ナノ粒子の粒径は、1nmから27nmまで分布しており、5nm以下の分布が最も多く、平均粒径は5.5nmであった。
【実施例】
【0112】
実施例3-3で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布測定結果を図19に示す。図19の吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は380m/gであった。還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0113】
次に、金属塩溶液に含まれるHAuClおよびHPtClの絶対量を変化させて、実施例3-3と同様に第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。具体的に、濃度0.1MのHAuCl水溶液と濃度0.1MのHPtCl水溶液とを、混合溶液中に含まれる金属イオンの全量が使用した第1のマクロ多孔性モノリスの量(1mmol)の0.5モル%(すなわち絶対量は5μmol)となるように、体積で等量混合した(体積比1:1で混合した)金属塩溶液を用いて作製したモノリス(実施例3-4)と、上記各水溶液を、溶液中に含まれる金属イオンの全量が使用した第1のマクロ多孔性モノリスの量(1mmol)の4.0モル%(すなわち絶対量は40μmol)となるように、体積で等量混合した金属塩溶液を用いて作製したモノリス(実施例3-5)とを作製した。これらモノリスに対する広角X線回折測定の結果を図20に示す。図20に示すように、第1のマクロ多孔性モノリスを浸漬させる溶液における金属塩の絶対量が高くなるほど、X線回折のピーク強度が増加する、すなわち、多くの金属ナノ粒子が析出することが確認された。また、図20に示すように、析出したナノ粒子は、Au-Pt合金(AuPt)の回折ピークを示した。
【実施例】
【0114】
次に、以下の表6に示すように、金属塩溶液の組成を変化させた(HAuCl溶液とHPtCl溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図21参照)、それぞれ表6に示す組成を有していた。すなわち、第1のマクロ多孔性モノリスを浸漬する溶液における金属塩の組成により、モノリスに析出するナノ粒子の組成を制御できることが確認された。具体的に、表6に示す実施例では、AuPtからAuPtに至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。
【実施例】
【0115】
【表6】
JP0006261005B2_000007t.gif
【実施例】
【0116】
(実施例4:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例4では、2種類の金属塩(HAuClおよびPdCl)を含む溶液を用い、AuおよびPdから構成されたナノ粒子(Au-Pdの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。PdClは、東京化成工業製を用いた。
【実施例】
【0117】
具体的には、金属塩としてHAuClとPdClとを用い、以下の表7に示すように金属塩溶液の組成を変化させた(HAuCl溶液とPdCl溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図22参照)、それぞれ表7に示す組成を有していた。具体的に、表7に示す実施例では、AuPdからAuPdに至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。
【実施例】
【0118】
【表7】
JP0006261005B2_000008t.gif
【実施例】
【0119】
図23Aに、実施例4-2で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図23Aの上段左側および上段右側の像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。上段右側の像は、左側の像の一部を拡大した像である。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF-STEM像上におけるAuおよびPdの各原子の分布を評価した。図23Aの下段に、その左側から、上段右側の像の点線内の領域における、AuおよびPdの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子およびPd原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au-Pd合金(AuPd合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【実施例】
【0120】
図23Bに、図23AのHAADF-STEM観察像から求めたAu-Pd合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は25nmであった。
【実施例】
【0121】
図24Aに、実施例4-4で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図24Aの「a」と付された像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF-STEM像上におけるSi、AuおよびPdの各原子の分布を評価した。図24Aの「b」「c」および「d」と付された像に、それぞれ、「a」の像の点線内の領域におけるSi、AuおよびPdの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子およびPd原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au-Pd合金(AuPd合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【実施例】
【0122】
図24Bに、図24AのHAADF-STEM観察像から求めたAu-Pd合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は11.5nmであった。
【実施例】
【0123】
図24Cに、実施例4-4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果(吸着-脱着等温線)を示す。当該吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は410m/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0124】
図24Dに、実施例4-4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【実施例】
【0125】
図25Aに、実施例4-6で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図中、右側の像は、左側の像の一部を拡大した像である。図25Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、AuPd合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【実施例】
【0126】
図25Bに、図25AのHAADF-STEM観察像から求めたAu-Pd合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めた平均粒径は6.9nmであった。
【実施例】
【0127】
図23B、図24Bおよび図25Bに示す粒径分布から、合金ナノ粒子におけるPdの組成比が大きくなるにしたがって、当該粒子の粒径が小さくなる傾向にあることが確認された。これは単独の金属粒子を析出させる際に、Au粒子に比べてPd粒子の粒径の方が小さくなる傾向に対応していた。
【実施例】
【0128】
(実施例5:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例5では、2種類の金属塩(RhClおよびPdCl、ならびにRhClおよびHPtCl)を含む溶液を用い、RhおよびPdから構成されたナノ粒子(Rh-Pdの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスと、RhおよびPtから構成されたナノ粒子(Rh-Ptの二元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスとを作製した。RhClは、東京化成工業製を用いた。
【実施例】
【0129】
最初に、金属塩としてPdClとRhClとを用い、以下の表8に示すように金属塩溶液の組成を変化させた(PdCl溶液とRhCl溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図26参照)、それぞれ表8に示す組成を有していた。具体的に、表8に示す実施例では、PdRhからPdRhに至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。
【実施例】
【0130】
【表8】
JP0006261005B2_000009t.gif
【実施例】
【0131】
図27Aに、実施例5-4で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図中、「h」と付された像は、「g」と付された像の一部を拡大した像である。図27Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、PdRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【実施例】
【0132】
図27Bに、図27AのHAADF-STEM観察像から求めたPd-Rh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPdRh合金ナノ粒子の平均粒径は5.5nmであった。
【実施例】
【0133】
図28に、実施例5-4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。図28の吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は440m/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0134】
図29に、実施例5-4で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にPdおよびRhの存在が確認された。
【実施例】
【0135】
図30に、実施例5-4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【実施例】
【0136】
次に、金属塩としてHPtClとRhClとを用い、以下の表9に示すように金属塩溶液の組成を変化させた(HPtCl溶液とRhCl溶液との混合比を変化させた)以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図31参照)、それぞれ表9に示す組成を有していた。具体的に、表9に示す実施例では、PtRhからPtRhに至るまでの組成を有するナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製することができた。
【実施例】
【0137】
【表9】
JP0006261005B2_000010t.gif
【実施例】
【0138】
図32Aに、実施例5-11で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図中、「f」と付された像は、「e」と付された像の一部を拡大した像である。図32Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、PtRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【実施例】
【0139】
図32Bに、図32AのHAADF-STEM観察像から求めたPt-Rh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPtRh合金ナノ粒子の平均粒径は4.2nmであった。
【実施例】
【0140】
図33に、実施例5-11で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。図33の吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を示しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は410m/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0141】
図34に、実施例5-11で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【実施例】
【0142】
図35に、実施例3-3(AuPt)、実施例4-4(AuPd)、実施例5-4(PdRh)および実施例5-11(PtRh)で作製した第2のモノリスにおける各合金ナノ粒子の平均粒径を示す。図35に示すように、金属塩における比E/nの合計が大きくなるほど、析出したナノ粒子の平均粒径が大きくなった。
【実施例】
【0143】
(実施例6:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例6では、3種類の金属塩(HAuCl、PdCl、HPtClおよびRhClから選ばれる3つ)を含む溶液を用い、Au、PdおよびPtから構成されたナノ粒子(Au-Pd-Ptの三元系ナノ粒子)、Au、PdおよびRhから構成されたナノ粒子(Au-Pd-Rhの三元系ナノ粒子)、Au、PtおよびRhから構成されたナノ粒子(Au-Pt-Rhの三元系ナノ粒子)またはPd、PtおよびRhから構成されたナノ粒子(Pd-Pt-Rhの三元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。
【実施例】
【0144】
最初に、金属塩としてHAuCl、PdClおよびHPtClを用い、以下の表10に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図36参照)、AuPdPtの組成を有していた。図36には、Au単独、Pt単独およびPd単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au-Pd-Pt合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。図36の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【実施例】
【0145】
【表10】
JP0006261005B2_000011t.gif
【実施例】
【0146】
図37Aに、実施例6-1で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図37Aの「a」と付された像および「b」と付された像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。図中、「b」と付された像は、「a」と付された像の一部を拡大した像である。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF-STEM像上におけるSi、Au、PdおよびPtの各原子の分布を評価した。図37Aの「c」「d」「e」および「f」と付された像に、それぞれ、「b」の像の点線内の領域におけるSi、Au、PdおよびPtの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子、Pd原子およびPt原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au-Pd-Pt合金(AuPdPt合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【実施例】
【0147】
図37Bに、図37AのHAADF-STEM観察像から求めたAu-Pd-Pt合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布から求めた平均粒径は13nmであった。
【実施例】
【0148】
図38に、実施例6-1で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。図38の吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は450m/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0149】
図39に、実施例6-1で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PdおよびPtの存在が確認された。
【実施例】
【0150】
図40に、実施例6-1で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【実施例】
【0151】
次に、金属塩としてHAuCl、PdClおよびRhClを用い、以下の表11に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図41参照)、AuPdRhの組成を有していた。図41には、Au単独、Rh単独およびPd単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au-Pd-Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。図41の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【実施例】
【0152】
【表11】
JP0006261005B2_000012t.gif
【実施例】
【0153】
図42Aに、実施例6-2で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図中、「h」と付された右側の像は、「g」と付された左側の像の一部を拡大した像である。図42Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、AuPdRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【実施例】
【0154】
図42Bに、図42AのHAADF-STEM観察像から求めたAuPdRh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたAuPdRh合金ナノ粒子の平均粒径は236nmであった。
【実施例】
【0155】
図43に、実施例6-2で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。図43の吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は315m/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0156】
図44に、実施例6-2で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PdおよびRhの存在が確認された。
【実施例】
【0157】
図45に、実施例6-2で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【実施例】
【0158】
次に、金属塩としてHAuCl、HPtClおよびRhClを用い、以下の表12に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図46参照)、AuPtRhの組成を有していた。図46には、Au単独、Rh単独およびPt単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au-Pt-Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。なお、図46の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【実施例】
【0159】
【表12】
JP0006261005B2_000013t.gif
【実施例】
【0160】
図47Aに、実施例6-3で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図中、「j」と付された右側の像は、「i」と付された左側の像の一部を拡大した像である。図47Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、AuPtRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【実施例】
【0161】
図47Bに、図47AのHAADF-STEM観察像から求めたAuPtRh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたAuPtRh合金ナノ粒子の平均粒径は、5.5nmであった。
【実施例】
【0162】
図48に、実施例6-3で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。図48の吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は350m/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0163】
図49に、実施例6-3で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、PtおよびRhの存在が確認された。
【実施例】
【0164】
図50に、実施例6-3で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【実施例】
【0165】
次に、金属塩としてPdCl、HPtClおよびRhClを用い、以下の表13に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図51参照)、PdPtRhの組成を有していた。図51には、Pd単独、Pt単独およびRh単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Pd-Pt-Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。図51の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【実施例】
【0166】
【表13】
JP0006261005B2_000014t.gif
【実施例】
【0167】
図52Aに、実施例6-4で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図中、「l」と付された右側の像は、「k」と付された左側の像の一部を拡大した像である。図52Aに示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子(XRDの結果によれば、PdPtRh合金ナノ粒子)が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。
【実施例】
【0168】
図52Bに、図52AのHAADF-STEM観察像から求めたPdPtRh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。この粒径分布より求めたPdPtRh合金ナノ粒子の平均粒径は、7.5nmであった。
【実施例】
【0169】
図53に、実施例6-4で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布測定結果を示す。図53の吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は480m/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0170】
図54に、実施例6-4で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にPd、PtおよびRhの存在が確認された。
【実施例】
【0171】
図55に、実施例6-4で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【実施例】
【0172】
(実施例7:第2のマクロ多孔性モノリスの作製)
実施例7では、4種類の金属塩(HAuCl、HPtCl、PdClおよびRhCl)を含む溶液を用い、Au、Pt、PdおよびRhから構成されたナノ粒子(Au-Pt-Pd-Rhの四元系ナノ粒子)が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。
【実施例】
【0173】
具体的には、金属塩としてHAuCl、PdCl、HPtClおよびRhClを用い、以下の表14に示す金属塩溶液の組成とした以外は実施例3-3と同様にして、第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。広角X線回折測定により、作製したモノリスに析出したナノ粒子の組成を評価したところ(図56参照)、AuPdPtRhの組成を有していた。図56には、Au単独、Pd単独、Pt単独およびRh単独のX線回折プロファイルを併せて示す。これらプロファイルの対比により、Au-Pd-Pt-Rh合金の形成に伴い格子サイズが変化することが確認された。図56の右側のプロファイルは、左側のプロファイルの一部を拡大したものである。
【実施例】
【0174】
【表14】
JP0006261005B2_000015t.gif
【実施例】
【0175】
図57に、実施例7で作製した第2のモノリスに対するHAADF-STEM観察像を示す。図57の「m」と付された像に示すように、作製したモノリスにおいて、金属ナノ粒子が当該モノリス中に分散して分布していることが確認された。また、EDS検出器を併用することにより、HAADF-STEM像上におけるSi、Au、Pd、PtおよびRhの各原子の分布を評価した。図57の「n」「o」「p」「q」および「r」と付された像に、それぞれ、「m」の像の点線内の領域におけるSi、Au、Pd、PtおよびRhの各原子の分布を示す。これらの像に示すように、モノリスの骨格が存在する位置に相当するSi原子の分布に接するように、Au原子、Pd原子、Pt原子およびRh原子が同じ位置に分布していた。すなわち、Au-Pd-Pt-Rh合金(AuPdPtRh合金)のナノ粒子がモノリス中に分散して分布していることが、より明確に確認された。
【実施例】
【0176】
図58に、図57のHAADF-STEMの観察像から求めたAu-Pd-Pt-Rh合金ナノ粒子の粒径分布を示す。当該分布から求めたAu-Pd-Pt-Rh合金ナノ粒子の平均粒径は245nmであった。
【実施例】
【0177】
図59に、実施例7で作製した第2のモノリスに対する、窒素ガス吸着法による細孔分布の測定結果を示す。図59の吸着-脱着等温線に示すように、当該モノリスは、第1のマクロ多孔性モノリスと同様にタイプIVの特性を有しており、メソ孔が存在していることが確認された。当該モノリスのBET比表面積は280m/gであった。この値は、還元前のモノリス(HY210)のBET比表面積に比べて小さいが、これは、ナノ粒子の析出によって、モノリスのメソ孔およびマクロ孔の一部が当該粒子によりブロックされたためと考えられる。
【実施例】
【0178】
図60に、実施例7で作製した第2のモノリスに対するXPSスペクトルの測定結果を示す。当該スペクトルに示すように、モノリス中にAu、Pd、PtおよびRhの存在が確認された。
【実施例】
【0179】
図61に、実施例7で作製した第2のモノリスのSEM観察像を示す。SEM観察像からは、作製した第2のモノリスにおいて、第1のモノリスの多孔構造が維持されるとともに、大きなサイズを有する粒子が当該構造に存在しないことが確認された。
【実施例】
【0180】
図62に、実施例6-1~6-4および7で作製した第2のモノリスにおける各合金ナノ粒子の平均粒径を示す。図62に示すように、金属塩における比E/nの合計が大きくなるほど、析出したナノ粒子の平均粒径が大きくなった。
【実施例】
【0181】
(実施例8:第2のマクロ多孔性モノリスを触媒に用いた還元反応の実施)
実施例8では、第2のマクロ多孔性モノリスに配置された金属ナノ粒子を触媒に、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を還元剤に用いて、4-ニトロフェノールの4-アミノフェノールへの液相還元を室温で実施した。
【実施例】
【0182】
具体的には、以下のように行った。最初に、実施例2~7において作製した、以下の表15に示す組成の金属ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリス0.2~0.5mg(モノリスに対して所定のモル数の金属ナノ粒子が配置された量を選択)を準備し、これをイオン交換水およびメタノールの混合溶液(体積比1:1)5mLに浸漬した。次に、当該溶液に0.5mL(0.5モル相当)のNaBHおよび0.25mL(0.1モル相当)の4-ニトロフェノールを加え、モノリスによる4-ニトロフェノールの還元を実施した。4-ニトロフェノールが還元される程度は、一定時間毎に0.1mLの溶液を抜き取り、それを2mLの蒸留水に薄めたものを紫外線吸収分光(UV)測定することにより評価した。UV吸収スペクトルにおいて、NaBHの存在下では、4-ニトロフェノールの吸収ピークが400nm付近に、4-アミノフェノールの吸収ピークが300nm付近にそれぞれ観察される。その変化の一例を図63に示す。図63に示す例は、AuPt合金ナノ粒子が0.92モル配置された第2のマクロ多孔性モノリスを用いた例である。図63に示すように、NaBHおよび4-ニトロフェノールの添加の後、時間の経過とともに、波長400nm付近の吸収が減少しながら300nm付近の吸収が増加している。この吸収の変化から、時間の経過に伴う4-ニトロフェノールの濃度の減少率、すなわち、還元反応の反応定数κを求めることができ、例えば、図63に示す例のκは2.615/時間であり、金属ナノ粒子がAu粒子である場合のκは0.353/時間、金属ナノ粒子がPt粒子である場合のκは0.564/時間であった。二元系合金から構成されるのAuPtナノ粒子の方が、Auナノ粒子およびPtナノ粒子に比べて、反応定数が大きくなった。図63に示されている波長400nm付近の吸収ピークは、上から、0時間後、0.166時間後、0.333時間後、0.500時間後、0.667時間後、0.833時間後、1.000時間後、1.166時間後である。波長300nm付近の吸収ピークは、下から、0時間後、0.166時間後、0.333時間後、0.500時間後、0.667時間後、0.833時間後、1.000時間後、1.166時間後である。
【実施例】
【0183】
第2のモノリスについて、触媒となる金属ナノ粒子1モルに対する、1時間の間に還元された反応分子(4-ニトロフェノール)のモル数の比(TOF)の値を表15に示す。TOFの値は、最も反応効率が高くなると考えられる、各モノリスに対して4モルの金属ナノ粒子が配置された場合について求めた。実施例1で作製したHY210を用いて同様の還元反応を試みた場合のTOF値も併せて表15に示す。
【実施例】
【0184】
【表15】
JP0006261005B2_000016t.gif
【実施例】
【0185】
表15に示すTOF値から判断されるように、金属ナノ粒子が配置されたいずれの第2のマクロ多孔性モノリスにおいても、当該ナノ粒子を触媒として、4-ニトロフェノールの還元反応を進行させることができた。特に触媒としての能力が高いナノ粒子は、PdRh、PdRh、PtRhおよびPtRhの各二元系合金のナノ粒子であった。
【実施例】
【0186】
次に、PdRh合金ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを用いて、連続的に4-ニトロフェノールおよびNaBHを含む溶液を当該モノリスに流しながら、当該モノリスにおいて4-ニトロフェノールの還元反応を進行させることが可能な反応器(流体反応システム)を作製した(図64参照)。この反応器の具体的な作製方法を、以下に示す。
【実施例】
【0187】
最初に、実施例5-7と同様に、長さ22mm、直径5mmの円柱形(重量53mg)であって、0.04mmolのPdRh合金ナノ粒子が配置された第2のマクロ多孔性モノリスを作製した。次に、これを、同じ直径を有する一対の円柱形のシリカモノリスで挟持し、円筒形のカラム(樹脂製)に挿入した。シリカモノリスは、Kei Morisato et al., Journal of Chromatography A, 1216 (2009) pp.7384-7387に記載の製法により作製したモノリスであり、当該モノリスには金属ナノ粒子が配置されておらず、マクロ孔およびメソ孔の階層的な多孔構造を有している。
【実施例】
【0188】
このようにして作製した反応器を、当該反応器内を流れる流体の流速を制御できるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のポンプに接続した。そして、別途準備しておいた50mmolの4-ニトロフェノールおよび0.2mmolのNaBHを含む水/メタノール混合溶液(媒体である水とメタノールの混合比は体積比にして1:1)を、室温にて、この反応器に流した。反応器から流出した溶液に対してUV吸収分光測定を実施し、4-ニトロフェノールの4-アミノフェノールへの還元反応率を評価したところ、流速0.2mL/分のときに98%、流速1.0mL/分のときに78%の還元反応率が達成された。
【産業上の利用可能性】
【0189】
本発明のマクロ多孔性モノリスおよび本発明の製造方法により得たマクロ多孔性モノリスは、従来のマクロ多孔性モノリスと同様の用途、例えば、クロマトグラフィー用分離カラム、酵素担体、触媒担体などに使用することができる。
【0190】
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4A】
3
【図4B】
4
【図4C】
5
【図4D】
6
【図5A】
7
【図5B】
8
【図5C】
9
【図5D】
10
【図6A】
11
【図6B】
12
【図6C】
13
【図6D】
14
【図6E】
15
【図7】
16
【図8】
17
【図9】
18
【図10】
19
【図11】
20
【図12】
21
【図13】
22
【図14】
23
【図15】
24
【図16】
25
【図17】
26
【図18】
27
【図19】
28
【図20】
29
【図21】
30
【図22】
31
【図23A】
32
【図23B】
33
【図24A】
34
【図24B】
35
【図24C】
36
【図24D】
37
【図25A】
38
【図25B】
39
【図26】
40
【図27A】
41
【図27B】
42
【図28】
43
【図29】
44
【図30】
45
【図31】
46
【図32A】
47
【図32B】
48
【図33】
49
【図34】
50
【図35】
51
【図36】
52
【図37A】
53
【図37B】
54
【図38】
55
【図39】
56
【図40】
57
【図41】
58
【図42A】
59
【図42B】
60
【図43】
61
【図44】
62
【図45】
63
【図46】
64
【図47A】
65
【図47B】
66
【図48】
67
【図49】
68
【図50】
69
【図51】
70
【図52A】
71
【図52B】
72
【図53】
73
【図54】
74
【図55】
75
【図56】
76
【図57】
77
【図58】
78
【図59】
79
【図60】
80
【図61】
81
【図62】
82
【図63】
83
【図64】
84