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明細書 :通信方法及び通信機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-085512 (P2017-085512A)
公開日 平成29年5月18日(2017.5.18)
発明の名称または考案の名称 通信方法及び通信機
国際特許分類 H04J  13/10        (2011.01)
H04B   1/707       (2011.01)
FI H04J 13/10
H04B 1/707
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2015-215003 (P2015-215003)
出願日 平成27年10月30日(2015.10.30)
発明者または考案者 【氏名】梅野 健
【氏名】津田 宏史
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000280、【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
審査請求 未請求
要約 【課題】適切な概周期関数符号を提供する。
【解決手段】概周期関数符号を用いた通信方法は、K個の概周期関数符号のうち、ユーザ数又はチャネル数に応じた数の概周期関数符号を変調に用いることを含む。kが、1からKまでの整数であって、K個の概周期関数符号を識別する識別子であるとした場合において、K個の概周期関数符号それぞれを決定するパラメータは、δ+(k-1)/Kで表される。Kは、N又は2N(Nは、概周期関数符号の符号長)である。δは、0よりも大きく、1/N未満の実数である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
概周期関数符号を用いた通信方法であって、
K個の概周期関数符号のうち、ユーザ数又はチャネル数に応じた数の概周期関数符号を変調に用いること、
を含み、
kが、1からKまでの整数であって、前記K個の概周期関数符号を識別する識別子であるとした場合において、
前記K個の概周期関数符号それぞれを決定するパラメータは、δ+(k-1)/Kで表され、
Kは、N又は2N(Nは、前記概周期関数符号の符号長)であり、
δは、0よりも大きく、1/N未満の実数である
通信方法。
【請求項2】
1/4N≦δ≦3/4Nである
請求項1記載の通信方法。
【請求項3】
δ=1/2Nである
請求項1記載の通信方法。
【請求項4】
1/8N≦δ≦3/8Nである
請求項1記載の通信方法。
【請求項5】
δ=1/4Nである
請求項1記載の通信方法。
【請求項6】
5/8N≦δ≦7/8Nである
請求項1記載の通信方法。
【請求項7】
δ=3/4Nである
請求項1記載の通信方法。
【請求項8】
δは有理数である
請求項1~7のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項9】
概周期関数符号を用いた通信を行う通信機であって、
K個の概周期関数符号のうち、ユーザ数又はチャネル数に応じた数の概周期関数符号を変調に用いる変調器を備え、
kが、1からKまでの整数であって、前記N個の概周期関数符号を識別する識別子であるとした場合において、
前記K個の概周期関数符号それぞれを決定するパラメータは、δ+(k-1)/Kで表され、
Kは、N又は2N(Nは、前記概周期関数符号の符号長)であり、
δは、0よりも大きく、1/N未満の実数である
通信機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、概周期関数符号を用いた通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
概周期関数は、フーリエ級数展開を一般化することによって得られる。概周期関数は、例えば、m番目の素数p(m)の1/2乗を周波数とする信号の和として構成される。このような信号は、通信で用いられたことはなかったが、非特許文献1は、通信への適用を初めて提案している。
【0003】
非特許文献1は、概周期関数に基づく符号(概周期関数符号)を用いた多重アクセス通信を開示している。なお、非特許文献1では、概周期関数に基づく符号を、概周期拡散符号:APSS(Almost Periodic Spreading Sequence)と呼んでいる。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】梅野健、”概周期関数に基づくスペクトル拡散通信について-概周期とカオスとの違いについて-”、信学技報、vol.114,no.250 NLP2014-64, pp.87-90(2014)、一般社団法人電子情報通信学会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らによって発表された関連文献「津田宏史、梅野健、”最適なCDMA用Weyl符号の構成と評価”,応用数理学会予稿(2015)」は、Weyl系列を用いた概周期関数符号(Weyl符号)の最適化を提案している。より具体的には、関連文献は、各ユーザ毎のWeyl符号を決定するパラメータ(初期値)であるρの最適化を開示している。関連文献は、通信のユーザ数がKである場合において、各ユーザkに与えられる各パラメータ(初期値)ρ間の間隔を、1/Kの等間隔にすることで、ビット誤り率を低くすることができることを報告している。
【0006】
関連文献に記載の概周期関数符号は、無理数の系列であるWeyl系列を用いた符号であるため、各ユーザに与えられるパラメータ(初期値)ρは、無理数であることが前提となっている。
【0007】
しかし、概周期関数符号を決定するパラメータを無理数に限る必要はない。本発明は、かかる着想に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様は、概周期関数符号を用いた通信方法であって、K個の概周期関数符号のうち、ユーザ数又はチャネル数に応じた数の概周期関数符号を変調に用いること、を含む。なお、ここでは、通信は、放送を含む意である。
【0009】
実施形態においては、kが、1からKまでの整数であって、K個の概周期関数符号を識別する識別子であるとした場合において、K個の概周期関数符号それぞれを決定するパラメータは、δ+(k-1)/Kで表される。ここで、Kは、N又は2N(Nは、概周期関数符号の符号長)であり、δは、0よりも大きく、1/N未満の実数であるのが好ましい。
【0010】
1/4N≦δ≦3/4Nであるのが好ましく、δ=1/2Nであるのがより好ましい。
【0011】
1/8N≦δ≦3/8Nであるのが好ましく、δ=1/4Nであるのがより好ましい。
【0012】
5/8N≦δ≦7/8Nであるのが好ましく、δ=3/4Nであるのがより好ましい。
【0013】
δは有理数であるのが好ましい。
【0014】
本発明の他の態様は、概周期関数符号を用いた通信を行う通信機であって、K個の概周期関数符号のうち、ユーザ数又はチャネル数に応じた数の概周期関数符号を変調に用いる変調器を備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】通信機の示すブロック図である。
【図2】K個の概周期関数符号を示す図である。
【図3】自己相関値を示すグラフである。
【図4】概周期関数符号を複素平面にプロットした図である。
【図5】ビット誤り率のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.通信機の概要]
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、概周期関数符号を用いたスペクトル拡散通信のための通信機10を示している。この通信機10は、送信信号を変調する変調器20を備えている。変調器20は、送信信号に概周期関数符号かけて変調信号を出力する。送信データは、BPSK,QPSK,16QAMなどの一次変調がかけられたものであってもよい。変調器20から出力された変調信号は、信号伝送路を通って他の通信機によって受信され復調される。

【0017】
[2.概周機関数符号]
概周期関数符号w[n]は、次の式(1)で表される。
【数1】
JP2017085512A_000003t.gif
ここで、kは、符号の識別子であって、1からKまでの整数(1≦k≦K)である。Kは、ユーザ数又はチャネル数である。kは、符号w[n]が割り当てられるユーザ又はチャネルの識別子としても用いられる。
nは、符号に含まれる要素の識別子であって、1からNまでの整数(1≦n≦N)である。Nは、符号長である。
iは、虚数単位である。
ρは、符号w[n]を決定するパラメータ(初期値)であり、符号w[n]毎に異なる値をとる。

【0018】
図2は、式(1)で表される符号w[n]を図示している。図2は、符号長NであるK個の符号(符号系列)w[n]を示している。各符号w[n]は、N個の要素を有している。式(1)及び図2から明らかなように、符号w[n]の値は、パラメータρによって決まる。

【0019】
Weyl系列を用いたWeyl符号(非特許文献1及び関連文献参照)は、式(1)におけるn×ρとして、式(2)で示すWeyl系列x[n]を用いたものである。Weyl系列は、準乱数であり、無理数の整数倍の小数部分は、区間[0,1)に一様分布するというWeylの一様分布定理に基づいている。
【数2】
JP2017085512A_000004t.gif
ここで、pはユーザkに割り当てられる素数である。

【0020】
関連文献は、Weyl符号において、ユーザkに割り当てられるパラメータρの最適化を開示している。関連文献において、最適化された新たなWeyl符号は、以下の式(3)で表されている。
【数3】
JP2017085512A_000005t.gif
ここで、δは、0以上1未満の区間(0≦δ<1)に含まれる無理数である。

【0021】
式(3)の(δ+(k-1)/K)が、式(1)のρに対応する。すなわち、ρ=(δ+(k-1)/K)である。式(3)は、通信のユーザ数がKである場合において、各ユーザkに与えられる各パラメータ(初期値)ρ間の間隔を、1/Kの等間隔にすることを意味している。関連文献で報告されているように、式(3)のWeyl符号によって、相互相関値が最適化され、ビット誤り率を低くすることができる。なお、δは、k=1であるユーザに割り当てられるパラメータρに等しい。また、関連文献において、Kはユーザ数を示しているが、チャネル数を示しても良い。

【0022】
式(3)は無理数系列であるWeyl系列を用いるという前提に基づくため、関連文献において、δは前述のように無理数であると定義されている。δが無理数であればρも無理数である。ρが無理数であれば、符号長Nが無限大になっても、一様分布定理が成り立つ。

【0023】
しかし、Weyl系列を通信に用いる場合においては、符号長Nは有限長となる。このため、式(3)におけるn×(δ+(k-1)K)は、nが符号長Nまでの値であるときにおいて、離散的に一様分布するものであれば足りる。したがって、Weyl系列を通信に用いる場合には、厳密な意味での一様分布定理は成り立つ必要はない。一様分布定理が成り立つ必要がないため、式(3)におけるδは、無理数である必要はなく、有理数であってもよい。よって、式(3)におけるδは、有理数を含む実数に拡張できる。また、式(3)のδを無理数として定義しても、コンピュータでの処理の際には、δは有理数として扱われることになるため、δを実数として定義する方が現実的である。

【0024】
拡張された新たなWeyl符号は、パラメータ(初期値)ρを、次の式(4)ように定義したときの式(1)によって表される。
【数4】
JP2017085512A_000006t.gif
ここで、δは、0以上1未満(0≦δ<1)の実数である。

【0025】
δが実数であるので、式(4)におけるパラメータρも実数となる。式(4)のようにρが実数に拡張されると、より好ましいρを決定するのが容易となる。本発明者らは、ρを実数に拡張した上で、符号w[n]の自己相関値を考慮してより適切なパラメータρを見出した。なお、符号w[n]の自己相関値は、変調信号を受信した通信機が、受信した信号における符号w[n]の開始位置を探索するために用いられる指標である。

【0026】
パラメータρが実数である場合において、式(1)の符号w[n]の自己相関値は、以下の式(5)で表される。式(5)において、l(0≦l≦N)は、符号のずれ量である。
【数5】
JP2017085512A_000007t.gif

【0027】
式(5)を整理すると、以下の式(6)になる。
【数6】
JP2017085512A_000008t.gif

【0028】
自己相関値は、変数nには依存しないため、式(6)は、式(7)のように変形できる。
【数7】
JP2017085512A_000009t.gif

【0029】
自己相関値の大きさは、式(7)に基づき、以下の式(8)で表される。
【数8】
JP2017085512A_000010t.gif

【0030】
受信信号における符号の開始位置を探索するには、自己相関値の大きさは小さいほどよい。そこで、ここでは、式(8)で示される値を最小化する。式(8)の根号中の第1項及び第2項は最小化できないため、式(8)の最小化は、例えば、式(8)の根号中の第3項に含まれるcos(2πNρ)を最小化することによって行える。すなわちcos(2πNρ)を常に”-1”にすればよい。したがって、ユーザ又はチャネルを示す変数k(k≧1)を用いると、cos(2πNρ)を最小化するには、以下の式(9)を満たせばよい。
【数9】
JP2017085512A_000011t.gif

【0031】
式(9)をρについて解くと、式(10)が得られる。
【数10】
JP2017085512A_000012t.gif

【0032】
式(10)に示すパラメータρを、式(1)のρとして用いることで、自己相関値を最小化することができる。

【0033】
式(10)は、式(4)におけるδを1/2Nとし、式(4)におけるユーザ数K又はチャネル数Kを符号長Nと同じ大きさにしたものに相当する。δを1/2Nとした場合、の自己相関値を図4に示す。図3において、横軸は、符号のずれlを示し、ここでは符号長N=128としたので、ずれlは0から128の範囲の値をとる。図3の縦軸は、自己相関値である。図3に示すように、δ=1/2Nの場合、ずれlが64(符号長N=128の半分のずれ)となる位置において、自己相関値が0となり、自己相関値を最小化できていることがわかる。

【0034】
また、式(10)の第2項は、(k-1)/Nとなっているため、各パラメータρ間の間隔は、1/Nの等間隔となっている。したがって、ユーザ数K又はチャネル数Kが符号長Nと同じ値であるときに、式(10)は、式(4)を満たしたものとなっている。よって、ユーザ数K又はチャネル数Kの最大値を符号長Nと同じ値に制限した上で、式(10)のパラメータρを式(1)のρとして用いた符号w[n]を用いて通信を行うと、ビット誤り率の低減効果が得られる。

【0035】
図4は、式(10)に従ったパラメータρを用いた符号w[n]における1番目(n=1)の要素w[1]を、複素平面に配置したものである。ここでは、K=7、すなわち符号w[n]の個数を7としている。式(10)に従って決定される各パラメータρ間の間隔は、1/Nの等間隔であるため、各符号w[n]の間隔も複素平面において等間隔となり、複素平面の円周上において離散的な一様分布が得られる。また、図4に示すように、式(10)のδ=1/2Nは、w[1]の実軸からの位相を決定する。

【0036】
なお、式(9)は、ユーザk又はチャネルkにかかわらず、cos(2πNρ)が”-1”という一定値をとる条件であるため、式(9)から得られた式(10)のρを用いた符号w[n]の自己相関値は、ユーザk又はチャネルkにかかわらず一定になるという好ましい状況(自己相関値の一定化)が得られる。

【0037】
ここで、自己相関値は最小化されているのが好ましいものの、最小化されていなくても、自己相関値が1よりも小さければ、符号の開始位置を探索可能である。したがって、自己相関値の最小化にこだわらなければ、ビット誤り率の低減効果を得るための式(10)の第2項((k-1)/N)を維持しつつ、式(1)の第1項(1/2N)の条件緩和が可能である。

【0038】
符号w[n]の自己相関値をユーザk又はチャネルkにかかわらず一定にする(自己相関値の一定化)には、式(8)のcos(2πNρ)が、ユーザk又はチャネルkにかかわらず、一定値をとればよい。したがって、式(9)におけるπをθ(0<θ<2π)で一般化したときに、θが、変数kを含まない定数であればよい。

【0039】
式(9)におけるπをθで一般化すると、以下の式(11)のとおりである。
JP2017085512A_000013t.gif

【0040】
式(11)をρについて解くと、式(12)が得られる。
【数12】
JP2017085512A_000014t.gif
式(12)の第2項((k-1)/N)は、式(10)の第2項と同じである。また、0<θ<2πより、式(12)の第1項((θ/2πN)=δ)のとる範囲は、式(13)で示される。
【数13】
JP2017085512A_000015t.gif

【0041】
したがって、式(12)の(θ/2πN)をδで置き換えると、パラメータρは、以下の式(14)で表される。
【数14】
JP2017085512A_000016t.gif
ここで、δは、0よりも大きく1/N未満(0<δ<1/N)の実数である。

【0042】
式(14)のパラメータρを式(1)のρとして用いた符号w[n]によれば、ビット誤り率の低減及び自己相関値の一定化を図ることができる。

【0043】
符号w[n]の自己相関値は最小化されていないにしても、できるだけ小さい方が好ましい。自己相関値を十分に小さい値、例えば0.5程度、にするという観点からは、式(8)におけるcos(2πNρ)を0以下にすればよい。この場合、式(12)におけるθのとる範囲は、π/2≦θ≦3/2πとなる。この場合、式(12)の第1項((θ/2πN)=δ)のとる範囲は、式(15)で示される。
【数15】
JP2017085512A_000017t.gif

【0044】
したがって、δ(=θ/2πN)は、1/4N以上3/4N以下(1/4N≦δ≦3/4N)の実数である。この場合、ビット誤り率の低減及び自己相関値の一定化を図りつつ、自己相関値を十分に小さくすることができる。図3は、δ=1/4Nの場合の自己相関値を示しており、ずれlが64(符号長N=128の半分のずれ)となる位置において、自己相関値が0.5程度となっていることがわかる。δ=3/4Nの場合もδ=1/4Nの場合と同じ自己相関値となる。したがって、1/4N≦δ≦3/4Nの範囲では、自己相関値は、δ=1/2Nの自己相関値とδ=1/4Nの自己相関値との間の値となる。

【0045】
実際の通信では、符号wk[n]によって変調される送信ビットが”+1”又は”-1”のように送信すべき情報に応じた値をとる。送信ビットの値によって自己相関が変化することを回避するには、式(8)のcos(2πρk)を常に”0”にして式(8)が送信ビットの値にかかわらず一定値とするのが好ましい。
cos(2πρk)を常に”0”にする条件は、式(9)と同様にユーザ又はチャネルを示す変数k(k≧1)を用いると、以下の式(16)で表される。
【数16】
JP2017085512A_000018t.gif

【0046】
式(16)をρについて解くと、式(17)が得られる。
【数17】
JP2017085512A_000019t.gif

【0047】
式(17)は、式(4)におけるδを1/4Nとし、式(4)におけるユーザ数K又はチャネル数を2N(符号長の2倍)にしたものに相当する。

【0048】
式(17)の第2項は、(k-1)/2Nとなっているため、各パラメータρ間の間隔は、1/2Nの等間隔となっている。このように、ユーザ数K又はチャネル数Kは2Nでもよい。ただし、ユーザ数K又はチャネル数Kが大きくなると、ビット誤り率の低減効果が小さくなるため、ビット誤り率の低減という観点からは、ユーザ数K又はチャネル数KはNである方が有利である。そこで、式(17)の第2項の2NをNにすると、式(18)が得られる。
【数18】
JP2017085512A_000020t.gif

【0049】
式(18)は、式(4)におけるδを1/4Nとし、式(4)におけるユーザ数K又はチャネル数を符号長Nにしたものに相当する。これにより、符号w[n]は直交符号となる。

【0050】
また、式(18)のように第2項を(k-1)/Nとした場合、式(18)の第1項(1/4N)を、3/4Nにしても、cos2πNρを0にできる。したがって、ρは、以下の式(19)で表されるものであってもよい。
【数19】
JP2017085512A_000021t.gif

【0051】
以上のように、δは、1/4N又は3/4Nであってもよい。ここで、自己相関の変化を回避するのではなく、自己相関の変化が小さければよいのであれば、式(16)~式(19)を導くための「式(8)のcos(2πρk)を常に”0”にする」という条件は、「式(8)のcos(2πρk)を”0”近傍する」という条件に緩和できる。この場合、δを、例えば、1/8N≦δ≦3/8N、又は、5/8N≦δ≦7/8Nとすることができる。

【0052】
[3.パラメータρについてのまとめ]
δ+(k-1)/Kで決定されるパラメータρを用いた符号w[n]は、ビット誤り率を低減することができる。ここでのδは、0以上1未満(0≦δ<1)の実数である。

【0053】
最大ユーザ数K又は最大チャネル数Kを符号長Nと同じ値に設定した場合(K=N)、パラメータρは、δ+(k-1)/Nとなる。この場合も、ビット誤り率の低減効果が得られる。最大ユーザ数K又は最大チャネル数Kは、2Nに設定されてもよい。

【0054】
ビット誤り率の低減及び自己相関値の一定化を図るには、δ+(k-1)/Nにおけるδを、0よりも大きく1/N未満(0<δ<1/N)の実数とすればよい。δは、1/8N以上(1/8N≦δ)であるのが好ましく、1/4N以上(1/4N≦δ)であるのがより好ましい。δは、7/8N以下(δ≦7/8N)であるのが好ましく、3/4N以下(δ≦3/4N)であるのがより好ましい。δは、1/4N以上3/4N以下(1/4N≦δ≦3/4N)であるのが好ましく、δは、例えば、1/2Nとすることができる。

【0055】
また、δは、1/8N以上3/8N以下(1/8N≦δ≦3/8N)であるのが好ましく、δは、例えば、1/4Nとすることができる。

【0056】
また、δは、5/8N以上7/8N以下(1/4N≦3/4N)であるのが好ましく、δは、例えば、3/4Nとすることができる。

【0057】
[4.ビット誤り率]
図5は、パラメータρを、式(4)に従って決定した場合と、式(10)に従って決定した場合のビット誤り率を示している。図5において横軸は、ユーザ数Kを示し、縦軸は、ビット誤り率を示している。図5(a)は、符号長N=127である場合の非同期の拡散通信におけるビット誤り率を示し、図5(b)は、符号長N=1024である場合のチッブ同期の拡散通信におけるビット誤り率を示している。

【0058】
パラメータρを式(4)に従って決定する場合、式(4)にはユーザ数Kが含まれるため、式(4)に従いパラメータρをユーザ数K毎に最適化した。一方、パラメータρを式(10)に従って決定する場合、式(10)には、ユーザ数Kは含まれないため、ユーザ数Kにかかわらず符号長N=128を用いて統一的にパラメータρを決定した。図5では、比較例としてGold符号のビット誤り率も示した。

【0059】
パラメータρを、式(4)又は式(10)に従って決定した場合、いずれもGold符号よりもビット誤り率が低下しており良好な結果が得られている。図5(a)によれば、パラメータρを式(10)に従って決定したとき、ユーザ数Kが、符号長N=128に一致又はその近傍値である場合には、パラメータρを式(4)に従って決定した場合と同様なビット誤り率が得られていることがわかる。図5(b)においても同様に、パラメータρを式(10)に従って決定したとき、ユーザ数Kが、符号長N=1024に一致又はその近傍値である場合には、パラメータρを式(4)に従って決定した場合と同様なビット誤り率が得られていることがわかる。ただし、パラメータρを式(10)に従って決定した場合、ユーザ数Kが、符号長N=128よりも小さくなると、ビット誤り率の低下度合が小さくなる。

【0060】
図5に示す結果は、K=Nである場合における式(4)と式(10)の等価性を示している。図5に示す結果によれば、式(10)でパラメータρを決定する場合においては、符号長Nをユーザ数K又はチャネル数Kに合わせて可変にすることで、式(10)に従ってパラメータρを決定しても、式(4)に従って決定した場合と同様のビット誤り率が得られることがわかる。

【0061】
なお、式(4)に従って、パラメータρを決定する場合であっても、Kを実際のユーザ数又はチャネル数とするのではなく、最大ユーザ数又は最大チャネル数として決定しておいてもよい。この場合、通信中における実際のユーザ数又はチャネル数が変動しても、Kは変動しない。このため、パラメータρを式(4)に従って決定した場合であっても、式(10)に従ってパラメータρを決定した場合と同様のビット誤り率となる。

【0062】
[5.複数の概周期関数符号の用い方]
変調器20は、複数(K個)の概周期関数符号w[n]を用いて変調を行う。Kは、ユーザ数又はチャネル数に応じた数であり、K個の符号w[n]を用いることで、Kユーザ又はKチャネルの送信信号を変調することができる。

【0063】
ユーザ数又はチャネル数が変動しない環境での通信の場合、Kは定数でよい。この場合、変調器20は、K個の概周期関数符号w[n]全てを変調に用いる。ただし、ユーザ数又はチャネル数は変動することが多い。変調器20は、ユーザ数又はチャネル数の数に応じて式(4)におけるKの値を変更してもよいが、式(4)におけるKを、最大ユーザ数又は最大チャネル数(一定値)として定義しておいてもよい。この場合、変調器20は、予め生成されたK個の概周期関数符号w[n]のうち、実際のユーザ数L又はチャネル数L(L≦K)に応じたL個の概周期関数符号w[n]を選択し、選択されたL個の概周期関数符号w[n]を変調に用いる。

【0064】
また、最大ユーザ数K又は最大チャネル数Kを符号長Nに設定する場合(K=N)も、変調器20は、N個の概周期関数符号w[n]のうち、実際のユーザ数L又はチャネル数L(L≦K)に応じたL個の概周期関数符号w[n]を、変調に用いる。通信機10は、変化するユーザ数K又はチャネル数Kに応じて、符号長Nを変化させ(N=K)、変調器20は、変化させた符号長Nに基づいて、N個の概周期関数符号w[n]を決定することができる。この場合、変調器20は、N個の概周期関数符号w[n]を全て用いて変調を行う。なお、最大ユーザ数K又は最大チャネル数Kを2Nに設定してもよい。また、通信機10は、変化するユーザ数K又はチャネル数Kに応じて、符号長NをK/2に変化させてもよい。

【0065】
複数の概周期関数符号w[n]は、通信機10が有するコンピュータによって生成され、通信機10が有する記憶装置に保存されていても良い。また、複数の概周期関数符号w[n]は、予め、通信機10とは別のコンピュータによって生成され、通信機10が有する記憶装置に保存されていてもよい。変調器20は、記憶装置に保存されている複数の概周期関数符号w「n」の全部又は一部を選択して、変調に用いることができる。

【0066】
また、変調部20は、概周期関数符号wを、スペクトル拡散通信のための拡散符号として用いるほか、疑似直交多重変調符号として用いても良い。疑似直交多重変調は、概周期関数符号wを用いて、直交多重変調に類似した変調を行うものであるが、概周期関数符号wを用いるため、厳密には直交多重変調とはならず、疑似直交多重変調となる。

【0067】
疑似直交多重変調では、N×K個のデータシンボル行列(送信信号)に対して、大きさがK×Nの変調行列(疑似直交多重変調符号行列)をかけて、K×K行列の変調信号(疑似直交多重変調信号)を出力する。K×Nの変調行列は、符号長Nの概周期関数符号w[n]をN個並べて構成される。概周期関数符号w[n]を、例えば、式(10)に従って決定されるパラメータρを用いて生成する場合(K=N)、変調行列はN×N行列となる。
【符号の説明】
【0068】
10 通信機
20 変調器
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4