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明細書 :無線通信システムおよび無線通信方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6440076号 (P6440076)
公開番号 特開2017-028582 (P2017-028582A)
登録日 平成30年11月30日(2018.11.30)
発行日 平成30年12月19日(2018.12.19)
公開日 平成29年2月2日(2017.2.2)
発明の名称または考案の名称 無線通信システムおよび無線通信方法
国際特許分類 H04W  74/08        (2009.01)
H04W  72/04        (2009.01)
H04W  84/12        (2009.01)
FI H04W 74/08
H04W 72/04 150
H04W 84/12
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2015-146964 (P2015-146964)
出願日 平成27年7月24日(2015.7.24)
審査請求日 平成29年7月4日(2017.7.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】村山 大輔
【氏名】杉山 隆利
【氏名】守倉 正博
【氏名】船引 魁人
個別代理人の代理人 【識別番号】100072718、【弁理士】、【氏名又は名称】古谷 史旺
【識別番号】100151002、【弁理士】、【氏名又は名称】大橋 剛之
【識別番号】100201673、【弁理士】、【氏名又は名称】河田 良夫
審査官 【審査官】横田 有光
参考文献・文献 特表2010-517482(JP,A)
特開平06-169312(JP,A)
船引魁斗, 西尾理志, 守倉正博, 山本高至, 村山大輔, 杉山隆利,RoF無線LANと既存無線LANの共存方式の提案,信学技報,一般社団法人電子情報通信学会,2015年 3月,vol. 114, no. 492, SRW2014-50,p. 19-24
調査した分野 H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
特許請求の範囲 【請求項1】
CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access /Collision Avoidance )方式によるアクセス制御を行う既存の無線通信システムと共存し、キャリアセンスを行わずにアクセス制御を行う無線通信システムにおいて、
前記既存の無線通信システムでデータ送受信を行うためのアクセス制御信号から、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定する手段と、
前記NAV期間の終了時刻から内部遅延時間前を起点に、前記CSMA/CA方式におけるDIFS時間以下、0以上の時間Tw 後に、送信データがある場合に前記アクセス制御信号を送信する際に、所定の送信待機確率αで送信を待機する送信制御手段と
を備え
前記送信制御手段は、前記送信待機確率αとして、アクティブ状態にあって共存する端末数に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に設定する構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access /Collision Avoidance )方式によるアクセス制御を行う既存の無線通信システムと共存し、キャリアセンスを行わずにアクセス制御を行う無線通信システムにおいて、
前記既存の無線通信システムでデータ送受信を行うためのアクセス制御信号から、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定する手段と、
前記NAV期間の終了時刻から内部遅延時間前を起点に、前記CSMA/CA方式におけるDIFS時間以下、0以上の時間Tw 後に、送信データがある場合に前記アクセス制御信号を送信する際に、所定の送信待機確率αで送信を待機する送信制御手段と
を備え
前記送信制御手段は、前記送信待機確率αとして、使用するチャネルの時間占有率に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に設定する構成である
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access /Collision Avoidance )方式によるアクセス制御を行う既存の無線通信システムと共存し、キャリアセンスを行わずにアクセス制御を行う無線通信方法において、
前記既存の無線通信システムでデータ送受信を行うためのアクセス制御信号から、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定するステップと、
前記NAV期間の終了時刻から内部遅延時間前を起点に、前記CSMA/CA方式におけるDIFS時間以下、0以上の時間Tw 後に、送信データがある場合に前記アクセス制御信号を送信する際に、所定の送信待機確率αで送信を待機するステップと
を有し、
前記送信待機確率αは、アクティブ状態にあって共存する端末数に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に設定される
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項4】
CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access /Collision Avoidance )方式によるアクセス制御を行う既存の無線通信システムと共存し、キャリアセンスを行わずにアクセス制御を行う無線通信方法において、
前記既存の無線通信システムでデータ送受信を行うためのアクセス制御信号から、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定するステップと、
前記NAV期間の終了時刻から内部遅延時間前を起点に、前記CSMA/CA方式におけるDIFS時間以下、0以上の時間Tw 後に、送信データがある場合に前記アクセス制御信号を送信する際に、所定の送信待機確率αで送信を待機するステップと
を有し、
前記送信待機確率αは、使用するチャネルの時間占有率に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に設定される
ことを特徴とする無線通信方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access /Collision Avoidance )方式によるアクセス制御を行う無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の規格の多くの無線LAN機器に対応するために、RoF(Radio over Fiber)を用いた無線LANシステム(RoF-WLAN)が検討されている。
【0003】
図3は、RoF-WLANと既存WLANの共存構成例を示す。
図3において、宅内もしくはオフィス内に、既存WLANの既存AP(Access Point) 11および既存STA(Station )12と、RoF-WLANのRoF-APのRF処理部21およびRoF-STA24が存在する。ここで、RoF-APの機能は、光ファイバ23を介して接続されるRF処理部21と局舎内のAP処理部22に分割されている。RoF-APのRF処理部21は、光信号と電波との変換を行う構成であり、RoF-APのAP処理部22は、PHY(Physical)層およびMAC(Medium Access Control )層のAP処理を行う。したがって、RF処理部21とAP処理部22と間には光ファイバ23を介して通信することによる伝搬遅延が発生し、RoF-APとしてフレーム送受信やキャリア検出が遅れる。
【0004】
そのため、既存WLANとRoF-WLANが共存する構成において、CSMA/CA方式によりアクセス制御を行う場合、RoF-WLANのフレーム送受信やキャリア検出が遅れることによる衝突が発生し、RoF-WLANのスループット特性が劣化する。図4に、RoF-WLANの伝搬遅延(0~50μs)に対応する上りスループットに対する下りスループットの比(上下スループット比)の特性を示すが、従来方式として示すように下りスループットの劣化が大きい。
【0005】
非特許文献1では、RoF-WLANと既存WLANの共存構成におけるRoF-WLANの下りスループット特性を改善するために、既存WLANの通信に付随してRoF-APに優先的に送信権を与える方法が提案されている。図4に、非特許文献1の提案方式として示すように、下りスループット特性を改善効果が著しく、以下に示すように上下スループット比が1を大きく超えている。
【0006】
図5は、非特許文献1に示すRoF-WLANにおけるRTSフレーム送信制御例を示す。
図5において、RoF-APのRF処理部21,AP処理部22およびRoF-STA24は、既存WLANのRTS/CTSフレームを受信してNAV(Network Allocation Vector )期間を取得し、そのNAV期間の送信を控える。ただし、RoF-APでは、RTS/CTSフレームの遅れにより、設定されるNAV期間も遅れて設定される。そのため、RoF-APでは送信データがある場合に、NAV期間の終了時刻から往復伝搬遅延(RTT)時間前のタイミングで送信制御に入り、DIFS時間以下のTw 時間後に、ランダムバックオフ期間を設けずにRTSフレームを送信する。これにより、RoF-APからRoF-STAへのRTSフレームの送信は成功し、RoF-WLANにおける下りスループットの改善が可能になる。なお、Tw =DIFSとした場合でも、既存WLANがデータ送受信を終えてDIFS後にランダムバックオフ期間0でRTSフレームを送信する場合を除き、RoF-APからRoF-STAへのRTSフレームの送信は成功する。
【0007】
また、RoF-STAにおける上り方向の送信開始制御は、既存WLANとの間でCSMA/CAに基づくキャリアセンスを行い、通常のRTS/CTSアクセス手順に従って行われる。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】船引,西尾,守倉,山本,村山,杉山,「RoF無線LANと既存無線LANの共存方式の提案」,信学技報, vol.114, no.492, SRW2014-50, pp.19-24,2015年 3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図5に示すRoF-APのRTS送信制御では、既存WLANの通信に付随してRoF-APに優先的に送信権が与えられるので、図4に示すように下りスループットが上りスループットに比べて優勢(上下スループット比が1を大きく超える)となる。特に、既存WLANの通信が頻繁に行われる場合に、RoF-WLAN内では下りスループットが過剰となる問題がある。また、RoF-WLANの伝搬遅延時間によっても、上下スループット比が大きく変化する。
【0010】
また、図5に示すRoF-APのRTS送信制御を実施した場合に、RoF-WLAN内において下りスループットが過剰となる問題に対して、非特許文献1では、RoF-APがRTSフレームを送信する前に、RTSフレームを送信するか否かを確率制御する方法を提案している。すなわち、所定の送信待機確率αでRTSフレームの送信を待機させ、下りスループットが過剰にならないようにする。なお、RTSフレームの送信を待機した場合には、既存WLANのCTSフレームを受信してNAV期間終了後に通常のRTS/CTSアクセス手順に従って次の送信動作に入る。
【0011】
さて、RoF-WLANにおける上下スループット比を目標値に設定するには、伝搬遅延時間や既存WLANの通信状況に合わせて送信待機確率αを適宜調整する必要がある。しかし、非特許文献1では、上下スループット比を目標値に設定するために、あるいは上下スループットを公平にするために、送信待機確率αをどのように調整すればよいかについて具体的に示されていない。
【0012】
本発明は、既存WLANとRoF-WLANが共存する構成において、RoF-WLANにおけるスループット特性の改善を図りながら、上下スループット比を調整することができる無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、CSMA/CA方式によるアクセス制御を行う既存の無線通信システムと共存し、キャリアセンスを行わずにアクセス制御を行う無線通信システムにおいて、既存の無線通信システムでデータ送受信を行うためのアクセス制御信号から、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定する手段と、NAV期間の終了時刻から内部遅延時間前を起点に、CSMA/CA方式におけるDIFS時間以下、0以上の時間Tw 後に、送信データがある場合にアクセス制御信号を送信する際に、所定の送信待機確率αで送信を待機する送信制御手段とを備え、送信制御手段は、送信待機確率αとして、アクティブ状態にあって共存する端末数に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に設定する構成である。
【0016】
第2の発明は、CSMA/CA方式によるアクセス制御を行う既存の無線通信システムと共存し、キャリアセンスを行わずにアクセス制御を行う無線通信システムにおいて、既存の無線通信システムでデータ送受信を行うためのアクセス制御信号から、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定する手段と、NAV期間の終了時刻から内部遅延時間前を起点に、CSMA/CA方式におけるDIFS時間以下、0以上の時間Tw 後に、送信データがある場合にアクセス制御信号を送信する際に、所定の送信待機確率αで送信を待機する送信制御手段とを備え、送信制御手段は、送信待機確率αとして、使用するチャネルの時間占有率に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に設定する構成である。
【0017】
の発明は、CSMA/CA方式によるアクセス制御を行う既存の無線通信システムと共存し、キャリアセンスを行わずにアクセス制御を行う無線通信方法において、既存の無線通信システムでデータ送受信を行うためのアクセス制御信号から、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定するステップと、NAV期間の終了時刻から内部遅延時間前を起点に、CSMA/CA方式におけるDIFS時間以下、0以上の時間Tw 後に、送信データがある場合にアクセス制御信号を送信する際に、所定の送信待機確率αで送信を待機するステップとを有し、送信待機確率αは、アクティブ状態にあって共存する端末数に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に設定される。
【0020】
第4の発明は、CSMA/CA方式によるアクセス制御を行う既存の無線通信システムと共存し、キャリアセンスを行わずにアクセス制御を行う無線通信方法において、既存の無線通信システムでデータ送受信を行うためのアクセス制御信号から、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定するステップと、NAV期間の終了時刻から内部遅延時間前を起点に、CSMA/CA方式におけるDIFS時間以下、0以上の時間Tw 後に、送信データがある場合にアクセス制御信号を送信する際に、所定の送信待機確率αで送信を待機するステップとを有し、送信待機確率αは、使用するチャネルの時間占有率に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に設定される。

【発明の効果】
【0021】
本発明は、CSMA/CA制御を行う既存WLANと共存するRoF-WLANのRoF-APにおいて、算出した送信待機確率αに基づいてRTSフレームの送信および送信待機を制御することにより、リアルタイムでのキャリアセンスができない場合でも、効率的にデータ送信を行うことができる。
【0022】
また、実スループットを測定し、実スループットが目標スループットに近づく値に送信待機確率αが設定される場合は、スループットの適応制御が可能になるので、例えば上り下りスループット比を1とする制御を行うことも可能である。例えば図4に示すように、伝送遅延が30μsのRoF-APにおいて、通常のCSMA-CA制御を行う場合、あるいは図5に示すRoF-APのRTS送信制御を行う場合には、それぞれ上り下りスループット比が1から大きくずれるが、算出方法1による送信待機確率αを用いることにより、既存WLANの通信品質を保護しつつ、RoF-WLANを共存させることができる。
【0023】
また、アクティブ状態にあって共存する端末数に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に送信待機確率αが設定される場合は、共存する端末数に応じた制御が可能になるので、共存する端末数が多い場合は、送信待機確率αを大きくして、他の端末の通信品質を保護することができる。
【0024】
また、使用するチャネルの時間占有率に基づき、目標スループットと実スループットが近づく値に送信待機確率αが設定される場合は、電波資源の混み具合に応じた制御が可能になるので、共存する端末(WLAN以外のシステムを含む)が頻繁に通信を行っているときには、送信待機確率αを大きくして、WLAN以外のシステムを含む他の端末の通信品質を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明におけるRoF-APの構成例を示す図である。
【図2】本発明におけるRoF-APのRTS送信手順例を示すフローチャートである。
【図3】RoF-WLANと既存WLANの共存構成例を示す図である。
【図4】上下スループット比特性を示す図である。
【図5】RoF-APのRTSフレーム送信制御例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明におけるRoF-APの構成例を示す。
図1において、RoF-APは、光ファイバ23を介して接続されるRF処理部21とAP処理部22により構成され、RF処理部21は光信号と電波との変換を行う機能を備える。AP処理部22は、AP機能を有する制御部として、NAV設定部221、RTS送信制御部222、CTS送信制御部223、データ送受信部224およびACK送信部225を備え、さらにRF処理部21との間で光通信を行う光通信部226を備える。

【0027】
なお、既存AP、既存STA、RoF-STAはキャリアセンス機能部を備え、DIFSおよびランダムバックオフ期間のキャリアセンスによってチャネルアイドルであればデータ送信を行うか、あるいはデータ送信のためのRTS/CTSフレームの送受信処理を開始する。しかし、RoF-APの場合、RF処理部21でキャリアセンスを行っても、AP処理部22においてリアルタイムでキャリアセンスに対応する処理ができないので、AP処理部22にはキャリアセンス機能部を備えない構成としている。

【0028】
このように本発明は、一般的には内部遅延時間が大きく、リアルタイムでキャリアセンス処理を行うことができない通信装置(APまたはSTA)に適用可能であるが、以下その代表例としてRoF-APに適用する場合について、図2に示すRoF-APのRTS送信手順例を参照して各部の動作について説明する。なお、基本的な動作は図5に示すRTSフレーム送信制御例と同様である。

【0029】
NAV設定部221は、自局宛でないRTSフレームまたはCTSフレームを受信すると(S1)、データ送受信が行われるNAV期間を取得して設定する(S2)。RTS送信制御部222は、NAV期間の終了時刻から往復伝搬遅延(RTT)時間前のタイミングになったときに(S3:Yes )、データ送受信部224に送信データがあるか否かを判定する(S4)。なお、このRoF-APにおける往復伝搬遅延(RTT)時間が、一般的には通信装置の内部遅延時間に相当する。送信データがあった場合にはRTSフレームの送信を控える送信待機確率αを算出し(S5)、送信データがない場合には、ステップS1のRTSフレームまたはCTSフレームの受信動作に戻る。

【0030】
ここで、本発明の特徴は、後述する方法により上下スループット比を調整する送信待機確率αを算出するところにあり、その送信待機確率αに基づいてRTSフレームの送信判定を行う(S6)。すなわち、確率αでRTSフレームの送信を控え、確率(1-α)でRTSフレームを送信する。例えば、乱数x(0≦x≦1)を生成し、x<αであれば送信を控え、x≧αの場合にRTSフレームを送信する処理に進む。

【0031】
RTSフレームを送信することになった場合には(S6:Yes )、NAV期間の終了時刻から往復伝搬遅延(RTT)時間前を起点に、Tw (0≦Tw ≦DIFS)時間だけ待機し(S7)、ランダムバックオフ期間を設けずにRTSフレームを送信する(S8)。

【0032】
さらに、RTS送信制御部222は、RoF-STAからRTSフレームに対するCTSフレームを受信した場合に、データ送受信部224からデータを送信する制御を行う。なお、このとき図5に示すように、RoF-APとRoF-STAとの間で送受信されるRTS/CTSフレーム、データ信号、ACK信号に伝搬遅延が生ずるので、その遅延分(RTT×2)を考慮したNAV期間を設定し、既存WLANに対する送信抑制制御を行う。

【0033】
CTS送信制御部223は、RoF-STAからRoF-AP宛のRTSフレームを受信し、かつ受信可能状態であればCTSフレームをRoF-STAに送信し、データ送受信部224でデータ受信を待機する。データ送受信部224でデータを正常に受信した場合には、ACK送信部225からACK信号を送信する。

【0034】
以下、ステップS5における送信待機確率αの算出方法について、実スループットに基づく算出方法1、アクティブ状態にあって共存する端末数に基づく算出方法2、使用するチャネルの時間占有率(ビジー検出回数)に基づく算出方法3について説明する。

【0035】
(送信待機確率αの算出方法1)
算出方法1は、実スループットに基づいて算出する。ある時点で算出される送信待機確率をαk とする。αk を算出した時点で計測される自局の実スループットをTk とする。実スループットTk の計測方法は限定しないが、例えば、算出時点から一定時間t遡った間における平均スループットとしてもよいし、重み付け平均としてもよい。

【0036】
送信待機確率αは、実スループットTk を目標スループットTT に近づくようにフィードバック制御する。

【0037】
まず、共存する既存WLANの端末数Nに応じた目標スループットTT の算出方法の一例を式(1-1) ~式(1-3) に示す。
N>Nth1 :TT =TT1 …(1-1)
th1 ≧N≧Nth2 :TT =TT1+Tt2×N …(1-2)
th2 >N :TT =TT3 …(1-3)

【0038】
ここで、TT1は最低限確保したいスループット、TT3は最大制限帯域とする。本例では、TT1=1Mbps とし、TT3=51Mbps とする。設置する環境によって、想定する端末数Nの範囲Nth1 ≧N≧Nth2 を決定する。例えば、室内のオフィス環境にて、1から50台程度の端末が共存することを想定する場合、Nth1 =51、Nth2 =1とする。このとき、TT2は、式(2) で求める。
T2=(TT3-TT1)/(Nth1-Nth2)=(51-1)/(51-1)=1Mbps …(2)

【0039】
次に、目標スループットTT と、実スループットTk の差分ek =(TT-Tk)を基に、送信待機確率αk を例えば式(3) または式(4) で求める。
αk =f(αk-1 ,ek) …(3)
αk =g(αk-1 ,ek,ek-1,ek-2) …(4)

【0040】
α0 は任意の値を与えてよい。関数f(), g()は、ek を0に近づける機能を有するものとする。例えば、式(3) は式(5-1) ~式(5-3) を用いることができ、式(4) は式(6) を用いることができる。ここで、Δα' 、Δα" 、Th1 、Th2 、a、b、cは予め定めた定数である。これらの算出方法は特に限定しないが、値を変えた複数回の施行により経験的に求める方法が簡単である。ただし、Δα' >0 、Δα" >0、Th1 ≧0、Th2 ≧0、Th1 >Th2 、a≧0、b≧0、c≧0とすることが望ましい。
(3)式:
k >Th1 :αk =αk-1 -Δα' …(5-1)
Th1 ≧ek ≧Th2 :αk =0 …(5-2)
Th2 ≧ek :αk =αk-1 +Δα" …(5-3)
(4)式:
αk =αk-1-a×ek-b(ek-ek-1)-c((ek-ek-1)-(ek-1-ek-2))
…(6)

【0041】
(送信待機確率αの算出方法2)
算出方法2は、アクティブ状態にあって共存する端末数に基づいて送信待機確率αを算出する。送信待機確率αk を求める時点での共存端末数をNk とする。Nk は、予め定めた過去tN 秒間に通信を行ったSTAおよびAPの数とすればよい。MACアドレスまたはIPアドレスまたはその他の識別子を解読することで算出することができる。

【0042】
送信待機確率αk は、例えば、式(7) を用いて求める。ここで、d,eは予め定めた定数である。これらの適切な値は経験的に求める方法が簡単である。d≧0 とすることが望ましい。
αk =d×Nk +e …(7)

【0043】
ここで、d,eの算出方法の一例を示す。オフィス環境にて、50から 100台程度の端末が共存することを想定する。共存端末数Nk が1の場合と50の場合の目標スループットを式(1) を用いて求める。それぞれ、51,1Mbps とする。それぞれの端末数が共存するときに、求めた目標スループットと実スループットが近い値となるα(α51M ,α1M)の値を求める。具体的には、当該の状況下で、αの値を変えながら、目標値との差を最小とする値を検索する。求めた(α51M ,α1M)から式(8) を解くことで、d,eを求めることができる。
α51M =d+e
α1M =50×d+e …(8)
例えば(α51M ,α1M)=(0.1 ,0.99)とすると、d=0.018 、e=0.081 となる。

【0044】
(送信待機確率αの算出方法3)
算出方法3は、使用するチャネルの時間占有率を基に算出する。時間占有率とは、測定期間に対するビジー状態の期間の占める割合とする。時間占有率の算出方法の例を以下に示す。例えば、RoF-STAで定期的にキャリアセンスを行い、過去na 回のキャリアセンス施行のうち、nb 回ビジー状態を検出したとすると、時間占有率rb は、式(9) で示される。
b =nb /na …(9)

【0045】
送信待機確率αk は、例えば、式(10)を用いて求める。ここで、f,gは予め定めた定数である。これらの適切な値は経験的に求める方法が簡単である。f≧0 とすることが望ましい。
αk =f×rb +g …(10)

【0046】
ここで、f,gの算出方法の一例を示す。混雑時と閑散時のrb の値は、それぞれ1と0となる。最低でも確保したいスループットを1Mbps 、最大制限スループットを51Mbps とし、rb が1および0のときにαk を変化させて、それぞれ1Mbps 、51Mbps に最も近い値となるような(α51M ,α1M)を検索する。求めた(α51M ,α1M)から式(11)を解くことで、f,gを求めることができる。
α51M =0+g
α1M =f+g …(11)
例えば(α51M ,α1M)=(0.1 ,0.99)とすると、f=0.89、g=0.1 となる。
【符号の説明】
【0047】
11 既存WLANのAP
12 既存WLANのSTA
21 RoF-APのRF処理部
22 RoF-APのAP処理部
23 光ファイバ
24 RoF-STA
221 NAV設定部
222 RTS送信制御部
223 CTS送信制御部
224 データ送受信部
225 ACK送信部
226 光通信部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4