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明細書 :プロトン伝導体、プロトン伝導体の製造方法、及び燃料電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-033704 (P2017-033704A)
公開日 平成29年2月9日(2017.2.9)
発明の名称または考案の名称 プロトン伝導体、プロトン伝導体の製造方法、及び燃料電池
国際特許分類 H01M   8/02        (2016.01)
H01B   1/06        (2006.01)
H01B  13/00        (2006.01)
H01M   8/10        (2016.01)
FI H01M 8/02 M
H01B 1/06 A
H01B 13/00 Z
H01M 8/10
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2015-150728 (P2015-150728)
出願日 平成27年7月30日(2015.7.30)
新規性喪失の例外の表示 申請有り
発明者または考案者 【氏名】板倉 智也
【氏名】土方 啓暢
【氏名】堀毛 悟史
【氏名】北川 進
出願人 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000578、【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
審査請求 未請求
テーマコード 5G301
5H026
Fターム 5G301CD01
5H026AA06
要約 【課題】イオン伝導率が高いプロトン伝導体、そのプロトン伝導体の製造方法、及び燃料電池を提供すること。
【解決手段】金属イオン、オキソアニオン、及びプロトン配位性分子を含み、前記オキソアニオン及び/又は前記プロトン配位性分子が、前記金属イオンに配位して配位高分子を形成し、少なくとも一部が非晶質であることを特徴とするプロトン伝導体。前記金属イオンとしては、例えば、カドミウムイオン、マンガンイオン、及びコバルトイオンから成る群から選ばれる1種以上が挙げられる。前記オキソアニオンとしては、例えば、リン酸イオン、リン酸水素イオン、及びリン酸二水素イオンから成る群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
金属イオン、オキソアニオン、及びプロトン配位性分子を含み、
前記オキソアニオン及び/又は前記プロトン配位性分子が、前記金属イオンに配位して配位高分子を形成し、
少なくとも一部が非晶質であることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項2】
請求項1に記載のプロトン伝導体であって、
前記金属イオンが、カドミウムイオン、マンガンイオン、及びコバルトイオンから成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロトン伝導体であって、
前記オキソアニオンが、リン酸イオン、リン酸水素イオン、及びリン酸二水素イオンから成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロトン伝導体であって、
前記プロトン配位性分子が、イミダゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、及びこれらの誘導体から成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のプロトン伝導体であって、
前記プロトン配位性分子が、一般式R-NH2で表される第一級アミン、一般式R1(R2)-NHで表される第二級アミン、一般式R1(R2)(R3)-Nで表される第三級アミン、炭素直鎖ジアミン、飽和環状アミン、及び飽和環状ジアミンから成る群から選ばれる1種以上であることを特徴とするプロトン伝導体。
(R、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、脂環式炭化水素基、及び複素環基のうちのいずれかを示す。)
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のプロトン伝導体であって、
さらに、金属酸化物、有機ポリマー、及びアルカリ金属イオンから成る群から選ばれる1種以上である添加材料を含むことを特徴とするプロトン伝導体。
【請求項7】
前記金属イオンを含む金属化合物、前記オキソアニオン、及び前記プロトン配位性分子を200℃以下の温度において混合し、機械的エネルギーを加えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のプロトン伝導体の製造方法。
【請求項8】
前記金属イオンを含む金属化合物、前記オキソアニオン、前記プロトン配位性分子、及び前記添加材料を200℃以下の温度において混合し、機械的エネルギーを加えることを特徴とする請求項6に記載のプロトン伝導体の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のプロトン伝導体の製造方法であって、
ボールミル又はプレス機械を用いて前記機械的エネルギーを加えることを特徴とするプロトン伝導体の製造方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載のプロトン伝導体から成る電解質を有する燃料電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン伝導体、プロトン伝導体の製造方法、及び燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体高分子型燃料電池を構成する電解質材料の作動温度は100℃未満であった。また、従来の電解質材料では、膜中の水を介してイオン伝導が生じるため、電解質材料の水分を管理するシステムが必要であった。
【0003】
固体高分子型燃料電池システムの低コスト化、及びシステムの簡素化の観点から、作動温度が100℃以上であり、かつ無加湿又は低加湿の条件で作動する電解質材料が望まれている。特許文献1には、そのような電解質材料が提案されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2014-116276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電解質材料は、さらに高いイオン伝導率を有することが望ましい。本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、イオン伝導率が高いプロトン伝導体、そのプロトン伝導体の製造方法、及び燃料電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロトン伝導体は、金属イオン、オキソアニオン、及びプロトン配位性分子を含み、前記オキソアニオン及び/又は前記プロトン配位性分子が、前記金属イオンに配位して配位高分子を形成し、少なくとも一部が非晶質であることを特徴とする。本発明のプロトン伝導体は、高温(例えば100℃以上)においても、高いイオン伝導率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】添加材料の1種である有機ポリマーを表す説明図である。
【図2】実施例1についてのX線結晶構造解析の結果を表す説明図である。
【図3】燃料電池の単セルの製造方法を表す説明図である。
【図4】燃料電池の単セルの構成を表す斜視図である。
【図5】実施例2についてのX線結晶構造解析の結果を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を説明する。
1.プロトン伝導体
本発明のプロトン伝導体は、金属イオン、オキソアニオン、及びプロトン配位性分子を含み、前記オキソアニオン及び/又は前記プロトン配位性分子が、前記金属イオンに配位して配位高分子を形成する。

【0009】
オキソアニオンは、例えば、縮合が起こっていない単量体として金属イオンに配位することができる。この場合、プロトン伝導体において高いプロトン濃度を保持することができ、水分に対する安定性にも優れる。

【0010】
オキソアニオンとしては、例えば、リン酸イオン、硫酸イオン等が挙げられるが、水素に対する化学的安定性から、リン酸イオンが好ましい。リン酸イオンは、プロトンが1つ配位したリン酸水素イオン、又はプロトンが2つ配位したリン酸二水素イオンの形態であってもよい。

【0011】
本発明におけるプロトン配位性分子は、分子内にプロトンを配位するための配位点を好ましくは2つ以上持った分子である。プロトン配位性高分子は、金属イオンとの配位結合、又はオキソアニオンとの水素結合若しくはクーロン結合相互作用により、100℃以上でも揮発せずにプロトン伝導体の構造内に保持される。

【0012】
プロトン配位性分子として、イオン伝導性の観点では、プロトンの配位と放出とのバランスに優れた配位点を持ったイミダゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、及びこれらの誘導体が好ましい。

【0013】
ここで誘導体とは、化学構造の一部を他の原子又は原子団で置き換えたものを意味し、その具体例としては、イミダゾールにおける化学構造の一部を他の原子又は原子団で置き換えた、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、ヒスタミン、ヒスチジン等が挙げられる。

【0014】
また、プロトン配位性分子として、例えば、一般式R-NHで表される第一級アミン、一般式R(R)-NHで表される第二級アミン、一般式R(R)(R)-Nで表される第三級アミンが挙げられる。ここで、R、R、R、Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、脂環式炭化水素基、及び複素環基のうちのいずれかである。

【0015】
このような第一級アミンとして、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等の低級アルキルアミン、アニリン、トルイジン等の芳香族アミンが挙げられる。
第二級アミンとして、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン等のジ低級アルキルアミン、N-メチルアニリン、N-メチルトルイジン等の芳香族二級アミン等が挙げられる。

【0016】
第三級アミンとして、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリ低級アルキルアミンが挙げられる。
また、プロトン配位性分子として、例えば、エチレンジアミン、そのN-低級アルキル誘導体(例えばテトラメチルエチレンジアミン)等の炭素直鎖ジアミンが挙げられる。

【0017】
さらには、プロトン配位性分子として、ピロリジン、N-低級アルキルピロリジン(例えばN-メチルピロリジン)、ピペリジン、N-低級アルキルピペリジン(例えばN-メチルピペリジン)、モルホリン、N-低級アルキルモルホリン(例えばN-メチルモルホリン)等の飽和環状アミンが挙げられる。

【0018】
またさらには、プロトン配位性分子として、ピペラジン、N-低級ジアルキルピペラジン(例えば、N、N-ジメチルピペラジン)、1、4-ジアザビシクロ [2.2.2]オクタン(別名:トリエチレンジアミン)等の飽和環状ジアミン等が挙げられる。

【0019】
本発明における金属イオンは特に限定されるものではないが、前記オキソアニオン及び/又はプロトン配位性分子との配位結合の形成しやすさの観点から、高周期の遷移金属イオンや典型金属イオンが好ましい。中でも、カドミウムイオン、マンガンイオン、コバルトイオン、銅イオン、亜鉛イオン、及びガリウムイオンが好ましい。

【0020】
本発明のプロトン伝導体は、金属イオン、オキソアニオン、及びプロトン配位性分子を含むが、これら構成要素が効率的に配位高分子を形成するためには、金属イオン1モルに対して、オキソアニオンが1~4モル、プロトン配位性分子が1~3モルの配合比率であることが望ましい。

【0021】
オキソアイニオン、又はプロトン配位性分子が1モルより少ない配合比率であると配位高分子を形成しないことがある。また、オキソアニオンが4モルより多い配合比率や、プロトン配位性分子が3モルより多い配合比率では、プロトン伝導体が固体状にならず、プロトン伝導体が非常に高い吸湿性を示し、プロトン伝導体の形状安定性が著しく低下してしまうことがある。

【0022】
本発明のプロトン伝導体は、その少なくとも一部が非晶質である。本発明のプロトン伝導体は、その全てが非晶質であってもよいし、非晶質の部分と結晶の部分とが混在してもよい。プロトン伝導体の少なくとも一部が非晶質であることは、X線回折により確認することができる。

【0023】
本発明のプロトン伝導体は、金属イオン、オキソアニオン、及びプロトン配位性分子に加えて、添加材料を含んでいてもよい。添加材料としては、例えば、金属酸化物、有機ポリマー、及びアルカリ金属イオンから成る群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの添加材料を含む場合、プロトン伝導体の高温(例えば100℃以上)における性能を損なうことなく、低温(例えば100℃未満)におけるイオン伝導率が一層高くなる。

【0024】
添加材料の添加量は、金属イオン、オキソアニオン、及びプロトン配位性分子の合計重量を100重量部としたとき、1~20重量部の範囲が好ましく、添加材料が金属酸化物又は有機ポリマーである場合は、5~20重量部の範囲が好ましい。添加量がこの範囲内である場合、プロトン伝導体の高温(例えば100℃以上)における性能を損なうことなく、低温(例えば100℃未満)におけるイオン伝導率が一層高くなる。

【0025】
前記金属酸化物として、例えば、SiO、TiO、Al、WO、MoO、ZrO、及びVから成る群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの金属酸化物を用いる場合、プロトン伝導体の高温(例えば100℃以上)における性能を損なうことなく、低温(例えば100℃未満)におけるイオン伝導率が一層高くなる。

【0026】
金属酸化物の粒子径は、5~500nmの範囲が好ましい。粒子径がこの範囲内である場合、プロトン伝導体の高温(例えば100℃以上)における性能を損なうことなく、低温(例えば100℃未満)におけるイオン伝導率が一層高くなる。なお、粒子径とは、金属酸化物の粒子を、電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、得られた画像を画像解析する方法で得られる値である。

【0027】
前記有機ポリマーは、酸性官能基を有することが好ましい。酸性官能基を有する有機ポリマーを用いる場合、プロトン伝導体の高温(例えば100℃以上)における性能を損なうことなく、低温(例えば100℃未満)におけるイオン伝導率が一層高くなる。

【0028】
酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基(-COOH)、スルホン酸基(-SO3H)、及びホスホン酸基(-PO32)のいずれかが挙げられる。有機ポリマーのpHは、4以下の範囲が好ましい。pHがこの範囲内である場合、プロトン伝導体の高温(例えば100℃以上)における性能を損なうことなく、低温(例えば100℃未満)におけるイオン伝導率が一層高くなる。

【0029】
前記有機ポリマーとしては、例えば、図1に示すポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルホスホン酸(PVPA)、ポリスチレンスルホン酸(PSSA)、デオキシリボ核酸(DNA)等が挙げられる。

【0030】
アルカリ金属イオンとしては、例えば、Li、Na、K、Rb、及びCsから成る群から選ばれる1種以上の金属イオンが挙げられる。これらのアルカリ金属イオンを用いる場合、プロトン伝導体のイオン伝導率が、低温(例えば100℃未満)、及び高温(例えば100℃以上)において一層高くなる。

【0031】
2.プロトン伝導体の製造方法
本発明のプロトン伝導体は、前記添加材料を含まない場合、金属イオン源としての金属化合物(例えば金属酸化物)、オキソ酸(オキソアニオン)、及びプロトン配位性分子を混合攪拌し、機械的エネルギーを加えることで製造できる。

【0032】
前記混合攪拌の工程では、各原料を溶解又は均一に分散可能な溶媒を用いることもできるが、製造コストの観点から、無溶媒反応によって前記混合攪拌の工程を行うことが好ましい。また、上記製造方法を、200℃よりも高い温度で行うと、オキソアニオン(例えばリン酸イオン)の縮合が起こることがあるため、200℃以下の温度で行うことが好ましい。

【0033】
機械的エネルギーを加える工程は、原料(金属化合物、オキソ酸(オキソアニオン)、プロトン配位性分子)に圧力を加える工程である。機械的エネルギーを加える工程は、例えば、ボールミル又はプレス機械を用いて行うことができる。

【0034】
本発明のプロトン伝導体は、前記添加材料を含む場合、例えば、金属イオン源としての金属化合物、オキソ酸(オキソアニオン)、プロトン配位性分子、及び添加材料を混合攪拌し、機械的エネルギーを加えることで製造できる。混合攪拌においては、全原料を一度に混合攪拌することが好ましい。

【0035】
前記混合攪拌の工程では、各原料を溶解又は均一に分散可能な溶媒を用いることもできるが、製造コストの観点から、無溶媒反応によって前記混合攪拌の工程を行うことが好ましい。また上記製造方法を、200℃よりも高い温度で行うと、オキソアニオン(例えばリン酸イオン)の縮合が起こることがあるため、200℃以下の温度で行うことが好ましい。

【0036】
機械的エネルギーを加える工程は、原料(金属化合物、オキソ酸(オキソアニオン)、プロトン配位性分子、添加材料)に圧力を加える工程である。機械的エネルギーを加える工程は、例えば、ボールミル又はプレス機械を用いて行うことができる。

【0037】
3.燃料電池
本発明の燃料電池は、上記プロトン伝導体を電解質として使用したものである。本発明の燃料電池における電解質を構成するプロトン伝導体は、イオン伝導において、水を媒介としない。そのため、本発明の燃料電池は、無加湿又は低加湿条件で使用でき、電解質の水分を管理するためのシステムが必須ではない。

【0038】
さらに、本発明の燃料電池における電解質を構成するプロトン伝導体は、イオン伝導において液体(水以外も含む)を媒介としないため、本発明の燃料電池では、液体の染み出しの問題、染み出した液体が電極で反応することによる劣化の問題、混成電位により出力が低下してしまう問題等を抑制できる。
(実施例1)
酢酸カドミウム・2水和物266mgと、85%リン酸水溶液134μLと、1,2,4-トリアゾール138mgとをそれぞれ秤量して乳鉢に投入し、大気雰囲気化、常温で15分間撹拌混合した。その後、恒温槽にて混合物を80℃で15時間乾燥し、白色粉末を得た。

【0039】
この白色粉末のX線結晶構造解析を行った。その結果、白色粉末は、6配位するカドミウムイオンに対し、4つの1,2,4-トリアゾールが架橋配位し、垂直方向2つにHPOの組成のリン酸イオンが配位した結晶構造を有することを確認した。

【0040】
上記のように製造した結晶の性白色粉末150mgと、直径10mmのボール3560mgとを、容量20mLのジルコニア製容器に封入し、容器内をアルゴンガスで置換した。そして、400rpmの回転数で500分間ボールミリングした。その結果、非晶質粉末が得られた。非晶質粉末であることは、X線回折により確認した。X線回折データを図2に示す。この非晶質粉末は、少なくとも一部が非晶質であるプロトン伝導体の一例である。

【0041】
上記のように製造した非晶質粉末を、図3に示すように、直径10mmのペレット状に成形し、電解質1とした。そして、電解質1の両側に、直径10mmの金電極3、5を取り付け、図4に示す単セル7を製造した。単セル7に対し交流インピーダンス測定を行い、イオン伝導率を算出した。測定は窒素ガス下で行い、周波数領域は0.1Hz~1MHzとし、電圧振幅は300mVとした。上記の測定の結果、イオン伝導率は、130℃で1.0×10-4S/cmであった。
(実施例2)
酢酸マンガン・四水和物245mgと、85%リン酸水溶液134μLと、1,2,4-トリアゾール138mgとをそれぞれ秤量して乳鉢に投入し、大気雰囲気化、常温で15分間撹拌混合した。その後、恒温槽にて混合物を80℃で15時間乾燥し、白色粉末を得た。

【0042】
この粉末のX線結晶構造解析を行った。その結果、白色粉末は、6配位するマンガンイオンに対し、4つの1,2,4-トリアゾールが架橋配位し、垂直方向2つにHPOの組成のリン酸イオンが配位した結晶構造を有することを確認した。

【0043】
上記のように製造した結晶の性白色粉末150mgと、直径10mmのボール3560mgとを、容量20mLのジルコニア製容器に封入し、容器内をアルゴンガスで置換した。そして、400rpmの回転数で500分間ボールミリングした。その結果、非晶質粉末が得られた。非晶質粉末であることは、X線回折により確認した。X線回折データを図5に示す。この非晶質粉末は、少なくとも一部が非晶質であるプロトン伝導体の一例である。

【0044】
上記のように製造した非晶質粉末を、図3に示すように、直径10mmのペレット状に成形し、電解質1とした。そして、電解質1の両側に、直径10mmの金電極3、5を取り付け、図4に示す単セル7を製造した。単セル7に対し交流インピーダンス測定を行い、イオン伝導率を算出した。測定は窒素ガス下で行い、周波数領域は0.1Hz~1MHzとし、電圧振幅は300mVとした。上記の測定の結果、イオン伝導率は、110℃で1.2×10-8S/cmであった。
(比較例1)
酢酸カドミウム・2水和物266mgと、85%リン酸水溶液134μLと、1,2,4-トリアゾール138mgとをそれぞれ秤量して乳鉢に投入し、大気雰囲気化、常温で15分間撹拌混合した。その後、恒温槽にて混合物を80℃で15時間乾燥し、白色粉末を得た。

【0045】
この白色粉末のX線結晶構造解析を行った。その結果、白色粉末は、6配位するカドミウムイオンに対し、4つの1,2,4-トリアゾールが架橋配位し、垂直方向2つにHPOの組成のリン酸イオンが配位した結晶構造を有することを確認した。

【0046】
この白色粉末を用いて、前記実施例1と同様に単セルを製造した。そして、単セルに対し交流インピーダンス測定を行い、イオン伝導率を算出した。イオン伝導率は、130℃で6.3×10-8S/cmであった。
(比較例2)
酢酸マンガン・四水和物245mgと、85%リン酸水溶液134μLと、1,2,4-トリアゾール138mgとをそれぞれ秤量して乳鉢に投入し、大気雰囲気化、常温で15分間撹拌混合した。その後、恒温槽にて混合物を80℃で15時間乾燥し、白色粉末を得た。

【0047】
この白色粉末のX線結晶構造解析を行った。その結果、白色粉末は、6配位するマンガンイオンに対し、4つの1,2,4-トリアゾールが架橋配位し、垂直方向2つにHPOの組成のリン酸イオンが配位した結晶構造を有することを確認した。

【0048】
この白色粉末を用いて、前記実施例1と同様に単セルを製造した。そして、単セルに対し交流インピーダンス測定を行い、イオン伝導率を算出した。し、イオン伝導率を算出した。イオン伝導率は、110℃で8.3×10-10S/cmであった。

【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。

【0050】
上述したプロトン伝導体の他、当該プロトン伝導体を含む電解質材料、電解質材料の製造方法等、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1…電解質、3、5…金電極、7…単セル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4