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明細書 :アンテナ装置及び電磁波伝送方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6327567号 (P6327567)
公開番号 特開2016-152504 (P2016-152504A)
登録日 平成30年4月27日(2018.4.27)
発行日 平成30年5月23日(2018.5.23)
公開日 平成28年8月22日(2016.8.22)
発明の名称または考案の名称 アンテナ装置及び電磁波伝送方法
国際特許分類 H01Q   3/24        (2006.01)
H01Q  21/24        (2006.01)
H01Q  21/20        (2006.01)
H04B   7/04        (2017.01)
FI H01Q 3/24
H01Q 21/24
H01Q 21/20
H04B 7/04
請求項の数または発明の数 11
全頁数 16
出願番号 特願2015-028801 (P2015-028801)
出願日 平成27年2月17日(2015.2.17)
審査請求日 平成29年1月13日(2017.1.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】新井 麻希
【氏名】関 智弘
【氏名】篠原 真毅
個別代理人の代理人 【識別番号】110001634、【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
審査官 【審査官】佐藤 当秀
参考文献・文献 特表2008-521346(JP,A)
特開2014-039312(JP,A)
特開2004-312381(JP,A)
調査した分野 H01Q 3/24
H01Q 21/20
H01Q 21/24
H04B 7/02
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに異なる偏波方向成分の電磁波を送信するQ(Qは整数)個の送信アンテナを具備する送信アンテナアレーと、
互いに異なる偏波方向成分の電磁波を受信するP(Pは整数)個の受信アンテナを具備する受信アンテナアレーと、
受信機側無線信号処理部と、を備え、
前記送信アンテナアレーは、N(Nは整数且つN≦Q)種類の送信信号をN種類の異なる順序で前記送信アンテナを定められた時間に切り替えながら送信し、
前記受信アンテナアレーは、M(Mは整数且つM≦P)種類の異なる順序で前記受信アンテナを前記定められた時間に切り替えながら前記送信信号を受信し、
前記受信機側無線信号処理部は、前記受信アンテナアレーで前記M種類の異なる順序で前記受信アンテナを切り替えながら受信した信号のそれぞれにおいて、前記定められた時間よりも長い時間内に足し合わせることで、前記送信アンテナアレーでの偏波方向成分とその切り替え順序が前記受信アンテナアレーでの偏波方向成分とその切り替え順序に等しい前記送信信号のみを受信するアンテナ装置。
【請求項2】
前記送信アンテナアレーは、前記送信アンテナ又は前記送信アンテナの給電点が2π/Qの角度間隔で放射状に配置され、
前記受信アンテナアレーは、前記受信アンテナ又は前記受信アンテナの給電点が2π/Pの角度間隔で放射状に配置される請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記送信アンテナアレーは、前記送信アンテナ又は前記送信アンテナの給電点が角度2π/q(ただしqは1,…,Qまでの整数のいずれかである)の位置に配置され、
前記受信アンテナアレーは、前記受信アンテナ又は前記受信アンテナの給電点が角度2π/p(ただしpは1,…,Pまでの整数のいずれかである)の位置に配置される請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの切り替え順序を乱数により決定する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記送信アンテナアレーは、前記送信アンテナから基準となる偏波方向でトレーニング信号を送信し、
前記受信アンテナアレーは、前記受信アンテナ毎に前記トレーニング信号を受信し、
前記受信機側無線信号処理部は、前記受信アンテナ毎に受信した前記トレーニング信号のうち、最も受信強度が大きい偏波方向に対応するアンテナを、前記送信アンテナアレーの基準となる偏波方向成分を放射するアンテナと設定する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記送信アンテナアレーは、前記送信アンテナから基準の偏波方向でトレーニング信号を送信し、前記定められた時間後に再度前記トレーニング信号を送信し、
前記受信アンテナアレーは、前記受信アンテナで前記トレーニング信号を受信し、
前記受信機側無線信号処理部は、前記受信アンテナで一度目の前記トレーニング信号を受信した時刻と二度目の前記トレーニング信号を受信した時刻との差から前記切り替え時間を計算する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記受信機側無線信号処理部は、複数の前記受信アンテナの中から2個以上の前記受信アンテナを選択し、前記選択した前記受信アンテナの各々から取得した信号を加算及び減算することで和信号と差信号とを算出し、前記和信号と差信号とに基づいて前記受信アンテナの位置を測定する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記送信アンテナアレーは、所定のストリームを一定の偏波方向で送信し、
前記受信アンテナアレーは、前記所定のストリームの直接波と反射波とを同時に受信し、
前記反射波が持つ偏波方向成分とは異なる偏波方向成分の送信アンテナから前記所定のストリームとは異なるストリームを伝送する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの各アンテナから2種類の直交した偏波方向成分を同時に伝送する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの各アンテナにおいて、異なる指向性パターンにより同時に複数のストリームを伝送する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
互いに異なる偏波方向成分の電磁波を送信するQ(Qは整数)個の送信アンテナを具備する送信アンテナアレーと、互いに異なる偏波方向成分の電磁波を受信するP(Pは整数)個の受信アンテナを具備する受信アンテナアレーと、を用いて複数の電磁波を伝送する電磁波伝送方法であって、
N(Nは整数且つN≦Q)種類の送信信号をN種類の異なる順序で前記送信アンテナを定められた時間に切り替えながら送信するステップと、
M(Mは整数且つM≦P)種類の異なる順序で前記受信アンテナを前記定められた時間に切り替えながら前記送信信号を受信するステップと、
前記受信アンテナアレーで前記M種類の異なる順序で前記受信アンテナを切り替えながら受信した信号のそれぞれにおいて、前記定められた時間よりも長い時間内に足し合わせることで、前記送信アンテナアレーでの偏波方向成分とその切り替え順序が前記受信アンテナアレーでの偏波方向成分とその切り替え順序に等しい前記送信信号のみを受信するステップと、
を有する電磁波伝送方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及び電磁波伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速伝送を実現する技術として、非特許文献1には、MIMO伝送技術が開示されている。図10は、従来の高速伝送を実現する方法として用いられるMIMO伝送技術の例を示す図である。図10に示すように、送信アンテナアレー501は、複数のアンテナ500が配設されている。受信アンテナアレー502は、複数のアンテナ500が配設されている。また、送信アンテナアレー501に対して、送信機側無線信号処理部504が設けられ、受信アンテナアレー502に対して、受信機側無線信号処理部505が設けられる。このMIMO伝送技術によれば、送受信機側双方でチャネル情報に基づく瞬時重み付け処理を行うことにより、高速なMIMO伝送が可能となる。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】I.E.Telatar、「Capacity of Multi-antenna Gaussian Channels」、European Transactions on Telecommunications、vol.10、pp.585-595、1999.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、MIMO伝送技術を用いた従来の方法では、送受信機側双方でチャネル情報に基づく瞬時重み付け処理を行う場合、重み付け演算のためのチャネル情報をフィードバックする処理やチャネル情報を推定する処理が必要である。したがって、マルチストリーム伝送(多ストリーム伝送)を行うためにアンテナ数の増加させた場合、重み付け処理の演算量が増加することで、装置のサイズが増加するといった課題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、重み付け演算処理の演算量の増加を抑制し、マルチストリーム伝送を行うことができるアンテナ装置及び電磁波伝送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、Q(Qは整数)個の送信アンテナを具備する送信アンテナアレーと、P(Pは整数)個の受信アンテナを具備する受信アンテナアレーと、前記送信アンテナアレーは、N(Nは整数且つN≦Q)種類の送信信号をN種類の異なる順序で前記送信アンテナを定められた時間に切り替えながら送信し、前記受信アンテナアレーは、M種類(Mは整数且つM≦P)の順序で前記受信アンテナを前記定められた時間に切り替えながら前記送信信号を受信し、前記定められた時間よりも長い時間内に前記受信アンテナアレーで受信した前記送信信号を足し合わせる受信機側無線信号処理部と、を有するアンテナ装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記送信アンテナアレーは、前記送信アンテナ又は前記送信アンテナの給電点が2π/Qの角度間隔で放射状に配置され、前記受信アンテナアレーは、前記受信アンテナ又は前記受信アンテナの給電点が2π/Pの角度間隔で放射状に配置される。
【0008】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記送信アンテナアレーは、前記送信アンテナ又は前記送信アンテナの給電点が角度2π/q(ただしqは1,…,Qまでの整数のいずれかである)の位置に配置され、前記受信アンテナアレーは、前記受信アンテナ又は前記受信アンテナの給電点が角度2π/p(ただしpは1,…,Pまでの整数のいずれかである)の位置に配置される。
【0009】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの切り替え順序を乱数により決定する。
【0010】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記送信アンテナアレーは、前記送信アンテナから基準となる偏波方向でトレーニング信号を送信し、前記受信アンテナアレーは、前記受信アンテナ毎に前記トレーニング信号を受信し、前記受信機側無線信号処理部は、前記受信アンテナ毎に受信した前記トレーニング信号のうち、最も受信強度が大きい偏波方向に対応するアンテナを、前記送信アンテナアレーの基準となる偏波方向成分を放射するアンテナと設定する。
【0011】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記送信アンテナアレーは、前記送信アンテナから基準の偏波方向でトレーニング信号を送信し、前記定められた時間後に再度前記トレーニング信号を送信し、前記受信アンテナアレーは、前記受信アンテナで前記トレーニング信号を受信し、前記受信機側無線信号処理部は、前記受信アンテナで一度目の前記トレーニングを受信した時刻と二度目の前記トレーニング信号を受信した時刻との差から前記切り替え時間を計算する。
【0012】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記受信機側無線信号処理部は、複数の前記受信アンテナの中から2個以上の前記受信アンテナを選択し、前記選択した前記受信アンテナの各々から取得した信号を加算及び減算することで和信号と差信号とを算出し、前記和信号と差信号とに基づいて前記受信アンテナの位置を測定する。
【0013】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記送信アンテナアレーは、所定のストリームを一定の偏波方向で送信し、前記受信アンテナアレーは、前記所定のストリームの直接波と反射波とを同時に受信し、前記反射波が持つ偏波方向成分とは異なる偏波方向成分の送信アンテナから前記所定のストリームとは異なるストリームを伝送する。
【0014】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの各アンテナから2種類の直交した偏波方向成分を同時に伝送する。
【0015】
また、本発明の一態様は、上述のアンテナ装置であって、前記送信アンテナ及び前記受信アンテナの各アンテナにおいて、異なる指向性パターンにより同時に複数のストリームを伝送する。
【0016】
また、本発明の一態様は、Q(Qは整数)個の送信アンテナを具備する送信アンテナアレーと、P(Pは整数)個の受信アンテナを具備する受信アンテナアレーと、を用いて複数の電磁波を伝送する電磁波伝送方法であって、N(Nは整数且つN≦Q)種類の送信信号をN種類の異なる順序で前記送信アンテナを定められた時間に切り替えながら送信するステップと、M種類(Mは整数且つM≦P)の順序で前記受信アンテナを前記定められた時間に切り替えながら前記送信信号を受信するステップと、前記定められた時間よりも長い時間内に前記受信アンテナアレーで受信した前記送信信号を足し合わせるステップと、を有する電磁波伝送方法である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、重み付け演算処理の増加を抑制し、マルチストリーム伝送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態におけるアンテナ装置10の基本構成の一例を示す図である。
【図2】第1の実施形態における送信アンテナアレー1の構成例を示す図である。
【図3】第1の実施形態におけるアンテナ装置10の電磁波の伝送方法について説明する図である。
【図4】第1の実施形態におけるアンテナ装置10の送信信号の数(ストリーム数)Nに対する通信路容量を示す図である。
【図5】第1の実施形態における送信信号の数Nが3である場合の例を示す図である。
【図6】第2の実施形態におけるアンテナ装置10Aの基本構成を模式的に示す図である。
【図7】第2の実施形態におけるアンテナ装置10Aのトレーニング機能について説明する図である。
【図8】第2の実施形態における単位アンテナ11及び単位アンテナ21が1つの単位アンテナから2種類の直交した偏波成分を同時に放射する構成を示す図である。
【図9】第2の実施形態における1つの単位アンテナから異なる指向性パターンで同時に複数のストリームを伝送する構成を示す図である。
【図10】従来の高速伝送を実現する方法として用いられるMIMO伝送技術の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るアンテナ装置を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態におけるアンテナ装置10の基本構成を模式的に示す図である。

【0020】
図1に示すアンテナ装置10は、無線通信システム用のアンテナ装置であり、送信アンテナアレー1、受信アンテナアレー2、送信機側無線信号処理部4、受信機側無線信号処理部5を備える。本実施形態では、送信機側無線信号処理部4および受信機側無線信号処理部5が実施する信号処理の概念には、アナログ信号処理のほか、デジタル信号処理も含まれる。したがって、送信機側無線信号処理部4及び受信機側無線信号処理部5は、その信号処理の形態に応じて、アナログ信号処理部と表現することもできるし、デジタル信号処理部と表現することもできる。

【0021】
送信アンテナアレー1は、複数の偏波方向成分の電磁波を放射且つ受信可能な送信機である。送信アンテナアレー1は、Q(Qは正の整数)個の単位アンテナ11-1,11-2,…11-Qを備える。単位アンテナ11-1,11-2,…11-Qは、複数の偏波方向成分の電磁波を送信する送信アンテナである。
受信アンテナアレー2は、複数の偏波方向成分の電磁波を放射且つ受信可能な受信機である。受信アンテナアレー2は、P(Pは正の整数)個の単位アンテナ21-1,21-2,…21-Pを備える。単位アンテナ21-1,21-2,…21-Pは、複数の偏波方向成分の電磁波を受信する受信アンテナである。

【0022】
以下では、適宜、送信アンテナアレー1が備える「単位アンテナ11-1,11-2,…11-Q」を、それぞれ、「単位アンテナ11」と称し、受信アンテナアレー2が備える「単位アンテナ21-1,21-2,…21-P」を、それぞれ、「単位アンテナ21」と称す。なお、単位アンテナ11と単位アンテナ21とは、同様の構成を有するアンテナであってもよい。

【0023】
図1において、送信アンテナアレー1と受信アンテナアレー2は、所定の距離を隔てて相互に対向するように配置されている。具体的には、送信アンテナアレー1の単位アンテナ11と受信アンテナアレー2の単位アンテナ21とが互いに対向するように配置されている。ただし、送信アンテナアレー1の単位アンテナの数(Q)と受信アンテナアレー2の単位アンテナの数(P)は、必ずしも一致している必要はない。

【0024】
送信アンテナアレー1を構成する単位アンテナ11の種類は、特に限定されないが、以下ではその一例について記載する。なお、受信アンテナアレー2は、送信アンテナアレー1と同様の構成を有するため、説明を省略する。
図2は、本実施形態における送信アンテナアレー1の構成例を示す図である。図2(a)は、本実施形態における送信アンテナアレー1の単位アンテナ11が線状アンテナである場合を示す図である。図2(a)に示すように、送信アンテナアレー1の第1の構成例として、送信アンテナアレー1は、複数の線状アンテナが放射状に配置される。図2(b)は、本実施形態における送信アンテナアレー1の単位アンテナ11がホーンアンテナである場合を示す図である。図2(b)に示すように、送信アンテナアレー1の第2の構成例として、送信アンテナアレー1は、複数のホーンアンテナが放射状に配置される。図2(c)は、本実施形態における送信アンテナアレー1の単位アンテナ11が円形平面アンテナである場合を示す図である。図2(c)に示すように、送信アンテナアレー1の第3の構成例として、送信アンテナアレー1は、複数の円形平面アンテナの給電点が放射状に配置されている。

【0025】
各単位アンテナ11及び各単位アンテナ21の間隔は、それぞれ等間隔でもよいし、不等間隔でもよい。各単位アンテナ11の間隔が等間隔である場合には、単位アンテナ11の各々を2π/Qの角度間隔で放射状に配置される。各単位アンテナ21の間隔が等間隔である場合には、単位アンテナ21の各々を2π/Pの角度間隔で放射状に配置される。なお、送信アンテナアレー1は、単位アンテナ11(送信アンテナ)を角度間隔2π/Qで放射状に配置せずに、送信アンテナの給電点を2π/Qの角度間隔で配置するようにしてもよい。受信アンテナアレー2は、単位アンテナ21(受信アンテナ)を角度間隔2π/Pで放射状に配置せずに、受信アンテナの給電点を2π/Pの角度間隔で配置するようにしてもよい。なお、放射状に配置されているとは、例えば、送信アンテナアレー1又は受信アンテナアレー2の中心位置を中心に単位アンテナ11又は単位アンテナ21が放射状に配置されていることをいう。

【0026】
一方、各単位アンテナ11の間隔が不等間隔である場合には、単位アンテナ11の各々は、角度2π/qの位置に配置される。ここで、qは1,…,Qまでの整数のいずれかである。各単位アンテナ21の間隔が不等間隔である場合には、単位アンテナ21の各々は、角度2π/pの位置に配置される。ここで、pは1,…,Pまでの整数のいずれかである。なお、送信アンテナアレー1は、単位アンテナ11(送信アンテナ)を角度間隔2π/qで放射状に配置せずに、送信アンテナの給電点を2π/qの角度で配置するようにしてもよい。受信アンテナアレー2は、単位アンテナ21(受信アンテナ)を角度2π/pで放射状に配置せずに、受信アンテナの給電点を2π/pの角度で配置するようにしてもよい。

【0027】
図3は、本実施形態におけるアンテナ装置10の電磁波の伝送方法について説明する図である。送信機側無線信号処理部4は、送信アンテナアレー1からストリーム毎に異なる順序で偏波方向成分の切り替えを行う。例えば、送信機側無線信号処理部4は、N種類(Nは整数且つN≦Q)の送信信号をN種類の異なる順序でアンテナを切り替えながら送信する。図3(a)に示す例では、N=M=3の場合のアンテナの1種類目の切り換え順序を示す図である。図3(b)に示す例では、N=M=3の場合のアンテナの2種類目の切り換え順序を示す図である。図3(c)に示す例では、N=M=3の場合のアンテナの3種類目の切り換え順序を示す図である。

【0028】
受信機側無線信号処理部5は、M種類(Mは整数且つM≦P)の順序で単位アンテナ21を切り替えながら単位アンテナ11から送信された送信信号(送信信号に対応する無線信号)を受信する。受信機側無線信号処理部5は、偏波方向成分の切り替え時間(例えば、単位アンテナの切り替え時間)Tswitchよりも長い時間内に受信した送信信号を足し合わせる。すなわち、受信機側無線信号処理部5は、偏波方向成分の切り替え時間Tswitch対応した周期(例えばNTswitch)で受信信号を足し合わせる。なお、アンテナの切り替え順序に関しては、例えば、アンテナ装置10は、単位アンテナ11又は単位アンテナ21の切り替え順序を乱数により決定してもよい。また、足し合わせるとは、加算(積分も含む)でもよいし、合成でもよい。

【0029】
以下に、本実施形態におけるアンテナ装置10の電磁波の伝送方法について具体的に説明する。まず、各単位アンテナ11の間隔が等間隔(2π/Q)であり、偏波方向の切り替え時間をTswitchである場合を説明する。
第n番目の送信信号に対して、時刻tにおいて選択される単位アンテナ11の偏波方向を表す角度φ(q,t)は、以下の式(1)で表される。

【0030】
【数1】
JP0006327567B2_000002t.gif

【0031】
なお、kは、偏波方向の切り換え時間における時刻tの割り合いを示し、以下の式(2)で表されるt/Tswitch以下の最大の整数である。

【0032】
【数2】
JP0006327567B2_000003t.gif

【0033】
このとき係数qは、偏波方向成分の切り替え順序に相当する係数である。単位アンテナ21は、単位アンテナ11で放射される無線信号を受信し、受信機側無線信号処理部5に受信信号を送出する。受信機側無線信号処理部5にて受信される受信信号y(k)は、以下の式(3)で表される。

【0034】
【数3】
JP0006327567B2_000004t.gif

【0035】
受信機側無線信号処理部5は、単位アンテナ21から供給された受信信号受信信号y(k)を周期NTswitchで足し合わせる。足し合わせた受信信号は、以下の式(4)で表される。

【0036】
【数4】
JP0006327567B2_000005t.gif

【0037】
なお、係数pは、受信側の偏波方向成分の切り替え順序に相当する係数である。
上記式(4)に示すように、受信側の偏波方向成分の切り替え順序に相当する係数pと送信側の偏波方向成分の切り替え順序に相当する係数qとが等しい場合に、第m番目の受信信号として第n番目の信号s(t)のみを受信するとともに、干渉となるn番目以外の信号成分を打ち消すことができる。したがって、アンテナ装置10は、独立に複数のストリームを伝送することができる。

【0038】
次に、各単位アンテナ11の間隔が不等間隔であり、偏波方向の切り替え時間をTswitchである場合を説明する。上述したように、各単位アンテナ11は、角度2π/qの位置に配置される。
第n番目の送信信号に対して、時刻tにおいて選択される単位アンテナ11の偏波方向を表す角度φ(q,t)は、以下の式(5)で表される。

【0039】
【数5】
JP0006327567B2_000006t.gif

【0040】
なお、kは、偏波方向の切り換え時間における時刻tの割り合いを示し、以下の式(6)で表される。

【0041】
【数6】
JP0006327567B2_000007t.gif

【0042】
単位アンテナ21は、単位アンテナ11で放射される無線信号を受信し、受信機側無線信号処理部5に受信信号を送出する。受信機側無線信号処理部5にて受信される受信信号y(k)は、上記式(3)で表される。
受信機側無線信号処理部5は、単位アンテナ21から供給された受信信号受信信号y(k)を周期NTswitchで足し合わせる。足し合わせた受信信号は、上記式(4)で表される。

【0043】
このように、受信側の偏波方向成分の切り替え順序に相当する係数pと送信側の偏波方向成分の切り替え順序に相当する係数qとが等しい場合に、第m番目の受信信号として第n番目の信号s(t)のみを受信するとともに、干渉となるn番目以外の信号成分を打ち消すことができる。したがって、アンテナ装置10は、独立に複数のストリームを伝送することができる。

【0044】
上述したように、各単位アンテナ11の間隔が等間隔又は不等間隔であっても、アンテナ装置10は、送受信側で切り替え順序が異なる場合の信号成分は打ち消され、切り替え順序が同一の場合の信号のみを取り出すことができる。なお、第n番目の送信信号に対して時刻tにおいて選択されるアンテナ(単位アンテナ11又は単位アンテナ21)の偏波方向は一様分布や正規分布などに従う乱数により決定される場合においても、送受信側で切り替え順序が異なる場合の信号成分は打ち消され、切り替え順序が同一の場合の信号のみを取り出すことができる。

【0045】
図4は、本実施形態におけるアンテナ装置10の送信信号の数(ストリーム数)Nに対する通信路容量を示す図である。実線は、単位アンテナ11又は単位アンテナ21が等間隔である場合(パターン1)、点線が単位アンテナ11又は単位アンテナ21が不等間隔である場合(パターン2)、点線2が単位アンテナ11又は単位アンテナ21の切り替え順序を乱数により決定した場合(パターン3)のストリーム数に対する通信路容量を示す。図4に示すように、パターン1~パターン3において、本実施形態のアンテナ装置10は、ストリーム数に比例して通信路容量が増加しており,マルチストリーム伝送が実現できていることがわかる。

【0046】
参考までに本実施形態におけるアンテナ装置10の相関係数に対する通信路容量を図5に示す。なお、図5は、送信信号の数Nが3である場合の例を示す図である。図5に示すように、本実施形態のアンテナ装置10は、偏波方向成分を含む伝搬路行列より計算した相関行列の非対角成分である相関係数が0.1以内のとき通信路容量の劣化が20%以内であり、相関係数が0.25以内のとき通信路容量の劣化が50%以内となる。

【0047】
上述したように、本実施形態のアンテナ装置10は、Q(Qは整数)個の送信アンテナ(単位アンテナ11)を具備する送信アンテナアレー1と、P(Pは整数)個の受信アンテナ(単位アンテナ21)を具備する受信アンテナアレー2を有する。送信アンテナアレー1は、N(Nは整数且つN≦Q)種類の送信信号をN種類の異なる順序で送信アンテナを定められた時間に切り替えながら送信する。受信アンテナアレー2は、M種類(Mは整数且つM≦P)の順序で受信アンテナを定められた時間に切り替えながら送信信号を受信する。受信機側無線信号処理部5は、定められた時間よりも長い時間内に受信アンテナアレー3で受信した送信信号を足し合わせる。これにより、偏波方向の切り替え順序が異なる場合において、偏波方向の角度差の対称性により複数の偏波方向成分が打ち消し合う。そのため、偏波方向の切り替え順序が同一の場合の信号のみが残り、アンテナ装置10は、重み付け演算処理なしで簡易にマルチストリーム伝送が可能となる。なお、定められた時間として、一定時間毎にアンテナを切り替えてもよい。

【0048】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態のアンテナ装置10Aの基本構成を模式的に示す図である。

【0049】
図6に示すアンテナ装置10Aは、無線通信システム用のアンテナ装置であり、送信アンテナアレー1、受信アンテナアレー2、送信機側無線信号処理部4A、受信機側無線信号処理部5Aを備える。本実施形態では、送信機側無線信号処理部4Aおよび受信機側無線信号処理部5Aが実施する信号処理の概念には、アナログ信号処理のほか、デジタル信号処理も含まれる。したがって、送信機側無線信号処理部4A及び受信機側無線信号処理部5Aは、その信号処理の形態に応じて、アナログ信号処理部と表現することもできるし、デジタル信号処理部と表現することもできる。なお、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付することにより詳細な説明を省略する。

【0050】
送信機側無線信号処理部4A及び受信機側無線信号処理部5Aは、第1の実施形態の送信機側無線信号処理部4、受信機側無線信号処理部5にトレーニング機能を追加した構成である。以下に、トレーニング機能について説明する。

【0051】
本実施形態におけるトレーニング機能は、送受信間で基準となる偏波方向と切り替え時間が未知の場合や基準となる偏波方向や切り替え時間がずれてしまった場合に、基準となる偏波方向や切り換え時間を同期する機能である。基準となる偏波方向を同期するとは、例えば送信アンテナから送信する電磁波と受信アンテナで受信する電磁波の偏波方向を合わせることである。
まず、本実施形態のトレーニング機能における基準となる偏波方向を同期する方法について説明する。基準となる偏波方向を同期するトレーニング機能は、既知の信号(以下、「トレーニング信号」という。)を使って受信側で偏波方向を合わせる方法である。図7は、本実施形態におけるアンテナ装置10Aのトレーニング機能について説明する図である。図7(a)は、本実施形態における基準となる偏波方向を同期する方法を説明する図である。

【0052】
送信機側無線信号処理部4Aは、所定の偏波方向でトレーニング信号を出力する。例えば、送信機側無線信号処理部4Aは、所定の単位アンテナ(11-1から11-Qの中から1つのアンテナ)から偏波方向でトレーニング信号を送信する。
受信側では、すべての単位アンテナ21(21-1から21-P)でトレーニング信号を受信する。受信機側無線信号処理部5Aは、単位アンテナ21毎にトレーニング信号に対応する受信信号を取得する。受信機側無線信号処理部5Aは、最も受信信号の強度が大きい偏波方向成分を受信アンテナで受信する基準となる偏波方向φに設定する。すなわち、受信機側無線信号処理部5Aは、最も受信電力が大きい単位アンテナ21を初期に受信する単位アンテナに設定する。なお、送信側と受信側を入れ替えた場合も同様である。これにより、送受信間で基準となる偏波方向が未知の場合や基準となる偏波方向がずれてしまった場合に、基準となる偏波方向を設定することができる。

【0053】
次に、本実施形態のトレーニング機能における切り換え時間を同期する方法について説明する。切り換え時間を同期するトレーニング機能は、トレーニング信号を使って受信側で切り換え時間を合わせる方法である。図7(b)は、本実施形態における切り替え時間を同期する方法を説明する図である。
送信機側無線信号処理部4Aは、所定の方向の偏波方向でトレーニング信号を出力する。例えば、送信機側無線信号処理部4Aは、所定の単位アンテナ(11-1から11-Qの中から1つのアンテナ)から偏波方向でトレーニング信号を送信する。送信機側無線信号処理部4Aは、トレーニング信号を送信してから切り替え時間Tswitch経過後、再度トレーニング信号を送信する。
受信機側無線信号処理部5Aは、一度目のトレーニング信号に対応する受信信号の受信信時刻Tと二度目のトレーニング信号に対応する受信信号の受信時刻Tとの差から切り替え時間Tswitch(=T-T)を計算する。なお、送信側と受信側を入れ替えた場合も同様である。これにより、送受信間で切り替え時間が未知の場合や切り替え時間がずれてしまった場合に、切り替え時間を調整することができる。

【0054】
なお、このトレーニング信号を用いることで、3次元的に送信機(単位アンテナ11)又は受信機(単位アンテナ21)の位置を把握することができる。
例えば、送信機側無線信号処理部4Aは、所定の方向の偏波方向でトレーニング信号を出力する。
受信機側無線信号処理部5Aは、複数の単位アンテナ21の中から偏波方向が異なる2つの単位アンテナ21を選択して受信する。受信機側無線信号処理部5Aは、選択した単位アンテナから取得した受信信号yと受信信号yとから和信号(y=y+y)と差信号(y=y-y)を計算する。和信号は、受信信号yと受信信号yとを加算して算出される。差信号は、受信信号yから受信信号yを減算することで算出される。

【0055】
受信機側無線信号処理部5Aは、モノパルスレーダのモノパルス測角と同様の原理を用いて、和信号と差信号とから単位アンテナ11の位置する仰角または方位角θをθ=α(y/y+)と計算することができる。この測定に加え、さらに偏波方向が異なる2個の単位アンテナ21を選択して受信し、上記と同様の手順を行うことで3次元的にトレーニング信号を送信した単位アンテナ11の位置を把握することができる。なお、送信側と受信側を入れ替えた場合も同様である。このように、送受信アンテナの中から2個以上のアンテナを選択し、2種類の偏波方向成分の組み合わせを用いて、モノパルスレーダの原理より単位アンテナ11又は単位アンテナ21の位置推定を3次元的に行うことができる。これにより、アンテナ装置10Aは、送受信器機の位置する仰角または方位角や送受信機間距離から基準となる偏波方向と切り替え時間を決定することができる。

【0056】
上述したように、本実施形態のアンテナ装置10Aは、Q(Qは整数)個の送信アンテナ(単位アンテナ11)を具備する送信アンテナアレー1と、P(Pは整数)個の受信アンテナ(単位アンテナ21)を具備する受信アンテナアレー2を有する。送信アンテナアレー1は、N(Nは整数且つN≦Q)種類の送信信号をN種類の異なる順序で送信アンテナを定められた時間に切り替えながら送信する。受信アンテナアレー2は、M種類(Mは整数且つM≦P)の順序で受信アンテナを定められた時間に切り替えながら送信信号を受信する。受信機側無線信号処理部5Aは、定められた時間よりも長い時間内に受信アンテナアレー3で受信した送信信号を足し合わせる。これにより、偏波方向の切り替え順序が異なる場合において、偏波方向の角度差の対称性により複数の偏波方向成分が打ち消し合う。そのため、偏波方向の切り替え順序が同一の場合の信号のみが残り、アンテナ装置10Aは、重み付け演算処理なしで簡易にマルチストリーム伝送が可能となる。なお、定められた時間として、一定時間毎にアンテナを切り替えてもよい。

【0057】
また、本実施形態のアンテナ装置10Aは、送信アンテナアレー1は、送信アンテナから所定の偏波方向を有するトレーニング信号を送信し、受信アンテナアレー2は、受信アンテナ毎にトレーニング信号を受信し、受信機側無線信号処理部5Aは、受信アンテナ毎に受信したトレーニング信号のうち、最も受信強度が大きい偏波方向に対応するアンテナを、前記アンテナアレー(例えば、送信アンテナアレー1)の基準となる偏波方向成分を放射するアンテナと設定する。また、送信アンテナアレー1は、送信アンテナから所定の偏波方向を有するトレーニング信号を送信し、所定の時間後に再度トレーニング信号を送信し、受信アンテナアレー2は、受信アンテナでトレーニング信号を受信し、受信機側無線信号処理部5Aは、受信アンテナで一度目の前記トレーニングを受信した時刻と二度目の前記トレーニング信号を受信した時刻との差から切り替え時間を計算する。これにより、送受信間で基準となる偏波方向と切り替え時間が未知の場合や基準となる偏波方向や切り替え時間がずれた場合にも、基準となる偏波方向や偏波方向切り替え時間を同期することができる。

【0058】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。

【0059】
上述の実施形態において、アンテナ装置10又はアンテナ装置10A(以下、単にアンテナ装置と称する)は、各ストリームの送信電力の大きさにばらつきがある場合、特に大きな送信電力を持つストリームをある一定の偏波方向で送信し、又はある切り替え順序で送信することで、受信側で偏波の到来角度方向の分布、時間領域での変化を学習してもよい。なお、アンテナ装置は、2つ目のストリーム以降は、学習された偏波方向をもとに1つ目のストリームと異なる偏波方向成分を持たせて伝送する。すなわち、アンテナ装置は、送信アンテナアレー1で所定のストリームにおいて一定の偏波で送信し、受信アンテナアレー2で送信アンテナアレー1からの所定のストリームの直接波と外部環境から反射された所定のストリームの反射波とを同時に受信する。例えば、外部環境とは、電磁波を反射する物体であり、例えば看板や壁である。
また、アンテナ装置は、反射波が持つ偏波方向成分とは異なる偏波方向成分のアンテナを用いて、他のストリームを伝送する。これにより、アンテナ装置は、大電力で伝送されるストリームの到来環境を学習し、異なる偏波方向を用いてその他のストリームを伝送することで、大電力で伝送されるストリームの反射波による干渉の影響を低減することができる。

【0060】
また、上述の実施形態において、アンテナ装置の単位アンテナ11及び単位アンテナ21は、図8に示すように、1つの単位アンテナから2種類の直交した偏波成分を同時に放射する構成を有してもよい。これにより、アンテナ装置は、選択された単位アンテナ11及び単位アンテナ21から電磁波を放射する際、2種類の直交した偏波成分を同時に放射する。したがって、アンテナ装置は、伝送可能ストリーム数を2倍にすることができる。

【0061】
また、上述の実施形態において、アンテナ装置は、単位アンテナ11及び単位アンテナ21は、図9に示すように、1つの単位アンテナから異なる指向性パターンで同時に複数のストリームを伝送する構成を有してもよい。図9(a)は、異なる指向性パターンで同時に複数のストリームを伝送する構成を有する単位アンテナの概略図である。図9(b)は、単位アンテナにおける異なる指向性パターンで同時に複数のストリームを伝送する構成を説明する図である。なお、図9に示すように、単位アンテナ11及び単位アンテナ21が方形のアンテナである場合を説明するが、円形のアンテナであっても同様の構成が可能である。

【0062】
図9(b)において、方形のサブアンテナアレー素子1003,1005,1007が、誘電体1001を介して方形のグランド板1002,1004,1006と交互に積層するように配置されている。サブアンテナアレー素子1003とグランド板1002は、前述の図1に示す単位アンテナ11-1又は単位アンテナ21-1に相当するマイクロストリップアンテナとして機能する。また、サブアンテナアレー素子1005とグランド板1004は、前述の図1に示す単位アンテナ11-2または単位アンテナ21-2に相当するマイクロストリップアンテナとして機能する。また、サブアンテナアレー素子1007とグランド板1006は、前述の図1に示す単位アンテナ11-3または単位アンテナ21-3に相当するマイクロストリップアンテナとして機能する。

【0063】
図9(b)の例では、最上層のサブアンテナアレー素子1007の長さLと幅Wは、中間層のサブアンテナアレー素子1005の長さLと幅Wよりも小さく、中間層のサブアンテナアレー素子1005の長さLと幅Wは、最下層のサブアンテナアレー素子1003の長さLと幅Wよりも小さい。
なお、図9(b)の例では、3個のサブアンテナアレー素子を備える場合を示し、単位アンテナの個数Xが3である場合を示しているが、この例に限定されず、サブアンテナアレー素子およびグランド板の個数は単位アンテナの数に応じて任意である。

【0064】
ここで、前述の図1に示す送信アンテナ401の単位アンテナ11-1,11-2,11-3,…,11-Qのうち、第q番目の単位アンテナ11-qのサブアンテナアレー素子は、一辺(W~W,L~L)の長さがq×λg/2の方形のマイクロストリップアンテナにより構成される。同様に、受信アンテナの単位アンテナ21-1,21-2,21-3,…,21-Pのうち、第r番目の単位アンテナ21-rのアブアンテナアレー素子は、一辺の長さがr×λg/2の方形のマイクロストリップアンテナにより構成される。ここでλgは実効波長を表す。

【0065】
上述のように各単位アンテナのサイズを異ならせて設定することにより、図9(b)に示すように、次数n(nは自然数)に応じた電界分布を有する異なる指向性パターンが得られ、これにより、指向性パターンに直交性を持たせている。
このように、アンテナ装置は、選択された送信アンテナ(単位アンテナ11)および受信アンテナ(単位アンテナ21)から電磁波を放射する際、図9に示すような複数の直交指向性を有するアンテナを用いることで、X種類の直交した異なる指向性パターンで同時に電磁波を放射することができる。したがって、アンテナ装置は、伝送可能ストリーム数をX倍にすることができる。

【0066】
また、上述の実施形態において、アンテナ装置は、例えば、第q番目の送信アンテナから第p番目の受信アンテナまでの受信信号(ただしp≠q)の相関係数が0.25以下である。

【0067】
また、上述の実施形態において、アンテナ装置は、例えば、第q番目の送信アンテナと第p番目の受信アンテナ間の伝搬路応答の振幅利得|hpq|(ただしp≠q、ω≠ω)と第p番目の送信アンテナと第p番目の受信アンテナ間伝搬路の振幅利得|hpp|との比率が1/5以下、つまり|hpq|/|hpp|≦1/5である。
また、上述の実施形態において、電磁波に、光が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 送信アンテナアレー
2 受信アンテナアレー
4、4A 送信機側無線信号処理部
5、5A 受信機側無線信号処理部
11、21 単位アンテナ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9