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明細書 :通信制御方法、通信システム及び通信装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6265501号 (P6265501)
公開番号 特開2016-134650 (P2016-134650A)
登録日 平成30年1月5日(2018.1.5)
発行日 平成30年1月24日(2018.1.24)
公開日 平成28年7月25日(2016.7.25)
発明の名称または考案の名称 通信制御方法、通信システム及び通信装置
国際特許分類 H04W  74/02        (2009.01)
H04W  74/08        (2009.01)
H04L  29/08        (2006.01)
FI H04W 74/02
H04W 74/08
H04L 13/00 307A
請求項の数または発明の数 7
全頁数 17
出願番号 特願2015-006018 (P2015-006018)
出願日 平成27年1月15日(2015.1.15)
審査請求日 平成29年1月13日(2017.1.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】村山 大輔
【氏名】布 房夫
【氏名】杉山 隆利
【氏名】守倉 正博
個別代理人の代理人 【識別番号】110001634、【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
審査官 【審査官】石田 紀之
参考文献・文献 特開2006-041627(JP,A)
特開2012-85011(JP,A)
特開2014-082550(JP,A)
特開2014-068148(JP,A)
特開2004-104568(JP,A)
藤井 陽平 他,WLANとWSN共存時の双方向VoIP伝送特性,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.111 No.295,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年11月10日,第111巻
調査した分野 H04L 29/08
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
特許請求の範囲 【請求項1】
1つの通信装置から他の通信装置にデータ送信の許可を通知するために送信された送信許可応答が示す前記1つの通信装置と前記他の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する推定ステップと、
前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで、データ送信の許可を要求する送信許可要求を送信する送信ステップと
を有し、
前記送信ステップにおいて、前記終了時刻に至るごとに送信許可要求を送信すべきか否かを、所定の数値範囲において発生させた乱数と所定値との比較に基づいて決定する、
通信制御方法。
【請求項2】
1つの通信装置から他の通信装置にデータ送信の許可を通知するために送信された送信許可応答が示す前記1つの通信装置と前記他の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する推定ステップと、
前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで、データ送信の許可を要求する送信許可要求を送信する送信ステップと
を有し、
前記送信ステップにおいて、前記終了時刻に至るごとに送信許可要求を送信すべきか否かを、前記データ送受信シーケンスの終了時刻に至った回数がデータ送信すべき回数に該当するか否かに基づいて決定する、
通信制御方法。
【請求項3】
前記送信ステップにおいて、前記終了時刻に至ったタイミングで前記送信許可要求を送信する
請求項1又は2に記載の通信制御方法。
【請求項4】
第1通信装置及び第2通信装置を含む複数の通信装置を備える通信システムであって、
前記第1通信装置は、
データ送信の許可を要求する送信許可要求の送信元の通信装置に対して、前記送信許可要求の送信元の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間を含む送信許可応答を送信する送信許可応答送信部を備え、
前記第2通信装置は、
通信システムにおけるいずれかの通信装置が送信した送信許可応答が示す通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する終了時刻推定部と、
前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで送信許可要求を送信する送信許可要求送信制御部とを備え
前記送信許可要求送信制御部は、前記終了時刻に至るごとに送信許可要求を送信すべきか否かを、所定の数値範囲において発生させた乱数と所定値との比較に基づいて決定する、
通信システム。
【請求項5】
第1通信装置及び第2通信装置を含む複数の通信装置を備える通信システムであって、
前記第1通信装置は、
データ送信の許可を要求する送信許可要求の送信元の通信装置に対して、前記送信許可要求の送信元の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間を含む送信許可応答を送信する送信許可応答送信部を備え、
前記第2通信装置は、
通信システムにおけるいずれかの通信装置が送信した送信許可応答が示す通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する終了時刻推定部と、
前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで送信許可要求を送信する送信許可要求送信制御部とを備え、
前記送信許可要求送信制御部は、前記終了時刻に至るごとに送信許可要求を送信すべきか否かを、前記データ送受信シーケンスの終了時刻に至った回数がデータ送信すべき回数に該当するか否かに基づいて決定する、
通信システム。
【請求項6】
1つの通信装置が他の通信装置にデータ送信の許可を通知するために送信した送信許可応答が示す前記1つの通信装置と他の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する終了時刻推定部と、
前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで、データ送信の許可を要求する送信許可要求を送信する送信許可要求送信制御部と
を備え
前記送信許可要求送信制御部は、前記終了時刻に至るごとに送信許可要求を送信すべきか否かを、所定の数値範囲において発生させた乱数と所定値との比較に基づいて決定する、
通信装置。
【請求項7】
1つの通信装置が他の通信装置にデータ送信の許可を通知するために送信した送信許可応答が示す前記1つの通信装置と他の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する終了時刻推定部と、
前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで、データ送信の許可を要求する送信許可要求を送信する送信許可要求送信制御部と
を備え、
前記送信許可要求送信制御部は、前記終了時刻に至るごとに送信許可要求を送信すべきか否かを、前記データ送受信シーケンスの終了時刻に至った回数がデータ送信すべき回数に該当するか否かに基づいて決定する、
通信装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御方法、通信システム及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)に関連する無線通信規格であるIEEE802.11が広く普及している。IEEE802.11では、アクセス制御としてCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)が採用される(例えば、非特許文献1参照)。
CSMA/CAに対応する通信装置は、データの送信を行うにあたり、通信に使用したい対象のチャネルの帯域についてキャリアセンスを行う。
具体的に、通信装置は、対象のチャネルにおける電波強度を測定する。通信装置は、測定された電波強度が予め定められた閾値以上であれば他の通信装置によって対象のチャネルが占有されており、使用できないと判定する。一方、測定された電波強度が閾値未満であれば、通信装置は、他の通信装置によって対象のチャネルが使用されておらず、使用可能であると判定する。
通信装置は、対象のチャネルが使用可能であると判定した場合は、ランダムに決定したバックオフ時間を待機した後にデータを送信する。
このように、CSMA/CAのもとでは、通信装置は、キャリアセンスとランダムなバックオフ時間による待機後にデータの送信を行うことで、他の通信装置から送信されるデータとの衝突を回避し、複数の端末による同一チャネルの利用を可能としている。
【0003】
また、CSMA/CAのもとではRTS/CTS(Request to Send/Clear to Send)方式が知られている。RTSはデータ送信の許可を要求するパケットであり、CTSはRTSに応答してデータ送信の許可を通知するパケットである。
データを送信しようとする通信装置は、キャリアセンスの実行とランダムなバックオフ時間による待機の後、データ送信先の通信装置にRTSを送信する。データ送信先の通信装置は、RTSの受信に応答して、CTSを返送する。
RTSとCTSには、データ送受信シーケンスが完了するまでの時間を示す情報が格納されている。そのうえで、CTSは、RTSの送信元の通信装置以外の通信装置も受信できる。即ち、CTSの送信により、通信相手以外の他の通信装置に対して、データ送受信シーケンスに要する時間を通知することができる。他の通信装置は、CTSの受信に応じて、データ送信を待機する。そして、RTSとCTSを送受信した通信装置は、上記のように他の通信装置がデータ送信を待機している状態のもとで、データの送受信と、データ送受信に応じたACKの送受信とを含むデータ送受信シーケンスを実行する。このようにして、RTS/CTS方式では、RTS、CTSの送受信により他の通信装置のデータ送信を抑制し、衝突回避を図るようにされている。
一般的にRTS、CTSは、データパケットより短く、仮に衝突が起きた場合でも衝突における無線リソースの消費を可能な限り低減することができる。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】IEEE Standard for Information technology-Telecommunications and information exchange between systems-Local and metropolitan area networks-Specific requirements: Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC)and Physical Layer (PHY) Specifications
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えばCSMA/CAに対応するキャリアセンス機能を有する通信装置と、CSMA/CAに非対応であってキャリアセンス機能を有さない通信装置とを共存させた無線通信システムを運用させたい場合がある。
無線通信システムにおいてCSMA/CAに対応する通信装置は、キャリアセンスを行ってチャネルを使用可能であると判断した場合にRTSを送信することができる。
これに対して、キャリアセンス機能を有さない通信装置は、キャリアセンスを行えないことからチャネルを使用可能であるか否かを判定することができない。従って、キャリアセンス機能を有さない通信装置は、適切にRTSを送信できないことになる。
このために、無線通信システムにおいてCSMA/CAに対応する通信装置と、CSMA/CAによるキャリアセンスに非対応の通信装置とを共存させて運用することは困難である。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、キャリアセンスを行うことのできる通信装置とキャリアセンスを行うことができない通信装置とを共存させた無線通信システムの運用を可能とする通信制御方法、通信システム及び通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、1つの通信装置から他の通信装置にデータ送信の許可を通知するために送信された送信許可応答が示す前記1つの通信装置と前記他の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する推定ステップと、前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで、データ送信の許可を要求する送信許可要求を送信する送信ステップとを有する通信制御方法である。
【0008】
本発明の一態様は、上記の通信制御方法であって、前記送信ステップにおいて、前記終了時刻に至るごとに送信許可要求を送信すべきか否かを所定の条件が満たされるか否かに基づいて決定する。
【0009】
本発明の一態様は、上記の通信制御方法であって、前記送信ステップにおいて、前記終了時刻に至ったタイミングで前記送信許可要求を送信する。
【0010】
本発明の一態様は、第1通信装置及び第2通信装置を含む複数の通信装置を備える通信システムであって、前記第1通信装置は、データ送信の許可を要求する送信許可要求の送信元の通信装置に対して、前記送信許可要求の送信元の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間を含む送信許可応答を送信する送信許可応答送信部を備え、前記第2通信装置は、通信システムにおけるいずれかの通信装置が送信した送信許可応答が示す通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する終了時刻推定部と、前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで送信許可要求を送信する送信許可要求送信制御部とを備える。
【0011】
本発明の一態様は、1つの通信装置が他の通信装置にデータ送信の許可を通知するために送信した送信許可応答が示す前記1つの通信装置と他の通信装置との間でのデータ送受信シーケンスに要する通信時間に基づいて、前記データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する終了時刻推定部と、前記終了時刻に至ってから、送信許可要求の送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間が経過するより前の所定のタイミングで、データ送信の許可を要求する送信許可要求を送信する送信許可要求送信制御部とを備える通信装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、キャリアセンスを行うことのできる通信装置とキャリアセンスを行うことができない通信装置とを共存させた無線通信システムを運用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態における無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】第1実施形態において、キャリアセンス機能を有するアクセスポイントとキャリアセンス機能を有する端末装置との間で行われる通信手順例を示すタイミングチャートである。
【図3】第1実施形態において、キャリアセンス機能を有するアクセスポイントとキャリアセンス機能を有さない端末装置との間で行われる通信手順例を示すタイミングチャートである。
【図4】第1実施形態において、キャリアセンス機能を有するアクセスポイントと、キャリアセンス機能を有する端末装置と、キャリアセンス機能を有さない端末装置との間で行われる通信手順例を示すタイミングチャートである。
【図5】第1実施形態におけるアクセスポイントとキャリアセンス機能を有さない端末装置との構成例を示す図である。
【図6】第1実施形態におけるキャリアセンス機能を有さない端末装置がRTSの送信に関して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態におけるキャリアセンス機能を有さない端末装置がRTSの送信に関して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
[無線通信システムの構成例]
図1は、本実施形態における無線通信システムの構成例を示している。同図に示す無線通信システムは、1つのアクセスポイントAPに対して2つの端末装置STA1、STA2を備えて構成される。
アクセスポイントAPは、端末装置STA1、STA2のそれぞれと通信を実行する。端末装置STA1と端末装置STA2は、アクセスポイントAPを経由して相互に通信を行うことができる。また、図示は省略するが、アクセスポイントAPは、上位のネットワークと接続されている。端末装置STA1と端末装置STA2は、それぞれ、アクセスポイントAPを経由して上位ネットワークと接続することも可能である。

【0015】
アクセスポイントAPは、キャリアセンスによりデータの衝突回避を図るアクセス制御方式に対応する通信装置である。
端末装置STA1は、アクセスポイントAP等の通信装置と無線通信を行うにあたり、アクセスポイントAPと同様に、キャリアセンスによりデータの衝突の回避を図るアクセス制御方式に対応する通信装置である。
即ち、本実施形態の無線通信システムにおいて、アクセスポイントAPと端末装置STA1は、キャリアセンス機能を有する。

【0016】
アクセスポイントAPと端末装置STA1が対応する、キャリアセンスを行うアクセス制御方式としては、例えばCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)を挙げることができる。
以降において、アクセスポイントAPと端末装置STA1は、アクセス制御方式としてCSMA/CAに対応する通信装置である場合を例に挙げて説明する。

【0017】
また、CSMA/CAのアクセス制御方式のもとでは、RTS(Request to Send)とCTS(Clear to Send)の送受信によりデータの衝突を回避するようにされたRTS/CTS方式が知られている。つまり、データを送信しようとする通信装置は、データ送信先の通信装置にRTS(送信許可要求)を送信することでデータ送信の許可を要求する。RTSを受信した通信装置は、送信を許可できる場合には送信の許可を通知するCTS(送信許可応答)をRTSの送信元の通信装置に送信する。

【0018】
ここで、CTSには、RTSの送信元の通信装置とのデータ送受信シーケンスに要する通信時間が示される。ここでのデータ送受信シーケンスとは、データの送受信に応じてACK(受信確認応答)の送受信が行われるまでの通信手順である。RTSの送信元の通信装置は、CTSの受信に応じてデータを送信し、送信されたデータを受信した通信装置は、データ送信元の通信装置にACKを返送する。
CTSは、RTSの送信元以外の通信装置も受信することができる。RTSの送信元以外の通信装置は、受信されたCTSが示す通信時間に応じた待機時間においてデータ送信に関する通信を待機する。これにより、RTSとCTSがデータ送受信シーケンスを行っている間、他の通信装置からRTS、CTSあるいはデータ等の信号の送信が行われることはなく、信号の衝突が回避される。
本実施形態のアクセスポイントAPと端末装置STA1は、RTS/CTS方式に対応する。

【0019】
一方、端末装置STA2は、キャリアセンスを行わないアクセス制御方式に対応する端末装置である。即ち、端末装置STA2は、キャリアセンス機能を有さない。

【0020】
[本実施形態におけるアクセス制御のための通信手順]
本実施形態においては、キャリアセンス機能を有する端末装置STA1と、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2とでアクセス制御のための通信手順が異なる。

【0021】
そこで、まず、図2のタイミングチャートを参照して、アクセスポイントAPと、キャリアセンスを行うアクセス制御に対応する端末装置STA1との間で行われる通信手順例について説明する。
同図の通信手順は、アクセスポイントAPが端末装置STA1に対してデータを送信しようとする場合に対応している。この場合、アクセスポイントAPは、時刻t0~t1によるDIFS(Distributed Inter Frame Space)としての期間によりキャリアセンスを行う。つまり、アクセスポイントAPは、データの送信に使用したい対象のチャネルにおける搬送波の電波の検出を行う。

【0022】
時刻t0~t1によるDIFSの期間において電波が検出された場合には、他の通信装置が対象のチャネルでデータを送信していることになる。この場合のアクセスポイントAPは、データの送信は不可であると判定して、他の通信装置によるデータ送受信シーケンスが終了するまでデータの送信を待機する。

【0023】
一方、時刻t0~t1によるDIFSの期間において電波が検出されなかった場合には、他の通信装置により対象のチャネルが使用されていない。同図においては、時刻t0~t1によるDIFSの期間において電波が検出されなかった場合の例を示している。この場合のアクセスポイントAPは、データの送信が可能であると判定して、データ送信のために、以下の通信手順を実行する。

【0024】
つまり、アクセスポイントAPは、DIFSとしてのキャリアセンスの期間が終了する時刻t1に至ると、ランダムなバックオフ(BO)時間を設定し、設定したバックオフ時間としての時刻t1~t2による期間が経過するのを待機する。
そして、時刻t2に至ってバックオフ時間が終了すると、アクセスポイントAPは、時刻t2~t3の期間により端末装置STA1に対してRTS1を送信する。

【0025】
時刻t3においてRTS1が受信されると、端末装置STA1は、RTS1の受信が終了した時刻t3からSIFS(Short Inter Frame Space)としての待機時間が経過するまで待機する。そして、SIFSとしての待機時間が終了する時刻t4に至ると、端末装置STA1は、アクセスポイントAPに対してCTS1を送信する。

【0026】
アクセスポイントAPは、時刻t5においてCTS1の受信を終了する。CTS1には、以降におけるアクセスポイントAPと端末装置STA1との間でのデータ送受信シーケンスに要する時間である通信時間が示されている。
アクセスポイントAPは、時刻t5からSIFSとしての待機時間を経過した時刻t6~t7の期間により、DATA1として示すデータの送信を行う。

【0027】
端末装置STA1は、時刻t7に至ってDATA1の受信が終了すると、時刻t7~t8によるSIFSとしての待機時間が経過するまで待機する。端末装置STA1は、SIFSとしての待機時間が経過して時刻t8に至ると、時刻t8~t9の期間により、アクセスポイントAPに対して、DATA1の受信に対する応答としてのACK1を送信する。

【0028】
同図においては、CTS1の送信が終了された時刻t5からACK1の送信が終了する時刻t9までの期間が、CTS1に対応するNAV(Network Allocation Vector)期間として設定される。時刻t5~t9までのNAV期間の間、無線通信システムにおけるアクセスポイントAPと端末装置STA1以外の通信装置は信号の送信を待機する。これにより、アクセスポイントAPと端末装置STA1との間でデータ送受信シーケンスを行っている間、他の通信装置から送信された信号の衝突が回避される。

【0029】
同図においては、ACK1の送信後に端末装置STA1がデータを送信しようとする例が示されている。
この場合、端末装置STA1は、ACK1の送信が終了して時刻t9に至ると、続く時刻t9~t10のDIFSとしての期間によりキャリアセンスを行う。同図では、時刻t9~t10のDIFSとしての期間によりキャリアセンスを行った結果、他の通信装置によるパケットの送信に応じた電波が検出されなかったためにデータの送信が可能であると判定されている。
そこで、この場合の端末装置STA1は、DIFSとしての期間が終了して時刻t10に至ると、続く時刻t10~t11によるバックオフ時間が経過するまで待機し、時刻t11からRTS2をアクセスポイントAPに対して送信する。

【0030】
時刻t12にてRTS2の受信を終了したアクセスポイントAPは、時刻t12~t13によるSIFSとしての待機時間を経過した後、RTS2に対する応答としてCTS2を端末装置STA1に対して送信する。

【0031】
端末装置STA1は、時刻t14においてCTS2の受信を終了すると、SIFSとしての待機時間を経過した時刻t15~t16の期間によりアクセスポイントAPに対してDATA2を送信する。

【0032】
時刻t16によりDATA2の受信を終了したアクセスポイントAPは、時刻t16~t17によるSIFSとしての待機時間を経過すると、時刻t17~t18の期間により、端末装置STA1に対してACK2を送信する。
このようにして、アクセスポイントAPと端末装置STA1とは互いにDIFSの期間によるキャリアセンスを行い、チャネルが使用可能であると判定した場合にデータを送信するようにされている。

【0033】
続いて、図3のタイミングチャートを参照して、キャリアセンス機能を有するアクセスポイントAPと、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2との間で行われる通信手順例について説明する。ここで、前提として、端末装置STA2はキャリアセンス機能を有さないが、RTSの受信に応じたCTSの送信と、データの送信を行おうとする際のRTSの送信とを行うことができるように構成されている。

【0034】
同図においては、まず、アクセスポイントAPから端末装置STA2にデータを送信しようとする例が示されている。
同図において、時刻t0~t9までによる通信手順は、図2における時刻t0~t9までのアクセスポイントAPと端末装置STA1との間での、RTS1、CTS1、DATA1、ACK1の送受信に対応する通信手順と同様となる。

【0035】
この場合、端末装置STA2は、アクセスポイントAPから送信されたACK1の受信が終了すると、アクセスポイントAPに対してデータを送信しようとする。
このために、端末装置STA2は、ACK1の受信が終了した時刻t9から予め定められた待機時間Twによる待機を行う。つまり、端末装置STA2は、ACK1の受信が終了した後においてDIFSの期間によるキャリアセンスを行うことなく、所定の時間長による待機時間Twを待機する。
ここで、待機時間Twには、キャリアセンスを行うべきDIFSとして定められた期間よりも短い時間が設定される。

【0036】
端末装置STA2は、時刻t9から待機時間Twを経過した時刻t20に至ると、アクセスポイントAPに対してRTS2を送信する。
アクセスポイントAPは、RTS2の受信が終了した時刻t21からSIFSとしての待機時間を経過した時刻t22に至ると、端末装置STA2に対してCTS2を送信する。
時刻t23においてCTS2の受信を終了した端末装置STA2は、時刻t23からSIFSとしての待機時間を経過した時刻t24に至ると、時刻t24~t25の期間によりアクセスポイントAPに対してDATA2の送信を開始する。

【0037】
時刻t25によりDATA2の受信を終了したアクセスポイントAPは、時刻t25~t26によるSIFSとしての待機時間を経過すると、時刻t26~t27の期間により、端末装置STA2に対してACK2を送信する。
このようにして、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2は、例えばACKの受信に応じて予め定められた待機時間Twを待機した後にRTS2を送信するようにされている。このようにして、本実施形態では、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2であっても、適切なタイミングでRTS2を送信してデータ送受信シーケンスを行うことが可能とされている。

【0038】
次に、図4のタイミングチャートを参照して、アクセスポイントAP、端末装置STA1、端末装置STA2が、それぞれ通信を行う場合の通信手順例について説明する。
同図においては、まず、アクセスポイントAPから端末装置STA1にデータを送信しようとする例が示されている。
同図において、時刻t0~t9までによる通信手順は、図2における時刻t0~t9までのアクセスポイントAPと端末装置STA1との間での、RTS1、CTS1、DATA1、ACK1の送受信に対応する通信手順と同様となる。

【0039】
ここで、端末装置STA2は、時刻t4~t5の期間により端末装置STA1が送信したCTS1を受信している。端末装置STA2は、CTS1を受信することにより、自己以外の他の通信装置(アクセスポイントAPと端末装置STA1)間で、これよりデータ送受信シーケンスが行われることを認識する。そして、端末装置STA2は、受信したCTSが示す通信時間に従って、時刻t5~t9までをNAV期間として設定する。端末装置STA2は、時刻t5~t9によるNAV期間において信号の送信を待機する。

【0040】
この場合、アクセスポイントAPと端末装置STA1との間でのACK1の送受信が終了した後において、端末装置STA1と端末装置STA2の両者がデータを送信しようとしている。
このため、端末装置STA1は、ACK1の送信を終了した時刻t9に至ると、時刻t9~t10によるDIFSとしての期間によりキャリアセンスを行う。
一方、端末装置STA2も時刻t9に至ってNAV期間が終了すると、時刻t9から開始される待機時間Twが経過するまで待機する。そして、端末装置STA2は、待機時間Twが経過して時刻t20に至ると、時刻t20~t21の期間によりアクセスポイントAPに対してRTS2を送信する。

【0041】
ここで、前述のように待機時間TwについてはキャリアセンスのためのDIFSとしての期間より短い時間が設定されている。このため、端末装置STA1が時刻t9~t10によるDIFSの期間においてキャリアセンスを行っているときに、端末装置STA2からRTS2が送信される。
このとき、端末装置STA1は、時刻t9~t10によるDIFSとしての期間において端末装置STA2が送信したRTS2に応じた電波を検出し、自己の通信は不可であると判定する。このために、端末装置STA1は、DIFSによるキャリアセンスの期間が終了する時刻t10以降において信号の送信を待機する。
このように端末装置STA1が時刻t10以降において信号の送信を行わないことで、端末装置STA2が送信したRTS2は他の信号と衝突することなく、アクセスポイントAPにて受信される。

【0042】
アクセスポイントAPは、時刻t21にてRTS2の受信が終了すると、時刻t21~t22によるSIFSとしての待機時間が経過するまで待機する。アクセスポイントAPは、SIFSとしての待機時間が経過して時刻t22に至ると、RTS2に応答したCTS2を送信する。

【0043】
端末装置STA2は、時刻t23にてCTS2の受信が終了すると、時刻t23~t24によるSIFSとしての待機時間が経過するまで待機したうえで、時刻t24~t25によりDATA2をアクセスポイントAPに対して送信する。
時刻t25によりDATA2の受信を終了したアクセスポイントAPは、時刻t25~t26によるSIFSとしての待機時間を経過すると、時刻t26~t27の期間により、端末装置STA2に対してACK2を送信する。

【0044】
また、時刻t10以降において信号の送信を待機していた端末装置STA1は、時刻t22~t23の期間によりCTS2を受信する。端末装置STA1は、受信されたCTS2が示す通信時間に応じて時刻t23~t28までのNAV期間を設定し、NAV期間における信号の送信を待機する。これにより、時刻t24~t25において端末装置STA2から送信されるDATA2は、他の信号と衝突することなくアクセスポイントAPにて受信される。

【0045】
上記の説明から理解されるように、本実施形態において、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2は、NAV期間の終了したタイミングから、キャリアセンスのためのDIFSの期間よりも短い時間による待機時間Twを経過したタイミングでRTSを送信する。
このようなタイミングでRTSを送信することで、同図の時刻t20における状態として例示するように、端末装置STA2は、キャリアセンスを行う端末装置STA1がキャリアセンスを行っているDIFSの期間においてRTSを送信することができる。これにより、RTSに応じた電波を端末装置STA1に検出させ、以降において端末装置STA1に信号の送信を行わせないようにしたうえでデータを送信することが可能になる。

【0046】
このように、本実施形態においては、キャリアセンス機能を有する通信装置とキャリアセンス機能を有さない通信装置とが共存する無線通信システムにおいて、キャリアセンスに非対応の通信装置が衝突を回避しながらデータの送信を行うことができる。
即ち、本実施形態によっては、キャリアセンスを行うことのできる通信装置とキャリアセンスを行うことができない通信装置とを共存させた無線通信システムの運用が可能となる。

【0047】
[アクセスポイントと端末装置の構成例]
図5を参照して、本実施形態におけるアクセスポイントAP(第1通信装置の一例)と、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2(第2通信装置の一例)の各構成例について説明する。
まず、アクセスポイントAPの構成について説明する。アクセスポイントAPは、前述のようにキャリアセンス機能を有する。同図に示すアクセスポイントAPは、通信部101と制御部102とを備える。
通信部101は、電波の送受信により他の通信装置と無線通信を行う。

【0048】
制御部102は、通信に関する制御を実行する。制御部102は、送信許可要求送信部121、送信許可応答送信部122、データ送信部123及び受信確認応答送信部124を備える。

【0049】
送信許可要求送信部121は、CSMA/CAによるアクセス制御のもとでのRTS/CTS方式に従ってRTSを送信する。つまり、送信許可要求送信部121は、NAV期間の終了に応じてDIFSとしての期間によりキャリアセンスを行った結果、通信が可能であると判定すると、ランダムなバックオフ時間による待機を行ったうえでRTSを送信する。

【0050】
送信許可応答送信部122は、CTSを送信する。つまり、送信許可応答送信部122は、RTSが受信されたタイミングからSIFSとしての待機時間を経過した後に、RTSの送信元の通信装置にCTSを送信する。

【0051】
データ送信部123は、データを送信する。つまり、データ送信部123は、送信許可要求送信部121がデータ送信先の通信装置に送信したRTSに応答してCTSが受信されると、データ送信先の通信装置に対してデータを送信する。

【0052】
受信確認応答送信部124は、ACKを送信する。つまり、受信確認応答送信部124は、データを受信してSIFSとしての待機時間を経過したタイミングで、データ送信元の通信装置に対してACKを送信する。

【0053】
次に、同じ図5を参照して、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2の構成について説明する。同図に示す端末装置STA2は、通信部201と制御部202とを備える。
なお、端末装置STA2においては、表示部や操作部などのユーザインターフェースに対応する部位が備えられてもよいが、同図においては、ユーザインターフェースに対応する部位についての図示は省略している。

【0054】
通信部201は、電波の送受信により他の通信装置と無線通信を行う。
制御部202は、通信に関する制御を実行する。制御部202は、終了時刻推定部221、送信許可要求送信制御部222、送信許可応答送信部223、データ送信部224及び受信確認応答送信部225を備える。

【0055】
終了時刻推定部221は、通信システムにおけるいずれかの通信装置が送信したCTSが示すデータ送受信シーケンスに要する通信時間に基づいて、データ送受信シーケンスの終了時刻を推定する。
具体的に、図4の例との対応では、終了時刻推定部221は、時刻t4~t5の期間における自機(端末装置STA2)によるCTS1の送信に応じて、CTS1の通信時間に基づいて、DATA1の送受信とACK1の送受信が終了する時刻t9を推定する。
また、終了時刻推定部221は、時刻t22~t23の期間におけるアクセスポイントAPによるCTS2の送信に応じて、CTS2の通信時間に基づいて、DATA2の送受信とACK2の送受信が完了する時刻t27を推定する。

【0056】
送信許可要求送信制御部222は、終了時刻推定部221が推定した終了時刻に至ってから、RTSの送信にあたりキャリアセンスを行う期間として定められた一定時間(DIFS)が経過するより前の所定のタイミングでRTSを送信する。
具体的に、図4の例との対応では、送信許可要求送信制御部222は、終了時刻推定部221が終了時刻として推定した時刻t9に至ってから、DIFSとしてのキャリアセンスの期間より短く設定された待機時間Twを経過したタイミングでRTS2を送信する。

【0057】
送信許可応答送信部223は、CTSを送信する。つまり、送信許可応答送信部223は、RTSが受信されたタイミングからSIFSとしての待機時間を経過した後に、RTSの送信元の通信装置にCTSを送信する。

【0058】
データ送信部224は、データを送信する。つまり、データ送信部224は、送信許可要求送信制御部222がデータ送信先の通信装置に送信したRTSに応答してCTSが受信されると、データ送信先の通信装置に対してデータを送信する。

【0059】
受信確認応答送信部225は、ACKを送信する。つまり、受信確認応答送信部225は、データを受信してSIFSとしての待機時間を経過したタイミングで、データ送信元の通信装置に対してACKを送信する。

【0060】
[処理手順例]
図6のフローチャートを参照して、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2がRTSの送信に関して実行する処理手順例について説明する。
端末装置STA2において、制御部202の終了時刻推定部221は、CTSが検知されるのを待機する(ステップS101-NO)。ここでのCTSの検知は、端末装置STA2の送信許可応答送信部223がCTSを送信したことについての検知と、他の通信装置から送信されたCTSの受信の検知とを含む。

【0061】
CTSが検知されると(ステップS101-YES)、終了時刻推定部221は、検知されたCTSが示す通信時間に基づいてデータ送受信シーケンスの終了時刻を推定する(ステップS102)。

【0062】
次に、送信許可要求送信制御部222は、ステップS102にて推定された終了時刻に至るのを待機する(ステップS103-NO)。
送信許可要求送信制御部222は、ステップS102にて推定された終了時刻に至ったことを判定すると(ステップS103-YES)、送信すべきデータがあるか否かについて判定する。具体的に、送信許可要求送信制御部222は、例えばデータ送信部224が送信すべきデータを蓄積するために備えるバッファにデータが蓄積されているか否かについて判定することにより、送信すべきデータが有るか否かについて判定できる。

【0063】
送信すべきデータがないと判定した場合(ステップS104-NO)、送信許可要求送信制御部222は、ステップS101に処理を戻す。
一方、送信すべきデータが有ると判定した場合(ステップS104-YES)、送信許可要求送信制御部222は、ステップS101に対応してCTSを検知したタイミングから待機時間Twが経過するのを待機する(ステップS105-NO)。
そして、待機時間Twが経過すると(ステップS105-YES)、送信許可要求送信制御部222は、送信すべきデータの送信先の通信装置に対してRTSを送信する(ステップS106)。
このような処理が実行されることで、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2が、例えばキャリアセンス機能を有する通信装置が送信する信号との衝突を回避してデータの送受信シーケンスを行うことが可能になる。

【0064】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。前述のように、待機時間TwはDIFSとしてのキャリアセンスの期間よりも短い時間として定められる。これにより、図4の時刻t20として例示したように、キャリアセンス機能を有する他の通信装置がDIFSとしての期間によりキャリアセンスを行っているときに、キャリアセンス機能を有さない通信装置がRTSを送信することができる。この結果、キャリアセンス機能を有さない通信装置であっても、データ送信のためのチャネルを確保することができる。

【0065】
しかし、上記のような待機時間Twの設定のもとでは、無線通信システムにおいてキャリアセンス機能を有する通信装置よりもキャリアセンス機能を有さない通信装置のほうがチャネルを占有できる確率が高くなる可能性がある。
無線通信システム全体としてみた場合には、チャネルを確保できる確率を通信装置間でできるだけ均一化し、各通信装置がデータ送信を行える機会ができるだけ公平に与えられるようにすることが好ましい。

【0066】
そこで、本実施形態において、キャリアセンス機能を有さない端末装置STA2の送信許可要求送信制御部222は、終了時刻推定部221が推定したデータ送受信シーケンスの終了時刻に至るごとにRTSを送信すべきか否かを所定の条件が満たされるか否かに基づいて決定するように構成される。
本実施形態においては、RTSを送信すべきか否かを決定するための所定の条件として、所定の数値範囲において発生させた乱数が所定の閾値以下であるという条件が満たされれば、RTSを送信すべきであると決定し、乱数が所定の閾値を越えたことで上記の条件が満たされなければRTSを送信すべきでないと決定する。即ち、この場合の端末装置STA2は、確率的にRTSを送信すべきか否かを決定する。

【0067】
[処理手順例]
図7のフローチャートを参照して、本実施形態においてキャリアセンス機能を有さない端末装置STA2がRTSの送信に関して実行する処理手順例について説明する。なお、同図において、図6と同様の処理となるステップについては同一符号を付して説明を省略する。
また、本実施形態における端末装置STA2の構成は、図5と同様でよい。ただし、本実施形態における送信許可要求送信制御部222は、以下に説明するように、データ送受信シーケンスの終了時刻に至るごとにRTSを送信すべきか否かについての判定に応じた処理を実行する。

【0068】
ステップS104にて送信すべきデータが有ると判定された場合、送信許可要求送信制御部222は、所定の数値範囲内で乱数xを生成する(ステップS111)。送信許可要求送信制御部222は、ステップS111にて生成した乱数xについて閾値th以下か否かについて判定する(ステップS112)。
乱数xが閾値thより大きいと判定した場合(ステップS112-NO)、送信許可要求送信制御部222はデータを送信すべきでないと決定し、ステップS101に処理を戻す。
一方、乱数xが閾値th以下であると判定した場合(ステップS112-YES)、送信許可要求送信制御部222はデータを送信すべきであると決定し、ステップS105、S106の処理を実行する。つまり、送信許可要求送信制御部222は、ステップS101によりCTSが検知されたタイミングから待機時間Twを経過した後、RTSを送信する。
このような処理が行われることによって、端末装置STA2において送信すべきデータが有る状態のもとでデータ送受信シーケンスの終了時刻に到達したとしても、必ずRTSが送信されるのではなく、確率的にRTSが送信される。これにより、無線通信システムにおいてキャリアセンス機能を有する通信装置とキャリアセンス機能を有さない通信装置との間でのデータ送信の機会の公平性が図られる。

【0069】
なお、本実施形態において、確率的にRTSを送信すべきか否かを決定するにあたっての所定の条件としては、上記の例に限定されない。例えば、送信許可要求送信制御部222は、上記とは逆に、所定の数値範囲において発生させた乱数が所定の閾値以上であるという条件が満たされれば、RTSを送信すべきであると決定してもよい。
あるいは、送信許可要求送信制御部222は、発生させた乱数が予め定められた所定値(例えば、奇数あるいは偶数、所定値の整数倍の値など)である場合にRTSを送信すべきであると決定し、上記の所定値でない場合にRTSを送信すべきでないと決定してもよい。
さらに、RTSを送信すべきか否かの決定は確率的に行われるのではなく、規則的に行われてもよい。具体的には、送信許可要求送信制御部222は、例えば送信すべきデータが有る状態でデータ送受信シーケンスの終了時刻に至った回数がデータ送信すべき回数に該当するという条件を満たす場合にRTSを送信すべきであると決定してもよい。

【0070】
また、上記各実施形態における変形例として、送信許可要求送信制御部222は、データ送受信シーケンスの終了時刻に至ったタイミングでRTSを送信するようにしてもよい。つまり、送信許可要求送信制御部222は、待機時間Twが経過するのを待機することなく、データ送受信シーケンスの終了時刻の直後のタイミングでRTSを送信してもよい。この場合にも、待機時間Twが設定される場合と同様に、RTSは、データ送受信シーケンスの終了時刻に至ってからDISFとして定められた一定時間が経過するより前のタイミングで送信される。

【0071】
なお、上述した実施形態におけるアクセスポイントAP、端末装置STA1、端末装置STA2をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。

【0072】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0073】
AP…アクセスポイント,STA1…端末装置,STA2…端末装置,101…通信部,102…制御部,121…送信許可要求送信部,122…送信許可応答送信部,123…データ送信部,124…受信確認応答送信部,201…通信部,202…制御部,221…終了時刻推定部,222…送信許可要求送信制御部,223…送信許可応答送信部,224…データ送信部,225…受信確認応答送信部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6