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明細書 :表面修飾基材の製造方法、接合体の製造方法、新規ヒドロシラン化合物および表面修飾基材

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5924633号 (P5924633)
登録日 平成28年4月28日(2016.4.28)
発行日 平成28年5月25日(2016.5.25)
発明の名称または考案の名称 表面修飾基材の製造方法、接合体の製造方法、新規ヒドロシラン化合物および表面修飾基材
国際特許分類 C09K   3/00        (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
C07F   7/10        (2006.01)
C07F   9/40        (2006.01)
C07F  19/00        (2006.01)
C07F   9/28        (2006.01)
B01J  31/02        (2006.01)
C07F   7/12        (2006.01)
C07F  17/02        (2006.01)
C07F   7/02        (2006.01)
C07F  15/02        (2006.01)
FI C09K 3/00 R
C07F 7/08 CSPX
C07F 7/08 C
C07F 7/10 N
C07F 7/10 G
C07F 7/10 T
C07F 7/08 J
C07F 9/40 Z
C07F 7/08 F
C07F 7/08 H
C07F 19/00
C07F 7/08 S
C07F 9/28
B01J 31/02 Z
C07F 7/12 R
C07F 7/10 Q
C07F 17/02
C07F 7/02 C
C07F 15/02
請求項の数または発明の数 12
全頁数 74
出願番号 特願2015-535915 (P2015-535915)
出願日 平成27年3月9日(2015.3.9)
国際出願番号 PCT/JP2015/001277
国際公開番号 WO2015/136913
国際公開日 平成27年9月17日(2015.9.17)
優先権出願番号 2014046102
2014266211
優先日 平成26年3月10日(2014.3.10)
平成26年12月26日(2014.12.26)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成27年7月17日(2015.7.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】中西 和樹
【氏名】モイトラ ニルマリヤ
【氏名】金森 主祥
【氏名】嶋田 豊司
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100107641、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 耕一
審査官 【審査官】磯貝 香苗
参考文献・文献 特開平04-214880(JP,A)
特開平06-130716(JP,A)
特開2005-219959(JP,A)
特開2009-149454(JP,A)
特開2010-090007(JP,A)
国際公開第2001/058562(WO,A1)
欧州特許出願公開第01627892(EP,A1)
特開2009-256670(JP,A)
調査した分野 C09K 3/00
B01J 31/02
C07F 7/08
C07F 7/10
C07F 7/12
C07F 9/28
C07F 9/40
C07F 19/00
C07F 7/02
C07F 15/02
C07F 17/02
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
極性基が表面に存在する基材と、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物と、をボラン触媒の存在下で接触させ、前記基材と前記化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、前記分子構造Aにより表面が修飾された前記基材を形成する工程を含む、表面修飾基材の製造方法。
【請求項2】
前記極性基がヒドロキシ基および/またはカルボニル基である、請求項1に記載の表面修飾基材の製造方法。
【請求項3】
前記極性基がヒドロキシ基である、請求項1に記載の表面修飾基材の製造方法。
【請求項4】
前記触媒がトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、請求項1に記載の表面修飾基材の製造方法。
【請求項5】
前記基材が非金属材料から構成される、請求項1に記載の表面修飾基材の製造方法。
【請求項6】
前記基材が薄片、粒子または繊維である、請求項1に記載の表面修飾基材の製造方法。
【請求項7】
前記工程を50℃未満の温度で進行させる、請求項1に記載の表面修飾基材の製造方法。
【請求項8】
極性基が表面に存在する複数の基材と、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を2以上有するヒドロシラン化合物と、をボラン触媒の存在下で接触させ、前記基材と前記化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、前記分子構造Aを接合構造として前記複数の基材が互いに接合した接合体を得る工程を含む、接合体の製造方法。
【請求項9】
前記極性基がヒドロキシ基および/またはカルボニル基である、請求項8に記載の接合体の製造方法。
【請求項10】
前記基材が薄片、粒子または繊維である、請求項8に記載の接合体の製造方法。
【請求項11】
以下の新規ヒドロシラン化合物。
1-(ジメチルシリル)ピレン、1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン、[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド、1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド、(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン、4-(ジメチルシリル)酪酸、4-(ジメチルシリル)酪酸エチル、[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート、4-(ジメチルシリル)ブタノール、(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン、5,6-エポキシヘキシルジメチルシラン、(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミド、フタロイルポリメチルヒドロシロキサン、クロロプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アミノプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アセトキシプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-クロロプロピル-イソプロポキシポリメチルヒドロシロキサン、3-アジドプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-ブロモプロピルポリメチルヒドロシロキサン、ドデシルポリメチルヒドロシロキサン、オクタデシルポリメチルヒドロシロキサン、パーフルオロヘキシルエチルポリメチルヒドロシロキサン、ポリアリルメチルヒドロシロキサン、ポリエポキシメチルヒドロシロキサン、ポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサン、ポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサン、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルシロキシポリメチルヒドロシロキサン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオキシポリメチルヒドロシロキサン、N-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、N-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミド、4-(1,3-ジチアン-2-イル)ジメチルシリルベンゼン、またはトリエチル-3-(ジメチルシリルプロピル)アンモニウムブロミド。
【請求項12】
ヒドロシラン化合物が有するSi-H基のケイ素原子にて、前記Si-H基の水素原子を除く前記ヒドロシラン化合物の分子構造が基材の表面に結合した表面修飾基材であって、
前記ヒドロシラン化合物が、以下に示す新規ヒドロシラン化合物である表面修飾基材。
1-(ジメチルシリル)ピレン、1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン、[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド、1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド、(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン、4-(ジメチルシリル)酪酸、4-(ジメチルシリル)酪酸エチル、[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート、4-(ジメチルシリル)ブタノール、(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン、5,6-エポキシヘキシルジメチルシラン、(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミド、フタロイルポリメチルヒドロシロキサン、クロロプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アミノプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アセトキシプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-クロロプロピル-イソプロポキシポリメチルヒドロシロキサン、3-アジドプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-ブロモプロピルポリメチルヒドロシロキサン、ドデシルポリメチルヒドロシロキサン、オクタデシルポリメチルヒドロシロキサン、パーフルオロヘキシルエチルポリメチルヒドロシロキサン、ポリアリルメチルヒドロシロキサン、ポリエポキシメチルヒドロシロキサン、ポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサン、ポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサン、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルシロキシポリメチルヒドロシロキサン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオキシポリメチルヒドロシロキサン、N-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、N-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミド、4-(1,3-ジチアン-2-イル)ジメチルシリルベンゼン、またはトリエチル-3-(ジメチルシリルプロピル)アンモニウムブロミド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、分子構造により表面が修飾された基材(表面修飾基材)の製造方法、複数の基材が互いに接合した状態にある接合体の製造方法、およびこれらの製造方法に使用できる新規なヒドロシラン化合物に関する。より具体的な例として、金属元素を含む触媒(活性化剤)を使用しない、表面修飾基材の製造方法および接合体の製造方法に関する。また、本発明は、これらの製造方法を実施可能な表面処理剤および表面処理剤キットに関し、表面修飾基材にも関する。
【背景技術】
【0002】
基材の表面を特定の分子構造で修飾することにより、当該基材に様々な機能を与えたり、当該基材の機能を向上したりできる。この機能の付与および向上は、修飾により導入された分子構造が示す他の物質との相互作用と、場合によってはさらに基材の形態とに基づく。機能は、例えば、分離媒体機能、吸着機能である。
【0003】
表面に親水基が分布した材料が多数知られている。例えば、ガラスおよびセラミックス、ならびにシリカ、アルミナといった酸化物の表面は、通常、ヒドロキシ基のような親水基により覆われている。このため、これらの材料から構成される基材に対して、表面に存在する親水基を足がかりとして分子構造を導入し、基材の表面の修飾を行うことができる。このような基材の表面の修飾にケイ素化合物が使用される。ケイ素化合物として、クロロシランなどのハロシラン、あるいはアルコキシシラン類の使用が一般的である。ケイ素化合物は、2種以上の異なる官能基を一分子中に有するいわゆるシランカップリング剤であってもよい。
【0004】
一方、特許文献1には、金属などの表面をコーティングする方法であって、化合物または金属の状態にある白金族金属の存在下で、Si-H,Sn-HおよびGe-Hから選ばれる反応性基を含む試薬を用いる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特表2002-507146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハロシランは非常に反応性が高く、気相反応による表面の修飾に好適である。しかし、液相反応による表面の修飾には適しておらず、例えば、多孔質体の内部の表面を修飾することができない。一方、アルコキシシランは、ハロシランよりも反応性が低く、液相反応への適用も可能であるが、大気中あるいは溶液中の水分により加水分解されることで徐々にゾルゲル反応が進行するため、その分離、精製が困難である。これは表面修飾基材を工業的に生産する妨げとなる。また、ゾルゲル反応により多分子層構造が形成されやすく、当該構造の形成は基材表面のさらなる修飾を阻害するため、基材表面に未反応のヒドロキシ基が多く残存しやすく、均一な修飾が難しい。その他、アルコキシシランでは:高温かつ長時間の処理条件が要求される(典型的な例として、110℃のトルエン還流下での数時間の修飾);反応が可逆的であり、脱離したアルコールが基材の表面に吸着され残留するため、基材の用途が制限される;アルコキシシランの合成にグリニャール試薬などの強い求核剤の使用ができず、そのライブラリー合成が制限される;などの課題がある。
【0007】
これとは別に、ケイ素化合物としてアリルシランを用いる方法が提案されている(例えば、特開2004-175793号公報)。アリルシランは、液相反応による表面の修飾に適しており、かつアルコキシシランとは異なりその分離、精製が容易である。しかし、依然として高温かつ長時間の処理条件が要求される(特開2004-175793号公報では、110℃のトルエン還流下での10時間を超える修飾が行われている)。
【0008】
本発明の目的の一つは、従来よりも低温かつ短時間での基材表面の修飾が可能であるとともに、基材の形状、種類および用途、修飾反応の形態、ならびに基材表面に修飾させる分子構造の種類などの自由度が高い、表面修飾基材の製造方法の提供である。
【0009】
本発明の目的の別の一つは、この表面修飾基材の製造方法を応用した、従来よりも低温かつ短時間での処理が可能であるとともに、基材の種類および用途などの自由度が高い、接合体の製造方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の表面修飾基材の製造方法は、極性基が表面に存在する基材と、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物と、をボラン触媒の存在下で接触させ、前記基材と前記化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、前記分子構造Aにより表面が修飾された前記基材を形成する工程を含む。
【0011】
本開示の接合体の製造方法は、極性基が表面に存在する複数の基材と、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を2以上有するヒドロシラン化合物と、をボラン触媒の存在下で接触させ、前記基材と前記化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、前記分子構造Aを接合構造として前記複数の基材が互いに接合した接合体を得る工程を含む。
【0012】
本開示のヒドロシラン化合物は、新規のヒドロシラン化合物を含む。当該新規ヒドロシラン化合物は、1-(ジメチルシリル)ピレン、(ジメチルシリル)フェロセン、1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン、[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド、1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド、(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン、4-(ジメチルシリル)酪酸、4-(ジメチルシリル)酪酸エチル、[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート、4-(ジメチルシリル)ブタノール、(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン、5,6-エポキシヘキシルジメチルシラン、(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミド、フタロイルポリメチルヒドロシロキサン、クロロプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アミノプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アセトキシプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-クロロプロピル-イソプロポキシポリメチルヒドロシロキサン、3-アジドプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-ブロモプロピルポリメチルヒドロシロキサン、ドデシルポリメチルヒドロシロキサン、オクタデシルポリメチルヒドロシロキサン、パーフルオロヘキシルエチルポリメチルヒドロシロキサン、ポリアリルメチルヒドロシロキサン、ポリエポキシメチルヒドロシロキサン、ポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサン、ポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサン、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルシロキシポリメチルヒドロシロキサン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオキシポリメチルヒドロシロキサン、N-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、N-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミド、4-(1,3-ジチアン-2-イル)ジメチルシリルベンゼン、またはトリエチル-3-(ジメチルシリルプロピル)アンモニウムブロミドである。
【0013】
本開示の処理剤は、基材の表面を修飾する表面処理剤であって、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物と、ボラン触媒とを含有する。
【0014】
本開示の処理剤キットは、基材の表面を修飾する表面処理剤キットであって、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物を含有するA剤と、ボラン触媒を含有するB剤と、を含む。
【0015】
本開示の表面修飾基材は、上記本発明の表面修飾基材の製造方法により得た、前記分子構造Aにより基材の表面が修飾された表面修飾基材である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、従来よりも低温かつ短時間での基材表面の修飾が可能であるとともに、基材の形状、種類および用途、修飾反応の形態、ならびに基材表面に修飾させる分子構造の種類などの自由度が高い、表面修飾基材の製造方法が実現する。
【0017】
また、本開示によれば、従来よりも低温かつ短時間での処理が可能であるとともに、基材の種類および用途などの自由度が高い、接合体の製造方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】製造例4で作製した(3-クロロプロピル)ジメチルシランの13C-核磁気共鳴(NMR)プロファイルを示す図である。
【図2】製造例4で作製した(3-クロロプロピル)ジメチルシランの29Si-NMRプロファイルを示す図である。
【図3】実施例1-1で作製した表面修飾シリカゲルの赤外分光分析(IR)スペクトルを示す図である。
【図4】実施例1-2で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図5】実施例1-3で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図6】実施例1-4で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図7】実施例1-5で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図8】実施例1-6で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図9】実施例1-7で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図10】実施例1-8で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図11】実施例1-9で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図12】実施例1-10で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図13】実施例1-11で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図14】実施例1-12で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図15】実施例1-13で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図16】実施例1-14で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図17】実施例1-15で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図18】実施例1-16で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図19】実施例1-17で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図20】実施例1-18で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図21】実施例1-19で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図22】実施例1-20で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図23】実施例1-21で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図24】実施例1-22で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図25】実施例1-23で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図26】実施例1-24で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図27】比較例1で作製した表面修飾シリカゲル、および実施例1-6で作製した表面修飾シリカゲルの外観を示す図である。
【図28】比較例1で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図29】比較例1で作製した表面修飾シリカゲル、および実施例1-6で作製した表面修飾シリカゲルの熱重量分析結果を示す図である。
【図30】実施例2で作製したヒドロシラン化合物のIRスペクトルを示す図である。
【図31】実施例2で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図32】実施例2で作製した表面修飾シリカゲルの表面修飾部を原子移動ラジカル重合(ATRP)剤として応用し、重合反応を進行させた後のIRスペクトルを示す図である。
【図33】実施例3で作製したヒドロシラン化合物のIRスペクトルを示す図である。
【図34】実施例3で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図35】実施例4で作製したヒドロシラン化合物のIRスペクトルを示す図である。
【図36】実施例4で作製した表面修飾シリカゲルのIRスペクトルを示す図である。
【図37】実施例4で作製した表面修飾シリカゲルの表面修飾部を可逆的付加開裂連鎖重合(RAFT)剤として応用し、重合反応を進行させた後のIRスペクトルを示す図である。
【図38】実施例4で使用したアクリル酸n-ブチルのIRプロファイルを示す図である。
【図39】実施例5-1で作製した表面修飾紙の主面における水の接触の状態を示す図である。
【図40】実施例5-7で作製した表面修飾紙のIRスペクトルを示す図である。
【図41】実施例6-1で作製した表面修飾織布の主面における水の接触の状態を示す図である。
【図42】(a)は、表面修飾前のビニロン1036不織布のIRスペクトルを示す図であり、(b)は、実施例6-1で作製した、表面修飾後のビニロン1036不織布のIRスペクトルを示す図である。
【図43】(a)は、表面修飾前のビニロン1048不織布のIRスペクトルを示す図であり、(b)は、実施例6-2で作製した、表面修飾後のビニロン1048不織布のIRスペクトルを示す図である。
【図44】(a)は、表面修飾前のポリエステル80不織布のIRスペクトルを示す図であり、(b)は、実施例6-3で作製した、表面修飾後のポリエステル80不織布のIRスペクトルを示す図である。
【図45】(a)は、表面修飾前のポリエステル100不織布のIRスペクトルを示す図であり、(b)は、実施例6-4で作製した、表面修飾後のポリエステル100不織布のIRスペクトルを示す図である。
【図46】(a)は、表面修飾前のコットン不織布のIRスペクトルを示す図であり、(b)は、実施例6-5で作製した、表面修飾後のコットン不織布のIRスペクトルを示す図である。
【図47】実施例7で作製した表面修飾ガラスの表面における水の接触の状態を示す図である。
【図48】実施例8-1で作製した表面修飾シリカゲル粉末における水の接触の状態を示す図である。
【図49】実施例8-2で作製した表面修飾アルミナ粉末における水の接触の状態を示す図である。
【図50】実施例9-1で作製した木粉の接合体を示す図である。
【図51】実施例9-2で作製したシリカゲル粒子の接合体を示す図である。
【図52】実施例9-3で作製したアルミナ粉末の接合体を示す図である。
【図53】製造例34で作製したヒドロシラン化合物のIRスペクトルを示す図である。
【図54】製造例34で作製したヒドロシラン化合物のH-NMRプロファイルを示す図である。
【図55】製造例35で作製したヒドロシラン化合物のH-NMRプロファイルを示す図である。
【図56】製造例37で作製したヒドロシラン化合物のIRスペクトルを示す図である。
【図57】製造例38で作製したヒドロシラン化合物のH-NMRプロファイルを示す図である。
【図58】実施例10-2で作製した表面修飾セルロースナノファイバーのH-NMRプロファイルを示す図である。
【図59】実施例10-3で作製した表面修飾セルロースナノファイバーのH-NMRプロファイルを示す図である。
【図60】実施例13-1で作製した表面修飾酸化ジルコニウム粉末のIRスペクトルを示す図である。
【図61】実施例13-1で作製した表面修飾酸化ジルコニウム粉末における水の接触の状態を示す図である。
【図62】実施例13-2で作製した表面修飾酸化インジウム粉末における水の接触の状態を示す図である。
【図63】実施例13-3で作製した表面修飾酸化セリウム粉末における水の接触の状態を示す図である。
【図64】実施例13-4で作製した表面修飾酸化チタン粉末における水の接触の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の第1の態様は、極性基が表面に存在する基材と、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物と、をボラン触媒の存在下で接触させ、前記基材と前記化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、前記分子構造Aにより表面が修飾された前記基材を形成する工程を含む、表面修飾基材の製造方法を提供する。

【0020】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様に加え、前記極性基がヒドロキシ基および/またはカルボニル基である、表面修飾基材の製造方法を提供する。

【0021】
本開示の第3の態様は、上記第1の態様に加え、前記極性基がヒドロキシ基である、表面修飾基材の製造方法を提供する。

【0022】
本開示の第4の態様は、上記第1から第3のいずれかの態様に加え、前記触媒がトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである、表面修飾基材の製造方法を提供する。

【0023】
本開示の第5の態様は、上記第1から第4のいずれかの態様に加え、前記基材が非金属材料から構成される、表面修飾基材の製造方法を提供する。

【0024】
本開示の第6の態様は、上記第1から第5のいずれかの態様に加え、前記基材が薄片、粒子または繊維である、表面修飾基材の製造方法を提供する。

【0025】
本開示の第7の態様は、上記第1から第6のいずれかの態様に加え、前記工程を50℃未満の温度で進行させる、表面修飾基材の製造方法を提供する。

【0026】
本開示の第8の態様は、極性基が表面に存在する複数の基材と、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を2以上有するヒドロシラン化合物と、をボラン触媒の存在下で接触させ、前記基材と前記化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、前記分子構造Aを接合構造として前記複数の基材が互いに接合した接合体を得る工程を含む、接合体の製造方法を提供する。

【0027】
本開示の第9の態様は、上記第8の態様に加え、前記極性基がヒドロキシ基および/またはカルボニル基である、接合体の製造方法を提供する。

【0028】
本開示の第10の態様は、上記第8または第9の態様に加え、前記基材が薄片、粒子または繊維である、接合体の製造方法を提供する。

【0029】
本開示の第11の態様は、以下の新規ヒドロシラン化合物を提供する。

【0030】
1-(ジメチルシリル)ピレン、(ジメチルシリル)フェロセン、1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン、[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド、1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド、(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン、4-(ジメチルシリル)酪酸、4-(ジメチルシリル)酪酸エチル、[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート、4-(ジメチルシリル)ブタノール、(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン、5,6-エポキシヘキシルジメチルシラン、(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミド、フタロイルポリメチルヒドロシロキサン、クロロプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アミノプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アセトキシプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-クロロプロピル-イソプロポキシポリメチルヒドロシロキサン、3-アジドプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-ブロモプロピルポリメチルヒドロシロキサン、ドデシルポリメチルヒドロシロキサン、オクタデシルポリメチルヒドロシロキサン、パーフルオロヘキシルエチルポリメチルヒドロシロキサン、ポリアリルメチルヒドロシロキサン、ポリエポキシメチルヒドロシロキサン、ポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサン、ポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサン、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルシロキシポリメチルヒドロシロキサン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオキシポリメチルヒドロシロキサン、N-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、N-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミド、4-(1,3-ジチアン-2-イル)ジメチルシリルベンゼン、またはトリエチル-3-(ジメチルシリルプロピル)アンモニウムブロミド。

【0031】
本開示の第12の態様は、基材の表面を修飾する表面処理剤であって、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物と、ボラン触媒とを含有する表面処理剤を提供する。

【0032】
本開示の第13の態様は、基材の表面を修飾する表面処理剤キットであって、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物を含有するA剤と、ボラン触媒を含有するB剤と、を含む表面処理剤キットを提供する。

【0033】
本開示の第14の態様は、上記第1から第7のいずれかの態様が提供する表面修飾基材の製造方法により得た、前記分子構造Aにより基材の表面が修飾された表面修飾基材を提供する。

【0034】
本開示の第15の態様は、上記第14の態様に加え、前記基材が、セルロースナノファイバー、パルプ粉末または金属酸化物粉末である表面修飾基材を提供する。

【0035】
本開示の第16の態様は、上記第14または第15の態様に加え、前記ヒドロシラン化合物が以下に示す新規ヒドロシラン化合物である表面修飾基材を提供する。

【0036】
1-(ジメチルシリル)ピレン、(ジメチルシリル)フェロセン、1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン、[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド、1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド、(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン、4-(ジメチルシリル)酪酸、4-(ジメチルシリル)酪酸エチル、[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート、4-(ジメチルシリル)ブタノール、(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン、5,6-エポキシヘキシルジメチルシラン、(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミド、フタロイルポリメチルヒドロシロキサン、クロロプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アミノプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アセトキシプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-クロロプロピル-イソプロポキシポリメチルヒドロシロキサン、3-アジドプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-ブロモプロピルポリメチルヒドロシロキサン、ドデシルポリメチルヒドロシロキサン、オクタデシルポリメチルヒドロシロキサン、パーフルオロヘキシルエチルポリメチルヒドロシロキサン、ポリアリルメチルヒドロシロキサン、ポリエポキシメチルヒドロシロキサン、ポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサン、ポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサン、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルシロキシポリメチルヒドロシロキサン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオキシポリメチルヒドロシロキサン、N-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、N-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミド、4-(1,3-ジチアン-2-イル)ジメチルシリルベンゼン、またはトリエチル-3-(ジメチルシリルプロピル)アンモニウムブロミド。

【0037】
[表面修飾基材の製造方法]
本開示の表面修飾基材の製造方法は、極性基が表面に存在する基材と、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物とをボラン触媒の存在下で接触させ、基材とヒドロシラン化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、分子構造Aにより表面が修飾された基材を形成する工程(I)を含む。この製造方法は、ケイ素原子を含む分子構造Aにより表面が修飾された基材(表面修飾基材)の製造方法であって、当該分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物と、極性基が表面に存在する基材とをボラン触媒の存在下で接触させ、基材とヒドロシラン化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、上記表面修飾基材を製造する方法である。

【0038】
工程(I)では、極性基が表面に存在する基材の表面の修飾に、ヒドロシラン化合物と特定の触媒とを使用する。工程(I)による基材の表面の修飾は低温かつ短時間で進行するため、本開示の製造方法によれば、従来よりも低温かつ短時間での基材表面の修飾が可能である。極性基は、例えば、ヒドロキシ基、カルボニル基、シアノ基、イミノ基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、ヒドロキシ基および/またはカルボニル基が好ましい。

【0039】
ヒドロシラン化合物は、アルコキシシランで見られるような空気中または溶液中での加水分解の影響を受けない。このため、ヒドロシラン化合物の分離、精製は容易であり、本開示の製造方法は工業的な実施に十分に適用できる。また、ヒドロシラン化合物間のゾルゲル反応が進行し難いため、多分子層構造の形成が抑制され、例えば単分子修飾層の形成も可能であるなど、基材の表面をより均一に修飾することができる。

【0040】
工程(I)による基材の表面の修飾は低温かつ短時間で進行するが、ヒドロシラン化合物自体は、ヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基に対してハロシランほどには強い反応性を示さない。このため、工程(I)は気相反応とすることも液相反応とすることもでき、多孔質体の内部の表面を修飾できるなど、本開示の製造方法における修飾反応の形態の自由度は高い。また、アリルシラン化合物に比べるとヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基に対する反応は十分に早く、不要な副反応が抑制される。この点も、本開示の製造方法における修飾反応の形態の自由度の高さに寄与する。

【0041】
ヒドロシラン化合物は、グリニャール試薬などの強い求核剤を用いた合成が可能である。このためライブラリー合成が可能となり、本開示の製造方法では基材表面に修飾させる分子構造Aの種類の自由度が高くなる。

【0042】
工程(I)では、表面にヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基が存在する限り、基材の構成(形状、種類、用途など)は限定されない。また、工程(I)による基材表面の修飾は低温かつ短時間で進行させることができる。このため、本開示の製造方法では、ガラス転移温度(Tg)が低い樹脂の表面に対する修飾が可能となるなど、基材の構成の自由度が高い。

【0043】
工程(I)では脱水素縮合反応が進行し、すなわち、基材表面の修飾の進行に伴って水素ガスが生成する。このため本開示の製造方法では、基材表面へのアルコールの吸着を避け難いアルコキシシランを用いたときよりも、基材の用途の自由度が高い。また、液相反応を選択した場合、基材表面の修飾の完了を水素ガスの発生の停止により目視で確認することができる。

【0044】
工程(I)では、金属元素を含む触媒(活性化剤)を使用せず、非金属元素であるホウ素の化合物であるボラン触媒を使用する。工程(I)では、白金族元素をはじめとする金属元素を含む触媒(活性化剤)を使用した場合に比べて、基材表面への分子構造Aの導入量(担持量)を増大させることができる。また、工程(I)では、修飾後に基材表面に金属元素が残留することによる、基材または基材表面の機能に対する悪影響を排除できる。

【0045】
(ヒドロシラン化合物)
ヒドロシラン化合物は、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有する、すなわち分子内にヒドロシリル基を有する、化合物である。分子構造Aは、ヒドロシラン化合物における、上記反応により脱離する水素原子以外の部分に対応する構造である。ヒドロシラン化合物は、分子の骨格(主鎖)にSi-H基を有することが好ましく、分子の末端にSi-H基を有する(分子構造Aの末端のケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有する)ことがより好ましい。分子構造Aの末端にSi-H基を有する場合、ヒドロシラン化合物は、分子構造Aの一方の末端のみにSi-H基を有していてもよいし、双方の末端にSi-H基を有していてもよい。双方の末端にSi-H基を有するなど、2以上のSi-H基を有するヒドロシラン化合物は、基材表面の修飾以外にも使用でき、例えば、後述する接合体の製造に使用できる。一つのケイ素原子に結合する水素原子の数は限定されないが、典型的には1つである。

【0046】
Si-H基を構成するケイ素原子の結合の手のうち、少なくとも1つには水素原子が結合しており、1つには分子構造A中の水素原子を除く他の原子、例えば分子構造Aの骨格を構成する原子、が結合している。残る手に結合する原子または基は限定されないが、ヒドロシラン化合物の安定性ならびにヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基との反応性の観点からは、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、なかでもメチル基が好ましい。アルキル基は、残る少なくとも1つの手に結合していても、残る全ての手に結合していてもよい。ヒドロシラン化合物は、残る全ての手にメチル基が結合した構造を有していてもよく、より具体的な例としてジメチルシリル基(-SiH(CH)を有していてもよい。

【0047】
工程(I)では、上記反応によってヒドロシラン化合物の分子構造Aが基材の表面に結合し、当該表面を修飾する。すなわちヒドロシラン化合物のうち、脱水素縮合反応により除去された水素原子を除く部分が、基材の表面に結合する。

【0048】
ヒドロシラン化合物の分子構造Aは、工程(I)が実施できる限り、上記Si-H基以外の任意の官能基を有することができる。当該官能基は、例えば重合性基であり、重合性基に限られないより具体的な例は、ビニル基、アリル基、アルキル基、アラルキル基、エステル基、アミド基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アジド基、アルコキシ基、ホスホン基、スルホン基、アルデヒド基、カルボニル基、スルフヒドリル基、カルバメート基、ヒドロキシ基である。分子構造Aがこれらの官能基を有する場合、本開示の製造方法により得た表面修飾基材またはその表面に、当該官能基に基づく機能を付与することができる。

【0049】
ヒドロシラン化合物を形成する方法は限定されず、例えば、グリニャール試薬などの強い求核剤を用いた合成が可能である。換言すれば、ヒドロシラン化合物のSi-H基は、グリニャール試薬の存在下においても保持できる。このため、ヒドロシラン化合物のライブラリー合成が可能となり、基材表面を修飾する分子構造Aの種類は幅広い。ヒドロシラン化合物の一例は、末端にアミノ基(-NH)、ヒドロキシ基(-OH)、スルフヒドリル基(-SH)またはMgX基を有する分子Aの当該基と、SiHRとの反応により形成された化合物である(RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1~8のアルキル基であって、例えば双方ともにメチル基であり、XおよびXはハロゲン原子である)。この反応では、SiHRが求電子剤として分子Aと反応し、この反応により分子AとSiHRとの間にC-N結合、C-O結合、C-S結合またはC-C結合が形成され、ヒドロシラン化合物が生成する。ヒドロシラン化合物の別の一例は、電子吸引性基を末端に有する分子Bの当該基と、SiHR-RMgXとの反応により形成された化合物である(RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1~8のアルキル基であって、例えば双方ともにメチル基であり、Rは有機基であり、XおよびXはハロゲン原子である)。この反応では、SiHR-RMgXが求核剤として分子Bと反応する。分子Aの例は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、酵素、グルコサミンのような生体関連物質;抗生物質、合成抗菌剤のような医薬品;カルバゾールに代表されるホール輸送性化合物;イミダゾリウム塩のようなイオン性液体;糖;アルコール;フェノールなどを含み、幅広い。分子Bが幅広いのも同様である。このため本開示の製造方法では、ヒドロシラン化合物として無数の化合物を使用することができ、基材表面に修飾させる分子構造Aの種類の自由度が高い。

【0050】
ヒドロシラン化合物の具体的な例は、1-(ジメチルシリル)ナフタレン、1-(ジメチルシリル)ピレン、(ジメチルシリル)フェロセン、(3-クロロプロピル)ジメチルシラン、(3-ブロモプロピル)ジメチルシラン、1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン、(3-アミノプロピル)ジメチルシラン、[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド、1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド、N-[3-(ジメチルシリル)プロピル]フタルイミド、(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン、4-(ジメチルシリル)酪酸、4-(ジメチルシリル)酪酸エチル、[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート、3-メルカプトプロピルジメチルシラン、4-(ジメチルシリル)ブタノール、(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)、5,6-エポキシヘキシルジメチルシラン、(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミド、フタロイルポリメチルヒドロシロキサン、クロロプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アミノプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アセトキシプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-クロロプロピル-イソプロポキシポリメチルヒドロシロキサン、3-アジドプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-ブロモプロピルポリメチルヒドロシロキサン、ドデシルポリメチルヒドロシロキサン、オクタデシルポリメチルヒドロシロキサン、パーフルオロヘキシルエチルポリメチルヒドロシロキサン、ポリアリルメチルヒドロシロキサン、ポリエポキシメチルヒドロシロキサン、ポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサン、ポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサン、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルシロキシポリメチルヒドロシロキサン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオキシポリメチルヒドロシロキサン、N-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、N-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミド、4-(1,3-ジチアン-2-イル)ジメチルシリルベンゼン、トリエチル-3-(ジメチルシリルプロピル)アンモニウムブロミド、3-イソシアナトプロピルジメチルシラン、3-イソシアナトプロピルポリメチルヒドロシロキサンである。このうち、PMHSは、分子内に多数のSi-H基を有するヒドロシラン化合物である。PMHSは、工業的には副生成物として得られる化合物であり、安価に市販のものを入手可能である。

【0051】
ヒドロシラン化合物は、アルコキシシランおよびハロシランとは異なり、シリカゲルカラムクロマトグラフィーといった一般的な精製法によって分離、精製が可能であるとともに、年単位の長期保存が可能な化合物である(換言すれば、工程(I)で使用するヒドロシラン化合物は、ケイ素化合物に対する一般的な加水分解条件でその分子構造を保持可能な化合物である)。このことは、本開示の製造方法が工業的な表面修飾基材の製造に適用できること、不純物の少ない表面修飾が可能であること、作製した化合物を必ずしも一度に使用しきる必要がないことなどの多くの工業的なメリットを意味する。

【0052】
(触媒)
工程(I)で使用する触媒はボラン触媒である。ボラン触媒は特に限定されず、例えば、トリクロロボラン、トリブロモボラン、トリフルオロボランおよびトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン((CB)から選ばれる少なくとも1種であり、基材表面の修飾をより低温かつ短時間で実施でき、修飾の効率が高いことから(CBが好ましい。

【0053】
(基材)
基材は、ヒドロキシ基、カルボニル基などの上述した極性基が表面に存在する限り、特に限定されない。例えばヒドロキシ基とカルボニル基とでは、ヒドロキシ基の方がヒドロシラン化合物のSi-H基と反応が進行しやすい。このため、ヒドロキシ基が表面に存在する基材の方が、より低温かつ短時間で工程(I)による基材の表面の修飾を実施できる。

【0054】
ヒドロキシ基が表面に存在する基材は、例えば、金属酸化物、シリカ、ガラス、セラミクス、およびヒドロキシ基を有する樹脂から選ばれる少なくとも1種の材料から構成される基材である。基材は、その表面の少なくとも一部にヒドロキシ基が存在していればよく、例えば、基材表面の少なくとも一部が上記少なくとも1種の材料から構成されている基材であってもよい。このような基材の一例は、表面が酸化された金属基材、表面に酸化膜を配置した金属基材である。金属酸化物は、例えば、TiO、ZrO、Al、In、CeO、ZnO、SnO、ITO(インジウム-スズ酸化物)、およびGeOである。シリカには、表面に酸化膜が配置されていてもよいシリコンウェーハ-が含まれる。セラミクスには、岩、石、砂が含まれる。ヒドロキシ基を有する樹脂は、例えば、セルロース、セルロースエステル、およびポリビニルアルコール(PVA)である。

【0055】
基材は、木材;ケナフなどの非木材植物質材料;綿、ペプチド、タンパク質、糖、皮革などの天然高分子、ビニロン、PVAなどの合成高分子;タルク、マイカ、アパタイトであってもよい。

【0056】
カルボニル基が表面に存在する基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル樹脂である。

【0057】
その他の極性基が表面に存在する基材は、例えば、グラフェン、カーボンナノチューブ、ポリイミドである。

【0058】
このように本開示の製造方法では、基材が非金属材料から構成されうる。

【0059】
なお、極性基は、例えば基材の表面処理(一例としてプラズマ処理、コロナ処理、光照射処理)により形成された基であってもよく、この場合、表面処理前の基材の表面には極性基が存在していてもいなくてもよい。また、基材が高分子の場合、極性基は、当該高分子を合成する際に使用した化合物(一例として重合開始剤)の残留物に由来する基であってもよい。

【0060】
基材の形状は限定されず、平板、バルク、多孔質体、薄片、粒子あるいは繊維であってもよい。本開示の製造方法では、薄片、粒子または繊維の基材を用いて、薄片、粒子または繊維の形状を有する表面修飾基材を製造できる。基材は、特開平06-265534号公報、特開平07-41374号公報、国際公開第2007/021037号に開示されているようなマクロ孔およびメソ孔の階層的多孔構造を有するモノリス多孔体であってもよい。なお、「マクロ孔」とは、IUPACによる提唱に従い、孔径(細孔径)が50nm以上の細孔を意味し、「メソ孔」とはマクロ孔とミクロ孔(孔径が2nm未満の細孔)との中間、すなわち孔径が2nm以上50nm未満の範囲にある細孔を意味する。

【0061】
基材のサイズも限定されず、例えば基材が繊維である場合、径が1~1000μm程度のマイクロファイバーあるいは径が1μm未満のナノファイバーでありうる。このような繊維の一例は、セルロースナノファイバー(ミクロフィブリル化セルロース)である。

【0062】
基材は生体の一部であってもよい。このような基材の一例は、歯である。歯の最表面はヒドロキシアパタイトが主成分のエナメル質で保護されており、すなわち、本開示の製造方法によりその表面の修飾が可能である。当該修飾により、例えば、歯の表面へのミュータンス菌の付着を抑制できる。このような基材の他の例は、髪の毛または爪である。

【0063】
(工程(I)の実施)
工程(I)を実施する具体的な方法は限定されず、触媒の存在下でヒドロシラン化合物と、表面修飾を望む基材表面とを接触させればよい。例えば、ヒドロシラン化合物と触媒とを含む溶液に基材を浸漬させる方法、表面修飾を望む基材表面にヒドロシラン化合物および触媒を塗布または噴霧する方法、などを採用できる。表面修飾を望む基材表面に対して、ヒドロシラン化合物と触媒とを同時に接触させても、任意の順序で個別に接触させてもよい。

【0064】
工程(I)は、気相反応とすることも液相反応とすることもできるが、液相反応とすることが好ましい。液相反応とすることにより、修飾すべき基材の形状、種類および用途の自由度がさらに高くなる。

【0065】
工程(I)を液相反応で実施する場合、例えば、ヒドロシラン化合物および触媒を含む溶液を使用する。当該溶液におけるヒドロシラン化合物の濃度は、例えば、0.05~0.20mol/Lであり、0.15~0.17mol/Lが好ましい。当該溶液における触媒の濃度は、例えば、0.0010~0.010mol/Lであり、0.0017~0.0040mol/Lが好ましい。溶液の溶媒は、工程(I)を阻害しない限り特に限定されず、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカンなどのアルカン、シクロヘキサンなどのシクロアルカン、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジフェニルエーテルなどのアルキルおよびアリールエーテル溶媒、N,N-ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒、鉱物油、直鎖および環状シリコーンオイル、またはこれらを複数種含む混合溶媒である。基材および基材表面への悪影響を押さえ、また、工程上の安全性の観点からは、ジクロロメタン、トルエン、ジエチルエーテル、THF、DMFが好ましい。また、溶液の溶媒は、ヒドロシラン化合物の種類によって選択でき、例えば、ヘキサンよりもシクロヘキサンの方が適することがあるし、また例えば、ヒドロシラン化合物の1種であるポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)および変性PMHSの溶解性に着目して、直鎖または環状シリコーンオイルを選択してもよい。工業的な製法の実施を考慮すると、例えばアルカンのなかでは、引火点が相対的に高いオクタン、デカン、ドデカンなどが使用しやすく、鉱物油、直鎖および環状シリコーンオイルも選択できる。シリコーンオイルは、種類によっては揮発性も確保でき、これにより工程(I)後の後処理が容易となることがある。成形、変形、切断、粉砕などの基材の前処理に使用する物質と同じ溶媒を選択してもよく、この場合、基材を前処理した後に工程(I)を引き続いて実施できる。工程(I)を阻害しない限り、溶液はヒドロシラン化合物および/または触媒以外の任意の材料を含むことができる。

【0066】
工程(I)を液相反応で実施する場合、上記溶媒に代えて、常温などの保存時の温度では固体(ゲルを含む)であるが、反応を進行させたい温度では液体となる媒体を使用することもできる。これにより、保存時には、触媒が寄与するヒドロシラン化合物の反応を抑制し、かつヒドロシラン化合物および触媒の活性を保ちながら、反応を進行させたい温度において上記液相反応を進行させることができる。例えば、垂直に配置したガラスなどの基材の表面に、ヒドロシラン化合物および触媒を上記媒体中に含む固体を配置した後、加温することによって媒体を液体とし、そのまま当該表面において修飾を進行させることが可能となる。このような媒体は、例えば、パラフィンである。パラフィンの種類によっては、下記の50℃未満の温度における基材の表面の修飾が可能である。必要に応じて、このような媒体に上述した溶媒を加えることもできる。

【0067】
工程(I)による基材の表面の修飾は、従来よりも低温かつ短時間で実施できる。工程(I)の実施条件は特に限定されないが、例えば、実施温度は50℃未満であり(工程(I)を50℃未満で進行させることができ)、40℃以下、30℃以下、さらには室温(25℃)とすることもできる。実施時間は、例えば、5時間以下であり、3時間以下、さらには1時間以下、30分以下、10分以下、5分以下とすることもできる。このような低温かつ短時間の実施条件は、基材にTgが低い樹脂材料を使用できるなど、基材の構成の自由度の高さにも寄与する。

【0068】
[接合体の製造方法]
本開示の表面修飾基材の製造方法は、様々な応用が可能である。例えば、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を2以上有するヒドロシラン化合物を用いることにより、当該2以上のSi-H基において基材の表面との脱水素縮合反応を進行させ、分子構造Aを当該反応点を接合点とする接合構造として複数の基材が互いに結合した接合体を製造できる。すなわち、本開示の接合体の製造方法は、ヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基が表面に存在する複数の基材と、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を2以上有するヒドロシラン化合物とをボラン触媒の存在下で接触させ、基材と化合物との間で脱水素縮合反応を進行させることで、分子構造Aを接合構造として複数の基材が互いに接合した接合体を得る工程(II)を含む。この接合体の製造方法では、基材の種類および用途などの自由度を高くできるなど、本開示の表面修飾基材の製造方法と同様の効果が得られる。

【0069】
ヒドロシラン化合物は、例えば、PMHS、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリエチルヒドロシロキサン、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキサン)シロキサン、ポリオクチルメチルシロキサン、変性PMHS(例えば後述の製造例および実施例において作製した変性PMHS)であり、PMHSおよび変性PMHSが好ましい。これらの化合物は一分子中に多数のSi-H基を有しており、Si-H基は脱水素縮合反応により基材表面との接合点となる。このため、接合体の接合強度が向上する。

【0070】
触媒は、工程(I)と同様であればよい。

【0071】
基材の形状は限定されず、例えば、平板、バルク、多孔質体、薄片、粒子あるいは繊維であってもよい。本開示の製造方法では、薄片、粒子または繊維の基材を用いて、その接合体を形成できる。

【0072】
工程(II)を実施する具体的な方法は限定されず、ヒドロシラン化合物がSi-H基を2以上有する化合物でなければならないことを除き、工程(I)と同様に実施できる。

【0073】
[表面修飾基材]
本開示の表面修飾基材は、本開示の製造方法により得た、分子構造Aにより基材の表面が修飾された表面修飾基材である。

【0074】
本開示の製造方法により得た表面修飾基材は、基材の構成、分子構造Aの種類および表面修飾量(担持量)に応じて、種々の機能(表面の機能、または基材としての機能)を有する。機能は、例えば、疎水性、撥水性、超撥水性、超親水性、耐熱性、難燃性、不燃性、化学反応性(酵素などを利用した生物学的反応を含む)、重合性、重合開始性(分子構造Aが重合開始剤としての機能を有する場合など)、光反応性、光応答性、物質分離・精製特性、吸着性、電気化学的特性、導電性、イオン伝導性、相溶性、接着性、熱伝導性である。これにより表面修飾基材は、種々の用途に使用することができる。用途は、例えば、撥水材料、超撥水材料、超親水材料、耐熱材料、難燃材料、不燃材料、封止材、光応答機能性材料、分離・精製カラムのような分離・精製媒体、吸着材料、電気化学活性材料、フォトパターニング材料、透明導電膜材料、プロトン導電膜、バイオリアクター(酵素担持)、PMHS複合材料、有機触媒金属触媒、分子認識(糖、ペプチド、セルロース複合体)材料、樹脂添加物(例えば、基材表面への樹脂との相溶性の付与を利用した強度向上剤、耐熱性向上剤。このとき、基材は、シリカ、パルプ、ケナフ、柿渋などでありうる)、接着材料、熱伝導材料である。工程(I)における副反応の少なさも、これら用途のバリエーションの多様さに寄与している。

【0075】
表面修飾基材の製造方法の説明において上述したように、本開示の製造方法では、基材の形状およびサイズは限定されない。このため、本開示の製造方法により得た表面修飾基材の形状およびサイズも限定されず、例えば、基材がセルロースナノファイバー、パルプ粉末または金属酸化物粉末でありうる。また、分子構造Aが以下に示す新規ヒドロシラン化合物に由来する分子構造Aでありうる:1-(ジメチルシリル)ピレン、(ジメチルシリル)フェロセン、1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン、[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド、1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド、(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン、4-(ジメチルシリル)酪酸、4-(ジメチルシリル)酪酸エチル、[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート、4-(ジメチルシリル)ブタノール、(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン、5,6-エポキシヘキシルジメチルシラン、(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミド、フタロイルポリメチルヒドロシロキサン、クロロプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アミノプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-アセトキシプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-クロロプロピル-イソプロポキシポリメチルヒドロシロキサン、3-アジドプロピルポリメチルヒドロシロキサン、3-ブロモプロピルポリメチルヒドロシロキサン、ドデシルポリメチルヒドロシロキサン、オクタデシルポリメチルヒドロシロキサン、パーフルオロヘキシルエチルポリメチルヒドロシロキサン、ポリアリルメチルヒドロシロキサン、ポリエポキシメチルヒドロシロキサン、ポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサン、ポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサン、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルシロキシポリメチルヒドロシロキサン、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオキシポリメチルヒドロシロキサン、N-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、N-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホラン、4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミド、4-(1,3-ジチアン-2-イル)ジメチルシリルベンゼン、またはトリエチル-3-(ジメチルシリルプロピル)アンモニウムブロミド。

【0076】
[接合体]
本開示の製造方法により得た接合体は、基材の構成、分子構造Aの種類および含有量に応じて、種々の機能を有する。機能は、例えば、表面修飾基材の説明において上述したとおりである。また、この機能に基づく用途も特に限定されず、例えば、表面修飾基材の説明において上述したとおりである。

【0077】
[表面処理剤]
上述した表面修飾基材の製造方法および接合体の製造方法、ひいては、基材の表面の修飾および基材間の接合は、例えば、本開示の表面処理剤により実施できる。本開示の表面処理剤は、基材の表面を修飾する表面処理剤であって、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物と、ボラン触媒とを含有する。本開示の表面処理剤は、上記ヒドロシラン化合物およびボラン触媒が、処理剤の保存時の温度では固体(ゲルを含む)であるが、反応を進行させたい温度では液体となる媒体に含まれた状態にあることが好ましい。この表面処理剤により、基材の表面の修飾および基材間の接合が可能であることは、表面修飾基材の製造方法および接合体の製造方法に関する上述した説明により理解できる。

【0078】
基材間の接合を行う場合、本開示の処理剤は、接合剤(接合処理剤)でもある。

【0079】
本開示の処理剤によって基材の表面の修飾を行う具体的な方法は限定されない。例えば、基材の表面に処理剤を配置し、必要に応じて加温すればよい。配置には、塗布、噴霧などの方法を適用できる。処理剤の配置および必要に応じた加温により、当該表面において基材とヒドロシラン化合物との間で脱水素縮合反応が進行して、分子構造Aにより基材の表面が修飾される(分子構造Aにより表面が修飾された基材が形成される)。

【0080】
本開示の処理剤によって基材間の接合を行う具体的な方法は限定されず、例えば、基材間の表面(接合面)に処理剤が配置された状態を作り出せばよい。このとき、必要に応じて加温を実施する。

【0081】
本開示の処理剤におけるヒドロシラン化合物の濃度は、例えば、0.05~0.20mol/Lであり、0.15~0.17mol/Lが好ましい。本開示の処理剤におけるボラン触媒の濃度は、例えば、0.0010~0.010mol/Lであり、0.0017~0.0040mol/Lが好ましい。

【0082】
なお、本開示の処理剤が撥水剤、撥油剤などの撥液剤を含まない場合においても、ヒドロシラン化合物の種類を選択することにより、表面処理として撥液処理を実施することも可能である。

【0083】
基材は限定されない。ただし、その処理面(修飾面、接合面)にはヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基が存在する。本開示の処理剤は、基材の形状の制限を受けにくく、例えば、薄片、粒子または繊維の基材に対しても処理を実施できる。

【0084】
本開示の処理剤は、必要に応じて、ヒドロシラン化合物およびボラン触媒以外の材料を含んでいてもよい。

【0085】
本開示の処理剤は、例えば、容器に収容した状態で流通させることができる。このとき、容器は限定されないが、処理剤が接触する表面にヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基が存在しない容器を選択できる。

【0086】
[表面処理剤キット]
上述した表面修飾基材の製造方法および接合体の製造方法、ひいては、基材の表面の修飾および基材間の接合は、例えば、本開示の表面処理剤キットにより実施できる。本開示の処理剤キットは、基材の表面を修飾する処理剤キットであって、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を有するヒドロシラン化合物を含有するA剤と、ボラン触媒を含有するB剤と、を含む。この処理剤キットにより、基材の表面の修飾および基材間の接合が可能であることは、表面修飾基材の製造方法および接合体の製造方法に関する上述した説明により理解できる。

【0087】
基材間の接合を行う場合、本開示のキットは接合剤キット(接合処理剤キット)でもある。

【0088】
本開示の処理剤キットによって基材の表面の修飾を行う具体的な方法は限定されない。例えば、基材の表面にA剤およびB剤を同時または個別に配置すればよい。配置には、塗布、噴霧などの方法を適用できる。A剤およびB剤の配置により、当該表面において基材とヒドロシラン化合物との間で脱水素縮合反応が進行して、分子構造Aにより基材の表面が修飾される(分子構造Aにより表面が修飾された基材が形成される)。

【0089】
本開示の処理剤キットによって基材間の接合を行う具体的な方法は限定されない。基材間の表面(接合面)にA剤およびB剤が配置された状態を作り出せばよい。そのためには、例えば、2つの基材を接合する場合、一方の基材の表面(接合面)にA剤およびB剤を配置した後、他方の基材の表面(接合面)を上記一方の基材の接合面に接触させる;一方の基材の接合面にA剤を配置し、他方の基材の接合面にB剤を配置した後、双方の基材の接合面同士を接触させる;双方の基材の接合面同士を接触させた後、当該接合面にA剤およびB剤を配置する;などの方法を採用できる。

【0090】
A剤は、分子構造Aを含むヒドロシラン化合物を含有する。ヒドロシラン化合物は上述したとおりである。基材間の接合を実施する(接合体の製造方法を実施する)場合、分子構造Aのケイ素原子に水素原子が結合したSi-H基を2以上有するヒドロシラン化合物を用いる。A剤は、ヒドロシラン化合物以外の任意の材料を含有できる。当該任意の材料は、例えば、溶剤である。A剤が当該任意の材料を含む場合、A剤におけるヒドロシラン化合物の含有率は、例えば0.5~80重量%であり、5~10重量%が好ましい。溶剤は、例えば、上述した溶剤であり、具体的な例として、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、パラフィン、鉱物油である。無溶媒での反応を進行させる場合は、溶媒は不要とすることができる。

【0091】
B剤は、ボラン触媒を含有する。ボラン触媒は上述したとおりである。B剤は、ボラン触媒以外の任意の材料を含有できる。当該任意の材料は、例えば、溶剤である。B剤が当該任意の材料を含む場合、B剤におけるボラン触媒の含有率は、例えば0.5~80重量%であり、5~10重量%が好ましい。溶剤は、例えば、上述した溶剤であり、具体的な例として、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、パラフィン、鉱物油である。無溶媒での反応を進行させる場合は、溶媒は不要とすることができる。

【0092】
なお、本開示の処理液キットが(A剤および/またはB剤が)撥水剤、撥油剤などの撥液剤を含まない場合においても、ヒドロシラン化合物の種類を選択することにより、表面処理として撥液処理を実施することも可能である。

【0093】
基材は限定されない。ただし、その処理面(修飾面、接合面)にはヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基が存在する。本開示の処理剤キットは、基材の形状の制限を受けにくく、例えば、薄片、粒子または繊維の基材に対しても処理を実施できる。

【0094】
本開示の処理剤キットは、必要に応じて、A剤およびB剤と、それ以外の任意の材料とから構成されていてもよい。

【0095】
A剤およびB剤は、例えば、容器に収容した状態で流通させることができる。このとき、容器は限定されないが、A剤、B剤が接触する表面にヒドロキシ基およびカルボニル基などの極性基が存在しない容器を選択できる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【実施例】
【0097】
[ヒドロシラン化合物の作製]
(製造例1:1-(ジメチルシリル)ナフタレンの合成)
1-ヨードナフタレン(2541mg,10mmol)のジエチルエーテル(EtO)溶液(40mL)に、n-ブチルリチウム(nBuLi)のヘキサン溶液(6.25mL,nBuLiが10mmol)を窒素雰囲気下および-5℃でゆっくり滴下し、15分撹拌した。次に、クロロジメチルシラン(1135mg,12mmol)をさらに加えて室温で2時間撹拌した後、HCl水溶液(濃度10重量%)および蒸留水で分液操作を行った。水層をEtOで抽出し、残った有機層にNaSOを加えて濾過、濃縮した。次に、得られた混合物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)により精製して、1769mg(9.5mmol)の1-(ジメチルシリル)ナフタレン(1)を収率95%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0098】
【化1】
JP0005924633B2_000002t.gif
【実施例】
【0099】
得られた1-(ジメチルシリル)ナフタレンは、H-NMR測定により同定した。H-NMR測定の重溶媒にはCDClを使用した(以降の製造例においても同じである)。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):8.11-8.13(d,J=8.4Hz,1H),7.86-7.90(m,2H),7.72-7.74(d,J=6.6Hz,1H),7.45-7.56(m,3H),4.84-4.90(m,1H),0.50-0.51(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0100】
(製造例2:1-(ジメチルシリル)ピレンの合成)
1-ブロモピレン(843mg,3mmol)のEtO(25mL)/THF(5mL)溶液に、nBuLiのヘキサン溶液(1.88mL,nBuLiが3mmol)を窒素雰囲気下および-5℃でゆっくり滴下し、30分撹拌した。次に、クロロジメチルシラン(339mg,3.6mmol)をさらに加えて室温で2時間撹拌した後、HCl水溶液(濃度10重量%)および蒸留水で分液操作を行った。水層をCHClで抽出し、残った有機層にNaSOを加えて濾過、濃縮した。次に、得られた混合物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)により精製して、735mg(2.82mmol)の1-(ジメチルシリル)ピレン(2)を収率94%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0101】
【化2】
JP0005924633B2_000003t.gif
【実施例】
【0102】
得られた1-(ジメチルシリル)ピレンは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):8.38-8.40(d,J=9.2Hz,1H),8.17-8.22(t,J=7.6Hz,3H),8.12-8.17(t,J=9.2Hz,2H),8.03-8.10(dd,J=6.0,9.2Hz,2H),7.99-8.03(t,J=7.6Hz,1H),5.05-5.11(m,1H),0.60-0.61(d,J=4.0Hz,6H)
【実施例】
【0103】
(製造例3:(ジメチルシリル)フェロセンの合成)
フェロセン(1860mg,10mmol)およびカリウム-t-ブトキシド(tBuOK,168mg,1.5mmol)のTHF溶液を、窒素雰囲気下および-78℃で15分撹拌した。次に、t-ブチルリチウム(tBuLi)のヘキサン溶液(12.5mL,tBuLiが20mmol)を窒素雰囲気下および-70℃でゆっくり滴下し、90分撹拌した。次に、クロロジメチルシラン(2838mg,30mmol)をさらに加え、冷却槽から取り出して室温で2時間撹拌した。次に、反応混合物にEtOを加えた後、HCl水溶液(濃度10重量%)および蒸留水で分液操作を行った。水層をEtOで抽出し、残った有機層にNaSOを加えて濾過、濃縮した。得られた混合物を蒸留操作により精製して、1806mg(7.4mmol)の(ジメチルシリル)フェロセン(3)を収率74%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0104】
【化3】
JP0005924633B2_000004t.gif
【実施例】
【0105】
得られた(ジメチルシリル)フェロセンは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.38-4.44(m,1H),4.35-4.36(t,J=1.6Hz,2H),4.14(s,7H),0.30-0.31(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0106】
(製造例4:(3-クロロプロピル)ジメチルシランの合成)
クロロ(1,5-シクロオクタジエン)イリジウムダイマー([IrCl(cod)],2.6mg,Irが0.003mmol)、塩化アリル(3.25mL,40mmol)および1,5-シクロオクタジエン(10μL,0.08mmol)の混合物にクロロジメチルシラン(5.18mL,46mmol)を加え、40℃で6時間撹拌した。次に、得られた混合物を減圧下で蒸留することによりクロロ(3-クロロプロピル)ジメチルシラン(6293mg,36.8mmol)を収率92%で得た。
【実施例】
【0107】
次に、得られたクロロ(3-クロロプロピル)ジメチルシラン(6293mg,36.8mmol)を、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH、1398mg,36.8mmol)のEtO(40mL)溶液に窒素雰囲気下および0℃でゆっくり加え、室温で2時間撹拌した。次に、得られた混合物を氷冷し、NaSO・10HOをゆっくり加えて撹拌した。これをセライト濾過し、CHClで洗い、さらに減圧下で蒸留することで、4477mg(32.8mmol)の(3-クロロプロピル)ジメチルシラン(4)を塩化アリルより収率82%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0108】
【化4】
JP0005924633B2_000005t.gif
【実施例】
【0109】
得られた(3-クロロプロピル)ジメチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):3.85-3.90(m,1H),3.50-3.54(t,J=7.2Hz,2H),1.78-1.85(m,2H),0.68-0.73(m,2H),0.09-0.10(d,J=4.0Hz,6H)
【実施例】
【0110】
また、得られた(3-クロロプロピル)ジメチルシランは、併せて13C-NMRおよび29Si-NMRによっても同定した。13C-NMRおよび29Si-NMRのプロファイルをそれぞれ図1,2に示す。
【実施例】
【0111】
(製造例5:(3-ブロモプロピル)ジメチルシランの合成)
[IrCl(cod)](2.6mg,Irが0.003mmol)、臭化アリル(3.49mL,40mmol)および1,5-シクロオクタジエン(10μL,0.08mmol)の混合物にクロロジメチルシラン(5.18mL,46mmol)を加え、40℃で17時間撹拌した。次に、得られた混合物を減圧下で蒸留することによりクロロ(3-ブロモプロピル)ジメチルシラン(6443mg,35.6mmol)を収率89%で得た。
【実施例】
【0112】
次に、得られたクロロ(3-ブロモプロピル)ジメチルシラン(6443mg,35.6mmol)をLiAlH(1352mg,35.6mmol)のEtO(40mL)溶液に窒素雰囲気下および0℃でゆっくり加え、室温で2時間撹拌した。次に、得られた混合物を氷冷し、NaSO・10HOをゆっくり加えて撹拌した。これをセライト濾過し、CHClで洗い、さらに減圧下で蒸留することで、6082mg(33.6mmol)の(3-ブロモプロピル)ジメチルシラン(5)を臭化アリルより収率84%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0113】
【化5】
JP0005924633B2_000006t.gif
【実施例】
【0114】
得られた(3-ブロモプロピル)ジメチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):3.85-3.90(m,1H),3.39-3.43(t,J=6.8Hz,2H),1.86-1.93(m,2H),0.68-0.73(m,2H),0.09-0.10(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0115】
(製造例6:1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレンの合成)
[IrCl(cod)](0.6mg,Irが0.8μmol)および1,5-シクロオクタジエン(2.5μL,0.02mmol)の混合物に1-アリルナフタレン(1682mg,10mmol)およびクロロジメチルシラン(1.54mL,11.5mmol)を加え、40℃で12時間撹拌した。
【実施例】
【0116】
次に、得られた混合物を氷冷し、EtO(30mL)を加え、さらにトリエチルアミン(EtN,2038mg,20mmol)およびイソプロピルアルコール(iPrOH,900mg,15mmol)をそれぞれ滴下し、室温で30分撹拌した。次に、得られた粗生成物をセライトで濾過し、減圧下で濃縮した。次に、ショートパスカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/EtO=20/1(体積比))に通して溶媒を濃縮して、1-[(3-ジメチルイソプロポキシシリル)プロピル]ナフタレン(2345mg,8.2mmol)を得た。
【実施例】
【0117】
次に、得られた1-[(3-ジメチルイソプロポキシシリル)プロピル]ナフタレン(2345mg,8.2mmol)を、LiAlH(312mg,8.2mmol)のTHF溶液(20mL)に窒素雰囲気下および0℃でゆっくり加え、その後、60℃で2時間撹拌した。次に、得られた混合物を氷冷し、NaSO・10HOをゆっくり加えて撹拌した。これをセライト濾過し、CHClで洗い、減圧下で濃縮し、さらにカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製することで、1622mg(7.1mmol)の1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン(6)を収率71%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0118】
【化6】
JP0005924633B2_000007t.gif
【実施例】
【0119】
得られた1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレンは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):8.04-8.06(d,J=8.4Hz,1H),7.85-7.87(d,J=6.8Hz,1H),7.71-7.73(d,J=8.0Hz,1H),7.45-7.53(m,2H),7.39-7.42(t,J=7.6Hz,1H),7.32-7.34(d,J=6.8Hz,1H),3.86-3.91(m,1H),3.09-3.13(t,J=7.6Hz,2H),1.78-1.86(m,2H),0.73-0.77(m,2H),0.07-0.08(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0120】
(製造例7:(3-アジドプロピル)ジメチルシランの合成)
アジ化ナトリウム(NaN、1170mg,18.0mmol)のジメチルフォルムアミド(DMF)溶液(24mL)に、製造例5で作製した(3-ブロモプロピル)ジメチルシラン(2172mg,12mmol)を窒素雰囲気下で加え、60℃で12時間撹拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、蒸留水を加えてペンタンで分液操作を行った。水層をペンタンで抽出し、集めたペンタン層をブライン(飽和食塩水)で洗浄した。これをNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、1681mg(11.7mmol)の(3-アジドプロピル)ジメチルシラン(7)を収率98%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0121】
【化7】
JP0005924633B2_000008t.gif
【実施例】
【0122】
得られた(3-アジドプロピル)ジメチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):3.85-3.90(m,1H),3.24-3.28(t,J=6.8Hz,2H),1.61-1.69(m,2H),0.62-0.67(m,2H),0.09-0.10(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0123】
(製造例8:(3-アミノプロピル)ジメチルシランの合成)
M. X. Dung et al., "InP Quantum Dot-Organosilicon Nanocomposites", Bulletin of Korean Chemical Society, vol. 33 (2012), No. 5, pp. 1491-1504に記載の方法に従い、以下の式(8)に示す(3-アミノプロピル)ジメチルシランを得た。
【実施例】
【0124】
【化8】
JP0005924633B2_000009t.gif
【実施例】
【0125】
(製造例9:[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミドの合成)
製造例8で作製した(3-アミノプロピル)ジメチルシラン(585mg,5.0mmol)およびトリエチルアミン(531mg,5.25mmol)のCHCl溶液(4mL)を窒素雰囲気下で0℃に冷却し、そこに塩化アクリロイル(475mg,5.25mmol)のCHCl溶液(20mL)をゆっくり滴下した後、冷却槽から取り出し、室温で12時間撹拌した。得られた反応混合物に蒸留水を加え、水層をCHClで抽出し、集めた有機層をNaSOで乾燥させた。次に、有機層を濾過し、減圧下で濃縮して、795mg(5mmol)の[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド(9)を定量的に得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0126】
【化9】
JP0005924633B2_000010t.gif
【実施例】
【0127】
得られた[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミドは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):6.26-6.30(dd,J=2.0,16.8Hz,1H),6.05-6.12(m,1H),5.66(bs,1H),5.62-5.65(dd,J=1.2,10Hz,1H),3.84-3.89(m,1H),3.31-3.36(q,J=7.2Hz,2H),1.55-1.62(m,2H),0.58-0.63(m,2H),0.07-0.08(d,J=4.0Hz,6H)
【実施例】
【0128】
(製造例10:1-(3-ジメチルシリルプロピル)イミダゾールの調製)
水素化ナトリウム(NaH,144mg,6.0mmol)のDMF懸濁溶液(24mL)に、窒素雰囲気下、0℃でイミダゾール(408mg,6.0mmol)を少しずつ加え、45分撹拌した。次に、製造例5で作製した3-(ブロモプロピル)ジメチルシラン(905mg,5.0mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。次に、得られた反応混合物に蒸留水を加え、CHClで水層を抽出した。次に、有機層をブラインで洗浄後、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル(EtOAc)/ヘキサン=3/1(体積比))で精製して、781mg(4.7mmol)の1-(3-ジメチルシリルプロピル)イミダゾール(10)を収率93%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0129】
【化10】
JP0005924633B2_000011t.gif
【実施例】
【0130】
得られた1-(3-ジメチルシリルプロピル)イミダゾールは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):7.47(s,1H),7.06(s,1H),6.91(a,1H),3.91-3.94(t,J=7.6Hz,2H),3.83-3.89(m,1H),1.88(bs,1H),1.77-1.85(m,2H),0.52-0.57(m,2H),0.07-0.08(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0131】
(製造例11:1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイドの合成)
製造例10で作製した1-(3-ジメチルシリルプロピル)イミダゾール(504mg,3.0mmol)のCHCl溶液(6mL)に、窒素雰囲気下でヨウ化メチル(MeI,426mg,3.0mmol)を加え、40℃で24時間撹拌した。反応終了後、減圧下で濃縮して、930mg(3.0mmol)の1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド(11)を定量的に得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0132】
【化11】
JP0005924633B2_000012t.gif
【実施例】
【0133】
得られた1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイドは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):10.17(s,1H),7.47(s,1H),7.37(a,1H),4.32-4.36(t,J=7.2Hz,2H),4.14(s,3H),3.83-3.89(m,1H),1.92-2.00(m,2H),0.60-0.65(m,2H),0.10-0.11(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0134】
(製造例12:N-[3-(ジメチルシリル)プロピル]フタルイミドの合成)
カリウムフタルイミド(1556mg,8.4mmol)のDMF溶液(14mL)に製造例5で作製した(3-ブロモプロピル)ジメチルシラン(1267mg,7.0mmol)を加え、70℃で15時間撹拌した。次に、得られた反応混合物にHCl水溶液(濃度10重量%)を加え、EtOAcで分液抽出した。次に、集めた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。次に、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/EtO=3/2(体積比))で精製して、1628mg(6.6mmol)のN-[3-(ジメチルシリル)プロピル]フタルイミド(12)を収率94%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0135】
【化12】
JP0005924633B2_000013t.gif
【実施例】
【0136】
得られたN-[3-(ジメチルシリル)プロピル]フタルイミドは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):7.83-7.87(m,2H),7.69-7.73(m,2H),3.83-3.88(m,1H),3.66-3.70(t,J=7.2Hz,2H),1.67-1.75(m,2H),0.60-0.65(m,2H),0.07-0.08(d,J=4.0Hz,6H)
【実施例】
【0137】
(製造例13:(3-ニトロプロピル)ジメチルシランの合成)
亜硝酸ナトリウム(NaNO,725mg,10.5mmol)のDMF溶液(14mL)に、製造例5で作製した3-(ブロモプロピル)ジメチルシラン(1267mg,7.0mmol)を加え、室温で6時間撹拌した。次に、EtOおよび蒸留水を加えて分液抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。次に、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/EtOAc=5/1(体積比))で精製して、329mg(2.2mmol)の(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン(13)を収率32%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0138】
【化13】
JP0005924633B2_000014t.gif
【実施例】
【0139】
得られた(3-ニトロプロピル)ジメチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.36-4.40(t,J=7.2Hz,2H),3.87-3.92(m,1H),2.02-2.10(m,2H),0.62-0.66(m,2H),0.11-0.12(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0140】
(製造例14:3-(ジメチルシリルプロピル)マグネシウムクロリドの調製)
THF(1mL)および一片のIを窒素雰囲気下でマグネシウム(365mg,15mmol)に加え5分間静置した。次に、THF(9mL)および製造例4で作製した(3-クロロプロピル)ジメチルシラン(1365mg,10mmol)を加えて70℃で2時間撹拌し、対応するグリニャール試薬である3-(ジメチルシリルプロピル)マグネシウムクロリド(14)を得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0141】
【化14】
JP0005924633B2_000015t.gif
【実施例】
【0142】
(製造例15:4-(ジメチルシリル)酪酸の合成)
製造例14で作製した3-(ジメチルシリルプロピル)マグネシウムクロリドのTHF溶液(10mL,9.0mmol)を常圧の二酸化炭素雰囲気下、室温で12時間撹拌した。次に、HCl水溶液(濃度10重量%)を加え、水層をEtOで抽出した。次に、集めた有機層に飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO)水溶液を加えて分液し、水層をHCl水溶液(濃度10重量%)で中和した後、EtOで抽出した。残る有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。次に、濾過操作をし、減圧下で濃縮して得られた混合物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/EtOAc=3/1(体積比))で精製して、618mg(4.2mmol)の4-(ジメチルシリル)酪酸(15)を収率47%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0143】
【化15】
JP0005924633B2_000016t.gif
【実施例】
【0144】
得られた4-(ジメチルシリル)酪酸は、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):11.96(s,1H),3.77-3.82(m,1H),2.17-2.21(t,J=7.2Hz,2H),1.46-1.54(m,2H),0.52-0.57(m,2H),0.02-0.03(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0145】
(製造例16:4-(ジメチルシリル)酪酸エチルの合成)
-30℃に冷却したクロロギ酸エチル(1172mg,10.8mmol)のTHF溶液(2mL)に、製造例14で作製した3-(ジメチルシリルプロピル)マグネシウムクロリドのTHF溶液(10mL,9.0mmol)を窒素雰囲気下でゆっくり滴下し、-30℃で1時間撹拌した。次に、冷却槽から取り出し、室温に戻しながら1時間撹拌を続けた。次に、得られた混合溶液を減圧下で濃縮し、EtOおよびHCl水溶液(濃度10重量%)を加え分液操作を行った。水層をEtOで抽出し、得られた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。次に、濾過操作をし、減圧下で濃縮して得た混合物をクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/EtOAc=30/1(体積比))で精製して、1394mg(8.9mmol)の4-(ジメチルシリル)酪酸エチル(16)を収率89%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0146】
【化16】
JP0005924633B2_000017t.gif
【実施例】
【0147】
得られた4-(ジメチルシリル)酪酸エチルは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.11-4.15(q,J=6.8Hz,2H),3.84-3.89(m,1H),2.32-2.36(t,J=7.2Hz,2H),1.65-1.73(m,2H),1.25-1.29(t,J=7.2Hz,3H),0.60-0.65(m,2H),0.08-0.09(d,J=4.0Hz,6H)
【実施例】
【0148】
(製造例17:[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェートの合成)
-30℃に冷却したジエチルクロロホスフェイト(1864mg,10.8mmol)のTHF溶液(2mL)に、製造例14で作製した3-(ジメチルシリルプロピル)マグネシウムクロリドのTHF溶液(10mL,9.0mmol)を窒素雰囲気下でゆっくり滴下し、-30℃で1時間撹拌した。次に、冷却槽から取り出し、室温に戻しながら1時間撹拌した。次に、得られた混合溶液を減圧下で濃縮し、CHClを加え、HCl水溶液(濃度10重量%)およびNaHCOで分液操作を行った。水層をCHClで抽出し、得られた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。次に、濾過操作をし、減圧下で濃縮して得た混合物をクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/EtOAc=1/2(体積比))で精製して、1992mg(8.4mmol)の[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート(17)を収率93%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0149】
【化17】
JP0005924633B2_000018t.gif
【実施例】
【0150】
得られた[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェートは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.02-4.16(m,4H),3.83-3.88(m,1H),1.61-1.83(m,4H),1.31-1.34(t,J=7.2Hz,6H),0.68-0.73(m,2H),0.08-0.09(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0151】
(製造例18:3-メルカプトプロピルジメチルシランの合成)
0℃に冷却した硫黄(346mg,10.8mmol)のTHF溶液(2mL)に、製造例14で作製した3-(ジメチルシリルプロピル)マグネシウムクロリドのTHF溶液(10mL,9mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で12時間撹拌した。次に、得られた反応混合物をEtOおよびHCl水溶液(濃度10重量%)で分液操作を行った。次に、水層をEtOで抽出し、得られた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。次に、濾過し、減圧下で濃縮して、ジスルフィド体を含む3-(メルカプトプロピル)ジメチルシランの混合物(1073mg)を得た。次に、得られた混合物(1073mg)をLiAlH(304mg,8mmol)のEtO(16mL)溶液に加え、40℃で1時間撹拌した。次に、得られた反応混合物にHCl水溶液(濃度10重量%)を加えて分液し、水層をEtOで抽出し、集めた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。その後、溶液を濾過し、減圧下で蒸留して、820mg(6.1mmol)の(3-メルカプトプロピル)ジメチルシラン(18)を収率68%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0152】
【化18】
JP0005924633B2_000019t.gif
【実施例】
【0153】
得られた(3-メルカプトプロピル)ジメチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):3.84-3.89(m,1H),2.52-2.57(q,J=7.6Hz,2H),1.62-1.70(m,2H),1.33-1.37(t,J=7.6Hz,1H),0.66-0.71(m,2H),0.08-0.09(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0154】
(製造例19:4-(ジメチルシリル)ブタノールの合成)
0℃に冷却したパラフォルムアルデヒド(332mg,11.0mmol)のTHF溶液(2mL)に、製造例14で作製した3-(ジメチルシリルプロピル)マグネシウムクロリドのTHF溶液(10mL,9.2mmol)を窒素雰囲気下で加え、室温で18時間撹拌した。次に、反応混合物にEtOおよびHCl水溶液(濃度10重量%)を加えて分液抽出し、集めた有機層をブラインで洗浄した後、NaSOで乾燥させた。その後、濾過し、減圧下で濃縮し、蒸留して、1095mg(8.3mmol)の4-(ジメチルシリル)ブタノール(19)を収率90%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0155】
【化19】
JP0005924633B2_000020t.gif
【実施例】
【0156】
得られた4-(ジメチルシリル)ブタノールは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):3.83-3.88(m,1H),3.64-3.67(t,J=6.4Hz,2H),1.58-1.65(m,2H),1.39-1.47(m,2H),1.19(bs,1H),0.59-0.64(m,2H),0.07-0.08(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0157】
(製造例20:(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシランの合成)
マグネシウム(365mg,15mmol)を収容した二ツ口フラスコを真空雰囲気下で加熱した後、窒素で置換し、EtO(2mL)および少量のIを加えた。次に、混合物を45℃に加熱し、製造例4で作製した(3-クロロプロピル)ジメチルシラン(1365mg、10mmol)のEtO溶液(10mL)をゆっくりと加え、45℃で4時間攪拌した。次に、上澄み溶液を、氷冷したベンゾニトリル(1236mg,12.0mmol)のEtO溶液(2mL)にゆっくりと加え、45℃で15時間攪拌した。次に、得られた反応混合物にEtOおよびHCl水溶液(濃度10重量%)を加え、分液操作を行った。得られた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。次に、減圧下で濃縮し、クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/EtOAc=20/1(体積比))で精製して、1339mg(6.5mmol)の(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン(20)を収率65%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0158】
【化20】
JP0005924633B2_000021t.gif
【実施例】
【0159】
得られた(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):7.95-7.98(m,2H),7.54-7.58(s,1H),7.44-7.49(m,2H),3.86-3.91(m,1H),3.00-3.03(t,J=7.2Hz,2H),1.77-1.85(m,2H),0.66-0.71(m,2H),0.09-0.10(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0160】
(製造例21:7-[(3-ジメチルシリル)プロポキシ]クマリンの合成)
0℃に冷却した水素化ナトリウム(72mg,3.0mmol)のDMF溶液(9mL)に、ウンベリフェロン(486mg,3.0mmol)を窒素雰囲気下で少しずつ加え、30分攪拌した。次に、製造例5で作製した(3-ブロモプロピル)ジメチルシラン(655mg,3.6mmol)を加えて60℃で12時間攪拌した。次に、得られた反応混合物に蒸留水およびCHClを加えて分液抽出し、有機層をブラインで洗浄した後、NaSOで乾燥させた。その後、濾過し、減圧下で濃縮し、クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/EtOAc=8/1(体積比))で精製して、677mg(2.58mmol)の7-[(3-ジメチルシリル)プロポキシ]クマリン(21)を収率86%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0161】
【化21】
JP0005924633B2_000022t.gif
【実施例】
【0162】
得られた7-[(3-ジメチルシリル)プロポキシ]クマリンは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):7.63-7.65(d,J=9.6Hz,2H),7.36-7.38(d,J=8.8Hz,2H),6.80-6.85(m,2H),6.24-6.26(d,J=9.2Hz,1H),3.98-4.01(t,J=6.8Hz,2H),3.89-3.94(m,1H),1.83-1.91(m,2H),0.70-0.75(m,2H),0.11-0.12(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0163】
製造例1~9,11~13,15~21で作製したヒドロシラン化合物を以下の表1にまとめる。表1に示すヒドロシラン化合物のうち、1-(ジメチルシリル)ピレン(製造例2)、(ジメチルシリル)フェロセン(製造例3)、1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレン(製造例6)、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン(製造例7)、[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミド(製造例9)、1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイド(製造例11)、(3-ニトロプロピル)ジメチルシラン(製造例13)、4-(ジメチルシリル)酪酸(製造例15)、4-(ジメチルシリル)酪酸エチル(製造例16)、[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェート(製造例17)、4-(ジメチルシリル)ブタノール(製造例19)、および(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシラン(製造例20)は新規な化合物である。また、製造例11で作製した1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイドの前駆体である1-(3-ジメチルシリルプロピル)イミダゾール(製造例10)も新規な化合物である。
【実施例】
【0164】
【表1】
JP0005924633B2_000023t.gif
【実施例】
【0165】
[実施例1:シリカゲル表面の修飾]
メソポーラスシリカであるシリカゲル(MCM-41、100mg)を減圧下、180℃で6時間乾燥させた後、ヒートガンを用いてさらに乾燥させた。次に、乾燥後のシリカゲルを室温まで冷却した後、窒素雰囲気下において、CHCl(3.0mL)、ヒドロシラン化合物(0.5mmol,シリカのSi-OH基に対しておよそ1当量)、およびトリスペンタフルオロフェニルボラン(B(C,1.3mg,5μmol,シリカのSi-OH基に対しておよそ1mol%)を順次加え、室温で5分間静置した。実施例1は24種類のヒドロシラン化合物を用いたが(実施例1-1から1-24)、いずれの場合にも、B(Cを加えた時点で水素が発生した。次に、水素の発生が終了したことを確認した後、得られたシリカゲルを濾過して、CHClで十分に洗浄した。次に、洗浄後のシリカを減圧下、室温で2時間乾燥させて、ヒドロシラン化合物の分子構造Aにより表面が修飾された(官能基化された)シリカゲルを得た。
【実施例】
【0166】
この反応の反応式を以下に示す。以下の反応式において、ヒドロシラン化合物は「SiH(CH-FG」(FGは官能基)で示す。なお、実施例1-8では、ヒドロシラン化合物として「SiHCH-FG」を用いた。
【実施例】
【0167】
【化22】
JP0005924633B2_000024t.gif
【実施例】
【0168】
(実施例1-1)
ヒドロシラン化合物として、製造例1で作製した1-(ジメチルシリル)ナフタレンを用いた。
【実施例】
【0169】
(実施例1-2)
ヒドロシラン化合物として、製造例2で作製した1-(ジメチルシリル)ピレンを用いた。
【実施例】
【0170】
(実施例1-3)
ヒドロシラン化合物として、市販の1-(ジメチルシリル)ベンゼンを用いた。
【実施例】
【0171】
(実施例1-4)
ヒドロシラン化合物として、製造例3で作製した(ジメチルシリル)フェロセンを用いた。
【実施例】
【0172】
(実施例1-5)
ヒドロシラン化合物として、市販の1-(ジメチルシリルメチル)ベンゼンを用いた。
【実施例】
【0173】
(実施例1-6)
ヒドロシラン化合物として、製造例4で作製した(3-クロロプロピル)ジメチルシランを用いた。
【実施例】
【0174】
(実施例1-7)
ヒドロシラン化合物として、市販の(3-クロロプロピル)メチルシランを用いた。
【実施例】
【0175】
(実施例1-8)
ヒドロシラン化合物として、製造例5で作製した(3-ブロモプロピル)ジメチルシランを用いた。
【実施例】
【0176】
(実施例1-9)
ヒドロシラン化合物として、製造例7で作製した(3-アジドプロピル)ジメチルシランを用いた。
【実施例】
【0177】
(実施例1-10)
ヒドロシラン化合物として、製造例8で作製した(3-アミノプロピル)ジメチルシランを用いた。
【実施例】
【0178】
(実施例1-11)
ヒドロシラン化合物として、製造例18で作製した3-メルカプトプロピルジメチルシランを用いた。
【実施例】
【0179】
(実施例1-12)
ヒドロシラン化合物として、製造例13で作製した(3-ニトロプロピル)ジメチルシランを用いた。
【実施例】
【0180】
(実施例1-13)
ヒドロシラン化合物として、製造例17で作製した[3-(ジメチルシリル)プロピル]ジエチルホスフェートを用いた。
【実施例】
【0181】
(実施例1-14)
ヒドロシラン化合物として、製造例16で作製した4-(ジメチルシリル)酪酸エチルを用いた。
【実施例】
【0182】
(実施例1-15)
ヒドロシラン化合物として、製造例15で作製した4-(ジメチルシリル)酪酸を用いた。
【実施例】
【0183】
(実施例1-16)
ヒドロシラン化合物として、製造例21で作製した7-[(3-ジメチルシリル)プロポキシ]クマリンを用いた。
【実施例】
【0184】
(実施例1-17)
ヒドロシラン化合物として、製造例19で作製した4-(ジメチルシリル)ブタノールを用いた。
【実施例】
【0185】
(実施例1-18)
ヒドロシラン化合物として、市販の1-(ジメチルシリル)ドトリアコンタンを用いた。
【実施例】
【0186】
(実施例1-19)
ヒドロシラン化合物として、製造例6で作製した1-(3-ジメチルシリルプロピル)ナフタレンを用いた。
【実施例】
【0187】
(実施例1-20)
ヒドロシラン化合物として、製造例9で作製した[3-(ジメチルシリル)プロピル]アクリルアミドを用いた。
【実施例】
【0188】
(実施例1-21)
ヒドロシラン化合物として、製造例12で作製したN-[3-(ジメチルシリル)プロピル]フタルイミドを用いた。
【実施例】
【0189】
(実施例1-22)
ヒドロシラン化合物として、製造例11で作製した1-(3-ジメチルシリルプロピル)-3-メチルイミダゾリウムアイオダイドを用いた。
【実施例】
【0190】
(実施例1-23)
ヒドロシラン化合物として、市販の2-メチル-2-(ジメチルシリル)プロパンを用いた。
【実施例】
【0191】
(実施例1-24)
ヒドロシラン化合物として、製造例20で作製した(3-ベンゾイルプロピル)ジメチルシランを用いた。
【実施例】
【0192】
実施例1-1から1-24の全ての場合において、B(Cを加えた時点で水素が発生し、シリカゲルの表面に存在するSi-OH基とヒドロシラン化合物との間で脱水素縮合反応が進行することが確認された。また、同じく全ての場合において、室温での5分間の静置の間に水素の発生が停止し、この反応が室温において短時間に進行することが確認された。実施例1-1から1-24において作製した表面修飾シリカゲルに対する赤外分光分析(IR)の評価結果を図3~26にそれぞれ示す。図3~26に示すIRのプロファイルから、各実施例において、ヒドロシラン化合物の分子構造Aによるシリカゲル表面への修飾がなされていることが確認された。シリカゲルのSi-OH基と反応可能な基が分子構造Aに含まれる場合(例えば、カルボキシル基が分子構造Aに含まれる実施例1-15)においても、シリカゲルのSi-OH基とヒドロシリル基との間に選択的に脱水素縮合反応が進行した。換言すれば、実施例1-15ではカルボキシル基を含む分子構造Aにより基材表面の修飾が達成できた。このようなカルボキシル基を修飾構造に残した表面修飾が従来は不可能であったため、これらの実施例は本開示の方法が非常に高い工業的有用性を有することを示している。なお、IR測定は、日本分光社製FT/IR-4000を用いて、拡散反射スペクトル法により行った。以降の実施例および比較例においても同様である。
【実施例】
【0193】
IRの評価とは別に、実施例1-1から1-24において作製した表面修飾シリカゲルに対して元素分析を行い、シリカゲル表面への分子構造Aの担持量を評価した。評価結果を以下の表2に示す。
【実施例】
【0194】
【表2】
JP0005924633B2_000025t.gif
【実施例】
【0195】
[比較例1:白金系触媒の使用]
シリカゲル(MCM-41、100mg)を減圧下、180℃で6時間乾燥させた後、ヒートガンを用いてさらに乾燥させた。次に、乾燥後のシリカゲルを室温まで冷却した後、窒素雰囲気下において、トルエン(3.0mL)、製造例4で作製した(3-クロロプロピル)ジメチルシラン(63mg,0.5mmol,シリカのSi-OH基に対しておよそ1当量)、および白金系触媒であるジ-μ-クロロジクロロビス(エチレン)二白金(II)(2.94mg,5μmol,シリカのSi-OH基に対しておよそ1mol%)を順次加え、室温で10分間攪拌した。次に、水素の発生が終了したことを確認した後、得られたシリカゲルを濾過して、トルエンで十分に洗浄した。次に、洗浄後のシリカを減圧下、室温で2時間乾燥させて、ヒドロシラン化合物の分子構造Aにより表面が修飾された(官能基化された)シリカゲルを得た。なお、この白金系触媒は、特許文献1で使用されているシス-ジクロロビス(スチレン)白金(II)と同様の触媒活性を示す。
【実施例】
【0196】
この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0197】
【化23】
JP0005924633B2_000026t.gif
【実施例】
【0198】
比較例1で作製した表面修飾シリカゲル、および比較例1と同じヒドロシラン化合物を用いて実施例1-6で作製した表面修飾シリカゲルの外観を図27に示す。図27に示すように、ボラン触媒を用いて作製した実施例1-6の表面修飾シリカゲル(図27内、左側の試料)は、表面修飾前のシリカゲルと同様に白色であったが、白金系触媒を用いて作製した比較例1の表面修飾シリカゲル(図27内、右側の試料)は着色していた。この着色は、シリカゲル表面への金属化合物(白金化合物)の吸着により生じたと考えられた。
【実施例】
【0199】
次に、比較例1で作製した表面修飾シリカゲルのIRの評価結果を図28に示す。実施例1-6で作製した表面修飾シリカゲルのIRの評価結果(図8)と比較すると、ボラン触媒を用いた実施例1-6(図8)では、C-H伸縮運動に起因する吸収ピークが波数3000cm-1付近に大きく見えており、分子構造Aの効率的な担持がなされていることが示唆された。これに対して、白金系触媒を用いた比較例1(図28)では、同様の吸収ピークが見られず、分子構造Aの担持がほとんどなされていないことがわかった。
【実施例】
【0200】
次に、比較例1および実施例1-6で作製したそれぞれの表面修飾シリカゲルから5mgを採取し、これを500℃まで温度上昇させたときの重量減少量を熱重量測定装置(SII製、TG/DTA7200)を用いて評価した。温度上昇の制御は、25℃から1分間に10℃ずつ昇温させ;200℃に達した時点で当該温度に10分間保持し;その後、さらに1分間に10℃ずつ昇温させ;500℃に達した時点で当該温度に10分間保持;とした。評価結果を図29に示す。図29に示すように、有機官能基が燃焼する260℃付近からの重量減少について、実施例1-6では約650μgの減少が確認されたが、比較例1ではほとんど減少が確認されなかった。すなわち比較例1では、シリカゲル表面への分子構造Aによる修飾がほとんどなされていないことが確認された。
【実施例】
【0201】
[比較例2:トリエチルシラノールとヒドロシラン化合物との反応]
比較例2では、ヒドロシラン化合物を基材表面の修飾に使用するのではなく、ヒドロシラン化合物と、Si-OH基を有するトリエチルシラノール分子とを反応させることを試みた。具体的に、ヒドロシラン化合物として製造例8で作製した(3-アミノプロピル)ジメチルシランを用い、シリカゲルの代わりにトリエチルシラノールをヒドロシラン化合物と同じ当量用いた以外は実施例1と同様にして、両者の反応の進行を試みた。しかし、反応は進行せず、原料がそのまま回収された。これは、低分子同士のいわゆる均一系の反応において、アミノ基がボラン触媒に配位し、ボラン触媒の触媒能がアミノ基の被毒により失活したためと推定された。一方、実施例1-10では、(3-アミノプロピル)ジメチルシランによるシリカゲル表面の修飾が達成されているが、これは基材表面にOH基が存在することによって当該OH基とアミノ基とが無数のイオンペアを形成し、アミノ基が触媒毒として作用しなかったためと推定された。比較例2の結果からは、基材表面の修飾と、均一系における反応との間で、反応性に関して全く異なる挙動が生じることが確認された。
【実施例】
【0202】
[実施例2:原子移動ラジカル重合(ATRP)剤への応用]
(ATRP剤として機能する分子構造Aを有するヒドロシラン化合物の作製)
よく乾燥させたシュレンク管(内容積20mL)に、1.00当量の4-ジメチルシリルブタノール(265mg,2.00mmol)、1.05当量のトリエチルアミン(0.293mL,2.1mmol)および溶媒として1.60mLのジクロロメタンを窒素雰囲気下および室温で収容し、攪拌した。これとは別に、よく乾燥させたナスフラスコ(内容積30mL)に、1.05当量の2-ブロモイソブチリルブロミド(0.258mL,2.1mmol)を窒素雰囲気下および室温で収容し、さらに溶媒として8.00mLのジクロロメタンを加え、攪拌した。次に、先程のシュレンク管を0℃まで冷却した後、ナスフラスコ内の2-ブロモイソブチルブロミド溶液を滴下し、室温で12時間攪拌した。次に、ジクロロメタンで抽出を行い、ブラインで有機層を洗った。次に、得られた抽出液を無水NaSOで脱水し、濾過し、濾液をエバポレーターで濃縮し、真空乾燥した。次に、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/AcOEt=10/1(体積比),Rf値=0.6)にて精製し、500mg(1.78mmol)の2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸(4-ジメチルシリル)ブチルを単離収率89%で得た。この反応の反応式を以下に示す。反応式に示すように、作製したヒドロシラン化合物はATRP剤として機能する分子構造Aを有し、分子構造Aはカルボニル基を有する。
【実施例】
【0203】
【化24】
JP0005924633B2_000027t.gif
【実施例】
【0204】
得られた2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸(4-ジメチルシリル)ブチルは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.073(d,J=3.6Hz,6H),0.597-0.646(m,2H),1.424-1.503(m,2H),1.691-1.761(m,2H),1.934(s,6H),3.825-3.879(m,1H),4.170-4.202(t,2H)
【実施例】
【0205】
また、得られた2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸(4-ジメチルシリル)ブチルはIR測定によっても同定した。得られたIRスペクトルを図30に示す。
【実施例】
【0206】
(シリカゲル表面の修飾)
1当量のシリカゲル(MCM-41、100mg)をシュレンク管(内容積20mL)に収容し、180℃で4時間、真空乾燥させた後、ヒートガンを用いてさらに乾燥させた。次に、乾燥後のシリカゲルを室温まで冷却した後、窒素雰囲気下においてCHCl(3.0mL)を加え、攪拌した。次に、シュレンク管内を攪拌しながら、1当量の2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸(4-ジメチルシリル)ブチル(141mg,0.5mmol)を滴下した。次に、B(C(2.56mg,1mol%)を素早く加え、室温で静置したところ、水素の発生が5分間続いた。次に、水素の発生が終了したことを確認した後、シュレンク管の内容物をCHClを用いて濾過し、得られた固体を真空乾燥した。このようにして、ヒドロシラン化合物の分子構造Aにより表面が修飾された(官能基化された)シリカゲルを得た。
【実施例】
【0207】
この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0208】
【化25】
JP0005924633B2_000028t.gif
【実施例】
【0209】
得られた表面修飾シリカゲルに対するIRの評価結果を図31に示す。図31に示すIRのプロファイルから、ヒドロシラン化合物の分子構造Aによるシリカゲル表面への修飾がなされていることが確認された。また、分子構造A中のカルボニル基はそのまま保持されており、ヒドロシラン化合物のSi-H基が、カルボニル基ではなく、基材であるシリカゲルのSi-OH基に対して選択的に反応したことが確認された。
【実施例】
【0210】
(ATRP剤としての反応)
よく乾燥させたシュレンク管(内容積20mL)に、CuBr(2.75mg,0.0192mmol)およびスチレンモノマー(0.687mL,6mmol)を収容し、さらに溶媒として0.825mLのアニソールを室温、窒素雰囲気下で加え、攪拌した。次に、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルエチレントリアミン(PMDETA,8.07μL,0.0384mmol)を滴下した後、100℃まで昇温し、系内が均一になるまで攪拌した。これとは別に、上記作製した表面修飾シリカゲルを、よく乾燥させたシュレンク管(内容積20mL)に室温下で収容して窒素置換し、そのまま窒素雰囲気下でCuBrおよびスチレンモノマーの上記混合液をキャニュラーで滴下した。次に、2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸エチル(1.23μL,0.0084mmol)を攪拌しながら滴下した後、得られた混合溶液を100℃まで昇温し、12時間攪拌を続けた。12時間経過後、ジクロロメタンを用いて遠心分離を4回行い、得られた固体を真空乾燥した。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0211】
【化26】
JP0005924633B2_000029t.gif
【実施例】
【0212】
得られた表面修飾シリカゲルに対するIRの評価結果を図32に示す。図32に示すIRのプロファイルから、反応式の右辺に示す修飾がシリカゲルの表面になされていることが確認された。
【実施例】
【0213】
[実施例3:アクリレート構造を含む分子構造Aによる表面修飾]
(ヒドロシラン化合物の作製)
よく乾燥させたシュレンク管(内容積20mL)に、1.00当量の4-ジメチルシリルブタノール(265mg,2.00mmol)、1.05当量のトリエチルアミン(0.293mL,2.1mmol)および溶媒として1.60mLのジクロロメタンを窒素雰囲気下および室温で収容し、攪拌した。これとは別に、よく乾燥させたナスフラスコ(内容積30mL)に、1.05当量の塩化アクリロイル(0.170mL,2.1mmol)を窒素雰囲気下および室温で収容し、さらに溶媒として8.00mLのジクロロメタンを加え、攪拌した。次に、先程のシュレンク管を0℃まで冷却した後、ナスフラスコ内の塩化アクリロイル溶液を滴下し、室温で12時間攪拌した。次に、ジクロロメタンで抽出を行い、ブラインで有機層を洗った。次に、得られた抽出液を無水NaSOで脱水し、濾過し、濾液をエバポレーターで濃縮し、真空乾燥した。次に、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロフォルム,Rf値=0.7)にて精製し、150mg(0.805mmol)のアクリル酸(4-ジメチルシリル)ブチルを単離収率40%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0214】
【化27】
JP0005924633B2_000030t.gif
【実施例】
【0215】
得られたアクリル酸(4-ジメチルシリル)ブチルは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.073(d,J=3.6Hz,6H),0.596-0.645(m,2H),1.419-1.403(m,2H),1.676-1.747(m,2H),3.823-3.875(m,1H),4.147-4.180(t,2H),5.806-5.836(q,1H),6.091-6.160(q,1H),6.379-6.426(q,1H)
【実施例】
【0216】
また、得られたアクリル酸(4-ジメチルシリル)ブチルはIR測定によっても同定した。得られたIRスペクトルを図33に示す。
【実施例】
【0217】
(シリカゲル表面の修飾)
1当量のシリカゲル(MCM-41、100mg)をシュレンク管(内容積20mL)に収容し、180℃で4時間、真空乾燥させた後、ヒートガンを用いてさらに乾燥させた。次に、乾燥後のシリカゲルを室温まで冷却した後、窒素雰囲気下においてCHCl(3.0mL)を加え、攪拌した。次に、シュレンク管内を攪拌しながら、1当量のアクリル酸(4-ジメチルシリル)ブチル(93.2mg,0.5mmol)を滴下した。次に、B(C(2.56mg,1mol%)を素早く加え、室温で静置したところ、水素の発生が5分間続いた。次に、水素の発生が終了したことを確認した後、シュレンク管の内容物をCHClを用いて濾過し、得られた固体を真空乾燥した。このようにして、ヒドロシラン化合物の分子構造Aにより表面が修飾された(官能基化された)シリカゲルを得た。
【実施例】
【0218】
この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0219】
【化28】
JP0005924633B2_000031t.gif
【実施例】
【0220】
得られた表面修飾シリカゲルに対するIRの評価結果を図34に示す。図34に示すIRのプロファイルから、ヒドロシラン化合物の分子構造Aによるシリカゲル表面への修飾がなされていることが確認された。
【実施例】
【0221】
[実施例4:可逆的付加開裂連鎖重合(RAFT)剤への応用]
(RAFT剤として機能する分子構造Aを有するヒドロシラン化合物の作製)
製造例18で作製した3-メルカプトプロピルジメチルシラン(402.94mg,3mmol)および二硫化炭素(456.84mg,6mmol)を、窒素雰囲気下でCHCl(2mL)に溶解させ、さらにトリエチルアミン(607.14mg,6mmol)を室温で滴下して3時間攪拌した。次に、(1-ブロモエチル)ベンゼン(555.18mg,3mmol)を室温で滴下し、20時間攪拌した。反応終了後、塩酸(濃度10重量%)水溶液を加え、CHClを用いて分液した。集めた有機層はブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、878.5mgの3-ジメチルヒドロシリルプロピル-1-フェニルエチルトリチオカーボネートを収率93%で得た。この反応の反応式を以下に示す。反応式に示すように、作製したヒドロシラン化合物は、RAFT剤として機能する分子構造Aを有する。
【実施例】
【0222】
【化29】
JP0005924633B2_000032t.gif
【実施例】
【0223】
得られた3-ジメチルヒドロシリルプロピル-1-フェニルエチルトリチオカーボネートは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.073(d,J=3.6Hz,6H),0.722-0.671(m,2H),1.687-1.764(m,5H),3.357(t,2H),3.869-3.834(m,1H),5.333(q,1H),7.396-7.282(m,5H)
【実施例】
【0224】
また、得られた3-ジメチルヒドロシリルプロピル-1-フェニルエチルトリチオカーボネートはIR測定によっても同定した。得られたIRスペクトルを図35に示す。
【実施例】
【0225】
(シリカゲル表面の修飾)
1当量のシリカゲル(MCM-41、80mg)をシュレンク管(内容積20mL)に収容し、180℃で4時間、真空乾燥させた後、ヒートガンを用いてさらに乾燥させた。次に、乾燥後のシリカゲルを室温まで冷却した後、窒素雰囲気下においてCHCl(2.4mL)を加え、攪拌した。次に、シュレンク管内を攪拌しながら、1当量の3-ジメチルヒドロシリルプロピル-1-フェニルエチルトリチオカーボネート(126mg,0.4mmol)を滴下した。次に、B(C(2.05mg,1mol%)を素早く加え、室温で静置したところ、水素の発生が5分間続いた。次に、水素の発生が終了したことを確認した後、シュレンク管の内容物をCHClを用いて濾過し、得られた固体を真空乾燥した。このようにして、ヒドロシラン化合物の分子構造Aにより表面が修飾された(官能基化された)シリカゲルを得た。
【実施例】
【0226】
この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0227】
【化30】
JP0005924633B2_000033t.gif
【実施例】
【0228】
得られた表面修飾シリカゲルに対するIRの評価結果を図36に示す。図36に示すIRのプロファイルから、ヒドロシラン化合物の分子構造Aによるシリカゲル表面への修飾がなされていることが確認された。
【実施例】
【0229】
(RAFT剤としての反応)
上記作製した表面修飾シリカゲル(40mg)と、アクリル酸n-ブチル(1026mg)およびアゾビスイソブチロニトリル(1mg)とを、1,4-ジオキサンに混合し、70℃で16時間攪拌した。次に、CHClを用いて遠心分離し、得られたシリカゲルを4回洗浄した。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0230】
【化31】
JP0005924633B2_000034t.gif
【実施例】
【0231】
得られた表面修飾シリカゲルに対するIRの評価結果を図37に示す。図37に示すIRのプロファイルから、反応式の右辺に示す修飾がシリカゲルの表面になされていることが確認された。なお、アクリル酸n-ブチルのIRプロファイルを、図38に併せて示す。
【実施例】
【0232】
[実施例5:紙の表面の修飾]
実施例5では、基材に紙(日本製紙クレシア製、キムワイプ)を用い、当該紙の表面をヒドロシラン化合物の分子構造Aで修飾した。
【実施例】
【0233】
(実施例5-1)
主面の面積が1.2cmとなるように裁断したキムワイプを、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS,100mg,0.02mmol)、B(C(10mg,0.02mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、1mL)の混合液に窒素雰囲気下で浸漬し、室温で5分静置した。浸漬した時点で水素が発生したが、5分経過の間に水素の発生は見られなくなった。静置後、混合液からキムワイプを取り出し、塩化メチレンで洗浄し、乾燥させ、キムワイプの主面における水の接触角をぬれ性評価装置(ニック製、LSE-ME1)を用いて評価したところ、接触角は136°であった(以降の実施例においても、接触角は同様に測定した)。表面修飾されたキムワイプの主面の接触角の状態を図39に示す。
【実施例】
【0234】
(実施例5-2)
キムワイプの浸漬を空気下で行った以外は実施例5-1と同様にして、PMHSの分子構造Aによって表面が修飾されたキムワイプを得た。このキムワイプの主面における水の接触角は138°であった。
【実施例】
【0235】
(実施例5-3)
混合液に使用した塩化メチレンを通常の(非脱水の)ものとした以外は実施例5-2と同様にして、PMHSの分子構造Aによって表面が修飾されたキムワイプを得た。このキムワイプの主面における水の接触角は119°であった。
【実施例】
【0236】
(実施例5-4)
脱水塩化メチレンの代わりに脱水ヘキサン(アルドリッチ製)を用いて混合液を調製するとともに、浸漬後の洗浄に塩化メチレンの代わりにヘキサンを用いた以外は実施例5-2と同様にして、PMHSの分子構造Aによって表面が修飾されたキムワイプを得た。このキムワイプの主面における水の接触角は138°であった。
【実施例】
【0237】
(実施例5-5)
混合液に使用したヘキサンを通常の(非脱水の)ものとした以外は実施例5-4と同様にして、PMHSの分子構造Aによって表面が修飾されたキムワイプを得た。このキムワイプの主面における水の接触角は119°であった。
【実施例】
【0238】
(実施例5-6)
主面の面積が3.5cmとなるように裁断したキムワイプを、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS,1000mg,0.20mmol)、B(C(10mg,0.02mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、4mL)の混合液に窒素雰囲気下で浸漬し、室温で5分静置した。浸漬した時点で水素が発生したが、5分経過の間に水素の発生は見られなくなった。静置後、混合液からキムワイプを取り出し、塩化メチレンで洗浄し、乾燥させ、キムワイプの主面における水の接触角を評価したところ、接触角は134°であった。
【実施例】
【0239】
実施例5-1~5-6では表面の大きな接触角が達成されたが、この大きな接触角は、PHMSの分子構造Aの修飾によってキムワイプの主面が疎水化および撥水化されたためと考えられた。なお、修飾前のキムワイプは、よく知られているように、またその名称からも明らかであるように非常に良く水を吸引する。
【実施例】
【0240】
(実施例5-7)
主面の面積が14cmとなるように裁断したキムワイプを、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS,500mg,0.10mmol)、B(C(5mg,0.01mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、2mL)の混合液に窒素雰囲気下で浸漬し、室温で5分静置した。浸漬した時点で水素が発生したが、5分経過の間に水素の発生は見られなくなった。静置後、混合液からキムワイプを取り出し、塩化メチレンで洗浄し、乾燥させて、表面修飾キムワイプを得た。得られた表面修飾キムワイプに対するIRの評価結果を図40に示す。図40に示すように、PMHSのSi-O-Si結合に由来する強い吸収ピークが波数1000cm-1付近に確認され、PMHS由来の分子構造Aによってキムワイプの表面が修飾されていることが確認された。
【実施例】
【0241】
[実施例6:不織布の表面の修飾]
実施例6では、基材に不織布(廣瀬製紙製、素材はビニロン1036、ビニロン1048、ポリエステル(PET)80、PET100、コットン)を用い、当該不織布の表面をヒドロシラン化合物の分子構造Aで修飾した。
【実施例】
【0242】
(実施例6-1)
主面の面積が1.2cmとなるように裁断したビニロン1036の不織布を、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS,100mg,0.02mmol)、B(C(10mg,0.02mmol)および脱水塩化メチレン(1mL)の混合液に窒素雰囲気下で浸漬し、室温で5分静置した。浸漬した時点で水素が発生したが、次第に水素の発生はおさまり、5分経過の間に水素の発生は見られなくなった。静置後、混合液からビニロン1036不織布を取り出し、塩化メチレンで洗浄し、乾燥させ、ビニロン1036不織布の主面における水の接触角を評価したところ、接触角は136°であった。表面修飾されたビニロン1036不織布の主面の接触角の状態を図41に示す。
【実施例】
【0243】
また、表面修飾前のビニロン1036不織布に対するIRの評価結果を図42(a)に、表面修飾後のビニロン1036不織布に対するIRの評価結果を図42(b)に示す。図42(b)に示すように、表面修飾後のビニロン1036不織布では、表面修飾前には見られない、PMHSの分子構造Aに由来するピークおよび波数1100cm-1付近のピーク形状の変化が観察された。
【実施例】
【0244】
(実施例6-2)
ビニロン1036の不織布の代わりにビニロン1048の不織布を用いた以外は実施例6-1と同様にして、PMHSの分子構造Aによって表面が修飾された不織布を得た。この不織布の主面における水の接触角は136°であった。
【実施例】
【0245】
また、表面修飾前のビニロン1048不織布に対するIRの評価結果を図43(a)に、表面修飾後のビニロン1048不織布に対するIRの評価結果を図43(b)に示す。図43(b)に示すように、表面修飾後のビニロン1048不織布では、表面修飾前には見られない、PMHSの分子構造Aに由来するピークおよび波数1100cm-1付近のピーク形状の変化が観察された。
【実施例】
【0246】
(実施例6-3)
ビニロン1036の不織布の代わりにポリエステル(ポリエチレンテレフタレート:PET)80の不織布を用いた以外は実施例6-1と同様にして、PMHSの分子構造Aによって表面が修飾された不織布を得た。この不織布の主面における水の接触角は132°であった。
【実施例】
【0247】
また、表面修飾前のPET80不織布に対するIRの評価結果を図44(a)に、表面修飾後のPET80不織布に対するIRの評価結果を図44(b)に示す。図44(b)に示すように、表面修飾後のPET80不織布では、表面修飾前には見られない、PMHSの分子構造Aに由来するピークおよび波数1100cm-1付近のピーク形状の変化が観察された。
【実施例】
【0248】
(実施例6-4)
ビニロン1036の不織布の代わりにポリエステル100の不織布を用いた以外は実施例6-1と同様にして、PMHSの分子構造Aによって表面が修飾された不織布を得た。この不織布の主面における水の接触角は136°であった。
【実施例】
【0249】
また、表面修飾前のPET100不織布に対するIRの評価結果を図45(a)に、表面修飾後のPET100不織布に対するIRの評価結果を図45(b)に示す。図45(b)に示すように、表面修飾後のPET100不織布では、表面修飾前には見られない、PMHSの分子構造Aに由来するピークおよび波数1100cm-1付近のピーク形状の変化が観察された。
【実施例】
【0250】
(実施例6-5)
ビニロン1036の不織布の代わりにコットンの不織布を用いた以外は実施例6-1と同様にして、PMHSの分子構造Aによって表面が修飾された不織布を得た。表面修飾前のコットン不織布に対するIRの評価結果を図46(a)に、表面修飾後のコットン不織布に対するIRの評価結果を図46(b)に示す。図46(b)に示すように、表面修飾後のコットン不織布では、表面修飾前には見られない、PMHSの分子構造Aに由来するピークおよび波数1100cm-1付近のピーク形状の変化が観察された。
【実施例】
【0251】
[実施例7:ガラスの表面の修飾]
実施例7では、基材に自動車のサイドガラスを用い、当該ガラスの表面をヒドロシラン化合物の分子構造Aで修飾した。
【実施例】
【0252】
最初に、マスキングテープを用いて、サイドガラスの12cm×12cmの領域の表面のみを露出させた。次に、当該表面を、コロナ放電処理機(信光電気計装製、コロナフィットCFG-500)を用いてコロナ放電処理(9kV)した。次に、処理後のガラス表面に、PMHS(2000mg,6.54mmol)、B(C(30mg,0.06mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、5mL)の混合液を塗布し、1分放置した後、当該表面を塩化メチレンおよびヘキサンで洗浄し、乾燥させた。このような処理を行った当該ガラスの表面は、水を弾き、PMHSの分子構造Aの修飾による疎水化および撥水化が確認された。処理後の当該ガラスの表面を図47に示す。図47に示すように、サイドガラスにおける処理後の領域では付着した水により形成された水滴が、その大きな接触角により、すぐに落下した。
【実施例】
【0253】
[実施例8:粉末表面の修飾]
(実施例8-1)
シリカゲルの粉末(300mg)を真空雰囲気下で加熱して乾燥させた後、PMHS(150mg,0.06mmol)と脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、3mL)とを加えて攪拌した。次に、攪拌混合物に、B(C(10mg,0.02mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、0.5mL)の混合溶液を滴下し、室温で5分間攪拌した。攪拌を止めた時点で水素の発生は停止していた。次に、上澄み液を取り除き、取り除いた量と同程度の量の塩化メチレンを加えて攪拌し、シリカゲル粉末を洗浄した。この洗浄を3回繰り返した後、乾燥させて、PMHSの分子構造Aによる表面修飾がなされたシリカゲル粉末を得た。
【実施例】
【0254】
得られたシリカゲル粉末を不織布上に薄く配置し、その上に水滴を垂らしたところ、図48に示すように目視でみた接触角にして140°を超える液滴となり、表面修飾によりシリカゲル粉末に撥水性が付与されていることが確認された。
【実施例】
【0255】
(実施例8-2)
シリカゲル粉末の代わりにアルミナ粉末(300mg)を用いた以外は実施例8-1と同様にして、PMHSの分子構造Aによる表面修飾がなされたアルミナ粉末を得た。得られたアルミナ粉末を不織布上に薄く配置し、その上に水滴を垂らしたところ、図49に示すように目視でみた接触角にして140°を超える液滴となり、表面修飾によりアルミナ粉末に撥水性が付与されていることが確認された。
【実施例】
【0256】
[実施例9:接合体の作製]
(実施例9-1)
木粉(2.0g)とPMHS(3.0g,6.0mmol)とを室温で混合し、そこへB(C(10mg,0.02mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、2mL)の混合液を徐々に添加した。添加後、室温および空気下で3分間静置したところ、容器の形状に固化した木粉の接合体が得られた。得られた接合体を図50に示す。得られた接合体は強固であり、手で割ることができなかった。
【実施例】
【0257】
(実施例9-2)
シリカゲル粒子(関東化学製シリカゲル60N 100-210μm,2.0g)とPMHS(3.0g,6.0mmol)とを室温で混合し、そこへB(C(10mg,0.02mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、2mL)の混合液を徐々に添加した。添加後、室温および空気下で3分間静置したところ、容器の形状に固化したシリカゲル粉末の接合体が得られた。得られた接合体を図51に示す。得られた接合体は強固であり、手で割ることができなかった。
【実施例】
【0258】
(実施例9-3)
アルミナ粉末(和光純薬製012-01965,4.0g)とPMHS(3.0g,6.0mmol)とを室温で混合し、そこへB(C(10mg,0.02mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、2mL)の混合液を徐々に添加した。添加後、室温および空気下で3分間静置したところ、容器の形状に固化したアルミナ粉末の接合体が得られた。得られた接合体を図52に示す。得られた接合体は強固であり、手で割ることができなかった。
【実施例】
【0259】
(実施例9-4)
木粉(2.0g)とPMHS(3.0g,6.0mmol)とを室温で混合し、そこへB(C(10mg,0.02mmol)および脱水塩化メチレン(アルドリッチ製、2mL)の混合液を徐々に添加した。添加後、0.1MPaの圧力を混合物に印加しながら室温および空気下で3分間静置したところ、容器の形状に固化した木粉の接合体が得られた。得られた木粉の接合体をガスバーナーの炎に3分間晒したところ、炎に直接接している部分こそ外観に変化が見られたものの、接合体の内部は燃焼することなく炎に晒す前の状態を保っていた。すなわち、作製した接合体は難燃性であった。
【実施例】
【0260】
[ヒドロシラン化合物の作製その2]
以下の製造例22~38にて作製したヒドロシラン化合物は、全て新規な化合物である。
【実施例】
【0261】
(製造例22:5,6-エポキシヘキシルジメチルシランの合成)
CuCN(97.3mg,1.09mmol)および以下の化学式の左辺左側の化合物(1.00g,10.9mmol)に、溶媒であるTHF(12mL)を窒素雰囲気下にて加えた。次に、全体を-78℃に冷却して以下の化学式の左辺右側の化合物のTHF溶液(17.0mL,14.1mmol)を滴下した後、-20℃で3時間攪拌して反応を進行させた。反応終了後、飽和NHCl水溶液を加えてクエンチし、水層をEtOで抽出した。残った有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過および濃縮することによって粗生成物を得た。次に、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、6-クロロ-5-ヒドロキシヘキシルジメチルシランを収率92%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0262】
【化32】
JP0005924633B2_000035t.gif
【実施例】
【0263】
得られた6-クロロ-5-ヒドロキシヘキシルジメチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.07-0.06(d,J=3.6Hz,6H),0.62-0.57(m,2H),1.58-1.36(m,6H),3.50-3.46(dd,J=6.8,6.8Hz,1H),3.66-3.63(dd,J=3.2,3.2Hz,1H),3.87-3.78(m,2H)
【実施例】
【0264】
次に、得られた6-クロロ-5-ヒドロキシヘキシルジメチルシランを用いて以下の反応を進行させた。具体的に、NaH(251mg,10.5mmol)を加えた反応容器に、溶媒であるTHF(26.2mL)を窒素雰囲気下にて加えた。次に、上記作製した6-クロロ-5-ヒドロキシヘキシルジメチルシラン(1.93g,9.96mmol)を加えて80℃まで昇温し、4.5時間攪拌して反応を進行させた。反応終了後、飽和NHCl水溶液を加えてクエンチし、水層をエーテルで抽出した。残った有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過および濃縮することによって粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、5,6-エポキシヘキシルジメチルシランを収率68%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0265】
【化33】
JP0005924633B2_000036t.gif
【実施例】
【0266】
得られた5,6-エポキシヘキシルジメチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.07-0.06(d,J=3.6Hz,6H),0.62-0.58(m,2H),1.60-1.37(m,6H),2.48-2.46(dd,J=2.8,2.4Hz,1H),2.76-2.74(t,4.0Hz,1H),2.93-2.89(m,1H),3.87-3.82(m,1H)
【実施例】
【0267】
(製造例23:(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミドの合成)
(3-アミノプロピル)ジメチルシラン(1170mg,10mmol)およびトリエチルアミン(2.8mL,20mmol)の塩化メチレン溶液(10mL)に、窒素雰囲気下および0℃で、無水トリフルオロ酢酸(1.69mL,12mmol)の塩化メチレン溶液(10mL)を滴下した。次に、全体を室温まで昇温し、15時間撹拌した。次に、反応混合物にイオン交換水を加えて分液し、水層を塩化メチレンで抽出した。次に、残った有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過して得られた溶液を減圧下で濃縮することで、(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミド(2130mg,10mmol)を定量的に得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0268】
【化34】
JP0005924633B2_000037t.gif
【実施例】
【0269】
得られた(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセトアミドは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):6.37(br,1H),3.85-3.90(m,1H),3.34-3.39(q,J=7.2Hz,2H),1.59-1.67(m,2H),0.58-0.63(m,2H),0.09-0.10(d,J=4.0Hz,6H)
【実施例】
【0270】
(製造例24:フタロイルポリメチルヒドロシロキサン(PMHS-Pht)の合成)
塩化白金酸六水和物(0.7mg,1μmol)に2-プロパノール(50μL)を加えた後、さらにアリルフタルイミド(3748mg,20mmol)およびトルエン(5mL)を加えた。このようにして作製した混合液を60℃に加熱して、当該混合液にポリメチルヒドロシロキサン(2450mg,40mmol)を滴下し、窒素雰囲気下にて12時間撹拌して反応を進行させた。次に、反応混合物を室温に冷却し、フロリジル(Florisil、登録商標)を用いてヘキサン/酢酸エチル混合溶液(混合体積比:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により濾過した。次に、得られた濾液を濃縮し、フタロイル基を有するヒドロシラン誘導体PMHS-Pht(5580mg)を収率90%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0271】
【化35】
JP0005924633B2_000038t.gif
【実施例】
【0272】
得られたPMHS-Phtは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):7.55-7.90(m,80H),4.61(s,20H),3.50-3.70(m,40H),1.58-1.78(m,40H),0.45-0.62(m,40H),0.00-0.25(m,138H)
【実施例】
【0273】
以降の製造例25~38では、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)のヒドリド基を変換することによって、種々の有機変性ポリメチルヒドロシランを合成した。具体的には、PMHSに存在する複数個のヒドロシリル基の一部を変性させ、変性したヒドロシリル基以外のヒドロシリル基を残存させる手法により、種々のポリマーヒドロシラン誘導体を合成した。合成は、ヒドロシリル化反応を用いる方法と、ヒドロシリル基をクロロシリル基に変換した後、求核剤を作用させる方法と、の2通りの方法で行った。製造例25~33では前者の方法を、製造例34~38では後者の方法を実施した。後者の方法では、遷移金属触媒を用いることなく誘導体の合成が可能である。白金触媒などの遷移金属触媒は、0.001mol%などのごく少量の触媒量で反応を進行させる。しかし、反応後、触媒の完全な除去が困難であることから、得られた誘導体の安定性を損ね、徐々に水素ガスが発生する可能性がある。変性基の種類によるが、後者の方法では、このような問題を回避でき、流通および保存に適した誘導体が得られる。
【実施例】
【0274】
(製造例25:3-クロロプロピル基を有する変性PMHSの合成)
乾燥させた試験管にPMHS(2.45g,1mmol)、トルエン1mL、塩化アリル(1.53g,20mmol)および0.01Mの塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液(0.1mL)を加えた。試験管内を窒素で置換した後、封管し、100℃で12時間攪拌して反応を進行させた。次に、反応混合物をフロリジルを用いて濾過した後、エバポレーターにより未反応の塩化アリルおよびトルエンを留去して、3-クロロプロピル基を有する変性PMHSを得た。この反応の反応式を以下に示す。右辺におけるXは、水素原子、塩素原子または3-クロロプロピル基であり、その存在比は20:5:15である。
【実施例】
【0275】
【化36】
JP0005924633B2_000039t.gif
【実施例】
【0276】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.65-4.79(br,20H),3.43-3.63(br,30H),1.76-1.91(br,30H),1.58-1.71(br,15H),0.92-1.01(br,30H),0.03-0.25(m,123H)
【実施例】
【0277】
(製造例26:3-アミノプロピル基を有する変性PMHSの合成)
乾燥させた試験管にPMHS(2.45g,1mmol)、トルエン1mL、アリルアミン(1.53g,20mmol)および0.01Mの塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液(0.1mL)を加えた。試験管内を窒素で置換した後、封管し、100℃で12時間攪拌して反応を進行させた。次に、反応混合物をフロリジルを用いて濾過した後、エバポレーターにより未反応のアリルアミンおよびトルエンを留去して、3-アミノプロピル基を有する変性PMHSを得た。この反応の反応式を以下に示す。右辺におけるXは、水素原子または3-アミノプロピル基であり、その存在比は20:20である。
【実施例】
【0278】
【化37】
JP0005924633B2_000040t.gif
【実施例】
【0279】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.61-4.72(br,20H),2.62-2.73(br,40H),1.34-1.59(br,40H),1.20-1.38(br,40H),0.78-0.99(br,40H),0.03-0.25(m,138H)
【実施例】
【0280】
(製造例27:3-アセトキシプロピル基を有する変性PMHSの合成)
乾燥させた試験管にPMHS(2.45g,1mmol)、トルエン1mL、アリルアセテート(1.53g,20mmol)および0.01Mの塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液(0.1mL)を加えた。試験管内を窒素で置換した後、封管し、100℃で12時間攪拌して反応を進行させた。次に、反応混合物をフロリジルを用いて濾過した後、エバポレーターにより未反応の塩化アリルおよびトルエンを留去して、3-アセトキシプロピル基を有する変性PMHSを得た。この反応の反応式を以下に示す。右辺におけるXは、水素原子または3-アセトキシプロピル基であり、その存在比は20:20である。
【実施例】
【0281】
【化38】
JP0005924633B2_000041t.gif
【実施例】
【0282】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.65-4.79(br,20H),3.97-4.06(br,40H),1.99-2.11(br,60H),1.57-1.77(br,40H),1.31-1.46(br,40H),0.03-0.25(m,138H)
【実施例】
【0283】
(製造例28:クロロシリル部位をイソプロポキシ化した変性PMHSの合成)
乾燥した20mLシュレンクチューブに、製造例25で作製した3-クロロプロピル基を有する変性PMHS(3.77g,1mmol)、トルエン1mLおよび2-プロパノール(7.7mL,10mmol)を加え、窒素雰囲気下で30分攪拌した。次に、エバポレーターで未反応の2-プロパノールおよびトルエンを留去して、イソプロポキシ基を有する変性PMHSを得た。この反応の反応式を以下に示す。この反応式の左辺におけるXは、水素原子、塩素原子または3-クロロプロピル基であり、その存在比は20:5:15である。右辺におけるXは、水素原子、イソプロポキシ基および3-クロロプロピル基であり、その存在比は20:5:15である。
【実施例】
【0284】
【化39】
JP0005924633B2_000042t.gif
【実施例】
【0285】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.65-4.79(br,20H),4.08-4.27(br,5H),3.45-3.61(br,30H),1.75-1.92(br,30H),1.13-1.23(br,30H),0.92-1.01(br,30H),0.03-0.25(m,138H)
【実施例】
【0286】
(製造例29:3-アジドプロピル基を有する変性PMHSの合成)
乾燥した20mLシュレンクチューブに、製造例28で作製した変性PMHS(465mg,0.1mmol)、DMF4mL、およびアジ化ナトリウム(195mg,3mmol)を加え、窒素雰囲気下、65℃で12時間攪拌した。次に、蒸留水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、さらに硫酸ナトリウムにより脱水した後、濾過し、減圧下で乾燥させて、3-アジドプロピル基を有する変性PMHSを得た。この反応の反応式を以下に示す。左辺におけるXは、水素原子、イソプロポキシ基および3-クロロプロピル基であり、その存在比は20:5:15である。右辺におけるXは、水素原子、イソプロポキシ基および3-アジドプロピル基であり、その存在比は20:5:15である。
【実施例】
【0287】
【化40】
JP0005924633B2_000043t.gif
【実施例】
【0288】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.62-4.73(br,20H),4.09-4.23(br,5H),3.18-3.28(br,30H),1.54-1.73(br,30H),1.13-1.21(br,30H),0.90-0.98(br,30H),0.03-0.25(m,138H)
【実施例】
【0289】
(製造例30:3-ブロモプロピル基を有する変性PMHSの合成)
乾燥させた試験管にPMHS(390mg,1mmol)、トルエン1mL、臭化アリル(121mg,2mmol)、[IrCl(cod)](0.27mg,0.0004mol),シクロオクタジエン(COD:0.86mg,0.008mol)を加えた。次に、試験管内を窒素で置換した後、封管し、60℃で12時間攪拌を行った。次に、フロリジルで濾過した後、エバポレータで未反応の臭化アリルおよびトルエンを留去して、3-ブロモプロピル基を有する変性PMHSを得た。この反応の反応式を以下に示す。この反応式の左辺および右辺におけるRは、臭素原子である。
【実施例】
【0290】
【化41】
JP0005924633B2_000044t.gif
【実施例】
【0291】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.65-4.72(br,2H),3.35-3.44(br,4H),1.85-1.99(br,4H),0.60-0.76(br,4H),0.03-0.25(br,30H)
【実施例】
【0292】
(製造例31:炭化水素基(アルキル基であるC1225基)を有する変性PMHSの合成)
塩化白金酸六水和物(0.7mg,1μmol)に2-プロパノール(50μL)を加え、ドデセン(3367mg,20mmol)およびトルエン(5mL)を加えた。この混合液を100℃に加熱し、ポリメチルヒドロシロキサン(2450mg,40mmol)を滴下し、窒素雰囲気下で12時間撹拌した。次に、反応混合物を室温に冷却し、フロリジルを用いてヘキサンで濾過した。次に、濾液を濃縮して、ドデシル基(C1225基)を有するヒドロシラン誘導体(PMHS-C121:1);(5350mg)を収率92%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0293】
【化42】
JP0005924633B2_000045t.gif
【実施例】
【0294】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.70(s,20H),1.20-1.30(m,400H),0.86-0.90(t,J=7.2Hz,60H),0.45-0.58(br,40H),0.02-0.20(m,138H)
【実施例】
【0295】
(製造例32:アルキル基(C1837基)を有する変性PMHSの合成)
塩化白金酸六水和物(0.7mg,1μmol)に2-プロパノール(50μL)を加え、オクタデセン(5050mg,20mmol)およびトルエン(5mL)を加えた。この混合液を100℃に加熱し、ポリメチルヒドロシロキサン(2450mg,40mmol)を滴下し、窒素雰囲気下で12時間撹拌した。次に、反応混合物を室温に冷却し、フロリジルを用いてヘキサンで濾過した。次に、濾液を濃縮して、オクタデシル基(C1837基)を有するヒドロシラン誘導体(PMHS-C181:1);(7125mg)を収率95%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0296】
【化43】
JP0005924633B2_000046t.gif
【実施例】
【0297】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.70(s,20H),1.20-1.38(m,640H),0.86-0.90(t,J=7.2Hz,60H),0.45-0.58(br,40H),0.02-0.20(m,138H)
【実施例】
【0298】
(製造例33:パーフルオロヘキシルエチル基を有する変性PMHSの合成)
(パーフルオロヘキシル)エチレン(3460mg,10mmol)およびポリメチルヒドロシロキサン(1225mg,0.5mmol)をトルエン(3mL)と混合し、これを40℃に加熱した後、Karstedt触媒(0.5mg,0.5μmol)を加えて窒素雰囲気下で12時間撹拌した。次に、反応混合物を室温に冷却し、フロリジルを用いてヘキサンで濾過した。次に、濾液を濃縮して、パーフルオロヘキシルエチル基を有するヒドロシラン誘導体PMHS-Rf(3758mg)を収率88%で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0299】
【化44】
JP0005924633B2_000047t.gif
【実施例】
【0300】
得られた変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.70(s,20H),1.95-2.80(m,15H),1.52-1.60(m,5H),1.15-1.22(m,7H),0.75-0.90(m,13H),0.05-0.30(m,138H)
【実施例】
【0301】
(製造例34:ポリアリルメチルヒドロシロキサンの合成)
トリクロロイソシアヌル酸(159mg,0.68mmol)の塩化メチレン(8mL)溶液に、窒素雰囲気かつ0℃下にて、末端トリメチルシリル保護されたポリメチルヒドロシロキサンMn=~390(400mg,1.02mmol)を滴下し、室温で1時間撹拌した。次に、得られた白色懸濁液を窒素下でセライト濾過し、減圧下で濃縮することでポリクロロメチルヒドロシロキサンを得た。得られたポリクロロメチルヒドロシロキサンに対して、アリルマグネシウムブロミド0.86M(EtO溶液、2.8mL,2.4mmol)を0℃で滴下し、室温で2時間撹拌した。その後、全体をジエチルエーテルで希釈した後、濃度10重量%の塩酸を加えて分液操作を行った。分液操作により得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、ポリアリルメチルヒドロシロキサン(472mg)を得た。
【実施例】
【0302】
この反応では、ポリメチルヒドロシロキサンとトリクロロイソシアヌル酸とを反応させてポリメチルヒドロシロキサンのヒドロシラン基を塩素化させた後、求核剤であるアリルグリニャール試薬と反応させて、ポリアリルメチルヒドロシロキサンを得ている。このとき、ポリメチルヒドロシロキサンとトリクロロイソシアヌル酸との混合比によって、塩素化を受けるヒドロシラン基の数を制御することが可能である。また、様々な求核剤と反応させることによって、官能基の組成が異なる多種のPMHS複合材料を合成できる。
【実施例】
【0303】
得られたポリアリルメチルヒドロシロキサンに対するIRの評価結果を図53に、H-NMRの評価結果を図54に示す。
【実施例】
【0304】
(製造例35)
製造例35では、製造例34で作製したポリアリルメチルヒドロシロキサンから、ポリエポキシメチルヒドロシロキサンへの変換を行った。
【実施例】
【0305】
製造例34で作製したポリアリルメチルヒドロシロキサン(250mg,0.0856mmol)と、メタクロロ過安息香酸(mCPBA;133mg,0.770mmol)とを窒素雰囲気下にてCHCl(10mL)に溶解し、5℃で2日間攪拌した。反応終了後、ジメチルスルフィドを加えることにより、残留したmCPBAをクエンチした。その後、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、水層をCHClで抽出した。次に、飽和NHCl水溶液で中和し、有機層をMgSOで乾燥させた。最後に、濾過および濃縮することで、ポリエポキシメチルヒドロシロキサンを得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0306】
【化45】
JP0005924633B2_000048t.gif
【実施例】
【0307】
得られたポリエポキシメチルヒドロシロキサンは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。ケミカルシフト3.04ppm、2.79ppmおよび2.47ppmは、エポキシのピークに対応する。また、H-NMRの評価結果を図55に示す。
δ(ppm):0.29-0.07(m),0.92-0.84(m),2.47(br),2.79(br),3.04(br),4.72(br)
【実施例】
【0308】
(製造例36)
製造例36では、PMHSとエピクロロヒドリンとから、ポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサンを合成した。
【実施例】
【0309】
PMHS(200mg,0.0816mmol)とエピクロロヒドリン(151mg,1.63mmol)とを反応容器に加え、CHCl(8mL)に溶解させた後、触媒量のB(C(5.00mg,0.00977mmol)を加えて室温で20分攪拌した。反応終了後、EtNを加えてB(Cをクエンチし、濃縮することによってポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサンを得た。この反応の反応式を以下に示す。右辺のnおよびmは、1:1であった。
【実施例】
【0310】
【化46】
JP0005924633B2_000049t.gif
【実施例】
【0311】
得られたポリ(クロロイソプロポキシ)メチルヒドロシロキサンは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.22-0.13(m,138H),1.30-1.28(d,J=8.0Hz,60H),3.50-3.37(m,40H),4.24-4.17(m,20H),4.73(s,20H)
【実施例】
【0312】
(製造例37)
製造例36では、PMHSと3官能エポキシドとから、ポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサンを合成した。
【実施例】
【0313】
PMHS(50mg,0.0204mmol)およびトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(84.5mg,0.280mmol)を窒素雰囲気下にて反応容器に加え、シクロヘキサン(15mL)に溶解させた。次に、全体を70℃まで昇温させ、触媒量のB(C(5.00mg,0.00977mmol)とジフェニルエーテルとを加えた。その後、70℃で15時間攪拌した。反応終了後、トリエチルアミンを加えてB(Cをクエンチし、濃縮することによってポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサンを得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0314】
【化47】
JP0005924633B2_000050t.gif
【実施例】
【0315】
得られたポリ(エポキシ)メチルヒドロシロキサンに対するIRの評価結果を図56に示す。波数1135cm-1付近にSi-O-C結合に対応するブロードなピークが確認されたことから、上記反応式の反応が進行したと考えられる。
【実施例】
【0316】
(製造例38)
製造例38では、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルトリメトキシシランとPMHSとの縮合反応により、パーフルオロ変性PMHSを合成した。
【実施例】
【0317】
乾燥したシュレンクチューブに、1H,1H,2H,2H-ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン(0.66mmol,241.35mg)およびPMHS(0.197mmol,500mg)を窒素雰囲気下にて収容し、溶媒として脱水ヘキサン6mLを加えて攪拌した。次に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.078mmol,40mg)をすばやく加えて30分間攪拌した。攪拌開始から30分後、トリエチルアミンを数滴加えて触媒を失活させた。その後、セライト(登録商標)を用いてヘキサンで反応溶液を濾過し、濾液をエバポエータにて濃縮した後、真空乾燥して、パーフルオロアルキル基を有するヒドロシラン誘導体を得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0318】
【化48】
JP0005924633B2_000051t.gif
【実施例】
【0319】
得られたパーフルオロ変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。また、H-NMRの評価結果を図57に示す。
δ(ppm):0.28-0.07(br,138H),0.95-0.81(br,9H),2.22-2.04(br,8H),4.75-4.65(br,24H)
【実施例】
【0320】
[実施例10:ミクロフィブリル化したセルロースの表面の修飾(疎水化)]
実施例10では、ミクロフィブリル化したセルロースの表面を疎水化した。これにより、例えば、セルロースナノフィブリルの有機溶媒への分散度、溶解度を向上させることができ、セルロースナノフィブリル(CNF)複合材料の創製がより容易となる。CNF複合材料は、強度が高く、かつ軽量化が容易であることなどから、次世代材料としての使用が強く期待できる。具体的な用途は、例えば、自動車のボディ、パーソナルコンピューターなどの電気製品の筐体である。
【実施例】
【0321】
セルロースナノフィブリルに対して、以下の3通りの方法で前処理を実施した。
【実施例】
【0322】
・方法1:ミクロフィブリル化セルロース(またはセルロースナノフィブリルもしくはセルロースナノファイバー)として市販されているセリッシュ(ダイセルファインケム製)100gをガラスフィルターに詰めた後、ここにアセトン50mLを5回、塩化メチレン50mLを3回、次いでシクロヘキサン50mLを2回、順次常圧下で通過させることにより、シクロヘキサンに溶媒置換されたミクロフィブリル化セルロースを得た。
【実施例】
【0323】
・方法2:セリッシュ100gを内容積200mLのナスフラスコに収容し、当該フラスコにディーンスターク装置およびジムロート冷却器を設置した。次に、当該フラスコにトルエン100mLを加え、95℃に昇温して12時間攪拌することで、共沸により脱水させたミクロフィブリル化セルロースを得た。
【実施例】
【0324】
・方法3:セリッシュ100gを減圧下50℃で8時間乾燥させ、水分を除去した。次に、得られた凝集セルロースをミルで砕いて微細化させた。
【実施例】
【0325】
(実施例10-1:PMHSによる表面修飾)
方法1で作製したミクロフィブリル化セルロースの表面をPMHSにより修飾した。具体的に、シクロヘキサンを含むミクロフィブリル化セルロース(セルロースナノファイバー)2gにシクロヘキサン5mLを加え、さらにPMHS1gおよびジフェニルエーテル30mgを加えた。次に、反応混合物を50℃に昇温し、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン10mgを加え、10分間激しく撹拌した。その後、室温に冷却し、ガラスフィルターで濾別した後、ヘキサンで洗浄して、表面がPMHSにより修飾されたミクロフィブリル化セルロース(PMHS-CNF)を得た。得られたPMHS-CNFをクロロホルムに分散させると、未修飾のものに比べてその分散度が大きく向上した。この修飾の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0326】
【化49】
JP0005924633B2_000052t.gif
【実施例】
【0327】
これとは別に、方法1で作製したミクロフィブリル化セルロースの代わりに、方法2で作製したミクロフィブリル化セルロースを用いてPMHSによる同様の表面修飾を行ったところ、同様の結果が得られた。
【実施例】
【0328】
(実施例10-2:PMHS-C12による表面修飾)
方法3で作製したミクロフィブリル化セルロースの表面を、製造例31で作製したアルキル基(C1225基)を有する変性PMHS(PMHS-C12)により修飾した。具体的に、方法3で作製したミクロフィブリル化セルロース(セルロースナノファイバー)1gに、トルエン3mL、製造例31で作製したPMHS-C121gおよびジフェニルエーテル30mgを加えた。次に、この混合物を60℃に加熱した後、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン10mgを加えて10分間激しく撹拌した。その後、室温に冷却し、遠心分離にて溶液を除去した後、ヘキサンで洗浄および遠心分離を3回繰り返すことで未反応のPMHS-C12および触媒を除去した。これにより、表面がPMHS-C12により修飾されたミクロフィブリル化セルロース(PMHS C12-CNF)を得た。この修飾の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0329】
【化50】
JP0005924633B2_000053t.gif
【実施例】
【0330】
次に、このように作製した修飾ミクロフィブリル化セルロースにクロロホルムを加えた後、遠心分離した。そして、遠心分離により得たクロロホルム溶液を濃縮した後、CDClに溶解させ、H-NMR測定により当該溶液に含まれる物質を同定した。その評価結果を図58に示す。図58に示すように、化学シフト3.5~3.9ppm近傍に、セルロースに由来する新たな複数のピーク(セルロースの酸素原子が結合している炭素原子、すなわちグルコース骨格の炭素原子に結合している水素原子に由来するピーク)が観察され、すなわち、表面修飾セルロースナノファイバーのクロロホルムへの溶解が確認された。
【実施例】
【0331】
また、方法3で作製したミクロフィブリル化セルロースの代わりに、以下の方法で作製したミクロフィブリル化セルロースを用いた場合にも同様に、表面がPMHS-C12により疎水化されたシリコーン修飾セルロースナノファイバーが得られた。当該方法は、石原ら(Journal of American Chemical Society, 2009, vol. 131, pp. 251-262)により報告された、Potassium 2-Iodo-5-methylbenzene sulfonateおよびoxoneを用いたアルコールの酸化法に従い、純パルプP50(サンヨー化成製)をアセトニトリル中で反応させる方法である。この方法は非水系で実施できることから、例えば、非水系のまま、パルプからのセルロースナノファイバーの作製および作製した当該ナノファイバーの表面修飾を実施できるなど、産業上の意義が大きい。
【実施例】
【0332】
(実施例10-3:PMHS-C18による表面修飾)
方法3で作製したミクロフィブリル化セルロースの表面を、製造例32で作製したアルキル基(C1837基)を有する変性PMHS(PMHS-C18)により修飾した。具体的に、PMHS-C12の代わりにPMHS-C18を用いた以外は実施例10-2と同様にして、PMHS-C18によるミクロフィブリル化セルロースの表面修飾を実施し、表面がPMHS-C18により修飾されたミクロフィブリル化セルロース(PMHS C18-CNF)を得た。この修飾の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0333】
【化51】
JP0005924633B2_000054t.gif
【実施例】
【0334】
次に、このように作製した修飾ミクロフィブリル化セルロースにクロロホルムを加えた後、遠心分離した。そして、遠心分離により得たクロロホルム溶液を濃縮した後、CDClに溶解させ、H-NMR測定により当該溶液に含まれる物質を同定した。その評価結果を図59に示す。図59に示すように、化学シフト3.5~3.9ppm近傍に、セルロースに由来する新たな複数のピークが観察され、すなわち、表面修飾セルロースナノファイバーのクロロホルムへの溶解が確認された。
【実施例】
【0335】
また、方法3で作製したミクロフィブリル化セルロースの代わりに、上記石原らが報告したアルコールの酸化法に従い、純パルプP50をアセトニトリル中で反応させて作製したミクロフィブリル化セルロースを用いた場合にも同様に、表面がPMHS-C18により疎水化されたシリコーン修飾セルロースナノファイバーが得られた。
【実施例】
【0336】
(実施例10-4:PMHSによるパルプの繰り返し修飾)
パルプの表面をPMHSにより修飾した後、パルプを粉砕して細粒化し、細粒化したパルプに対してさらにPMHSによる修飾を2回繰り返して表面修飾パルプを得た。PMHSによる各々の修飾は、ミクロフィブリル化セルロースの代わりにパルプまたは細粒化したパルプを用いた以外は実施例10-1と同様に行った。得られた表面修飾パルプをクロロホルムに分散させると、未修飾のパルプに比べてその分散度が大きく向上した。すなわち、このようにして、有機溶媒に可溶であるセルロースが得られることが確認された。
【実施例】
【0337】
[実施例11:パーフルオロヘキシルエチル基を有する変性PMHSによるガラスの修飾]
実施例11では、パーフルオロヘキシルエチル基を有する変性PMHS(製造例33で作製した変性PMHSと同じ)によるガラス表面の修飾を行った。具体的に、(パーフルオロヘキシル)エチレン300mgの塩化メチレン溶液に、コロナ処理によって表面を活性化させた、主面の面積が4cmのガラス板を入れ、さらにジフェニルエーテル10mgおよびトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン10mgを順次加えた後、室温で10分間、超音波振動下で反応させた。このようにして得た表面修飾ガラスをヘキサンで十分に洗浄した後、当該主面における水の接触角を測定すると108°であった。
【実施例】
【0338】
[実施例12:窒素含有ヒドロシランのセルロース表面への修飾]
(実施例12-1)
セルロースパウダー400mesh(和光純薬製)200mgに、シクロヘキサン2mLおよび(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセチルアミド1gならびにトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン10mgを順次加えた。次に、混合物を、室温および超音波振動下で10分間反応させた。次に、反応混合物を濾過し、ヘキサンで洗浄した後、室温で乾燥させて、アミド修飾セルロースパウダーを得た。この反応の間、水素の発生が確認されるとともに、得られたセルロースの表面に疎水性が付与されたことが確認された。この反応の反応式を以下に示す。右辺の「N」は、-NH(C=O)CFを示す。
【実施例】
【0339】
【化52】
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【実施例】
【0340】
(実施例12-2)
(3-ジメチルシリルプロピル)トリフルオロアセチルアミド1gの代わりに(3-アジドプロピル)ジメチルシラン0.7gを用いた以外は、実施例12-1と同様にして、アジド修飾セルロースパウダーを得た。この反応の反応式を以下に示す。右辺の「N」は、-Nを示す。
【実施例】
【0341】
【化53】
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【実施例】
【0342】
(実施例12-3)
実施例12-1で使用したセルロースパウダー200mgにトルエン2mL、製造例24で作製したPMHS-Pht1g、およびジフェニルエーテル30mgを加え50℃に加熱した。次に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン10mgを加え、10分間激しく撹拌した。次に、反応混合物を濾過し、クロロホルムで洗浄した後、室温で乾燥させて、フタロイル修飾セルロースパウダーを得た。この反応の間、激しい水素発生が確認されるとともに、得られたセルロースの表面に疎水性が付与されたことが確認された。この反応の反応式を以下に示す。右辺の「N」は、フタロイル基を示す。
【実施例】
【0343】
【化54】
JP0005924633B2_000057t.gif
【実施例】
【0344】
[実施例13:酸化物表面の修飾]
(実施例13-1:酸化ジルコニウム)
最初に、前処理として、酸化ジルコニウム粉末(和光純薬工業製)をナスフラスコに入れ、真空下で加熱して乾燥させた。次に、乾燥したナスフラスコ内に、上記前処理を行った酸化ジルコニウム200mg、シクロヘキサン4mL、ポリメチルヒドロシロキサン250mgおよび数滴のジフェニルエーテルを加えた。次に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン5mgを加え、5分間撹拌した。攪拌終了後、内容物をガラスフィルターにて濾過し、濾別した固体を真空乾燥して、表面修飾酸化ジルコニウム粉末を得た。
【実施例】
【0345】
得られた粉末に対するIRの測定結果を図60に示す。
【実施例】
【0346】
得られた酸化ジルコニウム粉末を不織布上に薄く配置し、その上に水滴を垂らしたところ、図61に示すような液滴となり、表面修飾により酸化ジルコニウム粉末に撥水性が付与されていることが確認された。目視で見た接触角は112°であったが、粉末上の液滴の接触角を測定するために液滴を過度に大きくする必要があったことから、実際の接触角よりも小さな値になっていると考えられる。実施例13-2~13-4で評価した粉末上の接触角についても同様である。
【実施例】
【0347】
(実施例13-2:酸化インジウム)
最初に、前処理として、酸化インジウム粉末(和光純薬工業製)をナスフラスコに入れ、真空下で加熱して乾燥させた。次に、乾燥したナスフラスコ内に、上記前処理を行った酸化インジウム200mg、シクロヘキサン4mL、ポリメチルヒドロシロキサン250mgおよび数滴のジフェニルエーテルを加えた。次に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン5mgを加え、5分間撹拌した。攪拌終了後、内容物をガラスフィルターにて濾過し、濾別した固体を真空乾燥して、表面修飾酸化インジウム粉末を得た。
【実施例】
【0348】
得られた酸化インジウム粉末を不織布上に薄く配置し、その上に水滴を垂らしたところ、図62に示すような液滴となり、表面修飾により酸化インジウム粉末に撥水性が付与されていることが確認された。目視で見た接触角は118°であった。
【実施例】
【0349】
(実施例13-3:酸化セリウム)
最初に、前処理として、酸化セリウム粉末(Aldrich製)をナスフラスコに入れ、真空下で加熱して乾燥させた。次に、乾燥したナスフラスコ内に、上記前処理を行った酸化セリウム200mg、シクロヘキサン4mL、ポリメチルヒドロシロキサン250mgおよび数滴のジフェニルエーテルを加えた。次に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン5mgを加え、5分間撹拌した。攪拌終了後、内容物をガラスフィルターにて濾過し、濾別した固体を真空乾燥して、表面修飾酸化セリウム粉末を得た。
【実施例】
【0350】
得られた酸化セリウム粉末を不織布上に薄く配置し、その上に水滴を垂らしたところ、図63に示すような液滴となり、表面修飾により酸化セリウム粉末に撥水性が付与されていることが確認された。目視で見た接触角は126°であった。
【実施例】
【0351】
(実施例13-4:酸化チタン)
最初に、前処理として、酸化チタン粉末(和光純薬工業製)をナスフラスコに入れ、真空下で加熱して乾燥させた。次に、乾燥したナスフラスコ内に、上記前処理を行った酸化チタン200mg、シクロヘキサン4mL、ポリメチルヒドロシロキサン250mgおよび数滴のジフェニルエーテルを加えた。次に、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン5mgを加え、5分間撹拌した。攪拌終了後、内容物をガラスフィルターにて濾過し、濾別した固体を真空乾燥して、表面修飾酸化チタン粉末を得た。
【実施例】
【0352】
得られた酸化チタン粉末を不織布上に薄く配置し、その上に水滴を垂らしたところ、図64に示すような液滴となり、表面修飾により酸化チタン粉末に撥水性が付与されていることが確認された。目視で見た接触角は118°であった。
【実施例】
【0353】
(実施例13-5:タルク)
粒状タルク1gにシクロヘキサン4mLを加え、さらにポリメチルヒドロシロキサン600mgおよびトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン10mgを順次加えた。これを室温で5分間撹拌した後、ガラスフィルターで濾過してヘキサンで十分に洗浄した。このようにして得た表面修飾タルクは撥水性を有しており、例えば、水に一週間浮かべても吸湿して沈降しないことを確認した。
【実施例】
【0354】
[実施例14:木粉およびパルプへのチオ化合物の担持と、担持体を用いた金属イオンの除去への応用]
(実施例14-1)
実施例14-1では、PMHSと3,6-ジチア-1,8-オクタンジオールとの反応によるチオ化合物変性PMHSの合成を行った。具体的に、3,6-ジチア-1,8-オクタンジオール15.0eq(5.58g,30.0mmol)を内容積300mLの二口ナスフラスコに収容し、窒素雰囲気下にて、150mLのシクロヘキサンに溶解させたPMHS(4.9mg,2.0mmol)溶液を加えた後、1.5mol%トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン15mg(0.03mmol)を添加して水素発生が起こらなくなるまで6時間攪拌した。このようにして、チオ化合物変性PMHS(3,6-ジチア-1,8-オクタンジオキシポリメチルヒドロシロキサン)を得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0355】
【化55】
JP0005924633B2_000058t.gif
【実施例】
【0356】
得られたチオ化合物変性PMHSは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):4.61-4.87(br,27H),3.79-4.10(br,26H),2.65-2.89(br,52H),0.06-0.32(m,138H)
【実施例】
【0357】
(実施例14-2)
実施例14-2では、実施例14-1で作製したチオ化合物変性PMHSを用いて木粉の表面を修飾し、当該表面における金属イオンの吸着を確認した。具体的には次のとおりである。実施例14-1で形成した攪拌後の反応溶液に木粉を投入し、さらに12時間攪拌した。次に、木粉をジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させた。次に、乾燥後の木粉20gをエリュート管に充填して、そこに濃度4.0mmol/LのCuSO水溶液100mLを通し、木粉を通過した後の濾液の吸光度をUV検出器により評価して、CuSOの木粉への吸着量を求めた。結果、91%に相当する0.36mmolの銅イオンが木粉に吸着除去されたことが確認された。
【実施例】
【0358】
[ヒドロシラン化合物の作製その3]
(製造例39)
窒素雰囲気下、1,4-ジブロモベンゼン(5000mg,21.2mmol)をシクロペンチルメチルエーテル(CPME;25mL)に溶解させ、これを-5℃まで冷却した後に、BuLi(13.5mL,21.2mmol)およびPrMgCl(8.15mL,10.6mmol)を加え、2時間攪拌した。次に、クロロジメチルシラン(2.47mL,22.3mmol)を加えて室温で2時間攪拌し、反応を進行させた。反応終了後、飽和NHCl水溶液を加えてクエンチし、水層をジエチルエーテルで抽出した。次に、得られた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させた。その後、ろ過および濃縮により粗生成物を得た。最後に、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、以下の反応式の右辺の化合物を得た(4235mg,収率93%)。
【実施例】
【0359】
【化56】
JP0005924633B2_000059t.gif
【実施例】
【0360】
得られた当該化合物は、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.33(d,J=4.0Hz,6H),4.42-4.36(m,1H),7.40(d,J=8.4Hz,2H),7.50(d,J=8.0Hz,2H)
【実施例】
【0361】
次に、窒素雰囲気下、Mg(669mg,27.9mmol)をTHF(2mL)に浸し、少量のジブロモエタンを加えてMgを活性化させた。次に、上記得られた化合物(4000mg,18.6mmol)およびTHF(13mL)を室温で滴下し、2時間攪拌して、以下の反応式の右辺の化合物である4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミドを得た(0.9M)。この化合物は、新規ヒドロシラン化合物である。
【実施例】
【0362】
【化57】
JP0005924633B2_000060t.gif
【実施例】
【0363】
次に、窒素雰囲気下、反応容器にDMF(1.23mL,15.9mmol)を加え、0℃に冷却した後、得られた4-ジメチルシリルフェニルマグネシウムブロミド(18.0mL,16.7mmol)をグリニャール試薬として滴下し、室温で2時間攪拌して反応を進行させた。反応終了後、飽和NHCl水溶液を加えてクエンチし、ジエチルエーテルで水層を抽出した。得られた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させた。その後、ろ過および濃縮して、粗生成物を得た。次に、得られた粗組成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、以下の反応式の右辺の化合物を得た(2213mg,収率72%)。
【実施例】
【0364】
【化58】
JP0005924633B2_000061t.gif
【実施例】
【0365】
得られた当該化合物は、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.39(d,J=4.4Hz,6H),4.50-4.44(m,1H),7.72(d,J=7.6Hz,2H),7.85(d,J=8.4Hz,2H),10.0(s,1H)
【実施例】
【0366】
次に、窒素雰囲気下、得られた化合物(1000mg,6.09mmol)をCHCl(14mL)に溶解させ、BF・EtO(172.7mg,1.22mmol)および1,2-エタンジチオール(630mg,6.70mmol)を加え、室温で6時間攪拌して反応を進行させた。反応終了後、水で洗浄し、水層をCHClで抽出した。得られた有機層はMgSOで乾燥させ、ろ過および濃縮して粗生成物を得た。最後に、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、以下の反応式の右辺の化合物である4-(1,3-ジチアン-2-イル)ジメチルシリルベンゼンを得た(1398mg,収率96%)。この化合物は、新規ヒドロシラン化合物である。
【実施例】
【0367】
【化59】
JP0005924633B2_000062t.gif
【実施例】
【0368】
得られた当該化合物は、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):0.34(d,J=3.6Hz,6H),3.56-3.33(m,4H),4.44-4.39(m,1H),5.64(s,1H),7.51(d,J=2.8Hz,4H)
【実施例】
【0369】
(製造例40)
(3-ブロモプロピル)ジメチルシラン(543mg,3mmol)およびトリエチルアミン(306mg,3mmol)の脱水アセトニトリル(2mL)溶液をシールドチューブに窒素雰囲気下で封入し、80Cで20時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮して残った白色固体をエーテルで洗浄し、さらに減圧下で乾燥させることにより、トリエチル-3-(ジメチルシリルプロピル)アンモニウムブロミド(735mg,2.6mmol)を87%の収率で得た。この化合物は、新規ヒドロシラン化合物である。
【実施例】
【0370】
この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0371】
【化60】
JP0005924633B2_000063t.gif
【実施例】
【0372】
得られた当該化合物は、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):3.87-3.92(m,1H),3.50-3.56(q,J=6.8Hz,6H),3.30-3.35(m,2H),1.69-1.77(m,2H),1.39-1.43(t,J=7.2Hz,9H),0.64-0.69(m,2H),0.13-0.14(d,J=3.6Hz,6H)
【実施例】
【0373】
(製造例41)
窒素雰囲気下、トリフェニルホスフィン(2306mg,8.8mmol)のジエチルエーテル(9mL)溶液に、(3-アジドプロピル)ジメチルシラン(1144mg,8.0mmol)を加え、室温で12時間撹拌して反応を進行させた。反応終了後、エーテルを減圧下にて留去し、N-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホランを得た。この化合物は、新規ヒドロシラン化合物である。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0374】
【化61】
JP0005924633B2_000064t.gif
【実施例】
【0375】
次に、得られたN-ジメチルヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホランにHO(0.87mL,48mmol)を加え、さらに室温で24時間撹拌して反応を進行させた。次に、得られた反応混合物をNaSOで乾燥し、セライト濾過に次いで減圧下で濃縮した。このようにして得た粗生成物を蒸留精製することにより、(3-アミノプロピル)ジメチルシラン(702mg,6.0mmol)を収率75%で得た。この方法では、製造例8の方法に比べて(3-アミノプロピル)ジメチルシランの収率を向上できる。
【実施例】
【0376】
この反応の出発物質からの反応式を、以下に示す。
【実施例】
【0377】
【化62】
JP0005924633B2_000065t.gif
【実施例】
【0378】
得られた(3-アミノプロピル)ジメチルシランは、H-NMR測定および13C-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
H-NMR δ(ppm):3.83-3.89(m,1H),2.67-2.70(t,J=6.8Hz,2H),1.44-1.52(m,2H),1.38(bs,2H),0.56-0.61(m,2H),0.07-0.08(d,J=3.6Hz,6H);13C-NMR δ(ppm):-4.37,11.28,28.84,45.37
【実施例】
【0379】
(製造例42)
アジ化ナトリウム(4.68g,60mol)のDMF(60mL)溶液に(3-クロロプロピル)メチルシラン(6.10g,50mmol)を加え、60Cで12時間撹拌した。次に、撹拌混合物を室温まで冷却した後、蒸留水を加え、ペンタンで分液操作を行った。次に、得られたペンタン層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、さらに減圧下で濃縮して、(3-アジドプロピル)メチルシラン(6.0g,47mmol)を93%の収率で得た。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0380】
【化63】
JP0005924633B2_000066t.gif
【実施例】
【0381】
得られた(3-アジドプロピル)メチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):3.71-3.76(quin.,J=4.0Hz,2H),3.26-3.29(t,J=6.8Hz,2H),1.65-1.72(m,2H),0.71-0.77(m,2H),0.15-0.17(t,J=4.4Hz,3H)
【実施例】
【0382】
次に、トリフェニルホスフィン(2885mg,11mmol)のジエチルエーテル(50mL)溶液を0Cに冷却し、得られた(3-アジドプロピル)メチルシラン(1290mg,10mol)をゆっくり滴下した。このようにして得た反応混合物を室温で4時間撹拌した後、エーテルを減圧下にて留去し、N-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホランを得た。この化合物は、新規ヒドロシラン化合物である。この反応の反応式を以下に示す。
【実施例】
【0383】
【化64】
JP0005924633B2_000067t.gif
【実施例】
【0384】
次に、得られたN-メチルジヒドロシリルプロピルイミノトリフェニルホスホランにHO(0.22mL,12mmol)を加え、4時間撹拌した。その後、硫酸ナトリウムを加えて未反応の水を除去した後、濾過し、得られた溶液を減圧下で蒸留することにより、(3-アミノプロピル)メチルシラン(484mg,4.7mmol)を47%の収率で得た。この反応の、(3-アジドプロピル)メチルシランからの反応式を、以下に示す。
【実施例】
【0385】
【化65】
JP0005924633B2_000068t.gif
【実施例】
【0386】
得られた(3-アミノプロピル)メチルシランは、H-NMR測定により同定した。同定されたケミカルシフトは以下のとおりである。
δ(ppm):3.67-3.72(quin.,J=4.0Hz,2H),2.66-2.70(t,J=6.8Hz,2H),1.48-1.55(m,4H),0.64-0.70(m,2H),0.13-0.15(t,J=4.4Hz,3H)
【産業上の利用可能性】
【0387】
本発明の製造方法により得た表面修飾基材は、基材の種類ならびに当該基材の表面を修飾する分子構造Aの種類および修飾の程度に応じて、様々な用途に使用できる。
【0388】
本発明は、その意図および本質的な特徴から逸脱しない限り、他の実施形態に適用しうる。この明細書に開示されている実施形態は、あらゆる点で説明的なものであってこれに限定されない。本発明の範囲は、上記説明ではなく添付したクレームによって示されており、クレームと均等な意味および範囲にあるすべての変更はそれに含まれる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
43
【図45】
44
【図46】
45
【図47】
46
【図48】
47
【図49】
48
【図50】
49
【図51】
50
【図52】
51
【図53】
52
【図54】
53
【図55】
54
【図56】
55
【図57】
56
【図58】
57
【図59】
58
【図60】
59
【図61】
60
【図62】
61
【図63】
62
【図64】
63