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明細書 :有機色素材料及びそれを用いた色素増感太陽電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6526557号 (P6526557)
登録日 令和元年5月17日(2019.5.17)
発行日 令和元年6月5日(2019.6.5)
発明の名称または考案の名称 有機色素材料及びそれを用いた色素増感太陽電池
国際特許分類 C09B  57/10        (2006.01)
C07F   5/02        (2006.01)
H01G   9/20        (2006.01)
H01L  51/46        (2006.01)
FI C09B 57/10
C07F 5/02 D
H01G 9/20 113A
H01L 31/04 154E
請求項の数または発明の数 11
全頁数 55
出願番号 特願2015-504403 (P2015-504403)
出願日 平成26年3月6日(2014.3.6)
国際出願番号 PCT/JP2014/055872
国際公開番号 WO2014/136915
国際公開日 平成26年9月12日(2014.9.12)
優先権出願番号 2013044626
優先日 平成25年3月6日(2013.3.6)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年3月3日(2017.3.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】若宮 淳志
【氏名】遠藤 克
【氏名】下河 広幸
【氏名】村田 靖次郎
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】前田 憲彦
参考文献・文献 国際公開第2012/121397(WO,A1)
国際公開第2012/001033(WO,A1)
特開2011-241371(JP,A)
特開2010-184880(JP,A)
調査した分野 C09B 57/00
C07F 5/00
H01G 9/00
H01L 51/00
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
【化1】
JP0006526557B2_000058t.gif
(式中、Tは
【化2】
JP0006526557B2_000059t.gif
(式中、nは1~3の整数であり、環Arは、芳香環である。Tは、カルボキシル基を示す。「・」印は三重結合の炭素原子と結合する位置を示す。)
で表される酸化物半導体に結合可能な1個以上の基を有する1価の基であり、
環Ar及び環Arは、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環であり、当該ヘテロ芳香環はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基の少なくとも1個の置換基を有していてもよく、
及びYは、それぞれ独立して、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
及びXは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アルキル基(ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アリール基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルケニル基(アルキル基、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルキニル基(アルキル基、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アミノ基(アルキル基、アリール基、及びペルフルオロアルキル基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルコキシ基、アリールアルコキシ基(アリール基がアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、及び水酸基からなる群より選ばれる1種であるか、X及びXが結合して1,1’-ビフェニル基、2,2’-ビチエニル基、1,1,2,2-テトラメチルエチレン-1,2-ジオキシ基、又は2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオキシ基からなる2価の基を形成してもよく、
Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-、>C=O、=N-、-NR-、-O-、-S-、-PR-、=P-、-P(O)R-からなる群より選ばれる1種であり、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Qは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環から2個の水素原子を除いた2価の基からなるπ共役骨格を有し、アクセプター部分とドナー部位との間をπ共役骨格で結合することによりπ共役を拡張する2価の基(スペーサー部位)であり、
Dは、トリアリールアミン誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、カルバゾール誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、置換又は非置換のアリール基、又は置換又は非置換のアリールアミノ基からなる電子供与性骨格を有し、前記トリアリールアミン誘導体はトリフェニルアミン、ジナフチルフェニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)フェニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)フェニルアミン、ビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)フェニルアミン、ジフェニルチエニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)チエニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)チエニルアミン、又はビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)チエニルアミンであり、前記カルバゾール誘導体はN-アルキルカルバゾール、又はN-アリールカルバゾールであり、前記置換又は非置換のアリール基はフェニル基、4-アルコキシフェニル基、4-テトラエチレングリコキシフェニル基、3,4,5-トリアルコキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジアルキルアミノフェニル基、ピロリジルフェニル基、チエニル基、アルキルチエニル基、アルコキシチエニル基、エチレンジオキシチエニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、又はチアントレニル基であり、前記置換又は非置換のアリールアミノ基はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、又はピロリジル基である1価の基(ドナー部位)である。
実線矢印は、共有結合又は配位結合を示す。
前記シリル基は水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される3個の置換基を有するシリル基である。
前記シロキシ基は水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される3個の置換基を有するシロキシ基である。)
で表される化合物。
【請求項2】
前記環Ar及び環Arが、それぞれ独立して、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン又はピリミジン環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが1又は2である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記環ArとT(当該Tが複数の場合そのうちの1個)との単結合、及び前記環Arと三重結合炭素との単結合がほぼ直線上に位置する請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
前記環Arがベンゼン環であり、前記T(当該Tが複数の場合そのうちの1個)及び三重結合炭素が互いに、当該ベンゼン環の1,4-位(パラ位)の位置で結合している請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
前記請求項1~5のいずれかに記載の化合物からなる色素。
【請求項7】
第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体及び請求項6に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
【請求項8】
一般式(5):
【化3】
JP0006526557B2_000060t.gif
(式中、Uはカルボキシ基、又は、カルボキシ基を1個以上有する、アルケニル基及び/又はアリール基であり、
環Ar及び環Arは、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環であり、当該ヘテロ芳香環はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基の少なくとも1個の置換基を有していてもよく、
及びYは、それぞれ独立して、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
及びXは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アルキル基(ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アリール基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルケニル基(アルキル基、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルキニル基(アルキル基、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アミノ基(アルキル基、アリール基、及びペルフルオロアルキル基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルコキシ基、アリールアルコキシ基(アリール基がアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、及び水酸基からなる群より選ばれる1種であるか、X及びXが結合して1,1’-ビフェニル基、2,2’-ビチエニル基、1,1,2,2-テトラメチルエチレン-1,2-ジオキシ基、又は2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオキシ基からなる2価の基を形成してもよく、
Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-、>C=O、=N-、-NR-、-O-、-S-、-PR-、=P-、-P(O)R-からなる群より選ばれる1種であり、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Q3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環から2個の水素原子を除いた2価の基からなるπ共役骨格を有し、アクセプター部分とドナー部位との間をπ共役骨格で結合することによりπ共役を拡張する2価の基であり、
Q4は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環から2個の水素原子を除いた2価の基からなるπ共役骨格を有し、アクセプター部分とドナー部位との間をπ共役骨格で結合することによりπ共役を拡張する2価の基であり、
は同一又は異なって、水素原子、アルキル基(ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アリール基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、又はチエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)であり、
Dは、トリアリールアミン誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、カルバゾール誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、置換又は非置換のアリール基、又は置換又は非置換のアリールアミノ基からなる電子供与性骨格を有し、前記トリアリールアミン誘導体はトリフェニルアミン、ジナフチルフェニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)フェニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)フェニルアミン、ビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)フェニルアミン、ジフェニルチエニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)チエニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)チエニルアミン、又はビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)チエニルアミンであり、前記カルバゾール誘導体はN-アルキルカルバゾール、又はN-アリールカルバゾールであり、前記置換又は非置換のアリール基はフェニル基、4-アルコキシフェニル基、4-テトラエチレングリコキシフェニル基、3,4,5-トリアルコキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジアルキルアミノフェニル基、ピロリジルフェニル基、チエニル基、アルキルチエニル基、アルコキシチエニル基、エチレンジオキシチエニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、又はチアントレニル基であり、前記置換又は非置換のアリールアミノ基はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、又はピロリジル基である1価の基(ドナー部位)である。
実線矢印は、共有結合又は配位結合を示す。)
で表される化合物。
【請求項9】
前記請求項8に記載の化合物からなる色素。
【請求項10】
第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体及び請求項9に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
【請求項11】
第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体、請求項6に記載の色素、及び請求項9に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機色素材料及びそれを用いた色素増感太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機色素増感太陽電池は、次世代型の太陽電池として活発に研究が行われている。これまでに、ルテニウム錯体色素を用いて光電変換効率11%が達成されているものの、実用化に向けてさらに高い光電変換効率の実現が必要である。また、ルテニウム錯体には、白金族のルテニウムが用いられ、高価であることから、低コストかつ高性能である色素の開発が望まれている。
【0003】
高い光電変換効率の実現のための最も主要な戦略は、有機色素材料としての化合物に長波長の光を吸収させることである。ここで、当該化合物が適切なHOMOのエネルギー準位(HOMOレベル)及びLUMOのエネルギー準位(LUMOレベル)を有することが重要である。
【0004】
ルテニウム錯体を用いない有機色素として、二酸化チタンへのアンカー部位として、シアノアクリル酸基などの強い電子求引性基が導入されたものが多数報告されている。この有機色素では、電子供与性の骨格に、強い電子求引性のシアノアクリル酸基を導入することで、強制的にLUMOレベルを低下させて長波長吸収を実現させているため、高い光電変換効率を得るためにはこのユニットの導入が必須とされている(非特許文献1等)。
【0005】
しかし、この有機色素は、シアノアクリル酸基を含むことでLUMOレベルを低下できるという利点はあるが、LUMOの位置がシアノアクリル酸基に偏在するため、HOMO-LUMO遷移に対応する光吸収強度が低下してしまう。また、有機色素における多様性のあるアンカー部位の構築という観点からも制約がある。
【0006】
近年、二酸化チタンと結合するアンカー部位、ホウ素への分子内配位結合を有する部分構造(アクセプター部位)、スペーサー部位、及びドナー部位を有する有機色素が報告されている(特許文献1)。このアクセプター部位を有する色素は、広がりのあるπ軌道を保持したままLUMOレベルを下げることができるため、広い波長領域の太陽光を吸収でき、高い光吸収効率、高い電荷分離効率等を実現できるとされている。また、アンカー部位はシアノアクリル酸基に限定されず多様な基に変換できるという利点もある。
【0007】
しかし、かかる有機色素も、電荷注入効率、光電変換効率、二酸化チタンへの吸着性能等の観点から、必ずしも満足できるものではなく、更なる性能の向上が望まれていた。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】国際公開第2012/121397号パンフレット
【0009】

【非特許文献1】Amaresh Mishra, Markus K. R. Fischer, and Peter Bauerle, Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 2474-2499.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高い電荷注入効率、高い光電変換効率、及び二酸化チタンへの優れた吸着性能を有する有機色素化合物を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は当該有機色素化合物を含む色素増感太陽電池を提供することをも目的とする。
【0011】
また、本発明は、長波長領域において、高い光電変換効率を示す有機色素化合物を提供することも目的とする。さらに、本発明は当該有機色素化合物を含む色素増感太陽電池を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、特許文献1において改善の余地のあった上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、二酸化チタンと結合するアンカー部位、ホウ素への分子内配位結合を有する部分構造(アクセプター部位)、スペーサー部位(Q)、及びドナー部位(D)を有する有機色素において、当該アンカー部位とアクセプター部位との間に直線状の分子(-C≡C-)を導入した化合物が、二酸化チタンへの優れた吸着性能を有し、色素増感太陽電池の色素として用いた場合に高い電荷注入効率、及び高い光電変換効率を発揮することを見出した。
【0013】
また、本発明者等は、スペーサー部位(Q)に2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン骨格を有する化合物が長波長領域において高い光電変換効率を示すことを見出した。
【0014】
かかる知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明は下記の化合物(有機色素)及びそれを用いた色素増感太陽電池を提供する。
【0016】
項1.一般式(1):
【0017】
【化1】
JP0006526557B2_000002t.gif

【0018】
(式中、Tは酸化物半導体に結合可能な1個以上の基を有する1価の基であり、
環Ar及び環Arは、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環であり、当該ヘテロ芳香環は置換基を有していてもよく、
及びYは、それぞれ独立して、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
及びXは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のヘテロアリール基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアルキニル基、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールアルコキシ基、及び水酸基からなる群より選ばれる1種であるか、X及びXが結合して2価の基を形成してもよく、
Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-、>C=O、=N-、-NR-、-O-、-S-、-PR-、=P-、-P(O)R-からなる群より選ばれる1種であり、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、エステル基、アミド基及びアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Qは、π共役骨格を有する2価の基(スペーサー部位)であり、
Dは、電子供与性骨格を有する1価の基(ドナー部位)である。
【0019】
実線矢印は、共有結合又は配位結合を示す。)
で表される化合物。
【0020】
項2.一般式(1)において、Tが、
【0021】
【化2】
JP0006526557B2_000003t.gif

【0022】
(式中、Tは、カルボキシル基、ボロン酸基、ホスホリル基、スルホン酸基、水酸基、ヒドロキサム酸基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、シロキシ基、又はアジド基、或いは、これらの官能基を1個有するアルキニル基を示す。「・」印は三重結合の炭素原子と結合する位置を示す。)
で表される基、又は
【0023】
【化3】
JP0006526557B2_000004t.gif

【0024】
(式中、nは1~3の整数であり、環Arは、芳香環又はヘテロ芳香環であり、これら各環は置換基を有していてもよく、T及び「・」印は前記に同じ。)
で表される項1に記載の化合物。
【0025】
項3.前記Tが、カルボキシル基、ホスホリル基、ボロン酸基、スルホン酸基、水酸基、シリル基、又はシロキシ基であり、nが1又は2であり、環Arが芳香環又はヘテロ芳香環であり、当該環はハロゲン、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、エステル基、アミド基、アシル基及びオキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種の基で置換されていてもよい前記項2に記載の化合物。
【0026】
項4.前記環ArとT(当該Tが複数の場合そのうちの1個)との単結合、及び前記環Arと三重結合炭素との単結合がほぼ直線上に位置する(或いは、両単結合のなす角が120~180°程度である)前記項2又は3に記載の化合物。
【0027】
項5.前記環Arがベンゼン環又は6員ヘテロ芳香環であり、前記T(当該Tが複数の場合そのうちの1個)及び三重結合炭素が互いに、当該ベンゼン環又は6員ヘテロ芳香環の1,4-位(パラ位)の位置で結合している前記項2~4のいずれかに記載の化合物。
【0028】
項6.前記環Arが5員ヘテロ芳香環であり、前記T(当該Tが複数の場合そのうちの1個)及び三重結合炭素が互いに、当該5員ヘテロ芳香環の1,3-位の位置で結合している前記項2~4のいずれかに記載の化合物。
【0029】
項7.前記Qが下記Q1又はQ2
【0030】
【化4】
JP0006526557B2_000005t.gif

【0031】
(式中、Rは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であり、Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のヘテロアリール基であり、pは1~5の整数であり、q及びrは0~4の整数である。)
で表される基である、前記項1~6のいずれかに記載の化合物。
【0032】
項8.前記環Ar及びArの一方がチオフェン環であり、もう一方がチアゾール環であり、前記Eが単結合である、前記項1~7のいずれかに記載の化合物。
【0033】
項9.前記項1~8のいずれかに記載の化合物からなる色素(特に、色素増感太陽電池用色素)。
【0034】
項10.第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体及び前記項9に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
【0035】
項11.一般式(5):
【0036】
【化5】
JP0006526557B2_000006t.gif

【0037】
(式中、Uは酸化物半導体に結合可能な1個以上の基を有する1価の基であり、
環Ar及び環Arは、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環であり、当該ヘテロ芳香環は置換基を有していてもよく、
及びYは、それぞれ独立して、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
及びXは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のヘテロアリール基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアルキニル基、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールアルコキシ基、及び水酸基からなる群より選ばれる1種であるか、X及びXが結合して2価の基を形成してもよく、
Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-、>C=O、=N-、-NR-、-O-、-S-、-PR-、=P-、-P(O)R-からなる群より選ばれる1種であり、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、エステル基、アミド基及びアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Q3は、単結合、又はπ共役骨格を有する2価の基であり、
Q4は、単結合、又はπ共役骨格を有する2価の基であり、
は同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のヘテロアリール基であり
Dは、電子供与性骨格を有する1価の基(ドナー部位)である。
【0038】
実線矢印は、共有結合又は配位結合を示す。)
で表される化合物。
【0039】
項12.前記Q3及びQ4が式:
【0040】
【化6】
JP0006526557B2_000007t.gif

【0041】
(式中、Rは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であり、tは0~4の整数である。)
で表される、前記項11に記載の化合物。
【0042】
項13.前記環Ar及びArの一方がチオフェン環であり、もう一方がチアゾール環であり、前記Eが単結合である、前記項11又は12に記載の化合物。
【0043】
項14.前記項11~13のいずれかに記載の化合物からなる色素(特に、色素増感太陽電池用色素)。
【0044】
項15.第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体及び14に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
【0045】
項16.第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体、項9に記載の色素、及び項14に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
【発明の効果】
【0046】
[第1発明]
本発明の化合物(第1発明)は、酸化物半導体(特に、二酸化チタン)へ結合する部位(アンカー部位)、ホウ素への分子内配位結合を有する部位(アクセプター部位)、π共役骨格を有する部位(スペーサー部位)、及び電子供与性骨格を有する部位(ドナー部位)を有しており、当該アンカー部位とアクセプター部位との間に直線状の分子(-C≡C-)を有する化合物である。典型的には、一般式(1)で表される化合物である。
【0047】
本発明の化合物は、酸化物半導体に対して強固に吸着しているため剥離や漏れだしが殆どなく、また高い電荷注入効率、高い光電変換効率が達成される。
【0048】
本発明の化合物は、分子内配位結合をもつヘテロ原子を含むπ電子系骨格を有しているため、π軌道及びπ軌道の広がりとエネルギー準位の精密制御が可能となる。これにより、軌道の重なりが重要となる光吸収効率と、軌道の局在化が重要となる電荷分離の二つを併せもつπ共役骨格を構築することができる。
【0049】
アクセプター部位及びスペーサー部位によるπ-π遷移と、ドナー部位による分子内電荷移動遷移とを組み合わせることで、可視光領域(π-π遷移)だけでなく、近赤外領域(分子内電荷移動遷移)にも吸収をもつ色素とすることが可能となり、太陽光エネルギーの効率的な捕集が可能となる。
【0050】
このように、本発明の化合物は、高い電荷注入効率、高い光電変換効率を発揮し、酸化物半導体に対し吸着性能(耐久性)にも優れるため、色素、特に色素増感太陽電池に用いる増感色素として有用である。
【0051】
本発明の色素増感太陽電池は、当該有機色素を含むものであるため、高い光電変換効率を達成することができる。
【0052】
[第2発明]
本発明の化合物(第2発明)は、酸化物半導体(特に、二酸化チタン)へ結合する部位(アンカー部位)、ホウ素への分子内配位結合を有する部位(アクセプター部位)、π共役骨格を有する部位(スペーサー部位)、及び電子供与性骨格を有する部位(ドナー部位)を有しており、当該スペーサー部位に、2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン骨格を有する化合物である。典型的には、一般式(5)で表される化合物である。
【0053】
本発明の一般式(5)で表される化合物は、吸収ピークを大幅(約200nm)に長波長シフトさせ、かつ吸光係数も飛躍的に増大できる。さらに、本発明の一般式(5)で表される化合物は、長波長領域における光電変換効率を向上することができる。
【0054】
また、本発明の一般式(5)で表される化合物と、一般式(1)で表される化合物(特に、スペーサー部位に2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン骨格を有しない化合物)の両方を、酸化物半導体(特に、二酸化チタン)へ結合させて調製された色素増感太陽電池では、IPCEスペクトルにおいて、前者に由来する長波長域(例えば650nm以上)で光電変換効率が向上し、かつ、後者に由来する波長領域(例えは、400~600nm)の入射光-電流変換効率が大きく向上する。即ち、2種以上の色素を酸化物半導体に吸着させることで、双方の特徴を大きく向上させた相乗効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】試験例1(3)における色素増感型太陽電池の特性(I-V曲線)を示す。
【図2】試験例1(4)における色素増感太陽電池のIPCEスペクトルを示す。
【図3】試験例1(5)における吸収スペクトルから求めた多孔質酸化チタンへの色素吸着量の時間依存性を測定した結果を示す。
【図4】試験例1(6)における0.5 M t-ブチルピリジンのアセトニトリル溶液に色素を吸着させた基盤を60時間浸漬した後の吸収スペクトルを示す。
【図5】試験例2-1における化合物12およびRef1の1%CF3COOHを含むTHF溶液中の可視吸収スペクトルを示す。
【図6】試験例2-2における色素増感太陽電池のIPCEスペクトルを示す。
【図7】試験例3における色素増感太陽電池のIPCEスペクトル及び特性(I-V曲線)を示す。
【図8】試験例4における色素増感太陽電池のIPCEスペクトル及び特性(I-V曲線)を示す。
【図9】試験例5における色素増感太陽電池のIPCEスペクトル及び特性(I-V曲線)を示す。
【図10】試験例6における色素増感太陽電池のIPCEスペクトル及び特性(I-V曲線)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明について詳細に説明する。

【0057】
[第1発明]
1.本発明化合物(色素)
本発明化合物は、一般式(1):

【0058】
【化7】
JP0006526557B2_000008t.gif

【0059】
(式中、Tは酸化物半導体に結合可能な1個以上の基を有する1価の基であり、
環Ar及び環Arは、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環であり、当該ヘテロ芳香環は置換基を有していてもよく、
及びYは、それぞれ独立して、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
及びXは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のヘテロアリール基、置換又は非置換のアルケニル基、置換又は非置換のアルキニル基、置換又は非置換のアミノ基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールアルコキシ基、及び水酸基からなる群より選ばれる1種であるか、X及びXが結合して2価の基を形成してもよく、
Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-、>C=O、=N-、-NR-、-O-、-S-、-PR-、=P-、-P(O)R-からなる群より選ばれる1種であり、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、エステル基、アミド基及びアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Qは、π共役骨格を有する2価の基(スペーサー部位)であり、
Dは、電子供与性骨格を有する1価の基(ドナー部位)である。
実線矢印は、共有結合又は配位結合を示す。)
で表され、色素、特に色素増感太陽電池用の増感色素として用いることができる。すなわち有機色素材料として有用である。

【0060】
一般式(1)において、Tで示される酸化物半導体(金属酸化物半導体)に結合可能な1個以上の基を有する1価の基としては、酸化物半導体を有する電極への電荷注入効率の向上や、当該電極上への化学吸着力の向上の観点から、適宜選択することができる。ここで、Tをアンカー部位ということもある。アンカー部位Tとしては、例えば、

【0061】
【化8】
JP0006526557B2_000009t.gif

【0062】
(式中、Tは、カルボキシル基、ボロン酸基、ホスホリル基、スルホン酸基、水酸基、ヒドロキサム酸基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、シロキシ基、又はアジド基、或いは、これらの官能基を1個有するアルキニル基を示す。「・」印は三重結合の炭素原子と結合する位置を示す。)
で表される基、又は

【0063】
【化9】
JP0006526557B2_000010t.gif

【0064】
(式中、nは1~3の整数であり、環Arは、芳香環又はヘテロ芳香環であり、これら各環は置換基を有していてもよく、T及び「・」印は前記に同じ。)
で表される基が挙げられる。

【0065】
で示されるホスホリル基としては、一般式-P(=O)(R基(式中、Rは、独立して、ヒドロキシ基、アルキル、アルコキシ基、フェニル、フェノキシ基など)で表される基であり、その具体例としては、-P(=O)(OH)基、ヒドロキシ(メトキシ)ホスホリル基、メトキシ(フェニル)ホスホリル基、ジメトキシホスホリル基、エトキシ(ヒドロキシ)ホスホリル基、ジエトキシホスホリル基、エトキシ(フェニル)ホスホリル基、ヒドロキシ(プロポキシ)ホスホリル基、ジプロポキシホスホリル基、フェニル(プロポキシ)ホスホリル基、ヒドロキシ(フェノキシ)ホスホリル基、ジフェノキシホスホリル基、フェノキシ(フェニル)ホスホリル基等が挙げられる。

【0066】
で示されるシリル基は、例えば、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される3個の置換基を有するシリル基が挙げられ、その具体例としては、トリエトキシシリル基、トリヒドロキシシリル基、エトキシジエチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、エトキシジフェニルシリル基、プロポキシジプロピルシリル基、ジプロポキシプロピルシリル基、プロポキシジフェニルシリル基等が挙げられる。

【0067】
で示されるシロキシ基としては、例えば、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される3個の置換基を有するシロキシ基が挙げられ、その具体例としては、トリヒドロキシシロキシ基、トリメチルシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、エトキシジエチルシロキシ基、ジジエトキシエチルシロキシ基、エトキシジフェニルシロキシ基等が挙げられる。

【0068】
として、酸化物半導体との吸着性(結合性)の観点から、好ましくはカルボキシル基、ホスホリル基、ボロン酸基、スルホン酸基、水酸基、シリル基、又はシロキシ基であり、より好ましくはカルボキシル基である。

【0069】
で示される上記の官能基を1個有するアルキニル基におけるアルキニル基としては、例えば、エチニル、ブタ-1,3-ジイニル等が挙げられる。

【0070】
nとして、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。

【0071】
環Arで示される芳香環としては、単環又は2環以上が縮環した芳香環が挙げられる。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレニル環等が挙げられる。好ましくは、ベンゼン環である。

【0072】
環Arで示されるヘテロ芳香環としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個(特に、1~3個)のヘテロ原子を含む単環又は2環以上が縮環したヘテロ芳香環が挙げられる。

【0073】
単環ヘテロ芳香環としては5又は6員ヘテロ芳香環が挙げられ、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、イソキザゾール、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール環等の5員ヘテロ芳香環;ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン環等の6員ヘテロ芳香環等が挙げられる。

【0074】
2環以上が縮環したヘテロ芳香環としては、例えば、ベンゾチアジアゾール、フェナンスロリン、ベンゾ[1,2-d:4,5-d’]ビス(チアゾール)、ベンゾ[d]チアゾール等が挙げられる。

【0075】
環Arは、芳香環又はヘテロ芳香環は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基(例えば、フェニル基)、ヘテロアリール基(例えば、チエニル基)、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、エステル基、アミド基、アシル基、オキシド等が挙げられ、好ましくはフッ素、アルキル基、アルコキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アシル基である。芳香環又はヘテロ芳香環は、これらの置換基からなる群より選ばれる少なくとも1個(特に1~3個)の基を有していてもよい。

【0076】
一般式(1)で表される化合物において、上記の種々の環Arを選択できる。そのうち、本発明の効果を有効に発揮するためには、Tと三重結合が環Arを介して互いに直線状に配置していることが好ましい。換言すれば、環ArとT(当該Tが複数の場合そのうちの1個)との単結合、及び前記環Arと三重結合炭素との単結合がほぼ直線上に位置することが好ましい。また、環ArとT(当該Tが複数の場合そのうちの1個)との単結合、及び前記環Arと三重結合炭素との単結合のなす角が120~180°程度、さらに140~180°程度、特に160~180°程度であることが好ましい。

【0077】
環Arがベンゼン環又は6員ヘテロ芳香環の場合には、T(当該Tが複数の場合そのうちの1個)及び三重結合炭素(「・」印)が互いに、当該ベンゼン環又は6員ヘテロ芳香環の1,3-位若しくは1,5-位(いずれもメタ位)、又は1,4-位(パラ位)の位置で結合していることが好ましく、特に1,4-位(パラ位)の位置で結合していることが好ましい。これにより、Tと三重結合とが直線状となるため、本発明の効果が有効に発揮される。具体的には、次のような位置で結合していることを意味する。

【0078】
【化10】
JP0006526557B2_000011t.gif

【0079】
(式中、T、環Ar及び「・」印は前記に同じ。)
環Arが5員ヘテロ芳香環の場合には、T(当該Tが複数の場合そのうちの1個)及び三重結合炭素(「・」印)が互いに、当該5員ヘテロ芳香環の1,3-位又は1,4-位の位置で結合していることが好ましい。これにより、Tと三重結合とがほぼ直線状となるため、本発明の効果が有効に発揮される。具体的には、次のような位置で結合していることを意味する。

【0080】
【化11】
JP0006526557B2_000012t.gif

【0081】
(式中、T、環Ar及び「・」印は前記に同じ。)
環Ar及び環Arで示される窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環(当該ヘテロ芳香環は置換基を有していてもよい)における当該「ヘテロ芳香環」としては、5又は6員ヘテロ芳香環が挙げられ、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、イソキザゾール、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール環等の5員ヘテロ芳香環;ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン環等の6員ヘテロ芳香環等が挙げられる。

【0082】
当該「ヘテロ芳香環」として好ましくは、チオフェン、チアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピラジン環である。

【0083】
及びYは、それぞれ独立して、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
環Arにおいて、YとEが結合する原子とは隣接しており、環Arにおいて、YとEが結合する原子とは隣接している。

【0084】
環Arが6員ヘテロ芳香環の場合には、三重結合炭素及びEが互いに、当該6員ヘテロ芳香環の1,3-位若しくは1,5位(いずれもメタ位)、又は1,4-位(パラ位)の位置で結合していることが好ましく、特に1,4-位(パラ位)の位置で結合していることが好ましい。これにより、三重結合炭素とEとが直線状となるため、本発明の効果が有効に発揮される。具体的には、次のような位置で結合していることを意味する。

【0085】
【化12】
JP0006526557B2_000013t.gif

【0086】
(式中、Y、環Ar及びEは前記に同じ。)
環Arが5員ヘテロ芳香環の場合には、三重結合炭素及びEが互いに、当該5員ヘテロ芳香環の1,3-位又は1,4-位の位置で結合していることが好ましい。これにより、三重結合炭素とEとがほぼ直線状となるため、本発明の効果が有効に発揮される。具体的には、次のような位置で結合していることを意味する。

【0087】
【化13】
JP0006526557B2_000014t.gif

【0088】
(式中、Y、環Ar及びEは前記に同じ。)
環Arが6員ヘテロ芳香環の場合には、E及びQが互いに、当該6員ヘテロ芳香環の1,3-位若しくは1,5-位(いずれもメタ位)、又は1,4-位(パラ位)の位置で結合していることが好ましく、特に1,4-位(パラ位)の位置で結合していることが好ましい。これにより、EとQとが直線状となるため、本発明の効果が有効に発揮される。具体的には、次のような位置で結合していることを意味する。

【0089】
【化14】
JP0006526557B2_000015t.gif

【0090】
(式中、Y、環Ar、E及びQは前記に同じ。)
環Arが5員ヘテロ芳香環の場合には、E及びQが互いに、当該5員ヘテロ芳香環の1,3-位又は1,4-位の位置で結合していることが好ましい。これにより、EとQとがほぼ直線状となるため、本発明の効果が有効に発揮される。具体的には、次のような位置で結合していることを意味する。

【0091】
【化15】
JP0006526557B2_000016t.gif

【0092】
(式中、Y、環Ar、E及びQは前記に同じ。)
環Ar及び環Arに有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、エステル基、アミド基、アシル基等が挙げられる。環Ar及び環Arは、これらの置換基からなる群より選ばれる少なくとも1個(特に1又は2個)の基を有していてもよい。

【0093】
及びXで示されるハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。好ましくは、フッ素である。

【0094】
及びXで示されるアルキル基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~20のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソへキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、イコシル基等の炭素数1~20のアルキル基(好ましくは、炭素数2~12のアルキル基)が挙げられる。このうち好ましくはヘキシル基又は2-エチルヘキシル基であり、特に好ましくはヘキシル基である。当該アルキル基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシ基、エステル基、アミド基、及び保護されていてもよい水酸基等からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1~3個)の置換基を有していてもよい。

【0095】
及びXで示されるアリール基及びヘテロアリール基としては、例えば、単環又は2環以上が縮環したアリール基及びヘテロアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリル、チエニル、チアゾリル、フリル、ピリジル、オキサゾリル等が挙げられる。当該アリール基及びヘテロアリール基は、それぞれ、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~20のアルキル基等)、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシ基、エステル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1~5個)の置換基を有していてもよい。具体的には、例えば、2,4,6-トリメチルフェニル基(メシチル基)、4-ペルフルオロアルキルフェニル基、3,5-ジペルフルオロアルキルフェニル基、2,6-ペルフルオロアルキルフェニル基、2,6-ジメチル-4-ペルフルオロアルキルフェニル基、2,4,6-トリペルフルオロアルキルフェニル基等が挙げられる。

【0096】
及びXで示されるアルケニル基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状の炭素数2~20のアルケニル基が挙げられ、具体的には、ビニル、アリル、ブテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニル、イコセニル基等が挙げられる。当該アルケニル基は、アルキル基(例えば、炭素数1~20のアルキル基等)、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシ基、エステル基、アシル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1~5個)の置換基を有していてもよい。具体的には、例えば、アルキルエテニル基、アリールエテニル基、シリルエテニル基、アリールエテニル基、シアノエテニル基、ニトロエテニル基、ペルフルオロアルキルエテニル基、カルボキシエテニル基、エステル基置換エテニル基等が挙げられる。より具体的には、トリメチルシリルエテニル、トリイソプロピルシリルエテニル、tert-ブチルジメチルシリルエテニル、フェニルエテニル等が挙げられる。このうち好ましくは、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、トリメチルシリルエテニル基、トリイソプロピルシリルエテニル基、tert-ブチルジメチルシリルエテニル基、又はフェニルエテニル基であり、特に好ましくはフェニルエテニル基である。

【0097】
及びXで示されるアルキニル基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルキニル基が挙げられ、具体的には、エチニル、プロパルギル、3,3-ジメチル-1-ブチニル、ヘキシニル、オクチニル、デシニル、イコシニル等が挙げられる。当該アルキニル基は、アルキル基(例えば、炭素数1~20のアルキル基等)、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシ基、エステル基、アシル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1~5個)の置換基を有していてもよい。具体的には、例えば、アルキルエチニル基、シリルエチニル基、アリールエチニル基、シアノエチニル基、ニトロエチニル基、ペルフルオロアルキルエチニル基、カルボキシエチニル基、エステル基置換エチニル基等が挙げられる。より具体的には、トリメチルシリルエチニル、トリイソプロピルシリルエチニル、メチルブチルシリルエチニル、フェニルエチニル等が挙げられる。このうち好ましくは、3,3-ジメチル-1-ブチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基又はフェニルエチニル基であり、特に好ましくはフェニルエチニル基である。

【0098】
及びXで示されるアミノ基は、アルキル基(例えば、炭素数1~20のアルキル基等)、アリール基、ペルフルオロアルキル基等からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1~5個)の置換基を有していてもよい。

【0099】
及びXで示されるアルコキシ基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~20のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、シクロペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、イソへキシルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、イコシルオキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基が挙げられる。このうち好ましくはメトキシ基、ヘキシルオキシ基又は2-エチルヘキシルオキシ基であり、特に好ましくはヘキシルオキシ基である。

【0100】
及びXで示されるアリールアルコキシ基におけるアリール基としては、例えば、単環又は2環以上が縮環したアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、トルイル、キシリル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリル等が挙げられる。当該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~20のアルキル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシ基、エステル基、アシル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等から選択される1個以上(好ましくは、1~3個)の置換基を有していてもよい。

【0101】
及びXが結合して2価の基を形成する場合、当該2価の基としては、例えば、1,1’-ビフェニル基、2,2’-ビチエニル基、1,1,2,2-テトラメチルエチレン-1,2-ジオキシ基、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオキシ等が挙げられ、これらの基には置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基、ペルフルオロアルキル基、フッ素等から選択される1個以上(好ましくは、1~8個)の置換基を有していてもよい。なお、X及びXが結合して2価の基を形成するとは、X及びXがこれらの結合しているホウ素原子と共に環を形成することをいう。

【0102】
一般式(1)で表される本発明の化合物は、X及びXを適宜選択、変更することにより、π共役骨格のπ軌道を、精密にチューニングすることができるという特徴を有する。すなわち、強い電子求引性のアンカーを導入し、強制的にLUMOレベルを低下させるのではなく、X及びXについて、適当な電子求引基を選択することにより、環Ar及び環Arのπ軌道の広がりを維持しながら、所望する程度でLUMOレベルを下げることができる。

【0103】
及びXは、異なってもよいが、同一であることが好ましく、好ましくはp-トリル基、メシチル基、4-ペルフルオロアルキルフェニル基、3,5-ジペルフルオロアルキルフェニル基、2,6-ペルフルオロアルキルフェニル基、2,6-ジメチル-4-ペルフルオロアルキルフェニル基、2,4,6-トリペルフルオロアルキルフェニル基、特に好ましくは、メシチル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6-ジメチル-4-ノナフルオロブチルフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル基である。

【0104】
Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-、>C=O、=N-、-NR-、-O-、-S-、-PR-、=P-、-P(O)R-からなる群より選ばれる1種であり、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。

【0105】
Eとして好ましくは、「環Ar-E-環Ar」の部分骨格においてπ軌道の共役が広がり得る場合であり、例えば、単結合、=CR-又は=N-であり、より好ましくは単結合である。

【0106】
より具体的な「環Ar-E-環Ar」の部分骨格の態様としては、Ar及びArの一方がチオフェン環であり、もう一方がチアゾール環であり、かつEが単結合であることが好ましい。

【0107】
Qで示されるスペーサー部位は、アクセプター部分とドナー部位との間を、π共役骨格で結合することによりπ共役を拡張する部位であり、色素の吸収波長をより顕著に長波長シフトさせることができる。すなわち、太陽電池用色素増感材料として用いる際に、光吸収効率の向上を図ることができる。

【0108】
スペーサー部位Qとしては、アルケンから2個の水素原子を除いた2価の基;アルキンから2個の水素原子を除いた2価の基;窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個(特に1~5個、特に1~3個)のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環(当該ヘテロ芳香環は置換基を有していてもよい)から2個の水素原子を除いた2価の基等からなる群より選ばれる少なくとも1個が挙げられる。上記のアルケン又はヘテロ芳香環には、置換基を有していてもよい。

【0109】
当該Qを構成するアルケンとしては、例えば、炭素数2~8のアルケンが挙げられる。エチレン(エテン)、ブタジエン、ヘキサトリエン、ヘプタテトラエン等が挙げられる。このうち好ましくは、エチレン又はブタジエンである。これらのアルケンは、ハロゲン、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、ニトロ基等から選ばれる少なくとも1個の置換基を有していてもよい。当該アルケンから2個の水素原子を除いた2価の基としては、例えば、式:

【0110】
【化16】
JP0006526557B2_000017t.gif

【0111】
(式中、Rは同一又は異なって、水素原子、ハロゲン、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、又はニトロ基を示し、kは1、2、3又は4の整数を示す。)
で表される基が挙げられる。

【0112】
当該Qを構成するアルキンとしては、例えば、炭素数2~6のアルキンが挙げられ、具体的には、アセチレン、ジアセチレン、トリアセチレン等が挙げられる。

【0113】
当該Qを構成する窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環(当該ヘテロ芳香環は置換基を有していてもよい)としては、単環又は2環が縮環したヘテロ芳香環が挙げられる。

【0114】
当該単環のヘテロ芳香環としては、5又は6員ヘテロ芳香環が挙げられ、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、イソキザゾール、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール環等の5員ヘテロ芳香環;ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン環等の6員ヘテロ芳香環等が挙げられる。当該ヘテロ芳香環として好ましくは、チオフェン、チアゾール環である。

【0115】
当該2環が縮環したヘテロ芳香環としては、2個の環が縮環したヘテロ芳香環が挙げられ、例えば、インドリジン、イソインドール、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ピロロピロール、フラノピロール、チエノピロール、チエノチオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン環等が挙げられる。

【0116】
当該ヘテロ芳香環は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、ヘテロアリール基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アルキルアミノ基、シリル基、ニトロ基、エステル基、アミド基、アシル基、オキシド等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ポリエチレンジオキシ基、シリル基である。芳香環又はヘテロ芳香環は、これらの置換基からなる群より選ばれる少なくとも1個(特に1~3個)の基を有していてもよい。

【0117】
当該アルキル基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~20のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、イソへキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、イコシル基等の炭素数1~20のアルキル基が挙げられる。このうち好ましくはヘキシル基又は2-エチルヘキシル基であり、特に好ましくはヘキシル基である。

【0118】
当該ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。好ましくは、フッ素である。

【0119】
当該アルコキシ基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~20のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ、エトキシ等の炭素数1~20のアルキル基が挙げられる。このうち好ましくはヘキシルオキシ基である。

【0120】
当該アルキルチオ基としては、例えば、直鎖、分岐又は環状の炭素数1~20のアルキルチオ基が挙げられる。

【0121】
当該アリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基等が挙げられる。

【0122】
当該ヘテロアリール基としては、例えば、単環又は2環が縮環したヘテロアリール基が挙げられる。

【0123】
当該ペルフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基等が挙げられる。

【0124】
当該シリル基としては、例えば、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される3個の置換基を有するシリル基が挙げられる。

【0125】
スペーサー部位Qを構成するヘテロ芳香環として好ましくは、例えば、アルキル基(例えば、炭素数3~12のアルキル基、特にヘキシル基)で置換されていてもよいチオフェン環、アルキル基(例えば、炭素数3~12のアルキル基、特にヘキシル基)で置換されていてもよいジオキソピロロピロール、アルキル基(例えば、炭素数3~12のアルキル基、特にヘキシル基)で置換されていてもよいフラン環等が挙げられる。

【0126】
前記スペーサー部位Qは、上記選択肢から独立して選択される1以上の2価の基(特に2~4個)が、結合したものであってもよい。

【0127】
スペーサー部位Qとしては、上述の骨格を同一又は異なるものから一つ以上選択することができるが、複数組み合わせる場合が好ましい。例えば、下記Q1又はQ2で表される基が挙げられる。

【0128】
【化17】
JP0006526557B2_000018t.gif

【0129】
(式中、Rは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であり、Rは同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のヘテロアリール基であり、pは1~5の整数であり、q及びrは0~4の整数である。)
で示される炭素数1~20のアルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。より好ましくはヘキシル基である。Rとして好ましくは水素原子又はヘキシル基であり、より好ましくは水素原子である。

【0130】
で示される置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のヘテロアリール基としては、下記[第2発明]において示す基が例示できる。Q2中のRとしては、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であることが好ましい。Q2中のRで示される炭素数1~20のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。好ましくは素数3~12のアルキル基であり、より好ましくはオクチル基である。

【0131】
pとして好ましくは1~4の整数であり、より好ましくは2である。

【0132】
q及びrとして好ましくは、それぞれ0、1又は2であり、より好ましくは1である。

【0133】
具体的には、例えば、3,4’-ジヘキシルビチオフェン、3,4’,4’’-トリヘキシルターチオフェン、3-ヘキシルビチオフェン、3,4’-ジヘキシロキシビチオフェン、3,4’,4’’-トリヘキシロキシターチオフェン、3-ヘキシロキシビチオフェン、3,4-エチレンジオキシ-3’-ヘキシル-2,2’-ビチオフェン、2,2’-ビチオフェン、2,2’-5’2’’ターチオフェン等が挙げられる。より好ましくは、ドナー部位(D)側の骨格と同等あるいは、より弱い電子供与性をもつ場合が挙げられ、2,2’-ビチオフェン、3,4’-ジヘキシルビチオフェン、3,4-エチレンジオキシ-3’-ヘキシル-2,2’-ビチオフェン等が挙げられる。

【0134】
当該スペーサー部位Qは、一般式(1)における環Ar上で結合することができる。

【0135】
Dで示されるドナー部位としては、トリアリールアミン誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、カルバゾール誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアリールアミノ基、置換又は非置換のアリールアルコキシ基、置換又は非置換のアリールチオアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。

【0136】
当該トリアリールアミン誘導体としては、例えば、トリフェニルアミン、ジナフチルフェニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)フェニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)フェニルアミン、ビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)フェニルアミン、ジフェニルチエニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)チエニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)チエニルアミン、ビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)チエニルアミン等が挙げられる。好ましくは、ビス(4-アルキルフェニル)フェニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)フェニルアミンである。

【0137】
当該カルバゾール誘導体としては、例えば、N-アルキルカルバゾール、N-アリールカルバゾール等が挙げられる。具体的には、N-エチルカルバゾール、N-フェニルカルバゾール、N-フルオレニルカルバゾール等である。好ましくは、N-エチルカルバゾールである。

【0138】
当該置換又は非置換アリール基としては、例えば、フェニル基、4-アルコキシフェニル基、4-テトラエチレングリコキシフェニル基、3,4,5-トリアルコキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジアルキルアミノフェニル基、ピロリジルフェニル基、チエニル基、アルキルチエニル基、アルコキシチエニル基、エチレンジオキシチエニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、チアントレニル基等が挙げられる。当該アルキルチエニル基のアルキル基、及び当該アルコキシチエニル基のアルコキシ基としては、前記Ar及びAr上の置換基として挙げられたアルキル基及びアルコキシ基と同様のものが挙げられる。また、これらのアリール基は複数連結していてもよい。好ましくは、ジアルキルアミノフェニル基、4-アルコキシフェニル基、3,4,5-トリアルコキシフェニル基、エチレンジオキシチエニル基である。

【0139】
当該置換又は非置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピロリジル基等が挙げられる。好ましくは、ピロリジル基である。

【0140】
当該置換又は非置換アリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ビス(4-アルキルフェニル)アミノ基、ビス(4-アルコキシフェニル)アミノ基等が挙げられる。好ましくは、ビス(4-アルキルフェニル)アミノ基、ビス(4-アルコキシフェニル)アミノ基等である。

【0141】
当該置換又は非置換アリールチオアルコキシ基としては、例えば、アリール基として、フェニル基、4-アルコキシフェニル基、4-ヘキシロキシフェニルチオ基、4-テトラエチレングリコキシフェニル基、3,4,5-トリアルコキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、ピロロジルフェニル基等を有するアリールチオ基が挙げられる。好ましくは、4-ヘキシロキシフェニルチオ基である。

【0142】
ドナー部位Dは、光吸収効率や、電荷分離及び電荷の再結合を抑制するという観点から、適宜選択することができる。

【0143】
ドナー部位Dとしては、分子の各ユニットの中で最も電子供与性が高い骨格を選択し、HOMOをドナー部位Dにもつような各ユニットの組み合わせを選択することが好ましい。ドナー部位Dとして好ましくは、一般式(D1):

【0144】
【化18】
JP0006526557B2_000019t.gif

【0145】
(式中、Rはアルキル基、アルコキシ基又はアルキルチオ基を示す。)
で表される基が挙げられる。

【0146】
で示されるアルキル基としては、例えば、鎖状又は分岐状の炭素数3~20のアルキル基、さらに炭素数3~12のアルキル基、特にヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。

【0147】
で示されるアルコキシ基としては、例えば、鎖状又は分岐状の炭素数3~20のアルコキシ基、さらに炭素数3~12のアルコキシ基、特にヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。

【0148】
で示されるアルキルチオ基としては、例えば、鎖状又は分岐状の炭素数3~20のアルキルチオ基、さらに炭素数3~12のアルキルチオ基、特にヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基等が挙げられる。

【0149】
特に、リンカー部位Qが置換又は非置換のチオフェンを有する場合、ビス(4-ヘキシルオキシフェニル)アミノフェニル基、ビス(4-オクチルフェニル)アミノフェニル基を選択することが好ましい。

【0150】
本発明の一般式(1)で表される化合物のうち、好ましくは、一般式(1a):

【0151】
【化19】
JP0006526557B2_000020t.gif

【0152】
(式中、環Ar1a及び環Ar2aは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員ヘテロ芳香環であり、T、Y、Y、X、X、E、Q及びDは前記に同じ。)
で表される化合物が挙げられる。

【0153】
環Ar1a及び環Ar2aは好ましくは、下記で示される基である。

【0154】
【化20】
JP0006526557B2_000021t.gif

【0155】
このうち、より好ましくは下記式で示される、一般式(1b):

【0156】
【化21】
JP0006526557B2_000022t.gif



【0157】
(式中、T、X、X、Q及びDは前記に同じ。)
で表される化合物、又は、一般式(1c):

【0158】
【化22】
JP0006526557B2_000023t.gif

【0159】
(式中、T、X、X、Q及びDは前記に同じ。)
で表される化合物が挙げられる。

【0160】
2.本発明化合物の製法
本発明化合物は、以下の方法、又はこれに準じた方法によって製造することができる。

【0161】
【化23】
JP0006526557B2_000024t.gif

【0162】
(式中、Zは脱離基であり、環Ar、環Ar、T、Y、Y、X、X、E、Q及びDは前記に同じ。)
Zで示される脱離基としは、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
(2)→(3):
一般式(2)で表される化合物を塩基で処理した後、ハロゲン化剤と反応させることにより、一般式(3)で表される化合物を製造することができる。

【0163】
一般式(2)で表される化合物は、例えば、特許文献1の記載に従い又は準じて製造することができる。

【0164】
反応は、通常、溶媒中で行うことができ、溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ペンタン、オクタン等の炭化水素類等が挙げられる。好ましくはTHFである。

【0165】
塩基としては、例えば、n-ブチルリチウム、s-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム等のアルカリリチウム;リチウムジイソプロピルアミド(LDA);リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド等が挙げられ、好ましくはn-ブチルリチウムである。

【0166】
塩基の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常、1~5モル程度、好ましくは1~2モル程度、より好ましくは1~1.5モルである。

【0167】
ハロゲン化剤としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン分子;N-クロロコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド、N-ヨードコハク酸イミド等のN-ハロコハク酸イミド;1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,2-ジヨード-1,1,2,2-テトラフルオロエタン等が挙げられる。

【0168】
ハロゲン化剤の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常、1~5モル程度、好ましくは1~2モル程度、より好ましくは1~1.5モルである。

【0169】
反応は、通常、溶媒中、低温(例えば、-80~0℃程度)下、一般式(2)で表される化合物に塩基を反応させて、次いでハロゲン化剤を-80~30℃で反応させることにより行うことができる。

【0170】
反応終了後、公知の単離及び精製方法を用いて、一般式(3)で表される化合物を得る。
(3)→(1):
一般式(3)で表される化合物と一般(4)で表される化合物を、パラジウム触媒、ホスフィン配位子及び塩基の存在下でカップリング反応(Sonogashira反応)させて、一般式(1)で表される化合物を製造することができる。

【0171】
反応は通常溶媒中で行うことができ、溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド;ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類等が挙げられる。好ましくはTHFである。

【0172】
パラジウム触媒としては、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等が挙げられる。

【0173】
パラジウム触媒の使用量は、一般式(3)で表される化合物1モルに対し、通常、0.005~0.2モル程度、好ましくは、0.01~0.05モル程度である。

【0174】
ホスフィン配位子としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリtert-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(SPhos)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(XPhos)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリ(2-フリル)ホスフィン等が挙げられる。

【0175】
ホスフィン配位子の使用量は、一般式(3)で表される化合物1モルに対し、通常、0.01~0.4モル程度、好ましくは、0.02~0.2モル程度である。

【0176】
本反応は、反応を促進するために、銅塩を添加することもできる。銅塩としては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が挙げられる。好ましくはヨウ化銅である。

【0177】
銅塩の使用量は、一般式(3)で表される化合物1モルに対し、通常、0.005~0.2モル程度、好ましくは、0.01~0.05モル程度である。

【0178】
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、DBN等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。

【0179】
塩基の使用量は、通常、一般式(3)で表される化合物1モルに対し、1~5モル程度、好ましくは1~2モル程度、より好ましくは1~1.5モルである。

【0180】
一般(4)で表される化合物の使用量は、通常、一般式(3)で表される化合物1モルに対し、1~5モル程度、好ましくは1~2モル程度、より好ましくは1~1.5モルである。

【0181】
反応は、通常、溶媒中、0~120℃程度(好ましくは25℃~80℃程度)下、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とを、上記の試薬の存在下にカップリン反応させることより行う。反応は、無水、不活性ガス(アルゴン、窒素等)下で行うことが好ましい。また、必要に応じ、0.5~5MPa程度の圧力下で実施することもできる。

【0182】
反応終了後、公知の単離及び精製方法を用いて、一般式(1)で表される化合物を得る。
3.色素増感太陽電池
本発明は、前記化合物を光に暴露することを含む光発電方法をも提供する。すなわち、前記で詳細に説明した化合物は、光発電において、色素増感太陽電池用の色素として用いることができる。

【0183】
当該色素は、例えば、第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含む色素増感太陽電池において、前記光吸収層に、酸化物半導体と共に含有させることができる。

【0184】
以下、例示的に、本発明の前記一般式(1)で表される化合物を色素増感太陽電池用の色素として用いた色素増感太陽電池について説明する。

【0185】
第1電極
第1電極は、光吸収層の支持体であるとともに、光吸収層より電流を取り出す機能を有するものであることから、導電性基板が用いられ、光電変換に寄与する光を透過可能な透光性を有する、透明な導電層からなる。

【0186】
当該透明導電層としては、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜、不純物ドープの酸化インジウム(In)膜、不純物ドープの酸化亜鉛(ZnO)膜、フッ素ドープの二酸化錫膜(FTO)、あるいはこれらを積層してなる積層膜などが挙げられる。

【0187】
当該透明導電層は、成形する材料に応じ、公知の成膜方法を用いることにより得られる。当該透明導電層は、外部から保護するために、必要に応じて、透光性被覆体により覆われていてもよい。

【0188】
当該透光性被覆体としては、例えば、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド等の樹脂シート、白板ガラス、ソーダガラス等の無機シート、またはこれらの素材を組み合わせてなるハイブリッドシートなどが挙げられる。

【0189】
光吸収層
光吸収層は、酸化物半導体と本願の前記化学式(1)で示される化合物からなる色素を含む。好ましくは、当該色素が酸化物半導体の表面に吸着されている。当該色素が光を吸収して励起された電子を酸化物半導体に移動させることにより、光電変換を行うことができる。

【0190】
当該酸化物半導体としては、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛からなる群より選ばれるn型半導体が挙げられる。特に、酸化チタンは、格子欠陥が他の金属酸化物に比べ少ないという点から、好適である。また、より多くの色素を吸着させるために、酸化物半導体は、多孔質であることが好ましい。

【0191】
当該酸化物半導体に、下記の方法を用いて、本願発明の色素を吸着させることができる。例えば、酸化物半導体を形成した導電性基板を、色素が溶解された溶液に浸漬する方法、酸化物半導体を形成した導電性基板を、封止剤などにより周囲を封止した後、封止剤の注入口より色素を溶解した溶液を注入して、当該溶液を封止された内部で循環させ、金属酸化物に色素を吸着させる方法などが挙げられる。当該吸着方法における温度及び圧力は、特に限定されるものではなく、常温常圧にて行うことができる。

【0192】
また、用いる溶媒も、色素が溶解するものであれば特に限定されず、アルコール類、ケトン類、エーテル類、窒素含有化合物等、炭化水素化合物等、公知の溶媒を用いることができる。好ましくは炭化水素化合物であり、より好ましくはトルエンである。

【0193】
また、添加剤として、コール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、1,2-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオールなどの共吸着剤を用いることができる。

【0194】
電荷輸送材料
電荷輸送材料は、電荷を輸送する機能を有するものである。例えば、導電体、半導体、電解質等を用いることができる。当該電荷輸送材料は、光吸収層における色素から正孔を受け取り、正孔を輸送する正孔輸送材料として機能する。

【0195】
当該導電体や半導体としては、例えば、CuI、CuInSe、CuSなどの、1価の銅を含む化合物半導体、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi、MoO、Crなどが挙げられる。好ましくは1価の銅を含む半導体であり、より好ましくは、CuIである。

【0196】
また、当該電解質としては、例えば、液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、溶融塩などが挙げられる。

【0197】
当該液体電解質としては、第四級アンモニウム塩及びリチウム塩などを炭酸プロピレン、アセトニトリル等の溶媒に溶解させたもの、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ素等をメトキシプロピオニトリルなどの溶媒に溶解させたもの、あるいは、イミダゾリウム塩(ヨウ化1,2-ジメチル3-プロピルイミダゾリウム等)、ヨウ化リチウム、ヨウ素等をアセトニトリル等の溶媒に溶解させたもの等を用いることもできる。

【0198】
当該固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイドもしくはポリエチレンなどの高分子鎖に、スルホンイミダゾリウム塩、テトラシアノキノジメタン塩、ジシアノキノジイミン塩などを有するものが挙げられる。

【0199】
当該ゲル電解質としては、例えば、アセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートまたはそれらの混合物に対し、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等のホストポリマーを混入して重合させたものが好ましい。

【0200】
溶融塩としては、例えば、ヨウ化物の溶融塩を用いることができる。例えば、イミダゾリウム塩、第四級アンモニウム塩、イソオキサゾリジニウム塩、イソチアゾリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、ピロリジニウム塩、ピリジニウム塩などのヨウ化物が挙げられる。

【0201】
上記の電解質(特に液体電解質)には添加剤を加えてもよく、添加剤としては、例えば、4-tert-ブチルピリジン等が挙げられる。

【0202】
第2電極
第2電極は、第1電極に対向配置され、前記電荷輸送材料と電荷のやりとりが可能な導電性を有するものであることから、導電性基板が用いられる。

【0203】
当該導電性基板としては、例えば、金属基板、導電性部材を含有させた基板、または導電膜が上面に形成された絶縁基板などが挙げられる。

【0204】
当該金属基板としては、当業界で用いられる公知の素材を用いることが可能であり、例えば、白金、チタン、ステンレス、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケルなどの金属、またはこれらの合金が挙げられる。

【0205】
当該導電性部材を含有させた基板における、基板としては、例えば、有機樹脂材料または無機材料などの、絶縁材料が挙げられる。具体的には、例えば、有機材料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネートなどが、無機材料として、青板ガラス、ソーダガラス、硼珪酸ガラス、セラミックスなどが挙げられる。

【0206】
また、当該基材に含有させる導電性部材としては、例えば、上記の金属基板の素材からなる金属の微粒子や微細線、あるいはカーボンの微粒子や微細線などが挙げられる。

【0207】
当該導電膜が上面に形成された絶縁基板としては、例えば、上記と同様の絶縁材料上に、導電膜をCVC法などにより形成したものが挙げられる。

【0208】
当該導電膜としては、例えば、金属薄膜、透明導電膜、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛よりなる導電膜、または一対のチタン層間にITO層を挟んでなる積層導電膜層などが挙げられる。

【0209】
当該金属薄膜としては、例えば、白金、金、チタン、ステンレス、アルミニウム、銀、銅及びニッケルなどが挙げられる。

【0210】
また、当該透明導電膜としては、例えば、ITO(錫ドープ強化インジウム)及びFTO(フッ素ドープ酸化錫)などが挙げられる。

【0211】
[第2発明]
1.本発明化合物(色素)
本発明はまた、一般式(5):

【0212】
【化24】
JP0006526557B2_000025t.gif

【0213】
(式中、Uは酸化物半導体に結合可能な1個以上の基を有する1価の基であり、
Q3は、単結合、又はπ共役骨格を有する2価の基であり、
Q4は、単結合、又はπ共役骨格を有する2価の基であり、
は同一又は異なって、水素原子、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、及び置換又は非置換のヘテロアリール基であり、
環Ar、Ar、Y、Y、X、X、E、D及び実線矢印は、[第1発明]における各記号の定義と同じ。)
で表され、色素、特に色素増感太陽電池用の増感色素として用いることができる。すなわち有機色素材料として有用である。

【0214】
当該一般式(5)における環Ar、Ar、Y、Y、X、X、E、及びDの好ましい態様も、[第1発明]と同様である。

【0215】
当該化合物は、スペーサー部位に、2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン骨格を有することを特徴とする。

【0216】
Uで示されるアンカー部位は、酸化物半導体に結合可能な1個以上の基を有する1価の基であり、例えば、カルボキシ基、ボロン酸基、ホスホリル基、スルホン酸基、スルホニル基、水酸基、ヒドロキサム酸基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、シロキシ基、アジド基、シアノアクリレート基、及び、これらの官能基を1個以上(好ましくは1~3個)有する、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ジオキソシクロブテニル基からなる群より選ばれる基が挙げられる。

【0217】
で示されるアルキル基としては、炭素数1~20のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数5~12のアルキル基である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。より好ましくはヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基である。当該アルキル基は、例えば、アルキル基又はアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等);カルボキシル基;エステル基;アミド基;保護されていてもよい水酸基等からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1~5個)の置換基を有していてもよい。

【0218】
また、別の好ましい態様としては、Rで示される置換アルキル基としては、2,6-ジアルコキシフェニルメチル基を挙げることができる。

【0219】

で示されるアリール基としては、単環又は2環以上が縮環したアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリル基等が挙げられる。当該アリール基は、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~20のアルキル基等)、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシ基、エステル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1~5個)の置換基を有していてもよい。

【0220】
で示されるヘテロアリール基としては、例えば、単環又は2環以上が縮環したヘテロアリール基が挙げられ、具体的には、チエニル、チアゾリル、フリル、ピリジル、オキサゾリル等が挙げられる。当該ヘテロアリール基は、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~20のアルキル基等)、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、カルボキシ基、エステル基、アミド基、保護されていてもよい水酸基等からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1~5個)の置換基を有していてもよい。

【0221】
として好ましくはオクチル基又は2,6-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)ベンジル基、より好ましくはオクチル基である。

【0222】
Q3で示されるπ共役骨格を有する2価の基は、[第1発明]におけるQの定義と同じである。

【0223】
Q4で示されるπ共役骨格を有する2価の基は、[第1発明]におけるQの定義と同じである。

【0224】
Q3及びQ4はそれぞれスペーサー部位1及びスペーサー部位2と表記することができ、それぞれ好ましくは、式:

【0225】
【化25】
JP0006526557B2_000026t.gif

【0226】
(式中、Rは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~20のアルキル基であり、tは0~4の整数である。)
で示される炭素数1~20のアルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。より好ましくはヘキシル基である。Rとして好ましくは水素原子又はヘキシル基であり、より好ましくは水素原子、ヘキシル基である。

【0227】
tとして好ましくは0、1又は2であり、より好ましくは1である。

【0228】
2.本発明化合物の製法
本発明の化合物(第2発明)は、酸化物半導体(特に、二酸化チタン)へ結合する部位(アンカー部位)、ホウ素への分子内配位結合を有する部位(アクセプター部位)、π共役骨格を有する部位(スペーサー部位)、及び電子供与性骨格を有する部位(ドナー部位)を有しており、当該スペーサー部位に、2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン骨格を有する化合物である。

【0229】
本発明化合物は、以下の方法、又はこれに準じた方法によって製造することができる。なお、一般式(5a)、(5b)及び(5c)で表される化合物は、一般式(5)で表される化合物に包含される。

【0230】
【化26】
JP0006526557B2_000027t.gif

【0231】
(式中、Rはアルキル基、Xはハロゲン原子、Vは水素原子又は-CHO、W及びWはそれぞれ独立してカルボキシル基、スルホン酸基、シアノ基、ニトロ基、Uはカルボキシ基、ボロン酸基、ホスホリル基、スルホン酸基、スルホニル基、水酸基、ヒドロキサム酸基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、シロキシ基、アジド基、シアノアクリレート基、及び、これらの官能基を1個以上(好ましくは1~3個)有する、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ジオキソシクロブテニル基からなる群より選ばれる基である。他の記号は前記[第1発明]に同じ。)
(6)+(7)→(8):
一般式(6)で表される化合物に一般式(7)で表されるスズ化合物存在下、塩基(リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)等)を反応させることで、一般式(8)で表される化合物を得る。

【0232】
で示されるアルキル基としては、n-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基が挙げられる。Xで示されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
(8)+(9)→(10):
パラジウム触媒の存在下、一般式(8)で表される化合物と一般式(9)で表される化合物を反応させて、一般式(10)で表される化合物を得る。
(10)+(11)→(5):
パラジウム触媒の存在下、一般式(10)で表される化合物と一般式(11)で表される化合物を反応させて、一般式(5)で表される化合物を得る。
(10)+(12)→(13):
パラジウム触媒の存在下、一般式(10)で表される化合物と一般式(12)で表される化合物を反応させて、一般式(13)で表される化合物を得る。
(13)+(14)→(5a):
ピペリジン等の塩基の存在下、一般式(13)で表される化合物と一般式(14)で表される化合物を反応させて、一般式(5a)で表される化合物を得る。
(13)→(5b):
一般式(13)で表される化合物に塩基(LDA等)を反応させた後、炭酸ガス(又はドライアイス)を反応させて、一般式(5b)で表される化合物を得る。
(13)→(15):
一般式(13)で表される化合物に塩基(LDA等)を反応させた後、ヨウ素、臭素等のハロゲン化剤を反応させて、一般式(15)で表される化合物を得る。これは、[第1発明]の製造方法における、一般式(2)で表される化合物から一般式(3)で表される化合物を製造する方法に従い実施することができる。
(15)+(16)→(5c):
一般式(15)で表される化合物と一般式(16)で表される化合物を、パラジウム触媒等の存在下でカップリング反応(Sonogashira反応)させて、一般式(5c)で表される化合物を製造することができる。これは、[第1発明]の製造方法における、一般式(3)で表される化合物から一般式(1)で表される化合物を製造する方法に準じて実施することができる。

【0233】
上記の各工程は、公知の反応を用いて容易に目的物を製造することができる。

【0234】
3.色素増感太陽電池
本発明の色素増感太陽電池は、第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体及び一般式(5)で表される化合物からなる色素を含むことを特徴とする。

【0235】
本発明化合物を用いた色素増感太陽電池の構成は、一般式(5)で表される化合物用いること以外は、[第1発明]における「3.色素増感太陽電池」の項に記載されたものと同様である。

【0236】
本発明の一般式(5)で表される化合物を色素増感太陽電池用の色素として用いることができる。本発明の一般式(5)で表される化合物は、吸収ピークを大幅(約100~300nm)に長波長シフトさせ、かつ吸光係数も飛躍的に増大させることができる(例えば、試験例2を参照)。また、本発明の一般式(5)で表される化合物は、長波長領域において、高い光電変換効率を有する(例えば、試験例3~6を参照)。

【0237】
さらに、本発明の一般式(5)で表される化合物と、これと吸収波長領域が異なる一般式(1)で表される化合物とを、酸化物半導体(特に、二酸化チタン)に吸着させてなる色素増感太陽電池をも提供する。一般式(1)で表される化合物としては、特に、スペーサー部位に2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン骨格を有しない化合物が好ましい。

【0238】
即ち、本発明の色素増感太陽電池は、第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体、一般式(1)で表される化合物からなる色素、及び一般式(5)で表される化合物からなる色素を含むことを特徴とする。

【0239】
これにより、一般式(5)で表される化合物に由来する長波長域(例えば600nm以上)で光電変換効率が向上し、かつ、一般式(1)で表される化合物に由来する波長領域(例えば、400~600nm)の入射光-電流変換効率が大きく向上する。即ち、上記のような2種以上の色素を酸化物半導体に吸着させることで、双方の特徴を大きく向上させることができ相乗効果が確認される(例えば、試験例2を参照)。
【実施例】
【0240】
以下、実施例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0241】
製造例1
【実施例】
【0242】
【化27】
JP0006526557B2_000028t.gif
【実施例】
【0243】
公知の方法(特許文献1;WO 2012/121397))に従い合成した化合物 1 (508 mg, 0.427 mmol) のTHF (10 mL)溶液に、-78 ℃でnBuLiのヘキサン溶液(1.56 M , 0.30 mL, 0.47 mmol)を滴下し、15分撹拌した。ヨウ素 (124 mg, 0.488 mmol)を加え、室温まで徐々に昇温させながら3時間撹拌した。飽和 Na2SO3水溶液を加えた後、水層をジクロロメタンで3回抽出した。あわせた有機層を水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した後、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:ジクロロメタン = 2:1、Rf = 0.36)で精製し、化合物2 (138 mg, 0.192 mmol)を赤色固体として、収率84%で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.63 (s, 1H), 7.22 (d, JHH = 8.4 Hz, 2H), 7.22 (s, 1H), 7.08 (d, JHH = 8.4 Hz, 4H), 7.04 (s, 1H), 6.98 (s, 1H), 6.92 (d, JHH = 8.4 Hz, 2H), 6.84 (d, JHH = 8.4 Hz, 4H), 6.70 (s, 4H), 3.93 (t, JHH = 6.6 Hz, 4H), 2.74 (t, JHH = 8.1 Hz, 2H), 2.63 (t, JHH = 8.1 Hz, 2H), 2.20 (s, 6H), 1.88 (s, 12H), 1.75 (quint, JHH = 8.1 Hz, 4H), 1.72-1.58 (m, 4H), 1.54-1.18 (m, overlapped, 24H), 1.02-0.85 (m, overlapped, 12H); HRMS (APCI+): m/z 1316.5028 (M+). Calcd for C75H90BIN2O2S4: 1316.5023.
【実施例】
【0244】
製造例2
【実施例】
【0245】
【化28】
JP0006526557B2_000029t.gif

【実施例】
【0246】
2,5-dioctyl-3,6-bis(5-(tributylstannyl)thiophen-2-yl)-2,5-dihydropyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione (6)
【実施例】
【0247】
(製造例2-1)
公知の文献(Macromolecules, 2009, 42, 6564.)に従い化合物5を合成した。
【実施例】
【0248】
500 mL二口ナスフラスコに化合物5 (3.57 g, 6.81 mmol) を入れ、THF (90 mL)に溶かし、-78 ℃に冷却した。nBu3SnCl (5.52 mL, 20.4 mmol) を加えた後、LiHMDS (1.30 M in THF, 15.7 mL, 20.4 mmol) を滴下し、-78 ℃で1時間撹拌した。その後、室温まで昇温した。再び-78 ℃に冷却した後、LiHMDS (1.30 M in THF, 15.7 mL, 20.4 mmol) を滴下し、30分撹拌した。その後、室温まで昇温し、飽和NH4Cl水溶液を加えた。tolueneで抽出し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (toluene, Rf = 0.94) で精製し、化合物6を4.36 g(3.95 mmol)の赤紫色オイルとして収率58%で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.09 (d, JHH = 3.6 Hz, 2H), 7.32 (d, JHH = 3.6 Hz, 2H), 4.11 (t, JHH = 7.8 Hz, 4H), 1.82-1.78 (m, 4H), 1.64-1.54 (m, 12H), 1.44-1.08 (m, 44H), 0.93-0.83 (m, 24H).
【実施例】
【0249】
(製造例2-2)
500 mL二口ナスフラスコに化合物5 (8.05 g, 15.3 mmol) を入れ、THF (160 mL) に溶解させ-78 ℃に冷やした。nBu3SnCl (9.02 mL, 33.3 mmol) を加えた後、LiHMDS (1.30 M THF溶液, 25.9 mL, 33.7 mmol) を滴下し、-78 ℃で20分撹拌した。その後、室温まで昇温し3時間撹拌し、飽和NH4Cl水溶液を加えた。tolueneで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (toluene/hexane = 1/1, Rf = 0.42) により、化合物6を12.3 g(11.1 mmol)の赤紫色オイルとして収率73%で得た。
【実施例】
【0250】
製造例3
【実施例】
【0251】
【化29】
JP0006526557B2_000030t.gif

【実施例】
【0252】
3-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-2,5-dioctyl-6-(5-(tributylstannyl)thiophen-2-yl)-2,5-dihydropyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione (8)
【実施例】
【0253】
(製造例3-1)
シュレンク管に化合物6 (4.25 g, 3.85 mmol)、化合物7 (548 mg, 1.00 mmol)、およびArバブリングしたtoluene (20 mL) を入れた。これにPd2(dba)3・CHCl3 (19.8 mg, 0.0191 mmol) とPPh3 (21.2 mg, 0.0808 mmol) を加え、120 ℃で14時間加熱した。その後、室温まで放冷し、蒸留水を加えた。tolueneで抽出し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (toluene/hexane = 1/1, Rf = 0.30) で精製し、化合物8を847 mg(0.661 mmol)の青紫色オイルとして収率66%で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.85 (d, JHH = 3.6 Hz, 1H), 9.56 (d, JHH = 3.9 Hz, 1H), 7.34 (d, JHH = 8.7 Hz, 2H), 7.24 (d, JHH = 3.6 Hz, 1H), 7.10-7.01 (m, 11H), 4.23 (t, JHH = 8.7 Hz, 2H), 4.14 (t, JHH = 8.7 Hz, 2H), 2.49 (t, JHH = 7.2 Hz, 4H), 1.85-1.80 (m, 4H), 1.64-1.54 (m, 12H), 1.40-1.19 (m, 44H), 1.12-1.07 (m, 6H), 0.94-0.82 (m, 21H).
【実施例】
【0254】
(製造例3-2)
100 mL二口ナスフラスコに化合物6 (12.3 g, 11.1 mmol) と化合物7 (1.53 g, 2.80 mmol) とPPh3 (29.2 mg, 111 μmol) を入れ、toluene (60 mL) に溶解させた。これにPd2(dba)3・CHCl3 (27.8 mg, 26.9 μmol) を加え、35時間還流させた。放冷の後、蒸留水を加えた。tolueneで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (toluene/hexane = 1/1, Rf = 0.30) により化合物8を2.81 g(2.20 mmol)の青紫色オイルとして収率78%で得た。
【実施例】
【0255】
製造例4
【実施例】
【0256】
【化30】
JP0006526557B2_000031t.gif
【実施例】
【0257】
公知の方法(Angew. Chem., Int. Ed., 2006, 45, 3170)で合成した化合物9 (2.00 g, 3.00 mmol)のTHF溶液(30 mL)にnBuLi (1.56 M in hexane, 1.90 mL, 2.96 mmol)を-78 ℃で滴下し、1時間撹拌した。この溶液にHCOOEt (1.20 mL, 1.13 g, 15.4 mmol)を加えて、6時間かけてゆっくりと室温に昇温した。反応溶液に水 (10 mL)を加えて、水層をCH2Cl2で抽出し、有機層を蒸留水で洗浄し、無水Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 1/1, Rf = 0.33) で精製することで、化合物10を927 mg(1.63 mmol)の黄色固体として収率54%で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.83 (s, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 6.68 (s, 4H), 2.20 (s, 6H), 1.84 (s, 12H); HRMS (APCI-): m/z 569.0517 (M-). Calcd for C26H25BINOS2: 569.0515.
製造例5
【実施例】
【0258】
【化31】
JP0006526557B2_000032t.gif


【実施例】
【0259】
2-(5'-(4-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-2,5-dioctyl-3,6-dioxo-2,3,5,6-tetrahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-1-yl)-4-(dimesitylboranyl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)thiazole-5-carbaldehyde (11)
化合物8 (259 mg, 0.202 mmol)、化合物10 (124 mg, 0.218 mmol)、 PPh3 (4.30 mg, 0.0164 mmol) をArバブリングしたtoluene (10 mL) に溶かした。Pd2(dba)3・CHCl3 (4.82 mg, 0.00466 mmol)を加え、120 ℃で13時間加熱した。室温まで放冷し、蒸留水を加えた。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 2/1, Rf = 0.50) により精製し、化合物11を231 mg(0.161 mmol)の緑色固体として収率80%で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.84 (s, 1H), 9.07 (d, JHH = 4.5 Hz, 1H), 8.90 (d, JHH = 3.9 Hz, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.50 (d, JHH = 9.0 Hz, 2H), 7.45 (s, 1H), 7.42 (d, JHH = 4.5 Hz, 1H), 7.37 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 7.12-7.00 (m, 10H), 6.70 (s, 4H), 4.15-4.05 (m, 4H), 2.57 (t, JHH = 7.2 Hz, 4H), 2.20 (s, 6H), 1.90 (s, 12H), 1.80-1.70 (m, 4H), 1.65-1.55 (m, 4H), 1.40-1.20 (m, 40H), 0.95-0.82 (m, 12H).
製造例6
【実施例】
【0260】
【化32】
JP0006526557B2_000033t.gif

【実施例】
【0261】
3-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-6-(4'-(dimesitylboranyl)-5'-(thiazol-2-yl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)-2,5-dioctyl-2,5-dihydropyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione (14)
【実施例】
【0262】
公知の方法(Angew. Chem., Int. Ed., 2006, 45, 3170)に従って化合物13を合成した。100 mL二口ナスフラスコに化合物13 (397 mg, 0.733 mmol)、化合物8 (847 mg, 0.661 mmol)、PPh3 (13.7 mg, 0.0522 mmol) を入れ、Arバブリングしたtoluene (12 mL) を入れた。Pd2(dba)3・CHCl3 (14.1 mg, 0.0136 mmol) を加え、120 ℃で17時間加熱した。その後、室温まで放冷し、蒸留水を加えた。tolueneで抽出し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (toluene/hexane = 1/1, Rf = 0.29) により精製し、化合物14を658 mg(0.468 mmol)の青色固体として収率71%で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.04 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 8.92 (d, JHH = 3.9 Hz, 1H), 7.72 (d, JHH = 3.6 Hz, 1H), 7.50 (d, JHH = 7.9 Hz, 2H), 7.42 (s, 1H), 7.37-7.34 (m, 2H), 7.12-7.00 (m, 10H), 6.67 (s, 4H), 4.15-4.05 (m, 4H), 2.56 (t, JHH = 7.5 Hz, 4H), 2.19 (s, 6H), 1.89 (s, 12H), 1.80-1.75 (m, 4H), 1.64-1.54 (m, 4H), 1.44-1.25 (m, 40H), 0.93-0.82 (m, 12H).
製造例7
【実施例】
【0263】
【化33】
JP0006526557B2_000034t.gif

【実施例】
【0264】
3-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-6-(4'-(dimesitylboranyl)-5'-(5-iodothiazol-2-yl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)-2,5-dioctyl-2,5-dihydropyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione (16)
【実施例】
【0265】
50 mL二口ナスフラスコに化合物14 (301 mg, 0.214 mmol)、 THF (10 mL) を入れ、-78 ℃に冷却した。LDA (0.024 M in hexane/THF, 10 mL, 0.24 mmol)を滴下し、30分撹拌した。 I2 (546 mg, 2.15 mmol) を加え、室温まで昇温しながら撹拌した。飽和Na2SO3水溶液を加え、水層をCH2Cl2で抽出した。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 1/1, Rf = 0.32) により精製し、化合物16を14:16 = 2:1の割合で含む218 mgの青緑色固体として得た。化合物16はこれ以上の精製操作を行わずに次の実験に用いた。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.04 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 8.92 (d, JHH = 3.9 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.49 (d, JHH = 7.5 Hz, 2H), 7.39 (s, 1H), 7.36-7.32 (m, 2H), 7.13-7.11 (m, 10H), 6.70 (s, 4H), 4.12-4.02 (m, 4H), 2.58 (t, JHH = 8.1 Hz, 4H), 2.21 (s, 6H), 1.90 (s, 12H), 1.80-1.70 (m, 4H), 1.70-1.60 (m, 4H), 1.45-1.23 (m, 40H), 0.94-0.85 (m, 12H).
製造例8
【実施例】
【0266】
【化34】
JP0006526557B2_000035t.gif
【実施例】
【0267】
3-(5-(4-(bis(4-(hexyloxy)phenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-2,5-dioctyl-6-(5-(tributylstannyl)thiophen-2-yl)-2,5-dihydropyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione (20)
200 mL二口ナスフラスコに化合物6 (7.16 g, 6.49 mmol) と化合物19 (851 mg, 1.62 mmol)を入れ、toluene (30 mL) に溶解させた。これにPd2(dba)3・CHCl3 (18.0 mg, 17.4 μmol) とPPh3 (18.1 mg, 69.0 μmol)を加え、10時間還流させた。放冷の後、蒸留水を加えた。tolueneで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 1/2, Rf = 0.10) により化合物20と21を2:3で含む青紫色オイル1.28 gを得た。化合物20はこれ以上の精製操作を行わずに次の実験に用いた。
【実施例】
【0268】
製造例9
【実施例】
【0269】
【化35】
JP0006526557B2_000036t.gif

【実施例】
【0270】
3-(5-(4-(bis(4-(hexyloxy)phenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-6-(4'-(dimesitylboranyl)-5'-(thiazol-2-yl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)-2,5-dioctyl-2,5-dihydropyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione (22)
【実施例】
【0271】
50 mL二口ナスフラスコに化合物13 (652 mg, 1.20 mmol)、化合物20 (892 mg, 0.709 mmol、不純物含む)、PPh3 (7.41 mg, 28.3 μmol) を入れ、toluene (25 mL) に溶解させた。Pd2(dba)3・CHCl3 (7.44 mg, 7.19 μmol) を加えた後、6時間還流させた。放冷の後、蒸留水を加えた。tolueneで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 1/1, Rf = 0.25) により化合物22を657 mg(0.475 mmol)の赤紫色固体として収率67%で得た。
【実施例】
【0272】
製造例10
【実施例】
【0273】
【化36】
JP0006526557B2_000037t.gif

【実施例】
【0274】
2-(5'-(4-(5-(4-(bis(4-(hexyloxy)phenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-2,5-dioctyl-3,6-dioxo-2,3,5,6-tetrahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-1-yl)-4-(dimesitylboranyl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)thiazole-5-carbaldehyde (23)
【実施例】
【0275】
100 mL二口ナスフラスコに化合物22 (657 mg, 0.475 mmol) を入れ、THF (25 mL) に溶解させ-78 ℃に冷却した。LDA (0.50 M THF溶液, 0.998 mL, 0.499 mmol) を滴下し、その15分後にHCOOEt (42.2 μL, 0.523 mmol) を加え、-78 ℃で15分撹拌した。室温に昇温の後、飽和NH4Cl水溶液を加えた。CH2Cl2で抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 2/1, Rf = 0.40) により化合物23を494 mg(0.350 mmol)の緑色固体として収率74%で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.84 (s, 1H), 9.07 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 8.89 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.60 (d, JHH = 8.7 Hz, 2H), 7.44 (s, 1H), 7.42 (d, JHH = 4.2 Hz 1H), 7.35 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 7.08 (d, JHH = 8.7 Hz, 4H), 6.91 (d, JHH =87 Hz, 4H), 6.85 (d, JHH = 8.7 Hz, 4H), 6.07 (s, 4H), 4.10-4.07 (m, 4H), 3.94 (t, JHH = 6.6 Hz, 4H), 2.20 (s, 6H), 1.90 (s, 12 H), 1.81-1.76 (m, 8H), 1.54-1.36 (m, 32H), 0.94-0.84 (m, 12H).
【実施例】
【0276】
製造例11
【実施例】
【0277】
【化37】
JP0006526557B2_000038t.gif
【実施例】
【0278】
1,3-bis((2-ethylhexyl)oxy)-2-methylbenzene(26)
1000 mL二口ナスフラスコに化合物25 (25.0 g, 201 mmol) とK2CO3 (83.0 g, 600 mmol) および18-crown-6 (2.54 g, 9.61 mmol) を入れ、acetone (500 mL) に溶解させ4時間還流させた。その後2-ethylhexyl bromide (103 mL, 597 mmol) を加え、87時間還流させた。放冷、セライト濾過の後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルショートカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 1/1, Rf = 0.87) の後、減圧蒸留 (約100 Pa, bp 178 ℃) により化合物26を60.1 g(173 mmol)の無色オイルとして収率86%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.06 (t, JHH = 8.0 Hz, 1H), 6.50 (d, JHH = 8.0 Hz, 2H), 3.84 (d, JHH = 5.5 Hz, 4H), 2.11 (s, 3H), 1.76-1.69 (m, 2H), 1.55-1.42 (m, 8H), 1.40-1.30 (m, 8H), 0.94-0.89 (m, 12H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 158.0, 126.0, 115.0, 104.0, 70.5, 39.6, 30.7, 29.1, 24.1, 23.1, 14.1, 11.2, 8.2.
【実施例】
【0279】
製造例12
【実施例】
【0280】
【化38】
JP0006526557B2_000039t.gif
【実施例】
【0281】
2-(bromomethyl)-1,3-bis((2-ethylhexyl)oxy)benzene(27)
500 mL二口ナスフラスコに化合物26 (14.9 g, 42.7 mmol) を入れ、CCl4 (160 mL) に溶解させた。NBS (8.36 g, 47.0 mmol) と benzoyl peroxide (20.7 mg, 85.4 μmol) を加えた、12時間還流させた。放冷、セライト濾過の後、溶媒を減圧留去した。化合物27を含む橙色オイルを20.4 g得た。化合物27はこれ以上の精製操作を行わずに次の実験に用いた。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.19 (t, JHH= 8.0 Hz, 1H), 6.49 (d, JHH= 8.0 Hz, 2H), 4.69 (s, 2H), 3.91 (d, JHH= 5.0 Hz, 4H), 1.79-1.74 (m, 2H), 1.59-1.42 (m, 8H), 1.38-1.30 (m, 8H), 0.96-0.88 (m, 12H).
【実施例】
【0282】
製造例13
【実施例】
【0283】
【化39】
JP0006526557B2_000040t.gif
【実施例】
【0284】
2,5-bis(2,6-bis((2-ethylhexyl)oxy)benzyl)-3,6-di(thiophen-2-yl)-2,5-dihydropyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione(29)
【実施例】
【0285】
200 mL二口ナスフラスコに化合物28 (2.00 g, 6.67 mmol) とK2CO3 (3.69 g, 26.7 mmol) および18-crown-6 (352 mg, 1.33 mmol) を入れ、DMF (100 mL) に溶解させ120 ℃に加熱した。化合物27 (8.56 g, 20.0 mmol 少量の不純物含む) をDMF (50 mL) に溶解させ、キャニラーを用いて系中に加えた後、120 ℃で48時間撹拌した。放冷の後、飽和NH4Cl水溶液を加えた。EtOAcで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (EtOAc/hexane = 1/9, Rf = 0.39) により化合物3を545 mg(0.549 mmol)の赤色固体として収率8%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.55 (d, JHH = 9.0 Hz, 2H), 7.41 (d, JHH = 4.5 Hz, 2H), 7.08-7.04 (m, 4H), 6.43 (d, JHH = 8.0 Hz, 4H), 5.37 (s, 4H), 3.73 (d, JHH = 6.0 Hz, 4H), 1.61-1.56 (m, 2H), 1.38-1.15 (m, 32H), 0.83 (t, JHH = 7.5 Hz, 6H), 0.78 (t, JHH = 7.5 Hz, 6H).
製造例14
【実施例】
【0286】
【化40】
JP0006526557B2_000041t.gif
【実施例】
【0287】
2,5-bis(2,6-bis((2-ethylhexyl)oxy)benzyl)-3-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-6-(thiophen-2-yl)-2,5-dihydropyrrolo[3,4-c]pyrrole-1,4-dione(30)
【実施例】
【0288】
50 mL二口ナスフラスコに化合物29 (543 mg, 0.547 mmol) を入れ、THF (20 mL) に溶解させ-78 ℃に冷却した。LDA (0.50 M THF溶液, 1.10 mL, 0.550 mmol) を滴下し、その10分後にnBu3SnCl (194 μL, 0.657 mmol) を加えた。-78 ℃で 10分撹拌の後、室温に昇温し、飽和NaHCO3水溶液を加えた。tolueneで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。200 mL二口ナスフラスコに粗生成物と化合物7 (329 mg, 0.602 mmol) をtoluene (10 mL) に溶解させた。Pd2(dba)3・CHCl3 (12.3 mg, 11.8 μmol) とPPh3 (12.1 mg, 46.1 μmol) を加え、7時間還流させた。放冷の後、飽和NH4Cl水溶液を加えた。tolueneで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 1/1, Rf = 0.38) により化合物30を401 mg(0.274 mmol)の青紫色オイルとして収率50%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.72 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 8.51 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 7.39 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 7.37 (d, JHH = 9.0 Hz, 2H), 7.19 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 7.08-7.04 (m, 7H), 7.01 (d, JHH = 9.0 Hz, 4H), 6.96 (d, JHH = 9.0 Hz, 2H), 6.45 (d, JHH = 9.0 Hz, 2H), 6.43 (d, JHH = 9.0 Hz, 2H), 5.42 (s, 2H), 5.39 (s, 2H), 3.74 (d, JHH = 5.5 Hz, 4H), 3.73 (d, JHH = 5.5 Hz, 4H), 2.56 (t, JHH = 7.5 Hz, 4H), 1.62-1.58 (m, 6H), 1.37-1.15 (m, 54H), 0.94-0.75 (m, 30H).
製造例15
【実施例】
【0289】
【化41】
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【実施例】
【0290】
2-(5'-(2,5-bis(2,6-bis((2-ethylhexyl)oxy)benzyl)-4-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-3,6-dioxo-2,3,5,6-tetrahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-1-yl)-4-(dimesitylboranyl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)thiazole-5-carbaldehyde(31)
50 mL二口ナスフラスコに化合物30 (400 mg, 0.274 mmol) を入れ、THF (4 mL) に溶解させ-78 ℃に冷却した。LDA (2.0 M THF溶液, 0.137 mL, 0.274 mmol) を滴下し、その10分後にnBu3SnCl (97.1 μL, 0.329 mmol) を加えた。-78 ℃で 30分撹拌の後、室温に昇温し、飽和NaHCO3水溶液を加えた。tolueneで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。100 mL二口ナスフラスコに粗生成物と化合物10 (187 mg, 0.329 mmol) を入れtoluene (5 mL) に溶解させた。Pd2(dba)3・CHCl3 (5.67 mg, 5.48 μmol) とPPh3 (5.75 mg, 21.9 μmol) を加え、12時間還流させた。放冷の後、飽和NH4Cl水溶液を加えた。tolueneで抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/hexane = 1/1, Rf = 0.16) により化合物31を246 mg(0.129 mmol)の濃緑色オイルとして収率47%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.82 (s, 1H), 8.79 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 8.62 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.38 (d, JHH = 9.0 Hz, 2H), 7.24-7.20 (m, 2H), 7.09-7.05 (m, 7H), 7.01 (d, JHH = 9.0 Hz, 4H), 6.96 (d, JHH = 9.0 Hz, 2H), 6.69 (s, 4H), 6.46 (d, JHH = 8.0 Hz, 4H), 5.43 (s, 2H), 5.39 (s, 2H), 3.75 (d, JHH = 5.5 Hz, 4H), 3.72 (d, JHH = 4.0 Hz, 4H), 2.57 (t, JHH = 7.5 Hz, 4H), 2.20 (s, 6H), 1.88 (s, 12H), 1.64-1.58 (m, 2H), 1.37-1.14 (m, 58H), 0.92-0.74 (m, 30H).
実施例1
【実施例】
【0291】
【化42】
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【実施例】
【0292】
化合物2 (200 mg, 0.152 mmol)、4-ethynylbenzoic acid (24.4 mg, 0.167 mmol)、Pd2(dba)3・CHCl3 (4.0 mg, 39 μmol)、S-Phos (3.2 mg, 78 μmol)、CuI (1.5 mg, 79 μmol)、脱気したTHF (1.5 mL)およびEt3N (1.5 mL)をシュレンク管に加えて密閉し、室温で9時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、1 M HCl水溶液を加えた。水層をジクロロメタンで3回抽出し、あわせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させた後、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール = 20:1、Rf = 0.21)で精製し、化合物3 (64.5 mg, 48.2 μmol)を赤色固体として32%の収率で得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6/CDCl3 = 3/1) δ 7.95 (d, JHH = 8.4 Hz, 2H), 7.91 (s, 1H), 7.62 (d, JHH = 8.4 Hz, 2H), 7.27 (s, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.18 (d, JHH = 8.4 Hz, 2H), 7.03 (s, 1H), 7.02 (d, JHH = 9.0 Hz, 4H), 6.84 (d, JHH = 9.0 Hz, 4H), 6.79 (d, JHH = 8.4 Hz, 2H), 6.56 (s, 4H), 3.90 (t, JHH = 6.3 Hz, 4H), 2.71 (m, overlapped, 2H), 2.56 (t, JHH = 8.1 Hz, 2H), 2.10 (s, 6H), 1.82 (s, 12H), 1.69 (quint, JHH = 6.3 Hz, 4H), 1.66-1.55 (m, 4H), 1.43-1.15 (m, overlapped, 24H), 0.92-0.77 (m, overlapped, 12H); HRMS (ESI-): m/z 1334.6267 (M-). Calcd for C84H95BN2O4S4: 1334.6268.
実施例2
【実施例】
【0293】
【化43】
JP0006526557B2_000044t.gif
【実施例】
【0294】
化合物2 (204 mg, 0.155 mmol)、4-ethynylphthalic anhydride (25.9 mg, 0.223 mmol)、Pd2(dba)3・CHCl3 (4.2 mg, 41 μmol)、S-Phos (3.3 mg, 80 μmol)、CuI (1.4 mg, 74 μmol)脱気したTHF (1.5 mL)およびEt3N (1.5 mL)をシュレンク管に加えて密閉し、室温で11時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、1 M HCl水溶液を加えた後、水層をジクロロメタンで3回抽出した。あわせた有機層を水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた後、濾過し、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール = 4:1、Rf = 0.47)で精製し、化合物4 (30.4 mg, 22.0 μmol)を赤褐色固体としての14%の収率で得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6/CDCl3 = 3/1) δ 8.35 (s, 1H), 8.21 (d, JHH = 8.4 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.60 (d, JHH = 8.4 Hz, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.18 (s, 1H), 7.18 (d, JHH = 8.7 Hz, 2H), 7.02 (s, 1H), 7.02 (d, JHH = 9.0 Hz, 4H), 6.84 (d, JHH = 9.0 Hz, 4H), 6.79 (d, JHH = 8.7 Hz, 2H), 6.56 (s, 4H), 3.90 (t, JHH = 6.6 Hz, 4H), 2.71 (m, overlapped, 2H), 2.58 (t, JHH = 7.5 Hz, 2H), 2.10 (s, 6H), 1.82 (s, 12H), 1.69 (quint, JHH = 6.6 Hz, 4H), 1.59-1.49 (m, 4H), 1.44-1.16 (m, overlapped, 24H), 0.84-0.76 (m, overlapped, 12H); HRMS (ESI-): m/z 1378.6011 (M-). Calcd for C85H95BN2O6S4: 1378.6166.
実施例3
【実施例】
【0295】
【化44】
JP0006526557B2_000045t.gif
【実施例】
【0296】
4-((2-(5'-(4-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-2,5-dioctyl-3,6-dioxo-2,3,5,6-tetrahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-1-yl)-4-(dimesitylboranyl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)thiazol-5-yl)ethynyl)benzoic acid (18)
【実施例】
【0297】
シュレンク管に化合物16 と化合物14を1:2の割合で含む混合物 (218 mg, 化合物16は約76.9 mg, 0.0502 mmol)、化合物17 (8.18 mg, 0.0560 mmol)、PPh3 (1.02 mg, 0.00389 mmol) を入れ、Arバブリングしたtoluene (1.5 mL) に溶かした。Pd2(dba)3・CHCl3 (1.07 mg, 0.00103 mmol)、CuI (0.395 mg, 0.00207 mmol)、iPr2NH (0.5 mL) を加え、100 ℃で8時間加熱した。室温まで放冷し、2 M HCl水溶液を加えた。水層をtolueneで抽出し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/MeOH = 9/1, Rf = 0.51) の後、PTLC (MeOH/CH2Cl2 = 1/30)により精製し、化合物18を56.8 mg(0.0366 mmol)の緑色固体として収率73%で得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.04 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 8.92 (d, JHH = 3.9 Hz, 1H), 8.08 (d, JHH = 4.8 Hz, 2H), 7.83 (s, 1H), 7.57 (d, JHH = 7.5 Hz, 2H), 7.49 (d, JHH = 8.1 Hz, 2H), 7.43 (s, 1H), 7.45 (s, 2H), 7.12-6.99 (m, 10H), 6.70 (s, 4H), 4.15-4.00 (m, 4H), 2.57 (t, JHH = 7.8 Hz, 4H), 2.21 (s, 6H), 1.92 (s, 12H), 1.80-1.70 (m, 4H), 1.70-1.60 (m, 4H), 1.45-1.23 (m, 40H), 0.94-0.85 (m, 12H).
【実施例】
【0298】
実施例4
【実施例】
【0299】
【化45】
JP0006526557B2_000046t.gif
【実施例】
【0300】
2-((2-(5'-(4-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-2,5-dioctyl-3,6-dioxo-2,3,5,6-tetrahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-1-yl)-4-(dimesitylboranyl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)thiazol-5-yl)methylene)malonic acid (12)
【実施例】
【0301】
(実施例4-1)
シュレンク管に化合物11 (86.3 mg, 0.0602 mmol)、malonic acid (19.6 mg, 0.188 mmol)、ピペリジン(piperidine) (0.0178 mL, 0.180 mmol) を入れ、CHCl3 (0.6 mL) に溶かし、70 ℃で37時間加熱した。その後、室温まで放冷し、1 M HCl水溶液を加えた。CH2Cl2で抽出し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (MeOH/CH2Cl2 = 1/9, Rf = 0.23) の後、PTLC (MeOH/CH2Cl2 = 1/20)で精製し、化合物12を34.6 mg(0.0228 mmol)の緑色固体として収率38%で得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6/CDCl3) δ 8.94 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 8.80 (d, JHH = 4.2 Hz, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.62 (d, JHH = 3.6 Hz, 1H), 7.51 (d, JHH = 7.8 Hz, 2H), 7.38 (s, 1H), 7.09 (d, JHH = 7.8 Hz, 4H), 6.95 (d, JHH = 8.1 Hz, 4H), 6.84 (d, JHH = 8.4 Hz, 4H), 6.55 (s, 4H), 5.66 (s, 1H), 4.00-3.90 (m, 4H), 2.51 (t, JHH = 7.2 Hz, 4H), 2.09 (s, 6H), 1.81 (s, 12H), 1.64-1.50 (m, 8H), 1.35-1.15 (m, H), 0.87-0.77 (m, 12H). HRMS (FAB+): m/z 1519.7496 (M+). Calcd for C93H111BN4O6S4: 1519.7518.
【実施例】
【0302】
(実施例4-2)
100 mL二口ナスフラスコに化合物11 (622 mg, 0.434 mmol)、malonic acid (135 mg, 1.30 mmol)、pireridine (257 μL, 2.60 mmol) を入れ、CHCl3 (8 mL) 溶解させた後、7時間還流させた。その後、malonic acid (135 mg, 1.30 mmol) を追加し、さらに14時間還流させた。放冷の後、1 M HCl水溶液を加えた。CH2Cl2で抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (MeOH/toluene = 1/4, Rf = 0.29) により化合物12を628 mg(0.418 mmol)の緑色固体として収率95%で得た。
【実施例】
【0303】
実施例5
【実施例】
【0304】
【化46】
JP0006526557B2_000047t.gif

【実施例】
【0305】
2-(5'-(4-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-2,5-dioctyl-3,6-dioxo-2,3,5,6-tetrahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-1-yl)-4-(dimesitylboranyl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)thiazole-5-carboxylic acid (15)
【実施例】
【0306】
50 mL二口ナスフラスコに化合物14 (101 mg, 0.0721 mmol) を入れ、THF (2.1 mL) に溶かし、-78 ℃に冷却した。LDA (1.00 M in THF, 0.0730 mL, 0.0730 mmol) を滴下し、30分撹拌した。砕いたドライアイスを加え、室温まで昇温しながら撹拌した。2 M HCl水溶液を加え、水層をCH2Cl2で抽出した。有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (MeOH/CH2Cl2 = 1/9, Rf = 0.22) の後、PTLC (MeOH/CH2Cl2 = 1/20) で精製し、化合物15を50.2 mg(0.0346 mmol)の緑色固体として収率48%で得た。
【実施例】
【0307】
実施例6
【実施例】
【0308】
【化47】
JP0006526557B2_000048t.gif
【実施例】
【0309】
2-((2-(5'-(4-(5-(4-(bis(4-(hexyloxy)phenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-2,5-dioctyl-3,6-dioxo-2,3,5,6-tetrahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-1-yl)-4-(dimesitylboranyl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)thiazol-5-yl)methylene)malonic acid (24)
【実施例】
【0310】
シュレンク管に化合物23 (141 mg, 0.100 mmol) を入れ、CHCl3 (1 mL) に溶解させた。malonic acid (31.2 mg, 0.300 mmol) とpiperidine (29.6 μL, 0.300 mmol) を加え、16時間還流させた。放冷の後、1M HClaq.を加えた。CH2Cl2で抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (toluene/MeOH = 4/1, Rf = 0.19) により化合物24を120 mg(80.5 μmol)の濃緑色固体として収率80%で得た。
【実施例】
【0311】
実施例7
【実施例】
【0312】
【化48】
JP0006526557B2_000049t.gif

【実施例】
【0313】
2-((2-(5'-(2,5-bis(2,6-bis((2-ethylhexyl)oxy)benzyl)-4-(5-(4-(bis(4-octylphenyl)amino)phenyl)thiophen-2-yl)-3,6-dioxo-2,3,5,6-tetrahydropyrrolo[3,4-c]pyrrol-1-yl)-4-(dimesitylboranyl)-[2,2'-bithiophen]-5-yl)thiazol-5-yl)methylene)malonic acid(32)
【実施例】
【0314】
シュレンク管に化合物31 (213 mg, 0.112 mmol)を入れ、CHCl3 (2 mL) に溶解させた。malonic acid (35.2 mg, 0.338 mmol) とpiperidine (33.0 μL, 0.334 mmol) を加え、21時間還流させた。放冷の後、1M HClaq.を加えた。CH2Cl2で抽出し、有機層を蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2SO4で脱水、濾過をした後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CH2Cl2/MeOH = 10/1, Rf = 0.18) により化合物32を177 mg(89.2 μmol)の濃緑色固体として収率80%で得た。
1H NMR (500 MHz, THF-d8) δ 10.84 (s, 2H), 9.02 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 8.94 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 8.30 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.46 (d, JHH = 8.5 Hz, 2H), 7.36 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 7.35 (d, JHH = 4.0 Hz, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.10 (d, JHH = 8.5 Hz, 4H), 7.09 (t, JHH = 8.5 Hz, 1H), 7.05 (t, JHH = 8.5 Hz, 1H), 7.00 (d, JHH = 8.5 Hz, 4H), 6.95 (d, JHH = 8.5 Hz, 2H), 6.60 (s, 4H), 6.54 (d, JHH = 8,5 Hz, 2H), 6.53 (d, JHH = 8.5 Hz, 2H), 5.47 (s, 2H), 5.41 (s, 2H), 3.80 (d, JHH = 6.0 Hz, 4H), 3.77 (d, JHH = 6.0 Hz, 4H), 2.58 (t, JHH = 7.5 Hz, 4H), 2.14 (s, 6H), 1.89 (s, 12H), 1.64-1.14 (m, 30H), 0.93-0.75 (m, 30H).
【実施例】
【0315】
試験例1(色素増感太陽電池の製造及び評価)
(1)光吸収層の作製
導電性基板(表面抵抗値10Ω/□、15mm×25mm、フッ素ドープ酸化錫膜付ガラス基板)上に、チタニアペースト(SOLARONIXS社製、チタニアペーストTi-NanoxideT/SP)を、公知のスクリーン印刷法にて塗布し、120℃で3分間乾燥させる操作を6回繰り返した後、導電性基板を500℃で30分間焼成し、9~14μmの多孔質酸化チタン膜を形成した。
【実施例】
【0316】
次に、実施例で得られた化合物3および参照化合物(Ref1、Ref2、及びRef3)を、トルエン溶媒にそれぞれ溶解させて、0.1 mMとした溶液に、前記多孔質酸化チタン膜を形成した導電性基板を30 ℃で16時間浸漬した後、当該基板を室温でそれぞれ用いた溶媒にて洗浄することにより、光吸収層を有する導電性基板を得た。なお、Ref1、Ref2、及びRef3は、特許文献1に従い製造した。
【実施例】
【0317】
【化49】
JP0006526557B2_000050t.gif
【実施例】
【0318】
(2)色素増感太陽電池の作製
直径が約0.7mmの電解液注入孔を2つ有するITOガラス基板上に、膜厚が約1nmの白金を製膜した対向電極を作製した。
前記(1)で得られた光吸収層をもつ導電性基板上に、スペーサーとして厚みが約30μmのフレーム型アイオノマー樹脂を密着させ、その上から対向電極を接着した。次いで、電解質として、0.1Mのヨウ化リチウム、0.025Mのヨウ素、0.6MのDMPII(ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド)及び0.5MのTBP(4-tert-ブチルピリジン)をアセトニトリルに溶解してなる電解質溶液を作製し、当該電解質溶液を上記電解液注入孔より内部に注入することによって、色素増感太陽電池を作製した。
【実施例】
【0319】
(3)色素増感太陽電池の光電変換効率の評価
上記試験例1(2)で得られた色素増感太陽電池について、太陽電池評価装置(分光計器社製 SMO-250III型)を用いて、下記の方法で光電変換効率を測定した。
【実施例】
【0320】
<測定方法>
JIS C8913:1998 のシリコン結晶系太陽電池セルの出力測定方法に準拠した方法で測定した。ソーラーシュミレーター(分光計器社製 SMO-250III型)に、AM1.5G相当のエアマスフィルターを組み合わせ、2次基準 Si 太陽電池で100mW/cmの光量に調整して測定用光源とし、色素増感型太陽電池セルの試験サンプルに光照射をしながら、ソースメーター(Keithley Instruments Inc. 製,2400型汎用ソースメーター)を使用してI-Vカーブ特性を測定し、I-Vカーブ特性測定から得られた開放電圧(Voc)、短絡電流(Isc)、フィルファクター(FF)を導出した。そして、短絡電流密度(Jsc)、及び光電変換効率(η)を以下の式1及び式2を用いて算出した。
【実施例】
【0321】
式1:短絡電流密度(Jsc)(mA/cm)=Isc(mA)/有効受光面S(cm
式2:光電変換効率(η)(%)=Voc(V)×Jsc(mA/cm)×FF×100/100(mW/cm
得られた結果を表1および図1に示す。トルエンを浸漬溶媒に用いると、化合物3は16時間浸漬することにより、6.46%の高い光電変換効率を示した。
【実施例】
【0322】
【表1】
JP0006526557B2_000051t.gif
【実施例】
【0323】
(4)色素増感太陽電池のIPCEの評価
上記試験例1(2)で得られた色素増感太陽電池について、太陽電池評価装置 (分光計器株式会社製 SMO-250 III)を用いて、IPCE(Incident Photon-to-current Conversion Efficiency)スペクトルを300 nmから850 nmの範囲で測定した。得られた結果を図2に示す。
【実施例】
【0324】
トルエンを浸漬溶媒として用いた場合、化合物3は高い入射光-電流変換効率(IPCE)を示し、410 nmから560 nmにかけての領域では、80%を超えるIPCEスペクトルが得られた。
【実施例】
【0325】
(5)多孔質酸化チタンへの色素吸着量の評価
市販のスクリューキャップ付き石英セル(光路長 1 mm)に0.1 mMの色素のトルエン溶液0.5 mLおよび、上記の試験例1(1)で作製した多孔質酸化チタン膜を形成した導電性基板を入れて密閉し、浸漬時間ごとに紫外可視分光計(島津製作所製、UV-3150)を用いて吸収スペクトルを測定した。色素吸着量は、測定で観測された吸光度(Abs)を元に式3に従って算出した。結果を図3に示す。この結果から、吸着においては、化合物3と参照化合物Ref1で有意の差は観測されなかった。
【実施例】
【0326】
式3:
【数1】
JP0006526557B2_000052t.gif
【実施例】
【0327】
(6)吸着色素の安定性評価
色素の吸着の安定性を評価した。市販のスクリューキャップ付き石英セル(光路長 1 mm)に0.5 Mのtert-ブチルピリジンのアセトニトリル溶液0.5 mLを加え、試験例1(5)で作製した色素を吸着させた多孔質酸化チタン膜付き導電性基板を浸漬し、溶液の吸収の変化を吸収スペクトル測定により測定した。図4に結果を示す。
【実施例】
【0328】
60時間浸漬後のスペクトルにおいては、参照化合物Ref1においては440 nmに色素の乖離を示唆するピークが観測された。一方で化合物3を吸着させた電極を用いた場合は、浸漬溶液では吸収ピークはほとんど観測されなかった。これは化合物3が強固にTiO2電極に強く吸着し、同条件下での色素の剥離、漏れだしがほとんどないことを示唆する結果である。
【実施例】
【0329】
試験例2
試験例2-1(色素の吸収スペクトル評価)
化合物12および比較化合物としてRef1の可視吸収スペクトルを図5に示す。
Ref1が468 nm(ε = 38200 M-1 cm-1)に最長波長吸収ピークを示すのに対して、化合物12では、吸収ピークは640 nm(ε = 76900 M-1 cm-1)と670 nm(ε = 75700 M-1 cm-1)へと約200 nmも大きく長波長シフトし、吸光係数も増大した。
【実施例】
【0330】
試験例2-2(太陽電池作製および評価)
化合物12についても、上述の方法と同様に色素増感型太陽電池を作製し、特性を評価した。結果を表2および図6に示す。
【実施例】
【0331】
化合物12の0.1 mMのトルエン溶液に、前記多孔質酸化チタン膜を形成した導電性基板を30 ℃で16時間浸漬した後、当該基板を室温でそれぞれ用いた溶媒にて洗浄することにより、光吸収層を有する導電性基板を得た。
【実施例】
【0332】
これを用いて太陽電池特性を評価したところ、曲線因子FFは0.716であったが、短絡電流密度JSCの値は4.98 mAcm-2、開放電圧VOCは0.596 Vと、同様の条件下で化合物3を用いて作製した太陽電池よりも低く、光電変換効率も2.13%にとどまった。多孔質酸化チタン膜を形成した導電性基板の浸漬条件を検討し、化合物12の濃度を0.5 mMとし、浸漬時間を36時間にすると、短絡電流密度JSCの値は7.71 mAcm-2、開放電圧VOCは0.610 V、光電変換効率3.23%と、特性は少し向上した。図6に示すIPCEスペクトルを測定したところ、化合物12の吸収波長に対応して、IPCEスペクトルでも800 nm以上の領域から光電変換することが確認された。しかし、全体的に入射光-電流変換効率は、0.1 mM溶液に浸漬した場合では20%程度、0.5 mMの溶液に浸漬した場合では30%程度であった。これらの結果から、化合物12の場合、これらの浸漬条件下では、いずれも多孔質酸化チタン膜への吸着量が少なく、このため太陽電池特性が3%程度であると考えられる。
【実施例】
【0333】
そこで、本条件下では多孔質酸化チタン膜への化合物12の吸着量が少ないことを利用して、公知の化合物Ref1と組み合わせた色素増感型太陽電池の作製を行った。
【実施例】
【0334】
上記の方法と同様に、まず、化合物12の0.1 mMのトルエン溶液に多孔質酸化チタン膜を形成した導電性基板を30 ℃で18時間浸漬し、基盤をトルエンで洗浄した後、続いて化合物Ref1の0.1 mMのトルエン溶液に30 ℃で16時間浸漬し、基板をトルエンで洗浄し、二種類の化合物を吸着させた導電性基板を作製した。
【実施例】
【0335】
これを用いて、上述の方法と同様に色素増感型太陽電池を作製し、その特性を評価した。その結果、IPCEスペクトル(図6)では、化合物12の増感効果に由来する650 nm以上の領域でも光電変換効率の向上が見られ、さらに、化合物Ref1の増感効果に対応する400-600 nmの領域での入射光-電流変換効率も大きく向上することが確認された。太陽電池特性は、表2より、短絡電流密度JSCの値は9.81 mAcm-2、開放電圧VOCは0.657 Vと、いずれも化合物12のみを用いた場合よりも向上し、4.45%の光電変換効率が得られた。
【実施例】
【0336】
【表2】
JP0006526557B2_000053t.gif
【実施例】
【0337】
試験例3(太陽電池作製及び評価)
化合物24についても、上述の方法と同様に光吸収層を有する導電性基板を作製し、これを用いて色素増感型太陽電池を作製し、特性を評価した。結果を表3および図7に示す。
【実施例】
【0338】
【表3】
JP0006526557B2_000054t.gif
【実施例】
【0339】
試験例4(太陽電池作製及び評価)
化合物18についても、上述の方法と同様に光吸収層を有する導電性基板を作製し、これを用いて色素増感型太陽電池を作製し、特性を評価した。結果を表4および図8に示す。
【実施例】
【0340】
【表4】
JP0006526557B2_000055t.gif
【実施例】
【0341】
試験例5(太陽電池作製及び評価)
化合物32についても、上述の方法と同様に光吸収層を有する導電性基板を作製した。その後、電解質として、0.1Mのヨウ化リチウム、0.1Mのヨウ素、及び0.6MのDMPII(ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド)を用いた他は、上述の方法と同様に色素増感太陽電池を作成した。また、別途、電解質として、0.1Mのヨウ化リチウム、0.1Mのヨウ素、0.6MのDMPII(ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド)、及び0.5MのTBP(4-tert-ブチルピリジン)を用いた他は、上述の方法と同様に色素増感太陽電池を作成した。
【実施例】
【0342】
また、化合物32及びデオキシコール酸を、それぞれトルエン溶媒に溶解させ、0.1mMの化合物32及び2mMのデオキシコール酸を含むトルエン溶液を得た。また、上記試験例1(1)と同様の方法により、多孔質チタン膜(6μm)を得た。上記化合物32及びデオキシコール酸のトルエン溶液に前記多孔質チタン膜(膜厚6μm)を形成した導電性基板を30℃で18時間浸漬した後、当該基板を用いた溶媒にて洗浄することにより、光吸収層を有する導電性基板を得た。その後、電解質として、0.1Mのヨウ化リチウム、0.1Mのヨウ素、0.6MのDMPII(ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド)、及び0.5MのTBP(4-tert-ブチルピリジン)を用いた他は、上述の方法と同様に色素増感太陽電池を作成した。
【実施例】
【0343】
これらの色素増感太陽電池について、上述の方法と同様に特性を評価した。結果を表5および図9に示す。
【実施例】
【0344】
【表5】
JP0006526557B2_000056t.gif
【実施例】
【0345】
試験例6(太陽電池作製及び評価)
化合物12についても、上述の方法と同様に光吸収層を有する導電性基板を作製した。その後、電解質として、0.1Mのヨウ化リチウム、0.025Mのヨウ素、及び0.6MのDMPII(ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド)を用いた他は、上述の方法と同様に色素増感太陽電池を作成した。また、別途、電解質として、0.1Mのヨウ化リチウム、0.025Mのヨウ素、0.6MのDMPII(ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド)、及び0.5MのTBP(4-tert-ブチルピリジン)を用いた他は、上述の方法と同様に色素増感太陽電池を作成した。
【実施例】
【0346】
また、化合物12及びデオキシコール酸を、それぞれトルエン溶媒に溶解させ、0.1mMの化合物12及び2mMのデオキシコール酸を含むトルエン溶液を得た。また、上記試験例1(1)と同様の方法により、多孔質チタン膜(6μm)を得た。上記化合物12及びデオキシコール酸のトルエン溶液に前記多孔質チタン膜(膜厚6μm)を形成した導電性基板を30℃で18時間浸漬した後、当該基板を用いた溶媒にて洗浄することにより、光吸収層を有する導電性基板を得た。その後、電解質として、0.1Mのヨウ化リチウム、0.025Mのヨウ素、及び0.6MのDMPII(ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド)を用いた他は、上述の方法と同様に色素増感太陽電池を作成した。
【実施例】
【0347】
これらの色素増感太陽電池について、上述の方法と同様に特性を評価した。結果を表6および図10に示す。
【実施例】
【0348】
【表6】
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図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9