TOP > 国内特許検索 > レーザー加工方法 > 明細書

明細書 :レーザー加工方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-065188 (P2018-065188A)
公開日 平成30年4月26日(2018.4.26)
発明の名称または考案の名称 レーザー加工方法
国際特許分類 B23K  26/53        (2014.01)
B23K  26/00        (2014.01)
C03C  23/00        (2006.01)
C03B  23/203       (2006.01)
FI B23K 26/53
B23K 26/00 N
C03C 23/00 D
C03B 23/203
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2016-206869 (P2016-206869)
出願日 平成28年10月21日(2016.10.21)
発明者または考案者 【氏名】益田 紀彰
【氏名】三浦 清貴
【氏名】下間 靖彦
【氏名】坂倉 政明
出願人 【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100107423、【弁理士】、【氏名又は名称】城村 邦彦
【識別番号】100120949、【弁理士】、【氏名又は名称】熊野 剛
【識別番号】100168550、【弁理士】、【氏名又は名称】友廣 真一
審査請求 未請求
テーマコード 4E168
4G059
Fターム 4E168AE01
4E168DA33
4E168DA46
4E168DA47
4E168JA14
4G059AA01
4G059AA08
4G059AC08
要約 【課題】透明部材の熱変性領域やその周辺にひずみや割れが発生する原因となる、熱変性領域の周期的な構造の乱れを抑制し得るレーザー加工方法を提供する。
【解決手段】超短パルスレーザー光を集光照射して透明部材の内部に熱変性領域を形成するレーザー加工方法である。超短パルスレーザー光は、ピーク強度が周期的に変化するパルス列P2から構成される。パルス列P2は、ピーク強度の変化の一周期Ts内に、ピーク強度が最大となる最大パルスPb1と、ピーク強度が最小となる最小パルスPb2と、最大パルスPb1と最小パルスPb2との間で、最大パルスPb1側から最小パルスPb2側に向かうに連れてピーク強度が漸次減少する複数のパルスからなる中間パルス群Pb3とを含む。
【選択図】図5
特許請求の範囲 【請求項1】
超短パルスレーザー光を集光照射し、透明部材の内部の集光領域に熱変性領域を形成するレーザー加工方法であって、
前記超短パルスレーザー光は、ピーク強度が周期的に変化するとともに、そのピーク強度の変化の一周期内に存在するパルス列が、ピーク強度が最大となる最大パルスと、ピーク強度が最小となる最小パルスと、前記最大パルスと前記最小パルスとの間で、前記最大パルス側から前記最小パルス側に向かうに連れてピーク強度が漸次減少する複数のパルスからなる中間パルス群とを含むことを特徴とするレーザー加工方法。
【請求項2】
前記最小パルスのピーク強度が、前記最大パルスのピーク強度の25%以上であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー加工方法。
【請求項3】
前記超短パルスレーザー光が、1kHz~50kHzの周波数で強度変調されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザー加工方法。
【請求項4】
前記超短パルスレーザー光の繰り返し周波数が、100kHz~1MHzであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザー加工方法。
【請求項5】
前記熱変性領域を前記透明部材の切断予定線に沿って線状に形成し、前記透明部材を前記熱変性領域に引張応力を作用させて割断することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のレーザー加工方法。
【請求項6】
前記透明部材が第一部材と第二部材とを含む積層体であり、前記熱変性領域を前記第一部材と前記第二部材の界面に形成し、前記第一部材と前記第二部材とを接合することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のレーザー加工方法。
【請求項7】
前記透明部材がガラスであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のレーザー加工方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザー加工方法の一つとして、パルス幅が極めて小さい超短パルスレーザー光を集光照射することにより、非線形光吸収(多光子吸収)現象を生じさせ、ガラスなどの透明部材の内部に熱変性領域を形成する方法が研究開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
非線形光吸収を用いたレーザー加工方法は、超短パルスレーザー光の集光領域のみを局所的に溶融して熱変性領域を形成できるという利点があり、例えば二つの透明部材を接合する場合などに利用されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2015-98042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、非線形光吸収を用いたレーザー加工方法では、一定のピーク強度を有する超短パルスレーザー光を高繰り返しで透明部材に集光照射する。
【0006】
しかしながら、このような態様で超短パルスレーザー光を集光照射すると、熱変性領域の構造が周期的に乱れる事態が生じやすい。この熱変性領域の周期的な構造の乱れは、熱変性領域やその周辺にひずみや割れを発生させる原因となる。
【0007】
ここで、熱変性領域の周期的な構造の乱れは、次のような理由で生じるものと考えられている。まず、超短パルスレーザー光の集光照射によって集光領域の温度が上昇し、集光領域における光吸収率も上昇する。この際、一定のピーク強度の超短パルスレーザー光が繰り返し照射されるので、集光領域の温度が過度に上昇しやすい。集光領域の温度が過度に上昇すると、集光領域における光吸収率が透明部材の熱変性によって急激に低下する。光吸収率が急激に低下すると、集光領域の過度な温度上昇が一時的に緩和される。そうすると、集光領域の温度が再び上昇し始め、これに併せて集光領域における光吸収率も再び上昇し始める。以後、同様の態様で集光領域における光吸収率が大きな上下動を周期的に繰り返す。そして、このような集光領域における光吸収率の大きな周期的変動に起因し、熱変性領域に周期的な構造の乱れが生じる。
【0008】
本発明は、透明部材の熱変性領域やその周辺にひずみや割れが発生する原因となる、熱変性領域の周期的な構造の乱れを抑制し得るレーザー加工方法を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、超短パルスレーザー光を集光照射し、透明部材の内部の集光領域に熱変性領域を形成するレーザー加工方法であって、超短パルスレーザー光は、ピーク強度が周期的に変化するとともに、そのピーク強度の変化の一周期内に存在するパルス列が、ピーク強度が最大となる最大パルスと、ピーク強度が最小となる最小パルスと、最大パルスと最小パルスとの間で、最大パルス側から最小パルス側に向かうに連れてピーク強度が漸次減少する複数のパルスからなる中間パルス群とを含むことを特徴とする。このような構成によれば、超短パルスレーザー光がそのピーク強度を周期的に増減しながら透明部材に集光照射される。このピーク強度の周期的な増減によって、集光領域の温度が過度に上昇する前にピーク強度自体が低下するため、集光領域の過度な温度上昇やこれに伴う光吸収率の低下を防止することができる。したがって、集光領域に形成される熱変性領域の周期的な構造の乱れを抑制することができ、熱変性領域やその周辺にひずみや割れが生じにくくなる。
【0010】
上記の構成において、最小パルスのピーク強度が、最大パルスのピーク強度の25%以上であることが好ましい。このようにすれば、集光領域の温度が下がりすぎるのを防止でき、加工効率がよくなる。
【0011】
上記の構成において、超短パルスレーザー光が、1kHz~50kHzの周波数で強度変調されていることが好ましい。このようにすれば、超短パルスレーザー光のピーク強度の変化の周期が、超短パルスレーザー光のピーク強度を一定にして照射した場合に透明部材に生じ得る光吸収率の変動周期と同程度になる場合がある。この場合、光吸収率の周期的な変動をより確実に抑制することが可能となる。
【0012】
上記の構成において、超短パルスレーザー光の繰り返し周波数は、100kHz~1MHzであることが好ましい。このような高繰り返し周波数であれば、隣接するパルスの間隔が狭くなるので、ピーク強度をほぼ連続的に滑らかに変化させることができる。したがって、集光領域の温度をより緻密に制御できる。
【0013】
上記の構成において、熱変性領域を透明部材の切断予定線に沿って線状に形成し、透明部材を熱変性領域に引張応力を作用させて割断してもよい。
【0014】
上記の構成において、透明部材が第一部材と第二部材とを含む積層体であり、熱変性領域を第一部材と第二部材の界面に形成し、第一部材と第二部材とを接合してもよい。
【0015】
上記の構成において、透明部材がガラスであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、透明部材の熱変性領域やその周辺にひずみや割れが発生する原因となる、熱変性領域の周期的な構造の乱れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザー加工方法に用いられるレーザー加工装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態の比較例の超短パルスレーザー光の時間変化を示す概念図である。
【図3】本実施形態の比較例の集光領域における光吸収率の時間変化を示す概念図である。
【図4】本実施形態の比較例のレーザー加工結果の一例を示す写真であって、(a)はソーダライムガラスのレーザー加工結果、(b)無アルカリガラスのレーザー加工結果をそれぞれ示す。
【図5】本実施形態の超短パルスレーザー光の時間変化を示す概念図である。
【図6】本実施形態の集光領域における光吸収率の時間変化を示す概念図である。
【図7】本実施形態のレーザー加工結果の一例を示す写真であって、(a)はソーダライムガラスのレーザー加工結果、(b)無アルカリガラスのレーザー加工結果をそれぞれ示す。
【図8】本実施形態の超短パルスレーザー光の変形例を示す概念図である。
【図9】本実施形態に係るレーザー加工方法の変形例に用いられるレーザー加工装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るレーザー加工方法の一実施形態を図面を参照しながら説明する。

【0019】
図1に示すように、本実施形態のレーザー加工方法には、レーザー加工装置1が用いられる。レーザー加工装置1は、超短パルスレーザー光L1を高繰り返し出力するレーザー光源2と、レーザー光源2から出力された超短パルスレーザー光L1を強度変調する強度変調器としての音響光学素子3と、強度変調された超短パルスレーザー光L2を集光するためのレンズ4とを備えている。

【0020】
レーザー光源2は、一定のピーク強度を有する超短パルスレーザー光L1を繰り返し出力する。超短パルスレーザー光L1は、ピーク強度が一定の複数のパルスPaを含むパルス列P1から構成される。この実施形態では、超短パルスレーザー光L1は、1×10-9秒以下のパルス幅を有するものを意味する。超短パルスレーザー光L1のパルス幅は、フェムト秒(10-15秒)オーダーからピコ秒(10-12秒)オーダー(例えば、10ピコ秒)であることが好ましい。超短パルスレーザー光L1の繰り返し周波数は、100kHz~1MHzであることが好ましく、500kHz~1MHzであることがより好ましい。

【0021】
音響光学素子3は、発振器5から出力された信号に基づいて超短パルスレーザー光L1を強度変調し、超短パルスレーザー光L2を出力する。強度変調された超短パルスレーザー光L2は、ピーク強度が周期的に変化する複数のパルスPbを含むパルス列P2から構成される。この実施形態では、発振器5から出力される変調信号は、所定の周波数を有する正弦波信号である。この場合、超短パルスレーザー光L1は正弦波信号の周波数で強度変調される。超短パルスレーザー光L1を強度変調する変調信号の周波数(変調周波数)は、1kHz~50kHzであることが好ましい。超短パルスレーザー光L2の繰り返し周波数は、強度変調前の超短パルスレーザー光L1と同じである。なお、強度変調器は音響光学素子3に限定されない。例えば、電気光学効果、磁気光学効果、熱光学効果、非線型光学効果などを用いて、レーザー光源2から出力される超短パルスレーザー光を強度変調してもよいし、レーザー光源2に変調信号を直接入力してレーザー光源2から強度変調された超短パルスレーザー光を出力するようにしてもよい。

【0022】
レンズ4は、強度変調された超短パルスレーザー光L2を集光し、透明部材としてのガラス板Gの内部に集光領域CAを形成する。ここで、透明部材は、使用する超短パルスレーザー光L2を透過する部材を意味する。この実施形態では、ガラス板Gの厚み方向で対向する第一主面Ga及び第二主面Gbのうち、第一主面Ga側から超短パルスレーザー光L2が入射する。なお、超短パルスレーザー光L2の入射面は特に限定されない。

【0023】
上記の構成を備えたレーザー加工装置1を用いてレーザー加工方法を実施すれば、ガラス板G内部の集光領域CAにおいて非線形光吸収現象が生じ、集光領域CAが局所的に溶融する。そのため、集光領域CAをX方向に走査すると、集光領域CAに対応する位置でガラス板Gの内部に熱変性領域HAが線状に形成される。この実施形態では、熱変性領域HAをガラス板Gの切断予定線に沿って形成する。その後、熱変性領域HAに引張応力を作用させるために、熱変性領域HAを加熱冷却して熱応力を生じさせたり、熱変性領域HAを中心として曲げ応力を生じさせたりするなどし、ガラス板Gを熱変性領域HAに沿って割断する。

【0024】
集光領域CAにおけるスポット径は、0.5~2μmであることが好ましい。また、熱変性領域HA(又は集光領域CA)の第一主面Gaからの深さDは、20μm以上であることが好ましい。

【0025】
上記のように熱変性領域を形成する際に、図2に示すように、ピーク強度が一定の超短パルスレーザー光を高繰り返しでガラス板に集光照射すると、集光領域の過度な温度上昇を原因の一つとして、図3に示すように、ガラス板の集光領域における光吸収率の時間変化が非常に大きくなるという問題がある。詳細には、光吸収率が所定時間に亘って増加し続けた後、急激に零まで減少するという光吸収率の大きな上下動を周期的に繰り返す。その結果、例えば、図4(a)に示すように、ガラス板がソーダライムガラスの場合に、熱変性領域HAxの周辺にひび割れが生じるという問題が確認された。また、例えば、図4(b)に示すように、ガラス板が無アルカリガラスの場合には、熱変性領域HAxに直径10μm程度のドット状の構造の乱れが周期的に生じ、熱変性領域HAxが緻密な線状にならないという問題が確認された。

【0026】
そこで、図5に示すように、本実施形態では、強度変調された超短パルスレーザー光L2を高繰り返しでガラス板Gに集光照射している。詳細には、超短パルスレーザー光L2を構成するパルス列P2は、ピーク強度の変化の周期(変調信号の周期)Ts内に、ピーク強度が最大となる最大パルスPb1と、ピーク強度が最小となる最小パルスPb2と、最大パルスPb1と最小パルスPb2との間で、最大パルスPb1側から最小パルスPb2側に向かうに連れてピーク強度が漸次減少する複数のパルスからなる中間パルス群Pb3とを含む。

【0027】
この実施形態では、最大パルスPb1は、一周期Ts内の先頭と後尾に存在し、最小パルスPb2は、先頭及び後尾の最大パルスPb1間の中央(半周期に相当)に存在する。中間パルス群Pb3は、先頭の最大パルスPb1と最小パルスPb2との間、および最小パルスPb2と後尾の最大パルスPb1との間にそれぞれ存在する。

【0028】
ピーク強度の変化の周期Tsは、ガラス板Gの熱拡散率に応じて適宜調整できる。例えば、ガラス板Gの熱拡散率が大きい場合には周期Tsを小さくし、ガラス板Gの熱拡散率が小さい場合には周期Tsを大きくする。周期Tsを調整する場合は、変調信号の周波数(変調周波数)を変更する。変調信号の周波数を1kHz~50kHzの範囲で変更する場合、周期Tsは0.02ms~1msの範囲で調整される。

【0029】
最小パルスPb2のピーク強度は、最大パルスPb1のピーク強度の25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。また、最小パルスPb2のピーク強度は、最大パルスPb1のピーク強度の80%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。

【0030】
以上のようなレーザー加工方法によれば、ピーク強度が周期的に増減する超短パルスレーザー光L2がガラス板Gに集光照射される。このピーク強度の周期的な増減によって、集光領域CAの温度が過度に上昇する前にピーク強度自体が低下するため、集光領域CAの過度な温度上昇を防止することができる。その結果、図6に示すように、集光領域CAにおける光吸収率の時間変化が非常に小さくなり、光吸収率をほぼ一定に保つことができる。したがって、例えば、図7(a)に示すように、ガラス板Gがソーダライムガラスの場合や、図7(b)に示すように、ガラス板Gが無アルカリガラスの場合であっても、熱変性領域HAに周期的な構造の乱れが生じるのを抑制することができる。その結果、熱変性領域HAが緻密な線状になり、また熱変性領域HAやその周辺にひずみや割れも生じにくくなる。

【0031】
また副次的効果ではあるが、超短パルスレーザー光L2のピーク強度を周期的に増減しながら集光照射することで、ピーク強度を一定に維持しながら集光照射する場合よりも、レーザー光源2の総出力パワーを上げることができる。これにより、ガラス板Gの集光領域CAにおける溶融量を増やすことができるので、熱変性領域HAの幅を大きくできるという利点もある。なお、ピーク強度を一定に維持しながら集光照射する場合に、レーザー光源の総出力パワーを同程度まで上げると、ガラス板に割れが生じる。

【0032】
ここで、比較例である図4(a)のソーダライムガラスのレーザー加工条件は、(1)光源:LD励起Nd:YAGピコ秒パルスレーザー、(2)波長:1064nm、(3)繰り返し周波数:500kHz、(4)平均出力:6W、(5)パルス幅:0.028ns、(6)スポット径:1μm、(7)スキャン速度:10mm/sである。また、比較例である図4(b)の無アルカリガラスのレーザー加工条件は、(1)光源:LD励起Nd:YAGピコ秒パルスレーザー、(2)波長:1064nm、(3)繰り返し周波数:500kHz、(4)平均出力:8W、(5)パルス幅:0.028ns、(6)スポット径:1μm、(7)スキャン速度:10mm/sである。

【0033】
一方、実施例である図7(a)のソーダライムガラスのレーザー加工条件は、(1)光源:LD励起Nd:YAGピコ秒パルスレーザー、(2)波長:1064nm、(3)繰り返し周波数:500kHz、(4)変調周波数:2kHz、(5)平均出力(最大出力,最小出力):6W(8W,4W)、(6)パルス幅:0.028ns、(7)スポット径:1μm、(8)スキャン速度:10mm/sである。また、実施例である図7(b)の無アルカリガラスのレーザー加工条件は、(1)光源:LD励起Nd:YAGピコ秒パルスレーザー、(2)波長:1064nm、(3)繰り返し周波数:500kHz、(4)変調周波数:1kHz、(5)平均出力(最大出力,最小出力):12W(16W,8W)、(6)パルス幅:0.028ns、(7)スポット径:1μm、(8)スキャン速度:10mm/sである。

【0034】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

【0035】
上記の実施形態では、図5に示すように、正弦波信号を変調信号として強度変調された超短パルスレーザー光L2を得る場合を説明したが、変調信号はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、のこぎり波信号を変調信号として強度変調された超短パルスレーザー光L2を得るようにもよい。この場合、超短パルスレーザー光L2を構成するパルス列P2は、例えば、変調信号の一周期Ts内の先頭及び後尾に最大パルスPb1を有し、後尾の最大パルスPb1の一つ前又はその近傍に最小パルスPb2を有する。中間パルス群Pb3は、先頭の最大パルスPb1と最小パルスPb2との間にのみ設けられる。

【0036】
また、上記の実施形態では、レーザー加工として割断起点となる熱変性領域HAをガラス板Gの内部に形成する場合を説明したが、レーザー加工はこれに限定されない。例えば、レーザー加工には、接合、成形、転写などが含まれる。接合の場合を例にとって説明すると、図9に示すように、まず、透明部材として第一ガラス板G1と第二ガラス板G2を積層したものを用意する。次に、強度変調された超短パルスレーザー光L2の集光領域CAを第一及び第二ガラス板G1,G2の界面Gsに設定する。これにより、界面Gsを含む部分に熱変性領域HAを形成し、第一及び第二ガラス板G1,G2を互いに接合する。

【0037】
さらに、上記の実施形態では、透明部材としてガラスを例示したが、これに限定されない。透明部材は、例えば、サファイアや水晶などの単結晶、透光性セラミックス、アクリルなどの樹脂であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 レーザー加工装置
2 レーザー光源
3 音響光学素子
4 レンズ
5 発振器
G ガラス板
CA 集光領域
HA 熱変性領域
L1 超短パルスレーザー光(強度変調前)
L2 超短パルスレーザー光(強度変調後)
P1 パルス列(強度変調前)P2 パルス列(強度変調後)
Pb1 最大パルス
Pb2 最小パルス
Pb3 中間パルス群
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8