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明細書 :架橋ポリマー、その製造方法、モレキュラーシーブ組成物及び材料分離膜

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2017-509744 (P2017-509744A)
公報種別 公表特許公報(A)
公表日 平成29年4月6日(2017.4.6)
発明の名称または考案の名称 架橋ポリマー、その製造方法、モレキュラーシーブ組成物及び材料分離膜
国際特許分類 C08J   9/36        (2006.01)
C08J   3/24        (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
B01D  67/00        (2006.01)
B01D  71/72        (2006.01)
B01J  20/26        (2006.01)
B01J  20/30        (2006.01)
FI C08J 9/36 CEZ
C08J 3/24 Z
B82Y 30/00
B82Y 40/00
B01D 67/00
B01D 71/72
B01J 20/26 A
B01J 20/30
国際予備審査の請求
全頁数 41
翻訳文提出日 平成28年10月12日(2016.10.12)
出願番号 特願2016-552649 (P2016-552649)
出願日 平成27年2月27日(2015.2.27)
国際出願番号 PCT/JP2015/056582
国際公開番号 WO2015/129925
国際公開日 平成27年9月3日(2015.9.3)
優先権出願番号 2014037509
優先日 平成26年2月27日(2014.2.27)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】ソン チレイ
【氏名】シバニア イーサン
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4D006
4F070
4F074
4G066
Fターム 4D006GA41
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4G066FA34
要約 本発明は、制御された酸素濃度下でのPIMsの熱処理による固有微多孔性ポリマー(PIMs)の熱架橋方法を提供する。
特許請求の範囲 【請求項1】
制御された酸素濃度下でのPIMsの熱処理による固有微多孔性ポリマー(PIMs)の熱架橋方法。
【請求項2】
熱処理が約300~約500℃、好ましくは約350~約450℃の温度範囲で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸素濃度は約0-100 vol.%、好ましくは約0-200 ppm、より好ましくは約0-100 ppmの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
次いで、不活性雰囲気もしくは高真空下で熱処理する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法により製造してなる、架橋固有微多孔性ポリマー(PIM)。
【請求項6】
請求項5に記載の架橋ポリマー及び多孔性もしくは非多孔性フィラーを含むモレキュラーシーブ組成物。
【請求項7】
前記フィラーが、好ましくは1-1000 nmの範囲、最も好ましくは100 nm以下のサイズの金属有機構造体(MOFs)、ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIFs)、無機モレキュラーシーブ(ゼオライト)、配位有機ポリマー(COFs)及び多孔性有機ケージ(POCs)からなる群から選ばれる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
膜ベースのガス分離、炭化水素及び蒸気分離のための材料、吸着材料、触媒担持材料、イオン導電性マトリクス材料又はセンサー材料として使用するための、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記フィラーは、シリカナノ粒子、酸化チタンナノ粒子及び他の無機材料のナノ粒子からなる群から選択される請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
請求項5に記載の架橋ポリマー及び多孔性又は非多孔性フィラーを含む、材料分離膜。
【請求項11】
請求項5に記載のポリマー及び多孔性又は非多孔性フィラーを含む材料分離膜であって、前記膜は空気からの窒素分離、空気からの酸素濃縮、窒素及びメタンからの水素分離、天然ガスからの二酸化炭素分離、天然ガス分離、プロピレン/プロパンなどのオレフィン/パラフィン分離、煙道ガスからの二酸化炭素分離に使用される、材料分離膜。
【請求項12】
膜は、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1~4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気又は有機蒸気の分離用である、請求項10又は11に記載の材料分離膜。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋ポリマー、その製造方法、モレキュラーシーブ組成物及び材料分離膜に関する。
【背景技術】
【0002】
2 nm未満の寸法の細孔径を有するマイクロポーラス材料は、ガス吸着及び貯蔵、ガス分離、モレキュラーシーブ、触媒、検出及びエネルギー貯蔵などの広範な用途に期待されている。膜分離技術は低温蒸留及び吸着のような通常の分子分離技術と比較してよりエネルギー効率が高いので、マイクロポーラス材料の膜への加工は分子分離にさらに魅力的である。
【0003】
ゼオライト(ゼオライトについての論文、非特許文献1-2)及び金属有機構造体(MOFs)(MOFについての論文、非特許文献3-6)のような秩序のある構造は、構成要素を正しく規定された多孔性骨格構造の均一な結晶に組み立てられる。しかしながら、これらの結晶骨格は一般的に脆く、大規模な分離膜の製造に困難を伴う。
【0004】
これに対し、工業的に溶液加工可能な選択膜は、密に充填されたポリマーから構成され、そこでは分子輸送は溶液拡散メカニズムに従い、上界(upper bound)(非特許文献8, Robesonの上界, 1991, 2008)として知られる透過性と選択性のトレードオフを示す(非特許文献7, Freeman, 上界, 1999)。市販のポリマーはマトリクス中で低自由体積で効率的に充填され、そこでは分子はポリマーに溶解され、自由体積をゆっくり拡散する。したがって、これらのポリマーを通る分子輸送は非常にゆっくりであり、膜分離プロセスの大規模用途を制限する相当な低ガス透過性を与える。
【0005】
Freemanによる理論的予測に従い、次世代高分子膜材料の透過性と選択性の両方を高める2つの戦略がある:(i)架橋ポリ(エチレンオキシド)ベース膜のような溶解選択性(SA/SB)の改良(非特許文献,9);(ii)自由体積又は微小孔が相互接続したマイクロポーラス材料である熱再転位(TR)ポリマー(非特許文献10-11)及び固有微多孔性ポリマー(PIMs)(非特許文献12-17)のような、ポリマー鎖の剛性を増加させ、大きな鎖間スペースを維持する。細孔及びチャネルは、分子寸法のサイズ(<1 nm)で相互接続し、膜はモレキュラーシーブになり、大きなガス分子はブロックし、より小さいガス分子はチャネルを通過させる。硬いマクロ分子構造のポリマーはポリ(1-トリメチルシリル-1-プロピン)(PTMSP)のような高自由体積及び高透過性を有する[非特許文献18, Nagai et al, PoIy[1-(trimethylsilyl)-1-propyne] and related polymers: Synthesis, properties and functions, Prog. Polym. Sci. 2001, 26, 721]。しかしながら、これらの高透過性ポリマーは非常に乏しい選択性を有し、それが分子分離におけるポリマーの実際的な用途を制限する。過去10年間において、材料分野及び化学分野において固有微多孔性ポリマー(PIMs)[非特許文献12-17]、共有結合性有機構造体(COFs)[非特許文献19-20]、及び多孔性有機ケージ(POCs)[非特許文献21-23]のような新世代マイクロポーラス材料の合成、設計及び加工の爆発的な普及を経験した。これらの多孔性有機材料は、分子分離、ガス貯蔵、触媒、有機モレキュラーシーブ及び膜材料に非常に有望である。
【0007】
固有微多孔性ポリマー(PIMs)はマイクロポーラス有機材料の1つのクラスである[非特許文献12-17]。固有微多孔性ポリマーの概念は、2002年にBudd及びMcKeownにより最初に考案された。国際出願WO2003000774 A1は、平坦なポルフィリンマクロサイクルの硬い3-次元ネットワークを含む有機マイクロポーラスネットワーク材料を記載し、その中で隣接するマクロサイクルのピロール残基がこれらの隣接するマクロサイクルを動かないようにする硬いリンカーで接続され、その結果ポルフィリン平面は非共平面配向になる。該発明の好ましい材料はフタロシアニンネットワークである。これらの有機マイクロポーラス材料は、ネットワークPIMsとして知られている。
【0008】
Budd及びMcKeownによる別の発明は、国際出願WO2005012397A2及びUS Patent No.7,690,514 B2であり、歪みポイントで硬いリンカーにより連結された第1の一般的な平面種を含み、リンカーにより連結される2つの隣接する第1平面は非共平面配向であり、但し、第1平面種はポルフィリンマクロサイクル以外ものであるマイクロポーラス有機マクロ分子を記載する。歪みの好ましいポイントは、その周辺で回転が制限されたスピロ基、架橋環部分及び立体的に混み合った共有単結合である。代表的なPIM-1ポリマーの典型的な合成アプローチを図1に示す。非ネットワーク直鎖ポリマー鎖は通常の有機溶媒に可溶であり、溶液キャスト法により加工されてフィルム、他の材料のコーティングの形成又は任意の形状に製品化される。
【0009】
PIMsポリマーの骨格は、自由回転及び大規模なコンフォーメーション変化を阻害し、ポリマー鎖はアモルファス固体状態で効率的に詰め込まれず、図2に示すように分子寸法で不規則な形状の自由体積エレメントを形成する。PIMの分割された自由体積は十分に高く、自由体積エレメントは有効に相互接続され、微小孔(寸法<2 nm)のような挙動になる。ガス吸着によりプローブされるように、PIMsポリマーは比較的高い表面積(400-1000 m/g)を有する。PIMsのこのような高い自由体積は、固有の砂時計型構造を形成し、相互接続した微小孔のような挙動になり、高吸着能及び迅速な分子拡散を可能にし、他方で密に詰め込まれた鎖により占められる「ボトルネック」又はチャネル又はゲートウェイは異なるサイズ又は動的分子径で分子を選択的に篩い分けする篩のように挙動する。
【0010】
国際出願PCT/US2005/038195は、COFsとして知られる共有結合された有機骨格及び多面体の合成を記載する。COFs材料は、分子寸法で調節可能な多孔率を有する結晶構造を形成する共有結合により連結される有機ビルディングブロックから合成される。有機ビルディングブロックは、構造、官能性及び材料特性を調整するために対処される。COFsの細孔構造は秩序のある結晶構造を形成するように明確に定められ得るが、これらの秩序のある多孔性COFs材料は一般的に溶液加工できず、その処理及びより有用な膜への二次加工を制限する。
【0011】
これらのマイクロポーラスポリマーの特に期待される用途は、分子分離用の膜の製造である。国際出願WO 2005/113121 (PCT/GB2005/002028)は、PIMsポリマーを多孔性支持膜にコーティングすることによる薄膜コンポジット(TFC)膜の形成を記載する。該膜はガス分離、パーベーパレーション(フェノール/水、エタノール/水)、プロペンとプロパンの分離及びナノろ過に見込みがあることが実証された。
【0012】
アモルファスポリマー鎖は、ファンデルワールス力及びエンタングルメントのような比較的弱い非共有結合的相互作用により相互作用し、互いに容易にスライドする。顕微鏡レベルにおいて、アモルファス性のPIMsポリマー鎖は、全てのPIMsポリマーに存在する異なるトポロジーの自由体積エレメント(4~10Å)の広いサイズ分布を生じ、それは分離性能を損ない、低い分子選択性、物理エージング及び可塑化をもたらす。特に、工業的及び環境的に重要なガス、例えばCO2/CH4及び天然ガス工業における炭化水素の分離について、それら全てはグラッシーポリマーに高い溶解性を示す。存在する全てのPIMsポリマーはCO2/CH4分離に適度の選択性を示すのみである。したがって、分布、サイズ、チャネル構造と自由体積エレメントを調整することはモレキュラーシーブ機能を介した拡散選択性に有意な増加を達成するために決定的に重要である。
【0013】
国際出願WO2010124359A1は、調整可能なガス輸送特性で加水分解の程度を制御することによりカルボキシル化された固有微多孔性ポリマー(PIMs)を調製することを開示する。
【0014】
必須の概念は、-CN基の全部又は一部を加水分解して-COOH基を形成することである。国際出願WO2010048694(A1)は、新規PIMsポリマーの化学構造及び合成戦略並びにその分離膜用途を開示する。別の特許WO2011057384A1は、さらにテトラゾール-含有固有微多孔性ポリマーを提供する。固有微多孔性ポリマー(PIM-1)は、ナトリウムアジド及び塩化亜鉛を用いた「クリック化学」[2+3]環化付加反応で修飾され、新規PIMs含有テトラゾールユニット(TZPIMs)を生じ、論文におけるその詳細な報告は、Duら(非特許文献16)により行われている。最近、他の類似のPIMs高分子膜のニトリル基の変換についての他の類似の仕事が報告された。Masonら[非特許文献24]は、PIM-1を硫化ナトリウムの存在下に五硫化二リンと反応させることによりチオネート化されたPIM-1膜を調製した。しかしながら、これらの修飾の大部分は、共有結合架橋よりもジオキサン結合を伴う官能基のような水素結合の導入である。したがって、ネットワーク構造の硬さは安定せず、選択性は十分高くない。例えば、溶解度に恵まれたTZPIMsの性能は、凝縮できるガス分子(CO2及びCH4)の分離のために改良されるべきままであり、それはCO2/CH4ガスペアについての適度の選択性(約15)のみを示し、CO2透過性は2000-3000 Barrerに達する。
【0015】
ポリマーがガス分離、有機溶媒ナノろ過及びエタノール/水分離のような分子分離に使用されるとき、化学物質及び溶媒中のポリマーの安定性は、重要な問題になる。望ましい戦略は、ポリマー鎖を共有結合的に架橋してネットワーク構造を形成し、その結果、ポリマーが実際の用途において安定になることである。ポリマーの共有結合架橋は、共有結合によりポリマー鎖を化学的に結合するプロセスである。共有結合架橋後、ポリマー分子は互いに容易にスライドすることはなく、得られたポリマーネットワークはより丈夫で柔軟性が低下する。このような架橋ネットワークは縮合性ガス分子による可塑化により抵抗性になり、それ故、共有結合架橋は高分子膜を安定化させるのに有益なアプローチである。
【0016】
米国特許US 7758751 B1は、固有微多孔性ポリマー(PIMs)からのUV架橋膜及びこのような膜の分離用途をクレームし、それはPIMs膜を短波長UV照射に暴露することにより調製された。US 7758751 B1特許は、科学的な証拠無しにポリマーの架橋をクレームした。別のUS特許であるUS 20130247756 A1は、UV照射と類似のプロセスによるUV-再転位PIM-1膜と水素分離のためのその用途をクレームした。両特許において、UV照射膜は明らかに高い選択性及び低い透過性を示した。しかしながら、架橋に対する性能(US 7758751 B1特許)又は鎖転位(US 20130247756 A1)の特定は明らかに誤りである。本出願の発明者による最近の独立した研究において(非特許文献25, Song et al, Nature Communications, Photo-oxidative enhancement of polymeric molecular sieve membranes, 2013)、ガス分離で観察された見かけの増大した選択性は膜表面での紫外線誘発された光酸化により生じ、これが高密度選択性表面を高透過性及び多孔性材料にしたことを示す。PIM-1ポリマーの光酸化反応は、共有結合架橋もしくは転位というよりむしろ酸化的鎖切断を膜表面で誘発した。表面でのこのような光分解は、分子量の損失及び表面での数百nmのみにおけるUV光の制限された透過、及び極性溶媒と有機蒸気中での表面の溶解性を実証した。
【0017】
熱処理は、高分子材料を加工するのに通常使用される。しかしながら、過度の高温で熱処理すると、官能基の熱安定性及び雰囲気によりポリマーの化学反応又は分解を誘発する。ポリマーの分解は、硬化、柔軟性の低下、脆弱性、軟化、クラッキング、色変化などの特性の劣化及び他の物理特性の悪化として定義される。熱分解は、脱重合、ランダム鎖切断及び置換反応の3タイプに分かれ得る。前の2つのタイプの分解は、通常骨格の切断及び分子量(及び分布)の変化を伴う。一方、高温での熱分解に関与するかなりの程度の化学反応は、物理及び化学特性の低下を導く。他方、制御雰囲気での熱処理はポリマーの物理及び化学特性を修飾し、本発明で報告されるモレキュラーシーブ機能の促進のような特定の目的を達成するのに有用である。
【0018】
最近、共有結合架橋されたPIMsが、熱処理時の共有結合架橋反応を誘発する架橋剤とPIMポリマーの混合により調製された。例えば、Duらは2種の異なるジアジド架橋剤の存在下にPIM-1からナイトレン反応により架橋PIMs膜を調製したことを報告した[非特許文献26、N. Du et al., Azide-Based Cross-Linking of Polymers of Intrinsic Microporosity (PIMs) for Condensable Gas Separation. Macromol. Rapid Commun. 32, 631-636 (2011)]。該PIM-1ポリマーは、アジドと混合され、175℃で7.5 h熱処理することにより共有結合的に架橋された。これらの共有結合的に架橋された高分子膜は、ガス分離における改良された選択性及びCO2 可塑化に対するより高い耐性を示した。しかしながら、これらの架橋法は透過性の相当な損失を生じ、例えば、アジド架橋膜はCO2/N2の選択性を27に増加させながら約200-600 BarrerのCO2透過性を示す。
【0019】
中温(<450℃)での熱架橋も架橋ポリマーに使用される。例えば、Korosと共同研究者は[非特許文献27, Kratochvil, A. M. & Koros, W. J., Decarboxylation-Induced Cross-Linking of a Polyimide for Enhanced CO2 Plasticization Resistance. Macromolecules 41, 7920-7927 (2008)]、温度375℃に近い温度でアニールしてカルボン酸-含有6FDA-ベースポリイミドが架橋することを見出した。著者らは種々の特徴化技術を実施し、電荷移動錯体化、オリゴマー架橋、分解及び二無水物形成を含む可能性のあるメカニズムを除外した。脱炭酸反応は、ぶら下がっている酸基を除去し、共有結合の脂肪族及びアリール架橋結合を形成するポリイミドの他の部位の攻撃を可能にするフェニルラジカルを生成する。同様に、Duらは[非特許文献28, Du et al, Decarboxylation-Induced Cross-linking of Polymers of Intrinsic Microporosity (Pims) for Membrane Gas Separation. Macromolecules 45, 5134-5139 (2012)]比較的高温(375℃)でカルボキシル化PIMs膜を熱処理することによる、脱炭酸-誘発された架橋PIM膜を報告した。得られた架橋膜は、CO/CH4について25並びにCO2/N2について26の選択性のような幾つかのガスペアについて改良された選択性を示し、1291 Barrerのある程度高レベルのCO2透過性を維持した。
【0020】
最近、PIM-1膜の熱処理がLiら[非特許文献 29, F. Y. Li, Y. Xiao, T.-S. Chung, S. Kawi, High-Performance Thermally Self-Cross-Linked Polymer of Intrinsic Microporosity (PIM-1) 膜 for Energy Development. Macromolecules 45, 1427-1437 (2012)]によって報告された。Liらは、真空下300℃で2日間の長い浸漬時間でPIM-1のニトリル基をトリアジン環へ変換したことを主張した。Liらは熱処理によりガス透過性と選択性の両方が増加したことを報告した。
【0021】
得られた300℃で2日間熱処理された架橋PIM-1膜は4000 barrerのCO2透過性並びに54.8及び41.7のCO2/CH4及びCO2/N2の理想的な選択性を有し、これはRobeson's上界よりもはるかに高いものであった。LiらはPIM-1ポリマーの共有結合架橋を観察した一方、その提案されたメカニズムは疑問の余地があり、彼らの制御されていない熱処理の操作条件並びに結果は再現性がなく、該方法をポリマーの特性制御に適用することができない。
【0022】
熱処理はまた、ポリマーのクラスを熱再転位(TR)ポリマーとして公知のマイクロポーラス材料に変換するために使用される。TRポリマーは、オルト官能基を有するポリイミド(PIOFG)の熱処理により調製される芳香族ポリマーである[非特許文献10-11, Park et al, Science, 2007]。国際出願WO2009113747 A1及びWO2012167114A2は熱処理ポリマーの合成及びガス分離膜用途の詳細を開示する。国際出願WO2012166153A1はさらにエタノール脱水用の膜としての熱再転位(TR)ポリマーの用途を開示する。TRポリマーにおいて、オルト官能基はヒドロキシル(-OH)、チオール(-SH)、及びアミノ(-NH2)基であってもよい。熱処理は通常不活性雰囲気において中間温度(350-450℃)で行われ、その後該ポリマーは芳香族の不溶融性及び非溶解性材料に変換される。TRポリマーの高度特徴分析は、自由体積もしくは微小孔及びサイズ分布は、前駆体ポリマーのモノマー構造を変化させること、及び種々の熱処理プロトコールを使用することにより調整され得ることを示す。熱処理は、低自由体積の高密度グラッシーポリマー前駆体を狭いキャビティサイズ分布の相互接続したマイクロキャビティを有するマイクロポーラス材料に変換させる。マイクロポーラス構造のこのような変化は、特に軽いガス分子を大きな分子から篩分けする非常に優れたガス輸送特性を有する高度に透過性で選択性の膜を生じる。例えば、代表的なTRポリマーのCO2透過性は1600 Barrerに達し、CO2/CH4選択性は約50で安定であり、高圧力での可塑化効果は無視できる。これらのTRプロセスの全てにおいて、熱処理は不活性雰囲気で準備され、酸素の役割は研究されず、ほとんど理解されていない。不活性雰囲気における高温(>500℃)でのポリマーの熱処理はポリマーのカーボン材料への熱分解を生じる。国際出願WO2011053403 A1及びKorosと共同研究者の論文[非特許文献30-31, Korosと共同研究者の論文]は、熱分解雰囲気において酸素濃度を調整し、ガス分離用のマイクロポーラスカーボンモレキュラーシーブ(CMS)膜を生じるポリマー膜の制御された熱分解プロセスを開示する。該CMS膜は選択性及び透過性に関して高分子膜の上界を上回る調節可能なガス分離性能を有する。しかしながら、該CMS膜は高温(>500℃)での熱処理のために限定された機械的特性を有する。
【0023】
混合マトリクス膜(MMMs)又はナノコンポジット膜はモレキュラーシーブ又はナノ粒子をポリマーマトリクスに組み込むことにより調製される。MMMs又はナノコンポジット膜は活発に研究されている分野である。有望なシステムは、新規金属-有機骨格結晶のポリマーマトリクスへの組み込みである[非特許文献32-34]。或いは、非多孔性無機ナノ粒子は、ポリマーナノコンポジット用のフィラーを使用できる[非特許文献35]。国際出願WO2007084169 A2及び米国特許出願US 20070137477 A1は、天然ポリマーと類似のガス選択性及びより高いガス透過性を有するナノ粒子充填ポリマーを形成するための方法、組成物及び装置を報告した。ナノ粒子フィラーは高分子材料に分散されて複合材料の透過性を増大させる。国際出願WO2007106677 A2(国際出願番号PCT/US2007/063305)は、多孔性無機フィラー(例えば、マイクロポーラス及びメソポーラス・モレキュラーシーブ、カーボン・モレキュラーシーブ、多孔性金属-有機骨格)を分離用のPIMsに組み込むことにより作製された高フラックス混合マトリクス膜の調製を開示する。しかしながら、これらの混合マトリクス膜の選択性は有意に改善されていない。ナノ粒子又は多孔性モレキュラーシーブの様な任意のタイプのフィラーについて、ポリマーコンポジットの特性は、ポリマーマトリクス自体の特性に主に依存する。ポリマーの共有結合性架橋も、種々のタイプのフィラーが充填されたネットワーク構造を形成するために有効であると期待される。
【0024】
要約すると、実際的な膜分離を満足する高透過性及び選択性についてさらに良好な分子分離を達成するために、高性能吸着又は化学物質及び溶媒の分離、並びに多くの他の用途での使用を可能にする化学物質及び溶媒の安定性を改良するために、自由体積エレメント又は微小孔の構造を改変及び最適化して新規マイクロポーラスポリマーを共有結合的に架橋する新規なプロセッシング方法を開発することが望ましい。
【先行技術文献】
【0025】

【特許文献1】WO2003000774
【特許文献2】WO2005012397
【特許文献3】WO2006047423
【特許文献4】WO2005113121
【特許文献5】WO2010124359
【特許文献6】WO2010048694
【特許文献7】WO2011057384A1
【特許文献8】US7758751 B1
【特許文献9】US 20130247756 A1
【特許文献10】WO2009113747 A1
【特許文献11】WO2012167114A2
【特許文献12】WO2012166153A1
【特許文献13】WO2011053403A1
【特許文献14】WO2007084169A2
【特許文献15】WO2007106677
【0026】

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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、熱的、化学的及び機械的に安定であり、顕著な選択性及び透過性を有する高分子モレキュラーシーブ組成物及び材料分離膜として有用な架橋ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は下記の項1~12を提供するものである。
項1. 制御された酸素濃度下でのPIMsの熱処理による固有微多孔性ポリマー(PIMs)の熱架橋方法。
項2. 熱処理が約300~約500℃、好ましくは約350~約450℃の温度範囲で行われる、項1に記載の方法。
項3. 酸素濃度は約0-100 vol.%、好ましくは約0-200 ppm、より好ましくは約0-100 ppmの範囲内である、項1に記載の方法。
項4. 次いで、不活性雰囲気もしくは高真空下で熱処理する、項2又は3に記載の方法。
項5. 項1~4のいずれか1項に記載の方法により製造してなる、架橋固有微多孔性ポリマー(PIM)。
項6. 項5に記載の架橋ポリマー及び多孔性もしくは非多孔性フィラーを含むモレキュラーシーブ組成物。
項7. 前記フィラーが、好ましくは1-1000 nmの範囲、最も好ましくは100 nm以下のサイズの金属有機構造体(MOFs)、ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIFs)、無機モレキュラーシーブ(ゼオライト)、配位有機ポリマー(COFs)及び多孔性有機ケージ(POCs)からなる群から選ばれる、項6に記載の組成物。
項8. 膜ベースのガス分離、炭化水素及び蒸気分離のための材料、吸着材料、触媒担持材料、イオン導電性マトリクス材料又はセンサー材料として使用するための、項6に記載の組成物。
項9. 前記フィラーは、シリカナノ粒子、酸化チタンナノ粒子及び他の無機材料のナノ粒子からなる群から選択される項6に記載の組成物。
項10. 項5に記載の架橋ポリマー及び多孔性又は非多孔性フィラーを含む、材料分離膜。
項11. 項5に記載のポリマー及び多孔性又は非多孔性フィラーを含む材料分離膜であって、前記膜は空気からの窒素分離、空気からの酸素濃縮、窒素及びメタンからの水素分離、天然ガスからの二酸化炭素分離、天然ガス分離、プロピレン/プロパンなどのオレフィン/パラフィン分離、煙道ガスからの二酸化炭素分離に使用される、材料分離膜。
項12. 膜は、二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、炭素数1~4の炭化水素、希ガス、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン、水蒸気又は有機蒸気の分離用である、項10又は11に記載の材料分離膜。
【発明の効果】
【0029】
本発明のポリマーは、固体状態形態での膜ベースガス分離用の材料として、ガス及び化学物質の吸着材料として、イオン導電性マトリクス用の材料として、センサー用材料として、又は触媒担持材料として有用である。膜形態において、膜は改善された選択性及び/又は透過性、及び改善された化学物質又は溶媒に対する安定性を有するようにガス輸送及び吸着特性を調整する。温度、O2濃度及び暴露時間を含む制御雰囲気での熱処理下、本発明者は、ポリマーの熱酸化及び架橋の程度、及びそのガス分離性能の程度を正確に調整し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】固有微多孔性(PIM-1)ポリマーの合成及び化学構造。
【図2】熱酸化架橋マイクロポーラスポリマーの模式図。(A)固有微多孔性ポリマー(PIM-1)のポリマー鎖セグメントの理想分子モデル (B)PIM-1ポリマーのアモルファスセルの三次元図(内部に4つのポリマーセグメントがあり、各ポリマーは10の繰り返し単位を含む)。セルサイズ: 31.8×31.8×31.8Å。グレー表面はファンデルワールス表面を示し、グリーン表面は、1.65Åのプローブ半径を有するConnolly表面(CO2分子の動的半径). (C)独立のPIM-1ポリマー鎖の変形の2次元略図(黒色曲線). (D) 痕跡量の酸素分子の存在下での熱酸化を用いた共有結合的に架橋されたポリマーネットワーク. (E) PIM-1ポリマー中の相互接続した自由体積エレメントの2次元略図及び(F)相互接続したキャビティ間の狭い又は閉じられたゲート(点線の円で示される)を有する熱酸化架橋PIMポリマー。白色領域はアクセス可能な自由体積を示し、グレー領域はアクセスできない細孔壁を示す。
【図3】PIM-1高分子膜の熱重量分析。空気(酸化、太線)、アルゴン(熱分解、細線)、アルゴン中の200 ppm O2(点線)のパージガス下のダイナミック加熱。ポリマーフィルムは室温から1000℃まで10℃/minで加熱した。
【図4】高密度ポリマーフィルムの熱分析及びex situ FTIRスペクトル。a, 300-450℃でのPIM-1ポリマーフィルムの等温TGA分析. b, 等温TGA分析後のポリマーフィルムのFTIR-ATRスペクトル分析。 加速熱酸化は、膜が1.5-2.5wt%までの重量損失後の高分子状態を維持することを示す。
【図5】溶解度試験。 新鮮なPIM-1(1)及び通常溶媒中の熱架橋PIM-1膜の溶解度(2-20). (1) クロロホルム、(2) クロロホルム、(3) テトラヒドロフラン、(4) ジクロロメタン、(5) クロロベンゼン、(6) 1,2 ジクロロベンゼン、(7) N-メチル-2-ピロリドン (NMP)、(8) ジメチルホルムアミド (DMF)、(9) 1,4 ジオキサン、(10) アセトン 、(11) ジメチル スルホキシド (DMSO)、(12) トルエン、(13) ヘキサン、(14) シクロヘキサン、(15) 酢酸、(16) イソプロパノール、(17) エタノール、(18) メタノール、(19) 希HCl, 32%、(20) 20wt%NaOH 水溶液。
【図6】分子量分布及びゲル含量。(A-B)温度の効果及び(C-D)反応時間の効果. (A)及び(C)熱処理への暴露後の高分子膜の可溶性フラクションの分子量分布. (B)及び(D)ゲル含量分析及びPIM-1高分子膜の可溶性フラクションのピーク分子量.高分子膜は24 hまで連続真空(1 mbar)下に385℃に加熱された。
【図7】PIM-1及び熱架橋PIM-1膜のストレス-歪み曲線。
【図8】断面のSEM画像。 (a-b) 純粋PIM-1高分子膜及び(c) 熱架橋PIM-1膜. (d-e) PIM-1/ZIF-8ナノコンポジット膜及び(f)熱架橋PIM-1/ZIF-8. (g-h) PIM-1/SiO2ナノコンポジット膜及び(i)熱架橋PIM-1/SiO2。(c)、(f)及び(i)は24 h真空(1 mbar)下、385℃での熱酸化架橋である。
【図9】熱架橋PIM-1薄膜断面のSEM画像。 薄膜は異なる基板(a)ガラス及び(b)シリコンウェハ上にキャストされ、オリジナルのPIM-1ポリマーを溶解するであるクロロホルム中で不溶になる。
【図10】新鮮なPIM-1及び熱架橋(TXL)PIM-1高分子膜の熱分析。該膜は10℃/minの加熱速度でアルゴン中で加熱された。熱架橋膜は1 mbarの真空下、24 h、385℃で硬化させることにより調製された。
【図11】熱処理PIM-1ポリマーフィルムの広角X-線回折。
【図12】高分子膜のEx situ FTIRスペクトル。A, 熱処理PIM-1膜. B, 熱処理PIM-1/ZIF-8ナノコンポジット膜。全てのサンプルはサンプルを300℃で48 hアニールすることを除いて真空下24 hアニールした。
【図13】77 KでのPIM-1薄膜及び高密度膜のN2吸着-脱着等温線。四角:真空下120℃で乾燥されたPIM-1薄膜(300 nm); 円: 真空下120℃でアニールされた高密度PIM-1膜; 上向きの三角: 真空下300℃で48 hアニールされた高密度PIM-1膜; 下向きの三角: 真空下(1 mbar)385℃で24 h熱架橋されたPIM-1膜。
【図14】77 KでのPIM-1/ZIF-8ナノコンポジット膜のN2吸着-脱着等温線。 四角: 120℃で24 hアニール; 円: 真空下385℃で24 h熱架橋. ZIF-8ナノ結晶の充填量は20 wt%である。
【図15】非修飾PIM-1及びTXL-PIM-1膜の273 Kでのガス吸着。
【図16】273Kで測定されたPIM-1/ZIF-8(中空シンボル)及び熱架橋TXL-PIM-1/ZIF-8膜(中実シンボル)のガス吸着。
【図17】295Kの室温で測定された非修飾PIM-1(中空シンボル)及び熱架橋TXL-PIM-1(中実シンボル)膜の高圧ガス吸着。
【図18】PIM-1及び代表的な熱架橋TXL-PIM-1膜のガス分子の透過性対動的直径。線はガイドアイ(guide eyes)に加えられた。TXL-PIM-1膜は真空下(1 mbar)、385℃で24 h硬化された。
【図19】PIM-1及び熱架橋TXL-PIM-1膜の溶解度(S)及び拡散係数(D)。 a,ガス分子の臨界温度(TC)の関数としての溶解性. b,ガス分子の有効分子直径(deff)の2乗の関数としての拡散係数. 線はガイドアイ(guide eyes)に加えられた。TXL-PIM-1膜は真空(1 mbar)下に385℃で24 h硬化された。
【図20】熱架橋時間の関数としてのガス輸送特性。a, 透過性. b, 選択性. 膜は真空下385℃で熱処理された。
【図21】熱酸化架橋中の酸素に対するガス輸送特性の感度。 真空圧力を変化させながら385℃で1 h熱処理した膜のa, 透過性及びb, 選択性。長時間種々の濃度のO2含有連続パージガス下、385℃で24 h熱処理した膜のc, 透過性及びd, 選択性。
【図22】ガス輸送特性。CO2/CH4選択性対CO2透過性のプロット。市販のポリマーが比較のために含まれる: 酢酸セルロース(CA); エチルセルロース(EC); ポリカーボネート(PC); Matrimid(登録商標) 5218 ポリイミド(PI); ポリエーテルイミド (PEI); ポリフェニレンオキシド(PPO); ポリスルホン(PSF)。黒線: 2008における高分子膜の上界。白四角: 文献におけるPIM-1; 黒三角: 文献における他のPIMs. 中実の四角(黒): PIM-1; 中実の四角(赤): 異なる熱処理条件で調製されたTXL-PIM-1膜。
【図23】代表的なガス輸送特性の要約。工業的に重要なガスペア用のPIM-1及び熱架橋PIM-1膜の選択性対透過性。(A) H2/CH4、(B) H2/N2、(C) O2/N2、(D) CO2/N2。赤線: 高分子膜の上界境界。市販のポリマー(グレー領域)は比較用に含まれる。中空四角: 文献のPIM-1; 中実三角(黄色領域): 文献の他のPIMs; 中空円: TRポリマー; 中実四角(黒): PIM-1膜; 中実四角(赤): 異なる熱処理条件下のTXL-PIM-1膜。
【図24】混合ガス分離性能。 PIM-1の透過性及び選択性並びに(a-b) CO2/CH4混合物(50/50 vol.%)及び(c-d) CO2/N2混合物(50/50 vol.%)用の熱架橋PIM-1膜。
【図25】熱架橋PIM-1ナノコンポジット膜のガス透過性。 (a) 透過性、(b) 選択性、(c) 拡散係数及び(d) 溶解性. フィラーの体積フラクションは、ナノサイズシリカ(1、2、5、10、20 wt%)及びZIF-8ナノ粒子(5、10、20wt%)の装填量に対応する。
【図26】熱架橋PIM-1ナノコンポジット膜のガス輸送特性。 代表的なサンプルは、各々1、2、5、10、20 wt%シリカナノ粒子を装填したTXL-PIM-1/SiO2を含む; 各々5、10、20 wt%のZIF-8を装填したTXL-PIM-1/ZIF-8。サンプルは、真空1 mbar下に385℃で24 h熱架橋した。TXL-PIM-1からTXL-PIM-1/フィラーへの矢印はフィラーの体積割合の増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本研究において、プロトタイプの不規則な有機フレームワークとしてのPIM-1ポリマーを用いて、本発明者は有意に増大したモレキュラーシーブ選択性及び非常に優れたガス分離性能を有するポリマーネットワークを共有結合架橋するために独立の硬いポリマー鎖をトランスフォームするシンプルな熱加工法を示す。図2に示すように、微視的観点から、ルーズに充填された高自由体積ポリマーマトリクスは一連の連結されたナノリアクターとして挙動し、相互接続したチャンバ間のゲートを通って酸素分子を吸着及び速やかに拡散する(図2E)。熱力学的に、運動しているO2分子はゲートを通って相互接続したマイクロキャビティ間を移動する。チャネルのブロードなサイズ分布のために、O2分子は最小の抵抗で最大のチャネルを優先的に移動する。酸素の存在下及び好適な温度(約350-450℃)で加熱すると、ポリマー鎖の酸化及び架橋はゲートで優先的に生じる。この結果、より狭い(又は閉じた)ゲートはより良いモレキュラーシーブ機能を有し(図2F)、一方、全体の自由体積は統計的に光ガス分子の高溶解性及び迅速な拡散のために十分高い。
[架橋ポリマー]
本発明において、架橋ポリマーはガス又は液体材料の分離に使用される。架橋されるポリマーは固有微多孔性ポリマー(PIMs)を含む。いくつかの代表的なPIMsの化学構造を以下に示す。

【0032】
【化1】
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【0033】
ジベンゾジオキシン形成反応による第1世代の非ネットワークは以下の合成経路及びPIMs用のモノマーにより合成された。

【0034】
【化2】
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【0035】
【化3】
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【0036】
固有微多孔性ポリイミド(PIM-PI)の合成は以下に示される。合成経路はビス(カルボン酸無水物)(XはX1からX6を含む)とジアミン(YはY1からY12を含む)の間のシクロイミド化反応に従う。

【0037】
【化4】
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【0038】
溶解性非ネットワークポリマーPIMsの典型的な例は、PIM-1及びPIM-7である。PIM-1はダブル芳香族求核置換重縮合により5,5′,6,6′-テトラヒドロキシ-3,3,3′,3′-テトラメチルスピロビスインダン及び2,3,5,6-テトラフルオロテレフタロニトリルから重合される。合成化学は、歪み部位の角度の調整、歪み部位間の分子長、ポリマー骨格上のペンダント基のような多彩なモノマーの組み合わせを可能にする。一般に、モノマーの化学構造の変化はポリマー骨格の硬さ、結果としてガス輸送特性を調整し得る。しかしながら、一般的にそれらは高透過性と適度な選択性を示し、Robesonの上界に近いかそれより高い。固有微多孔性を有するポリイミド(PIM-ポリイミド)は、通常のシクロイミド化反応経路に従い、ビス(カルボン酸無水物)のスピロビスインダン含有モノマーとジアミンを用いて合成された。上記のように、2種の合成経路がスピロビスインダン含有ビス(カルボン酸無水物)又はスピロビスインダン含有ジアミンの組み合わせにより開発された。PIM-ポリイミドの分子構造は、PIM-1及びPIM-7の分子構造と類似し、イミド結合を伴う。必須の概念は、歪み部位を提供するスピロビスインダンユニットをポリマー骨格に導入することである。PIM-1と同様に、PIM-ポリイミドはまた高い割合の自由体積を示し、高透過性及び適度な選択性を与え、Robesonの上界に近い総合的なガス分離性能を可能にする[B G Ghanem, N B McKeown, P M Budd, N M Al-Harbi, D Fritsch, K Heinrich, L Starannikova, A Tokarev and Y Yampolskii, Synthesis, characterization, and gas permeation properties of a novel group of polymers with intrinsic microporosity: PIM-polyimides", Macromolecules, 42, 7781-7888, 2009] 。

【0039】
新規の合成経路が、最近McKeownのグループにより開発されて、大きな鎖間空間を維持しながらより硬いポリマーを合成した。重合経路はトレーガー塩基(TB)(架橋二環性アミン2,8-ジメチル-6H,12H-5,11-メタノジベンゾ[b,f][1,5]ジアゾシン)によりもたらされた。硬い芳香族ジアミンモノマー、例えば、2,6(7)-ジアミノ-9,10-ジメチルエタノアントラセン (A)及び5,5′,(6),(6′)-ジアミノ-3,3,3′,3′-テトラメチル-1,1′-スピロビスインダン(B)をTB重合反応にデザインし、縮合環からなる硬いラダーポリマーを生成した[Carta et al., An Efficient Polymer Molecular Sieve for Membrane Gas Separations. Science 339, 303-307 (2013)]。

【0040】
【化5】
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【0041】
存在するPIMsポリマーはまた、以下に示すように、ニトリル基を加水分解してカルボン酸に変換、窒化ナトリウムと反応させてテトラゾール基に変換、P2S5と反応させてチオアミドに変換、並びにヒドロキシルアミンと反応させてアミドオキシムに変換するような合成後修飾により化学的に修飾され得る。

【0042】
【化6】
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【0043】
[RはCOOH、テトラゾリル、CS-NH2又はC(=N-OH)NH2を示す。]
(A) PIM-1ポリマーにおけるニトリル基の合成後修飾. (B) カルボン酸への加水分解 (C) 窒化ナトリウムのテトラゾール基への反応、(D) P2S5のチオアミドへの反応、(E)ヒドロキシルアミンのアミドオキシムへの反応。

【0044】
全てのこれらのPIMsポリマーの共通の特徴は、硬いポリマー鎖の不十分なパッキングであり、これ相互接続した自由体積エレメント又はキャビティを生じる。PIMsポリマーマトリクスのガス透過は溶液-拡散モデルにより示され、すなわち、ガスの吸着は自由体積エレメントにより支配され、一方、拡散は相互接続したゲートのサイズにより制限される。微視的レベルにおいて、PIMsポリマー鎖のアモルファス性は、自由体積エレメントのブロードなサイズ分布(4~10 A)を生じ、全てのPIMsポリマーに存在し、その分離性能を損ない、つまり低い分子選択性、物理エージング及び可塑化を生じる。特に、天然ガス工業におけるCO2/CH4分離のような工業的及び環境的に重要なガスについて、両者はグラッシーポリマーに高溶解性であり、自由体積エレメントの分布、サイズ及び構造の調整はモレキュラーシーブ機能による拡散選択性に決定的に重要である。PIMs修飾の1つのアプローチは、CO2を好むテトラゾール基(TZ-PIMs)での置換による溶解選択性の向上である。別の戦略は、ポリマー鎖の硬さを高め、鎖間空間を維持することであり、例えばPIMsを含有する硬いエタノアントラセン(EA)及びトレーガー塩基(TB)ユニット及び本発明で報告された共有結合的酸化架橋の本発明者のアプローチである。

【0045】
本発明において、熱酸化及び架橋微視的レベルでの高分子膜の合成後修飾で行われる。熱酸化架橋法は、痕跡量の酸素分子の存在下での熱処理によりPIMポリマー中の自由体積エレメントの構造を調整するのに有効である。得られた共有結合的に架橋されたポリマーネットワークは優れた熱安定性、化学的安定性、合理的な機械的強度、改善された硬さを提供する。最も重要なものは、熱架橋が相互接続した自由体積エレメントのゲートを有効に狭め、天然生物膜の水及びイオンチャネルの砂時計様ミクロ構造を模倣することである。高自由体積は、ガス分子の高吸着及び迅速な移動を可能にし、狭いゲートは小さいガス分子は通過させ、大きな分子はブロックする有効な篩として機能する。そのようなユニークな構造は、数十年間の高分子膜の上界限界を超える有意に高い選択性及び高いガス透過性を生じるモレキュラーシーブ機能を有意に改良する。熱架橋法はまた、多孔性又は非多孔性フィラーを有するナノコンポジット膜の架橋にも有効である。

【0046】
PIMsポリマーの熱処理は制御された温度及び酸素濃度で行われる。温度は約300~500℃好ましくは約350~450℃の範囲である。出発材料(PIMポリマー)は約300℃未満、好ましくは約120~200℃の温度に予備加熱され得る。例えば、加熱速度は10℃/min未満(これは臨界パラメータではない); 冷却速度は5-10℃/minである。酸素濃度は約0-100 vol%、好ましくは約0~約500 ppm、より好ましくは約20~約200 ppm、最も好ましくは約50-100 ppmの範囲である。雰囲気は好ましくは低真空(好ましくは1 mbar未満); 又は不活性ガス(アルゴン、窒素、ヘリウム等)中に低濃度のO2バランスを含むガスをパージする。反応時間は好ましくは1~24時間、より好ましくは2~12時間である。
本発明の架橋ポリマーは以下の特性を有する:
(i) 引張強度 :約10~約100 MPa、好ましくは約50-60 MPa、
(ii) 破断点伸び:約1-10%、好ましくは約4-8 %、
(iii) ヤング率:約0.5~約2.5 GPa、好ましくは約1.2~約1.7 GPa。

【0047】
本発明の架橋ポリマーは膜、シート、粉末、顆粒の形成に使用される。フィラーが架橋ポリマーに添加され得る。組成物中で、フィラーは好ましくは約1-20 wt%、より好ましくは約1-10 wt%であり、架橋ポリマーは好ましくは約99-80 wt%、より好ましくは約99-90 wt%である。フィラーとしてマイクロポーラスゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF-8)、ナノ結晶、非多孔性無機ナノ粒子(フュームドシリカ、一次サイズ約3-50nm、例えば12 nm)、MOFs、多孔性有機ケージ(POCs)、共有結合有機構造体(COFs)が挙げられる。

【0048】
[分離される材料]
種々のガス及び液体についての優れた分離性能のために、本発明の架橋ポリマーは二酸化炭素、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、有機蒸気又は有機物質、炭素数1~4の炭化水素(メタン、エタン、エチレン又はアセチレン、プロパン、ブタンなど)、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン又はキセノンなど)、硫化水素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサン)、水蒸気、及び有機蒸気分離用の吸着材料として有用である。用語「有機蒸気」は、常温常圧下で液体である有機物質の気化ガスを意味する。このような有機物質の例としてメタノール及びエタノール等のアルコール、トリメチルアミン等のアミン、アセトアルデヒド等のアルデヒド、炭素数5~16の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、及びメチルクロライド及びクロロホルム等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。

【0049】
[好ましい実施形態]
本発明者は高分子膜の熱酸化架橋における酸素の決定的に重要な役割を確認した。PIM-1ポリマーの熱変換のための決定的に重要な問題は、化学反応は雰囲気に大いに依存し、酸化分解、分解及び制御された酸化に分類され得る。PIM-1ポリマーは不活性雰囲気では熱的に安定であり、明らかな分解は純粋なアルゴン中で450℃超の温度で生じる(図3)。TGAにおける熱分解中に発生するガス状生成物のIn situ FTIRスペクトルは、骨格のエーテル結合の切断は分解の主要なステップであり、なぜならジオキサン結合のみが酸素含有基であり、続く脱炭酸反応でガス状生成物(2260 cm-1)としてCO2が主に発生する。より高い温度において、生じたフラグメントは架橋、環化を含むさらなる化学反応を受け、最終的にグラファイトになる。これに対し、ポリマーの熱酸化分解はより高いO2濃度で生じ、明らかな酸化は空気中350℃で開始し、主要なガス状生成物としてCO2を生成する。このような酸化分解は空気中大気圧で高分子膜を高温でベークすることにより確認できる。そのような熱分析結果は350-450℃の反応温度ウィンドウがあり、その温度で制御された酸化が可能であることを示す。PIM-1ポリマーの熱酸化速度は不活性パージガス中では非常に遅くなり得る。例えば、ポリマーは空気中で完全に分解するよりもむしろ200 ppm O2含有アルゴン中、450℃で加熱されて熱分解を受ける。長時間300-450℃の温度範囲で200 ppmの低O2濃度のガス中に膜を暴露すると、種々の程度の分解を生じる(図4)。等温TG実験後のポリマーフィルムのFTIRスペクトルはポリマーの分解の程度に対応する。高度の分解は膜の用途に好ましくない熱分解及び炭素化を誘導するが、これらの促進試験は、酸素の存在下での酸化架橋のメカニズム及び架橋度の微妙な調節を確認する。これらの実験はまた、相当な分解又は炭化よりもむしろ酸化及び架橋の程度を制御し、好適なポイントで反応停止できることを実証する。熱分析はまた、酸化反応はマトリクス中の酸素の高透過性のために、表面酸化というよりむしろ膜を通して起こることを確認する。

【0050】
本発明者は溶液キャスト法による自立した高密度PIM膜(厚さ1~50 μm、好ましくは3~40 μm、より好ましくは5~30 μm)又はスピンコーティングによる薄膜を作製した。高密度PIM-1膜又は薄膜について、385℃で24 h真空下での熱処理後、透明膜は肉眼観察により透明のままで蛍光黄色から暗褐色に変化した(図5、表1)。

【0051】
【表1】
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【0052】
熱架橋PIM-1(以下、「TXL-PIM-1」と称する)高分子膜は、クロロホルム、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンのようなPIM-1ポリマーを容易に溶解する溶媒中で大部分は不溶性(ゲル含量>95%)になった。熱処理膜は極性溶媒放出フラグメント中でわずかに溶解性を示した。可溶性フラクションの分子量分布の発生は、これらの熱処理条件下で生じる酸化的鎖切断を示し、一方、ゲル含量の同時増加はin situ共有結合架橋が起こることを示す。

【0053】
それらの膜を385℃で24 h真空下で硬化することに関し、熱処理の前後で測定された量は、2-3 wt%までの損失を示した。TGAで操作されたそれらの微妙に制御された実験と比較して(図4)、これらの値は周囲条件でのサンプルの測定中のガス及び水分により妨げられる。それにもかかわらず、分解及び対応する重量損失の程度はTGAにおける加速実験とよく一致する。架橋膜の骨格密度は、ヘリウムピクノメーターによる測定で1.335±0.006 g cm-3から1.365±0.007 g cm-3にわずかに増加した。また、見かけのバルク密度(1.060-1.100 g cm-3)に実質的な変化はない。

【0054】
本発明者はさらにO2濃度、温度及び反応時間を変化させて化学反応速度論を制御することによりPIM-1ポリマーの熱架橋の程度を調整した。要約すると、これらの特徴分析は、脱炭酸反応による隣接ラジカル部位の組み合わせにおける酸化的鎖切断及びin situ共有結合架橋を誘導するフリーラジカル経路に従う熱分解メカニズムを示唆する。

【0055】
低濃度酸素中の熱架橋高分子膜は真空又はパージガス下で固くなるが、依然として機械的にフレキシブルである。ストレス歪み曲線の典型的なプロット(図7)は、TXL-PIM-1ポリマーネットワークは固くなるが依然として引張強度(50-60 MPa; 表2)、破断点伸び(4-8 %の範囲内)、及びヤング率(1.2~1.7 Gpa; 表2)について機械的に堅固であることを示す。TXL-PIM-1膜はカーボン・モレキュラーシーブ膜よりもはるかに柔軟性である。PIM-1ポリマーを450℃より高温で調製したカーボン膜は非常に脆く、これはポリマー骨格が過度に壊れるためである。これに対し、熱架橋PIM-1ポリマーについて、本発明者は熱酸化鎖切断及び架橋は微小孔のゲートで局所的に生じ、一方、大部分のポリマー鎖は無傷のままである。それらのナノコンポジット膜について、機械的特性はフィラー増加に伴い劣化する。ナノインデンテーション測定は高密度の高分子膜の表面上で行われ、ヤング率は1.9 GPaに維持され、一方、硬さは150から190 MPaに増加し、これは架橋ポリマーネットワークの形成に対応する(表3)。

【0056】
【表2】
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【0057】
【表3】
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【0058】
断面のSEM画像(図8)はTXL-PIM-1フィルムは欠陥のない高密度であり、架橋は多孔性フィラー(例えばZIF-8)又は非多孔性無機ナノ粒子(例えばシリカ)を含むナノコンポジット膜にも有効であることを示す。非修飾ナノコンポジットで観察される劣ったインターフェースは熱処理後に改善され得る。

【0059】
架橋はガラスもしくはシリコンウェハを含む異なる基板上にコートされた薄膜にも有効である(図9)。架橋後の薄膜はクロロホルムに不溶性になる。これらの特徴分析は、例えば、薄膜コンポジット(TFC)膜を形成する多孔性の熱的に安定な無機膜基板上にポリマーをコーティングすることにより熱架橋ポリマー薄膜を作製することが実行可能であることを示す。TFC膜の作製は、材料の発見よりも工学的な問題になると本発明者は考えており、本発明でカバーされない。

【0060】
熱重量分析は、TXL-PIM-1は不活性アルゴン雰囲気下で約450℃まで安定であることを示す(図10)。熱フロー曲線は、約500℃で非常に弱いピークを示し、それはガラス転移温度と推測され得る。芳香環からなる硬く捻れたマクロ分子構造を有するグラッシーPIM-1ポリマーについて、ポリマーは液体状態を通過するよりも高温でカーボンに分解するのでガラス転移温度は有意義ではない。代わりに、初期分解温度は熱安定性を評価するために決定的に重要なパラメータである。アモルファス性及び架橋の密なパッキングは、広角X-線回折で観察される小さい鎖間間隔に反映される(図11)。真空下に熱処理されたポリマーフィルムのFTIRスペクトルは、カルボニル基とヒドロキシル基の存在を確認し(図12)、これは特に中間温度(300-350℃)でのサンプル処理について酸化の明確な証拠になる。

【0061】
架橋PIM-1ネットワークにおける多孔性又は自由体積エレメントは様々なガス吸着測定で調べられた。77 Kでの低温N2吸着/脱着及び273KでのCO2吸着は、マイクロポーラス材料の細孔構造を調べるために広く使用される方法である。沈殿したPIM-1ポリマー粉末又はPIM-1薄膜について、窒素分子の吸着は連続多孔性ミクロ構造のために拡散により制限されない。それゆえ、図13に示すように、高吸着が低圧力で起こる。これに対し、77 Kで厚い高分子膜又は熱架橋膜のN2吸着は予期しないゲート開放効果を示し、それは自由体積エレメントに接続する動的に開放及び閉鎖するゲートを通るN2分子の拡散の動力学的制限又は架橋のためにアクセスされない細孔の形成に関係する。架橋ナノコンポジット膜はまた、類似の動的に制御された吸着を示す(図14)。これらの吸着等温線は、窒素分子がおそらく大きすぎて自由体積エレメント及び分子寸法のチャネルの構造を調べることができないことを示す。

【0062】
ガス吸着等温線は、図15及び図16に示すように、273K及び295KでCO2、CH4及びN2についても測定された。特に、273KでのCO2の吸着はマイクロポーラス材料の多孔性を調べるために広く使用される。ここで、TXL-PIM-1ポリマーはPIM-1と比較してわずかに低いCO2吸着を示した。しかしながら、CO2脱着中に観察されたヒステリシス現象は、CO2分子が低温での動的に制限された拡散を受け得ることを示す。TXL-PIM-1の高圧ガス吸着等温線は室温(295 K)での様々なガスの溶解性が非修飾PIM-1と比較可能であることを示し、高圧での観察可能な可塑化無しのデュアルモード吸着メカニズムが続く(図17)。CO2吸着等温線に由来する細孔サイズ分布は、多孔性の損失が6Åより小さいサイズ範囲(ここで、ガスの徹底した分析は信頼性が低下する)で主に起こり、これは熱酸化架橋が自由体積エレメントと接続したゲート及びチャネルで起こるという本発明者の仮説と一致する。

【0063】
高分子膜の単一ガス透過はH2(2.89Å)、CO2(3.3Å)、O2(3.46Å)、N2(3.64Å)及びCH4(3.8Å)を含む異なる動的直径を有する工業的に重要なガス分子を用いて22℃で行った。表及び図18に示すように、非修飾PIM-1のガス透過性は、好ましい吸着(例えば、濃縮可能なCO2及びCH4)及び拡散(より小さいサイズのガス分子)の組み合わせた効果のためにCO2>H2>O2>CH4>N2の順になる(表4)。

【0064】
【表4】
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【0065】
385℃でのゆっくりした熱架橋後に、膜は大きな分子(N2及びCH4)に対し2桁有意に低いガス透過性を示し、一方、小さいガス分子(H2、CO2、O2)は相当高い透過性を維持し、より明確なモレキュラーシーブ機能を与えた。TXL-PIM-1について、O2/N2選択性は250 Barrerの高O2透過性とともに8.1まで増加した[標準温度及び圧力(STP)において1 Barrer=1×10-10cm3 cm cm-2 s-1 cmHg-1]。CO2/CH4選択性は1100 BarrerのCO2透過性で70に達する。マイクロポーラスPIMポリマーにおけるガス輸送は溶液-拡散モデルでさらに説明可能であり、ここで透過係数は溶解性(S)と拡散係数(D)の積、P=S×Dである。溶解性及び拡散係数は図19に示される。TXL-PIM中の様々なガスの溶解性は図17の吸着等温線から決定され、天然PIMから有意に変化していない。ガスペア選択性の有意な増加は拡散選択性(DA/DB)の増加に起因し、一方、溶解選択性(SA/SB)は全く一定であり、これは相互接続した自由体積エレメント間のゲートウェイの予期される構造修飾と一致する。

【0066】
化学反応工学の観点から、本発明者は温度、反応時間及びパージガス中のO2濃度又は真空圧を制御することにより架橋の程度及びガス輸送特性を調整し、結果としてガス輸送特性を調整することができた。熱架橋反応時間の関数としての発生ガス輸送特性を図20及び表5に示す。

【0067】
【表5】
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【0068】
自由体積エレメントの構造の調整において酸素の決定的に重要な効果を実証するために、本発明者は真空オーブンの雰囲気を種々の濃度の酸素を有する異なる真空又はパージガスに変化させた(図21)。極端なケースでは、本発明者はポリマーを空気中385℃でベークした。選択性は70まで高まり、CO2透過性は約500 Barrerに維持されたが、膜は過度の酸化的鎖切断のために脆くなった。

【0069】
高分子膜の上界限界とともに工業的に重要なCO2/CH4ガスペアについての選択性対透過性の代表的なプロットは図22に示される。真空下に385℃で24 h硬化された代表的なTXL-PIM-1膜について、CO2/CH4選択性は1100 Barrerの高CO2透過性とともに70まで増加した。O2/N2、CO2/N2、H2/N2及びH2/CH4のような工業的に重要な他のガスペアの分離性能は、図23に示されるように全て各上界よりも高かった。例えば、O2/N2選択性は250 Barrerの高O2透過性とともに約8.0に達し得、これは空気分離に非常に有望である。N2及びCH4に対する注目すべきH2分離は、H2回収及び天然ガス精製における実用的な応用に魅力的である。高透過性とともに有意に増大したガス選択性は、数十年間高分子膜の性能を制限してきた上界を超える総合的なガス輸送特性を改良する。我々の知る限り、総合的な分離性能は全ての存在する可溶性PIMsポリマーよりも優れ、TRポリマーに匹敵するか、それよりも優れている。

【0070】
本発明者はCO2/CH4(60まで)及びCO2/N2(40まで)のようなガス混合物の分離において熱架橋高分子膜の優れた選択性も実証した(図24)。混合ガス雰囲気において、CO2とCH4分子は特に高圧において吸着部位に競合する。したがって、本発明者は高圧でCO2/CH4選択性が低下することを観察し、にもかかわらず、5-10 barでCO2フガシティが30に達し、工業的な天然ガス精製の興味の範囲である。

【0071】
本発明者はさらにポリマーマトリクス中にナノ粒子を分散させることによりナノコンポジット膜を作製した。ZIF-8を含有するナノコンポジット膜について、XRD分析は中温(<200℃)でのアニーリング後にZIF-8の高い結晶性を確認した。しかしながら、メソポーラスキャビティは常にポリマー相又はナノ粒子の周辺において高倍率SEMにより観察され得る(図8)。このような乏しい界面はポリマー相とフィラーの間の相分離に起因する。実際、ナノ粒子のポリマーマトリクスへの配合は、Freeman及び共同研究者による以前の発見に従いポリマー鎖のパッキングを妨げる[非特許文献33, Merkel et al, Science, 2002]。高密度PIM-1膜と比較して、中温(120℃)でアニールされたナノコンポジット膜は低圧ステージで高いN吸着を示し、PIM-1薄膜(約300 nm)のそれよりもわずかに高く、一方、ゲート-オープン挙動はこれらのナノコンポジットフィルムでは観察されず、なぜならガス吸着は薄膜として作用するポリマーのパッキングを妨げるために拡散の動的制御により制限されないからである。これに対し、それらの架橋膜のガス吸着等温線はゲート-オープンタイプの吸着を示した。

【0072】
ナノコンポジット膜のガス輸送特性は酸化及び架橋の程度に大きく依存する。中程度の温度(300-350℃)において、(ゲルフラクションにより示されるごく少量の共有結合架橋を有する)膜の熱酸化はまた選択膜を生じ得る。特徴分析(図12)は酸化されたポリマー鎖間の可能性のある分子間相互作用又は界面を締め付けるZIF-8(例えば結晶表面のイミダゾール基)と周囲のポリマー鎖間の水素結合を示す。共有結合的に架橋された高分子ナノコンポジット膜(>350℃)は透過性を高め、合理的な選択性を維持する。本発明者は、類似の挙動がフィラーとして非多孔性ナノ粒子(例えば、ナノサイズのシリカ及びTiO2)を用いて観察されることを証明した。シリカとZIF-8を含むナノコンポジット膜のガス透過性の増強は、図25に示されるようにフィラーの体積フラクションと相関し得る。本発明者はまたこれらのナノコンポジット膜のガス溶解性及び拡散係数を導いた(図25)。これらのナノコンポジットのガス溶解性は、純粋なポリマーと近く、透過性の増加は拡散係数の増加に起因する。拡散の増大は、ポリマー鎖の不十分なパッキング及びポリマー/フィラー界面の欠陥により誘導されるKnudsen拡散により影響される可能性がある。ナノフィラーは、以前にFreeman及び共同研究者が実証しているようにポリマー鎖のパッキングを妨げ、ポリマー相の自由体積エレメントのミクロ構造を物理的に変化させる。これらのさらなる自由体積エレメント及び不均一なミクロ構造は、膜が反応及び架橋に暴露されるときにより複雑な界面を生じる。しかしながら、本発明で示されるように、熱架橋PIMsは、上界を超える優れたガス分離性能を提供する架橋ナノコンポジット材料(図26)及び文献又は任意の先行技術における全てのPIMs材料の作製用のナノフィラーのホストとして使用され得る。これらのナノコンポジット材料はまた多くの他の分子分離に有用であろう。

【0073】
ガス分離膜としてグラッシー高分子材料を使用するために特に懸念することは、数年間にわたるその性能であり、ガラスは老化することが見込まれる。システムが平衡に達するにつれて、PIMのガス透過性は徐々に損なわれ、選択性はわずかな増加を示すが、ポリ(1-トリメチルシリル-1-プロピン)(PTMSP)のような他の高自由体積ポリマーよりも低い割合である。熱架橋PIM-1膜のエージングは初期の3-5日間に真空モード下で透過性の減少と選択性の増加を生じるが、続く1ヶ月間でゆっくり安定化する。物理的に老化した膜はなお顕著なガス分離性能を提供する。

【0074】
本発明の新規性は、マイクロポーラスポリマー前駆体の顕著なガス分離性能を示す共有結合的に架橋したポリマーネットワークへの変換であり、多数のガスペアについて上述の多くのポリマーシステムよりも優れており、CMS膜に匹敵し、機械的柔軟性に優れ、加工が容易である。マイクロポーラスポリマー中の架橋の概念は、他の仕事において考慮されるが、本明細書で観察されたものよりも有効性が低い。本発明において、選択性の増大及び総合的な透過性の減少は高自由体積ドメイン間のゲートウェイの熱酸化的変化により制御される。ゲル研究は共有結合的に架橋されたネットワークの形成を示し、吸着データは熱加工の前後で変化ガスの総合的な溶解性においてほとんど変化を示さない。後者はマイルドな酸化的化学変化が主として総合的に小さい自由体積の最小のインパクトを有するこれらのゲートウェイにおいて起こることを示す。

【0075】
要約すると、本発明者はPIMs高分子膜のガス分離性能は制御された熱加工によるマイルドな化学変化により微小孔に接続するゲートウェイを注意深く調整することにより有意に改良され得ることを実証した。本発明は、ブロードなサイズ分布及び自由体積エレメントもしくは微小孔のトポロジーを有する不規則な有機構造体からモレキュラーシーブの構造を調整する一例を示す。本発明者のアプローチは高い透過性及び選択性の膜をもたらし、それは煙道ガスからのCO2捕捉、空気分離、バイオガス及び天然ガス生産、H2生産及び石油化学工業における炭化水素(オレフィン/パラフィン)の分離のような地球規模のエネルギー及び公害防止プロセスにおける大規模ガス分離に大きな可能性を示す。さらに、この広い原理は広範な用途について類似のナノ構造化高分子材料を利用するために有益である。
【実施例】
【0076】
本発明は実施例及び比較例を参照してより詳細に記載されるが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されない。
【実施例】
【0077】
材料と方法
PIM-1の合成
PIM-1ポリマーはBudd及びMcKeownにより考案された方法に従い合成された。60℃で約48 h無水ジメチルホルムアミド(200 mL)中のK2CO3(60 mmol)の存在下、精製されたモノマーである5,5′,6,6′-テトラヒドロキシ-3,3,3′,3′-テトラメチルスピロビスインダン(TTSBI、30 mmol)及び2,3,5,6-テトラフルオロテレフタロニトリル(TFTPN、30 mmol)のダブル芳香族求核置換により1段階重縮合が行われた。ポリマーはクロロホルムに溶解し、メタノールから再沈殿し、ろ過し、真空オーブン中110℃で終夜乾燥することにより精製された。分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定された。
【実施例】
【0078】
高分子膜の調製
ポリマーはクロロホルム(1-2 wt%)溶液に溶解され、不溶性物質をPTFEフィルター(0.45又は1.0 μm)によるろ過もしくは12,000 rpmで30分間の遠心分離により取り除いた。純粋な高分子膜の調製のために、ポリマー溶液の濃度はさらに純粋なN2をバブリングして過剰な溶媒をゆっくり蒸発させることにより8-10%に調整した。ポリマー溶液をグローブボックス中でガラス基板上にキャストした。室温で2日間溶媒をゆっくり蒸発し、乾燥した自立膜をガラス基板から取り除き、終夜メタノールに浸漬し、空気中で乾燥した。その後、膜をより高温でさらに熱処理する前に真空オーブン中、120℃で乾燥した。ナノコンポジット膜はポリマー/ナノ粒子混合物のコロイド溶液から調製され、次いで同じプロトコールで溶液のキャスト及び後処理を行った。
【実施例】
【0079】
高分子ナノコンポジット膜の調製
2つのタイプのナノ粒子をフィラーとして使用した: (1)多孔性ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF-8)ナノ結晶、(2)非多孔性無機ナノ粒子(SiO2、TiO2等)。
【実施例】
【0080】
直径60-100 nmのZIF-8ナノ結晶をメタノール中で硝酸亜鉛ヘキサヒドレート[Zn(NO3)2・6H2O]と2-メチルイミダゾール[C4H6N2]の迅速な反応により合成した。クロロホルム中に分散されたZIF-8ナノ結晶は、次いでPIM-1ポリマー溶液と混合し、ガラスバイアル中で2日間撹拌した。その後、混合物は純粋なN2でバブリングされてポリマー濃度が8-10%に達するまで過剰な溶媒をゆっくり蒸発させた。次いで、PIM-1/ZIF-8コロイド混合物溶液をキャストしてナノコンポジット膜を形成し、純粋なポリマーについて同じ操作を行った。
【実施例】
【0081】
フュームドシリカナノ粒子は、製造会社の説明のように1次平均粒子サイズ12 nm、表面積175-225 m2/gを有する(99.8%微量金属ベース、Sigma Aldrich)。1次粒子サイズはSEM及びSTEMにより確認されたが、200-300 nmの凝集がそれらを分散させた(例えば超音波剪断混合)ときでさえ常に観察された。そのような凝集ナノ粒子はクロロホルム溶液に分散され、希釈したPIM-1ポリマー溶液と混合され、得られた混合物は2日間徹底的に撹拌された。余分な溶媒は蒸発により除去され、溶液キャストに好適な濃度(8-10 wt%)に達した。
【実施例】
【0082】
混合マトリクス膜中の分散相の体積フラクションφDは以下のように定義される
【実施例】
【0083】
【数1】
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【実施例】
【0084】
ポリマー薄膜の調製
薄膜はクリーンシリコンウェハ又はガラス基板上に希釈されたPIM-1クロロホルム溶液(0.8-2 wt%)をスピンコートすることにより調製した。膜厚はポリマー溶液の濃度及びスピニング速度を変化させることにより調整した。
【実施例】
【0085】
膜の熱処理
膜は制御雰囲気で高温真空オーブン(Hereasus、20-400℃)中で熱処理した。真空オーブンは真空又はパージモードでの操作により調節された。圧力は減圧トランスミッターにより連続的にモニターされた。この高温真空オーブンは超高真空を与えず、驚くべきことに、オーブン中の痕跡量の酸素の存在がポリマーの予期しない熱酸化架橋をもたらすことに注目すべきである。高温アニール下にポリマーフィルムは熱移動(伝導及び伝達)、物質移動(酸素の拡散及びポリマーマトリクス中の生成物)並びに反応(酸化的鎖切断、架橋と恐らく分解)のために複雑な物理及び化学変化を経験する。これらのマイクロポーラス高分子膜の熱処理のメカニズムのより良い理解のために、本発明者は反応温度、雰囲気(酸素濃度)及び反応時間のようなパラメータを変化させることにより反応工学アプローチを用いて熱処理のプロトコールを変化させた。
【実施例】
【0086】
一連の実験は、連続真空下(1 mbar)に異なる温度でポリマーを加熱することにより行った。フラットポリマーフィルムは真空オーブン中のプレート上に配置し、真空下に120℃で3 h加熱し、次いで10℃/minで最終温度に加熱した。次いで、サンプルは該温度で24 hまでの長時間維持された。合理的な機械的強度を維持しながら好適な程度の架橋を行うために、低濃度酸素の長い暴露時間でゆっくりとした熱酸化が必要であり、これは無機モレキュラーシーブ(ゼオライトなど)のより繊細な処理と比較して操作可能である。
【実施例】
【0087】
別の一連の実験が加熱PIM-1膜を真空オーブン中385℃、1、10、20、50、100、200 mbarに制御された真空圧で加熱することにより行われ、ポリマーの熱酸化架橋における酸素の決定的に重要な役割を確認した。
【実施例】
【0088】
極端なケースでは、ポリマーフィルムは空気中でベークされた。一連の実験で、ポリマーフィルムは120℃から385℃に10℃/minで加熱された。蛍光黄色から褐色への速やかな色変化が350℃を超える温度で観察された。この加熱段階中にポリマーフィルムはピンセットを用いて手動でしばしばひっくり返された。温度が385℃に到達すると、熱酸化された褐色ポリマーフィルムは過度の分解(ガス透過試験のために脆くなりすぎる)を避けるために、及び周囲温度に自然冷却するためにオーブンから取り出された。或いは、オーブンは真空モードに切り替えられた。その間に、オーブンの電源がオフされてフィルムは真空下に室温に冷却された。別の等熱実験では、新鮮な膜が周囲条件からプレヒートオーブン(385℃)に移動され、10分間ベークされ、オーブンから直ちに取り出された。2つの方法が類似の程度のポリマー分解を与え、重量損失は約2.5 wt%であった。速い反応速度のために過度に分解するのを注意すべきである(FTIRスペクトルにより証明される部分的な熱分解を示す色の黒色への変化により実証される)。
【実施例】
【0089】
或いは、本発明者は高純度アルゴン(O2<10 ppb)及びアルゴンとバランスさせたOを含む異なるガスをパージすることにより熱処理の雰囲気を制御し、名目上のO2濃度が10(9.2)、50(55)、100(104)、200(215) ppmであり、ここで括弧内の値は較正濃度である。フローレートは絞り弁により制御され、ソープバブルフローメーターにより確認された。ポリマーフィルムはオーブン中の加熱プレート上に配置され、120℃で真空下に1 h暴露され、次いでパージガスをオーブンに導入してオーブンを1000 mbar近くまで加圧し、次いで真空に再度切り替えて圧力を1 mbarに低下させた。少なくとも5回の真空-加圧サイクルの後、サンプルはパージガスの連続フローに暴露された。
【実施例】
【0090】
特徴付け
ポリマーフィルムの熱分析はまた、熱重量アナライザー(TGA)Q500及びQ600(同時TGA-DSC)で行われ、熱安定性を研究し、十分に制御された雰囲気での熱酸化架橋反応をシミュレートした。TGAから放出されるガス種はFTIRにより分析された。ガス雰囲気はアルゴン、空気(ゼログレード)及びO2/アルゴン混合物(200 ppm O2、バランスのアルゴン)を含んでいた。
【実施例】
【0091】
一連の実験において、ポリマーフィルムは室温から1000℃まで10℃/minで不活性雰囲気又は空気中で動的に加熱された。
【実施例】
【0092】
別の一連の実験はO2/アルゴン混合物(200 ppm O2、バランスのアルゴン)を用いて行われ、ゆっくりした熱分解をシミュレートした。高密度ポリマーフィルム(約5 mg、寸法3×3 mm)のバッチは120℃で1 hパージガスの連続フロー下に加熱され、水分又は残留溶媒を除去し、次いで10℃/minで定値温度(300-450℃)に加熱し、次いで定値温度で2 h維持した。TGAから回収されたフィルムはさらにFTIR-ATRで解析され、酸化された基(特にカルボニル及びヒドロキシル基)の存在及び強度を確認した。
【実施例】
【0093】
走査型電子顕微鏡(SEM)はHitachi S5500顕微鏡を用いて行われた。ポリマーフィルムは液体窒素で破砕され、金の薄層でコートされた。ポリマーの分子量はポリスチレン標準物質で較正されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により定量化された。クロロホルム中の希釈したポリマー溶液が試験された。FTIRスペクトルは伝送モードのNICOLET分光計(iS10、Thermo Scientific)又は減衰全反射(ATR)セルを備えたBruker Tensor 27赤外分光計を用いて測定された。ポリマーフィルムの骨格密度は1 cm3インサートを備えたMicromeritics Accupyc 1340ヘリウムピクノメーターを用いて測定された。典型的に、100-200 mgのサンプル質量が使用され、引用された値は、15測定のサイクルの平均及び標準偏差であった。密度測定前に、全てのサンプルは150℃で5時間真空下で徹底的に脱気した。見かけのバルク密度は均一な厚さのフィルムを用いて重量法で測定され、質量及びサイズを定量された。広角X線回折(XRD)は、1秒当たり0.02°のステップでCu Kα照射を用い、40 mA及び40 kVで操作されるBruker D8試験機を用いて行われた。膜サンプルは単結晶シリコン基板を有するサンプルホルダに取り付けられた。
【実施例】
【0094】
架橋ポリマーフィルムは真空下で終夜120℃に加熱されて水分を除去され、質量を直ちに測定された。次いで、該フィルムは揮発性溶媒のクロロホルムに2日間浸漬され、不溶性フィルム又はゲルが溶液からろ過又は遠心分離により除去され、メタノールで洗浄され、真空下120℃で乾燥された。その後、質量が架橋部分の含量を定量するために再び記録された。ポリマーを含有する溶液がGPC測定に使用されて分子量分布の発達を定量した。
【実施例】
【0095】
架橋ポリマーフィルムの溶解性はまた、他の通常の溶媒或いは酸及びアルカリ溶液を用いて調べた。
【実施例】
【0096】
ポリマーフィルムの引張試験は、自家製のストレッチャー機械で行った。50-80 μmの厚さを有するポリマーフィルムが有効長約20 mm及び幅約2 mmの薄いスライスにカットされ、高分解能写真及び公知の長さの較正から正確な値を測定した。フィルムは各ステップで30秒の緩和時間で0.02 mm伸ばされ、約4×10-5 s-1の見かけの歪み速度を与えた。ヤング率の平均値は初期勾配に由来する。破断点強度及び破断点伸びが測定及び比較された。
【実施例】
【0097】
高分子膜表面のナノインデンテーションはMTS NanoIndenterTM XP (MTS Corp., Eden Prairie, MN)上で連続剛性測定(CSM)モードでシャープBerkovichチップを用いて周囲温度で行った。インデンター軸は膜平面に対し垂直に並べられた。ヤング率(E)及び硬度(H)の平均値は100-1000 nmの深さにわたり荷重-変位P-h曲線から異なる位置で20の一連の測定により引き出された。
【実施例】
【0098】
ガス吸着測定
低圧ガス吸着
低圧ガス吸着は1 bar以下の圧力でMicromeritics ASAP 2020装置を用いて行った。厚さ約50 μmの高密度高分子膜(約0.1 g)は小片に切断され、装置にロードされ、高真空(<10 bar)下に120℃で脱気された。質量の測定後、ガス吸着測定の前にサンプルをさらに高真空下に4 h脱気した。窒素吸着-脱着等温線は各々77 K及び273 Kで測定された。CO2及びCH4の吸着等温線はまた273 Kで測定された。比表面積がBrunauer-Emmett-Teller (BET)モデルに基づき計算され、細孔サイズ分布はN2の吸着が速度支配に従うときに77 KでのN2等温線又は273 KでのCO2吸着等温線から非局所密度汎関数理論(NLDFT)モデルから導かれる。
【実施例】
【0099】
高圧ガス吸着
高圧純粋ガス吸着特性は35 barまでの圧力及び22℃の等温室温で自家製のデュアル体積圧力減衰装置を用いて測定した。サンプルチャンバ及びガスチャージチャンバの圧力はデータ収集システムに接続した2つの圧力トランスデューサー(Keller PAA33X、0-35 bar)により連続的に測定された。ポリマーフィルムのバッチを高真空下に12 h 120℃に加熱した。質量測定後、フィルムをサンプルセルにロードし、吸着測定前にさらに12 h脱気した。次いで、一定量のガスをサンプルチャンバに導入した。ポリマー中のガス吸着がサンプルチャンバの減圧を生じ、最終的に平衡に達した。ガス吸着量は圧縮係数で較正された平衡圧力を用いてガス状態の方程式に基づきガス分子の質量バランスから計算された。測定はH2、O2、N2、CH4及びCO2の順番で進められた。サンプルは各ガスの測定間に徹底的に脱気された。
【実施例】
【0100】
溶解度係数(S)はデュアルモードモデルにより記載される:
【実施例】
【0101】
【数2】
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【実施例】
【0102】
【数3】
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【実施例】
【0103】
ガス透過測定
単一ガス透過
純粋ガス透過試験は一定-体積圧力-増加装置を用いて22℃の温度及び4 barのフィード圧力で行われた膜の一部を装置にロードし、ガス透過測定前に真空ポンプ(Edwards RV3)で脱気した。漏出速度は良好なシール及び脱気により無視できるほど小さい。ガス浸透圧力はデータ収集システムに接続した圧力トランスミッターにより連続的に記録された。ガス透過が偽-定常状態に達すると、浸透チャンバ中の圧力増加勾配(dp/dt)は一定になる。
【実施例】
【0104】
ガス透過性(P)は以下の等式に基づき計算される:
【実施例】
【0105】
【数4】
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【実施例】
【0106】
【数5】
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【実施例】
【0107】
計算された透過性の誤差は主に膜厚の変動に由来する;本研究において試験時のガス透過性の不確実性は±5%以内であり、選択性は±7%以内である。
【実施例】
【0108】
特定ガスの拡散係数(D)は、膜厚及びタイムラグ(θ)から算出される:
【実施例】
【0109】
【数6】
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【実施例】
【0110】
次いで、溶解度(S)は:
【実施例】
【0111】
【数7】
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【実施例】
【0112】
から算出され、或いは、溶解度は1 barのガス吸着測定から算出され、ガス透過性は低圧力範囲では一定であるので、拡散係数(1 bar)は透過性(D=P/S)から計算される。これは、後で1 barでのガス透過により実証された。
ガスペア、A及びBの理想選択性
【実施例】
【0113】
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【実施例】
【0114】
は:
【実施例】
【0115】
【数8】
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【実施例】
【0116】
6.2 混合ガス透過
混合ガス透過性は定圧可変体積法を用いて別の膜セルで測定された。膜は1%未満のステージカット(フィードに対する浸透のフローレートの比率)で35 bar以下の圧力、室温(22℃)でCO2/CH4(50/50 vol.%)及びCO2/N2(50/50 vol.%)の保証されたガス混合物に暴露された。フィード及び浸透ガス混合物の組成物は保証されたガス混合物(Scientific and Technical Gases LTD、UK)により較正される熱伝導検出器(TCD)及びフレームイオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフ(Shimadzu、モデル2014)により測定された。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
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【図16】
15
【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
25