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明細書 :低分子化合物を用いた多能性幹細胞の心筋分化誘導法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月20日(2017.4.20)
発明の名称または考案の名称 低分子化合物を用いた多能性幹細胞の心筋分化誘導法
国際特許分類 C12N   5/071       (2010.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12N   5/0735      (2010.01)
FI C12N 5/071
C12N 5/10
C12N 5/0735
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 51
出願番号 特願2016-523588 (P2016-523588)
国際出願番号 PCT/JP2015/065643
国際公開番号 WO2015/182765
国際出願日 平成27年5月29日(2015.5.29)
国際公開日 平成27年12月3日(2015.12.3)
優先権出願番号 2014113325
優先日 平成26年5月30日(2014.5.30)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】中辻 憲夫
【氏名】南 一成
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100101454、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 卓二
【識別番号】100062144、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 葆
【識別番号】100106518、【弁理士】、【氏名又は名称】松谷 道子
【識別番号】100138911、【弁理士】、【氏名又は名称】櫻井 陽子
審査請求 未請求
テーマコード 4B065
Fターム 4B065AA93X
4B065AB01
4B065BB13
4B065BB40
4B065CA60
要約 本発明は、多能性幹細胞の心筋分化誘導法であって、(1)多能性幹細胞をWNTシグナル活性化剤およびPKC活性化剤を含む培地中で培養する工程、および(2)工程(1)で得られた細胞をWNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤を含む培地中で培養する工程、を含む方法を提供する。
特許請求の範囲 【請求項1】
多能性幹細胞の心筋分化誘導法であって、以下の工程を含む方法:
(1)多能性幹細胞をWNTシグナル活性化剤およびPKC活性化剤を含む培地中で培養する工程、および;
(2)工程(1)で得られた細胞をWNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤を含む培地中で培養する工程。
【請求項2】
Wntシグナル阻害剤が、以下の式(I)の化合物またはその塩である、請求項1に記載の方法:
式(I):
【化61】
JP2015182765A1_000065t.gif
[式中、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
10-R11は、各々独立して、水素原子;又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
Xは、-CR14(R14は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である);酸素原子;硫黄原子;セレン原子;又は基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である]。
【請求項3】
、R、R、R、R、R10及びR11が水素原子であり、
及びRが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、又は、
及びRが、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成しており、
Xが、硫黄原子であり、および
nが、0から4の整数である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
、R、R、R、R、R、R10及びR11が水素原子であり、
及びRが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)であり、
Xが、硫黄原子であり、および
nが、0から4の整数である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
が、ハロゲン原子である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
nが、1から4の整数である、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
Wntシグナル阻害剤が、以下から選択される化合物またはその塩である、請求項1に記載の方法:
KY02111
【化62】
JP2015182765A1_000066t.gif
KY01041
【化63】
JP2015182765A1_000067t.gif
T61164
【化64】
JP2015182765A1_000068t.gif
KY02114
【化65】
JP2015182765A1_000069t.gif
KY01045
【化66】
JP2015182765A1_000070t.gif
KY01040
【化67】
JP2015182765A1_000071t.gif
KY02109
【化68】
JP2015182765A1_000072t.gif
KY01042
【化69】
JP2015182765A1_000073t.gif
KY01043
【化70】
JP2015182765A1_000074t.gif
KY01046
【化71】
JP2015182765A1_000075t.gif
PB2852
【化72】
JP2015182765A1_000076t.gif
N11474
【化73】
JP2015182765A1_000077t.gif
PB2572
【化74】
JP2015182765A1_000078t.gif
PB2570
【化75】
JP2015182765A1_000079t.gif
KY02104
【化76】
JP2015182765A1_000080t.gif
SO087
【化77】
JP2015182765A1_000081t.gif
SO102
【化78】
JP2015182765A1_000082t.gif
SO096
【化79】
JP2015182765A1_000083t.gif
SO094
【化80】
JP2015182765A1_000084t.gif
SO3031(KY01-I)
【化81】
JP2015182765A1_000085t.gif
SO2031(KY02-I)
【化82】
JP2015182765A1_000086t.gif
SO3042(KY03-I)
【化83】
JP2015182765A1_000087t.gif
および、
SO2077
【化84】
JP2015182765A1_000088t.gif

【請求項8】
Wntシグナル阻害剤が、KY02111、SO3031(KY01-I)、SO2031(KY02-I)、またはSO3042(KY03-I)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Wntシグナル阻害剤が、SO3042(KY03-I)である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(2)の培地が2種以上のWNTシグナル阻害剤を含み、前記2種以上のWNTシグナル阻害剤の1つが請求項2~9のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその塩であり、他のWNTシグナル阻害剤がIWP2、XAV939、およびIWR1から選択される1種以上の化合物である、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
2種以上のWNTシグナル阻害剤が、請求項2~9のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその塩およびXAV939である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
WNTシグナル活性化剤が、BIOまたはCHIR99021である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
WNTシグナル活性化剤が、CHIR99021である、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
PKC活性化剤が、PMAまたはプロストラチンである、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
PKC活性化剤が、PMAである、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
Src阻害剤が、A419259またはSU6656である、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
Src阻害剤が、A419259である、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
EGF受容体阻害剤が、AG1478またはゲフィチニブである、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
EGF受容体阻害剤が、AG1478である、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
WNTシグナル活性化剤がCHIR99021であり、
PKC活性化剤がPMAであり、
WNTシグナル阻害剤が、KY02111、SO3031(KY01-I)、SO2031(KY02-I)、およびSO3042(KY03-I)から選択される化合物並びにXAV939であり、
Src阻害剤がA419259であり、および
EGF受容体阻害剤がAG1478である、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
WNTシグナル阻害剤が、SO3042(KY03-I)およびXAV939である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程(1)および(2)における培地が蛋白質成分およびペプチド成分を含まない、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
工程(1)および(2)において細胞を浮遊培養により培養する、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
工程(1)が1~3日間であり、工程(2)が2~13日間である、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
多能性幹細胞がサルまたはヒト多能性幹細胞である、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
多能性幹細胞がサルまたはヒトES細胞またはiPS細胞である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
心筋細胞の製造方法である、請求項1~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
請求項1~27のいずれかに記載の方法により得られた心筋細胞。
【請求項29】
WNTシグナル活性化剤、PKC活性化剤、WNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤を含む、心筋分化促進用キット。
【請求項30】
WNTシグナル活性化剤がCHIR99021であり、
PKC活性化剤がPMAであり、
WNTシグナル阻害剤が、
KY02111
【化85】
JP2015182765A1_000089t.gif
SO3031(KY01-I)
【化86】
JP2015182765A1_000090t.gif
SO2031(KY02-I)
【化87】
JP2015182765A1_000091t.gif
および、
SO3042(KY03-I)
【化88】
JP2015182765A1_000092t.gif
から選択される化合物並びにXAV939であり、
Src阻害剤がA419259であり、および
EGF受容体阻害剤がAG1478である、請求項29に記載の心筋分化促進用キット。
【請求項31】
WNTシグナル阻害剤が、SO3042(KY03-I)およびXAV939である、請求項30に記載の心筋分化促進用キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、低分子化合物を用いた多能性幹細胞の心筋分化誘導法および心筋分化促進用キットに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓疾患は世界の死因1位であり、重症心不全患者においては心移植が唯一の治療法であるが、ドナー不足という問題を抱えている。心移植に代わる治療法として、ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞由来の心筋細胞移植が有望視されており、早急な実現化が望まれている。しかしながら、多能性幹細胞由来の心筋細胞を再生医療に応用するためには、生産コストと安全性という大きな課題を解決しなければならない。
【0003】
心筋細胞をヒトに移植するには、少なくとも10億個(10の9乗個)もの大量の細胞が必要と考えられている。しかしながら、現行の多能性幹細胞-心筋分化誘導法は、成長因子やサイトカイン、血清アルブミンなどの蛋白質を大量に必要とするため、非常にコストが高い。具体的には、10の9乗個の心筋細胞を生産するのに最低限必要な培地(10リットル)だけで、1千万円以上のコストがかかる見積りとなる。事実、現在一部で市販されているヒト多能性幹細胞由来心筋細胞は非常に小容量かつ高価(10の6乗スケールで数十万円)であり、移植に必要な10の9乗個の細胞となると数億円になる計算である。そのため、心筋分化誘導培地のコストを削減することは、心臓再生医療の実現化において非常に重要な課題となっている。
【0004】
また、安全性の面においても、現行の分化誘導培地に含まれるサイトカインや蛋白質が問題となる。これらの蛋白質はすべて、動物細胞や細菌、酵母などによって作られているため、その元の細胞からの感染リスク(ウイルス、マイコプラズマ、プリオンなど)が生じる。心筋分化誘導は特に、移植の一歩手前のステップであるため、ここでの感染リスクは可能な限り減らさなければならない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】国際公開第2012/026491号パンフレット(引用により本明細書に含まれる)
【特許文献2】国際公開第2013/111875号パンフレット(引用により本明細書に含まれる)
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0183753号明細書(引用により本明細書に含まれる)
【特許文献4】米国特許第8658425号明細書(引用により本明細書に含まれる)
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0127807号明細書(引用により本明細書に含まれる)
【0006】

【非特許文献1】Minami, I. et al., Cell reports 2, 1448-1460 (2012). (引用により本明細書に含まれる)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低分子化合物を用いた心筋分化誘導法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下を提供する。
1.多能性幹細胞の心筋分化誘導法であって、以下の工程を含む方法:
(1)多能性幹細胞をWNTシグナル活性化剤およびPKC活性化剤を含む培地中で培養する工程、および;
(2)工程(1)で得られた細胞をWNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤を含む培地中で培養する工程。
2.Wntシグナル阻害剤が、以下の式(I)の化合物またはその塩である、前記1に記載の方法:
式(I):
【化1】
JP2015182765A1_000003t.gif
[式中、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
10-R11は、各々独立して、水素原子;又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
Xは、-CR14(R14は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である);酸素原子;硫黄原子;セレン原子;又は基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である]。
3.R、R、R、R、R、R10及びR11が水素原子であり、
及びRが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、又は、
及びRが、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成しており、
Xが、硫黄原子であり、および
nが、0から4の整数である、前記2に記載の方法。
4.R、R、R、R、R、R、R10及びR11が水素原子であり、
及びRが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)であり、
Xが、硫黄原子であり、および
nが、0から4の整数である、前記2に記載の方法。
5.Rが、ハロゲン原子である、前記4に記載の方法。
6.nが、1から4の整数である、前記3~5のいずれかに記載の方法。
7.Wntシグナル阻害剤が、以下から選択される化合物またはその塩である、前記1に記載の方法:
KY02111
【化2】
JP2015182765A1_000004t.gif
KY01041
【化3】
JP2015182765A1_000005t.gif
T61164
【化4】
JP2015182765A1_000006t.gif
KY02114
【化5】
JP2015182765A1_000007t.gif
KY01045
【化6】
JP2015182765A1_000008t.gif
KY01040
【化7】
JP2015182765A1_000009t.gif
KY02109
【化8】
JP2015182765A1_000010t.gif
KY01042
【化9】
JP2015182765A1_000011t.gif
KY01043
【化10】
JP2015182765A1_000012t.gif
KY01046
【化11】
JP2015182765A1_000013t.gif
PB2852
【化12】
JP2015182765A1_000014t.gif
N11474
【化13】
JP2015182765A1_000015t.gif
PB2572
【化14】
JP2015182765A1_000016t.gif
PB2570
【化15】
JP2015182765A1_000017t.gif
KY02104
【化16】
JP2015182765A1_000018t.gif
SO087
【化17】
JP2015182765A1_000019t.gif
SO102
【化18】
JP2015182765A1_000020t.gif
SO096
【化19】
JP2015182765A1_000021t.gif
SO094
【化20】
JP2015182765A1_000022t.gif
SO3031(KY01-I)
【化21】
JP2015182765A1_000023t.gif
SO2031(KY02-I)
【化22】
JP2015182765A1_000024t.gif
SO3042(KY03-I)
【化23】
JP2015182765A1_000025t.gif
および、
SO2077
【化24】
JP2015182765A1_000026t.gif

8.Wntシグナル阻害剤が、KY02111、SO3031(KY01-I)、SO2031(KY02-I)、またはSO3042(KY03-I)である、前記7に記載の方法。
9.Wntシグナル阻害剤が、SO3042(KY03-I)である、前記8に記載の方法。
10.工程(2)の培地が2種以上のWNTシグナル阻害剤を含み、前記2種以上のWNTシグナル阻害剤の1つが前記2~9のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその塩であり、他のWNTシグナル阻害剤がIWP2、XAV939、およびIWR1から選択される1種以上の化合物である、前記1~9のいずれかに記載の方法。
11.2種以上のWNTシグナル阻害剤が、前記2~9のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその塩およびXAV939である、前記10に記載の方法。
12.WNTシグナル活性化剤が、BIOまたはCHIR99021である、前記1~11のいずれかに記載の方法。
13.WNTシグナル活性化剤が、CHIR99021である、前記1~12のいずれかに記載の方法。
14.PKC活性化剤が、PMAまたはプロストラチンである、前記1~13のいずれかに記載の方法。
15.PKC活性化剤が、PMAである、前記1~14のいずれかに記載の方法。
16.Src阻害剤が、A419259またはSU6656である、前記1~15のいずれかに記載の方法。
17.Src阻害剤が、A419259である、前記1~16のいずれかに記載の方法。
18.EGF受容体阻害剤が、AG1478またはゲフィチニブである、前記1~17のいずれかに記載の方法。
19.EGF受容体阻害剤が、AG1478である、前記1~18のいずれかに記載の方法。
20.WNTシグナル活性化剤がCHIR99021であり、
PKC活性化剤がPMAであり、
WNTシグナル阻害剤が、KY02111、SO3031(KY01-I)、SO2031(KY02-I)、およびSO3042(KY03-I)から選択される化合物並びにXAV939であり、
Src阻害剤がA419259であり、および
EGF受容体阻害剤がAG1478である、前記1~19のいずれかに記載の方法。
21.WNTシグナル阻害剤が、SO3042(KY03-I)およびXAV939である、前記20に記載の方法。
22.工程(1)および(2)における培地が蛋白質成分およびペプチド成分を含まない、前記1~21のいずれかに記載の方法。
23.工程(1)および(2)において細胞を浮遊培養により培養する、前記1~22のいずれかに記載の方法。
24.工程(1)が1~3日間であり、工程(2)が2~13日間である、前記1~23のいずれかに記載の方法。
25.多能性幹細胞がサルまたはヒト多能性幹細胞である、前記1~24のいずれかに記載の方法。
26.多能性幹細胞がサルまたはヒトES細胞またはiPS細胞である、前記25に記載の方法。
27.心筋細胞の製造方法である、前記1~26のいずれかに記載の方法。
28.前記1~27のいずれかに記載の方法により得られた心筋細胞。
29.WNTシグナル活性化剤、PKC活性化剤、WNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤を含む、心筋分化促進用キット。
30.WNTシグナル活性化剤がCHIR99021であり、
PKC活性化剤がPMAであり、
WNTシグナル阻害剤が、
KY02111
【化25】
JP2015182765A1_000027t.gif
SO3031(KY01-I)
【化26】
JP2015182765A1_000028t.gif
SO2031(KY02-I)
【化27】
JP2015182765A1_000029t.gif
および、
SO3042(KY03-I)
【化28】
JP2015182765A1_000030t.gif
から選択される化合物並びにXAV939であり、
Src阻害剤がA419259であり、および
EGF受容体阻害剤がAG1478である、前記29に記載の心筋分化促進用キット。
31.WNTシグナル阻害剤が、SO3042(KY03-I)およびXAV939である、前記30に記載の心筋分化促進用キット。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、低分子化合物を用いた高効率かつ低コストな心筋分化誘導が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】ケミカルスクリーニングの概略図。
【図1b】PKC活性剤であるプロストラチンの心筋分化に対する効果。*(P<0.05, ttest)、すべてn=3。【図2b】MEFフィーダー細胞上で培養したヒト多能性幹細胞株から浮遊または接着培養条件下でPFCD誘導した分化細胞の心筋細胞率。心筋マーカーであるcTnT抗体で染色しフローサイトメトリー解析したドットデータ。
【図2c】図2bのドットデータをまとめたグラフ。括弧内にそれぞれのn数を示す。
【図2d】MEFフィーダー細胞上で培養したヒト多能性幹細胞株から浮遊または接着培養条件下でPFCD誘導した心筋細胞の全細胞数解析。2×106の未分化多能性幹細胞から得られた分化細胞数を示す。*(P<0.05, ttest)、**(P<0.01, ttest)、すべてn=3。【図3b】PFCDに使用している6種類の化合物(CHIR99021, PMA, KY03-I, XAV939, AG1478, A419259) からそれぞれの化合物を一つずつ除いた際の心筋細胞率。心筋マーカーであるcTnT抗体で染色しフローサイトメトリー解析したドットデータ。
【図3c】図3bのドットデータをまとめたグラフ。*(P<0.05, ttest)、**(P<0.01, ttest)、すべてn=3。【図4c】心室筋マーカーであるMLC2v、心房筋マーカーであるMLC2a、ペースメーカーマーカーであるHCN4、および全心筋細胞のマーカーであるcTnTの抗体染色によるフローサイトメトリー解析のドットデータをまとめたグラフ。*(P<0.05, ttest)、すべてn=4。【図4e】接着または浮遊培養条件下のPFCD心筋細胞のRP(静止膜電位)。
【図4f】接着または浮遊培養条件下のPFCD心筋細胞のAmplitude(活動電位の振幅)。**(P<0.01, ttest)。【図4h】接着または浮遊培養条件下のPFCD心筋細胞のINa(電位依存性Naチャネル電流)。*(P<0.05, ttest)。【図4j】接着または浮遊培養条件下のPFCD心筋細胞のIKr(HERGチャネル電流)およびIKs(KCQN1チャネル電流)。*(P<0.05, ttest)。【図5b】接着条件のPFCD心筋細胞のαActininおよびNKX2.5の免疫染色写真。
【図5c】浮遊条件および接着条件のPFCD心筋細胞をαActinin 染色した際のpatterned細胞の割合。3回の独立した実験を行い、それぞれの実験において30~50個の心筋細胞についてαActinin染色パターンを図5aおよびbと同じ基準に従って判定し解析した。**(P<0.01, ttest)。【図6】フィーダーフリーおよびゼノフリー条件で継代培養したヒトiPS細胞株(IMR90-1、253G1)から浮遊条件PFCD誘導法により得られた細胞の心筋細胞率(a)およびそれをまとめたグラフ(b)。cTnT抗体で染色しフローサイトメトリー解析したドットデータ。ネガティブコントロールは一次抗体なしで染色した分化細胞である。それぞれn=3。
【図7】MEFフィーダー培養ヒトiPS細胞株(IMR90-1)から浮遊条件(a)または接着条件(b)のPFCD誘導後14日目の心筋細胞の写真、および図6のフィーダーフリー・ゼノフリー培養ヒトiPS細胞株(253G1)から浮遊条件のPFCD誘導後14日目の心筋細胞の写真(c)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において「多能性幹細胞」とは、成体を構成する全ての細胞に分化することができる多分化能(pluripotency)と、細胞分裂を経てもその多分化能を維持することができる自己複製能を有する細胞を意味する。「多能性幹細胞」には、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)が含まれる。「多能性幹細胞」の生物種は特に限定はされないが、好ましくは哺乳類であり、より好ましくは齧歯類または霊長類、さらにより好ましくは霊長類である。本発明は、サルまたはヒト多能性幹細胞に、特にサルまたはヒトES細胞およびiPS細胞に、好適である。

【0012】
ES細胞は、初期胚に由来する多能性幹細胞であり、胚盤胞の内部細胞塊または着床後の初期胚のエピブラストから樹立することができる。ES細胞としては、ヒト(Thomson J. A. et al., Science 282: 1145-1147 (1998) 、Biochem Biophys Res Commun. 345(3), 926-32 (2006);アカゲザルおよびマーモセット等の霊長類(Thomson J. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 7844-7848 (1995);Thomson J. A. et al., Biol. Reprod. 55: 254-259 (1996));ウサギ(特表2000-508919号);ハムスター(Doetshman T. et al., Dev. Biol. 127: 224-227 (1988))、ブタ(Evans M. J. et al., Theriogenology 33: 125128 (1990); Piedrahita J.A. et al., Theriogenology 34: 879-891 (1990); Notarianni E. et al., J. Reprod. Fert. 40: 51-56 (1990); Talbot N. C. et al., Cell. Dev. Biol. 29A: 546-554 (1993))、ヒツジ(Notarianni E. et al., J. Reprod. Fert. Suppl. 43: 255-260 (1991))、ウシ(Evans M. J. et al., Theriogenology 33: 125-128 (1990); Saito S. et al., Roux. Arch. Dev. Biol. 201: 134-141 (1992))、ミンク(Sukoyan M. A. et al., Mol. Reorod. Dev. 33: 418-431 (1993))などのES細胞が挙げられる(これらの文献は引用により本明細書に含まれる)。例えば、ES細胞としては、CMK6.4、KhES-1、KhES-3、KhES-4、KhES-5、H1、H9などを使用できる。

【0013】
EG細胞は、始原生殖細胞に由来する多能性幹細胞であり、例えば、ヒトEG細胞(Shamblott, et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 95: 13726-13731 (1998)) (引用により本明細書に含まれる)が挙げられる。

【0014】
本発明において「iPS細胞」とは、体細胞や組織幹細胞などの多能性幹細胞以外の細胞から誘導された多能性幹細胞を意味する。iPS細胞の作製方法は、例えば、WO2007/069666、WO2009/006930、WO2009/006997、WO2009/007852、WO2008/118820、Cell Stem Cell 3(5): 568-574 (2008) 、Cell Stem Cell 4(5): 381-384 (2009)、Nature 454: 646-650 (2008) 、Cell 136(3) :411-419 (2009) 、Nature Biotechnology 26: 1269-1275 (2008) 、Cell Stem Cell 3: 475-479 (2008) 、Nature Cell Biology 11: 197-203 (2009) 、Cell 133(2): 250-264 (2008)、Cell 131(5): 861-72 (2007)、Science 318 (5858): 1917-20 (2007) (これらの文献は引用により本明細書に含まれる)に記載される。しかしながら、人工的に誘導された多能性幹細胞であれば、いかなる方法で作製された細胞も本発明の「iPS細胞」に含まれる。iPS細胞としては、IMR90-1、IMR90-4、201B7、253G1などを使用できる。

【0015】
本発明における「Wntシグナル活性化剤」とは、Wntシグナル経路を活性化する物質を意味する。Wntシグナル活性化剤としては、BIOおよびCHIR99021、TWS119などのGSK3β阻害剤が例示される。ある態様において、Wntシグナル活性化剤はCHIR99021またはBIOであり、好ましくはCHIR99021である。本発明においては、2種以上のWntシグナル活性化剤を併用してもよく、例えばCHIR99021とBIOの両方を使用してもよい。

【0016】
本発明における「Wntシグナル阻害剤」とは、Wntシグナル経路を阻害する物質を意味する。Wntシグナル阻害剤には、例えば、国際公開第2012/026491号パンフレットに記載の式(I)の化合物またはその塩、IWP2、IWP4、XAV939、およびIWR1などの化合物が含まれる。本発明においては、2種以上のWntシグナル阻害剤を併用してもよい。ある態様において、2種以上のWntシグナル阻害剤の1つが国際公開第2012/026491号パンフレットに記載の式(I)の化合物またはその塩であり、他のWntシグナル阻害剤がIWP2、XAV939、およびIWR1から選択される1種以上の化合物、好ましくはXAV939、である。2種以上のWntシグナル阻害剤がいずれも国際公開第2012/026491号パンフレットに記載の式(I)の化合物またはその塩であってもよい。

【0017】
国際公開第2012/026491号パンフレット(引用により本明細書に含まれる)に記載の式(I)の化合物は以下のとおりである:
式(I):
【化29】
JP2015182765A1_000031t.gif
[式中、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)である、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい、
10-R11は、各々独立して、水素原子;又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である、
Xは、-CR14(R14は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基、非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である);酸素原子;硫黄原子;セレン原子;又は基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、又は炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である、および
nは、0から6の整数である]。

【0018】
炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられる。

【0019】
炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基が挙げられる。

【0020】
炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基が挙げられる。

【0021】
ハロゲン原子としては、Cl、Br、IまたはFが挙げられる。

【0022】
好ましい態様において、R-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい。

【0023】
及びRは、好ましくは、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基であるか、又は、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している。さらに好ましくは、R及びRは、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、さらにより好ましくはメトキシ基である。

【0024】
、R及びRは、好ましくは、水素原子である。

【0025】
ある態様において、R-Rは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキル基である)であり、ここでR-Rのうち隣接する2つが一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成していてもよい。

【0026】
及びRは、好ましくは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、より好ましくは、水素原子である。

【0027】
好ましい態様において、Rは、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)であって、Rは、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であるか、又は、R及びRは、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成している。

【0028】
ある態様において、Rは、基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖アルコキシ基であり、基-C(O)Aは前記アルコキシ基の末端の炭素原子に結合している。

【0029】
好ましい態様において、Aは窒素原子を少なくとも1つ含み、そのようなAとしては、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニル基が例示される。より好ましい態様において、Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピペリジニル基、ピペラジニル基、又はモルホリニル基である。さらに好ましい態様において、Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された、ピペリジン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、又はモルホリン-4-イル基である。

【0030】
10及びR11は、好ましくは、水素原子である。

【0031】
ある態様において、nは、0から4、1から4、もしくは1から3の整数、または2もしくは3である。

【0032】
ある態様において、Xは、酸素原子;硫黄原子;基-NR15(R15は、水素原子、炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数1~5の直鎖又は分岐アシル基である)である。Xは、好ましくは、硫黄原子である。

【0033】
ある態様において、式(I)の化合物は、
、R、R、R、R、R10及びR11が水素原子であり、
及びRが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基である)であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基であり、又は、
及びRが、一緒になって-O-CH-O-または-O-(CH-O-を形成しており、
Xが、硫黄原子であり、および
nが、0から4、好ましくは1から4の整数である。

【0034】
ある態様において、式(I)の化合物は、
、R、R、R、R、R、R10及びR11が水素原子であり、
及びRが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、
が、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基;基-C(O)Aで置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルコキシ基(Aは、非置換又は炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基で置換された飽和または不飽和5または6員環であり、該環は窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から独立に選択される1または2個の原子を含んでいてもよい);非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖又は分岐アルキル基;又は基-NR1213(R12及びR13は、各々独立して、水素原子、酸素原子、又は非置換又はハロゲン原子で置換された炭素数1~5の直鎖または分岐アルキル基である)であり、
Xが、硫黄原子であり、および
nが、0から4、好ましくは1から4の整数である。

【0035】
ある態様において、式(I)の化合物は、
、R、R、R、R、R、R10及びR11が水素原子であり、
が、ハロゲン原子であり、
及びRが、各々独立して、メトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基であり、
Xが、硫黄原子であり、および
nが、0から4、好ましくは1から4の整数である。

【0036】
ある態様において、式(I)の化合物は、
、R、R、R、R、R、R10及びR11が水素原子であり、
が、ハロゲン原子であり、
及びRが、メトキシ基であり、
Xが、硫黄原子であり、および
nが、0から4、好ましくは1から4の整数である。

【0037】
ある態様において、式(I)の化合物は、以下から選択される:
KY02111
【化30】
JP2015182765A1_000032t.gif
KY01041
【化31】
JP2015182765A1_000033t.gif
T61164
【化32】
JP2015182765A1_000034t.gif
KY02114
【化33】
JP2015182765A1_000035t.gif
KY01045
【化34】
JP2015182765A1_000036t.gif
KY01040
【化35】
JP2015182765A1_000037t.gif
KY02109
【化36】
JP2015182765A1_000038t.gif
KY01042
【化37】
JP2015182765A1_000039t.gif
KY01043
【化38】
JP2015182765A1_000040t.gif
KY01046
【化39】
JP2015182765A1_000041t.gif
PB2852
【化40】
JP2015182765A1_000042t.gif
N11474
【化41】
JP2015182765A1_000043t.gif
PB2572
【化42】
JP2015182765A1_000044t.gif
PB2570
【化43】
JP2015182765A1_000045t.gif
KY02104
【化44】
JP2015182765A1_000046t.gif
SO087
【化45】
JP2015182765A1_000047t.gif
SO102
【化46】
JP2015182765A1_000048t.gif
SO096
【化47】
JP2015182765A1_000049t.gif
SO094
【化48】
JP2015182765A1_000050t.gif
SO3031(KY01-I)
【化49】
JP2015182765A1_000051t.gif
SO2031(KY02-I)
【化50】
JP2015182765A1_000052t.gif
SO3042(KY03-I)
【化51】
JP2015182765A1_000053t.gif
SO2077
【化52】
JP2015182765A1_000054t.gif


【0038】
式(I)の化合物は、好ましくはKY02111、SO3031(KY01-I)、SO2031(KY02-I)、またはSO3042(KY03-I)であり、より好ましくはKY02111またはSO3042(KY03-I)であり、さらにより好ましくはSO3042(KY03-I)である。

【0039】
式(I)の化合物は、公知の方法(J. Med. Chem., 1965, 8 (5), pp 734-735)(引用により本明細書に含まれる)により、あるいは国際公開第2012/026491号パンフレット(引用により本明細書に含まれる)に記載の方法に準じて、合成することができる。あるいは、UkrOrgSynthesis社(PB2852、PB2572、PB2570)やENAMINE社(T61164)などから入手可能である。

【0040】
「PKC活性化剤」は、プロテインキナーゼC(PKC)またはその下流のシグナル伝達経路を活性化する物質を意味する。PKC活性化剤としては、ホルボール12-ミリスタート13-アセタート(Phorbol 12-myristate 13-acetate)(PMA)、プロストラチン、ブリオスタチン1(Bryostatin 1)、ブリオスタチン2(Bryostatin 2)、FR236924、(-)-インドラクタムV((-)-Indolactam V)、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート(Phorbol 12,13-dibutyrate)、SC-9、SC-10、1-オレオイル-2-アセチル-sn-グリセロール(1-Oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol)、1-O-ヘキサデシル-2-O-アラキドニル-sn-グリセロール(1-O-Hexadecyl-2-O-arachidonyl-sn-glycerol)、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロール(1,2-Dioctanoyl-sn-glycerol)、PIP2、レシニフェラトキシン(Resiniferatoxin)、ホルボール12,13-ジヘキサノアート(Phorbol 12,13-Dihexanoate)、メゼレイン(Mezerein)、インゲノール3-アンゲラート(Ingenol 3-Angelate)、RHC-80267、DCP-LA、リポキシンA4(Lipoxin A4)などが例示される。ある態様において、PKC活性化剤は、ホルボルエステル系PKC活性化剤である、PMA、プロストラチン、PEP005、ホルボール12,13-ジブチラート、レシニフェラトキシン、ホルボール12,13-ジヘキサノアート、メゼレイン、またはインゲノール3-アンゲラートである。本発明においては、2種以上のPKC活性化剤を併用してもよい。好ましい態様において、PKC活性化剤は、PMAまたはプロストラチンであり、より好ましくはPMAである。

【0041】
「Src阻害剤」は、チロシンキナーゼであるSrcまたはその下流のシグナル伝達経路を阻害する物質を意味する。Src阻害剤としては、A419259、SU6656、PP1、1-ナフチルPP1(1-Naphthyl PP1)、PP2、インジルビン-3’-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-オキシムエーテル(Indirubin-3'-(2,3-dihydroxypropyl)-oximether)、TX-1123、Src Kinase Inhibitor I(CAS 179248-59-0)、AZM475271、ボスチニブ(Bosutinib)、ハービマイシンA(Herbimycin A)、KB SRC 4、MNS、PD166285、TC-S7003などが例示される。ある態様において、Src阻害剤は、A419259、KB SRC 4、SU6656、またはインジルビン-3’-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-オキシムエーテルである。本発明においては、2種以上のSrc阻害剤を併用してもよい。好ましい態様において、Src阻害剤は、A419259またはSU6656であり、より好ましくはA419259である。

【0042】
「EGF受容体阻害剤」(EGFR阻害剤とも記載する)は、EGF受容体からのシグナル伝達を阻害する物質を意味する。EGF受容体阻害剤としては、AG1478、ゲフィチニブ(Gefitinib)、アファチニブ(Afatinib)、ARRY334543、AST1306、AZD8931、BIBU1361、BIBX1382、BPDQ、BPIQ-I、BPIQ-II、カネルチニブ(Canertinib)、CL-387,785、CUDC101、ダコミチニブ(Dacomitinib)、バンデタニブ(Vandetanib)、EGFR Inhibitor III(N-(4-((3,4-ジクロロ-6-フルオロフェニル)アミノ)-キナゾリン-6-イル)-2-クロロアセトアミド、CAS 733009-42-2)、EGFR/ErbB-2 Inhibitor(4-(4-ベンジルオキシアニリノ)-6,7-ジメトキシキナゾリン、CAS 179248-61-4)、エルロチニブ(Erlotinib)、GW583340、GW2974、HDS029、ラパチニブ(Lapatinib)、WHI-P154、OSI-420、PD153035、PD168393、PD174265、ペリチニブ(Pelitinib)、Compound 56、XL657、PP3、AG-490、AG555、チロホスチン(Tyrphostin)B42、チロホスチンB44、AG556、AG494、AG825、RG-13022、DAPH、EGFR Inhibitor(シクロプロパンカルボン酸-(3-(6-(3-トリフルオロメチル-フェニルアミノ)-ピリミジン-4-イルアミノ)-フェニル)-アミド、CAS 879127-07-8)、エルブスタチンアナログ(Erbstatin Analog)(メチル 2,5-ジヒドロキシシナマート、CAS 63177-57-1)、JNJ28871063、チロホスチン47、ラベンダスチン(Lavendustin)A、ラベンダスチンC、ラベンダスチンCメチルエステル、LFM-A12、TAK165、TAK285、チロホスチン51、チロホスチンAG183、チロホスチンAG528、チロホスチンAG99、チロホスチンRG14620、WZ3146、WZ4002、WZ8040、ブテイン、チロホスチンAG112などが例示される。ある態様において、EGF受容体阻害剤は、キナゾリン系骨格を有するEGF受容体阻害剤、例えばAG1478、ゲフィチニブ、アファチニブ、ARRY334543、AST1306、AZD8931、BIBU1361、BIBX1382、BPDQ、BPIQ-I、BPIQ-II、カネルチニブ、CL-387,785、CUDC101、ダコミチニブ、バンデタニブ、EGFR Inhibitor III(CAS 733009-42-2)、EGFR/ErbB-2 Inhibitor(CAS 179248-61-4)、エルロチニブ、GW583340、GW2974、HDS029、ラパチニブ、WHI-P154、OSI-420、PD153035、PD168393、PD174265、ペリチニブ、Compound 56、もしくはXL657である。好ましい態様において、EGF受容体阻害剤は、AG1478またはゲフィチニブ、より好ましくはAG1478である。EGF受容体阻害剤は、Santa Cruz Biotechなどから入手可能である。

【0043】
本発明の多能性幹細胞の心筋細胞誘導方法は、インビトロで実施される。本発明の方法に用いる培地は、一般的に多能性幹細胞の心筋分化に使用される培地(以下、心筋分化培地ともいう)であればよく、その組成は特に限定はされない。本発明の方法に用いる培地は、タンパク質成分やペプチド成分を含んでいてもよいが、含まないことが好ましい。本発明における培地は、例えば、IMDM培地および/またはDMEM培地、MEM non-essential amino acid solution、並びにL-グルタミンを含む。ある態様において、培地は、IMDM培地およびDMEM培地(好ましくはIMDM:DMEM=1:1)、MEM non-essential amino acid solution、並びにL-グルタミンを含む。培地は、IMDM培地および/またはDMEM培地、MEM non-essential amino acid solution、並びにL-グルタミンに加えて、L-カルニチン、アスコルビン酸、および/またはクレアチンを含んでもよい。好ましい態様において、培地は、IMDM培地およびDMEM培地(好ましくはIMDM:DMEM=1:1)、MEM non-essential amino acid solution、L-グルタミン、L-カルニチン、アスコルビン酸、およびクレアチンを含む。また、培地は、必要に応じてペニシリン-ストレプトマイシン等の抗生物質を含んでもよい。本発明の方法に用いる培地としては、実施例で使用しているIMDMおよびDMEMを基本とした培地(IMDM 242ml、DMDM 242ml、MEM non-essential amino acid solution(×100) 5ml、ペニシリン-ストレプトマイシン(×100) 5ml、0.2M L-グルタミン 5ml、1M L-カルニチン 100μl、アスコルビン酸 50mg、0.5Mクレアチン 1ml含有)が例示される。

【0044】
また、本発明の方法には、公知のIMDM培地を基本とした心筋分化培地(例えば、IMDM培地 200ml、ウシ胎児血清 50ml、MEM non-essential amino acid solution(×100) 2.5ml、ペニシリン-ストレプトマイシン(×100) 2.5ml、200mM L-グルタミン 2.5ml、2-メルカプトエタノール 2μ1、5N NaOH 255μl含有)、公知のDMEM培地を基本とした心筋分化培地(例えば、DMEM/F12培地 200ml、ウシ胎児血清 50ml、MEM non-essential amino acid solution(×100) 2.5ml、ペニシリン-ストレプトマイシン(×100) 2.5ml、200mM L-グルタミン 2.5ml、2-メルカプトエタノール含有)、またはStemPro(登録商標)-34SFM(GIBCO)+BMP4(10ng/ml)などの培地を使用可能である。

【0045】
本発明の方法においては、一般的に多能性幹細胞の心筋分化に適した培養方法を用いることができる。培養方法としては、例えば、接着培養法、浮遊培養法、懸濁培養法等が挙げられる。好ましい態様において、本発明の方法は、浮遊培養法で実施する。培養開始時の多能性幹細胞の細胞数は、培養方法、培養容器、細胞の種類等によって適宜決定されるが、1×10細胞/ml~10×10細胞/ml程度で播種すればよい。培地の交換は、1~3日に1回、例えば2日に一回、行えばよい。

【0046】
本発明の方法において、工程(1)および工程(2)の期間、および工程(1)の終了から工程(2)の開始までの期間は、細胞の種類等に応じて適宜変更されうる。工程(2)は、工程(1)の終了直後から開始してもよいし、工程(1)の終了から一定期間後に開始してもよい。例えば、工程(1)の終了後、WNTシグナル活性化剤、PKC活性化剤、WNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤のいずれも含まない培地中で細胞を1~2日間、好ましくは1日間培養した後、培地をWNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤を含む培地に交換し、工程(2)を開始してもよい。

【0047】
例えば、本発明の方法では、工程(1)を1~3日間実施し、次いで、工程(2)を、工程(1)の終了直後または工程(1)の終了の1~2日後から、2~13日間、好ましくは3~10日間、より好ましくは4~10日間、さらに好ましくは4~8日間、実施する。例えば、工程(1)の開始日を0日目として、0~1日目、0~2日目または0~3日目に工程(1)を実施し、工程(1)の終了直後または工程(1)の終了の1~2日後から、2~10日目(8日間)、2~9日目(7日間)、2~8日目(6日間)、2~7日目(5日間)、2~6日目(4日間)、3~10日目(7日間)、3~9日目(6日間)、3~8日目(5日間)、3~7日目(4日間)、4~10日目(6日間)、4~9日目(5日間)、または4~8日目(4日間)に、工程(2)を実施することができる。

【0048】
工程(1)は、多能性幹細胞から中胚葉への分化誘導期である心筋分化誘導の前期段階にあたることから、工程(1)の期間は、中胚葉関連遺伝子の発現に基づき決定することもできる。中胚葉関連遺伝子としては、T、MIXL1、NODAL等が挙げられる。工程(2)は中胚葉から心筋細胞へ分化する心筋分化誘導の後期段階にあたり、その期間は、心筋細胞への分化を確認することによって決定することができる。心筋細胞への分化は、拍動心筋細胞の数、心筋マーカーの発現、イオンチャネルの発現、電気生理学的刺激に対する反応等により確認することができる。心筋マーカーとしては、αMHC、βMHC、cTnT、αアクチニン、およびNKX2.5が挙げられる。また、イオンチャネルとしては、HCN4、Nav1.5、Cav1.2、Cav3.2、HERG1b、およびKCNQ1が挙げられる。

【0049】
Wntシグナル活性化剤およびWntシグナル阻害剤の濃度は、使用する細胞および薬剤等に応じて適宜変更されうる。Wntシグナル活性化剤としてBIOまたはCHIR99021を使用する場合、例えば最終濃度100nM~100μM、好ましくは1μM~10μMで使用すればよい。Wntシグナル阻害剤としてIWP2、XAV939、またはIWR1を用いる場合、例えば最終濃度0.5~20μM、好ましくは0.5~10μM、より好ましくは1~10μMで使用すればよい。Wntシグナル阻害剤として式(I)の化合物またはその塩を用いる場合、使用する化合物またはその塩に応じて、例えば最終濃度0.1~20μM、好ましくは0.1~10μM、より好ましくは1~10μMで使用すればよい。

【0050】
PKC活性化剤の濃度は、使用する細胞および薬剤等に応じて適宜変更されうる。PMAの場合、例えば最終濃度0.01μM~10μM、好ましくは0.03~1μM、より好ましくは0.1~1μMで、プロストラチンの場合、例えば最終濃度0.1μM~100μM、好ましくは1~10μMで、使用すればよい。

【0051】
Src阻害剤の濃度は、使用する細胞および薬剤等に応じて適宜変更されうる。A419259およびSU6656の場合、例えば最終濃度0.1μM~10μM、好ましくは0.1μM~3μM、より好ましくは0.3~3μMで使用すればよい。

【0052】
EGF受容体阻害剤の濃度は、使用する細胞および薬剤等に応じて適宜変更されうる。ゲフィチニブまたはAG1478の場合、例えば最終濃度100nM~100μM、好ましくは1μM~20μMで、PP3の場合、例えば最終濃度1μM~1mM、好ましくは10μM~100μMで使用すればよい。

【0053】
本発明の方法は、心筋細胞の製造に用いることができる。心筋細胞が得られたことは、拍動心筋細胞の数、心筋マーカーの発現、イオンチャネルの発現、電気生理学的刺激に対する反応等により確認することができる。本発明の方法により得られた心筋細胞は、インビトロにおける薬剤安全性試験に、あるいは心臓疾患などに対する移植用心筋細胞として、使用することができる。

【0054】
本発明の心筋分化用キットは、WNTシグナル活性化剤、PKC活性化剤、WNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤を含み、さらに本発明の方法に用いる培地や培養容器等を含んでもよい。本発明のキットに用いられるWNTシグナル活性化剤、PKC活性化剤、WNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGF受容体阻害剤は、本発明の心筋分化誘導方法について記載したとおりである。好ましい態様において、本発明のキットは、WNTシグナル活性化剤としてCHIR99021、PKC活性化剤としてPMA、WNTシグナル阻害剤としてSO3042(KY03-I)およびXAV939、Src阻害剤としてA419259、およびEGF受容体阻害剤としてAG1478を含む。

【0055】
本発明はまた、PKC活性化剤を含む多能性幹細胞の心筋分化促進剤、多能性幹細胞の心筋分化促進剤の製造のためのPKC活性化剤の使用、およびPKC活性化剤を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む多能性幹細胞の心筋分化誘導法を提供する。PKC活性化剤は、心筋分化誘導の前期段階に、例えば心筋分化培地での培養開始から1~3日間、使用すればよい。本発明はまた、Src阻害剤を含む多能性幹細胞の心筋分化促進剤、多能性幹細胞の心筋分化促進剤の製造のためのSrc阻害剤の使用、およびSrc阻害剤を含む培地中で多能性幹細胞を培養することを含む多能性幹細胞の心筋分化誘導法を提供する。Src阻害剤は、心筋分化誘導の後期段階に、例えば心筋分化培地での培養の2、3、または4日目から2~13日間、好ましくは3~10日間、より好ましくは4~10日間、さらに好ましくは4~8日間、使用すればよい。これら態様においては、前述の多能性幹細胞および培地を用いることができる。

【0056】
以下、実施例によりさらに本発明を説明するが、本発明は如何なる意味においても本実施例により限定されない。
【実施例】
【0057】
スクリーニングした化合物
本発明でスクリーニングを行った20種類の化合物とそれらの心筋分化促進効果を表1に示す。それぞれの化合物について、心筋分化の前期(Early)と後期(Late)において濃度依存的(0.3uM, 1uM, 3uM, 10uM)に培養液に添加し、図1aの心筋分化プロトコールに従いGFP蛍光量の解析を行った。すべての条件において分化後期に10uMのKY02111を添加しており、このKY02111のみの条件におけるGFP蛍光量を1とした。KY02111のみの条件よりも3倍以上GFP蛍光量が増えている化合物(KY02111に対し加算的に心筋分化を促進している化合物)の添加条件をグレーで示している。PKC活性剤のプロストラチン(Prostratin)、Src阻害剤のA419259、およびEGF阻害剤のAG1478が、それぞれ適切な条件において心筋分化を促進していた。
【実施例】
【0058】
【表1】
JP2015182765A1_000055t.gif
【実施例】
【0059】
PKC活性化剤、EGFR阻害剤、およびSrc阻害剤による心筋分化促進。
図1aにケミカルスクリーニングの概略を示す。αMHCプロモーター駆動GFP遺伝子導入サルES細胞株(Minami et al., Cell Reports 2, 1448-1460, 2012)(引用により本明細書に含まれる)を用いて、KY02111化合物処理に対して加算的にGFP蛍光量が増加する化合物をスクリーニングした。サルES細胞株(カニクイザルCMK6.4株)に、心筋分化マーカーであるαMHC遺伝子のプロモーターの制御下で緑色蛍光蛋白質(GFP)を発現するベクターを導入し、6ウェルプレート(旭硝子/ 5816-006 :Ezview カルチャープレート)に4.0×105細胞/ウェルにて播種し、IMDM培地を基本とした心筋分化培地(IMDM培地(Sigma l3390) 200 ml、ウシ胎児血清(GIBCO 10099-141) 50 ml、MEM non-essential amino acid solution (Sigma M7145) 2.5 ml、ペニシリン-ストレプトマイシン(GIBCO 15140) 2.5 ml、200 mM L-グルタミン 2.5 ml、2-メルカプトエタノール(Sigma M7522) 2u1、5N NaOH 255ulを混合したもの)で9日間培養した。心筋分化前期(day 0-3、Early)と分化後期(day 4-7、Late)に対し、スクリーニング化合物を濃度依存的に添加し、心筋分化培養9日目(day 9)にGFP蛍光量をMetamorph イメージングシステムで解析した。
【実施例】
【0060】
PKC活性剤であるプロストラチン (図1b)とPMA (図1c)が心筋分化前期において濃度依存的に心筋分化を促進した。プロストラチン(3-10uM)およびPMA(0.03-0.3 uM)は、単独でも、KY02111(10uM、分化後期)との組み合わせ投与(KY+Prost、KY+PMA)においても、心筋分化を促進してした(3~8倍)。
【実施例】
【0061】
EGF阻害剤であるAG1478とゲフィチニブが心筋分化後期において濃度依存的に心筋分化を促進した(図1d)。AG1478(10-30uM)およびゲフィチニブ(10-30uM)は、単独でも、KY02111(10uM、分化後期)との組み合わせ投与(KY+AG、KY+Gef)においても、心筋分化を促進していた(2~3倍)。
【実施例】
【0062】
Src阻害剤であるA419259とSU6656が心筋分化後期において濃度依存的に心筋分化を促進した。A419259(1-3uM)およびSU6656(1-3uM)は、単独でも、KY02111(10uM、分化後期)との組み合わせ投与(KY+A419、KY+SU66)においても、心筋分化を促進していた(2~5倍)。
【実施例】
【0063】
CHIR99021、PMA、KY03-I、XAV939、AG1478、およびA419259の6種類の化合物を用いて、GFP遺伝子導入サルES細胞株(CMK6.4)での心筋分化誘導を行った。1 uM CHIR99021と 0.1 uM PMAを分化初期(day0-2)に、3 uM KY03-I、1 uM XAV939、10 uM AG1478、 0.3 uM A419259を分化後期(day3-7)に添加した際のGFP蛍光量を解析した。これら6種類の化合物組み合わせ投与により、著しい心筋分化促進効果が見られた(DMSO添加に比べて約750倍)(図1f)。
【実施例】
【0064】
蛋白質フリーのヒト多能性幹細胞の心筋分化
6種類の化合物を用いた蛋白質フリー心筋分化(PFCD)誘導法プロトコールを図2aに示す。まず、心筋分化前期(day 0-2)において、多能性幹細胞の浮遊コロニー(Minami, I. et al., Cell reports 2, 1448-1460 (2012)および国際公開第2013/111875号パンフレットに記載のとおり調製)(これら文献は引用により本明細書に含まれる)をGSK3β阻害剤(2 uM CHIR99021) とPKC 活性剤 (0.3 uM PMA または 3 uM プロストラチン)を添加したPFCD培地(表2)により、浮遊培養条件下で培養した。次に、1日間(day 2-3)化合物なしのPFCD培地で培養した後、分化後期(day-3-7)にWntシグナル阻害剤(3uM KY03-Iおよび1uM XAV939)とEGFR阻害剤(10uM AG1478)、Src阻害剤(0.3 uM A419259)を添加したPFCD培地中で、浮遊培養条件下あるいは接着培養条件下で培養した。浮遊培養条件では低接着ディッシュ(和光641-07391またはコーニングYO-01835-24)で、接着培養条件では通常のディッシュ(ファルコン 353004)上で培養した。接着条件においても、ディッシュをコーティングすることなしに、蛋白質フリーの条件下で接着培養した。拍動心筋コロニーは通常day7~9から観察された。分化した心筋細胞はPFCD培地中、浮遊/接着条件下で1~2か月間維持できた。
【実施例】
【0065】
表2に、PFCD培地の培地成分とそれぞれの購入価格を示す。蛋白質やペプチドを含まず、すべて合成可能な低分子化合物やアミノ酸で構成されている。500mlあたり1200円以下で作製可能で、非常に低価格である。
【表2】
JP2015182765A1_000056t.gif
【実施例】
【0066】
MEFフィーダー細胞上で培養したヒト多能性幹細胞株から浮遊または接着培養条件下でPFCD誘導した分化細胞の心筋細胞率について、心筋マーカーであるcTnT抗体を用いてフローサイトメトリーにより解析した(図2b)。ネガティブコントロールは一次抗体なしで染色した分化細胞とした。それぞれのサンプルについて30,000個の細胞をFACSCantoIIで解析した。ヒトiPS細胞株(IMR90-1, 201B7, 253G1)およびヒトES細胞株(KhES-1, KhES-3, H9)からPFCD分化誘導した細胞について、それぞれn=3以上でフローサイトメトリー解析を行ったところ、すべての細胞株で平均約90%の心筋細胞率を示した(図2c)。
【実施例】
【0067】
図2dは、上記の多能性幹細胞株から浮遊または接着培養条件下でPFCD誘導した心筋細胞の全細胞数解析の結果を示す。2×106の未分化多能性幹細胞から得られた分化細胞数を示す。ほとんどの細胞株において、浮遊培養条件の方が得られた細胞数が多かった。フローサイトメトリー解析と細胞数測定はすべてday14に行った。
【実施例】
【0068】
蛋白質フリー条件下での心筋分化における、WNTシグナル活性化剤、PKC活性化剤、WNTシグナル阻害剤、Src阻害剤、およびEGFR阻害剤の影響
図3aは、PMA添加あり(左写真、6化合物すべて添加)とPMA添加なし(右写真、PMA以外の5化合物添加)の条件下において、αMHC プロモーター駆動GFP遺伝子導入サルES細胞株から、浮遊条件下でPFCD誘導(図2a)を行った際のGFP蛍光写真を示す。PMAありの条件ではほとんどすべてのコロニーがGFP陽性であるのに対し、PMAなしの条件ではGFP蛍光がほとんど見られなかった。
【実施例】
【0069】
PFCDに使用している6種類の化合物(CHIR99021, PMA, KY03-I, XAV939, AG1478, A419259) からそれぞれの化合物を一つずつ除いた際の浮遊条件下PFCD(MEFフィーダー培養IMR90-1株)に対する影響を、cTnT抗体染色によるフローサイトメトリーで解析した。ネガティブコントロールは一次抗体なしで染色した分化細胞とした。それぞれのサンプルについて30,000個の細胞をFACSCantoIIで解析した。上記6種類の化合物のうち、どれを除いてもcTnT陽性心筋細胞率は低下した(図3b、c)。
【実施例】
【0070】
図3dは、図3cと同じ条件下でPFCD誘導した心筋細胞の全細胞数解析の結果を示す。CHIR99021とPMAをそれぞれ除くと細胞数が顕著に減少した。フローサイトメトリー解析と細胞数測定はすべてday14に行った。
【実施例】
【0071】
心筋分化前期(day0-2)において、ヒトiPS細胞株(MEFフィーダー培養IMR90-1)に対し、2uM CHIR99021もしくは0.3uM PMA、またはその両方(CHIR99021+PMA)をPFCD培地中に添加し、day 2 にmRNAを回収して、定量的PCR 法により中胚葉関連遺伝子(MSGN1, T, MIXL1, NODAL)の発現量変化を解析した(図3e)。 コントロールとしてDMSO溶媒のみを添加し、その遺伝子発現レベルの値を1とした。その結果、CHIR99021の添加により中胚葉関連遺伝子の発現量は顕著に増加したが、PMAを添加するとそれらの発現量が逆に減少していた。しかしながら、CHIR99021とPMAを同時に添加(通常の高効率なPFCD条件)すると、PMAによる中胚葉関連遺伝子の発現量低下がキャンセルされており、さらにMSGN1については、同時添加することでCHIR99021単独投与よりも約6倍に発現量が増加していた。CHIR99021とPMAの同時添加によるMSGN1の発現量増加が効率的なPFCDに寄与している可能性がある。
【実施例】
【0072】
心筋分化後期(day3-4)において、ヒトiPS細胞株(MEFフィーダー培養IMR90-1)に対し、1uM XAV939、0.3uM A419259、10uM AG1478、もくしは3uM KY03-I、またはそれら4化合物すべて(XAV939+ A419259+ AG1478+ KY03-I)をPFCD培地中に添加し、day 4 にmRNAを回収して、定量的PCR 法により中胚葉関連遺伝子(MSGN1, T, MIXL1, NODAL)の発現量変化を解析した(図3f)。その結果、これら4化合物のそれぞれがMSGN1、T、MIXL1の遺伝子発現量を低下させており、さらに4化合物の同時添加で最も顕著にそれらの発現量を低下させていた。NODALに関しては、4化合物それぞれの添加では有意な発現量変化は見られなかったが、4化合物の同時添加により発現量が有意に増加していた。これら4化合物の添加による協調的な中胚葉遺伝子発現の変化が、効率的なPFCDに寄与している可能性がある。一般的に、心筋分化前期には中胚葉関連遺伝子の発現が増加し、分化後期にはそれらが減少することが知られている。
【実施例】
【0073】
PFCD誘導法によりヒト多能性幹細胞から誘導された心筋細胞における心筋マーカーおよびチャンネルの発現。
定量的PCR法により、PFCD心筋細胞の遺伝子発現を解析した。誘導後7、14、30、60日目において、浮遊条件と接着条件のPFCD心筋細胞(MEFフィーダー培養IMR90-1由来)からトータルmRNAを回収し、定量的PCR法で心筋マーカーとチャネル遺伝子の発現を比較した。心筋マーカー (αMHC, βMHC, cTnT, αActinin, NKX2.5)と 心筋チャネル (KCNQ1, HERG1b, Nav1.5, Cav1.2, Kir2.1)について、すべてのサンプルで遺伝子発現が見られた(ヒト成人心臓由来mRNAにおける各心筋関連遺伝子の発現レベルを1とした)(図4a)。ヒト心筋成熟マーカーとして知られるβMHC や心筋静止膜電位の形成に重要であるKir2.1がヒト成人心臓の発現レベルに比べて1/10程度と低く、このPFCD心筋細胞は実際の成人心臓組織に比べてまだ十分に成熟していないと考えられるが、培養日数と共に発現量が増加する傾向が見られおり、経時的には心筋成熟が進んでいると言える。また、βMHC、αActinin、およびKCNQ1について、接着条件よりも浮遊条件のPFCD心筋細胞の方が、発現量が有意に高かった。このことは、浮遊条件のPFCD心筋細胞の方が接着条件よりも心筋成熟度が進んでいることを示唆している。
【実施例】
【0074】
心室筋マーカーであるMLC2v、心房筋マーカーであるMLC2a、ペースメーカーマーカーであるHCN4、および全心筋細胞のマーカーであるcTnTの抗体染色によるフローサイトメトリーによってPFCD心筋細胞を解析した。分化誘導後30日目のPFCD心筋細胞(MEFフィーダー培養IMR90-1由来)について、浮遊条件と接着条件の比較を行った。MLC2vとMLC2aの2重染色を行った(図4b)ところ、MLC2v単体陽性細胞は約70%、MLC2a単体陽性細胞は0.2-0.3%と浮遊条件と接着条件で差がなかったが、MLC2v/MLC2aの2重陽性細胞は浮遊で約9%、接着で13%と浮遊条件で有意に割合が低かった(図4b、c)。MLC2v/MLC2aの2重陽性細胞は未熟な心室筋細胞と言われており、このことは浮遊条件のPFCD細胞では接着条件に比べて未熟な心室筋細胞が少ないことを示している。また、HCN4陽性細胞(ペースメーカー)は約10%であり、cTnT陽性細胞は約90%であった(図4c)。一次抗体なしで染色した細胞をネガティブコントロールとした。それぞれのサンプルについて30,000個の細胞をFACSCantoIIで解析した。
【実施例】
【0075】
ホールセルパッチクランプ法によりPFCD心筋細胞の電気生理学的解析を行った。分化誘導後30日目のPFCD心筋細胞(MEFフィーダー培養IMR90-1由来)について、浮遊条件と接着条件の比較を行った。まず、活動電位の波形を解析したところ、浮遊条件・接着条件の両方で、RP(静止膜電位)は約-60mV前後 (図4d、e)、APD90(活動電位の持続時間)は約0.7 sec (図4d、g)であり有意な差は無かったが、Amplitude(活動電位の振幅)については浮遊条件が約105mV、接着条件が約90mVであり (図4d、f)、浮遊条件のPFCD心筋細胞の方が有意に高い値を示した。また、INa(電位依存性Naチャネル電流)とICa(電位依存性Caチャネル電流)を比較したところ、INaに関しては浮遊条件の方が有意に高い値を示し (図4h)、ICaについても浮遊条件の方が高い傾向があったが、有意な差は見られなかった (図4i)。さらに、IKr(HERGチャネル電流)とIKs(KCQN1チャネル電流)を解析したところ、IKrには有意な差が見られなかったがIKsに関しては浮遊条件のPFCD心筋細胞の方が高い値を示した (図4j)。また、HERGチャネルの阻害剤であるE4031とKCNQ1チャネル阻害剤であるChromanol293B(C293B)を添加した際の活動電位の持続時間(APD90)の変化を比較解析したところ、E4031を添加した際のAPD90の増加率(APD increase %)には有意な差がなかったが、C293Bを添加した際のAPD90の増加率については、浮遊条件のPFCD心筋細胞の方が接着条件の心筋細胞よりも有意に高い値を示した(図4k)。
【実施例】
【0076】
浮遊条件で有意に値が高かった測定値のうち、AmplitudeとINaは電位依存性Naチャネルの発現量に依存していると考えられ、図4aにおいてNav1.5チャネル(電位依存性Naチャネルのサブタイプ)の発現量が浮遊条件で高い傾向があることと一致した結果となっている。次にIKsはKCQN1チャネル電流であり、APD increase (C293B)もKCNQ1阻害剤であるC293Bの影響であるため、これらの値が浮遊条件で高い値を示すことは、図4aのKCNQ1発現レベルが浮遊条件で有意に高いことと一致している。また、成熟したヒト成人心室筋細胞のRPは-80~-90mVであり、一方PFCD心筋細胞のRPは-60mV程度で、比較的未成熟な浅いRPであったが、これは図4aにおいてRPの形成に重要であるKir2.1の発現量がPFCD心筋細胞において全体的に低い値(ヒト成熟心筋組織の約十分の1)を示していることと一致している。結論としては、RPが浅いなど、ヒト成熟心筋細胞に比べて未成熟な心筋細胞であるものの、遺伝子発現レベルと電気生理学的解析結果の両方の点において、浮遊条件のPFCD心筋細胞の方が接着条件の心筋細胞よりも成熟化が進んでいると言える。
【実施例】
【0077】
PFCD心筋細胞のサルコメア構造の解析
心筋サルコメアのZ盤マーカーであるαActininと、心筋細胞の転写因子マーカーであるNKX2.5について免疫染色を行った(図5a、b)。細胞核はDAPIにより染色した。分化誘導後30日目のPFCD心筋細胞(MEFフィーダー培養IMR90-1由来)について、浮遊条件と接着条件の比較を行った。その結果、αActinin の明瞭な縞模様状の染色パターンが見られる(patterned αActinin、白矢印)心筋細胞と、明瞭なパターンが見られない(un-patterned αActinin、白三角)心筋細胞の2種類が観察された。浮遊条件のPFCD心筋細胞にはpatterned細胞が多く観察されたのに対し、接着条件のPFCD心筋細胞にはpatterned細胞が少なく、un-patterned細胞が多く観察された。
【実施例】
【0078】
PFCD心筋細胞をαActinin 染色した際のpatterned細胞の割合を浮遊条件と接着条件の間で比較した(図5c)。浮遊条件では約80%の心筋細胞がpatterned細胞であったのに対し、接着条件では約50%しかpatterned細胞が見られず、浮遊条件で有意に高い値を示した。
【実施例】
【0079】
電子顕微鏡で細胞内サルコメア構造を確認したところ、Z盤 (黒矢印)、M帯(白矢印)、筋フィラメント (右パネル) が浮遊培養条件の心筋細胞で、整列したより明瞭な構造として観察された(図5d)。これはαActininの免疫染色データと一致した結果となっている。
【実施例】
【0080】
明瞭なサルコメア構造の形成は心筋繊維の成熟化基準の一つであり、これらのデータは、浮遊条件のPFCD心筋細胞の方が、接着条件のPFCD心筋細胞よりも筋繊維構造が成熟していることを示唆している。また、図4aのαActininの遺伝子発現レベルについて、接着条件よりも浮遊条件のPFCD心筋細胞で高い値を示したが、これは浮遊条件のPFCD心筋細胞の方がサルコメア構造が成熟していることによるものである可能性が高いと考えられる。
【実施例】
【0081】
フィーダーフリーおよびゼノフリー条件のヒト多能性幹細胞からの蛋白質フリー心筋分化
フィーダーフリー(ラミニンフラグメント接着法、Miyazaki, T. et al. Laminin E8 fragments support efficient adhesion and expansion of dissociated human pluripotent stem cells. Nat Commun 3, 1236 (2012) (引用により本明細書に含まれる))、かつゼノフリー(Essential8培地、Chen, G. et al. Chemically defined conditions for human iPSC derivation and culture. Nat Methods 8, 424-429 (2011) (引用により本明細書に含まれる))の条件で継代培養したヒトiPS細胞株(IMR90-1、253G1)から浮遊条件PFCD誘導法により得られた細胞の心筋細胞率を調べた(図6a、b)。心筋マーカーであるcTnT抗体で染色し、フローサイトメトリーにより解析した。それぞれのサンプルについて30,000個の細胞をFACSCantoIIで解析した。MEFフィーダー細胞を用いず、動物由来成分を含まないゼノフリーのEssential8培地で培養した未分化iPS細胞株からでも、PFCD誘導が約85%の心筋細胞率で可能であった。上記のフィーダーフリー・ゼノフリーの多能性幹細胞培養法は蛋白質フリーではない(5種類の蛋白質を使用している、上記論文Chen,G. et al参照)ものの、現時点で最も臨床に適した未分化多能性幹細胞の培養法であり、この条件のiPS細胞からPFCD誘導によって得られたこれらの心筋細胞は、現時点で最も臨床グレードの条件を満たしている。
【実施例】
【0082】
図7aおよびbは、MEFフィーダー培養ヒトiPS細胞株(IMR90-1)から浮遊条件のPFCD誘導後14日目の心筋細胞と接着条件のPFCD誘導後14日目の心筋細胞の写真を示す。図7cは、図6のフィーダーフリー・ゼノフリー培養ヒトiPS細胞株(253G1)から浮遊条件のPFCD誘導後14日目の心筋細胞の写真を示す。
【実施例】
【0083】
製造例
SO3031(KY01-I)
【化53】
JP2015182765A1_000057t.gif
2-アミノ-6-ヨードベンゾチアゾール(200mg,0.723mmol)、3,4-ジメトキシフェニル酢酸(157mg,0.795mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3ml)溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(139μl,0.803mmol)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(360mg,0.870mmol)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をエタノールにて再結晶し、2-(2-(3,4-ジメトキシフェニル)アセトアミド)-6-ヨードベンゾチアゾールを167mg、収率50%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ 12.61 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.73-7.69 (m ,1H), 7.54 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.97-6.84 (m, 3H), 3.75-3.72 (m, 8H).
MS (ESI) Found; 455 [M+H]+

【実施例】
【0084】
SO2031(KY02-I)
【化54】
JP2015182765A1_000058t.gif
4-ヨードアニリン(1.00g,4.57mmol)のジクロロメタン(3ml)溶液に、チオカルボニルジイミダゾール(976mg,5.47mmol)を加えて1.5時間、室温にて攪拌した。25%アンモニア水(3ml)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧下で留去し、析出物を濾過して1-(4-ヨードフェニル)チオウレアを889mg、収率59%で得た。
【化55】
JP2015182765A1_000059t.gif
1-(4-ヨードフェニル)チオウレア(889mg,3.19mmol)のクロロホルム(7ml)懸濁液に、臭素(328μl,6.40mmol)を加えて加熱還流し、6時間攪拌した。反応終了後、溶媒を留去し、ジクロロメタンを加えて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去後、析出物を濾過して2-アミノ-6-ヨードベンゾチアゾールを650mg、収率73%で得た。
【化56】
JP2015182765A1_000060t.gif
2-アミノ-6-ヨードベンゾチアゾール(100mg,0.362mmol)、3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロピオン酸(91.4mg,0.435mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(2ml)溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(69.4μl,0.398mmol)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(180mg,0.435mmol)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をエタノールにて再結晶し、2-(3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド)-6-ヨードベンゾチアゾールを83mg、収率48%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ 12.42 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.72-7.69 (m, 1H), 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.85-6.83 (m, 2H), 6.75-6.72 (m, 1H), 3.71 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 2.90-2.76 (m, 4H).
MS (ESI) Found; 469 [M+H]+

【実施例】
【0085】
SO3042(KY03-I)
【化57】
JP2015182765A1_000061t.gif
2-アミノ-6-ヨードベンゾチアゾール(250mg,0.905mmol),4-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタン酸(224mg,0.995mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3ml)溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(174μl,0.995mmol)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(450mg,1.09mmol)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をエタノールにて再結晶し、2-(4-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタンアミド)-6-ヨードベンゾチアゾールを131mg、収率30%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ 12.37 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.72-7.69 (m, 1H), 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.86-6.79 (m, 2H), 6.70 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 2.58-2.48 (m, 4H), 1.96-1.86 (m, 2H).
MS (ESI) Found; 483 [M+H]+

【実施例】
【0086】
SO2077
【化58】
JP2015182765A1_000062t.gif
4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルプロピオン酸(500mg,2.54mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5ml)溶液に、炭酸カリウム(881mg,6.37mmol)、1-ブロモプロパン(692μl,7.65mmol)を加えて、室温にて終夜攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、プロピル 3-(3-メトキシ-4-プロポキシフェニル)プロパノエートを590mg、収率82%で得た。
【化59】
JP2015182765A1_000063t.gif
プロピル 3-(3-メトキシ-4-プロポキシフェニル)プロパノエート(590mg,2.10mmol)を1,4-ジオキサンに溶かし、5mol/l水酸化ナトリウム水溶液(1.68ml)を加えて室温にて終夜攪拌した。反応終了後、6mol/l塩酸を加えて、酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、3-(3-メトキシ-4-プロポキシフェニル)プロピオン酸を438mg、収率87%で得た。
【化60】
JP2015182765A1_000064t.gif
2-アミノ-6-ヨードベンゾチアゾール(200mg,0.723mmol)、3-(3-メトキシ-4-プロポキシフェニル)プロピオン酸(200mg,0.839mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3ml)溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(140μl,0.803mmol)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(360mg,0.870mmol)を加えて終夜、室温にて攪拌した。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をエタノールにて再結晶し、2-(3-(3-メトキシ-4-プロポキシフェニル)プロパンアミド)-6-ヨードベンゾチアゾールを217mg、収率60%で得た。

1H NMR (DMSO-d6): δ 12.42 (s, 1H), 8.38-8.37 (m, 1H), 7.72-7.69 (m, 1H), 7.54-7.51 (m, 1H), 6.85-6.82 (m, 2H), 6.72 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.86-3.82 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 2.87-2.78 (m, 4H), 1.72-1.65 (m, 2H), 094 (t, J = 7.3 Hz, 3H).
MS (ESI) Found; 497 [M+H]+
【実施例】
【0087】
SO3031(KY01-I)、SO2031(KY02-I)、SO3042(KY03-I)、およびSO2077が心筋分化効果を有することを、国際公開第2012/026491号パンフレット(引用により本明細書に含まれる)に記載の実施例と同様の方法により確認した。
図面
【図1a】
0
【図1b】
1
【図1c】
2
【図1d】
3
【図1e】
4
【図1f】
5
【図2a】
6
【図2b】
7
【図2c】
8
【図2d】
9
【図3a】
10
【図3c】
11
【図3d】
12
【図3e】
13
【図3f】
14
【図4a】
15
【図4b】
16
【図4c】
17
【図4d】
18
【図4e】
19
【図4f】
20
【図4g】
21
【図4h】
22
【図4i】
23
【図4j】
24
【図4k】
25
【図5a】
26
【図5b】
27
【図5c】
28
【図5d】
29
【図6】
30
【図7】
31
【図3b】
32