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明細書 :内部品質評価方法、及び内部品質解析システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-059808 (P2018-059808A)
公開日 平成30年4月12日(2018.4.12)
発明の名称または考案の名称 内部品質評価方法、及び内部品質解析システム
国際特許分類 G01N  29/06        (2006.01)
G01N  29/04        (2006.01)
G01N  29/07        (2006.01)
FI G01N 29/06
G01N 29/04
G01N 29/07
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2016-197415 (P2016-197415)
出願日 平成28年10月5日(2016.10.5)
発明者または考案者 【氏名】塩谷 智基
【氏名】西田 孝弘
【氏名】八ツ元 仁
【氏名】小椋 紀彦
出願人 【識別番号】515326321
【氏名又は名称】株式会社CORE技術研究所
【識別番号】505413255
【氏名又は名称】阪神高速道路株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100121603、【弁理士】、【氏名又は名称】永田 元昭
【識別番号】100141656、【弁理士】、【氏名又は名称】大田 英司
【識別番号】100182888、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 弘
【識別番号】100067747、【弁理士】、【氏名又は名称】永田 良昭
審査請求 未請求
テーマコード 2G047
Fターム 2G047AA10
2G047AC00
2G047BA04
2G047BC02
2G047CA03
2G047EA08
2G047FA02
2G047GA14
2G047GG30
2G047GG47
2G047GH06
要約 【課題】評価対象部材に対して一方の主面側から内部の品質を評価できる内部品質評価方法、及び内部品質解析システムを提供することを目的とする。
【解決手段】コンクリート部材100の一方側の表面100aから削孔した有底の小径孔101における底部101aから弾性波を入力するとともに、コンクリート部材100の一方側の表面100aに配置した受信側センサ22で伝搬された弾性波を受信し、受信側センサ22への弾性波の到達時間、及び受信側センサ22と底部101aとの座標入力による相対位置関係に基づいて、コンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を解析し、解析された該弾性波速度分布によって、コンクリート部材100の内部の品質を評価した。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
評価対象部材における一の主面に開口する小径孔の内部及び前記主面のうちの一方における所定の弾性波入力箇所から弾性波を入力するとともに、
前記小径孔の内部及び前記主面のうちの他方における所定の弾性波受信箇所に配置した受信センサで伝搬された前記弾性波を受信し、
前記受信センサが受信した受信情報を所定の要素について演算した演算結果に基づいて前記評価対象部材内部の品質を評価する
内部品質評価方法。
【請求項2】
前記受信センサへの前記弾性波の到達時間、及び
前記受信センサと前記弾性波入力箇所との相対位置関係に基づいて、
前記評価対象部材内部の弾性波速度分布を解析し、解析された該弾性波速度分布によって、前記評価対象部材内部の品質を評価する
請求項1に記載の内部品質評価方法。
【請求項3】
前記小径孔が底部を有する有底小径孔であり、
前記小径孔に、先端が前記底部に当接するように打撃棒を挿入し、
前記一方の主面から露出する前記打撃棒の端部を打撃して、前記先端を介して前記底部より前記弾性波を入力し、
打撃時刻から前記弾性波が前記打撃棒を伝搬する伝搬時間を差し引いて弾性波入力時刻とする
請求項1または2に記載の内部品質評価方法。
【請求項4】
前記受信センサで受信した前記弾性波の前記到達時間と、前記弾性波が伝搬する迂回を考慮した解析による解析到達時間との差が少なくなるように、
前記解析における速度の逆数を調整して前記弾性波速度分布を算出する
請求項3に記載の内部品質評価方法。
【請求項5】
前記受信センサとして、AEセンサを用い、
前記解析が、該AEセンサで受信した前記弾性波を利用する三次元弾性波トモグラフィ解析であり、
前記弾性波速度分布が、弾性波三次元速度分布である
請求項4に記載の内部品質評価方法。
【請求項6】
前記受信センサを複数設けるとともに、前記受信センサ及び前記小径孔の配置に基づく解析要素を設定し、
前記解析要素ごとに算出された前記弾性波速度分布を、統計的に補間する
請求項1乃至5のうちいずれかひとつに記載の内部品質評価方法。
【請求項7】
評価対象部材における一の主面に開口する小径孔の内部及び前記主面のうちの一方における所定の弾性波入力箇所から入力され、前記評価対象部材内部を伝搬する前記弾性波を受信するとともに、前記小径孔の内部及び前記主面のうちの他方における所定の弾性波受信箇所に配置される受信センサと、
前記受信センサが受信した受信情報を所定の要素について演算した演算結果に基づいて前記評価対象部材内部の品質を評価する解析部とが備えられた
内部品質解析システム。
【請求項8】
前記解析部が、前記受信センサへの前記弾性波の到達時間、及び前記受信センサと前記弾性波入力箇所との相対位置関係に基づいて、前記評価対象部材内部の弾性波速度分布を解析する構成であり、
解析された前記弾性波速度分布の弾性波速度分布結果を表示する表示部がさらに備えられた
請求項7に記載の内部品質解析システム。
【請求項9】
前記解析部が、
前記受信センサで受信した前記弾性波の前記到達時間と、前記弾性波が伝搬する迂回を考慮した解析による解析到達時間との差が少なくなるように、前記解析における速度の逆数を調整して前記弾性波速度分布を算出する構成である
請求項8に記載の内部品質解析システム。
【請求項10】
前記受信センサがAEセンサであり、
前記解析が、該AEセンサで受信した前記弾性波を利用する三次元弾性波トモグラフィ解析であり、
前記弾性波速度分布が、弾性波三次元速度分布である
請求項9に記載の内部品質解析システム。
【請求項11】
前記受信センサが複数備えられるとともに、
前記解析部が、
前記受信センサ及び前記小径孔の配置に基づくように設定された解析要素ごとに算出された前記弾性波速度分布を、統計的に補間する構成である
請求項7乃至10のうちいずれかひとつに記載の内部品質解析システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、コンクリート部材などで構成する構造物を構成する評価対象部材を評価する内部品質評価方法、及び内部品質解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート製の橋脚、梁、あるいはカルバートなどのコンクリート部材、シールドトンネルなど、鋼製部材とコンクリート部材との合成部材、さらには鋼製橋梁における鋼製部材などの構造部材では、走行する車両の繰り返し荷重などによる疲労損傷が従来より問題となっている中で、構造部材の維持管理として、非破壊・微破壊試験による内部品質評価の需要が高まってきており、例えば、透過弾性波を利用したトモグラフィ解析によるコンクリート部材の品質評価方法や、特許文献1に示すようなコンクリート構造物の検査方法が提案されている。
【0003】
例えば、透過弾性波を利用したトモグラフィ解析によるコンクリート部材の品質評価方法では評価対象となるコンクリート部材の一方の主面にセンサを設置するとともに、他方の主面から弾性波を入力する必要がある。
【0004】
しかしながら、地下構造物などの評価対象部材に対して一方の主面側、つまり片面側からしかアクセスできない場合、透過弾性波を利用したトモグラフィ解析によるコンクリート部材の品質評価方法を適用することはできなかった。
【0005】
これに対し、特許文献1で提案されたコンクリート構造物の検査方法では、コンクリート部材の上面に所定高さから重錘を落下させた際に測定した振動データから算出した測定フーリエスペクトルと、健全なコンクリート部材に重錘を落下させた際の基準フーリエスペクトルとを比較して、コンクリート部材の劣化具合を判断できるとされているものの、表面から弾性波を入力しているため、コンクリート部材内部の劣化やクラックなどを検出できないおそれがあった。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2008-275520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、評価対象部材に対して一方の主面側から内部の品質を評価できる内部品質評価方法、及び内部品質解析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、評価対象部材における一の主面に開口する小径孔の内部及び前記主面のうちの一方における所定の弾性波入力箇所から弾性波を入力するとともに、前記小径孔の内部及び前記主面のうちの他方における所定の弾性波受信箇所に配置した受信センサで伝搬された前記弾性波を受信し、前記受信センサが受信した受信情報を所定の要素について演算した演算結果に基づいて前記評価対象部材内部の品質を評価する内部品質評価方法であることを特徴とする。
【0009】
あるいは、評価対象部材における一の主面に開口する小径孔の内部及び前記主面のうちの一方における所定の弾性波入力箇所から入力され、前記評価対象部材内部を伝搬する前記弾性波を受信するとともに、前記小径孔の内部及び前記主面のうちの他方における所定の弾性波受信箇所に配置される受信センサと、前記受信センサが受信した受信情報を所定の要素について演算した演算結果に基づいて前記評価対象部材内部の品質を評価する解析部とが備えられた内部品質解析システムであることを特徴とする。
【0010】
上記評価対象部材は、コンクリート部材、鋼製部材あるいはこれらを組み合わせた合成部材などとすることができる。
上述の評価対象部材における一の主面に開口する小径孔の内部及び前記主面のうちの一方における所定の弾性波入力箇所から入力され、前記小径孔の内部及び前記主面のうちの他方における所定の弾性波受信箇所に配置した受信センサで前記評価対象部材内部を伝搬する前記弾性波を受信するとは、主面に開口する小径孔の内部における所定の弾性波入力箇所から入力された場合、前記主面における所定の弾性波受信箇所に配置した受信センサで前記評価対象部材内部を伝搬する前記弾性波を受信することをいい、主面における所定の弾性波入力箇所から入力された場合、前記小径孔の内部における所定の弾性波受信箇所に配置した受信センサで前記評価対象部材内部を伝搬する前記弾性波を受信することをいう。
【0011】
なお、上述の前記小径孔の内部における所定の弾性波入力箇所あるいは所定の弾性波受信箇所は、有底の小径孔の底部、あるいは有底の小径孔や評価対象部材を貫通する小径孔における内周面のいずれかの位置であってもよく、その配置数は適宜決定すればよい。
【0012】
また、前記主面における所定の弾性波入力箇所あるいは所定の弾性波受信箇所は、主面において前記小径孔から適宜の間隔を隔てた位置であれば、その配置は所定の間隔で配置されてもよいし、ランダムに配置されてもよい。さらに、その数は適宜決定すればよい。
【0013】
また、前記受信センサが受信した受信情報を所定の要素は、受信情報における速度、振幅、それらの減衰率あるいはQ値など適宜の要素とすることができる。
上述の前記評価対象部材内部の品質を評価するとは、例えば、疲労や経年劣化等により、評価対象部材の内部における劣化やクラックなどによる品質の低下、あるいは、緻密な状態であるという高品質であることなどを評価することをいう。
【0014】
この発明により、評価対象部材に対して一方の主面側から内部の品質を評価することができる。
詳述すると、評価対象部材における一の主面に開口する小径孔の内部及び前記主面のうちの一方における所定の弾性波入力箇所から弾性波を入力するため、例えば、評価対象部材内部に劣化やクラックなど品質が低下した部分がある場合、評価対象部材の内部を伝搬し、評価対象部材内部の品質が低下した部分の影響を受けた弾性波を、前記小径孔の内部及び前記主面のうちの他方における所定の弾性波受信箇所に配置した受信センサで受信することができる。
【0015】
また、前記受信センサが受信した受信情報を所定の要素について演算した演算結果に基づいて前記評価対象部材内部の品質を評価するため、精度よく評価対象部材の内部の品質を評価することができる。
【0016】
この発明の態様として、前記受信センサへの前記弾性波の到達時間、及び前記受信センサと前記弾性波入力箇所との相対位置関係に基づいて、前記評価対象部材内部の弾性波速度分布を解析し、解析された該弾性波速度分布によって、前記評価対象部材内部の品質を評価することができる。
【0017】
上記弾性波の到達時間は、弾性波入力が評価対象部材に入力された時刻から受信センサが受信する時刻までの時間をいう。
この発明により、前記受信センサへの前記弾性波の到達時間、及び前記受信センサと前記弾性波入力箇所との相対位置関係に基づいて、受信センサで受信した弾性波に関して、前記評価対象部材内部の弾性波速度分布を解析することができる。したがって、解析された該弾性波速度分布によって、前記評価対象部材内部の品質を評価するため、さらに精度よく評価対象部材の内部の品質を評価することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記小径孔が底部を有する有底小径孔であり、前記底小径孔に、先端が前記底部に当接するように打撃棒を挿入し、前記一方の主面から露出する前記打撃棒の端部を打撃して、前記先端を介して前記底部より前記弾性波を入力し、打撃時刻から前記弾性波が前記打撃棒を伝搬する伝搬時間を差し引いて弾性波入力時刻としてもよい。
【0019】
この発明により、容易に小径孔の底部より弾性波を入力できるとともに、前記受信センサへの前記弾性波の到達時間の起点となる弾性波入力時刻を正確に把握することができる。詳述すると、先端が前記底部に当接するように前記小径孔に挿入した打撃棒の記一方の主面から露出する端部を打撃するため、打撃棒を伝搬した弾性波は、前記先端を介して前記底部より評価対象部材内部に入力することができるものの、前記評価対象部材内部の弾性波速度分布を算出するパラメータである前記受信センサへの前記弾性波の到達時間、つまり弾性波入力時刻を打撃時刻とすると、弾性波が打撃棒を伝搬する伝搬時間分長くなり、正確に前記評価対象部材内部の弾性波速度分布を算出することができなくなる。
【0020】
そのため、打撃時刻から前記弾性波が前記打撃棒を伝搬する伝搬時間を差し引いて弾性波入力時刻とすることで、正確な到達時間を把握でき、正確に前記評価対象部材内部の弾性波速度分布を算出することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記受信センサで受信した前記弾性波の前記到達時間と、前記弾性波が伝搬する迂回を考慮した解析による解析到達時間との差が少なくなるように、前記解析における速度の逆数を調整して前記弾性波速度分布を算出してもよい。
この発明により、正確な解析結果を算出することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記受信センサとして、AEセンサを用い、前記解析が、該AEセンサで受信した前記弾性波を利用する三次元弾性波トモグラフィ解析であり、前記弾性波速度分布が、弾性波三次元速度分布であってもよい。
この発明により、前記評価対象部材内部の品質を三次元で評価することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記受信センサを複数設けるとともに、前記受信センサ及び前記小径孔の配置に基づく解析要素を設定し、前記解析要素ごとに算出された前記弾性波速度分布を、統計的に補間してもよい。
この発明により、評価対象部材において広範囲にわたって、前記評価対象部材内部の品質を詳細に評価することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明により、評価対象部材に対して一方の主面側から内部の品質を評価できる内部品質評価方法、及び内部品質解析システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】弾性波速度分布解析システムの概略図。
【図2】弾性波速度分布解析システムの構成ブロック図。
【図3】打撃棒の伝搬時間計測方法の概略図。
【図4】打撃棒の伝搬時間計測結果の説明図。
【図5】弾性波トモグラフィ解析のフロー図。
【図6】供試体の説明図。
【図7】三次元弾性波トモグラフィによる速度分布グラフ。
【図8】高さ方向の弾性波速度の面内平均値の分布グラフ。
【図9】ひび割れの補修及び評価についての説明図。
【図10】V字補修した供試体の解析結果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
図1は弾性波速度分布解析システム1の概略図を示し、図2は弾性波速度分布解析システム1の構成ブロック図を示している。

【0027】
コンクリート部材100の内部の品質を評価するための品質評価方法において用いる弾性波速度分布解析システム1は、図1及び図2に示すように、測定・解析装置10と、弾性波を受信情報として受信するセンサ20とで構成している。

【0028】
測定・解析装置10は、CPUで構成する制御・解析装置11、ROMやRAMで構成する記憶部12、筐体に備えられた操作スイッチ等で構成する操作部13及び、筐体に配置される液晶等の表示部14とで構成している。なお、記憶部12、操作部13及び表示部14は制御・解析装置11に接続され、制御・解析装置11により制御されている。

【0029】
制御・解析装置11は、記憶部12に記憶した各種制御プログラムや解析プログラムと協働して、制御・解析装置11に接続された各機器を制御したり、後述するセンサ20で弾性波振動として受信した受信情報を解析し、解析結果を評価できる解析結果表示グラフ(図7参照)を表示することができる。

【0030】
記憶部12には、上述の各種プログラム、計測した計測データや、計測データに基づいて解析した解析結果等を記憶する。
表示部14は、制御・解析装置11によって解析された解析結果表示グラフなどを表示する液晶モニターである。

【0031】
センサ20は、測定・解析装置10に接続されることにより、制御・解析装置11の制御によって弾性波振動を受信情報として受信し、制御・解析装置11に送信することができるAEセンサで構成し、コンクリート部材100の表面100aに対して適宜の数設けることができる。なお、本実施形態において、センサ20として60kHz共振型センサを用いている。

【0032】
このように構成した弾性波速度分布解析システム1を用いたコンクリート部材100の評価方法には、後述する小径孔101に挿入し、コンクリート部材100の内部に弾性波入力するウエーブガイドとして機能する打撃棒30をさらに用いる。

【0033】
打撃棒30は、小径孔101の深さより長い鋼棒であり、打撃棒30の下端部30aを小径孔101の底部101aに突き当てて挿入した状態で、上端部30bが、コンクリート部材100の表面100aより上方に突出することとなる。

【0034】
このように、弾性波速度分布解析システム1及び打撃棒30を用いたコンクリート部材100の評価方法では、まず、コンクリート部材100の適宜の箇所に小径孔101を形成する。
そして、小径孔101内部に、底部101aに下端部30aが当接し、打撃棒30の他の部分が小径孔101の内側面などの他の部分に接触しないように、小径孔101の内部に打撃棒30を挿入する。

【0035】
この状態で、小径孔101に挿入され、表面100aより上方に突出する打撃棒30の上端部30bを鉄球Hで打撃して弾性波を入力する。
なお、本実施形態においては、コンクリート部材100の表面100aから電動ドリル(図示省略)を用いて深さ200mm、直径12mmの穴を削孔し、小径孔101に対して長さ300mm、直径6mmの鉄製の棒状体である打撃棒30を挿入するとともに、打撃棒30の先端をφ15mmの鉄球Hで打撃した。

【0036】
このように、小径孔101の内側面に接触しないように打撃棒30を配置し、打撃棒30の上端部30bで生じさせた弾性波が打撃棒30を伝搬し、小径孔101の最深部である底部101aからコンクリート部材100の内部へ弾性波を伝搬することができる。

【0037】
なお、鉄球Hの打撃による弾性波の入力について、図3に示すように、打撃棒30の上端部30b付近にセンサ20を設置し、打撃棒30のセンサ位置から打撃棒30の先端への伝搬時間を差し引くことで、小径孔101の底部101aでの弾性波の入力時刻、つまり弾性波入力時刻とする。

【0038】
具体的には、打撃棒30内での伝搬時間の算出に際しては、図3に示すように、コンクリート部材100の表面100aに設置したセンサ20の近傍に打撃棒30を設置し、打撃棒30に設置したセンサ20から表面100aに設置したセンサ20に到達するまでの時間とした。そして、各センサ20で得られた波形から得られる周波数(図4参照)と、既往の打撃球直径と励起弾性波の周波数の関係によるφ15mmの鋼球で打撃した際の弾性波の最大周波数19.4kHzとが概ね一致した。
なお、打撃棒30の上端部30b付近に取り付けたセンサ20を発信側センサ21とし、コンクリート部材100の表面100aに取り付けたセンサ20を受信側センサ22とする。

【0039】
上記要領でそれぞれのセンサ20で得られた弾性波を利用して三次元弾性波トモグラフィ解析を行い、コンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を算出し、算出した弾性波速度分布に基づいてコンクリート部材100の内部の品質を評価するが、その弾性波トモグラフィ解析について図5とともに説明する。

【0040】
弾性波トモグラフィ解析は、大きく『入力データの作成(ステップs1)』、『波線追跡法による到達時間の計算(データ入力:ステップs2)』、及び『局所回帰平滑化による速度分布の補間(ステップs4)』を実行する。
以下で、各ステップについて詳細に説明する。

【0041】
ステップs1では、弾性波トモグラフィ解析を実行するための入力データを作成する。
詳しくは、発信側センサ21から受信側センサ22への弾性波の到達時間、打点(小径孔101の底部101a)及び受信側センサ22の位置、並びに、各解析要素に対する速度を、弾性波トモグラフィ解析を実行するための入力データとする。

【0042】
具体的には、発信側センサ21から受信側センサ22への弾性波の到達時間を計測し、AIC(Akaike’s Information Criterion)法を用いるとともに打撃棒30の伝搬時間を差し引いて弾性波の到達時刻とし、入力データとする。なお、このときの到達時間を計測到達時間とする。

【0043】
また、打点、つまり小径孔101の底部101aの座標値及び受信側センサ22が取り付けられた位置の座標を入力データとし、さらに、コンクリート部材100における評価対象範囲R(図6参照)を、小径孔101及び受信側センサ22の位置に基づいて分割し、複数の解析要素K(図6参照)を設定し、入力データとする。

【0044】
続いて、ステップs1で作成した入力データを、操作部13を用いて弾性波速度分布解析システム1にデータ入力する(ステップs2)。
まず、ステップs1で設定した各解析要素Kに対する速度パラメータとして、速度の逆数(以下において、スローネスという)を設定し、入力する(ステップs21)。なお、本実施形態において、初期の解析要素内の速度を、4000m/secとした。

【0045】
次に、波線追跡法によって解析到達時間を算出する(ステップs22)。
コンクリート部材100中では、弾性波が発信される発信点(本実施形態では底部101a)と、伝搬された弾性波を受信する受信点(本実施形態では発信側センサ21)の間にインピーダンス(密度と伝搬速度の積)の異なるセメントペーストや骨材、境界相、ひび割れ、空げき等が存在するため、コンクリート部材100の内部を透過する弾性波は直線的な経路を取ることは難しく、迂回して伝搬する。

【0046】
そこで、この波線経路をより正確に求めるために、反射や回折による弾性波の迂回を考慮可能な波線追跡法を用いて、解析到達時間を算出する。特に、本実施形態では、より正確に求めるため、Sassaetal.らが提案した弾性波伝搬経路の二次元波線追跡法を三次元に拡張した波線追跡アルゴリズムを用いて解析到達時間を算出した。

【0047】
そして、ステップs22で算出した解析到達時間と、ステップs1で入力データとした実際に計測された到達時間(計測到達時間)の時間誤差を算出し(ステップs23)、算出された時間誤差を評価する(ステップs24)。

【0048】
詳しくは、時間誤差が所定の値より大きい場合(ステップs24:No)、ステップs21に戻って解析要素内のスローネスを変化させ、ステップs22及びステップs23を実行し、時間誤差が所定の値より小さくなるまでこれらを繰り返す。

【0049】
ステップs23で算出された時間誤差が所定の値より小さくなると(ステップs24:Yes)、これらの入力データ等に基づいてコンクリート部材100の内部における各解析要素の速度分布を算出する(ステップs3)。

【0050】
ここで、弾性波トモグラフィ解析では、解析要素を細かく分割することでより細かな情報取得が可能となるが、そのためには、各解析要素を確実に波線が通過するように多数の打点(小径孔101の底部101a)と多数の受信側センサ22を取付ける必要があり、不適切に各解析要素を細かく分割しすぎると解析要素内の波線が少なくなり適切な速度分布が評価できなくなる。

【0051】
そこで、適切な解析要素寸法でより詳細な情報を得るために、上記の波線追跡の結果得られた各解析要素の速度分布を、局所2次回帰平滑化を用いて統計的に補間する(ステップs4)。そして、補間した速度分布を可視化して(ステップs5)、表示部14に表示して、本解析を終了する。

【0052】
さらに、利用者は、表示部14に表示された解析結果に基づいて、コンクリート部材100の内部の品質つまり、損傷状態を評価することとなる。
なお、解析結果に基づく、コンクリート部材100の内部の品質の評価方法については、詳細は省略するが、予め設定された閾値と比較して評価するようにしてもよい。

【0053】
具体的には、解析結果を閾値と比較して、評価対象部材の品質を評価するための閾値としては、値、数式、あるいは、解析結果をグラフ表示した場合における領域などで設定することができる。なお、閾値自体は、実証実験の結果に基づいて設定される閾値、シミュレーション結果に基づく閾値、あるいは実績値に基づく値など適宜の閾値で設定されるとともに、例えば実績値の蓄積や、用途や使用などによって適切に変化する閾値としてもよい。

【0054】
このように実行する解析について実施した、供試体110を用いた実証実験について説明する。
実証実験では、図6に示すように、600×400×250mmの直方体の供試体110を用いた。

【0055】
供試体110は、普通コンクリート部111(W/C:55%、圧縮強度:24N/m)と、上面側の低強度モルタル部112(W/C:60、圧縮強度:15N/m)で構成され、低強度モルタル部112の600×400mmの面に、つまり供試体110の表面110aに複数の受信側センサ22を設置した。

【0056】
なお、供試体110に対して、供試体110の平面図である図6(a)に示すように、受信側センサ22及び小径孔101を配置し、この受信側センサ22及び小径孔101の配置に基づいて評価対象範囲Rを中央部の300×300mm×深さ250mmの範囲とした。

【0057】
また、図6(a)及び正面図である図6(b)において格子状の細破線で示すように、評価対象範囲Rに対する受信側センサ22や小径孔101の位置を考慮し、9×10×7の解析要素、つまり、全部で630個の解析要素Kを設定した。

【0058】
上述のような供試体110を用いた実証実験で得られ、三次元弾性波トモグラフィによって解析された、底部から各高さにおける速度分布を図7に示し、高さ方向の弾性波速度の面内平均値の分布を図8に示す。なお、弾性波速度は、上述の局所回帰平滑化により補間した後のデータを示しており、深さ方向の速度は厚さ5mmの解析要素の平均値を示している。

【0059】
これより、低強度モルタル部112(200mm以上)における弾性波速度は、概ね2500m/sec以下となっており、弾性波速度の変化がほとんどないことが確認された。
一方、普通コンクリート部111では、深くなるほど弾性波速度が上昇している傾向が確認された。

【0060】
また、供試体110では高さ200mmの位置で低強度モルタル部112と普通コンクリート部111に弾性波速度の不連続面が存在していると考えられるが、今回のトモグラフィ結果では弾性波速度の急激な変化は確認されなかった。

【0061】
しかしながら、低強度モルタル部112における弾性波速度は普通コンクリート部111と比較して低く、その層が3次元的に得られていることから、上述の解析により、コンクリート部材100の内部の弾性波速度構造の把握及びそれに基づいた品質評価が可能であることが確認できた。

【0062】
次に、充填工法により補修された供試体120のひび割れ121の周辺に小径孔101を設け、前述と同様の方法で三次元弾性波トモグラフィを適用して実施した実証実験の結果について説明する。

【0063】
図9(a)に示す供試体120は建設後50年弱が経過した壁面を切り出して作成され、厚さ方向に貫通するひび割れ121が生じている(図9(a-1)参照)。なお、供試体120を構成する母材コンクリートの水セメント比は約53%であり、ひび割れ121のひび割れ最大幅は約1.0mmである。そのため、ひび割れ121から常時滲み出し程度の漏水を確認することができる。

【0064】
ひび割れ121の充填に関しては、ひび割れ121とその周辺を面方向に120mm、深部方向に80mm程度V字に掘削し(図9(a-2)参照)、その内部に補修材(水セメント比:25%程度)を充填してV字状の充填部122を形成した(図9(a-3)参照)。

【0065】
そして、充填部122の外側に、直径120mm、深さ200mmの小径孔101を設け(図9(a-4)参照)、供試体120の表面120aに複数の受信側センサ22を装着するとともに(図9(a-5)参照)、小径孔101に打撃棒30を挿入して(図9(a-6)参照)、上述の方法で、鉄球Hで打撃棒30の上端部30bを打撃して弾性波を入力し、表面120aに設置した受信側センサ22で伝搬された弾性波を受信した。

【0066】
なお、供試体120における受信側センサ22の配置及び小径孔101の位置は図9(b),(c)に示すとおりであり、評価対象範囲Rは、供試体120の平面視中央における600mm×600mm、深さ250mmとした。本実施形態において、受信側センサ22として、60kHz共振型センサを5個、表面に設置した。

【0067】
このような供試体120を用いた実証実験によって得られた三次元弾性波トモグラフィ結果として、弾性波トモグラフィによる三次元速度分布を図10(a)に示し、図10(b)に図10(a)に示した断面Aにおける速度分布を示す。

【0068】
図10(a)より、Y軸方向に沿った暖色系の低速度領域を確認し、下面側においては、V字に掘削した断面に沿った形で、斜め方向の暖色系の低速度領域を確認することができる。一方で、供試体120の左側の面(供試体120における充填部122と離れた部位)においては、低速度領域を確認することはできず、全体的に高速度となっていることが確認できた。

【0069】
さらに、図10(b)に示した評価対象範囲Rの中央部となる断面Aの速度分布に着目すると、充填部122の周辺では、弾性波速度が比較的速いのに対し、その周辺において、特に速度の遅い領域が確認され、形状については、掘削されたV字と同様の形状となっていることが確認できた。

【0070】
このように、本発明は、地下構造物のような片面側からしかアクセスできないような構造物に対して、弾性波トモグラフィ手法を適用するために、小径の小径孔101を利用してコンクリート部材100の内部で弾性波を生じさせ、トモグラフィ解析することにより、コンクリート部材100の内部の速度構造を求め、これに基づきコンクリート部材100の内部の品質評価を行う方法及びそのための弾性波速度分布解析システム1である。

【0071】
より具体的には、コンクリート部材100の一方側の表面100aから削孔した有底の小径孔101における底部101aから弾性波を入力するとともに、コンクリート部材100の一方側の表面100aに配置した受信側センサ22で伝搬された弾性波を受信し、受信側センサ22への弾性波の到達時間、及び受信側センサ22と底部101aとの座標入力による相対位置関係に基づいて、コンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を解析し、解析された該弾性波速度分布によって、コンクリート部材100の内部の品質を評価するコンクリート部材100の内部品質評価方法であり、弾性波速度分布解析システム1は、そのため、コンクリート部材100の一方側の表面100aに配置される受信側センサ22と、コンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を解析する制御・解析装置11と、解析された弾性波速度分布の弾性波速度分布結果を表示する表示部14とを備えており、コンクリート部材100に対して一方側の表面100aの側から内部の品質を評価することができる。

【0072】
詳述すると、コンクリート部材100の一方側の表面100aから削孔した有底の小径孔101における底部101aから弾性波を入力するため、例えば、コンクリート部材100の内部に劣化やクラックなど品質が低下した部分がある場合、コンクリート部材100の内部を伝搬し、コンクリート部材100の内部の品質が低下した部分の影響を受けた弾性波を、一方側の表面100aに配置した受信側センサ22で受信することができる。

【0073】
また、受信側センサ22への弾性波の到達時間、及び受信側センサ22と小径孔101の底部101aとの座標入力による相対位置関係に基づいて、受信側センサ22で受信した弾性波に関して、コンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を解析し、解析された該弾性波速度分布によって、コンクリート部材100の内部の品質を評価するため、精度よくコンクリート部材100の内部の品質を評価することができる。

【0074】
また、小径孔101に、下端部30aが底部101aに当接するように打撃棒30を挿入し、一方側の表面100aから露出する打撃棒30の上端部30bを打撃して、下端部30aを介して底部101aより弾性波を入力し、打撃時刻から弾性波が打撃棒30を伝搬する伝搬時間を差し引いて弾性波入力時刻とするため、容易に小径孔101の底部101aより弾性波を入力できるとともに、受信側センサ22への弾性波の到達時間の起点となる弾性波入力時刻を正確に把握することができる。

【0075】
詳述すると、打撃棒30の下端部30aが小径孔101の底部101aに当接するように小径孔101に挿入した打撃棒30の一方側の表面100aから露出する上端部30bを打撃するため、打撃棒30を伝搬した弾性波は、打撃棒30の下端部30aを介して小径孔101の底部101aよりコンクリート部材100の内部に入力することができるものの、コンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を算出するパラメータである受信側センサ22への弾性波の到達時間が長くなる。
つまり弾性波入力時刻を打撃時刻とすると、弾性波が打撃棒30を伝搬する伝搬時間分長くなり、正確にコンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を算出することができなくなる。

【0076】
そのため、打撃時刻から弾性波が打撃棒30を伝搬する伝搬時間を差し引いて弾性波入力時刻とすることで、正確な到達時間を把握でき、正確にコンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を算出することができる。

【0077】
また、受信側センサ22で受信した弾性波の到達時間と、弾性波が伝搬する迂回を考慮した解析による解析到達時間との差が少なくなるように、解析における速度の逆数(スローネス)を調整して弾性波速度分布を算出するため、正確な解析結果を算出することができる。

【0078】
また、受信側センサ22としてAEセンサを用い、AEセンサで受信した弾性波を利用する三次元弾性波トモグラフィ解析を実施し、弾性波速度分布として弾性波三次元速度分布を用いたため、コンクリート部材100の内部の品質を三次元で評価することができる。

【0079】
また、受信側センサ22を複数設けるとともに、受信側センサ22及び小径孔101の配置に基づいて解析要素Kを設定し、解析要素Kごとに算出された弾性波速度分布を、統計的に補間するため、コンクリート部材100において広範囲にわたって、コンクリート部材100の内部の品質を詳細に評価することができる。

【0080】
この発明の構成と、実施形態との対応において、この発明の評価対象部材は、コンクリート部材100に対応し、
以下同様に、
一方の主面は、表面100aに対応し、
所定の弾性波入力箇所は、底部101aに対応し、
所定の弾性波受信箇所は、表面100aにおける所定箇所に対応し、
小径孔は、小径孔101に対応し、
底部は、底部101aに対応し、
受信センサは、受信側センサ22に対応し、
相対位置関係は、座標入力による相対位置関係に対応し、
打撃棒は、打撃棒30に対応し、
打撃棒の端部は、上端部30bに対応し、
打撃棒の先端は、下端部30aに対応し、
解析要素は、解析要素Kに対応し、
解析部は、制御・解析装置11に対応し、
表示部は、表示部14に対応し、
内部品質解析システムは、弾性波速度分布解析システム1に対応し、
速度の逆数は、スローネスに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。

【0081】
例えば、上述の説明では小径孔101に、底部101aに下端部30aが当接するように打撃棒30を挿入し、上端部30bを鉄球Hで打撃し、下端部30aを介して小径孔101の底部101aからコンクリート部材100の内部に弾性波を入力したが、小径孔101の途中の内周面における所定箇所に下端部30aを当接させ、下端部30aの当接箇所から弾性波を入力してもよい。この場合、小径孔101は底部101aを有していても、あるいは底部を有さないコンクリート部材100を貫通する小径孔101であってもよい。

【0082】
また、例えば、上述の説明では小径孔101に挿入した打撃棒30の上端部30bを鉄球Hで打撃し、下端部30aを介して小径孔101の底部101aからコンクリート部材100の内部に弾性波を入力したが、ハンマードリル等の衝撃が付与される削孔装置で小径孔101を削孔し、削孔の際の衝撃でコンクリート部材100の内部に弾性波を入力して、コンクリート部材100の内部の弾性波速度分布を算出し、コンクリート部材100の内部の品質を評価してもよい。

【0083】
さらには、上述の説明では、削孔する小径孔101の位置や削孔されたコンクリート部材100の位置は既知であったが、小径孔101を削孔する際に生じる振動及び削孔中の打撃による弾性波をコンクリート部材100の表面に配置した受信側センサ22で受信して、小径孔101が形成された位置を得るように構成してもよい。

【0084】
具体的には、受信側センサ22をコンクリート部材100の表面に配置するとともに、ニューマチック振動ドリル等の衝撃が付与される削孔装置で小径孔101を所定の長さ削孔して小径孔101を形成する。
なお、ニューマチック振動ドリル等の衝撃が付与される削孔装置は、削孔中において所定の回転数ごとに打撃が付加されることになる。

【0085】
そのため、削孔装置による削孔中、つまり削孔開始時刻から所定深さの削孔が完了する削孔終了時刻まで連続して、伝播された削孔による振動を受信情報として受信側センサ22で取得すると、受信側センサ22で取得した受信情報には、打撃が付加される所定回転ごとに応じた一定間隔で打撃によって生じた弾性波による波形が現れることとなる。

【0086】
そして、前記削孔開始時刻から前記削孔終了時刻までの削孔時間と、受信側センサ22によって取得した受信情報における打撃による波形の数とに基づいて打撃波形の間隔を算出することができる。なお、算出された打撃波形の間隔は、打撃箇所と受信側センサ22との距離によって比例するため、算出された打撃波形の間隔により打撃箇所と受信側センサ22との距離を得ることができる。

【0087】
これを、コンクリート部材100の表面に配置した複数の受信側センサ22で受信した受信情報に基づいて解析することで、削孔装置で削孔して形成した小径孔101の位置を得ることができる。このようにして、削孔中の受信情報によって算出した位置情報に基づいて、上述のコンクリート部材100の内部の品質を評価してもよい。

【0088】
さらにまた、コンクリート部材100に小径孔101を複数設けるとともに、小径孔101の内面に受信側センサ22を配置し、コンクリート部材100の表面100aにおける複数の所定箇所(弾性波入力箇所)を鉄球Hで打撃して弾性波を入力し、小径孔101に設けた受信側センサ22でコンクリート部材100内部を伝搬する弾性波を受信し、コンクリート部材100の内部の品質を評価してもよい。

【0089】
なお、この場合、小径孔101の内周面において深さ方向に所定間隔を隔てて受信側センサ22を複数配置して、深さ方向の複数箇所で弾性波を入力してもよい。
また、コンクリート部材100の表面100aと小径孔101の内周面との両方に受信側センサ22を配置したり、小径孔101の底部101aとコンクリート部材100の表面100aとの両方から弾性波を入力してもよい。

【0090】
さらにまた、上述の説明では、弾性波速度分布解析システム1で評価する評価対象部材としてコンクリート部材100の内部の品質を評価したが、弾性波速度分布解析システム1で評価する評価対象部材としては、コンクリート部材100のみならず、鋼製部材あるいは鋼製部材とコンクリート部材とで構成された合成部材を弾性波速度分布解析システム1で品質を評価してもよい。

【0091】
また、上述の説明では、受信側センサ22で弾性波を受信するとともに、受信した弾性波を利用して三次元弾性波トモグラフィ解析を行い、コンクリート部材100の内部の弾性波三次元速度分布を算出し、算出した弾性波三次元速度分布に基づいて評価対象部材としてのコンクリート部材100の内部の品質を評価したが、弾性波二次元速度分布を算出し、算出した弾性波二次元速度分布に基づいて評価対象部材としてのコンクリート部材100の内部の品質を評価してもよい。さらには、受信した弾性波における振幅や、振幅の減衰率あるいはQ値など適宜の要素に基づいて解析して評価対象部材の内部の品質を評価してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…弾性波速度分布解析システム
11…制御・解析装置
14…表示部
22…受信側センサ
30…打撃棒
30a…下端部
30b…上端部
100…コンクリート部材
100a…表面
101…小径孔
101a…底部
K…解析要素
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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