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明細書 :酸化物イオンを可動イオンとする電極材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-060625 (P2018-060625A)
公開日 平成30年4月12日(2018.4.12)
発明の名称または考案の名称 酸化物イオンを可動イオンとする電極材料
国際特許分類 H01M   4/485       (2010.01)
H01M   4/505       (2010.01)
H01M   4/525       (2010.01)
H01M  10/054       (2010.01)
FI H01M 4/485
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 10/054
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2016-195703 (P2016-195703)
出願日 平成28年10月3日(2016.10.3)
発明者または考案者 【氏名】大久保 將史
【氏名】山田 淳夫
【氏名】田中 庸裕
【氏名】細川 三郎
出願人 【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114188、【弁理士】、【氏名又は名称】小野 誠
【識別番号】100119253、【弁理士】、【氏名又は名称】金山 賢教
【識別番号】100124855、【弁理士】、【氏名又は名称】坪倉 道明
【識別番号】100129713、【弁理士】、【氏名又は名称】重森 一輝
【識別番号】100137213、【弁理士】、【氏名又は名称】安藤 健司
【識別番号】100143823、【弁理士】、【氏名又は名称】市川 英彦
【識別番号】100151448、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 孝博
【識別番号】100183519、【弁理士】、【氏名又は名称】櫻田 芳恵
【識別番号】100196483、【弁理士】、【氏名又は名称】川嵜 洋祐
【識別番号】100203035、【弁理士】、【氏名又は名称】五味渕 琢也
【識別番号】100185959、【弁理士】、【氏名又は名称】今藤 敏和
【識別番号】100160749、【弁理士】、【氏名又は名称】飯野 陽一
【識別番号】100160255、【弁理士】、【氏名又は名称】市川 祐輔
【識別番号】100202267、【弁理士】、【氏名又は名称】森山 正浩
【識別番号】100146318、【弁理士】、【氏名又は名称】岩瀬 吉和
【識別番号】100127812、【弁理士】、【氏名又は名称】城山 康文
審査請求 未請求
テーマコード 5H029
5H050
Fターム 5H029AJ00
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5H050CB12
5H050FA19
5H050HA02
要約 【課題】低コスト、高エネルギー、高出力の蓄電デバイスを実現するため、ナトリウムイオンの挿入・脱離反応に立脚しない全く新しい電極反応機構を用いた二次電池の提供。
【解決手段】式(I)で表される組成を有する酸化物を含む、電極材料。好ましくは、前記酸化物がα-PbO型構造を有し、MがFeであり、XがNbであることが好しい二次電池用電極材料。MXO(I)(Mは、V、Cr、Mn、Fe又はCo;XはNb、Mo、Ru、Rh、又はPd)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の式(I):
MXO (I)
(式中、Mは、V、Cr、Mn、Fe、又はCoであり;Xは、Nb、Mo、Ru、Rh、又はPdである。)で表される組成を有する酸化物を含む、電極材料。
【請求項2】
前記酸化物がα-PbO2型構造を有する、請求項1に記載の電極材料。
【請求項3】
Mが、Feである、請求項1又は2に記載の電極材料。
【請求項4】
Xが、Nbである、請求項1~3のいずれか1に記載の電極材料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1に記載の電極材料を含み、前記酸化物を電極活物質とすることを特徴とする、二次電池用電極。
【請求項6】
請求項5に記載の電極を正極又は負極として含む二次電池。
【請求項7】
ナトリウムイオン電池である、請求項6に記載の二次電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物イオンを可動イオンとする二次電池に用いられる電極材料に関する。また、当該電極材料を含む二次電池用電極、及び当該電極を有する二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車への搭載や再生可能エネルギーの出力平準化用途といった大型蓄電デバイスへの強い需要を背景とし、高価な希少元素を使用しない低コスト大型二次電池の開発が期待されている。しかし、現在開発されているリチウムイオン電池は、希少なリチウムの使用を必須とするために低コスト化や大型化が難しいという問題がある。
【0003】
一方、かかるリチウムイオン電池の代替技術としてナトリウムイオン電池の開発が行われている(例えば、特許文献1)。ナトリウムイオン電池は、リチウムの替わりにナトリウムを用いることから低コスト化が見込まれるものの、一方で、大きく重いナトリウムイオンが充放電の際に電極材料に挿入・脱離される機構であるため、その構造変化に伴う電極特性の劣化が生じやすく、また、重量当たりのエネルギー密度を向上させることも難しいという課題があるのが現状である。
【0004】
したがって、ナトリウムイオンの挿入・脱離反応に立脚せず、ナトリウムイオン電池に利用できる、全く新しい電極反応機構の構築が求められている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2009-266821号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、低コスト、高エネルギー、高出力の蓄電デバイスを実現するため、ナトリウムイオンの挿入・脱離反応に立脚しない全く新しい電極反応機構を用いた二次電池を提供することを課題とするものである。特に、希少金属を使用しない低コスト電極活物質を開発し、かかる二次電池に用いられる電極用材料を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、α-PbO2型構造を有する金属酸化物が、酸化物イオンの脱離挿入反応による電極活物質として機能することを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、一態様において、
<1>以下の式(I):
MXO (I)
(式中、Mは、V、Cr、Mn、Fe、又はCoであり;Xは、Nb、Mo、Ru、Rh、又はPdである。)で表される組成を有する酸化物を含む、電極材料;
<2>前記酸化物がα-PbO2型構造を有する、上記<1>に記載の電極材料;
<3>Mが、Feである、上記<1>又は<2>に記載の電極材料;及び
<4>Xが、Nbである、上記<1>~<3>のいずれか1に記載の電極材料;
を提供するものである。
【0009】
別の態様において、本発明は、
<5>上記<1>~<4>のいずれか1に記載の電極材料を含み、前記酸化物を電極活物質とすることを特徴とする、二次電池用電極;
<6>上記<5>に記載の電極を正極又は負極として含む二次電池;及び
<7>ナトリウムイオン電池である、上記<6>に記載の二次電池
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ナトリウムイオンの挿入・脱離反応に立脚しない、酸化物イオンの挿入・脱離という全く新しい電極反応機構を利用する電極を提供することができる。
【0011】
これにより、リチウム等希少金属を使用することなく、かつ、従来のナトリウムイオン電池における低エネルギー密度やサイクル劣化の問題を解決し、低コスト、高エネルギー、高出力の蓄電デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の電極材料における活物質であるFeNbOの粉末X線回折パターンを示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の電極材料における活物質であるFeNbOの走査型電子顕微鏡画像(SEM像)である。
【図3】図3は、本発明のFeNbOを活物質とする電極で得られた(a)充放電曲線を示すグラフ、及び(b)サイクル特性を示すグラフである。
【図4】図4は、充放電中のFeNbOのメスバウアースペクトルを示すグラフである。
【図5】図5は、充放電中のFeNbOのX線回折パターンを示すグラフである。
【図6】図6は、FeNbOのO1sXPSスペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。

【0014】
1.電極材料
(1)活物質
本発明に係る電極材料は、活物質として、α-PbO2型構造を有する遷移金属酸化物であって、具体的には、以下の式(I):
MXO (I)
で表される組成を有する酸化物を含むことを特徴としている。

【0015】
式中、Mは、第4周期の遷移金属から選択される元素であり、具体的には、V、Cr、Mn、Fe、又はCoである。安価で入手が容易であり、また環境への負荷が少ないこと等から、Mは、好ましくはFe(鉄)である。Xは、第5周期の遷移金属から選択される元素であり、具体的には、Nb、Mo、Ru、Rh、又はPdであり、好ましくはNbである。最も典型的な例では、MがFeであり、XがNbであり、この場合、式(I)の酸化物は、FeNbOである。

【0016】
上記式(I)で表される組成を有する酸化物は、いわゆる「α-PbO2型構造」と呼ばれる3次元構造を有する。かかるα-PbO2型構造では、遷移金属であるM及びXは、酸化物イオンに6配位されている。一方、配位した酸化物イオンは、MO八面体又はXO八面体との稜共有に供されると同時に、別のMO八面体又はXO八面体と頂点共有にも供されて3次元構造を形成している。

【0017】
本願発明では、α-PbO2型構造の上記式(I)の酸化物について、ナトリウムイオンの挿入脱離反応ではなく、酸化物イオンの挿入脱離反応により電極活物質として機能させることを見出したことを特徴とするものである。

【0018】
酸化物イオンの挿入脱離反応の具体的な電極反応は、以下のように表すことができる。
2xNa+2xe+MXO ⇔ (Na2O)(MXO4—x
式中、xは、0<x<4の範囲である。

【0019】
本発明の電極材料に含まれる式(I)の酸化物は、クエン酸を含むメタノールへM、およびXを溶解して室温で30分撹拌、更にエチレングリコールを加え80℃で5時間撹拌し、その後、350℃で3時間、500℃で5時間焼成することで得ることができる。かかる焼成行程は、当該技術分野において公知の手段を用いて行うことができる。

【0020】
(2)その他の電極材料
本発明の電極材料は、活物質として上記式(I)の酸化物を含有するものであり、当該酸化物のみを含有するものであっても良く、また、これに加えて、電極のレート特性の向上等のために、公知の導電性材料および結着材の少なくとも一方を含有するものであっても良い。これらを電極集電体に担持させて電極を製造することができる。例えば、活物質、バインダー等を含有するスラリーを調製し、これを集電体上に塗布し、乾燥させることにより製造することができる。電極に用いられる電極活物質は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。

【0021】
導電性材料としては、例えば、炭素材料、金属繊維等の導電性繊維、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末、有機導電性材料を使用することができる。炭素材料として、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー等を使用することができる。また、芳香環を含む合成樹脂、石油ピッチ等を焼成して得られたメソポーラスカーボンを使用することもできる。有機導電性材料としては、ポリフェニレン誘導体、
ポリピロール、ポリアクリロニトリル等の導電性ポリマーが挙げられる。電極として使用する際の導電性の高さの観点で、アセチレンブラックが好適である。

【0022】
導電性材料を含有させる場合、これを活物質とともに粉砕・混合することによって電極を調製することができる。かかる粉砕・混合は、特に限定されるものではないが、振動ミル、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機を用いて行うことが可能である。粉末状の活物質を用いて電極を形成する方法としては、ドクターブレード法や圧着プレスによる成型方法等を用いることができる。

【0023】
また、好ましい態様では、導電性材料を含有する場合、当該導電性材料によって活物質を被覆することもできる。かかる被覆を行う方法としては、導電性材料または導電性材料の前駆体を含む液体中に活物質の粉体を浸し、その後熱処理することで当該活物質の粉体表面に導電性材料を析出させる手法が挙げられる。或いは、導電性材料または導電性材料の前駆体を含む気相中に、活物質の粉体を流動させる、必要に応じてその後熱処理を行う手法を用いることも可能である。活物質を導電性材料で被覆することによって、大きな電流を加えた際の容量の低下を抑制し、高負荷特性化において有益である。

【0024】
当該被覆に使用可能な導電性材料としては、カーボン、グラファイト、気相成長カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、リン化鉄、導電性酸化物、導電性ポリマー(ポリピロール、ポリアクリロニトリル等)などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。

【0025】
結着剤(バインダー)としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)等のフッ素系樹脂;スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)等のゴム系結着剤;或いは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを好ましく用いることができる。

【0026】
電極集電体としては、Al、Ni、Cu、ステンレスなどを用いることができる。電極集電体に電極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法、または有機溶媒などを用いてペースト化し、電極集電体上に塗工し、乾燥後プレスするなどして固着する方法が挙げられる。ペースト化する場合、電極活物質、導電性材料、結着剤、有機溶媒からなるスラリーを作製する。

【0027】
本発明の電極材料によって得られる電極は、正極又は負極のいずれとしても用いることができるが、好ましくは正極である。その場合、二次電池の負極としては、当該技術分野において公知の電極構成を用いることができる。

【0028】
例えば、二次電池がナトリウムイオン電池の場合には、負極としては、電気化学的にナトリウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含む電極を用いることができる。このような負極活物質としては、公知のナトリウムイオン二次電池用負極活物質を用いることができ、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、非晶質炭素等の炭素質材料が挙げられる。また、ナトリウムイオン金属、又はナトリウムイオン元素を含む合金、金属酸化物、金属窒化物等を用いることもできる。導電性材料や結着剤等のその他の成分は上述のとおりである。

【0029】
本発明の電極材料によって得られる電極を負極として用いる場合にも、正極は当該技術分野において公知のものを用いることができる。

【0030】
2.二次電池
本発明の電極材料によって得られる電極を含む二次電池は、上記式(I)の酸化物を活物質として含む電極を正極又は負極として、好ましくは正極として備えてなるものである。二次電池は、正極、負極、電解液、セパレータその他の構成物で構成される。

【0031】
(1)電解液
本発明の電極材料によって得られる電極を含む二次電池において、電解液は、公知のものを用いることができる。例えば、ナトリウムイオン電池の場合には、電解液は、ナトリウム塩又はリチウム塩を電解質とするものであれば特に限定されない。例えば、当該電解質となるナトリウム塩としては、例えば、NaClO、NaPF、NaBF、NaNO、NaOH、NaCl、NaCF3SO3、NaN(SO2CF32、NaSO及びNaS等が挙げられる。これらのナトリウム塩は、各々単独で用いることもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。

【0032】
電解液における溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート、4-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、1,2-ジ(メトキシカルボニルオキシ)エタンなどのカーボネート類;1,2-ジメトキシエタン、1,3-ジメトキシプロパン、ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルジフルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、γ-ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類;3-メチル-2-オキサゾリドンなどのカーバメート類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3-プロパンサルトンなどの含硫黄化合物、あるいは上記の有機溶媒にさらにフッ素置換基を導入したものを用いることができる。これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、これらに限定されるものではない。

【0033】
また、前記電解液の代わりに、固体電解質を用いることもできる。固体電解質としては、例えばポリエチレンオキサイド系の高分子化合物、ポリオルガノシロキサン鎖もしくはポリオキシアルキレン鎖の少なくとも1種以上を含む高分子化合物などの高分子電解質が挙げられる。また、上記電解液にポリマーを添加してゲル化させた非水ゲル電解質の形態で用いることもできる。本発明のナトリウムイオン二次電池において、固体電解質を用いる場合には、固体電解質が後述のセパレータの役割を果たす場合もあり、その場合には、セパレータを必要としないこともある。

【0034】
また、電解液には、その機能の向上等の目的で、必要に応じて他の成分を含むこともできる。他の成分としては、例えば、従来公知の過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤、高温保存後の容量維持特性およびサイクル特性を改善するための特性改善助剤が挙げられる。

【0035】
過充電防止剤としては、例えば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソールおよび2,6-ジフルオロアニオール等の含フッ素アニソール化合物が挙げられる。過充電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

【0036】
電解液が過充電防止剤を含有する場合、電解液中の過充電防止剤の含有量は、0.01~5質量%であることが好ましい。電解液に過充電防止剤を0.1質量%以上含有させることにより、過充電による二次電池の破裂・発火を抑制することがさらに容易になり、二次電池をより安定に使用できる。

【0037】
脱水剤としては、例えば、モレキュラーシーブス、芒硝、硫酸マグネシウム、水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムアルミニウム等が挙げられる。本発明の電解液に用いる溶媒は、前記脱水剤で脱水を行った後に精留を行ったものを使用することもできる。また、精留を行わずに前記脱水剤による脱水のみを行った溶媒を使用してもよい。

【0038】
高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための特性改善助剤としては、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、N,N-ジメチルメタンスルホンアミド、N,N-ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1-メチル-2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピペリドン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルスクシイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;フルオロ炭酸エチレン(FEC)、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物が挙げられる。これら特性改善助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。電解液が特性改善助剤を含有する場合、電解液中の特性改善助剤の含有量は、0.01~5質量%であることが好ましい。

【0039】
(2)セパレータ
本発明の二次電池において用いられるセパレータとしては、正極層と負極層とを電気的に分離する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シートや、不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等の多孔質絶縁材料等を挙げることができる。

【0040】
(3)形状等
本発明の二次電池の形状は、正極、負極、及び電解液を収納することができれば特に限定されるものではないが、例えば、円筒型、コイン型、平板型、ラミネート型等を挙げることができる。また、電池を収納するケースは、大気開放型の電池ケースであっても良く、密閉型の電池ケースであっても良い。

【0041】
なお、本発明の二次電池は、二次電池としての用途に好適ではあるが、一次電池として用いることを除外するものではない。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0043】
1.酸化物の合成
クエン酸を含むメタノールへFe、およびNbを溶解して室温で30分撹拌、更にエチレングリコールを加え80℃で5時間撹拌し、その後、350℃で3時間、500℃で5時間焼成することで、α-PbO2型FeNbOを得た。
【実施例1】
【0044】
得られた酸化物の粉末X線回折パターンを測定した結果を図1に示す。その結果、α-PbO2型FeNbOの結晶構造からシミュレートされる回折パターンと一致し、α-PbO2型FeNbOが合成されたことが確認された。また、ブロードな回折ピークから、結晶子サイズが小さなナノ粒子であることが示唆された。また、走査型電子顕微鏡像(SEM像)を測定したところ、微小な凝集体であることが確認され、粉末X線回折のブロードな回折ピークの結果と整合するものであった(図2)。
【実施例2】
【0045】
2.電気化学特性の評価
得られたFeNbOを用いて、アセチレンブラック10wt%、ポリフッ化ビニリデン5wt%と混合することで、ナトリウムイオン電池用電極を作成した。電解液には、1MのNaPF/エチレンカーボネート-ジエチルカーボネート(体積比1:1)の電解液を用いた。負極/参照極には、反応電圧を正確に記録するためにナトリウム金属を用いた。
【実施例2】
【0046】
まず、10mA/g(活物質)の定電流での充放電試験を行ったところ、初回の還元電流印加時には低電位での電解液の分解、界面層(安定表面被膜)の形成が見られた(図3a)。その後は、FeNbOに対して0.6eに相当する充放電容量を示し、可逆的な電極として機能することを確認した。
【実施例2】
【0047】
また、80回の充放電サイクルを繰り返しても充放電容量は減少せず、安定な電極反応であることが確認された(図3)。ここで得られた充放電容量は、酸化物イオンの挿入・脱離による電極反応であると考えられる。
【実施例2】
【0048】
次に、電極反応機構を明らかにするために、充放電時の電子状態変化を57Feメスバウアー分光法による測定を行った(図4)。その結果、充放電に伴って、60%のFeが、Fe3+/Fe2+のの酸化還元反応を示すことが確認された。すなわち、図3aで得られた0.6eに相当する可逆な充放電容量は、FeNbO中におけるFeの酸化還元が担っていることが分かった。
【実施例2】
【0049】
さらに、充放電中のX線回折パターンを測定し、その構造変化を検証した。得られた結果を図5に示す。その結果、充放電に伴って回折ピークがシフトし、固溶状態で電極反応が進行していることが確認された。その際の格子体積変化は、6%程度であった。
【実施例2】
【0050】
充放電に伴いNaOの生成・消滅を確認するため、O1sXPSスペクトルを測定した。その結果、得られた電極反応が、ナトリウムイオン挿入によるものではなく、酸化物イオンの挿入・脱離によるものであることが確認された。1Vまで還元電流を印加した場合、NaOに対応する528eVのピークが明瞭に確認され、また、4.0Vまで酸化したところ、NaOのピーク強度は低下した。この結果は、酸化物イオンが可動イオンとして機能し、
2xNa+2xe+FeNbO ⇔ (NaO)(FeNbO4—x
の反応が生じていることを示すものである。
【実施例2】
【0051】
以上の実施例は、α-PbO2型構造を有する式(I)の酸化物を活物質として用いることで、ナトリウムイオンの挿入脱離に立脚せずに、酸化物イオンの挿入脱離という全く新しい電極反応によって安定な可逆容量が得られ、ナトリウムイオン電池を達成できることを実証するものである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5