TOP > 国内特許検索 > 光音響イメージング装置 > 明細書

明細書 :光音響イメージング装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-015262 (P2018-015262A)
公開日 平成30年2月1日(2018.2.1)
発明の名称または考案の名称 光音響イメージング装置
国際特許分類 A61B   8/13        (2006.01)
A61B   8/06        (2006.01)
A61B   5/1455      (2006.01)
FI A61B 8/13
A61B 8/06
A61B 5/14 322
請求項の数または発明の数 20
出願形態 OL
全頁数 28
出願番号 特願2016-148065 (P2016-148065)
出願日 平成28年7月28日(2016.7.28)
発明者または考案者 【氏名】布留 守敏
【氏名】椎名 毅
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100145872、【弁理士】、【氏名又は名称】福岡 昌浩
【識別番号】100091362、【弁理士】、【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
【識別番号】100187632、【弁理士】、【氏名又は名称】橘高 英郎
審査請求 未請求
テーマコード 4C038
4C601
Fターム 4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM03
4C038KX01
4C601BB03
4C601DD03
4C601DE16
4C601EE07
4C601EE10
4C601EE13
4C601JC13
4C601JC20
4C601JC30
4C601KK15
4C601KK24
4C601KK25
4C601KK27
4C601KK31
要約 【課題】診断者や被検者等にとって好適な態様で画像表示を行うことができる光音響イメージング装置を提供する。
【解決手段】被検体の少なくとも一つの部位を被検部位とし、前記被検部位に光を照射して得られる光音響波の検出信号を解析して、前記被検部位の音圧分布または当該音圧分布からの導出情報分布を画像化した光音響画像を得る画像再構成部13と、前記画像再構成部13で得た前記光音響画像と当該光音響画像についての判断に用いられる関連性を有した関連画像との合成画像、または、前記画像再構成部13で得た複数の前記光音響画像で互いに対をなすもの同士の合成画像を、出力画像として生成する画像編集部14と、前記画像編集部14が生成した前記出力画像の表示出力を行う画像表示部15と、を備えて光音響イメージング装置10を構成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
被検体の少なくとも一つの部位を被検部位とし、前記被検部位に光を照射して得られる光音響波の検出信号を解析して、前記被検部位の音圧分布または当該音圧分布からの導出情報分布を画像化した光音響画像を得る画像再構成部と、
前記画像再構成部で得た前記光音響画像と当該光音響画像についての判断に用いられる関連性を有した関連画像との合成画像、または、前記画像再構成部で得た複数の前記光音響画像で互いに対をなすもの同士の合成画像を、出力画像として生成する画像編集部と、
前記画像編集部が生成した前記出力画像の表示出力を行う画像表示部と、
を備える光音響イメージング装置。
【請求項2】
前記光音響画像は、少なくとも最大値投影画像を含む
請求項1に記載の光音響イメージング装置。
【請求項3】
前記画像再構成部は、前記光の照射方向の任意深さにおける当該照射方向に垂直な断面画像を前記光音響画像とする
請求項1または2に記載の光音響イメージング装置。
【請求項4】
前記画像再構成部は、前記光音響画像として、前記光の照射方向に垂直な断面画像を当該照射方向に沿って複数得るものであり、
前記画像表示部は、前記出力画像の一部として、複数の前記断面画像の連続的な表示切り替えを行うものである
請求項1から3のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項5】
前記関連画像は、前記光音響画像または前記光音響画像の基になった前記検出信号から導き出される数値化情報を画像化した数値化画像である
請求項1から4のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項6】
前記数値化情報は、前記被検部位の血流の状態を数値化した情報である
請求項5に記載の光音響イメージング装置。
【請求項7】
前記数値化情報は、前記被検部位における血液の酸素飽和度を数値化した情報である
請求項5または6に記載の光音響イメージング装置。
【請求項8】
前記合成画像は、人体の両手または両足についての一対の前記光音響画像を並べた画像である
請求項1から4のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項9】
前記合成画像は、人体の手または足の表裏のそれぞれについての前記光音響画像を並べた画像である
請求項1から4のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項10】
前記画像再構成部で得た前記光音響画像を記憶する画像記憶部または前記画像記憶部に接続するインタフェース部の少なくとも一方を備えるとともに、
前記画像編集部は、前記被検部位について前記画像記憶部に記憶されている前記光音響画像を前記画像記憶部から読み出して前記関連画像とする
請求項1から4のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項11】
前記合成画像は、人体の手または足について、異なる時期に得た各光音響画像を時系列に沿って並べた画像である
請求項10に記載の光音響イメージング装置。
【請求項12】
前記画像表示部による表示出力内容を選択するための入力操作部を備える
請求項1から11のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項13】
前記被検部位における関節部の炎症を伴う疾患の診断に用いられる
請求項1から12のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項14】
前記疾患は、関節リウマチである
請求項13に記載の光音響イメージング装置。
【請求項15】
前記被検体の四肢先端部の少なくとも一つを前記被検部位とする
請求項1から14のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項16】
前記被検部位が手である
請求項15に記載の光音響イメージング装置。
【請求項17】
前記被検部位が手関節とMP関節とを含む領域である
請求項15または16に記載の光音響イメージング装置。
【請求項18】
前記被検部位がPIP関節を含む領域である
請求項15から17のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項19】
前記被検部位がDIP関節を含む領域である
請求項15から18のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
【請求項20】
前記合成画像の初期表示の際に、当該合成画像を構成する各画像の向きおよび倍率を統一して表示出力を行う
請求項1から19のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば医療分野において、光音響効果を用いて被検体内部を画像化するイメージング技術を利用することが提案されている(例えば特許文献1参照)。光音響効果とは、物体にパルス光を照射すると、光エネルギーを吸収した分子が熱を放出し、その熱による体積膨張で音響波が発生する現象である。このような光音響効果を用いたイメージング技術は、光音響トモグラフィ(PAT:Photoacoustic Tomography)とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2014-100456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PATにより得られた画像(以下「PAT画像」ともいう。)を医療分野において利用する場合には、そのPAT画像の表示内容に基づいて被検部位の状態が診断されることになる。したがって、表示される画像は、診断を行う診断者(医師等)にとって、その診断を簡便かつ適切に行い得るものであることが求められる。また、診断を受ける被検者(患者等)にとっても、診断者による診断内容を容易に理解し得るものであることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、診断者や被検者等にとって好適な態様で画像表示を行うことができる光音響イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
被検体の少なくとも一つの部位を被検部位とし、前記被検部位に光を照射して得られる光音響波の検出信号を解析して、前記被検部位の音圧分布または当該音圧分布からの導出情報分布を画像化した光音響画像を得る画像再構成部と、
前記画像再構成部で得た前記光音響画像と当該光音響画像についての判断に用いられる関連性を有した関連画像との合成画像、または、前記画像再構成部で得た複数の前記光音響画像で互いに対をなすもの同士の合成画像を、出力画像として生成する画像編集部と、
前記画像編集部が生成した前記出力画像の表示出力を行う画像表示部と、
を備える光音響イメージング装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、診断者や被検者等にとって好適な態様で画像表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る光音響イメージング装置の概略構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光音響イメージング装置の筐体構成の例を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る光音響イメージング装置における基本的な処理動作例の手順を示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光音響イメージング装置において被検部位となる箇所の一具体例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光音響イメージング装置において数値化情報を取得する際の処理動作例を示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る光音響イメージング装置にて表示出力される出力画像の一具体例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る光音響イメージング装置にて表示出力される出力画像の他の具体例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る光音響イメージング装置にて表示出力される出力画像のさらに他の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

【0010】
(1)光音響イメージング装置の概要
光音響イメージング装置は、光音響効果を用いて被検体内部を画像化して表示出力するように構成されたものである。さらに詳しくは、被検体にパルス光を照射して、その被検体の組織が照射光のエネルギーを吸収した結果により生じる光音響波(超音波)を受信し、その光音響波の時間変化を数学的に解析することで、被検体内部の音圧分布または音圧分布からの導出情報の分布を可視画像化して出力するものである。

【0011】
本実施形態においては、光音響イメージング装置が医療分野で用いられる場合、すなわち人体を被検体とし、その被検体の少なくとも一つの部位を被検部位とする場合を例に挙げる。特に、本実施形態では、被検体の少なくとも一つの部位として、その被検体の四肢先端部および身体突出部の少なくとも一つを被検部位とする場合を例に挙げる。ここでいう「四肢先端部」とは、人体の四肢(手足)の先端部分、具体的には、手首または足首から先の部分のことである。また、ここでいう「身体突出部」とは、身体の中で隆起または突出した部位をいい、具体的には乳房や耳等である。なお、「四肢先端部および身体突出部の少なくとも一つ」であるから、被検部位は四肢先端部や身体突出部等における少なくとも一つの部位を含んでいればよく、例えば、片手または片足の先端部分のみならず、両手両足の先端部分が被検部位となる場合も含まれる。

【0012】
このような被検部位についての画像化を行う光音響イメージング装置は、被検部位(例えば四肢先端部または身体突出部)における関節部の炎症を伴う疾患の診断に用いることが考えられる。「関節部の炎症を伴う疾患」としては、例えば、関節部の滑膜に炎症が発生する関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、乾癬性関節炎、変形性関節症や、関節部の周辺の炎症(関節炎)を伴う糖尿病、パルボウイルス・風疹ウイルスによるウイルス感染、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、皮膚筋炎、多発性筋炎、強皮症などの全身性結合組織病、腱鞘炎、腱付着部炎、肩関節周囲炎、滑液包炎などの関節周囲の炎症、痛風、偽痛風などの結晶誘発性関節炎、反応性関節炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎、強直性関節炎、炎症性腸疾患関連関節炎などの血清反応陰性脊椎関節炎、ベーチェット病、血管炎症候群、成人発症スチル病、結節性紅斑などの全身性結合組織病、回帰リウマチ、サルコイドーシス、RS3PE(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema)などのリウマチ性疾患、細菌性関節炎、結核性関節炎などの感染に伴う関節炎、リウマチ熱、再発性多発軟骨炎などの全身性結合組織病、腫瘍随伴症侯群のような悪性腫瘍、アミロイドーシス、感染性心内膜炎、複合性局所疼痛症候群、更年期障害、線維筋痛症のようなその他の疾患等が挙げられる。本実施形態では、診断対象となる疾患が関節リウマチである場合を例に挙げて、以下の説明を行う。

【0013】
(2)光音響イメージング装置の構成
図1は、本実施形態に係る光音響イメージング装置の概略構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図例のように、本実施形態に係る光音響イメージング装置10は、少なくとも、光源部11と、センサ部12と、データ収集システム(DAS:Data Acquisition System)部13と、画像再構成部14と、画像編集部15と、画像表示部16と、インタフェース(I/F)部17と、制御部18と、を備えて構成されている。

【0014】
(光源部)
光源部11は、被検部位に照射するパルス光(極短パルス光)を発するもので、公知の光源(例えばレーザ光源装置)を用いて構成されたものである。具体的には、例えば、Nd-YAGレーザ、Tiサファイヤレーザ、アレキサンドライトレーザ、GaAs半導体レーザが用いられる。パルス幅としては、例えば100ns以下が好適な条件である。パルス出力としては、照射面積や繰り返し周波数に依存するが、例えば数十マイクロジュール/パルスから100ミリジュール/パルスが好適な範囲である。また、パルス光の皮膚への照射強度は、最大許容露光量を超えない範囲で行う。パルス光の波長は、例えば400nm以上、1600nm以下が好適な範囲である。さらには、生体内において吸収が少ない700nmから1100nmの範囲がより好適な範囲である。なお、光源部11は、詳細を後述するように、複数の波長のパルス光の選択的な出射に対応しているものとする。

【0015】
(センサ部)
センサ部12は、被検部位となる四肢先端部または身体突出部を挿入するための挿入口12aを具備した被検出空間(ただし不図示)を有しており、その被検出空間内に配された被検部位に対して光源部11からのパルス光を照射するとともに、その照射によって得られる被検部位からの光音響波(超音波)を圧電変換素子等で受信して、光音響波の検出信号を得るものである。なお、センサ部12の具体的な構成(圧電変換素子の種類や配置等)については、公知技術を利用したものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。

【0016】
(DAS部)
DAS部13は、センサ部12からの検出信号に対する信号処理を行うものである。DAS部13が行う信号処理としては、例えば、微小アナログ信号をデジタル信号に変換する処理がある。

【0017】
(画像再構成部)
画像再構成部14は、例えば所定プログラムを実行するプロセッサによって構成されたもので、センサ部12で得た検出信号に基づいて画像再構成を行うものである。画像再構成とは、検出信号から数学的手法によって画像を復元することをいう。つまり、画像再構成部14は、被検部位から得られた光音響波の検出信号を解析して、その被検部位の音圧分布または音圧分布からの導出情報の分布を画像化するものである。

【0018】
被検部位の音圧分布の画像化は、例えば、以下のようにして行えばよい。
被検体内部の光吸収体から発生する初期音圧Pは、下記の(1)式で表される。
=Γ・μ・φ=Γ・μ・φ・exp(-μeff・r)・・・(1)
ここで、Γはグリューナイゼン係数、μは光吸収体の吸収係数、φは光吸収体に吸収された局所的な光量、μeffは被検体の平均的な等価減衰係数、φは被検体に入射した光量である。また、rは光源部11からの光が照射された領域から光吸収体までの距離、つまり光吸収体の深さである。なお、光吸収体から発生する超音波の周波数が低い場合には、被検体内部での超音波の減衰は無視できるので、センサ受信音圧は、吸収体での初期音圧に対応する。
センサ受信波形の微分波形は、吸収体を球と仮定すると、音圧に比例した波形となる。この波形をバックプロジェクション法で重ね合わせて、空間的な画像再構成を行えば、初期音圧の三次元画像を構成することができる。

【0019】
また、音圧分布からの導出情報分布の画像化は、以下のようにして行えばよい。
例えば、導出情報分布が被検体内部の光吸収係数分布である場合、すなわち光吸収係数分布μの三次元画像を得る場合には、被検体の平均的な等価減衰係数μefffを上記の(1)式に代入して、光吸収係数μを求めれば、三次元画像を構成することができる。
音圧分布からの導出情報としては、光吸収係数の他に、例えば、被検体内部を流れる血液のヘモグロビンの酸素飽和度が挙げられる。ヘモグロビンの酸素飽和度は、次のように計算される。ある照射波長λとλでのヘモグロビンの吸収係数は、上記の(1)式において、吸収係数μ(λ)、μ(λ)として測定される。また、オキシヘモグロビンのモル吸収係数εHbO2(λ)、εHbO2(λ)とデオキシヘモグロビンのモル吸収係数εHbR(λ)、εHbR(λ)、オキシヘモグロビンの濃度[HbO2]とデオキシヘモグロビンの濃度[HbR]とから、吸収係数μ(λ)、μ(λ)は、次のように表される。
μ(λ)=εHbO2(λ)・[HbO2]+εHbR(λ)・[HbR]
μ(λ)=εHbO2(λ)・[HbO2]+εHbR(λ)・[HbR]
これらの式から、オキシヘモグロビンの濃度[HbO2]とデオキシヘモグロビンの濃度[HbR]が計算される。そして、これらの濃度を利用すれば、酸素飽和度SO2(x,y,z)は、下記の(2)式で計算される。
SO2(x,y,z)=[HbO2(x,y,z)/([HbO2(x,y,z)+[HbR](x,y,z))・・・(2)
ここで、(x,y,z)は、空間の位置を示している。
この(2)式による計算値を三次元マッピングすることによって、酸素飽和度の三次元画像を構成することができる。

【0020】
このような画像再構成によって得られた画像は、PAT画像とも呼ばれるが、以下「光音響画像」と称する。光音響画像は、二次元画像または三次元画像の別を問わない。また、光音響画像を得るための画像再構成においては、整相加算、フィルタードバックプロジェクション、ユニバーサルバックプロジェクション、フーリエ変換法など、既知の手法を採用できる。

【0021】
(画像編集部)
画像編集部15は、例えば所定プログラムに従いつつ画像処理を行うプロセッサによって構成されたもので、画像再構成部14で得た光音響画像を基に、その光音響画像を含む合成画像を生成するものである。さらに詳しくは、画像編集部15では、光音響画像とその関連画像との合成画像、または、複数の光音響画像同士の合成画像を、生成するようになっている。ここで、合成画像とは、複数の画像を一つに纏めた画像のことをいい、具体的には複数の画像を並べて配置した画像や複数の画像を重畳した画像等が該当する。画像編集部15が生成した合成画像は、画像表示部16で表示出力される出力画像として扱われることになる。なお、合成画像の具体例(すなわち、合成される光音響画像や関連画像等の詳細、合成の具体的な態様等)については、詳細を後述する。

【0022】
(画像表示部)
画像表示部16は、画像表示を行うディスプレイパネルを備えて構成されたもので、画像編集部15が生成した合成画像(すなわち、出力画像)の表示出力を行うものである。
なお、画像表示部16は、例えばタッチパネル機能を備えることで、表示出力内容を選択するための入力操作部としての機能を兼ね備えたものであることが望ましい。

【0023】
(I/F部)
I/F部17は、必要に応じてサーバ装置や外部記憶装置等の外部装置(いずれも不図示)にアクセスして、その外部装置との間のデータ授受を行うものである。つまり、I/F部17は、外部装置に接続するインタフェース部として機能するものである。

【0024】
(制御部)
制御部18は、例えば所定プログラムを実行するプロセッサによって構成されたもので、光音響イメージング装置10の全体の動作制御を行うものである。

【0025】
(筐体)
図2は、本実施形態に係る光音響イメージング装置の筐体構成の例を模式的に示す説明図である。
図例のように、以上に説明した光源部11、センサ部12、DAS部13、画像再構成部14、画像編集部15、画像表示部16、I/F部17および制御部18は、同一筐体19に配されているものとする。つまり、上述した各部11~18は、一つの筐体19に配置されて、これらが一体化された状態で持ち運びや取り扱い等を行い得るようになっている。その場合に、上述した各部11~18は、筐体19に内包されていてもよいし外装されていてもよい。また、筐体19には、キャスター19aが設けられていることが望ましい。

【0026】
なお、上述した各部11~18のそれぞれについては、同一筐体19に配置された状態を維持可能であれば、脱着自在であってもよい。例えば、画像再構成部14、画像編集部15および画像表示部16については、タブレット端末装置を用いて構成して、筐体19に対して脱着自在とすることが考えられる。

【0027】
また、上述した各部11~18のうち、センサ部12については、例えば図2(a)に示すように、被検出空間内に配される被検部位が水平方向に延伸するように(すなわち、センサ部12の長手方向が水平方向に延びるように)配置して、光音響イメージング装置10の高さ方向の大きさの小型化を図ることが考えられる。

【0028】
その一方で、センサ部12については、例えば図2(b)に示すように、挿入口12aが上方側に位置するような傾斜角を与えて配置することも考えられる。センサ部12が有する被検出空間12b内には被検部位20からの光音響波(超音波)を圧電変換素子等へ適切に伝えるための媒質(例えば水)12cが必要であるが、傾斜角を与えてセンサ部12を配置すれば、挿入口12aに媒質12cの流出防止機構を設けなくても、その挿入口12aからの媒質12cの流出を容易に防止し得るようになる。

【0029】
(その他)
光音響イメージング装置10は、上述した各部11~18の他に、被検部位についての可視画像を撮影する可視画像撮像部(ただし不図示)を備えていてもよい。可視画像撮像部は、少なくとも可視領域(波長380nm~780nm程度)の光について感度を有する単結晶シリコンのCMOSセンサやCCDセンサ等といった公知の撮像素子を備えて構成されたものである。

【0030】
また、光音響イメージング装置10は、上述した各部11~18の他に、被検部位についての赤外画像を撮影する赤外画像撮像部(ただし不図示)を備えていてもよい。赤外画像撮像部は、少なくとも赤外領域(780nmより長い波長領域)の光について感度を有する単結晶シリコンのCMOSセンサやCCDセンサ、単結晶ゲルマニウムセンサ等といった公知の撮像素子を備えて構成されたものである。

【0031】
(3)光音響イメージング装置における基本的な処理動作例
次に、上述した構成の光音響イメージング装置10における基本的な処理動作例を説明する。ここでは、基本的な処理動作例として、主に、光音響効果を利用して光音響画像を得るまでの処理動作を説明する。

【0032】
図3は、本実施形態に係る光音響イメージング装置における基本的な処理動作例の手順を示すフロー図である。

【0033】
(被検部位セット:S101)
本実施形態に係る光音響イメージング装置10は、被検者(人体)の四肢先端部および身体突出部の少なくとも一つを被検部位とする。そのため、光音響イメージング装置10を用いる場合には、先ず、その光音響イメージング装置10の所定位置に被検部位をセットする必要がある(ステップ101、以下ステップを「S」と略す。)。被検部位のセットは、被検者の被検部位となる箇所(例えば、四肢先端部および身体突出部の少なくとも一つ)を、センサ部12の挿入口12aから被検出空間12b内に挿入することによって行う。つまり、具体的には、例えば被検者の四肢先端部の少なくとも一つである両手首または片手首を被検部位とする場合であれば、被検者の両手首または片手首を挿入口12aに挿入して被検出空間12b内に被検部位として配する。

【0034】
(被検部位の具体例)
被検部位は、診断対象となる疾患(例えば関節リウマチ)の症状(例えば滑膜の炎症)が特徴的に現れることから、手首よりも先端側の部位、すなわち手首より先の手のひら、または足首よりも先端側の部位、すなわち足の甲が好ましい。なかでも、挿入口12aへ挿入する際の利便性の観点より、手首よりも先端側の部位を被検部位として検査対象とすることが好ましい。

【0035】
図4は、本実施形態に係る光音響イメージング装置10において、被検部位となる箇所の一具体例を示す説明図である。
図4(a)に示すように、例えば手を被検部位とする場合には、被検者(患者等)によって手のひらの関節のうち炎症の特徴が出やすい部位が異なり、一つの関節のみの検査では炎症の有無を見逃す可能性があるため、二以上の観察部位について検査を行うことが好ましい。具体的には、少なくとも、手関節21とMP(metacarpophalangeal)関節22との組み合わせ、または手関節21とPIP(proximal interphalangeal)関節23との組み合わせについて、検査を行うことが好ましい。より好ましくは、手関節21とMP関節22とPIP関節23との組み合わせについて検査を行うことが考えられる。さらに好ましくは、手関節21とMP関節22とPIP関節23とDIP(distal interphalangeal)関節24との組み合わせについて検査を行うことも考えられる。
また、腱に沿って滑膜炎を生じることもあるため、例えば手関節21とMP関節22の両方の関節炎の有無を検査する場合は、手関節21の周辺領域とMP関節22の周辺領域の炎症の状態を別個に検査するのではなく、手関節21からMP関節22に至る連続した領域を被検部位とすることがさらに好ましい。
また、図4(b)に示すように、足の関節の状態を検査する場合は、MTP(metatarsopharangeal)関節25、リスフラン関節26、ショパール関節27、足関節28のいずれか一つの炎症の状況を検査することが好ましい。特に、これらのうち、光照射方向での厚さが小さく、光音響法での計測のしやすさを考慮すると、MTP関節25を被検部位として検査することが好ましい。

【0036】
(光照射および音響波検出:S102,S103)
被検部位がセットされると、光音響イメージング装置10では、センサ部12が被検出空間12b内の被検部位に対して光源部11からのパルス光を照射する(S102)。このパルス光は、被検部位内の光吸収体に吸収され、超音波(音響波)である光音響波が発生する。このようにして発生した光音響波は、センサ部12の被検出空間12b内に配置された複数の圧電変換素子等で受信されて、電気信号として検出される(S103)。電気信号は、必要に応じて、DAS部13にて増幅、デジタル変換等の信号処理が施される。

【0037】
(画像再構成:S104)
その後、光音響イメージング装置10では、センサ部12で得られた検出信号(電気信号)を基にして、画像再構成部14が画像再構成を行って、被検部位の初期音圧分布を画像化したもの、上記の(1)式に基づいて計算された光吸収係数の分布を画像化したもの、または、少なくとも異なる2波長によって計測された音圧から(1)式および(2)式によって計算された酸素飽和度を画像化したものを、光音響画像として得る(S104)。光吸収係数および酸素飽和度は、既知の光吸収係数および酸素飽和度を有するファントムを利用して校正した数値を用いると定量性が向上し、より好ましいものとなる。画像再構成部14で得た光音響画像は、その画像再構成部14若しくは制御部18が有する図示しないメモリ部またはI/F部17を通じて接続する外部記憶装置等に一時的に保存される。

【0038】
(光音響画像の具体例)
このようにして得られる光音響画像は、二次元画像または三次元画像の別を問わないが、具体的には以下のようなものが挙げられる。
例えば、光音響画像としては、少なくとも最大値投影画像を含むものが挙げられる。最大値投影画像とは、被検部位の全体の画像をMIP(maximum intensity projection:最大値投影法)で表示した、いわゆるMIP画像と呼ばれるものである。MIP画像は、被検部位の状態を診断する上で必要十分なものであり、三次元画像に比べて画像取得の迅速化や処理負荷軽減等が実現可能となるものである。

【0039】
ところで、被検部位に対して照射するパルス光は、その光強度が被検体内で光入射方向に沿って指数関数的に減衰する。
このことから、画像再構成部14は、例えば、パルス光の照射方向の任意深さにおける当該照射方向に垂直な断面画像について、これを光音響画像とすることも考えられる。具体的には、パルス光の照射方向(入射方向)をz軸方向とした場合に、そのz軸上の任意の位置における、そのz軸に垂直なxy断面の画像を、光音響画像とするのである。任意深さ(すなわちz軸上の任意位置)については、画像表示部16における入力操作部としての機能(例えばタッチパネル機能)を利用して、その画像表示部16から任意に指定し得るようにすればよい。なお、ここでいう「垂直」な断面とは、実質的に光の照射強度が面内で均一または左右前後対象と見做せればよい断面である。被検体内での光の強度は、生体の等価減衰係数が数mm-1程度であるため、指数関数的に急激に減衰する。その結果、光の照射方向に対して厳密に90°の面ではなくても、90°±5°程度の範囲に入っている面であれば、実質的に「垂直」と見做すことができる。
このような任意深さの断面画像を光音響画像とすれば、被検体内で光強度が指数関数的に減衰しても、面内輝度が対称的になるので、光音響画像を表示出力した際に非常に見やすいものとなる。また、任意深さを選択し得るようになり、深さ情報が得られるようにもなるので、光音響画像に基づく診断を行う診断者にとって非常に利便性に優れたものとなる。

【0040】
また、画像再構成部14は、例えば、光音響画像として、パルス光の照射方向に垂直な断面画像を当該照射方向に沿って複数得ることも考えられる。具体的には、パルス光の照射方向(入射方向)をz軸方向とした場合に、そのz軸上における所定間隔の複数位置における、そのz軸に垂直なxy断面画像のそれぞれを、光音響画像とするのである。複数位置については、予め設定された固定的なものであってもよいし、画像表示部16における入力操作部としての機能(例えばタッチパネル機能)を利用して適宜設定し得るものであってもよい。なお、「垂直」については、上述した場合と同様である。
このような複数位置の各断面画像を光音響画像とすれば、被検体内で光強度が指数関数的に減衰しても、面内輝度が対称的になるので、光音響画像を表示出力した際に非常に見やすいものとなる。また、光音響画像を表示出力する際に、各断面画像の連続的な表示切り替えを行うようにすれば、表示出力内容の変化から病変部の異常を検知し易くなるので、光音響画像に基づく診断を行う診断者にとって非常に利便性に優れたものとなる。

【0041】
以上に説明した光音響画像は、初期音圧分布を画像化したもの、光吸収係数の分布を画像化したもの、酸素飽和度を画像化したもののいずれであってもよいが、例えば被検部位の光吸収係数の分布を画像化したものである場合に、その被検部位に照射したパルス光の波長が血液の光吸収に対応したものであれば、その被検部位の血管分布状態を視認可能に表す画像に相当することになる。

【0042】
(波長変更:S105,S106)
その後、光音響イメージング装置10では、センサ部12にセットされた被検部位についての検出が終了したか否かを制御部18が判断する(S105)。この判断は、例えば、予め想定された全ての波長について、被検部位へのパルス光の照射およびこれによる光音響波の検出が終了したか否かに基づいて行うことが考えられる。その結果、検出が終了していなければ、光源部11から照射するパルス光の波長の設定を変更した上で(S106)、再びパルス光の照射(S102)、音響波の検出(S103)および画像再構成(S104)を行う。そして、被検部位についての検出が終了するまで、上述した一連の処理ステップを繰り返し行う(S102~S106)。

【0043】
(波長変更の具体例)
光源部11から照射するパルス光の波長は、被検部位に対する診断内容に応じて予め設定されたものであればよく、その大きさや波長数等が特に限定されるものではないが、一具体例としては以下のようなものが挙げられる。
例えば、光源部11から照射するパルス光の波長としては、血液中の2種類のヘモグロビン(オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビン)の吸収係数が等しい波長797nmのものと、これら2種類のヘモグロビンの吸収係数が異なる波長756nmのものを、選択的に切り替えることが考えられる。このような2波長のパルス光を使い分ければ、2種類のヘモグロビンの分布比(血中の酸素飽和度)を計算することが可能となる。

【0044】
(生体特性分布算出:S107)
想定された全ての波長についての光音響画像を得たら、光音響イメージング装置10では、それぞれの光音響画像を用いて、制御部18が生体特性分布の算出を行う(S107)。生体特性としては、例えば、被検部位の血管または当該血管を流れる血液の特性が挙げられる。したがって、生体特性分布の算出結果としては、以下のようなものを想定することができる。

【0045】
生体特性分布の算出結果の一例としては、被検部位の血流の状態を数値化した情報が挙げられる。具体的には、血流のボリューム(血管または血液の体積または面積)を数値化した情報である。生体内の炎症反応などが生じた領域では血管新生により毛細血管などの量が増加するため、このような数値化情報によれば、血流の状態が異常であるか否かを判断するための基準となり得るので、被検部位における炎症(滑膜炎等)の有無についての診断を定性的かつ客観的に行えるようになることが考えられる。
なお、血液のボリューム(血管または血液の体積または面積)は、注目領域を指定し、閾値となる輝度を決め(例えば、背景の平均輝度、中央値、最大輝度等を閾値とすればよい)、閾値以上の輝度を有する領域の面積または体積を計算することで求めることができる。また、過去画像と比較するためには、解剖学的に同一血管と思われる血管の輝度を基準に画像の輝度を校正することで比較を行うことができる。

【0046】
また、生体特性分布の算出結果の他の例としては、被検部位における血液の酸素飽和度を数値化した情報が挙げられる。具体的には、被検部位における2種類のヘモグロビンの分布比(血中の酸素飽和度)を数値化した情報である。このような数値化情報によれば、被検部位における炎症(滑膜炎等)の状態の違いが分かるようになり、炎症への対処法(処方する薬剤の種類等)を簡便かつ適切に特定し得ることが考えられる。

【0047】
なお、生体特性分布の算出結果については、上述したものに限定されることはなく、例えば、トータルヘモグロビン濃度、オキシヘモグロビン濃度、デオキシヘモグロビン濃度、グルコース分布、コラーゲン分布等に関するものであっても構わない。
グルコース分布やコラーゲン分布(濃度分布[C])については、グルコースやコラーゲンに吸収係数の大きい波長の光を用いて、以下の式により計算される。
μ(λ)=ε(λ)・[C]
ここで、[C]はグルコースやコラーゲンの濃度分布である。ε(λ)はグルコースやコラーゲンのモル吸収係数である。

【0048】
(算出手順の具体例)
ここで、上述した算出結果(すなわち数値化情報)を得るための具体的な手順について簡単に説明する。
図5は、本実施形態に係る光音響イメージング装置10において、数値化情報を取得する際の処理動作例を示すフロー図である。
数値化情報の取得にあたっては、被検部位について全体的な光音響信号(音圧信号)を取得し(S201)、上述した画像再構成によってMIP画像や三次元画像等の光音響画像を得て、その光音響画像を画像表示部16で表示出力する(S202)。そして、画像表示部16の表示画面上で、例えばがんや炎症部位等といった注目領域を、入力操作部としての機能を利用して指定させる(S203)。さらには、その注目領域について、算出すべき数値化情報の種類を、入力操作部としての機能を利用して選択または入力させる(S204)。数値化情報の種類としては、上述したような血液のボリューム、酸素飽和度、グルコース分布、コラーゲン分布等に関するものが挙げられるが、これに限定されることはなく、平均音圧強度、平均吸収係数、平均酸素飽和度、平均血液量、各種数値化情報の経時差分等に関するものであってもよい。数値化情報の種類の指定があれば、その後は、例えば上記の(1)式、(2)式、その他の計算式を用いて、指定された種類の数値化情報を計算する(S205)。計算された数値化情報は、詳細を後述するように、画像表示部16の表示画面上で、光音響画像における注目領域の近傍に表示出力されることになる。
なお、このような一連の手順は、数値化情報の複数種類について、繰り返し行うようにしてもよい。また、複数種類の数値化情報を画像表示部16の表示画面上に同時に表示するようにしてもよく、その場合には診断者の診断をサポートする上で有用なものとなる。

【0049】
(表示出力:S108)
その後、光音響イメージング装置10では、画像表示部16が光音響画像等の表示出力を行う。この画像表示部16による表示出力については、詳細を後述する。

【0050】
(4)光音響イメージング装置における特徴的な処理動作例
次に、本実施形態に係る光音響イメージング装置10における特徴的な処理動作例を説明する。ここでは、特徴的な処理動作例として、主に、画像表示部16が表示出力を行う際の処理動作を説明する。

【0051】
本実施形態に係る光音響イメージング装置10は、例えば、関節リウマチの診断に用いられる。そのため、画像表示部16が表示出力する画像は、診断を行う診断者(医師等)にとって、その診断を簡便かつ適切に行い得るものであり、また診断を受ける被検者(患者等)にとっても、診断者による診断内容を容易に理解し得るものであることが望ましい。

【0052】
このことから、本実施形態に係る光音響イメージング装置10は、診断者や被検者等にとって好適な態様で画像表示を行えるようにすべく、画像再構成部14で得た光音響画像を含む合成画像を生成する画像編集部15を備えており、その画像編集部15が生成した合成画像を画像表示部16が出力画像として表示出力するようになっている。

【0053】
(出力画像の概要)
以下、画像表示部16が表示出力する出力画像、すなわち画像編集部15が生成する合成画像について説明する。
画像編集部15は、合成画像(すなわち、画像表示部16が表示出力する出力画像)として、光音響画像とその関連画像とを合成したもの、または、複数の光音響画像同士を合成したものを生成する。

【0054】
(光音響画像と関連画像との合成)
ここでいう「関連画像」とは、光音響画像に関連する所定種類の画像であって、その光音響画像についての判断に用いられる関連性を有した情報を画像化したものである。
このような関連画像の一例としては、画像再構成部14で得た光音響画像またはその光音響画像の基になった検出信号から一意に導き出せる数値化情報を画像化(テキスト表示)したものが挙げられる。具体的には、光音響画像を基に算出した血流状態の数値化情報や酸素飽和度の数値化情報等のように、生体特性分布の算出結果である数値化情報を画像化(テキスト表示)したものが相当する。

【0055】
また、関連画像の他の例としては、光音響画像との比較対象となる他の光音響画像が挙げられる。具体的には、同一の被検部位について過去に取得した光音響画像や健常者の被検部位についての光音響画像等で、メモリ部や外部記憶装置等に保存されているものが相当する。つまり、例えば光音響画像であっても、一旦メモリ部や外部記憶装置等に保存され、そのメモリ部や外部記憶装置等から読み出されて利用されるものについては、「関連画像」として取り扱うものとする。
このように、メモリ部や外部記憶装置等から読み出した光音響画像を関連画像とした場合には、例えば同じ被検部位について時期を変えて測定した光音響画像の時系列変化を表示出力することが実現可能となる。より具体的には、例えば、ある患者の症状の安定性に応じて、例えば一か月~三か月の期間をおいて測定した光音響画像を同時に視認しうる態様で表示出力させることにより、疾患の進行・治癒の状態について、一つの光音響画像だけが表示出力される場合に比べて、診断者(医師等)は、簡便かつ適切に診断することができるようになる。また、被検者(患者等)に出力画像を視認させながら診断内容を説明すれば説明能が向上し、被検者も容易に説明内容を理解できるようになる。

【0056】
また、関連画像のさらに他の例としては、被検者についての診療情報を画像化したものが挙げられる。具体的には、被検者の個人情報や診療録等のカルテ情報を画像化したもので、I/F部17を通じて接続するサーバ装置等にアクセスすることで取得可能なものが相当する。
また、関連画像のさらに他の例としては、可視画像撮像部または赤外画像撮像部を備えている場合であれば、光音響画像を得た被検部位について撮影した可視画像や赤外画像等が挙げられる。

【0057】
なお、どのような種類の画像を関連画像とするかについては、予め設定されてプログラミングされていれば特に限定されるものではなく、上述したいずれか一つの種類であってもよいし、複数の種類を適宜組み合わせてもよいし、上述した種類以外のものを含んでいてもよい。

【0058】
光音響画像と関連画像との「合成」とは、複数の画像を一つの画像に纏めることを意味する。具体的には、複数の画像を並べて配置した画像を生成することや、複数の画像を重畳した画像を生成すること等、が相当する。
最初に複数の画像を並べて配置する場合(すなわち、初期表示の段階)には、各画像について、画像を見る向きおよび画像の倍率を統一して表示することが好ましい。また、光音響画像についての初期表示画像は、光照射方向が表示画面と垂直になる向きで表示することが好ましい。複数の画像を重畳する場合には、初期の重畳画像として、現装置で撮像した最新の光音響画像のxyz座標軸を基準に、過去画像や他モダリティ画像を重畳することが好ましい。また、重畳する過去画像や他モダリティの画像は、基準となる光音響画像と色彩を変えて、区別できるよう表示することが好ましい。このように初期設定することで、初期画像の表示が統一され、診断時の利便性が向上する。
なお、合成の具体的な手法は、公知の画像処理技術を利用したものであればよく、特に限定されるものではない。

【0059】
(複数の光音響画像同士を合成)
また、ここでいう「複数の光音響画像同士」とは、複数の光音響画像で互いに対をなすもの同士のことである。「互いに対をなすもの」としては、具体的には、両手または両足の各光音響画像や、手の表裏(掌と甲)のそれぞれの光音響画像、足の表裏(足裏と甲)のそれぞれの光音響画像等のように、一対とされることが一般的である被検部位についてのものが挙げられる。特に、「互いに対をなすもの」の表示では、画像の倍率、視野方向(視野角)、コントラスト等といった、互いに揃えられるパラメータについては揃えて表示することが好ましい。「合成」については、上述した関連画像の場合と同様である。

【0060】
なお、画像編集部15が出力画像として生成する合成画像は、上述したように、光音響画像とその関連画像とを合成したもの、または、複数の光音響画像同士を合成したものである。ここでいう「または」とは、必ずしも択一的な意味に限定されることはなく、それぞれが並存する場合をも含み得る。したがって、画像編集部15は、複数の光音響画像同士を合成したものに、さらにその関連画像を合成したものを、出力画像として生成するものであってもよい。

【0061】
以上のような合成画像を出力画像とし、その出力画像を表示出力すれば、画像表示部16からは、例えば、片手もしくは片足の光音響画像とその関連画像、両手もしくは両足の一対の光音響画像、または、一対の光音響画像とその関連画像が、それぞれ同時に視認し得る態様で表示出力されることになる。したがって、光音響イメージング装置10を利用する診断者(医師等)は、一つの光音響画像だけが表示出力される場合に比べて、被検部位の状態について簡便かつ適切に診断することができるようになる。また、被検者(患者等)に出力画像を視認させながら診断内容を説明すれば説明能が向上し、被検者も容易に説明内容を理解できるようになる。

【0062】
(出力画像の一具体例)
ここで、画像表示部16が表示出力する出力画像について、具体例を挙げてさらに詳しく説明する。

【0063】
図6は、本実施形態に係る光音響イメージング装置にて表示出力される出力画像の一具体例を示す説明図である。
図例の出力画像30は、光音響画像31とその関連画像32,33とが合成されてなるものである。さらに詳しくは、出力画像30は、光音響画像31に対して、ある一つの態様の関連画像32が合成されたものと、他の態様の関連画像33が合成されたものと、を含んで構成されている。

【0064】
(光音響画像)
光音響画像31としては、例えば、MIP画像を表示出力することが考えられる。MIP画像であれば、被検部位の状態を診断する上で必要十分なものであり、三次元画像に比べて画像取得の迅速化や処理負荷軽減等が実現可能となる。
ただし、表示出力する光音響画像31は、MIP画像に限られることはなく、例えば、光照射方向の任意深さにおける垂直断面画像であってもよい。このような任意深さの垂直断面画像を光音響画像31とすれば、面内輝度が対称的になるので、表示出力した際に非常に見やすいものとなる。さらには、任意深さを選択し得るようになり、深さ情報が得られるようにもなるので、光音響画像31に基づく診断を行う診断者にとって非常に利便性に優れたものとなる。
また、表示出力する光音響画像31は、例えば、光照射方向に沿った複数位置における各垂直断面画像を連続的に表示切り替えしたものであってもよい。このような複数位置の各垂直断面画像を光音響画像31とすれば、面内輝度が対称的になるので、表示出力した際に非常に見やすいものとなる。さらには、各垂直断面画像の連続的な表示切り替えを行うことで、表示出力内容の変化から病変部の異常を検知し易くなるので、光音響画像31に基づく診断を行う診断者にとって非常に利便性に優れたものとなる。

【0065】
なお、光音響画像31として表示出力する画像の種類(MIP画像やその他の画像等)については、予め設定された固定的なものであってもよいが、例えば画像表示部16における入力操作部としての機能(例えばタッチパネル機能)を利用して選択し得るようにしてもよい。また、被検部位のどの部分を光音響画像31として表示出力するか(例えば、全体表示とするか、部分表示とするか等)についても、例えば画像表示部16における入力操作部としての機能を利用して選択し得るようにすることが考えられる。

【0066】
(関連画像の一態様)
このような光音響画像31と合成される関連画像としては、その一態様として、図中に示す「※※※※」のように、光音響画像31から導き出される数値化情報(例えば、生体特性分布の算出結果)をテキスト表示するために画像化したもの(以下「数値化画像」ともいう。)32がある。数値化画像32は、その基になった光音響画像31と併記するような態様で表示出力される。このような数値化画像32によれば、被検部位の状態(特に血管状態)について定量的かつ客観的な指標を提示することができ、光音響画像31を用いた診断をより一層簡便かつ適切に行えるようになる。

【0067】
数値化画像32の一具体例としては、被検部位の血流の状態(具体的には、血管の体積または面積によって表される血流のボリューム)の数値化情報を画像化したものが挙げられる。このような数値化画像32を表示出力すれば、その数値化画像32を視認した診断者は、被検部位における炎症(滑膜炎等)の有無についての診断を、定性的かつ客観的に行うことができる。
数値化画像32の他の具体例としては、被検部位における血液の酸素飽和度の数値化情報を画像化したものが挙げられる。このような数値化情報を表示出力すれば、その数値化画像32を視認した診断者は、被検部位における炎症(滑膜炎等)の状態の違いが分かるようになり、炎症への対処法(処方する薬剤の種類等)を簡便かつ適切に特定し得るようになる。
なお、数値化画像32は、上述した各具体例のいずれかに限定されることはなく、生体特性分布の算出結果として得られるものであれば、例えば、トータルヘモグロビン濃度、オキシヘモグロビン濃度、デオキシヘモグロビン濃度、グルコース分布、コラーゲン分布等に関するものであってもよいし、またこれらを適宜組み合わせたものであってもよい。

【0068】
ところで、数値化画像32は、被検部位における関節部についてのものとすることが考えられる。具体的には、例えば被検部位が四肢先端部であれば、その四肢先端部における各関節部(例えば図4参照)のそれぞれについて生体特性分布を算出し、それぞれの算出結果を各関節部についての数値化画像32とする。例えば関節リウマチは、各関節部の滑膜の炎症の発生有無が判断基準の一つとなる。そのため、関節リウマチのように関節部の炎症を伴う疾患の診断に用いるためには、各関節部のそれぞれについて数値化画像32を表示出力することが望ましい。
関節部毎に数値化画像32を得るためには、関節部の範囲を特定すること、すなわち関節部とそれ以外の部分との区分けが必要となる。関節部の範囲は、例えば、画像表示部16における入力操作部としての機能(例えばタッチパネル機能)を利用して特定したり、公知の画像認識技術(例えば、骨同士の連結箇所となる関節部であろう箇所を画像上で認識する技術)を利用して特定することが考えられる。

【0069】
関連画像としての数値化画像32が各関節部についてのものである場合、それぞれの数値化画像32は、その関連画像と共に出力画像30を構成する光音響画像31中の対応する関節部の近傍位置に配置されるものとする。ここで「対応する関節部」とは、数値化画像32の基になった数値化情報を取得した関節部のことをいう。つまり、光音響画像31中における各関節部の近傍に、それぞれから得た数値化画像32が配置した状態で、出力画像30が表示出力される。数値化画像32の配置は、数値化情報を得た際の関節部の範囲特定情報に基づいて行うことになるが、対応する関節部として特定した範囲の近傍であれば、すなわち数値化画像32がどの関節部についてのものであるか識別可能であれば、光音響画像31中に位置するか、光音響画像31の外に位置するかを問わない。
このように、対応する関節部の近傍位置に数値化画像32を配置すれば、例えば光音響画像31中に複数の関節部が存在する場合であっても、数値化画像32がどの関節部についてのものであるかを、容易かつ的確に認識することができる。

【0070】
生体特性分布の算出結果を数値化画像32として表示出力する場合には、その数値化画像32と合わせて、例えば図中に示す「(※※※※)」のように、数値化画像32についての診断を行う際の基準となる基準数値情報を画像化したもの(以下「基準数値画像」ともいう。)を表示出力することが考えられる。基準数値画像は、数値化画像32の適否を判断する閾値としての機能を果たすもので、具体的には、被検部位の四肢先端部の関節部以外の箇所からの数値化情報の平均値や、健康体における一般的な数値化情報に相当するものとして予め規定された標準値等、に関するものが該当することになる。基準数値画像の表示出力は、メモリ部、外部記憶装置、サーバ装置等に予め設定されているものを取得して行えばよい。
このように、数値化画像32に基準数値画像を含めたものを関連画像とすれば、これらを互いに対比させることで、その数値化画像32の適否を容易かつ的確に判断することができるので、四肢先端部の関節部の状態(例えば炎症の発生有無)の診断の簡便化および適切化を図る上で非常に好適なものとなる。

【0071】
(関連画像の他の態様)
図6中の右方には、光音響画像31と他の態様の関連画像33とが合成されてなるものを示している。

【0072】
他の態様の関連画像33としては、例えば、被検部位について撮影した可視画像が挙げられる。そして、可視画像からなる関連画像33は、光音響画像31に重畳させるような態様で合成されて、表示出力されている。
このように、光音響画像31を得た被検部位について撮影した可視画像を関連画像33として当該光音響画像31と共に表示出力すれば、光音響画像31とその可視画像とを容易に対応させることができ、これにより例えば光音響画像31において異常箇所(例えば関節の炎症の発生箇所)があった場合に、その異常箇所が四肢先端部のどの位置に存在するかを簡便かつ適切に診断することができる。

【0073】
なお、可視画像は、例えば被検部位について撮影した赤外画像であってもよい。光音響画像31を得た被検部位について撮影した赤外画像を関連画像33として当該光音響画像31と共に表示出力すれば、特に関節の炎症の発生有無について容易かつ確実に診断することができる。関節の炎症の発生箇所は、熱を発生するため、赤外画像を参照することで、正常箇所との識別が容易になるからである。

【0074】
(関連画像のさらに他の態様)
光音響画像31と合成される関連画像は、その光音響画像31を得た被検部位について、メモリ部や外部記憶装置等に既に記憶されている光音響画像(すなわち、過去に取得された光音響画像)であってもよい。その場合に、関連画像としての光音響画像は、メモリ部や外部記憶装置等から読み出され、被検部位から取得した光音響画像31と並ぶように合成されて表示出力される。
このように、光音響画像31の取得対象となる被検部位について既に記憶されている光音響画像を読み出して関連画像とすれば、その被検部位についての光音響画像の時系列変化を容易に認識し得るようになる。つまり、過去の光音響画像との比較に基づく診断が行えるようになるので、被検者の被検部位の状態の変化を診断する上で非常に好適なものとなる。

【0075】
図7は、本実施形態に係る光音響イメージング装置にて表示出力される出力画像の他の具体例を示す説明図である。
図例の出力画像34は、同一被検者の同一の被検部位であって、診断日の異なるの複数の光音響画像31、35同士が並んで配置された状態に合成されてなるものである。つまり、メモリ部や外部記憶装置等から読み出された光音響画像(すなわち、過去に取得された診断日Bの光音響画像)35を関連画像とし、その光音響画像(関連画像)35を、センサ部12での信号検出および画像再構成部14での画像再構成を経て得られた診断日Aの光音響画像31と並べて配置している。
このように、複数画像のうちの一つの光音響画像31が診断時(診断日:A)に測定されたものであって、他の一つの光音響画像35が過去(診断日:B)の診断画像である場合には、時系列での関節炎の炎症の状況を比較することができるため、症状の進行具合、あるいは治療の効果を確認することができ、また症状の経過に基づいて診断者(医師等)が治療方針を決定できるため、関節リウマチの治療において非常に好適なものとなる。

【0076】
また、出力画像34においては、それぞれの光音響画像と合わせて数値化情報が表示されていてもよい。このような数値化情報としては、それぞれの時期における関節リウマチの状況を示す数値化情報、例えば圧痛関節数、腫脹関節数などの触診評価による数値、CRP(C-reactive protein)、ESR(erythrocyte sedimentation rate)、MMP3(Matrix Metalloproteinase-3)、RF(Rheumatoid factor)などの体液に含まれるバイオマーカーの臨床データ、患者全般評価値(PtGA)、医師全般評価値(PhGA)、およびこれらの値を用いて算出したDAS28(disease activity score 28 joints)、SDAI(simplified disease acrivity index)、CDAI(clinical disease acrivity index)などの総合活動性指標などであってもよい。
このような数値化情報を光音響画像と合わせて出力すれば、医師や患者は、光音響画像による関節炎の状況を視認するとともに、数値化情報で症状の他の側面を比較することができるため非常に好適である。

【0077】
(関連画像のさらにまた他の態様)
以上に、各態様の関連画像32,33,35を具体的に説明したが、光音響画像31と合成される関連画像は、これらの態様に限定されるものではない。以下に、関連画像のさらに他の態様について簡単に説明する。

【0078】
また、光音響画像31と合成される関連画像は、その光音響画像31を得た被検部位を持つ被検者についての診療情報を画像化したものであってもよい。その場合に、診療情報は、I/F部17を通じて接続するサーバ装置等から読み出され、画像化された上で、被検部位から取得した光音響画像31と並ぶように合成されて表示出力される。
このように、被検者についての診療情報を画像化したものを関連画像とすれば、その被検者に対する診療の過程での事象を容易かつ効率的に認識し得るようになり、被検者の被検部位の状態を簡便かつ適切に診断する上で非常に好適なものとなる。

【0079】
なお、関連画像をどのような態様のものとするかについては、予め設定された固定的なものであってもよいが、例えば画像表示部16における入力操作部としての機能(例えばタッチパネル機能)を利用して選択し得るようにしてもよい。

【0080】
(出力画像の他の具体例)
図8は、本実施形態に係る光音響イメージング装置にて表示出力される出力画像の他の具体例を示す説明図である。
図例の出力画像36は、複数の光音響画像37,38同士が並んで配置された状態に合成されてなるものである。

【0081】
各光音響画像37,38は、いずれも、関連画像32,33,35と合成される光音響画像31の場合と同様のものである。ただし、各光音響画像37,38は、それぞれが互いに対をなす関係にある。具体的には、各光音響画像37,38は、ある被検者の右手を被検部位とするもの、および、同被検者の左手を被検部位とするものである。これらの光音響画像37,38は、被検者の両手をセンサ部12にセットしてそれぞれを略同時に得るようにすることが考えられるが、必ずしもこれに限定されることはなく、それぞれを順次得るようにしても構わない。

【0082】
以上のような複数の光音響画像37,38同士の合成画像を出力画像36として表示出力すれば、被検者の両手についての光音響画像37,38が同時に視認し得る態様で表示出力されることになるので、特に関節リウマチの診断に用いて非常に好適なものとなる。関節リウマチに関しては、一般に左右対称に症状(関節の炎症)が出ると言われているからである。したがって、このことは、例えば、両手についてのみならず、両足について同時に視認し得る態様で表示出力する場合においても同様である。

【0083】
なお、ここでは、出力画像36として、被検者の両手についての光音響画像37,38を並べて表示出力する場合を例に挙げたが、被検者の両手または両足ではなく、一方の手または足の表裏のそれぞれについての光音響画像を並べて表示出力することも考えらえる。
このように、手または足の表裏の光音響画像を並べた画像を出力画像とすれば、被検部位の状態(例えば関節の炎症の発生有無)について多角的に診断することができる。また、光音響現象を生じさせる照射光の到達深度に限界があっても、表裏の光音響画像を並べるので、診断が困難となる箇所が生じてしまうのを極力抑制することができる。

【0084】
(インタラクティブ表示)
以上に、出力画像30,34,36の具体例について説明したが、どのような出力画像30,34,36を表示出力するかについて(すなわち、画像表示部16での表示出力内容について)は、必ずしも予め設定された固定的なものである必要はなく、例えば画像表示部16における入力操作部としての機能(例えばタッチパネル機能)を利用して選択し得るようにしてもよい。具体的には、例えば、画像表示部16にて表示出力された画像を参照しながら、診断者(医師等)が所望部位を画面上で選択すると、その部位近傍に入力画面または選択画面が表示され、その入力画面または選択画面で指定された情報に応じて、画像表示部16にて表示出力される画像(すなわち、出力画像の内容)が切り替わる、といった対話型のインタラクティブ表示を実現することも考えられる。このようなインタラクティブ表示は、例えば公知のGUI(Graphical User Interface)技術を利用すれば、実現することが可能である。

【0085】
(5)本実施形態の効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。

【0086】
(a)本実施形態では、光音響画像31とその関連画像32,33,35とを合成したもの、または、複数の光音響画像37,38同士を合成したものを、出力画像30,34,36として表示出力する。したがって、一つの光音響画像だけが表示出力される場合に比べて、診断者(医師等)が被検部位の状態について簡便かつ適切に診断することができるようになる。また、被検者(患者等)に出力画像を視認させながら診断内容を説明すれば説明能が向上し、被検者も容易に説明内容を理解できるようになる。つまり、本実施形態によれば、診断者や被検者等にとって好適な態様で画像表示を行うことができる。

【0087】
(b)本実施形態のように、光音響画像31,37,38が少なくともMIP画像を含んでいれば、被検部位の状態を診断する上で必要十分なものとなる。しかも、MIP画像であれば、三次元画像に比べて画像取得の迅速化や処理負荷軽減等が実現可能となる。

【0088】
(c)本実施形態のように、パルス光の照射方向の任意深さにおける当該照射方向に垂直な断面画像を光音響画像31,37,38とすれば、面内輝度が対称的になるので、表示出力した際に非常に見やすいものとなる。さらには、任意深さを選択し得るようになり、深さ情報が得られるようにもなるので、光音響画像31,37,38に基づく診断を行う診断者にとって非常に利便性に優れたものとなる。

【0089】
(d)本実施形態のように、パルス光の照射方向に垂直な断面画像を当該照射方向に沿って複数得て、このような複数位置の各断面画像を光音響画像31,37,38とすれば、面内輝度が対称的になるので、表示出力した際に非常に見やすいものとなる。さらには、光音響画像31,37,38を表示出力する際に、各垂直断面画像の連続的な表示切り替えを行うことで、表示出力内容の変化から病変部の異常を検知し易くなるので、光音響画像31,37,38に基づく診断を行う診断者にとって非常に利便性に優れたものとなる。

【0090】
(e)本実施形態のように、光音響画像から導き出される数値化画像32を関連画像とすれば、被検部位の状態(特に血管状態)について定量的かつ客観的な指標を提示することができ、光音響画像31を用いた診断をより一層簡便かつ適切に行えるようになる。

【0091】
(f)本実施形態のように、被検部位の血流の状態の数値化情報を画像化したものを数値化画像32とすれば、被検部位における炎症(滑膜炎等)の有無についての診断を定性的かつ客観的に行うことができるようになる。

【0092】
(g)本実施形態のように、被検部位における血液の酸素飽和度の数値化情報を画像化したものを数値化画像32とすれば、被検部位における炎症(滑膜炎等)の状態の違いが分かるようになり、炎症への対処法(処方する薬剤の種類等)を簡便かつ適切に特定し得るようになる。

【0093】
(h)本実施形態のように、数値化情報が被検部位の関節部についてのものであれば、特に関節リウマチの診断に用いて非常に好適なものとなる。

【0094】
(i)本実施形態のように、数値化画像32を光音響画像31中の対応する関節部の近傍位置に配置して表示出力すれば、光音響画像31中に複数の関節部が存在する場合であっても、数値化画像32がどの関節部についてのものであるかを、容易かつ的確に認識することができ、診断者や被検者等にとって非常に利便性が高いものとなる。

【0095】
(j)本実施形態のように、数値化画像32と合わせて基準数値画像を表示出力すれば、これらの互いに対比させることで、その数値化画像32の適否を容易かつ的確に判断することができるので、被検部位の関節部の状態(例えば炎症の発生有無)の診断の簡便化および適切化を図る上で非常に好適なものとなる。

【0096】
(k)本実施形態のように、両手または両足の光音響画像37,38を並べた合成画像を出力画像36とすれば、特に関節リウマチの診断に用いて非常に好適なものとなる。関節リウマチに関しては、一般に左右対称に症状(関節の炎症)が出ると言われているからである。

【0097】
(l)本実施形態のように、人体の手または足の表裏のそれぞれについての光音響画像を並べた合成画像を出力画像とすれば、被検部位の状態(例えば関節の炎症の発生有無)について多角的に診断することができる。また、光音響現象を生じさせる照射光の到達深度に限界があっても、表裏の光音響画像を並べるので、診断が困難となる箇所が生じてしまうのを極力抑制することができる。

【0098】
(m)本実施形態のように、被検部位について撮影した可視画像を関連画像33とすれば、光音響画像31とその可視画像とを容易に対応させることができ、これにより例えば光音響画像31において異常箇所(例えば関節の炎症の発生箇所)があった場合に、その異常箇所が被検部位のどの位置に存在するかを簡便かつ適切に診断することができる。

【0099】
(n)本実施形態のように、被検部位について撮影した赤外画像を関連画像とすれば、特に関節部の炎症の発生有無について容易かつ確実に診断することができる。関節部の炎症の発生箇所は、熱を発生するため、赤外画像を参照することで、正常箇所との識別が容易になるからである。

【0100】
(o)本実施形態のように、光音響画像31を得た被検部位について既に記憶されている光音響画像をメモリ部や外部記憶装置等から読み出して関連画像とすれば、その被検部位についての光音響画像の時系列変化を容易に認識し得るようになる。つまり、過去の光音響画像との比較に基づく診断が行えるようになるので、被検体の被検部位の状態の変化を診断する上で非常に好適なものとなる。

【0101】
(p)本実施形態のように、被検者についての診療情報をI/F部17を通じて接続するサーバ装置等から読み出して、その診療情報を画像化したものを関連画像とすれば、その被検者に対する診療の過程での事象を容易かつ効率的に認識し得るようになり、被検者の被検部位の状態を簡便かつ適切に診断する上で非常に好適なものとなる。

【0102】
(q)本実施形態のように、画像表示部16による表示出力内容を選択するための入力操作部としての機能を当該画像表示部16が備えていれば、その画像表示部16による表示出力内容について、対話型のインタラクティブ表示を実現することができる。そのため、表示出力内容が固定的である場合に比べると、診断者にとっての利便性が格段に向上することになる。

【0103】
(r)本実施形態のように、センサ部12が挿入口12aを具備する被検出空間12bを有しており、その被検出空間12b内に配された被検部位に対してパルス光を照射し、その被検部位からの光音響波の検出信号を検出するように構成されていれば、光音響イメージング装置10の利用にあたり、被検者は被検部位となる四肢先端部または身体突出部を挿入口12aに挿入するだけでよい。そのため、被検者にとっては、非常に利便性に優れたものとなる。また、診断者にとっても、被検者に対する案内説明の簡便化が図れる。

【0104】
(s)本実施形態のように、光音響イメージング装置10を構成する各部11~18が同一筐体19に配されて構成されていれば、これらの各部11~18が一体化された状態で持ち運びや取り扱い等を容易に行い得るようになり、また省スペース化への対応も容易化するので、この点においても装置利用者にとっての利便性向上が図れる。

【0105】
(t)本実施形態のように、被検体の四肢先端部の少なくとも一つ、特に手を被検部位とすれば、例えば滑膜の炎症が特徴的に現れることから、関節リウマチの診断に用いて非常に好適なものとなる。しかも、センサ部12における挿入口12aへの挿入が容易に行えるので、被験者(患者等)にとっての利便性が非常に優れたものとなる。

【0106】
(u)本実施形態のように、被検部位が手関節とMP関節とを含む領域、さらに好ましくはPIP関節やDIP関節等を含む領域であれば、関節リウマチの診断に用いて非常に好適なものとなる。被検者(患者等)によっては炎症の特徴が出やすい部位が異なり、一つの関節のみの検査では炎症の有無を見逃す可能性があるが、二以上の観察部位について検査を行えば、そのようなおそれを排除できるからである。

【0107】
<他の実施形態>
以上に、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。

【0108】
上述した実施形態では、診断対象となる疾患が関節リウマチである場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、本発明は、関節リウマチの他にも、例えば関節部の周辺の炎症(関節炎)を伴う糖尿病のように、関節部の炎症を伴う疾患の診断に適用することが考えられる。さらには、関節部の炎症を伴う疾患のみならず、他の疾患について、医療分野で用いられる光音響イメージング装置に適用しても有用である。

【0109】
また、上述した実施形態では、光音響イメージング装置10を構成する各部11~18が一つの筐体19に配置され一体化されている場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはなく、それぞれが別体で構成されていても構わない。さらには、光音響イメージング装置10を構成する各部11~18についても、上述した実施形態で例に挙げた具体例に限定されることはなく、同等のものに代替して構成しても構わない。具体的には、その一例として、I/F部17に接続する外部記憶装置に代わって、筐体19内に記憶装置を設ける、といったことが考えられる。

【0110】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。

【0111】
[付記1]
本発明の一態様によれば、
被検体の少なくとも一つの部位を被検部位とし、前記被検部位に光を照射して得られる光音響波の検出信号を解析して、前記被検部位の音圧分布または当該音圧分布からの導出情報分布を画像化した光音響画像を得る画像再構成部と、
前記画像再構成部で得た前記光音響画像と当該光音響画像についての判断に用いられる関連性を有した関連画像との合成画像、または、前記画像再構成部で得た複数の前記光音響画像で互いに対をなすもの同士の合成画像を、出力画像として生成する画像編集部と、
前記画像編集部が生成した前記出力画像の表示出力を行う画像表示部と、
を備える光音響イメージング装置が提供される。

【0112】
[付記2]
好ましくは、
前記光音響画像は、少なくとも最大値投影画像を含む
付記1に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0113】
[付記3]
好ましくは、
前記画像再構成部は、前記光の照射方向の任意深さにおける当該照射方向に垂直な断面画像を前記光音響画像とする
付記1または2に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0114】
[付記4]
好ましくは、
前記画像再構成部は、前記光音響画像として、前記光の照射方向に垂直な断面画像を当該照射方向に沿って複数得るものであり、
前記画像表示部は、前記出力画像の一部として、複数の前記断面画像の連続的な表示切り替えを行うものである
付記1から3のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0115】
[付記5]
好ましくは、
前記関連画像は、前記光音響画像または前記光音響画像の基になった前記検出信号から導き出される数値化情報を画像化した数値化画像である
付記1から4のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0116】
[付記6]
好ましくは、
前記数値化情報は、前記被検部位の血流の状態を数値化した情報である
付記5に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0117】
[付記7]
好ましくは、
前記数値化情報は、前記被検部位における血液の酸素飽和度を数値化した情報である
付記5または6に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0118】
[付記8]
好ましくは、
前記数値化情報は、前記被検部位における関節部についてのものである
付記5から7のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0119】
[付記9]
好ましくは、
前記画像編集部は、前記関連画像としての前記数値化画像を、当該関連画像と共に前記出力画像を構成する前記光音響画像中の対応する関節部の近傍位置に配置する
付記8に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0120】
[付記10]
好ましくは、
前記画像編集部は、前記数値化画像と合わせて、当該数値化情報についての診断を行う際の基準となる基準数値情報を画像化したものを、前記関連画像とする
付記5から9のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0121】
[付記11]
好ましくは、
前記合成画像は、人体の両手または両足についての一対の前記光音響画像を並べた画像である
付記1から4のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0122】
[付記12]
好ましくは、
前記合成画像は、人体の手または足の表裏のそれぞれについての前記光音響画像を並べた画像である
付記1から4のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0123】
[付記13]
好ましくは、
前記被検部位についての可視画像を撮影する可視画像撮像部を備えるとともに、
前記画像編集部は、前記可視画像撮像部が撮影した前記可視画像を前記関連画像とする
付記1から4のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0124】
[付記14]
好ましくは、
前記被検部位についての赤外画像を撮影する赤外画像撮像部を備えるとともに、
前記画像編集部は、前記赤外画像撮像部が撮影した前記赤外画像を前記関連画像とする
付記1から4のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0125】
[付記15]
好ましくは、
前記画像再構成部で得た前記光音響画像を記憶する画像記憶部または前記画像記憶部に接続するインタフェース部の少なくとも一方を備えるとともに、
前記画像編集部は、前記画像記憶部に記憶されている前記光音響画像を前記画像記憶部から読み出して前記関連画像とする
付記1から4のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0126】
[付記16]
好ましくは、
前記合成画像は、人体の手または足について、異なる時期に得た各光音響画像を時系列に沿って並べた画像である
付記15に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0127】
[付記17]
好ましくは、
診療情報を記憶するサーバ装置に接続するインタフェース部を備えるとともに、
前記画像再構成部は、前記被検体について前記サーバ装置に記憶されている診療情報を前記サーバ装置から読み出して前記関連画像とする
付記1から4のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0128】
[付記18]
好ましくは、
前記画像表示部による表示出力内容を選択するための入力操作部を備える
付記1から17のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0129】
[付記19]
好ましくは、
前記被検部位を挿入する挿入口を具備した被検出空間を有し、前記被検出空間内に配された前記被検部位に対して光を照射して当該被検部位からの光音響波の検出信号を検出するセンサ部と備える
付記1から18のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0130】
[付記20]
好ましくは、
前記画像再構成部、前記画像編集部、前記画像表示部および前記センサ部が同一筐体に配されて構成されている
付記19に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0131】
[付記21]
好ましくは、
前記被検部位における関節部の炎症を伴う疾患の診断に用いられる
付記1から20のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0132】
[付記22]
好ましくは、
前記疾患は、関節リウマチである
付記21に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0133】
[付記23]
好ましくは、
前記被検体の四肢先端部または身体突出部の少なくとも一つを前記被検部位とする
付記1から22のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0134】
[付記24]
好ましくは、
前記被検体の四肢先端部の少なくとも一つを前記被検部位とする
付記1から22のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0135】
[付記25]
好ましくは、
前記被検部位が手である
付記24に記載の記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0136】
[付記26]
好ましくは、
前記被検部位が手関節とMP関節とを含む領域である
付記24または25に記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0137】
[付記27]
好ましくは、
前記被検部位がPIP関節を含む領域である
付記24から26のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0138】
[付記28]
好ましくは、
前記被検部位がDIP関節を含む領域である
付記24から27のいずれか1つに記載の光音響イメージング装置が提供される。

【0139】
好ましくは、
前記合成画像の初期表示の際に、当該合成画像を構成する各画像の向きおよび倍率を統一して表示出力を行う
付記1から28のいずれか1項に記載の光音響イメージング装置が提供される。
【符号の説明】
【0140】
10…基板処理装置、11…光源部、12…センサ部、12a…挿入口、12b…被検出空間、12c…媒質、13…DAS部、14…画像再構成部、15…画像編集部、16…画像表示部、17…I/F部、18…制御部、19…筐体、20…被検部位、21…手関節、22…MP関節、23…PIP関節、24…DIP関節、30,34,36…出力画像、31,37,38…光音響画像、32…関連画像(数値化画像)、33…関連画像、35…関連画像(光音響画像)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7