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明細書 :撮像板及びカメラ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-203699 (P2017-203699A)
公開日 平成29年11月16日(2017.11.16)
発明の名称または考案の名称 撮像板及びカメラ
国際特許分類 G01J   1/02        (2006.01)
G01J   1/44        (2006.01)
H01L  27/144       (2006.01)
G01T   1/16        (2006.01)
G21C  17/013       (2006.01)
G21C  17/08        (2006.01)
G01T   1/24        (2006.01)
FI G01J 1/02 B
G01J 1/02 Q
G01J 1/44 E
H01L 27/14 K
G01T 1/16 A
G21C 17/00 H
G21C 17/08
G01T 1/24
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2016-095617 (P2016-095617)
出願日 平成28年5月11日(2016.5.11)
発明者または考案者 【氏名】後藤 康仁
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100121441、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 竜平
【識別番号】100154704、【弁理士】、【氏名又は名称】齊藤 真大
審査請求 未請求
テーマコード 2G065
2G075
2G188
4M118
Fターム 2G065AA11
2G065AB04
2G065BA09
2G065BA34
2G065BA40
2G065BC02
2G065BC11
2G065BC16
2G065BC28
2G065BE08
2G065CA12
2G065CA21
2G065CA30
2G065DA18
2G075FA13
2G188AA19
2G188AA25
2G188BB04
2G188BB18
2G188CC29
2G188DD05
2G188DD30
2G188DD35
2G188EE07
2G188FF25
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA09
4M118CA03
4M118CA14
4M118CA22
4M118CB05
4M118GD03
要約 【課題】小型でありながらも高温、高放射線環境下でもその撮像特性が変化しにくく鮮明な可視光画像を得られる撮像板及びカメラを提供する。
【解決手段】第1光電変換膜PM1と、複数の電子源が前記第1光電変換膜PM1に対して電子ビームを射出するように配列された第1電子源アレイEA1と、を具備する第1撮像素子1と、第2光電変換膜PM2と、複数の電子源が前記第2光電変換膜PM2に対して電子ビームを射出するように配列された第2電子源アレイEA2と、を具備する第2撮像素子2と、を備え、撮像対象側から視た場合に前記第1撮像素子1の後ろ側に前記第2撮像素子2が重なるように配置した。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
第1光電変換膜と、複数の電子源が前記第1光電変換膜に対して電子ビームを射出するように配列された第1電子源アレイと、を具備する第1撮像素子と、
第2光電変換膜と、複数の電子源が前記第2光電変換膜に対して電子ビームを射出するように配列された第2電子源アレイと、を具備する第2撮像素子と、を備え、
撮像対象側から視た場合に前記第1撮像素子の後ろ側に前記第2撮像素子が重なるように配置されていることを特徴とする撮像板。
【請求項2】
前記第1撮像素子の光軸と、前記第2撮像素子の光軸が一致するように配置されている請求項1記載の撮像板。
【請求項3】
前記第1撮像素子から出力される第1出力信号と、前記第2撮像素子から出力される第2出力信号との差に基づいて可視光画像データを出力する画像データ生成部と、を備えた請求項1又は2記載の撮像板。
【請求項4】
前記第1光電変換膜及び前記第2光電変換膜が、CdTe/CdSダイオードと、前記CdTe/CdSダイオードの外表面に形成されたSb膜である請求項1乃至3いずれかに記載の撮像板。
【請求項5】
前記第1電子源アレイ及び前記第2電子源アレイの電子源が、電子が射出される円錐状のエミッタと、前記エミッタの周囲形成された絶縁膜と、前記エミッタからの電子の射出を制御するゲート、とを備え、
前記絶縁膜が0.2μm以上1μm以下である請求項1乃至4いずれかに撮像板。
【請求項6】
前記第1撮像素子と前記第2撮像素子が同一の撮像特性を有するものである請求項1乃至5いずれかに記載の撮像板。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載の撮像板を備えたカメラ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高放射線環境下で用いられる撮像板及びカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故以来、高い放射線耐性を持つ撮像素子開発の要求は従来以上に高まっている。例えば通常の監視以外に、事故時の高い線量率の下で機能する撮像素子や、ロボットの目となる小型、軽量の撮像素子が必要とされている。
【0003】
現状ではCCD等を用いた固体撮像素子と、撮像管等の真空撮像素子が高放射線環境下において用いられている。
【0004】
ところで、固体撮像素子は多数のMOS-FETを用いているため、放射線によりMOS-FETの特性が変化し、その結果、撮像特性に変化が生じてしまうという問題がある。
【0005】
一方、撮像管は1つの電子源から射出される電子ビームを光電変換膜の全面に走査する必要があるため、電子源と光電変換膜を所定距離以上離間させて偏向子により電子ビームを偏向できるように構成しなくてはならない。このため、撮像管は高い放射線耐性を実現できるものの原子炉内部を調査するためのロボットに搭載するのに適したサイズや重量まで小型化することは難しい。
【0006】
また、非特許文献1に示されるように撮像管を小型化するために単一の電子源の代わりに各画素に対して電子源が配列された電子源アレイを用いた撮像板も提案されている。
【0007】
しかしながら、前記撮像板により小型でありながらも高い放射線耐性を実現できたとしても、高温、高放射線環境下では可視光以外の熱又は放射線によって光電変換膜で正孔が生成され、各画素の出力信号として出力されてしまう。このため、高温、高放射線環境下で撮像される画像は、白飛びしている部分があったり、撮像対象が不鮮明になっている部分があったりする。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】映像情報メディア学会誌Vol.54, No.2, pp.242~247 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、小型でありながらも高温、高放射線環境下でもその撮像特性が変化しにくく鮮明な可視光画像を得られる撮像板及びカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る撮像板は、第1光電変換膜と、複数の電子源が前記第1光電変換膜に対して電子ビームを射出するように配列された第1電子源アレイと、を具備する第1撮像素子と、第2光電変換膜と、複数の電子源が前記第2光電変換膜に対して電子ビームを射出するように配列された第2電子源アレイと、を具備する第2撮像素子と、を備え、撮像対象側から視た場合に前記第1撮像素子の後ろ側に前記第2撮像素子が重なるように配置されていることを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、前記第1撮像素子には撮影対象から飛来する可視光と放射線が入射し、透過性の強い放射線のみが前記第2撮像素子に入射させることができる。このため、前記第1撮像素子からは可視光、放射線、温度の影響を受けた信号出力を得ることができ、前記第2撮像素子からは放射線、温度の影響を受けた信号出力を得ることができる。
【0012】
したがって、前記第1撮像素子の信号出力から前記第2撮像素子の信号出力を差し引くことにより、可視光のみを信号出力を得ることができ、白飛び等がなく、撮像対象について鮮明な画像を得ることが可能となる。
【0013】
また、各撮像素子は光電変換膜と電子源アレイで構成されているので高放射線環境においてもその撮像特性が変化しにくい。さらに電子源アレイを用いているので電子ビームを走査するための構成が必要ではなく、各撮像素子を例えば厚み方向に対して小型化する事が可能である。
【0014】
これらのことから本発明に係る撮像板であれば、小型でありながら高放射線耐性があり、しかも鮮明な可視光画像を得ることができる。したがって、例えば放射能で汚染されている原子炉内の調査を行うためのロボットに搭載するのに適している。
【0015】
前記第1撮像素子の各画素と前記第2撮像素子の各画素との位置関係を対応させ、同じ画素に対して同じ放射線が入射しやすくすることができ、各撮像素子の出力信号について単純な差分を取るだけでも鮮明な可視光画像を得られるようにするには、前記第1撮像素子の光軸と、前記第2撮像素子の光軸が一致するように配置されているものであればよい。
【0016】
鮮明な可視光画像を得られるようにするための具体的な構成としては、前記第1撮像素子から出力される第1出力信号と、前記第2撮像素子から出力される第2出力信号との差に基づいて可視光画像データを出力する画像データ生成部と、を備えたものが挙げられる。
【0017】
各撮像素子の光電変換機能について高い放射線耐性を実現できるようにするには、前記第1光電変換膜及び前記第2光電変換膜が、前記第1光電変換膜及び前記第2光電変換膜が、CdTe/CdSダイオードと、前記CdTe/CdSダイオードの外表面に形成されたSb膜であればよい。
【0018】
各撮像素子における光電変換膜に蓄えられた正孔から出力信号を読み出す機能についても高い放射線耐性を実現できるようには、前記第1電子源アレイ及び前記第2電子源アレイの電子源が、電子が射出される円錐状のエミッタと、前記エミッタの周囲形成された絶縁膜と、前記エミッタからの電子の射出を制御するゲート、とを備え、前記絶縁膜が0.2μm以上1μm以下であればよい。
【0019】
放射線が各撮像素子に作用する影響をほとんど同じにすることができ、出力信号の差を取るだけで放射線の影響を正確に補償できるようにするには、前記第1撮像素子と前記第2撮像素子が同一の撮像特性を有するものであればよい。
【0020】
本発明に係る撮像板を備えたカメラであれば、小型かつ高放射線耐性を有しながら鮮明な可視光画像を得ることができるので、特に放射能に汚染された原子炉等の調査を行うロボットに搭載するのに適したものになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る撮像板によれば、小型かつ高放射線耐性を有し、しかも、各撮像素子の出力信号の差を取ることで温度や放射線の影響をキャンセルし鮮明な可視光画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像板を用いたカメラを示す模式図。
【図2】同実施形態におけるカメラの模式的分解斜視図。
【図3】同実施形態における撮像板の模式図。
【図4】同実施形態における電子源アレイの構造を示す電子顕微鏡写真。
【図5】同実施形態における電子源アレイの内部構造を示す断面の電子顕微鏡写真。
【図6】同実施形態における撮像板の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る撮像板100及びカメラ200について各図を参照しながら説明する。

【0024】
本実施形態の撮像板100及びカメラ200は例えば放射能に汚染され、高放射線環境となっている原子力発電所内等を撮像するために用いられるものである。図1に示すように前記カメラ200は概略平板状をなす小型のものである。

【0025】
より具体的には図2に示すように前記カメラ200は、前記撮像板100が収容されるケーシング4と、前記ケーシング4内に収容される前記撮像板100と、前記ケーシング4の面板部に設けられ、前記撮像板100の受光面へと撮像対象からの可視光VLを集光するレンズ5と、を備えている。

【0026】
前記撮像板100は、2つの撮像素子1、2と、各撮像素子1、2から出力される信号の処理、及び、画像データの生成を行う制御ボード3とからなる。より具体的には前記撮像板100は、前記レンズ5とその受光面が対向するように設けられる第1撮像素子1と、前記第1撮像素子1と同型のものであり、前記第1撮像素子1の底面側に対してその受光面が対向するように設けられた第2撮像素子2とを備えている。前記第1撮像素子1及び前記第2撮像素子2は、撮像対象側から視た場合、あるいは、前記レンズ5側から視た場合に前記第1撮像素子1の後ろ側に前記第2撮像素子2が重なるように配置してある。また、前記第1撮像素子1の受光面の光軸と、前記第2撮像素子2の受光面の光軸は前記レンズ5の光軸に一致するように配置してある。さらに前記第1撮像素子1の各画素と前記第2撮像素子2の各画素の位置は前記ケーシング4の厚み方向の位置のみが異なるように対応させて配置してある。

【0027】
次に前記第1撮像素子1及び前記第2撮像素子2の構成の詳細について図3及び4を参照しながら説明する。

【0028】
前記第1撮像素子1は、入射する可視光VL又は放射線RRにより光電変換が生じ、正孔により像が形成される第1光電変換構造PC1と、前記第1光電変換構造PC1において形成されている正孔の像を各画素で読み出す第1画素構造IM1と、を備えている。

【0029】
前記第1光電変換構造PC1は、第1ガラスプレート11、第1透明電極12、第1光電変換膜PM1と、を備え、可視光VL及び放射線RRの入射側からこの順番で積層してある。

【0030】
前記第1透明電極12は例えばIn電極であって、この第1透明電極12を介して前記第1光電変換膜PM1への電圧の印加、及び、出力信号の取り出しが行われる。

【0031】
前記第1光電変換膜PM1は、前記第1透明電極12と接する第1光電変換ダイオード13と、前記第1光電変換ダイオード13の外表面であり、前記第1画素構造IM1と対向する面に形成された第1二次電子放出比制御膜14とからなる。

【0032】
前記第1光電変換ダイオード13は、前記第1透明電極12と接するように形成されたn型半導体層であるCdS層と、前記CdSと接するように形成されたp型半導体層であるCdTe層とからなるCdS/CdTeダイオードである。

【0033】
前記第1二次電子放出比制御膜14は、Sb膜であり、その表面を粗く形成することにより二次電子放出比が1よりも小さくなるように構成してある。

【0034】
前記第1画素構造IM1は、前記第1光電変換膜PM1へ電子ビームを射出する第1電子源アレイEA1と、前記第1光電変換膜PM1と前記第1電子源アレイEA1との間に離間させて設けられた第1メッシュ電極15と、前記第1電子源アレイEA1からの電子ビームの制御を行う第1制御回路18と、を備えている。

【0035】
前記第1電子源アレイEA1は、図4に示すように複数の電子源が前記第1光電変換膜PM1に対して電子ビームを射出するようにマトリクス状に配列された微小真空冷陰極アレイ(FEA)である。この第1電子源アレイEA1は、図5に示すように電子が射出される円錐状の第1エミッタ17と、前記第1エミッタ17の周囲形成された第1絶縁膜19と、前記第1エミッタ17からの電子の射出を制御する第1ゲート16、とを備えている。前記第1絶縁膜19の厚さは0.2μm以上1μm以下であり、厚膜化することによって高放射線環境下においてもその動作特性が変化しにくいようにしてある。また、本実施形態では複数個の隣接する第1エミッタ17を1単位として制御され、その領域が1画素として出力信号が得られるようにしてある。

【0036】
前記第1メッシュ電極15は、前記第1電子源アレイEA1から射出された電子のうち前記第1光電変換膜PM1の正孔と結合しなかった余剰電子を吸収するものである。

【0037】
前記第1制御回路18は、各第1ゲート16に印加する電圧を制御し、各第1エミッタ17群から順次電子ビームが射出されるように構成してある。すなわち1画素ずつ前記第1光電変換膜PM1に貯まっている正孔の量に応じた出力信号を得られるようにしてある。

【0038】
このように構成された第1撮像素子1の動作について説明する。前記第1光電変換膜PM1に可視光VL又は放射線RRが入射すると、光電効果により照射量に応じた電子と正孔が発生する。この正孔に対して前記第1電子源アレイEA1から電子が照射されると、短絡が生じその部分に貯まっていた正孔に応じた電流が第1出力信号として出力される。この第1出力信号は前記第1撮像素子1に入射した可視光VL及び放射線RRの量、さらには周囲温度の影響を反映したものとなる。

【0039】
次に第2撮像素子2について説明する。前記第2撮像素子2は前記第1撮像素子1と全く同じ構成のものである。なお、PC2は第2光電変換構造、IM2は第2画素構造、21は第2ガラスプレート、22は第2透明電極、PM2は第2光電変換膜、23第2光電変換ダイオード、24は第2二次電子放出比制御膜、EA2は第2電子源アレイ、26は第2ゲート、27は第2エミッタ、25は第2メッシュ電極、28は第2制御回路である。そして、基本動作については前記第1撮像素子1と同様であるので説明を省略する。図2に示すようにこの第2撮像素子2は前記レンズ5に対して前記第1撮像素子1の後側に配置されているので、図3に示すように可視光VLは前記第1撮像素子1で遮られ、放射線RRのみが到達する。したがって、前記第2撮像素子2から出力される第2出力信号は放射線RR、周囲温度のみの影響を反映したものとなる。

【0040】
次に制御ボード3に実装されているプログラムの構成及びその機能について図6を参照しながら説明する。

【0041】
前記制御ボード3はCPU、メモリ、A/D・D/Aコンバータ等を含む入出力手段を備えたいわゆるコンピュータであって、前記メモリに格納された撮像板100用プログラムが実行され、各種機器と協業する。その結果、前記制御ボード3は、少なくとも、第1受付部31、第1撮像データ記憶部32、第2受付部33、第2撮像データ記憶部34、可視光画像データ生成部35、可視光画像データ記憶部36としての機能を発揮するものである。

【0042】
各部について詳述する。

【0043】
前記第1受付部31は、前記第1撮像素子1から出力される可視光VL、周囲温度、放射線RRに由来する第1信号を受け付ける。そして、前記第1受付部31は第1信号が得られた際に電子ビームが照射されている箇所の画素を示すインデックスと、その画素に対して電子ビームを照射して得られた第1信号をA/D変換した電圧値とを対にして第1撮像データを出力する。前記インデックスは例えば前記第1制御回路18へ入力されている駆動信号を取得して設定される。

【0044】
前記第1撮像データ記憶部32は、前記第1受付部31から出力される第1撮像データを順次記憶するものである。ここで、仮に前記第1撮像データ記憶部32に記憶されている各撮像データに基づいて画像を生成すると、従来の撮像管等と同じく可視光VL、周囲温度、放射線RRの両方の影響を受けたものとなる。

【0045】
前記第2受付部33は、前記レンズ5から視て前記第1撮像素子1よりも奥側にある前記第2撮像素子2から出力される放射線RRのみに由来する第2信号を受け付ける。そして、前記第1受付部31は第1信号が得られた際に電子ビームが照射されている箇所の画素を示すインデックスと、その画素に対して電子ビームを照射して得られた第2信号をA/D変換した電圧値とを対にして第2撮像データを出力する。

【0046】
前記第2撮像データ記憶部34は、前記第2受付部33から出力される第2撮像データを順次記憶するものである。ここで、仮に前記第2撮像データ記憶部34に記憶されている各撮像データに基づいて画像を生成すると、ガンマ線等の放射線RRだけの影響を受けたものとなる。

【0047】
前記可視光画像データ生成部35は、前記第1撮像データ記憶部32と前記第2撮像データ記憶部34から第1撮像データと第2撮像データを取得し、前記第1撮像素子1のある画素と、前記第2撮像素子2の対応する画素について第1信号の電圧値と第2信号の電圧値との差分を算出する。さらに前記可視光画像データ生成部35は、ある画素について算出した差分とその画素を示すインデックスと対にして可視光画像データを生成するように構成してある。言い換えると前記可視光画像データ生成部35は、第1信号に含まれている可視光VL、周囲温度、放射線RRの情報から第2信号に含まれている周囲温度、放射線RRの情報を差し引き、可視光VLのみの情報からなる可視光画像データを生成している。

【0048】
前記可視光画像データ記憶部36は、前記可視光画像データ生成部35で生成された各画素について可視光画像データを記憶するものである。この可視光画像データ記憶部36に記憶されている可視光画像データは有線又は無線により例えば遠隔地にある表示端末へと送信され、例えば原子炉内の静止画像又は動画像として表示される。

【0049】
このような本実施形態の撮像板100及びカメラ200によれば、前記第1撮像素子1と前記第2撮像素子2が入射光軸に対して積層し、前記レンズ5に対して前記第2撮像素子2が奥側になるように設けてあるので、前記第1撮像素子1には可視光VLと放射線RRの影響を受けた第1信号を出力させ、前記第2撮像素子2には放射線RRの影響のみを受けた第2信号を出力させることができる。

【0050】
さらに前記可視光画像データ生成部35において第1信号から第2信号を差し引くことにより、可視光VLのみの影響を抽出した可視光画像データを生成するので、高放射線環境において撮像された画像に発生しがちな白飛びや不鮮明さを少なくし、鮮明な可視光画像を得られる。

【0051】
また、前記第1撮像素子1及び前記第2撮像素子2は、光電変換膜と電子源アレイにより構成されているので、CMOSやCCDと比較してMOS-FETを多量に用いてない分だけ高放射線環境下においても撮像特性が変化しにくい。さらに、前記撮像素子1及び前記第2撮像素子2は扁平な形状に構成できるので、本実施形態のように2枚を重ねてもロボット等に搭載可能な大きさで構成することができる。これに対して、例えば従来の撮像管であれば概略円筒形状となるため、2本の撮像管を光軸方向に並べて各出力信号の差分を取れるようにすると非常に長大な構成となってしまい、ロボット等に搭載することは非常に難しい。加えて、本実施形態の前記第1撮像素子1及び前記第2撮像素子2は従来の撮像管と比較して消費電力も抑えることができる。

【0052】
したがって、本実施形態の撮像板100及びカメラ200であれば例えば原子炉内のような10kGy/hに至る可能性があるような高放射線環境を調査するロボットにも搭載しやすく、しかも鮮明な可視光画像を得ることが可能となる。

【0053】
その他の実施形態について説明する。

【0054】
前記実施形態では、第1撮像素子と第2撮像素子は各画素の座標がケーシングの奥行き方向のみ異なるように構成していたが、ケーシングの平面方向に多少ずれていても構わない。例えば可視光画像データ生成部において第1撮像素子と第2撮像素子の各画素のずれを補正した上で可視光画像データを生成するようにすればよい。すなわち、撮像対象側から視た場合に前記第1撮像素子の後ろ側に前記第2撮像素子が重なるように配置されていればよい。

【0055】
また、可視光画像データに基づく画像と第2撮像データに基づく画像を重ね合わせることにより、ガンマ線源等の放射線源の位置を特定するためのガンマカメラとして構成してもよい。

【0056】
前記実施形態では可視光画像データのみを表示端末で表示するようにしていたが、第1撮像データ、第2撮像データに基づく画像を表示するようにしてもよい。すなわち、可視光及び放射線の両方の影響を受けた画像と、放射線の影響を受けた画像と、可視光の影響を受けた画像を同時に表示して比較できるようにしてもよい。

【0057】
光電変換膜については前記実施形態に記載した組成のものに限られず、例えばa-Se膜を用いて構わない。

【0058】
可視光画像データについてはモノクロ、カラーのいずれであってもよい。また、制御ボードについては前記実施形態のようにカメラのケーシング内で第1撮像素子及び第2撮像素子の近傍に配置するのではなく、例えばケーシング外において放射線を実質的に透過させないように所定値以上の厚みを有した鉛で覆われた状態で設けてもよい。この場合、第1撮像素子と第2撮像素子からの各出力信号を鉛で覆われた制御ボードまで伝達されるように配線等を行えばよい。このように構成すれば、制御ボードに用いられる電子部品に対する放射線耐性をさらに高めて、撮像特性をより変化しにくくすることができる。また、前記実施形態において制御ボードにおいて実現されていた機能や第1撮像素子、第2撮像素子の制御に関する機能については例えばカメラが搭載されるロボットのための演算機構を利用して実現するようにしても構わない。

【0059】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の組み合わせや変形を行っても構わない。
【符号の説明】
【0060】
200・・・カメラ
100・・・撮像板
1、2・・・第1撮像素子、第2撮像素子
PC1、PC2・・・第1光電変換構造、第2光電変換構造
11、21・・・第1ガラスプレート、第2ガラスプレート
12、22・・・第1透明電極、第2透明電極
PM1、PM2・・・第1光電変換膜、第2光電変換膜
13、23・・・第1光電変換ダイオード、第2光電変換ダイオード
14、24・・・第1二次電子放出比制御膜、第2二次電子放出比制御膜
IM1、IM2・・・第1画素構造、第2画素構造
15、25・・・第1メッシュ電極、第2メッシュ電極
EA1、EA2・・・第1電子源アレイ、第2電子源アレイ
16、26・・・第1ゲート、第2ゲート
17、27・・・第1エミッタ、第2エミッタ
18、28・・・第1制御回路、第2制御回路
19、29・・・第1絶縁膜、第2絶縁膜
3・・・制御ボード
31・・・第1受付部
32・・・第1撮像データ記憶部
33・・・第2受付部
34・・・第2撮像データ記憶部
35・・・可視光画像データ生成部
36・・・可視光画像データ記憶部
4・・・ケーシング
5・・・レンズ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5