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明細書 :VOC汚染水の浄化処理装置および浄化処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-213478 (P2017-213478A)
公開日 平成29年12月7日(2017.12.7)
発明の名称または考案の名称 VOC汚染水の浄化処理装置および浄化処理方法
国際特許分類 C02F   1/20        (2006.01)
B01F   3/04        (2006.01)
B01F   5/06        (2006.01)
FI C02F 1/20 A
B01F 3/04 A
B01F 5/06
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2016-106989 (P2016-106989)
出願日 平成28年5月30日(2016.5.30)
発明者または考案者 【氏名】浅井 靖史
【氏名】平野 享
【氏名】日下 英史
出願人 【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100078695、【弁理士】、【氏名又は名称】久保 司
審査請求 未請求
テーマコード 4D037
4G035
Fターム 4D037AA11
4D037AB02
4D037BA23
4D037BB05
4G035AB05
4G035AB28
4G035AC26
4G035AE13
要約 【課題】マイクロ/ナノバブルの特性を活かした新規ばっ気処理手法を確立するもので、気液分離はコンパクトなモジュール内で行われるため、処理対象水を循環処理することによって、従来のばっ気処理で使用するばっ気槽の容量よりも小型化できるVOC汚染水の浄化処理装置および方法を提供する。
【解決手段】マイクロ/ナノポーラスを有するセラミック多孔膜管24と、当該多孔膜管を密封・固定でき、かつ側部に高圧エアーの供給できるノズルを設け、両端に液体を通水できる開口部を有する外筒カラム23との2重管構造からなるセラミックモジュールを使用し、当該外筒カラム23の側部から供給する高圧エアーが当該セラミック多孔膜管24の外側から内部に通気する際に生成されるマイクロ/ナノサイズの微細気泡を当該多孔膜管に通水したVOCを含有する汚染水と界面活性剤を添加しないで気液接触させる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
マイクロ/ナノポーラスを有するセラミック多孔膜管と、当該多孔膜管を密封・固定でき、かつ側部に高圧エアーを供給できるノズルを設け、また、両端に液体を通水できる開口部を有する外筒カラムとの2重管構造からなることを特徴とするVOC汚染水の浄化処理装置。
【請求項2】
セラミック多孔膜管の孔径は、セラミック多孔膜管の孔径は、1mm>φ>0.05μmである請求項1記載のVOC汚染水の浄化処理装置。
【請求項3】
マイクロ/ナノポーラスを有するセラミック多孔膜管と、当該多孔膜管を密封・固定でき、かつ側部に高圧エアーの供給できるノズルを設け、両端に液体を通水できる開口部を有する外筒カラムとの2重管構造からなるセラミックモジュールを使用し、当該外筒カラム側部から供給する高圧エアーが当該多孔膜管外側から内部に通気する際に生成されるマイクロ/ナノサイズの微細気泡を当該多孔膜管に通水したVOCを含有する汚染水と界面活性剤を添加しないで気液接触させることを特徴としたVOC汚染水の浄化処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル(1μmから1mm未満)を用いたVOC汚染水の浄化処理装置および浄化処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に地下水汚染に対するVOC(揮発性有機化合物)対策としては、汚染土壌・地下水を原位置で浄化する方法、汚染土壌ガスを抽出する方法、汚染地下水を揚水する方法、汚染土壌を掘削除去する方法などが挙げられる。
【0003】
このうち、汚染地下水を揚水する方法では、汚染水を水槽に導きその水中に設けた散気管やエジェクターポンプ等で汚染水をバブリング(気泡サイズとして1mm以上)して気液接触浄化(ばっ気処理)することが行われてきた。
【0004】
図5はその一例を示すもので、図中1は汚染水を貯水する原水槽、2はばっ気槽で、原水槽1には原水ポンプ3が置かれ、これによりばっ気槽2に汚染水が送り込まれる。
【0005】
ばっ気槽2には吸気管5を備えた水中エジェクター4が置かれ、これで汚染水をバブリングして汚染水からVOCを揮発脱離させ、揮発脱離したVOCを含有する空気は気液分離槽6に送り、さらに、活性炭吸着塔7で活性炭にVOCを吸着させ、除去した空気はブロア8でVOC管理施設に送る。
【0006】
また、ばっ気槽2には排水ポンプ10を設置した排水ピット9が形成され、汚染水からVOCを揮発脱離した水は排水ポンプ10により濁水処理設備11に送られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記図5に示す方法は、揮発性有機化合物(VOC)を含有する汚染水に、散気管等で発生させた気泡と汚染水を接触させてVOCを気液分離して除去する方法であるが、この方法で大量の汚染水へ対応しようとすると水槽は大型化してしまう。
【0008】
汚染水の浄化効率は処理水槽内の汚染水ばっ気処理の均一性に大きく依存するが、ばっ気槽全体の均一な撹拌が困難であることから、単一のバブリング系統では均一性の確保が困難であり、大型化した水槽ではそれが顕著となる。
【0009】
一方、シラス多孔質ガラス膜(SPG膜)を密封・固定した装置と界面活性剤を添加して得られる微細気泡は、極めて均一かつキメ細かな気泡であり、その気泡が水中に滞留する時間が極めて長期にわたる等、ミリサイズ以上の気泡では見られない性質を有することから、「マイクロ/ナノバブル」と称して、様々な分野に応用されている。
【0010】
例えば、気泡の微細化は水と接触する表面積が大きくなることや、気泡が長時間滞留し、一部はそのまま消滅することから、通常のばっ気による気体の溶解よりも高効率に行うことができる。この性質を利用し、下記特許文献に示すような植物、水産物の成長を促す高濃度溶存酸素水製造を目的とした酸素水製造装置や、湖沼等の閉鎖系水域の貧酸素状態の改善による水質浄化に利用する等、水中の酸素濃度を増加させることを目的としたばっ気処理に利用されている。
<patcit num="1"> <text>特開2009-18296号公報</text></patcit>
【0011】
しかし、揮発性有機化合物(VOC)を含有する汚染水に、散気管等で発生させた気泡と汚染水を接触させてVOCを気液分離して除去する方法に適用しようとする場合、処理対象水との接触表面積を大きく取れるマイクロ/ナノサイズの微細気泡は、気液分離を行うには有効であるものの、微細孔のもう一つの特徴である、微細気泡の長寿命化および消滅による特性のため、気液分離できたVOCが再び処理水中に溶解してしまうため、この微細気泡を用いた気液分離主体のばっ気処理に応用された実績は殆どない。
【0012】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、マイクロ/ナノバブルの特性を活かした新規ばっ気処理手法を確立するもので、気液分離はコンパクトなモジュール内で行われるため、処理対象水を循環処理することによって、従来のばっ気処理で使用するばっ気槽の容量よりも小型化できるVOC汚染水のVOC汚染水の浄化処理装置および浄化処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため本発明はVOC汚染水の浄化処理装置としては、マイクロ/ナノポーラスを有するセラミック多孔膜管と、当該多孔膜管を密封・固定でき、かつ側部に高圧エアーを供給できるノズルを設け、また、両端に液体を通水できる開口部を有する外筒カラムとの2重管構造からなること、および、セラミック多孔膜管の孔径は、1mm>φ>0.05μmであることを要旨とするものである。
【0014】
VOC汚染水の浄化処理方法としては、マイクロ/ナノポーラスを有するセラミック多孔膜管と、当該多孔膜管を密封・固定でき、かつ側部に高圧エアーの供給できるノズルを設け、両端に液体を通水できる開口部を有する外筒カラムとの2重管構造からなるセラミックモジュールを使用し、当該外筒カラム側部から供給する高圧エアーが当該多孔膜管外側から内部に通気する際に生成されるマイクロ/ナノサイズの微細気泡を当該多孔膜管に通水したVOCを含有する汚染水と界面活性剤を添加しないで気液接触させることを要旨とするものである。
【0015】
マイクロ/ナノバブルによるばっ気処理はその微細気泡による処理対象水との接触面積の大きさから、通常のミリサイズを超える気泡によるばっ気処理よりも、高効率でVOCと処理対象水との気液分離が行われることが期待できるが、同時に微細気泡ゆえのVOCの再溶解プロセス(逆プロセス)により、気液分離を行うばっ気処理としては有効な手法ではなかった。
【0016】
具体的には、微細気泡へのVOC移行プロセスはマイクロ/ナノサイズの孔径を維持し、移行後(気液分離後)はミリサイズ以上の気泡となって、速やかに処理対象水から除去されることが必要である。
【0017】
本発明によれば、敢えて界面活性剤を添加しないことで、微細気泡の集合を促し、速やかに処理対象水から高濃度のVOCを含むミリバブルを除去することで、マイクロ/ナノバブルの特性を活かした高効率のばっ気処理が実現できる。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように本発明のVOC汚染水の浄化処理装置および浄化処理方法は、マイクロ/ナノバブルの特性を活かした新規ばっ気処理手法を確立するもので、気液分離はコンパクトなモジュール内で行われるため、処理対象水を循環処理することによって、従来のばっ気処理で使用するばっ気槽の容量よりも小型化できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明のVOC汚染水の浄化処理方法および装置の原理を示す説明図、図2、図3はセラミックモジュールの正面図、図3は図2のA-A線断面である。

【0020】
セラミックモジュールは、マイクロ/ナノポーラスを有するセラミック多孔膜(SPG)管24と、当該セラミック多孔膜管24を密封・固定できる外筒カラム23との2重管構造からなる。

【0021】
図中18はOリング固定金具、19は固定ナットで、セラミック多孔膜管24の上端の密封・固定を行い、下端はOリング固定金具20および固定兼用アダプター21で密封・固定を行う。図中22はSUSニップルである。

【0022】
セラミック多孔膜管24の孔径は、セラミック多孔膜管の孔径は、1mm>φ>0.05μm、望ましくは<0.8μmの孔径サイズとする。

【0023】
外筒カラム23は側部に高圧エアーを供給できるノズル27を設け、また、両端に液体を通水できる開口部25、26を有する。開口部25は放出口、開口部26はセラミック多孔膜管24に連通する給水口である。

【0024】
前記開口部26を介してセラミック多孔膜管24内にVOC汚染水を通水し、ノズル27を介して外筒カラム23内に圧搾空気を導入する。

【0025】
外筒カラム23側部から供給された高圧エアーはセラミック多孔膜管24の外壁から内部に通気する際に生成されるマイクロ/ナノサイズの微細気泡と、外筒カラム23下端または上端に向けて通水したVOCを含有する処理対象水と気液接触することにより、VOCを高効率に微細気泡中へ移行させる。

【0026】
その微細気泡からVOCが処理対象水へ再溶解する逆プロセスを防ぐため、界面活性剤を敢えて添加しないことにより微細気泡を意図的に集合させてミリサイズの気泡とすることで、処理水中から速やかに気泡を除去することが可能となる。

【0027】
この界面活性剤を敢えて添加しないことをさらに説明する。マイクロ/ナノバブルによるばっ気処理はその微細気泡による処理対象水との接触面積の大きさから、通常のミリサイズを超える気泡によるばっ気処理よりも、高効率でVOCと処理対象水との気液分離が行われることが期待できるが、同時に微細気泡ゆえのVOCの再溶解プロセス(逆プロセス)により、気液分離を行うばっ気処理としては有効な手法ではなかった。

【0028】
具体的には、微細気泡へのVOC移行プロセスはマイクロ/ナノサイズの孔径を維持し、移行後(気液分離後)はミリサイズ以上の気泡となって、速やかに処理対象水から除去されることが必要である。

【0029】
ところで、セラミック多孔膜を用いた微細気泡発生方式では、その微細気泡サイズを維持するために界面活性剤の添加が別途必要であるが、敢えて界面活性剤を添加しないことで、微細気泡の集合を促し、速やかに処理対象水から高濃度のVOCを含むミリバブルを除去することができる。

【0030】
また、今まで汚染水からVOCを気液分離するばっ気処理法において、気泡自体の大きさとばっ気効率の関係に関しては、殆ど議論されたことはなかった。

【0031】
そこで今回、前記セラミックモジュールのマイクロ/ナノサイズの孔径を変化させ、汚染水をモジュール内で接触・混合させた場合の気液分離の効果を室内実験により確認した。

【0032】
具体的には、セラミック多孔膜(SPG)の孔径は、>5μmの孔径サイズの膜に対し、<0.8μmの孔径サイズで、孔径が小さくなる程、気液分離(ばっ気)効果が極めて大きいことが確認された(図4)。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のVOC汚染水の浄化処理装置および浄化処理方法の原理を示す説明図である。
【図2】本発明によるセラミックモジュールの正面図である。
【図3】図2のA-A線断面図である。
【図4】ばっ気効率に及ぼす膜孔径の影響を示すグラフである。
【図5】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1…原水槽 2…ばっ気槽
3…原水ポンプ 4…水中エジェクター
5…吸気管 6…気液分離槽
7…活性炭吸着塔 8…ブロア
9…排水ピット 10…排水ポンプ
11…濁水処理設備 18…Oリング固定金具
19…固定ナット 20…Oリング固定金具
21…固定兼用アダプター 22…SUSニップル
23…外筒カラム 24…セラミック多孔膜管
25、26…開口部 27…ノズル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4