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明細書 :熱分離方法、熱の回収方法、気体および熱の分離方法、気体および熱の分離回収方法、熱分離装置、気体および熱分離装置、気体および熱分離回収装置、ならびに核融合装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-161364 (P2017-161364A)
公開日 平成29年9月14日(2017.9.14)
発明の名称または考案の名称 熱分離方法、熱の回収方法、気体および熱の分離方法、気体および熱の分離回収方法、熱分離装置、気体および熱分離装置、気体および熱分離回収装置、ならびに核融合装置
国際特許分類 G21B   1/11        (2006.01)
G21B   1/13        (2006.01)
FI G21B 1/00 P
G21B 1/00 N
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2016-046149 (P2016-046149)
出願日 平成28年3月9日(2016.3.9)
発明者または考案者 【氏名】興野 文人
【氏名】笠田 竜太
【氏名】小西 哲之
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100115255、【弁理士】、【氏名又は名称】辻丸 光一郎
【識別番号】100129137、【弁理士】、【氏名又は名称】中山 ゆみ
【識別番号】100154081、【弁理士】、【氏名又は名称】伊佐治 創
審査請求 未請求
要約 【課題】 本発明は、装置の腐食と、放射性物質の透過との問題を防止または抑制することが可能な、熱分離方法、熱の回収方法、気体および熱の分離方法、気体および熱の分離回収方法、熱分離装置、気体および熱分離装置、気体および熱分離回収装置、ならびに核融合装置の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明の核融合装置は、前記本発明の気体および熱分離装置(容器13)を含み、前記本発明の気体および熱分離装置が、トリチウムを分離回収可能であり、さらに、前記回収トリチウムを核融合させる核融合プラズマ11を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
真空中に形成または真空中に射出された液滴からの熱放射によって、液の保持する熱を液滴と分離する熱分離工程を含むことを特徴とする、熱の分離方法。
【請求項2】
前記液滴が、金属の液滴である請求項1記載の熱分離方法。
【請求項3】
前記液滴が、リチウム含有液体の液滴である請求項1または2記載の熱分離方法。
【請求項4】
前記液滴が、リチウム鉛(PbLi)の液滴である請求項1から3のいずれか一項に記載の熱分離方法。
【請求項5】
前記液滴が、伝熱液体の液滴である請求項1記載の熱分離方法。
【請求項6】
前記伝熱液体が、溶融塩または有機液体である請求項5記載の熱分離方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の熱分離方法により分離した熱を、前記真空の周囲の壁面を介して回収することを特徴とする、前記熱の回収方法。
【請求項8】
真空中に形成または真空中に射出された液滴中に溶存している気体を、前記気体の拡散放出により前記液滴と分離する気体分離方法と、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱分離方法とを同一の系中で行なうことにより、前記液滴から前記気体および前記熱を分離することを特徴とする、気体および熱の分離方法。
【請求項9】
真空中に形成または真空中に射出された液滴中に溶存している気体を、前記気体の拡散放出により前記液滴から分離回収する気体分離回収方法と、請求項7に記載の熱回収方法とを同一の系中で行なうことにより、前記液滴から前記気体および前記熱を分離回収することを特徴とする、気体および熱の分離回収方法。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の熱分離方法を行なう熱分離手段を含むことを特徴とする、熱分離装置。
【請求項11】
請求項8記載の気体および熱の分離方法を行なう気体および熱分離手段を含むことを特徴とする、気体および熱分離装置。
【請求項12】
請求項9記載の気体および熱の分離回収方法を行なう気体および熱分離回収手段を含むことを特徴とする、気体および熱の分離回収装置。
【請求項13】
請求項11記載の気体および熱分離装置を含み、
前記気体および熱分離装置が、トリチウムを分離回収可能であり、
さらに、前記回収トリチウムを核融合させる核融合プラズマを含むことを特徴とする、核融合装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分離方法、熱の回収方法、気体および熱の分離方法、気体および熱の分離回収方法、熱分離装置、気体および熱分離装置、気体および熱分離回収装置、ならびに核融合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核融合装置に於いては発生する熱エネルギーのみならず運転時に生成される燃料トリチウムを媒体である液体金属から抽出する必要がある。また熱エネルギーの回収効率及び液体金属の融点の制約から生成媒体の運転温度は最低でも300℃以上、一般的な設計では500℃以上の高温が必要である(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】M.S. Tillack et al., Fusion power core engineering for the ARIES-ST power plant, Fusion Eng. Des. 65 (2003) 215-261.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図11に、核融合装置の一例によるトリチウムおよび熱の回収メカニズムを模式的に示す。この装置は、液体PbLi(リチウム鉛、LiPbと表記することもある)をトリチウムおよび熱の回収用に併用するブランケット方式の一つであるDual-Coolant Lithium Lead(DCLL)を用いている。図示のとおり、この装置は、核融合プラズマ161、ブランケット162、トリチウム回収部163、および熱交換部164を含む。図示のとおり、核融合プラズマ161から発生した中性子によりトリチウムおよび熱が、ブランケット162中に発生し、ブランケット162中の液体PbLi(図11中ではLiPbと表記)とともに、まず、配管165を通じてトリチウム回収部163に送られる。トリチウム回収部163では、トリチウムが回収され、配管168を通じて核融合プラズマ161に戻され、再利用される。一方、トリチウム回収後の液体PbLiおよび熱は、トリチウム回収部163から、配管166を通じて熱交換部164に送られる。熱交換部164では、熱が回収され、利用されるとともに、LiPbは、配管167を通じてブランケット162に戻され、再利用される。
【0005】
このような従来の方式では、前述のとおり、トリチウムおよび熱のそれぞれに対し専用の抽出装置を配置し、さらに、隔膜(金属メンブレン)との接触方式で抽出を行う。具体的には、上流にトリチウム回収ステーション(Tritium Recovery Station、TRS)を配置し、下流に熱交換ステーション(Heat Excange Station、HES)を配置する。しかしながら、この方式では、下記の二つの問題があり、それが、核融合装置の実現性の制約となる。一つ目の問題は、液体金属による配管および隔膜の腐食による装置寿命の問題である。二つ目の問題は、放射性物質であるトリチウムが、配管または隔膜を介して周囲環境および二次媒体に透過するおそれがあることである。
【0006】
そこで、本発明は、装置の腐食と、放射性物質の透過との問題を防止または抑制することが可能な、熱分離方法、熱の回収方法、気体および熱の分離方法、熱分離装置、気体および熱分離装置、ならびに核融合装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の熱分離方法は、真空中に形成または真空中に射出された液滴からの熱放射によって、液の保持する熱を液滴と分離する熱分離工程を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の熱の回収方法は、前記本発明の熱分離方法により分離した熱を、前記真空の周囲の壁面を介して回収することを特徴とする。
【0009】
本発明の気体および熱の分離方法は、真空中に形成または真空中に射出された液滴中に溶存している気体を、前記気体の拡散放出により前記液滴と分離する気体分離方法と、前記本発明の熱分離方法とを同一の反応系中で行なうことにより、前記液滴から前記気体および前記熱を分離することを特徴とする。
【0010】
本発明の気体および熱の分離回収方法は、真空中に形成または真空中に射出された液滴中に溶存している気体を、前記気体の拡散放出により前記液滴と分離する気体分離方法と、前記本発明の熱分離回収方法とを同一の反応系中で行なうことにより、前記液滴から前記気体および前記熱を分離回収することを特徴とする。
【0011】
本発明の熱分離装置は、前記本発明の熱分離方法を行なう熱分離手段を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の気体および熱分離装置は、前記本発明の気体および熱の分離方法を行なう気体および熱分離手段を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の気体および熱分離回収装置は、前記本発明の気体および熱の分離方法を行なう気体および熱分離回収手段を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の核融合装置は、前記本発明の気体および熱分離回収装置を含み、前記本発明の気体および熱分離回収装置が、トリチウムを分離回収可能であり、さらに、前記回収トリチウムを核融合させる核融合プラズマを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱分離方法、熱の回収方法、気体および熱の分離方法、熱分離装置、気体および熱分離装置、ならびに核融合装置によれば、装置の腐食と、放射性物質の透過との問題を防止または抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の核融合装置の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、図1の容器13の構造を、さらに具体的に示す図である。
【図3】図3は、モデル計算の一例(0.1s毎のブロックに分割)を示す模式図である。
【図4】図4は、球形の液滴を示す模式図である。
【図5】図5は、PbLi液滴の温度と真空中滞在時間との関係の計算結果の一例を示すグラフである。
【図6】図6は、PbLi液滴の温度と真空中滞在時間との関係の計算結果の別の一例を示すグラフである。
【図7】図7は、PbLi液滴の温度と真空中滞在時間との関係の計算結果のさらに別の一例を示すグラフである。
【図8】図8は、PbLi液滴の温度と真空中滞在時間との関係の計算結果のさらに別の一例を示すグラフである。
【図9】図9は、PbLi液滴の温度と真空中滞在時間との関係の計算結果のさらに別の一例を示すグラフである。
【図10】図10は、PbLi液滴の温度と真空中滞在時間との関係の計算結果のさらに別の一例を示すグラフである。
【図11】図11は、従来の核融合装置の一例によるトリチウムおよび熱の分離回収メカニズムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。

【0018】
本発明の熱分離方法は、例えば、前記液滴が、金属の液滴であっても良い。

【0019】
本発明の熱分離方法は、例えば、前記液滴が、リチウム含有液体の液滴であっても良い。

【0020】
本発明の熱分離方法は、例えば、前記液滴が、リチウム鉛(PbLi)の液滴であっても良い。

【0021】
本発明の熱分離方法は、例えば、前記液滴が、伝熱液体の液滴であっても良い。前記伝熱液体は、例えば、溶融塩または有機液体等であっても良い。

【0022】
なお、本発明において、真空中に液滴を形成する液体は、蒸気圧が低いことが好ましい。「蒸気圧が低い」とは、具体的には、例えば、液滴の雰囲気が真空であることを妨げない程度の蒸気圧であることをいう。また、本発明において、「真空」は、例えば、液滴の流動(落下等)を妨げず、かつ、伝熱に影響を与えない程度の真空度(雰囲気圧)であれば良く、さほど高度な真空度を必要としない。

【0023】
以下、本発明について、図面、数式等を用いて、さらに具体的に説明する。ただし、以下の説明は例示であり、本発明をなんら限定しない。例えば、各図は、例示的な模式図であり、本発明はこれらに限定されない。また、数式は、理論計算の一例であり、本発明はこれらに限定されない。

【0024】
[本発明の装置および方法]
図1に、本発明の核融合装置の一例を模式的に示す。図示のとおり、この装置は、核融合プラズマ11と、ブランケット12と、容器13とを主要構成要素とする。図示のとおり、核融合プラズマ11から発生したトリチウム(気体)および熱は、ブランケット12中の液体PbLi(図1中ではLiPbと表記)とともに、まず、配管14を通じて容器13内に送られる。容器13内は真空であり、液滴形成手段(図示せず)により、容器13内に液体PbLiの液滴を形成する。そして、容器13内で液体PbLiの液滴が落下する間に、前記液滴から、トリチウムと熱とを同時に回収する。トリチウムについては、移流拡散により液体PbLiの液滴から放出させて回収する。熱(heat)については、図示のように、ふく射(熱放射)により容器13の周囲の壁(壁面)を加熱し、二次媒体に変換し、配管17を通じて回収する。回収した熱は、例えば、水蒸気を発生させてタービンを回して発電するために利用する。回収したトリチウムは、配管16を通じて核融合プラズマ11に戻され、再利用される。一方、熱およびトリチウムを回収後の液体PbLiは、配管15を通じてブランケット12に戻され、再利用される。

【0025】
なお、図1において、核融合プラズマ11以外の部分は、本発明の、気体分離装置、熱分離装置、気体および熱の分離装置、または、本発明の気体分離回収装置に該当する。図1の装置では、液体PbLiの液滴から、前記液滴中に溶存している気体であるトリチウムを、前記トリチウムの拡散放出により前記液滴と分離することができる。また、容器13は液滴から気体および熱を放出させる真空を保持し、、本発明の気体および熱の分離回収装置に該当する。

【0026】
図1の装置によれば、真空中において、非接触で(液体金属を装置壁、配管等に接触させずに)熱およびトリチウムを回収(分離)するため、従来のDCLLの課題であった装置の腐食と、放射性物質の透過との問題を防止または抑制することが可能である。

【0027】
また、図1の装置によれば、熱とトリチウムとを、容器13内の同一の反応系中において、同時に回収(分離)する。このため、従来のDCLLにおける熱とトリチウムとの二段階回収よりも高効率で熱およびトリチウムを回収することが可能である。すなわち、図1のような一段階回収であれば、二段階回収よりも、短時間で回収が可能であるため、その分、時間の経過で放熱が進むことによる熱エネルギーのロスを低減できる。

【0028】
また、本発明の装置では、例えば、図1のように、熱とトリチウムとを同一の反応系中で回収(分離)することにより、二段階回収よりも装置の小型化が可能である。

【0029】
つぎに、図2に、図1の容器13の構造を、さらに具体的に示す。図示のとおり、容器13の内部には空洞13aがある。空洞13aは、真空状態に保たれている。容器13の上端には、液体PbLi注入口21が設けられており、ノズル(図示せず)から液体PbLiを空洞(真空)13a中に液体PbLiの液滴22を形成放出する。液滴22からは、トリチウム23と熱(heat)とを分離する。分離したトリチウムは、容器13の上端および中腹のトリチウム回収部24および25から回収する。また、容器13の器壁内には、前記器壁下端のヘリウム導入部26からヘリウム(He)を導入することが可能であり、かつ、導入したヘリウムを、前記器壁上端のヘリウム導出部27から導出することが可能である。そして、前記ヘリウムを熱媒体として熱を分離する。また、容器13内の下端には、熱およびトリチウムを分離済の液体PbLi28を溜めることが可能であり、これを、液体PbLi回収部29から回収可能である。

【0030】
従来、熱の回収において、ふく射熱伝達は、1000℃以上等のきわめて高い温度の場合を除いて、効率的な方法であるとは考えられていなかった。

【0031】
これに対し、本発明者らは、1000℃未満の温度範囲でも、十分小さな液滴では表面積が大きくなるためふく射熱熱伝達の効率を良くすることが可能であることを見出した。

【0032】
例えば、図4に示すような球形の液滴において、液滴の半径rと、ふく射熱伝達効率 dT/dtとの関係は、下記数式(1)および(2)で表される。

【0033】
【数1-2】
JP2017161364A_000003t.gif
r:液滴の半径(m)
:液滴の温度(K)
:液滴外部の環境温度(K)
σ:シュテファンボルツマン定数(Wm-2-4
ε:放射率(-)
ρ:密度(kgm-3
:比熱(JK-1kg-1
V:体積(m
A:表面積(m

【0034】
前記数式(1)および(2)によれば、ふく射熱伝達効率dT/dtは、液滴の半径rに反比例するため、液滴の半径rを小さくすることにより、ふく射熱伝達効率dT/dtを十分高くできると考えられる。一例として、dT/dtは、下記のように算出される。

PbLi 径=1mm
=700℃
=650℃
ε=0.25
dT/dt=15℃/s

【0035】
本発明のトリチウムおよび熱の分離方法および分離装置において、金属の液滴の半径は、例えば1×10-4m以下、5×10-5m以下、4×10-5m以下、3×10-5m以下、2×10-5m以下、または1.5×10-5m以下であり、例えば1×10-5m以上である。

【0036】
図3に、モデル計算の一例(0.1s毎のブロックに分割)を模式的に示す。各ブロック内では温度は一定として熱エネルギーの伝達と温度変化を逐次計算した。時間t後の液滴の表面温度Tは、下記数式(3)で表され、時定数は、下記数式(4)で表される。

【0037】
【数3】
JP2017161364A_000004t.gif

【0038】
【数4】
JP2017161364A_000005t.gif

【0039】
700℃(973K)のPbLi液滴においては、例えば、下記数式(5)および(6)のとおり計算される。ブロックサイズは、Δt=0.1秒に固定されており、この時間は、温度変化の時定数の約5倍である。したがって、1ブロック内で、全ての液滴の温度が等しいと仮定される。

【0040】
【数5-6】
JP2017161364A_000006t.gif

【0041】
また、液滴から放出される熱とガス媒体が受け取った熱との間におけるエネルギーバランス(ふく射エネルギーと伝達エネルギーとの関係)は、下記数式(7)で表される。

【0042】
【数7】
JP2017161364A_000007t.gif

:液滴表面積(m
(i):経過時間i秒後の液滴の温度(K)
(i):経過時間i秒後の隔壁の温度(K)
(i):経過時間i秒後の二次媒体(ガス)の温度(K)
h:隔壁二次媒体間の熱伝達率(WK-1-2
:隔壁二次媒体間の単一ブロック表面積(m

【0043】
また、隣接するブロックにおける液滴と雰囲気(二次媒体)との間の温度変化は、下記数式(8)および(9)で表される。

【0044】
【数8-9】
JP2017161364A_000008t.gif

:液滴質量(kg)
:単位ブロック内二次媒体(ガス)質量(kg)
pc:二次媒体(ガス)比熱(Jkg-1-1
ph:液滴比熱(Jkg-1-1

【0045】
なお、図5~10のそれぞれのグラフに、PbLi液滴の温度と真空中滞在時間との関係の計算結果の一例を示す。液滴と真空中滞在時間の比較により、熱のふく射放出が決定因子であり小球程効率が良いことから、目標を満たす最少径を求めた。計算はモデルを0.1sec単位のブロックに分割し各ブロック内でのみ熱の交換がなされる前提とした。目標として、真空中滞在時間1sec(真空中での自由落下を行う年て装置高10m相当)の間に、PbLi液滴の温度が700℃から550℃まで変化するという目標を設定した。ただし、この目標は例示であり、本発明をなんら限定しない。図5~10の各グラフにおいて、横軸は、真空中滞在時間[秒]であり、縦軸は、PbLi液滴の温度[℃]である。「dd」は、PbLi液滴の直径である。図5は、PbLiが液滴(球)の場合である。また、図6および7は、PbLiが、それぞれ、液滴(Thi)、隔壁(bulk plate)の場合(Twi)、および気体(Tci)の場合を表す。なお、図6においては、真空中への放出時(0秒時)において、液滴の温度T(0)=700℃、雰囲気温度T(0)=650℃であり、図7においては、0秒時において、液滴の温度T(0)=800℃、雰囲気温度T(0)=650℃である。図8は、雰囲気(gas)の最終温度680℃において、PbLi液滴の直径ddを変化させた場合を表す。図示のとおり、液滴の直径を0.02mm以下にすれば前記目標値を達成できる。また、図9は、0秒時における液滴の温度T(0)=700℃、雰囲気(gas)の最終温度650℃におけるPbLi液滴の直径ddを変化させた場合のグラフである。図示のとおり、真空中滞在時間1秒以内に液滴の温度を550℃以下に低下させるためには、PbLi液滴の直径ddが約0.04mm以下であれば可能であると計算される。また、図10は、図9と同条件において、PbLi液滴の直径ddを0.05mmに固定し、放出率(emissivity)εの影響を加味して計算した結果である。図示のとおり、ε=0.25、0.5、0.75でそれぞれ計算したところ、εが大きければ、PbLi液滴の直径ddが0.05mmまたはそれ以上でも、経過時間1秒以内に液滴の温度を550℃以下に低下させることができると計算される。なお、放出率εは、一般的に光沢が有るほど低い傾向にある。図5~9では、光沢金属表面の類似データより、PbLiの放出率εを、安全サイドの数値であるε=0.25と推定した。ただし、εの数値は、PbLiの光沢により、大きく変化し得る。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上、説明したとおり、本発明の熱分離方法、熱の回収方法、気体および熱の分離方法、気体および熱の分離回収方法、熱分離装置、気体および熱分離装置、気体および熱分離回収装置、ならびに核融合装置によれば、装置の腐食と、放射性物質の透過との問題を防止または抑制することが可能である。Dual-Coolant Lithium Lead(DCLL)は高い熱抽出効率が得られる反面、トリチウム透過、隔膜耐久性等の技術的課題がありITER-TBM(テストブランケットモジュール)には採用されていない。これに対し、本発明によれば、これらの問題を解決し、安全で長期間運転可能なトリチウムと熱の回収装置を提供できる。また、本発明は、これに限定されず、広範な分野に適用可能である。例えば、本発明は、宇宙空間における飛行物体から、排熱のための媒体を用いずに冷却への応用が可能である。金属工業においては溶存ガス不純物の除去にも利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
11 核融合プラズマ
12 ブランケット
13 容器
14、15、16、17 配管
13a 空洞(真空)
161 核融合プラズマ
162 ブランケット
163 トリチウム回収部
164 熱交換部
165、166、167、168 配管
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10