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明細書 :NRG1の切断検出用プローブ、NRG1の切断検出用プローブをコードするポリヌクレオチド、NRG1の切断検出用プローブの発現ベクター、NRG1の切断検出用形質転換体、NRG1の切断検出方法、およびNRG1切断酵素の阻害剤のスクリーニング方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-165688 (P2017-165688A)
公開日 平成29年9月21日(2017.9.21)
発明の名称または考案の名称 NRG1の切断検出用プローブ、NRG1の切断検出用プローブをコードするポリヌクレオチド、NRG1の切断検出用プローブの発現ベクター、NRG1の切断検出用形質転換体、NRG1の切断検出方法、およびNRG1切断酵素の阻害剤のスクリーニング方法
国際特許分類 C07K  19/00        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C07K  14/705       (2006.01)
C07K  14/435       (2006.01)
C12N   1/19        (2006.01)
C12N   1/21        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
G01N  21/78        (2006.01)
C12N   1/15        (2006.01)
FI C07K 19/00 ZNA
C12N 15/00 A
C07K 14/705
C07K 14/435
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C12Q 1/02
G01N 21/78 C
C12N 1/15
請求項の数または発明の数 27
出願形態 OL
全頁数 42
出願番号 特願2016-053156 (P2016-053156)
出願日 平成28年3月16日(2016.3.16)
発明者または考案者 【氏名】瀬原 淳子
【氏名】亀崎 青沙
【氏名】佐藤 文規
【氏名】青木 一洋
【氏名】川上 浩一
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100115255、【弁理士】、【氏名又は名称】辻丸 光一郎
【識別番号】100129137、【弁理士】、【氏名又は名称】中山 ゆみ
【識別番号】100154081、【弁理士】、【氏名又は名称】伊佐治 創
【識別番号】100194515、【弁理士】、【氏名又は名称】南野 研人
審査請求 未請求
テーマコード 2G054
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4B065
4H045
Fターム 2G054AA08
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4H045CA40
4H045CA50
4H045DA50
4H045EA50
4H045FA74
要約 【課題】 簡便にニューレグリン1タンパク質(NRG1)の切断を検出できる、NRG1の切断検出用プローブを提供する。
【解決手段】 本発明のNRG1の切断検出用プローブは、NRG1、第1の標識物質、および第2の標識物質を含み、
前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、N末端側領域、NRG1切断酵素により認識され、切断される切断領域、およびC末端側領域を、この順序で含み、
前記第1の標識物質と前記第2の標識物質とが、異なるシグナルを発する標識物質であり、
前記第1の標識物質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、
前記第2の標識物質が、前記C末端側領域に挿入または付加されることを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
ニューレグリン1タンパク質(NRG1)、第1の標識物質、および第2の標識物質を含み、
前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、N末端側領域、NRG1切断酵素により認識され、切断される切断領域、およびC末端側領域を、この順序で含み、
前記第1の標識物質と前記第2の標識物質とが、異なるシグナルを発する標識物質であり、
前記第1の標識物質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、
前記第2の標識物質が、前記C末端側領域に挿入または付加されたタンパク質であることを特徴とする、NRG1の切断検出用プローブ。
【請求項2】
前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質であり、
前記異なるシグナルを発する標識物質が、異なる波長特性を有する蛍光タンパク質である、請求項1記載の検出用プローブ。
【請求項3】
前記N末端側領域が、N末端からC末端にかけて、シグナル配列領域、アイソフォーム特異的領域、およびEGF様領域を、この順序で含み、
前記第1の標識物質が、前記シグナル配列領域、前記アイソフォーム特異的領域、前記EGF様領域、および前記切断領域のいずれかの領域間もしくは領域内に挿入される、または
前記シグナル配列領域のN末端に付加される、請求項1または2記載の検出用プローブ。
【請求項4】
前記C末端側領域が、N末端からC末端にかけて、膜貫通領域および細胞質領域を、この順序で含み、
前記第2の標識物質が、前記切断領域、前記膜貫通領域、および前記細胞質領域のいずれかの領域間もしくは領域内に挿入される、または
前記細胞質領域のC末端に付加される、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
【請求項5】
前記NRG1が、下記(N1Hu)のタンパク質である、請求項1から4のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
(N1Hu)配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質
【請求項6】
前記NRG1が、下記(N1Ze)のタンパク質である、請求項1から4のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
(N1Ze)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質
【請求項7】
前記検出用プローブが、下記(P1Ze)のタンパク質である、請求項1から4および6のいずれか一項に記載の検出用プローブ。
(P1Ze)配列番号3、4、5、および17のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質
【請求項8】
ニューレグリン1タンパク質(NRG1)、第1の蛍光タンパク質、および第2の蛍光タンパク質を含み、
前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、N末端側領域、NRG1切断酵素により認識され、切断される切断領域、およびC末端側領域を、この順序で含み、
前記第1の蛍光タンパク質と前記第2の蛍光タンパク質とが、異なる波長特性を有する蛍光タンパク質であり、
前記第1の蛍光タンパク質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、
前記第2の蛍光タンパク質が、前記C末端側領域に挿入または付加されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドであることを特徴とする、NRG1の切断検出用プローブをコードするポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記N末端側領域が、N末端からC末端にかけて、シグナル配列領域、アイソフォーム特異的領域、およびEGF様領域を、この順序で含み、
前記第1の標識物質が、前記シグナル配列領域、前記アイソフォーム特異的領域、前記EGF様領域、および前記切断領域のいずれかの領域間もしくは領域内に挿入される、または
前記シグナル配列領域のN末端に付加される、請求項8記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記C末端側領域が、N末端からC末端にかけて、膜貫通領域および細胞質領域を、この順序で含み、
前記第2の標識物質が、前記切断領域、前記膜貫通領域、および前記細胞質領域のいずれかの領域間もしくは領域内に挿入される、または
前記細胞質領域のC末端に付加される、請求項8または9記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記NRG1が、下記(N1Hu)のタンパク質である、請求項8から10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
(N1Hu)配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質
【請求項12】
前記NRG1が、下記(N1Ze)のタンパク質である、請求項8から10のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
(N1Ze)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質
【請求項13】
前記ポリヌクレオチドが、下記(P1Ze)のタンパク質をコードするポリヌクレオチドである、請求項8から10および12のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
(P1Ze)配列番号3、4、5、および17のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質
【請求項14】
前記ポリヌクレオチドが、下記(p1Ze)のポリヌクレオチドである、請求項8から10、12および13のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
(p1Ze)配列番号6、7、8、および18のいずれか塩基配列からなるポリヌクレオチド
【請求項15】
請求項8から14のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、NRG1の切断検出用プローブの発現ベクター。
【請求項16】
請求項8から14のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、NRG1の切断検出用形質転換体。
【請求項17】
前記形質転換体が、動物または細胞である、請求項16記載の形質転換体。
【請求項18】
前記動物が、ゼブラフィッシュである、請求項17記載の形質転換体。
【請求項19】
請求項1から7のいずれか一項に記載のNRG1の切断検出用プローブの発現系を用い、
前記発現系における前記検出用プローブの切断を検出することにより、前記NRG1の切断を検出する検出工程を含むことを特徴とする、NRG1の切断検出方法。
【請求項20】
前記発現系における前記検出用プローブの第1の標識物質由来のシグナルおよび第2の標識物質由来のシグナルに基づき、前記検出用プローブの切断を検出する、請求項19記載の検出方法。
【請求項21】
前記第1の標識物質由来のシグナル量と、前記第2の標識物質由来のシグナル量との差および比の少なくとも一方に基づき、前記検出用プローブの切断を検出する、請求項20記載の検出方法。
【請求項22】
前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質である、請求項19から21のいずれか一項に記載の検出方法。
【請求項23】
被検物質から、ニューレグリン1タンパク質(NRG1)切断酵素による、請求項1から7のいずれか一項に記載のNRG1の切断検出用プローブの切断を抑制する被検物質を、NRG1切断酵素の阻害剤として選択する選択工程を含むことを特徴とする、NRG1切断酵素の阻害剤のスクリーニング方法。
【請求項24】
請求項1から7のいずれか一項に記載のNRG1の切断検出用プローブの発現系を用い、
前記発現系に、前記被検物質を共存させて、前記NRG1切断酵素により前記検出用プローブを切断する切断工程、
前記発現系における前記検出用プローブの切断を検出する検出工程、および
前記被検物質を共存させていないコントロールの発現系よりも前記検出用プローブの切断量が少ない被検物質を、前記NRG1切断酵素の阻害剤として選択する選択工程を含む、請求項23記載のスクリーニング方法。
【請求項25】
前記発現系における前記検出用プローブの第1の標識物質由来のシグナルおよび第2の標識物質由来のシグナルに基づき、前記検出用プローブの切断を検出する、請求項24記載のスクリーニング方法。
【請求項26】
前記第1の標識物質由来のシグナル量と、前記第2の標識物質由来のシグナル量との差および比の少なくとも一方に基づき、前記検出用プローブの切断を検出する、請求項25記載のスクリーニング方法。
【請求項27】
前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質である、請求項23から26のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、NRG1の切断検出用プローブ、NRG1の切断検出用プローブをコードするポリヌクレオチド、NRG1の切断検出用プローブの発現ベクター、NRG1の切断検出用形質転換体、NRG1の切断検出方法、およびNRG1切断酵素の阻害剤のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニューレグリン1(Neuregulin 1、NRG1)は心臓、脳等の形成や再生、乳腺の発達等に関与していることが知られており、また、BACE1(β-site amyloid precursor protein-cleaving enzyme 1)等のプロテアーゼにより切断されることで活性化する。NRG1の切断制御機構は、アルツハイマー病の原因タンパク質であると考えられているアミロイド前駆タンパク質の切断制御機構と類似していることが知られているが、その切断制御機構は未だ解明されていない部分が多い。このため、NRG1の切断制御機構の解明が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
NRG1の切断の可視化方法としては、GFPタンパク質をN末端に付加したGFP付加プローブを用い、このGFP付加プローブの挙動を観察する方法が考えられた。しかしながら、前記GFP付加プローブを用いた場合、未切断のGFP付加プローブと、切断されたGFP付加プローブとを、そのブラウン運動の違いに基づき検出する必要があり、特殊な方法により検出する必要がある。また、前記GFP付加プローブは、生体内での検出に使用できないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、簡便にNRG1の切断を検出できる、NRG1の切断検出用プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明のNRG1の切断検出用プローブ(以下、「プローブ」ともいう。)は、ニューレグリン1タンパク質(NRG1)、第1の標識物質、および第2の標識物質を含み、
前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、N末端側領域、NRG1切断酵素により認識され、切断される切断領域、およびC末端側領域を、この順序で含み、
前記第1の標識物質と前記第2の標識物質とが、異なるシグナルを発する標識物質であり、
前記第1の標識物質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、
前記第2の標識物質が、前記C末端側領域に挿入または付加されたタンパク質であることを特徴とする。
【0006】
本発明のNRG1の切断検出用プローブをコードするポリヌクレオチド(以下、「プローブ遺伝子」ともいう。)は、ニューレグリン1タンパク質(NRG1)、第1の蛍光タンパク質、および第2の蛍光タンパク質を含み、
前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、N末端側領域、NRG1切断酵素により認識され、切断される切断領域、およびC末端側領域を、この順序で含み、
前記第1の蛍光タンパク質と前記第2の蛍光タンパク質とが、異なる波長特性を有する蛍光タンパク質であり、
前記第1の蛍光タンパク質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、
前記第2の蛍光タンパク質が、前記C末端側領域に挿入または付加されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドであることを特徴とする。
【0007】
本発明のNRG1の切断検出用プローブの発現ベクター(以下、「発現ベクター」ともいう。)は、前記本発明のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明のNRG1の切断検出用形質転換体(以下、「形質転換体」ともいう。)は、前記本発明のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のNRG1の切断検出方法(以下、「検出方法」ともいう。)は、前記本発明のNRG1の切断検出用プローブの発現系を用い、
前記発現系における前記検出用プローブの切断を検出することにより、前記NRG1の切断を検出する検出工程を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明のNRG1切断酵素の阻害剤のスクリーニング方法は、被検物質から、ニューレグリン1タンパク質(NRG1)切断酵素による、前記本発明のNRG1の切断検出用プローブの切断を抑制する被検物質を、NRG1切断酵素の阻害剤として選択する選択工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便にNRG1の切断を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1におけるウエスタンブロットの結果を示す写真である。
【図2】図2は、実施例1におけるウエスタンブロットの結果を示す写真である。
【図3】図3は、実施例1におけるウエスタンブロットの結果を示す写真である。
【図4】図4は、実施例1における蛍光顕微鏡による観察の結果を示す写真である。
【図5】図5は、実施例1における補正後のシグナル量比(I/I)の結果を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例2におけるF1のゼブラフィッシュの神経細胞を顕微鏡により観察した結果を示す写真である。
【図7】図7は、実施例2における補正後のシグナル量比(I/I)の平均値の結果を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例3における補正後のシグナル量比(I/I)の平均値の結果を示すグラフである。
【図9】図9は、実施例4におけるウエスタンブロットの結果を示す写真である。
【図10】図10は、実施例5におけるウエスタンブロットの結果を示す写真である。
【図11】図11は、実施例5における顕微鏡による観察の結果を示す写真である。
【図12】図12は、実施例5における補正後のシグナル量比(I/I)の結果を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例5における顕微鏡による観察の結果を示す写真である。
【図14】図14は、実施例5における補正後のシグナル量比(I/I)の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の検出用プローブは、例えば、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質であり、
前記異なるシグナルを発する標識物質が、異なる波長特性を有する蛍光タンパク質である。

【0014】
本発明の検出用プローブおよびプローブ遺伝子は、例えば、前記N末端側領域が、N末端からC末端にかけて、シグナル配列領域、アイソフォーム特異的領域、およびEGF様領域を、この順序で含み、
前記第1の標識物質が、前記シグナル配列領域、前記アイソフォーム特異的領域、前記EGF様領域、および前記切断領域のいずれかの領域間もしくは領域内に挿入される、または
前記シグナル配列領域のN末端に付加される。

【0015】
本発明の検出用プローブおよびプローブ遺伝子は、例えば、前記C末端側領域が、N末端からC末端にかけて、膜貫通領域および細胞質領域を、この順序で含み、
前記第2の標識物質が、前記切断領域、前記膜貫通領域、および前記細胞質領域のいずれかの領域間もしくは領域内に挿入される、または
前記細胞質領域のC末端に付加される。

【0016】
本発明の検出用プローブおよびプローブ遺伝子は、例えば、前記NRG1が、下記(N1Hu)のタンパク質である。
(N1Hu)配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質

【0017】
本発明の検出用プローブおよびプローブ遺伝子は、例えば、前記NRG1が、下記(N1Ze)のタンパク質である。
(N1Ze)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質

【0018】
本発明の検出用プローブは、例えば、前記検出用プローブが、下記(P1Ze)のタンパク質である。
(P1Ze)配列番号3、4、5、および17のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質

【0019】
本発明のプローブ遺伝子は、例えば、前記ポリヌクレオチドが、下記(P1Ze)のタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
(P1Ze)配列番号3、4、5、および17のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質

【0020】
本発明のプローブ遺伝子は、例えば、前記ポリヌクレオチドが、下記(p1Ze)のポリヌクレオチドである。
(p1Ze)配列番号6、7、8、および18のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド

【0021】
本発明の形質転換体は、例えば、前記形質転換体が、動物または細胞である。前記動物が、例えば、ゼブラフィッシュである。

【0022】
本発明の検出方法およびスクリーニング方法は、例えば、前記発現系における前記検出用プローブの第1の標識物質由来のシグナルおよび第2の標識物質由来のシグナルに基づき、前記検出用プローブの切断を検出する。

【0023】
本発明の検出方法およびスクリーニング方法は、例えば、前記第1の標識物質由来のシグナル量と、前記第2の標識物質由来のシグナル量との差および比の少なくとも一方に基づき、前記検出用プローブの切断を検出する。

【0024】
本発明の検出方法およびスクリーニング方法は、例えば、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質である。

【0025】
本発明のスクリーニング方法は、例えば、前記本発明のNRG1の切断検出用プローブの発現系を用い、
前記発現系に、前記被検物質を共存させて、前記NRG1切断酵素により前記検出用プローブを切断する切断工程、
前記発現系における前記検出用プローブの切断を検出する検出工程、および
前記被検物質を共存させていないコントロールの発現系よりも前記検出用プローブの切断量が少ない被検物質を、前記NRG1切断酵素の阻害剤として選択する選択工程を含む。

【0026】
<NRG1の切断検出用プローブ>
本発明のNRG1の切断検出用プローブは、前述のように、ニューレグリン1タンパク質(NRG1)、第1の標識物質、および第2の標識物質を含み、前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、N末端側領域、NRG1切断酵素により認識され、切断される切断領域、およびC末端側領域を、この順序で含み、前記第1の標識物質と前記第2の標識物質とが、異なるシグナルを発する標識物質であり、前記第1の標識物質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、前記第2の標識物質が、前記C末端側領域に挿入または付加されたタンパク質であることを特徴とする。

【0027】
本発明のプローブは、前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、前記N末端側領域、前記切断領域、および前記C末端側領域を、この順序で含み、前記第1の標識物質と前記第2の標識物質とが、異なるシグナルを発する標識物質であり、前記第1の標識物質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、前記第2の標識物質が、前記C末端側領域に挿入または付加されたタンパク質であることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。

【0028】
本発明のプローブは、前記N末端側領域およびC末端側領域が、異なるシグナルを発する標識物質を含むことにより、前記プローブが未切断の場合、例えば、前記プローブを発現する細胞上で、両標識物質由来のシグナルの位置が極近傍となるため、例えば、蛍光顕微鏡等で観察した際に、前記両標識物質由来のシグナルが重なる。他方、前記プローブが切断された場合、例えば、前記プローブを発現する細胞上で、前記C末端側領域の前記第2の標識物質由来のシグナルが観察され、前記N末端側領域の前記第1の標識物質由来のシグナルが観察されなくなる。このため、本発明のプローブによれば、NRG1が切断されたか否かを簡便に検出できる。また、本発明のプローブは、メカニズムは不明であるが、動物等の生体においても、例えば、前記NRG1と同様の局在を示す。このため、本発明のプローブによれば、例えば、前記生体においても、前記NRG1の切断を検出できる。

【0029】
本発明において、前記NRG1の由来は、特に制限されず、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト動物等があげられ、前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、サル、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ等の哺乳類、ゼブラフィッシュ、メダカ等の魚類、トリ等の鳥類、カエル等の両生類があげられる。

【0030】
前記NRG1のアイソフォームは、特に制限されず、例えば、1型、2型、3型、4型、5型、6型のアイソフォームがあげられる。また、前記NRG1は、例えば、前記EGF様領域のアミノ酸配列により、α型と、β型とに分類できる。本発明において、前記NRG1が前記EGF様領域を含む場合、前記NRG1は、例えば、α型でもよいし、β型でもよい。また、以下の説明において、前記アイソフォームが1型且つα型の場合、α1型、前記アイソフォームが1型且つβ型の場合、β1型等のように、アイソフォームの名称を略称で記載することもある。

【0031】
前記NRG1は、前述のように、N末端からC末端にかけて、前記N末端側領域、前記切断領域、および前記C末端側領域を、この順序で含む。

【0032】
前記N末端側領域は、前記NRG1のN末端から前記切断領域までの領域である。前記N末端領域は、例えば、前記シグナルペプチドであるシグナル配列領域、前記アイソフォーム特異的なアミノ酸配列であるアイソフォーム特異的領域、前記EGF(epidermal growth factor)様ドメインであるEGF様領域等の機能的領域を含んでもよい。前記N末端側領域における各機能的領域は、例えば、当業者であれば、前記N末端側領域のアミノ酸配列に基づき、適宜決定できる。前記N末端側領域における各機能的領域の順序は、特に制限されず、例えば、前記アイソフォームに応じて適宜決定できる。前記NRG1がβ1型のアイソフォームの場合、前記N末端側領域は、例えば、N末端からC末端にかけて、前記シグナル配列領域、前記アイソフォーム特異的領域、および前記EGF様領域をこの順序で含む。

【0033】
前記切断領域は、前記NRG1切断酵素により認識され、切断される領域である。前記NRG1切断酵素は、特に制限されず、例えば、BACE(β-site amyloid precursor protein-cleaving enzyme)、ADAM10(A Disintegrin and metalloproteinase domain-containing protein 10)、ADAM17、ADAM19等のメタロプロテアーゼ等があげられる。前記NRG1切断酵素がBACE、ADAM10、およびADAM17(以下、「BACE等」ともいう。)の場合、前記切断領域のアミノ酸配列は、例えば、配列番号9のアミノ酸配列があげられる。前記NRG1切断酵素の由来は、特に制限されず、例えば、前記NRG1の説明を援用できる。前記NRG1切断酵素の由来と、前記NRG1の由来とは、例えば、同じでもよいし、異なってもよい。

【0034】
切断領域のアミノ酸配列(配列番号9)
MASFYKHLGIEFME

【0035】
前記C末端側領域は、前記NRG1の前記切断領域からC末端からまでの領域である。前記C末端領域は、例えば、細胞膜を貫通するアミノ酸配列である膜貫通領域、およびプロテインカイネースCによりリン酸化されるPKCリン酸化領域等を含む細胞質領域等の機能的領域を含んでもよい。前記C末端側領域における各機能的領域は、例えば、当業者であれば、前記C末端側領域のアミノ酸配列に基づき、適宜決定できる。前記C末端側領域における各機能的領域の順序は、特に制限されず、例えば、前記アイソフォームに応じて適宜決定できる。前記NRG1がβ1型のアイソフォームの場合、前記C末端側領域は、例えば、N末端からC末端にかけて、前記膜貫通領域および前記細胞質領域をこの順序で含む。

【0036】
前記NRG1は、例えば、前記NRG1の変異タンパク質でもよい。前記変異タンパク質は、例えば、前記NRG1のアミノ酸配列において、1もしくは数個、1~120個、1~90個、1~60個、1~30個、1~24個、1~18個、1~12個、1~6個、1~3個、1個または2個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質であってもよいし、前記NRG1のアミノ酸配列に対して、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質であってもよい。本発明において、個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1~3個」との記載は、「1、2、3個」の全ての開示を意味する(以下、同様)。また、前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。具体例として、前記変異タンパク質は、例えば、前記N末端側領域における前記シグナル配列領域等の一部の機能的領域またはその部分が欠失したNRG1、前記C末端側領域における一部の機能的領域またはその部分が欠失したNRG1等があげられる。

【0037】
前記NRG1がヒト由来NRG1の場合、前記NRG1は、例えば、下記(N1Hu)~(N3Hu)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である。
(N1Hu) 配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質
(N2Hu) 前記(N1Hu)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質
(N3Hu) 前記(N1Hu)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質

【0038】
前記(N1Hu)における配列番号1のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記配列番号1のアミノ酸配列において、下線で示したアミノ酸配列が、前記BACE等が前記NRG1切断酵素である場合の前記切断領域のアミノ酸配列であり、下線で示したアミノ酸配列より上流のアミノ酸配列が、前記N末端側領域のアミノ酸配列であり、下線で示したアミノ酸配列より下流のアミノ酸配列が、前記C末端側領域のアミノ酸配列である。また、配列番号1のアミノ酸配列は、β型の1型のアイソフォームに対応する。

【0039】
ヒトNRG1のβ1型アイソフォーム(配列番号1)
MGKGRAGRVGTTALPPRLKEMKSQESAAGSKLVLRCETSSEYSSLRFKWFKNGNELNRKNKPQNIKIQKKPGKSELRINKASLADSGEYMCKVISKLGNDSASANITIVESNEIITGMPASTEGAYVSSESPIRISVSTEGANTSSSTSTSTTGTSHLVKCAEKEKTFCVNGGECFMVKDLSNPSRYLCKCPNEFTGDRCQNYVMASFYKHLGIEFMEAEELYQKRVLTITGICIALLVVGIMCVVAYCKTKKQRKKLHDRLRQSLRSERNNMMNIANGPHHPNPPPENVQLVNQYVSKNVISSEHIVEREAETSFSTSHYTSTAHHSTTVTQTPSHSWSNGHTESILSESHSVIVMSSVENSRHSSPTGGPRGRLNGTGGPRECNSFLRHARETPDSYRDSPHSERYVSAMTTPARMSPVDFHTPSSPKSPPSEMSPPVSSMTVSMPSMAVSPFMEEERPLLLVTPPRLREKKFDHHPQQFSSFHHNPAHDSNSLPASPLRIVEDEEYETTQEYEPAQEPVKKLANSRRAKRTKPNGHIANRLEVDSNTSSQSSNSESETEDERVGEDTPFLGIQNPLAASLEATPAFRLADSRTNPAGRFSTQEEIQARLSSVIANQDPIAV

【0040】
前記(N2Hu)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(N2Hu)が、前記NRG1切断酵素により切断される範囲であればよい。前記(N2Hu)の「1もしくは数個」は、前記(N1Hu)のアミノ酸配列において、例えば、1~124個、1~93個、1~62個、1~31個、1~24個、1~18個、1~12個、1~6個、1~3個、1個または2個である。前記(N2Hu)において、例えば、前記切断領域のアミノ酸配列が保存されていることが好ましい。この場合、前記(N2Hu)は、例えば、前記(N1Hu)のアミノ酸配列において、前記(N1Hu)のアミノ酸配列における切断領域のアミノ酸配列が保存され、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質である。前記「1もしくは数個」は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0041】
前記(N3Hu)において、「同一性」は、例えば、前記(N3Hu)が、前記NRG1切断酵素により切断される範囲であればよい。前記(N3Hu)の「同一性」は、前記(N1Hu)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記(N3Hu)において、例えば、前記切断領域のアミノ酸配列が保存されていることが好ましい。この場合、前記(N3Hu)は、例えば、前記(N1Hu)のアミノ酸配列において、前記(N1Hu)のアミノ酸配列における切断領域のアミノ酸配列が保存され、前記(N1Hu)のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質である。前記「同一性」は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0042】
前記NRG1がゼブラフィッシュ由来NRG1の場合、前記NRG1は、例えば、下記(N1Ze)~(N3Ze)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である。
(N1Ze) 配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質
(N2Ze) 前記(N1Ze)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質
(N3Ze) 前記(N1Ze)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質

【0043】
前記(N1Ze)における配列番号2のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記配列番号2のアミノ酸配列において、下線で示したアミノ酸配列が、前記BACE等が前記NRG1切断酵素である場合の前記切断領域のアミノ酸配列であり、下線で示したアミノ酸配列より上流のアミノ酸配列が、前記N末端側領域のアミノ酸配列であり、下線で示したアミノ酸配列より下流のアミノ酸配列が、前記C末端側領域のアミノ酸配列である。また、配列番号2のアミノ酸配列は、β型の1型のアイソフォームに対応する。

【0044】
ゼブラフィッシュNRG1のβ1型アイソフォーム(配列番号2)
MAEVKAGKEGKSGDKKKDKESVRSNKPDNSPQAEPKLKNLRSVTVEDGKKTVLKCEILAGNPAPNVKWYKNGKELTGKNKPKSIKIKKKKQGKISELLIRKSTEGDAGLYTCEAVNSLGKTNTTANLFIINTATSTTPSAKTSSHVTPCNESEKEYCVNHGKCFTLEVTPGNIRRLCRCPNEFTGDRCQHYVMASFYKHLGIEFMEAEELYQKRVLTITGICIALLVVGIMCVVAYCKTKKQRKKLHDRLRQSLRERNAAAKGPQHPHPPPENLQLVNHYMPTNPVPAHMTDKEAETSLSTNEFTSPTHPSTAITHSSSQCWSNGKAESVVSDSHAVLMKPSAENCQHGTPSHRGRLNATGGVHQLNDYLKNSREAQGSNRDSPYSERYVSAMTTPTRLSPVGLLSPVTPSSPPSEMSAPLSSLATSVPSMLTSPSGEEERPLLFRTPPILRDKSASTQGRKSGHNLRNSAHYNHGLDIPSPPPSPLHIEEEIDCLEQYKSTSVPSSAPHSPSAARTQPSGQAAPEQAVSGSNSESSSSESETEDERVGEDTPFLGLQNPLAAGSLVLDGLEGSRTNPALHLSPQHELQNRLTAVMANQDPIAV

【0045】
前記(N2Ze)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(N2Ze)が、前記NRG1切断酵素により切断される範囲であればよい。前記(N2Ze)の「1もしくは数個」は、前記(N1Ze)のアミノ酸配列において、例えば、1~120個、1~90個、1~60個、1~30個、1~24個、1~18個、1~12個、1~6個、1~3個、1個または2個である。前記(N2Ze)において、例えば、前記切断領域のアミノ酸配列が保存されていることが好ましい。この場合、前記(N2Ze)は、例えば、前記(N1Ze)のアミノ酸配列において、前記(N1Ze)のアミノ酸配列における切断領域のアミノ酸配列が保存され、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質である。前記「1もしくは数個」は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0046】
前記(N3Ze)において、「同一性」は、例えば、前記(N3Ze)が、前記NRG1切断酵素により切断される範囲であればよい。前記(N3Ze)の「同一性」は、前記(N1Ze)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記(N3Ze)において、例えば、前記切断領域のアミノ酸配列が保存されていることが好ましい。この場合、前記(N3Ze)は、例えば、前記(N1Ze)のアミノ酸配列において、前記(N1Ze)のアミノ酸配列における切断領域のアミノ酸配列が保存され、前記(N1Ze)のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断されるタンパク質である。前記「同一性」は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0047】
前記第1の標識物質および前記第2の標識物質は、特に制限されず、例えば、それぞれ、蛍光標識物質、放射性標識物質、酵素、ペプチドタグ等があげられる。前記蛍光標識物質は、特に制限されず、例えば、蛍光団等の蛍光物質、蛍光タンパク質等があげられ、例えば、後述する本発明のプローブ遺伝子を用いて簡便に製造できることから、好ましくは、蛍光タンパク質である。このため、本発明のプローブは、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質であることが好ましい。前記蛍光タンパク質は、特に制限されず、公知のタンパク質が使用でき、具体例として、青色蛍光タンパク質、シアン色蛍光タンパク質、EGFP等の緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、mCherry等の赤色蛍光タンパク質等があげられる。前記酵素は、例えば、ルシフェラーゼ等の酵素があげられる。

【0048】
前記第1の標識物質と前記第2の標識物質とは、異なるシグナルを発する標識物質である。前記異なるシグナルは、例えば、区別可能なシグナルであり、具体例として、異なる種類のシグナルでもよいし、同じ種類であり、且つ異なる特性のシグナルでもよい。前者は、例えば、電気シグナルと光学シグナルとの組合せ等があげられる。後者は、例えば、光学シグナルの場合、波長特性の異なるシグナルがあげられる。具体例として、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、前記第1の蛍光タンパク質および前記第2の蛍光タンパク質である場合、前記異なるシグナルを発する標識物質は、例えば、異なる波長特性を有する蛍光タンパク質、すなわち区別可能な波長特性を有する蛍光タンパク質であることが好ましい。

【0049】
本発明において、前記第1の標識物質は、前記N末端側領域に挿入または付加されていればよい。前記挿入は、例えば、前記N末端側領域の2つのアミノ酸の間において、前記2つのアミノ酸が、前記第1の標識物質を介して間接的に連結していることを意味する。前記付加は、例えば、前記第1の標識物質が、前記N末端領域のアミノ酸の末端に連結していることを意味する。前記N末端側領域において、前記第1の標識物質が挿入また付加される位置は、特に制限されず、任意の位置とできる。前記N末端側領域がN末端からC末端にかけて、前記シグナル配列領域、前記アイソフォーム特異的領域、および前記EGF様領域を、この順序で含む場合、前記第1の標識物質が、例えば、前記シグナル配列領域、前記アイソフォーム特異的領域、前記EGF様領域、および前記切断領域のいずれかの領域間もしくは領域内に挿入される、または前記シグナル配列領域のN末端に付加される。この場合、前記第1の標識物質が、例えば、前記NRG1と同様の局在を示すことから、前記シグナル配列領域、前記アイソフォーム特異的領域、前記EGF様領域、および前記切断領域のいずれかの領域間に挿入される、または前記シグナル配列領域のN末端に付加されることが好ましい。具体例として、前記第1の標識物質が前記第1の蛍光タンパク質の場合、前記第1の標識物質は、例えば、前記N末端領域のN末端に付加されてもよいし、前記シグナル配列領域と前記アイソフォーム特異的領域との間に挿入されてもよいし、前記アイソフォーム特異的領域と前記EGF様領域との間に挿入されてもよい。

【0050】
本発明において、前記第2の標識物質は、前記C末端側領域に挿入または付加されていればよい。前記挿入は、例えば、前記C末端側領域の2つのアミノ酸の間において、前記2つのアミノ酸が、前記第2の標識物質を介して間接的に連結していることを意味する。前記付加は、例えば、前記第2の標識物質が、前記C末端領域のアミノ酸の末端に連結していることを意味する。前記C末端側領域において、前記第2の標識物質が挿入また付加される位置は、特に制限されず、任意の位置とできる。前記C末端側領域がN末端からC末端にかけて、前記膜貫通領域および前記細胞質領域を、この順序で含む場合、前記第2の標識物質が、例えば、前記切断領域、前記膜貫通領域および前記細胞質領域のいずれかの領域間もしくは領域内に挿入される、または前記細胞質領域のC末端に付加される。この場合、前記第2の標識物質が、例えば、前記NRG1と同様の局在を示すことから、前記切断領域、前記膜貫通領域、および前記細胞質領域のいずれかの領域間に挿入される、または前記細胞質領域のC末端に付加されることが好ましい。具体例として、前記第2の標識物質が前記第2の蛍光タンパク質の場合、前記第2の標識物質は、例えば、前記C末端側領域のC末端に付加される。

【0051】
本発明のプローブは、例えば、その他のアミノ酸配列を含んでもよい。前記その他のアミノ酸配列は、例えば、リンカーペプチド等があげられる。

【0052】
前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、前記第1の蛍光タンパク質および前記第2の蛍光タンパク質の場合、本発明のプローブは、例えば、下記(P1Ze)~(P3Ze)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である。
(P1Ze) 配列番号3、4、5、および17のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質
(P2Ze) 前記(P1Ze)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質
(P3Ze) 前記(P1Ze)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質

【0053】
前記(P1Ze)における配列番号3~5および17のアミノ酸配列は、以下の通りである。以下、配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質を、第1のプローブ-1ともいい、配列番号17のアミノ酸配列からなるタンパク質を、第1のプローブ-2ともいい、配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質を、第2のプローブともいい、配列番号5のアミノ酸配列からなるタンパク質を、第3のプローブともいう。前記(P1Ze)は、前記ゼブラフィッシュ由来NRG1のβ1型のアイソフォームを含むプローブである。前記配列番号3~5および17のアミノ酸配列において、下線で示したアミノ酸配列が、前記BACE等が前記NRG1切断酵素である場合の前記切断領域のアミノ酸配列であり、下線で示したアミノ酸配列より上流のアミノ酸配列が、前記N末端側領域および前記第1の蛍光タンパク質のアミノ酸配列であり、前記N末端側領域および第1の蛍光タンパク質のアミノ酸配列において、四角で囲ったアミノ酸配列が、前記第1の蛍光タンパク質のアミノ酸配列であり、四角で囲っていない領域が、前記N末端側領域のアミノ酸配列である。また、この場合、下線で示したアミノ酸配列より下流のアミノ酸配列が、前記C末端側領域および前記第2の蛍光タンパク質のアミノ酸配列であり、前記C末端側領域および前記第2の蛍光タンパク質のアミノ酸配列において、四角で囲ったアミノ酸配列が、前記第2の蛍光タンパク質のアミノ酸配列であり、四角で囲っていない領域が、前記C末端側領域のアミノ酸配列である。前記第2および第3のプローブにおいて、前記N末端側領域のアミノ酸における括弧で囲んだ下線のアミノ酸配列は、リンカーペプチドのアミノ酸配列である。

【0054】
第1のプローブ-1(配列番号3)
JP2017165688A_000003t.gif

【0055】
第1のプローブ-2(配列番号17)
JP2017165688A_000004t.gif

【0056】
第2のプローブ(配列番号4)
JP2017165688A_000005t.gif

【0057】
第3のプローブ(配列番号5)
JP2017165688A_000006t.gif

【0058】
前記(P2Ze)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(P2Ze)が、前記NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有する範囲であればよい。前記(P2Ze)の「1もしくは数個」は、前記(P1Ze)のアミノ酸配列において、例えば、1~218個、1~163個、1~109個、1~54個、1~43個、1~32個、1~21個、1~10個、1~5個、1~3個、1または2個である。前記(P2Ze)において、例えば、前記切断領域のアミノ酸配列が保存されていることが好ましい。この場合、前記(P2Ze)は、例えば、前記(P1Ze)のアミノ酸配列において、前記(P1Ze)のアミノ酸配列における切断領域のアミノ酸配列が保存され、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質である。前記「1もしくは数個」は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0059】
前記(P3Ze)において、「同一性」は、例えば、前記(P3Ze)が、前記NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有する範囲であればよい。前記(P3Ze)の「同一性」は、前記(P1Ze)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記(P3Ze)において、例えば、前記切断領域のアミノ酸配列が保存されていることが好ましい。この場合、前記(P3Ze)は、例えば、前記(P1Ze)のアミノ酸配列において、前記(P1Ze)のアミノ酸配列における切断領域のアミノ酸配列が保存され、前記(P1Ze)のアミノ酸配列に対して、70%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質である。前記「同一性」は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0060】
<NRG1の切断検出用プローブをコードするポリヌクレオチド>
本発明のNRG1の切断検出用プローブをコードするポリヌクレオチドは、前述のように、ニューレグリン1タンパク質(NRG1)、第1の蛍光タンパク質、および第2の蛍光タンパク質を含み、前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、N末端側領域、NRG1切断酵素により認識され、切断される切断領域、およびC末端側領域を、この順序で含み、前記第1の蛍光タンパク質と前記第2の蛍光タンパク質とが、異なる波長特性を有する蛍光タンパク質であり、前記第1の蛍光タンパク質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、前記第2の蛍光タンパク質が、前記C末端側領域に挿入または付加されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドであることを特徴とする。

【0061】
本発明のプローブ遺伝子は、前記NRG1が、N末端からC末端にかけて、前記N末端側領域、前記切断領域、および前記C末端側領域を、この順序で含み、前記第1の蛍光タンパク質と前記第2の蛍光タンパク質とが、異なる波長特性を有する蛍光タンパク質であり、前記第1の蛍光タンパク質が、前記N末端側領域に挿入または付加され、前記第2の蛍光タンパク質が、前記C末端側領域に挿入または付加されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドであることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明のプローブ遺伝子によれば、例えば、本発明のプローブを製造できる。本発明のプローブ遺伝子は、例えば、本発明のプローブの説明を援用できる。

【0062】
本発明のプローブ遺伝子は、例えば、前記本発明のプローブのアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。

【0063】
前記プローブが、下記(P1Ze)~(P3Ze)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質の場合、本発明のプローブ遺伝子は、例えば、下記(P1Ze)~(P3Ze)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
(P1Ze) 配列番号3、4、5、および17のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質
(P2Ze) 前記(P1Ze)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質
(P3Ze) 前記(P1Ze)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質

【0064】
本発明のプローブ遺伝子は、例えば、下記(p1Ze)~(p4Ze)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドであってもよい。
(p1Ze)配列番号6、7、8、および18のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(p2Ze)前記(p1Ze)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(p3Ze)前記(p1Ze)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(p4Ze)前記(p1Ze)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド

【0065】
本発明のプローブ遺伝子は、例えば、前述のような本発明のプローブの遺伝子工学的手法による合成に有用である。

【0066】
前記(p1Ze)における配列番号6~8および18の塩基配列は、以下の通りである。以下、配列番号18の塩基配列からなるポリヌクレオチドを、第1のプローブ遺伝子-1ともいい、配列番号6の塩基配列からなるポリヌクレオチドを、第1のプローブ遺伝子-2ともいい、配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチドを、第2のプローブ遺伝子ともいい、配列番号8の塩基配列からなるポリヌクレオチドを、第3のプローブ遺伝子ともいう。前記第1のプローブ遺伝子-1は、例えば、前記第1のプローブ-1をコードするポリヌクレオチドである。前記第1のプローブ遺伝子-2は、例えば、前記第1のプローブ-2をコードするポリヌクレオチドである。前記第2のプローブ遺伝子は、例えば、前記第2のプローブをコードするポリヌクレオチドである。前記第3のプローブ遺伝子は、例えば、前記第3のプローブをコードするポリヌクレオチドである。前記(P1Ze)は、前記ゼブラフィッシュ由来NRG1のβ1型のアイソフォームをコードするプローブ遺伝子である。前記配列番号6~8および18の塩基配列において、下線で示した塩基配列が、前記切断領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列であり、下線で示した塩基配列より上流(5’端側)の塩基配列が、前記N末端側領域および前記第1の蛍光タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列であり、前記N末端側領域および第1の蛍光タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列において、四角で囲った塩基配列が、前記第1の蛍光タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列であり、四角で囲っていない領域が、前記N末端側領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列である。また、この場合、下線で示した塩基配列より下流(3’端側)の塩基配列が、前記C末端側領域および前記第2の蛍光タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列であり、前記C末端側領域および前記第2の蛍光タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列において、四角で囲った塩基配列が、前記第2の蛍光タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列であり、四角で囲っていない領域が、前記C末端側領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列である。前記第2および第3のプローブ遺伝子において、前記N末端側領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列における括弧で囲んだ下線の塩基配列は、リンカーペプチドをコードする塩基配列である。

【0067】
第1のプローブ遺伝子-1(配列番号18)
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【0068】
第1のプローブ遺伝子-2(配列番号6)
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【0069】
第2のプローブ遺伝子(配列番号7)
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【0070】
第3のプローブ遺伝子(配列番号8)
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【0071】
前記(p2Ze)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(p2Ze)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有する範囲であればよい。前記(p2Ze)の「1もしくは数個」は、前記(p1Ze)の塩基配列において、例えば、1~653個、1~490個、1~326個、1~163個、1~130個、1~98個、1~65個、1~32個、1~16個、1~8個、1~4個、1~3個、1または2個である。前記(p2Ze)において、例えば、切断領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列が保存されていることが好ましい。この場合、前記(p2Ze)は、例えば、前記(p1Ze)の塩基配列において、前記(p1Ze)の塩基配列における切断領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列が保存され、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。前記「1もしくは数個」は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0072】
前記(p3Ze)において、「同一性」は、例えば、前記(p3Ze)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有する範囲であればよい。前記(p3Ze)の同一性は、前記(p1Ze)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記(p3Ze)において、例えば、切断領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列が保存されていることが好ましい。この場合、前記(p3Ze)は、例えば、前記(p1Ze)の塩基配列において、前記(p1Ze)の塩基配列における切断領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列が保存され、前記(p1Ze)の塩基配列に対して、70%以上の同一性を有する塩基配列からなり、NRG1切断酵素により切断され、第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質とが異なる波長特性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。前記「同一性」は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0073】
前記(p4Ze)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(p1Ze)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記ハイブリダイズは、例えば、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出できる。前記ハイブリダイゼーションアッセイは、特に制限されず、例えば、ザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載されている方法を採用することもできる。

【0074】
前記(r4Ze)において、「ストリンジェントな条件」は、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ストリンジェンシーの程度は、当業者であれば、例えば、温度、塩濃度、プローブの濃度および長さ、イオン強度、時間等の条件を適宜選択することで、設定可能である。「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載の条件を採用することもできる。

【0075】
本発明において、前記各種ポリヌクレオチドは、例えば、遺伝子工学的手法または有機合成的手法によって合成でき、cDNA等の合成DNA、合成RNAということもできる。

【0076】
<NRG1の切断検出用プローブの発現ベクター>
本発明のNRG1の切断検出用プローブの発現ベクターは、前述のように、前記本発明のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする。本発明の発現ベクターは、前記本発明のポリヌクレオチド、すなわち、前記本発明のプローブ遺伝子を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の発現ベクターによれば、例えば、本発明の発現ベクターを前記宿主に導入することで、前記本発明のプローブを容易に製造できる。本発明の発現ベクターは、例えば、前記本発明プローブおよび前記本発明のプローブ遺伝子等の説明を援用できる。

【0077】
本発明の発現ベクターは、例えば、前記本発明のプローブ遺伝子がコードするプローブを発現可能なように、前記プローブ遺伝子を含んでいればよく、その構成は特に制限されない。

【0078】
本発明の発現ベクターは、例えば、骨格となるベクター(以下、「基本ベクター」ともいう)に、前記プローブ遺伝子を挿入することで作製できる。前記ベクターの種類は、特に制限されず、例えば、前記宿主の種類に応じて、適宜決定できる。前記ベクターは、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターがあげられる。前記導入方法としてヒートショック法により宿主の形質転換を行う場合、前記ベクターは、例えば、バイナリーベクター等があげられる。前記ベクターは、例えば、pETDuet-1ベクター、pQE-80LベクターおよびpUCP26Kmベクター等があげられる。大腸菌等の細菌に形質転換を行う場合、前記ベクターは、pETDuet-1ベクター(ノバジェン社)、例えば、pQE-80Lベクター(QIAGEN社)等があげられる。ゼブラフィッシュ等の非ヒト動物に形質転換を行う場合、前記ベクターは、例えば、pEF-BOS等があげられる。

【0079】
本発明の発現ベクターは、例えば、前記プローブ遺伝子の発現および前記プローブ遺伝子がコードする前記プローブの発現を調節する、調節配列を有することが好ましい。前記調節配列は、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル配列、複製起点配列(ori)等があげられる。前記非ヒト動物に形質転換を行なう場合、本発明の発現ベクターは、例えば、前記発現ベクター内のプローブ遺伝子を非ヒト動物のゲノム配列に組み込む転移因子を含むことが好ましい。前記転位因子は、例えば、Tol2トランスポゾン等のトランスポゾン等があげられる。本発明の発現ベクターにおいて、前記調節配列の配置は特に制限されない。本発明の発現ベクターにおいて、前記調節配列は、例えば、前記プローブ遺伝子の発現およびこれがコードする前記プローブの発現を、機能的に調節できるように配置されていればよく、公知の方法に基づいて配置できる。前記調節配列は、例えば、前記基本ベクターが予め備える配列を利用してもよいし、前記基本ベクターに、さらに、前記調節配列を挿入してもよいし、前記基本ベクターが備える調節配列を、他の調節配列に置き換えてもよい。

【0080】
本発明の発現ベクターは、例えば、さらに、選択マーカーのコード配列を有してもよい。前記選択マーカーは、例えば、薬剤耐性マーカー、蛍光タンパク質マーカー、酵素マーカー、細胞表面レセプターマーカー等があげられる。

【0081】
<NRG1の切断検出用プローブの製造方法>
本発明のNRG1の切断検出用プローブの製造方法(以下、「製造方法」ともいう。)は、特に制限されず、例えば、遺伝子工学的手法により、前記プローブを産生させることにより製造してもよいし、前記NRG1に、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質を、挿入または付加することにより製造してもよい。前記遺伝子工学的手法の場合、具体例としては、本発明の製造方法は、例えば、前記本発明のプローブ遺伝子を発現させる工程を含む。後者の場合、具体例としては、本発明の製造方法は、例えば、前記NRG1に前記第1の標識物質および前記第2の標識物質を、挿入または付加する工程を有する。これによって、前記本発明のプローブを製造できる。

【0082】
前記プローブ遺伝子の発現は、例えば、前記本発明の発現ベクターを使用して行ってもよい。

【0083】
前記プローブ遺伝子を発現させる方法は、特に制限されず、公知の方法が採用でき、例えば、宿主を使用してもよいし、無細胞タンパク質合成系を使用してもよい。

【0084】
前者の場合、例えば、前記プローブ遺伝子が導入された前記宿主を使用し、前記宿主の培養により、前記宿主において前記プローブ遺伝子を発現させることが好ましい。このように、例えば、前記プローブ遺伝子を宿主に導入することで、本発明のプローブ遺伝子を合成する形質転換体を製造でき、また、前記形質転換体の培養により、前記プローブを合成できる。

【0085】
前記宿主は、例えば、微生物、動物細胞、昆虫細胞、または、これらの培養細胞等の非ヒト宿主、単離したヒト細胞またはその培養細胞等があげられる。前記原核生物は、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属等の細菌があげられる。前記真核生物は、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母等があげられる。前記動物細胞は、例えば、COS細胞、CHO細胞等があげられ、前記昆虫細胞は、例えば、Sf9、Sf21等があげられる。前記宿主は、例えば、前述の非ヒト動物でもよい。この場合、前記形質転換体は、例えば、遺伝子組み換え非ヒト動物ということもできる。前記非ヒト動物は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0086】
前記宿主の培養および飼育の方法は、特に制限されず、前記宿主の種類に応じて適宜設定できる。培養に使用する培地は、特に制限されず、前記宿主の種類に応じて適宜決定できる。また、飼育時の条件は、特に制限されず、前記非ヒト動物の種類に応じて適宜決定できる。

【0087】
前記プローブ遺伝子を前記宿主に導入する方法は、特に制限されず、公知の方法により行うことができる。前記プローブ遺伝子のポリヌクレオチドは、例えば、前記発現ベクターにより導入されてもよい。前記導入方法は、例えば、前記宿主の種類に応じて、適宜設定できる。前記導入方法は、例えば、パーティクルガン等の遺伝子銃による導入法、リン酸カルシウム法、ポリエチレングリコール法、リポソームを用いるリポフェクション法、エレクトロポレーション法、超音波核酸導入法、DEAE-デキストラン法、微小ガラス管等を用いた直接注入法、ハイドロダイナミック法、カチオニックリポソーム法、導入補助剤を用いる方法、アグロバクテリウムを介する方法等があげられる。前記リポソームは、例えば、リポフェクタミンおよびカチオニックリポソーム等があげられ、前記導入補助剤は、例えば、アテロコラーゲン、ナノ粒子およびポリマー等があげられる。前記宿主が非ヒト動物の場合、例えば、中でも、遺伝子組み換えによる方法、転位因子を利用する方法等が好ましい。前記プローブ遺伝子は、例えば、前記発現ベクターにより前記宿主に導入してもよい。

【0088】
後者の場合、無細胞タンパク質合成系において前記プローブ遺伝子を発現させることが好ましい。この場合、前記プローブ遺伝子の発現には、前記発現ベクターを使用してもよい。前記無細胞タンパク質合成系は、例えば、細胞抽出液と、各種成分を含むバッファーと、目的のプローブ遺伝子が導入された発現ベクターとを用いて、公知の方法により行うことができ、例えば、市販の試薬キットが使用できる。

【0089】
前記NRG1に、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質を、挿入または付加する方法は、特に制限されず、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質の種類に応じ、従来公知のタンパク質の修飾方法に基づいて、適宜実施できる。

【0090】
本発明の製造方法は、例えば、前記プローブの精製工程を含んでもよい。前記精製方法は、特に制限されず、例えば、塩析、各種カラムクロマトグラフィー等があげられる。前記各種精製工程において使用する溶媒は、特に制限されず、例えば、緩衝液が使用できる。本発明の製造方法により得られたプローブは、例えば、そのまま非精製プローブとして使用してもよいし、部分的に精製した部分精製プローブとして使用してもよいし、単一に精製した精製プローブとして使用してもよい。また、本発明の製造方法により得られたプローブは、例えば、粒子状キャリアに導入してもよい。前記粒子状キャリアに導入することにより、例えば、前記粒子状キャリアと、前記プローブの導入対象とを接触させることで、前記導入対象に前記プローブを簡便に導入できる。

【0091】
<NRG1の切断検出用形質転換体>
本発明のNRG1の切断検出用形質転換体は、前述のように、前記本発明のポリヌクレオチド、すなわち前記本発明のプローブ遺伝子を含むことを特徴とする。本発明の形質転換体は、前記本発明のプローブ遺伝子を含むことが特徴であり、その他構成および条件は、特に制限されない。本発明の形質転換体によれば、例えば、生体において、前記NRG1の切断を検出できる。また、本発明の形質転換体によれば、例えば、生体において前記NRG1を切断するNRG1切断酵素の阻害剤をスクリーニングできる。本発明の形質転換体は、例えば、前記本発明のプローブ、前記本発明のプローブ遺伝子、前記本発明の発現ベクターおよび前記本発明の製造方法の説明を援用できる。

【0092】
本発明において、前記形質転換体の宿主は、特に制限されず、例えば、前述の宿主の説明を援用できる。前記形質転換体は、例えば、ヒトおよび非ヒト動物を含む動物、培養細胞等の細胞等があげられる。

【0093】
<NRG1の切断検出方法>
本発明のNRG1の切断検出方法は、前述のように、前記本発明のNRG1の切断検出用プローブの発現系を用い、前記発現系における前記検出用プローブの切断を検出することにより、前記NRG1の切断を検出する検出工程を含むことを特徴とする。本発明の検出方法は、前記本発明のプローブの発現系を用いることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の検出方法によれば、例えば、前記NRG1の切断を検出できる。本発明の検出方法は、例えば、前記本発明のプローブ、前記本発明のプローブ遺伝子、前記本発明の発現ベクターおよび前記本発明の製造方法の説明を援用できる。

【0094】
前記発現系は、特に制限されず、例えば、前記プローブを発現させた形質転換体、前記プローブを含む粒子状キャリア等があげられる。前記発現系は、例えば、前記NRG1切断酵素を発現する発現系でもよいし、前記NRG1切断酵素を発現しない発現系でもよい。後者の場合、前記検出工程は、例えば、前記NRG1切断酵素の共存下で実施してもよい。

【0095】
前記検出工程において、前記プローブの切断の検出は、例えば、未切断のプローブの検出でもよいし、切断されたプローブの検出でもよいし、両者の検出でもよい。前記プローブの切断の検出は、例えば、前記発現系における前記プローブの前記第1の標識物質由来のシグナルおよび前記第2の標識物質由来のシグナルに基づき、検出できる。前記シグナルの検出方法は、特に制限されず、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質に応じて、適宜決定できる。具体的に、前記プローブの切断の検出は、例えば、前記第1の標識物質由来のシグナル量と、前記第2の標識物質由来のシグナル量との差および比の少なくとも一方に基づき、検出できる。前記シグナル量は、特に制限されず、前記シグナルの種類に応じて、適宜設定できる。前記シグナルが光学シグナルの場合、前記シグナル量は、例えば、吸光度、反射度、蛍光強度等があげられる。

【0096】
具体例として、前記第1の標識物質および前記第2の標識物質が、それぞれ、第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質であり、前記シグナル量の比に基づき、前記プローブの切断を検出する場合を例にあげて説明する。ただし、本発明は、以下の例に何ら制限されない。前記プローブは、例えば、前記C末端側領域に膜貫通領域を有する。このため、前記プローブが切断されると、前記第1の蛍光タンパク質は、例えば、前記発現系から遊離し、拡散する。つまり、例えば、前記プローブが切断されると、前記発現系における前記第1の蛍光タンパク質由来のシグナル量が、減少する。他方、前記第2の蛍光タンパク質は、前記C末端領域に挿入または付加されているため、前記プローブが切断されても、例えば、前記発現系に保持される。つまり、例えば、前記プローブが切断されても、前記発現系における前記第2の蛍光タンパク質由来のシグナル量が、有意に変動しない。このため、前記発現系において、前記プローブが切断されると、例えば、前記発現系における前記第1の蛍光タンパク質のシグナル量に対する前記第2の蛍光タンパク質のシグナル量の比が、増加する、または前記発現系における前記第2の蛍光タンパク質のシグナル量に対する前記第1の蛍光タンパク質のシグナル量の比が、減少する。したがって、例えば、前記第1の蛍光タンパク質のシグナル量と、前記第2の蛍光タンパク質シグナル量との比の増加もしくは減少の有無、または、増加もしくは減少の程度により、前記プローブの切断が検出できる。

【0097】
本発明の検出方法は、前記シグナルから前記発現系における前記プローブの切断量を算出する算出工程を含んでもよい。前記算出工程において、前記プローブの切断量は、例えば、得られたシグナル、およびシグナルと前記発現系における未切断のプローブの量または切断されたプローブの量との相関関係に基づき、算出できる。前記相関関係は、例えば、検量線、回帰直線、検量表等で表わすことができる。前記相関関係は、例えば、前記切断されたプローブの量または前記未切断のプローブの量が既知である標準試料について、前記本発明の検出方法により得られたシグナルと、前記標準試料の前記切断されたプローブの量または前記未切断のプローブの量とをプロットすることにより求めることができる。前記標準試料は、前記切断されたプローブまたは前記未切断のプローブの希釈系列が好ましい。このように算出を行うことによって、信頼性の高い定量が可能となる。

【0098】
<NRG1切断酵素の阻害剤のスクリーニング方法>
本発明のNRG1切断酵素の阻害剤のスクリーニング方法は、前述のように、被検物質から、ニューレグリン1タンパク質(NRG1)切断酵素による、前記本発明のNRG1の切断検出用プローブの切断を抑制する被検物質を、NRG1切断酵素の阻害剤として選択する選択工程を含むことを特徴とする。本発明のスクリーニング方法は、前記本発明のプローブの発現系を用いることが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明のスクリーニング方法によれば、例えば、前記NRG1切断酵素の阻害剤をスクリーニングできる。本発明のスクリーニング方法は、例えば、前記本発明のプローブ、前記本発明のプローブ遺伝子、前記本発明の発現ベクター、前記本発明の製造方法、および前記本発明検出方法の説明を援用できる。

【0099】
本発明において、前記被検物質は、特に制限されず、例えば、低分子化合物、ペプチド、タンパク質、核酸等があげられる。

【0100】
本発明のスクリーニング方法は、例えば、前記本発明のNRG1の切断検出用プローブの発現系を用い、前記発現系に、前記被検物質を共存させて、前記NRG1切断酵素により前記検出用プローブを切断する切断工程、前記発現系における前記検出用プローブの切断を検出する検出工程、および前記被検物質を共存させていないコントロールの発現系よりも前記検出用プローブの切断量が少ない被検物質を、前記NRG1切断酵素の阻害剤として選択する選択工程を含む。

【0101】
前記発現系は、特に制限されず、例えば、前記プローブを発現させた形質転換体、前記プローブを含む粒子状キャリア等があげられる。前記発現系は、例えば、前記NRG1切断酵素を発現する発現系でもよいし、前記NRG1切断酵素を発現しない発現系でもよい。後者の場合、前記切断工程は、例えば、前記NRG1切断酵素の共存下で実施してもよい。

【0102】
前記切断工程は、前記発現系に、前記被検物質を共存させて、前記NRG1切断酵素により前記検出用プローブを切断する工程である。前記切断工程における温度、時間等の反応条件は、特に制限されず、前記NRG1切断酵素に応じて、適宜決定できる。

【0103】
前記検出工程は、例えば、前記本発明の検出方法における検出工程の説明を援用できる。

【0104】
前記選択工程は、前記被検物質を共存させていないコントロールの発現系よりも前記検出用プローブの切断量が少ない被検物質を、前記NRG1切断酵素の阻害剤として選択する。前記プローブの切断量は、例えば、前記本発明の検出方法における算出工程の説明を援用できる。
【実施例】
【0105】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
【実施例】
【0106】
[実施例1]
本発明のプローブを使用し、NRG1の切断を検出できることを確認した。
【実施例】
【0107】
(1)発現ベクターの構築
成体のゼブラフィッシュ(Danio rerio)の脳全体から作製したcDNAを鋳型とし、下記プライマーセットを用い、NRG1のβ1型アイソフォーム(配列番号2)をコードするNRG1のβ1型アイソフォーム cDNA(配列番号10)を、PCRにより増幅した。
【実施例】
【0108】
NRG1のβ1型アイソフォームプライマーセット
フォワードプライマー(配列番号11)
5’-CTGCATCATGGCTGAGGTGAAAGC-3’
リバースプライマー(配列番号12)
5’-GCATTTTCACACAGCTATAGGATC-3’
【実施例】
【0109】
ゼブラフィッシュNRG1のβ1型アイソフォーム cDNA(配列番号10)
5’-ATGGCTGAGGTGAAAGCAGGCAAAGAAGGGAAAAGTGGCGATAAGAAAAAGGATAAGGAGTCTGTGAGATCAAACAAGCCTGACAACTCTCCGCAAGCGGAACCGAAGTTAAAAAACCTTCGGAGCGTGACAGTGGAGGACGGGAAAAAAACGGTACTCAAATGTGAGATTTTGGCAGGAAACCCAGCGCCCAATGTCAAGTGGTACAAGAACGGAAAAGAGCTCACAGGCAAAAACAAACCCAAAAGCATAAAGATTAAAAAAAAGAAACAGGGGAAAATATCTGAACTGTTGATACGGAAATCCACGGAGGGAGATGCTGGATTATACACCTGCGAGGCCGTCAACAGCCTTGGAAAAACAAATACCACAGCAAACCTATTCATCATCAACACAGCCACCAGCACCACTCCCTCGGCCAAGACATCCAGTCACGTGACGCCCTGCAACGAGAGCGAGAAGGAATACTGTGTAAACCATGGCAAGTGCTTCACGCTGGAGGTCACACCCGGCAACATCAGGCGCCTTTGCAGGTGCCCCAATGAGTTTACTGGTGATCGCTGCCAACACTACGTAATGGCCAGCTTCTACAAACATCTTGGGATTGAATTTATGGAAGCTGAGGAGCTCTATCAGAAACGCGTTTTGACTATAACAGGCATCTGCATCGCTCTTCTAGTTGTTGGCATCATGTGTGTGGTGGCTTACTGCAAAACAAAGAAACAACGGAAAAAGCTACATGATCGTTTGCGGCAGAGTTTACGAGAGCGAAACGCTGCAGCCAAAGGCCCTCAACACCCTCACCCTCCACCGGAAAACCTGCAGCTGGTCAATCATTACATGCCGACGAATCCTGTCCCAGCTCATATGACAGACAAAGAAGCGGAAACATCACTCTCCACAAATGAGTTCACATCACCAACACATCCGTCCACAGCCATCACTCACTCATCTAGCCAATGCTGGAGTAATGGCAAAGCAGAGAGTGTGGTTTCTGATAGTCATGCAGTCCTGATGAAGCCATCAGCTGAGAACTGTCAGCACGGGACACCTAGTCACAGGGGCCGTCTGAACGCTACTGGAGGTGTCCATCAGCTCAATGATTACCTAAAGAACTCCAGAGAAGCCCAGGGCTCCAACAGAGACTCTCCTTACAGCGAGAGGTATGTTTCAGCCATGACTACCCCGACCCGTCTGTCCCCTGTGGGGCTTCTCTCGCCGGTGACGCCGTCCTCTCCTCCCTCAGAGATGTCAGCTCCTCTCTCCAGCCTGGCGACCTCCGTTCCATCCATGTTAACCAGTCCCTCTGGAGAAGAGGAGCGTCCTCTGCTGTTCCGGACACCACCAATCCTGCGTGACAAATCTGCTTCAACCCAAGGCCGTAAATCAGGCCATAATCTCCGTAACTCCGCCCACTACAATCACGGCCTGGACATCCCCAGCCCTCCACCCAGCCCGCTGCATATAGAGGAGGAGATTGATTGTTTAGAGCAGTACAAAAGCACATCTGTCCCGTCCTCCGCCCCGCACAGCCCCAGCGCCGCAAGAACTCAACCGAGTGGTCAAGCGGCGCCTGAGCAAGCGGTTAGTGGCAGTAACTCAGAGAGCAGCAGCTCAGAGAGCGAGACCGAGGATGAACGGGTGGGCGAGGACACGCCGTTTCTGGGCTTACAGAACCCTCTGGCCGCTGGTTCGCTTGTTCTGGACGGGCTAGAGGGCAGCAGAACTAACCCCGCGCTGCACCTCTCACCGCAACACGAGCTGCAGAACAGACTAACAGCCGTCATGGCCAACCAGGATCCTATAGCTGTGTGA-3’
【実施例】
【0110】
得られたPCR産物について、制限酵素で処理することにより、NRG1のβ1型アイソフォーム cDNAのオープンリーディングフレーム(ORF)の89および90番目の塩基間で切断した。つぎに、前記切断後のNRG1のβ1型アイソフォーム cDNAと、別途増幅したmCherry cDNA(配列番号13)とを、リガーゼ存在下で反応させることにより、NRG1β1型 cDNAのORFの89および90番目の塩基間に、mCherry cDNAの3~708番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドが挿入されたポリヌクレオチドを作製した。さらに、前記挿入後のNRG1のβ1型アイソフォーム cDNAと、別途増幅したEGFP cDNA(配列番号14)とをリガーゼ存在下で反応させることで、前記挿入後のNRG1のβ1型アイソフォーム cDNAの3’末端にEGFP cDNAの4~717番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを付加し、第1のプローブ遺伝子1-1(配列番号18)または第1のプローブ遺伝子-2(配列番号6)(以下、「第1のプローブ遺伝子」ともいう。)を作製した。
【実施例】
【0111】
mCherry cDNA(配列番号13)
5’-ATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGGATAACATGGCCATCATCAAGGAGTTCATGCGCTTCAAGGTGCACATGGAGGGCTCCGTGAACGGCCACGAGTTCGAGATCGAGGGCGAGGGCGAGGGCCGCCCCTACGAGGGCACCCAGACCGCCAAGCTGAAGGTGACCAAGGGTGGCCCCCTGCCCTTCGCCTGGGACATCCTGTCCCCTCAGTTCATGTACGGCTCCAAGGCCTACGTGAAGCACCCCGCCGACATCCCCGACTACTTGAAGCTGTCCTTCCCCGAGGGCTTCAAGTGGGAGCGCGTGATGAACTTCGAGGACGGCGGCGTGGTGACCGTGACCCAGGACTCCTCCCTGCAGGACGGCGAGTTCATCTACAAGGTGAAGCTGCGCGGCACCAACTTCCCCTCCGACGGCCCCGTAATGCAGAAGAAGACCATGGGCTGGGAGGCCTCCTCCGAGCGGATGTACCCCGAGGACGGCGCCCTGAAGGGCGAGATCAAGCAGAGGCTGAAGCTGAAGGACGGCGGCCACTACGACGCTGAGGTCAAGACCACCTACAAGGCCAAGAAGCCCGTGCAGCTGCCCGGCGCCTACAACGTCAACATCAAGTTGGACATCACCTCCCACAACGAGGACTACACCATCGTGGAACAGTACGAACGCGCCGAGGGCCGCCACTCCACCGGCGGCATGGACGAGCTGTACAAG-3’
【実施例】
【0112】
EGFP cDNA(配列番号14)
5’-ATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAG-3’
【実施例】
【0113】
そして、前記第1のプローブ遺伝子を、転位因子のTol2因子を含むpT2AUASMCSベクター(自家調製)に、前記ベクター内の5×UAS(upstream activator sequence)の下流に配置されるよう連結した。前記第1のプローブ遺伝子-1および前記第1のプローブ遺伝子-2を挿入したベクターを、それぞれ、第1のプローブ遺伝子-1の発現ベクターおよび第1のプローブ遺伝子-2の発現ベクター(以下、「第1のプローブ遺伝子の発現ベクター」ともいう。)とした。なお、以下、第1のプローブ遺伝子-1および第1のプローブ遺伝子-2から発現するタンパク質を、それぞれ、第1のプローブ(配列番号3)および第1のプローブ-2(配列番号17)(以下、「第1のプローブ」ともいう。)ともいう。
【実施例】
【0114】
また、GAL4のDNA結合ドメインとVP16(Herpes simplex virus protein 16)由来の転写活性化ドメインとを融合したタンパク質(Gal4-VP16)をコードするポリヌクレオチド(配列番号15)をpEF-BOSに連結した。前記融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを挿入したベクターを、Gal4-VP16発現ベクターとした。
【実施例】
【0115】
Gal4-VP16をコードするポリヌクレオチド(配列番号15)
5’-ATGAAGCTACTGTCTTCTATCGAACAAGCATGCGATATTTGCCGACTTAAAAAGCTCAAGTGCTCCAAAGAAAAACCGAAGTGCGCCAAGTGTCTGAAGAACAACTGGGAGTGTCGCTACTCTCCCAAAACCAAAAGGTCTCCGCTGACTAGGGCACATCTGACAGAAGTGGAATCAAGGCTAGAAAGACTGGAACAGCTATTTCTACTGATTTTTCCTCGAGAAGACCTTGACATGATTTTGAAAATGGATTCTTTACAGGATATAAAAGCATTGTTAACAGGATTATTTGTACAAGATAATGTGAATAAAGATGCCGTCACAGATAGATTGGCTTCAGTGGAGACTGATATGCCTCTAACATTGAGACAGCATAGAATAAGTGCGACATCATCATCGGAAGAGAGTAGTAACAAAGGTCAAAGACAGTTGACTGTATCGTCGAGGTCGACCCCGGGAATTCAGATCTCTCGAGCCGCCCCCCCGACCGATGTCAGCCTGGGGGACGAGCTCCACTTAGACGGCGAGGACGTGGCGATGGCGCATGCCGACGCGCTAGACGATTTCGATCTGGACATGTTGGGGGACGGGGATTCCCCGGGTCCGGGATTTACCCCCCACGACTCCGCCCCCTACGGCGCTCTGGATATGTAGCGGATCTACTA-3’
【実施例】
【0116】
(2)プローブの発現および切断の確認
35mmガラス製ディッシュで培養したHEK293T細胞に、前記第1のプローブ遺伝子の発現ベクターおよび前記Gal4-VP16発現ベクターを、トランスフェクション試薬(PEI-MAX、Polysciences Inc.社製)を用い、添付のプロトコルにしたがって導入した。前記HEK293T細胞の培養液は、10%FBSを含むDMEMとした。前記導入後、37℃の条件下で、終夜培養し、前記培養液を、1μmol/mLとなるようにPMA(phorbol 12-myristate 13-acetate)を添加した、飢餓用培養液に交換した(PMA添加群)。前記飢餓用培養液は、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.1%牛血清アルブミン(BSA)、および1×GlutaMAX(商標)-I(Thermo Fisher Scientific, Inc.社製)を含む無血清のFluorobrite(商標)DMEM培地(Thermo Fisher Scientific, Inc.社製)とした。
【実施例】
【0117】
前記培養液の交換後、37℃の条件下で、培養した。前記培養後、上清および前記HEK293T細胞を回収した。前記上清は、限外濾過法により濃縮した。つぎに、溶解バッファーを用いて、前記HEK293T細胞を溶解し、細胞溶解液を調製した。前記溶解バッファーは、プロテアーゼインヒビターカクテル(CompleteTM protease inhibitor mixture、Roche Molecular Biochemicals社製)、150mmol/L NaCl、1mmol/L EDTA、1%SDS、1%NP-40、および1%デオキシコール酸ナトリウムを含む10mmol/LのTris-HCl緩衝液(pH7.4)とした。そして、前記濃縮された上清および前記細胞溶解液について、タンパク質濃度測定試薬(Pierce(商標)Protein Assay Kit 、Life Technologies社製)を用いて、タンパク質濃度を測定した。そして、SDSゲルの各レーンに添加するタンパク質の重量が15-20μgとなるように、前記濃縮後の上清および前記細胞溶解液を、それぞれ、10%のSDSゲルの各レーンに導入し、電気泳動を行なった。
【実施例】
【0118】
つぎに、前記SDSゲルからメンブレンに転写した。前記転写後、1または5%スキムミルクでブロッキングを行なった。つぎに、前記メンブレンについて、ゼブラフィッシュNRG1のβ1型アイソフォームのN末端に結合するラビット抗体、ゼブラフィッシュNRG1のβ1型アイソフォームのC末端に結合するラビット抗体、および抗β-アクチン抗体(clone AC-74、4000倍希釈で使用、Sigma Aldrich社製)を用い、前記第1のプローブ、前記切断後の第1のプローブ、およびβ-アクチンを検出した。前記メンブレンと前記抗体との反応は、4℃、24時間とした。また、DMSO添加群は、前記PMAに代えて、等量のDMSOを添加した以外は同様にして、阻害剤添加群は、前記PMAに加えて、50μmol/LとなるようにNRG1切断酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害剤(GM6001、Calbiochem社製)を添加した以外は、同様にして、前記第1のプローブ、前記切断後の第1のプローブ、およびβ-アクチンを検出した。
【実施例】
【0119】
これらの結果を図1に示す。図1は、ウエスタンブロットの結果を示す写真である。図1において(A)は、前記上清の結果を示す写真であり、(B)は、前記細胞溶解液の結果を示す写真であり、上段が、前記プローブの検出結果を示す写真であり、下段が、β-アクチンの検出結果を示す写真である。図1において、写真の左側は、分子量を示し、各レーンは、左から、前記DMSO添加群、前記PMA添加群、および前記阻害剤添加群の結果を示す。図1(A)に示すように、前記上清において、前記DMSO添加群では、前記切断後の第1のプローブが観察されないのに対し、前記PMA添加群では、前記切断後の第1のプローブが観察された。また、前記阻害剤添加群は、前記切断後の第1のプローブが観察されず、前記NRG1切断酵素の阻害剤により、前記第1のプローブの切断が阻害されていた。また、図1(B)の150KDa付近の矢印で示すように、前記細胞溶解液において、前記DMSO添加群および前記PMA添加群では、未切断の第1のプローブが観察され、前記阻害剤添加群では、未切断の第1のプローブの量が増加していた。また、100KDa弱付近の矢印で示すように、前記DMSO添加群、前記PMA添加群および前記阻害剤添加群では、前記切断後の第1のプローブの量は、同等であった。これらの結果から、前記第1のプローブが発現すること、前記NRG1と同様に前記第1のプローブがNRG1切断酵素により切断されること、および前記第1のプローブの切断が、NRG1切断酵素の阻害剤により阻害できることがわかった。
【実施例】
【0120】
(3)プローブの経時的な切断の確認
前記(2)と同様にして、前記培養液を、前記PMAを含む飢餓用培養液に交換後、37℃の条件下で、培養した(PMA添加群)。前記培養開始後、所定時間(0、15、30、および60分)において、上清を回収した以外は、前記(2)と同様にして、前記第1のプローブおよび前記切断後の第1のプローブを検出した。また、DMSO添加群は、前記PMAに代えて、等量のDMSOを添加した以外は同様にして、前記第1のプローブおよび前記切断後の第1のプローブを検出した。
【実施例】
【0121】
この結果を図2に示す。図2は、ウエスタンブロットの結果を示す写真である。図2において、上段が、前記PMA添加群の結果を示す写真であり、下段が、前記DMSO添加群の結果を示す写真である。図2において、写真の左側は、サンプルの種類を示し、各レーンは、左から、0、15、30、および60分後に回収した上清の結果を示す。図2の下段に示すように、前記DMSO添加群では、前記切断後の第1のプローブの量は、有意な変化が観察されなかった。これに対し、図2の上段に示すように、前記PMA添加群では、経時的に、前記切断後の第1のプローブの量が増加した。これらの結果から、前記NRG1切断酵素により経時的に前記第1のプローブが切断されることがわかった。
【実施例】
【0122】
(4)切断後のプローブの活性の確認
前記PMAを含む飢餓用培養液に代えて、前記飢餓用培養液を添加し、37℃の条件下で24時間培養した以外は、前記実施例1(3)と同様にして、上清を回収した。
【実施例】
【0123】
切断後のプローブの活性は、C2C12細胞(American Type Culture Collection(ATCC)より入手)の活性化を指標に検討した。具体的には、60mmディッシュに播種した、分化させたC2C12細胞に、2mLの前記上清を添加し、37℃の条件下で、30分培養した。そして、前記実施例1(2)と同様にして、細胞溶解液を調製した。前記C2C12細胞の培養液は、10%FBSを含むDMEMとし、前記C2C12細胞の分化用培養液は、2%Horse Serumを含むDMEMとした。
【実施例】
【0124】
前記上清および前記細胞溶解液に代えて、C2C12細胞由来の細胞溶解液を使用した以外は、前記(2)と同様にして、メンブレンに転写後、ブロッキングした。そして、抗リン酸化ErbB3抗体(clone 21D3、Cell Signalling Technology社製)、抗リン酸化Akt抗体(clone C31E5E、Cell Signalling Technology社製)、および抗リン酸化Erk抗体(Cell Signalling Technology社製)を用い、前記リン酸化ErbB3、前記リン酸化Akt、および前記リン酸化Erkを検出した。また、前記(2)と同様にしてβ-アクチンを検出した。さらに、コントロール1(BSA)は、前記上清に代えて、0.1%BSAを含むリン酸緩衝液を等量添加した以外は、同様にして、コントロール2(recombinant NRG1)は、前記上清に代えて、ヒトリコンビナントNRG1(R&D system社製)を10ng/mLとなるように添加した以外は、同様にして、コントロール3(Mock)は、前記第1のプローブ遺伝子ベクターを導入したHEK293Tに代えて、前記pT2AUASMCSベクターを導入したHEK293T細胞を用いた以外は、同様にして、前記リン酸化ErbB3、前記リン酸化Akt、前記リン酸化Erk、および前記β-アクチンを検出した。
【実施例】
【0125】
これらの結果を図3に示す。図3は、ウエスタンブロットの結果を示す写真である。図3において、1~4段目の写真は、上段から、リン酸化ErbB3の結果、リン酸化Aktの結果、リン酸化Erkの結果、およびβ-アクチンの結果を示す。また、図3において、各レーンは、左から、コントロール1、コントロール2、コントロール3および実施例の結果を示す。図3に示すように、BSA溶液を添加したコントロール1およびコントロール3の上清を添加した場合、ErbB3とAktとは、リン酸化が観察されず、Erkは、若干のリン酸化が観察された。これに対し、実施例では、ErbB3とAktとのリン酸化が、リコンビナントNRG1タンパク質を添加したコントロール2と同程度観察され、且つ、Erkのリン酸化も、コントロール2と同程度観察された。これらの結果から、前記切断後の第1のプローブが、前記切断後のNRG1と同等の活性を示すことがわかった。
【実施例】
【0126】
(5)蛍光顕微鏡を用いたプローブの切断の確認
前記(2)と同様にして、前記培養液を、前記PMAを含む飢餓用培養液に交換した(PMA添加群)。また、前記培養液の交換前10分から、倒立顕微鏡(OLYMPUS IX81、オリンパス社製)を用い、mCherryの蛍光シグナルおよびEGFPの蛍光シグナル経時的に撮像した。なお、対物レンズは、PlanApo 60x/1.40 oil objective lensを用いた。つぎに、ソフトウェア(MetaMorph software、Universal Imaging社製)を用い、得られた画像からバックグラウンドを除去後、mCherryの蛍光シグナル強度(I)とEGFPの蛍光シグナル強度(I)とのシグナル量比(I/I)を算出した。また、前記培養液交換前10分間のシグナル量比(I/I)の平均値に基づき、前記シグナル量比(I/I)を補正した。そして、各画像について前記補正後のシグナル量比(I/I)に基づき、32段階の色調で塗り分けを行なった。また、DMSO添加群は、前記PMAに代えて、等量のDMSOを添加した以外は同様にして、阻害剤添加群は、前記PMAに加えて、50μmol/LとなるようにGM6001を添加した以外は、同様にして、分析した。
【実施例】
【0127】
これら結果を図4に示す。図4は、顕微鏡による観察の結果を示す写真である。図4において、(A)が、前記DMSO添加群の結果、(B)が、前記PMA添加群の結果、(C)が、前記阻害剤添加群の結果を示す。図4において、写真は、左から、前記培養液交換後、0、5、15、30および60分の結果を示し、図中の矢印は、前記第1のプローブの切断が観察された箇所を示す。図4(A)に示すように、前記DMSO添加群では、いずれの時間においても前記補正後のシグナル量比(I/I)の変化は観察されなかった。これに対し、図4(B)に示すように、前記PMA添加群では、図中の矢印で示すように、前記補正後のシグナル量比(I/I)が減少、すなわち前記第1のプローブの切断が観察され、且つ前記第1のプローブの切断が観察される領域が拡大した。他方、前記阻害剤添加群では、いずれの時間においても前記補正後のシグナル量比(I/I)の変化は観察されなかった。
【実施例】
【0128】
つぎに、経時的な補正後のシグナル量比(I/I)の結果を図5に示す。図5は、補正後のシグナル量比(I/I)の結果を示すグラフである。図5において、横軸は、培養液交換時を基準とした時間を示し、縦軸は、補正後のシグナル量比(I/I)を示す。図5に示すように、前記DMSO添加群では、前記補正後のシグナル量比(I/I)の変化は観察されなかった。これに対し、前記PMA添加群では、前記補正後のシグナル量比(I/I)が減少した。他方、前記阻害剤添加群では、前記補正後のシグナル量比(I/I)の変化は観察されなかった。これらの結果から、前記第1のプローブの切断を簡便に検出できることがわかった。
【実施例】
【0129】
以上のことから、本発明のプローブによれば、前記NRG1の切断を簡便に検出できることが分かった。
【実施例】
【0130】
[実施例2]
本発明のプローブを使用し、生体内でNRG1の切断を検出できることを確認した。
【実施例】
【0131】
(1)プローブ発現ゼブラフィッシュの作製
前記第1のプローブ遺伝子の発現ベクターと、Tol2トランスポゼースのmRNA(配列番号16)とを、ゼブラフィッシュの受精卵内にインジェクションした。前記受精卵から得られたゼブラフィッシュを、前記Gal4-VP16を発現するゼブラフィッシュ(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 生理学研究所 生命時空間設計研究領域(神経分化研究部門)から分与)と交配し、前記第1のプローブを神経系の細胞に発現するF1のゼブラフィッシュを得た。
【実施例】
【0132】
Tol2トランスポゼースのmRNA(配列番号16)
5’-ATGGAGGAAGTATGTGATTCATCAGCAGCTGCGAGCAGCACAGTCCAAAATCAGCCACAGGATCAAGAGCACCCGTGGCCGTATCTTCGCGAATTCTTTTCTTTAAGTGGTGTAAATAAAGATTCATTCAAGATGAAATGTGTCCTCTGTCTCCCGCTTAATAAAGAAATATCGGCCTTCAAAAGTTCGCCATCAAACCTAAGGAAGCATATTGAGAGAATGCACCCAAATTACCTCAAAAACTACTCTAAATTGACAGCACAGAAGAGAAAGATCGGGACCTCCACCCATGCTTCCAGCAGTAAGCAACTGAAAGTTGACTCAGTTTTCCCAGTCAAACATGTGTCTCCAGTCACTGTGAACAAAGCTATATTAAGGTACATCATTCAAGGACTTCATCCTTTCAGCACTGTTGATCTGCCATCATTTAAAGAGCTGATTAGTACACTGCAGCCTGGCATTTCTGTCATTACAAGGCCTACTTTACGCTCCAAGATAGCTGAAGCTGCTCTGATCATGAAACAGAAAGTGACTGCTGCCATGAGTGAAGTTGAATGGATTGCAACCACAACGGATTGTTGGACTGCACGTAGAAAGTCATTCATTGGTGTAACTGCTCACTGGATCAACCCTGGAAGTCTTGAAAGACATTCCGCTGCACTTGCCTGCAAAAGATTAATGGGCTCTCATACTTTTGAGGTACTGGCCAGTGCCATGAATGATATCCACTCAGAGTATGAAATACGTGACAAGGTTGTTTGCACAACCACAGACAGTGGTTCCAACTTTATGAAGGCTTTCAGAGTTTTTGGTGTGGAAAACAATGATATCGAGACTGAGGCAAGAAGGTGTGAAAGTGATGACACTGATTCTGAAGGCTGTGGTGAGGGAAGTGATGGTGTGGAATTCCAAGATGCCTCACGAGTCCTGGACCAAGACGATGGCTTCGAATTCCAGCTACCAAAACATCAAAAGTGTGCCTGTCACTTACTTAACCTAGTCTCAAGCGTTGATGCCCAAAAAGCTCTCTCAAATGAACACTACAAGAAACTCTACAGATCTGTCTTTGGCAAATGCCAAGCTTTATGGAATAAAAGCAGCCGATCGGCTCTAGCAGCTGAAGCTGTTGAATCAGAAAGCCGGCTTCAGCTTTTAAGGCCAAACCAAACGCGGTGGAATTCAACTTTTATGGCTGTTGACAGAATTCTTCAAATTTGCAAAGAAGCAGGAGAAGGCGCACTTCGGAATATATGCACCTCTCTTGAGGTTCCAATGTTTAATCCAGCAGAAATGCTGTTCTTGACAGAGTGGGCCAACACAATGCGTCCAGTTGCAAAAGTACTCGACATCTTGCAAGCGGAAACGAATACACAGCTGGGGTGGCTGCTGCCTAGTGTCCATCAGTTAAGCTTGAAACTTCAGCGACTCCACCATTCTCTCAGGTACTGTGACCCACTTGTGGATGCCCTACAACAAGGAATCCAAACACGATTCAAGCATATGTTTGAAGATCCTGAGATCATAGCAGCTGCCATCCTTCTCCCTAAATTTCGGACCTCTTGGACAAATGATGAAACCATCATAAAACGAGGCATGGACTACATCAGAGTGCATCTGGAGCCTTTGGACCACAAGAAGGAATTGGCCAACAGTTCATCTGATGATGAAGATTTTTTCGCTTCTTTGAAACCGACAACACATGAAGCCAGCAAAGAGTTGGATGGATATCTGGCCTGTGTTTCAGACACCAGGGAGTCTCTGCTCACGTTTCCTGCTATTTGCAGCCTCTCTATCAAGACTAATACACCTCTTCCCGCATCGGCTGCCTGTGAGAGGCTTTTCAGCACTGCAGGATTGCTTTTCAGCCCCAAAAGAGCTAGGCTTGACACTAACAATTTTGAGAATCAGCTTCTACTGAAGTTAAATCTGAGGTTTTACAACTTTGAGTAG-3’
【実施例】
【0133】
(2)生体内でのプローブの切断の確認
つぎに、前記F1のゼブラフィッシュについて、共焦点顕微鏡(Leica TCS SP8、Leica社製)を用いて、フォトンカウントモードで観察し、撮像した。なお、対物レンズは、HC PL APO CS2 20×/NA 0.75, 40×/NA 1.30または63×/NA 1.40を用いた。また、取得したZスタック画像の最大値投影処理は、ソフトウェア(LAS AF software、Leica MicroSystems社製)を用いて処理し、処理画像について、前記実施例1(5)と同様にして、前記シグナル量比(I/I)の算出および補正を行なった。そして、各処理画像について前記補正後のシグナル量比(I/I)に基づき、32段階の色調で塗り分けを行なった。さらに、各処理画像について、前記ゼブラフィッシュの神経細胞の細胞体および神経突起について、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値を算出した。
【実施例】
【0134】
これらの結果を図6に示す。図6は、前記F1のゼブラフィッシュの神経細胞を顕微鏡により観察した結果を示す写真である。図6において(A)は、前記神経細胞全体を示す写真であり、(B)は、(A)において左上の点線で囲んだ領域の拡大図であり、前記神経細胞の細胞体を示す写真であり、(C)は、(A)において、右下の点線で囲んだ領域の拡大図であり、前記神経細胞の神経突起の末端を示す写真である。図6(A)および(B)に示すように、前記神経細胞の細胞体では、前記シグナル量比(I/I)が相対的に高かった。他方、図6(C)に示すように、前記神経細胞の神経突起の末端では、前記シグナル量比(I/I)が相対的に低かった。
【実施例】
【0135】
つぎに、前記神経細胞の細胞体および神経突起における補正後のシグナル量比(I/I)の平均値の結果を図7に示す。図7は、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値の結果を示すグラフである。図7において、グラフの下は、前記神経細胞における解析対象を示し、縦軸は、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値を示す。図7に示すように、前記神経細胞において、前記神経突起は、前記細胞体と比較して、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値が有意に低かった。これらの結果から、本発明のプローブを使用し、生体内でNRG1の切断を検出できることがわかった。
【実施例】
【0136】
[実施例3]
本発明のプローブを使用し、生体内でNRG1阻害剤のスクリーニングができることを確認した。
【実施例】
【0137】
前記実施例2(1)と同様にしてF1のゼブラフィッシュの受精卵を作製した。そして、前記受精卵を、0.5mmol/L GM6001、0.1mmol/L BACE1阻害剤IV(Calbiochem社製)、および2%DMSOを含む受精卵用培養液で、前記受精後25-36時間培養した(阻害剤添加群)。前記培養後、前記受精卵は、4%PFAを含むリン酸緩衝液で固定した。そして、前記固定後の受精卵について、前記実施例2(2)と同様にして、前記受精卵の神経細胞の細胞体および軸索の補正後のシグナル量比(I/I)の平均値を算出した。また、DMSO添加群は、前記GM6001およびBACE1阻害剤IVに代えて、DMSOを添加した以外は、同様にして、前記受精卵の神経細胞の細胞体および軸索の補正後のシグナル量比(I/I)の平均値を算出した。
【実施例】
【0138】
これらの結果を、図8に示す。図8は、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値の結果を示すグラフである。図8において、グラフの下は、前記神経細胞における解析対象を示し、縦軸は、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値を示す。図8に示すように、前記NRG1の切断が生じていない前記神経細胞の細胞体では、前記阻害剤添加群(inhibitor)および前記DMSO添加群(DMSO)において、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値に有意差はなかった。これに対し、前記NRG1の切断が生じている前記神経細胞の軸索では、前記阻害剤添加群が、前記DMSO添加群に対して、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値が有意に高かった。これらの結果から、本発明のプローブを使用し、生体内でNRG1阻害剤のスクリーニングができることがわかった。
【実施例】
【0139】
[実施例4]
本発明のプローブを使用し、NRG1の切断を検出できることを確認した。
【実施例】
【0140】
(1)発現ベクターの構築
NRG1のβ1型アイソフォーム cDNAのシグナル配列領域に対応する塩基配列を除去し、NRG1のβ1型アイソフォーム cDNAのオープンリーディングフレーム(ORF)の69および70番目の塩基間で切断し、mCherry cDNAの4~708番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを挿入して、第2のプローブ遺伝子(配列番号7)を作製した以外は、前記実施例1(1)と同様にして、発現ベクターを作製した。以下、前記発現ベクターを第2のプローブ遺伝子の発現ベクターともいい、第2のプローブ遺伝子から発現するタンパク質を、第2のプローブ(配列番号4)ともいう。
【実施例】
【0141】
また、NRG1のβ1型アイソフォーム cDNAの5’末端にmCherry cDNAを付加して、第3のプローブ遺伝子(配列番号8)を作製した以外は、前記実施例1(1)と同様にして、発現ベクターを作製した。以下、前記発現ベクターを第3のプローブ遺伝子の発現ベクターともいい、第3のプローブ遺伝子から発現するタンパク質を、第3のプローブ(配列番号5)ともいう。
【実施例】
【0142】
(2)プローブの発現および切断の確認
前記第1のプローブ遺伝子の発現ベクターに代えて、前記第2のプローブ遺伝子の発現ベクターまたは前記第3のプローブ遺伝子の発現ベクターを用い、ゼブラフィッシュNRG1のβ1型アイソフォームのN末端に結合するラビット抗体、ゼブラフィッシュNRG1のβ1型アイソフォームのC末端に結合するラビット抗体に代えて、抗mCherry抗体(clone 1C51、2000倍希釈で使用、Abcam社製)および抗GFP抗体(clone AB3080、2000倍希釈で使用、Millipore社製)を用いた以外は、前記実施例1(2)と同様にして、前記第2のプローブまたは前記第3のプローブ、および切断後の第2のプローブまたは切断後の第2のプローブを検出した。コントロール(Mock)は、前記第2のプローブ遺伝子の発現ベクターまたは前記第3のプローブ遺伝子の発現ベクターに代えて、前記pT2AUASMCSベクターを用いた以外は、同様にして検出した。
【実施例】
【0143】
これらの結果を図9に示す。図9は、ウエスタンブロットの結果を示す写真である。図9において(A)は、細胞溶解液の結果を示す写真であり、(B)は、上清の結果を示す写真である。図9において、写真の左側は、分子量を示し、各レーンは、左から、Mock、前記第2のプローブ遺伝子の発現ベクターを導入した細胞(第2のプローブ群、#2)の結果、および前記第3のプローブ遺伝子の発現ベクターを導入した細胞(第3のプローブ群、#3)の結果を示す。図9(A)の150KDa付近の矢印で示すように、前記細胞溶解液において、前記第2のプローブ群および前記第3のプローブ群では、それぞれ、未切断の第2のプローブおよび未切断の第3のプローブが観察された。また、75KDa付近の矢印で示すように、前記第2のプローブ群および前記第3のプローブ群では、前記切断後の第2のプローブおよび前記切断後の第3のプローブが観察された。これに対し、前記Mockでは、いずれのプローブおよび切断後のプローブも観察されなかった。また、図9(B)に示すように、前記上清において、前記Mockでは、いずれの切断後のプローブも観察されないのに対し、前記第2のプローブ群および前記第3のプローブ群では、50-75KDa付近に、複数の切断後の第2のプローブおよび前記切断後の第3のプローブが観察された。これらの結果から、前記第2のプローブおよび前記第3のプローブが発現すること、ならびに前記NRG1と同様に、前記第2のプローブおよび前記第3のプローブが、前記NRG1切断酵素により切断されることがわかった。また、シグナルペプチドを除去した前記第2のプローブと比較して、NRG1の全てのドメイン(領域)を含む第1のプローブおよび第3のプローブでは、切断後のプローブのバンドが単一であり、前記NRG1と同様の挙動を示した。これらの結果から、前記プローブは、前記NRG1の全てのドメイン(領域)を含むことで、前記NRG1とより近い性質を示すことがわかった。
【実施例】
【0144】
[実施例5]
本発明のプローブにおいて、切断領域がNRG1切断酵素を介した切断に重要であることを確認した。
【実施例】
【0145】
(1)発現ベクターの構築
前記切断領域のアミノ酸配列(配列番号9)をコードする塩基配列を除去して、変異プローブ遺伝子を作製した以外は、前記実施例1(1)と同様にして、発現ベクターを作製した。以下、前記発現ベクターを変異プローブ遺伝子の発現ベクターともいい、変異プローブ遺伝子から発現するタンパク質を、変異プローブともいう。
【実施例】
【0146】
(2)プローブの発現および切断の確認
前記実施例1(2)と同様にして、前記第1のプローブ、および切断後の第1のプローブを検出した(WT PMA添加群)。また、WT DMSO添加群は、前記PMAに代えて、等量のDMSOを添加した以外は同様にして、前記第1のプローブおよび切断後の第1のプローブを検出した。さらに、前記第1のプローブ遺伝子の発現ベクターに代えて、前記変異プローブ遺伝子の発現ベクターを用いた以外は、同様にして、前記変異プローブおよび前記切断後の変異プローブを検出した(MUT PMA添加群)。また、MUT DMSO添加群は、前記PMAに代えて、等量のDMSOを添加した以外は同様にして、前記変異プローブおよび前記切断後の変異プローブを検出した。
【実施例】
【0147】
これらの結果を図10に示す。図10は、ウエスタンブロットの結果を示す写真である。図10において(A)は、上清の結果を示す写真であり、(B)は、前記細胞溶解液の結果を示す写真であり、上段が、前記プローブの検出結果を示す写真であり、下段が、β-アクチンの検出結果を示す写真である。図10において、写真の左側は、分子量を示し、各レーンは、左から、WT DMSO添加群、WT PMA添加群、MUT DMSO添加群、およびMUT PMA添加群の結果を示す。図10(A)に示すように、前記上清において、前記WT PMA添加群は、前記WT DMSO添加群と比較して、前記切断後の第1のプローブの量が増加した。これに対して、前記MUT DMSO添加群および前記MUT PMA添加群は、共に前記切断後の変異プローブは観察されなかった。また、図10(B)の150KDa付近の矢印で示すように、前記変異プローブを導入した細胞の細胞溶解液は、前記第1のプローブを導入した細胞の細胞溶解液と比較して、未切断のプローブの量が増加していた。これらの結果から、前記切断領域が、前記NRG1切断酵素による切断に重要であることがわかった。
【実施例】
【0148】
(3)蛍光顕微鏡を用いたプローブの切断の確認
前記実施例1(5)と同様にして、シグナル量比(I/I)の算出および補正を行なった。そして、各画像について前記補正後のシグナル量比(I/I)に基づき、32段階の色調で塗り分けを行なった(WT PMA添加群)。また、WT DMSO添加群は、前記PMAに代えて、等量のDMSOを添加した以外は同様にして分析した。さらに、前記第1のプローブ遺伝子の発現ベクターに代えて、前記変異プローブ遺伝子の発現ベクターを用いた以外は、同様にして、シグナル量比(I/I)の算出および補正を行なった。そして、各画像について前記補正後のシグナル量比(I/I)に基づき、32段階の色調で塗り分けを行なった(MUT PMA添加群)。また、MUT DMSO添加群は、前記PMAに代えて、等量のDMSOを添加した以外は、MUT PMA添加群と同様にして分析した。
【実施例】
【0149】
これら結果を図11に示す。図11は、顕微鏡による観察の結果を示す写真である。図
において、(A)が、前記WT PMA添加群の結果、(B)が、前記MUT PMA添加群の結果を示す。図11において、写真は、左から、培養液交換後、0、15、および30分の結果を示し、図中の矢印は、前記プローブの切断が観察された箇所を示す。図11(A)に示すように、前記WT PMA添加群では、図中の矢印で示すように、前記補正後のシグナル量比(I/I)が減少、すなわち前記第1のプローブの切断が観察され、且つ前記第1のプローブの切断が観察される領域が拡大した。これに対し、図11(B)に示すように、前記MUT PMA添加群では、いずれの時間においても前記補正後のシグナル量比(I/I)の変化は観察されなかった。
【実施例】
【0150】
つぎに、経時的な補正後のシグナル量比(I/I)の結果を図12に示す。図12は、補正後のシグナル量比(I/I)の結果を示すグラフである。図12において、横軸は、培養液交換時を基準とした時間を示し、縦軸は、補正後のシグナル量比(I/I)を示す。図12に示すように、前記WT DMSO添加群、前記MUT PMA添加群および前記MUT DMSO添加群では、前記補正後のシグナル量比(I/I)の変化は観察されなかった。これに対し、前記WT PMA添加群では、前記補正後のシグナル量比(I/I)が減少した。これらの結果から、前記切断領域が、前記NRG1切断酵素による切断に重要であることが分かった。
【実施例】
【0151】
(4)生体内でのプローブの切断の確認
前記実施例2(1)と同様にして、前記第1のプローブを神経系の細胞に発現するF1のゼブラフィッシュを得た(WTゼブラフィッシュ)。また、前記第1のプローブ遺伝子の発現ベクターに代えて、前記変異プローブ遺伝子の発現ベクターを用いた以外は、同様にして、前記変異プローブを神経系の細胞に発現するF1のゼブラフィッシュを得た(MUTゼブラフィッシュ)。
【実施例】
【0152】
つぎに、これらのF1のゼブラフィッシュについて、前記実施例2(2)と同様にして、前記シグナル量比(I/I)の算出および補正を行なった。そして、各処理画像について前記補正後のシグナル量比(I/I)に基づき、32段階の色調で塗り分けを行なった。さらに、各処理画像について、前記ゼブラフィッシュの神経細胞の細胞体および軸索について、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値を算出した。
【実施例】
【0153】
これらの結果を図13に示す。図13は、前記F1のゼブラフィッシュの神経細胞を顕微鏡により観察した結果を示す写真である。図13において(A)は、前記WTゼブラフィッシュの神経細胞を示す写真であり、(B)は、前記MUTゼブラフィッシュの神経細胞を示す写真である。図13(A)および(B)の矢印で示すように、前記MUTゼブラフィッシュの神経細胞の細胞体と、前記WTゼブラフィッシュの神経細胞の細胞体とは、前記シグナル量比(I/I)が同程度であった。これに対して、図中の矢印で示すように、前記MUTゼブラフィッシュの神経細胞の軸索は、前記WTゼブラフィッシュの神経細胞の軸索と比較して、前記シグナル量比(I/I)が相対的に高かった。
【実施例】
【0154】
つぎに、前記神経細胞の細胞体および軸索における補正後のシグナル量比(I/I)の平均値の結果を図14に示す。図14は、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値の結果を示すグラフである。図14において、グラフの下は、前記神経細胞における解析対象を示し、縦軸は、補正後のシグナル量比(I/I)の平均値を示す。図14に示すように、前記MUTゼブラフィッシュ(MUT)の神経細胞の細胞体と、前記WTゼブラフィッシュ(WT)の神経細胞の細胞体とは、前記シグナル量比(I/I)に有意差はなかった。これに対して、前記MUTゼブラフィッシュの神経細胞の軸索は、前記WTゼブラフィッシュの神経細胞の軸索と比較して、前記シグナル量比(I/I)が有意に高かった。これらの結果から、前記切断領域は、生体内における前記NRG1切断酵素による切断に重要であることが分かった。
【実施例】
【0155】
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0156】
以上のように、本発明のプローブによれば、NRG1が切断されたか否かを簡便に検出できる。また、本発明のプローブは、動物等の生体においても、例えば、前記NRG1と同様の局在を示す。このため、本発明のプローブによれば、例えば、前記生体においても、前記NRG1の切断を検出できる。また、本発明のプローブを用いることで、例えば、前記生体内で前記NRG1切断酵素の阻害剤をスクリーニングできる。このため、本発明は、医薬分野、生命科学分野等において極めて有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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