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明細書 :細胞質送達ペプチド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年7月13日(2017.7.13)
発明の名称または考案の名称 細胞質送達ペプチド
国際特許分類 C07K  14/00        (2006.01)
A61K  47/50        (2017.01)
A61K  47/42        (2017.01)
A61K   9/127       (2006.01)
A61K  47/28        (2006.01)
A61K  39/395       (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C07K 14/00 ZNA
A61K 47/48
A61K 47/42
A61K 9/127
A61K 47/28
A61K 39/395 D
A61K 39/395 N
C12N 15/00 A
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 24
出願番号 特願2016-552026 (P2016-552026)
国際出願番号 PCT/JP2015/077395
国際公開番号 WO2016/052442
国際出願日 平成27年9月28日(2015.9.28)
国際公開日 平成28年4月7日(2016.4.7)
優先権出願番号 2014198741
優先日 平成26年9月29日(2014.9.29)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】二木 史朗
【氏名】秋柴 美沙穂
【氏名】川口 祥正
【氏名】武内 敏秀
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C076
4C085
4H045
Fターム 4C076AA19
4C076CC26
4C076DD70F
4C076EE41N
4C076EE59
4C076FF03
4C085AA13
4C085EE01
4C085EE05
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA18
4H045CA50
4H045DA83
4H045EA34
4H045FA33
要約 エンドサイトーシスで取り込まれたタンパク質を高効率で細胞質に送達する。
下記式(I):
R-IWLTALKFXGKHXAKHXAKQXL-R(I)
(式中、XはL、E又はDを示す。XはA、E又はDを示す。XはL、E又はDを示す。XはQ、E又はDを示す。但しX~Xの少なくとも1つはE又はDを示す。Rは水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を示す。Rは水酸基(OH)、アミノ基(NH2)、S-R2a、SK-R2a又はSKL-R2a(R2aはOH又はNH2を示す。)、アルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアリールオキシ基を示す。但し、アミノ酸はL型アミノ酸とD型アミノ酸のいずれであってもよい。)で表されるペプチド。
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I):
R-IWLTALKFXGKHXAKHXAKQXL-R(I)
(式中、XはL、E又はDを示す。XはA、E又はDを示す。XはL、E又はDを示す。XはQ、E又はDを示す。但しX~Xの少なくとも1つはE又はDを示す。Rは水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を示す。Rは水酸基(OH)、アミノ基(NH2)、S-R2a、SK-R2a又はSKL-R2a(R2aはOH又はNH2を示す。)、アルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアリールオキシ基を示す。但し、アミノ酸はL型アミノ酸とD型アミノ酸のいずれであってもよい。)で表されるペプチド。
【請求項2】
はLを示し、XはAを示し、XはEを示し、XはQを示す、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
下記のIA~IHのいずれかである、請求項1に記載のペプチド
R-IWLTALKFEGKHAAKHLAKQQLSKL-R2a(IA)
R-IWLTALKFLGKHEAKHLAKQQLSKL-R2a(IB)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQQLSKL-R2a(IC)
R-IWLTALKFLGKHEAKHEAKQQLSKL-R2a(ID)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQELSKL-R2a(IE)
R-IWLTALKFLGKHAAKHDAKQQLSKL-R2a(IF)
R-iwltalkflGkhaakheakqqlskl-R2a(IG)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQQL-R2a(IH)
(式中、Rは水素原子を示し、R2aはアミノ基を示し、IGの小文字のアルファベットはD型アミノ酸を示す。)で表されるペプチド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドからなる細胞質送達剤。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドをベクターに含む、細胞質を標的とする物質導入剤。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドと目的物質が直接あるいはスペーサーを介して共有結合されてなる、細胞質を標的とする物質導入剤。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドと目的物質が直接、あるいは目的物質と相互作用する他分子を介して非共有結合的な複合体を形成してなる、細胞質を標的とする物質導入剤。
【請求項8】
目的物質をベクターに内包する、請求項5に記載の細胞質を標的とする物質導入剤。
【請求項9】
前記ペプチドがベクターの構成成分に直接又はスペーサーを介して結合されている、請求項5に記載の物質導入剤。
【請求項10】
前記ペプチドが目的物質とともにベクターに内包されている、請求項5、8又は9に記載の物質導入剤。
【請求項11】
前記ベクターが、リポソーム、ナノゲル又はポリマーミセルである、請求項5、8又は9に記載の物質導入剤。
【請求項12】
ベクターがリポソームである、請求項11に記載の物質導入剤。
【請求項13】
ベクターの構成成分がコレステロールであり、前記ベクターがコレステロールと請求項1~3のいずれか1項に記載のペプチドを含む複合体を含む、請求項9に記載の物質導入剤。
【請求項14】
目的物質がタンパク質、核酸又は医薬である請求項6,7,8又は10に記載の物質導入剤。
【請求項15】
目的物質が抗体である請求項14に記載の物質導入剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、目的物質を細胞質に送達するためのペプチド、細胞質送達剤及び物質導入剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク質、核酸の生細胞内への導入は細胞機能の計測・解析や細胞機能の調節に非常に有用なアプローチである。例えば、現在、蛍光タンパク質との融合により、種々の細胞内タンパク質の局在や挙動の観察が行われている。しかし、蛍光タンパク質の融合による細胞内局在や挙動への影響やタンパク質活性への影響は捨てきれず、また、融合タンパク質の細胞内発現量の調節も難しい。従って、これらの厳密な評価においては、複数の方法での検証が望ましい。融合する蛍光タンパク質の蛍光特性にも制約があり、適切な蛍光団で化学標識したタンパク質を細胞内に導入できればこの問題の解決に資する。また、近年、天然タンパク質の認識能を活用した種々のバイオセンサーが開発されてきており(非特許文献1)、細胞内計測への応用が期待されている。しかし、このような化学修飾されたタンパク質を細胞外から細胞内へと導入しようとする際に、細胞外から加えたタンパク質の少なからぬ量がエンドソームに保持され、細胞質へと放出・拡散しないために、これらのタンパク質の細胞内可視化や計測の所望の機能を発揮できない場合が多い。
【0003】
一方、近年、種々のバイオ高分子医薬品の開発が急速に進んでいる。中でも抗体は非常に高い標的特異性を持つため、低分子医薬品に代わる分子標的薬として世界中で開発が進められている。しかし、一般に抗体は細胞質内に移行しないため、その標的は細胞膜上の受容体もしくは細胞外の疾患関連因子に限られているのが現状である。細胞質中には細胞骨格関連タンパク質や、キナーゼ関連因子など種々の疾病治療に際して標的となりうるものが多い。そのため、高分子の効率的細胞内導入法が確立すれば、抗体医薬の適用範囲は大幅に拡大する。さらにsiRNAなどの核酸(DNA、RNA)、医薬も細胞内導入の目的物質である。
【0004】
以上により、抗体を始めとする生理活性タンパク質、核酸、医薬を生細胞の細胞質へ効果的に導入する方法の確立が求められている。
【0005】
エンドソームに内包されたタンパク質や薬物を細胞質に放出する代表的なエンドソーム不安定化ペプチドとして、GALA(非特許文献2)、インフルエンザ・ヘマグルチニン HA2 タンパク質由来ペプチド(非特許文献3)などが挙げられる。これらは、pH依存的膜融合ペプチドであり、エンドソーム内のpHが5程度になると膜融合性を発揮し、エンドソーム膜を傷害し、内包物を細胞質に放出するとされる。また、膜透過ペプチドとして知られるHIV-1 TatペプチドとHA2ペプチドの連結体(非特許文献4)なども報告されており、CreとTatの融合タンパク質等の生理活性タンパク質の細胞内導入に用いられた例が報告されている。
【0006】
また、高い膜傷害性を有するハチ毒メリチンにおいて、塩基性アミノ酸のリジンを pH 感受性のマレイン酸誘導体で保護し、エンドソーム内での pH 低下により保護基が脱離することにより、エンドソーム膜を選択的に損傷させ、エンドソーム内包物を細胞質に放出される試みも報告されている(非特許文献5)。
【0007】
さらに、ポリエチレンイミンなどのポリカチオン性ポリマーのプロトン化の程度が pH の低下に伴い上昇することにより、エンドソームの膨潤を誘起し、内容物(核酸など)を細胞質に放出することが報告されている(プロトンスポンジ効果:非特許文献6)。また種々のpH感受性ポリマーが遺伝子導入に用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2009-007547
【0009】

【非特許文献1】Takaokaら、Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 4088
【非特許文献2】Subbaraoら、Biochemistry 1987, 26, 2964
【非特許文献3】Maedaら、PNAS 1981, 78, 4133
【非特許文献4】Wadiaら、Nature Med. 2004, 10, 310
【非特許文献5】Rozemaら、Bioconjug. Chem., 2003, 14, 51
【非特許文献6】Boussifら、PNAS 1995, 92, 7297
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
効果的な細胞機能の計測・解析のためには、細胞外から導入する生理活性タンパク質、核酸、医薬、あるいは蛍光標識タンパク質やセンサー分子の大部分が機能・活性発現の場である細胞質に導入できることが望ましい。しかし、従来の方法では、細胞の生理的取込機構であるエンドサイトーシスにより取り込まれたこれらの分子を、満足できる効率でエンドソームから細胞質へ放出することができないことが問題点であった。バイオ医薬品の細胞内への送達という観点からも、エンドサイトーシスで取り込まれた抗体などのタンパク質、核酸、医薬を効果的に細胞質に送達することが期待されるが、抗体などのタンパク質、核酸、医薬を満足できる効率で細胞質に放出できる方法は報告されていない。
【0011】
本発明は、エンドサイトーシスで取り込まれたタンパク質、核酸、医薬などの目的物質を高効率で細胞質に送達することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、塩基性両親媒性ペプチド Lycotoxin のアミノ酸の一部を酸性アミノ酸と置換することで、抗体やセンサー分子、核酸、医薬などの目的物質のエンドソームから細胞質への放出を亢進させ得ることを見出した。
【0013】
本発明は以下のペプチド、タンパク質、核酸、医薬などの目的物質の細胞質送達剤及び物質導入剤を提供するものである
項1. 下記式(I):
R-IWLTALKFXGKHXAKHXAKQXL-R(I)
(式中、XはL、E又はDを示す。XはA、E又はDを示す。XはL、E又はDを示す。XはQ、E又はDを示す。但しX~Xの少なくとも1つはE又はDを示す。Rは水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を示す。Rは水酸基(OH)、アミノ基(NH2)、S-R2a、SK-R2a又はSKL-R2a(R2aはOH又はNH2を示す。)、アルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアリールオキシ基を示す。但し、アミノ酸はL型アミノ酸とD型アミノ酸のいずれであってもよい。)で表されるペプチド。
項2. XはLを示し、XはAを示し、XはEを示し、XはQを示す、項1に記載のペプチド。
項3. 下記のIA~IHのいずれかである、項1に記載のペプチド
R-IWLTALKFEGKHAAKHLAKQQLSKL-R2a(IA)
R-IWLTALKFLGKHEAKHLAKQQLSKL-R2a(IB)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQQLSKL-R2a(IC)
R-IWLTALKFLGKHEAKHEAKQQLSKL-R2a(ID)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQELSKL-R2a(IE)
R-IWLTALKFLGKHAAKHDAKQQLSKL-R2a(IF)
R-iwltalkflGkhaakheakqqlskl-R2a(IG)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQQL-R2a(IH)
(式中、Rは水素原子を示し、R2aはアミノ基を示し、IGの小文字のアルファベットはD型アミノ酸を示す。)で表されるペプチド。
項4. 項1~3のいずれか1項に記載のペプチドからなる細胞質送達剤。
項5. 項1~3のいずれか1項に記載のペプチドをベクターに含む、細胞質を標的とする物質導入剤。
項6. 項1~3のいずれか1項に記載のペプチドと目的物質が直接あるいはスペーサーを介して共有結合されてなる、細胞質を標的とする物質導入剤。
項7. 項1~3のいずれか1項に記載のペプチドと目的物質が直接、あるいは目的物質と相互作用する他分子を介して非共有結合的な複合体を形成してなる、細胞質を標的とする物質導入剤。
項8. 目的物質をベクターに内包する、項5に記載の細胞質を標的とする物質導入剤。
項9. 前記ペプチドがベクターの構成成分に直接又はスペーサーを介して結合されている、項5に記載の物質導入剤。
項10. 前記ペプチドが目的物質とともにベクターに内包されている、項5、8又は9に記載の物質導入剤。
項11. 前記ベクターが、リポソーム、ナノゲル又はポリマーミセルである、項5、8又は9に記載の物質導入剤。
項12. ベクターがリポソームである、項11に記載の物質導入剤。
項13. ベクターの構成成分がコレステロールであり、前記ベクターがコレステロールと項1~3のいずれか1項に記載のペプチドを含む複合体を含む、項9に記載の物質導入剤。
項14. 目的物質がタンパク質、核酸又は医薬である項6,7,8又は10に記載の物質導入剤。
項15. 目的物質が抗体である項14に記載の物質導入剤。
【発明の効果】
【0014】
本発明の塩基性両親媒性ペプチド Lycotoxin またはC末の3アミノ酸残基を欠失したその改変体でアミノ酸の一部を酸性アミノ酸と置換した変異体は、細胞表面と効果的に相互作用することにより、抗体などのタンパク質、核酸、医薬などの目的物質(細胞内導入分子)とともに、エンドソーム内に取り込まれる効果を奏する。
【0015】
本発明のペプチドは、エンドソーム内における pH の減少ならびにエンドソーム成熟化に伴う膜構成成分の変化に伴いエンドソーム膜の不安定化を誘起し、ペプチドとともにエンドソーム内に移行した抗体やセンサー分子、核酸、医薬などの目的物質の細胞質への放出を促進する効果を奏する。
【0016】
本発明のペプチドは、蛍光標識をはじめとした化学修飾を施したタンパク質やセンサー分子などの目的物質の細胞質内への送達を通して、当該目的物質の細胞内局在や挙動、また、細胞内環境の計測・制御を可能にする効果を奏する。
【0017】
本発明のペプチドは、抗体、核酸のようなサイズの大きな生理活性物質を細胞質内に送達する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のペプチドの存在下又は非存在下に Alexa488-dextran を細胞導入した結果を示す共焦点顕微鏡写真
【図2】抗体(Alexa488-ヒトポリクローナル IgG: 約 150 kDa)の生細胞内導入の結果を示す共焦点顕微鏡写真
【図3】抗チューブリン抗体の生細胞内導入
【図4】ローダミン標識ファロイジンの生細胞内導入
【図5】実施例6の実験の概要
【図6】外因性 Cre リコンビナーゼ(約 38 kDa)導入による細胞内部位特異的遺伝子組み換えの結果を示す共焦点顕微鏡写真
【図7】本発明のL17 (4)ペプチドと HA2 ペプチドとのエンドソーム内包物放出活性の比較を示す共焦点顕微鏡写真
【図8】本発明の HeLa 細胞以外への適用性を示す共焦点顕微鏡写真
【図9】Saporin 毒素の細胞内導入による細胞毒性試験
【図10】R8-PAD の細胞内導入による細胞毒性試験
【図11】血清存在下での本発明ペプチドの使用
【図12】L17 (配列番号4)修飾リポソームを用いた内包物(carboxyfluorescein)の細胞内導入
【図13】市販試薬(PULSin)とのエンドソーム内包物放出活性の比較
【図14】HVJ-E を用いた抗チューブリン抗体の細胞内導入
【図15】L17 (4)存在下及び非存在下でのL17を用いた抗チューブリン抗体の細胞内導入(対照実験)
【図16】高分子薬物モデル(10 kDa dextran)の細胞内導入
【図17】高分子薬物モデル(10 kDa dextran)の細胞内導入
【図18】高分子薬物モデル(10 kDa dextran)の細胞内導入
【図19】複合体形成による目的物質の細胞導入を示す実施形態
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のペプチドは、以下の Lycotoxin 1の誘導体である。

【0020】
Lycotoxin 1: IWLTALKFLGKHAAKHLAKQQLSKL-amide(配列番号1)
具体的には、本発明のペプチドは、Lycotoxin 1のXに対応する9位のL(Leu)、X2に対応する13位のA(Ala)、X3に対応する17位のL(Leu)、X4に対応する21位のQ(Gln)の少なくとも1種を酸性アミノ酸であるE(Glu)又はD(Asp)、好ましくはE(Glu)に置換されたペプチドである。酸性アミノ酸に置換する好ましいアミノ酸はX2、X3、X4であり、好ましくはX3、X4であり、特に好ましくはX3である。

【0021】
Lycotoxin 1のC末端の3個のアミノ酸(SKL)は欠失していてもよい。SKLは、C末端のLのみ欠失してもよく、KLが欠失してもよく、SKLが欠失してもよい。

【0022】
さらに、N末端はアシル化もしくはアルコキシカルボニル化、アラルキルオキシカルボニル化、アリールオキシカルボニル化されていてもよく、C末端はアミド、アルコキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルなどのエステル化されていてもよい。

【0023】
さらに1文字記号で表される Lycotoxin 1の各アミノ酸はL型アミノ酸でもよく、D型アミノ酸でもよい。Lycotoxin 1がD型アミノ酸を含む場合、D型アミノ酸の数は1個でも2個以上でもよいが、好ましくは全てのアミノ酸がL型アミノ酸であるか、全てのアミノ酸がD型アミノ酸である。なお、G(Gly)は不斉炭素を有しないので、本明細書においてL型アミノ酸として扱う。

【0024】
本発明の好ましいペプチド(IA)~(IH)を以下に示す。
R-IWLTALKFEGKHAAKHLAKQQLSKL-R(IA)
R-IWLTALKFLGKHEAKHLAKQQLSKL-R(IB)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQQLSKL-R(IC)
R-IWLTALKFLGKHEAKHEAKQQLSKL-R(ID)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQELSKL-R(IE)
R-IWLTALKFLGKHAAKHDAKQQLSKL-R(IF)
R-iwltalkflGkhaakheakqqlskl-R(IG)
R-IWLTALKFLGKHAAKHEAKQQL-R(IH)
(式中、IGの小文字のアルファベットはD型アミノ酸を示す。R1、R2は前記に定義される通りである。)
より好ましいペプチドは(IC)、(IE)と(IG)であり、特に好ましくは(IC)あるいは(IG)である。これらのペプチドはエンドソームから細胞質に目的物質を高効率で放出させることができる。

【0025】
が水素原子のとき、N末端はアミノ基(NH)であり、Rがアシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基のときN末端は、各々アシルアミド、或いはアルコキシカルボニルアミノ、アラルキルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノなどのウレタンになる。

【0026】
が水酸基(OH)のときC末端はカルボキシル基(COOH)であり、Rがアミノ基(NH2)のとき、C末端はアミド基(CONH2)になる。RがS-R2a、SK-R2a又はSKL-R2a(R2aはOH又はNH2を示す。)のとき、C末端にはS(Ser)、SK(Ser-Lys)、SKL(Ser-Lys-Leu))が結合し、その末端はCOOH(R2a=OH)またはCONH2(R2a= NH2)となる。

【0027】
アシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、イソステアロイル、オレオイル、リノロイルなどの炭素数2~22、好ましくは2~18の直鎖又は分岐を有するアシル基が挙げられる。また、1-ピレンアセチル、1-ピレンブチリルなどのように芳香族基を含むアシル基であってもよい。

【0028】
アルコキシカルボニル基としては、コレステリルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、フィトステリルオキシカルボニル基、ステアリルオキシカルボニル基、パルミチルオキシカルボニル基、2-オクチルドデシルオキシカルボニル基、ベヘニルオキシカルボニル基などが挙げられる。

【0029】
アラルキルオキシカルボニル基としては、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基、フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アントリルメチルオキシカルボニル基、ビフェニリルメチルオキシカルボニル基、テトラヒドロナフチルメチルオキシカルボニル基、クロマニルメチルオキシカルボニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルオキシカルボニル基、インダニルメチルオキシカルボニル基及びフェナントリルメチルオキシカルボニル基などが挙げられる。

【0030】
アリールオキシカルボニル基としては、フルオレニルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、アントリルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基、テトラヒドロナフチルオキシカルボニル基、クロマニルオキシカルボニル基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルオキシカルボニル基、インダニルオキシカルボニル基及びフェナントリルオキシカルボニル基などが挙げられる。

【0031】
アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基は、本発明のペプチドと直接結合してもよいが、PEG(ポリエチレングリコール)、アミド基(-CONH-、-NHCO-)、エステル基(-COO-,-O-CO-)、エーテル基(-O-)、アミノ基(-NH-)、アルキレン(メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなど)、アミノ酸などの適当なスペーサーを介して本発明のペプチドと結合してもよい。例えば、実施例で得られた L17-PEG12-Chol は、コレステリル基がスペーサーを介して本発明のペプチドに結合されており、ベクターの構成成分であるコレステロールと本発明のペプチドを含む複合体に包含される。

【0032】
が水酸基のとき、C末端はCOOHであり、Rがアミノ基のときC末端はCONHになり、Rがアルコキシ、アラルキルオキシ、アリールオキシのとき、C末端は対応するエステルになる。

【0033】
アルコキシ基としては、コレステリルオキシ基、フィトステリルオキシ基、ステアリルオキシ基、パルミチルオキシ基、2-オクチルドデシルオキシ基、ベヘニルオキシ基などが挙げられる。

【0034】
アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、フルオレニルメチルオキシ基、アントリルメチルオキシ基、ビフェニリルメチルオキシ基、テトラヒドロナフチルメチルオキシ基、クロマニルメチルオキシ基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルオキシ基、インダニルメチルオキシ基及びフェナントリルメチルオキシ基などが挙げられる。

【0035】
アリールオキシ基としては、フルオレニルオキシ基、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、テトラヒドロナフチルオキシ基、クロマニルオキシ基、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルオキシ基、インダニルオキシ基及びフェナントリルオキシ基などが挙げられる。

【0036】
細胞質に送達する目的物質としては、生理活性物質、例えば、タンパク質、ペプチド、核酸、医薬、糖あるいはこれらの標識物質、また、合成高分子、リポソーム、有機/無機/半導体微粒子などが挙げられる。タンパク質としては抗体、酵素、細胞情報伝達因子、転写因子、DNAあるいはRNA結合タンパク質、核・ミトコンドリア・細胞骨格などの細胞内器官構成タンパク質、ユビキチンや熱ショックタンパク質などのユビキチン-プロテアソーム系関連タンパク質やカスパーゼなどのアポトーシス関連タンパク質、p53などの細胞周期調節タンパク質、レクチンなどが挙げられる。また、Creリコンビナーゼ、TALEN、Cas9などの遺伝子切断・組み換え能を有するタンパク質も含まれる。抗体に関しては、免疫グロブリンに加え、その断片タンパク質やラクダ科動物由来の一本鎖抗体も含まれる。これらの抗体の標的としては、キナーゼ類、HIF-1などの転写因子類、微小管などの細胞骨格タンパク質類などが挙げられる。ペプチドとしては、細胞内タンパク質相互作用を調節するヘリックスペプチドや環状ペプチド、細胞内タンパク質の断片ペプチド、DNA/RNA結合ペプチド、各種酵素基質・阻害剤、がんワクチン産生のための抗原ペプチドなどが挙げられる。医薬としては抗腫瘍剤、抗ウイルス剤などが挙げられ、糖としてはデキストラン、シアル酸などが挙げられ、核酸としてはDNA、RNA(好ましくはsiRNA、miRNA、shRNA、rRNA、リボザイム、アンチセンスRNAなど)、DNA/RNAアプタマーならびにこれらの化学修飾体が挙げられる。また、Cas9/sgRNAなどのタンパク質と核酸の複合体も含まれる。また、細胞内での生理活性や機能の向上のために上記の生理活性物質に必要に応じて化学修飾を施した誘導体を導入することも可能である。

【0037】
細胞内可視化・計測・相互作用解析のために上記のタンパク質や核酸などの生理活性物質を蛍光団、量子ドット、放射性同位元素、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、光架橋団等で修飾を行ったものや、細胞内NMR測定などのための安定同位体標識タンパク質も導入物質として挙げられる。蛍光団としては、必要に応じて細胞内環境に応じて蛍光特性が変化する蛍光団で修飾することも可能である。

【0038】
導入物質は特に以上のものに限定される必要はなく、膜透過性を有するペプチド、各種トランスフェクション試薬など他の細胞導入剤と併用し、これらの細胞質内移行効率の更なる向上のために本法を用いることも可能である。

【0039】
本発明のペプチドは目的物質と混合して投与するほか、目的物質に直接あるいは適当なスペーサーを介して共有結合的に結合してもよく、直接あるいは目的物質と相互作用する他分子を介して非共有結合的に複合体を形成してもよい。さらに、エンドソームに内包されるベクター(細胞導入剤)に含ませてもよい。例えば、本発明のペプチドは、ベクターの内部に含まれていてもよく、ベクターの構成成分に直接又はスペーサーを介して結合されていてもよい。あるいは、本発明のペプチドがベクターの構成成分と相互作用する他分子を介して非共有結合的に複合体を形成することで、ベクターの表面に含ませてもよい。さらにベクターの内部に目的物質とともに本発明のペプチドを内包させて、目的物質がエンドソームに取り込まれた後に、エンドソームから細胞質への移行を促進することができる。本発明のペプチドを目的物質と共存させると、目的物質のエンドソームから細胞質への移行を促進することができるが、特定の細胞へ導入するための特異性はない。したがって、本発明のペプチドと目的物質をDDSにより標的細胞に供給するか、細胞特異的なベクターと本発明のペプチドを組み合わせることにより、特定細胞の細胞質に目的物質を導入することができる。細胞特異的なベクターとして、細胞特異的な抗体、リガンドなどが表面に導入されたベクターが例示される。ベクターとしてはリポソーム(カチオニックリポソーム、アニオニックリポソーム)、リポフェクタミン、親水性セグメントと疎水性セグメントを含むブロックコポリマーから構成される高分子ミセル、ナノゲル、合成ポリマーやナノ粒子などが挙げられる。例えばベクターがリポソームの場合には、Rとして炭素数10以上のアシル基を使用するか、N末端にコレステリルオキシカルボニル基やC末端にコレステリル基などの脂溶性の大きい基、あるいはホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質を必要に応じて適当なスペーサーを介してエステル結合又はアミド結合で本発明のペプチドと結合させることで、本発明のペプチドを含むリポソームを得ることができる。スペーサーとしては、PEG(ポリエチレングリコール)、アミド基(-CONH-、-NHCO-)、エステル基(-COO-,-O-CO-)、エーテル基(-O-)、アミノ基(-NH-)、アルキレン(メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなど)、アミノ酸などが挙げられる。アミノ酸は側鎖の COOH または NH2基を介して結合してもよい。さらに、本発明のペプチドと目的物質は、直接、あるいは目的物質と相互作用する他分子を介して非共有結合的な複合体を形成することができる。このような非共有結合的な複合体としては、図19に示されるように、
(a)[抗体と親和性を示すペプチド(ファージディスプレイ系などを用いて選択)と本発明のペプチドのコンジュゲート]と抗体との複合体
(b)核酸と本発明のペプチドとの非共有結合的な複合体
(c)[本発明のペプチドと核酸相互作用分子とのコンジュゲート]と核酸との非共有結合的な複合体
等が挙げられる
目的物質を細胞に送達すべき生物種は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物である。哺乳動物としては、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット等が挙げられる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0041】
実施例1
1.ペプチドの構造及び製造
Lycotoxin 1 (1): IWLTALKFLGKHAAKHLAKQQLSKL-amide(配列番号1)
L9E (L9) (2): IWLTALKFEGKHAAKHLAKQQLSKL-amide(配列番号2)
A13E (A13) (3): IWLTALKFLGKHEAKHLAKQQLSKL-amide(配列番号3)
L17E (L17) (4): IWLTALKFLGKHAAKHEAKQQLSKL-amide(配列番号4)
A13E/L17E (A13L17) (5): IWLTALKFLGKHEAKHEAKQQLSKL-amide(配列番号5)
L17E/Q21E (L17Q21) (6): IWLTALKFLGKHAAKHEAKQELSKL-amide(配列番号6)
L17D (7): IWLTALKFLGKHAAKHDAKQQLSKL-amide(配列番号7)
L17E (d-置換体) (8): iwltalkflGkhaakheakqqlskl-amide(配列番号8)
L17E Δ(23-25) (9): IWLTALKFLGKHAAKHEAKQQL-amide(配列番号9)
L17E Δ(20-25) (10): IWLTALKFLGKHAAKHEAK-amide(配列番号10)
(配列番号8中の小文字のアルファベットはD型アミノ酸を示す。)
溶血性ペプチド(1)の配列中のアミノ酸をグルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D)に置換することにより、エンドソーム膜選択的に不安定化するペプチドを得た。ペプチドは、固相合成により得た。得られたペプチドの物性値を以下に示す。
Lycotoxin 1 (1)の物性値(MALDI-TOFMS): 理論値(M+H)+ 2844.7; 実測値 2844.5
L9E (L9) (2)の物性値: 理論値(M+H)+ 2860.5; 実測値 2859.1
A13E (A13) (3)の物性値: 理論値(M+H)+ 2902.5; 実測値 2901.1
L17E (L17) (4)の物性値: 理論値(M+H)+ 2860.6; 実測値 2860.5
A13E/L17E (A13L17) (5)の物性値: 理論値(M+H)+ 2918.5; 実測値 2917.4
L17E/Q21E (L17Q21) (6)の物性値: 理論値(M+H)+ 2861.4; 実測値 2860.4
L17D (7) の物性値: 理論値(M+H)+ 2846.4; 実測値 2846.4
L17E (d-置換体) (8) の物性値: 理論値(M+H)+ 2860.5; 実測値 2860.5
L17E Δ(23-25) (9) の物性値: 理論値(M+H)+ 2532.1; 実測値 2531.4
L17E Δ(20-25) (10) の物性値: 理論値(M+H)+ 2162.6; 実測値 2161.2
Lycotoxin 1 (1)の膜傷害性は、文献(Yan L., Adams M.E. J. Biol. Chem. 273:2059-2066 (1998))に記載されている。
【実施例】
【0042】
実施例2.高分子薬物モデル(10 kDa dextran)の細胞内導入
実施例1で得られた9種の本発明のペプチド(2)~(10)(40 μM)存在下、HeLa細胞とAlexa488-dextran (Molecular Probes、10 kDa) (250 μg/mL)をα-MEM(-)中1 h処理、細胞を洗浄し、α-MEM(+)中でさらに3 h培養後、共焦点顕微鏡で観察した。ペプチドL17(4)、ペプチドL17Q21 (6)及びペプチド添加なしの結果を図1に示す。
【実施例】
【0043】
ペプチド存在下では Alexa488-dextran (10 kDa) の顕著な細胞質への流出・拡散が見られた。特にL17 (4)ならびにそのDアミノ酸置換体(8)では約 50%、L17Q21 (6)では約 30%の細胞でAlexa488-dextranの拡散が認められた。その他のペプチドで処理した場合の拡散が見られる細胞の割合は、A13 (3)ならびにL17D (7)で約 20%; A13L17 (5)ならびにL17E Δ(23-25) (9)で約15%; L9 (2)で約 5%であった。L17E Δ(20-25) (10)では約 2%の拡散が見られたのみであり、ペプチド不添加時には拡散は全く認められなかった。
【実施例】
【0044】
実施例3.抗体(Alexa488-ヒトポリクローナルIgG: 約150 kDa)の細胞内導入
L17 (4)ペプチド(40 μM)存在下、HeLa 細胞と Alexa488-IgG (150 μg/mL)をα-MEM(-)中1 h処理、細胞を洗浄し、α-MEM(+)中でさらに3 h培養後、細胞を固定することなく、共焦点顕微鏡で観察した。結果を図2に示す。
【実施例】
【0045】
L17 (4)で処理した細胞の約 50%にAlexa488-IgGの拡散が認められる。
【実施例】
【0046】
実施例4.抗チューブリン抗体の生細胞内導入
FITC-抗alpha Tubulin抗体(Abcam、150 μg/mL)をL17 (4)(40 μM)存在下α-MEM(-)中1 h処理、細胞を洗浄し、α-MEM(+)中でさらに3 h培養後、共焦点顕微鏡で観察した結果、抗体の細胞質への移行と細胞内染色が見られた(図3)。
【実施例】
【0047】
実施例5.ローダミン標識ファロイジンの生細胞内導入
細胞膜非透過性のF-アクチン染色剤であるローダミン標識ファロイジン (Invitrogen、66 nM)をL17 (4)ペプチド(40 μM)存在下α-MEM(-)中15 min処理、細胞を洗浄し、α-MEM(+)中でさらに2.5 h培養後、共焦点顕微鏡で観察した結果、ファロイジンの細胞質への移行と細胞内染色が見られた(図4)。
【実施例】
【0048】
実施例6.外因性Creリコンビナーゼ(約 38 kDa)導入による細胞内部位特異的遺伝子組み換え
Cre が細胞内(細胞質)に導入されれば、Cre は核に移行し、loxP配列を標的とした部位特異的遺伝子組み換えを誘導する。遺伝子組み換えが起こる前の細胞はDsRedを発現し赤色に、Creによる遺伝子組み換えが生じた細胞はEGFPの発現により緑色の蛍光を発する(図5)。
【実施例】
【0049】
loxP-DsRed-loxP-EGFP をコードするプラスミドをトランスフェクションしたHeLa細胞に、Cre-(His)6融合タンパク質(遺伝子工学的手法を用いて作製、5 μM)をL17 (4) 40 μM存在下で処理(α-MEM(-)中1 h)。細胞を洗浄し、α-MEM(+)で24 h培養後、共焦点顕微鏡観察した(図6)。
20%以上の細胞で遺伝子組み換えを示すEGFPの発色が見られる。
【実施例】
【0050】
実施例7.HA2 ペプチドとのエンドソーム内包物放出活性の比較
HA2 ペプチド(GLFGAI AGFIENGWEGMI DGWYG-amide: Plank, C. et al. J. Biol. Chem. 269:12918-12924 (1994))は代表的なpH感受性膜融合ペプチドでエンドソーム内包物の細胞質の放出のために汎用されている。
【実施例】
【0051】
Alexa488-dextran (10 kDa) (250 μg/mL)をペプチド(40 μM)存在下PBS(-)中15 min処理、細胞を洗浄し、α-MEM(+)中でさらに3 h培養後、共焦点顕微鏡観察。HA2 ではAlexa488-dextranの細胞内への移行と細胞質への放出は殆ど認められなかった(図7)。
【実施例】
【0052】
実施例8.本発明の HeLa 細胞以外への適用性
高分子薬物モデルとしての10 kDa dextranをL17 (4)存在下、実施例2と同条件でCOS-7(アフリカミドリザル腎臓由来細胞)、NIH3T3(マウス線維芽細胞)、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)とインキュベーションすることによりこれらの細胞においても効果的な細胞質への拡散が見られた(図8)。
【実施例】
【0053】
実施例9.Saporin 毒素の細胞内導入による細胞毒性試験(L17(配列番号4)による毒素タンパク質の細胞質への送達促進効果)
Saporinは約 30 kDaの強毒素(リボゾーム不活化タンパク質)である[1]が、saporin の膜透過性(細胞内移行性)は低い。Saporin (Sigma-Aldrich、10 μg/mL)をL17 (配列番号4)ペプチド(40 μM)存在下、α-MEM(-)中で1 h処理後、細胞を洗浄し、α-MEM(+)中でさらに6 h培養し、WST-1試薬(Roche)により細胞生存率を測定した。その結果、L17非存在下では、コントロールの細胞(saporinを投与しなかった細胞:cont)に比べ、約 20%程度の毒性にとどまったが、L17存在下では、約 80%の細胞毒性がみられた (図9)。
【実施例】
【0054】
実施例10.R8-PADの細胞内導入におけるL17の併用効果(既存の細胞内導入法に対するL17の併用による生理活性の向上)
Proapoptotic domain peptide (PAD)は14 残基からなる両親媒性のカチオン性ペプチドであり、細胞外では細胞毒性を示さないが、細胞質に移行するとミトコンドリア膜を破壊し、アポトーシスによる細胞死を誘導することが報告されている[2]。発明者らのグループは、細胞に対してのPAD単独投与ではアポトーシス死は誘導されないが、代表的な細胞透過性ペプチド(cell-penetrating peptide, CPP)の一つであるオクタアルギニン(R8)とのコンジュゲート(R8-PAD, RRRRRRRRGGklaklakklaklak-amide, 小文字のアミノ酸はD型アミノ酸)の投与により、アポトーシス死が誘導可能となることを確認している[3-6]。
【実施例】
【0055】
ここではCPPを含む細胞内(細胞質)への送達促進効果を有する既存の導入法とL17(配列番号4) との併用により、より効果的に所望の効果(生理活性等)が得られることを示す目的で、L17共存下におけるR8-PADのアポトーシス細胞死誘導活性を調べた。
【実施例】
【0056】
R8-PAD (5 μM)をL17 (40 μM)存在下、α-MEM(-)中で1 h処理後、細胞を洗浄し、α-MEM(+)中でさらに6 h、および、12 h 培養し、WST-1 assayにより細胞生存率を測定した。その結果、6 h後では、R8-PADを投与しなかった細胞(cont)に対してR8-PAD単独投与により得られた細胞死は約 25%であったが、L17 (4)添加時には約 50%の細胞死が誘導できた。さらに、12 h 後には、R8-PAD単独では約 50%の細胞死を誘導したのみであったのに対し、L17 (4)存在下では、約 80%の細胞死がみられた(図10)。
【実施例】
【0057】
本実施例により、既存の細胞内送達法にL17を併用することによって、さらに優れた効果を発現することが確認された。
<ペプチドの構造>
R8-PAD: RRRRRRRRGGklaklakklaklak-amide (小文字のアミノ酸はD型アミノ酸)
<ペプチド合成>
H-RRRRRRRRGGklaklakklaklak-resin(アルギニン側鎖はPbf(=2,2,4,6,7-pentamethyldihydrobezofuran-5-sulfonyl)基、リジン側鎖はBoc(=tert-butyloxycarbonyl)基で保護)を Fmoc 固相合成法により自動合成した。最終脱保護および樹脂からの切り出しはTFA-EDT (95 : 5)で室温 3 h処理することにより行った。その後、逆相HPLCにより精製した。合成したペプチドはMALDI-TOF MSにより測定し、理論分子量との一致を確認した(理論値(M+H)+ 2887.6 ; 実測値 2887.7)。
【実施例】
【0058】
参考文献
[1] Stirpe, F.; Gasperi-Campani, A.; Barbieri, L.; Falasca, A.; Abbondanza, A.; Stevens, W. A. Ribosome-inactivating proteins from the seeds of Saponaria officinalis L. (soapwort), of Agrostemma githago L. (corn cockle) and of Asparagus officinalis L. (asparagus), and from the latex of Hura crepitans L. (sandbox tree). Biochem. J. 1983, 216, 17-25.
[2] Ellerby, H. M.; Arap, W.; Ellerby, L. M.; Kain, R.; Andrusiak, R.; Rio, G. D.; Krajewski, S.; Lombardo, C. R.; Rao, R.; Ruoslahti, E.; Bredesen, D. E.; Pasqualini, R. Anti-cancer activity of targeted pro-apoptotic peptides. Nat. Med. 1999, 5, 1032-1038.
[3] Nakase, I.; Niwa, M.; Takeuchi, T.; Sonomura, K.; Kawabata, N.; Koike, Y.; Takehashi, M.; Tanaka, S.; Ueda, K.; Simpson, J. C.; Jones, A. T.; Sugiura, Y.; Futaki, S. Cellular uptake of arginine-rich peptides: roles for macropinocytosis and actin rearrangement. Mol. Ther. 2004, 10, 1011-1022.
[4] Futaki, S.; Niwa, M.; Nakase, I.; Tadokoro, A.; Zhang, Y.; Nagaoka, M.; Wakako, N.; Sugiura, Y. Arginine carrier peptide bearing Ni(II) chelator to promote cellular uptake of histidine-tagged proteins. Bioconjugate Chem. 2004, 15, 475-481.
[5] Watkins, C. L.; Brennan, P.; Fegan, C.; Takayama, K.; Nakase, I.; Futaki, S.; Jones, A. T. Cellular uptake, distribution and cytotoxicity of the hydrophobic cell penetrating peptide sequence PFVYLI linked to the proapoptotic domain peptide PAD. J. Controlled Release 2009, 140, 237-244.
[6] Takayama, K.; Hirose, H.; Tanaka, G.; Pujals, S.; Katayama, S.; Nakase, I.; Futaki, S. Effect of the attachment of a penetration accelerating sequence and the influence of hydrophobicity on octaarginine-mediated intracellular delivery. Mol. Pharm. 2012, 9, 1222-1230.
【実施例】
【0059】
実施例11:血清存在下での適用可能性(モデル薬物10 kDa dextranの細胞内導入)
Alexa488-dextran (10 kDa)(250 μg/mL)とL17 (4)(40 μM)をα-MEM(+)中で混合し、HeLa 細胞に添加し、1 h処理した。その後細胞を洗浄し、直ちに共焦点顕微鏡で観察した。
【実施例】
【0060】
血清存在下(10% (v/v) 非働化ウシ血清)でも、約 50%の細胞でAlexa488-dextranの拡散が認められ、これは血清非存在下(約 55%)とほぼ同等であった。
【実施例】
【0061】
本実施例により、血清存在下でも本発明のペプチドは細胞質送達能を発揮することが確認された。
【実施例】
【0062】
実施例12.L17 (配列番号4)修飾リポソームを用いた内包物(carboxyfluorescein)の細胞内導入
モデル薬物としてcarboxyfluoresceinを内包した大きな一枚膜リポソーム(LUV) (直径100 μm)を押し出し法により作製した(組成:1,2-ジオレオイル-3-sn-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)/1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)/コレステロール(Chol)=5:2.5:2.5)。リポソーム (1 mM)とL17-PEG12-Chol (2 μM)を等量混合し、15 minインキュベートすることでリポソーム表面にL17を提示させた。さらに、これをα-MEM(-)と1:2で混合し、HeLa 細胞に添加し、1 h処理した。その後、細胞を洗浄し、α-MEM (+)中でさらに3 h培養後、共焦点顕微鏡で観察した。結果を図12に示す。
【実施例】
【0063】
L17修飾リポソームを添加した細胞において carboxyfluorescein の細胞質への拡散が認められるが、非修飾のものを添加した細胞では有意な拡散は認められなかった。本発明のペプチドが、リポソームを用いたバイオ医薬(タンパク質・核酸医薬等)への適用(細胞質への拡散促進)が可能であることが実証された。
<ペプチドの構造>
L17-PEG12-Chol:
【実施例】
【0064】
【化1】
JP2016052442A1_000003t.gif
【実施例】
【0065】
理論値(M+H)+ 4112.5 ; 実測値 4112.7
<ペプチド合成法>
Rink アミド樹脂を用い、Fmoc 固相合成法によりIWLTALKFLGKHAAKHEAKQQLSKLGK*配列に対応するペプチド樹脂を合成した(側鎖アミノ酸はTrp(Boc)、Thr(tert-Bu)、Lys(Boc)(C末端のLys以外)、Lys(Mtt)(C末端のLys(*印))、His(Trt)、Glu(tert-Bu)、Gln(Trt)、Ser(tert-Bu)を使用。Mtt=4-メチルトリチル)。 5 当量の di-tert-butyl dicarbonate、5 当量のN-methylmorpholine を含む DMF 溶液をペプチド樹脂に添加し、ペプチド樹脂のN末端をBoc保護した。次いでC末端Lysの側鎖アミノ基の脱保護(Mtt基の除去)を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/ジクロロメタン(1:4)中、室温で3 h緩やかに振とうすることで行った。リシン側鎖の Fmoc-PEG12修飾を、Fmoc-PEG12-propanoic acid (3 当量)、O-(1H-Benzotriazol-1-yl)-N,N,N',N'-tetramethyluronium hexafluorophosphate (HBTU)(3 当量)、1-Hydroxy-benzotriazole(HOBt)(3 当量)、N,N-Diisopropylethylamine (DIEA)(6 当量)を含むDMF溶液を加え、一夜振とうすることにより行った。Fmocの脱保護を20% piperidine/DMF溶液を添加し、10 minの振とうを2回繰り返すことで行った。cholesteryl hemisuccinate(3 当量)、HBTU(3 当量)、HOBt(3 当量)、DIEA(6 当量)を含むDMF溶液を加え、2 h振とうすることでPEG12と cholesterolがC末端に付加されたペプチド樹脂を得た。最終脱保護および樹脂からの切り出しはトリフルオロ酢酸(TFA)-エタンジチオール(EDT) (95 : 5)で室温 3 h処理することにより行った。合成したペプチドの質量を MALDI-TOF MS により測定し、理論分子量との一致を確認した。実測値 4112.7 [理論値(M+H)+ 4112.5]。
【実施例】
【0066】
<リポソーム調製法>
DOPE/DOPC/Chol (5 : 2.5 : 2.5)になるようにクロロホルム溶液としてナス型フラスコに入れ、N2置換した後に、ボルテックスミキサーを用いて撹拌した。ロータリーエバポレータにより、有機溶媒を除去した後、脂質フィルムから完全に有機溶媒を除くために、真空ポンプを用いて減圧下に一夜おいた。薄膜脂質を形成したナスフラスコに全脂質濃度が8 mMになるように、carboxyfluorescein 緩衝液 (10 mM HEPES、150 mM NaCl、100 mM carboxyfluorescein (pH 7.4))を加え、直ちにN2置換を行った。その後、10 min間振とうを行い多重膜リポソーム (MLVs)を作製し、凍結融解を5回繰り返した。エクストルージョン法により粒径が100 nmの一枚膜リポソーム (LUV)を作製した。その後、リポソームに内包されなかった carboxyfluorescein をゲルろ過により除去した。
【実施例】
【0067】
比較例1.市販試薬(PULSin)とのエンドソーム内包物放出活性の比較
汎用される市販のタンパク質・抗体導入試薬である PULSin Kit (ポリプラストランスフェクション社、http://www.funakoshi.co.jp/contents/2259)を用いて抗体(Alexa488-ヒトポリクローナルIgG: 約 150 kDa)の細胞内導入を行い、この効率をL17(配列番号4)を用いた場合(実施例3の実験結果)と比較を行った。
【実施例】
【0068】
PULSinの使用説明書に従い、Alexa488-IgG (4 μg)/20 mM Hepes (200 μL)にPULSin (16 μL)を添加し、15 minインキュベーション。HeLa細胞をα-MEM(-) で洗浄後、α-MEM(-) (1.8 mL)ならびに上記のAlexa488-IgG/PULSinの混合物(200 μL)を加え、37 ℃、2 hインキュベーション後、核染色試薬 Hoechst33342 (30 μg)を加え、15 minインキュベーションした。
【実施例】
【0069】
細胞内に抗体のシグナルは認められるが、エンドソーム様の点状シグナルが観察されるだけであり、実施例3(図2)記載のL17ペプチド(配列番号4)を使った場合のようなIgGの効果的な細胞質への拡散は見られなかった。
【実施例】
【0070】
比較例2.市販のIgG抗体導入試薬(GenomONE-CAb、石原産業)を用いた抗チューブリン抗体の細胞内導入
GenomONE-Cabの取扱説明書記載の推奨プロトコールに準拠し、HVJ-Eに封入したanti-Tubulin antibody (Abcam、0.9 μg)を細胞(70%コンフルエント)に投与(血清非存在下)し、1 hインキュベーションした。Wash 後さらに1 h、α-MEM(+)中でインキュベートし、固定及び膜透過処理して蛍光標識二次抗体で染色(anti-mouse antibody(Alexa488), Invitrogen、1/400、1 h)したが、細胞内には抗体がエンドソーム内に保持されているかあるいは細胞内で凝集していることを示すドット状のシグナルが認められただけであり、抗体の細胞質への顕著な拡散は認められなかった。
【実施例】
【0071】
なお、プロトコールでは、抗体導入後、細胞を固定し、蛍光標識 2 次抗体を用いて抗体の分布を観察する場合、完全長のIgG (whole molecule)を用いると非特異的な結合が起こり、特異的な染色像が得られない場合があるため F(ab’)2断片の使用が推奨されている。本実験は抗チューブリン抗体の細胞質への拡散を検出することが目的であるため、完全長の蛍光標識 2 次抗体を用いた。
【実施例】
【0072】
実施例13(対照実験).L17を用いた抗チューブリン抗体の細胞内導入
L17(配列番号4)(40 μM)をanti-Tubulin antibody(Abcam、100 μg/mL) とともに HeLa 細胞に投与し、1 hインキュベートした。Wash 後細胞を固定・膜透過処理し、蛍光標識二次抗体で染色(anti-mouse antibody(Alexa488), Invitrogen、1/400、1 h)した。抗体の効果的な細胞質への拡散を示唆するシグナルが得られた。本実施例は、実施例4と同様の実験だが、実施例4はFITC標識した抗体の細胞質への送達を直接観察しているのに対し、ここでは、上記のHVJ-E の導入例(比較例2)と同じく非蛍光標識の抗体を細胞質へ導入した後、細胞を固定し、蛍光標識した2次抗体により細胞内の抗体を検出した。
【実施例】
【0073】
実施例14.高分子薬物モデル(10 kDa dextran)の細胞内導入
L17 以外のペプチドを用いた以外は実施例2と同じ条件で、高分子薬物モデル(10 kDa dextran)の細胞内導入試験を行った。結果を図16、図17に示す。
【実施例】
【0074】
L17E(配列番号4)の17位のE(グルタミン酸)をD(アスパラギン酸)に置換してもほぼ同程度の10 kDa dextran の細胞内移行(細胞質への拡散)がみられた。
【実施例】
【0075】
L17Eの配列中のアミノ酸を全てD型に置換してもL17Eと同一あるいはそれ以上の10 kDa dextran の細胞質への拡散がみられた。
【実施例】
【0076】
L17E の C 端側3残基を欠失(L17E Δ(23-25)) させても 10 kDa dextran の細胞質への拡散がみられたが、6残基欠失(L17E Δ(20-25))させると細胞質への移行効率は顕著に低下した。この結果により、1-22位の重要性が明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
1.生細胞へのタンパク質・生理活性物質導入試薬・導入キット
2.分子細胞生物学・医学分野における基礎研究(細胞内可視化、計測、相互作用解析、細胞活性制御等)
3.創薬分野における抗体医薬品・バイオ医薬品等の細胞内活性評価のための基礎研究(バイオ医薬品設計支援手法)
4.抗体医薬品・核酸医薬品・バイオ医薬品の ex vivo・in vivo細胞内送達
図面
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