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Specification :(In Japanese)回転2軸運動の同期精度の診断方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P6721174
Publication number P2017-193012A
Date of registration Jun 22, 2020
Date of issue Jul 8, 2020
Date of publication of application Oct 26, 2017
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)回転2軸運動の同期精度の診断方法
IPC (International Patent Classification) B23Q  17/00        (2006.01)
G01M  99/00        (2011.01)
FI (File Index) B23Q 17/00 A
G01M 99/00 A
Number of claims or invention 3
Total pages 13
Application Number P2016-084340
Date of filing Apr 20, 2016
Date of request for substantive examination Apr 11, 2019
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】廣垣 俊樹
【氏名】青山 栄一
【氏名】呉 魏
【氏名】水谷 優太
Representative (In Japanese)【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
Examiner (In Japanese)【審査官】久保田 信也
Document or reference (In Japanese)特開2012-101348(JP,A)
特開2010-181334(JP,A)
韓国公開特許第10-2017-0113990(KR,A)
特表2003-519368(JP,A)
Field of search B23Q 17/00
G01M 99/00
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
(1)直交する2軸のまわりに互いに独立に回転可能に支持された平坦なプレート面上に球を置き、
(2)前記球が前記プレート面上において1つまたは複数の交差点もつリサージュ図形となる軌跡を描くように、前記プレートを、前記2軸のうちの一方の軸のまわりに第1の正弦関数の振幅で与えた角度でもって周期的に回転運動させると同時に、前記2軸のうちの他方の軸のまわりに第2の正弦関数の振幅で与えた角度でもって周期的に回転運動させ、
(3)前記2軸のまわりの回転運動が正確に同期しているとしてシミュレーションによって得た基準リサージュ図形と前記2軸のそれぞれとの交点からの、前記プレート面上に描かれたリサージュ図形と前記2軸のそれぞれとの対応する交点の偏差に基づいて、前記2軸のまわりの回転運動の振幅の同期誤差を定量的に検出するとともに、前記基準リサージュ図形の交差点からの前記プレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の偏差に基づいて、前記2軸のまわりの回転運動の位相差の同期誤差を定量的に検出することによって、前記2軸のまわりの回転運動の同期精度を定量的に診断することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ(3)において、前記基準リサージュ図形と前記2軸のそれぞれとの交点からの、前記プレート面上に描かれたリサージュ図形と前記2軸のそれぞれとの対応する交点の前記偏差として、当該偏差の平均値をとり、前記基準リサージュ図形の交差点からの前記プレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の前記偏差として、当該偏差の平均値をとることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(2)において、前記一方の軸および前記他方の軸をそれぞれy軸およびx軸とするxy座標系を設定し、前記第1の正弦関数をθy(t)=θy0sin(ω1t+α)、ここで、θy0は最大傾斜角であり、ω1は角速度であり、tは時間であり、αは位相差である、とする一方、前記第2の正弦関数をθx(t)=θx0sin(ω2t)、ここで、θx0は最大傾斜角であり、ω2は角速度であり、tは時間である、とし、εa=ω21=1/2、およびεb=θx0y0=1、およびα=0と設定して、前記球が、前記プレート面上に、交差点が前記xy座標系の原点に位置し、かつ前記xy座標の原点以外で前記y軸を2回横切る八の字状のリサージュ図形となる軌跡を描くように前記プレートを前記2軸のまわりに回転運動させ、
前記ステップ(3)において、
(3-1)前記xy座標の原点を除いた前記基準リサージュ図形と前記y軸との交点からの、前記プレート面上に描かれたリサージュ図形と前記y軸との対応する交点の偏差がゼロのとき、前記2軸のまわりの回転運動の振幅の同期誤差はないと判定する一方、当該偏差がゼロでないときは、前記球のxy平面における運動方程式から導出した伝達関数に基づきボード線図を描き、前記ボード線図のうちのゲイン特性のグラフから、角速度ω1におけるゲインと角速度ω2におけるゲインとのゲイン差を求め、当該ゲイン差から前記振幅の同期誤差を定量的に検出するとともに、
(3-2)前記基準リサージュ図形の交差点からの前記プレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の偏差がゼロのとき、前記2軸のまわりの回転運動の位相差の同期誤差はないと判定する一方、当該偏差がゼロでないときは、予めシミュレーションによって得た、前記第2の正弦関数のαの変化に伴う前記基準リサージュ図形の交差点の位置の変化を表すグラフから、前記位相差の同期誤差を定量的に検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、回転2軸運動(直交する2軸のまわりの回転運動)の同期精度を診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転2軸運動の同期精度を低コストで簡単に診断する方法として、例えば、特許文献1に記載された方法がある。
特許文献1に記載の方法では、回転2軸のまわりに互いに独立に回転可能に支持された平坦なプレート面上に球を置き、プレートを回転2軸のまわりに互いに位相が90°ずれたサイン関数の振幅で与えた角度で周期的に回転運動させ、プレート面上における球の運動の軌跡の基準円からの偏差を検出することで、回転2軸運動の同期精度を診断する。
【0003】
そして、プレート面上における球の運動の軌跡が楕円となり、楕円の長軸および短軸が回転2軸に整合するとき、回転2軸のまわりの回転運動の振幅に誤差が生じているものと判定し、振幅の誤差が楕円の長軸および短軸の長さの差と比例関係にあることに基づき、振幅の誤差を定量的に検出する。
【0004】
また、プレート面上における球の運動の軌跡が楕円となり、かつ、楕円の長軸または短軸が回転2軸に整合しないとき、回転2軸のまわりの回転運動の振幅および位相差に誤差が生じているか、または回転2軸のまわりの回転運動の位相差のみに誤差が生じているものと判定し、位相差の誤差が、長軸または短軸が回転2軸のうちの近い方の軸となす角度と比例関係にあることに基づき、位相差の誤差を定量的に検出する。
【0005】
こうして、この従来法によれば、DBB(Double Ball Bar)や高精度ジャイロセンサー等の高価な装置を使用することなく、極めて簡単にかつ低コストで診断が行える。
【0006】
しかしその一方で、この従来法によれば、プレート面上に球が描く図形を観察(実際には撮影)し、この図形が基準円が一致するか、あるいはどの程度ずれているかを検出しなければならないが、この検出精度はそれほど良くない。
それ故、この従来法では、回転2軸運動の同期精度の定性的な診断、すなわち、回転2軸運動の振幅のみに誤差が生じているのか、回転2軸運動の振幅および位相差または位相差のみに誤差が生じているのかの判定は正確に行えるが、この従来法によって同期精度の定量的な診断を行うことは難しかった。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特許第5757526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、回転2軸運動の同期精度を定量的に低コストで簡単に診断できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、(1)直交する2軸のまわりに互いに独立に回転可能に支持された平坦なプレート面上に球を置き、(2)前記球が前記プレート面上において1つまたは複数の交差点もつリサージュ図形となる軌跡を描くように、前記プレートを、前記2軸のうちの一方の軸のまわりに第1の正弦関数の振幅で与えた角度でもって周期的に回転運動させると同時に、前記2軸のうちの他方の軸のまわりに第2の正弦関数の振幅で与えた角度でもって周期的に回転運動させ、(3)前記2軸のまわりの回転運動が正確に同期しているとしてシミュレーションによって得た基準リサージュ図形と前記2軸のそれぞれとの交点からの、前記プレート面上に描かれたリサージュ図形と前記2軸のそれぞれとの対応する交点の偏差に基づいて、前記2軸のまわりの回転運動の振幅の同期誤差を定量的に検出するとともに、前記基準リサージュ図形の交差点からの前記プレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の偏差に基づいて、前記2軸のまわりの回転運動の位相差の同期誤差を定量的に検出することによって、前記2軸のまわりの回転運動の同期精度を定量的に診断することを特徴とする方法を構成したものである。
【0010】
上記構成では、前記ステップ(3)において、前記基準リサージュ図形と前記2軸のそれぞれとの交点からの、前記プレート面上に描かれたリサージュ図形と前記2軸のそれぞれとの対応する交点の前記偏差として、当該偏差の平均値をとり、前記基準リサージュ図形の交差点からの前記プレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の前記偏差として、当該偏差の平均値をとるようにしてもよい。
【0011】
また、上記構成では、前記ステップ(2)において、前記一方の軸および前記他方の軸をそれぞれy軸およびx軸とするxy座標系を設定し、前記第1の正弦関数をθy(t)=θy0sin(ω1t+α)、ここで、θy0は最大傾斜角であり、ω1は角速度であり、tは時間であり、αは位相差である、とする一方、前記第2の正弦関数をθx(t)=θx0sin(ω2t)、ここで、θx0は最大傾斜角であり、ω2は角速度であり、tは時間である、とし、εa=ω21=1/2、およびεb=θx0y0=1、およびα=0と設定して、前記球が、前記プレート面上に、交差点が前記xy座標系の原点に位置し、かつ前記xy座標の原点以外で前記y軸を2回横切る八の字状のリサージュ図形となる軌跡を描くように前記プレートを前記2軸のまわりに回転運動させ、前記ステップ(3)において、(3-1)前記xy座標の原点を除いた前記基準リサージュ図形と前記y軸との交点からの、前記プレート面上に描かれたリサージュ図形と前記y軸との対応する交点の偏差がゼロのとき、前記2軸のまわりの回転運動の振幅の同期誤差はないと判定する一方、当該偏差がゼロでないときは、前記球のxy平面における運動方程式から導出した伝達関数に基づきボード線図を描き、前記ボード線図のうちのゲイン特性のグラフから、角速度ω1におけるゲインと角速度ω2におけるゲインとのゲイン差を求め、当該ゲイン差から前記振幅の同期誤差を定量的に検出するとともに、(3-2)前記基準リサージュ図形の交差点からの前記プレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の偏差がゼロのとき、前記2軸のまわりの回転運動の位相差の同期誤差はないと判定する一方、当該偏差がゼロでないときは、予めシミュレーションによって得た、前記第2の正弦関数のαの変化に伴う前記基準リサージュ図形の交差点の位置の変化を表すグラフから、前記位相差の同期誤差を定量的に検出することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プレート面上に球を置き、球がプレート面上に1つまたは複数の交差点もつリサージュ図形となる軌跡を描くように、プレートを、直交する2軸のうちの一方の軸のまわりに第1の正弦関数の振幅で与えた角度で回転運動させると同時に、他方の軸のまわりに第2の正弦関数の振幅で与えた角度で回転運動させ、プレート面上に描かれたリサージュ図形と基準リサージュ図形との間における対応する2点間の偏差に基づいて、2軸のまわりの回転運動の同期精度を診断する。この場合、2点間の偏差は高い精度で検出することができ、よって、プレート面上に描かれた図形を基準円と対比する従来法と比べて、回転2軸運動の同期精度をより正確かつ定量的に診断できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施例による方法のフロー図である。
【図2】本発明の別の実施例による方法のフロー図である。
【図3】水平位置にあるプレート面上の所定位置に球を置いた状態を示す斜視図である。
【図4】図3をy軸方向に見た側面図であり、プレートをx軸方向に角度θy傾斜させた状態を示す図である。
【図5】八の字状のリサージュ図形を採用した場合にプレート面上に生成される運動軌跡を示す平面図であり、(A)はシミュレーションで得た基準リサージュ図形であり、(B)はプレート面上に描かれたリサージュ図形である。
【図6】球のXm軸方向の制御フィードフォワード線図である。
【図7】図6の制御フィードフォワード線図に基づいて導出したボード線図である。
【図8】回転2軸運動の位相差αの変化に伴う基準リサージュ図形の交差点の位置の変化を表すグラフである。
【図9】本発明の方法による診断結果に基づいて修正した2軸回転運動によってプレート面上に描かれたリサージュ図形を、基準リサージュ図形と対比した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例による方法のフロー図である。図1を参照して、本発明によれば、まず、直交する2軸のまわりに互いに独立に回転可能に支持された平坦なプレート面上に球を置く(図1のS1)。

【0015】
次いで、球がプレート面上において1つまたは複数の交差点もつリサージュ図形となる軌跡を描くように、プレートを、2軸のうちの一方の軸のまわりに第1の正弦関数の振幅で与えた角度でもって周期的に回転運動させると同時に、2軸のうちの他方の軸のまわりに第2の正弦関数の振幅で与えた角度でもって周期的に回転運動させる(図1のS2)。

【0016】
そして、2軸のまわりの回転運動が正確に同期しているとしてシミュレーションによって得た基準リサージュ図形と2軸のそれぞれとの交点からの、プレート面上に描かれたリサージュ図形と2軸のそれぞれとの対応する交点の偏差に基づいて、2軸のまわりの回転運動の振幅の同期誤差を定量的に検出するとともに、基準リサージュ図形の交差点からのプレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の偏差に基づいて、2軸のまわりの回転運動の位相差の同期誤差を定量的に検出することによって、2軸のまわりの回転運動の同期精度を定量的に診断する(図1のS3)。

【0017】
なお、本発明においては、生成可能なリサージュ図形は無数にあるが、そのいずれのリサージュ図形も、回転2軸運動の同期精度の診断に採用することができる。
そして、リサージュ図形と2軸のそれぞれとの交点が複数ある場合には、基準リサージュ図形と2軸のそれぞれとの交点からの、プレート面上に描かれたリサージュ図形と2軸のそれぞれとの対応する交点の偏差の平均値をとり、当該平均値を偏差の代表値として採用することができ、また、リサージュ図形の交差点が複数ある場合には、基準リサージュ図形の交差点からのプレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の偏差の平均値をとり、当該平均値を偏差の代表値として採用することができる。

【0018】
こうして、本発明によれば、プレート面上に球を置き、球がプレート面上に1つまたは複数の交差点もつリサージュ図形となる軌跡を描くように、プレートを、直交する2軸のうちの一方の軸のまわりに第1の正弦関数の振幅で与えた角度で回転運動させると同時に、他方の軸のまわりに第2の正弦関数の振幅で与えた角度で回転運動させ、プレート面上に描かれたリサージュ図形と基準リサージュ図形との間の対応する2点間の偏差に基づいて、2軸のまわりの回転運動の同期精度を診断する。この場合、2点間の偏差の検出は高精度で行うことができ、よって、回転2軸運動の同期精度の定量的な診断が可能となる。

【0019】
以下では、八の字状のリサージュ図形を採用した実施例に基づいて、本発明の構成をさらに具体的に説明する。
図2は、この実施例のフロー図である。本発明によれば、まず、図3に示すように、回転運動の同期精度を診断すべき直交2軸3、4のまわりに互いに独立に回転可能に支持された平坦なプレート面1a上の所定の位置に球2を置く(図2のS1)。なお、図3中、2軸3、4にそれぞれx軸およびy軸を設定した。

【0020】
この実施例では、プレート1として、600×450×20mmの木製平板上に600×450×5mmのアクリル板を重ね合せたもの(平面度±0.003mm)を使用し、このプレート1を、回転2軸運動し得るロボット(安川電機製双腕ロボットMOTOMAN-DIA10)に取り付けた。また、球2として、セラミック製ボール(質量M=0.0022Kg、半径r=22mm、密度ρ=3.9g/cm3)を使用した。

【0021】
そして、プレート1を、水平位置から、y軸のまわりに第1の正弦関数θy(t)=θy0sin(ω1t+α)(ここで、θy0は最大傾斜角であり、ω1は角速度であり、tは時間であり、αは位相差である。)の振幅で与えた角度でもって、x軸のまわりに第2の正弦関数θx(t)=θx0sin(ω2t)(ここで、θx0は最大傾斜角であり、ω2は角速度であり、tは時間である。)の振幅で与えた角度でもって、かつ、α=0、εa=ω21=1/2、εb=θx0y0=1と設定して、周期的に回転運動させて、球2が、プレート面1a上に、交差点が座標原点に位置し、かつ座標原点以外でy軸を2回横切る八の字状のリサージュ図形となる軌跡を描くようにする(図2のS2)。

【0022】
ここで、最大傾斜角度θx0、θy0および角速度ω1、ω2の大きさは、プレートの材質およびサイズ、球の材質、質量および半径を考慮に入れて、xy平面上における球の運動方程式に基づいて予めシミュレーションを行い、その結果に基づき、適当に選択する。これについては、後で、運動方程式中の減衰係数の設定の仕方の説明において再度触れる。
なお、この実施例では、ω1=3.8rad/s(周期T1=1.65s)、ω2=1.9rad/s(周期T2=3.3s)、最大傾斜角θy0=θx0=5°に設定した。

【0023】
本発明によれば、次いで、座標原点を除いた基準リサージュ図形(シミュレーションによって得た、2軸のまわりの回転運動が正確に同期している場合の八の字状のリサージュ図形)とy軸との交点からの、プレート面上に描かれたリサージュ図形とy軸との対応する交点の偏差がゼロか否かを判定する(図2のS3)。
なお、このステップS3において「座標原点を除くy軸との交点」としているのは、この実施例では基準リサージュ図形の交差点が座標原点に位置するからである。

【0024】
そして、当該偏差がゼロのとき、2軸のまわりの回転運動の振幅の同期誤差はないと判定する一方、当該偏差がゼロでないときは、球のxy平面における運動方程式から導出した伝達関数に基づきボード線図を描き、ボード線図のうちのゲイン特性のグラフから、角速度ω1におけるゲインと角速度ω2におけるゲインとの差を求め、このゲイン差から2軸のまわりの回転運動の振幅の同期誤差を定量的に検出する(図2のS4、S5)。

【0025】
この実施例では、基準リサージュ図形は、
θy(t)=(5/180)sin(3.8t)、
θx(t)=(5/180)sin(1.9t)
として、シミュレーションを行った結果、図5Aに示すようになった。
一方、球2によってプレート面1a上に描かれたリサージュ図形は、図5Bに示すようになった。

【0026】
この場合、座標原点を除いた基準リサージュ図形とy軸との交点からの、プレート面1a上に描かれたリサージュ図形とy軸との対応する交点の偏差がゼロでないから、2軸のまわりの回転運動の振幅の同期誤差があると判定し、当該誤差を以下のように検出する。

【0027】
図4は、図3をy軸方向に見た側面図であり、プレートをx軸方向に(すなわちy軸まわりに)角度θy傾斜させた状態を示す図である。図4において、プレート1に固定された座標系をΣm(XmYmZm座標系)とし、球2の重心位置に固定された座標系をΣB(XBYBZB座標系)とする。

【0028】
このとき、プレート面1a上を転がる球2の運動方程式は、球2の質量をM(密度一定)とし、gを重力加速度とし、θy(t)=θy0sinωt(図4の水平位置から時計回りに測定したθの値を正とする。)として、次式のようになる。
【数1】
JP0006721174B2_000002t.gif
ここで、mXBは座標系Σmから見た座標系ΣBのX座標であり、Dは減衰係数である。
式(1)の右辺の各項は、順に、球2に作用する重力、摩擦力f、速度に比例する粘性力Fおよび遠心力pである。

【0029】
また、球2の重心のまわりの回転運動に対する運動方程式は、次のようになる。
【数2】
JP0006721174B2_000003t.gif

【0030】
ここで、Iは球2の重心のまわりの慣性モーメントであり、φは球2の回転角であり、rは球2の半径である。
式(2)を変形して式(1)に代入すれば、
【数3】
JP0006721174B2_000004t.gif
を得る。

【0031】
また、球2がプレート面1a上で滑らないとすると、次式が成立する。
【数4】
JP0006721174B2_000005t.gif

【0032】
式(4)、並びに、密度が一様な球の慣性モーメントI=(2/5)Mr2を式(3)に代入すれば、球2の運動方程式として、
【数5】
JP0006721174B2_000006t.gif
または、DM=(5D)/(7M)として、
【数6】
JP0006721174B2_000007t.gif
を得る。

【0033】
プレート1を、y軸のまわりには固定し、x軸のまわりに回転させた場合も、
θx(t)=θx0sin(ω2t)
である点を除いて、上記と同様である。
こうして、θが十分に小さい場合には、xy平面上における球2の運動方程式は、
【数7】
JP0006721174B2_000008t.gif
となる。

【0034】
次に、運動方程式中の減衰係数Dの値を設定する。これは、上記式(7)~(9)を用いたシミュレーションによって行う。
すなわち、球2の材質、半径および質量、並びにプレート1の材質およびサイズも考慮して、基準リサージュ図形のx軸およびy軸方向のそれぞれの大きさ予め設定し、式(7)に適当なDの値を代入してシミュレーションを行い、球2が基準リサージュ図形を描くような減衰係数Dの値を求めるとともに、θx0、θy0およびω1、ω2の値を決定する。

【0035】
この実施例では、シミュレーションにより、減衰係数としてD=0.001N・s/Kgを得た。また、θx0、θy0およびω1、ω2については、採用可能なθ0とωの組は無数に存在するので、それらの組のうち、現実の状況にあった適当なものを決定する。

【0036】
今、図3において、プレート1をx軸方向に角度θだけ傾斜させた場合、球2の初期速度をゼロとして、球2の移動距離L、球2の重心の斜面方向の加速度a、時間tは、次式を満たす。
【数8】
JP0006721174B2_000009t.gif

【0037】
そして、実際にプレート1を傾斜させて球2をx軸方向に転がし、適当に定めた移動距離Lに達するまでの時間tを実測するとともに、この実測値を、式(10)、(11)に従って求めた理論値と比較し、実測値と理論値がほぼ一致する傾斜角度の範囲を求める。

【0038】
この場合、プレート1のx軸方向およびy軸方向のそれぞれの長さと、y軸およびx軸のそれぞれのまわりの角速度には制限があるので、最大傾斜角θx0、θy0があまり大きすぎると、球2をプレート面1a上でx軸方向およびy軸方向にそれぞれ単振動させることができなくなる。この点を考慮して、最大傾斜角θx0、θy0の好ましい数値範囲を決定する。
そして、この数値範囲内にある適当な最大傾斜角θx0、θy0の値を決定し、それに対応するω1、ω2の値を決定する。

【0039】
次に、球2の運動を制御するための制御系を考える。なお、球2は、Xm軸上およびYm軸上のいずれにおいても単振動する点は同じであるから、以下では、Xm軸方向の運動だけを考える。
上記運動方程式(式(6)、(7))において、球2の駆動力FBallは、プレート1の傾斜によって与えられ、FBall=5/7Mgθyである。
そして、Xm軸方向の球2の速度をmVyBとして、式(7)を変形すれば、球2のXm軸方向の状態方程式は、
【数9】
JP0006721174B2_000010t.gif
となる。

【0040】
式(12)の両辺をラプラス変換して、
【数10】
JP0006721174B2_000011t.gif
を得る。
式(13)から、球2のXm軸方向の制御フィードフォワード線図が得られる(図6参照)。

【0041】
そして、図6の制御フィードフォワード線図に基づき、FBallを入力とし、球2がプレート面1a上のXm軸に沿って振動運動する片振幅(転がり円運動の半径)を出力とした伝達関数のボード線図を導出する。導出したボード線図を、図7に示した。

【0042】
図7のボード線図のうちのゲイン特性を示すグラフから、角速度ω1=3.8rad/sにおけるゲインと角速度ω2=1.9rad/sにおけるゲインとの差を求めると12dBとなり、ゲイン差=12dBから、x軸まわりの回転運動(単振動)の振幅がy軸まわりの回転運動(単振動)の振幅の4倍となっていることが検出される。

【0043】
本発明によれば、さらに、基準リサージュ図形の交差点からのプレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の偏差がゼロか否かを判定する(図2のS6)。
そして、当該偏差がゼロのとき、2軸のまわりの回転運動の位相差の同期誤差はないと判定し、当該偏差がゼロでないときは、予めシミュレーションによって得た、第2の正弦関数のαの変化に伴う基準リサージュ図形の交差点の位置の変化を表すグラフから、2軸のまわりの回転運動の位相差の同期誤差を定量的に検出する(図2のS7、S8)。

【0044】
この実施例では、図5Bからわかるように、基準リサージュ図形の交差点(この実施例では座標原点に一致する)からのプレート面上に描かれたリサージュ図形の対応する交差点の偏差はゼロであるから、2軸のまわりの回転運動の位相差の同期誤差はない、と判定する。

【0045】
一方、当該偏差がゼロでない場合には、
θy(t)=(5/180)sin(3.8t+α)、
θx(t)=(5/180)sin(1.9t)
として、予めシミュレーションによって得た、αの変化に伴う基準リサージュ図形の交差点の位置の変化を表すグラフ(図8参照)を用いる。図8のグラフにおいて、縦軸は、基準リサージュ図形の交差点の座標原点からの偏差xp(m)を表し、横軸は、位相差α(rad)を表す。

【0046】
つまり、この実施例のように、
θy(t)=θy0sin(ω1t+α)、
θx(t)=θx0sin(ω2t)、
α=0、εa=ω21=1/2、εb=θx0y0=1
と設定して八の字状のリサージュ図形を生成する場合、シミュレーションによれば、αの値をゼロから増大させていくと、基準リサージュ図形の交差点の位置がx軸方向にずれていくことがわかっている。

【0047】
こうして、プレート面1a上に描かれたリサージュ図形の交差点の座標原点からの偏差を測定し、図8のグラフから、当該偏差に対応する位相差αを求めることによって、2軸のまわりの回転運動の位相差の誤差を検出できる。

【0048】
なお、この実施例では、振幅の同期誤差の検出ステップ(S3~S5)の後に位相差の同期誤差の検出ステップ(S6~S8)を実行しているが、位相差の同期誤差の検出ステップ(S6~S8)の後に振幅の同期誤差の検出ステップ(S3~S5)を実行することもできる。

【0049】
この実施例による回転2軸運動の同期誤差の診断が正確であるか否かを検証するため、上で得られた診断結果に基づき、上記ロボットに対し、プレート1を、y軸まわりに、
θy(t)=(5/180)sin(3.8t)、
x軸まわりに、
θx(t)=(1/4)×(5/180)sin(1.9t)
で回転運動させる指令を入力して、プレート面1a上の球2の運動の軌跡を測定し、測定で得られたリサージュ図形を基準リサージュ図形と対比した。結果を、図9に示す。

【0050】
図9において、プレート面1a上に描かれたリサージュ図形が基準リサージュ図形にほぼ一致しており、このことから、診断が正確に行われたことがわかった。
【符号の説明】
【0051】
1 プレート
1a プレート面
2 球
3 一方の回転軸
4 他方の回転軸
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
6
(In Japanese)【図8】
7
(In Japanese)【図9】
8